(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】負荷時タップ切換器用の選択器
(51)【国際特許分類】
H01F 29/04 20060101AFI20241125BHJP
H01F 29/02 20060101ALI20241125BHJP
【FI】
H01F29/04 502C
H01F29/02 C
(21)【出願番号】P 2022525266
(86)(22)【出願日】2020-09-24
(86)【国際出願番号】 EP2020076653
(87)【国際公開番号】W WO2021094024
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2023-09-19
(31)【優先権主張番号】102019130462.8
(32)【優先日】2019-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390035459
【氏名又は名称】マシイネンフアブリーク・ラインハウゼン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】シュースター・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ケレンドルファー・ゲオルク
(72)【発明者】
【氏名】ライト・アンドレアス
【審査官】後藤 嘉宏
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-522470(JP,A)
【文献】実開平6-62522(JP,U)
【文献】米国特許第3155782(US,A)
【文献】国際公開第2018/050522(WO,A1)
【文献】特表2019-509592(JP,A)
【文献】特表2017-520911(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 29/04
H01F 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷時タップ切換器用の選択器(1)であって、
少なくとも一つの選択器アーム(21,22)を備えた微調整選択器(2)と、事前選択器(4)とを有し、
この事前選択器(4)が、微調整選択器(2)の選択器アーム(21,22)の中の少なくとも一つによって操作されることを特徴とする選択器。
【請求項2】
請求項1に記載の選択器(1)であって、
前記の微調整選択器(2)が第一の選択器アーム(21)と第二の選択器アーム(22)を備えている選択器。
【請求項3】
請求項2に記載の選択器(1)であって、
前記の事前選択器(4)が、第一の端部(41)と第二の端部(42)を備えた事前選択器アーム(40)を有し、
前記の第二の選択器アーム(22)が、事前選択器(4)の操作時に事前選択器アーム(40)の第二の端部(42)に作用するスイングアーム(23)を有する選択器。
【請求項4】
請求項3に記載の選択器(1)であって、
前記のスイングアーム(23)がローラー(32)を備え、
前記の事前選択器アーム(40)がその第二の端部(42)に案内部(49)を有し、
前記の事前選択器(4)の操作時に、このローラー(32)が案内部(49)に一時的に嵌まり込んで、事前選択器アーム(40)が旋回させられる選択器。
【請求項5】
請求項4に記載の選択器(1)であって、
前記の案内部(49)が溝、スリット又は部分スリット付溝として構成されている選択器。
【請求項6】
請求項3~5のいずれか1項に記載の選択器(1)であって、
前記の事前選択器アーム(40)が第二のシャフト(47)上の回転中心の周りを旋回させられる選択器。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の選択器(1)であって、
前記の第一の選択器アーム(21)と第二の選択器アーム(22)が第一のシャフト上に回転可能に軸支された形で配置されている選択器。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の選択器(1)を有する負荷時タップ切換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タップ付変圧器の異なる巻線タップの間の無中断による負荷切換を実行する負荷時タップ切換器のための選択器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1により、選択器を備えた負荷時タップ切換器が周知である。その選択器は、微調整選択器と事前選択器を有する。微調整選択器及び事前選択器の選択器アームは、別個の専用の伝動装置によって操作される。その実施構成は、固定接点と可動接点などの事前選択器の全ての部分を伝動装置の外に配置することを必要とする。そのことは、更に、事前選択器の接点が巻線から遠く離れて配置されるので、切換器全体の絶縁間隔に関して不利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、簡単かつコンパクトに構成され、それにも関わらず高い安全性を提供する、負荷時タップ切換器用の選択器を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1に基づく選択器によって解決される。この場合、従属請求項は、本発明の有利な改善構成を形成する。
【0006】
本発明は、第一の観点において、少なくとも一つの選択器アームを備えた微調整選択器と、事前選択器とを備え、この事前選択器が微調整選択器の選択器アームの中の一つによって操作される、負荷時タップ切換器用の選択器を提案する。
【0007】
この選択器アームによる事前選択器の操作によって、事前選択器の操作に必要な伝動装置が不要になる。そのため、操作は、微調整選択器の伝動装置によって間接的に行われる。更に、接点などの事前選択器の個々の部分が、選択器接点の直ぐ近くに、そのため、電圧案内部分、即ち、巻線タップにより近い所に在る。そのため、微調整選択器も、事前選択器も、絶縁板を用いて、伝動装置に対して遮蔽することが可能である。これは、選択器をより安全にするだけでなく、より小さくすることにもなり、それは、価格に対しても肯定的に作用する。
【0008】
この微調整選択器は、必要に応じて任意の形式に構成することができ、例えば、第一と第二の選択器アームを備えることができる。それらの選択器アームの中の一つが、スイングアームを備えることができる。
【0009】
この事前選択器は、必要に応じて任意の形式に構成することができ、例えば、第一の端部と第二の端部を備えた事前選択器アームを有することができる。この事前選択器アームは、その第二の端部に案内部を有することができる。
【0010】
この事前選択器は、選択器アームの中の一つにより間接的に、或いは直接的に操作することができる。
【0011】
このスイングアームが、事前選択器の操作時に、その事前選択器アームの第二の端部に作用し、
このスイングアームが、ローラーを備え、
この事前選択器アームが、その第二の端部に案内部を備え、
この事前選択器の操作時に、このローラーが、案内部に一時的に嵌まり込んで、この事前選択器アームが旋回させられる、
と規定することができる。
【0012】
この案内部は、必要に応じて任意の形式に構成することができ、例えば、溝、スリット又は部分スリット付溝として構成することができる。
【0013】
この事前選択器アームが、第二のシャフト上の回転中心の周りを旋回させられると規定することができる。
【0014】
これらの第一の選択器アームと第二の選択器アームが第一のシャフトに回転可能に軸支された形で配置されていると規定することができる。
【0015】
以下において、添付図面を参照して、本発明とその利点を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】従来技術により周知のタップ付変圧器の模式図
【
図2】本発明による選択器の第一の実施構成の斜視図
【
図3】本発明による選択器の第二の実施構成の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の同じ又は同じ作用を奏する構成素子に対しては、同じ符号を使用している。更に、見易くするために、個々の図面には、各図面の説明に必要な符号だけを表示している。図示された実施構成は、本発明による選択器を如何に構成できるのかに関する単なる例であり、そのため、結局は本発明を制限するものではない。
【0018】
図1は、従来技術により周知の負荷時タップ切換器を備えたタップ付変圧器の模式図を図示している。これは、少なくとも一つの主巻線60と制御巻線61を備えている。この主巻線60は、その一端を事前選択4と接続されている。この事前選択器4は、主巻線60を制御巻線61の上方の端部又は下方の端部と接続する。この制御巻線61は、多数の巻線タップ62を有する。これらの巻線タップ62は、微調整選択器2の選択器アーム21,22によって接触させられる。これらの微調整選択器2と事前選択器4が選択器1を形成する。この選択器1は、更に、負荷切換器と接続されている。この選択器1は、通常切り換え先の巻線タップ62を事前に選択し、この負荷切換器は、負荷時において、その時々の巻線タップから事前選択された巻線タップへの切換を実行する。
【0019】
図2と3は、本発明による選択器1を図示している。この選択器1は、微調整選択器2と事前選択器4を有する。この微調整選択器2は、第一の選択器アーム21と第二の選択器アーム22を備えている。これらの選択器アーム21,22は、第一のシャフト25上に回転可能な形で軸支されている。この第一の選択器アーム21は、第二の選択器アーム22の直ぐ後ろに配置されており、そのため、選択器アームは二つの平面内に在る。第一のマルタクロス歯車26が、第一の選択器アーム21と機械的に接続されている。第二のマルタクロス歯車27が、第二の選択器アーム22と機械的に接続されている。二つの駆動器ローラー29,30を備えた駆動器28が、回転に応じて、マルタクロス歯車26,27の中の一つを、そのため、選択器アーム21,22の中の一つを駆動する。この駆動器28の連続的な動きは、駆動器ローラー29,30とマルタクロス歯車26,27を介して段階的な動きに変換される。そのように、常に選択器1の切換方向に依存せずに、先ずは選択器アームの中の一方が一つの回転方向に動かされ、それに続き他方の選択器アームが同じ回転方向に動かされる。選択器アーム26,27には、接点部品31が配置されており、これらの接点は、それに対応する選択器接点5と接触する。これらの選択器接点5は、プレート6の円内に、或いは少なくとも円弧内に配置されており、制御巻線61の巻線タップ62と接続されている。
【0020】
この選択器1の事前選択器4は、一つの事前選択器アーム40と、三つの接点44,45,46と、一つの可動接点ユニット43とを有する。この接点ユニット43は、事前選択器アーム40の第一の端部41に可動形態で軸支された形で配置されている。その第二の端部42では、事前選択器アーム40がフォーク形状に構成されているか、或いは案内部49を有する。この事前選択器アーム40は、更に、第二のシャフト47に回転可能な形で軸支されている。この事前選択器アーム40の回転中心48は、事前選択器アーム40の第一と第二の端部41,42の間に在る、有利には、その中心に在る。
【0021】
第二の選択器アーム22には、スイングアーム23が配置されている。これは、その延長部の端部にローラー32を備えている。
【0022】
この事前選択器アーム40の第二の端部42は案内部49を有し、この案内部は、第二の選択器アーム22が、そのため、スイングアーム23が回転している間に、スイングアーム23のローラー32が案内部に嵌まり込んで、事前選択器アーム40がその回転中心48の周りの旋回運動を実行できるように構成されている。この場合、事前選択器アーム40の第一の端部41は、第一の位置から第二の位置に動く。その場合、接点ユニット43は、もはや第一及び第二の接点44,45と繋がるのではなく、第二及び第三の接点45,46と繋がる。それに代わって、事前選択器アーム40の第一の端部41が第二の位置から第一の位置に動く。その場合、接点ユニット43は、もはや第三及び第二の接点45,46と繋がるのではなく、第二及び第一の接点44,45と繋がる。この事前選択器アーム40は、完全に回転するのではなく、部分回転を実行する。言い換えると、この事前選択器アーム40は、第一の位置から第二の位置に旋回させられて、再び戻される、即ち、前進方向と後進方向に旋回させられる、そのため、事前選択器4を操作する。この主巻線60は、制御巻線61の上方の端部又は下方の端部と接続される。
【0023】
事前選択器アーム40が何時、如何なる方向に旋回させられるのかは、第二の選択器アーム22の、そのため、選択器1の位置と回転方向に依存する。
【符号の説明】
【0024】
1 選択器
2 微調整選択器
4 事前選択器
5 選択器接点
6 プレート
21 第一の選択器アーム
22 第二の選択器アーム
23 スイングアーム
24 ローラー
25 第一のシャフト
26 第一のマルタクロス歯車
27 第二のマルタクロス歯車
28 駆動器
29 第一の駆動器ローラー
30 第二の駆動器ローラー
31 接点部品
32 ローラー
40 事前選択器アーム
41 事前選択器アームの第一の端部
42 事前選択器アームの第二の端部
43 接点ユニット
44 第一の事前選択器接点
45 第二の事前選択器接点
46 第三の事前選択器接点
47 第二のシャフト
48 回転中心
49 案内部
60 主巻線
61 制御巻線
62 巻線タップ