(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】撮像装置、空気流路装置、および撮像装置の操作方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20241125BHJP
A61L 9/16 20060101ALI20241125BHJP
【FI】
A61B6/03 521Z
A61L9/16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023187798
(22)【出願日】2023-11-01
【審査請求日】2024-01-24
(32)【優先日】2022-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516308401
【氏名又は名称】シーメンス ヘルスケア ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ザイフェルト
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン マイゼ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ホェヒト
(72)【発明者】
【氏名】ランバート フェヘール
(72)【発明者】
【氏名】ベルント マチェイェフスキ
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2022/0193281(US,A1)
【文献】中国実用新案第214231354(CN,U)
【文献】韓国公開特許第2021-0137260(KR,A)
【文献】独国実用新案第202021104249(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/58、5/055
A61L 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置(1)によって検査される対象物(3)を受け入れるための収容管(2)を有する撮像装置(1)であって、
空気流路装置(5)を備え、前記空気流路装置(5)が、前記収容管(2)の空気を前記空気流路装置(5)の吸引装置(6)で吸引し、前記吸引された空気を除染のため前記空気流路装置(5)の空気フィルタ装置(7)に導き、前記除染された空気を前記空気流路装置(5)の放出装置(8)で前記収容管(2)内に放出するように構成された、撮像装置(1)において、
前記空気流路装置(5)が、前記収容管(2)に沿って前記空気の主空気流(10)を前記放出装置(8)から前記吸引装置(6)に導くように構成され、前記主空気流(10)が前記収容管(2)を通って前記収容管(2)の収容開口部(4)の方向に流れるようにし
、
前記空気流路装置(5)が、前記収容管(2)の上半部に前記主空気流(10)を誘導するように構成されている、
ことを特徴とする撮像装置(1)。
【請求項2】
前記放出装置(8)が少なくとも1つのフリージェットノズルを有する、請求項1に記載の撮像装置(1)。
【請求項3】
前記空気流路装置(5)が、前記収容管(2)内の前記吸引装置(6)と前記収容開口部(4)との間に空気バリア(12)を生成するために、前記除染された空気の少なくとも一部を放出するように構成された空気バリア装置(11)を有する、請求項1または2に記載の撮像装置(1)。
【請求項4】
前記空気バリア装置(11)が、前記収容管(2)内に前記空気バリア(12)を生成するために、前記撮像装置(1)の前記収容管(2)内に配置されたガイドレール装置(14)において、前記除染された空気の一部を放出するように構成されている、請求項3に記載の撮像装置(1)。
【請求項5】
前記空気流路装置(5)が、前記収容管(2)を通る前記主空気流(10)が層状の流れ特性を有するように、前記放出装置(8)での前記除染された空気の放出と、前記吸引装置での前記空気の吸引量を調整するように構成されている、請求項1または2に記載の撮像装置(1)。
【請求項6】
前記空気流路装置(5)が、前記撮像装置(1)の周囲から空気を吸引するように構成された別の吸引装置(16)を備え、前記空気流路装置(5)が周囲から吸引された除染用空気を前記空気流路装置(5)の空気フィルタ装置(7)を通るように供給するように構成されている、請求項1または2に記載の撮像装置(1)。
【請求項7】
前記空気流路装置(5)が、前記除染された空気の少なくとも一部を前記撮像装置(1)の周囲に放出するように構成された別の放出装置(17)を有している、請求項1または2に記載の撮像装置(1)。
【請求項8】
前記空気フィルタ装置(7)が、プラズマ
(28)フィルタ
装置として構成されている、請求項1または2に記載の撮像装置(1)。
【請求項9】
前記空気フィルタ装置(7)が、
- 少なくとも1つの電極装置(18)を有し、前記電極装置(18)が第1の平面状に形成された複合電極(19)および第2の平面状に形成された複合電極(20)を有し、
- 前記電極装置(18)の前記複合電極(19、20)が、前記電極装置(18)の主平面(21)において相互に同一平面上に配置され、放電ギャップ(22)によって互いに物理的に分離されており、
- それぞれの前記複合電極(19、20)が、前記放電ギャップ(22)に対して少なくともそれぞれの電極板(23、24)の境界面にそれぞれの誘電体コーティング(25、26)を備えたそれぞれの電極板(23、24)を有し、
- 前記プラズマ(28)フィルタ装置が、前記電極装置(18)に交流電圧を供給するように構成された電圧源(27)を有し、
- 前記交流電圧が、前記放電ギャップ(22)内の誘電体バリア放電によって
プラズマ(28)の形成を引き起こすようにパラメータ化され、
- 前記プラズマ(28)フィルタ装置が、前記電極装置(18)の前記主平面(21)の法線に平行に配向されたフィルタ流れ方向(32)に沿って空気を放電ギャップ(22)を通過するように案内する、
ように構成されている請求項
8記載の撮像装置(1)。
【請求項10】
前記空気フィルタ装置(7)が遮蔽管および/または遮蔽容器(15)内に配置されている、請求項1または2に記載の撮像装置(1)。
【請求項11】
請求項1または2に記載の撮像装置(1)のための空気流路装置(5)であって、
前記空気流路装置(5)の吸引装置(6)において空気を収容管(2)から吸引し、
除染のため前記吸引された空気を前記空気流路装置(5)の空気フィルタ装置(7)を通して誘導し、
前記空気流路装置(5)の放出装置(8)において前記除染された空気を前記収容管(2)に放出する、
ように構成されている、空気流路装置(5)。
【請求項12】
請求項1または2に記載の撮像装置(1)により検査される対象物(3)を収容するための収容管(2)を有する撮影装置(1)を操作する方法であって、
前記撮像装置(1)の空気流路装置(5)の吸引装置(6)により、前記収容管(2)の空気を吸引するステップと、
前記空気流路装置(5)の空気フィルタ装置(7)による除染のため、前記吸引された空気を前記空気流路装置(5)に誘導するステップと、
前記空気流路装置(5)の放出装置(8)によって、前記収容管(2)内に前記除染された空気を放出するステップと、
を有し、
前記空気流路装置(5)を通る前記空気の主空気流(10)が前記収容管(2)に沿って前記放出装置(8)から前記吸引装置(6)に導かれ、前記主空気流(10)が前記収容管(2)を通って前記収容管(2)の収容開口部(4)に向かって流れるようにした、
ことを特徴とする撮像装置(1)の操作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、空気流路装置および撮像装置の操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
臨床環境における感染予防は、2つの主要な柱、すなわち手指衛生(消毒)と関連表面の処置(表面衛生)に基づいている。手およびその関連面を洗浄・消毒することにより、潜在的または目に見える汚染が取り除かれ、感染のリスクが減少する。飛沫感染は、ウイルスに基づく感染症(例えばインフルエンザ、風痘または麻疹)に基づく感染症の伝播において極めて重要な役割を果たす。この場合咽頭や気道に存在する病原体は、くしゃみ、咳、発声時に、小さな唾液滴によって空気中に放出される。これらのエアロゾルは、他の人から吸いこまれたり、上気道の粘膜を介して直接吸いこまれたりする。
【0003】
エアロゾルは、一般に様々な大きさの固体または液体粒子を含む。その大部分は100μmの範囲のものからなる。しかし5μmより小さいか、2.5μmより小さい、さらにかなり小さい粒子の一部も仮定できる(出典:Deutsche Gesetzliche Unfallversicherung e.V (DGUV [ドイツ傷害保険社団法人])が2009年9月に発表した ”Regeln fuer Sicherheit und Gesundheit bei Taetigkeiten mit Biostoffen im Unterricht“ )。 直径100μmの液滴は高さ2mから地面に落下するのに約6秒を要するが、直径10μmの液滴は同じ距離に10分を要し、1μmの液滴は16.6時間を要する(出典: Kappstein、Ines. Nosokomiale Infektionen: Praevention, Labordiagnostik, antimikrobielle Therapie" 122表、ドイツ、Thieme、2009年)。そのためより小さな粒子はより長く空気中に残留し、室内の空気の移動により分散し、感染の発生に影響を及ぼす可能性がある。したがって、より小さい粒子は、より長く空気中に残っており、室内の空気の移動によって分散することがある。
【0004】
COVID-19パンデミックは、飛沫感染を公衆の話題の中心にし、一方では免疫力の弱い人々だけでなく、特に病気が不明であるかあらかじめ知られていない場合には、このような感染症のリスクがあることを示した。またパンデミックは、適切な予防措置によっていかに効果的に伝播を減少させることができるかを示した。
【0005】
特定の撮像方法では、例えば磁気共鳴断層撮影システムの収容管などの限定された検査空間において患者の検査中に、飛沫感染のリスクの増加が起こり得る。上記の検査中に以下の問題が発生する可能性がある。
【0006】
1.最小滴が集合し、自然対流によって収容管中に浮遊するおそれがある。
2.浮遊した最小滴エアロゾルは、対流空気流または熱的自然対流によって、収容管から撮像装置が位置する検査空間内に搬送され得る。
3.より大きなエアロゾル小滴は、収容管の表面および患者治療システムを汚染する可能性がある。
【0007】
これまでは、医療用口鼻保護具やFFP2保護具、全身スーツなど、当該感染症に適応した適切な衛生・防護手段が用いられてきた。また市場には、室内空気を適切に除染するHEPA (High-Efficiency Particulate Air/Arrestance)フィルタ、UVCまたはプラズマベースの方法など、一連のフィルタによる解決法が存在する。また以下では「フィルタシステム」と呼ばれる幾つかの機器の組み合わせも見られる。しかしこのようなシステムの前提は、システムの性能と空気流量をそれぞれの用途に正確に合わせることである。空気がエアロゾルによって汚染される程度の特定も、意図された空気の除染に関して重要な因子である。空気を消毒、滅菌または浄化するためには、空気を気流中で技術的に処理しなければならない。この空気流はジオメトリに決定的に依存している。機械式フィルタの場合、空気は高圧下にかなりのエネルギーを使用してフィルタにより4~16倍の著しい騒音のもとにフィルタを通す必要がある。
【0008】
流入する空気をUVランプで処理する場合、システムは適度な気流で設計する必要がある。既存のオゾン/イオナイザー/プラズマシステムは膨大な交互作用室を必要とするので、同様に空気流を制限する。これらのすべての方法に共通することは、いずれも長い立方体または細長い構造形式のために中央ユニットとして使用することである。
【0009】
最近では移動式表面除染装置または表面除染用の定置型UVCランプも使用されている。これらの市販の解決手段の欠点は、除染プロセスの有効性を改善するために、MRTシステムへの実装、ユニットサイズ、または建物内の所要空間である。市場の解決策は電磁放電とラジカルを用いて比較的ゆっくりとした消毒効果に基づいている。これらの解決策は、UVランプを含むことがある。
【0010】
医療機器に関しては、特許文献1から自動洗浄機能付きCT機が知られている。これらは、CT機用のUVC、プラズマまたはオゾンに基づく滅菌ユニットである。この文献には選択的測定、吸引または除染および潜在的に汚染されている空気の除去は開示されていない。
【0011】
ここで注意すべきことは、ある地域の有効な消毒対策が、微生物の5logレベル(EU)または6logレベル(USA)の減少をもたらさなければならないことである。エンベロープウイルスや非エンベロープウイルスに対する効果についても、バリデーションとの関連で適切な方法を用いて証明しなければならない。UVCベースの方法の場合、空気の効果的かつ効率的な除染のために必要な線量出力は、使用されるUVC源の波長および対応するフィルタユニット内の室内空気の保持時間に大きく依存する。UVCを用いた表面除染の経験から、高いレベルの微生物破壊を保証するためには、距離と線量出力に依存して、長い照射時間が部分的に必要であることが示された。プラズマベースの機器の場合には殺菌も実現しにくい。したがって、上記および以下の説明では、「除染」という用語を使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、撮像装置の収容管内の空気のより効率的な除染を可能にするフィルタ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この課題は、独立請求項のそれぞれの内容によって解決される。好適な発展形態および有利な実施形態は、従属請求項の対象である。
【0015】
本発明の第1の実施態様は、撮像装置によって検査される対象物を収容するための収容管を有し、この収容管は、収容管の収容開口部に面する第1の収容管半部と、収容開口部とは反対側の第2の収容管半部とを有している。撮像装置とは、例えばコンピュータ断層撮影を行うためのまたは磁気共鳴断層撮影を行うための撮像装置であってもよい。収容開口部は、撮像装置によって少なくとも部分的に囲まれるトンネルとして形成することができる。収容管は、患者または検査される対象物を収容するために設けられる。収容管は収容開口部を有し、これを介して患者または検査対象物を収容管内に運ぶことができる。
【0016】
検査対象物は、撮像装置による検査の間は収容管の中にあり、従って撮像装置の検出範囲内に配置される。
【0017】
撮像装置は空気流路装置を有するように構成されており、空気流路装置の吸引装置で収容管から空気を吸引し、吸引された空気を除染のため空気流路装置のエアフィルタ装置に導き、除染した空気を空気流路装置の放出装置で収容管内に放出するようにされる。言い換えると、撮像装置は収容管内で空気交換を行うように構成された空気流路装置を備える。空気の交換を行うために、空気流路装置は、収容管から空気流路装置に空気を供給するように構成された吸引装置を有する。吸引装置は、例えば収容管の壁上に配置することができる開口部または吸気管を含むことができる。吸引装置は、例えば換気装置のような低圧を発生させるための部材を有することができ、それによって収容管からの空気を空気流路装置に送ることができる。空気流路装置は空気フィルタ装置を有しており、吸引された空気を除染するようにされている。空気流路装置は、空気フィルタ装置による空気の除染を可能にするために、収容管から吸引された空気を空気フィルタ装置を通して案内するように構成される。除染は、微生物の不活化および/または空気フィルタ装置によって吸引された空気からエアロゾルを濾過することを含むことができる。空気フィルタ装置は、機械的、静電気的、好ましくはプラズマベースおよび/またはUVベースのフィルタ装置として構成することができる。空気流路装置は、空気流路装置から収容管に汚染された空気を放出するように構成された放出装置を有する。放出装置は、例えば収容の壁に開口部および/またはノズルを備えることができ、ここでは除染後に空気流路装置から収容管内に送られる。
【0018】
空気流路装置は、空気の主流を放出装置から吸引装置に収容管に沿って導くように構成され、主空気流は収容管内を収容開口部に向かって走行する。換言すれば、空気流路装置は収容管内に空気の主空気流を提供するように構成される。空気の主空気流は、放出装置から吸引装置まで収容管内を走行する。主空気流は、空気流路装置内を収容開口部に向く方向に案内される。例えば、吸引装置は収容管の長手方向に対して収容管の放出装置と収容開口部との間に配置されるように設けられてもよい。これにより放出装置から放出された空気は吸引装置によって吸引され、それによって、放出装置から始まって収容開口部の方向に進む主空気流が発生させられる。空気の主空気流が吸引装置に流れ込むので、空気の主空気流が収容開口部を通って収容管から外に出ることがない。
【0019】
本発明は、収容管内に空気流路装置によって空気の主空気流が生成され、収容管内に位置する患者に除染された空気を供給することができるという利点を提供する。同時に、吸引装置は主空気流の汚染された空気が収容管から流出して撮像装置が位置する空間を汚染することを防ぐ。
【0020】
本発明はまた、さらなる利点を提供する実施形態を含む。
【0021】
本発明の一実施形態によると、空気流路装置は、吸引装置と収容開口部との間の収容管内に空気バリアを作る目的で、除染された空気の少なくとも一部を放出するように構成された空気バリア装置を有する。換言すれば、空気流路装置は、フィルタ装置によって除染された空気を放出装置を介して収容管内に主空気流を用意するために放出するだけでなく、除染された空気の一部を空気バリア装置を介して収容管内に放出するように構成されている。空気バリア装置は、空気を放出することによって収容管内に空気バリアを提供するように構成される。空気バリア装置は、空気バリア装置によって放出される除染された空気を1つ以上の所定の方向に収容管に放出するように構成することができ、これらの方向および速度は放出される空気によって空気バリアが形成されるようにパラメータ化される。空気は、空気バリアの作用を有するバリア流を提供することができる。バリア流は、空気バリア装置から放出装置に向かって収容管内を走行することができる。空気バリア装置は、例えば吸引装置とは反対側の収容管に配置することができる。バリア流は、収容管の長手方向を横切るようにすることができる。
【0022】
この形態により、収容管の空気と収容開口部の周囲との間の空気の交換が空気バリアによって低減されるか、または防止されるという利点が生じる。それにより、収容管の空気中に存在するエアロゾルが、収容開口部で収容管から出るリスクを低減することが可能となる。
【0023】
本発明の一つの実施形態によれば、放出装置は少なくとも1つのフリージェットノズルを含む。換言すれば、放出装置は除染された空気を収容管内に放出するための1つまたは複数のフリージェットノズルを備える。このフリージェットノズルは、除染された空気を所定の噴流方向に放出するように構成されている。放出装置は例えば収容管内に突出するように設けられてもよい。フリージェットノズルは、収容管の長手方向に噴流を放出するように構成することができる。このようにして、除染された空気は例えば放出中に主空気流方向に放出することができる。
【0024】
本発明の一つの実施形態によると、空気バリア装置は、除染された空気の一部を収容管内に空気バリアを形成するために収容管内に配置された撮像装置のガイドレール装置で放出するように構成される。言い換えると撮像装置は、検査対象物または患者用支持体を収容管内に誘導するように構成されたガイドレール装置を有する。ガイドレール装置は、例えば2つのガイドレールを有し、収容管の下側面に、または一般に収容管の下半部に配置することができ、収容管の長手方向に延在するようにすることができる。空気バリア装置は、空気バリアを形成するための空気を完全に又は少なくとも部分的にガイドレール装置を介して放出するように構成される。例えば空気流路装置は、空気を空気バリア装置に供給するように構成することができ、その際空気バリア装置は、ガイドレール装置を通ってガイドレール装置に配置された空気バリア装置の開口部に通じる流路を有し、その開口部で空気バリアを発生させるため空気が収容管内に放出される。
【0025】
本発明の一つの実施形態によれば、空気流路装置は主空気流を収容管の上半部内に案内するように構成される。言い換えれば、主空気流は、収容管の中央に位置する水平面上を走行するようにされる。
【0026】
本発明の一つの実施形態によれば、空気流路装置は、収容管の上半部内で主空気流を案内するように構成される。言い換えれば、主空気流は収容管の中央に位置する水平面上を走行するようにされる。これにより患者の上に空気流を誘導することができる利点が得られる。
【0027】
本発明の一つの実施形態によれば、空気流路装置は、収容管を通る主空気流が層流特性を有するように、空気の放出を放出装置で、空気の吸引を吸引装置で調整するように構成される。換言すれば、空気流路装置は、除染された空気の放出を放出装置で、および空気の吸引を吸引装置で調整するように、構成される。空気流路装置は、主空気流が層流特性を有するように空気の放出および吸引を調節するように構成される。層流特性とは、主空気流に沿った空気が主として層状に流れることを意味する。層流特性は、周辺領域における不可避的な乱流を除いた一次的な流れパターンである。例えば空気流路装置の制御ユニットには、主空気流が層流特性を示すために必要とされる放出速度および吸引速度の値を記憶するように設定することができる。これらの値は、例えばフローパターンのシミュレーションにおいて予め求めることができる。この実施形態により空気の乱流を防止できるという利点が得られる。
【0028】
本発明の1つの実施形態によれば、空気流路装置はもう1つの吸引装置を有し、この吸引装置は撮像装置の周囲から空気を吸引するように構成され、空気流路装置が周囲から吸引した空気を空気フィルタ装置を介して空気流路装置によって除染のため周囲から吸引した空気を供給するように構成される。換言すれば空気流路装置は、もう1つの吸引装置において撮像装置の周囲から空気を吸引するように構成される。この実施形態により、例えば周囲の空気の除染が可能となるか、または付加的に空気バリアを用意するために追加の空気を吸引したりすることができるという利点が得られる。
【0029】
本発明の一つの実施形態によれば、空気流路装置はもう1つの放出装置を有し、これは除染された空気の少なくとも一部を撮像装置の周囲に放出するように構成されている。換言すれば空気流路装置は、もう1つの放出装置において除染された空気の少なくとも一部を撮像装置の周囲に放出するように構成される。
【0030】
本発明の一つの実施形態によると、空気フィルタ装置はプラズマフィルタ装置として構成される。言い換えれば、空気フィルタ装置は、通流する空気の除染のためプラズマを生成するように構成される。この場合プラズマは空気を除染するUVC線を放出するために用意される。
【0031】
本発明の一つの実施形態によると、空気フィルタ装置は少なくとも1つの電極装置を有する。プラズマフィルタ装置はガス例えば空気を濾過するためのフィルタ装置であり、ガスを濾過するためにプラズマが生成される。生成されたプラズマによりUV線が放出され、これにより例えばガス中に存在するエアロゾルまたは微生物が不活性化され、消滅し、または粒子が不活性化される。
【0032】
電極装置は、第1の平面複合電極および第2の平面複合電極を有するようにされる。これらの複合電極は、例えば非対称電磁ポテンシャル輪郭で配置することができる。換言すれば、電極装置は第1の複合電極および第2の複合電極を備える。電極装置の複合電極は、特に平面要素として構成することができる。電極装置の複合電極は、電極装置の主面内に互いにコプレーナ状に配置され、放電ギャップによって空間的に互いに分離されるようにされる。換言すれば、電極装置の複合電極は電極装置の主表面平面内に位置している。電極装置の複合電極間には放電ギャップが存在する。放電ギャップとは、電極装置の複合電極によって形成された間隙であり、ろ過すべきガスを通流させるものである。各複合電極はそれぞれ電極板を有しており、それぞれ少なくとも放電ギャップとの境界面にそれぞれ絶縁層を有するようにされる。換言すれば電極は複合体として形成され、それぞれ電極板と、それぞれの電極プレート上に誘電体コーティングとを備えるようにされる。誘電体コーティングは、電極板上に少なくともそれぞれの複合電極によって放電ギャップに隣接している境界面で塗布される。
【0033】
フィルタ装置は電極装置に交流電圧を供給するように構成される電圧源を有し、この交流電圧は放電ギャップ内の誘電体バリア放電によってプラズマの形成を引き起こすようにパラメータ化される。換言すればフィルタ装置は電圧源を構成するように設けられる。電圧源は、放電ギャップにプラズマの形成を生じさせるために、交流電圧を電極装置に供給する目的で設けられる。
【0034】
フィルタ装置は、電極装置の主表面平面の法線に平行に配向されるフィルタ流れ方向に沿ってガスを放電ギャップ内に案内するように設定される。言い換えると、フィルタ装置は流れ技術的な要素、例えばチューブ要素を有し、これはガスが主面平面の法線と平行に放電ギャップを通過するように、ガスのフィルタ流れ方向に影響を与えるか、または規定するように構成されている。
【0035】
この場合フィルタの流れ方向は、電極装置の主面平面の法線に平行になる。換言すれば、主空気流方向は電極装置に対して垂直になる。そのためガスは電極装置に垂直に放電ギャップを通って流れる。誘電体放電により放電ギャップに発生するプラズマにより放電ギャップの領域でガスの除染が行われる。除染は、プラズマによって放出されるUVC線、および/またはガスが空気の場合放電ギャップに形成され得るオゾンによって行われる。
【0036】
この実施形態によれば、放電ギャップにより粒子がガス自体の分子よりも長く残存する粒子トラップが用意されるという利点が生じる。放電ギャップの領域に粒子が長く残存することによりこれらの粒子はラジカルやUVCのようなプラズマ効果に長期間さらされ、それにより粒子の不活性化の確率が増加する(例えばUVCパワーが100W/m2、滞在時間がわずか1秒で線量出力は100 J/m2となる。コロナウイルスは、37 J/m2以下からの効果ですでに90%が完全に不活化される)。
【0037】
本発明の一つの実施形態によれば、空気フィルタ装置は、電磁遮蔽管および/または電磁遮蔽容器に配置される。言い換えれば、空気フィルタ装置は少なくとも部分的に遮蔽管および/または遮蔽容器によって電磁放射線や静的磁界を遮蔽するために配置されている。この実施形態により、空気フィルタ装置によって放出され得る電磁放射線が撮像装置の測定に悪影響を及ぼさないという利点が生じる。
【0038】
本発明の第2の実施態様は、撮像装置のための空気流路装置に関する。空気流路装置は、収容管からの空気を空気流路装置の吸引装置において吸引し、吸引された空気を除染のために空気流路装置の空気フィルタ装置を介して導き、除染した空気を空気流路装置の放出装置において収容管内に放出するように構成されている。空気流路装置は、撮像装置に一体化された部材としてまたは既存の撮像装置の追加部材として提供することができる。
【0039】
本発明の空気流路装置のさらに別の実施形態は、本発明の撮像装置の種々の実施形態から明らかである。
【0040】
本発明の第3の実施態様は、撮像装置により検査すべき対象物を収容するための収容管を備えた撮像装置を操作するための方法に関する。この方法は、空気流路装置の吸引装置によって収容管から空気を吸引し、吸引された空気を空気流路装置の空気フィルタ装置を介して導き、空気流路装置によって空気を除染し、除染された空気を空気流路装置の放出装置で放出することを特徴とする。
【0041】
空気の主空気流は、空気流路装置によって収容管に沿って放出装置から吸引装置へと導かれ、その際主空気流は、収容管を通って収容管の収容開口部に向かって流れる。
【0042】
本発明方法の別の実施形態は、本発明の撮像装置および本発明の空気流路装置の種々の実施形態から明らかにされる。
【0043】
本方法の文脈で発生する可能性がありここでは明示されていない適用事例または適用状況については、誤り報告および/または利用者応答の入力に対する要求、および/または標準設定および/または所定の初期状態の選択を含める方法についての規定を作成することができる。
【0044】
本発明のさらなる特徴は、特許請求の範囲、図面および図面の説明から導き出される。明細書の中で先に述べた特徴およびそれらの組合せ、並びに以下の図面の説明で挙げられたおよび/または図に示された特徴の組合せは、各々の場合において特定される組合せだけでなく、他の組合せにおいても、本発明に含めることができる。特に本来定式化された特許請求の範囲中の全ての特徴を有していない特徴の実施形態および組合せもまた、本発明に含めることができる。さらに請求項に記載されている特徴の組合せを超えている、またはそれとは異なる特徴の実施形態および組合せも、本発明に含めることができる。
【0045】
本発明は、具体的な実施形態および関連する概略図面を参照して、以下により詳細に説明される。図中の同一または機能的に同一の要素は、同じ参照符号によって表記することができる。同一または機能的に同一の部材の説明は、種々の図に関して必ずしも繰り返されるとは限らない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図2】ガイドレール装置を備えた収容管の概略図を示す。
【
図4】空気バリアが設けられたときの収容管に沿った流れ速度の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
【0048】
撮像装置1は、例えばコンピュータ断層撮影又は磁気共鳴断層撮影のための撮像装置1とすることができる。撮像装置1は、検査対象物3を収容するために設けられた収容管2を備えることができる。対象物3を検査するためには、検査対象物3を収容管2の収容開口部4を通して収容管内に移動させる必要がある。対象物3は、例えば患者とすることができる。
【0049】
患者が収容管内に収容されているので、患者に空気を供給する必要が生じる。このために撮像装置1は空気流路装置5を有することができる。この場合、例えば患者の負担および/または収容管2の表面への細菌の沈殿を避けるために、例えば患者が放出する汚染された空気を除染する必要がある。同時に、収容管2の収容開口部4からの汚染空気の撮像装置1の周囲への漏洩を防止する必要がある。
【0050】
この目的のために、収容管2から空気を吸引するように構成することができる吸引装置6を空気流路装置5が有するようにする。空気は例えばエアロゾルを含むおそれがあるので、除染の目的で空気流路装置5の空気フィルタ装置7を通して空気を誘導する必要がある。吸引装置6は、収容管2からの汚染された空気の漏洩を防ぐために、収容管2の収容開口部4の近くに配置することが好ましい。吸引装置6は、特に収容管2の上半部に配置することができる。空気フィルタ装置7は例えばプラズマフィルタとして構成することができ、プラズマ28によって発生される紫外線照射によって汚染された空気を除染するように構成することができる。空気流路装置5は、空気フィルタ装置7から出てきた除染された空気を収容管2に放出するために放出装置8に供給するように構成することができる。
【0051】
放出装置8は、収容管2の収容開口部4と反対側に配置することができ、その結果除染された空気は通常患者の顔が位置する収容管2の領域に放出される。吸引装置6および放出装置8は、主空気流10が放出装置8から吸引装置6まで収容管2内を収容開口部4の方向に流れるように配置することができる。主空気流10は、特に収容管2の上半部内を走行することができる。この空気流路装置5は、空気流の分量に影響を与えるために吸引装置6、空気フィルタ装置7および放出装置8を制御することができる制御ユニット9を有することができる。これにより主空気流10に沿って走行する空気が層流特性を有するように放出装置8および吸引装置6を制御することができる。この目的のために、制御ユニット9は、主空気流の層流特性を可能にするために、放出装置8および吸引装置6に設定される制御値を記憶することができる。吸引装置6は、主空気流が収容開口部4を介して漏出するのを防止するために、収容管2の長手方向に対して収容開口部4と放出装置8との間に配置することができる。
【0052】
空気流路装置5は、吸引装置6と収容開口部4との間に空気バリア12を形成するように構成できる空気バリア装置11を有することができる。これにより、収容開口部4を介して空気が逃げることを防止することができる。空気バリア12を形成するために、空気バリア装置11によって除染された空気の少なくとも一部が所定の方向に放出されるようにすることで、所定のバリア流13を発生させることができる。バリア流13は空気の循環を引き起こすことができ、これにより空気バリア12を形成することができる。この空気バリア装置11は、撮像装置1のガイドレール装置14を介してバリア流13を放出するように構成できる。
【0053】
空気流路装置5に対しては、撮像装置1の周囲から空気を吸引できるように構成できる別の吸引装置16を備えることができる。周囲から吸引された空気は同様に空気流路装置5によって除染を目的としてフィルタ装置7を通って誘導できる。これにより例えばバリア流13を提供するために、周囲から吸引される追加の空気を提供することが可能となる。空気流路装置5は、除染された空気の一部を周囲に供給することができる別の放出装置17を有することができる。
【0054】
空気流路装置5は、空気フィルタ装置7によって放出されるおそれのある電磁放射線による撮像装置1の測定に対する悪影響を防止するために、空気フィルタ装置7を少なくとも部分的に囲む遮蔽容器15を有することができる。
【0055】
図2は、ガイドレール装置14を備えた収容管2の概略図を示す。
【0056】
例えば空気バリア装置11は2つの開口部を備えるようにすることができ、この開口部を通してバリア流13を形成するために、除染空気の一部を所定の方向に放出することができる。バリア流13は、例えば収容管2の横方向に案内し形成するために、空気バリア12を収容管2の横方向に形成することができる。
【0057】
【0058】
図には、収容管2内の空気流路装置5の放出装置8から来る空気の上昇速度領域が示されている。
【0059】
図4は、空気バリア12が設けられた場合の収容管2に沿った流れ速度の概略図を示している。
【0060】
図4は、空気バリア12による収容管2内の空気循環に関するシミュレーション結果を示す。この配置によって、汚染された空気が収容管2から運び出されるのを防いでいることがわかる。
【0061】
【0062】
この空気フィルタ装置7は、電極装置18、粉塵フィルタ30および活性炭フィルタ31を所定の位置に配置する目的で設けられる保持装置29を有することができる。保持装置には電圧源27から交流電圧を電極装置18に供給するための給電点を設けることができる。フィルタの流れ方向32への空気の通流をもたらすために、空気フィルタ装置7には1本または2本のチューブをフランジによって保持装置29に配置することができる。
【0063】
空気フィルタ装置7の電極装置18は、第1の複合電極19および第2の複合電極20を有することができる。第1の複合電極19および第2の複合電極20は、電極装置18の主面21に平板として設けられる。第1の複合電極19および第2の複合電極20は、例えばコプレーナ状に互いに配列することができる。複合電極19、20は、1つの原盤から作ることができ、この原盤に放電ギャップ22を設けることにより、第1の電極板23と第2の電極板24とに分割し、放電ギャップ22によって第1の電極板23、24と第2の電極板23、24とを分離することができる。2つの複合電極19、20は、それぞれの誘電体コーティング25、26で被覆できるそれぞれの電極板23、24を有することができ、それによってそれぞれの電極は複合体とすることができる。それぞれの複合電極19、20の電極板23、24の材料は、例えばアルミニウム、アルミニウム合金および/またはステンレス鋼を含むことができる。それぞれの複合電極19、20の誘電体コーティング25、26は、放電ギャップ22に対するそれぞれの複合電極19、20の少なくとも境界面において、それぞれの電極板23、24上に堆積することができる。誘電体コーティング25、26の役目は、適当にパラメータ化された交流電圧を電極装置18に印加するときに、放電ギャップ22における誘電体放電を可能にすることにある。誘電体コーティング25、26は材料として1つ以上のポリマーを含み得る。可能なポリマーは、例えばフルオロポリマー、特にポリフッ化ビニリデンおよび/またはポリテトラフルオロエチレンを含み得る。またフッ化グラファイトを少なくとも1つのポリマーに混合することもできる。誘電体コーティング25、26はまた、材料として一種以上のセラミックス、特にチタン酸バリウムを含むこともできる。
【0064】
以下の説明では、空気フィルタ装置7という用語は、フィルタユニットと、電源と、電磁放射線を遮蔽するための遮閉板と、関連するすべてのケーブルおよびその他の端子とを備える構造に対して使用される。空気フィルタ装置7は除染装置と呼ぶこともできる。
【0065】
空気フィルタ装置7は、撮像装置1の収容管2内の空気/エアロゾルを洗浄する目的で、空気流路装置5内に配置することができる。
【0066】
撮像装置1の収容管2内に所定の流れパターンを生成させて、汚染された空気が収容管2から外に漏洩するのを防ぐことができる。流れパターンは、空気カーテンとしても知られる空気バリア12を含むことができる。
【0067】
空気フィルタ装置7は、プラズマ28による空気の除染を可能にする。空気フィルタ装置7は、比較的高い有効度および測定対象の幾何学的形状を有する撮像装置1の既存の空気流路装置5内に配置することができる。あるいは空気フィルタ装置7は、撮像装置1に適合された別体のユニットとして配置することもできる。
【0068】
空気フィルタ装置7の所用空間が小さいことにより、電磁適合性を確保するための有効な手段が実現できる。
【0069】
収容管2の内部の空気を除染するために、既知の撮像装置1とは対照的に、放出装置8を吸引装置6に適合させることができる。漏れやクエンチが生じた場合のヘリウムに対する患者や操作者の保護などの安全配慮に関しては、別の吸引装置16を撮像装置1の床に配置することができる。別の吸引装置16によって環境から吸引された空気は、収容管2内の患者の真上にある放出装置8に送ることができる。
【0070】
空気フィルタ装置7は、空気流路装置5内の任意の適切な位置に配置することができる。空気流路装置5に使用される管の標準寸法は、例えば55mmの直径を有することができる。空気の流量は例えば250~300m3/hである。これらの要件に基づくシミュレーション結果は、84×56×1mmの最小サイズが空気フィルタ装置7の電極に適切であることを示す。この非常に小さな構造寸法により、空気フィルタ装置7が撮像装置1に用いられる技術分野に、HF技術分野及びB技術分野との適合性を確保するために電磁両立性について有効な手段が実現される。これは、空気フィルタ装置7および空気フィルタ装置7のプラズマ流発生装置を金属管に設置することによって達成することができる。金属管は例えば特殊鋼を含むことができる。
【0071】
空気フィルタ装置7を介して汚染された空気が確実に誘導されるようにするために、収容管2の収容開口部4に吸引装置6を取り付けることができる。収容管2内の空気体積流および患者の上の層状空気流に関して、この吸引装置6は汚染された空気が収容管2内で完全に置換されるように設定することができる。
【0072】
収容管2内の患者の上方に一定の層状空気流を発生させるために、放出装置8は吸引装置6の長手方向と反対端に配置することのできる測定用に作製されたフリージェットノズルを含むことができる。
【0073】
収容管2内の空気流の空間物理的隔離は、収容開口部4に向かって移動する主空気流を停止させることによって達成することができる。この目的のために、除染された空気の少なくとも一部を空気バリア装置11を介して収容管2内に送ることができる。空気バリア装置11は、2つの空気入口を備えることができ、これらは収容管2内のガイドレール装置14の左側および右側ガイドバー上に位置している。
【0074】
上述の空気フィルタ装置7を用いることにより、毎年置換が必要とされる従来技術の空気フィルタ装置7に比べてフィルタのメンテナンス間隔を長くすることができる。
【0075】
誘電放電の原理に基づく空気フィルタ装置7は、空気の消毒のための経済的で、実用的にメンテナンス不要で、平面的で、拡張可能で、汎用的に適用可能で、エネルギー効率の良いプラズマフィルタユニットである。このような予防的技術は、空気伝播感染に対する普遍的運用に適している。したがってプラズマ技術は、最大差圧を必要とするHEPAフィルタのような従来の機械的フィルタや、全ての病原体に対して普遍的に有効であるが大きな相互作用経路を必要とするUVC放射線による病原体の不活化よりも、理想的でエネルギー効率の良い改良である。プラズマ誘起ラジカル反応およびUVC放射線はガス状化合物、匂い、微生物およびウイルスを不活性化するが、従来の大部分は保守不要の自己滅菌フィルタ要素は、相補的な個々の要素の技術的組合せにおいて、粉塵粒子およびエアロゾルの機械的分離に影響する。
【0076】
中央の機械的なHEPAフィルタは、プラズマ電極を備えることができるコンパクトな空気フィルタ装置7に置き換えることができる。それによって、大量の有毒な廃棄物を避けることができる。残っているものはすべて、入力部での自己滅菌ダストおよび湿気プレフィルタ、および空気フィルタ装置7のプラズマ電極の出力部での薄い活性炭フィルタ31である。空気フィルタ装置7により、より大きな消毒効果を達成すると同時に、追加のUVランプおよび関連する技術的手段を節減することが可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 撮像装置
2 収容管
3 対象物
4 収容開口部
5 空気流路装置
6 吸引装置
7 空気フィルタ装置
8 放出装置
9 制御ユニット
10 主空気流
11 空気バリア装置
12 空気バリア
13 バリア流
14 ガイドレール装置
15 遮蔽容器
16 吸引装置
17 放出装置