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特許7592629圧力モジュール、とりわけリチウムイオンバッテリセルのための圧力モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】圧力モジュール、とりわけリチウムイオンバッテリセルのための圧力モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/291 20210101AFI20241125BHJP
   H01M 50/293 20210101ALI20241125BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20241125BHJP
   H01M 50/202 20210101ALI20241125BHJP
   H01M 50/242 20210101ALI20241125BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20241125BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20241125BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20241125BHJP
   H01M 10/6557 20140101ALI20241125BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20241125BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20241125BHJP
【FI】
H01M50/291
H01M50/293
H01M50/204 401H
H01M50/202 401H
H01M50/202 501P
H01M50/242
H01M50/211
H01M10/613
H01M10/615
H01M10/6557
H01M10/647
H01M10/6568
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021564862
(86)(22)【出願日】2020-04-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(86)【国際出願番号】 EP2020062021
(87)【国際公開番号】W WO2020221856
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2023-04-05
(31)【優先権主張番号】102019111356.3
(32)【優先日】2019-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】509170017
【氏名又は名称】エリコン フリクション システムズ(ジャーマニー) ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル マーク
(72)【発明者】
【氏名】ジェシカ ウーレマン
(72)【発明者】
【氏名】マルクス グレートラー
(72)【発明者】
【氏名】トビアス フリッツ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス イュープラー
(72)【発明者】
【氏名】ヘリベルト ヴァルター
【審査官】今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-531338(JP,A)
【文献】国際公開第2019/066244(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0052960(US,A1)
【文献】特表2017-534143(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20 - 50/298
H01M 10/52 - 10/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリセルのための圧力モジュール(1)であって、
前記圧力モジュール(1)は、バッテリのための冷却機能または加熱機能を同時に備えた、圧力補償のために使用される少なくとも部分的にエラストマーの構成部材であり、
前記圧力モジュール(1)は、チャネル構造体を有する空洞(9)を取り囲んでいるポリマー材料からなる外側カバー(2)を有し、前記外側カバー(2)内には、熱伝達媒体のための入口(5)および出口(6)のための接続部が設けられており、
前記圧力モジュール(1)は、2つの相互に対向する主平面を有し、前記主平面同士は、当該主平面の縁辺部を介して相互に接続されており、
前記主平面の内面(7,8)には、複数の隆起した構造体要素(10a,10b;19a,19b)が設けられており、前記構造体要素(10a,10b;19a,19b)は、前記内面(7,8)から前記空洞(9)内へと延在しており、対向する前記内面の前記複数の構造体要素(10a,10b;19a,19b)は、相互に対応しており、前記熱伝達媒体が導通するための前記チャネル構造体を協働して画定し、かつ安定させる、
圧力モジュール(1)。
【請求項2】
前記主平面の2つの相互に対向する縁部領域に沿ってそれぞれ1つの導通チャネル(15,16)が延在しており、前記導通チャネル(15,16)は、前記縁部領域に沿って前記圧力モジュール(1)の一方の側(3)から対向する側(4)へと延在しており、前記導通チャネル(15,16)は、前記空洞(9)内の前記チャネル構造体に接続されている、請求項1記載の圧力モジュール(1)。
【請求項3】
前記構造体要素(10a,10b)は、前記内面(7,8)に長手方向の延在に沿って相互に間隔を置いて配置されたウェブ形状の区分であり、
2つの隣り合う前記ウェブ形状の区分(10a,10b)の間の溝形状の凹部(11a,11b)が、流路チャネルを画定し、
一方の前記内面(7,8)の1つのウェブ形状の区分(10a,10b)は、対向する前記内面(7,8)に設けられたそれぞれ1つの溝形状の凹部(11a,11b)に対向するように配置されており、
圧力負荷下では、前記ウェブ形状の区分(10a,10b)が、それぞれ対向する前記溝形状の凹部(11a,11b)に係合し、
前記ウェブ形状の区分(10a,10b)の幅は、対向する溝形状の凹部(11a,11b)に係合している場合に、前記熱伝達媒体が導通するための空いたチャネル構造体を形成する自由な断面容積部(14)が残留するように選択されている、
請求項1または2記載の圧力モジュール(1)。
【請求項4】
前記区分(10a,10b)が対向する溝形状の凹部(11a,11b)に係合している場合には、少なくとも側方向に自由な断面容積部が空いたままである、請求項3記載の圧力モジュール(1)。
【請求項5】
前記内面(7,8)に、突起形状の隆起部(19a,19b)が設けられており、
前記突起形状の隆起部(19a,19b)同士の間に、前記熱伝達媒体が通流するための自由な平面が延在しており、
一方の前記内面に設けられた前記突起形状の隆起部(19a,19b)は、対向する前記内面(7,8)に設けられた自由な平面に対向するように配置されている、
請求項1または2記載の圧力モジュール(1)。
【請求項6】
前記突起形状の隆起部(19a,19b)の直径は、圧力負荷時に、前記熱伝達媒体が導通するための自由な中間容積部が形成されるように選択されている、請求項5記載の圧力モジュール(1)。
【請求項7】
前記突起形状の隆起部(19a,19b)は、円筒形、円錐台形、または多角形の断面平面を有する形状を有する、請求項5または6記載の圧力モジュール(1)。
【請求項8】
前記隆起した構造体要素(10a,10b;19a,19b)は、平坦な端面を有する、請求項1から7までのいずれか1項記載の圧力モジュール(1)。
【請求項9】
前記内面(7,8)に沿ってそれぞれ1つの補強プレート(17,18)が設けられており、
前記構造体要素(10a,10b;19a,19b;11a,11b)は、前記補強プレート(17,18)の、相互に対向する平面であって、かつ前記空洞(9)の方を向いている平面に配置されている、
請求項1から8までのいずれか1項記載の圧力モジュール(1)。
【請求項10】
前記補強プレート(17,18)は、繊維複合材料から形成されている、請求項9記載の圧力モジュール(1)。
【請求項11】
前記外側カバー(2)の縁部に沿って前記主平面同士の間に、圧縮可能な材料からなる中間層(22)が設けられている、請求項1から10までのいずれか1項記載の圧力モジュール(1)。
【請求項12】
前記中間層(22)は、ポリマー発泡材料から形成されている、請求項11記載の圧力モジュール(1)。
【請求項13】
前記外側カバー(2)は、エラストマーから形成されている、請求項1から12までのいずれか1項記載の圧力モジュール(1)。
【請求項14】
前記構造体要素(10a,10b;11a,11b)は、エラストマー、熱硬化性樹脂、または熱可塑性樹脂から選択される材料から形成されている、請求項1から13までのいずれか1項記載の圧力モジュール(1)。
【請求項15】
前記圧力モジュール(1)は、バッテリを保持するために、前記外側カバー(2)の前記主平面のうちの少なくとも一方の主平面において窪み形状の凹部(21)を有する、請求項1から14までのいずれか1項記載の圧力モジュール(1)。
【請求項16】
対向する前記内面(7,8)の隆起した前記構造体要素(10a,10b;19a,19bは、相互にずらされて配置されている、請求項1から15までのいずれか1項記載の圧力モジュール(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電式のバッテリ、とりわけリチウム(Li)イオンバッテリ(LIB)のための圧力モジュールに関する。圧力モジュールは、動作中(充電中および放電中)にバッテリセルの体積が変化した場合の機械的な負荷を補償するために使用されると同時に、冷却または加熱/温度調整のために使用される。
【0002】
LIBは、電力密度およびエネルギ密度が高くて、重量および所要スペースが比較的わずかである。したがって、LIBは、効果的なエネルギ蓄蔵のための多数の使用分野において広く使用されている。特に顕著な使用例は、例えば電気自動車またはいわゆるハイブリッド車におけるエネルギ源としてのエレクトロモビリティである。
【0003】
典型的に、電気自動車において使用される場合には、所定数のバッテリセルを組み合わせて1つのバッテリモジュールが形成され、2つ以上のバッテリモジュールを組み合わせて1つのバッテリパックまたはバッテリスタックが形成される。セル同士および/またはモジュール同士は、電気的に直列および/またはシリーズに接続可能である。電気自動車において使用される場合には、個々のモジュールは、例えばモジュール全体の所定の寸法を保証するため、かつ振動による機械的な完全性の阻害に対抗するために、相互に結合されている。
【0004】
種々異なる寸法および形状のバッテリセルが存在しており、例えば円筒形のセル、または角柱形のセルもしくはいわゆるパウチセル(コーヒーバッグセル)のような平坦なセルが存在する。パウチセルは、フレキシブルなハウジングを有し、このハウジングは、通常、両面がプラスチックコーティングされたアルミニウムフィルムから形成されている。パウチセルまたは角柱形のセルのような平坦なセルは、より良好な熱放散性および積層可能性の観点から好ましい。
【0005】
LIBの典型的な構成は、アノード側から開始して以下の通りであり、すなわち、
・活性物質(通常はグラファイト)によって少なくともカソードの方を向いた側がコーティングされている、集電体(通常は銅)を有するアノードと、
・電極同士を電子的に分離させるために使用されるが、Liイオンに対して透過性であるセパレータと、
・セルの充電時にLiイオン源として使用される活性物質(多くの場合、コバルト、マンガン、またはニッケルを有する遷移金属酸化物)によって少なくともアノード側がコーティングされている、集電体(通常はアルミニウム)を有するカソードと、
・電極での反応間のメディエータとして機能し、Liイオンの輸送を保証する電解質(通常は液体または固体)と
である。
【0006】
カソードまたはアノードのための活性物質、セパレータ、および電解質のために適した材料は、従来技術である。
【0007】
充電プロセス中には、Liイオンがカソードからアノードに移動し、そこでホスト格子内に貯蔵され(インターカレーション)、その一方で、放電中には逆のプロセスが発生し、Liイオンがアノードからカソードに移動する(デインターカレーション)。
【0008】
動作中、イオンに対して透過性である表面膜(「固体電解質界面(SEI)」)がアノードおよびカソードの両方の上に形成される。この表面膜は、パッシベーション層として使用され、活性電極材料と電解質との不所望な反応を防止する。しかしながら、SEIが形成されることによってセルの厚さも増加し、この厚さは、使用開始時の当初のセルの厚さの最大2~10%になる可能性がある。
【0009】
LIBは、充電プロセス中には、LIBの積層体に対して垂直に膨張し、放電プロセス中には再び収縮する。リチウムイオンのインターカレーションおよびデインターカレーションの結果、電極コーティングの体積が変化し、この体積の変化は、セルの厚さの最大10%になる可能性がある。この場合、これにより、アノードのホスト格子、例えばグラファイト格子の膨張(swelling)につながる。
【0010】
電極、とりわけアノードの繰り返しの膨張および収縮、ならびに経年劣化に起因するセルの厚さの増加は、複数の結合されたモジュールにおいて、セルに作用する機械的な力の急激な増加をもたらす可能性があり、この急激な増加自体は、セルの早期の経年劣化をもたらす。したがって、セルの早期の故障を阻止するために、この力を補償する必要がある。
【0011】
バッテリセルの円滑な動作のためには、アノードコーティングが、集電体との良好で機械的なコンタクト、ひいては良好で電気的なコンタクトを有することが重要である。セルの膨張および収縮の結果としての機械的な負荷は、アノードの活性物質からなる層の、集電体からの部分的な剥離と、活性物質の粒子間のコンタクトの喪失と、個々の粒子の、より小さな粒子への分解とを引き起こす。
【0012】
最初に機械的にトリガされるこの経年劣化プロセスは、アノードコーティングの活性物質からの粒子内および粒子間での亀裂形成をもたらし、これによって真新しい表面が生じる。このような真新しい破断面は、電解質と、カソードからのリチウムイオンとの間の化学反応によって初めて形成される薄い保護表面膜(SEI)をまだ有していない。真新しい表面において実施されるSEIの再形成によって、システムからLiイオンが引き出され、その場合、このLiイオンは、もはや充放電サイクルのためには利用できなくなり、その結果として、充電容量が減少してしまう。
【0013】
バッテリセルの動作時におけるさらなる重要な側面は、バッテリセルの温度調整(冷却/加熱)に関する。LIBは、充電サイクルが頻回であっても早期の経年劣化を回避するために、理想的には15~35℃の温度範囲内で動作すべきである。
【0014】
バッテリセルへの機械的および/または熱的な負荷は、バッテリセルの発火に至るまでの重大な損傷をもたらす可能性があり、最悪の場合には、爆発に至るまでの、発火の制御不能な延焼を伴ういわゆる「熱暴走」をもたらす可能性がある。
【0015】
したがって、適切な圧力モジュールは、以下の種々異なる特徴を組み合わせるべきである:
・圧力モジュールは、機械的に自立しているべきであるが、捻り、曲げ、伸びに関して一定のフレキシビリティを許容すべきである。
・圧力モジュールは、液体の媒体によって通流可能であるべきである。
・圧力モジュールは、理想的にはバッテリセルの表面を介した冷却および加熱に適合可能であるべきであり、例えばバッテリセルを加温するために、加熱可能な熱伝達媒体によって通流可能であるべきである。
・圧力モジュールは、セルに対して十分に高い熱伝導性を有するべきである。
・圧力モジュールは、バッテリセルの凹凸のある表面との結合を改善し、かつバッテリスタックのアノード層に対する圧力負荷を分散させて、バッテリセルの機械的な変形に対抗するために、弾性変形可能な表面層を有するべきである。
【0016】
したがって、本発明の課題は、充電式のバッテリ、とりわけLIBのための、上に挙げた所望の特性を組み合わせた圧力モジュール、すなわち、動作中の膨張に起因する機械的な負荷を補償するか、または少なくとも効果的に低減することが可能であると同時に、セルの温度調整を可能にして、動作中に所望の温度範囲を維持することができるようにした圧力モジュールを提供することである。
【0017】
上記の課題は、バッテリセルのための圧力モジュールであって、圧力モジュールは、チャネル構造体を有する空洞を取り囲んでいる外側カバーを有し、外側カバーは、2つの相互に対向する主平面を有し、主平面同士は、当該主平面の縁辺部を介して相互に接続されており、主平面の内面には、複数の構造体要素が設けられており、複数の構造体要素は、相互に対応するように配置されていて、熱伝達媒体が導通するためのチャネル構造体を協働して画定し、かつ安定させ、外側カバーには、熱伝達媒体の入口および出口のための接続部が設けられている、圧力モジュールによって解決される。
【0018】
接続部は、導通チャネルに接続可能であり、導通チャネルは、主平面の相互に対向する縁部領域に沿って設けられることができ、主平面の一方の端部から対向する端部へと延在することができる。
【0019】
本発明による圧力モジュールは、LIBのような充電式のバッテリセルの障害のない動作のために複数の異なる重要な側面を組み合わせている。一方では、充電/放電時の「膨張」の結果による機械的な負荷が打ち消され、それと同時に他方では、バッテリセルが最適な温度範囲内で動作可能となるようにバッテリセルの効率的な温度調整が可能となる。さらに、充放電レートが高い場合であっても効果的な冷却が可能となる。これらの手段により、バッテリセルが動作中に曝される負荷が大幅に軽減され、その結果、耐用年数または性能および安全性が顕著に延長または向上される。
【0020】
膨張補償は、圧力モジュールに液体の媒体を導通させることによって支援可能である。本発明によれば、液体の媒体は、それと同時に熱伝達のためにも使用される。
【0021】
本発明による圧力モジュールは、2つの相互に対向する主平面を有する外側カバーを有し、これらの主平面同士は、これらの主平面の縁辺部に沿って相互に接続されている。これらの主平面同士を、側面を介して接続させることもできる。
【0022】
本発明による圧力モジュールの形状は、通常、バッテリセルの形状に従っている。例えば、圧力モジュールは、角柱形のセルまたはパウチセルのような長方形のバッテリセルと組み合わせて使用されるべき場合には、平坦な長方形の形状を有することができる。しかしながら、他の形状も考えられるし可能である。例えば、本発明による圧力モジュールは、圧力モジュールが結合されるべき対応するバッテリセルの形状に依存して、正方形、円形、または他の形状を有することができる。本発明による圧力モジュールは、例えば、円筒形のバッテリセルのために使用される場合には、湾曲したまたは波形のプレートであり得る。
【0023】
主平面の寸法は、圧力モジュールの形状によって決定される。基本的に、最長の寸法は、例えば長方形または正方形の基本形状の場合には長さおよび幅であり、円形の基本形状の場合は直径である。例えば、長方形のパウチセルは、L=350mmおよびW=100mmの典型的な寸法を有し、角柱形のセルは、例えば230mm×115mmの典型的な寸法を有する。
【0024】
バッテリシステムのコンパクトな配置と、所望の可能な限り最小の所要スペースとに鑑みて、本発明による圧力モジュールの厚さは、有利には、主平面の寸法と比較して薄くなっている。
【0025】
圧力モジュールの厚さは、例えば0.7~1.2mm、とりわけ0.8~1.0mmであり得る。しかしながら、使用事例の要件に応じて厚さをより薄く、またはより厚く選択してもよい。
【0026】
外側カバーは、例えばシリコーンエラストマーまたはポリウレタンエラストマーのような、少なくとも部分的にフレキシブルなエラストマー材料から形成されている。部分的にフレキシブルなエラストマー材料は、好ましくは、A20~A60のショア硬度A、または0020~0080のショア硬度00を有する。
【0027】
外側カバーは、エラストマー材料に関して知られているような、従来のキャスティング法によって製造可能であり、導通チャネル、加熱/冷却システムとの接続部、および/またはチャネルを形成する構造体要素のような構造体も同じく、必要に応じて一緒にキャスティング可能である。
【0028】
部分的にフレキシブルなエラストマー材料は、凹凸のある表面にもより良好に結合するための所望の弾性の変形可能性を、外側カバーに付与する。さらに、外側カバーは、バッテリセルへの均一な圧力伝達のために使用される。したがって、圧力が緩和されたときに完全に元に戻ることによって0.3~0.6MPaの圧力を確実に伝達することができる。
【0029】
構造化された凹凸のある表面を有するバッテリセルまたはバッテリセルスタックの場合には、外側カバーのために、表面構造体に比較的簡単に適合可能な比較的軟質のポリマー材料を使用することができ、これにより、圧力モジュールとバッテリセルの表面との間の良好なコンタクトを保証することができる。
【0030】
圧力モジュールとバッテリセルの表面との間の良好なコンタクトは、良好な熱伝達のための前提条件である。また、圧力モジュールは、バッテリセルに対して少なくとも0.5W/mK、好ましくは少なくとも1W/mKの十分に高い熱伝導率を有するべきである。
【0031】
外側カバーは、熱伝達媒体が導通するためのチャネル構造体を有する空洞を取り囲んでいる。主平面の内側は、複数の隆起した構造体要素を有し、これらの構造体要素は、空洞内に突出していて、相互に対応する配置を有する。
【0032】
構造体要素は、熱伝達媒体のためのチャネルガイドを協働して画定し、かつチャネルガイドを安定させ、これにより、外部からの圧力負荷時にも自由な断面容積部が空いたまま維持され、媒体が通流可能なままとなる。
【0033】
第1の実施形態によれば、構造体要素は、内面の長手方向の延在に沿って相互に間隔を置いて配置された一連のウェブ形状の区分を有する。隣り合う区分の間には、それぞれ1つの溝形状の凹部が位置しており、この溝形状の凹部は、導通チャネルに接続された流路チャネルを画定する。これらの区分の幅は、溝形状の凹部の断面幅よりも小さい。これらの区分の高さは、溝形状の凹部の深さに対応することができるが、必要に応じてより低くてもよいし、またはより高くてもよい。
【0034】
相互に対向する内面のウェブ形状の区分同士は、相互にずらされて配置されており、これにより、この配置では、一方の内面に設けられた1つの区分が、他方の内面に設けられた1つの凹部、すなわち1つの流路チャネルの上方に位置するようになる。内面の長手方向の延在に沿って、ウェブ形状の区分と流路チャネルとの交互のシーケンスが形成される。
【0035】
圧力負荷時には、内面の区分は、対向する内面の凹部の中に押し込まれる。区分の端面がそれぞれの対向する凹部の底部に接触して、この底部に支えられるとすぐに、最大の接近が達成される。ウェブ形状の区分の幅は流路チャネルの断面幅よりも小さいので、圧力負荷時にも流路チャネルの側方向の断面領域が空いたままとなり、自由な通流を保証することができる。
【0036】
区分の端面がそれぞれの対向する凹部の底部に接触して、この底部に支えられるとすぐに、それ以後の圧力補償は、もはやチャネル構造体および/または外側カバーの変形によってのみ可能となる。
【0037】
溝形状の凹部または流路チャネルは、モジュール面にわたって横軸に対して平行に延在することができる。しかしながら、溝形状の凹部または流路チャネルは、別の延在形状を有することもでき、例えば、蛇行した線の形状またはメアンダ形状を有することもできる。区分の数および幅、すなわち流路チャネルの数および幅は、必要に応じて選択可能である。例えば、流路チャネルの断面幅は、0.1~≧10mmの間で、好ましくは0.5mm~3mmの間で変更可能である。通流可能なチャネル構造体の深さも必要に応じて選択可能であり、典型的に、0.1~0.3mmの間、とりわけ0.1mm~0.3mmの間であり得る。
【0038】
ウェブ形状の区分と、これらの区分の間に位置する溝形状の凹部とに代えて、通流可能なチャネル構造体を協働して形成するさらなる形状の構造体要素を使用することもできる。さらなる構造体要素は、任意の形状の隆起部であってよく、例えば、内面に設けられていて空洞内に突出している突起であってよい。区分および流路チャネルを有する上記の実施形態の流路チャネル構造体と同様に、一方の内面の突起は、対向する内面の突起に対してずらされて配置されている。圧力モジュール内で、突起が設けられている主平面の内面同士は、相互に対向しており、一方の側に設けられた突起は、対向する側に設けられた突起同士の間の自由な断面平面の上方に位置するようになる。圧力負荷時には、一方の側の突起が他方の側の自由な断面平面の中に押し込まれるが、突起は、自由な中間容積部全体を占めているわけではなく、突起同士の間の自由な空間は、通流可能な空いた断面平面として残留している。
【0039】
突起の形状は、任意に選択可能である。突起は、円筒形、円錐台形、または多角形の断面平面を有する形状を有することができる。好ましくは、突起は、平らな端面を有し、これらの平らな端面は、圧力モジュール内で、圧力負荷時に対向する側の自由な断面平面に当接し、圧力モジュールの主平面を相互に支え合うことができる。
【0040】
突起の配置および数は、必要に応じて変更可能であるが、圧力負荷時にも通流可能な断面平面を安定させることができるように、かつ熱伝達媒体のための通流可能な断面平面が通過可能なまま維持されるように十分に選択すべきである。
【0041】
突起形状の隆起部を有するこの実施形態では、導通チャネルを省略することができる。なぜなら、入口から出口へと圧力モジュールを通る熱伝達媒体の通流が、突起同士の間の自由な断面平面によって保証されているからである。
【0042】
所定の圧力負荷を超えて、一方の内面に設けられたウェブ形状の区分または突起の端面が他方の内面に設けられた自由な断面平面の底部に接触するとすぐに、それ以上の圧力は、もはや外側カバーの弾性変形によってのみ補償可能となる。このために、外側カバーのうちの選択された領域に、圧縮可能な材料、例えばエラストマーベースの発泡材料のような発泡材料を設けることができる。
【0043】
例えば、外側カバーの側縁部に沿って主平面同士の間に、発泡材料からなる領域を設けることができる。側縁部に沿って主平面同士の間に、発泡材料からなる中間層を延在させることができる。圧力負荷時には、圧縮可能な領域同士が一緒に押し合わされて、圧力を吸収する。
【0044】
ウェブ形状の区分および突起のような、チャネルを形成する隆起した構造体要素は、圧力モジュールの主平面の内側に直接的に被着可能である。例えば、これらの構造体要素は、内面に成形され、外側カバーと共に一体的なユニットを形成することができる。
【0045】
内面と空洞との間に、補強プレートを設けることができ、この場合、構造体要素は、補強プレートのうちの、空洞の方を向いた側に設けられている。繊維複合プラスチックからなる補強プレートが特に適している。ポリマーマトリクスのためのプラスチックの選択は、用途の要件に従っている。エラストマー、熱硬化性樹脂、または熱可塑性樹脂を使用することができる。繊維材料も、用途の要件に依存して選択可能である。適切な例は、セラミック繊維であるが、炭素繊維でもよい。多軸繊維配向を有する織布または不織布として繊維材料を配置することが有用である。繊維配向が異なる2つ以上の一方向繊維層を使用することもできる。
【0046】
必要に応じて、マトリクスのためのポリマー材料に、機械的な安定化のための充填材料を添加することができる。機械的な安定化のために適した充填材料の例は、Al粒子のようなセラミック充填材料であり、例えば、粗粒および細粒からなる種々異なる粒径の充填材料が添加されたバイモーダル混合物におけるセラミック充填材料が、特に有利であることが判明している。これにより、粗粒によって形成された空洞または間隙に細粒を埋め込むことができるので、特に密なパッキングを達成することができる。
【0047】
隆起した構造体要素同士の間の自由な平面上に、圧縮可能な材料からなる薄い層を設けることができる。圧縮可能な材料は、圧縮可能なプラスチック、とりわけ発泡材料であり得る。
【0048】
圧力補償を向上させるために、圧力モジュールの縁部領域に沿って主平面同士の間の空洞の周りに、発泡材料からなる中間層を延在させることができる。
【0049】
自由な平面上および/または中間層上の薄い層のための発泡材料は、エラストマー、熱硬化性樹脂、または熱可塑性樹脂から製造可能である。変形可能性に鑑みて、エラストマーからなる発泡材料が好ましい。
【0050】
基本的に構造体要素は、任意のポリマー材料から、例えばエラストマー、熱可塑性樹脂、または熱硬化性樹脂から製造可能である。構造体要素のために適した材料の選択は、一方では圧力モジュールの構成に従っており、他方では構造体要素の機能に従っている。したがって、構造体要素は、一方では、チャネル構造体を安定させるためのスペーサとして使用され、他方では、圧力を緩和するためにも貢献することができる。これらの2つの機能に鑑みて、エラストマーからなる構造体要素が特に有用である。しかしながら、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂からなる構造体要素も使用可能である。
【0051】
例えば主平面同士の間の発泡材料等からなる縁部ストリップのような、圧縮可能な中間層を用いる実施形態の場合には、発泡材料の圧縮によって圧力の緩和をもたらすことができるので、例えば熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂からなる構造体要素のようなさほど変形可能でない構造体要素も、容易に使用可能となる。
【0052】
以下では、本発明を、添付の図面を参照しながら実施例に基づいてより詳細に説明する。図1図13には、角柱形のセルまたはパウチセルのような平坦なセルにおいて使用するための本発明による圧力モジュールの実施形態が示されている。もちろん、圧力モジュールは、他のバッテリセルの形状にも容易に適合可能および使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】長方形の形状の、本発明による圧力モジュールの平面図である。
図2】圧力負荷のない状態での、パウチセルが当接している図1による圧力モジュールの縦断面図である。
図3】圧力負荷下での図1による圧力モジュールの縦断面図である。
図4】圧力負荷下での図1による圧力モジュールの横断面図である。
図5a】ウェブ形状の区分と、これらの区分の間に位置する溝形状の凹部とからなるチャネル構造体を有する補強プレートを示す図である。
図5b図5aによる補強プレートに対応するチャネル構造体を有する補強プレートを示す図である。
図6】複数の通流可能なチャネルからなるチャネル構造体を有する図5aおよび図5bによる補強プレートを有する、長方形の圧力モジュールの横断面図である。
図7】本発明による圧力モジュールのさらなる実施形態のための、突起形状の構造体要素を有する1組の相互に対応する補強プレートを示す図である。
図8】圧力負荷下での、突起形状の構造体要素を有する図7による補強プレートを有する圧力モジュールの横断面図である。
図9】圧力負荷のない状態での、パウチセルが当接している図8による圧力モジュールの縦断面図である。
図10】圧力負荷下での図9による圧力モジュールの縦断面図である。
図11図9による2つの圧力モジュールからなる圧力モジュール装置の、短辺に対して平行な断面図である。
図12】圧力負荷のない状態での、発泡材料挿入体を有するさらなる実施形態による圧力モジュールの縦断面図である。
図13】圧力負荷下での図12による圧力モジュールの縦断面図である。
【0054】
図1は、長方形の圧力モジュール1についての一実施形態の平面図を示す。圧力モジュール1は、外側カバー2によって取り囲まれている。さらに、ここでは相互に対向する短辺3,4に、熱伝達媒体の入口または出口のための接続部5,6が設けられている。接続部5,6は、ここでは外側カバー2に直接的に成形されている。
【0055】
図2には、図1の線AAに沿った圧力モジュール1の縦断面図が示されている。外側カバー2は、空洞9を取り囲んでおり、空洞9は、その内面7,8に構造体要素を有する。この実施形態では、構造体要素は、内面7,8の長手方向の延在に沿って間隔を置いて配置されたウェブ形状の区分10a,10bと、これらの区分10a,10bの間に位置する溝形状の凹部11a,11bとであり、これらの凹部11a,11bは、内面7,8の隣り合う区分10a,10bの間の間隔によって画定される。それぞれ一方の内面7,8の区分10a,10bは、それぞれ他方の内面に設けられた溝形状の凹部11a,11bに対向するように配置されており、区分10a,10bの幅は、凹部11a,11bの断面平面よりも小さい。結果として、ウェブ形状の区分10aおよび溝形状の凹部11a、ならびにウェブ形状の区分10bおよび溝形状の凹部11bは、相互に対応する構造体要素のペアを形成しており、これらのペアが、熱伝達媒体のためのチャネルガイドおよび通流可能な容積部を画定する。
【0056】
さらに、圧力モジュール1の一方の主平面に当接しているパウチセル12も示されている。
【0057】
図3には、圧力負荷下での図1および図2による圧力モジュール1の縦断面図が示されている。圧力負荷により、ウェブ形状の区分10a,10bは、それぞれのウェブ形状の区分10a,10bの端面13a,13bが、対向する溝形状の凹部11a,11bの底部に当接するまで、それぞれ対向するように配置された溝形状の凹部11a,11bの中に押し込まれる。その場合には今や、それ以上の圧力補償は、構造体要素および圧力モジュール1の変形によって可能となる。ウェブ形状の区分10a,10bの幅は、凹部11a,11bの断面幅よりも小さいので、圧力負荷下であっても、熱伝達媒体のための通流可能性を可能にする自由な断面容積部14が残留することとなる。
【0058】
図4の圧力負荷が加えられた圧力モジュール1の横断面図では、交互に隣り合って位置するウェブ形状の区分10a,10bを、これらの区分10a,10bの間に位置する自由な通流可能な断面容積部14と共に見て取ることができる。圧力モジュール1の長辺側の縁部領域に沿ってそれぞれ1つの導通チャネル15,16が延在しており、導通チャネル15,16同士は、溝形状の凹部11a,11bを介して、または圧力負荷が加えられた状態では残留している通流可能な断面容積部を介して、相互に連通することができる。
【0059】
図4に示されている実施形態では、一方の導通チャネル15は、媒体入口のための接続部5に接続されており、他方の導通チャネル16は、媒体出口のための接続部6に接続されている。しかしながら、必要に応じて、それぞれ入口および出口を有する、または入口もしくは出口を有する両方の導通チャネル15,16を、圧力モジュールの同一の側に設けることもできる。もちろん、熱伝達媒体の入口または出口の位置は、具体的な使用目的の要件に従っている。
【0060】
さらなる実施形態によれば、圧力モジュール1において支持体プレート17,18を使用することができ、この支持体プレート17,18に構造体要素が被着されている。支持体プレート17,18は、圧力モジュール1を補強するために使用可能である。
【0061】
図5は、相互に対応するように配置された構造体要素を有する2つの支持体プレート17,18の集合体の平面図であり、チャネル構造体を形成するために、支持体プレート17,18に複数のウェブ形状の区分10a,10bが間隔を置いて被着されており、これらの間隔によって溝形状の凹部11a,11bが画定される。図1図4の実施形態と同様に、これらの構造体要素が、熱伝達媒体が導通するためのチャネルガイドを協働して形成している。
【0062】
図6には、構造体要素の協働が示されており、図6は、圧力負荷下でチャネルガイドを形成するための、構造化された支持体プレート17,18を有する圧力モジュール1の横断面図を示す。2つの支持体プレート17,18のウェブ形状の区分10a,10bは、圧力モジュール1の長手方向の延在に沿って相互に間隔を置いて交互に隣り合って配置されており、熱伝達媒体は、妨げられることなく溝形状の凹部11a,11bの自由な断面容積部14を通って流れることができ、したがって、圧力モジュール1の通流可能性は、保証されたままである。
【0063】
溝形状の凹部11a,11bは、導通チャネル15,16に接続されており、これらの導通チャネル15,16自体は、熱伝達媒体のための入口5または出口6に接続されている。
【0064】
図7には、本発明による圧力モジュール内にチャネルガイドを形成するための構造体要素のさらなる実施形態が示されている。本実施形態では、構造体要素は、モジュール面にわたって配置された突起19である。図7には、円形の断面を有する複数の突起19が相互に対応するように配置されている、2つの支持体プレート17,18の集合体が示されている。これらの突起19は、相互にずらされて配置されており、通流可能なチャネル構造体を協働して形成しており、圧力負荷下では、突起19の間に自由な面状容積部が残留し、図8から見て取れるように、この自由な面状容積部が、圧力負荷下であっても圧力モジュール1の自由な通流可能性を可能にする。
【0065】
図8は、圧力負荷下での、相互にずらされて配置された突起19を有する構造化された支持体プレート17,18を有する圧力モジュール1を示す。熱伝達媒体は、突起19間の自由な面状容積部を通って入口5から出口6へと妨げられることなく流れることができる。
【0066】
図9には、図8の線DDを通る断面図が示されている。図9から見て取れるように突起19a,19bは、円錐台の形状を有する。図9では、チャネル構造体は、突起19a,19bの端面が、対向する支持体プレート17,18にまだ当接していない状態にある。図9では、圧力モジュール1は、パウチセル上に配置された状態で示されている。
【0067】
図10に示されているように完全な圧力負荷下では、端面が、それぞれ対向する支持体プレート17,18に当接している。今や、それ以上の圧力補償は、構造体要素および/または外側カバーの変形によって可能となる。このために、外側カバー2の縁部領域に沿って2つのモジュール半体の間に、エラストマー製の発泡材料からなるストリップ形状の中間層22を設けることができる。
【0068】
図12には、そのような実施形態が横断面図で示されており、この図では、圧力モジュール1に圧力負荷が加えられていない。圧力負荷下では、隆起した構造体要素、ここでは突起19の端面13a,bが、対向する平面に押し付けられるだけでなく、中間層22の発泡材料ストリップも、縁部に沿って一緒に押し付けられる。
【0069】
図11には、図8図10による本発明による圧力モジュール1の使用が示されている。図11では、本発明による2つの圧力モジュール1の間に角柱形のセル20が保持される。角柱形のセル20のより良好な結合のために、圧力モジュール1のうちの、角柱形のセル20が当接する主平面は、導通チャネルを有する領域の間に、角柱形のセル20を確実に保持することができる凹部または窪み部21を有する。必要に応じて、本発明による圧力モジュール1/セル等からなる配列を続けることができる。
【0070】
実施例
1)エラストマーベースの圧力モジュールの製造:
製造は、キャスティング法によって実施され、圧力モジュールのそれぞれの半体に対して、主平面の内面のためのそれぞれの構造体を有するネガ型が使用された。キャスティングポリマーは、ショアA20~40を有する、室温で付加架橋するセルコンポーネント・シリコーンエラストマーであった。得られた2つの半体は、接合エラストマーによって接着された。次いで、相互に接着された圧力モジュールの2つの半体は、120℃で7時間加硫され、これによって完成した圧力モジュールが得られた。
【0071】
2a)構造化された補強プレートの製造:
マトリクスとして、セラミックによって高充填されたエポキシ樹脂が使用された。セラミック充填材料は、D50が約15μmの粗粒60%と、粗粒よりも10分の1小さいD50値を有する細粒40%との混合比を有するバイモーダル混合物におけるAlであった。
【0072】
この混合物は、対応する構造化された鋼製のネガ型の中に塗布された。次に、その上に、25g/mの単位面積当たり重量を有するガラス繊維からなる2つの層が0/90の向きで被着されて押し付けられた。ガラス繊維層は、被着される前に、非充填のエポキシ樹脂によって塗布された。
【0073】
金型が閉じられ、10~50バールの圧力および約80℃~100℃の温度での熱間プレスにおいて30分間プレスされた。冷却後、金型が開かれて、構造化されたガラス繊維複合材プレートが取り外された。構造体は、高充填されたエポキシ樹脂のみから構成されていて、その下に位置する繊維複合材と密接に接続されている。
【0074】
得られた構造化されたプレートは、樹脂マトリクスが最大強度になるまで加熱炉内で焼き戻しされた。次いで、圧力モジュールを完成させるために、それぞれ対応する構造体を有する2つの繊維複合材プレートにエラストマーがキャスティングされた。
【0075】
2b)構造化されていない繊維複合材プレートの製造:
製造は、2a)と同様に実施されるが、ただし、構造体を有していない金型が使用された。繊維複合材プレートは、0.1mmの厚さを有していたが、それでもなおフレキシブルであった。
【0076】
3)圧縮可能な中間層を有する圧力モジュールの製造:
1)または2a)によって得られた圧力モジュールの対応する半体が、接合エラストマーとしての発泡エラストマーによって相互に接続された。圧力負荷が加えられると発泡材料が圧縮され、これによって圧力補償がもたらされる。
【符号の説明】
【0077】
1 圧力モジュール
2 外側カバー
3 短辺(図面左側)
4 短辺(図面右側)
5 入口のための接続部
6 出口のための接続部
7,8 圧力モジュールの主平面の内面
9 空洞
10a,10b ウェブ形状の区分
11a,11b 溝形状の凹部
12 パウチセル
13a,13b 端面
14 通流可能な自由な容積部
15 (図面では入口5における)導通チャネル
16 (図面では出口6における)導通チャネル
17,18 支持体プレート
19a,19b 突起
20 角柱形のバッテリセル
21 外側カバーの主平面上の凹部または窪み部
22 中間層
22’ 圧縮状態における中間層22
23 自由な平面上の発泡材料被覆部
23’ 圧縮状態における発泡材料被覆部23
図1
図2
図3
図4
図5a)】
図5b)】
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13