(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】端面を備えるナイフグリップ
(51)【国際特許分類】
B26B 3/00 20060101AFI20241125BHJP
B25G 1/00 20060101ALI20241125BHJP
【FI】
B26B3/00 Z
B25G1/00 G
(21)【出願番号】P 2022557140
(86)(22)【出願日】2021-03-10
(86)【国際出願番号】 EP2021056000
(87)【国際公開番号】W WO2021190923
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-07-11
(31)【優先権主張番号】102020107849.8
(32)【優先日】2020-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】595148408
【氏名又は名称】ツヴイリング・ヨット・アー・ヘンケルス・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】クライッツ・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ティッゲス・ドゥンヤ
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0246946(US,A1)
【文献】米国特許第02496707(US,A)
【文献】特表2012-521899(JP,A)
【文献】特開2019-213776(JP,A)
【文献】特開平01-160574(JP,A)
【文献】実開平06-085662(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B3/00-3/08
B25G1/00-3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナイフブレードに固定され、合成樹脂からなるグリップ(1)を備えるナイフであって、このグリップが、合成樹脂又は金属からなる端部キャップ又は端部ディスク(5)によって閉鎖される、かつグリップ端部に対して開口する第1凹部(2)を備え、
その際、端部キャップ
又は端部ディスク(5)は、凹部(2)内に載置するか、又は凹部(2)に当接し、かつグリップ長手方向軸線(A)に対して平行な少なくとも2つの舌状部(6)が端部キャップ
又は端部ディスクの背面に形成されていて、この舌状部が、第1凹部(2)から始まり、かつナイフブレードの方向に、内側に向かって延在する長手方向凹部(8)に突出する、
当該ナイフにおいて、
長手方向凹部(8)の内壁は、
グリップの長手方向軸線(A)に平行で、対向した壁側に突出して、合成樹脂からなる縦リブ(9)を備え、かつ舌状部(6)の自由端部が外側で、長手方向リブ(9)に入り込み、突き立てて保持されている少なくとも1つの歯部(10)又は歯状細長部を備える、ことを特徴とするナイフ。
【請求項2】
歯部(10)又は歯状細長部は、舌状部(6)の弾性圧力によって、縦リブ(9)の合成樹脂材料を動かし、これによって歯部(10)又は歯状細長部をかみ合い係合式にはめ込む凹部が縦リブ内に生じる、ことを特徴とする請求項1に記載のナイフ。
【請求項3】
舌状部(6)、歯部、及び/又は歯状細長部(10)は、縦リブ(9)の合成樹脂材料よりも硬質の材料からなる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のナイフ。
【請求項4】
舌状部(6)は、舌状部の足端部に舌状部の断面積が減少する溝又はノッチ(12)を備え、この溝又はノッチは、舌状部の弾力のある柔軟性が向上する、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のナイフ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナイフブレードに固定され、合成樹脂からなるグリップを備えるナイフであって、このグリップが、合成樹脂又は金属からなる端部キャップ又は端部ディスクによって閉鎖され、グリップ端部に対して開口する第1凹部を備え、その際、端部キャップ/端部ディスクは、凹部内に載置するか、又は凹部に当接し、かつグリップ長手方向軸線に対して平行な少なくとも2つの舌状部が端部キャップ/端部ディスクの背面に形成されていて、この舌状部が、第1凹部から始まり、かつナイフブレードの方向に、内側に向かって延在する長手方向凹部に突出する、ナイフに関する。
【背景技術】
【0002】
ナイフグリップの端部を、背部にピンを有する端部キャップによって覆うことが知られていて、このピンは、グリップ端部の凹部にはめ込み、かつピンから突出した突起によって凹部の壁内に保持されている(特許文献1)。端部キャップをグリップ凹部に固定するには、かなりの押圧力が必要である。
【0003】
また、クランプ方式で開口部にまで達しているピンが内側に突出し、かつ開口部にはめ込む端面によって、ナイフグリップの端部側の開口部を閉鎖することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、端部キャップ又は端面が簡単で容易に組立可能であり、公差補償を提供し、かつこの場合に強固で確実な保持が提供されるような、冒頭に記載した種類のナイフを改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、本発明によれば、長手方向凹部の内壁は、グリップの長手方向軸線に平行で、対向した壁側に突出して、合成樹脂からなる縦リブを備え、かつ舌状部の自由端部が外側で、長手方向リブに入り込み、突き立てて保持されている少なくとも1つの歯部又は歯状細長部を備える、ことによって解決される。
【0007】
端部キャップ又は端面のこのような構造は、公差補償及び最小の労力と低い力での接合プロセスを可能にし、これを、加熱を伴わない低温状態においても可能にする。この場合、グリップ端部において強固でかつ確実な保持が達成され、そしてこれが高い寸法公差でも達成される。
【0008】
歯部又は歯状細長部は、舌状部の弾性圧力によって、縦リブの合成樹脂材料を動かし、これによって歯部又は歯状細長部をかみ合い係合式にはめ込む凹部が縦リブ内に生じる、ことが重要である。したがって、長手方向リブは、端部キャップ又は端面がグリップ端部に押し込まれる前に、歯又は歯状細長部の凹部を備えるのではなく、歯又は歯状細長部は、それらの外向きの圧力によって、長手方向リブにセルフタッピング方式で、それ自体のアンダーカット凹部を形成する。この場合、舌状部、歯部、及び/又は歯状細長部は、縦リブの合成樹脂材料よりも硬質の材料からなる。
【0009】
好ましくは、舌状部は、舌状部の足端部に舌状部の断面積が減少する溝又はノッチを備え、この溝又はノッチは、舌状部の弾力のある柔軟性が向上することが企図される。
【0010】
本発明の一実施形態は、軸方向断面においてグリップ端部を閉鎖する端部ディスクが図面に描画され、
代替案を含めて以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【発明を実施するための形態】
【0012】
ナイフのブレードは、形成されている細長い突起(Erl)を有し、この突起は合成樹脂からなるナイフグリップ1に延びている。ナイフグリップは、ブレードから離れた端部に、したがってそのナイフグリップの前面に、浅い凹部2の形態の第1開口部を有し、その凹部2の軸線は、グリップ1の長手方向軸線に対して軸平行であるか、若しくは同軸であるか、又はグリップ1の長手方向軸線と共に50~70度の鋭角を形成する。その結果、後者の場合には、凹部2の底部3が、グリップの長手方向軸線Aに対して斜めに配置されている。
【0013】
凹部2は、グリップ端部に向かって突出するリム4によって周囲を取り囲まれていて、このリムの高さHが凹部2の直径Dの1/5~1/10である。凹部2には、凹部2を少なくとも底部近傍で塞ぐ、平坦でディスク形状の端部ディスク5をかみ合い係合式に載置し、その際、エッジ4はディスク形状の端部ディスク5を越えて突出する。その結果、端部ディスク5の厚さがエッジ4の高さHよりも小さくなる。
【0014】
好ましくは、合成樹脂又は金属からなる端部ディスク5の視認可能な外側面部が、エンボス又は突出したグラフィック、特にロゴを有する。端部ディスク5の内側には、少なくとも2つの互いに平行な舌状部6が突出する。この舌状部6が、基本的には、グリップ長手方向軸線Aに対して軸線方向に平行に配置されていて、かつそれらの間に狭い自由空間7を形成する。
【0015】
2つの舌状部6を収容するために、グリップ1の合成樹脂材料は軸線Aと同軸の長手方向凹部8を備え、この長手方向凹部8に2つの舌状部6が突出する。その際、長手方向凹部の内壁は2つの突出した長手方向リブ9を形成し、この長手方向リブ9は、グリップ1の長手方向軸線Aに対して軸線方向にほぼ平行に形成されていて、かつ長手方向凹部8に互いに半径方向に配置されている。
【0016】
両方又はそれ以上の舌状部6は、それぞれ舌状部の自由端部近傍に、舌状部外側に歯部10又は歯状細長部を備え、この歯部10又は歯状細長部は、端部ディスク/端部キャップの舌状部6を有する端部ディスク/端部キャップが、グリップ端部に圧入されるとすぐに、セルフタッピング方式でそれぞれの縦リブ9の合成樹脂に圧入される。歯状細長部の場合、これは、それぞれの舌状部6の長手方向軸線Aに対して横に、外側に突出する。この場合、舌状部6、歯部、又は歯状細長部10は、縦リブ9の合成樹脂材料よりも硬質の材料からなる。
【0017】
好ましくは、長手方向凹部8が、長手方向凹部8の底部11に向かって小さくなる断面直径Qを有する。その結果、長手方向リブ9に対する歯部10又は歯状細長部の圧力は、舌状部6が長手方向凹部8内に深く入り込むほど増大する。特に確実な保持は、歯部又は歯状細長部が縦リブ9の横方向にアンダーカット溝をつくる時に、達成される。
【0018】
縦リブ9は、舌状部6の歯部10又は歯状細長部のための凹部を備えていないが、舌状部6の歯部10又は歯状細長部は、縦リブ9に対して弾性圧力により、縦リブ9にそれら自身の凹部を形成する。
その際、グリップ端部の端部ディスク/端部キャップを押し込んだ後、舌状部は、縦リブ9に対して圧力を維持する。その結果、自己形成された凹部は、時間と共にサイズが増大し、保持が改善する。
【0019】
舌状部6は、エンドプレート5に近い舌状部の足部領域に、それぞれの材料減少(ノッチ12又は溝)を有することができ、これによって舌状部のバネ力の強さを決定するすることができる。
【0020】
舌状部6を有する端部ディスク/端部キャップ5は、金属又は合成樹脂からなる。後者の場合、舌状部、歯部及び/又は歯状細長部10の合成樹脂は、グリップ1と縦リブ9の合成樹脂よりも高い硬度を有する。
【0021】
端部ディスクの代わりに、端部キャップも使用することができ、この端部キャップは凹部2にはめ込まれず、グリップ端部の端面を外側で完全に覆う。端部キャップの背面にも舌状部6が突出していて、この舌状部は、長手方向凹部8に延在し、同様に、各々が歯又は歯状細長部によってリブ9に保持する。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の観点として以下も含む。
1.
ナイフブレードに固定され、合成樹脂からなるグリップ(1)を備えるナイフであって、このグリップが、合成樹脂又は金属からなる端部キャップ又は端部ディスク(5)によって閉鎖される、かつグリップ端部に対して開口する第1凹部(2)を備え、
その際、端部キャップ/端部ディスク(5)は、凹部(2)内に載置するか、又は凹部(2)に当接し、かつグリップ長手方向軸線(A)に対して平行な少なくとも2つの舌状部(6)が端部キャップ/端部ディスクの背面に形成されていて、この舌状部が、第1凹部(2)から始まり、かつナイフブレードの方向に、内側に向かって延在する長手方向凹部(8)に突出する、
当該ナイフにおいて、
長手方向凹部(8)の内壁は、
グリップの長手方向軸線(A)に平行で、対向した壁側に突出して、合成樹脂からなる縦リブ(9)を備え、かつ舌状部(6)の自由端部が外側で、長手方向リブ(9)に入り込み、突き立てて保持されている少なくとも1つの歯部(10)又は歯状細長部を備える、ことを特徴とするナイフ。
2.
歯部(10)又は歯状細長部は、舌状部(6)の弾性圧力によって、縦リブ(9)の合成樹脂材料を動かし、これによって歯部(10)又は歯状細長部をかみ合い係合式にはめ込む凹部が縦リブ内に生じる、ことを特徴とする上記1に記載のナイフ。
3.
舌状部(6)、歯部、及び/又は歯状細長部(10)は、縦リブ(9)の合成樹脂材料よりも硬質の材料からなる、ことを特徴とする上記1又は2に記載のナイフ。
4.
舌状部(6)は、舌状部の足端部に舌状部の断面積が減少する溝又はノッチ(12)を備え、この溝又はノッチは、舌状部の弾力のある柔軟性が向上する、ことを特徴とする上記1~3のいずれか一つに記載のナイフ。