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  • 特許-走行する糸を加熱する加熱装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】走行する糸を加熱する加熱装置
(51)【国際特許分類】
   D02G 1/02 20060101AFI20241125BHJP
   D02J 1/22 20060101ALI20241125BHJP
【FI】
D02G1/02 101
D02J1/22 301Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021570387
(86)(22)【出願日】2020-05-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-04
(86)【国際出願番号】 EP2020064546
(87)【国際公開番号】W WO2020239751
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-03-31
(31)【優先権主張番号】102019003801.0
(32)【優先日】2019-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】307031976
【氏名又は名称】エーリコン テクスティル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Oerlikon Textile GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Leverkuser Strasse 65, D-42897 Remscheid, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン コンラート
(72)【発明者】
【氏名】フィリプ ユングベッカー
【審査官】長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-030964(JP,A)
【文献】特表2006-509111(JP,A)
【文献】実開昭56-170281(JP,U)
【文献】米国特許第04902461(US,A)
【文献】実開平04-127281(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D02G1/00-3/48
D02J1/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側から加熱される支持管(2)内に交換可能に保持されているガイドエレメント(3)と、加熱入口(7)に対応して配置されている入口糸ガイド(15)と、加熱出口(21)に対応して配置されている出口糸ガイド(22)とを備えた、走行する糸を加熱する加熱装置であって、
前記入口糸ガイド(15)が、可動に形成された入口アダプタ(10)によって、前記糸を案内するための運転位置と前記ガイドエレメント(3)を交換するためのメンテナンス位置とに選択式に前記加熱入口(7)において保持されていることを特徴とする、加熱装置。
【請求項2】
前記入口糸ガイド(15)が、前記入口アダプタ(10)の通路(10.1)内に保持されており、前記入口糸ガイド(15)、前記入口アダプタ(10)の前記運転位置において、接触面(28)から前記ガイドエレメント(3)の摺接面(29)へと延びる糸摺接面(18)内に、前記入口糸ガイド(15)の接触面(28)とともに配置されている、請求項1記載の加熱装置。
【請求項3】
前記入口糸ガイド(15)が、糸走路において前置された供給糸ガイド(16)と共に、前記糸の供給平面(19)を確定していて、該供給平面(19)が、前記ガイドエレメント(3)と前記入口糸ガイド(15)との間の前記糸摺接面(18)に対して、180°未満の角度を成している、請求項2記載の加熱装置。
【請求項4】
前記供給糸ガイド(16)が、ガイド管(17)内に配置されており、該ガイド管(17)の一方の端部が、前記入口アダプタ(10)の前記通路(10.1)に接続されている、請求項3記載の加熱装置。
【請求項5】
前記入口アダプタ(10)が、前記運転位置において、少なくとも1つの引張ばね(11.1,11.2)により前記支持管(2)に保持されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の加熱装置。
【請求項6】
前記支持管(2)が一方の自由端において、保持ブシュ(14)を受容するための接続アダプタ(9)を有しており、前記保持ブシュ(14)は、前記ガイドエレメント(3)の自由端(13)に固定的に結合されており、前記ガイドエレメント(3)と一緒に交換可能である、請求項1から5までのいずれか1項記載の加熱装置。
【請求項7】
前記保持ブシュ(14)は、センタリング開口(14.1)を有しており、該センタリング開口(14.1)により、前記入口アダプタ(10)の中空ピントル(10.2)が、前記加熱入口(7)内でセンタリング可能である、請求項6記載の加熱装置。
【請求項8】
前記入口アダプタ(10)が、自動化されて、または手動で前記運転位置から、前記支持管(2)に対して側方の前記メンテナンス位置に案内されるようになっている、請求項1から7までのいずれか1項記載の加熱装置。
【請求項9】
前記入口糸ガイド(15)が、ガイドリング(20)として形成されており、該ガイドリング(20)が、前記支持管(2)の内径よりも大きな内径を有している、請求項1から8までのいずれか1項記載の加熱装置。
【請求項10】
前記出口糸ガイド(22)が、出口アダプタ(27)の出口通路内に保持されており、該出口アダプタ(27)は、前記支持管(2)の、反対側に位置する端部(8.2)に結合されており、かつ出口側に糸サクションガンのための挿入開口(24)を有している、請求項からまでのいずれか1項記載の加熱装置。
【請求項11】
前記出口糸ガイド(22)が、糸走路において後置された走出糸ガイド(25)と共に、前記糸の走出平面(26)を確定しており、該走出平面(26)は、前記ガイドエレメント(3)と前記出口糸ガイド(22)との間の前記糸摺接面(18)に対して、180°未満の角度を成している、請求項10記載の加熱装置。
【請求項12】
前記ガイドエレメントが、加熱細管(3)により形成されており、該加熱細管(3)を通って前記糸が接触しながら案内される、請求項1から11までのいずれか1項記載の加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載の形式の、走行する糸を加熱する加熱装置に関する。
【0002】
冒頭で述べた形式の加熱装置は、たとえば国際公開第2004/050968号から公知である。
【0003】
走行する糸を加熱するこのような加熱装置は、好適には繊維機械において使用され、これにより好適には合成糸を予め規定された温度にまで加熱することができる。したがって、合成糸のテクスチャード加工時に、仮撚りを備えた多繊条糸を所定の温度に加熱するために、テクスチャード加工領域内でこのような加熱装置を使用することが知られている。この温度は、ガラス転移温度の範囲にある。さらに、このような加熱装置は、糸の内部応力を減じるために使用される。これにより、たとえば極めて収縮の少ない合成糸を形成することができる。
【0004】
公知の加熱装置では、支持管内に、インサートとしてのガイドエレメント、たとえば加熱細管が保持されている。この加熱細管を通って糸が案内されている。支持管は、外側から熱媒体液により加熱される。支持管は、熱伝導式に形成されており、したがって支持管の内部のインサートもしくは加熱細管を加熱する。糸は、加熱細管を通して接触しながら案内される。この場合に、加熱細管は、湾曲して構成されている。したがって、糸の絶え間ない接触が確保される。
【0005】
糸走入のために、加熱入口には入口糸ガイドが対応配置されている。同様に、加熱装置の加熱出口には、出口糸ガイドが対応配置されている。入口糸ガイドおよび出口糸ガイドにより、所定の糸案内が保証されており、これにより、できるだけ加熱細管の接触長さ全体を糸の温度調節のために使用することができる。その限りでは、入口糸ガイドおよび出口糸ガイドは、できるだけ短い間隔で加熱入口および加熱出口に形成されている。
【0006】
しかし、このような加熱装置の運転時に、ガイドエレメントにおける摩耗および汚れの発生を回避することはできない。したがって、このようなガイドエレメントは、時々交換され、支持管から取り出される。このためには、公知の加熱装置では、多かれ少なかれ大規模な交換措置が必要である。
【0007】
したがって、本発明の課題は、冒頭で述べた形式の、走行する糸を加熱する加熱装置を改良して、メンテナンス作業が迅速かつ確実に実行可能であるようにすることにある。
【0008】
本発明の別の目的は、特に糸の供給時に、できるだけ安定的な糸案内を保証することにある。
【0009】
この課題は、本発明によれば、入口糸ガイドが、可動に形成された入口アダプタによって、糸を案内するための運転位置とガイドエレメントを交換するためのメンテナンス位置とに選択的に加熱入口において保持されていることにより解決される。
【0010】
本発明の有利な改良形は、従属請求項に記載の特徴および特徴の組み合わせにより定義されている。
【0011】
本発明は、ガイドエレメントの各交換後に、入口糸ガイドが所定の運転位置を占めるという特別な利点を有している。したがって、糸案内のために予め規定された糸走路を再現可能に維持することができる。メンテナンス作業時に支持管内の糸のガイドエレメントを交換するために、場合によっては生じ得る取外しおよび組付けは、もはや不要である。
【0012】
特に一方では加熱入口において摩耗の少ない糸案内を得るために、他方では糸とガイドエレメントとの間で最初に所定の接触を達成するために、入口糸ガイドが、入口アダプタの通路内に保持されており、入口糸ガイドの接触面が、入口アダプタの運転位置において、ガイドエレメントの糸摺接内に配置されている、本発明の改良形が特に有利である。これにより、糸は、実質的な巻き付け摩擦なしに、ガイドエレメントに供給される。
【0013】
糸走路を安定させるために、さらに、入口糸ガイドが、糸走路において前置された供給糸ガイドと共に糸の供給平面を形成しており、この供給平面が、ガイドエレメントと入口糸ガイドとの間の糸摺接面と、180°未満の角度を成すことが規定されている。これにより、入口糸ガイドにおける所定の巻き付けが達成され、入口糸ガイドは、ガイドエレメントへの糸の走入を安定させる。
【0014】
プロセス開始前の糸通しを改善するために、さらに、供給糸ガイドがガイド管内に配置されており、このガイド管の一方の端部が、入口アダプタの貫通通路に接続されていることが規定されている。これにより、入口糸ガイドと供給糸ガイドの互いに対する位置が位置固定される。入口アダプタの可動性は、接続されたガイド管に自動的に伝達されるので、メンテナンス位置から運転位置への変更後に、所望の糸案内が保証されている。
【0015】
加熱入口における入口アダプタの確実な保持を保証するために、入口アダプタが、運転位置において、引張ばねにより支持管に保持されている本発明の変化形が規定されている。
【0016】
ガイドエレメントの交換性を簡単にするために、支持管が一方の自由端において、保持ブシュを受容するための接続アダプタを有しており、保持ブシュが、ガイドエレメントの自由端に固定的に結合されており、かつガイドエレメントと一緒に交換可能である本発明の変化形が好適に構成されている。
【0017】
さらに、保持ブシュが、センタリング開口を有しており、このセンタリング開口により、入口アダプタの中空ピントルが、加熱入口内でセンタリング可能であることにより、ガイドエレメントと入口糸ガイドとの対応した配置をさらに改善することができる。これにより、入口アダプタが再現可能に運転位置を占めることが保証される。
【0018】
繊維機械の構成に依存して、入口アダプタは、自動化されて、または手動で、運転位置から支持管に対して側方のメンテナンス位置に案内することができる。したがって、たとえばガイドエレメントの交換は、オペレータまたは自動操作ユニットにより行うことができる。
【0019】
入口糸ガイドが、ガイドリングとして形成されており、ガイドリングが、支持管の内径よりも大きな内径を有していることにより、プロセス開始時の糸通しがさらに改善される。これにより、糸端部の吸込み時に、この糸端部が加熱口に引っかからないことが保証される。
【0020】
特に、出口糸ガイドが、出口アダプタの出口通路内に保持されており、出口アダプタは、支持管の、反対側に位置する端部に結合されており、かつ出口側で糸サクションガンのための挿入開口を有している本発明の改良形によって糸通しが支援される。これにより、糸サクションガンのサクション開口を加熱出口に直接に送ることができる。したがって、吸引作用は加熱入口に至るまで伝達される。
【0021】
出口側における糸走路を安定化するために、出口糸ガイドが、糸走路において後置された走出糸ガイドと共に、糸の走出平面を形成しており、この走出平面が、ガイドエレメントと出口糸ガイドとの間の糸摺接面に対して、180°未満の角度を成すという本発明の改良形が規定されている。これにより、出口糸ガイドにおいて所定の巻き付けが生じ、この巻き付けは、糸とガイドエレメントとの間の接触をできるだけガイドエレメントの端部に至るまで保証する。
【0022】
熱の均一な分布のために、特に、ガイドエレメントが、加熱細管により形成されており、該加熱細管を通って糸が接触しながら案内される本発明の改良形が有効であると実証されている。加熱細管は、支持管によって全周にわたってできるだけ緊密に接触して加熱されるように、支持管内に同軸的に挿入される。
【0023】
本発明による加熱装置は特に、テクスチャード加工機械のテクスチャード加工領域において合成糸を加熱するために適している。少ない巻き付け若しくは巻掛けで保証される安定的な糸案内により、糸における仮撚りも加熱管を通して管理される。
【0024】
本発明をさらに説明するために、以下で1つの実施例を添付の図面に関連して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係る加熱装置の1つの実施例を概略的に示す横断面図である。
図2.1】図1に示した実施例の加熱入口を1つの位置で概略的に示す横断面である。
図2.2】図1に示した実施例の加熱入口を別の位置で概略的に示す横断面である。
図3図1に示した実施例の加熱出口を概略的に示す横断面図である。
【0026】
図1には、走行する糸を加熱する本発明に係る加熱装置の1つの実施例の横断面が概略的に図示されている。この実施例は、テクスチャード加工領域において撚られた糸を加熱するか、または後処理領域においてテクスチャード加工された糸を収縮処理のために加熱するために、好適にはテクスチャード加工機械において使用される。本発明に係る加熱装置のこの実施例は、支持管2を有している。この支持管2は、ガイドエレメント3により貫通されている。ガイドエレメント3は、この実施例では、加熱細管により形成されており、この加熱細管は、支持管2内に同軸的に配置されている。加熱細管3内には、糸通路6が形成されている。この糸通路6を通って、糸が接触しながら案内される。このためには、支持管2および加熱細管3は、僅かな湾曲を有して形成されている。
【0027】
支持管2と加熱細管3とは、ケーシング1を貫通しており、ケーシング1の一方の端部において加熱入口7を形成し、ケーシング1の反対側に位置する端部において加熱出口2.1を形成している。加熱入口7および加熱出口2.1の構成を、以下でより詳細に説明する。
【0028】
ケーシング1内には、加熱チャンバ4が形成されており、この加熱チャンバ4は、支持管2により貫通される。加熱チャンバ4は、複数の流体接続部5.1,5.2を介して、熱媒体循環路(図面には詳細に図示せず)に接続されている。したがって、支持管2を外側から加熱するために、加熱チャンバ4内に、熱媒体、たとえばディフィル(Diphyl)を導入することができる。支持管2は、熱伝導性の材料から形成されているので、熱伝達によって加熱細管3が一緒に加熱される。加熱チャンバ4は、ケーシング1内で断熱材料により周囲に対して熱絶縁されている。
【0029】
加熱細管3を通過する際に糸において達成されるべき糸温度を調節するために、加熱細管3の周面における糸の接触案内は、できるだけ加熱細管の全長にわたって維持される。この場合に、加熱細管内への糸の走入部と加熱細管からの糸の走出部とは、できるだけ巻付き摩擦が生じないように形成されていなければならない。したがって、糸の走入部のためには、入口糸ガイド15が設けられ、糸の走出部のためには出口糸ガイド22が設けられている。これら糸ガイドの構成および配置を、以下で詳細に説明する。
【0030】
図2.1および図2.2には、図1に示した実施例の加熱入口7の横断面が、異なる状況において概略的に示されている。図2.1では、加熱装置がメンテナンスされた状態である。以下の説明は、図面のうちの1つに明示的に関連付けがされない限り、両方の図に適用される。
【0031】
支持管2の、ケーシング1から突出した支持管端部8.1は、接続アダプタ9に固定的に結合されている。接続アダプタ9は、ケーシング1に保持されている。接続アダプタ9を、加熱細管3の細管端部13が貫通している。自由な細管端部13において、保持ブシュ14が加熱細管に固定的に結合されている。保持ブシュ14は、たとえば加熱細管3を交換するために、加熱細管3と一緒に支持管2および接続アダプタ9から引き出される。
【0032】
図2.1に図示されているように、接続アダプタ9に、入口アダプタ10が、ばね予荷重を加えた状態で形状結合式に保持されている。このためには、入口アダプタ10と接続アダプタ9との間に2つの引張ばね11.1と11.2が緊張されて配置されており、これらの引張ばねは、ばねホルダ12.1~12.4により保持されている。
【0033】
入口アダプタ10を受容し、かつセンタリングするために、接続アダプタ9に保持された保持ブシュ14は、加熱細管3の細管端部13と反対側に位置する側にセンタリング開口14.1を有しており、このセンタリング開口14.1は、入口アダプタ10の中空ピントル(短管)10.2を受容するために働く。入口アダプタ10および中空ピントル10.2を、通路10.1が貫通している。
【0034】
入口アダプタ10の入口側で、通路10.1の拡大された部分に入口糸ガイド15が配置されている。入口糸ガイド15は、支持管2の内径よりも大きな内径を有するガイドリング20によって形成されている。入口糸ガイド15は、接触面28を有しており、この接触面28は、加熱細管3の細管端部13に設けられた摺接面29と共に糸摺接面18を成している。これにより、糸30は接線方向に沿って加熱細管3内に導入されることになる。
【0035】
入口糸ガイド15には、供給糸ガイド16が対応配置されている。供給糸ガイド16は、入口糸ガイド15と共に供給平面19を確定している。供給糸ガイド16と入口糸ガイド15との間の供給平面19は、入口糸ガイド15と細管端部13との間の糸摺接面18に対して、180°未満の角度を成している。これにより、安定した糸走路が形成され、この糸走路は、糸30の穏やかな走入を可能にする。
【0036】
供給糸ガイド16は、入口アダプタ10の通路10.1に接続されているガイド管17内に組み込まれている。ガイド管17と入口アダプタ10の通路10.1とは、特に糸の吸込みを可能にするために、環状の入口糸ガイド15と一緒に通路を形成している。ガイドリング20の移行部および特にサイズは、糸端部をサクション流によって加熱細管3の内部に案内することができるように構成されている。
【0037】
メンテナンスする場合に加熱細管3を支持管2から取り出すために、入口アダプタ10が支持管2から引き出されて、接続アダプタ9の隣へ側方に移動させられる。これにより、保持ブシュ14が加熱細管3と一緒に取り出される。この状況は、図2.2に図示されている。
【0038】
入口アダプタ10は、その中空ピントル10.2が保持ブシュ14のセンタリング開口14.1から外れるように、オペレータにより手動で、または自動操作ユニットにより自動化されて引張ばね11.1,11.2の引張力に抗して移動させることができる。中空ピントル10.2がセンタリング開口14.1から導出されるや否や、入口アダプタ10は、ガイドエレメント3の交換のためのメンテナンス位置で加熱入口7に保持される。入口アダプタ10のメンテナンス位置が、図2.2に破線で図示されている。これにより、入口アダプタ10は、側方で接続アダプタ9の隣に位置している。入口アダプタ10に配置されたガイド管17は一緒に移動させられる。
【0039】
それぞれのガイドエレメント、この場合は加熱細管3の交換が行われるや否や、入口アダプタ10は再び元の運転位置に戻される。これにより、入口糸ガイド15および供給糸ガイド16の位置は不変のままである。
【0040】
図3には、ケーシング1に設けられた加熱出口21が横断面図で概略的に図示されている。このためには、ケーシング1に、出口アダプタ27が配置されており、この出口アダプタ27は、ケーシング1から突出する支持管端部8.2に結合されている。出口アダプタ27は、支持管2の延長方向に出口通路23を有している。出口通路23内には、出口糸ガイド22が配置されている。出口糸ガイド22は同様に、ガイドリング20により形成されており、ガイドリング20の内径は支持管2の内径よりも大きい。出口糸ガイド22は、同様に接触面28を有しており、接触面28は、支持管2の内部に保持された細管端部13と共に糸摺接面18を形成している。
【0041】
出口糸ガイド22に対しては、出口アダプタ27の端部において、走出糸ガイド25が対応配置されている。走出糸ガイド25と出口糸ガイド22とによって、走出平面26が確定される。走出平面26と糸摺接面18とは、同様に、それらの間で180°未満の角度を成すように、互いに対して位置調整されている。したがって、糸30が、加熱細管3の摺接面29に一貫して接触することが達成される。
【0042】
出口アダプタ27は、走出糸ガイド25と出口糸ガイド22との間に、外方に向かって開いた挿入開口24を有している。この挿入開口24は、出口通路23に開口している。挿入開口24は糸サクションガンのサクション端部を収容するために用いられるもので、糸サクションガンは糸を通すために挿入開口24内に挿入することができる。これにより、糸サクションガンによって生成された吸引力が、加熱出口21から加熱入口7に至るまで直接に伝達される。
【0043】
図1図3に図示された実施例では、支持管2内にガイドエレメントとしての加熱細管3が備えられている。基本的には、本発明には、たとえば、プロファイル(特定)断面を有し、単に片側のみで支持管に接触しているガイドエレメントも含まれる。
【0044】
さらに、可動式の入口アダプタ10の構造的な構成は例示的であり、1つの可能な構造バリエーションに過ぎない。本発明にとって重要であるのは、入口糸ガイド15を、入口アダプタ10によって、糸を案内するための運転位置またはガイドエレメント(加熱細管)を交換するためのメンテナンス位置に保持することができることにある。したがって、本発明に係る加熱装置は、特にオペレータフレンドリーである。
図1
図2.1】
図2.2】
図4