(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】車両撮像ステーション
(51)【国際特許分類】
G01N 21/84 20060101AFI20241125BHJP
G01N 21/88 20060101ALI20241125BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20241125BHJP
H04N 23/56 20230101ALI20241125BHJP
H04N 23/90 20230101ALI20241125BHJP
【FI】
G01N21/84 E
G01N21/88 Z
G03B15/00 V
H04N23/56
H04N23/90
(21)【出願番号】P 2022534484
(86)(22)【出願日】2020-08-03
(86)【国際出願番号】 GB2020051860
(87)【国際公開番号】W WO2021028653
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2023-07-14
(32)【優先日】2019-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】522053883
【氏名又は名称】デグールド リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グールド,ダニエル ジョージ
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/122701(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0100087(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0012350(US,A1)
【文献】特開2015-184143(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
G01B 11/00 - G01B 11/30
H04N 5/222 - H04N 5/257
H04N 23/40 - H04N 23/76
H04N 23/90 - H04N 23/959
G03B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の傷およびくぼみの画像を取得する車両撮像ステーションであって、
入口と出口とを有するトンネルであって、前記入口と前記出口の間の包囲部を画定する1つ以上の壁によって、中心軸を有する車両経路を含むトンネル空間が画定されるトンネルと、
前記経路上の車両に構造化光画像を照射するために、構造化光を前記車両経路に進行させるように配置される構造化光源と、
前記トンネル空間の構造化光部分を含む視野を有する第1のカメラであって、前記構造化光部分において前記構造化光画像が前記車両経路に沿って移動する車両によって前記第1のカメラに視認されるように反射される第1のカメラと、
前記トンネル空間の非構造化光部分を含む視野を有する第2のカメラであって、前記非構造化光部分において前記構造化光画像が前記車両経路に沿って移動する車両によって前記第2のカメラに視認されるようには反射されない第2のカメラと、
前記トンネル空間内において前記車両経路の前記中心軸に対して前記第2のカメラと同じ側に設けられる非反射性かつ非発光の表面であって、前記車両が前記トンネル空間の前記非構造化光部分にあるときに、前記非反射性かつ非発光の表面の少なくとも一部が前記車両による反射によって前記第2のカメラに視認される非反射性かつ非発光の表面と
を有することを特徴とする車両撮像ステーション。
【請求項2】
前記第2のカメラの向きは、前記トンネル空間の前記構造化光部分が前記第2のカメラの前記視野内において視認されないように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の車両撮像ステーション。
【請求項3】
前記第1のカメラおよび前記第2のカメラは、前記第2のカメラの前記視野が前記第1のカメラの前記視野と重ならないように配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両撮像ステーション。
【請求項4】
前記第1のカメラおよび前記第2のカメラは、前記非反射性かつ非発光の表面と前記構造化光源との間に配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両撮像ステーション。
【請求項5】
前記第1のカメラは、前記第2のカメラから遠ざかる向きに角度付けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の車両撮像ステーション。
【請求項6】
前記非反射性かつ非発光の表面は、無模様の面であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の車両撮像ステーション。
【請求項7】
前記非反射性かつ非発光の表面は、平面であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の車両撮像ステーション。
【請求項8】
前記第1のカメラおよび前記第2のカメラは、第1の組のカメラを構成し、前記撮像ステーションは、別の1組以上のカメラを有し、前記別の1組以上のカメラの少なくとも1組のカメラは、前記車両経路の前記中心軸に対して前記第1の組のカメラとは反対側に配置され、
各第1のカメラは、前記トンネル空間の構造化光部分を含む視野を有するように配置され、前記構造化光部分において前記構造化光画像が前記車両経路を移動する車両によって前記第1のカメラに視認されるように反射され、各第2のカメラは、前記トンネル空間の非構造化光部分を含む視野を有するように配置され、前記非構造化光部分において前記構造化光画像が前記車両経路を移動する車両によって前記第2のカメラに視認されるようには反射されない
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の車両撮像ステーション。
【請求項9】
前記撮像ステーションは、前記車両による反射によって前記第1のカメラおよび前記第2のカメラには直接視認されない別の1つ以上の光源を有することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の車両撮像ステーション。
【請求項10】
前記トンネルの前記1つ以上の壁は、全体として平面または平坦な側壁および屋根を有し、前記屋根は前記側壁と直交するように延伸して矩形の断面を有するトンネルを形成することを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の車両撮像ステーション。
【請求項11】
前記側壁の両端は、互いに内側に向かって延伸し、前記入口および前記出口を画定する角度付けられた端壁を構成することを特徴とする請求項
10に記載の車両撮像ステーション。
【請求項12】
前記構造化光源は、前記角度付けられた端壁の内壁面上または前記内壁面近傍に配置されることを特徴とする請求項11に記載の車両撮像ステーション。
【請求項13】
前記撮像ステーションは、前記車両の前面および/または後面、底面、および/またはホイールまたはタイヤの画像を取得する別の1つ以上のカメラを有することを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の車両撮像ステーション。
【請求項14】
前記撮像ステーションは、前記カメラから画像を受信して前記画像をコンピュータメモリに記憶するおよび/または前記画像をリモートデバイスに送信するコントローラを有することを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の車両撮像ステーション。
【請求項15】
前記コントローラは、1つ以上のセンサからの入力および/または時間に関する条件を満たすことを含む基準に応じて前記カメラをトリガするプログラムを実行することを特徴とする請求項14に記載の車両撮像ステーション。
【請求項16】
前記コントローラに接続された1つ以上のセンサを有することを特徴とする請求項15
に記載の車両撮像ステーション。
【請求項17】
前記センサは、エンジンノイズを検出する音響トランスデューサ、開口部に接近した車両を検出する近接センサ、および/または車両速度センサを含み、前記コントローラは前記センサを使用してカメラを同期させて、画像をつなぎ合わせて前記車両の一部または全体の連続画像を形成したり、カメラ設定を調整したりすることを特徴とする請求項16に記載の車両撮像ステーション。
【請求項18】
前記コントローラは、車両の色に応じてカメラ設定を調整する色マッチングを行うためのプログラムを実行することを特徴とする請求項14から17のいずれか1項に記載の車両撮像ステーション。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
車両は、使い続けるうちに、傷やくぼみなどの外部損傷や構造的損傷を受けることがある。
【0002】
本願の発明者は、既存の車両撮像ステーションは、機械的なフットプリントが大きく、かつ/または動作に時間がかかり、かつ/または一回のプロセスで傷とくぼみの両方を撮像することができないことを特定した。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様によれば、車両の傷およびくぼみの画像を取得する車両撮像ステーションであって、
入口と出口とを有するトンネルであって、入口と出口の間の包囲部を画定する1つ以上の壁によって、中心軸を有する車両経路を含むトンネル空間が画定されるトンネルと、
経路上の車両に構造化光画像を照射するために、構造化光を車両経路に進行させるように配置される構造化光源と、
トンネル空間の構造化光部分を含む視野を有する第1のカメラであって、構造化光部分において構造化光画像が車両経路に沿って移動する車両によって第1のカメラに視認されるように反射される第1のカメラと、
トンネル空間の非構造化光部分を含む視野を有する第2のカメラであって、非構造化光部分において構造化光画像が車両経路に沿って移動する車両によって第2のカメラに視認されるようには反射されない第2のカメラと、
トンネル空間内において車両経路の中心軸に対して第2のカメラと同じ側に設けられる非反射性かつ非発光の表面であって、車両がトンネル空間の非構造化光部分にあるときに、非反射性かつ非発光の表面の少なくとも一部が車両による反射によって第2のカメラに視認される非反射性かつ非発光の表面と
を有することを特徴とする車両撮像ステーションが提供される。
【0004】
本願の発明者は、本発明の第1の態様に係る車両用撮像ステーションによれば、1回の通過で車両のくぼみや傷を高精度に検出できることを見出した。このトンネルでは、カメラによって取得された画像に現れる光ノイズの量が制御される。構造化光源によって生成された構造化光画像により、第1のカメラがくぼみ検出カメラとして機能することを可能にし、車両の既知の形状を基にした予想される構造化模様(パターン)からの観察された変位がくぼみを示す。構造化模様は、例えば、一連の平行な光の縞とすることができる。第2のカメラは、傷検出カメラとして機能し、第2のカメラの向きは、トンネル空間の非構造化光部分を観察するように設定され、第2のカメラの車両上の傷を観察する性能に悪影響を及ぼし得る構造化光源が第2のカメラに直接反射されないように設定されている。本願の発明者は、トンネル内に非反射性かつ非発光の表面があると、トンネル内の唯一の光源が構造化光源である場合でも、傷を鮮明に可視化できることを見出した。非反射性かつ非発光の表面は、反射する光の光量よりも散乱する光の光量が大きく光源ではない任意の表面を採用することができる。
【0005】
第2のカメラの向きは、トンネル空間の構造化光部分が第2のカメラの視野内において視認されないように設定することができる。
【0006】
第1のカメラおよび第2のカメラは、第2のカメラの視野が第1のカメラの視野と重ならないように配置することができる。
【0007】
第1のカメラおよび第2のカメラは、非反射性かつ非発光の表面と構造化光源との間に配置することができる。
【0008】
第1のカメラは、第2のカメラから遠ざかる向きに角度付けられており、第1のカメラの向きが第2のカメラから離れるように設定される。
【0009】
非反射性かつ非発光の表面は、無模様の面とすることができる。これにより、第2カメラに空白の(blank)反射画像を取得させることで、車両の傷が観察しやすくなる。
【0010】
非反射性かつ非発光の表面は、平面または平坦とすることができる。
【0011】
第1のカメラおよび第2のカメラは、例えば、車両の上部、側部、一部などの領域の傷およびくぼみの検出できるように配置された第1の組のカメラを構成することができる。
【0012】
撮像ステーションは、別の1組以上のカメラを備えることができ、少なくとも1組のカメラは、車両経路の中心軸に対して第1の組のカメラと反対側に取り付けることができ、および/または1組のカメラは、屋根の画像を取得するために車両経路に面するトンネルの屋根の表面に取り付けることができる。5組を超えるカメラをトンネルの周囲に並べて取り付けることができる。
【0013】
撮像ステーションは、車両による反射によって第1のカメラおよび第2のカメラには直接視認されない別の1つ以上の光源を有することができる。そのような光源は、くぼみまたは傷の検出性能に影響を及ぼすことなく、車両をさらに照明するのに役立つ。
【0014】
側壁および屋根は全体として平面または平坦であり、屋根は側壁と直交するように延伸して矩形の断面を有するトンネルを形成することができる。あるいは、トンネルは、弧形状または湾曲形状の断面を有することができる。
【0015】
側壁の両端は、開口部および出口を画定することができ、すなわち、開口部および出口は、トンネルの他の部分とほぼ同じ断面積を有する。
【0016】
側壁の両端は、互いに内側に向かって延伸し、入口および出口を画定する角度付けられた端壁を構成することができる。この構成により、トンネルの中央部分に、機器を収容するための比較的大きい断面積を設けることができ、一方、入口および出口の面積はそれぞれ比較的小さくすることで、トンネルに進入する光の光量を制限することができる。
【0017】
また、角度付けられた端壁部分を設けることで、構造化光源を、角度付けられた端壁部分の内面上またはその近傍に取り付けることができる。これにより、車両がトンネルに入るときに車両の運転者が構造化光画像に目を向ける可能性を低減することができる。
【0018】
入口は、出口とは別個に設けることができ、入口と出口との間に直線状の車両経路が配置される。入口と出口を一直線上に配置ことができる。直線状の経路を設けることで、車両の通過が容易になる。
【0019】
撮像ステーションは、車両の前面および/または後面、底面、および/またはホイールまたはタイヤの画像を取得する別の1つ以上のカメラを有することができる。これによって、システムによってナンバープレートを撮像したり、ホイール、タイヤ、および底面の状態を記録したりすることができる。
【0020】
撮像ステーションは、カメラから入力を受信し、受信した入力をコンピュータメモリに
記憶し、および/または受信した入力をリモートデバイスに送信するように構成された、汎用コンピュータ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のデータ
プロセッサまたはコントローラを有することができる。
【0021】
コントローラは、カメラをトリガするプログラムを実行することができる。コントローラは、1つ以上のセンサからの入力および/または時間に関する条件を満たすことを含む基準に応じてカメラをトリガするように構成することができる。
【0022】
撮像ステーションは、コントローラに接続された1つ以上のセンサを有することができる。撮像ステーションは、例えば、エンジンノイズを検出するマイクロフォン等の音響トランスデューサ、開口部に接近した車両を検出する近接センサ、および/または車両速度センサを有し、コントローラはセンサを使用してカメラを同期させて、画像をつなぎ合わせて車両の一部または全体の連続画像を形成したり、シャッタ速度などのカメラ設定を調整したりすることができる。
【0023】
コントローラは、車両の色に応じてカメラ設定を調整する色マッチングを行うためのプログラムを実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
単なる例示として、本発明の特定の実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
【0025】
【
図1A】
図1Aは、本発明の一実施形態による車両撮像ステーションを示す図である。
【
図2】
図2は、
図1Aの撮像ステーションのコントローラのシステム図である。
【
図3】
図3は、本発明の別の実施形態による車両撮像ステーションを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1Aおよび
図1Bでは、本発明の実施形態による車両撮像ステーションを全体的に10で示す。車両撮像ステーション10は、車両の外板パネルや他の表面における傷やくぼみの形態の損傷を識別するために使用される車両12の画像を撮影するように構成されている。
【0027】
車両撮像ステーション10は、車両12が方向Dに沿って移動するのに適した任意の経路である車両経路14の周囲に配置される。経路14は、図示の実施形態では直線状の直線経路であるが、他の実施形態では任意の形態をとることができる。
【0028】
車両撮像ステーション10はトンネル16を有し、トンネル16は、車両経路14がトンネル16を通るように設けられている。本実施形態では、トンネルは、2つの概して平面の側壁セクション16a、16bを有し、これらは、直角に延在する概して平面の屋根16cによって上部で接合されて単一の構造を形成する。しかしながら、他の実施形態では、トンネルは、追加の
図1Cに示すようなアーチ等の任意の好適な断面形状を有することができる。
【0029】
トンネルは入口18と出口20を有し、車両は入口18と出口20からトンネルに出入りすることができる。本実施形態では、入口および出口は、それぞれトンネルの端部に位置し、中心軸CAを有する直線的な車両経路を画定する。しかしながら、他の実施形態で
は、トンネルは、任意の好適な形状を有することができ、任意の数の入口および/または出口、場合によっては、入口と出口の両方の機能を果たす単一の開口部を有する構成としてもよい。
【0030】
本願の発明者は、同じ照明条件下で車体のくぼみと傷の両方を検知することが困難であり得ることを特定した。本願の発明者は、傷およびくぼみの両方が、場合によっては単一の光源を使用して、単一のプロセスで撮像されることを可能にし、これにより、車両の損傷を迅速かつ正確に記録することができる、機械的フットプリントが比較的小さい撮像ステーションを提供する構成を提案する。
【0031】
トンネルは、構造化光画像(structured light image)(図示せず)を用いて経路14上の車両12を照射するために、構造化光24を車両経路14に向けるように配置された構造化光源22を有する。本実施形態では、構造化光源22は、構造化照明のアーチを形成するために、車両経路14から1つの側壁16aを上方に延びてルーフ部分16cを横切り、反対側の側壁16bを下方に延びて車両経路14に戻るように配置されている。この配置は、車両12が構造化光源22を通過する際に、構造化光画像が車両12の両側および屋根に投影されることを可能にする。構造化光源22は、平行に配置されたLEDストリップのセットを有する光アレイである。LEDストリップは、各光アレイに沿って、底部から頂部まで、屋根セクションを横切って延在する。LEDは、例えば、2880ルーメン/メートルの光度を有する超高輝度の冷白色LEDテープとすることができる。一例では、20個のLEDストリップのセットを、16mmの間隔をあけた幅14.2mm
の溝に配列し、10mmの裏打ちをして9mmの深さに設定することができる。半不透明なフロステッドディフューザ(図示せず)をLEDの各ストリップ上に設けると、テープの各ストリップから平坦な光を生成することができる。
【0032】
他の実施形態では、構造化光源22は、構造化光画像を車両の1つ以上の表面、場合によってはすべての表面に投影するように構成された任意の適切な構成を有することができる。例えば、各光源は、1つ以上の光の模様を投影するように構成されたレーザプロジェクタを含むことができる。
【0033】
車両撮像ステーション10は、第1の種類のカメラ26、すなわち車両上のくぼみを撮像するように配置された高速「くぼみ検出」カメラを含む。
【0034】
図1Bに示すように、複数のくぼみカメラ(dent camera)26をトンネル16の内側
に配置し、側壁16a、16bおよび屋根16cに配置してアーチを形成し、車両12の側面および屋根を同時に撮像することができる。
【0035】
それぞれのくぼみ検出カメラ26は、トンネル空間の構造化光部分を含む視野26aを有するように配置され、構造化光画像は、車両経路14に沿って移動する車両12によって第1のカメラ26に視認されるように反射される。これにより、くぼみ検出カメラ26は、車両に映る縞模様にくぼみカメラの視野26aが重なるようにトンネル16内に配置される。システムは、例えば、平均的なまたは予想される車両形状に合わせて較正することができる。
【0036】
車両12の車体にくぼみがある場合、縞状の反射はくぼみの周りで歪んで、例えば反射模様が円形の形状になる。このため、くぼみ検出カメラ26によって取得された画像は、車両12がある時点でくぼみがあるかどうかを分析するために遡及的に使用することができる。したがって、くぼみ検出カメラ26aの視野は、車両12上の反射縞画像領域28と重なる。
【0037】
くぼみ検出カメラ26に加えて、トンネル16は、第2の種類のカメラ30、すなわち傷検出カメラを有してもよい。
【0038】
図1Bに示すように、複数の傷検出カメラ30をトンネル16の内側に配置し、側壁16a、16bおよび屋根16cに配置してアーチを形成し、車両12の側面および屋根を同時に撮像することができる。
【0039】
それぞれの傷検出カメラ30は、車両12が車両経路14に沿って移動するときに構造化光画像が第2のカメラ30に反射されないトンネル空間の非構造化光部分32を含む視野30aを有するように配置される。したがって、傷検出カメラ30の視野は、少なくとも車両12上の反射縞画像領域28とは重ならない部分を含む。傷検出カメラ30aの視野全体が車両12上の反射縞画像領域28とまったく重ならないことは、傷の検出対象となる車体部分を広くすることができるので好ましい。
【0040】
くぼみカメラ26および傷カメラ(scratch camera)30は、経路14に沿って移動するときに車両12の同じ部分を連続的に観察する1組のカメラを形成するように配置することができる。したがって、撮像ステーション10は、トンネル16の周りの複数の位置に複数組のカメラを有することができる。好ましくは、さらに少なくとも1組のカメラを、第1の組のカメラに対して中心軸CAの反対側に配置し、および/または車両経路14に面するトンネル16の屋根表面16c上に配置する。傷検出カメラ30aの視野は、くぼみ検出カメラ26aの視野とは重ならない。
【0041】
傷カメラ30による車両12の傷の撮像を支援するために、非構造化光源34を設けることができる。本願の発明者は、それぞれの種類のカメラに個別の光源を提供する代わりに、車両12から反射された縞状の照明24が、車両経路14の中心軸CAに対して第2のカメラ30と同じ側にあるトンネル内の平坦な非反射性かつ非発光の表面36によって散乱されることを見出した。例えば、非反射性かつ非発光の表面36として、無模様の白色のつや消し面が挙げられる。
【0042】
非反射性かつ非発光の表面36によって、トンネル16内にアーチを形成することができ、このアーチは、車両経路14からトンネル16の屋根16cに向かって、トンネル16の屋根16cを横切って、反対側の側壁16a、16b上の車両経路14まで延在する。
【0043】
ストライプ照明(striped lighting)24は非反射性かつ非発光の表面36に反射することができ、表面36は構造化光を散乱させ、散乱した非構造化光は車両12に戻ることができる。これにより、車両12に非構造照明領域(non-structured lighting area)38を設けて、この領域に対して車両12に光を当てることで、傷検出カメラ30によって傷を正確に撮像することができる。
【0044】
傷カメラ30は、非反射性かつ非発光の表面36が車両12による反射によって直接視認されるように角度付けられており、これにより傷カメラ30が傷を検出する性能が向上する。
【0045】
図示の実施形態では、組になったカメラは、非反射性かつ非発光の表面36と構造化光24の光源22との間に配置され、互いに離間して設けられている。ただし、他の実施形態では、任意の好適なカメラの配置構成が採用されてよい。
【0046】
撮像ステーションの使用時、車両12が、入口18からトンネル16に入り、トンネル空間の構造化光部分24を通過し、一方でくぼみ検出カメラ24は、反射された縞状の照
明を撮像する。車両12がトンネル16を通って移動し続けると、トンネル空間の非構造化光部分32を通過する。非構造化光32は、構造化光24を散乱させる非反射性かつ非発光の表面36によって提供される。非構造化光32は、傷検出カメラ30の光源として機能する。車両はトンネル16に沿って移動し続け、2つの種類のカメラ26、30によって撮像され、車両12が出口20に到達すると、車両12の外面がくぼみ検出カメラ26および傷検出カメラ30の両方による画像の取得が完了する。
【0047】
さらに
図2を参照すると、撮像ステーション10は、カメラから入力を受信し、受信した入力をコンピュータメモリ44に記憶し、および/または受信した入力をリモートデバイス46に送信するように構成される、汎用コンピュータやASICなどのデータプロセッサまたはコントローラ42を備えることができる。
【0048】
コントローラ42は、カメラ26、30をトリガするように構成されたプログラムを実行することができる。コントローラ42は、1つまたは複数のセンサ48からの入力および/または時間的条件が満たされたなどの基準に応答して、カメラ26、30、FC1、FC2、RC1、RC2のうちのいくつかをトリガするように構成することができる。また、撮像ステーションは、コントローラに接続された1つ以上のセンサ48を備えることができる。撮像ステーション10は、例えば、エンジンノイズを検出するマイクロフォン等の音響トランスデューサ48a、開口部に接近した車両を検出する近接センサ48b、車両速度センサ48cを備えることができ、コントローラ42はこれらを使用してカメラを同期させて、画像をつなぎ合わせて車両の一部または全体の連続画像を形成したり、シャッタ速度などのカメラ設定を調整したりすることができる。
【0049】
コントローラ42は、車両の色に応じてカメラ設定を調整する色マッチングを行うためのプログラムを実行することができる。色マッチングは、カメラを介してトンネル内またはトンネル外で車両色をサンプリングすることを含む。そして、画像処理が実行されて車両の色が決定される。車両の色に応じて、トンネル内のすべてのカメラは、色の車両を撮像するために色コントラストおよび輝度に関して最適化することができる。例えば、システムによって白色の車両が撮像されている場合、構造化光が比較的多く反射される。一方、黒色の車両の場合、構造化光が比較的少なく反射され、このため画像がより暗くなる。したがって、撮像ステーションは、このような色の変化に合わせてカメラ設定を調整することができる。
【0050】
トンネル16に一般的な光源を提供するために、ライトボックスなどの任意の一般的な光源40を設けることもできる。トンネル16内の光量を増やすと、カメラのノイズを低減することができるため好ましく、カメラはより高速に撮像することができる。複数の一般的な光源をトンネル内に設けて、車両の様々な面を照射することができる。ただし、特に傷検出カメラ30による車両の撮像時に、傷検出カメラおよびくぼみ検出カメラの視野26a、30aにおいて、いかなる一般的な光源も直接視認されないようにすべきである。
【0051】
リアカメラRC1、RC2はトンネルの入口18に設けることができ、フロントカメラFC1、FC2はトンネル16の出口20に設けることができ、これによりこれらのカメラは、車両12がトンネル空間に出入りする際に車両12の画像を取得することができる。
【0052】
図3は、本発明の別の実施形態による車両撮像ステーション50を示す。本実施形態に係る車両用撮像ステーション50は、第1の実施形態に係る車両用撮像ステーション10と同様であるため、以下では、説明を簡潔にするため、相違点を中心に説明する。また、対応する構成要素には同じ符号を付す。本実施形態では、トンネル16は、入口18およ
び出口20に最も近い位置にある傾斜セクション52によって画定される。これらの傾斜セクション52は、例えば、車両Dの進行方向に対して45°傾くように構成できるが、任意の他の角度でトンネルの径が小さくなるように構成されてよい。本願の発明者は、この構成によりトンネル16の外部からトンネル16に進入する余剰の光を低減でき、より正確で信頼性の高い画像を生成できることを見出した。
図3に示すように、ストライプ照明が入口の傾斜セクション上に配置されているため、車両がトンネル16に入るときに車両の運転者が構造化照明によって眩惑される可能性を低減することができる。
【0053】
任意の実施形態におけるカメラには、1つ以上のHikvision(登録商標)MV-CA050-10GCエリアスキャンカメラ等のスキャンカメラが含まれてよい。
【0054】
任意の実施形態におけるカメラは、トンネルに固定されてもよく、これによりカメラは、トンネルの内側形状の一部として構成できる。あるいは、カメラは、専用の取り付け構造に取り付けてもよい。
【0055】
構造化光源は、トンネル側壁および/または屋根に取り付けられたパネルの形態とすることができ、トンネルとは独立して設けられてもよいし、トンネルに取り付けられてもよい。
【0056】
車両撮像ステーションは、装置によって撮像されている車両に関連する一意の識別子または複数の画像を取得して処理するための一意識別子取得システム(図示せず)を備えてもよい。このシステムは、例えば、車両がトンネルを通過するときにナンバープレートやシャーシナンバーを取得するように構成することができる。
【0057】
以上、1つ以上の好ましい実施形態を参照しながら本発明について説明したが、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の技術的範囲から逸脱することなく、様々な変更または修正を行うことができる。本発明の実施形態は、4台未満の傷検出カメラ、例えば、単一の前方カメラと後方カメラを有する構成に拡張でき、模様がある部分は模様のない部分の間にある必要はない。用語「有する」は、「含む」あるいは「からなる」を意味し、したがって、任意の請求項または明細書全体に列挙されるもの以外の構成要素やステップの存在を除外しないものとする。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているというだけで、これらの手段を組み合わせて用いて有利な効果を得ることができないことを意味するものではない。