(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】製織用アクセサリを取り扱うための装置および引き込み機
(51)【国際特許分類】
D03J 1/14 20060101AFI20241125BHJP
【FI】
D03J1/14 D
D03J1/14 B
D03J1/14 A
D03J1/14 C
D03J1/14 Z
(21)【出願番号】P 2021575451
(86)(22)【出願日】2020-06-15
(86)【国際出願番号】 EP2020066502
(87)【国際公開番号】W WO2020254253
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2023-04-20
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500131561
【氏名又は名称】グロッツ-ベッケルト・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガース,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】カイラー,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】プフェファー,ベルント
(72)【発明者】
【氏名】アッカー,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ゲジンク,カール-ハインツ
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105648643(CN,A)
【文献】特開平02-026964(JP,A)
【文献】特開平05-059641(JP,A)
【文献】特開平06-306749(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03J 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製織用アクセサリを取り扱うための装置(1)であって、該装置は、移動式ユニットとして提供され、筬(3)を保持するための保持手段(2)、綜絖を保持するための保持手段、ドロップワイヤを保持するための保持手段、および糸シートを保持するための保持手段を含んでおり、
前記筬を保持するための保持手段(2)は、該保持手段に移動可能に配置される筬(3)を受け取るように設けられて
おり、
前記筬を保持するための保持手段(2)は、長手方向(L)に延びる中空形状材(4)を含み、
前記中空形状材は、その端部において別の中空形状材との接続を容易にするための部品を含んでいることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記長手方向(L)の両端部において、前記筬(3)を保持するための保持装置(2)の前記中空形状材(4)は、前記移動式ユニットにおいて、垂直方向(H)に調節可能に配置されることを特徴とする請求項
1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記糸シートを保持するための保持手段は、引き込み中に前記糸シートを自動搬送する手段を有することを特徴とする請求項1
または2に記載の装置(1)。
【請求項4】
製織用アクセサリに糸を引き込むための引き込み機(5)であって、筬(3)の保持手段(6)を有しており、
前記筬(3)の保持手段(6)の場所に、移動式ユニットに配置された筬(3)の保持手段(2)を配置可能であ
り、
前記筬(3)の保持手段(6)は、長手方向(L)に延びる中空形状材(4)を含み、
前記中空形状材は、その端部において別の中空形状材との接続を容易にするための部品を含んでいることを特徴とする引き込み機。
【請求項5】
前記筬の保持手段(
65)は、筬(3)を担持し、前記中空形状材に沿って摺動可能に案内される少なくとも1つのキャリッジ(7)を含むことを特徴とする請求項
4に記載の引き込み機(5)。
【請求項6】
前記移動式ユニットに配置された糸シートの保持手段が、綾取り装
置の場所に配置可能であることを特徴とする請求項
4または5に記載の引き込み機(5)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製織用アクセサリを取り扱うための装置および引き込み機に関する。特に、本発明は、引き込み機の機能ユニットまたはモジュールであり得る移動式の台車に関する。
【背景技術】
【0002】
引き込み機(ドローイングマシン)は、糸または経糸を製織用アクセサリに引き込むための機械である。引き込み機は、様々な機能ユニットに細分化することができ、それに対応する装置および部品を有している。これらの装置および部品には、例えば、綜絖(ヘルド)またはドロップワイヤを供給する装置が含まれ、糸はこれらの装置を通じて引き込まれる。これらの供給装置において、製織用アクセサリは、例えば販売目的または製織の間に一般的に行われるように、レール状の案内手段に互いに隣接して吊り下げられている。加えて、いわゆる「投入側」では、筬(リード)を準備が整った状態で保持するための装置が必要である。引き込み機の中心的な装置は、通常、糸または経糸を筬、綜絖、ドロップワイヤを通じて、および綾棒の構成要素を通じて案内する引込み装置である。「取り出し側」において、すなわち引き込みが実行された後、後方の混雑を防ぐために、引き込まれたドロップワイヤおよび綜絖を引き込み装置の近傍から運び出す必要がある。引き込み機では、高い引き込み繰り返し率を実現するために、綜絖およびドロップワイヤは、多くの場合、短い距離を高速で搬送される。引き込み後、製織用アクセサリは、多くの場合長いレール状の案内手段上に押し出される必要がある。製織用アクセサリは、比較的長い距離を移動しなければならないが、その取り出しは、多くの場合低速である。この距離は、通常は2~3mであるが、時には最大で6mを要する。「取り出し側」において、ドロップワイヤおよび綜絖は、しばしば、互いに横に配置された装置で、平行に運び出される。本発明は、引き込み機における製織用アクセサリの供給および取り出しのための移動装置、例えば製織用アクセサリ用の台車に関するものである。
【0003】
独国特許出願公開第4310838号には、様々なタイプの製織用アクセサリに使用するための汎用の搬送台車が記載されている。この搬送台車は、製織用アクセサリの搬送にのみ使用される。この搬送台車は、特に、引き込み機での使用は意図されておらず、またその使用に適するものでもない。
【0004】
欧州特許出願公開第496232号には、引き込みの間に引き込み機内に配置され、ドロップワイヤを自動的に搬送する製織用アクセサリ用の台車が示されている。引き込み後、この台車は引き込み機内に残り、引き込まれた製織用アクセサリは経糸用台車に移される。したがって、この引き込み機には多大なスペースが必要である。また、製織用アクセサリ用の台車を新たに設置すること、または既存の台車を改修することは厄介であり、かつ時間がかかるという問題がある。
【発明の概要】
【0005】
上記の先行技術に鑑みて、本発明の目的は、引き込み機において、自動引き込みを可能にするだけでなく、迅速かつ省スペースで交換することができる移動式ユニットを提供することである。また、省スペース型の引き込み機も本発明の課題である。
【0006】
本発明に従う製織用アクセサリを取り扱うための装置は、移動式ユニットとして提供される。この装置は、筬を保持するための保持手段と、綜絖を保持するための保持手段と、ドロップワイヤを保持するための保持手段と、糸シートを保持するための保持手段とを含む。本発明に従って、筬を保持するための保持手段は、その保持手段に移動可能に配置される筬を受け取るように設けられている。
【0007】
既知の引き込み機では、筬は、引き込み中に、引き込み機に不動に固定された保持手段に対して移動するものである。引き込みの終了後、筬は解放され、例えば単純なフックを使用して、製織用アクセサリ用の台車に移される。筬の保持手段は引き込み機に不動に固定されているため、引き込み機から製織用アクセサリ用の台車を筬側から取り外すことはできない。また、保持手段が引き込み機に固定されているため、新たに装備された製織用アクセサリ用の台車を導入すること、または製織用アクセサリ用の台車を再装備することは困難である。筬の保持手段を移動式ユニットに配置すれば、引き込みが実行された後、移動式ユニットを筬側から取り外して、新たに装備されたユニットを挿入することが容易になる。筬の保持手段は数メートルの長さになる場合もあるため、保持手段を引き込み機に固定しないことによって節約されるスペースは非常に大きい。また、移動式ユニットを引き込み機から取り外す方向および引き込み機に導入する方向に関しても、より大きな自由度がある。多くの製織工場では、機械が近接しているため、上記の手段により、製織用アクセサリの取り扱いが非常に容易になる。例えば、引き込み機の構造で可能な長さよりも短い筬を引き込む場合、移動式ユニットが筬の長さを超えなければ、引き込みの間もスペースを有効に活用することができる。また、引き込み機に台車が配置されていないとき、引き込み機の他のモジュールへのアクセスも容易となる。
【0008】
筬を保持するための保持手段は、長手方向に延びる中空形状材を含むものであってもよい。中空形状材は、第1に、重量に対して高いレベルの剛性を提供し、第2に、保持要素が保持装置を介して案内され得る広い外面を有するため、長い装置には特に好適である。加えて、中空形状材は、接触点で簡単かつ確実に接続することができる。
【0009】
筬を保持するための保持手段の中空形状材は、長手方向に見たときのその両端の領域において、垂直方向に調節可能なように移動式ユニットに配置されるものであってもよい。これによって、移動式ユニットを引き込み機に迅速に取り付け、またぴったりと嵌め込むことができる。
【0010】
糸シートを保持するための保持手段は、引き込み中に糸シートを自動搬送するための手段を有していてもよい。既知の引き込み機では、糸シートの自動搬送のための手段は、仮に設けられていたとしても、引き込み機に対して不動に配置されるものである。移動式ユニットの取り扱いおよび引き込み機の他のモジュールへのアクセス性に関しては、この保持手段についても、筬の保持手段の場合と同じことが当てはまる。
【0011】
本発明に従う製織用アクセサリに糸を引き込むための引き込み機は、筬の保持手段を含む。本発明によれば、移動式ユニットに設けられた筬の保持手段を、引き込み機の筬の保持手段の場所に配置することができる。これにより、引き込み機は、「取り出し側」、すなわち、引き込みの間に引き込まれた製織用アクセサリが運び出される方向において、製織工場内の設置スペースを占める固定的な機械部品を有しない。また、これによって引き込み機へのアクセスも容易となる。
【0012】
筬の保持手段は、長手方向に延びる中空形状材を含むものであってもよい。この中空形状材の中空形状は、有利には、移動式ユニットの筬の保持手段に使用される中空形状材の中空形状と一致し、それによって、移動式ユニットの保持手段を引き込み機に簡単かつ単純な方法で接続することができる。
【0013】
筬のための保持手段は、筬を担持し、中空形状材に沿って摺動可能に案内される少なくとも1つのキャリッジを含むものであってもよい。有利には、少なくとも1つのキャリッジに固定されたローラー対が、複数の側面から中空形状材を抱き込み、それによって少なくとも1つのキャリッジを、ひいては筬を、確実かつ正確に案内するものである。少なくとも1つのキャリッジは、複数の部品を含むものであってもよい。この種のキャリッジは、引き込みの間に、引き込み機の筬の保持手段から移動式ユニットの筬の保持手段へ移動させることができる。この構成により、引き込み機の全体を通じて、引き込みモジュールから見て2方向にほぼ同じ長さにわたって延び、引き込み機の不使用時にも対応する量の設置スペースを占める保持装置が不要となる。引き込みが行われた後、少なくとも1つのキャリッジは、移動式ユニットに留まるものであってもよく、または、筬が移動式ユニットに移送されたとき、引き込み機の筬の保持手段上に再び押し戻されるものであってもよい。
【0014】
引き込み機は、綾取り装置(lase-making device)を含むものであってもよい。移動式ユニットに配置された糸シートの保持手段は、綾取り装置の場所に配置され得る。これによって、引き込み機に固定された機械部品が再び不要になる。最終的には、引き込み機は、取り出し側に固定された機械部品が全くないものであってもよい。この結果、引き込み機の不使用時に、多大な設置スペースが解放される。また、引き込みの間、引き込み機の構造上可能な長さよりも短い筬を引き込み、それに適合する長さの移動式ユニットを使用する場合にも、移動式ユニットを含む引き込み機は、設置スペースを大幅に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明に従う装置または本発明に従う引き込み機のいくつかの重要な構成要素を示す模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明に従う装置1、または引き込み機5のいくつかの要部を示す模式的な斜視断面図である。筬3は、図示しない方法でキャリッジ7に取り付けられている。キャリッジ7は、中空形状材4に沿ってキャリッジを案内する2つのローラー8を含む。この例示的な態様において、キャリッジ7、したがって筬3は、中空形状材4に沿って長手方向Lに摺動可能に配置されており、2つのローラー8が中空形状材4を垂直方向Hに抱き込むことにより、筬3が確実かつ正確に案内される。中空形状材4は、その端部において、図示されていない別の中空形状材との接続を容易にするための部品を含んでいる。この種の構成要素は、本発明に従う装置1に配置され、それに応じて移動式ユニットに配置された筬3のための保持手段2に配置される中空形状材4の端部に取り付けられるものであってもよい。この種の部品は、引き込み機5に配置された筬3のための保持手段6に配置される中空形状材4の端部に取り付けられるものであってもよい。
【符号の説明】
【0017】
1:装置、2:装置の筬保持手段、3:筬、4:中空形状材、5:引き込み機、6:引き込み機5の筬の保持手段、7:キャリッジ、8:ローラー