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特許7592635カラーフィルム基板、表示パネルおよび表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】カラーフィルム基板、表示パネルおよび表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20241125BHJP
【FI】
G02B5/20 101
G02B5/20
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2021568953
(86)(22)【出願日】2021-01-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-13
(86)【国際出願番号】 CN2021071049
(87)【国際公開番号】W WO2021143641
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2024-01-09
(31)【優先権主張番号】202010057184.0
(32)【優先日】2020-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】石 戈
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 玉杰
(72)【発明者】
【氏名】舒 ▲適▼
(72)【発明者】
【氏名】黄 ▲維▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 世玉
(72)【発明者】
【氏名】王 宇▲瑶▼
(72)【発明者】
【氏名】林 允▲植▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 小川
(72)【発明者】
【氏名】董 学
(72)【発明者】
【氏名】祝 明
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ 松
【審査官】横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0341147(US,A1)
【文献】特開2016-070949(JP,A)
【文献】国際公開第2013/039027(WO,A1)
【文献】特開2014-199267(JP,A)
【文献】特開2010-118182(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110262114(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20-5/28
G02F 1/1335,1/13363
G02F 1/13357
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラーフィルム基板であって、
下地基板と、
前記下地基板に設けられる色変換層と、
前記色変換層の前記下地基板から離れる側に設けられる被覆層と、
前記被覆層の前記下地基板から離れる側に設けられる偏光層と、
を含み、
前記偏光層は、ワイヤーグリッド偏光子を含み、
前記被覆層は、
前記色変換層の前記下地基板から離れる側に位置する第1の被覆サブ層と、
前記第1の被覆サブ層の前記下地基板から離れる側に位置する第2の被覆サブ層と、
を含み、
前記第1の被覆サブ層の材料は、前記第2の被覆サブ層の材料と異なっており、
前記カラーフィルム基板は、
前記被覆層と前記偏光層との間に設けられるバッファ層をさらに含み、
前記バッファ層は、
前記ワイヤーグリッド偏光子の前記下地基板に近接する側に設けられる第1のバッファサブ層と、
前記第1のバッファサブ層の前記下地基板に近接する側に設けられる第2のバッファサブ層と、
を含み、
前記第1のバッファサブ層の材料の屈折率は、前記第2のバッファサブ層の材料の屈折率よりも小さい、
ことを特徴とするカラーフィルム基板。
【請求項2】
前記偏光層の前記下地基板から離れる側に設けられる保護層をさらに含み、
前記保護層は、
前記ワイヤーグリッド偏光子の前記下地基板から離れる側に設けられる第1の保護サブ層と、
前記第1の保護サブ層の前記下地基板から離れる側に設けられる第2の保護サブ層と、
を含み、
前記第1の保護サブ層の材料の屈折率は、前記第2の保護サブ層の材料の屈折率よりも小さい、
ことを特徴とする請求項に記載のカラーフィルム基板。
【請求項3】
前記色変換層の前記下地基板に近接する側に設けられるフィルタ層をさらに含み、
前記フィルタ層は、
第1の波長範囲を有する光を透過させる第1のフィルタ構造と、
第2の波長範囲を有する光を透過させる第2のフィルタ構造と、
第3の波長範囲を有する光を透過させる第3のフィルタ構造と、
を含み、
前記第1の波長範囲、前記第2の波長範囲および前記第3の波長範囲は、互いに異なる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のカラーフィルム基板。
【請求項4】
前記色変換層は、
入射された第3の波長範囲を有する光を、第1の波長範囲を有する光に変換する第1の量子ドット構造と、
入射された第3の波長範囲を有する光を、第2の波長範囲を有する光に変換する第2の量子ドット構造と、
を含み、
前記カラーフィルム基板は、複数の画素を有し、
各画素は、少なくとも、
前記第1の量子ドット構造および前記第1のフィルタ構造を含む第1のサブ画素と、
前記第2の量子ドット構造および前記第2のフィルタ構造を含む第2のサブ画素と、
前記第3のフィルタ構造を含む第3のサブ画素と、
を含む、
ことを特徴とする請求項に記載のカラーフィルム基板。
【請求項5】
前記第3のサブ画素は、透明構造をさらに含み、
前記透明構造は、入射された第3の波長範囲を有する光を直接的に透過させ、前記第3のフィルタ構造の前記下地基板から離れる側に設けられる、
ことを特徴とする請求項に記載のカラーフィルム基板。
【請求項6】
前記第1の量子ドット構造の前記下地基板への正射影は、前記第1のフィルタ構造の前記下地基板への正射影に入り、
前記第2の量子ドット構造の前記下地基板への正射影は、前記第2のフィルタ構造の前記下地基板への正射影に入る、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載のカラーフィルム基板。
【請求項7】
前記透明構造の前記下地基板への正射影は、前記第3のフィルタ構造の前記下地基板への正射影に入る、
ことを特徴とする請求項に記載のカラーフィルム基板。
【請求項8】
前記第1のフィルタ構造の厚さは、前記第2のフィルタ構造の厚さに等しく、
前記第1の量子ドット構造の厚さは、前記第2の量子ドット構造の厚さに等しく、
前記第3のフィルタ構造の厚さは、前記第1のフィルタ構造の厚さと前記第1の量子ドット構造の厚さとの和に等しく、
前記第1のフィルタ構造の厚さは、前記第1の量子ドット構造の厚さよりも小さい、
ことを特徴とする請求項に記載のカラーフィルム基板。
【請求項9】
前記第1のフィルタ構造の厚さ、前記第2のフィルタ構造の厚さおよび前記第3のフィルタ構造の厚さは、互いに等しく、
前記第1の量子ドット構造の厚さ、前記第2の量子ドット構造の厚さおよび前記透明構造の厚さは、互いに等しく、
前記第1のフィルタ構造の厚さは、前記第1の量子ドット構造の厚さよりも小さい、
ことを特徴とする請求項に記載のカラーフィルム基板。
【請求項10】
前記第1の被覆サブ層の厚さは、前記第2の被覆サブ層の厚さよりも大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルム基板。
【請求項11】
前記第2の被覆サブ層は、少なくとも光開始剤を含む、
ことを特徴とする請求項10に記載のカラーフィルム基板。
【請求項12】
前記ワイヤーグリッド偏光子のピッチは、100~140nmの範囲にあり、及び/又は、
前記ワイヤーグリッド偏光子のデューティ比は、0.5であり、及び/又は、
前記ワイヤーグリッド偏光子の厚さは、150~200nmの範囲にある、
ことを特徴とする請求項に記載のカラーフィルム基板。
【請求項13】
前記第1の緩衝サブ層の厚さは、275.5~304.5nmの範囲にあり、前記第2の緩衝サブ層の厚さは、95~105nmの範囲にあり、及び/又は、
前記第1の保護サブ層の厚さは、427.5~472.5nmの範囲にあり、前記第2の保護サブ層の厚さは、47.5~52.5nmの範囲にある、
ことを特徴とする請求項12に記載のカラーフィルム基板。
【請求項14】
前記第1のバッファサブ層および前記第1の保護サブ層は、いずれも酸化シリコン層であり、及び/又は、
前記第2のバッファサブ層および前記第2の保護サブ層は、いずれも窒化シリコン層である、
ことを特徴とする請求項13に記載のカラーフィルム基板。
【請求項15】
前記第1のバッファサブ層および前記第1の保護サブ層の屈折率は、いずれも1.35~1.65の範囲にあり、及び/又は、
前記第2のバッファサブ層および前記第2の保護サブ層の屈折率は、いずれも1.6~2.0の範囲にある、
ことを特徴とする請求項14に記載のカラーフィルム基板。
【請求項16】
前記カラーフィルム基板は、
前記フィルタ層の前記下地基板に近接する側に位置するブラックマトリクスと、
前記ブラックマトリクスの前記下地基板から離れる側に位置し、前記フィルタ層の前記下地基板から離れる側に複数の溝を形成する隔離バンクと、
をさらに含み、
前記複数の溝は、
前記第1のサブ画素に位置する第1の溝と、
前記第2のサブ画素に位置する第2の溝と、
を含み、
前記第1の量子ドット構造は、前記第1の溝に位置し、
前記第2の量子ドット構造は、前記第2の溝に位置する、
ことを特徴とする請求項4~5、及び7~15のいずれか一項に記載のカラーフィルム基板。
【請求項17】
前記カラーフィルム基板は、
前記フィルタ層の前記下地基板に近接する側に位置するブラックマトリクスと、
前記フィルタ層の前記下地基板から離れる側に位置する平坦化層と、
前記平坦化層の前記下地基板から離れる側に位置し、前記平坦化層の前記下地基板から離れる側に複数の溝を形成する隔離バンクと、
をさらに含み、
前記複数の溝は、
前記第1のサブ画素に位置する第1の溝と、
前記第2のサブ画素に位置する第2の溝と、
を含み、
前記第1の量子ドット構造は、前記第1の溝に位置し、
前記第2の量子ドット構造は、前記第2の溝に位置する、
ことを特徴とする請求項4~5、及び7~15のいずれか一項に記載のカラーフィルム基板。
【請求項18】
前記隔離バンクは、前記下地基板から離れる第1の隔離バンクトップ面を有し、
前記第1の量子ドット構造は、前記下地基板から離れる第1のトップ面を有し、
前記第2の量子ドット構造は、前記下地基板から離れる第2のトップ面を有し、
前記第1の隔離バンクトップ面は、前記第1のトップ面および前記第2のトップ面のいずれよりも、前記下地基板から離れる、
ことを特徴とする請求項16に記載のカラーフィルム基板。
【請求項19】
前記第1の量子ドット構造および前記第2の量子ドット構造が位置する層と前記被覆層との間に位置するバリア層をさらに有している、
ことを特徴とする請求項18に記載のカラーフィルム基板。
【請求項20】
前記隔離バンクの前記下地基板への正射影は、前記ブラックマトリクスの前記下地基板への正射影と重なっている、
ことを特徴とする請求項16に記載のカラーフィルム基板。
【請求項21】
前記第1の量子ドット構造は、前記下地基板に近接する第1の底面および前記下地基板から離れる第1のトップ面を有し、前記第1の底面の前記下地基板への正射影は、前記第1のトップ面の前記下地基板への正射影に入り、及び/又は、
前記第2の量子ドット構造は、前記下地基板に近接する第2の底面および前記下地基板から離れる第2のトップ面を有し、前記第2の底面の前記下地基板への正射影は、前記第2のトップ面の前記下地基板への正射影に入る、
ことを特徴とする請求項4~5、及び7~15のいずれか一項に記載のカラーフィルム基板。
【請求項22】
前記第1の量子ドット構造および前記第2の量子ドット構造のそれぞれの厚さは、5~15μmの範囲にある、
ことを特徴とする請求項4~5、7~15、及び18~19のいずれか一項に記載のカラーフィルム基板。
【請求項23】
前記カラーフィルム基板は、前記第2の保護サブ層の前記下地基板から離れる側に位置する配向層をさらに含む、
ことを特徴とする請求項4~5、7~15、及び18~19のいずれか一項に記載のカラーフィルム基板。
【請求項24】
請求項1~23のいずれか一項に記載のカラーフィルム基板を含むことを特徴とする表示パネル。
【請求項25】
前記表示パネルは、
前記カラーフィルム基板に対向して設けられるアレイ基板と、
前記カラーフィルム基板と前記アレイ基板との間に設けられる液晶層と、
前記アレイ基板の前記液晶層から離れる側に設けられ、青色光を出射するバックライトモジュールと、
をさらに含む、
ことを特徴とする請求項24に記載の表示パネル。
【請求項26】
請求項24又は25に記載の表示パネルを含むことを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年1月17日に中国特許庁へ提出した、出願番号が202010057184.0である中国特許出願の権利を主張し、該出願の開示内容全体が引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、表示技術分野に関し、特に、カラーフィルム基板、表示パネルおよび表示装置に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の液晶表示パネルは、一般的に、カラーフィルム(Color Fil、CFと略称する)基板、アレイ基板、液晶層およびバックライトモジュールを含み、液晶層は、カラーフィルム基板とアレイ基板との間に設けられる。カラーフィルム基板には、表示装置のカラー化を可能にする重要部材であるカラーフィルム層(例えば、カラーフィルタシート)が設けられている。通常、カラーフィルム層は、赤、緑、青などの複数のサブカラーフィルム層を含み、バックライトモジュールからの白色光は、カラーフィルム層を通過し、カラーフィルム層のカラーレジストによって赤、緑、青の三原色の光がそれぞれ発生する。しかしながら、このような白色バックライト+通常のカラーフィルム層からなる表示パネルは、光効率が低く、色域が狭く、視野角が狭いなどの欠点を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、上記した課題の少なくとも一つを解決するために、カラーフィルム基板、表示パネルおよび表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの態様では、カラーフィルム基板を提供し、下地基板と、前記下地基板に設けられる色変換層と、前記色変換層の前記下地基板から離れる側に設けられる被覆層と、前記被覆層の前記下地基板から離れる側に設けられる偏光層と、を含み、前記偏光層は、ワイヤーグリッド偏光子を含み、前記被覆層は、前記色変換層の前記下地基板から離れる側に位置する第1の被覆サブ層と、前記第1の被覆サブ層の前記下地基板から離れる側に位置する第2の被覆サブ層と、を含み、前記第1の被覆サブ層の材料は、前記第2の被覆サブ層の材料と異なる。
【0006】
いくつかの例示的な実施例によれば、前記カラーフィルム基板は、前記被覆層と前記偏光層との間に設けられるバッファ層をさらに含み、前記バッファ層は、前記ワイヤーグリッド偏光子の前記下地基板に近接する側に設けられる第1のバッファサブ層と、前記第1のバッファサブ層の前記下地基板に近接する側に設けられる第2のバッファサブ層と、を含み、前記第1のバッファサブ層の材料の屈折率は、前記第2のバッファサブ層の材料の屈折率よりも小さい。
【0007】
いくつかの例示的な実施例によれば、前記カラーフィルム基板は、前記偏光層の前記下地基板から離れる側に設けられる保護層をさらに含み、前記保護層は、前記ワイヤーグリッド偏光子の前記下地基板から離れる側に設けられる第1の保護サブ層と、前記第1の保護サブ層の前記下地基板から離れる側に設けられる第2の保護サブ層と、を含み、前記第1の保護サブ層の材料の屈折率は、前記第2の保護サブ層の材料の屈折率よりも小さい。
【0008】
いくつかの例示的な実施例によれば、前記カラーフィルム基板は、前記色変換層の前記下地基板に近接する側に設けられるフィルタ層をさらに含み、前記フィルタ層は、第1の波長範囲を有する光を透過させる第1のフィルタ構造と、第2の波長範囲を有する光を透過させる第2のフィルタ構造と、第3の波長範囲を有する光を透過させる第3のフィルタ構造と、を含み、前記第1の波長範囲、前記第2の波長範囲および前記第3の波長範囲は、互いに異なる。
【0009】
いくつかの例示的な実施例によれば、前記色変換層は、入射された第3の波長範囲を有する光を、第1の波長範囲を有する光に変換する第1の量子ドット構造と、入射された第3の波長範囲を有する光を、第2の波長範囲を有する光に変換する第2の量子ドット構造と、を含み、前記カラーフィルム基板は、複数の画素を有し、各画素は、少なくとも、前記第1の量子ドット構造および前記第1のフィルタ構造を含む第1のサブ画素と、前記第2の量子ドット構造および前記第2のフィルタ構造を含む第2のサブ画素と、前記第3のフィルタ構造を含む第3のサブ画素と、を含む。
【0010】
いくつかの例示的な実施例によれば、前記第3のサブ画素は、透明構造をさらに含み、前記透明構造は、入射された第3の波長範囲を有する光を直接的に透過させ、前記第3のフィルタ構造の前記下地基板から離れる側に設けられる。
【0011】
いくつかの例示的な実施例によれば、前記第1の量子ドット構造の前記下地基板への正射影は、前記第1のフィルタ構造の前記下地基板への正射影に入り、前記第2の量子ドット構造の前記下地基板への正射影は、前記第2のフィルタ構造の前記下地基板への正射影に入る。
【0012】
いくつかの例示的な実施例によれば、前記透明構造の前記下地基板への正射影は、前記第3のフィルタ構造の前記下地基板への正射影に入る。
【0013】
いくつかの例示的な実施例によれば、前記第1のフィルタ構造の厚さは、前記第2のフィルタ構造の厚さに等しく、前記第1の量子ドット構造の厚さは、前記第2の量子ドット構造の厚さに等しく、前記第3のフィルタ構造の厚さは、前記第1のフィルタ構造の厚さと前記第1の量子ドット構造の厚さとの和に等しく、前記第1のフィルタ構造の厚さは、前記第1の量子ドット構造の厚さよりも小さい。
【0014】
いくつかの例示的な実施例によれば、前記第1のフィルタ構造の厚さ、前記第2のフィルタ構造の厚さおよび前記第3のフィルタ構造の厚さは、互いに等しく、前記第1の量子ドット構造の厚さ、前記第2の量子ドット構造の厚さおよび前記透明構造の厚さは、互いに等しく、前記第1のフィルタ構造の厚さは、前記第1の量子ドット構造の厚さよりも小さい。
【0015】
いくつかの例示的な実施例によれば、前記第1の被覆サブ層の厚さは、前記第2の被覆サブ層の厚さよりも大きい。
【0016】
いくつかの例示的な実施例によれば、前記第2の被覆サブ層は、少なくとも光開始剤を含む。
【0017】
いくつかの例示的な実施例によれば、前記ワイヤーグリッド偏光子のピッチは、100~140nmの範囲にあり、及び/又は、前記ワイヤーグリッド偏光子のデューティ比は、0.5であり、及び/又は、前記ワイヤーグリッド偏光子の厚さは、150~200nmの範囲にある。
【0018】
いくつかの例示的な実施例によれば、前記第1の緩衝サブ層の厚さは、275.5~304.5nmの範囲にあり、前記第2の緩衝サブ層の厚さは、95~105nmの範囲にあり、及び/又は、前記第1の保護サブ層の厚さは、427.5~472.5nmの範囲にあり、前記第2の保護サブ層の厚さは、47.5~52.5nmの範囲にある。
【0019】
いくつかの例示的な実施例によれば、前記第1のバッファサブ層および前記第1の保護サブ層はいずれも、酸化シリコン層であり、及び/又は、前記第2のバッファサブ層および前記第2の保護サブ層はいずれも、窒化シリコン層である。
【0020】
いくつかの例示的な実施例によれば、前記第1のバッファサブ層および前記第1の保護サブ層の屈折率はいずれも、1.35~1.65の範囲にあり、及び/又は、前記第2のバッファサブ層および前記第2の保護サブ層の屈折率はいずれも、1.6~2.0の範囲にある。
【0021】
いくつかの例示的な実施例によれば、前記カラーフィルム基板は、前記フィルタ層の前記下地基板に近接する側に位置するブラックマトリクスと、前記ブラックマトリクスの前記下地基板から離れる側に位置し、前記フィルタ層の前記下地基板から離れる側に複数の溝を形成する隔離バンクと、をさらに含み、前記複数の溝は、前記第1のサブ画素に位置する第1の溝と、前記第2のサブ画素に位置する第2の溝と、を含み、前記第1の量子ドット構造は、前記第1の溝に位置し、前記第2の量子ドット構造は、前記第2の溝に位置する。
【0022】
いくつかの例示的な実施例によれば、前記カラーフィルム基板は、前記フィルタ層の前記下地基板に近接する側に位置するブラックマトリクスと、前記フィルタ層の前記下地基板から離れる側に位置する平坦化層と、前記平坦化層の前記下地基板から離れる側に位置し、前記平坦化層の前記下地基板から離れる側に複数の溝を形成する隔離バンクと、をさらに含み、前記複数の溝は、前記第1のサブ画素に位置する第1の溝と、前記第2のサブ画素に位置する第2の溝と、を含み、前記第1の量子ドット構造は、前記第1の溝に位置し、前記第2の量子ドット構造は、前記第2の溝に位置する。
【0023】
いくつかの例示的な実施例によれば、前記隔離バンクは、前記下地基板から離れる第1の隔離バンクトップ面を有し、前記第1の量子ドット構造は、前記下地基板から離れる第1のトップ面を有し、前記第2の量子ドット構造は、前記下地基板から離れる第2のトップ面を有し、前記第1の隔離バンクトップ面は、前記第1のトップ面および前記第2のトップ面のいずれよりも前記下地基板から離れる。
【0024】
いくつかの例示的な実施例によれば、前記カラーフィルム基板は、前記第1の量子ドット構造および前記第2の量子ドット構造が位置する層と前記被覆層との間に位置するバリア層をさらに有している。
【0025】
いくつかの例示的な実施例によれば、前記隔離バンクの前記下地基板への正射影は、前記ブラックマトリクスの前記下地基板への正射影と重なっている。
【0026】
いくつかの例示的な実施例によれば、前記第1の量子ドット構造は、前記下地基板に近接する第1の底面および前記下地基板から離れる第1のトップ面を有し、前記第1の底面の前記下地基板への正射影は、前記第1のトップ面の前記下地基板への正射影に入り、及び/又は、前記第2の量子ドット構造は、前記下地基板に近接する第2の底面および前記下地基板から離れる第2のトップ面を有し、前記第2の底面の前記下地基板への正射影は、前記第2のトップ面の前記下地基板への正射影に入る。
【0027】
いくつかの例示的な実施例によれば、前記第1の量子ドット構造および前記第2の量子ドット構造のそれぞれの厚さは、5~15μmの範囲にある。
【0028】
いくつかの例示的な実施例によれば、前記カラーフィルム基板は、前記第2の保護サブ層の前記下地基板から離れる側に位置する配向層をさらに含む。
【0029】
もう一つの態様では、上記したカラーフィルム基板を含む表示パネルを提供する。
【0030】
いくつかの例示的な実施例によれば、前記表示パネルは、前記カラーフィルム基板に対向して設けられるアレイ基板と、前記カラーフィルム基板と前記アレイ基板との間に設けられる液晶層と、前記アレイ基板の前記液晶層から離れる側に設けられ、青色光を出射するバックライトモジュールと、をさらに含む。
【0031】
さらにもう一つの態様では、上記した表示パネルを含む表示装置を提供する。
【0032】
本開示の各態様の実施例によれば、表示パネルの色域、光効率および視野角の少なくとも一つを向上させることに有利であるカラーフィルム基板、表示パネルおよび表示装置を提供する。
【0033】
以下に図面を参照しながら本開示を説明することによって、本開示の他の目的や利点は明らかになり、本開示に対する全面的な理解に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本開示の実施例に係るカラーフィルム基板の概略平面図である。
図2】本開示の実施例に係るカラーフィルム基板の図1におけるAA’線に沿って切断した概略断面図である。
図3】本開示の実施例に係る表示パネルの概略構成図である。
図4】本開示の実施例に係るカラーフィルム基板の概略構成図である。
図5】本開示の実施例に係るワイヤーグリッド偏光子の概略構成図である。
図6】本開示の実施例および比較実施例のワイヤーグリッド偏光子アセンブリの透過率のグラフである。
図7】本開示の実施例に係るカラーフィルム基板の部分的な概略平面図である。
図8】本開示の実施例に係るカラーフィルム基板の図7におけるBB’線に沿って切断した断面図である。
図9】本開示の実施例に係る表示パネルの概略構成図である。
図10】本開示の他の実施例に係るカラーフィルム基板の図7におけるBB’線に沿って切断した断面図である。
図11】本開示の実施例に係るカラーフィルム基板の隔離バンクおよびブラックマトリックスの部分拡大図である。
図12】本開示の他の実施例に係るカラーフィルム基板の図7におけるBB’線に沿って切断した断面図である。
図13】本開示の他の実施例に係るカラーフィルム基板の図7におけるBB’線に沿って切断した断面図である。
図14】本開示の実施例に係る表示装置の平面図である。
図15】本開示の実施例に係るカラーフィルム基板の製造方法のフローチャートである。
図16】本開示の他の実施例に係るカラーフィルム基板の製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
明瞭させるために、本開示の実施例を説明する図面では、層、構造または領域の寸法が拡大または短縮される場合があり、すなわち、これらの図面は実際の縮尺で描かれていないことに注意すべきである。
【0036】
以下、実施例によって、図面を参照しながら、本開示の技術案をさらに具体的に説明する。明細書において、同一又は類似した図面符号は、同一又は類似した部材を示す。以下、図面を参照した本開示の実施形態についての説明は、本開示の総括的な発明思想を解釈するためのものであり、本開示についての制限と理解すべきではない。
【0037】
また、以下の詳細な説明では、解釈の便宜上、本開示の実施例の全面的な理解を提供するために多数の具体的な詳細が記載されている。しかしながら、これらの具体的な詳細なしに1つまたは複数の実施例が実施されてもよいことは明らかである。
【0038】
なお、本明細書では、「・・・上において」、「・・・上に形成される」および「・・・上に設けられる」とは、一方の層が他方の層に直接的に形成又は設けられていることを意味してもよいし、一方の層が他方の層に間接的に形成又は設けられていること、すなわち、両層の間に他の層が存在することを意味してもよい。
【0039】
なお、「第1の」、「第2の」などの用語は、ここで色々な部材、部品、要素、領域、層及び/又は部分を説明するために使用されるが、これらの部材、部品、要素、領域、層及び/又は部分は、これらの用語によって限定されるものではない。むしろ、これらの用語は、一方の部材、部品、要素、領域、層及び/又は部分を他方のものと区別するために使用される。したがって、例えば、以下で論じる第1の部材、第1の部品、第1の要素、第1の領域、第1の層及び/又は部分は、第2の部材、第2の部品、第2の要素、第2の領域、第2の層及び/又は部分と呼ばれてもよく、本開示の教示から逸脱することでない。
【0040】
なお、本明細書では、「厚さ」とは、カラーフィルム基板または表示パネルの出光方向(すなわち、カラーフィルム基板における下地基板の色変換層が設けられる面に対して垂直な方向、すなわち、図面におけるY方向)に沿った寸法を意味する。「幅」とは、カラーフィルム基板または表示パネルの出光方向に対して垂直な方向(すなわち、カラーフィルム基板における下地基板の前記色変換層が設けられる面に対して平行な方向)、かつ、カラーフィルム基板または表示パネルの上の画素アレイの行方向(すなわち、図面におけるX方向)に対して平行な方向に沿った寸法を意味する。
【0041】
図1は、本開示の実施例に係るカラーフィルム基板の概略平面図であり、図2は、本開示の実施例に係るカラーフィルム基板の図1におけるAA’線に沿って切断した概略断面図である。図1および図2を参照すると、本開示の実施例に係るカラーフィルム基板10は、下地基板1、色変換層2、被覆層3、バッファ層4、偏光層5および保護層6を含んでもよい。色変換層2、被覆層3、バッファ層4、偏光層5および保護層6は、下地基板1から離れる方向に沿って順次に下地基板1上に設けられている。すなわち、色変換層2は下地基板1上に設けられ、被覆層3は色変換層2の下地基板1から離れる側に設けられ、バッファ層4は被覆層3の下地基板1から離れる側に設けられ、偏光層5はバッファ層4の下地基板1から離れる側に設けられ、保護層6は偏光層5の下地基板1から離れる側に設けられている。
【0042】
図3は、本開示の実施例に係る表示パネルの概略構成図である。図2を参照すると、本開示の実施例に係る表示パネル100は、カラーフィルム基板10、アレイ基板20、バックライトモジュール30、および、カラーフィルム基板10とアレイ基板20との間に介在する液晶層40を含んでもよい。なお、前記カラーフィルム基板10は、本開示のいずれの実施例に係るカラーフィルム基板であると理解される。
【0043】
本開示の実施例では、下地基板1は、剛性の下地基板またはフレキシブル下地基板であってもよく、ガラス下地基板またはポリイミド(PI)下地基板を含むが、これに限られない。
【0044】
本開示の実施例では、図1および図2を参照すると、カラーフィルム基板10は、複数の画素PX、例えば、点線枠で囲まれた領域を含む。複数の画素PXは、複数の行および複数の列を含むアレイ状に配列されてもよいと理解される。図1では、カラーフィルム基板10の全ての画素でなく、一部の画素のみを模式的に示している。図1では、水平方向を行方向と、縦方向を列方向と呼んでもよい。各画素PXは、複数の異なる色を発出するための複数のサブ画素SPXを含んでもよく、例えば、カラー表示を図るように、赤色、緑色、青色、黄色などの異なる色を発出してもよい。例えば、本開示の実施例に係るカラーフィルム基板は、少なくとも3つのサブ画素SPXを含んでもよく、例えば、3つのサブ画素SPXは、第1の波長範囲を有する光を発出する第1のサブ画素2R、第2の波長範囲を有する光を発出する第2のサブ画素2G、および、第3の波長範囲を有する光を発出する第3のサブ画素2Bを含んでもよい。
【0045】
なお、図1では、破線枠やハッチング等の画像を明瞭に示すために、ブラックマトリックスをグレーの線で示しているが、これは本開示の実施例を制限するものではない。
【0046】
本明細書では、特に説明しない限り、前記第1の波長範囲、前記第2の波長範囲および前記第3の波長範囲は、互いに異なる。例えば、前記第1の波長範囲、前記第2の波長範囲および前記第3の波長範囲は、それぞれ、第1の色、第2の色および第3の色に対応してもよく、さらに、例えば、前記第1の色、前記第2の色および前記第3の色は、それぞれ、赤色、緑色および青色を示してもよい。もちろん、前記カラーフィルム基板は、他の色を発出する画素、例えば、黄色光を発出する画素をさらに含んでもよく、本開示の実施例はこれを特に限定しない。
【0047】
図2に示すように、色変換層2は、少なくとも量子ドット構造を含んでもよい。具体的には、前記色変換層2は、異なる色を発出する複数の量子ドット構造を含んでもよい。例えば、前記第1のサブ画素2Rは、第1の波長範囲を有する光を発出する第1の量子ドット構造221を含んでもよく、前記第2のサブ画素2Gは、第2の波長範囲を有する光を発出する第2の量子ドット構造222を含んでもよい。もちろん、前記色変換層2は、他の波長範囲を有する光を発出する量子ドット構造、例えば、黄色光を発出する量子ドット構造をさらに含んでもよい。
【0048】
本明細書において、「量子ドット(quantum dot、QDと略称される)」という表現は、励起子を3つの空間方向に閉じ込める半導体ナノ構造である。当業者であれば理解されるように、量子ドットは、所定波長の光によって励起されると、この所定波長の光を他の所定波長の光に変換できる特性を有し、変換された他の所定波長の光の波長は、量子ドットの構成材料、量子ドットの形状および量子ドットのサイズなどの要素によって決定される。
【0049】
例えば、前記第1の量子ドット構造221は、入射された第3の波長範囲を有する光(例えば、青色光)を第1の波長範囲を有する光(例えば、赤色光)に変換でき、前記第2の量子ドット構造222は、入射された第3の波長範囲を有する光(例えば、青色光)を第2の波長範囲を有する光(例えば、緑色光)に変換できる。
【0050】
さらに理解されるように、本明細書では、1つの量子ドット構造は、複数の量子ドットを含んでもよく、例えば、第1の量子ドット構造221は、入射された第3の色の光を第1の色の光に変換ための複数の第1の量子ドット2211を含んでもよい。第2の量子ドット構造222は、入射された第3の色の光を第2の色の光に変換するための複数の第2の量子ドット2221を含んでもよい。
【0051】
例えば、前記量子ドットの材料は、本分野で一般的に使用される量子ドット材料を選択してもよく、CdS、CdSe、CdTe、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、GaAs、GaP、GaSb、HgS、HgSe、HgTe、InAs、InP、InSb、AlAs、AlP、CuInS、CuInSe、AlSbから選択された1つまたは複数の材料を含むが、これに限定されない。もちろん、該量子ドットの材料は、上記に列挙したものを含むが、これに限定されなく、上記物質と同一又は類似したものを有する他の材料も同様に適用可能である。また、当業者であれば理解されるように、量子ドットのサイズを変化させることによって、量子ドットの発出光スペクトルを制御することができ、すなわち、量子ドットを異なるサイズに形成することによって、異なる色の光を発出することができる。硫化亜鉛(ZnS)量子ドットを例とすると、赤色光を発出する量子ドットサイズは主に約9~10nmであり、黄色光を発出する量子ドットサイズは約8nmであり、緑色光を発出する量子ドットサイズは約7nmである。
【0052】
本開示のいくつかの例示的な実施例では、図2および図3を参照すると、前記第3のサブ画素2Bは、入射された光を直接的に透過させる透明構造223を含んでもよい。例えば、前記第3のサブ画素2Bの透明構造223は、入射された第3の波長範囲を有する光(例えば、青色光)を直接的に透過させることができる。
【0053】
本開示の実施例において、前記量子ドット構造は、フォトリソグラフィプロセスによって形成されてもよく、量子ドット構造の厚さは、5~15μmの範囲にあると選択してもよい。例えば、本開示の実施例において、第1の量子ドット構造221、第2の量子ドット構造222および透明構造223の厚さは、互いに等しく、5~15μmの範囲に落ちてもよい。
【0054】
図2および図3を参照すると、バックライトモジュール30は、第3の波長範囲を有する光(例えば、青色光)を発出するバックライトを含んでもよく、例えば青色光LEDである。例えば、バックライトモジュール30のバックライトは、中心波長450nm、半値幅30~40nmの青色光を出射してもよい。
【0055】
図3に示すように、カラーフィルム基板10はバックライトユニット30の出光側に設けられる。図2および図3を参照すると、バックライトモジュール30から発出された青色光LBが量子ドット構造221、222および透明構造223に入射すると、第1の量子ドット構造221は、青色光LBの励起によって赤色光を発出し、すなわち、青色光LBを赤色光LRに変換できる;第2の量子ドット構造222は、青色光LBの励起によって緑色光を発出し、すなわち、青色光LBを緑色光LGに変換できる;青色光LBは、透明構造223を直接的に透過する。このように、第1のサブ画素2Rが赤色光を発出し、第2のサブ画素2Gが緑色光を発出し、第3のサブ画素2Bが青色光を発出することで、本開示の実施例に係る表示パネルはカラー表示を実現することができる。
【0056】
本開示の実施例のカラーフィルム基板、表示パネルおよび表示装置では、カラーフィルム基板の色変換層に量子ドット構造を含み、量子ドットの長所を利用して、色域の高く、視野角の大きい表示パネルおよび表示装置を実現することができる。
【0057】
本開示の実施例では、第1の量子ドット構造221、第2の量子ドット構造222及び/又は透明構造223に散乱粒子224(図2参照)をさらに設けて、青色光の変換効率を向上させることで表示パネルの光効率を向上させると選択してもよい。例えば、図2に示す実施例では、第1の量子ドット構造221、第2の量子ドット構造222および透明構造223のいずれにも複数の散乱粒子224が設けられている。前記散乱粒子224は、青色光を散乱させることができ、量子ドット構造および透明構造での青色光の光路長および経路を効果的に増加させ、各量子ドットに入射する青色光の確率を増加させ、これにより、青色光から赤色光および緑色光への光変換率を増加させるとともに、より多くの青色光が透明構造223を透過することができる。このように、表示パネル全体の光効率および視野角が向上する。
【0058】
例えば、散乱粒子224の粒径は、60~500nmの範囲にあってもよく、かつ、散乱粒子224の分布濃度は、1%~15%の範囲にあってもよい。ここで、散乱粒子224の分布濃度は、前記量子ドット構造または前記透明構造に占める前記散乱粒子の体積百分率で表すことができる。
【0059】
引き続き図2を参照すると、カラーフィルム基板10は、下地基板1と量子ドット構造および透明構造が位置する層との間に設けられるフィルタ層をさらに含んでもよい。フィルタ層21は、異なる色の光を透過させる複数のフィルタ構造を含んでもよい。例えば、複数のフィルタ構造は、複数のサブ画素に1対1で設けられてもよい。図2に示すように、フィルタ層21は、第1のフィルタ構造211、第2のフィルタ構造212および第3のフィルタ構造213を含んでもよい。第1のサブ画素2Rは第1のフィルタ構造211を含み、第2のサブ画素2Gは第2のフィルタ構造212を含み、第3のサブ画素2Bは第3のフィルタ構造213を含むと理解される。前記第1のフィルタ構造211は、第1の色の光を透過させるためのものであり、前記第2のフィルタ構造212は、第2の色の光を透過させるためのものであり、前記第3のフィルタ構造213は、第3の色の光を透過させるためのものである。
【0060】
具体的には、第1のフィルタ構造211は、第1の量子ドット構造221に対応して設けられ、すなわち、第1のサブ画素2Rは、第1のフィルタ構造211と、第1の量子ドット構造221とを含み、第1の量子ドット構造221の下地基板1への正射影は、第1のフィルタ構造211の下地基板1への正射影に入り、例えば、第1の量子ドット構造221の下地基板1への正射影の面積は、第1のフィルタ構造211の下地基板1への正射影の面積よりも小さい。図2に示すように、第1のフィルタ構造211の厚さは、第1の量子ドット構造221の厚さより小さくてもよく、例えば、第1のフィルタ構造211の厚さは、1.5~3.0μmの範囲にあってもよく、第1の量子ドット構造221の厚さは、5~15μmの範囲にあってもよい。
【0061】
第2のフィルタ構造212は、第2の量子ドット構造222に対応して設けられ、すなわち、第2のサブ画素2Gは、第2のフィルタ構造212と、第2の量子ドット構造222とを含み、第2の量子ドット構造222の下地基板1への正射影は、第2のフィルタ構造212の下地基板1への正射影に入り、例えば、第2の量子ドット構造222の下地基板1への正射影の面積は、第2のフィルタ構造212の下地基板1への正射影の面積よりも小さい。図2に示すように、第2のフィルタ構造212の厚さは、第2の量子ドット構造222の厚さより小さくてもよく、例えば、第2のフィルタ構造212の厚さは、1.5~3.0μmの範囲にあってもよく、第2の量子ドット構造222の厚さは、5~15μmの範囲にあってもよい。
【0062】
第3のフィルタ構造213は、透明構造223に対応して設けられ、すなわち、第3のサブ画素2Bは、第3のフィルタ構造213と、透明構造223とを含み、透明構造223の下地基板1への正射影は、第3のフィルタ構造213の下地基板1への正射影に入り、例えば、透明構造223の下地基板1への正射影の面積は、第3のフィルタ構造213の下地基板1への正射影の面積よりも小さい。図2に示すように、第3のフィルタ構造213の厚さは、透明構造223の厚さより小さくてもよく、例えば、第3のフィルタ構造213の厚さは、1.5~3.0μmの範囲にあってもよく、透明構造223の厚さは、5~15μmの範囲にあってもよい。
【0063】
図2に示すように、フィルタ層21は、下地基板1と量子ドット構造および透明構造が位置する層との間に設けられてもよく、すなわち、フィルタ層21は、量子ドット構造および透明構造の出光側に設けられてもよい。上記のように、第1の量子ドット構造221および第2の量子ドット構造223は、青色光を赤色光および緑色光にそれぞれ変換でき、また、第1の量子ドット構造221および第2の量子ドット構造223によって変換されていない一部の青色光が存在し、フィルタ層21を設けることによって、この部分の青色光を吸収でき、前記第1のサブ画素から発出した赤色光および前記第2のサブ画素から発出した緑色光に青色光が混ざることを防止し、これによって、表示パネルの色域をさらに向上させることができる。さらに、フィルタ層21は、外光を吸収して、外光が前記量子ドット構造を励起することによる表示不良を防止することもできる。
【0064】
本開示の実施例において、第1のフィルタ構造211、第2のフィルタ構造212および第3のフィルタ構造213の厚さは、互いに等しく、1.5~3.0μmの範囲に設置してもよい。これにより、フィルタ層がsRGB100%の色域を満たすようにできる。
【0065】
上記したように、第1の量子ドット構造221、第2の量子ドット構造222および透明構造223の厚さは、互いに等しくてもよく、かつ、第1のフィルタ構造211の厚さは、第1の量子ドット構造221の厚さよりも小さく、第2のフィルタ構造212の厚さは、第2の量子ドット構造222の厚さよりも小さく、第3のフィルタ構造213の厚さは、透明構造223の厚さよりも小さい。実際の製造過程では、同じマスク板を用いて、対応する前記フィルタ構造と前記量子ドット構造とを製造することができ、前記フィルタ構造と前記量子ドット構造との材料が異なり、前記量子ドット構造の厚さが大きいので、前記量子ドット構造の製造時に硬化が不完全であり、前記量子ドット構造の下地基板1に近接する側の一部の材料が剥離し易くなる場合があるので、実際に製造された前記フィルタ構造と前記量子ドット構造は異なる断面形状を有する。
【0066】
図2に示すように、第1のフィルタ構造211は、台形構造を有してもよく、具体的に、出光方向(すなわち、図面におけるのY方向)に垂直な断面を有し、第1のフィルタ構造211の該断面の面積は、下地基板1から離れる方向に沿って小さくなる。
【0067】
引き続き図2を参照すると、第1の量子ドット構造221は、下地基板1に近接する第1の底面221Aと、下地基板1から離れる第1のトップ面221Bとを有し、第1の量子ドット構造221の第1の底面221Aの下地基板1への正射影は、第1の量子ドット構造221の第1のトップ面221Bの下地基板1への正射影に入り、かつ、第1の量子ドット構造221の第1の底面221Aの面積は、第1の量子ドット構造221の第1のトップ面221Bの面積よりも小さい。このように、第1の量子ドット構造221の下地基板1への正射影は、第1のフィルタ構造211の下地基板1への正射影に入り、かつ、第1の量子ドット構造221の下地基板1への正射影の面積は、第1のフィルタ構造211の下地基板1への正射影の面積よりも小さい。
【0068】
類似的に、第2の量子ドット構造222は、下地基板1に近接する第2の底面222Aと、下地基板1から離れる第2のトップ面222Bとを有し、第2の量子ドット構造222の第2の底面222Aの下地基板1への正射影は、第2の量子ドット構造222の第2のトップ面222Bの下地基板1への正射影に入り、かつ、第2の量子ドット構造222の第2の底面222Aの面積は、第2の量子ドット構造222の第2のトップ面222Bの面積よりも小さい。このように、第2の量子ドット構造222の下地基板1への正射影は、第2のフィルタ構造212の下地基板1への正射影に入り、かつ、第2の量子ドット構造222の下地基板1への正射影の面積は、第2のフィルタ構造212の下地基板1への正射影の面積よりも小さい。
【0069】
図2に示すように、前記カラーフィルム基板10は、ブラックマトリックス8をさらに含むと選択してもよい。前記ブラックマトリクス8は、画素の分離、光漏れやクロスカラーの防止という役割を果たすことができると理解される。
【0070】
ブラックマトリクス8の配置は、従来のカラーフィルム基板におけるブラックマトリクスの配置を参照できると理解されるため、ここではその説明を省略する。
【0071】
図4は本開示の実施例に係るカラーフィルム基板の概略構成図である。以下、主に、図4に示す実施例が上記の実施例と異なる点を説明し、図4に示す実施例のその他の構成は上記の説明を参照できる。
【0072】
図4を参照すると、第1のサブ画素2Rは、第1のフィルタ構造211および第1の量子ドット構造221を含み、第2のサブ画素2Gは、第2のフィルタ構造212および第2の量子ドット構造222を含み、第3のサブ画素2Bは、第3のフィルタ構造213’を含む。
【0073】
第1のフィルタ構造211の厚さは、第2のフィルタ構造212の厚さに等しくてもよく、例えば、1.5~3.0μmの範囲にあってもよい。第1の量子ドット構造221の厚さは、第2の量子ドット構造222の厚さに等しくてもよく、例えば、5~15μmの範囲にあってもよい。第3のフィルタ構造213’の厚さは、第1のフィルタ構造211と第1の量子ドット構造221の厚さとの和に等しくてもよい。
【0074】
すなわち、本実施例では、第3のサブ画素2Bにおいて、フィルタ構造+透明構造の形態をとらずに、一体の第3のフィルタ構造213’が設けられている。このように、第3のフィルタ構造213’は、第3の色の光(例えば、青色光)を透過させる。
【0075】
第3のフィルタ構造213’に上記散乱粒子224がドープされてもよいと理解される。例えば、散乱粒子224の粒径は、60~500nmの範囲にあってもよく、散乱粒子224の分布濃度は、1%~15%の範囲にあってもよい。ここで、散乱粒子224の分布濃度は、前記量子ドット構造または前記透明構造に占める前記散乱粒子の体積百分率で表すことができる。
【0076】
図2図4を参照すると、隣接する2サブ画素の間には、隙間8Gが存在する。すなわち、第1のサブ画素2Rの第1のフィルタ構造211および第1の量子ドット構造221は、第2のサブ画素2Gの第2のフィルタ構造212および第2の量子ドット構造222からそれぞれ離間して設けられ、第2のサブ画素2Gの第2のフィルタ構造212および第2の量子ドット構造222は、第3のサブ画素2Bの第3のフィルタ構造213および透明構造223からそれぞれ離間して設けられる。この隙間8Gの存在により、隣接するサブ画素間には段差が存在する。例えば、前記段差は、5~15μmの範囲にあってもよい。
【0077】
図2を参照して、被覆層3は、第1の被覆サブ層31と、第2の被覆サブ層32とを含んでもよい。第1の被覆サブ層31は、前記量子ドット構造および前記透明構造が位置する層の下地基板1から離れる表面上に設けられ、かつ、第1の被覆サブ層31は、前記隙間8G内に充填される。第2の被覆サブ層32は、第1の被覆サブ層31の下地基板1から離れる表面上に設けられる。被覆層を設けることにより、前記段差を埋めて平坦化した表面を形成することができる。
【0078】
本開示の実施例では、第1の被覆サブ層31の材料は、第2の被覆サブ層32の材料と異なってもよい。
【0079】
第1の被覆サブ層31は、熱硬化被覆層であってもよい。すなわち、第1の被覆サブ層31は、加熱によって材料を硬化させることができ、例えば、硬化温度が150℃程度であってもよい。例示的に、前記熱硬化被覆層の材料の主成分としては、シリコン樹脂、アクリル樹脂、イソプロピルアルコール、硬化剤、シリカなどを含んでもよい。第1の被覆サブ層31の厚さは、3~7μmの範囲にあってもよい。発明者が検討して分かったように、各サブ画素間に比較的に大きな段差があり、前記第1の被覆サブ層31を設けることによって、前記段差をある程度で埋めることができる。図2を参照して、第1の被覆サブ層31の下地基板1から離れる表面は、依然として平坦でないが、該表面における凹部31R(隙間8Gに対応)の深さは、前記差よりもかなり小さく、すなわち、隙間8Gにおける大きな段差がある程度で埋められている。
【0080】
第2の被覆サブ層32は、光硬化被覆層であってもよく、例えば、紫外線硬化被覆層である。例示的に、前記光硬化被覆層の材料の主成分としては、アクリル樹脂、イソプロピルアルコール、硬化剤、シリカおよび光開始剤などを含んでもよい。第2の被覆サブ層32の厚さは、2~3μmの範囲にあってもよい。本開示の実施例では、第2の被覆サブ層32の材料のレベリング性は、第1の被覆サブ層31の材料のレベリング性よりも高い。第2の被覆サブ層32は、ナノインプリントプロセスと併せて使用され得る。前記第2の被覆サブ層32は、上記の段差をさらに平坦化することができる。例えば、第2の被覆サブ層32は、ナノインプリント装置によって平坦化され、その後、紫外線によって硬化させることによって、前記段差の大きさをNILプロセス(すなわち、ナノインプリントプロセス)の要求に満たすようにでき、例えば、第1の被覆サブ層31および第2の被覆サブ層32の平坦化によって、前記段差を数十nmまでに低減でき、すなわち、前記段差が100nm以下になる。
【0081】
なお、本明細書において、「レベリング性」とは、被覆される材料の表面に被覆材料が細孔を有さず均一にレベリングする性質を意味し、例えば、塗布する被覆材が均一な表面を図るまでの時間で表すことができる。
【0082】
本開示の実施例では、材料が異なる2つの被覆サブ層31、32を設けることによって、上記の比較的に大きな段差を基本的に平坦化することができ、例えば、前記段差を数十ナノメートルまで低減でき、それによって、次のフィルム層の形成に有利である。
【0083】
本開示の実施例では、第1の被覆サブ層31の厚さは、第2の被覆サブ層32の厚さ以上である。例示的に、第1の被覆サブ層31の厚さは、第2の被覆サブ層32の厚さの1~4倍であってもよく、例えば、第1の被覆サブ層31の厚さは、第2の被覆サブ層32の厚さの2倍であってもよい。このような厚み合わせにより、前記段差をよく埋めることができ、被覆層の下地基板から離れる表面を比較的に平坦にすることができる。
【0084】
図2を参照すると、偏光層5は、前記量子ドット構造221、222の下地基板1から離れる側に設けられ、すなわち、偏光層5は、量子ドット構造221、222の入光側に位置する。量子ドット構造221、222は、偏光解消機能を有するので、上部偏光板を量子ドット構造221、222の出光側に配置すると、階調を調節することができない。本開示の実施例では、量子ドット構造221、222の入光側に偏光層5を設けることによって、表示パネルの階調表示を実現することができる。
【0085】
本開示の実施例では、偏光層5は、ワイヤーグリッド偏光子であってもよい。ワイヤーグリッド偏光子5は、従来の偏光板に比べて、例えば青色光のバックライトの透過率を向上させることができ、光効率をさらに向上させることができる。
【0086】
さらに図2を参照すると、バッファ層4および保護層6は、それぞれワイヤーグリッド偏光子5の上側、下側に設けられ、即ち、バッファ層4は、ワイヤーグリッド偏光子5の下地基板1に近接する側に設けられ、保護層6は、ワイヤーグリッド偏光子5の下地基板1から離れる側に設けられる。
【0087】
図5は本開示の実施例に係るワイヤーグリッド偏光子の概略構成図である。図2および図5を参照すると、ワイヤーグリッド偏光子5は、互いに離隔して設けられた複数の遮光素子51と、隣接する2つの遮光素子51の間に位置する隙間52と、を含んでもよい。例えば、前記遮光部材51は、例えばアルミニウムまたは銀の金属材料で形成してもよい。
【0088】
ワイヤーグリッド偏光子5では、複数の遮光素子51と複数の隙間52とが交互に配置されている。図1図3を参照すると、ワイヤーグリッド偏光子5は、ピッチまたは周期(pitch)Pを有し、1つの遮光部材51は、出光方向に垂直な方向(すなわち、図面におけるX方向)に沿った寸法(すなわち、図面における幅)W1と、出光方向(すなわち、図面におけるY方向)に沿った寸法(すなわち、図面における厚み)H1とを有し、1つの隙間52は、出光方向に垂直な方向に沿った寸法(すなわち、図面における幅)W2と、出光方向に沿った寸法(すなわち、図面における厚み)H2とを有する。1つの遮光素子51と1つの隙間52とで1つのセルが構成され、複数のセルが出光方向に垂直な方向に沿って周期的に配列されている。1つの遮光素子51と1つの隙間52とからなるユニットの図面におけるX方向に沿った寸法は、前記ピッチPとなる。前記ピッチPは、前記遮光部材51の幅W1と前記隙間52の幅W2との和に等しいと理解される。なお、前記遮光素子51の幅W1と前記ピッチPとの比をデューティ比という。前記遮光素子51の厚みH1は、前記隙間52の厚みH2に等しいと選択してもよく、ワイヤーグリッド偏光子5の出光方向に沿った寸法(すなわち、図面におけるの厚み)は、前記遮光素子51の厚みH1で表すことができる。
【0089】
本開示の実施例では、遮光部材51は比較的に長尺で細いものである。例えば、遮光素子5は、略平行に設けられており、かつ、前記ピッチまたは周期Pは、前記ワイヤーグリッド偏光子に入射した光の波長よりも小さい。
【0090】
ワイヤーグリッド偏光子5のピッチまたは周期P、デューティ比および厚さは、ワイヤーグリッド偏光子の偏光度、透過率およびそれに適用した光の波長等を含む特性に大きく影響すると理解される。
【0091】
発明者は、多数の実験により、ワイヤーグリッド偏光子5のピッチまたは周期P、デューティ比および厚さが、青色光の偏光度および透過率に与える影響を検討した。一部の実験データは、以下の表1~表3に示されている。
【0092】
【表1】
【0093】
【表2】
【0094】
【表3】
【0095】
上記表1から分かるように、ピッチPが大きくなるにつれて、基本的には、ワイヤーグリッド偏光子5が青色光に対する偏光度が低くなるとともに、青色光に対する透過率も低くなる。上記表2から分かるように、デューティ比が大きくなるにつれて、基本的には、ワイヤーグリッド偏光子5が青色光に対する偏光度が高くなるとともに、青色光に対する透過率が低くなる。上記表3から分かるように、厚みが大きくなるにつれて、基本的には、ワイヤーグリッド偏光子5が青色光に対する偏光度が高くなるとともに、青色光に対する透過率が低くなる。
【0096】
ワイヤーグリッド偏光子が入射光(例えば青色光)に対する偏光度および透過率を大きくするとともに、ワイヤーグリッド偏光子の加工の難しさを加味するために、本開示の実施例では、ピッチPを100~140nmの範囲に設定することができる。なぜなら、ピッチPが100nm未満である場合、偏光度および透過率は大きく得られるが、この時、ワイヤーグリッド偏光子の加工の難しさが高い;ピッチPが140nmよりも大きい場合、ワイヤーグリッド偏光子の偏光度および透過率が小さい。さらに、適切な偏光度と透過率とを同時に得るように、前記デューティ比は0.5程度であってもよい。また、適切な偏光度と透過率とを同時に得るように、前記厚さは、150~200nmの範囲にあってもよい。
【0097】
図2を参照すると、前記バッファ層4は、第1のバッファサブ層41と第2のバッファサブ層42とを含んでもよい。第1のバッファサブ層41は、第2のバッファサブ層42よりもワイヤーグリッド偏光子5に近接する。ワイヤーグリッド偏光子5を形成する過程では、通常、アルミニウム等の金属層をドライエッチングプロセスによりエッチングする。バッファ層4は、被覆層3とワイヤーグリッド偏光子5との間に設けられ、該ドライエッチングプロセスによる被覆層3の損傷を防止することができ、即ち、バッファ層4は、エッチングストッパとして機能することができる。
【0098】
さらに、第1のバッファサブ層41は、低屈折率材料で構成してもよく、例えば、第1のバッファサブ層41は、酸化シリコン層であってもよい。第2のバッファサブ層42は、高屈折率材料で構成してもよく、例えば、第2のバッファサブ層42は、窒化シリコン層であってもよい。ここでの低屈折率、高屈折率とは、第1のバッファサブ層41の材料の屈折率が第2のバッファサブ層42の材料の屈折率よりも小さいことを意味する相対的な概念であると理解され、例えば、第1のバッファサブ層41の材料の屈折率は1.48~1.52の範囲にあってもよく、第2のバッファサブ層42の材料の屈折率は1.8程度であってもよい。このように設定することにより、ワイヤーグリッド偏光子5の出光側に徐変勾配を有する屈折率を形成して、表示パネルの光効率をより向上させることができる。また、第2のバッファサブ層42は、窒化シリコンからなり、窒化シリコンがエッチングストッパとして機能することができ、形成されたバッファ層がエッチングストッパ層として機能することができる。
【0099】
引き続き図2を参照すると、前記保護層6は、第1の保護サブ層61と第2の保護サブ層62とを含んでもよい。第1の保護サブ層61は、第2の保護サブ層62よりもワイヤーグリッド偏光子5に近接する。ワイヤーグリッド偏光子5の下地基板1から離れる側に保護層6を設けることで、ワイヤーグリッド偏光子を保護することができる。また、保護層6は平坦化の役割も果たすことができる。
【0100】
さらに、第1の保護サブ層61は、低屈折率材料で構成してもよく、例えば、第1の保護サブ層61は、酸化シリコン層であってもよい。第2の保護サブ層62は、高屈折率材料で構成してもよく、例えば、第2の保護サブ層62は、窒化シリコン層であってもよい。ここでの低屈折率、高屈折率とは、第1の保護サブ層61の材料の屈折率が第2の保護サブ層62の材料の屈折率よりも小さいことを意味する相対的な概念であると理解され、例えば、第1の保護サブ層61の材料の屈折率は1.48~1.52の範囲にあってもよく、第2の保護サブ層62の材料の屈折率は1.8程度であってもよい。このように設定することにより、ワイヤーグリッド偏光子5の入光側にも徐変勾配を有する屈折率を形成して、表示パネルの光効率をより向上させることができる。
【0101】
すなわち、本開示の実施例において、バッファ層4、ワイヤーグリッド偏光子5および保護層6は、ワイヤーグリッド偏光子アセンブリを構成し、該ワイヤーグリッド偏光子アセンブリにおける各フィルム層の厚さおよび屈折率を設計することにより、該ワイヤーグリッド偏光子アセンブリが青色光に対する透過率を向上させることができる。
【0102】
例えば、本開示の実施例では、第1の緩衝サブ層41の厚さの中心値は、290nmであってもよく、実際の加工プロセスに制限され、実際の厚さの値は、290nmから上下で5%の範囲に変動してもよく、すなわち、第1の緩衝サブ層41の厚さは、275.5~304.5nmの範囲にあってもよい;第2のバッファサブ層42の厚さの中心値は、100nmであってもよく、実際の加工プロセスに制限され、実際の厚さの値は、100nmから上下で5%の範囲に変動してもよく、すなわち、第2のバッファサブ層42の厚さは、95~105nmの範囲にあってもよい;第1の保護サブ層61の厚さの中心値は、450nmであってもよく、実際の加工プロセスに制限され、実際の厚さの値は、450nmから上下で5%の範囲に変動してもよく、すなわち、第1の保護サブ層61の厚さは、427.5~472.5nmの範囲にあってもよい;第2の保護サブ層62の厚さの中心値は、50nmであってもよく、実際の加工プロセスに制限され、実際の厚さの値は、50nmから上下で5%の範囲に変動してもよく、すなわち、第2の保護サブ層62の厚さは、47.5~52.5nmの範囲にあってもよい。
【0103】
さらに、第1のバッファサブ層41および第1の保護サブ層61はいずれも酸化シリコン層であってよく、その屈折率が1.35~1.65の範囲にあってもよく、例えば1.44である;第2のバッファサブ層42および第2の保護サブ層62はいずれも窒化シリコン層であってよく、その屈折率が1.6~2.0の範囲にあってもよく、例えば1.8である。
【0104】
さらに、発明者は、一組の比較実施例を設計し、その具体的なパラメータは以下の表4に示されている。
【0105】
【表4】
【0106】
図6は、本開示の実施例および比較実施例におけるワイヤーグリッド偏光子アセンブリの透過率のグラフであり、表4に示された本開示の実施例および比較実施例を比較するとともに、図6を参照して分かるように、ワイヤーグリッド偏光子アセンブリにおける各フィルム層の厚さおよび屈折率を上記した数値または数値範囲に設計することにより、ワイヤーグリッド偏光子アセンブリが青色光(波長範囲が約435~480nmにある)に対する透過率を61%から80%まで向上させることができ、表示パネルの光効率をさらに向上させる目的を実現することができる。
【0107】
前記カラーフィルム基板は、保護層6の下地基板1から離れる側に設けられる配向膜7をさらに含むと選択してもよい。例えば、配向層7は、ポリイミド(PI)からなってもよい。本開示の実施例では、窒化シリコンからなる第2の保護サブ層62を設けることにより、窒化シリコンとPIとの間の接着力が大きいので、配向層7と保護層6との間の接着力を増大させることができ、配向層のコーティングに有利である。
【0108】
図7は、本開示の実施例に係るカラーフィルム基板の部分的な概略平面図であり、図8は、本開示の実施例に係るカラーフィルム基板の図7におけるBB’線に沿って切断した断面図であり、図9は、本開示の実施例に係る表示パネルの概略構成図である。以下、主に、図7図9に示す実施例が上記の実施例と異なる点を説明し、図7図9に示す実施例における他の構成は上記の説明を参照することができる。
【0109】
なお、図7に示す平面図では、ブラックマトリクスと隔離バンクとを明確に示すために、模式的に、ブラックマトリクス8の一部を隔離バンク9から露出させているが、これは、必ずブラックマトリクス8の一部を必ず隔離バンク9から露出させることを示すものではなく、また、ブラックマトリクス8は灰色の充填色で示しているが、これはブラックマトリクス8が必ず灰色であることを示すものではない。
【0110】
図7図9を参照すると、本開示の実施例のカラーフィルム基板10は、下地基板1、色変換層2、被覆層3、バッファ層4、偏光層5、保護層6、配向膜7、隔離バンク9およびバリア層11を含んでもよい。色変換層2、バリア層11、被覆層3、バッファ層4、偏光層5、保護層6、配向膜7は、下地基板1から離れる方向に沿って順次に下地基板1上に設けられている。すなわち、色変換層2は下地基板1上に設けられ、バリア層11は色変換層2の下地基板1から離れる側に設けられ、被覆層3はバリア層11の下地基板1から離れる側に設けられ、バッファ層4は被覆層3の下地基板1から離れる側に設けられ、偏光層5はバッファ層4の下地基板1から離れる側に設けられ、保護層6は偏光層5の下地基板1から離れる側に設けられ、配向層7は保護層6の下地基板1から離れる側に設けられている。
【0111】
図7および図8に示すように、複数の前記隔離バンク9が下地基板1上に設けられて、下地基板1に複数の溝91を形成している。
【0112】
例えば、前記カラーフィルム基板10は、ブラックマトリックス8をさらに含んでもよい。前記ブラックマトリクス8は、画素の分離、光漏れやクロスカラーの防止という役割を果たすことができると理解される。隔離バンク9は、ブラックマトリクス8の下地基板1から離れる側に設けてもよい。隔離バンク9の下地基板1への正射影は、ブラックマトリクス8の下地基板1への正射影と重なっている。例示的に、隔離バンク9の下地基板1への正射影と、ブラックマトリクス8の下地基板1への正射影とは、ほぼ重なり合ってもよい。
【0113】
例えば、前記隔離バンク9の材料は、透明材料であってもよい。前記隔離バンク9の材料は、光に対して吸収性が良く、複数の画素間での混色を効果的に低減できる黒色材料であると選択してもよい。隔離バンク9の材料は、灰色反射型材料であると選択してもよい。例えば、隔離バンク9の材料が透明材料又は灰色反射型材料である場合、隔離バンク9の材料に酸化チタン等の高屈折率散乱粒子を添加してもよく、例えば、前記散乱粒子の粒径は60~500nmの範囲にあってもよく、かつ、前記散乱粒子の分布濃度は1%~15%の範囲にあってもよい。ここで、散乱粒子の分布濃度は、前記隔離バンクに占める前記散乱粒子の体積百分率で表すことができる。これにより、隔離バンク9の界面で光の反射を生じさせることができ、光効率を向上させることができると共に、複数のサブ画素間での混色を効果的に低減することができる。
【0114】
具体的には、引き続き図8を参照して、カラーフィルム基板10は、第1のサブ画素2R、第2のサブ画素2Gおよび第3のサブ画素2Bを含んでもよい。カラーフィルム基板10は、下地基板1と量子ドット構造および透明構造が位置する層との間に設けられるフィルタ層21を有してもよい。フィルタ層21は、異なる色の光を透過させる複数のフィルタ構造を含んでもよい。例えば、複数のフィルタ構造は、複数のサブ画素に1対1で設けられてもよい。図8に示すように、フィルタ層21は、第1のフィルタ構造211、第2のフィルタ構造212および第3のフィルタ構造213を含んでもよい。
【0115】
隔離バンク9は、フィルタ層21の下地基板1から離れる側に複数の溝91を形成している。例えば、前記複数の溝91は、第1の溝91R、第2の溝91Gおよび第3の溝91Bを含んでもよい。第1の量子ドット構造221は第1の溝91Rに位置し、第2の量子ドット構造222は第2の溝91Gに位置し、透明構造223は第3の溝91Bに位置する。すなわち、第1のサブ画素2Rは、第1の溝91Rに位置する第1の量子ドット構造221を含んでもよく、第2のサブ画素2Gは、第2の溝91Gに位置する第2の量子ドット構造222を含んでもよい。第3のサブ画素2Bは、第3の溝91Bに位置する透明構造物223を含んでもよい。
【0116】
本開示の実施例では、隔離バンクを設けることで、印刷プロセス(すなわちInkプロセス)によって前記色変換層を形成することができ、特に前記量子ドット構造を形成することができる。
【0117】
図11は、本開示の実施例に係るカラーフィルム基板の隔離バンクおよびブラックマトリックスの部分拡大図である。例示的な実施例では、一つの隔離バンク9は「きのこ形」の形状を有してもよく、図11を参照して、隔離バンク9は、首部91Aと、本体部91Bと、を含んでもよい。例えば、図11に示すように、本体部91BのXY平面における断面は台形状であってもよく、すなわち、本体部91Bは最大幅Dmaxを有する。首部91Aの幅は、本体部91Bの最大幅Dmaxよりも小さい。図11に示すように、ブラックマトリックス8の2サブ画素の間に位置する部分は、幅Dbmを有することができる。本体部91Bの最大幅Dmaxは、ブラックマトリックス8の2サブ画素の間に位置する部分の幅Dbmにほぼ等しいと選択してもよい。
【0118】
図10に示す実施例において、一つの隔離バンク9は柱形の形状を有し、例えば、隔離バンク9はY方向に沿って等幅に延伸すると選択してもよい。また、1つの隔離バンク9の幅は、ブラックマトリクス8の2サブ画素の間に位置する部分の幅に等しくてもよい。
【0119】
本開示の実施例において、隔離バンク9の厚さは、色変換層2とフィルタ層21との厚さの和よりも大きくてもよい。これにより、形成された溝91の深さは色変換層2の厚さよりも深く、印刷プロセスによって色変換層を形成することに有利である。
【0120】
例えば、フィルタ層21の厚さは2.1~3.0μmの範囲にあってもよく、色変換層2の厚さは5~10μmの範囲にあってもよく、故に、隔離バンク9の厚さは7.1~13μmの範囲にあってもよい。
【0121】
図8に示すように、前記隔離バンク9は、前記下地基板1から離れる第1の隔離バンクトップ面9Tを有し、前記第1の量子ドット構造221は、前記下地基板1から離れる第1のトップ面221Aを有し、前記第2の量子ドット構造222は、前記下地基板1から離れる第2のトップ面222Aを有し、前記第1の隔離バンクトップ面9Tは、前記第1のトップ面221Aおよび前記第2のトップ面222Aのいずれよりも前記下地基板1から離れる。
【0122】
図8を参照すると、バリア層11は、色変換層2と被覆層3との間に設けられ、具体的には、量子ドット構造221、222および透明構造223が位置する層と、第1の被覆サブ層31との間に設けられる。バリア層11は、印刷プロセスによって形成された量子ドット構造(QD Inkを含む)を水分酸素などから保護する、すなわち、水分酸素バリアの役割を果たすことができる。例えば、バリア層11は、酸化シリコン層であってもよく、厚さが300~400nmの範囲にあってもよく、その水分酸素バリア能は10-5より低くてもよい。また、バリア層11は、例えば酸化シリコンなどの低屈折率材料からなるため、表示パネルの光効率をさらに向上させる役割を果たすことができる。
【0123】
なお、上記した図1図4に示した実施例では、フォトリソグラフィプロセスによって量子ドット層を形成し、形成された量子ドット層による量子ドットの保護が良好であり、このようなバリア層を設けなくてもよい。もちろん、実用上の必要に応じて、上記図1図4に示した実施例にこのようなバリア層を増設してもよい。
【0124】
図12は本開示の実施例に係るカラーフィルム基板の概略構成図である。以下、主に、図12に示す実施例が上記の実施例と異なる点を説明し、図12に示す実施例のその他の構成については上記の説明を参照することができる。
【0125】
図12を参照すると、第1のサブ画素2Rは、第1のフィルタ構造211および第1の量子ドット構造221を含み、第2のサブ画素2Gは、第2のフィルタ構造212および第2の量子ドット構造222を含み、第3のサブ画素2Bは、第3のフィルタ構造213’を含む。
【0126】
第1のフィルタ構造211の厚さは、第2のフィルタ構造212の厚さに等しくてもよい。第1の量子ドット構造221の厚さは、第2の量子ドット構造222の厚さに等しくてもよい。第3のフィルタ構造213’の厚さは、第1のフィルタ構造211と第1の量子ドット構造221の厚さとの和に等しくてもよい。
【0127】
すなわち、本実施例では、第3のサブ画素2Bにおいて、フィルタ構造+透明構造の形態をとらずに、一体の第3のフィルタ構造213’が設けられている。このように、第3のフィルタ構造213’は、第3の色の光(例えば、青色光)を透過させる。
【0128】
図7図12を参照すると、前記隔離バンクと前記量子ドット構造との間、前記隔離バンクと前記透明構造との間、または、前記隔離バンクと前記第3のフィルタ構造213’との間には、厚さの差が存在し、すなわち、段差が存在し、例えば、前記段差は5~15μmの範囲にあってもよい。前記段差により、バリア層11の下地基板1から離れる表面は凹凸の表面となる。
【0129】
図8図12を参照すると、被覆層3は、第1の被覆サブ層31および第2の被覆サブ層32を含んでもよい。第1の被覆サブ層31は、バリア層11の下地基板1から離れる側の表面上に設けられ、第2の被覆サブ層32は、第1の被覆サブ層31の下地基板1から離れる側の表面上に設けられている。被覆層を設けることにより、前記段差を埋めて平坦化した表面を形成することができる。例えば、第1の被覆サブ層31の厚さは、第2の被覆サブ層32の厚さ以上である。例示的に、第1の被覆サブ層31の厚さは、第2の被覆サブ層32の厚さの1~4倍であってもよく、例えば、第1の被覆サブ層31の厚さは、第2の被覆サブ層32の厚さの2倍であってもよい。このような厚み合わせにより、前記段差を良好に埋めることができ、被覆層の下地基板から離れる表面を比較的に平坦にすることができる。
【0130】
なお、第1の被覆サブ層31および第2の被覆サブ層32は、上記の説明を参照することができ、ここではその説明を省略する。
【0131】
図13は本開示の実施例に係るカラーフィルム基板の概略構成図である。以下、主に、図13に示す実施例が上記の実施例と異なる点を説明し、図13に示す実施例のその他の構成については上記の説明を参照することができる。
【0132】
図13を参照すると、本開示の実施例のカラーフィルム基板10は、下地基板1、フィルタ層21、平坦化膜12、色変換層2、被覆層3、バッファ層4、偏光層5、保護層6、配向膜7、隔離バンク9およびバリア層11を含む。フィルタ層21、平坦化層12、色変換層2、バリア層11、被覆層3、バッファ層4、偏光層5、保護層6および配向層7は、下地基板1から離れる方向に沿って順次に下地基板1上に設けられている。すなわち、フィルタ層21は下地基板1上に設けられ、平坦化層12はフィルタ層21の下地基板1から離れる側に設けられ、色変換層2は平坦化層12の下地基板1から離れる側に設けられ、バリア層11は色変換層2の下地基板1から離れる側に設けられ、被覆層3はバリア層11の下地基板1から離れる側に設けられ、バッファ層4は被覆層3の下地基板1から離れる側に設けられ、偏光層5はバッファ層4の下地基板1から離れる側に設けられ、保護層6は偏光層5の下地基板1から離れる側に設けられ、配向層7は保護層6の下地基板1から離れる側に設けられている。
【0133】
図13に示すように、フィルタ層21は、第1のフィルタ構造211、第2のフィルタ構造212および第3のフィルタ構造213を含んでもよい。第1のサブ画素2Rは第1のフィルタ構造211を含み、第2のサブ画素2Gは第2のフィルタ構造212を含み、第3のサブ画素2Bは第3のフィルタ構造213を含むと理解される。前記第1のフィルタ構造211は、第1の色の光を透過させるためのものであり、前記第2のフィルタ構造212は、第2の色の光を透過させるためのものであり、前記第3のフィルタ構造213は、第3の色の光を透過させるためのものである。
【0134】
前記カラーフィルム基板10は、ブラックマトリックス8をさらに含んでもよい。前記ブラックマトリクス8は、画素の分離、光漏れやクロスカラーの防止という役割を果たすことができると理解される。
【0135】
図13を参照すると、隣接する2サブ画素の間には、隙間が存在する。即ち、第1のサブ画素2Rの第1のフィルタ構造211は、第2のサブ画素2Gの第2のフィルタ構造212から離間して設けられ、第2のサブ画素2Gの第2のフィルタ構造212は、第3のサブ画素2Bの第3のフィルタ構造213から離間して設けられている。この隙間の存在により、隣接するサブ画素の間に段差が存在する。フィルタ層21の厚みが小さいので、この段差も小さい。
【0136】
引き続き図13を参照して、平坦化層12は、フィルタ層21の下地基板1から離れる側に設けられて、各サブ画素の間の段差をほぼ埋めている。
【0137】
引き続き図13を参照して、複数の前記隔離バンク9は、平坦化層12の下地基板1から離れる側の表面上に設けられ、平坦化層12の下地基板1から離れる側に複数の溝91を形成する。量子ドット構造は、前記複数の溝91内に充填される。
【0138】
具体的には、複数の溝91は、第1の溝91R、第2の溝91Gおよび第3の溝91Bを含んでもよい。色変換層2は、第1の量子ドット構造221および第2の量子ドット構造222を含んでもよい。第1のサブ画素2Rは、第1の溝91Rに位置する第1の量子ドット構造221を含んでもよく、第2のサブ画素2Gは、第2の溝91Gに位置する第2の量子ドット構造222を含んでもよい。図12を参照すると、第3のサブ画素2Bは、第3の溝91Bに位置する透明構造物223を含んでもよい。
【0139】
この実施例において、第1の量子ドット構造221、第2の量子ドット構造222および透明構造223の厚さは、互いに等しくてもよい。隔離バンク9の厚さは、第1の量子ドット構造221、第2の量子ドット構造222および透明構造223のいずれの厚さよりも大きくてもよい。例えば、第1の量子ドット構造221、第2の量子ドット構造222および透明構造223のいずれかの厚さは、5~15μmの範囲にあってもよい。
【0140】
この実施例では、隔離バンクを設けることで、印刷プロセス(すなわちInkプロセス)によって前記色変換層を形成することができ、特に前記量子ドット構造を形成することができる。
【0141】
図3および図9に戻って参照すると、本開示の実施例に係る表示パネル100は、カラーフィルム基板10、アレイ基板20、バックライトモジュール30、および、カラーフィルム基板10とアレイ基板20との間に介在する液晶層40を含んでもよい。
【0142】
表示パネル100は、上記カラーフィルム基板10を含むので、上記カラーフィルム基板10が有する構成および効果を全て備えるべきであり、ここでの説明は省略する。
【0143】
図3および図9に示すように、アレイ基板20は、下地基板201と、下地基板201に設けられる偏光部材202と、を含んでもよい。偏光部材202は、下地基板201のカラーフィルム基板10と反対側の表面上に設けられて、バックライトモジュール30から出射された光を直線偏光に変換するためのものであってもよい。本開示のいくつかの実施例では、偏光部材202は、偏光板であってもよい。
【0144】
アレイ基板20、バックライトモジュール30および液晶層40は、本分野で既知のアレイ基板、バックライトモジュールおよび液晶層の構造を採用することができると理解され、ここではその説明を省略する。
【0145】
本開示の実施例はさらに表示装置を提供し、上記の実施例が提供した表示パネルを備える。本開示の実施例に係る表示装置の平面図である図14に示すように、表示装置700は、上記したいずれの表示パネルを含んでもよい。例えば、前記表示装置は、例えばスマートフォン、ウェアラブルスマートウォッチ、スマートグラス、タブレットコンピュータ、テレビ、ディスプレイ、ラップトップコンピュータ、デジタルフレーム、ナビゲーションデバイス、車載ディスプレイ、電子ブックなどの表示機能を有する任意の製品または部材であってもよい。
【0146】
図15は、本開示の実施例に係るカラーフィルム基板の製造方法のフローチャートである。図2図4図15を参照すると、前記製造方法は、少なくとも以下のステップを含んでもよい。
【0147】
ステップS151では、下地基板1上にブラックマトリクス8を形成する。
【0148】
ステップS152では、下地基板1上にフィルタ層21を形成する。例えば、フィルタ層21は、第1のフィルタ構造211、第2のフィルタ構造212および第3のフィルタ構造213または213’を含んでもよい。例示的に、前記第1のフィルタ構造211は、第1の色の光を透過させるためのものであり、例えば、第1のフィルタ構造211は、赤色カラーフィルムであってもよい;前記第2のフィルタ構造212は、第2の色の光を透過させるためのものであり、例えば、第2のフィルタ構造212は、緑色カラーフィルムであってもよい;前記第3のフィルタ構造213または213’は、第3の色の光を透過させるためのものであり、例えば、前記第3のフィルタ構造213または213’は、青色カラーフィルムであってもよい。
【0149】
例えば、フォトリソグラフィプロセスによって、第1のフィルタ構造211、第2のフィルタ構造212および第3のフィルタ構造213または213’を形成することができる。
【0150】
ステップS153では、フィルタ層21の下地基板1から離れる側に量子ドット構造を形成する。
【0151】
例えば、フォトリソグラフィプロセスによって、第1の量子ドット構造221および第2の量子ドット構造222を形成することができる。第1の量子ドット構造221は第1のフィルタ構造211に対応し、それらが同一のマスク板によって形成されてもよい;第2の量子ドット構造222は第2のフィルタ構造212に対応し、それらが同一のマスク板によって形成されてもよい。
【0152】
フィルタ層21の下地基板1から離れる側に、第3のフィルタ構造213に対応する透明構造223を形成すると選択してもよい。
【0153】
ステップS154では、前記量子ドット構造の下地基板1から離れる側に、第1の被覆サブ層31を形成する。
【0154】
例えば、スピンコートまたはブレードコートの方式によって第1の被覆材料を塗布してもよく、例えば、前記第1の被覆材料は、シリコン樹脂、アクリル樹脂、イソプロピルアルコール、硬化剤およびシリカなどの成分を含む。その後、熱硬化の方式によって前記第1の被覆材料を硬化させて、第1の被覆サブ層31を形成する。例えば、硬化温度は150℃程度であってもよい。
【0155】
ステップS155では、第1の被覆サブ層31の下地基板1から離れる側に、第2の被覆サブ層32を形成する。
【0156】
例えば、スピンコートの方式によって第2の被覆材料を塗布してもよく、例えば、前記第2の被覆材料は、アクリル樹脂、イソプロピルアルコール、硬化剤、シリカおよび光開始剤等の成分を含んでもよい。次に、ナノインプリントプロセスによって前記第2の被覆材料を平坦化する。その後、光硬化の方式によって前記第2の被覆材料を硬化させて、第2の被覆サブ層32を形成する。例えば、紫外線を用いて前記第2の被覆材料を硬化させることができる。
【0157】
ステップS156では、第2の被覆サブ層32の下地基板1から離れる側に、バッファ層4、偏光層5および保護層6を順次に形成する。
【0158】
図16は、本開示の実施例に係るカラーフィルム基板の製造方法のフローチャートである。図8および図16を参照すると、製造方法は、少なくとも以下の工程を含んでもよい。
【0159】
ステップS161では、下地基板1上にブラックマトリクス8を形成する。
【0160】
ステップS162では、下地基板1上にフィルタ層21を形成する。例えば、フィルタ層21は、第1のフィルタ構造211、第2のフィルタ構造212および第3のフィルタ構造213または213’を含んでもよい。
【0161】
ステップS163では、ブラックマトリクス8の下地基板1から離れる側に、隔離バンク9を形成する。隔離バンク9は、隣り合う2つのフィルタ構造の間に位置して、前記フィルタ構造の下地基板1から離れる側に複数の溝91を形成する。
【0162】
ステップS164では、複数の溝91に量子ドット構造を形成する。
【0163】
例えば、インクジェット印刷プロセスによって、第1の量子ドット構造221および第2の量子ドット構造222を形成してもよい。第1の量子ドット構造221は、第1のフィルタ構造211に対応する;第2の量子ドット構造222は、第2のフィルタ構造212に対応する。
【0164】
フィルタ層21の下地基板1から離れる側に、第3のフィルタ構造213に対応する透明構造223を形成すると選択してもよい。
【0165】
ステップS165では、前記量子ドット構造の下地基板1から離れる側に、バリア層11を形成する。
【0166】
ステップS166では、バリア層11の下地基板1から離れる側に、第1の被覆サブ層31を形成する。
【0167】
例えば、スピンコートまたはブレードコートの方式によって第1の被覆材料を塗布してもよく、例えば、前記第1の被覆材料は、シリコン樹脂、アクリル樹脂、イソプロピルアルコール、硬化剤およびシリカなどの成分を含む。その後、熱硬化の方式によって前記第1の被覆材料を硬化させて、第1の被覆サブ層31を形成する。例えば、硬化温度は150℃程度であってもよい。
【0168】
ステップS167では、第1の被覆サブ層31の下地基板1から離れる側に、第2の被覆サブ層32を形成する。
【0169】
例えば、スピンコートの方式によって第2の被覆材料を塗布してもよく、例えば、前記第2の被覆材料は、アクリル樹脂、イソプロピルアルコール、硬化剤、シリカおよび光開始剤等の成分を含んでもよい。次に、ナノインプリントプロセスによって前記第2の被覆材料を平坦化する。その後、光硬化の方式によって前記第2の被覆材料を硬化させて、第2の被覆サブ層32を形成する。例えば、紫外線を用いて前記第2の被覆材料を硬化させることができる。
【0170】
ステップS168では、第2の被覆サブ層32の下地基板1から離れる側に、バッファ層4、偏光層5および保護層6を順次に形成する。
【0171】
本開示の総括的な発明思想のいくつかの実施例を図示および説明したが、当業者であれば理解できるように、本開示の総括的な発明思想の原則および精神から逸脱しない限り、これらの実施例に変更を加えることができ、本開示の範囲は特許請求の範囲およびその均等物によって限定される。
【符号の説明】
【0172】
1 下地基板
2 色変換層
3 被覆層
4 バッファ層
5 偏光層
6 保護層
7 配向膜
8 ブラックマトリクス
9 隔離バンク
10 カラーフィルム基板
11 バリア層
12 平坦化層
20 アレイ基板
21 フィルタ層
30 バックライトモジュール
31 第1の被覆サブ層
32 第2の被覆サブ層
40 液晶層
41 第1のバッファサブ層
42 第2のバッファサブ層
51 遮光素子
52 隙間
61 第1の保護サブ層
62 第2の保護サブ層
91 溝
91A 首部
91B 本体部
91R 第1の溝
91G 第2の溝
91B 第3の溝
91T 隔離バンクトップ面
100 表示パネル
211 第1のフィルタ構造
212 第2のフィルタ構造
213 第3のフィルタ構造
213’ 第3のフィルタ構造
221 第1の量子ドット構造
221A 第1の底面
221B 第1のトップ面
222 第2の量子ドット構造
222A 第2の底面
222B 第2のトップ面
223 透明構造
224 散乱粒子
2211 第1の量子ドット
2221 第2の量子ドット
PX 画素
SPX サブ画素
2R 第1のサブ画素
2G 第2のサブ画素
2B 第3のサブ画素
8G 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16