(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】フレームワークタイプAEIを有するゼオライト系材料を製造する方法
(51)【国際特許分類】
C01B 39/48 20060101AFI20241125BHJP
B01J 29/70 20060101ALI20241125BHJP
B01J 37/10 20060101ALI20241125BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20241125BHJP
【FI】
C01B39/48 ZAB
B01J29/70 A
B01J29/70 Z
B01J37/10
B01D53/94 222
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022197830
(22)【出願日】2022-12-12
(62)【分割の表示】P 2019563088の分割
【原出願日】2018-05-15
【審査請求日】2023-01-11
(32)【優先日】2017-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】524318674
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ モバイル エミッションズ カタリスツ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】BASF Mobile Emissions Catalysts LLC
【住所又は居所原語表記】33 Wood Avenue South, Iselin, New Jersey 08830, USA
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】マクガイア,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】モイニ,アーマド
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,ウルリヒ
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2005/063624(WO,A1)
【文献】特表2016-516565(JP,A)
【文献】国際公開第2016/166245(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/090382(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 39/00 - 39/54
B01J 21/00 - 38/74
B01D 53/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームワークタイプAEIを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料を製造する方法であって、
(i)フレームワークタイプCHAを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料を用意する工程と、
(ii)(i)において用意されたゼオライト系材料、水、(i)において用意されたゼオライト系材料以外の4価の元素Yの供給源、およびAEIフレームワーク構造指向剤を含む合成混合物を製造する工程と、
(iii)(ii)において製造された合成混合物を、合成混合物を100~200℃の範囲の温度に加熱し、この範囲の温度で自生圧力下に維持することを含む水熱合成条件にかけ、フレームワークタイプAEIを有するゼオライト系材料を得る工程と
を含み、
Yは、Si、Ge、Sn、Ti、Zrの1種または複数であり、
Xは、Al、B、Ga、Inの1種または複数であり、
(i)において用意されたゼオライト系材料のフレームワーク構造において、モル比Y:Xは、YO
2:X
2O
3として計算して最大でも20:1であり、
(iii)にかけられる、(ii)において製造された合成混合物が、(i)において用意されたゼオライト系材料以外のAlの供給源を含まない、
方法。
【請求項2】
YがSiであり、XがAlであり、(i)において用意されたゼオライト系材料のフレームワークの好ましくは少なくとも98質量%、より好ましくは少なくとも99質量%、より好ましくは少なくとも99.5質量%が、Y、X、O、およびHからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(i)において用意されたゼオライト系材料のフレームワーク構造において、モル比Y:Xが、YO
2:X
2O
3として計算して3:1~20:1の範囲、好ましくは4:1~15:1の範囲、より好ましくは5:1~10:1の範囲である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
YがSiであり、(ii)による4価の元素Yの供給源が、湿式法シリカ、乾式法シリカ、およびコロイダルシリカの1種または複数、好ましくはコロイダルシリカを含み、AEIフレームワーク構造指向剤が、1種もしくは複数の第四級ホスホニウムカチオン含有化合物および/または1種もしくは複数の第四級アンモニウムカチオン含有化合物を含み、1種または複数のホスホニウムカチオン含有化合物は、1種または複数のR
1R
2R
3R
4P
+含有化合物を含み、R
1、R
2、R
3、およびR
4は互いに独立して、任意に置換されたおよび/または任意に分枝状の(C
1~C
6)アルキル、好ましくは(C
1~C
5)アルキル、より好ましくは(C
1~C
4)アルキル、より好ましくは(C
2~C
3)アルキル、さらにより好ましくは任意に置換されたメチルまたはエチルを表し、さらにより好ましくはR
1、R
2、R
3、およびR
4は、任意に置換されたエチル、好ましくは非置換エチルを表し、1種または複数の第四級アンモニウムカチオン含有化合物は、1種または複数のN,N-ジアルキル-ジアルキルピペリジニウムカチオン含有化合物、好ましくは1種または複数のN,N-(C
1~C
3)ジアルキル-(C
1~C
3)ジアルキルピペリジニウムカチオン含有化合物、より好ましくは1種または複数のN,N-(C
1~C
2)ジアルキル-(C
1~C
2)ジアルキルピペリジニウムカチオン含有化合物を含み、より好ましくは、1種または複数の第四級アンモニウムカチオン含有化合物は、N,N-(C
1~C
2)ジアルキル-2,6-(C
1~C
2)ジアルキルピペリジニウムカチオンおよびN,N-(C
1~C
2)ジアルキル-3,5-(C
1~C
2)ジアルキルピペリジニウムカチオン含有化合物からなる群、より好ましくはN,N-ジメチル-2,6-(C
1~C
2)ジアルキルピペリジニウムカチオンおよびN,N-ジメチル-3,5-(C
1~C
2)ジアルキル-ピペリジニウムカチオン含有化合物からなる群、より好ましくはN,N-ジメチル-2,6-ジメチルピペリジニウムカチオンおよびN,N-ジメチル-3,5-ジメチル-ピペリジニウムカチオン含有化合物からなる群から選択され、1種もしくは複数の第四級ホスホニウムカチオン含有化合物および/または1種もしくは複数の第四級アンモニウムカチオン含有化合物は、好ましくはハロゲン化物、好ましくは塩化物および/または臭化物、より好ましくは塩化物;水酸化物;硫酸塩;硝酸塩;リン酸塩;酢酸塩;ならびにそれらの2種以上の混合物からなる群、より好ましくは塩化物、水酸化物、硫酸塩、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される塩であり、より好ましくは、1種もしくは複数の第四級ホスホニウムカチオン含有化合物および/または1種もしくは複数の第四級アンモニウムカチオン含有化合物は、水酸化物および/または塩化物、さらにより好ましくは水酸化物であり、AEIフレームワーク構造指向剤が、N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウム水酸化物を含み、好ましくはそれである、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物において、ゼオライト系材料の4価の元素Yの供給源に対する質量比が、YO
2として計算して1.0:1~3.0:1の範囲、好ましくは1.5:1~2.5の範囲、より好ましくは2.0:1~2.2:1の範囲であり、ゼオライト系材料の水に対する質量比が、0.005:1~0.030:1の範囲、好ましくは0.010:1~0.025:1の範囲、より好ましくは0.015:1~0.020:1の範囲であり、ゼオライト系材料のAEIフレームワーク構造指向剤に対する質量比が、0.1:1~0.9:1の範囲、好ましくは0.3:1~0.7:1の範囲、より好ましくは0.4:1~0.5:1の範囲である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物が、塩基の供給源、好ましくは水酸化物の供給源を追加的に含み、(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物において、ゼオライト系材料の塩基の供給源に対する質量比が、好ましくは0.1:1~1.0:1の範囲、より好ましくは0.2:1~0.8:1の範囲、より好ましくは0.3:1~0.6:1の範囲である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
水熱合成温度が、110~175℃の範囲、好ましくは120~150℃の範囲であり、水熱合成条件が、水熱合成時間、好ましくは2~120時間の範囲、より好ましくは20~100時間の範囲、より好ましくは40~80時間の範囲を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
(iv)(iii)から得られた混合物を、好ましくは10~50℃の範囲、より好ましくは20~35℃の範囲の温度に冷却する工程と、
(v)ゼオライト系材料を、(iv)から得られた混合物から分離する工程と、
(vi)(v)から得られたゼオライト系材料を、好ましくは400~600℃の範囲、好ましくは450~550℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼する工程と
をさらに含み、
(v)は、好ましくは
(v.1)(iv)から得られた混合物を、濾過方法または噴霧方法を好ましくは含む固液分離方法にかける工程と、
(v.2)好ましくは、(v.1)から得られたゼオライト系材料を洗浄する工程と、
(v.3)(v.1)または(v.2)、好ましくは(v.2)から得られたゼオライト系材料を、好ましくは80~175℃の範囲、好ましくは100~150℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で乾燥する工程と
を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
(vii)金属Mをゼオライト系材料、好ましくは(vi)から得られたゼオライト系材料に担持させる工程
をさらに含み、
金属Mは、元素周期系の第7族~第12族の遷移金属、好ましくはFe、Co、Ni、Cu、およびZnの1種または複数、好ましくはFeおよびCuの1種または複数、より好ましくはCuである、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
(vii)が、
(vii.1)ゼオライト系材料、好ましくは(vi)から得られたゼオライト系材料、金属Mの供給源、金属Mの供給源のための溶媒、および任意に酸、好ましくは有機酸を含む混合物を製造する工程であって、溶媒は、好ましくは水を含み、金属Mの供給源は、好ましくは金属Mの塩を含み、酸は、好ましくは酢酸を含む、工程と、
(vii.2)(vii.1)において製造された混合物を、30~90℃の範囲、好ましくは40~80℃の範囲の温度に加熱する工程と、
(vii.3)(vii.2)から得られた混合物を好ましくは冷却し、より好ましくは急速冷却する工程と、
(vii.4)金属Mを含むゼオライト系材料を、(vii.2)または(vii.3)、好ましくは(vii.3)から得られた混合物から分離する工程であって、好ましくは、金属Mを含むゼオライト系材料を洗浄する工程を含む、工程と、
(vii.5)好ましくは、(vii.4)から得られた金属Mを含むゼオライト系材料をガス雰囲気中、好ましくは90~200℃の範囲、より好ましくは100~150℃の範囲のガス雰囲気の温度で乾燥する工程であって、ガス雰囲気は、好ましくは酸素を含む、工程と、
(vii.6)好ましくは、(vii.4)または(vii.5)、好ましくは(vii.5)から得られた金属Mを含むゼオライト系材料をガス雰囲気中、好ましくは350~600℃の範囲、より好ましくは400~550℃の範囲のガス雰囲気の温度でか焼する工程であって、ガス雰囲気は、好ましくは酸素を含む、工程と
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
(vii)によれば、金属Mが、元素Mとして計算して、ゼオライト系材料の全質量に対して0.1~5質量%の範囲、好ましくは0.2~4質量%の範囲、より好ましくは0.5~3質量%の範囲の量でゼオライト系材料に担持されている、請求項9または10に記載の方法
。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の方法によって得られうるもしくは得られたまたは製造されうるもしくは製造された、フレームワークタイプAEIを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含み、金属Mを任意に含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料であって、酸性部位の全量が1.0~2.0mmol/gの範囲であり、中酸性部位の量が0.1~0.8mmol/gの範囲であり、酸性部位の全量は、アンモニアの昇温脱離に従って決定して、ゼオライト系材料の1質量(mass)当たりの脱離したアンモニアの全モル量と定義され、中酸性部位の量は、250~500℃の温度範囲におけるアンモニアの昇温脱離に従って決定して、ゼオライト系材料の1質量(mass)当たりの脱離したアンモニアの量と定義される、ゼオライト系材料
を触媒活性材料、触媒、または触媒成分として使用する方法。
【請求項13】
排ガス流、好ましくはディーゼルエンジンからの排ガス流中の酸化窒素の選択的接触還元のために使用する、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
C1化合物から1種もしくは複数のオレフィンへの転換、好ましくはメタノールから1種もしくは複数のオレフィンへの転換、または一酸化炭素と水素を含む合成ガスから1種もしくは複数のオレフィンへの転換のために使用する、請求項
12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレームワークタイプAEIを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料を製造する方法に関する。さらに、本発明は、前記方法によって得られうるまたは得られた、フレームワークタイプAEIを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料に関し、さらに、前記ゼオライト系材料を触媒活性材料、触媒、または触媒成分として使用する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
フレームワークタイプAEIを有するゼオライト系材料は、工業用途における燃焼排ガスを処理する、例えば排ガス流中の酸化窒素(NOx)を転換するための触媒または触媒成分として潜在的に有効であることが知られている。合成AEIゼオライト系材料は通常、ケイ素の供給源やアルミニウムの供給源などゼオライトフレームワークを構築する元素の供給源を含む合成混合物からゼオライト系材料の結晶を沈降させることによって生成される。代替手法は、ゼオライトフレームワーク転換による製造でありうる。その変換に従って、AEI以外のフレームワークタイプを有する好適なゼオライト系材料である出発物質が適切に反応して、フレームワークタイプAEIを有するゼオライト系材料が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2013/068976号
【文献】国際公開第2013/182974号
【非特許文献】
【0004】
【文献】Dinnebier,R.E.、Billinge S.J.L.(編)「Powder diffraction:theory and practice」中のMadsen,I.C.、Scarlett,N.V.Y.(2008年)「Quantitative phase analysis」、The Royal Society of Chemistry,Cambridge、298~331頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明によれば、そのような転換には、フレームワークタイプCHAを有するゼオライト系材料が使用されるが、すべてのCHA材料が適しているというわけではないことが判明した。したがって、フレームワークタイプAEIを有するゼオライト系材料を製造するのに使用することができるフレームワークタイプCHAを有する好適なゼオライト系材料を見出すことが本発明の目的であった。驚くべきことに、フレームワークタイプCHAを有する前記ゼオライト系材料を使用することができるか否かは、フレームワークタイプCHAを有するゼオライト系材料のフレームワークの組成に依存することが判明した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明は、フレームワークタイプAEIを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料を製造する方法であって、
(i)フレームワークタイプCHAを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料を用意する工程と、
(ii)(i)において用意されたゼオライト系材料、水、(i)において用意されたゼオライト系材料以外の4価の元素Yの供給源、およびAEIフレームワーク構造指向剤を含む合成混合物を製造する工程と、
(iii)(ii)において製造された合成混合物を、合成混合物を100~200℃の範囲の温度に加熱し、この範囲の温度で自生圧力下に維持することを含む水熱合成条件にかけ、フレームワークタイプAEIを有するゼオライト系材料を得る工程と
を含み、
Yは、Si、Ge、Sn、Ti、Zrの1種または複数であり、
Xは、Al、B、Ga、Inの1種または複数であり、
(i)において用意されたゼオライト系材料のフレームワーク構造において、モル比Y:Xは、YO2:X2O3として計算して最大でも20:1である、方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施例1によるゼオライト系材料のXRDパターンを示す図である。
【
図2】実施例1によるゼオライト系材料のSEM写真を示す図である。
【
図3】実施例2によるゼオライト系材料のXRDパターンを示す図である。
【
図4】実施例2によるゼオライト系材料のSEM写真を示す図である。
【
図5】実施例2において用意された天然CHA材料のSEM写真を示す図である。
【
図6】実施例2において用意された天然CHA材料のXRDパターンを示す図である。
【
図7】実施例2において用意された天然CHA材料の水吸収等温線を示す図である。
【
図8】比較例3に従って得られた組成物のXRDパターンを示す図である。
【
図9】比較例3に従って得られた組成物のSEM写真を示す図である。
【
図10】比較例2のa)に従って用意されたゼオライト系材料のSEM写真を示す図である。
【
図11】2017年5月12日の状態のhttp://www.iza-online.org/natural/Datasheets/Chabazite/chabazite.htmに「化学組成」の節で示されているように、天然ゼオライト系材料の化学組成(R
2+-R
+-Si組成プロット)を示す図である。
【
図12】2017年5月12日の状態のhttp://www.iza-online.org/natural/Datasheets/Chabazite/chabazite.htmに「化学組成」の節で示されているように、天然ゼオライト系材料の化学組成(Na-Cas-Kプロット)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
好ましくは、フレームワーク構造は、4価の元素Y、3価の元素X、酸素、およびHを含む。好ましくは、Yは、Siである。好ましくは、XはAlである。より好ましくは、YはSiであり、XはAlである。
【0009】
4価の元素Y、3価の元素X、および酸素、ならびに好ましくはHに加えて、(i)において用意されたフレームワークタイプCHAを有するゼオライト系材料は、1種または複数のさらなる追加の成分を含むことができる。(i)において用意されたゼオライト系材料のフレームワークの好ましくは少なくとも95質量%、より好ましくは少なくとも98質量%、より好ましくは少なくとも99質量%、より好ましくは少なくとも99.5質量%は、Y、X、O、およびHからなる。
【0010】
好ましくは、(i)において用意されたゼオライト系材料は、Cuを含まない。特に非天然ゼオライト系材料が(i)において用意された場合、(i)において用意されたゼオライト系材料は、好ましくはCuおよびFeの1種または複数を含まず、より好ましくはFe、Co、Ni、Cu、およびZnの1種または複数を含まず、より好ましくはYまたはXが金属である場合、YおよびX以外の金属Mを含まない。好ましくは、(i)において用意されたフレームワークタイプCHAを有するゼオライト系材料のCuに関する含有量は、元素として計算して、ゼオライト系材料の全質量に対して最大でも500質量ppm、好ましくは最大でも100質量ppmである。特に非天然ゼオライト系材料が(i)において用意された場合、(i)において用意されたフレームワークタイプCHAを有するゼオライト系材料のCuおよびFeの1種または複数に関する含有量はそれぞれ元素として計算して、より好ましくはFe、Co、Ni、Cu、およびZnの1種または複数に関する含有量はそれぞれ元素として計算して、より好ましくはYまたはXが金属である場合、YおよびX以外の金属Mに関する含有量は、元素として計算して、ゼオライト系材料の全質量に対して最大でも500質量ppm、好ましくは最大でも100質量ppmである。
【0011】
(i)において用意されたフレームワークタイプCHAを有するゼオライト系材料において、モル比Y:Xは、YO2:X2O3として計算して、好ましくは3:1~20:1の範囲、好ましくは4:1~15:1の範囲、より好ましくは5:1~10:1の範囲である。好ましい範囲は、例えば5:1~7:1または6:1~8:1または7:1~9:1または8:1~10:1である。
【0012】
したがって、本発明は好ましくは、フレームワークタイプAEIを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料を製造する方法、好ましくは本明細書に上述された方法であって、
(i)フレームワークタイプCHAを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料を用意する工程と、
(ii)(i)において用意されたゼオライト系材料、水、(i)において用意されたゼオライト系材料以外の4価の元素Yの供給源、およびAEIフレームワーク構造指向剤を含む合成混合物を製造する工程と、
(iii)(ii)において製造された合成混合物を、合成混合物を100~200℃の範囲の温度に加熱し、この範囲の温度で自生圧力下に維持することを含む水熱合成条件にかけ、フレームワークタイプAEIを有するゼオライト系材料を得る工程と
を含み、
YはSiであり、
XはAlであり、
(i)において用意されたゼオライト系材料のフレームワーク構造において、モル比Y:Xは、YO2:X2O3として計算して5:1~10:1の範囲である、方法に関する。
【0013】
本発明の文脈では、(i)において用意されたフレームワークタイプCHAを有するゼオライト系材料は、好ましくはか焼ゼオライト系材料、より好ましくはガス雰囲気中、350~600℃の範囲、好ましくは400~550℃の範囲のガス雰囲気温度でか焼されたゼオライト系材料である。好ましくは、ガス雰囲気は、酸素を含む。より好ましくは、ガス雰囲気は、空気、希薄空気、または工業用窒素などの窒素、より好ましくは空気を含む。より好ましくは、ガス雰囲気は、空気である。
【0014】
一般に、ゼオライト系材料は、そのアンモニウムの形、その水素の形(Hの形)、またはそのナトリウムの形などいずれか他の好適なカチオンの形で提供されることが考えられうる。好ましくは、(i)において用意されたゼオライト系材料は、その水素(H)の形である。
【0015】
本発明によれば、フレームワークタイプCHAを有する天然ゼオライト系材料を使用することが有利でありうる。一般に、フレームワークタイプCHAを有する天然ゼオライト系材料は、とりわけ本明細書の
図11に示す化学組成を有することができ、本発明の文脈では、シリカ:アルミナ比が最大でも20:1、好ましくは3:1~20:1の範囲、より好ましくは4:1~15:1の範囲、より好ましくは5:1~10:1の範囲である、フレームワークタイプCHAを有するそのような天然ゼオライト系材料が使用される。
【0016】
本発明の方法の工程(ii)の文脈において、(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物は、好ましくはフレームワークタイプAEIを有するゼオライト系材料を含まない。より好ましくは、(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物は、フレームワークタイプAEIを有するゼオライト系シード材料を含まない。
【0017】
一般に、(ii)によれば、4価の元素Yのいずれか好適な供給源を使用することができる。特にYがSiである場合、Yの供給源は、湿式法シリカ、乾式法シリカ、およびコロイダルシリカの1種または複数を含み、より好ましくはそれらの1種または複数である。コロイダルシリカは、好ましくはアルカリ性および/またはアンモニア性溶液、より好ましくはアンモニア性溶液として、とりわけ、例えばLudox(登録商標)、Syton(登録商標)、Nalco(登録商標)またはSnowtex(登録商標)として市販されている。「湿式法」シリカは、とりわけ、例えばHi-Sil(登録商標)、Ultrasil(登録商標)、Vulcasil(登録商標)、Santocel(登録商標)、Valron-Estersil(登録商標)、Tokusil(登録商標)またはNipsil(登録商標)として市販されている。「乾式法」シリカは、とりわけ、例えばAerosil(登録商標)、Reolosil(登録商標)、Cab-O-Sil(登録商標)、Fransil(登録商標)またはArcSilica(登録商標)として市販されている。本発明によれば、とりわけ、コロイダルシリカのアンモニア性溶液を使用することができる。より好ましくは、YがSiである場合、(ii)による4価の元素Yの供給源は、コロイダルシリカを含み、好ましくはそれである。
【0018】
(ii)によれば、AEIフレームワーク構造指向剤は、(iii)に従ってフレームワークタイプAEIを有するゼオライト系材料を製造するいずれかの作用剤でありうる。好ましくは、AEIフレームワーク構造指向剤は、1種もしくは複数の第四級ホスホニウムカチオン含有化合物および/または1種もしくは複数の第四級アンモニウムカチオン含有化合物を含む。
【0019】
好ましくは、1種または複数のホスホニウムカチオン含有化合物は、1種または複数のR1R2R3R4P+含有化合物を含み、R1、R2、R3、およびR4は互いに独立して、任意に置換されたおよび/または任意に分枝状の(C1~C6)アルキル、より好ましくは(C1~C5)アルキル、より好ましくは(C1~C4)アルキル、より好ましくは(C2~C3)アルキル、好ましくは任意に置換されたメチルまたはエチルを表し、より好ましくは、R1、R2、R3、およびR4は、任意に置換されたエチル、好ましくは非置換エチルを表す。
【0020】
好ましくは、1種または複数の第四級アンモニウムカチオン含有化合物は、1種または複数のN,N-ジアルキル-ジアルキルピペリジニウムカチオン含有化合物、より好ましくは1種または複数のN,N-(C1~C3)ジアルキル-(C1~C3)ジアルキルピペリジニウムカチオン含有化合物、より好ましくは1種または複数のN,N-(C1~C2)ジアルキル-(C1~C2)ジアルキルピペリジニウムカチオン含有化合物を含み、より好ましくは、1種または複数の第四級アンモニウムカチオン含有化合物は、N,N-(C1~C2)ジアルキル-2,6-(C1~C2)ジアルキルピペリジニウムカチオンおよびN,N-(C1~C2)ジアルキル-3,5-(C1~C2)ジアルキルピペリジニウムカチオン含有化合物からなる群、より好ましくはN,N-ジメチル-2,6-(C1~C2)ジアルキルピペリジニウムカチオンおよびN,N-ジメチル-3,5-(C1~C2)ジアルキル-ピペリジニウムカチオン含有化合物からなる群、より好ましくはN,N-ジメチル-2,6-ジメチルピペリジニウムカチオンおよびN,N-ジメチル-3,5-ジメチル-ピペリジニウムカチオン含有化合物からなる群から選択される。
【0021】
好ましくは、1種もしくは複数の第四級ホスホニウムカチオン含有化合物および/または1種もしくは複数の第四級アンモニウムカチオン含有化合物は、塩、好ましくはハロゲン化物、より好ましくは塩化物および/または臭化物、より好ましくは塩化物;水酸化物;硫酸塩;硝酸塩;リン酸塩;酢酸塩;ならびにそれらの2種以上の混合物からなる群、より好ましくは塩化物、水酸化物、硫酸塩、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される塩であり、より好ましくは、1種もしくは複数の第四級ホスホニウムカチオン含有化合物および/または1種もしくは複数の第四級アンモニウムカチオン含有化合物は、水酸化物および/または塩化物、より好ましくは水酸化物である。
【0022】
より好ましくは、AEIフレームワーク構造指向剤は、N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウム水酸化物を含み、好ましくはそれである。
【0023】
好ましくは、(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物において、ゼオライト系材料の4価の元素Yの供給源に対する質量比は、YO2として計算して1.0:1~3.0:1の範囲、より好ましくは1.5:1~2.5の範囲、より好ましくは2.0:1~2.2:1の範囲である。本発明の考えられる実施形態によれば、ゼオライト系材料の4価の元素Yの供給源に対する質量比は、無限大でありうる。これは、Yを含むゼオライト系材料以外に、4価の元素の別の供給源は、(ii)における合成混合物中に含まれないことを意味する。
【0024】
好ましくは、(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物において、ゼオライト系材料の水に対する質量比は、0.005:1~0.030:1の範囲、より好ましくは0.010:1~0.025:1の範囲、より好ましくは0.015:1~0.020:1の範囲である。
【0025】
好ましくは、(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物において、ゼオライト系材料のAEIフレームワーク構造指向剤に対する質量比は、0.1:1~0.9:1の範囲、好ましくは0.3:1~0.7:1の範囲、より好ましくは0.4:1~0.5:1の範囲である。
【0026】
(ii)において製造された合成混合物のpHは、いずれの特定の値にも限定されない。好ましくは、(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物は、塩基の供給源、より好ましくは水酸化物の供給源を追加的に含む。
【0027】
好ましくは、(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物は、ナトリウム、リチウム、カリウムなどのアルカリ金属およびマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどのアルカリ土類金属、より好ましくはアルカリ金属の1種または複数の供給源、より好ましくはナトリウムを追加的に含む。
【0028】
より好ましくは、塩基の供給源は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の1種または複数の供給源、好ましくはアルカリ金属塩基、より好ましくはアルカリ金属水酸化物、より好ましくは水酸化ナトリウムである。
【0029】
(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物は、混合物中に含まれる成分のいずれの特定の質量比にも限定されない。好ましくは、(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物において、ゼオライト系材料の塩基の供給源に対する質量比は、0.1:1~1.0:1の範囲、好ましくは0.2:1~0.8:1の範囲、より好ましくは0.3:1~0.6:1の範囲である。
【0030】
好ましくは、(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物は、Cuの供給源を含まず、好ましくはCuおよびFeの1種または複数の供給源を含まず、より好ましくはFe、Co、Ni、Cu、およびZnの1種または複数の供給源を含まず、より好ましくはYまたはXが金属である場合、YおよびX以外の金属Mの供給源を含まない。
【0031】
好ましくは、(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物は、フルオリドの供給源を含まず、好ましくはハロゲン化物の供給源を含まない。好ましくは、(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物は、(i)において用意されたゼオライト系材料以外にAlの供給源を含まず、好ましくは(i)において用意されたゼオライト系材料以外にXの供給源を含まず、より好ましくはAl、B、Ga、Inまたはそれらの組合せの供給源を含まない。
【0032】
(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物の好ましくは少なくとも95質量%、より好ましくは少なくとも98質量%、より好ましくは少なくとも99質量%は、(i)において用意されたゼオライト系材料、水、4価の元素Yの供給源、AEIフレームワーク構造指向剤、好ましくは塩基の供給源ならびにアルカリ金属およびアルカリ土類金属の1種または複数の供給源からなる。
【0033】
本発明の方法の工程(iii)は、(ii)において製造された合成混合物を水熱合成条件にかける工程を含む。
【0034】
好ましくは、水熱合成は、自生圧力下に、好ましくはオートクレーブ中で実施される。好ましくは、(ii)において製造された合成混合物は、オートクレーブ中、0.5~4K/分の範囲、より好ましくは1~3K/分の範囲の加熱速度で水熱合成温度に加熱される。好ましくは、混合物が加熱される水熱合成温度は、110~175℃の範囲、好ましくは120~150℃の範囲である。好ましくは、水熱合成条件は、合成時間の少なくとも一部分の間に合成混合物を撹拌する工程をさらに含む。好ましくは、水熱合成条件は、2~120時間の範囲、より好ましくは20~100時間の範囲、より好ましくは40~80時間の範囲の水熱合成時間をさらに含む。したがって、(iii)によれば、(ii)において用意された混合物は、110~175℃の範囲、好ましくは120~150℃の範囲の温度に加熱され、この温度で2~120時間の範囲の時間保持されることが好ましい。したがって、(iii)によれば、(ii)において用意された混合物は、110~175℃の範囲、好ましくは120~150℃の範囲の温度に加熱され、この温度で20~120時間の範囲の時間保持されることがさらに好ましい。したがって、(iii)によれば、(ii)において用意された混合物は、110~175℃の範囲、好ましくは120~150℃の範囲の温度に加熱され、この温度で40~80時間の範囲の時間保持されることがさらに好ましい。
【0035】
(iii)による水熱合成から、水熱合成温度でその母液中に懸濁しているフレームワークタイプAEIを有するゼオライト系材料を含む混合物が得られる。水熱合成が自生圧力下に実施されるので、(iii)は、混合物を減圧する工程をさらに含むことが好ましい。減圧の前、中、または後に、本発明の方法は、好ましくは、
(iv)(iii)から得られた混合物を冷却する工程
をさらに含む。
【0036】
特定の限定はないが、混合物を10~50℃の範囲、より好ましくは20~35℃の範囲の温度に冷却することが好ましい。
【0037】
前述のように、その母液中に懸濁しているフレームワークタイプAEIを有するゼオライト系材料を含む混合物が(iii)から得られるので、本発明の方法は、
(v)ゼオライト系材料を、(iii)または(iv)から得られた混合物、好ましくは(iv)から得られた混合物から分離する工程
をさらに含むことがさらに好ましい。
【0038】
ゼオライト系材料が分離される方法について特定の限定はない。好ましくは、前記分離工程(v)は、
(v.1)(iii)または(iv)から得られた混合物を、濾過方法または噴霧方法を好ましくは含む固液分離方法にかける工程と、
(v.2)好ましくは、(v.1)から得られたゼオライト系材料を洗浄する工程と、
(v.3)(v.1)または(v.2)、好ましくは(v.2)から得られたゼオライト系材料を乾燥する工程と
を含む。
【0039】
(v.1)について、噴霧方法は、噴霧乾燥または噴霧顆粒化を含むことができる。(v.2)が実施される場合、ゼオライト系材料は、洗浄剤としての水で好ましくは洗浄水の伝導率が最大でも500マイクロジーメンス、好ましくは最大でも200マイクロジーメンスになるまで洗浄されることが好ましい。(v.3)について、ゼオライト系材料は、80~175℃の範囲、より好ましくは100~150℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で乾燥されることが好ましい。好ましくは、ガス雰囲気は酸素を含み、より好ましくは空気、希薄空気、または合成空気を含み、より好ましくはそれである。
【0040】
好ましくは、本発明の方法は、
(vi)(v)から得られたゼオライト系材料をか焼する工程
をさらに含む。
【0041】
工程(vi)が実施される場合、ゼオライト系材料は、好ましくは400~600℃の範囲、より好ましくは450~550℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼される。好ましくは、ガス雰囲気は酸素を含み、より好ましくは空気、希薄空気、または合成空気を含み、より好ましくはそれである。
【0042】
好ましくは、(iii)において得られたゼオライト系材料のフレームワーク構造において、モル比X:Yは、X2O3:YO2として計算して少なくとも0.01:1、より好ましくは少なくとも0.02:1、より好ましくは少なくとも0.04:1、より好ましくは少なくとも0.05:1である。好ましくは、(iii)において得られたゼオライト系材料のフレームワーク構造において、モル比X:Yは、X2O3:YO2として計算して0.01:1~0.23:1の範囲、より好ましくは0.02:1~0.21:1の範囲、より好ましくは0.03:1~0.19:1の範囲、より好ましくは0.04:1~0.17:1の範囲、より好ましくは0.05:1~0.15:1の範囲、より好ましくは0.06:1~0.13:1の範囲、より好ましくは0.07:1~0.11:1の範囲である。あるいは、(iii)において得られたゼオライト系材料のフレームワーク構造において、モル比X:Yは、X2O3:YO2として計算して0.01:1~0.17:1の範囲、より好ましくは0.02:1~0.15:1の範囲、より好ましくは0.03:1~0.13:1の範囲、より好ましくは0.04:1~0.11:1の範囲、より好ましくは0.05:1~0.09:1の範囲であることが好ましい。
【0043】
したがって、本発明はさらに好ましくは、フレームワークタイプAEIを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料を製造する方法、好ましくは本明細書に上述された方法であって、(i)において用意されたゼオライト系材料が、か焼ゼオライト系材料であり、前記方法が、
(i)フレームワークタイプCHAを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料を用意する工程と、
(ii)(i)において用意されたゼオライト系材料、水、(i)において用意されたゼオライト系材料以外の4価の元素Yの供給源、およびAEIフレームワーク構造指向剤を含む合成混合物を製造する工程と、
(iii)(ii)において製造された合成混合物を、合成混合物を100~200℃の範囲の温度に加熱し、この範囲の温度で自生圧力下に維持することを含む水熱合成条件にかけ、フレームワークタイプAEIを有するゼオライト系材料を得る工程と、
(iv)(iii)から得られた混合物を、好ましくは10~50℃の範囲、より好ましくは20~35℃の範囲の温度に冷却する工程と、
(v)ゼオライト系材料を、(iv)から得られた混合物から分離する工程であって、
(v.1)(iv)から得られた混合物を、濾過方法または噴霧方法を好ましくは含む固液分離方法にかける工程と、
(v.2)(v.1)から得られたゼオライト系材料を洗浄する工程と、
(v.3)(v.2)から得られたゼオライト系材料を、80~175℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で乾燥する工程と
を含む工程と、
(vi)(v)から得られたゼオライト系材料を、400~600℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼する工程と
を含み、
YはSiであり、XはAlであり、モル比Y:Xは、YO2:X2O3として計算して 最大でも20:1である、方法に関する。
【0044】
一般に、本発明の方法によれば、フレームワークタイプAEIを有するゼオライト系材料を生じる上記の転換方法は、本質的に完全な転換であり、得られた材料は、フレームワークタイプAEIを有するゼオライト系材料から本質的になる可能性がある。しかし、転換は部分不完全な転換であり、得られた材料には、フレームワークタイプAEIを有するゼオライト系材料だけでなく、1種または複数の他の材料、好ましくはAEI以外のフレームワークタイプを有する1種または複数のゼオライト系材料、好ましくはフレームワークタイプCHAを有するゼオライト系材料も含まれている可能性がある。好ましくは、そのようなそれぞれ得られた組成物について、フレームワークタイプAEIを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料を含む前記組成物の50質量%超、より好ましくは少なくとも60質量%、より好ましくは少なくとも70質量%が、フレームワークタイプAEIを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料からなる。より好ましくは、フレームワークタイプAEIを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料を含む組成物の少なくとも75質量%、より好ましくは少なくとも85質量%、より好ましくは少なくとも90質量%が、フレームワークタイプAEIを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料からなる。より好ましくは、組成物の少なくとも90質量%、より好ましくは少なくとも95質量%、より好ましくは少なくとも99質量%が、フレームワークタイプAEIを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料と、フレームワークタイプCHAを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料とからなる。フレームワークタイプAEIを有するゼオライト系材料を含む前記組成物を導くそのような部分不完全な転換は、例えば組成物を製造する方法を対象とする本発明の第2の好ましい実施形態群として考慮される。完全を期すために、これらの実施形態についても、転換が完全である場合、組成物は、フレームワークタイプAEIを有するゼオライト系材料からなるものと理解されるべきであると言及される。いずれの場合でも、転換が部分不完全な転換である場合でさえ、それにもかかわらず本発明は、例えばフレームワークタイプAEIを有するゼオライト系材料を製造する方法を対象とする。というのは、このゼオライト系材料が前記組成物中に強制的に含められているからである。
【0045】
ゼオライト系材料を使用する所期の方法に応じて、材料、好ましくは(vi)から得られた材料をそのようなものとして使用することができる。さらに、このゼオライト系材料を1個または複数の別の後処理工程にかけることが考えられる。例えば、最も好ましくは粉末として得られるゼオライト系材料を、押出、打錠、噴霧など(に限定されない)を含めていずれか好適な方法で成形体または造形体に好適に加工することができる。好ましくは、造形体は、長方形、三角形、六角形、四角形、楕円形もしくは円形断面を有することがあり、および/または好ましくは星、錠剤、球体、円柱、撚糸、もしくは中空円柱の形をとる。造形体を製造するとき、造形体を使用する所期の方法に従って選択することができる1種または複数の結合剤を使用することができる。利用可能な結合剤材料としては、グラファイト、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ、ならびにケイ素、チタンおよびジルコニウムの2種以上の混合酸化物が挙げられるが、これらに限定されない。ゼオライト系材料の結合剤に対する質量比は、一般にいかなる特定の限定も受けておらず、例えば10:1~1:10の範囲でありうる。例えば、排ガス流、例えばエンジンの排ガス流を処理するための触媒または触媒成分としてゼオライト系材料が使用される別の例によれば、ゼオライト系材料は、壁面流フィルターなどの好適な基材に塗布されるウォッシュコートの成分として使用される可能性がある。
【0046】
好ましくは、(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物は、フルオリドの供給源を含まず、好ましくはハロゲン化物の供給源を含まない。好ましくは、(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物は、(i)において用意されたゼオライト系材料以外にAlの供給源を含まず、好ましくはXの供給源を含まず、より好ましくは(i)において用意されたゼオライト系材料以外にAl、B、Ga、Inまたはそれらの組合せの供給源を含まない。
【0047】
好ましくは、(iii)において得られたゼオライト系材料のフレームワーク構造において、モル比X:Yは、X2O3:YO2として計算して少なくとも0.01:1、より好ましくは少なくとも0.02:1、より好ましくは少なくとも0.04:1、より好ましくは少なくとも0.05:1である。好ましくは、(iii)において得られたゼオライト系材料のフレームワーク構造において、モル比X:Yは、X2O3:YO2として計算して0.01:1~0.23:1の範囲、より好ましくは0.02:1~0.21:1の範囲、より好ましくは0.03:1~0.19:1の範囲、より好ましくは0.04:1~0.17:1の範囲、より好ましくは0.05:1~0.15:1の範囲、より好ましくは0.06:1~0.13:1の範囲、より好ましくは0.07:1~0.11:1の範囲である。あるいは、(iii)において得られたゼオライト系材料のフレームワーク構造において、モル比X:Yは、X2O3:YO2として計算して0.01:1~0.17:1の範囲、より好ましくは0.02:1~0.15:1の範囲、より好ましくは0.03:1~0.13:1の範囲、より好ましくは0.04:1~0.11:1の範囲、より好ましくは0.05:1~0.09:1の範囲であることが好ましい。
【0048】
本発明の好ましい実施形態によれば、ゼオライト系材料を、金属Mをゼオライト系材料に担持させる工程を含む後処理にかける。したがって、本発明はさらに好ましくは、以上で説明した方法であって、
(vii)金属Mをゼオライト系材料、好ましくは(vi)から得られたゼオライト系材料に担持させる工程
をさらに含む方法に関する。
【0049】
好ましくは、(vii)は、
(vii.1)ゼオライト系材料、好ましくは(vi)から得られたゼオライト系材料、金属Mの供給源、金属Mの供給源のための溶媒、および任意に酸、好ましくは有機酸を含む混合物を製造する工程であって、溶媒は、好ましくは水を含み、金属Mの供給源は、好ましくは金属Mの塩を含み、酸は、好ましくは酢酸を含む、工程と、
(vii.2)(vii.1)において製造された混合物を、30~90℃の範囲、好ましくは40~80℃の範囲の温度に加熱する工程と、
(vii.3)(vii.2)から得られた混合物を好ましくは冷却し、より好ましくは急速冷却する工程と、
(vii.4)金属Mを含むゼオライト系材料を、(vii.2)または(vii.3)、好ましくは(vii.3)から得られた混合物から分離する工程であって、好ましくは、金属Mを含むゼオライト系材料を洗浄する工程を含む、工程と、
(vii.5)好ましくは、(vii.4)から得られた金属Mを含むゼオライト系材料をガス雰囲気中、好ましくは90~200℃の範囲、より好ましくは100~150℃の範囲のガス雰囲気温度で乾燥する工程であって、ガス雰囲気は、好ましくは酸素を含む、工程と、
(vii.6)好ましくは(vii.4)または(vii.5)、好ましくは(vii.5)から得られた金属Mを含むゼオライト系材料をガス雰囲気中、好ましくは350~600℃の範囲、より好ましくは400~550℃の範囲のガス雰囲気温度でか焼する工程であって、ガス雰囲気は、好ましくは酸素を含む、工程と
を含む。
【0050】
好ましくは、金属Mは、元素周期系の第8族~第12族の遷移金属である。より好ましくは、金属Mは、Fe、Co、Ni、Cu、およびZnの1種または複数、より好ましくはFeおよびCuの1種または複数である。より好ましくは、金属Mは、Cuを含み、好ましくはそれである。好ましくは、(vii)によれば、金属Mが、元素Mとして計算して、ゼオライト系材料の全質量に対して0.1~5質量%の範囲、より好ましくは0.2~4質量%の範囲、より好ましくは0.5~3質量%の範囲の量でゼオライト系材料に担持されている。
【0051】
ゼオライト系材料を使用する所期の方法に応じて、材料、好ましくは(vii)から得られた材料をそのようなものとして使用することができる。さらに、このゼオライト系材料を1個または複数の別の後処理工程にかけることが考えられる。例えば、最も好ましくは粉末として得られるゼオライト系材料を、押出、打錠、噴霧など(に限定されない)を含めていずれか好適な方法で成形体または造形体に好適に加工することができる。好ましくは、造形体は、長方形、三角形、六角形、四角形、楕円形もしくは円形断面を有することがあり、および/または好ましくは星、錠剤、球体、円柱、撚糸、もしくは中空円柱の形をとる。造形体を製造するとき、造形体を使用する所期の方法に従って選択することができる1種または複数の結合剤を使用することができる。利用可能な結合剤材料としては、グラファイト、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ、ならびにケイ素、チタンおよびジルコニウムの2種以上の混合酸化物が挙げられるが、これらに限定されない。ゼオライト系材料の結合剤に対する質量比は、一般にいかなる特定の限定も受けておらず、例えば10:1~1:10の範囲でありうる。例えば、排ガス流、例えばエンジンの排ガス流を処理するための触媒または触媒成分としてゼオライト系材料が使用される別の例によれば、ゼオライト系材料は、壁面流フィルターなどの好適な基材に塗布されるウォッシュコートの成分として使用される可能性がある。
【0052】
本発明はさらに、本明細書に上述された方法に従う方法で得られうるもしくは得られたまたは製造されうるもしくは製造された、フレームワークタイプAEIを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料にも関する。
【0053】
本発明はまたさらに、金属Mを(vii)によるゼオライト系材料に担持させる工程を含む本明細書に上述された方法で得られうるもしくは得られたまたは製造されうるもしくは製造された、金属Mを含み、フレームワークタイプAEIを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料にも関する。
【0054】
好ましくは、前記ゼオライト系材料は、酸性部位の全量が1.0~2.0mmol/gの範囲であり、酸性部位の全量は、本明細書の参考例1.6に記載されているアンモニアの昇温脱離(NH3-TPD)に従って決定された、ゼオライト系材料の1質量(mass)当たりの脱離したアンモニアの全モル量と定義され、ゼオライト系材料は、中酸性部位の量が0.1~0.8mmol/gの範囲であり、中酸性部位の量は、250~500℃の温度範囲で本明細書の参考例1.6に記載されているアンモニアの昇温脱離(NH3-TPD)に従って決定されたゼオライト系材料の1質量(mass)当たりの脱離したアンモニアの量と定義される。
【0055】
フレームワークタイプAEIを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有する本発明のゼオライト系材料は、吸収剤、吸着剤、モレキュラーシーブ、触媒、触媒担体または1種もしくは複数のそれらを製造するための中間体を含めて考えられるいかなる目的にも使用することができるが、これらに限定されない。好ましくは、本発明のゼオライト系材料は、触媒活性材料、触媒、または触媒成分として、より好ましくは、排ガス流、好ましくはディーゼル機関からの排ガス流中の酸化窒素の選択的接触還元のための、より好ましくは、C1化合物から1種もしくは複数のオレフィンへの転換、好ましくはメタノールから1種もしくは複数のオレフィンへの転換、または一酸化炭素と水素を含む合成ガスから1種もしくは複数のオレフィンへの転換のための触媒活性材料、触媒、または触媒成分として使用される。
【0056】
さらに、本発明は、排ガス流、好ましくはディーゼル機関からの排ガス流中の酸化窒素を選択的に接触還元する方法であって、前記排ガス流と本発明によるゼオライト系材料を含む触媒とを接触させる工程を含む方法に関する。
【0057】
またさらに、本発明は、排ガス流、好ましくはディーゼル機関からの排ガス流中の酸化窒素を選択的に接触還元する方法であって、フレームワークタイプAEIを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料を本発明による方法、好ましくは金属Mを(vii)によるゼオライト系材料に担持させる工程を含む本発明による方法で製造し、前記排ガス流と前記ゼオライト系材料を含む触媒とを接触させる工程を含む方法に関する。
【0058】
本発明はまた、C1化合物を1種もしくは複数のオレフィンに接触転換する、好ましくはメタノールを1種もしくは複数のオレフィンに転換する、または一酸化炭素と水素を含む合成ガスを1種もしくは複数のオレフィンに転換する方法であって、前記C1化合物と本発明によるゼオライト系材料を含む触媒とを接触させる工程を含む、方法にも関する。
【0059】
本発明はさらに、C1化合物を1種もしくは複数のオレフィンに接触転換する、好ましくはメタノールを1種もしくは複数のオレフィンに転換する、または一酸化炭素と水素を含む合成ガスを1種もしくは複数のオレフィンに転換する方法であって、フレームワークタイプAEIを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料を本発明による方法、好ましくは金属Mを(vii)によるゼオライト系材料に担持させる工程を含む本発明による方法で製造し、前記C1化合物と前記ゼオライト系材料を含む触媒とを接触させる工程を含む、方法にも関する。
【0060】
本発明を、示される依存関係および後方参照関係に起因する以下の実施形態群および実施形態の組合せによりさらに説明する。特に、ある範囲の実施形態が記載されているそれぞれの場合、例えば「実施形態1から4のいずれか一形態に記載の方法」などの用語の文脈では、この範囲のあらゆる実施形態は、当業者にとって明確に開示されていることになっており、すなわち、この用語の表現は、当業者によって「実施形態1、2、3、および4のいずれか一形態に記載の方法」と同義であると理解されるものとすることが認められている。
【0061】
1.フレームワークタイプAEIを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料を製造する方法であって、
(i)フレームワークタイプCHAを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料を用意する工程と、
(ii)(i)において用意されたゼオライト系材料、水、(i)において用意されたゼオライト系材料以外の4価の元素Yの供給源、およびAEIフレームワーク構造指向剤を含む合成混合物を製造する工程と、
(iii)(ii)において製造された合成混合物を、合成混合物を100~200℃の範囲の温度に加熱し、この範囲の温度で自生圧力下に維持することを含む水熱合成条件にかけ、フレームワークタイプAEIを有するゼオライト系材料を得る工程と
を含み、
Yは、Si、Ge、Sn、Ti、Zrの1種または複数であり、
Xは、Al、B、Ga、Inの1種または複数であり、
(i)において用意されたゼオライト系材料のフレームワーク構造において、モル比Y:Xは、YO2:X2O3として計算して最大でも20:1である、方法。
【0062】
2.Yが、Siである、実施形態1に記載の方法。
【0063】
3.XがAlである、実施形態1または2に記載の方法。
【0064】
4.YがSiであり、XがAlである、実施形態1から3のいずれか一形態に記載の方法。
【0065】
5.(i)において用意されたゼオライト系材料のフレームワークの少なくとも95質量%、好ましくは少なくとも98質量%、より好ましくは少なくとも99質量%、より好ましくは少なくとも99.5質量%が、Y、X、O、およびHからなる、実施形態1から4のいずれか一形態に記載の方法。
【0066】
6.(i)において用意されたゼオライト系材料が、Cuを含まず、好ましくはCuおよびFeの1種または複数を含まず、より好ましくはFe、Co、Ni、Cu、およびZnの1種または複数を含まず、より好ましくはYまたはXが金属である場合、YおよびX以外の金属Mを含まない、実施形態1から5のいずれか一形態に記載の方法。
【0067】
7.(i)において用意されたゼオライト系材料のCuに関する含有量が、元素として計算して、好ましくはCuおよびFeの1種または複数に関する含有量がそれぞれ元素として計算して、より好ましくはFe、Co、Ni、Cu、およびZnの1種または複数に関する含有量がそれぞれ元素として計算して、より好ましくはYまたはXが金属である場合、YおよびX以外の金属Mに関する含有量が、元素として計算して、ゼオライト系材料の全質量に対して最大でも500質量ppm、好ましくは最大でも100質量ppmである、実施形態1から6のいずれか一形態に記載の方法。
【0068】
8.(i)において用意されたゼオライト系材料のフレームワーク構造において、モル比Y:Xが、YO2:X2O3として計算して3:1~20:1の範囲、好ましくは4:1~15:1の範囲、より好ましくは5:1~10:1の範囲である、実施形態1から7のいずれか一形態に記載の方法。
【0069】
9.フレームワークタイプAEIを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料を製造する方法、好ましくは実施形態1から8のいずれか一形態に記載の方法であって、
(i)フレームワークタイプCHAを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料を用意する工程と、
(ii)(i)において用意されたゼオライト系材料、水、(i)において用意されたゼオライト系材料以外の4価の元素Yの供給源、およびAEIフレームワーク構造指向剤を含む合成混合物を製造する工程と、
(iii)(ii)において製造された合成混合物を、合成混合物を100~200℃の範囲の温度に加熱し、この範囲の温度で自生圧力下に維持することを含む水熱合成条件にかけ、フレームワークタイプAEIを有するゼオライト系材料を得る工程と
を含み、
YはSiであり、
XはAlであり、
(i)において用意されたゼオライト系材料のフレームワーク構造において、モル比Y:Xは、YO2:X2O3として計算して5:1~10:1の範囲である、方法。
【0070】
10.(i)において用意されたゼオライト系材料が、か焼ゼオライト系材料であり、好ましくはゼオライト系材料が、ガス雰囲気中、350~600℃の範囲、好ましくは400~550℃の範囲のガス雰囲気温度でか焼され、ガス雰囲気は、好ましくは酸素を含む、実施形態1から9のいずれか一形態に記載の方法。
【0071】
11.(i)において用意されたゼオライト系材料が、そのHの形をとる、実施形態1から10のいずれか一形態に記載の方法。
【0072】
12.(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物が、フレームワークタイプAEIを有するゼオライト系材料を含まない、実施形態1から11のいずれか一形態に記載の方法。
【0073】
13.(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物が、フレームワークタイプAEIを有するゼオライト系シード材料を含まない、実施形態1から12のいずれか一形態に記載の方法。
【0074】
14.YがSiであり、(ii)による4価の元素Yの供給源が、湿式法シリカ、乾式法シリカ、およびコロイダルシリカの1種または複数を含む、実施形態1から13のいずれか一形態に記載の方法。
【0075】
15.YがSiであり、(ii)による4価の元素Yの供給源が、コロイダルシリカを含み、好ましくはそれである、実施形態1から14のいずれか一形態に記載の方法。
【0076】
16.AEIフレームワーク構造指向剤が、1種もしくは複数の第四級ホスホニウムカチオン含有化合物および/または1種もしくは複数の第四級アンモニウムカチオン含有化合物を含み、
1種または複数のホスホニウムカチオン含有化合物は、1種または複数のR1R2R3R4P+含有化合物を含み、R1、R2、R3、およびR4は互いに独立して、任意に置換されたおよび/または任意に分枝状の(C1~C6)アルキル、好ましくは(C1~C5)アルキル、より好ましくは(C1~C4)アルキル、より好ましくは(C2~C3)アルキル、さらにより好ましくは任意に置換されたメチルまたはエチルを表し、さらにより好ましくはR1、R2、R3、およびR4は、任意に置換されたエチル、好ましくは非置換エチルを表し、
1種または複数の第四級アンモニウムカチオン含有化合物は、1種または複数のN,N-ジアルキル-ジアルキルピペリジニウムカチオン含有化合物、好ましくは1種または複数のN,N-(C1~C3)ジアルキル-(C1~C3)ジアルキルピペリジニウムカチオン含有化合物、より好ましくは1種または複数のN,N-(C1~C2)ジアルキル-(C1~C2)ジアルキルピペリジニウムカチオン含有化合物を含み、より好ましくは、1種または複数の第四級アンモニウムカチオン含有化合物は、N,N-(C1~C2)ジアルキル-2,6-(C1~C2)ジアルキルピペリジニウムカチオンおよびN,N-(C1~C2)ジアルキル-3,5-(C1~C2)ジアルキルピペリジニウムカチオン含有化合物からなる群、より好ましくはN,N-ジメチル-2,6-(C1~C2)ジアルキルピペリジニウムカチオンおよびN,N-ジメチル-3,5-(C1~C2)ジアルキル-ピペリジニウムカチオン含有化合物からなる群、より好ましくはN,N-ジメチル-2,6-ジメチルピペリジニウムカチオンおよびN,N-ジメチル-3,5-ジメチル-ピペリジニウムカチオン含有化合物からなる群から選択され、
1種もしくは複数の第四級ホスホニウムカチオン含有化合物および/または1種もしくは複数の第四級アンモニウムカチオン含有化合物は、塩、好ましくはハロゲン化物、好ましくは塩化物および/または臭化物、より好ましくは塩化物;水酸化物;硫酸塩;硝酸塩;リン酸塩;酢酸塩;ならびにそれらの2種以上の混合物からなる群、より好ましくは塩化物、水酸化物、硫酸塩、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される塩であり、より好ましくは、1種もしくは複数の第四級ホスホニウムカチオン含有化合物および/または1種もしくは複数の第四級アンモニウムカチオン含有化合物は、水酸化物および/または塩化物、さらにより好ましくは水酸化物である、実施形態1から15のいずれか一形態に記載の方法。
【0077】
17.AEIフレームワーク構造指向剤が、N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウム水酸化物を含み、好ましくはそれである、実施形態1から16のいずれか一形態に記載の方法。
【0078】
18.(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物において、ゼオライト系材料の4価の元素Yの供給源に対する質量比は、YO2として計算して1.0:1~3.0:1の範囲、好ましくは1.5:1~2.5の範囲、より好ましくは2.0:1~2.2:1の範囲である、実施形態1から17のいずれか一形態に記載の方法。
【0079】
19.(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物において、ゼオライト系材料の水に対する質量比が、0.005:1~0.030:1の範囲、好ましくは0.010:1~0.025:1の範囲、より好ましくは0.015:1~0.020:1の範囲である、実施形態1から18のいずれか一形態に記載の方法。
【0080】
20.(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物において、ゼオライト系材料のAEIフレームワーク構造指向剤に対する質量比が、0.1:1~0.9:1の範囲、好ましくは0.3:1~0.7:1の範囲、より好ましくは0.4:1~0.5:1の範囲である、実施形態1から19のいずれか一形態に記載の方法。
【0081】
21.(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物が、塩基の供給源、好ましくは水酸化物の供給源を追加的に含む、実施形態1から20のいずれか一形態に記載の方法。
【0082】
22.(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物が、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の1種または複数の供給源、好ましくはアルカリ金属、より好ましくはナトリウムを追加的に含む、実施形態1から21のいずれか一形態に記載の方法。
【0083】
23.塩基の供給源が、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の1種または複数の供給源、好ましくはアルカリ金属塩基、より好ましくはアルカリ金属水酸化物、より好ましくは水酸化ナトリウムである、実施形態21または22に記載の方法。
【0084】
24.(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物において、ゼオライト系材料の塩基の供給源に対する質量比が、0.1:1~1.0:1の範囲、好ましくは0.2:1~0.8:1の範囲、より好ましくは0.3:1~0.6:1の範囲である、実施形態21から23のいずれか一形態に記載の方法。
【0085】
25.(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物が、Cuの供給源、好ましくはCuおよびFeの1種または複数の供給源、より好ましくはFe、Co、Ni、Cu、およびZnの1種または複数の供給源、より好ましくはYまたはXが金属である場合、YおよびX以外の金属Mの供給源を含まない、実施形態1から24のいずれか一形態に記載の方法。
【0086】
26.(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物が、フルオリドの供給源を含まず、好ましくはハロゲン化物の供給源を含まない、実施形態1から25のいずれか一形態に記載の方法。
【0087】
27.(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物が、(i)において用意されたゼオライト系材料以外のAlの供給源を含まず、好ましくはXの供給源を含まず、より好ましくは(i)において用意されたゼオライト系材料以外のAl、B、Ga、Inまたはそれらの組合せの供給源を含まない、実施形態1から26のいずれか一形態に記載の方法。
【0088】
28.(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物の少なくとも95質量%、好ましくは少なくとも98質量%、より好ましくは少なくとも99質量%が、(i)において用意されたゼオライト系材料、水、4価の元素Yの供給源、AEIフレームワーク構造指向剤、好ましくは塩基の供給源ならびにアルカリ金属およびアルカリ土類金属の1種または複数の供給源からなる、実施形態1から27のいずれか一形態に記載の方法。
【0089】
29.水熱合成が、自生圧力下に、好ましくはオートクレーブ中で実施される、実施形態1から28のいずれか一形態に記載の方法。
【0090】
30.(ii)において製造された合成混合物が、オートクレーブ中、0.5~4K/分の範囲、好ましくは1~3K/分の範囲の加熱速度で水熱合成温度に加熱される、実施形態1から29のいずれか一形態に記載の方法。
【0091】
31.水熱合成温度が、110~175℃の範囲、好ましくは120~150℃の範囲である、実施形態1から30のいずれか一形態に記載の方法。
【0092】
32.水熱合成条件が、合成混合物を撹拌する工程を含む、実施形態1から31のいずれか一形態に記載の方法。
【0093】
33.水熱合成条件が、2~120時間の範囲、好ましくは20~100時間の範囲、より好ましくは40~80時間の範囲の水熱合成時間を含む、実施形態1から32のいずれか一形態に記載の方法。
【0094】
34.(iv)(iii)から得られた混合物を、好ましくは10~50℃の範囲、より好ましくは20~35℃の範囲の温度に冷却する工程
をさらに含む、実施形態1から33のいずれか一形態に記載の方法。
【0095】
35.(v)ゼオライト系材料を、(iii)または(iv)から得られた混合物から分離する工程
をさらに含む、実施形態1から34のいずれか一形態に記載の方法。
【0096】
36.(v)が、
(v.1)(iii)または(iv)から得られた混合物を、濾過方法または噴霧方法を好ましくは含む固液分離方法にかける工程と、
(v.2)好ましくは、(v.1)から得られたゼオライト系材料を洗浄する工程と、
(v.3)(v.1)または(v.2)、好ましくは(v.2)から得られたゼオライト系材料を乾燥する工程と
を含む、実施形態35に記載の方法。
【0097】
37.(v.2)によれば、ゼオライト系材料が、水で好ましくは洗浄水の伝導率が最大でも500マイクロジーメンス、好ましくは最大でも200マイクロジーメンスになるまで洗浄される、実施形態36に記載の方法。
【0098】
38.(v.3)によれば、ゼオライト系材料が、80~175℃の範囲、好ましくは100~150℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で乾燥される、実施形態36または37に記載の方法。
【0099】
39.ガス雰囲気が、酸素を含み、好ましくは空気、希薄空気、または合成空気である、実施形態38に記載の方法。
【0100】
40.(vi)(v)から得られたゼオライト系材料をか焼する工程
をさらに含む、実施形態35から39のいずれか一形態に記載の方法。
【0101】
41.(vi)によれば、ゼオライト系材料が、400~600℃の範囲、好ましくは450~550℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼される、実施形態40に記載の方法。
【0102】
42.ガス雰囲気が、酸素を含み、好ましくは空気、希薄空気、または合成空気である、実施形態41に記載の方法。
【0103】
43.(iii)において得られたゼオライト系材料のフレームワーク構造において、モル比X:Yが、X2O3:YO2として計算して少なくとも0.01:1、好ましくは少なくとも0.02:1、より好ましくは少なくとも0.03:1、より好ましくは少なくとも0.04:1、より好ましくは少なくとも0.05:1である、実施形態1から42のいずれか一形態に記載の方法。
【0104】
44.(iii)において得られたゼオライト系材料のフレームワーク構造において、モル比X:Yが、X2O3:YO2として計算して0.01:1~0.23:1の範囲、好ましくは0.02:1~0.21:1の範囲、より好ましくは0.03:1~0.19:1の範囲、より好ましくは0.04:1~0.17:1の範囲、より好ましくは0.05:1~0.15:1の範囲、より好ましくは0.06:1~0.13:1の範囲、より好ましくは0.07:1~0.11:1の範囲である、実施形態43に記載の方法。
【0105】
45.(iii)において得られたゼオライト系材料のフレームワーク構造において、モル比X:Yが、X2O3:YO2として計算して0.01:1~0.17:1の範囲、好ましくは0.02:1~0.15:1の範囲、より好ましくは0.03:1~0.13:1の範囲、より好ましくは0.04:1~0.11:1の範囲、より好ましくは0.05:1~0.09:1の範囲である、実施形態43に記載の方法。
【0106】
46.フレームワークタイプAEIを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料を製造する方法、好ましくは実施形態1から10のいずれか一形態に記載の方法であって、
(i)フレームワークタイプCHAを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料を用意する工程と、
(ii)(i)において用意されたゼオライト系材料、水、(i)において用意されたゼオライト系材料以外の4価の元素Yの供給源、およびAEIフレームワーク構造指向剤を含む合成混合物を製造する工程と、
(iii)(ii)において製造された合成混合物を、合成混合物を100~200℃の範囲の温度に加熱し、この範囲の温度で自生圧力下に維持することを含む水熱合成条件にかけ、フレームワークタイプAEIを有するゼオライト系材料を得る工程と、
(iv)(iii)から得られた混合物を、好ましくは10~50℃の範囲、より好ましくは20~35℃の範囲の温度に冷却する工程と、
(v)ゼオライト系材料を、(iv)から得られた混合物から分離する工程であって、
(v.1)(iv)から得られた混合物を、濾過方法または噴霧方法を好ましくは含む固液分離方法にかける工程と、
(v.2)(v.1)から得られたゼオライト系材料を洗浄する工程と、
(v.3)(v.2)から得られたゼオライト系材料を、80~175℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で乾燥する工程と
を含む工程と、
(vi)(v)から得られたゼオライト系材料を、400~600℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼する工程と
を含み、YはSiであり、XはAlであり、モル比Y:Xは、YO2:X2O3として計算して最大でも20:1である、方法。
【0107】
47.(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物が、フルオリドの供給源を含まず、好ましくはハロゲン化物の供給源を含まない、実施形態46に記載の方法。
【0108】
48.(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物が、(i)において用意されたゼオライト系材料以外のAlの供給源を含まず、好ましくはXの供給源を含まず、より好ましくは(i)において用意されたゼオライト系材料以外のAl、B、Ga、Inまたはそれらの組合せの供給源を含まない、実施形態46または47に記載の方法。
【0109】
49.(iii)において得られたゼオライト系材料のフレームワーク構造において、モル比X:Yが、X2O3:YO2として計算して少なくとも0.01:1、好ましくは少なくとも0.02:1、より好ましくは少なくとも0.03:1、より好ましくは少なくとも0.04:1、より好ましくは少なくとも0.05:1である、実施形態46から48のいずれか一形態に記載の方法。
【0110】
50.(iii)において得られたゼオライト系材料のフレームワーク構造において、モル比X:Yが、X2O3:YO2として計算して0.01:1~0.23:1の範囲、好ましくは0.02:1~0.21:1の範囲、より好ましくは0.03:1~0.19:1の範囲、より好ましくは0.04:1~0.17:1の範囲、より好ましくは0.05:1~0.15:1の範囲、より好ましくは0.06:1~0.13:1の範囲、より好ましくは0.07:1~0.11:1の範囲である、実施形態49に記載の方法。
【0111】
51.(iii)において得られたゼオライト系材料のフレームワーク構造において、モル比X:Yが、X2O3:YO2として計算して0.01:1~0.17:1の範囲、好ましくは0.02:1~0.15:1の範囲、より好ましくは0.03:1~0.13:1の範囲、より好ましくは0.04:1~0.11:1の範囲、より好ましくは0.05:1~0.09:1の範囲である、実施形態49に記載の方法。
【0112】
52.(vii)金属Mをゼオライト系材料、好ましくは(vi)から得られたゼオライト系材料に担持させる工程
をさらに含む、実施形態1から51のいずれか一形態に記載の方法。
【0113】
53.(vii)が、
(vii.1)ゼオライト系材料、好ましくは(vi)から得られたゼオライト系材料、金属Mの供給源、金属Mの供給源のための溶媒、および任意に酸、好ましくは有機酸を含む混合物を製造する工程であって、溶媒は、好ましくは水を含み、金属Mの供給源は、好ましくは金属Mの塩を含み、酸は、好ましくは酢酸を含む、工程と、
(vii.2)(vii.1)において製造された混合物を、30~90℃の範囲、好ましくは40~80℃の範囲の温度に加熱する工程と、
(vii.3)(vii.2)から得られた混合物を好ましくは冷却し、より好ましくは急速冷却する工程と、
(vii.4)金属Mを含むゼオライト系材料を、(vii.2)または(vii.3)、好ましくは(vii.3)から得られた混合物から分離する工程であって、好ましくは金属Mを含むゼオライト系材料を洗浄する工程を含む、工程と、
(vii.5)好ましくは、(vii.4)から得られた金属Mを含むゼオライト系材料をガス雰囲気中、好ましくは90~200℃の範囲、より好ましくは100~150℃の範囲のガス雰囲気温度で乾燥する工程であって、ガス雰囲気は、好ましくは酸素を含む、工程と、
(vii.6)好ましくは(vii.4)または(vii.5)、好ましくは(vii.5)から得られた金属Mを含むゼオライト系材料をガス雰囲気中、好ましくは350~600℃の範囲、より好ましくは400~550℃の範囲のガス雰囲気温度でか焼する工程であって、ガス雰囲気は、好ましくは酸素を含む、工程と
を含む、実施形態52に記載の方法。
【0114】
54.金属Mが、元素周期系の第7族~第12族の遷移金属である、実施形態52または53に記載の方法。
【0115】
55.金属Mが、Fe、Co、Ni、Cu、およびZnの1種または複数、好ましくはFeおよびCuの1種または複数である、実施形態54に記載の方法。
【0116】
56.金属Mが、Cuを含み、好ましくはそれである、実施形態55に記載の方法。
【0117】
57.(vii)によれば、金属Mが、元素Mとして計算して、ゼオライト系材料の全質量に対して0.1~5質量%の範囲、好ましくは0.2~4質量%の範囲、より好ましくは0.5~3質量%の範囲の量でゼオライト系材料に担持されている、実施形態52から56のいずれか一形態に記載の方法。
【0118】
58.実施形態1から51のいずれか一形態に記載の方法で得られうるもしくは得られたまたは製造されうるもしくは製造された、フレームワークタイプAEIを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料。
【0119】
59.実施形態52から57のいずれか一形態に記載の方法で得られうるもしくは得られたまたは製造されうるもしくは製造された、金属Mを含み、フレームワークタイプAEIを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料。
【0120】
60.酸性部位の全量が1.0~2.0mmol/gの範囲であり、酸性部位の全量は、本明細書の参考例1.6に記載されているアンモニアの昇温脱離(NH3-TPD)に従って決定された、ゼオライト系材料の1質量(mass)当たりの脱離したアンモニアの全モル量と定義され、ゼオライト系材料の中酸性部位の量が0.1~0.8mmol/gの範囲であり、中酸性部位の量は、250~500℃の温度範囲で本明細書の参考例1.6に記載されているアンモニアの昇温脱離(NH3-TPD)に従って決定されたゼオライト系材料の1質量(mass)当たりの脱離したアンモニアの量と定義される、実施形態58または59に記載のゼオライト系材料。
【0121】
61.実施形態58から60のいずれか一形態に記載のゼオライト系材料を触媒活性材料、触媒、または触媒成分として使用する方法。
【0122】
62.排ガス流、好ましくはディーゼル機関からの排ガス流中の酸化窒素の選択的接触還元のために使用する、実施形態61に記載の方法。
【0123】
63.C1化合物から1種もしくは複数のオレフィンへの転換、好ましくはメタノールから1種もしくは複数のオレフィンへの転換、または一酸化炭素と水素を含む合成ガスから1種もしくは複数のオレフィンへの転換のために使用する、実施形態61に記載の方法。
【0124】
64.排ガス流、好ましくはディーゼル機関からの排ガス流中の酸化窒素を選択的に接触還元する方法であって、前記排ガス流と実施形態58から60のいずれか一形態に記載のゼオライト系材料を含む触媒とを接触させる工程を含む方法。
【0125】
65.排ガス流、好ましくはディーゼル機関からの排ガス流中の酸化窒素を選択的に接触還元する方法であって、フレームワークタイプAEIを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料を実施形態1から57、好ましくは52から57のいずれか一形態に記載の方法で製造し、前記排ガス流と前記ゼオライト系材料を含む触媒とを接触させる工程を含む方法。
【0126】
66.C1化合物を1種もしくは複数のオレフィンに接触転換する、好ましくはメタノールを1種もしくは複数のオレフィンに転換する、または一酸化炭素と水素を含む合成ガスを1種もしくは複数のオレフィンに転換する方法であって、前記C1化合物と実施形態58から60のいずれか一形態に記載のゼオライト系材料を含む触媒とを接触させる工程を含む方法。
【0127】
67.C1化合物を1種もしくは複数のオレフィンに接触転換する、好ましくはメタノールを1種もしくは複数のオレフィンに転換する、または一酸化炭素と水素を含む合成ガスを1種もしくは複数のオレフィンに転換する方法であって、フレームワークタイプAEIを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料を実施形態1から57、好ましくは52から57のいずれか一形態に記載の方法で製造し、前記C1化合物と前記ゼオライト系材料を含む触媒とを接触させる工程を含む方法。
【0128】
68.触媒、好ましくは排ガス流、好ましくはディーゼル機関からの排ガス流中の酸化窒素を選択的に接触還元するための、あるいはC1化合物を1種もしくは複数のオレフィンに接触転換する、好ましくはメタノールを1種もしくは複数のオレフィンに転換する、または一酸化炭素と水素を含む合成ガスを1種もしくは複数のオレフィンに転換するための触媒であって、実施形態58から60のいずれか一形態に記載のゼオライト系材料を含む触媒。
【0129】
本発明を、示される依存関係および後方参照関係に起因する以下の実施形態群および実施形態の組合せによりさらに説明する。特に、ある範囲の実施形態が記載されているそれぞれの場合、例えば「実施形態1から4のいずれか一形態に記載の方法」などの用語の文脈では、この範囲のあらゆる実施形態は、当業者にとって明確に開示されていることになっており、すなわち、この用語の表現は、当業者によって「実施形態1、2、3、および4のいずれか一形態に記載の方法」と同義であると理解されるものとすることが認められている。
【0130】
1.フレームワークタイプAEIを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料を含む組成物を製造する方法であって、
(i)フレームワークタイプCHAを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料を用意する工程と、
(ii)(i)において用意されたゼオライト系材料、水、(i)において用意されたゼオライト系材料以外の4価の元素Yの供給源、およびAEIフレームワーク構造指向剤を含む合成混合物を製造する工程と、
(iii)(ii)において製造された合成混合物を、合成混合物を100~200℃の範囲の温度に加熱し、この範囲の温度で自生圧力下に維持することを含む水熱合成条件にかけ、フレームワークタイプAEIを有するゼオライト系材料を含む混合物を得る工程と
を含み、
Yは、Si、Ge、Sn、Ti、Zrの1種または複数であり、
Xは、Al、B、Ga、Inの1種または複数であり、
(i)において用意されたゼオライト系材料のフレームワーク構造において、モル比Y:Xは、YO2:X2O3として計算して最大でも20:1である、方法。
【0131】
2.YがSiである、実施形態1に記載の方法。
【0132】
3.XがAlである、実施形態1または2に記載の方法。
【0133】
4.YがSiであり、XがAlである、実施形態1から3のいずれか一形態に記載の方法。
【0134】
5.(i)において用意されたゼオライト系材料のフレームワークの少なくとも95質量%、好ましくは少なくとも98質量%、より好ましくは少なくとも99質量%、より好ましくは少なくとも99.5質量%が、Y、X、O、およびHからなる、実施形態1から4のいずれか一形態に記載の方法。
【0135】
6.(i)において用意されたゼオライト系材料が、Cuを含まず、好ましくはCuおよびFeの1種または複数を含まず、より好ましくはFe、Co、Ni、Cu、およびZnの1種または複数を含まず、より好ましくはYまたはXが金属である場合、YおよびX以外の金属Mを含まない、実施形態1から5のいずれか一形態に記載の方法。
【0136】
7.(i)において用意されたゼオライト系材料のCuに関する含有量が、元素として計算して、好ましくはCuおよびFeの1種または複数に関する含有量がそれぞれ元素として計算して、より好ましくはFe、Co、Ni、Cu、およびZnの1種または複数に関する含有量がそれぞれ元素として計算して、より好ましくはYまたはXが金属である場合、YおよびX以外の金属Mに関する含有量が、元素として計算して、ゼオライト系材料の全質量に対して最大でも500質量ppm、好ましくは最大でも100質量ppmである、実施形態1から5のいずれか一形態に記載の方法。
【0137】
8.(i)において用意されたゼオライト系材料のフレームワーク構造において、モル比Y:Xが、YO2:X2O3として計算して3:1~20:1の範囲、好ましくは4:1~15:1の範囲である、実施形態1から7のいずれか一形態に記載の方法。
【0138】
9.(i)において用意されたゼオライト系材料のフレームワーク構造において、モル比Y:Xが、YO2:X2O3として計算して5:1~10:1の範囲である、実施形態8に記載の方法。
【0139】
10.(i)において用意されたゼオライト系材料が、か焼ゼオライト系材料であり、好ましくはゼオライト系材料が、ガス雰囲気中、350~600℃の範囲、好ましくは400~550℃の範囲のガス雰囲気温度でか焼され、ガス雰囲気は、好ましくは酸素を含む、実施形態1から9のいずれか一形態に記載の方法。
【0140】
11.(i)において用意されたゼオライト系材料が、そのHの形をとる、実施形態1から10のいずれか一形態に記載の方法。
【0141】
12.(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物が、フレームワークタイプAEIを有するゼオライト系材料を含まない、実施形態1から11のいずれか一形態に記載の方法。
【0142】
13.(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物が、フレームワークタイプAEIを有するゼオライト系シード材料を含まない、実施形態1から12のいずれか一形態に記載の方法。
【0143】
14.YがSiであり、(ii)による4価の元素Yの供給源が、湿式法シリカ、乾式法シリカ、およびコロイダルシリカの1種または複数を含む、実施形態1から13のいずれか一形態に記載の方法。
【0144】
15.YがSiであり、(ii)による4価の元素Yの供給源が、コロイダルシリカを含み、好ましくはそれである、実施形態1から14のいずれか一形態に記載の方法。
【0145】
16.AEIフレームワーク構造指向剤が、1種もしくは複数の第四級ホスホニウムカチオン含有化合物および/または1種もしくは複数の第四級アンモニウムカチオン含有化合物を含み、
1種または複数のホスホニウムカチオン含有化合物は、1種または複数のR1R2R3R4P+含有化合物を含み、R1、R2、R3、およびR4は互いに独立して、任意に置換されたおよび/または任意に分枝状の(C1~C6)アルキル、好ましくは(C1~C5)アルキル、より好ましくは(C1~C4)アルキル、より好ましくは(C2~C3)アルキル、さらにより好ましくは任意に置換されたメチルまたはエチルを表し、さらにより好ましくはR1、R2、R3、およびR4は、任意に置換されたエチル、好ましくは非置換エチルを表し、
1種または複数の第四級アンモニウムカチオン含有化合物は、1種または複数のN,N-ジアルキル-ジアルキルピペリジニウムカチオン含有化合物、好ましくは1種または複数のN,N-(C1~C3)ジアルキル-(C1~C3)ジアルキルピペリジニウムカチオン含有化合物、より好ましくは1種または複数のN,N-(C1~C2)ジアルキル-(C1~C2)ジアルキルピペリジニウムカチオン含有化合物を含み、より好ましくは、1種または複数の第四級アンモニウムカチオン含有化合物は、N,N-(C1~C2)ジアルキル-2,6-(C1~C2)ジアルキルピペリジニウムカチオンおよびN,N-(C1~C2)ジアルキル-3,5-(C1~C2)ジアルキルピペリジニウムカチオン含有化合物からなる群、より好ましくはN,N-ジメチル-2,6-(C1~C2)ジアルキルピペリジニウムカチオンおよびN,N-ジメチル-3,5-(C1~C2)ジアルキル-ピペリジニウムカチオン含有化合物からなる群、より好ましくはN,N-ジメチル-2,6-ジメチルピペリジニウムカチオンおよびN,N-ジメチル-3,5-ジメチル-ピペリジニウムカチオン含有化合物からなる群から選択され、
1種もしくは複数の第四級ホスホニウムカチオン含有化合物および/または1種もしくは複数の第四級アンモニウムカチオン含有化合物は、塩、好ましくはハロゲン化物、好ましくは塩化物および/または臭化物、より好ましくは塩化物;水酸化物;硫酸塩;硝酸塩;リン酸塩;酢酸塩;ならびにそれらの2種以上の混合物からなる群、より好ましくは塩化物、水酸化物、硫酸塩、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される塩であり、より好ましくは、1種もしくは複数の第四級ホスホニウムカチオン含有化合物および/または1種もしくは複数の第四級アンモニウムカチオン含有化合物は、水酸化物および/または塩化物、さらにより好ましくは水酸化物である、実施形態1から15のいずれか一形態に記載の方法。
【0146】
17.AEIフレームワーク構造指向剤が、N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウム水酸化物を含み、好ましくはそれである、実施形態1から16のいずれか一形態に記載の方法。
【0147】
18.(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物において、ゼオライト系材料の4価の元素Yの供給源に対する質量比は、YO2として計算して1.0:1~3.0:1の範囲、好ましくは1.5:1~2.5の範囲、より好ましくは2.0:1~2.2:1の範囲である、実施形態1から17のいずれか一形態に記載の方法。
【0148】
19.(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物において、ゼオライト系材料の水に対する質量比が、0.005:1~0.030:1の範囲、好ましくは0.010:1~0.025:1の範囲、より好ましくは0.015:1~0.020:1の範囲である、実施形態1から18のいずれか一形態に記載の方法。
【0149】
20.(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物において、ゼオライト系材料のAEIフレームワーク構造指向剤に対する質量比が、0.1:1~0.9:1の範囲、好ましくは0.3:1~0.7:1の範囲、より好ましくは0.4:1~0.5:1の範囲である、実施形態1から19のいずれか一形態に記載の方法。
【0150】
21.(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物が、塩基の供給源、好ましくは水酸化物の供給源を追加的に含む、実施形態1から20のいずれか一形態に記載の方法。
【0151】
22.(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物が、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の1種または複数の供給源、好ましくはアルカリ金属、より好ましくはナトリウムを追加的に含む、実施形態1から21のいずれか一形態に記載の方法。
【0152】
23.塩基の供給源が、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の1種または複数の供給源、好ましくはアルカリ金属塩基、より好ましくはアルカリ金属水酸化物、より好ましくは水酸化ナトリウムである、実施形態21または22に記載の方法。
【0153】
24.(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物において、ゼオライト系材料の塩基の供給源に対する質量比が、0.1:1~1.0:1の範囲、好ましくは0.2:1~0.8:1の範囲、より好ましくは0.3:1~0.6:1の範囲である、実施形態21から23のいずれか一形態に記載の方法。
【0154】
25.(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物が、Cuの供給源、好ましくはCuおよびFeの1種または複数の供給源、より好ましくはFe、Co、Ni、Cu、およびZnの1種または複数の供給源、より好ましくはYまたはXが金属である場合、YおよびX以外の金属Mの供給源を含まない、実施形態1から24のいずれか一形態に記載の方法。
【0155】
26.(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物が、フルオリドの供給源を含まず、好ましくはハロゲン化物の供給源を含まない、実施形態1から25のいずれか一形態に記載の方法。
【0156】
27.(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物が、(i)において用意されたゼオライト系材料以外のAlの供給源を含まず、好ましくはXの供給源を含まず、より好ましくは(i)において用意されたゼオライト系材料以外のAl、B、Ga、Inまたはそれらの組合せの供給源を含まない、実施形態1から26のいずれか一形態に記載の方法。
【0157】
28.(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物の少なくとも95質量%、好ましくは少なくとも98質量%、より好ましくは少なくとも99質量%が、(i)において用意されたゼオライト系材料、水、4価の元素Yの供給源、AEIフレームワーク構造指向剤、好ましくは塩基の供給源ならびにアルカリ金属およびアルカリ土類金属の1種または複数の供給源からなる、実施形態1から27のいずれか一形態に記載の方法。
【0158】
29.水熱合成が、自生圧力下に、好ましくはオートクレーブ中で実施される、実施形態1から28のいずれか一形態に記載の方法。
【0159】
30.(ii)において製造された合成混合物が、オートクレーブ中、0.5~4K/分の範囲、好ましくは1~3K/分の範囲の加熱速度で水熱合成温度に加熱される、実施形態1から29のいずれか一形態に記載の方法。
【0160】
31.水熱合成温度が、110~175℃の範囲、好ましくは120~150℃の範囲である、実施形態1から30のいずれか一形態に記載の方法。
【0161】
32.水熱合成条件が、合成混合物を撹拌する工程を含む、実施形態1から31のいずれか一形態に記載の方法。
【0162】
33.水熱合成条件が、2~120時間の範囲、好ましくは20~100時間の範囲、より好ましくは40~80時間の範囲の水熱合成時間を含む、実施形態1から32のいずれか一形態に記載の方法。
【0163】
34.(iv)(iii)から得られた混合物を、好ましくは10~50℃の範囲、より好ましくは20~35℃の範囲の温度に冷却する工程
をさらに含む、実施形態1から33のいずれか一形態に記載の方法。
【0164】
35.(v)フレームワークタイプAEIを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料を含む組成物を、(iii)または(iv)から得られた混合物から分離する工程
をさらに含む、実施形態1から34のいずれか一形態に記載の方法。
【0165】
36.(v)が、
(v.1)(iii)または(iv)から得られた混合物を、濾過方法または噴霧方法を好ましくは含む固液分離方法にかけ、フレームワークタイプAEIを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料を含む組成物を得る工程と、
(v.2)好ましくは、(v.1)から得られた組成物を洗浄する工程と、
(v.3)(v.1)または(v.2)、好ましくは(v.2)から得られた組成物を乾燥する工程と
を含む、実施形態35に記載の方法。
【0166】
37.(v.2)によれば、組成物が、水で好ましくは洗浄水の伝導率が最大でも500マイクロジーメンス、好ましくは最大でも200マイクロジーメンスになるまで洗浄される、実施形態36に記載の方法。
【0167】
38.(v.3)によれば、組成物が、80~175℃の範囲、好ましくは100~150℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で乾燥される、実施形態36または37に記載の方法。
【0168】
39.ガス雰囲気が、酸素を含み、好ましくは空気、希薄空気、または合成空気である、実施形態38に記載の方法。
【0169】
40.(vi)(v)から得られた組成物をか焼する工程
をさらに含む、実施形態35から39のいずれか一形態に記載の方法。
【0170】
41.(vi)によれば、組成物が、400~600℃の範囲、好ましくは450~550℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼される、実施形態40に記載の方法。
【0171】
42.ガス雰囲気が、酸素を含み、好ましくは空気、希薄空気、または合成空気である、実施形態41に記載の方法。
【0172】
43.(iii)において得られたゼオライト系材料のフレームワーク構造において、モル比X:Yが、X2O3:YO2として計算して少なくとも0.01:1、好ましくは少なくとも0.02:1、より好ましくは少なくとも0.03:1、より好ましくは少なくとも0.04:1、より好ましくは少なくとも0.05:1である、実施形態1から42のいずれか一形態に記載の方法。
【0173】
44.(iii)において得られたゼオライト系材料のフレームワーク構造において、モル比X:Yが、X2O3:YO2として計算して0.01:1~0.23:1の範囲、好ましくは0.02:1~0.21:1の範囲、より好ましくは0.03:1~0.19:1の範囲、より好ましくは0.04:1~0.17:1の範囲、より好ましくは0.05:1~0.15:1の範囲、より好ましくは0.06:1~0.13:1の範囲、より好ましくは0.07:1~0.11:1の範囲である、実施形態43に記載の方法。
【0174】
45.(iii)において得られたゼオライト系材料のフレームワーク構造において、モル比X:Yが、X2O3:YO2として計算して0.01:1~0.17:1の範囲、好ましくは0.02:1~0.15:1の範囲、より好ましくは0.03:1~0.13:1の範囲、より好ましくは0.04:1~0.11:1の範囲、より好ましくは0.05:1~0.09:1の範囲である、実施形態43に記載の方法。
【0175】
46.フレームワークタイプAEIを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料を含む組成物を製造する方法、好ましくは実施形態1から10のいずれか一形態に記載の方法であって、
(i)フレームワークタイプCHAを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料を用意する工程と、
(ii)(i)において用意されたゼオライト系材料、水、(i)において用意されたゼオライト系材料以外の4価の元素Yの供給源、およびAEIフレームワーク構造指向剤を含む合成混合物を製造する工程と、
(iii)(ii)において製造された合成混合物を、合成混合物を100~200℃の範囲の温度に加熱し、この範囲の温度で自生圧力下に維持することを含む水熱合成条件にかけ、フレームワークタイプAEIを有するゼオライト系材料を含む混合物を得る工程と、
(iv)(iii)から得られた混合物を、好ましくは10~50℃の範囲、より好ましくは20~35℃の範囲の温度に冷却する工程と、
(v)フレームワークタイプAEIを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料を含む組成物を、(iv)から得られた混合物から分離する工程であって、
(v.1)(iv)から得られた混合物を、濾過方法または噴霧方法を好ましくは含む固液分離方法にかける工程と、
(v.2)(v.1)から得られた組成物を洗浄する工程と、
(v.3)(v.2)から得られた組成物を、80~175℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で乾燥する工程と
を含む工程と、
(vi)(v)から得られた組成物を、400~600℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼する工程と
を含み、
YはSiであり、XはAlであり、モル比Y:Xは、YO2:X2O3として計算して最大でも20:1である、方法。
【0176】
47.(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物が、フルオリドの供給源を含まず、好ましくはハロゲン化物の供給源を含まない、実施形態46に記載の方法。
【0177】
48.(iii)にかけられる(ii)において製造された合成混合物が、(i)において用意されたゼオライト系材料以外のAlの供給源を含まず、好ましくはXの供給源を含まず、より好ましくは(i)において用意されたゼオライト系材料以外のAl、B、Ga、Inまたはそれらの組合せの供給源を含まない、実施形態46または47に記載の方法。
【0178】
49.(iii)において得られたゼオライト系材料のフレームワーク構造において、モル比X:Yが、X2O3:YO2として計算して少なくとも0.01:1、好ましくは少なくとも0.02:1、より好ましくは少なくとも0.03:1、より好ましくは少なくとも0.04:1、より好ましくは少なくとも0.05:1である、実施形態46から48のいずれか一形態に記載の方法。
【0179】
50.(iii)において得られたゼオライト系材料のフレームワーク構造において、モル比X:Yが、X2O3:YO2として計算して0.01:1~0.23:1の範囲、好ましくは0.02:1~0.21:1の範囲、より好ましくは0.03:1~0.19:1の範囲、より好ましくは0.04:1~0.17:1の範囲、より好ましくは0.05:1~0.15:1の範囲、より好ましくは0.06:1~0.13:1の範囲、より好ましくは0.07:1~0.11:1の範囲である、実施形態49に記載の方法。
【0180】
51.(iii)において得られたゼオライト系材料のフレームワーク構造において、モル比X:Yが、X2O3:YO2として計算して0.01:1~0.17:1の範囲、好ましくは0.02:1~0.15:1の範囲、より好ましくは0.03:1~0.13:1の範囲、より好ましくは0.04:1~0.11:1の範囲、より好ましくは0.05:1~0.09:1の範囲である、実施形態49に記載の方法。
【0181】
52.フレームワークタイプAEIを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料を含む組成物の50質量%超、好ましくは少なくとも60質量%、より好ましくは少なくとも70質量%が、フレームワークタイプAEIを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料からなる、実施形態1から51のいずれか一形態に記載の方法。
【0182】
53.フレームワークタイプAEIを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料を含む組成物の少なくとも75質量%、好ましくは少なくとも85質量%、より好ましくは少なくとも90質量%が、フレームワークタイプAEIを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料からなる、実施形態52に記載の方法。
【0183】
54.組成物の少なくとも90質量%、好ましくは少なくとも95質量%、より好ましくは少なくとも99質量%が、フレームワークタイプAEIを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料と、フレームワークタイプCHAを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料とからなる、実施形態52または53に記載の方法。
【0184】
55.(vii)金属Mを、フレームワークタイプAEIを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料を含む組成物、好ましくは(vi)から得られた、フレームワークタイプAEIを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料を含む組成物に担持させる工程
をさらに含む、実施形態1から54のいずれか一形態に記載の方法。
【0185】
56.(vii)が、
(vii.1)フレームワークタイプAEIを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料を含む組成物、好ましくは(vi)から得られた、フレームワークタイプAEIを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料を含む組成物、金属Mの供給源、金属Mの供給源のための溶媒、および任意に酸、好ましくは有機酸を含む混合物を製造する工程であって、溶媒は、好ましくは水を含み、金属Mの供給源は、好ましくは金属Mの塩を含み、酸は、好ましくは酢酸を含む、工程と、
(vii.2)(vii.1)において製造された混合物を、30~90℃の範囲、好ましくは40~80℃の範囲の温度に加熱する工程と、
(vii.3)(vii.2)から得られた混合物を好ましくは冷却し、より好ましくは急速冷却する工程と、
(vii.4)金属Mを含む組成物を、(vii.2)または(vii.3)、好ましくは(vii.3)から得られた混合物から分離する工程であって、好ましくは金属Mを含む組成物を洗浄する工程を含む、工程と、
(vii.5)好ましくは、(vii.4)から得られた金属Mを含む組成物をガス雰囲気中、好ましくは90~200℃の範囲、より好ましくは100~150℃の範囲のガス雰囲気温度で乾燥する工程であって、ガス雰囲気は、好ましくは酸素を含む、工程と、
(vii.6)好ましくは、(vii.4)または(vii.5)、好ましくは(vii.5)から得られた金属Mを含む組成物をガス雰囲気中、好ましくは350~600℃の範囲、より好ましくは400~550℃の範囲のガス雰囲気温度でか焼する工程であって、ガス雰囲気は、好ましくは酸素を含む、工程と
を含む、実施形態55に記載の方法。
【0186】
57.金属Mが、元素周期系の第7族~第12族の遷移金属である、実施形態55または56に記載の方法。
【0187】
58.金属Mが、Fe、Co、Ni、Cu、およびZnの1種または複数、好ましくはFeおよびCuの1種または複数である、実施形態57に記載の方法。
【0188】
59.金属Mが、Cuを含み、好ましくはそれである、実施形態58に記載の方法。
【0189】
60.(vii)によれば、金属Mが、元素Mとして計算して、組成物の全質量に対して0.1~5質量%の範囲、好ましくは0.2~4質量%の範囲、より好ましくは0.5~3質量%の範囲の量で組成物に担持されている、実施形態55から59のいずれか一形態に記載の方法。
【0190】
61.実施形態1から54のいずれか一形態に記載の方法で得られうるもしくは得られたまたは製造されうるもしくは製造された、フレームワークタイプAEIを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料を含む組成物。
【0191】
62.実施形態55から60のいずれか一形態に記載の方法で得られうるもしくは得られたまたは製造されうるもしくは製造された、フレームワークタイプAEIを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料を含む組成物。
【0192】
63.酸性部位の全量が1.0~2.0mmol/gの範囲であり、酸性部位の全量は、本明細書の参考例1.6に記載されているアンモニアの昇温脱離(NH3-TPD)に従って決定された、組成物の1質量(mass)当たりの脱離したアンモニアの全モル量と定義され、組成物の中酸性部位の量が0.1~0.8mmol/gの範囲であり、中酸性部位の量は、250~500℃の温度範囲で本明細書の参考例1.6に記載されているアンモニアの昇温脱離(NH3-TPD)に従って決定された、組成物の1質量(mass)当たりの脱離したアンモニアの量と定義される、実施形態61または62に記載の組成物。
【0193】
64.実施形態61から63のいずれか一形態に記載の組成物を触媒活性材料、触媒、または触媒成分として使用する方法。
【0194】
65.排ガス流、好ましくはディーゼル機関からの排ガス流中の酸化窒素の選択的接触還元のために使用する、実施形態64に記載の方法。
【0195】
66.C1化合物から1種もしくは複数のオレフィンへの転換、好ましくはメタノールから1種もしくは複数のオレフィンへの転換、または一酸化炭素と水素を含む合成ガスから1種もしくは複数のオレフィンへの転換のために使用する、実施形態64に記載の方法。
【0196】
67.排ガス流、好ましくはディーゼル機関からの排ガス流中の酸化窒素を選択的に接触還元する方法であって、前記排ガス流と実施形態61から63のいずれか一形態に記載の組成物を含む触媒とを接触させる工程を含む方法。
【0197】
68.排ガス流、好ましくはディーゼル機関からの排ガス流中の酸化窒素を選択的に接触還元する方法であって、フレームワークタイプAEIを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料を含む組成物を実施形態1から60、好ましくは55から60のいずれか一形態に記載の方法で製造し、前記排ガス流と前記組成物を含む触媒とを接触させる工程を含む方法。
【0198】
69.C1化合物を1種もしくは複数のオレフィンに接触転換する、好ましくはメタノールを1種もしくは複数のオレフィンに転換する、または一酸化炭素と水素を含む合成ガスを1種もしくは複数のオレフィンに転換する方法であって、前記C1化合物と実施形態61から63のいずれか一形態に記載の組成物を含む触媒とを接触させる工程を含む方法。
【0199】
70.C1化合物を1種もしくは複数のオレフィンに接触転換する、好ましくはメタノールを1種もしくは複数のオレフィンに転換する、または一酸化炭素と水素を含む合成ガスを1種もしくは複数のオレフィンに転換する方法であって、フレームワークタイプAEIを有し、4価の元素Y、3価の元素X、および酸素を含むフレームワーク構造を有するゼオライト系材料を含む組成物を実施形態1から60、好ましくは55から60のいずれか一形態に記載の方法で製造し、前記C1化合物と前記組成物を含む触媒とを接触させる工程を含む方法。
【0200】
71.触媒、好ましくは排ガス流、好ましくはディーゼル機関からの排ガス流中の酸化窒素を選択的に接触還元するための、あるいはC1化合物を1種もしくは複数のオレフィンに接触転換する、好ましくはメタノールを1種または複数のオレフィンに転換する、または一酸化炭素と水素を含む合成ガスを1種もしくは複数のオレフィンに転換するための触媒であって、実施形態61から63のいずれか一形態に記載の組成物を含む触媒。
【0201】
以下の実施例、比較例、および参考例により、本発明をさらに説明する。
【実施例】
【0202】
参考例1.1:結晶化度の決定
本発明によるゼオライト系材料の結晶化度をXRD分析により決定した。データは、Cu-X線供給源およびエネルギー分散点検出器を備えた標準Bragg-Brentano回折装置を使用して収集した。2°~70°の(2θ)角度範囲をステップサイズ0.02°で走査し、可変発散スリットは一定の開口角0.3°に設定した。次いで、TOPAS V5ソフトウェアを使用して、データを分析した。ここで、AEIおよびFAUについてはPONKCS相を、CHAについては結晶構造を使用して、シャープな回折ピークをモデル化した。モデルは、Madsen, I. C.らに記載されているように製造した。これを、データに適合するように改良した。独立したピークを角度位置28°に挿入した。これを使用して、非結晶含有量を示した。結晶含有量は、全散乱強度に対する結晶のシグナル強度を示す。モデルには、直線状バックグラウンド、Lorentzおよび偏光補正、格子パラメータ、空間群ならびにクリスタリットサイズも含めた。
【0203】
参考例1.2:BET比表面積の決定
BET比表面積は、ISO 9277、第2版、2010に従って、77Kで窒素物理吸着により決定した。
【0204】
参考例1.3:C値の決定
C値(BETパラメータ)は、ISO 9277、第2版、2010、7.2節に記載されているように決定した。
【0205】
参考例1.4:XRDパターンの決定
XRD回折パターンは、参考例1.1に記載されているように決定した。
【0206】
参考例1.5:走査電子顕微鏡法
Hitachi TM3000を使用して、SEM(走査電子顕微鏡法)写真(15kV(キロボルト)の2次電子(SE)写真)を作製した。
【0207】
参考例1.6:アンモニアの昇温脱離(NH3-TPD)
アンモニアの昇温脱離(NH3-TPD)は、熱伝導度検出器を有する自動化学吸着分析ユニット(Micromeritics AutoChem II 2920)で実施した。オンライン質量分析計(Pfeiffer Vacuum社のOmniStar QMG200)を使用して、脱離種の連続分析を行った。試料(0.1g)を石英管に導入し、下記のプログラムを使用して分析した。温度は、石英管中の試料の真上のNi/Cr/Ni熱電対によって測定した。分析には、純度5.0のHeを使用した。測定の前にはいつも、較正のためにブランク試料を分析した。
【0208】
1.製造:記録の開始;1秒当たり1回測定。25℃にてHe流量30cm3/分(室温(約25℃)および1気圧)で10分間待つ);加熱速度20K/分で600℃まで加熱;10分間保持。He流(30cm3/分)下に冷却速度20K/分で100℃に冷却(炉傾斜温度);He流(30cm3/分)下に冷却速度3K/分で100℃に冷却(試料傾斜温度)。
【0209】
2.NH3で飽和:記録の開始;1秒当たり1回測定。ガス流を、100℃でHe中10%NH3の混合物(75cm3/分;100℃および1気圧)に変更;30分間保持。
【0210】
3.過剰物の除去:記録の開始;1秒当たり1回測定。ガス流を、100℃で75cm3/分のHe流れ(100℃および1気圧)に変更;60分間保持。
【0211】
4.NH3-TPD:記録の開始;1秒当たり1回測定。He流(流量:30cm3/分)下に加熱速度10K/分で600℃まで加熱;30分間保持。
【0212】
5.測定終了。
【0213】
脱離したアンモニアをオンライン質量分析計によって測定し、これから、熱伝導度検出器からのシグナルは脱離したアンモニアによって生じたことが明らかになる。これは、アンモニアの脱離を監視するために、アンモニアに由来するm/z=16のシグナルを利用するものである。アンモニアの吸着量(試料のmmol/g数)は、水平ベースラインを用いて、MicromeriticsソフトウェアによってTPDシグナルを積算することにより確認した。
【0214】
参考例1.7:水吸収の決定
水吸着/脱離等温線測定を、TA Instruments社のVTI SA計器で段階等温線プログラムに従って行った。実験は、計器の内側の微量天秤パンに配置された試料材料に対して行われた1回の試行または一連の試行からなるものであった。測定を開始する前に、試料を100℃に加熱し(加熱傾斜5℃/分)、それを窒素流下で6時間保持することによって、試料の残留水分を除去した。乾燥プログラム後に、セル中の温度を25℃に下げ、測定時に等温を維持した。微量天秤を較正し、乾燥した試料の質量を計測した(最大質量(mass)偏差0.01質量%)。試料による水吸収を、乾燥試料の質量に比べて質量の増加として測定した。まず、試料が曝露される相対湿度(RH)(セルの内側の雰囲気中の水の質量%として表す)を上げ、試料による水吸収を平衡状態で測定することによって、吸着曲線を測定した。RHを、1段階10%で5%から85%に上げ、各段階で、システムによって、RHを制御し、試料の質量を平衡状態に到達するまで監視し、質量吸収を記録した。試料を85%RHに曝露した後、試料による全吸着水量を取得した。脱離測定時に、RHを1段階10%で85%から5%に下げ、試料の質量の変化(水吸収)を監視し、記録した。
【0215】
[実施例1]
フレームワークタイプAEIを有するゼオライト系材料の製造
a)CHAゼオライト系材料を用意する
国際公開第2013/068976号、実施例2の43頁29行目~44頁8行目に記載されているテンプレートフリー合成方法に従って、CHAゼオライト系材料(ナトリウム形)を製造した。
【0216】
ゼオライト系材料は、シリカ:アルミナ比(SiO2:Al2O3)が9:1であった。
【0217】
b)AEIゼオライト系材料を製造する
使用材料:
NaOH(水溶液;50質量%): 70.73g
脱イオン水: 770.71g
1,1,3,5-テトラメチルピペリジニウムOH(Sachem社;水性混合物、19.77質量%): 196.18g
Ludox(登録商標) AS40(Grace社;コロイダルシリカ;水性溶液、40質量%): 219.80g
上記のa)によるCHAゼオライト系材料: 16.40g
【0218】
ビーカーを670.71gの脱イオン水で満たし、撹拌下にNaOH溶液を添加した。次いで、テンプレート化合物(1,1,3,5-テトラメチルピペリジニウム水酸化物)を撹拌下に添加し、次に、CHAゼオライト系材料を撹拌下に添加した。この混合物を1時間さらに撹拌した。次いで、コロイダルシリカ溶液を撹拌下に添加し、得られた混合物をもう0.5時間撹拌した。得られた懸濁液を2.5Lのオートクレーブに移し、入り組んだラインを残りの脱イオン水100gですすいだ。次いで、オートクレーブを密閉した。
【0219】
1時間以内に、オートクレーブ中の混合物を140℃の温度に加熱し、この結晶化温度にて、250rpmで撹拌下に72時間維持した。圧力を放出し、室温まで冷却した後、得られた懸濁液を、ヌッチェ型フィルターを使用して濾過し、濾過ケークを、脱イオン水で洗浄水の伝導率が200マイクロジーメンス未満になるまで洗浄した。こうして洗浄されたゼオライト系材料を、対流式オーブン中、空気下に120℃で終夜乾燥し、次に加熱速度2K/分で500℃の温度に加熱し、この温度で5時間か焼した。15.4gのゼオライト系材料が得られ、空時収量は、73.95kg/m3/dであった。
【0220】
ゼオライト系材料の元素分析(質量%):Si=35;Al=5.8;Na=3.5。
【0221】
したがって、得られたAEIゼオライト系材料のフレームワーク構造において、モル比Y:Xは、YO2:X2O3として計算して11.59:1であり、モル比X:Yは、X2O3:YO2として計算して0.086:1であった。
【0222】
結晶化度は、参考例1.1に記載されているように決定して77%であった。BET比表面積は、参考例1.2に記載されているように決定して569m
2/gであった。C値は、参考例1.3に記載されているように決定して-66であった。参考例1.4に記載されているように決定したXRDパターンを
図1に示す。参考例1.5に記載されているように決定したSEM写真を
図2に示す。
【0223】
結晶材料の78%は、フレームワークタイプAEIを有するゼオライト系材料であり、結晶材料の22%は、フレームワークタイプCHAを有するゼオライト系材料であった。
【0224】
[実施例2]
フレームワークタイプAEIを有するゼオライト系材料の製造
a)CHAゼオライト系材料を用意する
質量%単位でSi=26.1;Al=7.1;Na=3.5;Ca=1.3;K=0.8;Mg=0.9を含むロット番号311855のZMM-Zeofumeから得られる天然CHAゼオライト系材料を用意した。
【0225】
ゼオライト系材料は、シリカ:アルミナ比(SiO2:Al2O3)が7.4:1であった。
【0226】
BET比表面積は、参考例1.2に記載されているように決定して402m2/gであった。ラングミュア表面積は525m2/gであった。材料の結晶化度は、参考例1.1に記載されているように決定して65%であった。平均粒径は42nmであった。
【0227】
図5は、参考例1.5に記載されているように決定した、ゼオライト系材料のSEM写真を示す。
図6は、参考例1.4に記載されているように決定した、ゼオライト系材料のXRDパターンを示す。
図7は、参考例1.7に記載されているように決定した、ゼオライト系材料の水吸収等温線を示す。
【0228】
b)AEIゼオライト系材料を製造する
使用材料:
NaOH(水溶液;50質量%): 70.73g
脱イオン水: 770.71g
1,1,3,5-テトラメチルピペリジニウムOH(Sachem社;水性混合物、19.77質量%): 196.18g
Ludox(登録商標) AS40(Grace社;コロイダルシリカ;水性溶液、40質量%): 219.80g
上記のa)によるCHAゼオライト系材料: 16.40g
【0229】
ビーカーを670.71gの脱イオン水で満たし、撹拌下にNaOH溶液を添加した。次いで、テンプレート化合物(1,1,3,5-テトラメチルピペリジニウム水酸化物)を撹拌下に添加し、次に、CHAゼオライト系材料を撹拌下に添加した。この混合物を1時間さらに撹拌した。次いで、コロイダルシリカ溶液を撹拌下に添加し、得られた混合物をもう0.5時間撹拌した。得られた懸濁液を2.5Lのオートクレーブに移し、入り組んだラインを残りの脱イオン水100gですすいだ。次いで、オートクレーブを密閉した。
【0230】
1時間以内に、オートクレーブ中の混合物を140℃の温度に加熱し、この結晶化温度にて、250rpmで撹拌下に72時間維持した。圧力を放出し、室温まで冷却した後、得られた懸濁液を、ヌッチェ型フィルターを使用して濾過し、濾過ケークを、脱イオン水で洗浄水の伝導率が200マイクロジーメンス未満になるまで洗浄した。こうして洗浄されたゼオライト系材料を、対流式オーブン中、空気下に120℃で終夜乾燥し、次に加熱速度2K/分で500℃の温度に加熱し、この温度で5時間か焼した。22.0gのゼオライト系材料が得られ、空時収量は、5.64kg/m3/dであった。
【0231】
ゼオライト系材料の元素分析(質量%):Si=34;Al=4.3;Na=2.3。
【0232】
したがって、得られたAEIゼオライト系材料のフレームワーク構造において、モル比Y:Xは、YO2:X2O3として計算して15.2:1であり、モル比X:Yは、X2O3:YO2として計算して0.066:1であった。
【0233】
結晶化度は、参考例1.1に記載されているように決定して72%であった。BET比表面積は、参考例1.2に記載されているように決定して494m
2/gであった。C値は、参考例1.3に記載されているように決定して-69であった。参考例1.4に記載されているように決定したXRDパターンを
図3に示す。参考例1.5に記載されているように決定したSEM写真を
図4に示す。
【0234】
結晶材料の94%は、フレームワークタイプAEIを有するゼオライト系材料であり、結晶材料の6%は、フレームワークタイプCHAを有するゼオライト系材料であった。
【0235】
[比較例1]
フレームワークタイプAEIを有するゼオライト系材料を製造する試み
a)CHAゼオライト系材料を用意する
国際公開第2013/182974号の実施例1の47頁1~18行目に従って、CHAゼオライト系材料を製造した。
【0236】
ゼオライト系材料は、シリカ:アルミナ比(SiO2:Al2O3)が22.4:1であった。
【0237】
b)AEI材料を製造しようと試みる
使用材料:
NaOH(水溶液;50質量%): 70.27g
脱イオン水: 769.56g
1,1,3,5-テトラメチルピペリジニウムOH(Sachem社;水性混合物、19.77質量%): 197.96g
Ludox(登録商標) AS40(Grace社;コロイダルシリカ;水性溶液、40質量%): 219.60g
上記のa)によるCHAゼオライト系材料: 16.40g
【0238】
ビーカーを670.7gの脱イオン水で満たし、撹拌下にNaOH溶液を添加した。次いで、テンプレート化合物(1,1,3,5-テトラメチルピペリジニウム水酸化物)を撹拌下に添加し、次に、CHAゼオライト系材料を撹拌下に添加した。この混合物を1時間さらに撹拌した。次いで、コロイダルシリカ溶液を撹拌下に添加し、得られた混合物をもう0.5時間撹拌した。得られた懸濁液を2.5Lのオートクレーブに移し、入り組んだラインを残りの脱イオン水ですすいだ。次いで、オートクレーブを密閉した。
【0239】
1時間以内に、オートクレーブ中の混合物を140℃の温度に加熱し、この結晶化温度にて、250rpmで撹拌下に72時間維持した。圧力を放出し、室温まで冷却した後、得られた懸濁液を、ヌッチェ型フィルターを使用して濾過し、濾過ケークを、脱イオン水で洗浄水の伝導率が200マイクロジーメンス未満になるまで洗浄した。こうして洗浄されたゼオライト系材料を、対流式オーブン中、空気下に120℃で終夜乾燥した。
【0240】
乾燥した試料の元素分析(質量%):Si=1.1;Al=<0.03;Na=0.5。
【0241】
乾燥した材料のXRD分析は、試料が非結晶質であったこと、すなわち上記の水熱処理が結晶化を引き起こさなかったことを示した。
【0242】
[比較例2]
フレームワークタイプAEIを有するゼオライト系材料を製造する試み
a)CHAゼオライト系材料を用意する
2,040kgの水を撹拌容器に入れ、それに、3,924kgの1-アダマンチルトリメチルアンモニウム水酸化物溶液(20%水溶液)を撹拌下に添加する。次いで、415.6kgの水酸化ナトリウム溶液(20質量%水溶液)を添加し、次に679kgのアルミニウムトリイソプロピレート(Dorox(登録商標) D 10、Ineos社)を添加し、その後、得られた混合物を5分間撹拌した。次いで、7800.5kgのコロイダルシリカ溶液(40質量%水溶液;Ludox(登録商標) AS40、Sigma Aldrich社)を添加し、得られた混合物をオートクレーブに移す前に15分間撹拌した。撹拌容器を洗い流すのに使用する1,000kgの蒸留水を、オートクレーブ中の混合物に添加し、次いで、最終混合物を撹拌下に170℃で16時間加熱した。次いで、固体生成物を濾別し、濾過ケークを蒸留水で洗浄した。次いで、得られた濾過ケークを噴霧乾燥機混合槽中で蒸留水に分散して、固形物濃度約24%のスラリーを得、噴霧乾燥し、こうして、CHAフレームワーク構造を有するゼオライトの噴霧乾燥粉末を得た。ここで、入口温度を477~482℃に設定し、出口温度は127~129℃であることを示した。
【0243】
得られた材料は、BET比表面積が558m2/gであり、結晶化度が粉末X線回折により決定して105%であった。生成物のナトリウム含有量は、Na2Oとして計算して0.75質量%であると決定した。
【0244】
ゼオライト系材料は、シリカ:アルミナ比(SiO2:Al2O3)が34:1であった。
【0245】
図10は、参考例1.5に記載されているように決定した、ゼオライト系材料のSEM写真を示す。
【0246】
b)AEI材料を製造しようと試みる
使用材料:
NaOH(水溶液;50質量%): 70.73g
脱イオン水: 770.71g
1,1,3,5-テトラメチルピペリジニウムOH(Sachem社;水性混合物、19.77質量%): 196.18g
Ludox(登録商標) AS40(Grace社;コロイダルシリカ;水性溶液、40質量%): 219.80g
上記のa)によるCHAゼオライト系材料: 16.40g
【0247】
ビーカーを670.7gの脱イオン水で満たし、撹拌下にNaOH溶液を添加した。次いで、テンプレート化合物(1,1,3,5-テトラメチルピペリジニウム水酸化物)を撹拌下に添加し、次に、CHAゼオライト系材料を撹拌下に添加した。この混合物を1時間さらに撹拌した。次いで、コロイダルシリカ溶液を撹拌下に添加し、得られた混合物をもう0.5時間撹拌した。得られた懸濁液を2.5Lのオートクレーブに移し、入り組んだラインを残りの脱イオン水ですすいだ。次いで、オートクレーブを密閉した。
【0248】
1時間以内に、オートクレーブ中の混合物を140℃の温度に加熱し、この結晶化温度にて、250rpmで撹拌下に72時間維持した。圧力を放出し、室温まで冷却した後、オートクレーブの内容物は完全に液体であることがわかった。
【0249】
したがって、上記の水熱処理は結晶化を引き起こさなかった。
【0250】
[比較例3]
フレームワークタイプAEIを有するゼオライト系材料を製造する試み
a)フレームワークタイプCHAを有するゼオライト系材料を用意する
シリカ:アルミナ比(SiO2:Al2O3)が38.0である、フレームワークタイプCHAを有するZeolyst社の市販ゼオライト系材料を用意した。
【0251】
b)a)において用意されたゼオライト系材料から出発して、フレームワークタイプBEAを有するゼオライト系材料を製造する
使用材料:
アルミン酸ナトリウム、Aldrich社、CAS番号1302-42-7: 24.75g
ケイ酸ナトリウム、Woellner社、CAS番号1344-09-8 555.27g
Ludox(登録商標) AS40(Grace社;コロイダルシリカ;水性溶液、40質量%): 96.21g
脱イオン水: 534.63g
上記のa)によるCHAゼオライト系材料: 18.28g
【0252】
第1の容器において、CHAゼオライト系材料を水中に100rpmで撹拌下に30分以内懸濁した。第2の容器において、アルミン酸ナトリウムを水と混和し、50rpmで撹拌下に30分以内溶解した。2個の容器の内容物を50rpmで撹拌下に1つにまとめた。ラインを脱イオン水ですすいだ。続いて、ケイ酸ナトリウムを25rpmで撹拌下に添加し、ラインを脱イオン水ですすいだ。続いて、Ludox(登録商標) AS40を25rpmで撹拌下に添加し、ラインを脱イオン水ですすいだ。混合物を自生圧力下で120℃の温度に3時間以内加熱し、この温度にて25rpmで撹拌下に84時間維持した。室温に冷却した後、得られた混合物を60rpmで30分間さらに撹拌することによって均質化した。得られた懸濁液を、ヌッチェ型フィルターを使用して濾過し、脱イオン水で洗浄水の伝導率が20マイクロジーメンス未満になるまで洗浄した。得られた濾過ケークを、対流式オーブン中、空気下に120℃で終夜乾燥した。
【0253】
BET比表面積は、参考例1.2に記載されているように決定して471m2/gであった。C値は、参考例1.3に記載されているように決定して-53であった。乾燥したゼオライト系材料の元素分析(質量%):Si=31.0;Al=5.6;Na=4.6。
【0254】
c)b)において製造されたフレームワークタイプBEAを有するゼオライト系材料のアンモニウム形を製造する
b)において製造された100gのゼオライト系材料を、100gの10質量%硝酸アンモニウム水溶液と混和し、80℃で2時間撹拌した。ヌッチェ型フィルターを使用し、濾過ケークを脱イオン水で洗浄して、硝酸塩フリーにした。硝酸アンモニウム処理および洗浄を1回繰り返した。得られた濾過ケークを空気下に120℃で終夜乾燥した。90gの乾燥した材料が得られた。
【0255】
乾燥したゼオライト系材料の元素分析(質量%):Si=33.0;Al=6.0;Na=0.05。
【0256】
d)c)において製造されたフレームワークタイプBEAを有するゼオライト系材料のH形を製造する
c)において製造されたゼオライト系材料を空気下に500℃で5時間か焼した。
【0257】
ゼオライト系材料は、シリカ:アルミナ比(SiO2:Al2O3)が10.6:1であった。
【0258】
e)AEI材料を製造する
使用材料:
NaOH(水溶液;50質量%): 70.73g
脱イオン水: 770.71g
1,1,3,5-テトラメチルピペリジニウムOH(Sachem社;水性混合物、19.77質量%): 196.18g
Ludox(登録商標) AS40(Grace社;コロイダルシリカ;水性溶液、40質量%): 219.80g
上記のd)によるBEAゼオライト系材料: 16.40g
【0259】
ビーカーを670.71gの脱イオン水で満たし、撹拌下にNaOH溶液を添加した。次いで、テンプレート化合物(1,1,3,5-テトラメチルピペリジニウム水酸化物)を撹拌下に添加し、次に、CHAゼオライト系材料を撹拌下に添加した。この混合物を1時間さらに撹拌した。次いで、コロイダルシリカ溶液を撹拌下に添加し、得られた混合物をもう0.5時間撹拌した。得られた懸濁液を2.5Lのオートクレーブに移し、入り組んだラインを残りの脱イオン水100gですすいだ。次いで、オートクレーブを密閉した。
【0260】
1時間以内に、オートクレーブ中の混合物を140℃の温度に加熱し、この結晶化温度にて、250rpmで撹拌下に72時間維持した。圧力を放出し、室温まで冷却した後、得られた懸濁液を、ヌッチェ型フィルターを使用して濾過し、濾過ケークを、脱イオン水で洗浄水の伝導率が200マイクロジーメンス未満になるまで洗浄した。こうして洗浄されたゼオライト系材料を、対流式オーブン中、空気下に120℃で終夜乾燥し、次に加熱速度2K/分で500℃の温度に加熱し、この温度で5時間か焼した。19.8gのゼオライト系材料が得られた。
【0261】
ゼオライト系材料の元素分析(質量%):Si=36;Al=4.5;Na=2.1。
【0262】
結晶化度は、参考例1.1に記載されているように決定して45%であった。BET比表面積は、参考例1.2に記載されているように決定して494m
2/gであった。C値は、参考例1.3に記載されているように決定して-76であった。参考例1.4に記載されているように決定したXRDパターンを
図8に示す。参考例1.5に記載されているように決定したSEM写真を
図9に示す。
【0263】
結晶材料の36%のみ、フレームワークタイプAEIを有するゼオライト系材料であり、結晶材料の61%は、フレームワークタイプMORを有するゼオライト系材料であり、4%はグメリナイトであった。
【0264】
[実施例3]
フレームワークタイプAEIを有し、金属M(Cu)を含むゼオライト系材料の製造
実施例1から得られたゼオライト系材料(粉末)に、インシピエントウェットネスにより硝酸Cu水溶液を含浸させた。ここで、硝酸Cuの量は、ゼオライト系材料に担持されているCuを含む最終的に得られた材料において、CuOとして計算して、Cuを担持している最終的に得られたか焼ゼオライト系材料の全質量に対して4質量%、5質量%、および6質量%となるように選択した。含浸後、材料を乾燥し、次いで450℃で5時間か焼した。この粉末材料をベースにして、それぞれの粉末材料と粉砕機にかけたアルミナスラリー(Puralox(登録商標) TM 100/150)を混合すること(ゼオライト系材料:アルミナの質量比=70:30)によって成形体を製造した。撹拌下に、成形体を乾燥し、550℃で1時間か焼した。次いで、成形体を粉砕し、250~500マイクロメートルの粒径に篩過した。
【0265】
その後の試験には、それぞれ新鮮およびエージングしたCu含有材料を使用した。エージングには、粉砕および篩過した粒子を、650℃で10質量%の水を含む空気に50時間付し、次に800℃で10質量%の水を含む空気に16時間任意に付した。
【0266】
[実施例4]
フレームワークタイプAEIを有し、金属M(Cu)を含むゼオライト系材料の製造
実施例2から得られたゼオライト系材料(粉末)をベースにして、新鮮およびエージングしたCu含有材料を実施例3に記載されている方法に従って製造した。
【0267】
[実施例5]
フレームワークタイプAEIを有するゼオライト系材料を、酸化窒素を選択的に接触還元するために使用する方法
実施例3および4から得られたゼオライト系材料を選択的接触還元試験に付した。このために、それぞれ得られた新鮮およびエージングした試料(それぞれ170mg)を、試料と同じ粒径を有するコランダム1mLで希釈した。所与の試料をフィード流(500ppm NO、500ppm NH3、5%H2O、10%O2、残部N2)にガス時空間速度80,000/時、フィード流温度200℃および575℃で曝露した。以下の結果(下記の表1を参照のこと)を得た。
【0268】
【0269】
引用文献
-国際公開第2013/068976号
-Dinnebier,R.E.、Billinge S.J.L.(編)「Powder diffraction:theory and practice」中のMadsen,I.C.、Scarlett,N.V.Y.(2008年)「Quantitative phase analysis」、The Royal Society of Chemistry,Cambridge、298~331頁
-国際公開第2013/182974号