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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】管理システム
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/18 20060101AFI20241125BHJP
   G06Q 10/02 20120101ALI20241125BHJP
【FI】
B66B1/18 F
B66B1/18 D
B66B1/18 L
B66B1/18 S
G06Q10/02 300
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2023195219
(22)【出願日】2023-11-16
【審査請求日】2023-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】391001169
【氏名又は名称】櫻護謨株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 哲也
(72)【発明者】
【氏名】阿部 豊
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-088139(JP,A)
【文献】特開2022-137687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00- 1/52
B66B 3/00- 3/02
B66B 15/00-19/06
G06Q 10/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータが運搬する対象物を待機させる待機スペースを管理する管理システムであって、
前記対象物に関する対象物情報を取得する第1取得手段と、
前記エレベータの混雑情報に基づいて、前記対象物情報が示す前記対象物を待機させる前記待機スペースを予約する第1予約手段と、を備えている、
管理システム。
【請求項2】
前記混雑情報に基づいて、前記対象物情報が示す前記対象物を運搬する前記エレベータを予約する第2予約手段と、
前記第2予約手段によって予約された前記エレベータの予約情報に基づいて、前記エレベータを制御するエレベータ制御手段と、をさらに備えている、
請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記第1予約手段によって予約された前記待機スペースの予約情報に基づいて、前記対象物を運搬する第1車両を予約する第3予約手段をさらに備えている、
請求項2に記載の管理システム。
【請求項4】
前記第3予約手段によって予約された前記第1車両の到着情報を取得する第2取得手段をさらに備え、
前記エレベータ制御手段は、前記到着情報に基づいて、前記エレベータを制御する、
請求項3に記載の管理システム。
【請求項5】
前記エレベータは、上かごと、前記上かごに連結された下かごとを備え、
前記下かごは、前記上かごが運搬する前記対象物とは異なる前記対象物を運搬する、
請求項2乃至4のいずれか1項に記載の管理システム。
【請求項6】
前記エレベータは、前記上かごおよび前記下かごの少なくとも1つを交換可能に構成され、
前記エレベータ制御手段は、前記エレベータの予約情報および前記対象物情報に基づいて、前記上かごまたは前記下かごを交換する、
請求項5に記載の管理システム。
【請求項7】
前記第1予約手段は、前記混雑情報に基づいて、前記待機スペースを予約可能な時間を特定し、前記予約可能な時間を利用者端末に出力する、
請求項1に記載の管理システム。
【請求項8】
データベースに記憶された複数の前記対象物情報に基づいて、複数の前記対象物をまとめて運搬するために予約を調整する調整手段をさらに備えている、
請求項1に記載の管理システム。
【請求項9】
前記第1予約手段によって予約された前記待機スペースの予約情報に基づいて、前記第1車両とは異なる第2車両を予約する第4予約手段をさらに備え、
前記第2車両は、前記待機スペースと前記待機スペースが設けられた建物の内部との間において、前記第1車両が運搬する前記対象物を運搬する、
請求項3に記載の管理システム。
【請求項10】
前記第4予約手段によって予約された前記第2車両の予約情報に基づいて、前記第2車両を制御する搬送車制御手段をさらに備えている、
請求項9に記載の管理システム。
【請求項11】
前記第2車両は、前記待機スペースと前記建物とは異なる建物との間において、前記第1車両が運搬する前記対象物を運搬する、
請求項9に記載の管理システム。
【請求項12】
前記第2車両の周囲の情報を取得する第3取得手段をさらに備えている、
請求項9に記載の管理システム。
【請求項13】
前記第3取得手段は、取得された前記第2車両の周囲の情報を利用者端末に出力する、
請求項12に記載の管理システム。
【請求項14】
前記対象物情報は、前記対象物の数量、質量、種類、およびサイズの少なくとも1つを含んでいる、
請求項1に記載の管理システム。
【請求項15】
前記混雑情報は、前記第予約手段によって予約された前記エレベータの予約情報を含んでいる、
請求項に記載の管理システム。
【請求項16】
前記混雑情報は、前記エレベータの混雑時間、カレンダー、天気、引っ越し、工事、およびイベントに関する情報の少なくとも1つをさらに含んでいる、
請求項15に記載の管理システム。
【請求項17】
前記待機スペースの予約情報は、前記待機スペースを識別するため識別情報、予約された前記待機スペースの予約時間の少なくとも1つを含んでいる、
請求項3に記載の管理システム。
【請求項18】
前記エレベータの予約情報には、前記エレベータが有するかごを識別するため識別情報、前記エレベータが有するかごの種類、前記エレベータの予約時間の少なくとも1つを含んでいる、
請求項2に記載の管理システム。
【請求項19】
前記対象物は、荷物およびVIPの少なくとも一方である、
請求項1に記載の管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
高層ビルなどの建物には、一般の利用者専用エレベータ、VIP(VERY IMPORTANT PERSON)専用エレベータ、荷捌き専用エレベータなど各用途に応じて複数のエレベータが設置される場合がある。また、エレベータに関しては、エレベータの輸送力の向上などを目的とした、複数のかごを備えるエレベータなど様々な提案がなされている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5477387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されたダブルデッキエレベータ群管理装置を踏まえても、エレベータが設置された建物には種々の問題がある。エレベータは各階を貫通するため、建物の延べ床面積に占めるエレベータの比率は大きく、エレベータの数の増加が建物全体の計画に対する負担の増加や、各階の平面計画上での自由度を大きく制約する形になっていた。
【0005】
さらに、各テナントへの荷物の配達の高頻度化、飲食テナントとの複合化により、荷捌きの需要が増加することが可能性の一つとしてある。そのため、エレベータの建物の延べ床面積への負担を減らし各階の平面計画の自由度を増すためにエレベータの数の削減が求められる一方で、荷捌きなどの利便性の向上やエレベータが輸送する対象物ごとに適した環境での輸送などが要求されている。
【0006】
そこで、本発明は、建物の利用者の利便性を向上することが可能な管理システムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る管理システムは、エレベータが運搬する対象物を待機させる待機スペースを管理する管理システムである。前記管理システムは、前記対象物に関する対象物情報を取得する第1取得手段と、前記エレベータの混雑情報に基づいて、前記対象物情報が示す前記対象物を待機させる前記待機スペースを予約する第1予約手段と、を備えている。
【0008】
前記管理システムは、前記混雑情報に基づいて、前記対象物情報が示す前記対象物を運搬する前記エレベータを予約する第2予約手段と、前記第2予約手段によって予約された前記エレベータの予約情報に基づいて、前記エレベータを制御するエレベータ制御手段と、をさらに備えてもよい。
【0009】
前記管理システムは、前記第1予約手段によって予約された前記待機スペースの予約情報に基づいて、前記対象物を運搬する第1車両を予約する第3予約手段をさらに備えてもよい。前記管理システムは、前記第3予約手段によって予約された前記第1車両の到着情報を取得する第2取得手段をさらに備えてもよく、前記エレベータ制御手段は、前記到着情報に基づいて、前記エレベータを制御してもよい。
【0010】
前記エレベータは、上かごと、前記上かごに連結された下かごとを備えてもよく、前記下かごは、前記上かごが運搬する前記対象物とは異なる前記対象物を運搬してもよい。前記エレベータは、前記上かごおよび前記下かごの少なくとも1つを交換可能に構成されてもよく、前記エレベータ制御手段は、前記エレベータの予約情報および前記対象物情報に基づいて、前記上かごまたは前記下かごを交換してもよい。
【0011】
前記第1予約手段は、前記混雑情報に基づいて、前記待機スペースを予約可能な時間を特定し、前記予約可能な時間を利用者端末に出力してもよい。前記管理システムは、データベースに記憶された複数の前記対象物情報に基づいて、複数の前記対象物をまとめて運搬するために予約を調整する調整手段をさらに備えてもよい。
【0012】
前記管理システムは、前記第1予約手段によって予約された前記待機スペースの予約情報に基づいて、前記第1車両とは異なる第2車両を予約する第4予約手段をさらに備えてもよく、前記第2車両は、前記待機スペースと前記待機スペースが設けられた建物の内部との間において、前記第1車両が運搬する前記対象物を運搬してもよい。
【0013】
前記管理システムは、前記第4予約手段によって予約された前記第2車両の予約情報に基づいて、前記第2車両を制御する搬送車制御手段をさらに備えてもよい。前記第2車両は、前記待機スペースと前記建物とは異なる建物との間において、前記第1車両が運搬する前記対象物を運搬してもよい。
【0014】
前記管理システムは、前記第2車両の周囲の情報を取得する第3取得手段をさらに備えてもよい。前記第3取得手段は、取得された前記第2車両の周囲の情報を利用者端末に出力してもよい。
【0015】
前記対象物情報は、前記対象物の数量、質量、種類、およびサイズの少なくとも1つを含んでもよい。前記混雑情報は、前記第予約手段によって予約された前記エレベータの予約情報を含んでもよい。
【0016】
前記混雑情報は、前記エレベータの混雑時間、カレンダー、天気、引っ越し、工事、およびイベントに関する情報の少なくとも1つをさらに含んでもよい。前記待機スペースの予約情報は、前記待機スペースを識別するため識別情報、予約された前記待機スペースの予約時間の少なくとも1つを含んでもよい。
【0017】
前記エレベータの予約情報には、前記エレベータが有するかごを識別するため識別情報、前記エレベータが有するかごの種類、前記エレベータの予約時間の少なくとも1つを含んでもよい。前記対象物は、荷物およびVIPの少なくとも一方であってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、建物の利用者の利便性を向上することが可能な管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、第1実施形態に係る管理システムの構成例を示す図である。
図2図2は、図1に示されたエレベータの概略的な斜視図である。
図3図3は、第1データベースに記憶された予約情報の一例を示す図である。
図4図4は、第2データベースに記憶される情報の一例を示す図である。
図5図5は、第1実施形態に係る管理システムにおける処理の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、第1実施形態に係る管理システムにおける処理の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、利用者端末の表示部の一例を示す図である。
図8図8は、第2実施形態に係る管理システムの構成例を示す図である。
図9図9は、第2実施形態に係る管理システムにおける処理の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、第2実施形態に係る管理システムにおける処理の一例を示すフローチャートである。
図11図11は、第3実施形態に係る管理システムの構成例を示す図である。
図12図12は、図11に示されたエレベータの概略的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の各実施形態について説明する。
各実施形態に係る管理システムは、エレベータ、エレベータが運搬する対象物を待機させる待機スペース、および対象物を運搬する車両を管理する管理システムである。言い換えると、エレベータ、待機スペースおよび車両は、管理システムによってまとめて管理される。
【0021】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係る管理システム100の構成例を示す図である。図2は、図1に示されたエレベータ1の概略的な斜視図である。管理システム100は、エレベータ1の運転を制御する制御装置2と、サーバ3と、を備えている。制御装置2およびサーバ3は、ネットワークNを介して通信可能に接続されている。
【0022】
まず、エレベータ1が設置された建物BLDについて説明する。
【0023】
建物BLDは、例えば商業施設である。建物BLDは、地面Gよりも上方にある地上階1F~10Fと、地面Gよりも下方にある地階B1,B2と、を有している。建物BLDが有する地上階1F~10Fおよび地階B1,B2は、この例に限られない。
【0024】
各階のうち、ホテルが入居している階をホテルフロアと呼び、レストランが入居している階をレストランフロアと呼び、オフィスが入居している階をオフィスフロアと呼び、博物館や美術館などが入居している階を展示フロアと呼ぶ場合がある。建物に入居しているホテル、レストラン、オフィス、博物館、美術館などをまとめてテナントと呼ぶ場合がある。なお、同一の階に異なる種類のテナント(例えばオフィスと美術館など)が入居する場合もあるが、ここでは説明を省略する。
【0025】
建物BLDは、オフィスフロア、レストランフロア、ホテルフロアなどの種々のフロアを含んでいる。レストランフロア、ホテルフロアなどは、例えばオフィスフロアよりも上層階に設けられている。
【0026】
建物BLDの地階B2には、図1に示す例において、荷捌きスペース10が設けられている。ただし、荷捌きスペース10の場所は、この例に限られない。荷捌きスペース10は、待機スペースの一例に相当する。荷捌きスペース10には、例えば管理人が滞在していてもよい。
【0027】
荷捌きスペース10は、例えば建物BLDにおける荷捌きのためのスペースである。ただし、荷捌きスペース10は、建物BLDと建物BLDの近隣の建物を含む複数の建物における荷捌きのためのスペースであってもよい。この場合、荷捌きスペース10は、建物BLD含む近隣の地域の共同の荷捌きスペースとしての役割を担う。
【0028】
荷捌きとは、荷物(図1に荷物Oとして示す)の運搬およびそれに伴う作業である。荷物の運搬には、荷物の搬入および搬出が含まれる。荷物の搬入とは建物BLDの外部から建物BLDの内部への荷物の移動に相当し、荷物の搬出とは建物BLDの内部から建物BLDの外部への荷物の移動に相当する。
【0029】
荷物を運搬するための車両V1は、例えば、荷捌きスペース10を介して荷物を運搬する。本実施形態において、車両V1は、第1車両の一例に相当する。車両V1は、例えば荷物を積載するための荷室を有するトラック、ゴミ収集車などである。車両V1は、荷物の特性に応じて、例えば冷蔵車や冷凍車などであってもよい。車両V1は、例えばドライバによって運転される。ただし、車両V1は、自動運転車であってもよい。
【0030】
なお、自動運転車には、人による操作の必要がなく、自動走行が可能な完全自動運転、特定の環境下において自動走行が可能であるとともに、人による運転に切り替えが可能な一部自動運転が可能な自動運転車などがある。そのため、荷捌きスペース10に出入りする車両V1には、ドライバが乗車していない場合もある。
【0031】
荷捌きスペース10は、荷物スペース20と、駐車スペース30と、を有している。荷物スペース20は、荷物を待機させるためのスペースである。駐車スペース30は、荷物を運搬するための車両V1を駐車させるためのスペースである。駐車スペース30は、ドライバやフォークリフトなどが車両V1への荷物の積み下ろしをするための作業スペースを含んでもよい。
【0032】
荷物スペース20および駐車スペース30は、例えば複数の区画200,300をそれぞれ有している。荷物スペース20の区画200の各々は、これらを識別するための識別情報である荷物スペース番号を有している。1つの区画200には、少なくとも1つの荷物を待機させておくことができる。駐車スペース30の区画300の各々は、これらを識別するための識別情報である駐車スペース番号を有している。
【0033】
荷物スペース20の区画200において、荷物を待機させる時間は、荷物の種類などに応じて、適宜変更される。荷物は、エレベータ1や車両V1によってまとめて運搬(共同配送)するために一定時間、区画200に待機させておいてもよい。荷物スペース20の区画200は、廃棄物専用の区画を含んでもよい。この場合、当該区画は、廃棄物の腐敗の進行や異臭の発生を防ぐために、廃棄物を冷蔵する機能を有してもよい。
【0034】
建物BLDは、少なくとも1つのエレベータ1を備えている。建物BLDは、図1に示す例において、複数(例えば3つ)のエレベータ1を備えている。複数のエレベータ1は、一例として、例えば地階B2から地上階10Fにわたり各階を貫通するエレベータシャフト4内にそれぞれ設置されている。
【0035】
他の例として、複数のエレベータ1がひとまとまりのエレベータとして、1つのエレベータシャフト4の中に設置される場合もある。具体的には、高層のビルにおいて、低層階用、中層階用、および高層階用などの各エレベータを1つのエレベータ群とし、当該エレベータ群が1つのエレベータシャフト4の中に設置される場合もある。
【0036】
エレベータシャフト4は、設置されるエレベータ1の数に応じて適宜設置される。複数のエレベータ1は、地上階1F~10Fと地階B1,B2の全てにおいて乗り降り可能である。ただし、複数のエレベータ1は、例えば上層階と地階B1,B2など、特定の階のみで乗り降り可能であってもよい。
【0037】
エレベータ1は、図1および図2に示すように、上かご6と、下かご7と、上かご6と下かご7とを連結する連結機構8と、を備えている。連結機構8には、種々の機構を適用できる。
【0038】
エレベータ1は、上かご6と下かご7とで異なる階に停止する。例えば、上かご6が地上階8Fに停止すると、下かご7は地上階7Fに停止する。上かご6および下かご7の各々は、これらを識別するための識別情報である、かご番号を有している。
【0039】
上かご6および下かご7は、図2に示すように、扉61,71をそれぞれ有している。上かご6の扉61と下かご7の扉71とは、例えば、各階における出入口の位置が異なる位置になるように設けられている。
【0040】
そのため、エレベータ1においては、上かご6用の乗降場所FLと下かご7用の乗降場所FLとが分けられている。図2に示す例においては、上かご6の扉61が下かご7の扉71とは反対の位置に設けられているが、この例に限られない。
【0041】
建物BLDの利用者には、一般の利用者、VIPなどの特別な利用者、テナントの従業員、荷物を集配する集配者(例えば車両V1のドライバ)など建物BLDを訪れる人が含まれる。
【0042】
本実施形態においては、上かご6が一般の利用者を運搬し、下かご7が荷物を運搬する場合を想定する。一般の利用者はエレベータ1が上かご6によって運搬する対象物の一例に相当し、荷物はエレベータ1が下かご7によって運搬する対象物の一例に相当する。本実施形態において、エレベータ1は、上かご6と下かご7とにおいて、異なる対象物を運搬する。
【0043】
荷物を運搬する際には、荷物を運搬する人(テナントの従業員、車両V1のドライバなど)が下かご7に乗っていてもよい。上かご6に一般の利用者が乗っている状態で、下かご7に荷物が乗っていてもよい。
【0044】
荷物には、定常的に運搬される物、特定のタイミングでのみ運搬される物、運搬時に特別な配慮を必要とする物などが含まれる。ただし、荷物は、これらの例に限られず、エレベータ1で運搬される物品一般も含んでいる。
【0045】
定常的に運搬される物とは、例えばホテルフロア、レストランフロアにおける洗濯物、寝具、食材、飲料、ごみやボトル類等廃棄物、オフィスフロアにおけるオフィス用品、資料類、郵便物に代表される書類や小包などである。
【0046】
特定のタイミングでのみ運搬される物とは、例えば、テナントの引っ越しに関する物、展示会に備えた会社の展示物や印刷物、工事中のフロアにおける工事用資材や工具、廃材などである。タイミングとは、特定の日であってもよいし、特定の時間帯であってもよい。
【0047】
運搬時に特別な配慮を必要とする物とは、博物館や美術館などの展示フロアにおける展示品、イベント等における氷の彫刻、楽器類などである。
【0048】
上述のように、上かご6用の乗降場所FLと下かご7用の乗降場所FLとが分けられている。これにより、一般の利用者は、荷物や荷物を運搬する人と同じ乗降場所FLでエレベータ1を待機することを回避できる。
【0049】
建物BLDに複数のエレベータ1が設けられている場合、下かご7で運搬する対象物を予め決めておいてもよい。例えば、複数のエレベータ1のうち、1つの下かご7の対象物をVIPとし、残りの下かご7の対象物を荷物としてもよい。対象物に応じて、下かご7の扉71は、各階における出入口の位置が異なる位置に設けられてもよい。
【0050】
制御装置2は、複数のエレベータ1の運転を制御する。例えば、制御装置2は、図示しない、上かご6および下かご7を昇降させる昇降駆動装置(巻上機)、扉を開閉させる開閉装置などをそれぞれ制御する。
【0051】
制御装置2は、CPUなどのプロセッサ、ROM、RAMなどの記憶装置、外部とのインターフェースなどを備えるコンピュータによって構成されている。制御装置2は、プロセッサが記憶装置に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。
【0052】
制御装置2は、一例として、複数のエレベータ1に対してそれぞれ設けられる。この場合、複数のエレベータ1の制御装置2の各々が協調して動作する。制御装置2は、他の例として、複数のエレベータ1に対して1つ設けられる。エレベータ1の位置に関する情報などは、制御装置2によって、サーバ3側に送信され、最新の状態に適切な時間間隔により絶えずアップデートされている。
【0053】
サーバ3は、CPUなどのプロセッサ、ROM、RAMなどの記憶装置、外部とのインターフェースなどを備えるコンピュータによって構成されている。サーバ3は、建物BLDの内部に設けられてもよいし、建物BLDの外部に設けられてもよい。サーバ3は、クラウドシステムに含まれるサーバであってもよい。
【0054】
サーバ3は、制御部31と、第1データベース33と、第2データベース35と、を備えている。制御部31は、例えば、プロセッサが記憶装置に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
【0055】
サーバ3には、エレベータ1に関する情報、荷物スペース20に関する情報、駐車スペース30に関する情報、車両V1に関する情報が記憶装置(図示しない)に記憶されている。エレベータ1に関する情報とは、エレベータ1の数、かご番号などである。
【0056】
荷物スペース20に関する情報とは、荷物スペース20の区画200の数、荷物スペース番号、区画200のサイズ(例えば、奥行、幅)、区画200に待機可能な荷物の数量、区画200に待機可能な荷物の総質量などを含んでいる。駐車スペース30に関する情報とは、駐車スペース30の区画300の数、駐車スペース番号、区画300のサイズ(例えば、奥行、幅、高さ)、駐車可能な車両V1の種類、区画300に車両V1を充電できる設備があるかどうかなどを含んでいる。車両V1に関する情報とは、車両V1の台数、車両V1のサイズ、車両V1が備える機能などである。
【0057】
第1データベース33および第2データベース35は、サーバ3とは異なる記憶装置に記憶されてもよい。本実施形態においては、第1データベース33および第2データベース35に記憶された情報がエレベータ1、荷捌きスペース10および車両V1の混雑情報に相当する。混雑情報とは、エレベータ1、荷捌きスペース10および車両V1の混雑を管理したり、予測したり、するための情報である。
【0058】
第1データベース33には、管理システム100の制御部31によって予約された予約情報が記憶されている。図3は、第1データベース33に記憶された予約情報の一例を示す図である。図3においては、複数の予約情報(テーブル)のうちの1行分のデータ(レコード)を示している。
【0059】
予約情報は、各予約を識別するための識別情報である予約番号、予約が入っている日付を示す日付情報、予約した利用者を識別するための識別情報である利用者番号、エレベータ1の予約情報41、荷物スペース20の予約情報43、駐車スペース30の予約情報45、荷物情報47、荷物を運搬する階、車両V1が駐車スペース30に到着した到着時間、荷捌きが完了した完了時間、荷捌きの完了を示すフラグなどを含んでいる。荷物情報47は、対象物情報の一例に相当する。
【0060】
以下、荷物スペース20の予約情報43および駐車スペース30の予約情報45をまとめて、荷捌きスペース10の予約情報と呼ぶ場合がある。以上の予約情報は、割り当てられた予約番号と紐づけられ、第1データベース33に記憶されている。
【0061】
日付情報は、例えば予約が入っている日付(例えば、年月日)である。エレベータ1の予約情報41は、かご番号、かごの種類、エレベータ1の予約時間を含んでいる。以下、管理システム100によって予約される時間は、一定の幅を有している。当該幅は、例えば1分単位、5分単位、10分単位、15分単位、20分単位、30分単位、1時間単位でもあるが、この例に限られない。当該幅は、荷物の種類、作業の種類、建物BLDの用途、入居しているテナントの種類などによって左右される荷物の傾向などによって予め決められていてもよい。
【0062】
荷物スペース20の予約情報43は、荷物スペース番号、荷物スペース20の予約時間を含んでいる。駐車スペース30の予約情報45は、駐車スペース番号、駐車スペース30の予約時間、予約された車両V1を識別するための識別情報である車両番号を含んでいる。
【0063】
荷物情報47は、荷物の数量、荷物の質量、荷物の種類、荷物サイズを含んでいる。荷物の種類とは、例えば、上述の定常的に運搬される物、特定のタイミングでのみ運搬される物、運搬時に特別な配慮を必要とする物などである。ただし、これらに含まれる情報は、上述の例に限られない。
【0064】
第2データベース35には、予約情報とは異なる情報が記憶されている。第2データベース35に記憶される情報は、荷捌きに影響を与えるような要素に関する情報である。図4は、第2データベース35に記憶される情報の一例を示す図である。
【0065】
第2データベース35は、各エレベータ1の混雑時間、カレンダー、天気、テナントなどの引っ越し、建物BLD内の工事、建物BLDやその近隣で開催されるイベント(例えば地域のお祭りやそれに伴う建物BLDの近隣の交通規制など)に関する情報などを含んでいる。
【0066】
混雑時間に関する情報とは、エレベータ1の利用が集中する時間に関する情報を含んでいる。エレベータ1の利用が集中する時間とは、一般の利用者のオフィスフロアへの出勤時間帯および退勤時間帯、テナントへの配送のピークの時間帯、大きな会合がある時の開始直前に上りのエレベータが使用される時間などである。カレンダーに関する情報とは、年、月、日、曜日、祝祭日、テナントの休業日などを含んでいる。
【0067】
天気に関する情報とは、毎日の天気に関する天気予報などを含んでいる。引っ越しに関する情報とは、テナントの入退店に伴う引っ越しの日付、引っ越しの時間、引っ越しの所要時間、引っ越しがある階などである。イベントに関する情報とは、イベントの種類、イベントの時間などである。なお、第2データベース35は、さらに他の情報を含んでもよい。
【0068】
管理システム100は、第1データベース33および第2データベース35を適宜更新する。第1データベース33は、例えば管理システム100における予約の処理および作業完了の処理がなされると更新される。
【0069】
第2データベース35に記憶された各種情報は、予め定められたタイミングで更新されてもよいし、リアルタイムで更新されてもよいし、各種端末(例えば、後述の利用者端末)からの情報の取得に応じて、適宜更新されてもよい。
【0070】
管理システム100は、図1に示すように、テナント端末81をさらに備えてもよい。テナント端末81は、ネットワークNを介して、サーバ3と通信可能に接続されている。テナント端末81は、例えば各階における各テナントに少なくとも1つ設置されている。
【0071】
テナント端末81は、例えば持ち運び可能なタブレット端末である。図1においては、地上階9Fのテナントに設置されたテナント端末81を示している。テナント端末81は、例えばテナントの従業員によって操作される。
【0072】
管理システム100は、図1に示すように、荷捌きスペース端末83をさらに備えてもよい。荷捌きスペース端末83は、ネットワークNを介して、サーバ3と通信可能に接続されている。
【0073】
荷捌きスペース端末83は、例えば荷捌きスペース10に少なくとも1つ設置されている。荷捌きスペース端末83は、例えば持ち運び可能なタブレット端末である。荷捌きスペース端末83は、例えば荷捌きスペース10の管理人、車両V1のドライバなどによって操作され、必要な情報を入力するとともに、これらの操作者に対して予約に関する状況や荷捌きスペース10の予約情報などを提供する。
【0074】
管理システム100は、図1に示すように、車両端末85をさらに備えてもよい。車両端末85は、ネットワークNを介して、サーバ3と通信可能に接続されている。車両端末85は、例えば車両V1に1つ設置されている。車両端末85は、例えば車両V1のドライバなどによって操作される。
【0075】
本実施形態において、テナント端末81、荷捌きスペース端末83および車両端末85は、利用者端末の一例に相当する。テナント端末81、荷捌きスペース端末83および車両端末85は、例えばCPUなどのプロセッサ、ROM、RAMなどの記憶装置、外部とのインターフェースなどを備えるコンピュータによって構成されている。テナント端末81、荷捌きスペース端末83および車両端末85は、プロセッサが記憶装置に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。
【0076】
管理システム100においては、第1データベース33および第2データベース35に記憶された情報がテナント端末81、荷捌きスペース端末83および車両端末85などによって閲覧可能に構成されている。第1データベース33に記憶された予約情報は、例えば、エレベータ1、荷物スペース20、駐車スペース30ごとの予約状況として、閲覧可能であってもよい。
【0077】
これにより、テナントの従業員や荷捌きスペース10の管理人、車両V1のドライバなどは、予約情報によって、エレベータ1、車両V1および荷捌きスペース10の空き具合、混雑具合、到着予定の車両V1が予定通り到着したか、車両V1が出発したかどうかなど、管理システム100における管理が意図した通りうまく稼働しているかを確認できる。
【0078】
管理システム100は、エレベータ1、荷捌きスペース10および車両V1を管理するために、以下の機能を備えている。
[F1]荷物に関する荷物情報47を取得する機能。
[F2]混雑情報に基づいて、荷物情報47が示す荷物を待機させる荷捌きスペース10を予約する機能。
[F3]混雑情報に基づいて、荷物情報47が示す荷物を運搬するエレベータ1を予約する機能。
[F4]予約された荷捌きスペース10の予約情報に基づいて、荷物を運搬する車両V1を予約する機能。
[F5]予約された車両V1の到着情報を取得する機能。
[F6]予約されたエレベータ1の予約情報に基づいて、エレベータ1を制御する機能。
[F7]荷捌きの完了情報を取得する機能。
【0079】
機能F1~F7によって、管理システム100における予約システムが構成されている。なお、管理システム100が管理する対象は、エレベータ1、荷捌きスペース10および車両V1に限られず、他の要素をさらに管理してもよい。
【0080】
図5および図6は、本実施形態に係る管理システム100における処理の一例を示すフローチャートである。図7は、利用者端末の表示部DSの一例を示す図である。
【0081】
以下では、図5および図6に示されたフローチャートに沿って、管理システム100における機能F1~F7がサーバ3の制御部31によって実現される例について説明する。ここでは、テナントからの荷物の搬出を想定し、予約の処理および予約が入った日時の処理について説明する。
【0082】
以下においては、予約の処理および予約が入った日時の処理がトラブルなく行われる例を示すが、予約の変更、キャンセル、車両V1の到着の遅延などが発生する場合もある。このような予約情報の変更に影響を与える処理は、図5および図6に示されたフローチャートに途中から割り込んで行われるが、予約の処理の流れには変更がないため、ここでは説明を省略する。
【0083】
[予約の処理]
テナントの従業員がテナント端末81を操作し、搬出予定の荷物の荷物情報47を入力する。従業員は、搬出希望の時間(例えば、午前、午後)などをさらに入力してもよい。これにより、サーバ3の制御部31は、テナント端末81から荷物情報47を取得する(工程S101)。工程S101における処理は、機能F1に相当する。
【0084】
制御部31は、混雑情報に基づいて、荷物情報47が示す荷物を待機させる荷捌きスペース10を予約する(工程S102)。荷捌きスペース10の予約は、例えば荷物スペース20の区画200および駐車スペース30の区画300のそれぞれを予約することを含んでいる。工程S102における処理は、機能F2に相当する。
【0085】
工程S102において、制御部31は、荷物情報47を取得すると、混雑情報に基づいて、予約可能な荷物スペース20の区画200を特定する。
【0086】
制御部31は、特定された区画200の予約可能な時間をテナント端末81に出力する。テナント端末81は、例えば、当該情報を取得すると、特定された区画200の予約可能な時間を表示部DSに表示する。図7においては、表示部DS(例えば、ディスプレイ)に3つの予約可能な時間が表示されている。表示される時間の幅は、それぞれ異なってもよいし、同じでもよい。ここでは、利用者端末がテナント端末81に相当する。
【0087】
予約可能な時間が複数ある場合には、従業員は複数の時間の中から所望の時間を1つ選択する。従業員が所望の時間を選択すると、制御部31は、テナント端末81から選択された時間の情報を取得する。これにより、制御部31は、選択された時間において、荷物を待機させる荷物スペース20の区画200を予約する。
【0088】
続いて、制御部31は、荷物スペース20の区画200が予約された時間に基づいて、予約可能な駐車スペース30の区画300を特定し、予約する。これにより、荷物スペース20の区画200および駐車スペース30の区画300が決まる。その結果、制御部31における工程S102の処理が完了する。
【0089】
制御部31が混雑情報に基づいて、荷物スペース20の区画200および駐車スペース30の区画300を特定する例を説明する。
【0090】
制御部31は、例えば、エレベータ1の混雑情報に基づいて、荷物スペース20の区画200と予約可能な時間を特定する。具体的には、制御部31は、第1データベース33に記憶されたエレベータ1の予約情報41に含まれるかご番号および当該かごを有するエレベータ1のエレベータ予約時間を抽出することにより、予約が入っていないエレベータ1の下かご7と、予約可能な時間と、を特定する。
【0091】
さらに、制御部31は、特定された時間に基づいて、荷物スペース20の区画200に空きがあるか否かを判断する。
【0092】
制御部31は、例えば、第1データベース33に記憶された荷物スペース20の予約情報43に含まれる荷物スペース番号および当該荷物スペース20の荷物スペース予約時間を抽出することにより、荷物スペース20の区画200に空きがあるか否かを判断する。
【0093】
空きがあると判断された時間は、エレベータ1が混雑している時間を回避した時間であるとともに、荷物スペース20の区画200を予約可能な時間の候補となり得る。言い換えると、エレベータ1による荷物の運搬可能な時間である。これにより、混雑している時間を回避した時間をテナント端末81を通じて、利用者に知らせることができる。特定される時間は、少なくとも1つであればよく、2つ以上であってもよい。
【0094】
制御部31は、特定された荷物スペース20の区画200の予約が入っていない時間のうち、第2データベース35に記憶された荷捌きに影響を与えるような要素に関する情報に基づいて、テナント端末81に出力する時間の候補をさらに特定してもよい。
【0095】
例えば、制御部31は、第2データベース35に記憶された混雑情報に含まれる一般の利用者のピークの時間、引っ越しに関する情報に含まれる引っ越しの時間、イベントに関する情報に含まれるイベントの時間などを抽出する。
【0096】
制御部31は、特定された荷物スペース20の区画200の予約が入っていない時間が第2データベース35から抽出された時間と重複しない場合には特定された時間をテナント端末81に出力し、重複する場合には特定された時間を時間の候補から除外してもよい。
【0097】
特定された時間の候補が複数ある場合には、制御部31は、複数のうち、時間の候補に対して優先順位をさらに決めてもよい。
【0098】
制御部31は、第1データベース33に記憶された駐車スペース30の予約情報45に含まれる駐車スペース番号および当該駐車スペース30の駐車スペース予約時間を抽出することにより、予約が入っていない駐車スペース30の区画300と、予約可能な時間を特定し、予約する。
【0099】
ここで特定される時間は、例えば荷物スペース20が予約された時間よりも後(未来)の時間である。ただし、駐車スペース30の区画300が予約される時間は、例えば荷物スペース20が予約された時間を含んでもよい。
【0100】
駐車スペース30の区画300の予約においても、制御部31は、第2データベース35に記憶された引っ越しに関する情報に含まれる引っ越しの時間、イベントに関する情報に含まれるイベントの時間などを抽出してもよい。
【0101】
制御部31は、特定された駐車スペース30の区画300の予約が入っていない時間が第2データベース35から抽出された時間と重複しない場合、特定された時間で駐車スペース30の区画300を予約する。
【0102】
例示した他にも、荷物スペース20の区画200および駐車スペース30の区画300は、種々の方法で特定できる。例えば、制御部31は、第1データベース33に記憶された各予約情報および第2データベース35に記憶された情報から、他の情報を抽出し、荷物スペース20の区画200および駐車スペース30の区画300を特定してもよい。
【0103】
続いて、制御部31は、エレベータ1の混雑情報に基づいて、エレベータ1を予約する(工程S103)。エレベータ1の予約とは、複数のエレベータ1の下かご7のいずれかを予約することに相当する。工程S103における処理は、機能F3に相当する。
【0104】
工程S102において、制御部31は、エレベータ1の下かご7の予約が入っていない時間を特定している。そのため、工程S103において、制御部31は、当該時間において、予約可能なエレベータ1の下かご7を特定し、予約する。
【0105】
続いて、制御部31は、エレベータ1を予約すると、予約された荷捌きスペース10の予約情報に基づいて、荷物を運搬する車両V1を予約する(工程S104)。工程S104における処理は、機能F4に相当する。
【0106】
工程S104において、制御部31は、第1データベース33に保存された駐車スペース30の予約情報45に含まれる駐車スペース番号および駐車スペース予約時間を抽出し、サーバ3の記憶装置(図示しない)に予め登録されている車両V1のうち、駐車スペース30の区画300が予約された時間に配車可能な車両V1を特定し、車両V1を予約する。
【0107】
この際、制御部31は、荷物情報47の荷物の種類に基づいて、荷物の輸送に適した機能を持つ車両V1を予約してもよい。予約される車両V1の台数は、荷物情報47に応じて、適宜変更される。
【0108】
これにより、荷物を運搬する車両V1が決まる。言い換えると、荷捌きスペース10への車両V1が進入、車両V1への積み込みの予約が決まる。制御部31は、車両V1を予約すると、荷捌きスペース10への車両V1の到着予定時刻をさらに決めてもよい。
【0109】
続いて、制御部31は、工程S101~工程S104による予約情報を第1データベース33に記憶する。これにより、荷物を待機させる荷物スペース番号、荷物スペース20の予約時間、駐車スペース番号、駐車スペース30の予約時間、車両番号、かご番号、かごの種類、エレベータ1の予約時間などが決まる。
【0110】
さらに、制御部31は、工程S101~工程S104による予約情報に対して予約番号を割り当て、予約情報を更新する。テナントの従業員は、例えば当該予約番号によって第1データベース33に記憶された情報を呼び出すことができる。
【0111】
制御部31は、第1データベース33に予約された予約情報をテナント端末81にさらに出力してもよい。これにより、従業員は、荷捌きスペース10、エレベータ1、車両V1が予約されたことを確認できる。以上により、制御部31による予約の処理が完了し、テナントからの荷物の搬出における予約が完了する。
【0112】
工程S101~工程S104において、荷捌きスペース10,エレベータ1および車両V1のいずれかを予約できない場合、制御部31は、テナント端末81にその情報を出力してもよい。
【0113】
これにより、従業員は、再度、荷捌きスペース10などの予約をやり直すことができる。制御部31は、利用者の希望の時間に予約ができない場合、希望の時間とは異なる、予約可能な時間の候補をテナント端末81に出力してもよい。
【0114】
[予約が入った日時の処理]
工程S104において予約された車両V1が荷捌きスペース10に到着する。車両V1が駐車する駐車スペース30の区画300は予約されているため、車両V1の駐車スペース30への進入および駐車は、円滑に行われる。車両V1が到着すると、例えば荷捌きスペース10の管理人が荷捌きスペース端末83を操作し、車両V1の到着情報を入力する。
【0115】
これにより、サーバ3の制御部31は、荷捌きスペース端末83から車両V1の到着情報を取得する(工程S201)。工程S201における処理は、機能F5に相当する。この際、制御部31は、車両V1が駐車スペース30に到着した到着時間を予約情報に追加してもよい。
【0116】
車両V1の到着情報は、車両V1のドライバが荷捌きスペース端末83または車両端末85を操作することによって入力されてもよい。また、車両V1の到着情報は、荷捌きスペース10に設置されたセンサ87が車両V1の到着を検知した信号を制御部31に出力することによって、制御部31が車両V1の到着情報を取得してもよい。
【0117】
また、制御部31は、車両V1に搭載されたGPSの位置情報および道路の混雑状況を加味したカーナビゲーションシステムの到着予想情報等を取得することで車両V1の到着情報を取得してもよい。
【0118】
この際、制御部31は、カーナビゲーションシステムでは把握しきれないような、建物BLDの周囲の詳細な混雑状況を加味して、車両V1の位置情報に基づいて、車両V1の到着予定時刻をさらに精度よく算出してもよい。制御部31は、例えば、ネットワークNを介して通信可能に接続された、建物BLDに設置された監視カメラ、車両V1に設置されたドライブレコーダなどから、詳細な混雑状況に関する情報を取得できる。
【0119】
制御部31は、到着予定時刻を算出後、車両V1に対して到着予定時刻を調整する必要があるか否かを判断してもよい。制御部31は、例えば算出された到着予定時刻と工程S104で決められた到着予定時刻とを比較し、時刻のずれが規定時間(例えば、10分)以上であれば調整が必要である判断する。
【0120】
制御部31は、調整後、調整に伴う情報を車両端末85などに出力する。調整に伴う情報とは、工程S104で決められた到着予定時刻よりも早い場合における建物BLDの近くの適切な場所で待機するような指示であり、工程S104で決められた到着予定時刻よりも遅い場合における到着予定時刻を後ろ倒しするような指示である。なお、調整に伴う情報は、これらの例に限られない。
【0121】
また、制御部31は、車両V1の到着に応じて、車両V1(例えば車両端末85)からの駐車スペース30への進入の申請を取得したり、取得した申請に対して、進入を許可するという情報を車両V1(例えば車両端末85)に出力したり、してもよい。
【0122】
続いて、制御部31は、予約されたエレベータ1の予約情報41に基づいて、エレベータ1を制御する(工程S202)。工程S202における処理は、機能F6に相当する。具体的には、制御部31は、第1データベース33に記憶されたエレベータ1の予約情報に含まれるかご番号とエレベータ予約時間、および階を抽出し、エレベータ1を制御する。
【0123】
制御部31は、例えばエレベータ予約時間に基づいて、エレベータ1の下かご7を荷物が搬出される階まで移動するようにエレベータ1を制御する。これにより、テナントからエレベータ1の下かご7への荷物の積み込みを円滑に行うことができる。そして、従業員は、エレベータ1で運搬した荷物を予約された荷物スペース20の区画200まで運搬し、荷物を待機させておくことができる。
【0124】
例えば、荷物が運搬時に特別な配慮を必要とする物の場合、当該荷物を乗降場所FLなどで長時間待機させることは好ましくない。そのため、エレベータ1の予約情報41に基づいてエレベータ1を制御することによって、待機時間を短くできる。
【0125】
荷物スペース20では搬出予定の荷物が予約された区画200で待機しているため、車両V1のドライバは、駐車スペース30に到着すると、荷物を車両V1にすぐに積み込むことができる。
【0126】
以上のように、管理システム100であれば、駐車スペース30の区画300への車両V1の進入および駐車、テナントからの荷物の搬出、荷物スペース20の区画200での待機、および荷物スペース20の区画200から車両V1への荷物の運搬を円滑に行うことができる。
【0127】
エレベータ1の予約時間、車両V1の到着時間、荷物スペース20の予約時間に基づいて、工程S201および工程S202における処理の順番は適宜変更されてもよい。制御部31は、一例として、到着情報に基づいて、エレベータ1を制御する。具体的には、制御部31は、エレベータ1の到着情報の取得後に、エレベータ1の制御を開始する。制御部31は、他の例として、到着情報を取得しなくとも、エレベータ1の予約時間に基づいて、エレベータ1を制御してもよい。
【0128】
車両V1への荷物の積み込みが終了すると、車両V1が荷捌きスペース10から出発する。車両V1が出発すると、例えば荷捌きスペース10の管理人が荷捌きスペース端末83を操作し、作業の完了情報を入力する。これにより、制御部31は、荷捌きスペース端末83から作業の完了情報を取得する(工程S203)。工程S203における処理は、機能F7に相当する。
【0129】
作業の完了情報は、車両V1のドライバが荷捌きスペース端末83または車両端末85を操作することによって入力されてもよい。また、作業の完了情報は、荷捌きスペース10に設置されたセンサ87が車両V1の出発を検知した信号を制御部31に出力することによって、制御部31が作業の完了情報を取得してもよい。
【0130】
続いて、制御部31は、完了情報に基づいて、予約情報のフラグに作業完了示すフラグをたて、予約情報を更新する。この際、制御部31は、荷捌きが完了した完了時間を予約情報に追加してもよい。制御部31は、作業の完了情報をテナント端末81にさらに出力してもよい。これにより、従業員は、作業完了を確認できる。以上により、制御部31による予約が入った日時の処理(作業完了の処理)が完了し、テナントからの荷物の搬出が完了する。
【0131】
制御部31は、建物BLDにおいてトラブルが発生し、荷捌きが一時的に不可能になったり、予定通りに作業を進められなくなったりした場合の情報を取得した場合には、車両V1の到着前に車両端末85にその情報を出力してもよい。
【0132】
トラブルとは、例えば荷捌きスペース10における車両の接触事故でその処置を行っている場合、建物BLD内で火事があった場合、エレベータ1や建物BLDにおける後述の搬送車の不具合で予定していた作業に遅れが出た場合などである。
【0133】
これにより、建物BLDの近くまで来た車両V1が駐車スペース30に進入できず、建物BLDの近隣で待機することを回避できる。これにより、車両V1のドライバは、建物BLDに運搬する荷物以外の他の荷物の運搬を優先して行うことができる。
【0134】
建物BLDにおける荷捌きにおいて、荷物は、荷捌きスペース10を介して、エレベータ1と車両V1との間を運搬される。荷物はエレベータ1の下かご7によって運搬されるが、上かご6は一般の利用者を運搬する。
【0135】
そのため、エレベータ1による荷物の運搬においては、一般の利用者によってエレベータ1が混雑している時間、エレベータ1が予約されている時間を回避することが望ましい。
【0136】
管理システム100においては、混雑情報に基づいて、荷捌きスペース10およびエレベータ1を予約する。具体的には、第1データベース33に記憶された予約情報と、第2データベース35に記憶された情報(上かご6が運搬する一般利用者の混雑時間など)とに基づくことで、制御部31は、一般の利用者の混雑状況を考慮し、荷捌きスペース10およびエレベータ1を予約する。
【0137】
言い換えると、管理システム100は、異なる対象物(一般の利用者と荷物)の状況をそれぞれ考慮した上で、エレベータ1および荷捌きスペース10を管理している。エレベータ1の混雑情報に基づいてエレベータ1を予約しているため、荷物の運搬をエレベータ1の混雑する時間を回避して行うことができるとともに、一般の利用者の観点からは、荷物の運搬によって上かご6の使用が妨げられにくい。管理システム100であれば、混雑情報に応じて、下かご7を使用する荷物の運搬を抑制できる。
【0138】
また、管理システム100であれば、荷捌き用エレベータ用の専用のエレベータシャフトを設置しなくとも、建物BLDにおける荷捌きを円滑に行い、荷捌きサービスの品質を保つことができる。
【0139】
テナントからの荷物の搬出を想定し、管理システム100における予約の処理および予約が入った日時の処理について説明したが、テナントへの荷物の搬入においても、搬出時と同様に、工程S101~S104,S201~S203の処理がなされる。
【0140】
以下では、ネットワークNを介してサーバ3と通信可能に接続された、運送会社の事業所などに設置された図示しない端末(コンピュータ)を用いて予約する例を説明するが、予約する端末は、テナント端末81であってもよいし、車両端末85であってもよい。
【0141】
例えば、工程S101においては、運送会社の従業員が端末を操作し、搬入予定の荷物の荷物情報47を入力する。サーバ3の制御部31は、端末から荷物情報47を取得する(工程S101)。続いて、工程S102において、制御部31は、以下の処理をする。
【0142】
制御部31は、荷物情報47を取得すると、エレベータ1の混雑情報に基づいて、予約可能な荷物スペース20の区画200を特定する。制御部31は、特定された区画200の予約可能な時間を利用者端末に出力する。
【0143】
従業員が所望の時間を選択すると、制御部31は、端末から選択された時間の情報を取得する。これにより、制御部31は、選択された時間において、荷物を待機させる荷物スペース20の区画200を予約する。
【0144】
続いて、制御部31は、荷物スペース20の区画200が予約された時間に基づいて、予約可能な駐車スペース30の区画300を特定し、予約する。ここで予約される時間は、例えば荷物スペース20が予約された時間よりも前(過去)の時間である。ただし、駐車スペース30の区画300が予約される時間は、例えば荷物スペース20が予約された時間を含んでもよい。
【0145】
続いて、制御部31は、エレベータ1の混雑情報に基づいて、エレベータ1を予約する(工程S103)。続いて、制御部31は、エレベータ1を予約すると、工程S102において予約された荷捌きスペース10の予約情報に基づいて、荷物を運搬する車両V1を予約する(工程S104)。
【0146】
続いて、制御部31は、工程S101~工程S104による予約情報を第1データベース33に記憶する。さらに、管理システム100は、工程S101~工程S104による予約情報に対して予約番号を割り当て、予約情報を更新する。
【0147】
予約が入った日時において、車両V1が駐車する駐車スペース30の区画300は予約されているため、車両V1は駐車スペース30に進入し、すぐに駐車できる。そして、ドライバは、荷物を車両V1から予約された荷物スペース20の区画200まで運搬し、荷物を待機させておくことができる。
【0148】
制御部31は、予約されたエレベータ1の予約情報41に基づいて、エレベータ1を制御する(工程S202)。具体的には、制御部31は、エレベータ予約時間に基づいて、エレベータ1の下かご7を荷捌きスペース10がある地階B2まで移動するようにエレベータ1を制御する。これにより、荷物スペース20から予約されたエレベータ1への荷物の積み込み、テナントへの荷物の搬入を円滑に行うことができる。
【0149】
管理システム100であれば、駐車スペース30の区画300への車両V1の進入および駐車、車両V1から荷物スペース20の区画200への運搬、荷物スペース20の区画200での待機、およびテナントへの荷物の搬入を円滑に行うことができる。
【0150】
以上のように構成された管理システム100であれば、建物BLDの利用者の利便性を向上させることができる。具体的には、荷物の搬出や搬入の際、エレベータ1、荷物スペース20、駐車スペース30、および車両V1を確実に確保できる。
【0151】
これにより、荷捌きスペース10に荷物が無理に持ち込まれたり、荷捌きスペース10が混み合ったり、荷物が荷捌きスペース10で長時間が滞留したり、エレベータ1や駐車スペース30の利用者が長時間待機したりすることを抑制したり、回避したりできる。
【0152】
その結果、例えば、駐車スペース30を待つための車両V1の渋滞や車両V1の道路への駐停車の発生を抑制するとともに、駐車スペース30の占有時間の短縮や、荷物スペース20および駐車スペース30の不足の解消などを実現できる。
【0153】
駐車スペース30の不足が解消できるということは、建物を計画する段階において、管理システム100が適用しない建物に必要とされる面積よりも小さい面積で同等の荷捌き機能を発揮することができることを意味する。
【0154】
エレベータ1、荷捌きスペース10および車両V1の管理は、人手で段取りすることは極めて煩雑である。本実施形態に係る管理システム100であれば、混雑情報に基づいて、エレベータ1、荷捌きスペース10および車両V1をまとめて管理できる。これにより、例えば荷捌きスペース10の管理人などの手間を省くことができる。
【0155】
本実施形態に係る管理システム100であれば、異なる対象物を運搬する複数のかご(上かご6および下かご7)を1つのエレベータシャフト4に設置することで、1つのエレベータシャフト4を有効に活用できる。言い換えると、建物BLDにおけるエレベータ1の空間を有効に活用できる。
【0156】
さらに、本実施形態に係る管理システム100であれば、荷捌き用エレベータの専用のエレベータシャフトを設置する必要がないため、建物BLDに設置されるエレベータ1の数を削減できる。これにより、各階において、エレベータシャフト4が占有する面積を減らすことができる。その結果、各階のフロアや建物BLD全体における計画の自由度を広げることができる。
【0157】
他の観点から、本実施形態に係る管理システム100であれば、建物BLDの設計段階から、荷捌きスペース10およびその周辺の床面積を必要以上に大きく確保する必要性がなくなる。
【0158】
本実施形態に係る管理システム100は、既存の建物BLDに対しても適用できる。例えば、既存の建物BLDの荷捌きスペース10の床面積において、管理システム100を適用する前と比較して、より多くの荷物の荷捌きに対応できる。
【0159】
さらには、既存の建物BLDのみの荷捌きが想定された荷捌きスペース10を、近隣の建物を含めた共同の荷捌きスペースとして利用する場合には、荷物の荷捌き量が増加する可能性がある。このような場合であっても、本実施形態に係る管理システム100であれば、荷捌きスペース10の荷捌き能力を向上させることができ、新たな荷捌き需要に対応することができる。
【0160】
本実施形態に係る管理システム100は、例えば、即日配達や翌日配達が急速に普及している状況に対応することもできるし、近い将来予想される自動運転車の実現および実用化にも対応できる。以上のように、本実施形態であれば、建物BLDの利用者の利便性を向上させることができる管理システム100を提供することができる。以上説明した他にも、本実施形態からは種々の好適な作用が得られる。
【0161】
図1においては、荷捌きスペース10が地階B2にある例を開示したが、中間階に第2の荷捌きスペースが設けられる場合もある。
【0162】
具体的には、低層階(例えば1階から5階)に劇場などが設置されている場合、オフィスに行く人は劇場の階には止まらず、6階以上にあるオフィスエントランスと呼ばれる、乗り換えのためのフロア(乗り換え階)に直通のエレベータで向かう。そのため、地上階の建物入り口から乗り換え階までは乗車定員の大きい輸送能力のあるエレベータが設置される。
【0163】
このような場合、乗り換え階までエレベータの下かごと乗り換え階よりも上に向かうエレベータの下かごとの間で荷物を乗り換える必要がある。例えば、中間階(例えば乗り換え階)に第2の荷捌きスペースが設けられる。
【0164】
このような場合であっても、本実施形態に係る管理システム100であれば、この乗り換え階の混雑情報や予約情報を適切に管理することによって、管理システム100の機能を十分に発揮することができる。
【0165】
建物BLDが免震構造を有する高層ビルである場合、免震構造を中間階に入れることがある。エレベータ1が免震構造の中間階を貫通(通過)するため、免震構造を有する高層ビルにも乗り換えのためのフロア(乗り換え階)を設置する必要がある。このような場合にも、乗り換え階のすぐ下などに第2の荷捌きスペースを設けることで対応できる。
【0166】
本実施形態においては、サーバ3の制御部31が機能F1~F7を備える例を開示したが、管理システム100は、少なくとも1つの機能F1~F7を実現可能な複数の装置(システム)として構成されてもよい。管理システム100には、運送会社のシステムが含まれてもよい。
【0167】
運送会社のシステムは、例えば、運送会社において複数の車両を用いた運送事業を管理するためのシステムである。運送会社のシステムは、CPUなどのプロセッサ、ROM、RAMなどの記憶装置、外部とのインターフェースなどを備えるコンピュータによって構成されている。
【0168】
車両端末85は、運送会社のシステムに含まれてもよい。運送会社のシステムによって車両V1が予約される場には、制御部31が運送会社のシステムで予約された情報を取得することによって予約が確定する。
【0169】
工程S101においては、テナント端末81および車両端末85から荷物情報47が入力される例を開示したが、荷物情報47の入力は、図示しない他のシステムなどから入力されてもよい。
【0170】
管理システム100におけるエレベータ1、荷捌きスペース10および車両V1の予約の処理は、上述の例に限られない。管理システム100は、他の機能をさらに備えてもよい。以下では、管理システム100における各機能がサーバ3の制御部31によって実現される例について説明する。
【0171】
[F8]混雑情報に基づいて、利用者に予約に関する情報を提供する機能。
制御部31は、例えば、上述の工程S102において、荷物情報47を取得すると、混雑情報に基づいて、予約に関する情報を特定し、当該情報を利用者端末に出力する。制御部31は、例えば、上述の予約可能な時間とともに、当該情報を利用者端末に出力する。工程S102における処理は、機能F8に相当する処理を含んでいる。利用者端末は、テナント端末81であってもよいし、荷捌きスペース端末83であってもよいし、車両端末85であってもよい。
【0172】
予約に関する情報とは、省エネ、混雑を回避するための情報である。予約に関する情報とは、例えば、どの時点であれば荷物の搬入が可能か、あるいはゴミを搬出可能か、どの時間帯であればトラックを駐車しておいても問題はないかなどの情報である。
【0173】
また、予約に関する情報には、他の例では、荷物情報47の入力時より先(未来)において、荷捌きスペース10、建物BLDの周囲の交通が混雑するかを予想した情報である。上述の予約に関する情報は、利用者に対して提供されるお勧め情報の一例に相当する。
【0174】
制御部31は、例えば、第1データベース33に記憶された荷物スペース20の予約情報43に含まれる荷物スペース番号および当該荷物スペース20の荷物スペース予約時間、第2データベース35に記憶された混雑情報に含まれる一般の利用者のピークの時間、引っ越しに関する情報に含まれる引っ越しの時間、天気に関する情報、イベントに関する情報に含まれるイベントの時間などを適宜抽出し、予約に関する情報を特定する。
【0175】
[F9]料金に関する情報に基づいて、荷物の運搬に必要な料金を算出する機能。
料金に関する情報とは、荷物スペース20の区画200,駐車スペース30の区画300など荷捌きに関する施設の利用に伴う料金に関する情報である。当該料金は、例えば、時間、曜日、季節、イベントの有無などによって変動する。
【0176】
料金に関する情報は、第2データベース35に記憶されていてもよいし、ネットワークNを介して通信可能に接続された記憶装置に記憶されていてもよい。料金は、例えば建物BLDの所有者側からテナントが徴収される。
【0177】
制御部31は、例えば上述の工程S102において、荷物情報47を取得すると、混雑情報および料金に関する情報に基づいて、区画200の予約可能な時間を特定するとともに、予約可能な時間に応じた、荷物の運搬に必要な料金を算出する。工程S102における処理は、機能F9に相当する処理を含んでいる。荷物の運搬に必要な料金は、例えば、予約時間に応じた、荷物スペース20の区画200の料金、駐車スペース30の区画300の料金、これらの料金の合計金額などである。ここでは、機能F9に相当する処理が工程S102である例を説明するが、機能F9に相当する処理が他の工程において行われてもよい。
【0178】
制御部31は、例えば、特定された区画200の予約可能な時間とともに、算出した料金に基づいて、所定のパターンで作成された情報を利用者端末に出力する。所定のパターンとは、料金の違い、搬入および搬出の可能な時間の違いに基づいて作成されたパターンである。
【0179】
より具体的には、所定のパターンは、例えば金額が最も安いパターン、最も早く荷物の運搬ができるパターンなどである。利用者端末は、テナント端末81であってもよいし、荷捌きスペース端末83であってもよいし、車両端末85であってもよい。
【0180】
これにより、利用者は、例えばどの時間帯に利用すれば料金が安いのか、あるいは高いのかを把握することができる。言い換えると、利用者においては、予約時に時間を優先するか、料金を優先するかなど選択枝の幅が広がる。上述の制御部が算出した料金は、利用者に対して提供されるお勧め情報の一例である。
【0181】
他の例として、制御部31は、下かご7の利用を推奨する時間帯を特定してもよい。制御部31は、推奨する時間帯に利用すれば利用料金が安くなるというような情報を利用者端末に出力してもよい。さらに、制御部31は、推奨する時間帯に従った場合における特典(テナントへのポイントの付与)に関する情報を利用者端末にさらに出力してもよい。
【0182】
このように荷捌きスペース10などの施設を利用することによって料金が発生する場合、制御部31は、その課金情報を利用者側または決済管理会社に通知したり、適切なタイミングまで累積的に加算を行って、月次の清算などの際に利用者端末などに出力したり、してもよい。
【0183】
[F10]複数の荷物情報47に基づいて、複数の荷物をまとめて運搬するために予約を調整する機能。
予約を調整するとは、複数の荷物をまとめて荷捌きするために、エレベータ1、荷捌きスペース10および車両V1の予約を調整することである。
【0184】
制御部31は、例えば、複数の荷物情報47に含まれる荷物の種類、数量、サイズを抽出し、まとめて運搬可能な荷物を所定の区画200に集め、当該荷物が当該区画200の規定量を超えないように管理する。規定量は、例えば荷物スペース20に関する情報の1つとして予めサーバ3に記憶されている、区画200に待機可能な荷物の数量、区画200に待機可能な荷物の総質量などである。
【0185】
制御部31は、荷物スペース20の区画200に集める荷物が規定量に到達すると、車両V1による搬出やテナントへの搬入がなされるように、エレベータ1および車両V1を予約する。
【0186】
他の例として、規定量は、可燃物などの一般の廃棄物の搬出において、決まった日時に廃棄物を収集する車両V1の積載上限であってもよい。この場合、制御部31は、荷物スペース20の区画200(例えば廃棄物専用)に廃棄物を蓄積するために、各テナントが廃棄物の搬出に利用するエレベータ1を予約してもよい。
【0187】
予約の調整は、第1データベース33に記憶された複数の荷物情報47に基づいて、工程S102において行われてもよいし、所定のタイミングで行われてもよい。
【0188】
複数の荷物をまとめて荷捌きすることによって、荷物情報47を取得するたびに駐車スペース30の区画300を予約する場合と比較して、駐車スペース30の占有時間を短縮し、区画300が空いている時間を確保しやすくなる。
【0189】
制御部31は、荷物の集荷のタイミングにおいて、所定の荷物スペース20の区画200に荷物が集められるように、荷捌きスペース10、エレベータ1および車両V1を予約してもよい。集められる荷物は、例えば定常的に運搬される物である。
【0190】
この場合、制御部31における機能F10に相当する処理は、予め決められたタイミングによって、工程S101~S104の処理をする。言い換えると、制御部31は、荷捌きのスケジュールを作成する。
【0191】
作成されたスケジュールによって各テナントが荷物を搬入および搬出することによって、建物BLDにおける荷捌きを円滑に行うことができる。例えば、荷物が定常的に運搬される物である場合、搬入および搬出ごとに荷物情報47の入力作業を省略できる。
【0192】
例えば、廃棄物処理業者や宿泊施設の物品のサプライヤや洗濯業者は、定期的に決まった曜日の決まった時間に荷物を取りに来る。そのため、制御部31は、集荷のタイミングまでに荷物スペース20の区画200に荷物が集められているように、建物BLDの荷物の搬出のスケジュールを作成してもよい。
【0193】
他の例としては、管理システム100は、下かご7で運搬する荷物によって、エレベータの積載量を調整してもよい。エレベータ1には、カウンターウエイト(図示しない)が設置されている。カウンターウエイトは、エレベータシャフト4内をエレベータ1とは反対の方向に動く。カウンターウエイトは、例えば、エレベータのかごおよび積載量上限のおおよそ半分に合わせて設定されている。
【0194】
例えば、出勤時間帯は、オフィスフロアに向かう上りのエレベータ1はほぼ満員であるのに対し、下りのエレベータ1に乗車している人は少ない場合がある。利用者がいないエレベータ1であっても、エレベータ1の下り運転の際には、カウンターウエイトを持ち上げるためにエネルギーが消費される。これに対し、下りのエレベータ1が混雑している退勤時間帯においては、上りのエレベータ1に乗車している人は少ない場合がある。
【0195】
制御部31は、出勤時間帯における下りのエレベータ1の下かご7を荷物の搬出に利用してもよい。具体的には、制御部31は、荷物の搬出において、例えば出勤時間帯からエレベータ1の予約可能な時間を特定してもよい。
【0196】
この場合、制御部31は、カウンターウエイトに応じて、搬出する荷物の積載量を適宜調整してもよい。これにより、エレベータ1のモータの消費エネルギーを抑制できる。制御部31は、同様に、退勤時間帯における上りのエレベータ1の下かご7を荷物の搬入に利用してもよい。
【0197】
以上のように荷物の運搬において下かご7を利用することによって、管理システム100は、建物BLD全体における省エネを実現できる。なお、ここで運搬される荷物は、搬出および搬入のタイミングを待つことができるものである。
【0198】
制御部31は、例えば、工程S103において、エレベータの運用上、省エネになる時間帯があれば省エネに協力する場合のお勧めの時間帯を利用者端末(例えばテナント端末81)に出力してもよい。省エネになる時間帯は、利用者に対して提供されるお勧め情報(予約に関する情報)の一例に相当する。
【0199】
エレベータ1において、下かご7の対象物は荷物に限られない。下かご7は、一般の利用者以外の利用者を運搬してもよい。一般の利用者以外の利用者とは、例えばVIPである。この場合、VIPは、エレベータが運搬する対象物の一例に相当する。ただし、一般の利用者以外の利用者は、VIPに限られない。
【0200】
この場合、荷捌きスペース10がVIP専用のスペースに相当し、荷物スペース20はVIP専用のラウンジに相当し、駐車スペース30がVIP専用の車寄せ、あるいはVIP専用の駐車スペースに相当し、車両V1はVIP専用の車両に相当する。
【0201】
VIP専用のスペースは、待機スペースの一例に相当する。VIP専用のスペースは、例えば荷捌きスペース10とは異なる階に設けられてもよい。VIP用の下かご7は、上かご6と出入口が同じ位置になるように扉71が設けられてもよい。
【0202】
VIP用の下かご7は、上かご6の出入口の位置および荷物用の下かご7の出入口の位置のそれぞれと異なる位置になるように扉71が設けられてもよい。VIP用の下かご7の乗降場所FLには、特定の階において、VIP専用スペースがあってもよい。
【0203】
下かご7がVIPを運搬する場合であっても、管理システム100は、工程S101~S104,S201~S203の処理をする。予約情報としては、荷物情報47の代わりに、VIPに関する情報が記憶される。
【0204】
管理システム100であれば、VIPを運搬する場合であっても、建物BLDにVIP専用エレベータあるいはVIP専用エレベータのためのエレベータシャフトを設ける必要がない。そのため、各階において、エレベータシャフト4が占有する面積をさらに減らすことができる。
【0205】
VIPの場合、例えば送迎の際において、VIPをエレベータ1の乗降場所FLやラウンジに長時間待機させておくことは好ましくない。管理システム100であれば、VIPの建物BLDへの到着から、建物BLD内における移動、および建物BLDからの出発までを円滑に行うことができ、VIPを不必要に待機させることを回避できる。
【0206】
次に、他の実施形態について説明する。なお、以下に述べる他の実施形態において、上述した第1実施形態と同様の構成要素には、第1実施形態と同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略あるいは簡略化する場合がある。
【0207】
[第2実施形態]
図8は、本実施形態に係る管理システム100の構成例を示す図である。管理システム100は、自動搬送車である搬送車V3をさらに管理してもよい。本実施形態において、搬送車V3は、第2車両の一例に相当する。搬送車V3とは、自動走行で目的地まで荷物を運搬可能な車両である。搬送車V3には、種々の機構を適用できる。搬送車V3は、例えば充電可能なバッテリを駆動源としているが、この例に限られない。
【0208】
搬送車V3は、ネットワークNを介して、サーバ3と通信可能な通信手段を備えている。搬送車V3は、一例では建物BLDの内部をテナントと荷捌きスペース10との間において、車両V1が運搬する荷物を運搬する。車両V1が運搬する荷物とは、建物BLDに搬入される荷物、建物BLDから搬出される荷物などである。
【0209】
搬送車V3は、例えば建物BLDに複数配置されている。サーバ3には、搬送車V3に関する情報、搬送車V3が通るテナントと荷捌きスペース10とのルートに関する情報などが予め記憶装置(図示しない)に記憶されている。
【0210】
搬送車V3は、同一の特性(機能や性能)を持った車両だけでなく、荷物の特性に応じて複数の種類が配置されていてもよい。搬送車V3の種類は、例えば廃棄物専用の搬送車、レストランやホテルのための食材搬入のための冷蔵機能を持った搬送車などである。
【0211】
本実施形態に係る管理システム100は、以下の機能をさらに備えている。
【0212】
[F11]予約された荷捌きスペース10の予約情報に基づいて、荷物を運搬する搬送車V3を予約する機能。
[F12]予約された搬送車V3の予約情報に基づいて、搬送車V3を制御する機能。
【0213】
図9および図10は、本実施形態に係る管理システム100における処理の一例を示すフローチャートである。以下では、テナントからの荷物の搬出を想定し、機能F11,F12がサーバ3の制御部31によって実現される例について説明する。
【0214】
ここでは、管理システム100における搬送車V3の予約および予約が入った日時の処理について説明する。なお、第1実施形態と同様の処理をする工程については、説明を適宜省略する。
【0215】
工程S104の後、制御部31は、工程S102において予約された荷捌きスペース10の予約情報に基づいて、荷物を運搬する搬送車V3をさらに予約する(工程S301)。工程S301における処理は、機能F11に相当する。
【0216】
制御部31は、第1データベース33に記憶された荷物スペース20の予約情報43に含まれる荷物スペース番号および荷物スペース予約時間を抽出し、サーバ3の記憶装置(図示しない)に予め登録されている搬送車V3のうち、配車可能な搬送車V3を特定し、搬送車V3を予約する。
【0217】
この際、制御部31は、荷物情報47の荷物の種類をさらに抽出し、荷物の輸送に適した機能を持つ搬送車V3を予約してもよい。予約される搬送車V3の台数は、荷物情報47に応じて適宜変更される。これにより、荷物を運搬する搬送車V3が決まる。
【0218】
制御部31は、搬送車V3が通るテナントと荷捌きスペース10とのルートをさらに決めてもよい。複数の搬送車V3が予約される場合には、搬送車V3の並び順がさらに決められてもよい。
【0219】
第1データベース33に記憶される予約情報は、予約された搬送車V3を識別するための識別情報である搬送車番号、搬送車V3の台数、搬送車V3の予約時間、搬送車V3の質量などをさらに含んでもよい。
【0220】
予約が入った日時において、制御部31は、予約された搬送車V3の予約情報に基づいて、搬送車V3を制御する(工程S302)。工程S302における処理は、機能F12に相当する。エレベータ1の予約時間、車両V1の到着時間、荷物スペース20の予約時間、搬送車V3の予約時間に基づいて、工程S301における処理の順番は適宜変更されてもよい。制御部31は、一例として、到着情報に基づいて、搬送車V3を制御する。制御部31は、他の例として、到着情報を取得しなくとも、エレベータ1の予約時間および搬送車V3の予約時間の少なくとも1つに基づいて、搬送車V3を制御してもよい。
【0221】
具体的には、制御部31は、第1データベース33に予約された予約情報に含まれる搬送車番号および搬送車V3の予約時間を抽出し、搬送車V3を制御する。これにより、搬送車V3は、予約情報に基づいて、荷物をテナントから荷捌きスペース10へ運搬できる。
【0222】
エレベータ1は予約されたエレベータ1の予約情報に基づいて、制御部31によって制御されているため、搬送車V3はエレベータ1を介して、テナントから荷捌きスペース10へ円滑に荷物を運搬できる。
【0223】
搬送車V3は、例えば、荷物を乗せた状態で、荷物スペース20で待機している。待機している搬送車V3は、駐車スペース30に待機している車両V1までさらに移動してもよい。これにより、搬送車V3から荷物を直接車両V1に積みこむことができる。
【0224】
ここでは、テナントからの荷物の搬出を想定し、搬送車V3について説明したが、テナントへの荷物の搬入においても、搬出時と同様に、管理システム100における各処理がなされる。
【0225】
例えば、搬入時においては、荷物スペース20に予約された搬送車V3を待機させておく。搬送車V3に荷物が積まれると、予約情報に基づいて、搬送車V3がテナントまで荷物を運搬する。
【0226】
搬送車V3であれば、テナントと荷捌きスペース10との間の荷物の運搬を担うことができる。そのため、テナントと荷捌きスペース10との間の運搬をする人の労力を削減できる。
【0227】
搬送車V3であれば、荷物の搬送をエレベータ1の需要が少ない深夜のうちに無人で行うことができる。荷物情報47の入力もテナント端末81から無人で行われてもよい。制御部31は、荷捌きスペース10の混雑情報に基づいて、各階に搬送車V3を待機させておいてもよい。
【0228】
なお、搬送車V3は、他の例では、荷捌きスペース10と近隣の建物BLD2(図8に示す)との間において、荷物を運搬してもよい。近隣の建物BLD2は、建物BLDとは異なる建物の一例に相当する。搬送車V3は、さらに他の例では、テナントと荷捌きスペース10との間、および荷捌きスペース10と近隣の建物BLD2との間において、荷物を運搬してもよい。言い換えると、搬送車V3は、複数(2つ以上)の建物の間において、荷物を運搬してもよい。
【0229】
これらの場合、搬送車V3は、例えば、近隣の建物BLDのテナントまで荷物を運搬してもよい。搬送車V3は、建物BLDの内部のみを走行する場合と建物BLDの外部を走行する場合とにおいて、仕様がそれぞれ異なってもよい。
【0230】
また、テナントからの荷物を積んだ搬送車V3がその状態で車両V1にそのまま乗ってもよいし、荷物を積んだ搬送車V3が車両V1から降りて、その状態でテナントまで荷物を運搬してもよい。
【0231】
本実施形態に係る管理システム100は、以下の機能をさらに備えてもよい。以下では、管理システム100における各機能がサーバ3の制御部31によって実現される例について説明する。
【0232】
[F13]搬送車情報に基づいて、搬送車V3を制御する機能。
搬送車情報とは、搬送車V3の稼働状況、搬送車V3のバッテリの充電状況などのステータスに関する情報である。稼働状況には、搬送車V3の位置、搬送車V3が運搬する荷物の積載量、運搬している荷物の種類などが含まれる。充電状況には、バッテリの残量、残りの運転可能時間などが含まれる。制御部31は、ネットワークNを介して、搬送車V3から搬送車情報を適宜取得する。
【0233】
制御部31は、工程S301において、搬送車V3を予約するために、搬送車情報に含まれる稼働状況をさらに抽出してもよい。制御部31は、搬送車情報に含まれる、搬送車のバッテリの充電状況を抽出し、搬送車V3への充電が必要か否かを判断してもよい。
【0234】
制御部31は、充電状況に応じて(例えば充電の残量が規定量以下の場合)、充電等のメンテンスのために所定の位置(例えば、建物BLDに設けられた搬送車V3の充電場所)まで、搬送車V3を移動させてもよい。このようなメンテナンスのための搬送車V3を制御する機能F13に相当する処理は、工程S301,S302において行われてもよいし、所定のタイミングで行われてもよい。
【0235】
[F14]搬送車V3の周囲の情報を取得する機能。
[F15]取得された搬送車V3の周囲の情報を利用者端末に出力する機能。
【0236】
搬送車V3の周囲の情報とは、搬送車V3の周囲の映像、温度、騒音などである。他の観点からは、搬送車V3の周囲の情報には、運搬中の荷物が遭遇する環境が含まれる。取得された搬送車V3の周囲の情報は、荷物が運搬中にどのような環境下に置かれていたかを記録する情報でもある。搬送車V3は、周囲を撮影するためのカメラ、周囲の温度、騒音を計測するセンサなどをさらに有してもよい。搬送車V3の周囲とは、建物BLDの内部だけでなく、荷捌きスペース10、建物BLDの外部、近隣の建物も含む。
【0237】
制御部31は、搬送車V3を介して、カメラで撮影した周囲の映像、センサで計測した気温などの周囲の情報を取得してもよい。制御部31は、これらの情報を記憶装置に記憶する。搬送車V3による周囲の情報の取得(制御部31における機能F14に相当する処理)は、搬送車V3が稼働中において、予め定められたタイミングで行われてもよいし、リアルタイムで行われてもよい。
【0238】
制御部31は、取得された搬送車V3の周囲の情報を利用者端末に出力してもよい。制御部31における機能F15に相当する処理は、例えば搬送車V3が稼働中において、予め定められたタイミングで行われてもよいし、リアルタイムで行われてもよい。これにより、利用者は、周囲の情報に基づいて、気温、人通りの多寡、建物BLDの周囲の雨や道路の積雪や凍結の可能性などの情報、荷捌きスペース10がどのくらい混雑しているなどを把握できる。
【0239】
搬送車V3が無人で搬送作業を行うだけでなく、必要に応じて利用者(建物BLDの監視員や警備員)は、周囲の情報によって、搬送車V3の周囲の異常の有無をチェックすることができる。搬送車V3は無人で運転するため、周囲の通行人からの破壊、荷物の盗難などの被害を受ける可能性がある。周囲の映像を記録し、撮影した映像を必要に応じて利用者がチェックすることで、周囲の通行人からの破壊、運搬中の荷物の盗難などの被害を抑制するという効果を得ることができる。
【0240】
[第3実施形態]
図11は、本実施形態に係る管理システム100の構成例を示す図である。図12は、図11に示されたエレベータ1の概略的な斜視図である。本実施形態においては、エレベータ1が上かごおよび下かごの少なくとも1つを交換可能に構成されている点で第1実施形態と相違する。以下では、一例として、下かごが交換可能な場合について説明する。
【0241】
エレベータ1は、上かごと下かごとを連結する連結機構80を備えている。連結機構80は、例えば下かごを他の下かごと交換(着脱)可能に構成されている。連結機構80には、種々の機構を適用できる。連結機構80は、一例では自動で下かごを交換可能に構成されている。
【0242】
建物BLDには、予め運搬する対象物に応じて、複数の下かごが設けられている。複数の下かごは、例えば異なる特性を持つ対象物を運搬することに適応した機能を有している。複数の下かごには、荷物用かご7A、VIP用かご7B、廃棄物用かご7Cが含まれる。これらのかご7A,7B,7Cの内部、扉の構造などは、対象物の特性に応じて適宜変更される。
【0243】
例えば、荷物用かご7Aは、荷物の運搬に使用される台車、パレットなどに適した構造や汚れやその洗浄剤に対して強い耐性をもつ素材であってもよい。廃棄物用かご7Cは、人が乗ることがない場合などおいて、紫外線を照射する殺菌灯を備えてもよい。
【0244】
下かごが交換可能である場合であっても、管理システム100は、工程S101~S104,S201~S203の処理をする。例えば、制御部31は、工程S202において、予約されたエレベータ1の予約情報および荷物情報47に基づいて、下かごを交換する必要があるか否かを判断する。言い換えると、制御部31は、対象物の特性に応じて、下かごを交換する必要があるか否かを判断する。
【0245】
下かごの種類と対象物とが一致している場合には下かごの交換が不要であると判断し、一致していない場合には下かごの交換が必要であると判断する。下かごの交換が必要である場合には、制御部31は、エレベータ1の下かごを交換する。以上の処理は、エレベータの制御の一例に相当する。ここでは、下かごが交換可能である例を開示したが、上かごが交換可能であってもよいし、上かごおよび下かごがそれぞれ交換可能であってもよい。
【0246】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。対象物に応じて複数のかごを予め準備しておくことで、1つのエレベータシャフトにおいて、より多くの対象物を運搬できる。対象物に応じてかごを交換すればよいため、かごのメンテナンスが容易となる。
【0247】
また、本実施形態における下かごの種類は、上述の例に限られない。他の仕様に応じた下かごを準備し、運搬する対象物に応じて適宜交換することによって、異なる対象物の運搬に柔軟に対応することができる。
【0248】
なお、各実施形態において、管理システム100によるエレベータ1、荷捌きスペース10、および車両V1の予約は、緊急を要するような対象物の運搬を制限するものではない。
【0249】
各実施形態において、管理システム100は、複数のエレベータ1、複数の荷物スペース20の区画200、および複数の駐車スペース30の区画300を管理する例を開示したが、管理システム100が管理するエレベータ1、荷物スペース20の区画200および駐車スペース30の区画300は、1つでもよい。
【0250】
各実施形態において、エレベータ1がダブルデッキエレベータである例を開示したが、エレベータは、シングルデッキエレベータであってもよいし、マルチデッキエレベータであってもよい。管理システム100は、荷捌き用エレベータ、VIP用エレベータなどを管理するために適用されてもよい。
【0251】
各実施形態においては、待機スペースの例として、荷捌きスペースおよびVIP専用のスペースを開示したが、これらの例に限られない。待機スペースには、各階で対象物を待機させる場所、各階に運ばれた対象物が同一の階の異なるテナントや配達先に運ばれるのを待つために待機する場所を含んでもよい。例えば、工程S102において、制御部31は、建物BLDの各階のテナント側にあるエレベータ1の乗降場所FL前にある荷物の待機スペースを予約してもよい。
【0252】
各実施形態において、階ごとに階の上下方向の高さ(いわゆる階高)が異なる場合がある。このような場合、上かご6および下かご7は、同時にいずれかの階に停止し、扉を開けて荷物や乗客の出入りを行わない。例えば、上かご6または下かご7のどちらか一方は、いずれかの階に停止し、扉を開いているが、他方は扉を開けることができない場合もある。
【0253】
各実施形態において、車両V1、搬送車V3によって対象物(例えば荷物、VIP)を運搬する例を開示したが、この例に限られない。対象物(例えば荷物、VIP)を運搬する手段は、建物BLDの上からアクセス可能な手段(例えば、ヘリコプター、ドローン、空飛ぶタクシーなど)でもよい。管理システム100は、これらの手段も管理してもよい。この場合、各実施形態における荷捌きスペースに相当する施設は、例えば建物BLDの屋上に設けられてもよいし、屋上近くの階などに設けられてもよい。これにより、例えば荷物の荷捌き、VIPの送迎を円滑に行うことができる。
【符号の説明】
【0254】
1…エレベータ、2…制御装置、3…サーバ、4…エレベータシャフト、10…荷捌きスペース、20…荷物スペース、30…駐車スペース、31…制御部、33…第1データベース、35…第2データベース、61…扉、71…扉、100…管理システム、BLD…建物、V1…車両、V3…搬送車。
【要約】
【課題】 建物の利用者の利便性を向上することが可能な管理システムを提供する。
【解決手段】 一実施形態に係る管理システムは、エレベータが運搬する対象物を待機させる待機スペースを管理する管理システムである。前記管理システムは、前記対象物に関する対象物情報を取得する第1取得手段と、前記エレベータの混雑情報に基づいて、前記対象物情報が示す前記対象物を待機させる前記待機スペースを予約する第1予約手段と、を備えている。
【選択図】 図1
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