(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】レールシステム上にある不具合のある車両を取り扱うための方法、および当該方法を利用する倉庫システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20241125BHJP
【FI】
B65G1/04 555Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023117991
(22)【出願日】2023-07-20
(62)【分割の表示】P 2020568728の分割
【原出願日】2019-06-11
【審査請求日】2023-08-14
(32)【優先日】2018-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(32)【優先日】2018-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(32)【優先日】2019-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(73)【特許権者】
【識別番号】317005527
【氏名又は名称】アウトストア・テクノロジー・エーエス
【氏名又は名称原語表記】AUTOSTORE TECHNOLOGY AS
【住所又は居所原語表記】Stokkastrandvegen 85,N-5578 Nedre Vats,Norway
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100210398
【氏名又は名称】横尾 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ストゥハウグ,ラグナル
(72)【発明者】
【氏名】イェルデビーク,オイステイン
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-509564(JP,A)
【文献】特開平11-143537(JP,A)
【文献】特表2016-531816(JP,A)
【文献】特表2015-535517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の保管コンテナ(106
)を保管するように構成されている倉庫システム(1)の一部分を構成するレールシステム(108、308)上にある不具合のある車両(240、340)を取り扱うための方法であって、
前記レールシステム(108、308)が、
水平面P内に配置されて第1の方向Xに延在する第1のセットの平行なレール(110)と、
前記水平面P内に配置されて前記第1の方向Xと直交する第2の方向Yに延在する第2のセットの平行なレール(111)と
を備え、
前記第1および前記第2のセットのレール(110、111)が、複数の隣接するグリッドセル(122)を備えるグリッドパターンを前記水平面P内に形成し、
各々の前記グリッドセル(122)が、前記第1のセットのレール(110)の一対の隣接するレールと、前記第2のセットのレール(111)の一対の隣接するレールとによって画定されるグリッド開口部(115)を備え、
前記倉庫システム(1)が、
- 前記レールシステム(108、308)上で横方向に移動する
とともに、前記レールシステム(108)内の前記グリッド開口部(115)を通して、持ち上げデバイスを使用して前記保管コンテナ(106)を持ち上げるように各々が構成されているように構成されている
、複数の遠隔操作される車両(230、330、240、340、250、350)と、
- 前記複数の車両(230、330、240、340、250、350)の移動を無線で監視および制御するための制御システム(109)と
を備え、
前記制御システム(109)が、無線データ通信により、少なくとも
A.前記レールシステム(108、308)上の車両(ここでは、240、340)の動作状態の異常を記録する
ことと、
B.異常動作状態を有する車両を不具合のある車両(240、340)として記録する
ことと、
C.前記不具合のある車両(240、340)を停止状態にする
ことと、
D.前記支持レールシステム(108、308)を基準とした前記不具合のある車両(240、340)の停止状態位置を記録する
ことと、
E.前記不具合のある車両(240、340)がその中で停止状態となる2次元のシャットダウンゾーン(225)を前記レールシステム(108、308)内にセットアップする
ことと、
F.前記2次元のシャットダウンゾーン(225)に入るのを回避することを目的として、前記2次元のシャットダウンゾーン(225)の外側にある前記複数の遠隔操作される車両(230、330、250、350)の移動パターンをアップデートする
ことと、
G.前記2次元のシャットダウンゾーン(225、325)内で、他の車両(230、330)が動作しているか否かを判定することと、
H.1つまたは複数の前記他の車両(230、330)が前記2次元のシャットダウンゾーン(225、325)内で動作している場合に、前記2次元のシャットダウンゾーン(225、325)の外部での動作を継続するために、前記他の車両(250、350)をルート変更することと、
I.前記シャットダウンゾーン(225、325)のところにある位置まで、または前記シャットダウンゾーン(225、325)内の位置までサービス車両(20)を誘導すること
を形成することを特徴とする方法。
【請求項2】
- 前記2次元のシャットダウンゾーン(225、325)の境界部分に位置する前記レールシステム(108、308)上の位置へ前記不具合のある車両(240、340)以外の前記複数の車両(230、330、250、350)のうちの少なくとも1つの車両(230’、330’)をルート変更するステップと、
- 前記少なくとも1つの車両(230’、330’)を停止状態にするステップと
をさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
- 前記2次元のシャットダウンゾーン(225、325)内で他の車両(230、330)が動作しているかどうかをステップEまたはFの後で決定するステップ
をさらに含む、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
- 1つまたは複数の追加の車両(230、330)が前記2次元のシャットダウンゾーン(225、325)内で動作している場合に前記2次元のシャットダウンゾーン(225、325)の外側で動作を継続するように前記他の動作している車両(230、330)をルート変更するステップ
をさらに含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
- 前記2次元のシャットダウンゾーン(225、325)内で1つまたは複数の他の動作している車両(230、330)が動作している場合に前記他の動作している車両(230、330)を前記シャットダウンゾーン(225、325)内でまたは前記シャットダウンゾーン(225、325)のところで停止状態にするステップ
をさらに含む、
請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記サービス車両(20)が、前記レールシステム(108、308)の横方向の境界部分のところにあるアクセスポート(160)から誘導される、
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記サービス車両(20)が、前記レールシステム(108、308)の上で駆動するように構成されているキャタピラートラック(23)を備える、
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
- 前記シャットダウンゾーン(225、325)まで前記サービス車両(20)を運搬するときに前記サービス車両(20)との物理的な衝突を回避するために前記シャットダウンゾーン(225、325)の外側にある動作している任意の車両(250、350)を動的にルート変更するステップ
をさらに含む、
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
- 前記不具合のある車両(240、340)の周りに車両(230’、330’)の物理的なバリアを作るために、前記2次元のシャットダウンゾーン(225、325)の境界部分に位置する前記レールシステム(108、308)の位置へ前記不具合のある車両(240、340)以外の動作している車両(230、330)をルート変更するステップと、
- 前記他の動作している車両(230’、330’)を停止状態にするステップと
をさらに含む、
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
- 前記シャットダウンゾーン(225、325)のところにある位置まで、または前記シャットダウンゾーン(225、325)内の位置までサービス車両(20)を誘導するステップ
をさらに含み、
- 車両(230’、330’)の前記物理的なバリアが、前記サービス車両(20)の幅より大きい幅を有する開口部を備え、それにより前記サービス車両(20)が前記シャットダウンゾーン(225、325)に入るかまたは車両(230’、330’)の前記物理的なバリアの一部分を形成することが可能となる、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記レールシステム(108、308)が、
- 第1のレールシステム(108a)と、
- 第2のレールシステム(108b)と、
- 前記第1のレールシステム(108a)と前記第2のレールシステム(108b)との間に配置される車両ブロッキングバリア(125)と
を備え、
前記車両ブロッキングバリア(125)が、前記複数の車両(230、330、250、350)のうちの1つの車両を車両通路(130、130a、130b)の中まで移動させるのを可能にする最小の横方向の幅を有する車両通路(130、130a、130b)を備える、
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
- 前記車両通路(130)内の位置へ前記不具合のある車両(240、340)以外の前記複数の車両(230、330、250、350)のうちの少なくとも1つの車両をルート変更するステップと
、
- 前記少なくとも1つの車両(230’、330’)を停止状態にするステップと
をさらに含む、
請求項11の方法。
【請求項13】
前記倉庫システム(1)が、
- 複数の遠隔操作されるコンテナ取り扱い車両(230、240、250)がその上で横方向に移動するように構成されている、高さH
Tのところにある運搬レールシステム(108)と、
- 複数の遠隔操作されるコンテナ送達車両(330、340、350)がその上で横方向に移動するようにおよびより高いところに位置するコンテナ取り扱い車両(230、240、250)から保管コンテナ(106)を受け取るように構成されている、高さH
Tより低い高さH
Dのところにある送達レールシステム(308)と
を備え、
前記方法ステップB~Fが、
- 前記制御システム(109)がコンテナ取り扱い車両(240)の動作状態の異常を記録する場合の前記複数のコンテナ取り扱い車両(230、240、250)に対して、
- 前記制御システム(109)が送達取り扱い車両(340)の動作状態の異常を記録する場合の前記複数のコンテナ送達車両(330、340、350)に対して、または
- 前記制御システム(109)が運搬取り扱い車両(240)およびコンテナ送達車両(340)の両方の運転状態の異常を記録する場合の、前記複数のコンテナ取り扱い車両(230、240、250)および前記複数のコンテナ送達車両(330、340、350)に対して、
実施される、
請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記複数のコンテナ取り扱い車両(230、330、240、340、250、350)の各々が、
- 持ち上げデバイスを使用して前記運搬レールシステム(108)内の開口部を通して、前記スタック(107)内の積み重ねられた前記保管コンテナ(106)を持ち上げるように、
構成されており、
前記運搬レールシステム(108)が、
第1の方向(X)に配置される第1のセットの平行なレール(110a、110b)と、
前記第1の方向(X)と直交する第2の方向(Y)に配置される第2のセットの平行なレール(111a、111b)と
を備え、
前記複数のコンテナ取り扱い車両(230、330、240、340、250、350)の各々が、また、
- 前記運搬レールシステム(108)上の他のロケーションまで前記保管コンテナ(106)を移動させるように、および
- 前記持ち上げデバイスを使用して前記送達レールシステム(308)まで前記保管コンテナ(106)を降下させるように構成されている、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記複数のコンテナ送達車両(330、340、350)の各々が、
- 前記送達レールシステム(308)のレールに沿って前記コンテナ送達車両(30)を移動させるように構成されているセットのホイール(351)と、
- 前記セットのホイール(351)に回転動力を提供するように構成されている駆動モータと、
- 上方から前記コンテナキャリア(352)の上にまたは少なくとも部分的に前記コンテナキャリア(352)の中で前記保管コンテナ(106)を受け取るように構成されているコンテナキャリア(352)と
を備え、
前記送達レールシステム(308)が、
第1の方向(X)に配置される第1のセットの平行なレール(310a、310b)と、
前記第1の方向(X)と直交する第2の方向(Y)に配置される第2のセットの平行なレール(311a、311b)と
を備える、
請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
- 前記運搬レールシステム(108)が、横方向において離間される複数の運搬レールシステムモジュール(108a~d)を備え、前記横方向において離間される複数の運搬レールシステムモジュール(108a~d)の上で前記複数のコンテナ取り扱い車両(230、240、250)が移動し、
- 前記送達レールシステム(308)が、前記複数のコンテナ送達車両(330、340、350)のうちの1つの車両が、通常の動作中、前記横方向において離間される複数の運搬レールシステムモジュール(108a~d)のうちのすべてのまたは2つ以上の運搬レールシステムモジュールの下方で移動するのを可能にするように構成されている、
請求項13~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
- 前記運搬レールシステム(108)上にセットアップされる任意の2次元のシャットダウンゾーン(225)から前記送達レールシステム(308)へ下方に投影される2次元のゾーンから離すように前記複数のコンテナ送達車両(330、340、350)をルート変更するステップ
をさらに含む、
請求項13~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
請求項1から
17のいずれか一項に記載の方法により、不具合のある車両を取り扱うように動作する
、
自動倉庫システム(1)。
【請求項19】
請求項1から
17のいずれか一項に記載のステップによる方法を実施するように構成されている、プロセッサ上で実行されるコンピュータプログラム
、
を有する
、
制御システム(109)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保管コンテナの複数のスタックを保管するように構成されている倉庫システムの一部分を構成するレールシステム上にある不具合のある車両を取り扱うための方法、倉庫システム、およびこの方法を実行する制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
図1Aが、骨組み構造100を備える典型的な従来技術の自動倉庫システム1を開示している。
骨組み構造100が、複数の直立部材102と、直立部材102を支持する任選選択の複数の水平部材103とを備える。部材102、103が、通常、例えば押し出しアルミニウムプロフィールなどの、金属で作られてよい。
【0003】
骨組み構造100が、列状に配置される保管カラム105を備える保管グリッド104を画定し、保管カラム105内で保管コンテナ106(ビンとしても知られる)が、1つのコンテナが別のコンテナの上に置かれる形で、積み重ねられてスタック107を形成する。
【0004】
各保管コンテナ106が、通常、複数の製品アイテム(図示せず)を保持することができ、保管コンテナ106内の製品アイテムは、用途に応じて、等しいものであってもよく、または異なる種類の製品であってもよい。
【0005】
保管グリッド104がスタック107内の保管コンテナ106が水平方向に移動するのを防止し、保管コンテナ106の垂直方向の移動を誘導するが、通常、積み重ねられているときの保管コンテナ106を他の形で支持しない。
【0006】
自動倉庫システム1が、保管グリッド104の頂部に跨ってグリッドパターンとして配置されるレールシステム108を備え、レールシステム108の上で複数のコンテナ取り扱い車両250(
図1Cに例示される)が保管カラム105から保管コンテナ106を上昇させるようにおよび保管カラム105内まで保管コンテナ106を降下させるように、ならびにさらには保管カラム105の上方で保管コンテナ106を運搬するように、動作させられる。グリッドパターンを構成するグリッドセル122のうちの1つのグリッドセル122の水平方向の延在範囲が
図1Aにおいて太線によって示される。
【0007】
レールシステム108が、フレーム構造100の頂部の上に跨ってコンテナ取り扱い車両250の第1の方向Xへの移動を誘導するように構成されている第1のセットの平行なレール110と、第1の方向Xに対して垂直である第2の方向Yへのコンテナ取り扱い車両250の移動を誘導するように第1のセットのレール110に対して垂直に構成されている第2のセットの平行なレール111とを備える。このようにして、レールシステム108がグリッドカラムを画定し、グリッドカラムの上方で、コンテナ取り扱い車両250が保管カラム105の上方を横方向に移動することができ、つまり水平のX-Y平面に平行な平面内で横方向に移動することができる。
【0008】
レールシステム108が
図1Bに示されるようなシングルレールシステムまたはダブルレールシステムであってよい。この後者のレール構成が、一列のグリッドカラムに隣接してグリッドセルの上方に別のコンテナ取り扱い車両250が配置されている場合でも、グリッドセル122によって画定される横方向の面積に概して一致する設置面積を有するコ
ンテナ取り扱い車両250がその一列のグリッドカラムに沿って移動するのを可能にする。シングルレールシステムおよびダブルレールシステムの両方、あるいはシングルレールシステム108内にシングルレール構成およびダブルレール構成を備える組合せが、複数の長方形の一様なグリッドロケーションまたはグリッドセル122を備えるグリッドパターンを水平面P内に形成し、ここでは、各グリッドセル122が、第1のセットのレール110の一対の隣接するレール110a、110bと、第2のセットのレール111の一対の隣接するレール111a、111bとによって境界を画定されるグリッド開口部115を備える。
【0009】
結果として、レール110aおよび110bが、X方向に延びている平行な列のグリッドセルを画定する複数のペアのレールを形成し、レール111aおよび111bが、Y方向に延びている平行な列のグリッドセルを画定する複数のペアのレールを形成する。
【0010】
図1Bに示されるように、各グリッドセル122(破線ボックスによって示される)が、通常は30cmから150cmの間隔の範囲内にある幅W
Cと、通常は50cmから200cmの間隔の範囲内にある長さL
Cとを有する。各グリッド開口部115が、グリッドセル122の幅W
Cおよび長さL
Cより小さい通常は2cmから10cmである幅W
Oおよび長さL
Oを有する。
【0011】
図1Cが、
図1Aに開示されるシステム1上で動作する従来技術のコンテナ取り扱い車両250を開示する。各従来技術のコンテナ取り扱い車両250が、車両ボディ252と、8つのホイールのホイール構成251とを備え、ここでは、第1のセットの4つのホイールがコンテナ取り扱い車両250がX方向に横方向に移動するのを、および第2のセットの残りの4つのホイールがY方向に横方向に移動するのを可能にする。ホイール構成251内の一方のセットのまたは両方のセットのホイールが上昇させられたり降下させられたりされ得、その結果、第1のセットのホイールおよび/または第2のセットのホイールが任意の同時のタイミングでそれぞれのセットのホイール110、111に係合され得る。
【0012】
各従来技術のコンテナ取り扱い車両250が、保管コンテナ106を垂直方向に運搬するための持ち上げデバイス(図示せず)をさらに備え、例えば保管コンテナ106を保管カラム105から上昇させたり保管コンテナ106を保管カラム105内へ降下させたりする。持ち上げデバイスが保管コンテナ106に係合されるように適合される1つまたは複数の把持/係合デバイスを備えることができ、この把持/係合デバイスが車両250から降下させられ得、その結果、車両を基準とした把持/係合デバイスの位置が、第1の方向Xおよび第2の方向Yと直交する第3の方向Zにおいて調整され得る。
【0013】
従来、および本出願の目的においても、Z=1がグリッド104の最も上側の層を特定し、つまりレールシステム108のすぐ下にある層を特定し、Z=2がレールシステム108の下方にある2番目の層を特定し、Z=3が3番目の層を特定する、などである。
図1Aに開示される例示の従来技術のグリッド104では、Z=8がグリッド104の最も下側の底部側の層を特定する。結果として、例として、
図1Aに示されるデカルト座標系X、Y、Zを使用すると、
図1Aにおいて106’として特定される保管コンテナがグリッドロケーションまたはグリッドセルX=10、Y=2、Z=3を占有していると言うことができる。コンテナ取り扱い車両250が層Z=0内を移動すると言うことができ、各グリッドカラムがそのX座標およびY座標によって特定され得る。
【0014】
各コンテナ取り扱い車両250が、レールシステム108に跨って保管コンテナ106を運搬するときに保管コンテナ106を受け取って収容するための保管コンパートメントまたは保管スペース(図示せず)を備える。保管スペースが、参照によりその内容が本明
細書に組み込まれている、例えばWO2014/090684A1で説明されるように、車両ボディ252内の中央に配置される空洞を備えることができる。
【0015】
コンテナ取り扱い車両250が、参照によりその内容が本明細書に組み込まれている、例えばWO2015/193278A1で開示されるように、グリッドセル112の横方向の延在範囲、つまり、X方向およびY方向におけるグリッドセル122の延在範囲に概して等しい設置面積、つまり、X方向およびY方向における延在範囲を有することができる。本明細書で使用される「横方向」という用語は「水平方向」を意味していてよい。
【0016】
別法として、コンテナ取り扱い車両が、例えばWO2014/090684A1で開示されるように、グリッドカラム105の横方向の延在範囲(グリッドカラム105によって画定される横方向の面積)より大きい設置面積を有することができる。
【0017】
X方向およびY方向において、隣接するグリッドセルが互いに接触するように配置され、したがってそれらの間に空間が存在しない。
保管グリッド104内で、グリッドカラムの大部分が保管カラム105であり、つまり保管コンテナ106をスタック107内で保管するところのグリッドカラム105である。しかし、通常、グリッド104が保管コンテナ106を保管するのに使用されないがコンテナ取り扱い車両250により保管コンテナ106を降車および/または乗車させることができるところのロケーションを有する少なくとも1つのグリッドカラムを有し、その結果、保管コンテナ106が、グリッド104の外側から保管コンテナ106にアクセスしたりあるいは保管コンテナ106をグリッド104の外へまたはグリッド104内へ移送したりすることができるところの第2のロケーション(図示せず)まで運搬され得る。当技術分野では、このようなロケーションは通常は「ポート」と称され、ポートが位置しているところのグリッドカラムが「送達カラム」119、120と称され得る。コンテナ取り扱い車両の降車ポートおよび乗車ポートが「送達カラム119、120の上側ポート」と称される。対して、送達カラムの反対側の端部が「送達カラムの下側ポート」と称される。
【0018】
図1Aの保管グリッド104が2つの送達カラム119および120を備える。第1の送達カラム119が、例えば、専用の降車ポートを備えることができ、ここで、コンテナ取り扱い車両250が、送達カラム119を通してアクセスステーションまたは移送ステーションまで運搬されるべき保管コンテナ106を降車させることができ、第2の送達カラム120が専用の乗車ポートを備えることができ、ここで、コンテナ取り扱い車両250が、送達カラム120を通してアクセスステーションまたは移送ステーションから運搬された保管コンテナ106を乗車させることができる。第1および第2の送達カラムのポートの各々が、保管コンテナの乗車および降車の両方に適するポートを備えることができる。
【0019】
第2のロケーションが通常はピッキングステーションまたはストッキングステーションであってよく、ここでは、製品アイテムが保管コンテナ106から取り出されるかまたは保管コンテナ106の中に配置される。ピッキングステーションまたはストッキングステーション内では、保管コンテナ106が通常は自動倉庫システム1から一切取り出されることはないが、アクセスされるときに保管グリッド104の中に戻される。保管コンテナをグリッド104の外へまたはグリッド104の中へ移送するために、下側ポートが送達カラム内に設けられ、このような下側ポートが、例えば、別の保管設備(例えば、別の保管グリッド)まで、直接に運搬車両(例えば、列車または大型トラック)まで、または生産設備まで、保管コンテナ106を移送するためのものである。
【0020】
コンベアシステムが、参照によりその内容が本明細書に組み込まれている、例えばWO
2014/075937A1で説明されるように、異なる保管グリッドの間で保管コンテナを移送するようにも構成され得る。
【0021】
図1Aに開示される保管グリッド104内で保管される保管コンテナ106がアクセスされることになる場合、コンテナ取り扱い車両250のうちの1つコンテナ取り扱い車両が標的の保管コンテナ106をグリッド104内のその位置から回収して標的の保管コンテナ106を移送カラム119まで運搬するかまたは保管コンテナ106を移送カラム119を通して運搬するように、指示される。このオペレーションには、標的の保管コンテナ106を配置しているところの保管カラム105の上方のグリッドロケーションまでコンテナ取り扱い車両250を移動させることと、コンテナ取り扱い車両の持ち上げデバイス(図示せず)を使用して保管カラム105から保管コンテナ106を回収することと、保管コンテナ106を移送カラム119まで運搬することとが伴われる。標的の保管コンテナ106がスタック107内の深いところに位置する場合、つまり他の保管コンテナのうちの1つまたは複数の保管コンテナが標的の保管コンテナ106の上方に配置されている場合、このオペレーションが、標的の保管コンテナ106を保管カラム105から持ち上げる前に、上方に配置される保管コンテナを一時的に移動させることをさらに伴う。当技術分野では場合によって採掘と称されるこのステップは、標的の保管コンテナ106を移送カラムまで運搬するのに後で使用されるのと同じコンテナ取り扱い車両250を用いて、あるいは1つまたは複数の他の協働するコンテナ取り扱い車両250を用いて、実施され得る。別法としてまたは加えて、自動倉庫システム1が、保管カラム105から保管コンテナ106を一時的に取り出すタスクの専用のコンテナ取り扱い車両を有することができる。標的の保管コンテナ106が保管カラム105から取り出されると、一時的に取り出された保管コンテナが元の保管カラム105の中に再配置され得る。しかし、別法として、取り出された保管コンテナが他の保管カラム105へ位置変更されてもよい。
【0022】
保管コンテナ106がグリッド104の中で保管されることになる場合、コンテナ取り扱い車両250のうちの1つのコンテナ取り扱い車両が、移送カラム120から保管コンテナ106を乗車させるように、およびこの保管コンテナ106を保管することになる場所である保管カラム105の上方のグリッドロケーションまでこのコンテナ106を運搬するように、指示される。保管カラムスタック107内の標的の位置のところにまたはその上方に配置される任意の保管コンテナが取り出された後、コンテナ取り扱い車両250が保管コンテナ106を所望の位置に配置する。次いで、取り出された保管コンテナが保管カラム105の中へ再び降下させられ得るかまたは他の保管カラムへ位置変更され得る。
【0023】
コンテナ取り扱い車両250を互いに衝突させることなく所望の保管コンテナ106を所望のタイミングで所望のロケーションに送達するのを可能にすることを目的として、自動倉庫システム1を監視および制御するために、自動倉庫システム1が、例えば、保管グリッド104内でのそれぞれの保管コンテナ106のロケーション、各保管コンテナ106の中身、およびコンテナ取り扱い車両250の移動を監視および制御するためのデータベースを通常は備える通常はコンピュータ化された制御システム109を備える。
【0024】
公知の自動倉庫システム1に付随する問題は、検査を実行するために、あるいは不具合のあるコンテナ取り扱い車両250の保守管理を実行するするかまたは不具合のあるコンテナ取り扱い車両250を取り出すために、作業員がレールシステム108にアクセスすることが困難であることである。
【0025】
不具合のある車両250の保守管理を行ったりまたは不具合のある車両250を取り出したりすることに付随する別の重大な問題は、怪我のリスクを下げるかまたはゼロにして作業員がアクセスするためにはシステム1を完全にシャットダウンすることが必要である
ことである。具体的には、例えば500個を超える車両を同時に動作させるシステム1などの、大型のシステム1の場合は、操作者のコストが大きくなることを理由として完全にシャットダウンすることが極めて望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
したがって、本発明の目的は、従来技術の倉庫システムの使用に関連する上で言及した問題のうちの1つまたは複数の問題を解決するかまたは少なくとも軽減する、自動倉庫システム1、このようなシステムを動作させるための方法、およびこの方法を実行する制御システム109を提供することである。
【0027】
1つの具体的な目的は、完全なシャットダウンを防止しながら作業員がレールシステムに入るのを可能にする1つまたは複数の解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明が独立請求項に記述されて特徴付けられ、対して従属請求項が本発明の他の特徴を説明している。
第1の態様では、本発明が、保管コンテナの複数のスタックを保管するように構成されている倉庫システムの一部分を構成するレールシステム上にある不具合のある車両を取り扱うための方法に関連する。
【0029】
倉庫システムが、レールシステム上で横方向に移動するようにつまりレールシステムによってセットアップされる水平面P内を横方向に移動するように構成されている複数の遠隔操作される車両と、複数の車両の移動を無線で監視および制御するための制御システムとを備える。
【0030】
本方法が制御システムとの無線データ通信により少なくとも以下のステップを実施する:
A.例えば、車両の移動パターン、速度、温度、またはバッテリー状態の任意の異常といったように、レールシステム上の車両の動作状態の異常を記録するステップ、
B.異常動作状態を有する車両を不具合のある車両として記録するステップ、
C.不具合のある車両を停止状態にするステップ、
D.支持レールシステムを基準とした不具合のある車両の停止状態位置を記録するステップ、
E.制御システムにより、不具合のある車両がその中で停止状態となる2次元のシャットダウンゾーンをレールシステム内にセットアップするステップであって、この2次元のシャットダウンゾーンが、例えば、水平面Pに沿う一部のまたはすべての方向において、不具合のある車両から少なくとも1つのグリッドセル、また好適には少なくとも2つのグリッドセルにわたって延在するシャットダウンゾーンである、ステップ、および
F.2次元のシャットダウンゾーンに入るのを回避することを目的として、2次元のシャットダウンゾーンの外側に位置する複数の遠隔操作される車両の移動パターンをアップデートするステップ。
【0031】
レールシステムが、水平面P内に配置されて第1の方向Xに延在する第1のセットの平行なレールと、水平面P内に配置されて第1の方向Xと直交する第2の方向Yに延在する第2のセットの平行なレールとを備えることができる。第1および第2のセットのレールが複数の隣接するグリッドセルを備えるグリッドパターンを水平面P内に形成し、各々のグリッドセルが、第1のセットのレールの一対の隣接するレールと、第2のセットのレールの一対の隣接するレールとによって画定されるグリッド開口部を備える。レールが、好適にはすべて、ダブルトラックレールタイプである。しかし、レールがシングルトラック
レールタイプであってよいかまたはダブルトラックレールとシングルトラックレールとの組合せであってもよい。
【0032】
好適な実施例では、本方法が、2次元のシャットダウンゾーンの横方向の境界部分に位置するかまたはその近くに位置するレールシステム上の位置へ不具合のある車両以外の複数の車両のうちの少なくとも1つの車両をルート変更して、少なくとも1つの車両を停止状態にするステップをさらに含む。
【0033】
例えば、「横方向の境界部分のところまたはその近く」は、1つまたは複数の車両が制御システムによって設定されるシャットダウンゾーンの外側に位置しているが水平面P内における少なくとも1つの最外部分がシャットダウンゾーンの位置座標のところの位置またはその近くの位置のところにあるような、ロケーションとして定義され得る。
【0034】
別法として、車両を画定する1つまたは複数の境界部分が制御システムによって設定されるシャットダウンゾーンの内側に位置してもよいが、ここでは、水平面P内における少なくとも1つの最外部分がシャットダウンゾーンの位置座標のところの位置またはその近くの位置のところにある。
【0035】
第2の代替の構成では、境界部分を画定する1つまたは複数の車両が、シャットダウンゾーンの位置座標上にそれらの横方向における中心位置を有する形で、配置され得る。
シャットダウンゾーンの位置座標が、好適には、水平面P内におけるグリッドセルの特定の位置に基づくものである。例えば、位置座標15、20は、レールシステムの基準の横方向角部から数えてX=15およびY=20のところのグリッドセルのロケーションを表すことができる。
【0036】
いずれの場合も、機能している車両が、不具合のある車両の周りを延在するかまたはその一部の周りを延在するバリアを形成するのに利用され得る。シャットダウンゾーンの境界部分の上にあるかまたはそこに隣接する停止状態のこれらの不具合のある車両(例えば、すぐ内側にあるかまたはすぐ外側にある)が、本明細書では、「境界部分を画定する車両」と称され得る。
【0037】
境界部分画定車両が停止状態にされる場合、すべてのセットのホイールを降下させることにより下にあるレールシステムとの接触を最大にするといったようにバリアの安定性を最適化するための、および/またはグリッドスペース内で保管コンテナをブロックとして機能させることを目的としてグリッドを通る中間位置まで保管コンテナを降下/上昇させるための、追加の処置が実施され得る。水平面Pに沿う複数の層として境界画定車両を構成することも可能である。例えば、衝撃時の力を分散させるために、境界画定車両の第2の層が最も内側の層の境界画定車両に部分的に重なってよい。
【0038】
他の好適な実施例では、本方法が、2次元のシャットダウンゾーン内で他の車両が動作しているかどうかをステップEまたはFの後で決定することをさらに含む。これが当てはまる場合、本方法が、2次元のシャットダウンゾーンの外側で動作を継続するように上記追加の車両をルート変更すること、または2次元のシャットダウンゾーン内で1つまたは複数の追加の車両が動作する場合に上記追加の車両をシャットダウンゾーン内でまたはシャットダウンゾーンのところで停止状態にすること、あるいはそれらの両方の組合せをさらに含む。1つまたは複数の追加の車両が、2次元のシャットダウンゾーンの外側の特定のロケーションにおいても停止状態にされ得る。
【0039】
別の好適な実施例では、本方法が、例えば、レールシステムの横方向の境界部分のところにあるかあるいはレールシステム上のまたはレールシステムの外側の任意の別のロケー
ションのところにあるアクセスポートから、シャットダウンゾーンのところにある位置まで、またはシャットダウンゾーン内の位置までサービス車両を誘導することをさらに含み、ここでは、操作者がサービス車両に入ることができ、レールシステムの意図される目的地までサービス車両を駆動することができるかまたはサービス車両によって目的地まで移動させられ得る。
【0040】
サービス車両が、レールシステムの上でサービス車両を駆動するように構成されている、1つの、また好適には2つの、キャタピラートラックを備えることができる。
別の好適な実施例では、本方法が、シャットダウンゾーンまでサービス車両を運搬するときにサービス車両との物理的な衝突を回避するためにシャットダウンゾーンの外側にある動作している任意の車両を動的にルート変更することをさらに含む。
【0041】
加えてまたは別法として、動作している車両のうちの一部の車両を動的にルート変更することが、望ましくない衝突を原因とするサービス車両の操作者の怪我のリスクをさらに低減することを目的として、シャットダウンゾーンまでのサービス車両の移動中にサービス車両を部分的にまたは完全に囲む物理的なバリアを作ることを伴う。
【0042】
別の好適な実施例では、本方法が、不具合のある車両の周りに車両の物理的なバリアを作るために、2次元のシャットダウンゾーンの境界部分のところにまたはその近くに位置するレールシステムの位置へ不具合のある車両以外の多数の複数の車両をルート変更して、多数の車両を停止状態にするステップをさらに含み、それにより2次元のシャットダウンゾーンを部分的にまたは完全に取り囲む物理的なバリアを形成する。
【0043】
車両が不具合のある車両を完全に囲む物理的なバリアを作る場合、制御システムが、バリアの近くにまたはバリアのところにサービス車両がある場合にサービス車両が開口部に入るのに必要な開口部を作るためにまたは開口部を再び閉鎖するために、バリア形成車両のうちの1つまたは複数の車両に信号を送るように構成され得る。
【0044】
車両の物理的なバリアが、サービス車両の幅より大きいがサービス車両の幅と動作している車両のうちの1つの車両の幅との合計より小さい幅を有する開口部を有することができ、それによりサービス車両がシャットダウンゾーンに入るかまたは物理的なバリアの一部分を形成することが可能となる。
【0045】
本明細書においてこれ以降、最小の幅は、例えば入るときの方向またはサービス車両の方向に対して垂直であって上方から見る場合にサービス車両の幅に一致する開口部の最小一次元サイズとして定義される。
【0046】
別の好適な実施例では、レールシステムが、第1のレールシステムと、第2のレールシステムと、第1のレールシステムと第2のレールシステムとの間に配置される壁またはフェンスなどの車両ブロッキングバリアとを備える。車両ブロッキングバリアが、この実施例では、複数の車両のうちの1つの車両を車両通路の中まで移動させるのを可能にする最小の横方向の幅を有する車両通路を備える。
【0047】
本方法が、車両通路内の位置へ不具合のある車両以外の複数の車両のうちの少なくとも1つの車両をルート変更して、その少なくとも1つの車両を停止状態にするステップをさらに含むことができ、それにより、他の動作している車両が第1のレールシステムと第2のレールシステムとの間で車両通路を通って移動することが防止される。したがって、ルート変更された車両が、車両ブロッキングバリア内の隙間を塞ぐものとしてつまり車両通路をブロックするものとして見られ得る。
【0048】
物理的なバリアを形成する場合、車両が密集する形で互いに隣接して配置され得るかまたは車両の幅より小さい隙間を車両の間に作るように離間され得る。
別の好適な実施例では、自動倉庫システムが、複数の遠隔操作されるコンテナ取り扱い車両がその上で横方向に移動するように構成されている、高さHTのところにある運搬レールシステムと、複数の遠隔操作されるコンテナ送達車両がその上で横方向に移動するようにおよびより高いところに位置するコンテナ取り扱い車両から保管コンテナを受け取るように構成されている、高さHTより低い高さHDのところにある送達レールシステムとを備える。高さの差HT-HDが、好適には、少なくとも、最も高いコンテナ送達車両の高さである。
【0049】
この特定の実施例では、方法ステップB-Fが、制御システムがコンテナ取り扱い車両の動作状態の異常を記録する場合の複数のコンテナ取り扱い車両に対して、および/または制御システムが送達取り扱い車両の動作状態の異常を記録する場合の複数のコンテナ送達車両に対して、実施される。
【0050】
複数のコンテナ取り扱い車両の各々が、持ち上げデバイスを使用して運搬レールシステム内の開口部を通して、スタック内の積み重ねられた保管コンテナを持ち上げるように、例えばホイールおよび駆動モータの補助により運搬レールシステム上の他のロケーションまで保管コンテナを移動させるように、ならびに持ち上げデバイスを使用して送達レールシステムまで保管コンテナを降下させるように、構成され得る。
【0051】
さらに、運搬レールシステムが、第1の方向Xに配置される第1のセットの平行なレールと、第1の方向Xと直交する第2の方向Yに配置される第2のセットの平行なレールとを備えることができる。上で言及したように、運搬レールシステムのレールが、好適には、ダブルトラックレールタイプである。しかし、運搬レールシステムのレールはシングルトラックレールタイプまたはダブルトラックレールとシングルトラックレールとの組合せであってもよい。
【0052】
複数のコンテナ送達車両の各々が、送達レールシステムのレールに沿ってまたは送達レールシステムのレールの上でコンテナ送達車両を移動させるように構成されているホイールまたはベルトのセットなどの推進手段、および1つまたは複数のホイールまたはベルトに回転動力を提供するといったように推進手段に動力を提供するように構成されている駆動モータ、ならびに好適には保管コンテナ内の中身に対してロボットアームまたは人間の作業者がアクセスするのを可能にすることを目的とした、上方からコンテナキャリアの上にまたは少なくとも部分的にコンテナキャリアの中で保管コンテナを受け取るように構成されているコンテナキャリア、を備える。
【0053】
送達レールシステムが、第1の方向Xに配置される第1のセットの平行なレールと、第1の方向Xと直交する第2の方向Yに配置される第2のセットの平行なレールとを備えることができる。運搬レールシステムの場合と同様に、送達レールシステムのレールは、好適には、運搬レールシステムのレールが、好適には、ダブルトラックレールタイプである。しかし、送達レールシステムのレールは、シングルトラックレールタイプまたはダブルトラックレールとシングルトラックレールとの組合せであってもよい。送達レールシステムが、保管グリッドの骨組み構造内に位置する第1のレールシステムと、保管グリッドの骨組み構造の外側に位置する第2のレールシステムとを備えることができ、ここでは、第1および第2のレールシステムが、上記レールシステムの間で送達車両が動作するのを可能にするように、接続される。
【0054】
別の好適な実施例では、運搬レールシステムが、横方向において離間される複数の運搬レールシステムモジュールを備えることができ、これらの横方向において離間される複数
の運搬レールシステムモジュールの上で複数のコンテナ取り扱い車両が移動する。送達レールシステムが、この実施例では、複数のコンテナ送達車両のうちの1つまたは複数の車両が、通常の動作中、横方向において離間される複数の運搬レールシステムモジュールのうちのすべてのまたは一部の運搬レールシステムモジュールの下方で中断せずに移動するのを可能にするように構成され得る。
【0055】
別の好適な実施例では、本方法が、運搬レールシステム上にセットアップされる任意の2次元のシャットダウンゾーンから送達レールシステム上へ下方に投影される2次元のゾーンから離すように複数のコンテナ送達車両をルート変更するステップをさらに含み、それによりシステム動作の効率を最適化する。
【0056】
本発明の第2の態様では、上で言及した特徴のうちの任意の特徴に従う方法により倉庫システムが得られる。
本発明の第3の態様では、倉庫システムが保管コンテナの複数のスタックを保管するように構成されている。
【0057】
倉庫システムが、
- 水平面P内に配置されて第1の方向Xに延在する第1のセットの平行なレール、および水平面P内に配置されて第1の方向Xと直交する第2の方向Yに延在する第2のセットの平行なレールを備えるレールシステムであって、第1および第2のセットのレールが、複数の隣接するグリッドセルを含むグリッドパターンを水平面P内に形成し、各々のグリッドセルが、第1のセットのレールの一対の隣接するレールおよび第2のセットのレールの一対の隣接するレールによって画定されるグリッド開口部を備える、レールシステムと、
- レールシステム上を横方向に移動するように構成されている複数の遠隔操作される車両と、
- 複数の車両の移動を無線で監視および制御するための制御システムと
を備え、
制御システムがさらに、例えば、移動パターン、温度、温度分布、バッテリー状態、安定性などの、レールシステム上の車両の1つまたは複数の動作状態の異常を記録するように、異常動作状態を有する車両を不具合のある車両として記録するように、不具合のある車両を停止状態にするように、支持レールシステムを基準とした不具合のある車両の停止状態位置を記録するように、不具合のある車両がその中で停止状態となる2次元のシャットダウンゾーンをレールシステム内にセットアップするように、ならびに2次元のシャットダウンゾーンに入るのを回避することを目的として、2次元のシャットダウンゾーンの外側にある残りの複数の遠隔操作される車両の移動パターンをアップデートするように、構成されている。
【0058】
シャットダウンゾーンは、保守管理作業を実行するのを可能にする任意のゾーンであってよい。シャットダウンゾーンがレールシステムの境界部分から一定の距離に位置する場合、ゾーンはn×mのグリッドセルのサイズのゾーンであってよく、ここではnおよびmが共に2以上の整数である。例えば、nおよび/またはmは3、4、5、またはそれより多いグリッドセルを表す整数であってよい。
【0059】
シャットダウンゾーンの最小サイズは、好適には、操作者のための十分に安全な作業空間を得るのを可能にするようにおよび/またはシャットダウンゾーンの外側における動作しているコンテナ取り扱い車両との衝突時のための十分な衝撃バッファを提供するように、設定される。
【0060】
物理的なバリアがシャットダウンゾーンの境界部分のところに存在しない場合、シャッ
トダウンゾーンのサイズが、不具合のある車両のロケーションに到達するよりもかなり前の段階において車両に境界部分を通過させないようにするための安全な停止状態を保証するのに十分な大きさとなるように設定され得る。
【0061】
本発明の第4の態様では、プロセッサ上で実行されるコンピュータプログラムを有する制御システムが、上で言及した方法の特徴のうちの任意の特徴のステップに従って本方法を実施するように構成されている。
【0062】
以下の説明では、本方法およびその関連の自動倉庫システムの実施形態を完全に理解するのを可能にするために、多くの具体的な詳細が導入される。しかし、これらの実施形態が、具体的な詳細のうちの1つまたは複数の詳細を用いることなく、または他の構成要素、システムなどを用いて、実施され得ることが当業者には認識されよう。また他の例においては、開示される実施形態の態様を不明瞭にするのを回避するために、よく知られる構造または動作が示されなかったりまたは詳細に説明されなかったりする。
【0063】
本発明を理解するのを容易にするために以下の図面が添付される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【
図1A】完全なシステムを示している、従来技術の自動倉庫システムの斜視図である。
【
図1B】従来技術のダブルレールグリッドを示す上面図である。
【
図1C】システムの、動作可能である従来技術のコンテナ取り扱い車両の例を示す図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態による自動倉庫システムの概略上面図であり、ここでは、システムが物理的なバリアにより3つのサブシステムに分割されている。
【
図3A】不具合のあるコンテナ取り扱い車両を中にパーキングするシャットダウンゾーンが制御システムによって作られている状況を示している、本発明の第2の実施形態による自動倉庫システムの概略上面図である。
【
図3B】サービス車両がシャットダウンゾーンに向かって移動しており対して動作しているコンテナ取り扱い車両がシャットダウンゾーンの境界部分のところに物理的なバリアを作るように指示を出されている状況を示している、本発明の第2の実施形態による自動倉庫システムの概略上面図である。
【
図3C】サービス車両がシャットダウンゾーンに入っている状況を示している、本発明の第2の実施形態による自動倉庫システムの概略上面図である。
【
図4】
図3による自動倉庫システムの概略上面図であり、ここでは、サービス車両がシャットダウンゾーンに完全に入っている。
【
図5A】コンテナ取り扱い車両のレールシステムの下方で動作するコンテナ送達車両を備える送達レールシステムを有するシステムの一部分を示している、本発明による例示の自動倉庫システムの斜視図である。
【
図5B】中に保管される保管コンテナを有するコンテナ送達車両の例を示している、本発明による例示の自動倉庫システムの斜視図である。
【
図6】本発明の第3の実施形態による自動倉庫システムの概略上面図であり、ここでは、システムが、コンテナ取り扱い車両を備える複数の運搬レールシステムと、すべての運搬レールシステムの下方を延在する1つの送達レールシステムとを備える。
【
図7A】X方向およびY方向においてレールを追従するように構成されている2つのセットのホイールを有するサービス車両を示している、自動倉庫システムのレールシステム上で動作するのに適するサービス車両の斜視図である。
【
図7B】レールシステムの上で駆動するように構成されているキャタピラートラックを有するサービス車両を示している、自動倉庫システムのレールシステム上で動作するのに適するサービス車両の斜視図である。
【
図8】本発明による方法のステップの例を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
以下で、添付図面を参照して本発明の実施形態をより詳細に考察する。しかし、図面が本発明を図面に描かれる主題のみに限定することを意図されないことを理解されたい。
図1を参照すると、自動倉庫システム1が、合計で1144個のグリッドセルの保管グリッド104を有する骨組み構造100を備え、ここでは、グリッド104の幅および長さが143個のグリッドカラムの幅および長さに一致する。骨組み構造100の頂部側の層がレールシステム108であり、レールシステム108の上で複数のコンテナ取り扱い車両250が動作させられる。
【0066】
骨組み構造100が上述の従来技術の骨組み構造100に従って構成され得、つまり複数の直立部材102および直立部材102によって支持される複数の水平部材103に従って構成され得る。
【0067】
レールシステム108が、保管カラム105の上を跨るように配置される、X方向およびY方向にそれぞれに沿う平行なレール110、111を有する。保管カラム105の中にある開口部の境界を画定するグリッドセル122の水平方向のエリアが、それぞれ、隣接するレール110、111の間の距離によって画定され得る。
【0068】
図1では、単一のグリッドセル122が
図1Aにおいてレールシステム108上で太線によって示され、さらに
図1Bの上面図に示される。
レールシステム108が、異なるグリッドロケーションの間をコンテナ取り扱い車両250が水平方向に移動するのを可能にし、ここでは、各グリッドロケーションにグリッドセル122が付随する。
【0069】
図1Aでは、保管グリッド104が8個のセルの高さを有して示されている。しかし、保管グリッド104が原則として任意のサイズであってよいことを理解されたい。具体的には、保管グリッド104が
図1に開示されるものより大幅に幅広であってよく、および/または大幅に長くてよい、ことを理解されたい。例えば、グリッド104が、700×700のグリッドセル122を超える水平方向に延在範囲を有することができる。さらに、グリッド104が
図1および
図2に開示されるものより大幅に深くてよい。例えば、保管グリッド104が10個以上の保管コンテナ106のスタック107に相当する深さを有することができる。
【0070】
すべてのコンテナ取り扱い車両250が遠隔制御システム109によって制御され得る。
コンテナ取り扱い車両250が、例えば、WO2014/090684A1、NO317366、またはWO2015/193278A1に開示される自動コンテナ取り扱い車両のうちの任意の1つの自動コンテナ取り扱い車両などの、当技術分野で公知の任意の種類の自動コンテナ取り扱い車両であってよい。
【0071】
図2が、本発明の第1の実施形態による自動倉庫システム1の上面図を示す。システム1が、保管コンテナ106のスタック107を備える保管グリッド104を各々が有する3つの骨組み構造100a~cと、保管グリッド104の上に配置されるレールシステム108a~cと、アクセスポート160a~cとを備える。骨組み構造100a~cが、レールシステム108a~cの間に配置される例えば壁などの2つの車両ブロッキングバリア125によって分離される。バリア125の各々が1つまたは複数の通路130a、bを有し、複数の通路130a、130bの中を、コンテナ取り扱い車両250が通常の動作中に通り抜けることができる。
【0072】
図2では、コンテナ取り扱い車両240が不具合のあるものであるとラベル付けされて中央のレールシステム108b上のロケーションのところで停止状態にされているという具体的な状況が描かれている。不具合のある車両240が存在することに反応して、コンテナ取り扱い車両230’のうちの一部のコンテナ取り扱い車両230’が両方のバリア125の通路130a、bの中まで移動するように制御システム109によって指示され、それによりレールシステム108a~cの全長に沿って2つの連続する(例えば、少なくとも、車両を通過させることができるような隙間を有さない)物理的なバリアを作り、それにより左側のレールシステム108aおよび右側のレールシステム108bの上に位置する動作しているコンテナ取り扱い車両250が中央のレールシステム108bに入ることが防止される。中央のレールシステム108b上の依然として動作中である残りのいかなるコンテナ取り扱い車両230”も停止状態にされる。結果として、中央のレールシステム108b内に、動作しているコンテナ取り扱い車両250が存在しなくなる。このようなゾーンを、本明細書においてこれ以降、シャットダウンゾーン225と呼ぶ。
【0073】
上で言及したステップのすべてのステップが遠隔制御システム109によって制御および監視される。
シャットダウンゾーン225内に動作している車両250がない状態において、操作者が中央のアクセスポート160bを介してレールシステム108bに入ることができる。操作者が、例えば不具合のある車両240まで徒歩で通行することを選択することができる。
【0074】
しかし、本方法の好適な実施例では、サービス車両20が、好適には乗車する操作者が存在する形で、中央のアクセスポート160bを介して中央のレールシステム108bに入り、例えば不具合のあるコンテナ取り扱い車両240まで、中央のレールシステムを横断して駆動する。
【0075】
怪我または事故のリスクを最小にするために、アクセスポート160を通るサービス車両20を用いてレールシステム108に入る上記のステップが、好適には、シャットダウンゾーン225を作る上述のプロセスの後で実施される。しかし、このステップは、十分に安全であるとみなされる場合には、プロセス中に実施されてもよく、つまり開始されてよい。
【0076】
アクセスポート160a~cが、非活動中のサービス車両20を支持するために、レールシステム108の境界部分の外側にある中二階に隣接していてよい。
図2では、アクセスポート160a~cおよびサービス車両20が各々のレールシステム108a~cのために描かれている。しかし、中央のレールシステム108bにサービス車両20が入るのを可能にする、1つの中央のアクセスポート160bのみである構成などの、他の構成も考えられる。左側のレールシステム108aまたは右側のレールシステム108c内で不具合のある車両240が停止状態にされる場合、このような構成においては、サービス車両20がそれぞれの通路130a、130bを通って移動して、問題のあるレールシステム108a、108cに入ることができる。サービス車両20が中央のレールシステム108bを横断して移動するときに動作しているコンテナ取り扱い車両250に衝突するリスクを低減するために、このゾーン内においてこれらのコンテナ取り扱い車両250が一時的に停止状態にされ得、および/または一時的にサービス車両20から離れるようにルート変更され得る。
【0077】
図3が第2の実施形態を示しており、ここでは、自動倉庫システム1が、保管コンテナ106のスタック107を有する形で、レールシステム108と、下にある保管グリッド104とを有する単一の骨組み構造100を有する。
【0078】
本発明による方法の3つの異なる段階が
図3A~
図3Cに示される。
図3Aが、制御システム109が
- 不具合のあるコンテナ取り扱い車両240を検出して、
- 不具合のある車両240を停止状態にして、
- 停止状態の不具合のある車両240をその中に配置するところの6×5のサイズのグリッドセルのシャットダウンゾーン225を形成した
状況を示している。
【0079】
図3Bが、制御システム109が、
- アクセスポート160からシャットダウンゾーン225まで駆動するようにサービス車両20に指示を出し、
- 不具合のある車両240を部分的に囲む物理的なバリアを作るために、形成されたシャットダウンゾーン225の境界部分に向かうように移動させるように動作中のコンテナ取り扱い車両250のうちの16個の車両230’に指示を出し、
- アクセスポート160とシャットダウンゾーンとの間でサービス車両20が移動するときに、動作しているコンテナ取り扱い車両250とサービス車両20との間での衝突を防止する(または、少なくとも、衝突のリスクを低減する)ために他のすべての動作しているコンテナ取り扱い車両250をルート変更している(サービス車両20の概略的な方向が二重線の矢印21によって示される)、
状況を示している。
【0080】
図3Cが、サービス車両20が車両230’の物理的なバリア内の開口部の中に部分的に入っている、その後の状況を示す。
操作者がサービス車両20上にいるとき、操作者は、サービス車両のコックピットエリアの周りに取り付けられる安全バリアによって保護されて比較的安全となり得る。サービス車両20がシャットダウンゾーン225に入ると、操作者が、不具合のある車両240を修理するためにサービス車両20から降りることを望むことできる。したがって、この時点では、以前にサービス車両20上にいた任意の操作者が、この段階において、サービス車両20の保護範囲から離れた状態で、不具合のある車両240に対しての作業を行うことができる。作業には、現場での任意の保守管理作業を行うこと、および/またはサービス車両20上において車両240を例えばレールシステム108の外側の作業場などの別のロケーションまで運搬することが伴われてよい。
【0081】
図3Cと同様のシナリオが
図4に示されるが、ここでは、サービス車両20が、22個のパーキングされたコンテナ取り扱い車両230’によって境界を画定される6×6のグリッドのセルの大きいシャットダウンゾーン20に完全に入っている。不具合のある車両240に加えて、機能している車両230”もシャットダウンゾーン225内で停止状態にされ、それにより安全な作業条件が確保される。
【0082】
示されるように、シャットダウンゾーン225の中央ポイントが不具合のある車両240からオフセットされていてよい。これにより、物理的なバリアを作るのに必要となる他の車両230’の数を最小にしながら、シャットダウンゾーン225内でサービス車両20および/または操作者を受け取るためのエリアが作られる。
【0083】
図4のバリアは
図3Cと同様の手法でセットアップされるが、各角部に車両230’が存在しない。
概して、シャットダウンゾーン225および対応する(パーキングされている)境界画定車両230’は、上方から見て、例えば、円形、楕円形、三角形、六角形、八角形などの、任意の形状を有してよい。
【0084】
不具合のある車両240がルーフピラーなどの障害物の近くでまたはレールシステム108の周縁部の近くで停止状態にされる場合、バリアとして、不完全な八角形形状または不完全な長方形形状などのpart trigonometric formが有利である可能性がある。
【0085】
さらに、境界設定車両230’は、シャットダウンゾーン225の境界部分を基準とした多様な位置に配置され得る。
図3Cおよび
図4では、各車両230’が境界部分の外側に配置され、ここでは、その壁のうちの1つの壁(不具合のある車両240から最も外側にある車両の壁)が、境界部分の対応する位置に等しい水平方向/横方向の位置にある。しかし、各々の車両230’または車両230’のうちの一部の車両230’が少なくとも部分的に境界部分上に配置されるかまたは完全にシャットダウンゾーン225内に配置されて、1つの外側壁が、境界部分の対応する位置に等しい水平方向/横方向の位置にある、ことになるような代替の位置も考えられる。
【0086】
外部からの衝突により良好に耐えることができるバリアを提供するために、車両230’のバリアが1つ分の車両の幅より大きくてもよい。このような車両230’は互い違いの形であってよい。一部の事例では、車両230’の幅より小さい大きさではあるが、隣接する車両から車両230’をいくらか離間することが所望される可能性がある。
【0087】
サービス車両20がシャットダウンゾーン225の中に完全に入る場合、追加の動作しているコンテナ取り扱い車両250に、シャットダウンゾーン225の中の開口部を閉じるように指示することにより(制御システム109を介して)、操作者の安全性がさらに改善され得る。
【0088】
別の自動倉庫システム1が
図5Aに部分的に示される。直立部材102が骨組み構造100の一部分を構成し、骨組み構造100上で、複数のコンテナ取り扱い車両250を備える運搬レールシステム108が動作する。
【0089】
この運搬レールシステム108の下方の、フロアレベルの近くのところに、別の骨組み構造300が示されており、この別の骨組み構造300が、骨組み構造100の保管カラム105のうちの一部の保管カラム105の下方で部分的に延在する。他の骨組み構造100の場合と同様に、複数の車両330、340、350が、第1の方向Xの方を向く第1のセットの平行なレール310と、第1の方向Xに対して垂直である第2の方向Yの方を向く第2のセットの平行なレール311とを備えるレールシステム308上で動作することができ、それにより、複数の長方形の一様なグリッドロケーションまたはグリッドセル322を備えるグリッドパターンを水平面PL内に形成する。この下側レールシステム308の各グリッドセルが、第1のセットのレール310の一対の隣接するレール310a、310bと、第2のセットのレール311の一対の隣接するレール311a、311bとによって境界を画定されるグリッド開口部315を備える。
【0090】
保管カラム105の下方を延在する下側レールシステム308の部分が、そのグリッドセル322を、水平面P内にある上側レールシステム108のグリッドセル122に一致させるように水平面PL内に置くことになるように、位置合わせされる。
【0091】
したがって、2つのレールシステム108、308をこのように特別に位置合わせすることにより、コンテナ取り扱い車両250により保管カラム105の中まで降下させられる保管コンテナ106が、レールシステム308上を走行するようにおよび下方で保管カラム105から保管カラム106を受け取るように構成されている送達車両350によって受け取られ得る。
【0092】
図5Bが、従来技術のコンテナ取り扱い車両250のために説明したホイール組立体251と同様のホイール組立体351と、上記のコンテナ取り扱い車両250によって送達される保管コンテナ106を受け取るためのおよび支持するための保管コンテナ支持体352とを備える車両350の実施例を示す。
【0093】
保管コンテナ106を受け取った後、送達車両350が、さらなる取り扱いおよび配送のために保管コンテナ106を送達するためにレールシステム308に隣接するアクセスステーションまで駆動することができる。
【0094】
本明細書においてこれ以降、上側レールシステム108および下側レールシステム308が運搬レールシステム108および送達レールシステム308と呼ばれる。同様に、
図5Bに示される車両がコンテナ送達車両350と呼ばれる。
【0095】
図6が、自動倉庫システム1の第3の実施形態を示す。システム1が、各々が動作しているコンテナ取り扱い車両250を備える4つの離間される運搬レールシステム108a~dと、4つのすべての運搬レールシステム108a~dの下方を閉ループとして延在する4つのグリッドセルによる幅広の経路として設計される送達レールシステム308とを有する。結果として、任意の動作しているコンテナ送達車両350が、運搬レールシステム108a~dのうちのいずれかに属する保管カラム1085から保管コンテナ106を受け取ることができる。
【0096】
送達レールシステム308の外側周縁部のところで、複数の送達ポート370が、コンテナ送達車両350への保管コンテナ106を受け取るように(さらには、可能性として保管コンテナ106を送達するように)構成されている。
【0097】
外側周縁部が、水平面PL内に分布する多数のアクセスポート360をさらに含み、ここでは、各アクセスポート360が、送達レールシステム308の中にサービス車両20が入るのを可能にするように構成されている。
【0098】
図6が、制御システム109が、
- 不具合のあるコンテナ送達車両340を検出して、
- 不具合のある車両340に停止状態になるように指示し、
- 停止状態の不具合のある車両340の周りに、アクセスポート360’のうちの1つのアクセスポートを有するシャットダウンゾーン325を形成し、
- シャットダウンゾーン325の外側に位置するすべての動作しているコンテナ送達車両350のための物理的なバリアを作るために、シャットダウンゾーン325の境界部分のところで、停止状態となるように、動作しているコンテナ送達車両350のうちの8つのコンテナ送達車両330’に指示し、
- 停止状態となるように、シャットダウンゾーン325内に位置するすべての他のコンテナ送達車両330”に指示した、
シナリオを示している。
【0099】
図6に描かれるシナリオでは、サービス車両20が、アクセスポート360’に入ることができ、不具合のあるコンテナ送達車両340のところまで駆動することができ、ここでは、送達レールシステム308上で依然として動作している他のコンテナ送達車両350との衝突のリスクがまったくといってよいくらいない。
【0100】
送達レールシステム308上の1つまたは複数のサービス車両20の動作中、他のサービス車両20が、対応するアクセスポート160を使用することにより、運搬レールシス
テム108上で動作することができる。
【0101】
上述のように動作することに適するサービス車両20の2つの考えられる構成が
図7Aおよび7Bに示される。
サービス車両20の両方の実施例が、持ち上げ機構24と、操作者のためのシート25と、不具合のある車両240、340を支持するための支持基部22と、サービス車両20の移動を可能にする駆動手段23とを備える。もちろん、サービス車両20が他の構成を有してもよく、本発明はこれらの2つの実施例のみに限定されない。
【0102】
図7Aでは、駆動手段23が2つのセットの4つのホイールを備え、ここでは、これらのセットのうちの少なくとも1つのセットが上昇および降下させられ得る。したがって、この駆動手段は上述のコンテナ取り扱い車両250およびコンテナ送達車両350の駆動手段に類似する。ホイールが、運搬レールシステム108のレール110、111および/または送達レールシステム308のレール310、311を追従する。
【0103】
図7Bでは、サービス車両20の駆動手段23がレール110、310、111、311の上で駆動するように構成されているキャタピラートラックを備え、それにより、運搬レールシステム108または送達レールシステム308のいずれかの、水平面P、P
L内の任意の方向における移動を可能にする。
【0104】
図7Bのサービス車両は、
図7Aのサービス車両20の代替形態として使用され得るかまたは
図7Aのサービス車両20と併せて使用され得る。
本発明による方法の一実施例を説明するフローチャート400が
図9に示され、ここでは、以下の方法ステップが制御システム109によって実行/制御される:
401.運搬レールシステム108または送達レールシステム308のいずれか上で動作することを意図される車両250、350の1つまたは複数の動作状態の異常が記録/検出される。動作状態の例として、位置の正確性、加速度パターン、温度、バッテリーの変化する効率、および下にあるレールシステムとの接触がある。
【0105】
402.異常のある車両が、不具合のある車両240、340としてラベル付けされる。
403.すぐに、またはレールシステム108、308上の特定のロケーションにおいて、不具合のある車両240、340が停止状態になるように指示される。
【0106】
404.不具合のある車両240、340の停止位置が制御システム109内で記録される。
405.シャットダウンゾーン225、325がレールシステム108、308上に形成/設定され、その中では、不具合のある車両240、340が停止状態にされている。
【0107】
406.シャットダウンゾーン225、335内に動作している車両250、350が存在するか?
407.はいの場合、
a.シャットダウンゾーン内の動作している車両のうちの1つまたは複数の車両をパーキングする、
b.動作している車両のうちの1つまたは複数の車両を、シャットダウンゾーン225、335の境界部分ではなく、シャットダウンゾーンの外まで誘導する(ステップ408を参照)、
c.上記の組合せ、
のうちのいずれかが行われ、
その結果、シャットダウンゾーン225、335を、動作している任意の車両250、
350が存在しない状態にすることができる。
【0108】
408.ステップ407bで既に完了している状態である、いいえの場合、動作している車両230、230’のうちの1つまたは複数の車両が、シャットダウンゾーン225、325上の複数の位置のところでまたはシャットダウンゾーン225、325の横方向の境界部分のところで、停止状態にされ、それにより他の動作している車両250、350が入ることが少なくとも部分的に防止される。
【0109】
409.不具合のある車両240、340を取り扱うのをおよび/または保守管理するのを可能にするために、サービス車両20がシャットダウンゾーン225、325のところにまたはシャットダウンゾーン225、325の中まで誘導される。
【0110】
410.アクセスステーション160(または、任意の他の初期位置)とシャットダウンゾーン225、325との間でのサービス車両20の移動中にサービス車両20との衝突を回避するために、シャットダウンゾーンの外側にある動作している車両250、350がルート変更される。
【0111】
操作者が不具合のある車両240、340まで徒歩で通行する意図がある場合、つまりサービス車両20の使用を回避する意図がある場合、複数の動作しているコンテナ取り扱い車両250、350が、アクセスポート160、360と不具合のある車両240、340との間の通行通路を作るのに使用され得る。
【0112】
例えば、複数の車両250、350が、アクセスポイント160から、シャットダウンゾーン225、325の境界部分まで、および物理的バリアを形成する任意の車両まで、延在する2つのラインの停止状態の車両230’、330’を作るように配置される。2つのラインの車両230’、330’の間の距離は少なくとも1つのグリッドセル122、322の幅であるべきであり、例えば3つのグリッドセル122、322の幅である。
【0113】
このような通行通路は動的な排除ゾーンであってよく、ここでは、操作者がレールシステム108、308上にいるときに、動作している車両250、350が操作者から特定の距離のところで移動するように指示される。
【0114】
上記の説明では、例示の実施形態を参照しながら、本発明による方法およびその関連のシステムの種々の態様を説明してきた。説明を目的として、システムおよびその動きを完全に理解するのを可能にするために具体的な数、システム、および構成が記載される。しかし、本説明は限定的な意味で解釈されることを意図されない。例示の実施形態の種々の変更形態および変形形態、さらには開示される主題の関連の当業者には明らかである方法およびシステムの他の実施形態も、本発明の範囲内にあるとみなされる。
【符号の説明】
【0115】
1 自動倉庫システム
20 サービス車両
21 サービス車両の方向
22 不具合のある車両のための支持基部
23 サービス車両のための駆動手段
24 持ち上げ機構
25 操作者のためのシート
100 骨組み構造
100a 第1の骨組み構造
100b 第2の骨組み構造
100c 第3の骨組み構造
102 骨組み構造の直立部材
103 骨組み構造の水平部材
104 保管グリッド/3次元のグリッド
105 保管カラム
106 保管コンテナ
107 スタック
108 運搬レールシステム
108a 第1の運搬レールシステム
108b 第2の運搬レールシステム
108c 第3の運搬レールシステム
108d 第4の運搬レールシステム
109 制御システム
110 第1の方向(X)における第1のセットの平行なレール
111 第2の方向(Y)における第2のセットの平行なレール
115 運搬レールシステム内のグリッド開口部
119 送達カラム
120 送達カラム
122 運搬レールシステムのグリッドセル
125 車両ブロッキングバリア
130 運搬レールシステムの間の車両通路
130a 第1の通路
130b 第2の通路
160 サービス車両のための運搬レールシステムへのアクセスポート
160a 第1のアクセスステーション
160b 第2のアクセスステーション
160c 第3のアクセスステーション
225 運搬レールシステム上のシャットダウンゾーン
230 パーキングされたコンテナ取り扱い車両
230’ パーキングされた境界部分画定車両
230” パーキングされた、境界部分を画定しない車両
240 不具合のあるコンテナ取り扱い車両
250 動作しているコンテナ取り扱い車両
251 コンテナ取り扱い車両のためのホイール組立体
252 コンテナ取り扱い車両のための車両ボディ
300 送達骨組み構造
308 送達レールシステム
310 送達レールシステム上の、第1の方向(X)における第1のセットの平行なレール
311 送達レールシステム上の、第2の方向(Y)における第2のセットの平行なレール
315 送達レールシステム内のグリッド開口部
322 送達レールシステムのグリッドセル
325 送達レールシステム上のシャットダウンゾーン
330 パーキングされたコンテナ送達車両
330’ パーキングされた境界部分画定車両
330” パーキングされた、境界部分を画定しない車両
340 不具合のあるコンテナ送達車両
350 動作しているコンテナ送達車両
351 コンテナ送達車両のためのホイール組立体
352 保管コンテナ支持体
360 サービス車両のための送達レールシステムへのアクセスステーション
360’ サービス車両のための送達レールシステムのシャットダウンゾーンへのアクセスステーション
370 コンテナ送達車両により保管コンテナを送達するための送達ポート
400 不具合のある車両を取り扱うためのフローチャート
401 車両の動作状態の異常を記録する
402 車両を不具合のある車両としてラベル付けする
403 不具合のある車両に停止するか静止状態を維持するように要求する
404 不具合のある車両の停止位置を記録する
405 不具合のある車両がその中で停止位置にあるシャットダウンゾーンをレールシステム上にセットアップする
406 シャットダウンゾーン内で動作している車両が存在する?
407a シャットダウンゾーン内のすべての動作している車両をパーキングする
407b すべての動作している車両をシャットダウンゾーンの外へ誘導する
408 シャットダウンゾーンの横方向の境界部分の上でまたはシャットダウンゾーンの横方向の境界部分のところで、複数の動作している車両をパーキングする
409 不具合のある車両を取り扱うために、シャットダウンゾーンの中にサービス車両を誘導する
410 シャットダウンゾーンの外側に位置する場合のサービス車両との衝突を回避するために動作している車両をルート変更する
X 第1の方向
Y 第2の方向
Z 第3の方向
P レールシステムの水平面