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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】回路基板のハンダ付け構造
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/18 20060101AFI20241125BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20241125BHJP
【FI】
H05K1/18 B
H05K1/02 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021562542
(86)(22)【出願日】2020-11-13
(86)【国際出願番号】 JP2020042359
(87)【国際公開番号】W WO2021111843
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2023-09-12
(31)【優先権主張番号】P 2019218562
(32)【優先日】2019-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】322003798
【氏名又は名称】パナソニックエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003225
【氏名又は名称】弁理士法人豊栖特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松下 文哉
(72)【発明者】
【氏名】松原 匠汰
【審査官】沼生 泰伸
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-137582(JP,U)
【文献】実開平01-097562(JP,U)
【文献】実開昭63-187348(JP,U)
【文献】特開2011-187915(JP,A)
【文献】特開2010-277796(JP,A)
【文献】特開平04-028285(JP,A)
【文献】特開平1-207961(JP,A)
【文献】特開2015-103566(JP,A)
【文献】特開2006-100408(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0012931(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/18
H05K 1/02
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板のスリット孔に挿入されてなるリード板が、
前記スリット孔に沿って設けてなる導電パターンにハンダ付けされてなる回路基板のハンダ付け構造であって、
前記リード板が、
前記スリット孔の開口幅よりも薄い弾性変形できる金属板で、
前記スリット孔に挿入される挿入部が、
前記スリット孔の一方の対向内面から他方の対向内面に向かって接近する曲げ部を有し、
前記曲げ部が前記スリット孔に配置されて、
前記挿入部の両面が前記スリット孔の対向内面に近接ないし接触して、
前記挿入部が、
前記導電パターンにハンダ付けされており、
前記リード板が、
前記回路基板の下面に沿って幅方向に突出してなる前記回路基板の載せ部を有し、
前記回路基板が前記載せ部の上にセットされて、
前記曲げ部が前記スリット孔に配置され、さらに、
前記載せ部が、前記スリット孔の長手方向の端部にできる開口部を下から塞ぐ位置に配置されてなることを特徴とする回路基板のハンダ付け構造。
【請求項2】
請求項1に記載の回路基板のハンダ付け構造であって、
前記曲げ部が、
階段形状に曲げ加工されてなることを特徴とする回路基板のハンダ付け構造。
【請求項3】
請求項2に記載する回路基板のハンダ付け構造であって、
前記リード板の曲げ部が、
スリット孔内面の長手方向に伸びる山形に曲げ加工されてなることを特徴とする回路基板のハンダ付け構造。
【請求項4】
請求項3に記載する回路基板のハンダ付け構造であって、
山形に曲げ加工された前記曲げ部の横幅が、
前記回路基板の厚さよりも小さいことを特徴とする回路基板のハンダ付け構造。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載する回路基板のハンダ付け構造であって、
前記リード板は、
前記曲げ部によって両面が前記スリット孔の内面を弾性的に押圧する状態で、
隙間にハンダが流入されてなることを特徴とする回路基板のハンダ付け構造。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載する回路基板のハンダ付け構造であって、
前記回路基板が、
互いに直線状に配列されてなる複数のスリット孔を有し、
前記リード板が、各々のスリット孔に挿入される複数の挿入部を有し、
各々の挿入部が前記スリット孔に挿入されて、
前記回路基板の導電パターンにハンダ付けされてなることを特徴とする回路基板のハンダ付け構造。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載する回路基板のハンダ付け構造であって、
前記曲げ部が、
前記一方の対向内面から前記他方の対向内面に向かって接近するよう傾斜されており、
前記傾斜された一端側の前記挿入部が、前記一方の対向内面に接近され、
前記傾斜された他端側の前記挿入部が、前記他方の対向内面に接近されてなることを特徴とする回路基板のハンダ付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板のハンダ付け構造に関し、とくに、リード板が回路基板に設けたスリット孔に挿入されて、スリット孔の外周縁の導電パターンにハンダ付けしてなる回路基板のハンダ付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板に設けたスリット孔に金属板のリード板を挿入して、リード板を回路基板の導電パターンにハンダ付けして接続する構造は、リード板と回路基板の導電パターンとの接触面積を大きくして、優れた大電流特性を実現できる。このハンダ付け構造は、スリット孔の内周縁に沿って設けている導電パターンと、リード板とを、確実に安定して広い面積でハンダ付けすることが大切である。このことを実現するハンダ付け構造が開発されている。(特許文献1)
このハンダ付け構造は、図10に示すように、回路基板103に設けたスリット孔103Aの内面に金属皮膜105を形成した状態で、リード板である金属板102を挿入してハンダ浴に浸してハンダ付け106している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-45743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上のハンダ付け構造は、金属板をリード板として、リード板と回路基板とをハンダ付けできる。このハンダ付け構造は、リード板とスリット孔内面との間にできる隙間に加熱された溶融ハンダを流入し、溶融ハンダをリード板の表面とスリット孔内面の金属皮膜の両方に密着してハンダ付けされる。隙間に流入した溶融ハンダは、冷却されてリード板と金属皮膜の両方の表面に強く密着して電気接続することが大切である。この状態は、ハンダ隙間に単に溶融ハンダを流入しては実現できず、流入した溶融ハンダが、リード板と金属皮膜の両方の表面を所定の温度まで加熱する必要がある。ハンダ隙間に流入した溶融ハンダが、リード板と金属皮膜の表面に接触して温度が低くなると、確実なハンダ付けは実現できない。それは、ハンダ付けは、ハンダとハンダ付けされる金属との界面で合金層を形成して強く接合するからである。この状態で接合するために、ハンダ隙間に流入した溶融ハンダは、合金層を形成する温度よりも高く維持する必要がある。ハンダ隙間でこの温度に保持された溶融ハンダは流れやすく、ハンダ隙間から流れ落ちて種々の弊害を発生させる原因となる。たとえば、回路基板の下方に配置する部品に熱障害を与え、あるいは滴下して粒状に冷却されたハンダ玉が、下方に配置している電子回路をショートして故障の原因となる。
【0005】
本発明は、さらに以上の欠点を解消することを目的に開発されたもので、本発明の目的の一は、回路基板とリード板を確実に安定して接続しながら、溶融ハンダが流れ落ちる弊害を防止できる回路基板のハンダ付け構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様に係る回路基板のハンダ付け構造は、回路基板のスリット孔に挿入されたリード板を、スリット孔に沿って設けた導電パターンにハンダ付けしている。リード板は、スリット孔の開口幅よりも薄い弾性変形できる金属板で、スリット孔に挿入される挿入部が、スリット孔の一方の対向内面から他方の対向内面に向かって接近する曲げ部を有しており、曲げ部がスリット孔に配置されて、挿入部の両面をスリット孔の対向内面に近接ないし接触させて、挿入部を導電パターンにハンダ付けしている。
【発明の効果】
【0007】
以上のハンダ付け構造は、回路基板とリード板を確実に安定して接続しながら、溶融ハンダが流れ落ちる弊害を防止できる特長がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る電池パックの概略断面図である。
図2図1に示す電池パックの電池ユニットの斜視図である。
図3図2に示す電池ユニットの分解斜視図である。
図4】回路基板とリード板の接続部分を示す拡大平面図である。
図5】リード板の一部拡大斜視図である。
図6】回路基板とリード板の接続部分を示す拡大断面図であって、図4のVI-VI線断面図である。
図7】リード板の曲げ部の他の一例を示す拡大断面図である。
図8】リード板の挿入部を回路基板の導電パターンにハンダ付けする状態を示す拡大断面図である。
図9】回路基板とリード板の接続部分を示す拡大断面図であって、図4のIX-IX線断面図である。
図10】従来のハンダ付け構造の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態は、以下の構成によって特定されてもよい。
本発明の第1の実施形態にかかる回路基板のハンダ付け構造は、回路基板のスリット孔に挿入されてなるリード板が、スリット孔に沿って設けてなる導電パターンにハンダ付けされてなる回路基板のハンダ付け構造であって、リード板が、スリット孔の開口幅よりも薄い弾性変形できる金属板で、スリット孔に挿入される挿入部が、スリット孔の一方の対向内面から他方の対向内面に向かって接近する曲げ部を有し、曲げ部がスリット孔に配置されて、挿入部の両面がスリット孔の対向内面に近接ないし接触して、挿入部が、導電パターンにハンダ付けされてなる。
【0010】
以上のハンダ付け構造は、金属板のリード板がスリット孔に挿入された状態で、リード板の曲げ部がスリット孔との隙間を狭くするので、リード板とスリット孔との隙間に流入される溶融ハンダが、スリット孔から流れ落ちる弊害を防止できる特長がある。とくに、以上のハンダ付け構造は、溶融ハンダがスリット孔から流れ落ちるのを阻止しながらリード板と導電パターンをハンダ付けできるので、スリット孔に流入した溶融ハンダを溶融状態に保持してリード板と導電パターンとに確実にハンダ付けできる特長がある。溶融ハンダは、ハンダ付けされる金属表面に接触した直後には接合されず、接触した金属表面を加熱して、金属との界面に合金層を成形してハンダ付けされる。金属表面を加熱して合金層を形成する高温の溶融ハンダは流動性が良くてスリット孔から流れ落ちやすいが、以上のハンダ付け方法は、流動性の高い溶融ハンダがスリット孔から流れ落ちるのを阻止できるので、溶融ハンダを高温状態に維持して確実にハンダ付けできる。
【0011】
本発明の第2の実施形態にかかる回路基板のハンダ付け構造は、曲げ部を階段形状に曲げ加工している。
【0012】
以上のハンダ付け構造は、弾性変形できる金属板を階段形状に曲げ加工して曲げ部とするので、曲げ加工が簡単で製造コストを低減でき、さらに、リード板の挿入部の両面を広い面積でスリット孔の対向内面に接近して配置して、溶融ハンダを漏れなくスリット孔と挿入部との間に流入して、確実にハンダ付けできる特長がある。
【0013】
本発明の第3の実施形態にかかる回路基板のハンダ付け構造は、リード板の曲げ部を、スリット孔内面の長手方向に伸びる山形に曲げ加工している。
【0014】
以上のハンダ付け構造は、挿入部をスリット孔に垂直姿勢で挿入しながら、山形の曲げ部をスリット孔の長い領域で対向内面に接近させて確実にハンダ付けできる特長がある。
【0015】
本発明の第4の実施形態にかかる回路基板のハンダ付け構造は、山形に曲げ加工された曲げ部の横幅を、回路基板の厚さよりも小さくしている。
【0016】
本発明の第5の実施形態にかかる回路基板のハンダ付け構造は、リード板が、曲げ部によって両面がスリット孔の内面を弾性的に押圧する状態で、隙間にハンダを流入している。
【0017】
以上のハンダ付け構造は、曲げ部によって挿入部の両面をスリット孔の対向面を弾性的に押圧するので、スリット孔の隙間を曲げ部で確実に閉塞して、溶融ハンダが流れ落ちるのをより確実に阻止して確実にハンダ付けしながら、リード板をスリット孔にスムーズに挿入できる特長がある。
【0018】
本発明の第6の実施形態にかかる回路基板のハンダ付け構造は、回路基板が、互いに直線状に配列されてなる複数のスリット孔を有し、リード板が、各々のスリット孔に挿入される複数の挿入部を有し、各々の挿入部をスリット孔に挿入して、回路基板の導電パターンにハンダ付けしている。
【0019】
以上のハンダ付け構造は、複数のスリット孔の各々にリード板を挿入してハンダ付けするので、より確実にリード板と回路基板とをハンダ付けできる。また、複数のスリット孔を直線状に配置しているので、リード板は、1枚の金属板を分岐して複数の挿入部を設けて、各々の挿入部をスリット孔にハンダ付けできる特長がある。
【0020】
本発明の第7の実施形態にかかる回路基板のハンダ付け構造は、リード板が、回路基板の下面に沿って幅方向に突出してなる回路基板の載せ部を有しており、回路基板を載せ部の上にセットして、曲げ部をスリット孔に配置し、さらに、載せ部を、スリット孔の端部開口部を下から塞ぐ位置に配置している。
【0021】
以上のハンダ付け構造は、回路基板をリード板に設けた載せ部にセットすることで、回路基板とリード板との相対位置を特定して、挿入部に設けた曲げ部をスリット孔に配置できる。曲げ部は、スリット孔の正確な位置に配置されて、スリット孔から溶融ハンダが流れ落ちるのを防止できる。数mm以下の薄い回路基板は、スリット孔の正確な位置に曲げ部を配置するのが難しく、曲げ部が位置ずれしてスリット孔の外部に配置されると、溶融ハンダが流れ落ちるのを防止できなくなる。曲げ部をスリット孔の正確な位置に配置して、溶融ハンダでリード板と回路基板をハンダ付けすることは大切である。以上のハンダ付け構造は、リード板に設けた載せ部の上に回路基板をセットすることで、回路基板とリード板との相対的な位置ずれを防止して、曲げ部を確実にスリット孔の正確な位置に配置できる。このため、以上のハンダ付け構造は、溶融ハンダがスリット孔から流れ落ちるのを確実に防止できる。さらに、以上のハンダ付け構造は、載せ部の上に回路基板をセットした状態で、載せ部がスリット孔の長手方向の端部にできる開口部を下から塞ぐ位置にあって、スリット孔の端部からも溶融ハンダが流れ落ちるのを阻止できる。
【0022】
以下、図面に基づいて本発明を詳細に説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、及びそれらの用語を含む別の用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が制限されるものではない。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一もしくは同等の部分又は部材を示す。
さらに以下に示す実施形態は、本発明の技術思想の具体例を示すものであって、本発明を以下に限定するものではない。また、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また、一の実施の形態、実施例において説明する内容は、他の実施の形態、実施例にも適用可能である。また、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。
【0023】
(実施の形態1)
図1の概略断面図と図2の斜視図及び図3の分解斜視図に示す電池パック100は、平行姿勢に配置している複数の充電できる電池1と、各々の電池1の電極端子1a、1bに溶融して接合しているリード板2と、このリード板2をハンダ付けする回路基板3とで電池ユニット10を組み立てて、電池ユニット10を外装ケース9に収納している。図2図3に示す電池ユニット10は、複数の円筒型の電池1を互いに平行な姿勢として電池ホルダ4で定位置に配置すると共に、電池ホルダ4の両端面に各々の電池1の電極端子1a、1bを表出させて、これらの電極端子1a、1bにリード板2を接合して連結している。
【0024】
以上の図の電池パック100は、一枚の金属板を裁断して、電池1を直列又は並列に接続するバスバーと、このバスバーを回路基板3に接続するリード板2とを一体構造としている。この構造は、1枚の金属板で電極端子1a、1bと回路基板3とを接続するので、接続構造を簡素化しながら、接続部の電気抵抗を小さくして電力ロスを小さくできる。リード板2は、大電流が流れる経路、例えば電池1の充放電電流が流れる経路に使用して、電力ロスを小さくできる。ただし、リード板は、必ずしもバスバーと一体構造とする必要はなく、リード板とバスバーとを別々の金属板とすることもできる。さらに、回路基板3に接続するリード板2は、電池1の充放電電流のように大電流を流す経路に使用することなく、たとえば、信号の伝送路等に使用することもできる。信号の伝送路に使用されるリード板2が、以下のハンダ付け構造で回路基板3に接続されると、リード板2と回路基板との信号伝送の安定性を向上できる特長がある。
【0025】
リード板2と回路基板3とのハンダ付け構造は、回路基板3にスリット孔30を設けて、このスリット孔30にリード板2を挿入して、回路基板3に設けている導電パターン31にリード板2をハンダ付けして接続している。回路基板3は、スリット孔30に沿って導電パターン31を設けて、この導電パターン31にリード板2をハンダ付けして回路基板3に接続している。図4の平面図は、スリット孔30と導電パターン31を設けた回路基板3を示している。この図に示す回路基板3は、直線状に並べて複数のスリット孔30を設けて、スリット孔30の外周に沿って回路基板3の表面に導電パターン31を設けている。導電パターン31は、スリット孔30の全周に沿って、所定の横幅で回路基板3の表面に設けている。導電パターン31は、回路基板3の表裏両面に、スリット孔30の外周に沿って設けることができる。さらに、回路基板3は、好ましくは、表面の導電パターン31に連続して、スリット孔30の内面にも導電パターンを設けて、スルーホール構造とすることができる。スルーホールの導電パターン31は、より確実にリード板2をハンダ付けできる特長がある。
【0026】
リード板2は、スリット孔30の開口幅(W)よりも薄い弾性変形できる金属板で、先端部にはスリット孔30に挿入される挿入部20を設けている。回路基板3に設けた複数のスリット孔30に挿入してハンダ付けされるリード板2は、複数に分岐した挿入部20を先端部に設けている。図3に示す回路基板3は、2列のスリット孔30を直線状に並べて設けているので、リード板2は、図5に示すように、2つに分岐した挿入部20を先端部に設けている。
【0027】
スリット孔30の開口幅(W)よりも薄いリード板2は、スリット孔30に挿入する状態でスリット孔30の対向内面32との間に隙間ができる。挿入部20とスリット孔30の対向内面32との隙間を少なくするために、挿入部20は、スリット孔30の一方の対向内面32から他方の対向内面32に向かって接近する曲げ部21を設けてある。曲げ部21のある挿入部20は、スリット孔30に挿入される状態で、両面をスリット孔30の対向内面32に近接ないし接触させて、対向内面32との隙間を少なくする。曲げ部21は、好ましくは、スリット孔30に挿入でき、かつ挿入部20の両面が、スリット孔30の対向内面32を弾性的に押圧する形状に曲げ加工される。この挿入部20は、挿入部20の両面がスリット孔30の対向面を弾性的に押圧して接触させるので、スリット孔30の隙間を確実に閉塞して、溶融ハンダが流れ落ちるのをより確実に阻止できる。ただ、曲げ部21は、必ずしも挿入部20の両面をスリット孔30の対向内面32に弾性的に押圧する形状とすることなく、挿入部20の表面がスリット孔30の対向内面32に接近して隙間を狭くする形状に曲げ加工することもできる。曲げ部21でスリット孔30との隙間を狭くした挿入部20は、回路基板3のスリット孔30に挿入されて溶融ハンダをスリット孔30から滴下させることなく導電パターン31に確実にハンダ付けされる。
【0028】
図6の拡大断面図に示す挿入部20は、細長いスリット孔30の内面の長手方向に伸びる山形に金属板を曲げ加工して曲げ部21を設けている。山形に曲げ加工された曲げ部21の横幅(d)は、回路基板3の厚さ(t)よりも小さく、山部の両側を同じ対向内面32に接近ないし接触させるように曲げ加工している。この図の挿入部20は、曲げ部21の山部とその両側で、図においては山部の尾根部を左側の対向内面32に、山部の両側では右側の対向内面32に接近し、あるいは接触して隙間を少なくし、あるいは隙間を閉塞する。
【0029】
図7の断面図に示す挿入部20は、金属板を階段形状に曲げ加工して曲げ部21としている。この図の挿入部20は、曲げ部21の上下で、図においては曲げ部21の上方では左側の対向内面32に、曲げ部21の下方では右側の対向内面32に接近し、あるいは接触して隙間を少なくし、あるいは隙間を閉塞する。
【0030】
図8の拡大断面図は、リード板2をスリット孔30に挿入して、リード板2の挿入部20を回路基板3の導電パターン31にハンダ付けする状態を示している。この図に示すリード板2は、挿入部20に設けた曲げ部21をスリット孔30に配置する状態で、溶融ハンダ35で回路基板3にハンダ付けされる。図8に示す挿入部20は、図において右側表面をスリット孔30の対向内面32に、左側表面は曲げ部21の山部の表面をスリット孔30の対向内面32に接近し、あるいは接触している。この状態で、リード板2とスリット孔30との境界部分に沿って加熱された溶融ハンダ35が供給される。供給される溶融ハンダ35は、リード板2と回路基板3の導電パターン31を加熱して、リード板2と導電パターン31の表面に沿って流れ、リード板2及び導電パターン31の表面と溶融ハンダ35との界面に合金層を形成してリード板2と導電パターン31に確実にハンダ付けされる。リード板2とスリット孔30との境界に供給される溶融ハンダ35は、曲げ部21でもって溶融ハンダ35が流れ落ちる隙間が塞がれて、流動性がある状態にあってもスリット孔30から流れ落ちることなく、リード板2と導電パターン31とを確実にハンダ付けする。流動性のある溶融ハンダ35が流れ落ちるのを阻止できる構造は、溶融ハンダ35でリード板2と導電パターン31を合金層ができるまで加熱できるので、リード板2と導電パターン31とを確実にハンダ付けできる。
【0031】
さらに、図5図9に示すリード板2は、回路基板3を正確な位置にセットするために載せ部22を設けている。載せ部22は、回路基板3をセットする状態で、回路基板3の下面に沿う位置に幅方向に突出して設けられる。載せ部22は、上に回路基板3の下面を載せて定位置に配置する。載せ部22は、リード板2から幅方向に突出しているので、載せ部22に回路基板3を配置する状態で、スリット孔30の端部を下から塞ぐ位置に配置される。このリード板2は、載せ部22に回路基板3を載せてセットすることで、曲げ部21を正確にスリット孔30に配置し、さらに、挿入部20をスリット孔30に挿入する状態で、スリット孔30の端部にできる隙間は、載せ部22で下から塞がれる。この構造のリード板2は、曲げ部21でスリット孔30の両側にできる隙間を塞ぎ、さらに、載せ部22でスリット孔30の端部にできる隙間を塞いで、溶融ハンダ35がスリット孔30から流れ落ちるのを確実に阻止できる特長がある。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明に係る電池パックは、アシスト自転車、電動バイク、電動車椅子、電動カート、クリーナー、電動工具等の電池で駆動される機器用の充放電可能な電池パックとして好適に利用できる。
【符号の説明】
【0033】
100…電池パック
1…電池
1a、1b…電極端子
2…リード板
3…回路基板
4…電池ホルダ
9…外装ケース
10…電池ユニット
20…挿入部
21…曲げ部
22…載せ部
30…スリット孔
31…導電パターン
32…対向内面
35…溶融ハンダ
102…金属板
103…回路基板
103A…スリット孔
105…金属皮膜
106…ハンダ付け
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10