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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20241125BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20241125BHJP
   H01M 10/6552 20140101ALI20241125BHJP
   H01M 10/6554 20140101ALI20241125BHJP
   H01M 50/213 20210101ALI20241125BHJP
   H01M 50/262 20210101ALI20241125BHJP
【FI】
H01M50/204 401H
H01M10/613
H01M10/6552
H01M10/6554
H01M50/213
H01M50/262 S
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023501658
(86)(22)【出願日】2021-09-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-07
(86)【国際出願番号】 KR2021012746
(87)【国際公開番号】W WO2022060145
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-01-11
(31)【優先権主張番号】10-2020-0119949
(32)【優先日】2020-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・フン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ・ハン・ユン
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・フン・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ス・ハ
【審査官】吉川 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-157721(JP,A)
【文献】特開2005-116438(JP,A)
【文献】特開2013-012441(JP,A)
【文献】国際公開第2019/230325(WO,A1)
【文献】特表2019-514192(JP,A)
【文献】特開2015-022830(JP,A)
【文献】特開2014-238928(JP,A)
【文献】特開2011-171029(JP,A)
【文献】特開2014-192010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20 - 50/298
H01M 10/60 - 10/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に収容空間を有する外ケースと、
内部に収納空間を有し、前記収容空間に配設されている内ケースと、
前記収納空間に収納されている複数の電池セルと、
前記収容空間に配置されており、前記電池セルを冷却可能なように前記内ケースと前記外ケースの一方の側の壁体との間に介設されているヒートシンクと、
前記収容空間に配置されており、前記内ケースを前記ヒートシンク側に押し付け可能なように、少なくとも一部が前記一方の側の壁体に対向する前記外ケースの他方の側の壁体と前記内ケースとの間に介設されており、前記内ケースに接触して押し付けている押付部と、
前記外ケースの他方の側の壁体、前記押付部材、前記内ケース、及び前記ヒートシンクを貫通して前記外ケースの一方の側の壁体に締結されている複数の締結部材と、を備え
前記押付部材は、中空状に形成されてい電池モジュール。
【請求項2】
前記締結部材は、前記外ケース、前記押付部材、前記内ケース、及び前記ヒートシンクを一体に締結することを特徴とする請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記締結部材は、前記内ケースの周りに沿って配置されている請求項またはに記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記押付部材の前記内ケースと接触される面には、前記内ケースに向かって突出する押付突起が配備されており、
前記内ケースの前記押付部材と接触される面には、前記押付突起が嵌入可能な嵌入溝が配備されている請求項からのいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記ヒートシンクの前記内ケースと接触される面には、前記内ケースに向かって突出する冷却突起が配備されており、
前記内ケースの前記ヒートシンクと接触される面には、前記冷却突起が貫通可能な貫通孔が配備されている請求項からのいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記冷却突起と前記貫通孔は複数本配備されており、
前記冷却突起は、前記貫通孔を介して前記電池セルのそれぞれと接触可能なように配置されている請求項に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記冷却突起と前記貫通孔は複数本配備されており、
前記電池セルと前記内ケースの壁体との間に冷却プレートが介設されており、
前記冷却突起は、前記貫通孔を介して前記冷却プレートと接触されていることを特徴とする請求項に記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池モジュールに係り、さらに詳しくは、ヒートシンクを用いて複数の電池セルを有効に冷却させることのできる電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電池モジュールは、複数の電池セルから構成されている。電池セルは、電極組立体であって、正極及び負極集電体と、セパレータ―と、活物質と、電解液などを備えて構成要素同士の間の電気化学的な反応によって繰り返し充電と放電を行うことが可能である。
【0003】
このとき、電池セルは、充電または放電を行う最中に熱を生じさせる。このような熱を取り除くことができなければ、電池セルの劣化が促され、場合によっては、電池セルの発火または爆発が起こる虞がある。
【0004】
従来においては、ヒートシンクを用いて電池セルを冷却していた。すなわち、電池セルを収納するケースとヒートシンクとの間に熱伝導材料(TIM:Thermal Interface Material)を介設して、ヒートシンクにて電池セルを間接的に冷却していた。しかしながら、電池セルとヒートシンクとの間の距離が伸びて、冷却効率が低下してしまうという不都合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】韓国公開特許第10-2014-0077272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ヒートシンクを用いて複数の電池セルを有効に冷却させることのできる電池モジュールを提供する。
【0007】
本発明は、ヒートシンクの歪みを抑制もしくは防止することのできる電池モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、内部に収容空間を有する外ケースと、内部に収納空間を有し、前記収容空間に配設されている内ケースと、前記収納空間に収納されている複数の電池セルと、前記収容空間に配置されており、前記電池セルを冷却可能なように前記内ケースと前記外ケースの一方の側の壁体との間に介設されているヒートシンクと、前記収容空間に配置されており、前記内ケースを前記ヒートシンク側に押し付け可能なように、少なくとも一部が前記一方の側の壁体に対向する前記外ケースの他方の側の壁体と前記内ケースとの間に介設されている押付部と、を備える。
【0009】
前記押付部は、前記内ケースに接触して押し付ける押付部材と、前記外ケースの他方の側の壁体、前記押付部材、前記内ケース、及び前記ヒートシンクを貫通して前記外ケースの一方の側の壁体に締結されている複数の締結部材と、を備え、前記締結部材は、前記外ケース、前記押付部材、前記内ケース、及び前記ヒートシンクを一体に締結することを特徴とする。
【0010】
前記押付部材は、中空状に形成されている。
【0011】
前記締結部材は、前記内ケースの周りに沿って配置されている。
【0012】
前記押付部材の前記内ケースと接触される面には、前記内ケースに向かって突出する押付突起が配備されており、前記内ケースの前記押付部材と接触される面には、前記押付突起が嵌入可能な嵌入溝が配備されている。
【0013】
前記ヒートシンクの前記内ケースと接触される面には、前記内ケースに向かって突出する冷却突起が配備されており、前記内ケースの前記ヒートシンクと接触される面には、前記冷却突起が貫通可能な貫通孔が配備されている。
【0014】
前記冷却突起と前記貫通孔は複数本配備されており、前記冷却突起は、前記貫通孔を介して前記電池セルのそれぞれと接触可能なように配置されている。
【0015】
前記冷却突起と前記貫通孔は複数本配備されており、前記電池セルと前記内ケースの壁体との間に冷却プレートが介設されており、前記冷却突起は、前記貫通孔を介して前記冷却プレートと接触されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の実施形態によれば、電池セルとヒートシンクとの間の距離を縮めることができる。このため、ヒートシンクが電池セルに近づいた位置において電池セルから発せられる熱を吸収することができる。したがって、ヒートシンクを用いて、電池セルを有効に冷却することができる。
【0017】
また、電池セルを収納するケースとヒートシンクを全体的に一様に密着させることができる。このため、ヒートシンクの歪みを抑制もしくは防止することができる。したがって、ヒートシンクの寿命と耐久性が向上して、ヒートシンクにて電池セルを安定的に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る電池モジュールの構造を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る内ケースとヒートシンクとの連結構造を示す図である。
図3】本発明の他の実施形態に係る内ケースとヒートシンクとの連結構造を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る押付部材とヒートシンクとの連結構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施形態についてさらに詳しく説明する。しかしながら、本発明は以下に開示される実施形態に何ら限定されるものではなく、異なる様々な形態に具体化され、単にこれらの実施形態は本発明の開示を完全たるものにし、通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものである。図面は、本発明の実施形態を正確に説明するために大きさが誇張されてもよく、図中、同じ符号は、同じ構成要素を指し示す。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係る電池モジュールの構造を示す図であり、図2は、本発明の一実施形態に係る内ケースとヒートシンクとの連結構造を示す図であり、図3は、本発明の他の実施形態に係る内ケースとヒートシンクとの連結構造を示す図であり、図4は、本発明の実施形態に係る押付部材とヒートシンクとの連結構造を示す図である。
【0021】
本発明の実施形態に係る電池モジュールは、電子装備や電子装置に電源を供給する装置である。図1を参照すると、電池モジュール100は、外ケース110と、電池セル120と、内ケース130と、ヒートシンク140と、押付部150と、を備える。
【0022】
外ケース110は、内部に収容空間を有する。例えば、外ケース110は、直方体のボックス状に形成されてもよい。したがって、収容空間に内ケース130、ヒートシンク140、及び押付部150を収容することが可能になる。
【0023】
このとき、外ケース110は、少なくとも一部に開口が形成される外ケース本体、及び本体に形成された開口を開閉可能な外ケースカバーを備えていてもよい。したがって、開口を介して収容空間に内ケース130、ヒートシンク140、及び押付部150を入り込ませて配設することが可能になる。しかしながら、外ケース110の構造と形状はこれに何ら限定されず、種々に変更可能である。
【0024】
電池セル120は、円筒状に形成されてもよい。電池セル120は、複数配備されてもよい。電池セルは、内ケース130の内部に収納されてもよい。例えば、電池セル120は、内ケース130の内部における予め定められた位置に並べて配置されてもよい。
【0025】
内ケース130は、内部に電池セルを収納する収納空間を有する。例えば、内ケース130は、直方体のボックス状に形成されてもよい。したがって、収納空間に電池セル120を収納することが可能になる。
【0026】
また、内ケース130の体積は、外ケース110の内部体積よりも小さく形成されてもよい。このため、内ケース130を外ケース110の収容空間に配設することが可能になる。内ケース130と外ケース110の内部壁体とは、互いに離れていてもよい。
【0027】
このとき、内ケース130は、少なくとも一部に開口が形成される内ケース本体、及び本体に形成された開口を開閉可能な内ケースカバーを備えていてもよい。したがって、開口を介して収納空間に電池セル120を入り込ませて配設することが可能になる。しかしながら、内ケース130の構造と形状はこれに何ら限定されず、種々に変更可能である。
【0028】
ヒートシンク140は、外ケース110の収容空間に配置される。ヒートシンク140は、内ケース130と外ケース110の一方の側の壁体との間に介設されてもよい。例えば、ヒートシンク140の上部は内ケース130の下部と接触し、ヒートシンク140の下部は外ケース110の内部の底面と接触されるように配設されてもよい。
【0029】
このとき、内ケース130とヒートシンク140との間に別途の熱伝導材料(TIM:Thermal Interface Material)を介設しなくてもよい。したがって、電池セル120とヒートシンク140との間の距離が縮められて、ヒートシンク140が電池セル120を有効に冷却することができる。
【0030】
さらに、ヒートシンク140の内部には、冷媒が移動する流路が形成されてもよい。例えば、冷媒は、冷却水であってもよい。冷媒は、ヒートシンク140の流路を通過しながら、電池セル120から熱を吸収してもよい。したがって、ヒートシンク140にて電池セル120を冷却することができる。
【0031】
このとき、ヒートシンク140の上部面の面積は、内ケース130の下部面の面積に等しいかあるいはそれよりも大きくてもよい。したがって、ヒートシンク140を内ケース130の下部面の全体と接触させることができるので、ヒートシンク140が内ケース130に収納された電池セル120の全体を容易に冷却することができる。
【0032】
また、ヒートシンク140は、熱伝導性の高い材質から作製されてもよい。例えば、ヒートシンク140は、アルミニウムやアルミニウム合金の素材から作製されてもよい。したがって、ヒートシンク140が電池セル120から発せられる熱を容易に吸収することができる。
【0033】
一方、図2に示すように、ヒートシンク140に冷却突起141が配備されてもよい。冷却突起141は、ヒートシンク140の内ケース130と接触する面(または、上部面)から内ケース130に向かって(または、上側に向かって)突設されてもよい。例えば、冷却突起141は、円筒状に形成されてもよい。しかしながら、冷却突起141の形状はこれに何ら限定されず、種々に変更可能である。
【0034】
このとき、図2(a)に示すように、内ケース130のヒートシンク140と接触する面(または、下部面)には、冷却突起141が貫通可能な貫通孔131が配備されてもよい。冷却突起141の上下方向の長さは、貫通孔131の上下方向の長さに等しいかあるいはそれよりも長くてもよい。したがって、ヒートシンク140の冷却突起141が貫通孔131を介して内ケース130の内部の電池セル120と直接的に接触することができる。このため、ヒートシンク140が電池セル120をさらに有効に冷却することができる。
【0035】
また、冷却突起141は、複数本配備されてもよい。貫通孔131もまた、冷却突起141が配備される本数に見合う分だけ複数本配備されてもよい。例えば、冷却突起141と貫通孔131は、電池セル120が配備される数に見合う分だけ配備されてもよい。冷却突起141と貫通孔131は、電池セル120のそれぞれの位置に合わせて配置されてもよい。したがって、図2の(b)に示すように、冷却突起141は、貫通孔131を貫通して、電池セル120のそれぞれと直接的に接触することができる。このため、冷却突起141と直接的に接触する電池セル120の数が増えて、電池セル120をさらに有効に冷却することができる。しかしながら、ヒートシンク140の構造と材質及び冷却突起141の配備本数はこれに何ら限定されず、種々に変更可能である。
【0036】
このとき、冷却突起141が貫通孔131内に嵌入すれば、内ケース130とヒートシンク140とが位置合わせされ、内ケース130とヒートシンク140とが互いに安定的に結合することが可能になる。したがって、電池モジュール100の作製及びメンテナンスを行い易くなる。
【0037】
一方、電池モジュール100は、図3(a)に示すように、冷却プレート160をさらに備えていてもよい。冷却プレート160が配備されれば、図3(b)に示すように、冷却突起141は電池セル120に直接的に接触されず、冷却プレート160と接触されることができる。冷却プレート160の面積は、内ケース130の収納空間の面積よりも小さく形成されてもよい。このため、電池モジュール100の内ケース130の収納空間に配置することが可能になる。冷却プレート160は、電池セル120と内ケース130の壁体との間に介設されてもよい。
【0038】
さらに、冷却プレート160は、内ケース130の収納空間の周りの形状に倣って形成されてもよい。例えば、冷却プレート160は、四角板状に形成されてもよい。冷却プレート160の上部面は電池セル120の全体と接触され、冷却プレート160の下部面は冷却突起141と接触してもよい。すなわち、冷却突起141が貫通孔131を貫通して内ケース130の内部の冷却プレート160と直接的に接触してもよい。このため、電池セル120の全体の熱が冷却プレート160に吸収され、ヒートシンク140が冷却プレート160の熱を吸収することができる。したがって、たとえ冷却突起141の本数が電池セル120の数よりも少なく配備されるか、あるいは、冷却突起141と電池セル120の位置がずれていたとしても、冷却プレート160を介してヒートシンク140が電池セル120の全体の熱を容易に吸収することができる。
【0039】
このとき、冷却プレート160は、熱伝導性の高い材質から作製されてもよい。例えば、冷却プレート160は、アルミニウムやアルミニウム合金の素材から作製されてもよい。したがって、冷却プレート160が電池セル120から発せられる熱をヒートシンク140に容易に伝達することができる。しかしながら、冷却プレート160の形状及び材質はこれに何ら限定されず、種々に変更可能である。
【0040】
押付部150は、外ケース110の収容空間に配置される。押付部150は、少なくとも一部が外ケース110の一方の側の壁体(または、下壁体)に対向する外ケース110の他方の側の壁体(または、上壁体)と内ケース130との間に介設されてもよい。押付部150は、内ケース130をヒートシンク140側(または、下側)に押し付けて、内ケース130をヒートシンク140に密着させてもよい。押付部150は、押付部材151、及び締結部材152を備える。
【0041】
押付部材151は、内ケース130の周りの形状に倣って形成されてもよい。押付部材151の上部は外ケース110の内部の天井面と接触され、押付部材151の下部は内ケース130の上部と接触するように配設されてもよい。したがって、内ケース130を間に挟んでヒートシンク140の反対側に押付部材151が位置することができる。このため、外ケース110の収容空間に押付部材151、内ケース130、及びヒートシンク140を上下方向に沿って一列に配置することが可能になる。
【0042】
このとき、押付部材151の下部面の面積は、内ケース130の上部面の面積に等しいかあるいはそれよりも大きくてもよい。したがって、ヒートシンク140を内ケース130の上部面の全体と接触させることができるので、押付部材151が内ケース130の上部面の全体を下側に一様に押し付けることができる。このため、内ケース130を全体的に一様にヒートシンク140に密着させることが可能になる。
【0043】
さらに、押付部材151は、熱伝導性の高い材質から作製されてもよい。例えば、押付部材151は、アルミニウムやアルミニウム合金の素材から作製されてもよい。したがって、押付部材151は、電池セル120から発せられる熱が内ケース130に伝達され、押付部材151は、内ケース130の熱を放出することができる。このため、電池セル120の上端から発せられる熱は、押付部材151によって放出され、電池セル120の下端はヒートシンク140によって冷却されて、電池セル120の温度が上がることを有効に抑制もしくは防止することができる。
【0044】
このとき、押付部材151は、中空状に形成されてもよい。すなわち、押付部材151を断面に切断すると、内部が空いているパイプ状に形成されてもよい。したがって、押付部材151の重量を減量させることができる。このため、電池モジュール100の重量を減量させることができる。
【0045】
さらにまた、押付部材151が中空状に形成されるので、外部から加えられる力によって押付部材151の形状が容易に変更させることが可能になる。すなわち、押付部材151が弾性を有することが可能になる。このため、押付部材151が伸縮性を有し、ヒートシンク140を押し付けることができる。したがって、押付部材151の損傷を抑制もしくは防止しながら、押付部材151がヒートシンク140を押し付ける力を安定的に増やすことができる。
【0046】
一方、図4に示すように、押付部材151に押付突起151aが配備されてもよい。押付突起151aは、押付部材151の内ケース130と接触する面(または、下部面)から内ケース130に向かって(または、下側に向かって)突設されてもよい。例えば、押付突起151aは、円筒状に形成されてもよい。しかしながら、押付突起151aの形状はこれに何ら限定されず、種々に変更可能である。
【0047】
このとき、図4(a)に示すように、内ケース130の押付部材151と接触する面(または、上部面)に押付突起151aが嵌入可能な嵌入溝132が配備されてもよい。押付突起151aと嵌入溝132によって、押付部材151と内ケース130とを互いに安定的に結合することが可能になる。
【0048】
また、押付突起151aは、複数本配備されてもよい。嵌入溝132もまた、押付突起151aが配備される本数に見合う分だけ複数本配備されてもよい。押付突起151aは、互いに異なる嵌入溝132に嵌入してもよい。このため、図4の(b)に示すように、押付部材151と内ケース130とが接触される面積が増えて、さらに安定的に互いに結合されることが可能になり、押付部材151が内ケース130を介して電池セル120から発せられる熱をさらに有効に放出することができる。しかしながら、押付部材151の構造と材質及び押付突起151aの配備本数はこれに何ら限定されず、種々に変更可能である。
【0049】
このとき、押付突起151aが嵌入溝132内に嵌入すれば、押付部材151と内ケース130とを位置合わせすることが可能になる。内ケース130とヒートシンク140とは、冷却突起141と貫通孔131によって位置合わせすることが可能になるので、押付部材151、内ケース130、及びヒートシンクを上下に容易に位置合わせすることが可能になる。したがって、電池モジュール100の作製及びメンテナンスを行い易くなる。
【0050】
締結部材152は、ボルト状に形成されてもよい。締結部材152は、押付部材151が内ケース130を押し付ける度合いを調節してもよい。締結部材152を締め付けると、押付部材151が内ケース130を下側にさらに強く押し付け、締結部材152を緩めると、押付部材151が内ケース130を下側に押し付ける力が弱くなる。
【0051】
さらに、締結部材152は、上下方向に延びてもよい。締結部材152の上下方向の長さは、外ケース110の収容空間の上下方向の長さよりも長く、外ケース110の全体の上下方向の長さよりは短く形成されてもよい。このため、締結部材152が外ケース110の他方の側の壁体(または、上部)、押付部材151、内ケース130、及びヒートシンク140を貫通して、外ケース110の一方の側の壁体(または、下部)に締結されることが可能になる。したがって、締結部材152は、外ケース110、押付部材151、内ケース130、及びヒートシンク140を一体に締結して安定的に結合することができる。
【0052】
このとき、締結部材152は、電池セル120及びヒートシンク140に形成された流路から離れて内ケース130とヒートシンク140を貫通してもよい。したがって、締結部材152を貫通させるとき、締結部材152が電池セル120や流路を損傷させてしまうことを防ぐことができる。
【0053】
さらにまた、締結部材152は、複数配備されてもよい。締結部材152は、内ケース130の周りに沿って配置されてもよい。押付部材151が内ケース130の上部面を全体的に一様に下側に押し付けてもよく、押付部材151によって内ケース130がヒートシンク140の上部面を全体的に一様に下側に押し付けてもよい。
【0054】
このとき、内ケース130とヒートシンク140との間に別途の熱伝達材料(TIM:Thermal Interface Material)を介設しない場合、ヒートシンク140の上部面が一様に押し付けられず、その結果、冷媒の流圧によってヒートシンクが歪まれてしまうという不都合が生じる虞がある。しかしながら、押付部材151と締結部材152によって、内ケース130がヒートシンク140の上部面に密着されてヒートシンク140の上部面の全体を一様に押し付けるので、ヒートシンク140の歪みを抑制もしくは防止することができる。
【0055】
また、締結部材152は、熱伝導性の高い材質から作製されてもよい。例えば、締結部材152は、アルミニウムやアルミニウム合金の素材から作製されてもよい。したがって、締結部材152が内ケース130の収納空間の熱を押付部材151やヒートシンク140に容易に伝達することができる。このため、内ケース130の収納空間に収納された電池セル120をさらに有効に冷却することができる。しかしながら、締結部材152の構造と材質、及び貫通や締結が行われる方向はこれに何ら限定されず、種々に変更可能である。
【0056】
一方、電池モジュール100の作製方法について述べる。電池モジュール100の作製方法は、内ケース130の収納空間に電池セル120を収納する過程、押付部材151、内ケース130、及びヒートシンク140を外ケース110の収容空間に配設する過程、並びに締結部材152にて外ケース110、押付部材151、内ケース130、及びヒートシンク140を結合する過程を含んでいてもよい。
【0057】
まず、内ケース130の収納空間に電池セル120を収納してもよい。すなわち、内ケース本体の開かれた部分を介して収納空間に電池セル120を入り込ませた後、電池セル120は立てられた状態で予め定められた位置に配置されてもよい。電池セル120がすべて収納されれば、内ケースカバーを内ケース本体に配設して、内ケース本体の開かれた部分を遮断してもよい。
【0058】
次いで、押付部材151、内ケース130、及びヒートシンク140を外ケース110の収容空間に配設してもよい。すなわち、外ケース本体の開かれた部分を介して収容空間に押付部材151、内ケース130、及びヒートシンク140を入り込ませて配設してもよい。押付部材151、内ケース130、及びヒートシンク140が収容空間にいずれも配設されれば、外ケースカバーを外ケース本体に配設して、外ケース本体の開かれた部分を遮断してもよい。
【0059】
詳しくは、押付部材151に配備される押付突起151aを内ケース130の上部面に配備される嵌入溝132に嵌め込み、ヒートシンク140に配備される冷却突起141を内ケース130の下部面に配備される貫通孔131に嵌め込んでもよい。したがって、外ケース110の収容空間において、押付部材151、内ケース130、及びヒートシンク140を上下に位置合わせすることが可能になる。
【0060】
このとき、内ケース130とヒートシンク140との間に別途の熱伝導材料(TIM:Thermal Interface Material)を介設しなくてもよい。したがって、ヒートシンク140を電池セル120にさらに近づけて配置することができる。このため、ヒートシンク140が電池セル120を有効に冷却することができる。
【0061】
一方、冷却突起141は、貫通孔131を貫通して内ケース130に収納された電池セル120と直接的に接触してもよい。あるいは、内ケース130の内部に冷却プレート160が配設される場合、冷却突起141は、貫通孔131を貫通して冷却プレート160と接触してもよい。したがって、ヒートシンク140と電池セル120との間の距離を縮めて、ヒートシンク140を電池セル120に近づけて配置することができる。
【0062】
次いで、締結部材152にて外ケース110、押付部材151、内ケース130、及びヒートシンク140を結合してもよい。すなわち、締結部材152は、外ケース110の上壁体、押付部材151、内ケース130、及びヒートシンク140を貫通して、外ケース110の下壁体に締結されてもよい。
【0063】
このとき、締結部材152は、内ケース130の収納空間において電池セル120がない位置を貫通し、ヒートシンク140において流路が形成されない部分を貫通してもよい。締結部材152が内ケース130やヒートシンク140を貫通しながら、電池セル120や流路を損傷させることを防ぐことができる。
【0064】
また、複数の締結部材152が内ケース130の周りに沿って配置されてもよい。このため、締結部材152によって押付部材151が内ケース130の上部面を全体的に一様に下側に押し付けることができ、押付部材151によって内ケース130がヒートシンク140の上部面を全体的に一様に下側に押し付けることができる。したがって、内ケース130がヒートシンク140に密着されて、ヒートシンク140の歪みを抑制もしくは防止することができる。
【0065】
このとき、締結部材152にて押付部材151が内ケース130を下側に押し付ける力の強さを調節してもよい。例えば、締結部材152を下側に締め付けると、押付部材151が内ケース130を下側にさらに強く押し付け、締結部材152を上側に緩めると、押付部材151が内ケース130を下側に押し付ける力が弱くなる。したがって、内ケース130がヒートシンク140に安定的に密着されるように内ケース130がヒートシンク140を押し付ける度合いを調節することができる。
【0066】
このように、電池セル120とヒートシンク140との間の距離を縮めてもよい。したがって、ヒートシンク140が電池セル120に近づいた位置において電池セル120から発せられる熱を吸収することができる。このため、ヒートシンク140を用いて、電池セル120を有効に冷却することができる。
【0067】
また、押付部150を用いて、内ケース130とヒートシンク140を全体的に一様に密着させてもよい。このため、ヒートシンク140の歪みを抑制もしくは防止することができる。したがって、ヒートシンク140の寿命と耐久性が向上し、ヒートシンク140にて電池セル120を安定的に冷却することができる。
【0068】
以上のように、本発明の詳細な説明の欄においては、具体的な実施形態について説明したが、本発明の範ちゅうから逸脱しない範囲内において種々の変形が可能である。よって、本発明の範囲は、説明された実施形態に限って定められてはならず、特許請求の範囲だけではなく、この特許請求の範囲と均等なものによって定められるべきである。
【符号の説明】
【0069】
100 電池モジュール
110 外ケース
120 電池セル
130 内ケース
140 ヒートシンク
150 押付部
図1
図2(a)】
図2(b)】
図3(a)】
図3(b)】
図4(a)】
図4(b)】