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特許7592694冶金炉用冷却アセンブリのメンテナンス方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】冶金炉用冷却アセンブリのメンテナンス方法
(51)【国際特許分類】
   C21B 7/10 20060101AFI20241125BHJP
   F27D 1/12 20060101ALI20241125BHJP
【FI】
C21B7/10 305
C21B7/10 301
F27D1/12 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022507723
(86)(22)【出願日】2020-08-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-11
(86)【国際出願番号】 EP2020071913
(87)【国際公開番号】W WO2021028267
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2023-06-19
(31)【優先権主張番号】LU101347
(32)【優先日】2019-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(31)【優先権主張番号】LU101462
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(73)【特許権者】
【識別番号】500173376
【氏名又は名称】ポール ヴルス エス.エイ.
【氏名又は名称原語表記】PAUL WURTH S.A.
(73)【特許権者】
【識別番号】509299064
【氏名又は名称】ポールワースドイチェラントゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(74)【代理人】
【識別番号】100099472
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 猛
(74)【代理人】
【識別番号】100150773
【弁理士】
【氏名又は名称】加治 信貴
(72)【発明者】
【氏名】リッケ、マルコ
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー、ルネ
(72)【発明者】
【氏名】テナゲルス、フランク
(72)【発明者】
【氏名】マギオリ、ニコラ
【審査官】池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04314695(US,A)
【文献】特表2005-535865(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01466989(EP,A2)
【文献】特開2002-060818(JP,A)
【文献】特開平01-193101(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21B 7/00 - 9/16
F27D 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却アセンブリ(1)が、
冶金炉の炉殻(20)の内部に配置された冷却プレート(2);
炉殻(20)内の殻開口(20.1)を横切り、冷却プレート(2)に接続される冷却パイプ(4);及び
冷却パイプ(4)の周囲に配置された、冷却パイプ(4)と炉殻(20)との間にシールを形成するための補償具(6)を含み、
本方法は、固定具(31,41)と、固定具(31,41)に対して案内されて移動するように固定具(31,41)に対して移動可能に接続された切削工具(36,45)を含む切削装置(30,40)により少なくとも1つの切削加工を行うことを含み、
切削工具(36,45)と固定具(31,41)の接続は、切削工具(36,45)が固定具(31,41)に対して自由に移動可能ではなく、案内される仕方でなされており、
かつ
固定具(31,41)は冷却パイプ(4)に取り付けられ、それによって切削装置(30,40)が冷却パイプ(4)に対して整列し、かつ切削工具(36,45)が切削加工を行いながら案内されて移動する、冶金炉用冷却アセンブリ(1)のメンテナンス方法。
【請求項2】
切削工具(36,45)が冷却パイプ(4)の軸方向(A)に対して横断方向の予め規定された経路(P)に沿って移動可能となるように固定具(31,41)に接続される、ことを特徴とする、請求項1に記載された方法。
【請求項3】
固定具(31,41)が冷却パイプ(4)に固着されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載された方法。
【請求項4】
補償具(6)を取り外し、新しい補償具(6)を設置することを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載された方法。
【請求項5】
補償具(6)を取り外すことは、補償具(6)と冷却パイプ(4)間の溶接(11)を除去するための第1の切削加工を含む、ことを特徴とする、請求項4に記載された方法。
【請求項6】
第1の切削加工は、第1の固定具(31)と、第1の固定具(31)に対して回転可能な第1の切削工具(36)を含む第1の切削装置(30)で行われることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載された方法。
【請求項7】
第1の切削工具(36)は機械加工によって溶接(11)を除去するのに適合していることを特徴とする、請求項6に記載された方法。
【請求項8】
第1の固定具(31)が冷却パイプ(4)の内部に取り付けられることを特徴とする、請求項6又は7に記載された方法。
【請求項9】
殻開口(20.1)を拡大する第2の切削加工を含むことを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載された方法。
【請求項10】
第2の切削加工が、冷却パイプ(4)の外側に接続される第2の固定具(41)を含む第2の切削装置(40)で行われ、第2の切削工具(45)のための取付部(44)は、第2の固定具(41)に対して案内されて移動するよう第2の固定具(41)に接続され、第2の切削工具(45)は、取付部(44)によって保持された状態で切削加工を行う、請求項9に記載された方法。
【請求項11】
取付部(44)が円移動(R)のために接続されることを特徴とする、請求項10に記載された方法。
【請求項12】
取付部(44)は第2の固定具(41)に対して偏心移動するよう接続されることを特徴とする、請求項10又は11に記載された方法。
【請求項13】
補償具(6)を取り外した後、フード(15)が少なくとも1つの殻開口(20.1)をシールして覆うように、少なくとも1つのフード開口(15.1)を有するフード(15)を炉殻(20)に設置すること、及びフード(15)のフード開口(15.1)に少なくとも1つの新しい補償具(6)を接続すること、を含むことを特徴とする、請求項4から12のいずれかに記載された方法。
【請求項14】
フード(15)は複数のフード開口(15.1)を有し、かつ複数の殻開口(20.1)を覆うように設置され、かつ複数の新しい補償具(6)が複数のフード開口(15.1)に接続されることを特徴とする、請求項13に記載された方法。
【請求項15】
新しい補償具(6)を、冷却パイプ(4)がその補償具の(6)スリーブ部分(9)を貫通するように設置し、スリーブ部分(9)は炉殻(20)に向かって増大する内側断面を有することを特徴とする、請求項4から14のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冶金炉用冷却アセンブリ(組立体;assembly)のメンテナンス(maintenance)方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冷却プレートは、冷却ステーブ(cooling staves)とも呼ばれ、炉の冷却システムの一部として、例えば高炉(blast furnace)などの冶金炉(metallurgical furnaces)で使用されている。それらは炉の外殻(outer shell)の内側に配置されている。炉の内部に面したその表面は、耐火材料で内張り可能である。冷却プレートは、冷却システムの他の部分に、例えば、冷却剤、一般的には水を供給する冷却パイプによって接続された、内部冷却剤チャネルを有している。冷却パイプは炉の鋼製外殻の穿設孔(boreholes)を通して案内される。1つの設計によると、冷却ステーブと冷却パイプは銅(または銅合金)で作られており、溶接によって接続されている。
【0003】
銅のステーブ本体は動作中の摩耗や熱応力により、例えば曲がったり、「バナナ」の形に変形する場合がある。この変形により、冷却パイプの位置と角度が高炉の外殻に対して変化する。この変形の一部を吸収し、気密に高炉殻の穴を閉じるために、例えばEP 1 466 989に開示されているように、炉殻と冷却パイプの間にいわゆる補償具(compensator)を溶接することが知られている。この補償具は、冷却パイプの周りに一種のカラー(襟;collar)を形成し、一般的に炉殻(shell)と冷却パイプに溶接される。補償具は、ある程度の変形しか吸収できない。この変形の度合いを超えると、補償具は冷却パイプの固定箇所(fix point)を形成する。炉の運転中、ステーブ本体は更に変形することが多く、冷却パイプに荷重(load)をもたらすことになる。この荷重は、この固定箇所からステーブ本体と冷却パイプ間の接続部分に、かつ溶接部分に伝わる。これは、溶接の亀裂を順に引き起こす可能性があり、漏洩を生じ、したがって、炉に水が入ることになる。
【0004】
このような漏洩を避けるべきことは明らかであるが、補償具の修理や交換は控えめに言っても難しいことであり、炉の停止なしには事実上不可能である。別の問題は、補償具自体が損傷し、ガス漏れや腐食の原因になる可能性があることである。また、高炉内部からの材料が補償具に入り込み、その補償機能を損なうこともある。このような非機能的な補償具を解体し、新しい修理用補償具を組み立てるための、簡素化された安全な修理の着想(concept)が必要である。とりわけ、補償具と冷却パイプの間の溶接継ぎ目の除去は問題を起す。これらの溶接継ぎ目がバーナーまたは切断トーチによって取り外されると、冷却パイプを損傷する可能性がある。
【0005】
別の問題は、補償具だけではなく高炉殻(blast furnace shell)も、かなり変形した場合には冷却パイプの固定箇所になり得るということである。これは、高炉停止中の内視鏡検査によって事前に決定することができるが、時には補償具を分解した後でしか見ることができない。このような場合には、冷却チューブの自由な移動を復活するために、新しい補償具を設置する前に高炉殻の開口を拡大しておくことが不可欠である。繰り返しになるが、冷却パイプを損傷するリスクを冒すことなく、そのような拡大を行うことには大きな困難がある。したがって、必要な拡大は、多くの場合まったく行われない。そのため、補償具の交換後であっても、冷却パイプを動かすことには制限がある。
【0006】
修理措置は炉の停止中にのみ実施することができる。経済的な理由から、シャットダウン時間はできるだけ短くする必要があり、そのため、すべての修理作業または交換作業は時間的に際どいものである。
【技術的課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、冶金炉の冷却システムの修理を容易にする手段を提供することである。この目的は、請求項1による方法によって解決される。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、冶金炉用冷却アセンブリのメンテナンス方法を提供する。この炉は、シャフト炉、特に高炉であり得る。冷却アセンブリは炉殻または炉の外殻の冷却を容易にすることが理解されよう。メンテナンス方法は、特に冷却アセンブリを修理する方法であり得る。この文脈において、「修理(Repairing)」は、特に、冷却アセンブリの1つまたは複数の要素を取り除き、それらを1つまたは複数の新しい要素に置き換えることを言うものである。しかしながら、この方法は、(まだ)冷却アセンブリに損傷がない場合に適用でき、そのため冷却アセンブリを改造または改善(upgrading)する方法とも呼ぶことができる。
【0009】
冷却アセンブリは、冶金炉の炉殻の内部に配置された冷却プレートを含む。冷却プレートは、冷却パネルまたは冷却ステーブとも呼ばれ、冶金炉の炉殻の内部に設置される。それは炉殻に平行または同心状に配置してもよい。冷却プレートは、例えば鋳物(casting)によって、単一の金属片から作ることができる。本発明はこれに限定されるものではないが、冷却プレートは、銅を含む金属、即ち銅又は銅合金から作るのが好ましい。冷却プレートは、多くの場合鋼からも作られている。それは冶金炉の内側に面した正面を有している、即ち、前面は炉の内側に向いている。前面の表面積を大きくするために、前面は、2つの連続したリブが溝によって間隔をあけた状態で、複数のリブを含みうる。通常、冶金炉の冷却システムは、多かれ少なかれ、過剰な熱から炉全体の殻を保護する複数の冷却プレートを含んでいる。必要に応じて、冷却プレートの少なくとも1つの表面に、過度の熱や機械的摩耗から表面を保護するための耐火性の内張(lining)を設けることができる。当該技術分野で知られているように、冷却プレートは、冷却プレート内部の少なくとも1つの冷却剤チャネルを含む。冷却剤チャネルは冷却プレート内の長いキャビティであり、通常は真っすぐである。特に、それは円形断面を有していてもよい。冷却剤チャネルは、冷却剤、例えば水を含みかつ導くように設計されていることが理解されよう。
【0010】
冷却アセンブリは、更に炉殻内の殻開口を横切り、冷却プレートに接続される冷却パイプを備えている。冷却パイプは、通常、金属の単一の部分で作られている。冷却プレートと同様に、冷却パイプは、銅を含む金属、即ち銅又は銅合金で作られていることが好ましい。本発明はこれに限定されるものではないが、冷却パイプは好ましくは円形断面を有している。それはパイプチャネルまたは内部ダクトを有し、通常は円形の断面も有している。外側に対して、パイプチャネルは冷却パイプのパイプ壁で区切られている。冷却パイプは冶金炉の炉殻の中の殻開口を横切り、即ち、炉殻は殻の外側から殻の内側に延びる殻開口(殻貫通開口または殻貫通孔とも呼ぶことができる)を有する。殻開口の断面は、少なくとも冷却パイプの断面に対応し、通常は冷却パイプと炉殻との間に隙間があるように多少大きい。冷却パイプは殻開口を横切り、即ち、開口を通って炉殻の外側から内側に延びる。冷却パイプは冷却プレートに接続される。勿論、パイプチャネルが冷却剤チャネルと連通するような接続が確立している。ここでおよび以下において、「連通する」とは、冷却剤交換を可能にする配置構造(arrangement)を指す。つまり、冷却剤チャネルとパイプチャネルは、冷却剤チャネルからパイプチャネルに冷却剤が流れ、その逆も可能なように接続されている。冷却パイプと冷却プレート間の接続の詳細は、本発明の内容とは関係ない。この点については様々な可能性がある。一般的に、冷却パイプは冷却プレートに溶接される。
【0011】
冷却アセンブリは、更に冷却パイプの周囲に配置された、冷却パイプと炉殻との間にシールを形成するための補償具(compensator)を含む。補償具は通常炉殻に溶接され、冷却パイプの周りに、またはより具体的には炉殻の近くの冷却パイプの一部の周りにカラーを形成する。補償具と冷却パイプ間の接続は通常は溶接接続である。補償具は通常、少なくとも部分的には柔軟であるため、柔軟なシールを形成する。共通化設計(common design)によれば、補償具は冷却パイプの周りに円周状に配置されたベローズ(蛇腹)を含み、ベローズは高炉内部からのガスまたは固形物質(solid material)が外部に漏れるのを防ぐ柔軟なシールを提供する。補償具が炉殻に直接接続されるのではなく、中間要素を介して接続されることも考えられる。
【0012】
本発明によれば、本方法は、固定具(fixture)と、固定具に対して案内されて移動(guided movement)するように固定具に対して移動可能に接続された切削工具(cutting tool)を含む切削装置により少なくとも一つの切削加工を行うことを含み、ここで、固定具は冷却パイプに取り付けられ、それによって切削装置が冷却パイプに対して整列し、かつ切削工具が切削加工を行いながら案内されて移動する。切削加工(cutting operation)は、例えば、冷却アセンブリの構成要素を除去または解体するために、またはこの構成要素の一部を切り取ることによって構成要素を修正するために行われる。特に、このことは、冷却パイプの近傍、例えば冷却パイプの15mm未満または10mm未満以内で行う切削加工であり得る。切削加工は切削装置によって行われる。切削装置は、取り外し可能に接続された幾つかの要素を含み得る。それは、少なくとも実施形態によっては、ブラケット、ホルダまたはクランプと呼ばれる固定具を含む。実施形態によっては、固定具が冷却パイプに対して切削装置を芯出しするのに適合するのであれば、芯出し用の固定具または芯出し装置(centering device)とも呼ばれることがある。
【0013】
切削工具は、固定具に対して案内されて移動するよう固定具に移動可能に接続されている。つまり、切削工具と固定具との接続は、切削工具が固定具に対して自由に移動可能ではなく、案内される仕方で移動可能になっている。接続は、固定具に対する切削工具の自由度を低下させると言うこともできる。切削工具は、切削工具の可能な動きを規定する案内機構または案内要素によって、固定具に接続することができる。切削工具は、様々な切削方法、例えば機械的切削や溶断(thermal cutting)に適合することができる。一般に、「切削工具」という用語は、切削工程そのものに適応された切削装置の当該部分をそのように呼ぶ。これは、例えば、切断トーチ(cutting torch)、レーザー、機械的切削ヘッド(mechanical cutting head)またはインサート(insert)等であり得る。まず、冷却パイプに対して切削装置が整列するように、固定具を冷却パイプに取り付ける。冷却パイプに固定具を取り付けることが、固定具と冷却パイプとの間にフォームロック(form lock)を確立することを特に含み得る。冷却パイプに固定具を取り付けることによって、切削装置は冷却パイプに対して整列され、即ち切削装置の位置および向きは、固定具が冷却パイプに対して規定された位置にあるため少なくとも部分的に規定される。従って、切削工具は固定具に対して案内されて移動するために接続されるので、冷却パイプに対して案内されて移動するために(固定具を介して)接続される。固定具が冷却パイプに取り付けられると、切削工具は、切削加工を行いながら固定具(および冷却パイプ)に対して案内されて移動することができる(即ち、案内されながら移動する)。
【0014】
この案内された移動は、切削工具の位置誤差の可能性を低減またはなくすため、非常に有利である。切削工具の誤った位置決めにより、上首尾な切削加工が妨げられ、更に、切削を意図していない要素、特に冷却パイプの偶発的な損傷につながる可能性がある。したがって、切削工具の適切な位置決めと移動は、固定具が適切に取り付けられている限り(多かれ少なかれ)、勿論、案内機構が適切に設計されている限り、フェイルセーフ(failsafe)である。しかしながら、冷却パイプに関して切削加工の意図する位置が分かっている場合は、このことは容易な作業である。一度固定具が取り付けられると、切削装置の作業者は切削工具の適切な位置を常に確認する必要がないので、切削加工は短時間で行うことができる。
【0015】
一般的には、本発明の範囲内において、切削工具の移動をどうやって案内するかについては様々な可能性がある。好ましい実施形態によれば、切削工具は、冷却パイプの軸方向に対して横断方向の予め規定された経路に沿って移動可能となるように固定具に接続される。冷却パイプの軸方向は、通常対称軸に対応している。一般に、いかなる切削工具の移動も、軸方向に平行な軸方向(または縦方向)成分、および軸方向に垂直な横の成分を有することができる。この実施形態では、移動は、予め規定された軸方向に対して横断方向に案内される、即ち、移動の横成分(transversal component)の経路に沿って案内される。より具体的には、この経路は、冷却パイプの中心軸に対して同心または偏心することがあり得る円形経路であってもよい。移動の軸方向または縦方向成分は、制限または無制限にすることができる。後者の場合、切削工具は軸方向に平行に移動することができる。
【0016】
実施形態によっては、それは、切削装置を位置決めするのに十分なフォームロックが確立されるように固定具を冷却パイプ上に配置するだけでよい。しなしながら、固定具が冷却パイプに固着(firmly attached)されていることが好ましい。このことは、ロックスクリュー等によって確立され得る摩擦接続によって達成できる。この場合、固定具の位置は冷却パイプに対してロックして、固定具の意図しない動きを不可能にする。しかしながら、切削加工後に切削装置を冷却パイプから取り外すことができるようにするため、接続はいかなる場合でも取り外し可能な接続であることを理解されたい。
【0017】
本発明はこの点に限定されるものではないが、この方法は通常、補償具を取り外し、新たな補償具を設置することを含む。古い補償具を取り外すには、通常、補償具と冷却パイプ、炉殻または他の要素間の溶接接続を除去する1または複数の切削加工が必要である。
【0018】
特に、補償具を取り外すことは、通常、補償具と冷却パイプ間の溶接を除去するための第1の切削加工を含む。この溶接は、通常、冷却パイプの周りに環状に配置した継ぎ目を環状に溶接したものである。それは冷却パイプと接触しているため、従来の切削技術では、その過程で冷却パイプを損傷する危険性が高い。しかし、本発明の方法は、切削工具の案内される移動によりそのような危険を減らすかまたは無くせる。
【0019】
第1の切削加工は、第1の固定具と、第1の固定具に対して回転可能な第1の切削工具を含む第1の切削装置で行われる。第1の固定具は冷却パイプに取付けられ、それに対して通常は固着される。第1の切削工具は、冷却パイプに対して接線方向に移動するように、第1の固定具に対して通常は回転可能である。つまり、上述の経路は冷却パイプに対して通常は芯合わせされた円形経路である。これは溶接継ぎ目の円形に相当する。
【0020】
溶接は冷却パイプに直接行われるため、注意して炎を指向しても、火炎切断の仕方が冷却パイプに損傷を与える可能性がある。従って、第1の切削工具は、機械加工、特にミリング(milling)によって溶接を除去するのに適合しているものが好ましい。第1の切削工具は、溶接形状に対応する環状形状を有し得る切削ヘッドまたはミリングヘッドであり得る。環状切削ヘッドが中心の回りを回転すると、例えば、それが軸方向に沿って移動している間に、溶接部分を徐々に除去することができる。特に、切削ヘッドの内径は、冷却パイプの外径(+冷却パイプの周りで切削ヘッドが自由に移動するのに必要な僅かな隙間)に対応する。しかしながら、環状切削ヘッドとは別に、第1の固定具の回り、したがって冷却パイプの回りで、切削ヘッドまたは他の切削工具を回動することが可能である。
【0021】
特に冷却パイプの周囲に配置された環状切削ヘッドを採用した場合、第1の切削工具に干渉することなく、冷却パイプの外側部に第1の固定具を位置決めすることは困難である。好ましい実施形態によれば、第1の固定具は冷却パイプの内部に取り付けられる。第1の固定具は、冷却パイプに挿入され、次に摩擦接続によって固定される芯出しチャック(centering chuck)であり得る。芯出しチャックは、シャフトの周りで回転可能な円筒形のスリーブで囲繞されたシャフト上に配置することができる。上述の環状切削ヘッドは、円筒スリーブの一端部に配置される。
【0022】
なお、除去する必要があるが冷却パイプから遠く離れている溶接または溶接継ぎ目は、「従来の」方法で、即ち、切削工具の創造的(inventive)な案内される移動を行うことなく除去することができる。これらの溶接は、冷却パイプを損傷するリスクは僅かなものに過ぎないので、例えば、火炎切断(flame cutting)によって除去することができる。
【0023】
殻開口の断面は冷却パイプの断面よりも大きいものの、冶金炉の長時間の運転時間、例えば数ヶ月後には、冷却用のステーブが、冷却パイプが殻開口の周辺に接触する程度にまで変形することがあり得る。このような場合、殻開口の周辺は冷却パイプ用の固定箇所を形成し、これが不要な機械的ストレスを引き起こし、最終的には冷却パイプの破壊を引き起こし得る。このような場合、この方法は、好ましくは殻開口を拡大するための第2の切削加工を含んでいる。このことは、第2の切削加工によって、炉殻の一部が殻開口でないところで切り取られることを意味する。この切削加工により、冷却パイプ用の固定箇所になる可能性のあるところが除去される。「第1」および「第2」という用語は、これらの作業を区別するためにのみ使用され、「第1切削加工」を行わずに「第2の切削加工」を行うことは本発明の範囲内であることを理解されたい。
【0024】
好ましくは、第2の切削加工は、冷却パイプの外側に接続される第2の固定具を含む第2の切削装置で行われ、ここで、第2の切削工具のための取付部(mount)は、第2の固定具に対して案内されて移動するよう第2の固定具に接続され、第2の切削工具は、取付部によって保持された状態で切削加工を行う。この実施形態では、切削工具は、切削装置の他の要素に恒久的に接続されていない、しかし、それは、取付部で保持または受け入れられ、取付部は第2の固定具に移動可能に接続される。第2の切削加工の間、切削装置は、例えば摩擦接続によって取付部に固定的に取り付けることができる。取付部は案内されて移動のために第2の固定具に接続される、即ち取付部の第2の固定具に対する移動が制限される。第2の切削工具は取付部で保持されるため、第2の固定具に対する動きは制限される。第2の固定具は冷却パイプの外側に接続され、かつ特に冷却パイプの周りに円周状に配置される。ここでも、第2の固定具が冷却パイプに固定的に取り付けられていることが好ましい。第2の切削工具は、特に、火炎カッターまたは切断トーチであってもよい。
【0025】
取付部の移動は、第2の切削工具の移動、したがって拡大された殻開口の輪郭を規定する。殻開口が円形断面またはほぼ円形の断面を有することが最も実用的である、或いは望ましい。したがって、この取付部は、好ましくは円移動のために接続される。したがって、第2の切削工具は、第2の切削加工を実行する環状経路に沿って移動する。
【0026】
一実施形態によれば、取付部は第2の固定具に対して偏心移動するように接続される。これは特に偏心的な円運動であり得る。これにはいくつかの利点がある。例えば、殻開口の片側の固定箇所が特定された場合、第2の切削装置は、炉殻の大部分が固定箇所付近で切り取られるように位置合わせすることができ、これにより殻開口のこの部分における冷却パイプまでの距離を選択的に増大させることができる。また、偏心運動によって、第2の切削工具の経路は、通常、冷却パイプの周り360°未満の範囲で第2の切削加工を完了するようにしなければならず、これが時間節約の助けとなる。このような実施形態では、第2の固定具は、取付部が回転することができる周囲の傍心リング(excenter ring)を含み得る。
【0027】
この方法は、補償具を取り外した後、フードが少なくとも1つの殻開口をシールして覆うように、少なくとも1つのフード開口を有するフードを炉殻に設置すること、及びフードのフード開口に少なくとも1つの新しい補償具を接続することを含む。フードの形状は、この文脈では限定されていない、しかし、特に中空の殻、ボウルまたは桶(trough)に類似のものでもよい。炉殻に面したフードの裏側は開いている。しかしながら、炉殻の反対側に面するフードの前面は閉じられていないが、少なくとも1つのフード開口を含む。フードは、少なくとも1つの殻開口を覆うように、炉殻に配置されている。普通、フードは炉殻に溶接される。フードの各フード開口に新しい補償具も接続される。新しい補償具は、フード開口に部分的に挿入することができるか、又はフードの外側に配置することができる。それは通常フードに溶接される。新しい補償具はフードが炉殻に接続される前に、又は後でフードに接続することができる。フードの機能は、主に、殻開口の断面が新しい補償具に対して大きすぎる場合にアダプタとして機能することである。このことは、特に、しかしこだわるわけではないが、殻開口が上述のように拡大された場合にあり得る。フードの寸法は、殻開口及び/又は補償具毎に、つまり個別に設計された既成のものでよい。新しい補償具の内部はフードの内部と連通し、殻開口を通して冶金炉の内部と連通する。
【0028】
新しい補償具毎に1つのフードを使用することができる。別の実施形態によれば、フードは複数のフード開口を有し、かつ複数の殻開口を覆うように設置され、かつ複数の新しい補償具が複数のフード開口に接続される。つまり、複数の殻開口も覆いつつ、複数の新しい補償具に使用される単一のフードが用いられる。一般に、このようなフードは、例えば2、3又は4つのフード開口を用いるが、より多数も考えられる。
【0029】
前述のように、冷却プレートの熱変形は、個々の冷却パイプの向き(orientation)に大きく影響し得る。冷却パイプの向きに対して、補償具は冷却パイプにあまり機械的なストレスを与えることなく効果的なシールを提供する必要がある。この点に関して、新しい補償具を、冷却パイプがその補償具のスリーブ部分を貫通するように設置し、スリーブ部分は炉殻に向かって増大する内側断面を有することが好ましい。このスリーブは、上述のようにベローズの1つに配置することができる。その内側の断面は炉殻に向かって増大する(又は反対方向にテーパーが付いている)。一端部では、スリーブ部の内側の断面は、好ましくは冷却パイプの外側の断面に対応しており、他方、他端部では内側の断面がやや大きい。これにより、一端部で比較的緊密な接続を維持しながら、スリーブ部内の冷却パイプが異なる角度方向(angular orientations)になることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
ここで、本発明の好ましい実施形態を以下の添付図面を参照して、例により説明する:
図1】古い補償具を備えた冷却アセンブリの断面図である。
図2図1の冷却アセンブリの一部の詳細図である。
図3】本発明による第1の切削加工を示す断面図である。
図4】本発明による第2の切削加工を示す断面図である。
図5図4のV方向に沿った図である。
図6】フードと複数の補償具の斜視図である。そして
図7】補償具と冷却パイプを備えた複数のフードの斜視図である。
図8図1の新しい補償具を備えた冷却アセンブリの一部の詳細図である。
【図面に関する詳細な説明】
【0031】
図1は、修理前の冶金炉、例えば高炉の冷却アセンブリ1の断面図を示している。冷却アセンブリ1は、詳細が図2の断面図にも示されており、銅又は銅合金でできた冷却プレート2を含む。冷却プレート2は、冶金炉の炉殻20の内部に配置されている。冷却プレート2の表面は、ここでは平面で示されているが、表面積を大きくするための複数のリブ及び溝を備えることができる。また、それは簡略化するためにここに示されていないが、耐火性の内張を備えることができる。冷却プレート2に複数の冷却剤チャネル3が設けられている。
【0032】
冷却アセンブリ1はまた、複数の冷却パイプ4を備え、それらは各々冷却チャネル3に接続されたパイプチャネル5を有する。冷却パイプ4は冷却プレート2と同じ材料で作ることができる。冷却パイプ4は、各々炉殻20内の殻開口20.1を貫通する。それぞれの殻開口20.1の断面は、炉殻20に対して一部の冷却パイプ4の移動を可能にするため、それぞれの冷却パイプ4の断面よりも大きくなるように選択されている。このような移動は、特に冷却パイプ4が取り付けられている冷却プレート2の熱誘起変形から生じる。各冷却パイプ4は、それぞれの冷却パイプ4の対称軸に対応する軸方向Aに沿って延びている。しかしながら、異なる冷却パイプ4の軸方向Aは概して平行ではない。
【0033】
フード15は、殻開口20.1を覆うよう炉殻20に接続されている。フード15は、冷却パイプ4が貫通するフード開口15.1を有する。冷却パイプ4は、フード15の外側部のところで、フード開口15.1に接続するためにフード15に溶接された補償具6で囲繞されている。補償具6の構造を詳細は図2に見ることができる。それはフード15に溶接して接続された円筒部7を含む。ベローズ9は、リング部8によって円筒部7に接続されている。環状スリーブ部10は、一方でベローズ9に接続され、他方では冷却パイプ4の外側に接続されている。冷却パイプ4への接続は、環状第1溶接11により確立される。
【0034】
種々の理由により、冷却アセンブリ1は補償具6およびフード15を取り外す必要がある修理を必要とする可能性がある。この目的のために、冷却パイプ4を補償スリーブ部10に接続する第1溶接11と、フード15に円筒部7を接続する第2溶接12と、フード15を炉殻20に接続する第3溶接13とを除去する必要がある。修理の理由の1つは、補償具6またはフード15が破損することである。別の理由は、冷却プレート2の熱変形に起因して、冷却パイプ4の一つが殻開口20.1の周辺に接触することである。この場合、炉殻20に対する移動を妨げる冷却パイプ4の固定箇所が形成され、これにより終局的には冷却パイプ4自体又は冷却パイプ4と冷却プレート2との間の接続部の破壊を引き起こし得る機械的ストレスを誘発する。このような直接接触が発生したか否かは、例えば炉の停止中に内視鏡検査によって決めることができる。このような接触が存在する場合、殻開口20.1を拡大してこの問題を除去する必要がある。
【0035】
修理措置はいずれも、冷却パイプ4を損傷する潜在的なリスクがある。このリスクは、以下で説明するメンテナンス方法によって最小化または消去される。
【0036】
第1の溶接11は、図3に示されている第1の切削加工によって除去される。この目的のために、特殊な第1切削装置30が採用される。
【0037】
なお、図3は、新しい補償具、即ち、図8に示すような新型の補償具に関連した第1の切削加工を示しているが、第1の切削加工は勿論かつ主に旧式の補償具、即ち、図2に示すような旧式の補償具で使用するように設計されている。
【0038】
第1の切削装置30は、シャフト32の端部に配置された芯出しチャック31を含む。締付具(fastening device)34はシャフト32に接続されている。円筒状の切削スリーブ35は、シャフト32の周りに円周状に配置されている。切削スリーブ35の開いた端部に、環状切削ヘッド(またはミリングヘッド)36が配置されている。切削スリーブ35、従って切削ヘッド36は、シャフト32に移動可能に接続されている。一方で、切削スリーブ35はシャフト32に対して縦方向移動Lができるが、他方では、シャフト32の芯出しチャック31と反対側一端に配置された駆動ユニット33によって駆動されて、円形または回転運動Rを行うことができる。
【0039】
芯出しチャック31は、冷却パイプ4内に配置され、締付具34を作業してその位置に固定される。これにより、第1切削装置30は、冷却パイプ4に対して整列される。次いで、駆動ユニット33が始動して、切削ヘッド36が冷却パイプ4の周りに回転し、かつ切削スリーブ35がスリーブ部10に向かって徐々に移動し、これにより、第1溶接11は機械加工、より具体的には、粉砕(milling)によって除去される。切削ヘッド36の位置と移動は、芯出しチャック31を介して確立する接続によって案内されるので、第1の溶接11は、作業者が切削ヘッド36の位置を繰り返し確認することを要することなく、正確に除去することができる。したがって、第1の切削加工は非常に時間効率よく行うことができる。加えて、機械加工で第1溶接が除去されるため、例えば火炎切断により冷却パイプ4を損傷するリスクはない。第1溶接11が除去されたときは、第2溶接12及び第3溶接13は、火炎切断によって除去することができる、なぜならば、これらの溶接12,13は冷却パイプ4から更に離れた場所に配置されているので、冷却パイプ4に損傷を与えるリスクは極めて少ないからである。
【0040】
補償具6とフード15が取り外されたときは、必要に応じてどの殻開口20.1でも拡大することができる。これは、図4に示す第2の切削加工で行われる。第2切削装置40の環状第2固定具41は、冷却パイプ4の周りに円周状に配置され、ここに図示されていない手段によってそれに固定される。ガイド要素42は、第2の固定具41に対して偏心移動可能に接続されている。ホルダ44は、ガイド要素42に取り付けられている。一度第2の固定具41が冷却パイプ4に固定されると、切断トーチ45がホルダ44に挿入される。切断トーチ45はオンにされ、炉殻20を切削(切断)する。第2の固定具41、ガイド要素42及びホルダ40を介して提供される案内機能によって、切断トーチ45は図5に示す円形経路Pに沿って動かされる。つまり、切断トーチ45の移動は、円弧状または回転移動Rに対応する円弧状経路Pに沿って軸方向Aに対して横断方向に案内される。ホルダ44は、任意に切断トーチ45を軸方向Aに沿って動かせるようにするが、普通は、切断トーチ45はホルダ44内で固定的に受け入れられている。一度切断トーチ45が経路Pに沿ってその移動を完了すると、殻開口20.1の周辺20.2付近の炉殻20の部分20.3が切り取られ、それによって、殻開口20.1が拡大される。
【0041】
その後、新しいフード15と新しい補償具6を設置することができる。新フード15の寸法は、勿論殻開口20.1が上記のように拡大された場合でも、それが完全に覆われるように選択しなければならない。それらは、設置する度に個別に設計可能である。この文脈では、図6と7に図示されている種々の可能性がある。図6に示すように、4つのフード開口15.1を持つ単一のフード15が4つの補償具6と組み合わせことができる。しかしながら、より小さいフード15をより少数の補償具と組み合わせて使用することができる。図7の左側に示すように、2つのフード開口15.1を備えた単一のフード15は、2つの補償具6と組み合わせることができる。図7の右側に示すように、1つの補償具6を単一のフード15と組み合わせることもできる。新しい補償具6の設計は、図2に示したものに対応している。異なるフードデザインを有するフード15により、全てのあり得る修理事例をカバーする。多数のパイプが単一のフードで覆われる場合、新しい補償具の建て入れ時間(erection time)を短縮することができ、それによって冶金炉のシャットダウン時間を最小限に抑えることができる。
【0042】
図8は、新しい補償具との冷却パイプ接続を示している。フード15は、殻開口20.1を覆うため炉殻20に接続される。フード15は、冷却パイプ4が貫通するフード開口15.1を有する。フード15は、1以上の殻開口20.1を覆い得る。そのため、このようなフードは、その1つが各冷却パイプ4に対するフード開口15.1を1つ以上含む。フード15の外側では、フード開口15.1に接続するためにフード15に溶接した、新しい補償具6が冷却パイプ4を囲繞する。図8では、補償具6の構造を詳細に見ることができる。それはフード15に溶接して接続された円筒部7を含む。ベローズ9は、リング部分8によって円筒部7に接続されている。環状スリーブ部10は、一方でベローズ9に接続され、かつ他方では、冷却パイプ4の外側に接続される。冷却パイプ4への接続は、環状第1溶接11を介して確立される。
【0043】
新しい補償具6の重要な特徴は、スリーブ部10が炉殻20に向かって増加する内径を有する、即ち外端部10.1から内端部10.2に向かって増加している点である。つまり、スリーブ部10の内面は円筒状ではなく円錐形である。これにより、スリーブ部10と第1溶接11が適用される外側端部10.1のところの冷却パイプ4との距離を最小限に抑えつつ、冷却パイプ4に対してスリーブ部10を異なる角度方向(angular orientations)にすることが可能になる。
【符号の説明】
【0044】
1 冷却アセンブリ
2 冷却プレート
3 冷却剤チャネル
4 冷却パイプ
5 パイプチャネル
6 補償具
7 円筒部
8 リング部
9 ベローズ
10 スリーブ部
10.1 外端部
10.2 内端部
11,12,13 溶接
15 フード
15.1 フード開口
20 炉殻
20.1 殻開口
20.2 周辺
20.3 部分
30,40 切削装置
31 芯出しチャック
32 シャフト
33 駆動ユニット
34 締付具
35 切削スリーブ
36 切削ヘッド
41 固定具リング
42 ガイド要素
44 ホルダ
45 切断トーチ
A 軸方向
L 縦方向移動
P 経路
R 回転
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8