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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】電気化学セル
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/186 20210101AFI20241125BHJP
   H01M 50/109 20210101ALI20241125BHJP
   H01M 50/184 20210101ALI20241125BHJP
   H01M 50/193 20210101ALI20241125BHJP
   H01M 50/197 20210101ALI20241125BHJP
   H01M 50/153 20210101ALI20241125BHJP
   H01M 50/559 20210101ALI20241125BHJP
   H01M 50/564 20210101ALI20241125BHJP
   H01M 50/119 20210101ALI20241125BHJP
   H01M 50/124 20210101ALI20241125BHJP
   H01G 11/80 20130101ALI20241125BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20241125BHJP
【FI】
H01M50/186
H01M50/109
H01M50/184 E
H01M50/193
H01M50/197
H01M50/153
H01M50/559
H01M50/564
H01M50/119
H01M50/124
H01G11/80
H01G11/78
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023507005
(86)(22)【出願日】2022-03-08
(86)【国際出願番号】 JP2022010120
(87)【国際公開番号】W WO2022196460
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-05-26
(31)【優先権主張番号】P 2021042750
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 俊二
(72)【発明者】
【氏名】田中 和美
(72)【発明者】
【氏名】木村 長幸
(72)【発明者】
【氏名】堰合 順弥
【審査官】窪田 陸人
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-125929(JP,A)
【文献】特開2007-273626(JP,A)
【文献】特開2020-095904(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/10-50/198
H01M 50/50-50/598
H01G 11/80
H01G 11/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの平面を有し、前記平面内に凹部が形成され、前記平面の周縁部より内側の前記凹部の底面に透孔が形成され、前記透孔の周縁部に融着した第1の樹脂フィルムを介して前記透孔を塞ぐ電極板を有する外装体を備え、
前記第1の樹脂フィルムは前記電極板の周縁外方に延出した延出部を有し、前記第1の樹脂フィルムが前記電極板に融着され、前記延出部及び前記電極板の周縁部に第2の樹脂フィルムが固定され、前記透孔が、前記底面のいずれかの側の面に配置された前記電極板により塞がれていることを特徴とする電気化学セル。
【請求項2】
少なくとも一つの平面を有し、前記平面の周縁部より内側に透孔が形成され、前記透孔の周縁部に融着した第1の樹脂フィルムを介して前記透孔を塞ぐ電極板を有する外装体を備え、
前記第1の樹脂フィルムは前記電極板の周縁外方に延出した延出部を有し、前記第1の樹脂フィルムが前記電極板に融着され、前記延出部及び前記電極板の周縁部に第2の樹脂フィルムが固定され、
前記第1の樹脂フィルムと前記第2の樹脂フィルムの少なくとも一方が、前記電極板側の融着層とその反対側の基層を備えた積層構造であり、前記融着層が前記基層よりも低融点の樹脂からなることを特徴とする電気化学セル。
【請求項3】
外装体が底部と側部とを有するケースと、前記ケースの底部と反対側の開口部を封止する蓋板を備え、
前記底部に少なくとも一つの平面を有し、前記平面の周縁部より内側に透孔が形成され、前記透孔の周縁部に融着した第1の樹脂フィルムを介し前記透孔を塞ぐ電極板を有する外装体を備え、
前記第1の樹脂フィルムは前記電極板の周縁外方に延出した延出部を有し、前記第1の樹脂フィルムが前記電極板に融着され、前記延出部及び前記電極板の周縁部に第2の樹脂フィルムが固定されたことを特徴とする電気化学セル。
【請求項4】
前記第1の樹脂フィルムと前記第2の樹脂フィルムとが前記電極板の周縁外方において融着されていることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の電気化学セル。
【請求項5】
前記外装体に収容され、前記電極板と電気的に接続する電極体に設けられた正極及び負極の少なくとも一方が前記電極板に接続されていることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の電気化学セル。
【請求項6】
前記外装体が、金属缶又はラミネートフィルムからなることを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の電気化学セル。
【請求項7】
前記第1の樹脂フィルムと前記第2の樹脂フィルムが同一材料からなることを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の電気化学セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学セルに関する。本願は、2021年03月16日に、日本国に出願された特願2021-042750号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
従来、スマートフォン、ウエアラブル機器、補聴器などの小型機器の電源として、リチウムイオン二次電池、電気化学キャパシタ等の電気化学セルが広く活用されている。
この種の電気化学セルにおいて、電池容量並びに充電電流および放電電流を大きくする観点から、電気化学セル内で対向している電極どうしの面積を可能な限り大きくすることが必要とされている。電気化学セルの構造として、一対の帯状の正極電極と負極電極をセパレータを介し巻回するか、折り畳み構造としてケースに収め、電解液をケースに封入した構造が知られている。
【0003】
例えば、以下の特許文献1には、正極電極および負極電極からなる電極体と、第1のラミネート部材および第2のラミネート部材からなる外装体を備え、外装体の外周部に第1のラミネート部材の外周部と第2のラミネート部材の外周部を折曲して構成した外周壁を有する電池(電気化学セル)が記載されている。
【0004】
前記外装体は、金属箔と樹脂層の積層型ラミネート部材からなり、第1と第2のラミネート部材の外周壁どうしを折り曲げつつ融着することにより封止されているので、体積当たりの容量を高めることができる電池を提供できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-085214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されている電池100は、図12図13に示すように、それぞれ金属と樹脂のラミネート部材からなる薄型円筒容器状の第1容器101と第2容器102を組み合わせて構成されている。第2容器102の外周壁104は全周に渡り周縁部を断面U字型に折曲され、U字型折曲部分の外周側を囲むように第1容器101の円筒状の外周壁103が設けられている。そして、外周壁103と外周壁104の重ね合わせ部分が熱融着されている。
また、第1容器101の底板中央の透孔の内側に円板状の負極側電極板105が配置され、第2容器102の天板中央の透孔の内側に円板状の保護プレート106を備えた正極側電極板109が配置されている。負極側電極板105に隣接して負極側シーラントリング107が配置され、正極側電極板109に隣接して正極側シーラントリング108が配置されている。
【0007】
第1容器101と第2容器102の内部側であって、これらシーラントリング107、108の間に電極体110が収容されている。
電極体110は、帯状の負極体と正極体を巻回するか折り畳み積層して構成され、例えば図13に示すように電極体110の下部側に負極タブ111が配置され、上部側に正極タブ112が配置されている。
【0008】
図12図13に示す構成の電池100では、負極側電極板105を負極側シーラントリング107を介し第1容器101の透孔の内側に熱融着し、正極側電極板109を正極側シーラントリング108を介し第2容器102の透孔の内側に熱融着している。
シーラントリング107、108の融着部分は、電池100の内部と外部の境界となる部分であるため、信頼性の高い封止構造が必要であるが、上述のシーラントリング107、108の融着構造のみでは封止構造として信頼性に欠ける問題がある。
例えば、電池100の内部に電解液などが封入される構成では、上述の熱融着部分に問題を生じると、電解液漏れに繋がるおそれがある。
なお、一般的な電気化学セルの封止構造においても、電極端子回りを樹脂シールの熱融着により密閉した構造では、上述の熱融着部分の信頼性が重要と考えられる。
【0009】
本願発明は、以上説明のような従来の実情に鑑みなされたものであり、外装体に形成した透孔の内部側または外部側に樹脂フィルムに挟まれた電極板を融着することで外装体の封止構造の信頼性を向上させた電気化学セルの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明に係る電気化学セルは、少なくとも一つの平面を有し、前記平面内に凹部が形成され、前記平面の周縁部より内側の前記凹部の底面に透孔が形成され、前記透孔の周縁部に融着した第1の樹脂フィルムを介して前記透孔を塞ぐ電極板を有する外装体を備え、前記第1の樹脂フィルムは前記電極板の周縁外方に延出した延出部を有し、前記第1の樹脂フィルムが前記電極板に融着され、前記延出部及び前記電極板の周縁部に第2の樹脂フィルムが固定され、前記透孔が、前記底面のいずれかの側の面に配置された前記電極板により塞がれていることを特徴とする。
【0012】
前述の構造であるならば、第1の樹脂フィルムと第2の樹脂フィルムにより電極板を挟むことができ、第1の樹脂フィルムと第2の樹脂フィルムにより挟まれた電極板を外装体の透孔の外側または内側に配置することができる。第1の樹脂フィルムを外装体の外面または内面に融着することで電極板回りの封止構造を完成できる。
前述の構造であるならば、第1の樹脂フィルムと第2の樹脂フィルムで正極側または負極側の電極板を挟んだ構造を容器状の外装体の内部または外部に装着し、融着するという組み立て工程を採用できる。
第1の樹脂フィルムと第2の樹脂フィルムを正極側または負極側の電極板に密着させる作業は、容器状の外装体への挿入操作とは別に行うことができる。このため、第1の樹脂フィルムと第2の樹脂フィルムとともに外装体に正極側または負極側の電極板を装着することにより外装体内への正極側の電極板または負極側の電極板の正確な位置決めと収容ができる。
【0013】
正極側または負極側の電極板と第1の樹脂フィルムおよび第2の樹脂フィルムを正確に位置決め後、両方の樹脂フィルムを含めた全体を外装体に収容することで、外装体に対し正極側または負極側の電極板を正確に位置決め収容できる。
また、正極側または負極側の電極板を外装体に収容する際、第1の樹脂フィルムと第2の樹脂フィルムが緩衝材となるので、正極側または負極側の電極板が外装体に当たって外装体を損傷させるおそれがなくなる。
正極側または負極側の電極板の位置決めが容易かつ正確にできるので、正極側または負極側の電極板を外装体に収容できる範囲内でできる限り大きくできるようになり電気化学セルの構造として望ましい構造にすることができる
外装体の平面に設けた凹部に対し、電極板を設ける場合、正極側または負極側の電極板と第1の樹脂フィルムおよび第2の樹脂フィルムを正確に位置決め後、第1の樹脂フィルムおよび第2の樹脂フィルムを含めた電極板を凹部に収容することで、外装体の凹部に対し正極側または負極側の電極板を正確に位置決め収容し、融着することができる。
【0014】
(2)本発明に係る電気化学セルは、少なくとも一つの平面を有し、前記平面の周縁部より内側に透孔が形成され、前記透孔の周縁部に融着した第1の樹脂フィルムを介して前記透孔を塞ぐ電極板を有する外装体を備え、前記第1の樹脂フィルムは前記電極板の周縁外方に延出した延出部を有し、前記第1の樹脂フィルムが前記電極板に融着され、前記延出部及び前記電極板の周縁部に第2の樹脂フィルムが固定され、前記第1の樹脂フィルムと前記第2の樹脂フィルムの少なくとも一方が、前記電極板側の融着層とその反対側の基層を備えた積層構造であり、前記融着層が前記基層よりも低融点の樹脂からなることを特徴とする。
樹脂フィルムの電極板側が低融点の樹脂からなる融着層であるならば、樹脂フィルムを電極板に融着する場合に密着不良部分などを生じていない良好な融着構造を得ることができる。また、樹脂フィルムを電極板に融着するヒーター温度より高い融点を有する前記基層であるならば、融着を行う場合のヒーターに樹脂フィルムが付着することはない。
このため、正極側の樹脂フィルムであれば正極側電極板に対する密着性を良好にした融着構造を提供することができ、負極側の樹脂フィルムであれば負極側電極板に対する密着性を良好にした融着構造を提供できる。また、これら樹脂フィルムを融着するためにヒーターで加圧加熱後、ヒーターを分離する場合、樹脂フィルムがヒーター側に付着して融着部分が剥離するなどの問題を生じない。このため、信頼性の高い融着構造を有する電気化学セルを提供できる。
(3)本発明に係る電気化学セルは、外装体が底部と側部とを有するケースと、前記ケースの底部と反対側の開口部を封止する蓋板を備え、前記底部に少なくとも一つの平面を有し、前記平面の周縁部より内側に透孔が形成され、前記透孔の周縁部に融着した第1の樹脂フィルムを介し前記透孔を塞ぐ電極板を有する外装体を備え、前記第1の樹脂フィルムは前記電極板の周縁外方に延出した延出部を有し、前記第1の樹脂フィルムが前記電極板に融着され、前記延出部及び前記電極板の周縁部に第2の樹脂フィルムが固定されたことを特徴とする。
外装体の底部に平面が設けられ、この平面に透孔が形成され、この平面に透孔を塞ぐ電極板を備えた構成を採用できる。この構成の場合、外装体の底部側に第1の樹脂フィルムと第2の樹脂フィルムで挟んだ電極板を設けることができる。
上述の構造により、外装体の底部側に電極板を備えた構造において、電極板周りの封止構造に優れた電気化学セルを提供できる。
【0015】
外装体の平面に設けた凹部に対し、電極板を設ける場合、正極側または負極側の電極板と第1の樹脂フィルムおよび第2の樹脂フィルムを正確に位置決め後、第1の樹脂フィルムおよび第2の樹脂フィルムを含めた電極板を凹部に収容することで、外装体の凹部に対し正極側または負極側の電極板を正確に位置決め収容し、融着することができる。
【0016】
(4)前記第1の樹脂フィルムと前記第2の樹脂フィルムとが前記電極板の周縁外方において融着されている構成を採用できる。
電極板に第1の樹脂フィルムと第2の樹脂フィルムを融着した構造となるので、融着部分の構造安定性が向上し、正極側または負極側の電極板を第1の樹脂フィルムと第2の樹脂フィルムにより両面側から保護し、外装体における電極板回りを良好に封止した構造を提供できる。
(5)本発明に係る電気化学セルにおいては、前記外装体に収容され、前記電極板と電気的に接続する電極体に設けられた正極及び負極の少なくとも一方が前記電極板に接続されている構成を採用できる。
【0017】
正極側の樹脂フィルムに設けた透孔を介し電極体の正極側と電極板との接続ができる。
負極側の樹脂フィルムに設けた透孔を介し電極体の負極側と電極板との接続ができる。
【0018】
)本発明に係る電気化学セルにおいては、前記外装体が、金属缶から、あるいは、ラミネートフィルムからなる構成を採用できる。
外装体は金属缶からなる構成、ラミネートフィルムからなる構成のいずれを採用しても良い。ラミネートフィルムを用いた場合、電極板との擦れや接触があると、ラミネートフィルム損傷の問題を生じるおそれがあるが、電極板の両側を樹脂フィルムで覆うことで、電極板のエッジ部分がラミネートフィルムを傷つけるおそれがない。
【0021】
(7)本発明に係る電気化学セルにおいては、前記第1の樹脂フィルムと前記第2の樹脂フィルムが同一材料からなる構成を採用できる。
【0022】
電極板の両側に設ける第1の樹脂フィルムと第2の樹脂フィルムは同一材料から構成しても良く、同一材料からなる樹脂フィルムにより挟まれた構成の電極板であっても、良好な融着構造を提供できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る電気化学セルであるならば、第1の樹脂フィルムと第2の樹脂フィルムで電極板を挟んだ構造を外装体に収容し、融着するという組み立て工程を採用できる。あるいは、外装体の透孔の内側または外側に第1の樹脂フィルムを装着後、第2の樹脂フィルムを融着した状態の電極板を先の一方の樹脂フィルムに沿わせて挿入し、融着するという組み立て工程を採用できる。
これらの工程は電気化学セルの外径サイズが小さく、小さな電極板の正確な位置決めを要求される構造において特に有効となる。
樹脂フィルムを電極板に密着させる作業は、外装体への挿入操作とは別に行うことができるので、樹脂フィルムや電極板の位置合わせが容易にできる。また、樹脂フィルムと電極板を何れもフラットな状態で外装体に融着できるので融着部分の信頼性も向上する。
【0026】
また、電極板と樹脂フィルムを正確に位置決め後、全体を外装体に収容することで、外装体に対し電極板を正確に位置決め収容できる。更に、電極板を外装体に収容する際、第1の樹脂フィルムと第2の樹脂フィルムが緩衝材となるので、電極板が外装体に当たって外装体を損傷させるおそれもなくなる。外装体がラミネートフィルムなどのように傷付きやすい構造の場合に有効となる。
また、電極板の両面を樹脂フィルムにより挟んだ構造となるので、電極板を両面側から保護した構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1A】本発明に係る第1実施形態の電気化学セルについて説明するための図面であり、図1Aは上面開口型の金属製容器および蓋板と該蓋板の上面側に取り付けるべき電極板および樹脂フィルムを示す分解断面図。
図1B図1Bは蓋板に樹脂フィルムを融着した状態を示す分解断面図。
図1C図1Cは金属製容器に蓋板を溶接して構成した電気化学セルを示す断面図。
図2A】本発明に係る第2実施形態の電気化学セルについて説明するための図面であり、図2Aは上面開口型の金属製容器および蓋板と該蓋板の下面側に取り付けるべき電極板および樹脂フィルムを示す分解断面図。
図2B図2Bは蓋板に樹脂フィルムを融着した状態を示す分解断面図。
図2C図2Cは金属製容器に蓋板を溶接して構成した電気化学セルを示す断面図。
図3A】本発明に係る第3実施形態の電気化学セルについて説明するための図面であり、図3Aは上面開口型の金属製容器および上面側凹部を備えた蓋板と該蓋板の上面側に取り付けるべき電極板および樹脂フィルムを示す分解断面図。
図3B図3Bは蓋板の凹部に樹脂フィルムを融着した状態を示す分解断面図。
図3C図3Cは金属製容器に蓋板を溶接して構成した電気化学セルを示す断面図。
図4A】本発明に係る第4実施形態の電気化学セルについて説明するための図面であり、図4Aは上面開口型の金属製容器および下面側凹部を備えた蓋板と該蓋板の上面側に取り付けるべき電極板および樹脂フィルムを示す分解断面図。
図4B図4Bは蓋板の凹部に樹脂フィルムを融着した状態を示す分解断面図。
図4C図4Cは金属製容器に蓋板を溶接して構成した電気化学セルを示す断面図。
図5】前記いずれかの電気化学セルに収容される電極体の一例を示す斜視図である。
図6図5に示す電極体に電極板を取り付けた状態を示す平面図である。
図7】電極板を備えた電極体の一方の電極板を外装体に収容して融着する状態を示す断面図である。
図8】電極板とその両側に配置される樹脂フィルムを示す分解斜視図である。
図9】折り畳み構造の電極体の一例を示す斜視図である。
図10】金属缶からなる外装体の底部に樹脂フィルムにより挟持された電極板を取り付ける場合の一例構造を示す断面図である。
図11】金属缶からなり、底部に凹部を有する外装体に対し、樹脂フィルムにより挟持された電極板を取り付けた状態の構造を示す断面図である。
図12】ラミネートフィルムからなる外装体を備えた電気化学セルの一例を示す斜視図である。
図13図12に示す電気化学セルの一部を断面とした斜視図である。
図14】本発明に係る第5実施形態の電気化学セルを示す断面図である。
図15】本発明に係る第6実施形態の電気化学セルを示す断面図である。
図16】本発明に係る第7実施形態の電気化学セルを示す断面図である。
図17】本発明に係る第8実施形態の電気化学セルを示す断面図である。
図18】本発明に係る第9実施形態の電気化学セルを示す断面図である。
図19】本発明に係る第10実施形態の電気化学セルを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る電極の実施形態について図面を参照して説明する。以下の実施形態では、電気化学セルの一例として、コイン型のリチウムイオン二次電池(以下、単に「電池」ということがある。)を挙げ、この電池に搭載される電極について説明する。
なお、以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している場合がある。
【0029】
<第1実施形態>
図1A図1Cは本発明に係る電気化学セルの第1実施形態について説明するための図であり、第1実施形態の電気化学セル(電池)1は、図1Cに示す構成を有する平面視円形状のボタン型の電池である。この電池1は、金属缶からなる容器状の外装体2と外装体2の内部に収容された電極体3を備えている。
なお、図1では略されているが、外装体2の内部に電解液が充填されている。この電解液は支持塩を非水溶媒に溶解した電解液などが好適に用いられる。
【0030】
外装体2は、底壁2aと側壁(周壁)2bを有する上面開口型の下部容器2Aと、該下部容器2Aの開口部を閉じるように溶接などの接合方法により側壁上部に固定された蓋板2Bからなる。外装体2は、ボタン型であるため、上面(平面)及び下面(平面)と側面(周面)を有している。蓋板2Aは平板状であり、その上面となる平面に後述するように電極板5が取り付けられている。
蓋板2Bの中央部には蓋板2Bの外径の数分の一程度の内径を有する透孔2dが形成され、この透孔2dの上面側開口側を覆うように円板状の電極板5が取り付けられている。
電極板5にはその下面側周縁と上面側周縁を覆うようにリング状の第1の樹脂フィルム7と第2の樹脂フィルム6が装着されている。樹脂フィルム6、7の中央部にはそれらの外径の数分の一程度の内径の透孔6a、7bが形成されている。樹脂フィルム6、7の外径は電極板5の外径より若干大きく形成され、樹脂フィルム6、7の内径は電極板5の外径よりも若干小さく形成されている。
【0031】
電極板5は、SUS316などの耐食性に優れたステンレス鋼板からなり、電極板の中央部が電池1の外部に露出され、電池1の端子として機能する。また、電極板5の上面側(外部接点側)にはNiめっき層が形成されていることが好ましい。
Niめっき層を設けることで電解液との接触を起因として発生するおそれがある電極板5の腐食を防止できる。また、電極板5の上面側に設けるNiめっき層を略し、Niめっき層の代わりにNi板からなる外部電極板を溶接などの接合方法により取り付けることもできる。
【0032】
樹脂フィルム6、7はそれらの中心位置を電極板5の中心位置と位置合わせした状態で電極板5をその厚さ方向両側から挟むように電極板5に融着されている。従って、電極板5の中央部は樹脂フィルム6、7に覆われておらず、電極板5の中央部が電池1の外部側に露出され、電極板5の周縁部側は樹脂フィルム6、7の外周部により所定幅で覆われている。また、樹脂フィルム6、7の外周縁側は所定の幅でもって電極板5の外周縁よりも外方に突出され、電極板5よりも外方側に位置する樹脂フィルム6、7の外周縁部(延出部)が電極板5の外側において互いに沿わせられ、相互に熱融着により一体化され、融着部6b、7bが形成されている。第1の樹脂フィルム7は電極板5の下面周縁側に融着され、第2の樹脂フィルム6は電極板5の上面周縁側に融着されている。第1の樹脂フィルム7の下面側は蓋板2Bの透孔周縁部に融着されている。
樹脂フィルム6、7の融着は、熱融着の他に、超音波溶着、レーザー溶着、高周波溶着など、他の融着手段(溶着手段)を用いても良い。
【0033】
電極板5は、外装体2の外部側であって前記透孔2dの外側に位置するように融着により蓋板2Bに取り付けられている。また、図1Cに示す構成において、電極板5と蓋板2Bとの間に第1の樹脂フィルム7が介挿されているので、第1の樹脂フィルム7をシーラントフィルムと呼称することができ、第2の樹脂フィルム6は電極板5の外面側を覆っているので樹脂カバーと呼称することができる。
【0034】
第2の樹脂フィルム6は、後述する他の実施形態において図8を用いて説明するように、例えば、融着層6Aとこの融着層6Aを支える基層6Bからなる2層の積層構造を有する。
第1の樹脂フィルム7は、後述する他の実施形態において図8を用いて説明するように、例えば、融着層7Aとこの融着層7Aを支える基層7Bと、基層7Bの反対側の面に融着された融着層7Cからなる3層の積層構造を採用できる。
樹脂フィルムの基層6B、7Bは、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、ナイロンなどの高融点樹脂からなり、融着層6A、7A、7Cは変性PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)などの熱可塑性樹脂の単体やコポリマーなどの低融点樹脂からなる。樹脂フィルム6、7において、融着層6A、7A、7Cを基層6B、7Bより低融点の樹脂で構成することにより、後述する熱融着による接合が確実となる。
ここで言及した高融点樹脂とは、一般的な熱融着温度(150~200℃)よりも融点の高い樹脂を意味し、低融点樹脂とは高融点樹脂よりも融点の低い樹脂、換言すると一般的な熱融着温度より融点の低い樹脂を意味する。
【0035】
図1Cに示す電気化学セル1を製造するには、まず、図1Aに示すように、下部容器2Aの開口部上方などに、蓋板2Bを配置し、蓋板2Bの透孔2dの上方に第1の樹脂フィルム7と電極板5と第2の樹脂フィルム6を順次それらの中心を位置合わせつつ重ねて配置する。樹脂フィルム6、7で電極板5を挟む場合、樹脂フィルム6、7の融着層6A側、7A側をそれぞれ電極板5側に配置する。また、第2の樹脂フィルム7の融着層7Cは蓋板2B側に配置する。
蓋板2Bとその上方に重なるように配置した第1の樹脂フィルム7と電極板5と第2の樹脂フィルム6を融着用の加熱治具(ヒーター)で挟み、加熱加圧して各樹脂フィルム6、7の電極板5側の部分(融着層6A、7A)と樹脂フィルム7の蓋板2B側の部分(融着層7C)を溶融させる。この溶融処理後、冷却すると、図1Bに示すように樹脂フィルム6、7を電極板5に融着し、第1の樹脂フィルム7を蓋板2Bに融着することができる。
また、同時に電極板5の外側に突出している樹脂フィルム6、7の外周縁部(延出部)を相互に熱融着して一体化し、融着部6b、7bを形成する。
【0036】
また、上述の樹脂フィルム6、7の融着処理とは別個に、図1Aに示すように下部容器2Aの内部に電極体3を収容しておくか、上述の融着処理後、下部容器2Aの内部に電極体3を収容し、電極体3に設けられている図示略の2つの電極タブ(正極タブと負極タブ)のうち、下部容器2A側に接続するべき一方の電極タブを下部容器2Aの内面などに溶接などの接合方法により接合し、他方の電極タブを上述の電極板5の底面側に溶接などの接合方法により接合する。電極体3の電極タブを接合後、下部容器2Aの内部に電解液を注入し、電解液の注入後、蓋板2Bの周縁部を溶接などの接合方法によって下部容器2Aの側壁上部に接合する。上述の溶接には、レーザー溶接法、抵抗溶接法などを適宜用いることができる。
以上の処理により、図1Cに示す構造の電気化学セル1を得ることができる。
【0037】
以上説明の方法により得られた電気化学セル1は、樹脂フィルム6、7に挟まれた電極板5を蓋板2Bの透孔2dの外側(容器状の外装体2の外側)に配置し、樹脂フィルム6、7を蓋板2Bの外面側に融着するとともに、樹脂フィルム6、7の外周縁部(延出部)を相互融着し、第1の樹脂フィルム7を電極板5に融着することで電極板5の周囲の封止構造を完成できる。
この構造であるならば、樹脂フィルム6、7で電極板5を挟んだ構造を蓋板2Bに融着(溶着)するという組み立て工程を採用できる。
また、樹脂フィルム6、7を電極板5と蓋板2Bに密着させる作業は、下部容器2Aへの電極体3の挿入操作とは個別に実施できるので、蓋板2Bに対し樹脂フィルム6、7とともに電極板5を正確に位置決め処理できる。
【0038】
電極板5と樹脂フィルム6、7を正確に位置決めするとともに、樹脂フィルム6、7を蓋板2Bに対し融着することで、蓋板2Bに対し電極板5を正確に位置決め後、融着することができる。また、融着の場合、融点の低い融着層6A、7A、7Cを中心に溶融させて樹脂フィルム6と電極板5と樹脂フィルム7と蓋板2Bを融着するので、融着部分の構造信頼性も十分に高くすることができる。
また、電極板5を蓋板2Bに取り付ける際、樹脂フィルム6、7が緩衝材となり、電極板5と蓋板2Bを保護できる。更に、電極板5に樹脂フィルム6、7を融着した構造となっていので、融着部分の構造安定性が向上し、電極板5を樹脂フィルム6、7により両面側から保護した構造を提供できる。
【0039】
<第2実施形態>
図2A図2Cは本発明に係る電気化学セルの第2実施形態について説明するための図であり、第2実施形態の電気化学セル10は、平面視円形状のボタン型の電池である。この電池10において、金属製容器からなる外装体2と外装体2の内部に収容された電極体3を備えている構成は先の第1実施形態と同様である。
なお、図2では略されているが、外装体2の内部に電解液が充填されている。この電解液は支持塩を非水溶媒に溶解した電解液などが好適に用いられる。
【0040】
第2実施形態の電気化学セル10において、先の第1実施形態の電気化学セル1と異なっているのは、蓋板2Bの下面側に樹脂フィルム6、7によって挟まれた状態の電極板5が取り付けられている構造である。電極板5は、第1の樹脂フィルム7を蓋板2Bの下面側に融着することにより取り付けられている。
第2実施形態において下部容器2Aと蓋板2Bの構成、電極板5と樹脂フィルム6、7の構成は第1実施形態と同等であるが、蓋板2Bの下面側に電極板5が固定されている構成のみが異なる。その他の構成は同等である。
従って、電極板5は、外装体2の内部側であって前記透孔2dの内側に位置するように融着により蓋板2Bに取り付けられている。蓋板2Bは、平板状であるので、上面(平面)と下面(平面)を有するが、この実施形態では、下面(平面)側に電極板5が取り付けられている。
【0041】
図2Cに示す電気化学セル1を製造するには、まず、図2Aに示すように、下部容器2Aの開口部上方などに、蓋板2Bを配置し、蓋板2Bの透孔2dの下方に第2の樹脂フィルム6と電極板5と第1の樹脂フィルム7を順次それらの中心を位置合わせつつ重ねて配置する。蓋板2Bとその下方に重ねて配置した第1の樹脂フィルム7と電極板5と第2の樹脂フィルム6を融着用の加熱治具で挟み、加熱加圧して各フィルム6、7の電極板5側の部分(融着層6Aと融着層7A)を溶融させる。また、第1の樹脂フィルム7の蓋板2B側の部分(融着層7C)を溶融させた後、冷却すると樹脂フィルム6、7を電極板5に融着し、図2Bに示すように第1の樹脂フィルム7を蓋板2Bに融着することができる。
また、同時に電極板5の外側に突出している樹脂フィルム6、7の外周縁部(延出部)を相互に融着して一体化し、融着部6b、7bを形成する。
【0042】
また、上述の樹脂フィルム6、7の融着処理とは別個に、図2Aに示すように下部容器2Aの内部に電極体3を収容しておくか、上述の融着処理後、下部容器2Aの内部に電極体3を収容し、電極体に設けられている図示略の2つの電極タブ(正極タブと負極タブ)のうち、下部容器2A側に接続するべき一方の電極タブを下部容器2Aの内面などに溶接などの接合方法により接合し、他方の電極タブを上述の電極板5の底面側に溶接などの接合方法により接合する。電極体3の電極タブを接合後、下部容器2Aの内部に電解液を注入し、電解液の注入後、蓋板2Bの周縁部を溶接などの接合方法によって下部容器2Aの側壁上部に接合する。上述の溶接には、レーザー溶接法、抵抗溶接法などを適宜用いることができる。
【0043】
以上の処理により、図2Cに示す構造の電気化学セル10を得ることができる。
図2Cに示す構成の電気化学セル10であっても、第1実施形態の電気化学セル1と同等の作用効果を得ることができる。
【0044】
<第3実施形態>
図3A図3Cは本発明に係る電気化学セルの第3実施形態について説明するための図であり、第3実施形態の電気化学セル15は、平面視円形状のボタン型の電池である。この電池15において、金属製容器からなる外装体2と外装体2の内部に収容された電極体3を備えている構成は先の第1実施形態と同様である。
なお、図3では略されているが、外装体2の内部に電解液が充填されている。この電解液は支持塩を非水溶媒に溶解した電解液などが好適に用いられる。
【0045】
第3実施形態の構成において、第1実施形態の構成と異なっているのは、蓋板の構成である。第1実施形態の蓋板2Bが平板状であった構成と異なり、第3実施形態の構成では蓋板2Dにおいて、その中央部に凹部2eが形成されている点が異なる。凹部2eは、蓋板2Dの外周縁部よりも一段低くなるように平面視リング状に形成されている。従って、蓋板2Dの凹部2eの上面側には平面が形成されている。
そして、凹部2eの上面側に樹脂フィルム6、7によって挟まれた状態の電極板5が取り付けられている。第2の樹脂フィルム6の下面内周側は電極板5の上面外周部に融着され、電極板5の外周縁から外側に突出されている樹脂フィルム6、7の外周縁部(延出部)は相互に融着されて融着部6b、7bが形成され、第1の樹脂フィルム7の上面内周側は電極板5の下面外周側に融着され、第1の樹脂フィルム7の下面外周側は凹部2eの上面側に融着されている。
従って、電極板5は、外装体2の外部側であって透孔2dの外側に位置するように融着により蓋板2Bの凹部2eに取り付けられている。
【0046】
第3実施形態の構造についても、第1実施形態を製造する場合と同様の手順に従い、図3Aに示すように第1の樹脂フィルム7、電極板5、第2の樹脂フィルム6を位置合わせして重ね、図3Bに示すように融着し、蓋板2Dを下部容器2Aの側壁上部に溶接することにより図3Cに示す電気化学セル15を得ることができる。
図3Cに示す構成の電気化学セル15であっても、第1実施形態の電気化学セル1と同等の作用効果を得ることができる。
【0047】
<第4実施形態>
図4A図4Cは本発明に係る電気化学セルの第4実施形態について説明するための図であり、第4実施形態の電気化学セル20は、平面視円形状のボタン型の電池である。この電池20において、金属製容器からなる外装体2と外装体2の内部に収容された電極体3を備えている構成は先の第1実施形態と同様である。
なお、図4では略されているが、外装体2の内部に電解液が充填されている。この電解液は支持塩を非水溶媒に溶解した電解液などが好適に用いられる。
【0048】
第4実施形態の電気化学セル20において、先の第3実施形態の電気化学セル15と異なっているのは、蓋板2Eの中央部に凹部2eの代わりに凸部2fが形成されている点が異なる。凸部2fは、蓋板2Eの外周縁部よりも一段高くなるように平面視リング状に形成されている。従って、蓋板2Eの凸部2fの下面側には平面が形成されている。
蓋板2Eの下面側に樹脂フィルム6、7によって挟まれた状態の電極板5が取り付けられている。電極板5は、樹脂フィルム6、7を蓋板2Eの下面側に融着することにより取り付けられている。
第4実施形態において下部容器2Aの構成、電極板5と第2の樹脂フィルム6と第1の樹脂フィルム7の構成は第3実施形態と同等であるが、蓋板2Eに凸部2fを有し、蓋板2Eの下面側に電極板5が固定されている構成のみが異なる。その他の構成は同等である。
第4実施形態の電極板5は、外装体2の内部側であって透孔2dの内側に位置するように融着により蓋板2Bの凸部2f上に取り付けられている。
【0049】
第4実施形態の構造についても、第3実施形態を製造する場合と同様の手順に従い、図4Aに示すように第2の樹脂フィルム6、電極板5、第1の樹脂フィルム7を位置合わせして重ね、図4Bに示すように蓋板2Eに融着し、蓋板2Eを下部容器2Aの側壁上部に溶接することにより図4Cに示す電気化学セル20を得ることができる。
図4Cに示す構成の電気化学セル20であっても、第3実施形態の電気化学セル1と同等の作用効果を得ることができる。
【0050】
なお、ここまで説明した第1実施形態~第4実施形態の電気化学セル1、10、15、20にあっては、電極体3の構成について詳しい説明は省略したが、電極体は一例として以下に説明するような構成を採用することができる。
【0051】
<電極体>
図5は、一実施形態としての電極体3を示す斜視図であり、この電極体3は、負極側セパレータ層36で被覆された負極体30と正極側セパレータ層46で被覆された正極体40からなる。
電極体3は、負極体30および正極体40を互い違いに積層するように巻回された電極体である。具体的に、電極体3は、負極側セパレータ層36を介して負極体30と正極体40とを重ね合わせて扁平状に巻回することにより形成されている。負極体30には負極タブ35が設けられ、正極体40の正極タブ45は、例えば、上述の電極板5に接続される。
本実施形態において、負極タブ35が下部容器2Aに接続される部分と正極タブ45が電極板5に接続される部分の構造は後述する折り畳み構造とされているが、この折り畳み構造の詳細については後に説明する。なお、巻回構造の電極体3は一例に過ぎないので、他の構造を採用しても良く、他の構造の電極体の一例については後述する。
【0052】
負極側セパレータ層36は負極体30において負極タブ35とその基端側の周囲部分を除き、残り全体を覆うように形成されている。正極側セパレータ層46は正極体40において正極タブ45とその基端側周囲部分を除き、残り全体を覆うように形成されている。
このため、セパレータ層36、46は、負極体30と正極体40を巻回した状態において負極体30および正極体40の周囲およびこれらの層間に配置され、負極体30と正極体40とが絶縁分離される。
【0053】
なお、図5においては層厚を無視してセパレータ層36、46の存在位置のみを表示しているが、セパレータ層36、46は少なくとも負極体30と正極体40とが対向する領域の全体で負極体30と正極体40との間に介在するように、かつ、負極側セパレータ層36が負極体30を覆うように、正極側セパレータ層46が正極体40を覆うように配置されている。
以下、負極体30および正極体40が巻回されて積層された方向を積層方向と称する。なお、巻回とは、特定の巻回中心軸の周囲を周回するように巻かれることである。
【0054】
負極体30は、金属材料により形成された箔状の負極集電体と、負極集電体の片面または両面に塗工された負極活物質層とを備えたシート状の部材である。負極集電体は、例えば銅やニッケル等の金属箔により形成されている。金属箔の厚さは一例として数μm程度である。負極活物質は、例えば、シリコンやシリコン酸化物、グラファイト、ハードカーボン、チタン酸リチウム等の単体又は混合物である。負極集電体は円形状の複数の負極本体と隣接する負極本体を接続する帯状の接続部とからなり、配列方向一端の負極集電体の外周部から負極タブが延出されている。
【0055】
負極活物質層の形成材料として、負極活物質に加え、導電助剤(例えば、アセチレンブラック等)、バインダ(例えば、ポリフッ化ビニリデンやスチレンブタジエンゴム(SBR)のディスパージョン等)、増粘剤(例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)等)、溶剤(例えば、水、N-メチルピロリドン等の任意の溶媒)を混合して負極用スラリーを作製することができる。負極活物質層を形成するための構成材料を含む塗布液を「負極用スラリー」ということができる。この負極用スラリーを負極側集電体に塗布し、乾燥させることにより負極活物質層を形成できる。
【0056】
正極体40は、金属材料により形成された箔状の正極集電体と、正極集電体の片面または両面に塗工された正極活物質層と、を備えた1枚のシート状の部材である。正極集電体は、例えばアルミニウムやステンレス等の金属箔により形成されている。金属箔の厚さは一例として10数μm程度である。正極活物質は、例えば、コバルト酸リチウムやチタン酸リチウム、マンガン酸リチウム等のように、リチウムと遷移金属とを含む複合酸化物である。正極集電体は円形状の複数の正極本体と隣接する正極本体を接続する帯状の接続部とからなり、配列方向一端の正極集電体の外周部から正極タブが延出されている。
【0057】
正極活物質層の形成材料として、上述の正極活物質に加え、導電助剤(例えば、アセチレンブラック等)、バインダ(例えば、ポリフッ化ビニリデン等)、溶剤(例えばN-メチルピロリドン等の任意の溶媒)を混合して正極用スラリーを作製することができる。正極活物質層を形成するための構成材料を含む塗布液を「正極用スラリー」ということができる。この正極用スラリーを正極側集電体に塗布し、乾燥させることにより正極活物質層を形成できる。
【0058】
セパレータ層36、46は、一例としてリチウムイオン導電性を有する樹脂層である。セパレータ層36、46は、例えばポリオレフィン製の樹脂ポーラスフィルムやガラス製不織布、樹脂製不織布、セルロース繊維の積層体等により形成されている。なお、セパレータ層36、46は正極体40と負極体30の分離を行えば良いため、どちらか一方を略しても良い。
【0059】
図3に示すように本実施形態の電極体3は、外装体2内に高密度で配置されるように、外装体内の密封空間の形状に対応する形状に形成されている。すなわち、電極体3は、積層方向から見て、円形状に形成されている。
負極体30は円形状の複数の負極本体を帯状などの形状に配列するように接続部を介し接続した構成を有し、正極体40は円形状の複数の正極本体を帯状などの形状に配列するように接続部を介し接続した構成を有する。このため、負極体30の円形状の負極集電体と正極体40の円形状の正極集電体を交互に積み重ねるか巻回することにより、図5に示す電極体3が構成される。
【0060】
図5に示す電極体3の場合、図6図7を基に以下に説明するように外装体2に取り付けることができる。
図6は、正極タブ45を左側に延出させ、負極タブ35を右側に延出させて電極体3を配置した状態を平面視している。正極タブ45の先端表面側(手前側)の面に正極側電極板5が超音波溶接されている。
図6に示す電極板5の一面(裏面)側であって、正極タブ45の先端部を溶接する部分周りに溶接前にリング状の樹脂フィルム6、7を融着しておく。
【0061】
リング状の樹脂フィルム6、7に関し、図8に示す構造を採用できる。先に説明したように、図8に示す構成では、電極板5の下面側に3層構造の第1の樹脂フィルム7が融着され、電極板の上面側に2層構造の第2の樹脂フィルム6が融着されている。
第2の樹脂フィルム6の電極板5側の面が融着層6Aであり、第1の樹脂フィルム7の電極板5側の面が融着層7Aである。
電極板5を樹脂フィルム6、7で挟んで融着することで、融着層6Aと融着層7Aを電極板5に融着できるとともに、電極板5の周囲に突出している融着層6Aと融着層7Aを相互に融着して先に説明したように融着部6a、7aを形成できる。
電極板5を樹脂フィルム6、7で挟んで融着したものを本願明細書では電極板ユニットと呼称することができる。
【0062】
図7に示すように、正極タブ45の先端部45Bを蓋板2Bの透孔2aに下面側から挿通し、正極タブ45の先端側に樹脂フィルム6、7を備えた電極板5を超音波溶接法などの接合方法により接合する。第1の樹脂フィルム7の透孔7a内に電極板5の下面が露出しているので、正極タブ45の先端部45Bを容易に接合できる。
次に、図7に示すように、負極タブ35の先端を下部容器2Aの底面あるいは内周面に溶接などの接合方法により取り付け、負極タブ35と正極タブ45をいずれもZ型に折り畳むようにして下部容器2Aに電極体3を収容することができる。また、蓋板2Bを下部容器2Aの開口部に近接させることで蓋板2Bの外周縁部を下部容器2Aの開口部に溶接などの接合方法により接合することができる。
【0063】
以上の接合方法により、図1Cに示す構成の電気化学セル1を製造することができる。
なお、以上説明した接合方法は、一つの例であって、電気化学セル1を製造する場合に図7に示す接合方法に制限されるものではない。
【0064】
<電極体の他の構造例>
図9は、正極体と負極体から構成される電極体の他の例を示すもので、この例の電極体80は、円板状の複数の負極本体81を接続部82を介し接続した帯状の正極体と、円板状の複数の正極本体83を接続部84を介し接続した帯状の負極体を交互につづら折り状に積層した構成の電極体80である。最外層の負極本体81から負極タブ86が延出され、最外層の正極本体83から正極タブ87が延出されている。
【0065】
つづら折り構造の電極体80にあっては、折り畳み状態により、図9に示すように負極タブ86と正極タブ87を延出させることができる。
このような構造の電極体80に対する場合であっても、上述した電極体3を用いた実施形態と同様に側面視Z状に負極タブ86と正極タブ87を折り曲げて配置し、外装体2の内部に収容し電気化学セル(電池)を構成することができる。
【0066】
本発明に適用可能な電極体については、種々の構成があり、正極体と負極体をロール巻き形状とした巻回体を図1図4に示す外装体2の内部に収容した構造など、種々の構造を採用しても良い。
【0067】
<外装体の他の構造例>
図1図4を基に、外装体の種々の構造について説明したが、本発明では図10に示すように、底壁2aと側壁(周壁)2bを有する上面開口型の下部容器2Gと、該下部容器2Gの開口部を閉じるように溶接などの接合方法により側壁上部に固定される平板状の蓋板2Hからなる構造を有する電池(電気化学セル)25を採用しても良い。
図10に示す構造では、底壁2aの中央部に透孔2gが形成され、底壁2aの上面側に、樹脂フィルム6、7で挟まれた構成の電極板5が融着されている。
【0068】
電極板5と樹脂フィルム6、7の構成については先に図1図3などを用いて説明した実施形態に採用した電極板5、樹脂フィルム6、7の構成と同等である。
図10に示す構成の電池25を採用しても、先の実施形態で得られた効果と同等の効果を得ることができる。
【0069】
本発明では更に図11に示すように、底壁2aと側壁(周壁)2bを有する上面開口型の下部容器2Jと、該下部容器2Jの開口部を閉じるように溶接などの接合方法により側壁上部に固定された平板状の蓋板2Hからなる構造の電池(電気化学セル)26を採用しても良い。
図11に示す構造では、底壁2aの中央部に凹部2mが形成され、凹部2mの中央に透孔2nが形成され、底壁2aの上面側に、樹脂フィルム6、7で挟まれた構成の電極板5が融着されている。
【0070】
電極板5と樹脂フィルム6、7の構成については先に図1図3などを用いて説明した実施形態に採用されていた電極板5、樹脂フィルム6、7の構成と同等である。
図11に示す構成の電池26を採用しても、先の実施形態で得られた効果と同等の効果を得ることができる。
【0071】
<外装体の他の実施形態>
ここまでの実施形態では、外装体として金属製の電池缶(金属缶)を適用した実施形態について説明したが、外装体は図12図13を基に先に説明したラミネートフィルムからなる構成としても良い。
本実施形態において、図12に示すように、薄型円筒容器状の第1容器101と第2容器102の組み合わせにより外装体が構成される。第2容器102の外周壁104は全周に渡り周縁部を断面U字型に折曲され、U字型折曲部分の外周側を囲むように第1容器101の円筒状の外周壁103が設けられている。そして、外周壁103と外周壁104の重ね合わせ部分が融着されている。
【0072】
第1容器101の底板中央の透孔の内側に円板状の負極側電極板105が配置され、第2容器102の天板中央の透孔の内側に円板状の保護プレート106を備えた正極側電極板109が配置されている。図12図13の構成では、負極側電極板105に隣接して負極側シーラントリング107が配置され、正極側電極板109に隣接して正極側シーラントリング108が配置され、これらの間に電極体110が配置されていた。
【0073】
本実施形態において電極体110は、上述した構成の電極体3を適用できる。あるいは、図9に示す電極体80を適用できる。
第1容器101および第2容器102は、それぞれラミネートフィルム(ラミネート構造体)により形成されている。ラミネートフィルムは、金属箔(金属層)と、重ね合わせ面(内側面)に設けられ金属箔を被覆する融着層(樹脂層)と、外側面に設けられ金属箔を被覆する保護層(樹脂層)とを有する。金属層は、例えばアルミニウムやステンレス鋼等からなり、外気や水蒸気を遮断する金属箔により形成されている。
【0074】
図12図13に示す構成では、第1容器101と第2容器102の中心部にそれぞれ透孔120が形成され、それらの内側に負極側電極板105あるいは正極側電極板109が設けられていたが、これらの構造の替わりに、図1Aに示す樹脂フィルム6、7で電極板5を覆って融着した構造を適用できる。
即ち、蓋板2Bの部分を第1容器101の底板と見立てて、第1容器101の底板外面側に図1Aに示す樹脂フィルム6、7で電極板5を覆って融着した構造を適用することができる。
また、蓋板2Bの部分を第2容器102の天板と見立てて、第2容器102の天板外面側に図1Aに示す樹脂フィルム6、7で電極板5を覆って融着した構造を適用することができる。
【0075】
「電極板ユニットの作製」
先に説明した実施形態では、図1A図2A図3A図4Aなどに示すように、蓋板2B、2D、2Eのいずれかと電極板5に対し樹脂フィルム6、7を予め配置した後、これらを融着する工程について説明したが、融着工程は上述した工程には限らない。
例えば、図7を基に先に説明した工程では、電極板5に対し第2の樹脂フィルム6、7を正確に位置決めして融着し、予め電極板ユニットとして構成し、この電極板ユニットを蓋板2Bに対し位置合わせして、融着し、その後、正極タブ45に電極板5を溶接する工程を採用した。
この工程によれば、電極板5に対する樹脂フィルム6、7の位置決め作業を正確に行った後で蓋板2B、2D、2Eに対し電極板ユニットを融着するので、蓋板2B、2D、2Eの中心部に正確に電極板5を融着し固定することができる。
【0076】
あるいは、外装体2の透孔2aの内側または外側に一方の樹脂フィルムを融着後、樹脂フィルムを融着した状態の電極板を先の一方の樹脂フィルムに沿わせて挿入し、位置合わせの後、両者を融着するという組み立て工程を採用することもできる。
または、予め電極板5に正極タブ45を溶接して接合しておき、正極タブ45を接合した電極板5の表裏面を樹脂フィルム6、7で挟むように融着し、その後、融着した樹脂フィルム6、7を有する電極板5を蓋板2Bに融着し、その後、電極体3を下部容器2Aに収容し、その後、蓋板2Bの下部容器2Aへの溶接を行っても良い。
【0077】
<第5実施形態>
図14は本発明に係る電気化学セルの第5実施形態について説明するための断面図であり、第5実施形態の電気化学セル50は、平面視円形状のボタン型の電池である。この電池50において、金属製容器からなる外装体2と外装体2の内部に収容された電極体3を備えている構成は先の第3実施形態と同様である。
【0078】
第5実施形態の電気化学セル50において、蓋板2Dに形成された凹部2eの上面側に第1の樹脂フィルム7によって電極板5が融着されているのは、先の第3実施形態の電気化学セル15と同等である。異なっているのは、電極板5の上面側に絶縁フィルム(第2の樹脂フィルム)51が設けられている点である。この絶縁フィルム51はリング状の平面形状を有し、中心部に形成されている透孔51aにより電極板5が外部に露出されている。絶縁フィルム51は底面側に図示略の粘着層を有している。絶縁フィルム51は粘着層を介し蓋板2Dの上面と樹脂フィルム7の周縁部上面と電極板5の上面に接着されている。
なお、本実施形態において第1の樹脂フィルム7の周縁側は電極板5を融着する際に電極板5の周縁側に上方に盛り上がるように配置される。このため、絶縁フィルム51は第1の樹脂フィルム7の周縁側に密着でき、蓋板2Dとの段差を埋める効果がある。
絶縁フィルム51を設けることで、絶縁フィルム51を設けていない構造より、封止構造の信頼性を向上させることができる。なお、第1の樹脂フィルム7の融着による封止性が充分であれば、絶縁フィルム51は略してもよい。
【0079】
<第6実施形態>
図15は本発明に係る電気化学セルの第6実施形態について説明するための断面図であり、第6実施形態の電気化学セル55は、平面視円形状のボタン型の電池である。この電池55において、金属製容器からなる外装体2と外装体2の内部に収容された電極体3を備えている構成は先の第2実施形態と同様である。
【0080】
第6実施形態の電気化学セル55において、蓋板Bの下面側に第1の樹脂フィルム7によって電極板5が融着されているのは、先の第2実施形態の電気化学セル10と同等である。異なっているのは、電極板5の下面側に絶縁フィルム(第2の樹脂フィルム)56が設けられている点である。この絶縁フィルム56はリング状の平面形状を有し、中心部に形成されている透孔56aにより電極板5が電池内部側に露出されている。絶縁フィルム56は上面側に図示略の粘着層を有している。絶縁フィルム56は粘着層を介し第1の樹脂フィルム7の周縁部下面と電極板5の下面周縁側に接着されている。
絶縁フィルム56を設けることで、絶縁フィルム56を設けていない構造より、封止構造の信頼性を向上させることができる。なお、樹脂フィルム7の融着による封止性が充分であれば、絶縁フィルム56は略してもよい。また、絶縁フィルム56は、内部電極のショートを防止する効果を有する。
【0081】
<第7実施形態>
図16は本発明に係る電気化学セルの第7実施形態について説明するための断面図である。第7実施形態の電気化学セル60は、底壁2aと側壁(周壁)2bを有する上面開口型の下部容器2Gと、該下部容器の開口部を閉じるように溶接などの接合方法により側壁上部に固定される平板状の蓋板2Hからなる構造を有する電池(電気化学セル)を採用しても良い。
図16に示す構造では、底壁2aの中央部に透孔2gが形成され、底壁2aの下面側に、第1の樹脂フィルム7により電極板5が融着されている。また、電極板5の外面側にはリング状の絶縁フィルム(第2の樹脂フィルム)61が貼り付けられている。この絶縁フィルム61の外径は電極板5よりも大きく形成され、第1の樹脂フィルム7の外面側と電極板5の外面側に密着することで、電極板5を外装体2に充分固定している。
図16に示す構造例であっても、絶縁フィルム61を設けることで、絶縁フィルム61を設けていない構造より、封止構造の信頼性を向上させることができる。なお、第1の樹脂フィルム7の融着による封止性が充分であれば、絶縁フィルム61は略してもよい。また、絶縁フィルム61は、内部電極のショートを防止する効果を有する。その他の作用効果については先の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0082】
<第8実施形態>
図17は本発明に係る電気化学セルの第8実施形態について説明するための断面図である。第8実施形態の電気化学セル65は、底壁2aと側壁(周壁)2bを有する上面開口型の下部容器2Gと、該下部容器の開口部を閉じるように溶接などの接合方法により側壁上部に固定される平板状の蓋板2Hからなる構造を有する電池(電気化学セル)を採用しても良い。
図17に示す構造では、底壁2aの中央部に透孔2gが形成され、底壁2aの下面側に、樹脂フィルム6、7で挟まれた構成の電極板5が融着されている。
図17に示す構造の電気化学セル65においても先の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0083】
<第9実施形態>
図18は本発明に係る電気化学セルの第9実施形態について説明するための断面図である。第9実施形態の電気化学セル70は、底壁2aと側壁(周壁)2bを有する上面開口型の下部容器2Kと、該下部容器の開口部を閉じるように溶接などの接合方法により側壁上部に固定される平板状の蓋板2Hからなる構造を有する電池(電気化学セル)を採用しても良い。
図18に示す構造では、底壁2aの中央部に上向きの凸部2Sが形成され、凸部2sの中央に透孔2pが形成され、底壁2aの下面側に、第1の樹脂フィルム7により電極板5が融着されている。また、電極板5の外面側にはリング状の絶縁フィルム61が貼り付けられている。この絶縁フィルム61の外径は電極板5よりも大きく形成され、第1の樹脂フィルム7の外面側と電極板5の外面側に密着することで、電極板5を外装体2に固定している。
図18に示す構造例であっても、絶縁フィルム61を設けることで、絶縁フィルム61を設けていない構造より、封止構造の信頼性を向上させることができる。なお、第1の樹脂フィルム7の融着による封止性が充分であれば、絶縁フィルム61は略してもよい。また、絶縁フィルム61は、内部電極のショートを防止する効果を有する。その他の作用効果については先の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
図18に示す構造の電気化学セル70においても先の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0084】
<第10実施形態>
図19は本発明に係る電気化学セルの第10実施形態について説明するための断面図である。第10実施形態の電気化学セル75は、底壁2aと側壁(周壁)2bを有する上面開口型の下部容器2Kと、該下部容器の開口部を閉じるように溶接などの接合方法により側壁上部に固定される平板状の蓋板2Hからなる構造を有する電池(電気化学セル)を採用しても良い。
図19に示す構造では、底壁2aの中央部に上向きの凸部2Sが形成され、凸部2sの中央に透孔2pが形成され、底壁2aの下面側に、樹脂フィルム6、7で挟まれた構成の電極板5が融着されている。
図19に示す構造の電気化学セル75においても先の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0085】
1、10、15、20、50、55、60、65、70、75…電池(電気化学セル)、2…外装体、2A、2G、2J、2K…下部容器、2B、2D、2E、2H…蓋板、2d…透孔、3…電極体、5…電極板、6…第2の樹脂フィルム(樹脂カバー)、6A…融着層、7…第1の樹脂フィルム(シーラントフィルム)、7A、7C…融着層、6B、7B…基層、6b、7b…融着部、51…絶縁フィルム(第2の樹脂フィルム)、56…絶縁フィルム(第2の樹脂フィルム)、61…絶縁フィルム(第2の樹脂フィルム)、
100…電池(電気化学セル)、101…第1容器(外装体)、102…第2容器(外装体)、110…電極体。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19