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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】弁形成構造の収縮
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20241125BHJP
【FI】
A61F2/24
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021575007
(86)(22)【出願日】2020-07-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-07
(86)【国際出願番号】 IL2020050808
(87)【国際公開番号】W WO2021014440
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2023-07-21
(31)【優先権主張番号】62/877,776
(32)【優先日】2019-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521013769
【氏名又は名称】エドワーズ ライフサイエンシーズ イノベーション (イスラエル) リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・シャロン
【審査官】大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0125325(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0280604(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0243963(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0049875(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁形成構造を備えた被験者の心臓での使用のためのシステムであって、前記弁形成構造は、
可撓性を有しているスリーブであって、近位スリーブ端部と、遠位スリーブ端部と、前記近位スリーブ端部と前記遠位スリーブ端部との間に長手管腔を形成する周壁とを有する前記スリーブと、
近接端及び遠位端を有する細長い収縮部材であって、前記収縮部材の前記近接端が前記スリーブの取付点で前記スリーブに取り付けられ、前記取付点及び前記近位スリーブ端部が近位スリーブ端部部分を形成し、前記収縮部材の近接端部分は、前記スリーブの前記周壁に関連して、前記取付点から前記遠位スリーブ端部まで延び、前記スリーブの入口点で前記スリーブの前記長手管腔に入ることによって前記収縮部材の遠位端部分は前記長手管腔内に配置され、前記入口点及び前記スリーブの前記遠位端が遠位スリーブ端部部分を形成する、収縮部材と、
前記スリーブを組織に固定するために、前記周壁を通して組織内に延びるように構成された複数の組織アンカであって、少なくとも1つの組織アンカが前記遠位スリーブ端部部分内に配置されている、組織アンカとを備え、
前記収縮部材の前記遠位端を引っ張ることにより、前記スリーブを長手方向に収縮させるように、前記長手管腔内に配置された前記収縮部材の前記遠位端部分の長さを近接して増加させるシステム。
【請求項2】
係合要素を備えた収縮ツールをさらに備え、前記係合要素は前記遠位スリーブ端部に向けて前記スリーブの前記長手管腔内へ前記長手管腔を通って長手方向に移動可能であり、前記収縮部材の前記遠位端に可逆的に結合可能であり、前記係合要素が前記収縮部材の前記遠位端に可逆的に結合される場合、前記係合要素を近接して引っ張ることにより、前記スリーブを長手方向に収縮させるように、前記長手管腔内に配置された前記収縮部材の前記遠位端部分の長さを増加させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記収縮部材の前記遠位端に可逆的に結合された細長いガイド部材をさらに備え、前記ガイド部材は前記スリーブの前記長手管腔を通して近接に延びている、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
ロック機構をさらに備え、前記ロック機構は、前記ロック機構が前記ロック機構を通して前記収縮部材の移動、及び前記スリーブの前記長手管腔内に配置された前記収縮部材の前記遠位端部分の長さの増加を可能にする非ロック状態、及び前記ロック機構が前記ロック機構を通して前記収縮部材の移動を抑制するロック状態を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
ロック機構は、収縮ツールに結合され、前記収縮ツールを使用して、前記スリーブの前記入口点に向けて前記スリーブの前記長手管腔を通して長手方向に前進可能である、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記ロック機構を係合し、非ロック状態に前記ロック機構を移行するように構成されたロックツールをさらに備えた、請求項4又は5に記載のシステム。
【請求項7】
前記ロック機構はロック状態を想定するように付勢され、前記ロックツールは、前記ロックツールが前記ロック機構に係合している間に前記非ロック状態に前記ロック機構を保持し、前記ロック機構から係脱することによって前記ロック状態に前記ロック機構を移行するように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、全ての目的で参照により全体が本明細書に組み込まれている米国仮特許出願第62/877,776号に基づく優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
虚血性心疾患は、例えば、乳頭筋の虚血性機能不全、及び虚血性心疾患に関連する心室の拡張の組合せによって、乳頭筋のその後の置換及び/又は弁輪の拡張で、房室弁逆流を引き起こす可能性がある。
【0003】
房室弁の弁輪の拡張は、弁が閉じる場合に、弁尖が完全に接合するのを防ぐことができる。心房内への心室からの血液の逆流は、総拍出量の増加及び心拍出量の減少、及び心房の容量過負荷及び圧力過負荷に続発する心室の最終的な弱まりにつながる可能性がある。
【0004】
弁形成リングの移植などによる弁形成術は、房室弁輪の形状を調節することによって弁尖接合を改良するために使用することができる。経皮(例えば、経大腿動脈、経中隔など)弁形成デバイスは有益である可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2012/176195号
【文献】国際公開第2010/128503号
【文献】国際公開第2013/069019号
【文献】国際公開第2014/064694号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本要約は、幾つかの実施例を提供することを意味し、あらゆる方法で発明の範囲を限定することを意図するものではない。例えば、本要約の実施例に含まれるあらゆる機構は、特許請求の範囲が機構を明示的に言及しない限り、特許請求の範囲によって必要とされない。また、記載した機構は様々な方法で組み合わせることができる。本明細書の記載は、心臓及び/又はその一部を再形成するために使用することができるシステム、アセンブリ、方法、デバイス、装置、組合せなどに関する。本開示のどこかに記載されるような様々な機構及びステップは、ここで要約される実施例に含めることができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
スリーブ及び収縮部材(例えば、収縮ワイヤなど)を備えた調節可能な弁形成構造は、収縮部材に張力を加えることによって収縮される。例示的な応用例では、収縮部材の得られた余剰分は、スリーブの管腔内に堆積され、例えば、切断によってインプラントから余剰分を取り除く必要性をなくす。弁形成構造の収縮はしたがって、管腔内に配置された収縮部材を引っ張る、及び/又は収縮部材の長手方向割合内に増加することによって達成することができる。収縮は、収縮部材にロック機構をロックすることによって維持することができる。
【0008】
幾つかの応用例では、収縮部材は、管腔内から管腔内に引っ張られる。
【0009】
したがって、幾つかの応用例により、対象者の心臓での使用のためのシステム及び/又は装置が提供され、システム/装置は、第1のスリーブ端部部分、第2のスリーブ端部部分、及び第1及び第2のスリーブ端部部分の間で長手管腔を形成する周面を有する可撓性スリーブを備えた弁形成構造を備えている。弁形成構造はまた、収縮ワイヤなどの細長い収縮部材を備えることができる。第1の端部(例えば、第1のワイヤ端部)及び第2の端部(例えば、第2のワイヤ端部)を有する収縮部材/ワイヤ。第1の端部又はワイヤ端部は、第1のスリーブ端部部分においてスリーブに、及び周面に関連して、第1のスリーブ端部部分から第2のスリーブ端部部分まで延びる部材/ワイヤに取り付けることができる。
【0010】
システム/装置はまた、組織にスリーブを固定するように構成された複数の組織アンカを備えることができる。複数の組織アンカは、周壁を通して組織内に駆動されることによって組織に第2のスリーブ端部部分を固定するように構成された少なくとも1つの第2のスリーブ端部部分組織アンカを備えることができる。
【0011】
幾つかの実施では、システム/装置はまた、スリーブの管腔内に配置された部材/ワイヤの第2の端部部分又は第2のワイヤ端部部分を囲み、収縮力を加える間に少なくとも1つの第2のスリーブ端部部分組織アンカに加えられる力を細長い収縮部材/ワイヤに分配するように構成された力分配要素を備えている。
【0012】
幾つかの実施では、部材/ワイヤは、長手方向に管腔内に配置された部材/ワイヤの長手方向割合を増加させることによりスリーブを収縮させるように、スリーブに対して配置されている。
【0013】
一応用例では、力分配要素は、複数のスリットを形成するように形成された管を備え、複数のスリットは力分配要素の可撓性を大きくする。
【0014】
一応用例では、力分配要素は可撓性コイルを備えている。
【0015】
一応用例では、複数の組織アンカの各組織アンカは、スリーブの管腔内に独立して前進可能であり、周壁を通して組織内に駆動されることによって組織にスリーブを固定するように構成されている。
【0016】
一応用例では、少なくとも1つの第2のスリーブ端部部分組織アンカは、スリーブの管腔内に配置された部材/ワイヤの第2の端部部分又は第2のワイヤ端部部分を含む第2のスリーブ端部部分の部分で第2のスリーブ端部部分を固定するように構成されている。
【0017】
一応用例では、部材/ワイヤは、第1のスリーブ端部部分と第2のスリーブ端部部分の間で周壁に沿って織ることによって、周壁に関連して第1のスリーブ端部部分から第2のスリーブ端部部分まで延びている。
【0018】
一応用例では、部材/ワイヤの第2の端部部分又は第2のワイヤ端部部分は、入口点で第2のスリーブ端部部分内に配置されるようにスリーブの管腔内に入り、少なくとも1つの第2のスリーブ端部部分組織アンカは入口点に近接して固定可能である。
【0019】
一応用例では、第2の端部又は第2のワイヤ端部はスリーブの管腔内に配置され、第2のスリーブ端部部分に向かう第2の端部又は第2のワイヤ端部の移動が、スリーブの管腔内に部材/ワイヤを引き込むことによってスリーブの管腔内に配置された部材/ワイヤの長手方向割合を増加させるように、部材/ワイヤはスリーブに対して配置されている。
【0020】
一応用例では、部材/ワイヤは、第1のスリーブ端部部分と第2のスリーブ端部部分の間で周壁に沿って織ることによって、周壁に関連して第1のスリーブ端部部分から第2のスリーブ端部部分まで延びている。
【0021】
一応用例では、システム/装置はさらに、アンカ運搬チャネル及びアンカ運搬チャネル内で摺動可能なアンカドライバを含むアンカ運搬ツールを備えている。
【0022】
一応用例では、システム/装置はさらに、アンカ運搬ツールの遠位端に結合された結合要素を備え、結合要素はスリーブの近接端を巻き込み、そこに加えられる力がない状態でアンカ運搬ツールの中心長手軸に向けて内側に撓む傾向があるように構成されている。
【0023】
一応用例では、チャネルは、(a)弁形成構造のスリーブを結合要素に対して押すことによって、スリーブへの結合要素の結合を維持し、(b)スリーブの管腔から取り除かれ、結合要素が内向きに撓み、スリーブから分離されることを可能にすることによって、弁形成構造からのアンカ運搬ツールの分離を容易にするように構成されている。
【0024】
一応用例では、
複数の組織アンカの各アンカは、
アンカヘッド及び組織係合要素を備え、
アンカドライバによってスリーブの管腔内で独立して前進可能であり、
アンカヘッドがスリーブの管腔内にある間に周壁を通して組織内に駆動されている組織係合要素によってスリーブに組織を固定するように構成され、
アンカドライバは、複数の組織アンカを使用してスリーブの固定の後に、チャネルの管腔内から取り外し可能である。
【0025】
一応用例では、システム/装置はさらに、収縮部材係合要素又はワイヤ係合要素を備えた収縮ツールを備え、係合要素は、複数の組織アンカを使用してスリーブの固定の後に、
スリーブの管腔内にチャネルの管腔を通して長手方向に移動可能であり、
部材の第2の端部又はワイヤの第2のワイヤ端部を巻き込むように構成されたスネアを備え、
第2の端部又は第2のワイヤ端部に結合されている間に、第2の端部又は第2のワイヤ端部がチャネルの管腔内に引っ張られるように、チャネルの管腔内で移動可能であり、それによって、スリーブの管腔内に部材/ワイヤを引き込み、スリーブを長手方向に収縮させる。
【0026】
一応用例では、システム/装置はさらに、部材の第2の端部又はワイヤの第2のワイヤ端部に結合され、第2のスリーブ端部部分内に配置されたループを備え、ループはスリーブの管腔内で前進可能なチャネルの端部部分を囲み、チャネルは、複数の組織アンカの移植を容易にするために、ループが第2のスリーブ端部部分内に配置されながらループに対して摺動可能である。
【0027】
一応用例では、スネアは、収縮部材/ワイヤに収縮力を加えるのを容易にするために、ループを巻き込み、チャネルの管腔内にループを引っ張るように構成され、ループは、スネアがチャネルの管腔を通してループ及び収縮部材/ワイヤの部分を引くときに、チャネルの管腔内で圧縮可能である。
【0028】
一応用例では、システム/装置はさらに、第2のスリーブ端部部分でクロージャ機構を備え、クロージャ機構は、チャネルがクロージャ機構を通過する間に、開口状態で維持可能である。
【0029】
一応用例では、チャネルは、複数の組織アンカの移植を容易にするために、ループ及びクロージャ機構に対して摺動可能である。
【0030】
一応用例では、システム/装置はさらに、収縮部材係合要素又はワイヤ係合要素を備えた収縮ツールを備え、係合要素は、
スリーブの管腔内に第2のワイヤ端部に向かってスリーブの管腔を通して長手方向に移動可能であり、
第2の端部又は第2のワイヤ端部に可逆的に結合可能であり、
第2の端部又は第2のワイヤ端部に結合される間に、第2の端部又は第2のワイヤ端部が第1のスリーブ端部部分に向かって移動されるように第1のスリーブ端部部分に向かって長手方向に移動可能であり、それによって管腔内に部材/ワイヤを引き込み、スリーブを長手方向に収縮させる。
【0031】
一応用例では、システム/装置は、ロック機構をさらに備え、ロック機構は、
ロック機構を通した部材/ワイヤの移動、及びスリーブの管腔内に配置された部材/ワイヤの長手方向割合の増加をロック機構が可能にする非ロック状態、及び
ロック機構がロック機構を通した部材/ワイヤの移動を抑制するロック状態を有する。
【0032】
一応用例では、ロック機構は、スリーブの管腔内に位置決め可能である。
【0033】
一応用例では、システム/装置はさらに、収縮部材係合要素又はワイヤ係合要素を備えた収縮ツールを備え、
係合要素は、
スリーブの管腔内に、第2の端部又は第2のワイヤ端部に向かってスリーブの管腔を通して長手方向に移動可能であり、
スリーブの管腔内で、第2の端部又は第2のワイヤ端部に可逆的に結合可能であり、
第2の端部又は第2のワイヤ端部に結合されている間に、第2の端部又は第2のワイヤ端部が第2のスリーブ端部部分に向かって移動されるように、第2のスリーブ端部部分に向かって長手方向に移動可能であり、それによって部材/ワイヤをスリーブの管腔内に引き込み、スリーブを長手方向に収縮させ、
ロック機構は、
収縮ツールに結合され、
収縮ツールを使用して、スリーブの管腔を通して第2のスリーブ端部部分及び部材/ワイヤに向かって長手方向に前進可能である。
【0034】
一応用例では、システム/装置はさらに、ロック機構を係合し、ロック機構をロック状態に移行するように構成されたロックツールを備えている。
【0035】
一応用例では、ロック機構は、ロック状態を想定するように付勢され、ロックツールは、ロックツールがロック機構に係合されている間に非ロック状態にロック機構を保持するように構成され、ロックツールは、ロック機構から係脱することによってロック状態内にロック機構を移行するように構成されている。
【0036】
さらに、幾つかの応用例により、運搬ツールを使用して、対象者の弁の輪に弁形成構造を固定するステップを含む方法が提供される。弁形成構造は、本明細書あるいは他で知られている他の弁形成構造と同じ、又は同様である可能性がある。幾つかの応用例では、例えば、弁形成構造は、(i)そこを通して長手方向管腔を形成する可撓性スリーブ、及び(ii)細長い収縮部材(例えば、収縮ワイヤなど)を備えている。
【0037】
方法はさらに、その後、運搬ツールが弁形成構造に結合されている間に、スリーブを長手方向に収縮させるステップを含む。スリーブは、様々な方法で収縮させることができる。幾つかの応用例では、スリーブは、例えば、管腔内に収縮部材/ワイヤを引き込むことによって、管腔内に配置された収縮部材/ワイヤの長手方向割合を増加させる、又は収縮部材/ワイヤを管腔内に入れることによって収縮される。
【0038】
一応用例では、運搬ツールはその近接端で弁形成構造に結合され、長手方向に収縮するステップは、収縮部材/ワイヤを近接して長手方向に引っ張るステップを含む。
【0039】
一応用例では、スリーブは管腔を形成する周壁を備え、弁形成構造を輪上に固定するステップは、その後、複数のアンカの各アンカは、
アンカをスリーブの管腔内に前進させるステップと、
アンカのアンカヘッドがスリーブの管腔内に留まるように、アンカの組織係合要素を、周壁を通して輪内に駆動するステップと
を含む。
【0040】
一応用例では、方法はさらに、スリーブを長手方向に収縮するステップの後に、ロック機構を収縮部材/ワイヤにロックすることによってスリーブの収縮状態を維持するステップを含む。
【0041】
一応用例では、ロック機構をロックするステップは、弁形成構造に運搬ツールの結合を維持しながら、ロック機構をロックするステップを含んでいる。
【0042】
一応用例では、方法はさらに、ロックの前に、スリーブの管腔内の力分配要素を運搬するステップと、力分配要素を使用して弁形成構造に沿って収縮力の分配を容易にするステップとを含む。
【0043】
一応用例では、弁形成構造を固定するステップは、複数の組織アンカを移植するステップを含み、力分配要素を運搬するステップは、複数の組織アンカのサブセットに沿って収縮力を分配するステップを含む。
【0044】
一応用例では、ロック機構をロックするステップは、力分配要素を定位置にロックするステップを含む。
【0045】
一応用例では、収縮部材/ワイヤはループに結合され、ループは、輪上への弁形成構造の固定中に運搬ツールの部分を囲んでいる。
【0046】
一応用例では、長手方向に収縮するステップは、
ループが運搬ツールの部分を囲まないまで運搬ツールの部分を収縮するステップと、
ループを巻き込むステップと、
その後、ループを引っ張ることによって収縮部材/ワイヤを長手方向に引っ張るステップと
を含んでいる。
【0047】
一応用例では、輪上に弁形成構造を固定するステップは、
ループが運搬ツールの部分を囲んでいる間に、スリーブの管腔を通して運搬ツールの部分を前進させるステップと、
運搬ツールの部分を通して複数の組織アンカを運搬するステップと、
ループが運搬ツールの部分を囲んでいる間に運搬ツールを使用し、複数の組織アンカの各1つをスリーブのそれぞれの部分を通して輪の組織内に駆動することによって輪に弁形成構造を固定するステップと
を含んでいる。
【0048】
一応用例では、スリーブの管腔を通して運搬ツールの部分を前進させるステップは、ループが固定されたままである間に、ループに対して運搬ツールの部分を移動させるステップを含んでいる。
【0049】
一応用例では、スリーブの管腔を通して運搬ツールの部分を前進させるステップは、管腔を通して遠位に運搬ツールの部分を前進させるステップを含み、複数の組織アンカの各1つをスリーブのそれぞれの部分を通して輪の組織内に駆動するステップは、各連続駆動で近接に運搬ツールの部分を収縮させるステップを含んでいる。
【0050】
一応用例では、運搬ツールの部分はスリーブの管腔内で摺動し、方法はさらに、管腔内に運搬ツールの部分を維持することによって、弁形成構造への運搬ツールの結合を維持するステップを含んでいる。
【0051】
一応用例では、運搬ツールの結合を維持するステップは、弁形成構造のスリーブに結合された運搬ツールの結合要素を外向きに押すステップを含み、方法はさらに、管腔内から運搬ツールの部分を取り除き、結合要素が内向きに撓み、弁形成構造のスリーブから係脱するのを可能にすることによって弁形成構造から運搬ツールを取り外すステップを含んでいる。
【0052】
一応用例では、運搬ツールの結合を維持するステップは、管腔内に運搬ツールの部分を維持することによって、弁形成構造のクロージャ機構を開口状態に維持するステップを含んでいる。
【0053】
一応用例では、方法はさらに、管腔内から運搬ツールの部分を取り除き、クロージャ機構を閉塞状態に移行することによって、弁形成構造から運搬ツールを取り外すステップを含んでいる。
【0054】
本方法は、死体、死体心臓、シミュレータ(例えば、シミュレーションされている身体部分、組織など)などの上など、生きている動物又はシミュレーション上で行うことができる。
【0055】
さらに、幾つかの応用例では、被験者の心臓で使用するためのシステム及び/又は装置が提供され、システム/装置は、第1のスリーブ端部部分、第2のスリーブ端部部分、及び第1及び第2のスリーブ端部部分の間で長手管腔を形成する周壁を有する可撓性スリーブを備えた弁形成構造を備えている。弁形成構造はまた、第1の端部(例えば、第1のワイヤ端部)及び第2の端部(例えば、第2のワイヤ端部)を有する細長い収縮部材/ワイヤを備えている。第1の端部又は第1のワイヤ端部は、第1のスリーブ端部部分から第2のスリーブ端部部分に向けて、周壁に関連して延びる部材/ワイヤで第1のスリーブ端部部分においてスリーブに取り付けることができる。
【0056】
幾つかの応用例では、システム/装置はまた、スリーブを組織に固定するように構成された複数の組織アンカを備えている。複数の組織アンカは、周壁を通して組織内に駆動されることによって、第2のスリーブ端部部分を組織に固定するように構成された少なくとも1つの第2のスリーブ端部部分組織アンカを備えることができる。
【0057】
幾つかの応用例では、システム/装置はまた、アンカ運搬チャネル、及びアンカ運搬チャネル内で摺動可能なアンカドライバを含むアンカ運搬ツールを備えている。
【0058】
幾つかの応用例では、ループは、部材の第2の端部又はワイヤの第2のワイヤ端部に結合され、第2のスリーブ端部部分内に配置されている。ループは、スリーブの管腔内で前進可能なチャネルの端部部分を囲むことができ、チャネルは、複数の組織アンカの移植を容易にするために、ループが第2のスリーブ端部部分内に配置されたままである間に、ループに対して摺動可能である。
【0059】
幾つかの応用例では、部材/ワイヤは、管腔内に配置された部材/ワイヤの長手方向割合を増加させる、又は部材/ワイヤが長手方向に管腔に入るようにすることにより、スリーブを収縮させるように、スリーブに対して配置されている。
【0060】
一応用例では、システム/装置はさらに、アンカ運搬ツールの遠位端に結合された結合要素を備え、結合要素は、スリーブの近接端を巻き込み、そこに加えられる力がない状態でアンカ運搬ツールの中心長手軸に向けて内側に撓む傾向があるように構成されている。
【0061】
一応用例では、チャネルは、(a)弁形成構造のスリーブを結合要素に対して押すことによって、スリーブへの結合要素の結合を維持し、(b)スリーブの管腔から取り除かれ、結合要素が内向きに撓み、スリーブから分離されることを可能にすることによって、弁形成構造からのアンカ運搬ツールの分離を容易にするように構成されている。
【0062】
一応用例では、
複数の組織アンカの各アンカは、
アンカヘッド及び組織係合要素を備え、
アンカドライバによってスリーブの管腔内で独立して前進可能であり、
アンカヘッドがスリーブの管腔内にある間に周壁を通して組織内に駆動されている組織係合要素によってスリーブに組織を固定するように構成され、
アンカドライバは、複数の組織アンカを使用してスリーブの固定の後に、チャネルの管腔内から取り外し可能である。
【0063】
一応用例では、システム/装置はさらに、収縮部材係合要素又はワイヤ係合要素を備えた収縮ツールを備え、係合要素は、複数の組織アンカを使用してスリーブの固定の後に、
スリーブの管腔内にチャネルの管腔を通して長手方向に移動可能であり、
部材の第2の端部又はワイヤの第2のワイヤ端部を巻き込むように構成されたスネアを備え、
第2の端部又は第2のワイヤ端部に結合されている間に、第2の端部又は第2のワイヤ端部がチャネルの管腔内に引っ張られるように、チャネルの管腔内で移動可能であり、それによって、スリーブの管腔内に部材/ワイヤを引き込み、スリーブを長手方向に収縮させる。
【0064】
一応用例では、スネアは、収縮部材/ワイヤに収縮力を加えるのを容易にするために、ループを巻き込み、チャネルの管腔内にループを引っ張るように構成され、ループは、スネアがチャネルの管腔を通してループ及び収縮部材/ワイヤの部分を引くときに、チャネルの管腔内で圧縮可能である。
【0065】
一応用例では、システム/装置はさらに、第2のスリーブ端部部分でクロージャ機構を備え、クロージャ機構は、チャネルがクロージャ機構を通過する間に、開口状態で維持可能である。
【0066】
一応用例では、チャネルは、複数の組織アンカの移植を容易にするために、ループ及びクロージャ機構に対して摺動可能である。
【0067】
本明細書のどこかに記載された他の機構、構成部品及びステップはまた、上に記載したシステム、装置、及び方法で使用する、及び/又はそれらに追加することができる。本明細書の方法は、死体、死体心臓、シミュレータ(例えば、シミュレーションされている身体部分、組織など)などの上など、生きている動物又はシミュレーション上で行うことができる。
【0068】
本発明は、図面とあわせて、その応用例の以下の詳細な説明からより完全に理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1A】生来の心臓弁を治療するための例示的弁形成システムの概略図である。
図1B】生来の心臓弁を治療するための例示的弁形成システムの概略図である。
図1C】生来の心臓弁を治療するための例示的弁形成システムの概略図である。
図1D】生来の心臓弁を治療するための例示的弁形成システムの概略図である。
図1E】生来の心臓弁を治療するための例示的弁形成システムの概略図である。
図2A】生来の心臓弁を治療するための例示的弁形成システムの概略図である。
図2B】生来の心臓弁を治療するための例示的弁形成システムの概略図である。
図2C】生来の心臓弁を治療するための例示的弁形成システムの概略図である。
図2D】生来の心臓弁を治療するための例示的弁形成システムの概略図である。
図2E】生来の心臓弁を治療するための例示的弁形成システムの概略図である。
図2F】生来の心臓弁を治療するための例示的弁形成システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0070】
インプラント22を備えた例示的弁形成システム20の概略図である、図1A図1Eを参照する。システム20は、被験者の心臓4の生来の弁10(例えば、僧帽弁又は三尖弁などの房室弁)を治療するためのものである。システム20を使用して本明細書に記載したような方法、技術、ステップなどのいずれか及び全ては、生きている動物上、又は生きていない死体、死体心臓、シミュレータ、擬人化されたゴーストなどの上で行うことができる。
【0071】
インプラント22は、弁形成バンド又は弁形成リングなどの弁形成構造である可能性があるインプラント本体24を備えている。インプラント本体24は、可撓性スリーブ25を備えている。スリーブ25は、第1のスリーブ端部(すなわち、スリーブ25の近接端)、第1のスリーブ端部部分42(すなわち、スリーブ25の近接端部分)、第2のスリーブ端部(すなわち、スリーブ25の遠位端)、第2のスリーブ端部部分44(すなわち、スリーブ25の遠位端部分)、及び周壁46を有する。明細書及び特許請求の範囲の内容で、「遠位」という用語は、被験者の身体内への入口点からより離れている本明細書に記載されたシステムのいずれかの部分のことを言い、「近接」という用語は、被験者の身体内への入口点により近い本明細書に記載されたシステムのいずれかの部分のことを言うことに留意されたい。
【0072】
周壁46は、第1及び第2のスリーブ端部の間で長手管腔48を形成する。周壁46は、ポリエチレンテレフタレート布、例えば、Dacron(商標)などの布でできている可能性がある。インプラント22はさらに、細長い収縮材又は収縮ワイヤ26を備えている。「ワイヤ」という用語は、ワイヤ26を金属製に限ること、又は備えることができるストランドの数を限定することを意図したものではないことに留意されたい。幾つかの応用例では、収縮部材又は収縮ワイヤは、1つ又は複数の金属ストランドを備えている。幾つかの応用例では、収縮部材又は収縮ワイヤ26は、1つ又は複数のポリマーストランドを備えている。幾つかの応用例では、収縮部材又は収縮ワイヤ26は、編まれる又は織られている。幾つかの応用例では、収縮部材又は収縮ワイヤ26は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの低摩擦コーティングで覆われている。
【0073】
インプラント本体24は、弁10の輪周りに部分的に(例えば、50%、60%、70%、80%、90%、50%~99%など)、又は完全に配置されるように構成することができる。インプラント本体24は、アンカ、縫合糸、クリップ、及び/又は他の取付手段などの様々な方法で組織(例えば、心臓弁輪の組織など)に取り付けることができる。幾つかの実施形態では、インプラント本体24は、複数の(例えば、5個~20個の)組織アンカ32を使用して定位置に固定されるように構成されている。一実施形態では、各組織アンカは、組織結合要素34、及び組織結合要素の端部に締め付けられたツール係合ヘッド36を備えている。幾つかの実施形態では、被験者内へのインプラント本体24の導入の後に、各アンカ32はその後(及び、典型的には独立して)スリーブの管腔内に体内で運搬され、その組織結合要素34は、周壁を通して弁輪の組織内に駆動され、それによってスリーブを弁輪に固定する。組織への取り付け後、インプラント本体24の長手方向収縮は、弁輪を周方向に締め付け、それによって弁尖の接合を改善し、逆流を少なくする。組織アンカ32はまた、参照として本明細書に組み込まれている特許文献1に開示される、あるいは他で当業界で知られているように、異なる形状とすることができる。
【0074】
幾つかの応用例では、可撓性スリーブ25は、それぞれの長手部位でスリーブに沿って位置決めされた、複数の放射線不透過性マーカを備えている。マーカは、スリーブに沿ってアンカ32間の所望の距離を設定することを可能にするために、移植処置中にあらゆる所与の点でスリーブのどれだけが展開されたかの放射線画像(蛍光透視画像など)内の表示を提供することができる。幾つかの応用例では、マーカは放射線不透過性インクを含む。
【0075】
幾つかの応用例では、インプラント本体24の弁形成構造は、参照として本明細書に組み込まれている、以下の公報の1つ又は複数に記載された弁形成構造である、又は変更するところは変更してその構造をもつ機構を共有する。幾つかの応用例では、インプラント22は、変更するところは変更して、特許文献2、特許文献1、特許文献3、及び特許文献4のうち1つ又は複数の特許文献に記載されるように移植される。
【0076】
収縮部材/ワイヤ26は、第1の端部52(すなわち、近接端又は近接ワイヤ端部52)、及び第2の端部又は第2のワイヤ端部54(すなわち、遠位端又は遠位ワイヤ端部52)を有する。幾つかの実施形態では、第1の端部又は第1のワイヤ端部52は、第1のスリーブ端部部分42でスリーブ25に取り付けられ(例えば、固定して取り付けられ)、部材/ワイヤ26は、スリーブの周壁に関連して、第1のスリーブ端部部分42から第2のスリーブ端部部分44まで延びている。幾つかの実施形態では、図示するように、部材/ワイヤ26と周壁46の間の関連は、第1のスリーブ端部部分42と第2のスリーブ端部部分44の間で周壁に沿って、その一部として織られた部材/ワイヤによって提供される。
【0077】
図示するように、第1及び第2のスリーブ端部部分42及び44は、スリーブ25の単なる極端部ではない、すなわち第1及び第2のスリーブ端部を備えることができる。同様に、部材/ワイヤ26は、スリーブ25の端部に最後まで延びていない可能性がある。図示するように、少なくとも1つのアンカ32は、部材/ワイヤ26を超えて、第1及び第2のスリーブ端部部分42及び44の少なくとも1つ内に配置することができる。第1のスリーブ端部部分42でスリーブ25に取り付けられている第1の端部又は第1のワイヤ端部52は、第1の端部又は第1のワイヤ端部52が取付点でスリーブ25に取り付けられていることを意味する。第1のスリーブ端部部分42は、取付点と第1のスリーブ端部の間に延びている。部材/ワイヤ26は、第1のスリーブ端部部分42の取付点からスリーブ25の入口点まで延びている。第2のスリーブ端部部分44は、入口点と第2のスリーブ端部の間に延びている。
【0078】
以下により詳細に記載されるように、部材/ワイヤ26は、(第2のスリーブ端部部分44で入口点を通して)管腔内に部材/ワイヤの長手方向割合を引っ張る(例えば、近接方向へのインプラント22に近接した位置からの近接引っ張り)、及び/又は長手方向に管腔内に配置された量を増加させることによりスリーブを収縮させるように、スリーブ25に対して配置されている。任意選択では、部材/ワイヤ26の第2の端部又は第2のワイヤ端部54は、管腔の内側に位置決めすることができる。
【0079】
図1Aは、弁10でのその移植の後のインプラント22を概略図的に示しており、各アンカ32の組織結合要素34はスリーブ25の周壁を通して、弁の輪の中に延びている。ツール係合ヘッド36は、スリーブ25の管腔48内に配置されている。明確にするために、組織係合要素34が中を貫通する組織は示されていない。図示するように、第2の端部又は第2のワイヤ端部54は、移植前に及び/又はその間に、スリーブ25の管腔内に配置することができるか、あるいは管腔外側に配置することができるが、管腔内に引っ張ることが可能である。幾つかの応用例では、図示するように、システム20はさらに、第2の端部又は第2のワイヤ端部54に可逆的に結合され、スリーブ25の管腔を通して近接に、及びインプラント22から離れて(例えば、被験者から)近接に延びている細長い収縮部材28を備えている。
【0080】
インプラント22の移植後に、収縮ツール60は、インプラントの収縮を容易にするために使用される。収縮ツール60は、管腔48内に(例えば、ガイド部材28の上で)、第2の端部又は第2のワイヤ端部54に管腔を通して長手方向に移動可能な収縮部材係合要素又はワイヤ係合要素62を備えている。このような移動が、図1Bに示されている。インプラント本体24がアンカ32を使用して固定される応用例では、ツール60は、管腔内に既に配置されたアンカヘッド36を通過して管腔48を通して前進可能である寸法をしている。
【0081】
係合要素62は、例えば、管腔48内で、第2の端部又は第2のワイヤ端部54に可逆的に結合可能である。このような結合が、図1Cに示されている。インプラント22は、収縮部材/ワイヤ26の第2の端部又は第2のワイヤ端部54に結合された付属物55を備えることができる。係合要素62及び付属物55は、収縮部材/ワイヤの第2の端部又は第2のワイヤ端部への係合要素の可逆的結合を容易にするように相互に構成されている。第2の端部又は第2のワイヤ端部54に結合されている間に、係合要素62は、第2の端部又は第2のワイヤ端部54が第1のスリーブ端部部分に向かって移動されるように、(例えば、近接に引っ張られることによって)第1のスリーブ端部部分42に向かって長手方向に移動可能であり、それによって、管腔48内に収縮部材/ワイヤ26を引き、スリーブ25を長手方向に収縮させる(図1D)。
【0082】
システム20はさらに、収縮ツール60に結合され、収縮ツールを使用して、(例えば、図1B図1Cに示すように)第2のスリーブ端部部分44及び収縮部材/ワイヤ26の第2の端部又は第2のワイヤ端部54に向かって、(例えば、ガイド部材28の上で)管腔48を通して長手方向に前進可能なロック機構70を備えている。幾つかの実施形態では、ロック機構70は、(i)ロック機構がロック機構を通した収縮部材/ワイヤ26の移動、及び管腔内に配置された部材/ワイヤの長手方向割合の増加を可能にする非ロック状態、及び(ii)ロック機構がロック機構を通した部材/ワイヤの移動を抑制するロック状態を有する。
【0083】
スリーブ25の所望の収縮量が、管腔48内で(ロック機構70を通して)収縮部材/ワイヤ26を引くことによって達成されると、ロック機構70は、例えば、管腔48内にロック機構70を係合するロックツール64としても働くツール60を使用してロックされる。ロック機構70のロックは、収縮部材/ワイヤが管腔の外から戻るように移動するのを抑制し、したがって、スリーブの所望の収縮量を維持する。例えば、収縮部材/ワイヤ26にロックされたロック機構70は、部材/ワイヤ26がそこを通して第2のスリーブ端部部分44で管腔に入る入口点又は穴を介して管腔48から出るには大きすぎることがある。任意選択ではあるが、ロック機構70は、スリーブ25の内壁に取り付けられるように構成することができる。
【0084】
ツール60はその後、部材/ワイヤ26から取り外され、インプラント22から取り除くことができる(図1E)。システム20がガイド部材28を備えた応用例では、ガイド部材はまた、インプラント22から取り外される、例えば、ツール60によって容易にされる。
【0085】
部材/ワイヤ26の得られた余剰分56(すなわち、ロック機構70を通過し、スリーブ25の収縮を維持するように働かない部材/ワイヤの部分、例えば、張力を受けていない部材/ワイヤの部分)が管腔48内に配置されていることに留意されたい。発明者は、収縮部材/ワイヤの余剰分がスリーブ25の外側に配置されている仮定上の同様のインプラントと対比して、これは有利には、(例えば、切断によって)収縮部材/ワイヤの余剰分の除去を必要としないと仮定している。
【0086】
次に、幾つかの応用例による、生来の弁10を治療するための弁形成システム120の概略図である図2A図2Fを参照する。システム120は、例えば、変更するところは変更して、上に記載するように、(可撓性スリーブ25を備えた)インプラント本体24及び収縮部材/ワイヤ26を備えた移植可能弁形成構造122を備えている。典型的には、記した場合を除いて、構造122及びその移植は、変更するところは変更して、インプラント22及びその移植について上に記載した通りである。
【0087】
インプラント22に対して記載した通り、構造122の部材/ワイヤ26は、管腔内へ部材/ワイヤ26を引っ張ること、及び/又は管腔内に配置された部材/ワイヤの長手方向割合を増加させることにより、スリーブを長手方向に収縮させるように、スリーブ25で配置することができる。
【0088】
図2A図2Fは、上に記載した、ガイド部材28などのガイド部材を備えていないシステム120を示している。任意選択で、幾つかの実施形態では、システム120は実際、ガイド部材を備えていてもよく、及び/又はシステム20はガイド部材を備えていなくてもよい。
【0089】
収縮部材/ワイヤ26は、第1の端部又は第1のワイヤ端部52(すなわち、部材/ワイヤ26の遠位端又は遠位ワイヤ端部)、及び第2の端部又は第2のワイヤ端部54(すなわち、部材/ワイヤ26の近接端又は近接ワイヤ端部)を有する。幾つかの実施形態では、第1の端部又は第1のワイヤ端部52は、第1のスリーブ端部部分42(すなわち、スリーブ25の遠位端部分)でスリーブ25に取り付けられ(例えば、固定して取り付けられ)、部材/ワイヤ26は、スリーブの周壁に関連して、第1のスリーブ端部部分42から第2のスリーブ端部部分44(すなわち、スリーブ25の近接端部分)まで延びている。第1のスリーブ端部部分42でスリーブ25に取り付けられている第1の端部又は第1のワイヤ端部52は、第1の端部又は第1のワイヤ端部52が取付点でスリーブ25に取り付けられていることを意味する。第1のスリーブ端部部分42は、取付点と第1のスリーブ端部(すなわち、スリーブ25の遠位端部分)の間に延びている。部材/ワイヤ26は、第1のスリーブ端部部分42の取付点からスリーブ25の入口点51まで延びている。第2のスリーブ端部部分44は、入口点51と第2のスリーブ端部(すなわち、スリーブ25の近接端)の間に延びている。幾つかの実施形態では、図示するように、部材/ワイヤ26と周壁46の間の関連は、第1のスリーブ端部部分42と第2のスリーブ端部部分44の間で周壁に沿って、その一部として織られた部材/ワイヤによって提供される。
【0090】
第1の端部又は第1のワイヤ端部52は、第1のスリーブ端部から0mm~25mmであるほぼ近傍の取付点でスリーブ25に取り付けられている。すなわち、1つ又は2つのアンカ32は、第1のスリーブ端部部分42で第1の端部又は第1のワイヤ端部52と第1のスリーブ端部の間に移植される。このようにして、収縮部材/ワイヤ26に加えられる力は、部分42でアンカ32の間に分配される。部材/ワイヤ26は、部材/ワイヤ26が入口点51でスリーブ25の管腔48に入り、部材/ワイヤ26の近接端部分57が入口点51と第2のスリーブ端部部分44での第2のスリーブ端部の間で管腔48内に配置されるまで、本体24に沿って延びている。部材/ワイヤ26の第2の端部又は第2のワイヤ端部54は、管腔の内側に位置決めすることができる。第2の端部又は第2のワイヤ端部54は、ループ59を備えている。一実施形態では、部材/ワイヤ26の近接端部分57は、ループ59を形成し、ファスナ53を使用して、それ自体に固定される。別の実施形態では、ループ59は、第2の端部又は第2のワイヤ端部54に結合されている。入口点51は、第2のスリーブ端部部分44で第2のスリーブ端部から0mm~35mmであるほぼ近傍にある。
【0091】
アンカ32は、被験者の心臓弁の輪の組織に弁形成構造122を固定するために使用される。システム120は、被験者の心臓の生来の弁(例えば、僧帽弁又は三尖弁などの房室弁)を治療するためのものである。システム120をして本明細書に記載したような方法、技術、ステップなどのいずれか及び全ては、生きている動物上、又は生きていない死体、死体心臓、シミュレータ、擬人化されたゴーストなどの上で行うことができる。
【0092】
図示するように、第1及び第2のスリーブ端部部分42及び44は、スリーブ25の単なる極端部ではない、すなわち第1及び第2のスリーブ端部を備えることができる。同様に、部材/ワイヤ26は、スリーブ25の端部に最後まで延びていない可能性がある。図示するように、少なくとも1つのアンカ32は、部材/ワイヤ26を超えて、第1及び第2のスリーブ端部部分42及び44の少なくとも1つ内に配置することができる。
【0093】
以下により詳細に記載されるように、部材/ワイヤ26は、管腔内に部材/ワイヤの長手方向割合を引っ張る(例えば、近接方向への構造122に近接した位置からの近接引っ張り)、及び/又は長手方向に管腔内に配置された量を増加させることによりスリーブを収縮させるように、スリーブ25に対して配置されている。
【0094】
システム120は、インプラント構造運搬ツール110と、アンカドライバ17及びアンカドライバ17を格納するチャネル又は管18(例えば、アンカ運搬チャネル、アンカ運搬管など)を備えたアンカ運搬ツールとを備えている(図2A)。アンカドライバ17は、管/チャネル18内で摺動可能である。幾つかの応用例では、インプラント構造運搬ツール110は、アンカ運搬ツール及び参照力管15を備えている。任意選択であるが、インプラント構造運搬ツール110及びアンカ運搬ツールは、独立して運搬、案内及び操作することができる別個のデバイスであってもよい。アンカ運搬管/チャネル18の遠位端19は、構造122のスリーブ25の管腔48内に案内及び配置することができる。管/チャネル18は、アンカ32の運搬を容易にするために、ループ59を通して及びこれに対して摺動することができる。図示するように、アンカ運搬管/チャネル18の遠位端19は、第1のスリーブ端部部分42の最も近くで始まり、スリーブ25の壁面46を通して第1のアンカ32を展開させる。各その後のアンカ32が運搬されると、アンカ運搬管18は、ループ59が定位置に、ほぼ固定して留まっている間に、ループ59に対して摺動することによって、第2のスリーブ端部部分44に向けて近接収縮される。アンカ32を使用して組織に構造122を移植、及び構造122を固定するための技術は、参照として本明細書に組み込まれている、Shepsの国際特許出願公開第WO14/064694号に記載したような技術と組み合わせて実施することができる。
【0095】
力が、構造122を運搬するために使用されるインプラント構造運搬ツール110の参照力管15の遠位端によって第2のスリーブ端部部分44に加えられる。図示するように、アンカ運搬管18は、スリーブ内に配置されたアンカ運搬管18の部分がスリーブと同軸であるように、参照力管15の管腔内でスリーブ25の管腔48を通して前進可能である。アンカ運搬管18の遠位端19は、その遠位端でスリーブ25の内壁と接触して配置されている。加えて、アンカ運搬管18の遠位端部分は、1つ又は複数の放射線不透過性マーカを備えることができる。図示するように、アンカ運搬管18及びスリーブ25は、互いに対して長手方向及び同軸に配置されている。
【0096】
幾つかの実施形態では、構造122は、スリーブ25の第2のスリーブ端部部分44で開口部を閉じるために、第2のスリーブ端部部分44にクロージャ機構220を備えている。任意選択では、第2の端部部分44は、構造122が移植される場合に開いたままにすることができるか、又は参照として本明細書に組み込まれている特許文献1に記載されたように閉じることができる。クロージャ機構220は、1つ又は複数の縫合糸を使用してスリーブ25に縫合されることなどによってスリーブ25に結合されている。クロージャ機構220は、(例えば、図2Fに示すように)開口状態及び閉塞状態を有するフラップ230(例えば、ドア)を備え、参照として本明細書に組み込まれている特許文献4に記載されたような、閉塞状態を仮定して付勢されるように構成されている。フラップ230が閉塞状態にある場合、スリーブ25の管腔は、フラップが開口状態にある場合と比較して、スリーブの外側と減少連通している。幾つかの応用例では、クロージャ機構は、フラップ230が関節接合点で関節接合可能に結合されるフレーム222を備え、フラップ230は、例えば、フレーム、関節接合点、及びニチノールなどの形状記憶材料の連続片を備えたフラップによって、閉塞状態を仮定して弾性付勢される。幾つかの応用例では、フレーム222はほぼ円筒形であり、スリーブ25の近接端を強化する。幾つかの応用例では、クロージャ機構220は、抗血栓剤を備える(例えば、これで覆われている)。
【0097】
アンカ運搬管18の部分がスリーブ25の管腔48内に配置されると、フラップ230は開口状態に保持される。アンカ運搬管18はしたがって、上に記載するようにアンカ32の運搬などのために、被験者の身体の外側とスリーブ25の管腔48の間に作動チャネルを提供する。アンカ運搬管18が管腔48から取り除かれると(例えば、スリーブの近接開口部から摺動されると)、フラップ230は閉塞状態に向かって自動的に移動する。
【0098】
スリーブ25は、参照として本明細書に組み込まれている特許文献4に記載されているように、参照力管の遠位端に結合された1つ又は複数の結合要素224(例えば、スリーブ結合要素)を介して参照力管15に可逆的に結合可能である。各結合要素224は、フレーム222内の窪み又は穴(図示せず)などのそれぞれのネガティブスペース内に配置されるように構成された遠位突起を形成するように形成され、それにより、結合要素をクロージャ機構220、またスリーブ25に結合する。フレーム222は、ほぼ円筒形であり、穴は円筒形状の横部分内に形成することができる。結合要素224は、管15の中心長手軸に向かって内向きに撓む自然の傾向を有する(例えば、付勢される)ように構成することができる。
【0099】
すなわち、アンカ運搬管18が被験者の組織に組織アンカ32を固定するために管腔48を通して摺動されると、アンカ運搬管18は、(1)ループ59に対して摺動し、(2)フラップ230を開口状態に維持するために、クロージャ機構220のフレーム222に対して摺動し、(3)管15を備えたインプラント運搬ツール110の結合を維持する。
【0100】
結合要素224がクロージャ機構220に結合され、アンカ運搬管18の遠位端19がスリーブ25の管腔48内にクロージャ機構220に遠位で配置されると、アンカ運搬管18は、結合要素がクロージャ機構220のフレーム222から外れるのを抑制する。アンカ運搬管18の遠位端19がクロージャ機構220を通して近接して(及び、結合要素224を通して近接して)摺動されると、結合要素は、管15の中心長手軸に向かって内向きに撓むことによって、クロージャ機構220のフレーム222から自動的に外れ、それによって、管15をスリーブ25から外すことが可能になる。参照力管15はその後、スリーブ25から近接して引き出すことができる。
【0101】
したがって、幾つかの応用例では、システム120は、
(1)アンカ運搬管18の遠位端19がインプラント構造122のスリーブ25の管腔内に配置されている場合、(a)スリーブ25への参照力管15の結合、及び(b)アンカ運搬管18の近接端(例えば、その管腔の近接端)とスリーブの管腔の間の流体連通を、
(2)アンカ運搬管18の遠位端がクロージャ機構220を通して引き出される(例えば、スリーブの管腔から引き出される)と、(a)インプラント構造122のスリーブ25の第2のスリーブ端部部分44の自動閉塞、及び(b)インプラント構造からの参照力管15の自動的な取り外し
を容易にする。
【0102】
アンカ運搬管18及びクロージャ機構220を使用する技術は、参照として本明細書に組み込まれている、Shepsの国際特許出願公開第WO14/064694号に記載されるような技術と組み合わせて実施することができる。
【0103】
図2Aは、3つの第1の組織アンカ32が輪の組織に構造122を固定するために使用されている、僧帽弁でのその初期移植の後の構造122を概略図的に示している。各アンカ32の組織結合要素34は、各アンカ32のツール係合ヘッド36が構造122の管腔48内に配置されている(留まっている)間に、スリーブ25の周壁46を通して弁の輪内に延びている。簡単にする目的で、組織結合要素34が穿刺する組織は示されていない。
【0104】
幾つかの実施形態では、図示するように、第2の端部又は第2のワイヤ端部54は、移植前に及び/又はその間に、スリーブ25の管腔内に配置されている。
【0105】
アンカ運搬管18は、アンカ32の運搬を容易にするために使用される。各アンカ32が運搬された後に、アンカ運搬管18は近接して、すなわち、スリーブ25の第2のスリーブ端部部分44に向けて収縮される。アンカ32の移植中に、ループ59はアンカ運搬管18の部分を囲んでいる。各その後アンカ32が運搬されると、アンカ運搬管18は、ループ59が定位置に、ほぼ固定して留まっている間に、ループ59に対して摺動することによって、第2のスリーブ端部部分44に向けて近接収縮される。アンカ32は、例えば、参照として本明細書に組み込まれている、Shepsの国際特許出願公開第WO14/064694号の図10A図10Iを参照して記載された技術を使用して移植される。
【0106】
図2Bは、その移植の後の構造122を示している。複数のアンカ32は、構造122を組織に固定するために使用される。複数の組織アンカ32は、少なくとも1つの第2のスリーブ端部部分組織アンカ132、例えば、図示するような2つのアンカ132を備えていることに留意されたい。第2のスリーブ端部部分組織アンカ132のあらゆる適切な数は、例えば、例示的であり、限定的ではない方法で、1から4の間で移植することができることに留意されたい。幾つかの実施では、第2のスリーブ端部部分組織アンカ132は、第2のスリーブ端部部分44で収縮部材/ワイヤ26の入口点51と第2のスリーブ端部の間に移植される。すなわち、アンカ132は、部材/ワイヤ26の近接端部分57の近傍に移植される。以下に本明細書に記載されるように、第2のスリーブ端部部分組織アンカ132は、第2のスリーブ端部部分44で入口点51から第2のスリーブ端部に向けてアンカ132の間に力を分配するのを助ける。
【0107】
次に、図2B図2Dを参照する。組織122の移植の後に、収縮ツールは、インプラントの収縮を容易にするために使用される。収縮ツールは、アンカ運搬管18を通過し、外側管160、外側管160内に摺動可能に配置された内側管162、及び内側管162内に摺動可能に配置された係合要素又はワイヤ係合要素163を備えている。収縮ツールは、管腔48内で長手方向に、スリーブ25の管腔48を通して、ループ59を備えた第2の端部又は第2のワイヤ端部54に向けて移動可能である。図2Bでは、ループ59は、アンカ運搬管18がアンカ運搬管18の周りからループ59を自由にするために、参照力管15に向けて収縮されたので、アンカ運搬管18を囲んでいない。すなわち、アンカ運搬管18の遠位端19は、ループ59に近接して配置されている。アンカ運搬管18の遠位端19は、まだスリーブ25の管腔48内にあり、アンカ運搬管18はこの段階では、アンカ運搬管18の外部壁面が開口状態にクロージャ機構220を保持するように、第2のスリーブ端部部分44で開口部内にまだ留まる。
【0108】
係合要素163は、ワイヤ、ロッド、ライン、縫合糸、管、平らなニチノールワイヤなどの細長い部材を備え、幾つかの実施では、湾曲部分を形成するように近接して折り畳まれた遠位端部部分を有する。換言すると、係合要素163は、U字形屈曲を形成するヘアピン形状のセグメントを形成するために、それ自体上で折り畳むことができる。幾つかの実施では、係合要素163の予め形成された遠位端部部分は、閉塞された構成を想定するように付勢される。湾曲部分は、係合要素163の遠位端が内側管162の長手軸に向けて内向きに撓むように形成されている。幾つかの実施では、湾曲部分は、係合要素163の遠位端に(係合要素163の延長方向に)近接して配置された係合要素163の遠位部分に連続している。閉塞構成では、係合要素163の遠位端は、係合要素163の遠位部分に向けて付勢することができる。したがって、幾つかの実施では、閉塞構成で、係合要素163の遠位端は、開口構成で、係合要素163の遠位部分に(又は、内側管162に)径方向により近くにある。
【0109】
図2Bは、係合要素163の遠位端部分が閉塞構成にある運搬構成から、図2Cに示す把持構成に移行する収縮ツールを示している。さらに図2Bを参照して、収縮ツールが運搬構成にある場合、係合要素163の遠位端は外側管160の管腔内に配置されている。特に、内側管162の遠位端は湾曲部分に近接して位置決めされ、係合要素163の遠位端は外側管160と内側管162の間で径方向に位置決めされている。
【0110】
図2Cは、外側管160の管腔内から完全に露出された係合要素163の予め形成された遠位端部分を示している。幾つかの実施では、図2Cに示す収縮ツールの把持構成では、外側管160は係合要素163の遠位端に近接して位置決めされ、内側管162は、係合要素163の遠位端を外向きに撓ませ、それによって、開口構成に係合要素163の遠位端部分を移動させるように、係合要素163の遠位端部分の湾曲部分(すなわち、U字形屈曲)内に延びている。幾つかの実施では、図2Cに示した収縮ツールの把持構成では、外側管160は係合要素163の遠位端に近接して位置決めされ、内側管162は係合要素163の遠位端部分の湾曲部分(すなわち、U字形屈曲)内に延びて、係合要素163の遠位端を外向きに撓ませ、それにより、係合要素163の遠位端部分を開口構成に移動させる。幾つかの実施では、係合要素163の遠位端部分の開口位置で、係合要素163の遠位端と内側管162の外側表面の間の距離は、収縮ツール160とループ59の間の結合を容易にするように、ループ59を把持するのに十分である。内側管162が湾曲部分を係合しないように近接に収縮されると、係合要素163の遠位端部分は閉塞構成内に戻るように移動する。外側管160はその後、図2Bに示すように、少なくとも係合要素163の遠位端を覆うように遠位に前進させることができる。
【0111】
第2の端部又は第2のワイヤ端部54に結合されている間、すなわち、係合要素163の遠位端部分がその閉塞構成を仮定した場合にループ59を巻き込むことによって、収縮ツールは、第2の端部又は第2のワイヤ端部54が第2のスリーブ端部に向けて移動されるように第2のスリーブ端部44で開口部に向かって長手方向に(すなわち、近接に引かれることによって)移動可能であり、それによって、入口点51を通して管腔48内に収縮部材/ワイヤ26の追加部分を引き出し、初期にスリーブ25(図2D)を長手方向に収縮させる。アンカ運搬管18の遠位端19はまだ、スリーブ25の管腔48内にあり、アンカ運搬管18はこの段階では、アンカ運搬管18の外壁が開口状態でクロージャ機構220を保持するように、第2のスリーブ端部部分44で開口部内に留まっている。収縮の大部分は、図2E図2Fを参照して以下に記載するように、図2Dに示したこの初期ステップの後に起こることに留意されたい。
【0112】
ループ59は、超弾性及び可撓性材料、例えばニチノールを備えている。係合要素163の遠位端部分が閉塞構成にある場合にループ59を引き寄せることにより、ループ59をアンカ運搬管18の遠位端19に向けて引っ張る。ループ59は、アンカ運搬管18の管腔内に収縮部材/ワイヤ26の部分を引き出すように、アンカ運搬管18の管腔内に引っ張られると、アンカ運搬管18の壁面によって圧縮及び制約される。
【0113】
次に、図2Eを参照する。システム120は、アンカ運搬管18の管腔内で収縮ツール上で前進可能である、力分配要素及びロック運搬ツール164を備えている。ツール164は、力分配要素300を運搬するように構成されている。力分配要素300は、ツール164の遠位端に結合させることができる。しかし、幾つかの実施では、力分配要素300は、ツール164に遠位に位置決めし、ツール164によってアンカ運搬管18を通して押すことができる。さらに、任意選択では、力分配要素300は、ツール164内に摺動可能に配置されたプッシャ管(図示せず)などにより、ツール164の遠位端の管腔に対して、及びそこから摺動可能である。力分配要素300は、収縮部材/ワイヤ26の近接端部分57を囲むように構成されている。ツール164及び力分配要素300は、収縮ツール周りで摺動する。ツール164及び力分配要素300が収縮ツールの遠位端を超えて摺動すると、ツール164及び力分配要素300は、アンカ運搬管18の管腔内に配置される、部分57を含む、収縮部材/ワイヤ26の部分に直接沿って摺動する。
【0114】
力分配要素300は、近接端部分57で収縮部材/ワイヤ26を囲む管腔を有する可撓性構造を備えている。幾つかの応用例では、力分配要素300は、要素300の可撓性を増加させるように、複数のスリットを有する管状要素を備えている。幾つかの応用例では、力分配要素300はコイル状要素を備えている。力分配要素300の配置中、アンカ運搬管18の遠位端19は、まだスリーブ25の管腔48内にあり、アンカ運搬管18はこの段階では、アンカ運搬管18の外部壁面が開口状態にクロージャ機構220を保持するように、第2のスリーブ端部部分44で開口部内にまだ留まる。
【0115】
力分配要素300が(図2Fに示すように)スリーブ25の管腔48内で完全に展開されると、スリーブ25の収縮が、例えば、係合要素163の遠位端部分によって巻き込まれるループ59を引き寄せる収縮ツールを引き寄せることによって、及びツール164、又は上に記載したように、プッシャ管又はその他などにより、力分配要素300に対して押し込むことによって行われる。「完全に展開される」は、要素300の遠位端が入口点51でスリーブ25の内側表面に到達するように、要素300の遠位端が部材/ワイヤ26の部分57の遠位端に到達する瞬間を言うことに留意されたい。図2Fはスリーブ25の収縮を示している。構造122の収縮は、部材/ワイヤが引っ張られているので管腔48から、また、収縮部材/ワイヤ26がアンカ運搬管18の管腔内に引っ張られるので、アンカ運搬管18を格納する運搬ツール110内から起こる。
【0116】
収縮中、力分配要素300は、第2のスリーブ端部に向けて入口点51から第2のスリーブ端部部分組織アンカ132間に収縮力を分配する。すなわち、収縮は、収縮部材/ワイヤの入口点51と第1の端部又は第1のワイヤ端部52の間にあるインプラント本体24の部分に制約される。スリーブ25の収縮中、アンカ運搬管18の遠位端19は、まだスリーブ25の管腔48内にあり、アンカ運搬管18はこの段階では、アンカ運搬管18の外部壁面が開口状態にクロージャ機構220を保持するように、第2のスリーブ端部部分44で開口部内にまだ留まる。
【0117】
スリーブ25の所望の収縮量が、管腔48内及びアンカ運搬管18の管腔内へ収縮部材/ワイヤ26を引き出すことによって達成されると、ツール164は要素300の近接端に向けて、ロック機構170、例えば、ロックツール164によって非ロック状態に維持された、非ロック状態のロックを運搬する。ロック機構170は、部材/ワイヤ26の周りで運搬される。幾つかの応用例では、力分配要素300は、その非ロック状態でロック機構170と共に運搬される。部材/ワイヤ26の収縮が達成されると、ロック機構170は、スリーブ25の収縮状態を維持するために、力分配要素300に対して定位置に部材/ワイヤ26をロックするように、ロック状態に移行される。
【0118】
ロック機構170は、ロック機構170がロック機構170を通した部材/ワイヤ26の移動を可能にし、スリーブ25の管腔48内に配置された部材/ワイヤ26の長手方向割合の増加を可能にする、非ロック状態を有する。ロック機構170は、ロック機構170がロック機構170を通した部材/ワイヤ26の移動を抑制するロック状態を有する。
【0119】
ロック機構170は、例えば、ロックツールをロック機構から係脱することなどによって、ロックツール164を使用してロックされる。幾つかの応用例では、ロック機構170はそのロック状態を想定するように付勢され、ロックツール164はロックツールがロック機構に係合している間にその非ロック状態にロック機構を保持するように構成されている。このような応用例では、ロック機構170からのロックツール164の係脱により、ロック機構がそのロック状態に移行することが可能になる。本明細書に記載した他のロック機構及びロックツールはまた、変更するところは変更して、このように動作することができる。部材/ワイヤ26のロック中、アンカ運搬管18の遠位端19は、まだスリーブ25の管腔48内にあり、アンカ運搬管18はこの段階では、アンカ運搬管18の外部壁面が開口状態にクロージャ機構220を保持するように、第2のスリーブ端部部分44で開口部内にまだ留まる。ツール164は、ロック機構170が定位置にロックされると、部材/ワイヤ26を切ることができる切断要素を備えることができる。
【0120】
ロック機構又はロック170は、収縮部材/ワイヤ26を定位置にロックする。収縮ツール(例えば、その係合要素163)はその後、部材/ワイヤ26から取り外し、構造122から取り除くことができる(図2F)。部材/ワイヤ26の得られた余剰分は、部材/ワイヤのこの緩んだ部分が心臓内で自由に移動するのを防ぐために切断される。幾つかの実施形態では、構造122の収縮後に、余剰部材/ワイヤ26が取り除かれる。例えば、運搬ツール110はカッターを備えることができ、専用のカッターを、使用することができる、例えば、部材/ワイヤ26の上でこれに沿って前進させることができる。任意選択では、余剰部材/ワイヤ26は、例えば、収縮ツール又はツール164により、スリーブ25の管腔48内に押し戻すことができ、部材/ワイヤ26のこの緩んだ部分が心臓内で自由に移動するのを防ぐために、スリーブ25内に囲むことができる。
【0121】
(特に、参照力管15及びチャネル/管18を備えた)インプラント運搬ツール110はその後、アンカ運搬管18を構造122のスリーブ25の管腔48内から取り除くことによって、構造122から取り外される。管腔48内からアンカ運搬管18を取り除くことにより、クロージャ機構220がその閉塞状態を想定することが可能になる。フレーム222内にアンカ運搬管18がない状態で、アンカ運搬管18は、結合要素224に対して押し込まず、結合要素224は、管15の中心長手軸に向かって内向きに撓む自然の傾向を想定する。要素224が内向きに撓むと、要素224は構造122のフレーム222から取り外され、管15は構造122から係脱される。加えて、アンカ運搬管18は、存在する場合、フラップ230を開口で保持せず、フラップ230は閉塞状態に向かう自然の傾向を想定する。このような実施形態では、フラップ230はまた、ロック機構170が部材/ワイヤ26から取り外されるイベントで、ロック機構170の侵入を防ぐ。したがって、クロージャ機構220は、構造122の管腔48内にロック機構170を維持する。
【0122】
構造122を運搬するために使用される(特に、参照力管15、アンカ運搬管18、収縮ツール160、力分配要素及びロック運搬ツール164を備えた)インプラント運搬ツール110、及びループ59から延びる部材/ワイヤ26の余剰部分は、被験者の身体から抽出される。すなわち、システム120は有利には、インプラント運搬ツール110が構造122の収縮中、及び被験者の心臓弁上へ弁形成を行う間に、構造122に結合されたままであるシステムを提供する。
【0123】
再び、図2A図2Fを参照する。収縮部材/ワイヤ26の引っ張り及び収縮は、第2のスリーブ端部部分44から、すなわち構造122の近接部分から起こり、引っ張り及び収縮の方向は近接であることに留意されたい。すなわち、構造122の収縮は、インプラント運搬ツール110が構造122に結合されている間に、構造122の近接端で、構造122の管腔48から起こる。収縮は、画像化の案内のもとで行われ、部材/ワイヤ26のマルチ収縮は、フィードバック、例えば、触知性、圧力ゲージ、及び画像化に応答可能に行うことができる。
【0124】
再び、図1A図2Fを参照する。幾つかの応用例では、所与のシステムのロック機構は、変更するところは変更して、ラチェットなどの一方向機構と交換することができる。一方向機構は、収縮部材/ワイヤ、及び第2のスリーブ端部部分でスリーブに結合させることができ、一方向機構を通した部材/ワイヤの一方向移動を可能にするように構成することができる。システムは、一方向機構が、(i)管腔内に配置された部材/ワイヤの長手方向割合を増加することを可能にし、(ii)管腔内に配置された部材/ワイヤの長手方向割合を減少させるのを抑制するように配置されている。
【0125】
本明細書のシステム及びデバイスを必要とする方法は、例えば、システム、デバイス、構成部品などを移植、取り付け、接触、ロックなどするために、上に記載したステップのいずれかを含むことができる。幾つかの実施形態では、方法は、心臓弁輪又は心臓弁輪のシミュレーションなどのターゲット位置にシステム、デバイス、インプラントなどを経血管的に(例えば、経大腿動脈的などに)前進させることを含む。方法は、(例えば、前に記載したような前進後に)ターゲット位置にシステム、デバイス、インプラントなどを取り付けることを含む。取り付けることは、ターゲット位置にシステム、デバイス、インプラントなどを取り付けるための他の取付手段を固定、縫合、クリップ留め、及び/又は使用することを含むことができる。方法はまた、システム、デバイス、インプラントなどを(例えば、より小さな長さ、直径、及び/又は曲率半径を備えた収縮構成に)接触させるために、(上記実施形態のいずれかに記載されるように、取り付ける、構成する、及び/又は配置することができる)収縮部材/ワイヤを引っ張る、あるいはその上に力を加えることによって行うことができるシステム、デバイス、インプラントなどを収縮することを含む。収縮は、上記実施形態のいずれかに関して記載したように行うことができる。方法はまた、収縮した構成にシステム、デバイス、インプラントなどを保持するために、ロック機構、ロック、ロックデバイスなどをロックすることを含むことができる。ロック機構、ロック、ロックデバイスなどは上に記載したもののいずれかと同じであってもよく、同じ方法で機能する及び/又は操作することができる。
【0126】
本発明は、特に上に図示及び記載したものに限らないことは、当業者には分かるだろう。むしろ、本発明の範囲は、上に記載した様々な特性の組合せ及びサブコンビネーションの両方と、前述の記載を読めば当業者には思い付く、先行技術にはない変更形態及び変形形態とを含む。例えば、本明細書に記載のインプラントの1つでの使用のために記載されたツールは、任意選択では、変更するところは変更して、本明細書に記載のインプラントの別のもので使用することができる。同様に、本明細書に記載のインプラントの1つでの使用のために記載された調節機構又はロックは、任意選択では、変更するところは変更して、本明細書に記載のインプラントの別のもので使用することができる。さらに、本明細書に記載された各技術、方法、動作、ステップなどは、死体、死体心臓、シミュレータ(例えば、シミュレーションされている身体部分、組織など)などの上など、生きている動物又は生きていないシミュレーション上で行うことができる。
【符号の説明】
【0127】
4 心臓
10 弁
15 参照力管
17 アンカドライバ
18 アンカ運搬管/チャネル
19 遠位端
20 弁形成システム
22 インプラント
24 インプラント本体
25 可撓性スリーブ
26 収縮部材/ワイヤ
28 ガイド部材、細長い収縮部材
32 アンカ
34 組織結合要素
36 ツール係合ヘッド
42 第1のスリーブ端部部分
44 第2のスリーブ端部部分
46 周壁
48 管腔
51 入口点
52 第1の端部又は第1のワイヤ端部
53 ファスナ
54 第2の端部又は第2のワイヤ端部
55 付属物
56 余剰分
57 近接端部分
59 ループ
60 収縮ツール
62 係合要素
64 ロックツール
70 ロック機構
110 インプラント運搬ツール
120 弁形成システム
122 移植可能弁形成構造
132 第2のスリーブ端部部分組織アンカ
160 外側管
162 内側管
163 係合要素
164 力分配要素及びロック運搬ツール
170 ロック機構
220 クロージャ機構
222 フレーム
224 結合要素
230 フラップ
300 力分配要素
図1A-1E】
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F