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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】吸引器用の電源ユニット
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/51 20200101AFI20241125BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20241125BHJP
【FI】
A24F40/51
A24F40/20
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023517143
(86)(22)【出願日】2022-03-17
(86)【国際出願番号】 JP2022012249
(87)【国際公開番号】W WO2022230430
(87)【国際公開日】2022-11-03
【審査請求日】2023-10-10
(31)【優先権主張番号】P 2021076014
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 亮
(72)【発明者】
【氏名】青山 達也
(72)【発明者】
【氏名】川中子 拓嗣
(72)【発明者】
【氏名】長浜 徹
(72)【発明者】
【氏名】藤木 貴司
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110693092(CN,A)
【文献】国際公開第2019/170897(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/225105(WO,A1)
【文献】国際公開第2022/059129(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
A61M 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル源を加熱するためのヒータに電源からの電力を供給する、吸引器用の電源ユニットであって、
前記電源ユニットの動作を制御する制御部と、
前記電源および前記制御部を収容する筐体と、
前記筐体の表面に取り外し可能に装着されるパネルと、
前記パネルの前記筐体からの取り付けまたは取り外しを検知する検知部と、
を有し、
前記制御部は、前記検知部により前記パネルの取り外しが検知された場合に、前記制御部が制御する複数の機能に対する機能制限を行うように構成され、
前記制御部は、複数の動作モードを有し、各動作モードに応じて前記機能制限の内容が異なる、
ことを特徴とする電源ユニット。
【請求項2】
前記筐体に配置された操作ボタンを更に備え、
前記制御部は、前記複数の動作モードのいずれにおいても、前記パネルが取り外されている状態では、前記機能制限として、前記操作ボタンの操作を無効にする、
ことを特徴とする請求項1に記載の電源ユニット。
【請求項3】
表示部を更に備え、
前記複数の動作モードは、前記表示部による表示を行うとともに前記操作ボタンを用いたロック解除操作の検知を待機する待機モードと、エアロゾルを生成するために前記ヒータへの電力供給を行うエアロゾル生成モードとを含み、
前記制御部は、前記待機モードにおいて前記パネルが取り外されている状態で前記ロック解除操作が検知されたときは、前記機能制限として、前記エアロゾル生成モードには遷移しない、
ことを特徴とする請求項2に記載の電源ユニット。
【請求項4】
前記制御部は、前記エアロゾル生成モードにおいて、前記検知部により前記パネルの取り外しが検知された場合には、前記機能制限として、前記ヒータへの電力供給を禁止する、ことを特徴とする請求項3に記載の電源ユニット。
【請求項5】
前記制御部は、前記ヒータへの電力供給を禁止した後、所定時間内に前記検知部により前記パネルの取り付けが検知された場合には、前記ヒータへの電力供給の前記禁止を解除する、ことを特徴とする請求項4に記載の電源ユニット。
【請求項6】
前記複数の動作モードは、前記待機モードにおいて前記電源ユニットに対するユーザ操作がない無操作状態が所定時間継続した場合に前記表示部による表示を停止し節電状態で待機するスリープモードと、前記電源ユニットと外部通信装置とを関連付けるペアリングを実行可能なペアリングモードを更に含み、
前記制御部は、前記スリープモードにおいて前記パネルが取り外されている状態で前記操作ボタンを用いたペアリング操作が検知されたときは、前記機能制限として、前記ペアリングモードには遷移しない、
ことを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載の電源ユニット。
【請求項7】
前記制御部は、前記ペアリングモードにおいて、前記検知部により前記パネルの取り外しが検知された場合には、前記機能制限として、前記ペアリングの実行を禁止する、ことを特徴とする請求項6に記載の電源ユニット。
【請求項8】
前記複数の動作モードは、前記操作ボタンを用いたロック解除設定操作が行われたことに応じて、前記ロック解除操作の設定を実行可能なロック解除設定モードを更に含み、
前記制御部は、前記パネルが取り外されている状態で前記操作ボタンを用いたロック解除設定操作が検知されたときは、前記機能制限として、前記ロック解除設定モードには遷移しない、
ことを特徴とする請求項3から7のいずれか1項に記載の電源ユニット。
【請求項9】
前記制御部は、前記ロック解除設定モードにおいて、前記検知部により前記パネルの取り外しが検知された場合には、前記機能制限として、前記ロック解除操作の設定の実行を禁止する、ことを特徴とする請求項8に記載の電源ユニット。
【請求項10】
前記複数の動作モードは、外部電源を用いて前記電源の充電を行う充電モードを更に含み、
前記制御部は、前記充電モードにおいて前記検知部により前記パネルの取り外しが検知された場合であっても前記電源の充電を継続する、
ことを特徴とする請求項3から9のいずれか1項に記載の電源ユニット。
【請求項11】
前記制御部は、前記表示部による表示を停止し節電状態で待機するスリープモード以外の動作モードにおいては、前記検知部により前記パネルの取り外しが検知された場合であっても前記表示部による表示を継続する、ことを特徴とする請求項10に記載の電源ユニット。
【請求項12】
前記複数の機能に対する機能制限の内容を設定する設定部を更に有することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の電源ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸引器用の電源ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
加熱式たばこ等の吸引器は、エアロゾル源および香味源を含む基材と、基材を収容し、電源からの電力をヒータに供給して基材を加熱する電源ユニットとを含みうる。電源ユニットは、使用時にユーザが持つ部分であり、操作部や表示部も備えうる。特許文献1には、電源ユニットに対応するアセンブリの表面に、取り外し可能な部材(パネル)が取り付けられたエアロゾル供給システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2021-500032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
外装部材等の特定の部品が取り外された場合に装置の安全性の観点から機能制限を行うことは一般に行われていることである。
【0005】
しかし、装置の機能の内容に応じて機能制限を制御しないと、ユーザの利便性を損なうおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、例えば、安全性とユーザの利便性の両立に有利な吸引器用の電源ユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面によれば、エアロゾル源を加熱するためのヒータに電源からの電力を供給する、吸引器用の電源ユニットであって、前記電源ユニットの動作を制御する制御部と、前記電源および前記制御部を収容する筐体と、前記筐体の表面に取り外し可能に装着されるパネルと、前記パネルの前記筐体からの取り付けまたは取り外しを検知する検知部と、を有し、前記制御部は、前記検知部により前記パネルの取り外しが検知された場合に、前記制御部が制御する複数の機能に対する機能制限を行うように構成され、前記制御部は、複数の動作モードを有し、各動作モードに応じて前記機能制限の内容が異なる、ことを特徴とする電源ユニットが提供される。
【0008】
一実施形態によれば、前記筐体に配置された操作ボタンを更に備え、前記制御部は、前記複数の動作モードのいずれにおいても、前記パネルが取り外されている状態では、前記機能制限として、前記操作ボタンの操作を無効にする。
【0009】
一実施形態によれば、表示部を更に備え、前記複数の動作モードは、前記表示部による表示を行うとともに前記操作ボタンを用いたロック解除操作の検知を待機する待機モードと、エアロゾルを生成するために前記ヒータへの電力供給を行うエアロゾル生成モードとを含み、前記制御部は、前記待機モードにおいて前記パネルが取り外されている状態で前記ロック解除操作が検知されたときは、前記機能制限として、前記エアロゾル生成モードには遷移しない。
【0010】
一実施形態によれば、前記制御部は、前記エアロゾル生成モードにおいて、前記検知部により前記パネルの取り外しが検知された場合には、前記機能制限として、前記ヒータへの電力供給を禁止する。
【0011】
一実施形態によれば、前記制御部は、前記ヒータへの電力供給を禁止した後、所定時間内に前記検知部により前記パネルの取り付けが検知された場合には、前記ヒータへの電力供給の前記禁止を解除する。
【0012】
一実施形態によれば、前記複数の動作モードは、前記待機モードにおいて前記電源ユニットに対するユーザ操作がない無操作状態が所定時間継続した場合に前記表示部による表示を停止し節電状態で待機するスリープモードと、前記電源ユニットと外部通信装置とを関連付けるペアリングを実行可能なペアリングモードを更に含み、前記制御部は、前記スリープモードにおいて前記パネルが取り外されている状態で前記操作ボタンを用いたペアリング操作が検知されたときは、前記機能制限として、前記ペアリングモードには遷移しない。
【0013】
一実施形態によれば、前記制御部は、前記ペアリングモードにおいて、前記検知部により前記パネルの取り外しが検知された場合には、前記機能制限として、前記ペアリングの実行を禁止する。
【0014】
一実施形態によれば、前記複数の動作モードは、前記操作ボタンを用いたロック解除設定操作が行われたことに応じて、前記ロック解除操作の設定を実行可能なロック解除設定モードを更に含み、前記制御部は、前記パネルが取り外されている状態で前記操作ボタンを用いたロック解除設定操作が検知されたときは、前記機能制限として、前記ロック解除設定モードには遷移しない。
【0015】
一実施形態によれば、前記制御部は、前記ロック解除設定モードにおいて、前記検知部により前記パネルの取り外しが検知された場合には、前記機能制限として、前記ロック解除操作の設定の実行を禁止する。
【0016】
一実施形態によれば、前記複数の動作モードは、外部電源を用いて前記電源の充電を行う充電モードを更に含み、前記制御部は、前記充電モードにおいて前記検知部により前記パネルの取り外しが検知された場合であっても前記電源の充電を継続する。
【0017】
一実施形態によれば、前記制御部は、前記表示部による表示を停止し節電状態で待機するスリープモード以外の動作モードにおいては、前記検知部により前記パネルの取り外しが検知された場合であっても前記表示部による表示を継続する。
【0018】
一実施形態によれば、前記複数の機能に対する機能制限の内容を設定する設定部を更に有する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、例えば、安全性とユーザの利便性の両立に有利な吸引器用の電源ユニットを提供することができる。
【0020】
本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面を参照とした以下の説明により明らかになるであろう。なお、添付図面においては、同じ若しくは同様の構成には、同じ参照番号を付す。
【図面の簡単な説明】
【0021】
添付図面は明細書に含まれ、その一部を構成し、本発明の実施の形態を示し、その記述と共に本発明の原理を説明するために用いられる。
図1A】吸引器の外観斜視図。
図1B】吸引器の外観斜視図。
図2】吸引器の内部構成図。
図3A】アウタパネル取り付けのための構成例を示す図。
図3B】アウタパネル取り付けのための構成例を示す図。
図4A】アウタパネル取り付けのための構成例を示す図。
図4B】アウタパネル取り付けのための構成例を示す図。
図5】電源ユニットの機能構成を示すブロック図。
図6】電源ユニットの状態遷移の例を示す図。
図7】スリープモードにおける電源ユニットの動作例を示すフローチャート。
図8】アクティブモードにおける電源ユニットの動作例を示すフローチャート。
図9】エアロゾル生成モードにおける電源ユニットの動作例を示すフローチャート。
図10】ペアリングモードにおける電源ユニットの動作例を示すフローチャート。
図11】充電モードにおける電源ユニットの動作例を示すフローチャート。
図12】ロック解除設定モードにおける電源ユニットの動作例を示すフローチャート。
図13】アウタパネル取り外し時における各機能の動作を選択可能な設定画面の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0023】
<吸引器の構成>
図1A-Bには、実施形態に係る吸引器100の外観の一例が示されている。吸引器100は、ユーザによる吸引動作等のエアロゾルを要求する動作(以下では「エアロゾル生成要求」ともいう。)に応じて、香味を有するエアロゾル、または、エアロゾルおよび香味物質を含む気体、または、エアロゾル、または、香味物質を含むエアロゾルをスティック110を通してユーザに提供する。したがって、吸引器100は、エアロゾル生成装置と理解されてもよい。
【0024】
吸引器100は、電源ユニット101と、スティック110とによって構成されうる。スティック110は、例えば、エアロゾル源および香味源を含む基材である。エアロゾル源は、例えば、グリセリンまたはプロピレングリコール等の多価アルコール等の液体でありうる。あるいは、エアロゾル源は、薬剤を含んでもよい。エアロゾル源は、液体であってもよいし、固体であってもよいし、液体および固体の混合物であってもよい。エアロゾル源に代えて、水等の蒸気源が用いられてもよい。香味源は、例えば、たばこ材料を成形した成形体でありうる。あるいは、香味源は、たばこ以外の植物(例えば、ミント、ハーブ、漢方、コーヒー豆等)によって構成されてもよい。香味源には、メントールなどの香料が付与されていてもよい。香味源は、エアロゾル源に添加されてもよい。
【0025】
電源ユニット101は、例えば、図1A-Bの紙面の上下方向に長い、丸みを帯びた略直方体の形状を有し、ユーザが片手で把持できる程度のサイズで構成されうる。電源ユニット101は、アウタパネル(パネル)102、アクションボタンB、およびスライダ105を含みうる。
【0026】
アウタパネル102は、電源ユニット101の前面の少なくとも一部を覆う可撓性のパネル部材である。アウタパネル102は、交換のために取り外し可能な、電源ユニット101の外装部材であり、化粧パネルと理解されてもよい。例えば、色や絵柄の異なる複数のアウタパネルが用意され、ユーザは好みのアウタパネルに交換することができる。また、アウタパネル102は、電源ユニット101の内部で発生する熱を遮断する断熱パネルと理解されてもよく、さらには、落下時の衝撃や圧迫等から電源ユニット101の内部を保護する保護パネルと理解されてもよい。
【0027】
アウタパネル102には表示窓103が形成されている。表示窓103は、アウタパネル102の略中央で長手方向(紙面内上下方向)に沿って延在する帯状の窓でありうる。電源ユニット101は、ディスプレイD(表示部)を有する(図2参照)。ディスプレイDは、例えば1つ以上のLED(Light-Emitting Diode)を含みうる。該LEDが発した光は表示窓103を透過する。ディスプレイDは、例えば、電池残量をバーグラフ形式で表示することができる。
【0028】
アクションボタンBは、物理的な押しボタンによって構成される操作ボタンである。アクションボタンBはアウタパネル102によって覆われているが、アウタパネル102は可撓性を有するため、ユーザはアウタパネル102を介してアクションボタンBを操作することができる。ユーザがアウタパネル102を介してアクションボタンBを押すと、それに対応した信号が後述する制御部へ伝送される。なお、本実施形態では、物理式のボタンで構成されるアクションボタンBがアウタパネル102に覆われる場合を例に説明するが、ユーザ操作を受け付け可能であれば、他の構成であってもよい。例えば、アクションボタンBの代わりに、アウタパネル102から露出されたタッチ感知面やスイッチなど、他の任意の種類の入力デバイスが設けられてもよい。
【0029】
なお、アウタパネル102には、ユーザがアウタパネル102越しにアクションボタンBを操作するために複数の指を使ってアウタパネル102を押し込む必要があるような剛性をもたせるようにしてもよい。それにより例えば、鞄の中で誤ってアクションボタンBが押下されることや、ユーザによる意図しない誤操作を防止することができる。また、子供のいたずら防止(チャイルドレジスタンス)の点でも有利である。
【0030】
スライダ105は、電源ユニット101の上面に矢印で示された方向105aに沿ってスライド可能に配設されるカバー部材(シャッタ)である。スライダ105は、スティック110を挿入する開口を開閉するように構成される。図1Aには、スライダ105によって開口106が覆われた状態が示されている。以下ではこの状態を「シャッタ閉」ともいう。図1Bには、スライダ105が手前側にスライドされたことにより開口106が露出した状態が示されている。以下ではこの状態を「シャッタ開」ともいう。
【0031】
ユーザは、吸引器100を使用してエアロゾルを吸引する際、スライダ105を操作してシャッタ開にする。その後、ユーザは、開口106にスティック110を挿入する。挿入されたスティック110は、開口106に連通する管状の保持部107によって保持される。保持部107の長手方向に直交する断面は、例えば円形、楕円形又は多角形であってよく、その断面積は底面に近付くにつれて徐々に減少するように構成されうる。このように構成することにより、保持部107へ挿入されたスティック110の外側面が保持部107の内側面から押圧され、スティック110の脱落が摩擦力によって防止されうる。ユーザは、その後、アクションボタンBを用いたロック解除操作を行うことができる。ロック解除操作が行われると、電源ユニット101のロックが解除されてスティック110の加熱が開始されて吸引可能状態となりうる。こうして吸引可能状態となったとき、ユーザは、スティック110の先端に形成された吸口部を口で咥えて、香味を有するエアロゾルを吸引することができる。ユーザは、エアロゾルの吸引を終了すると、スティック110を保持部107から引き抜き、スライダ105を閉じる操作を行う(シャッタ閉)。
【0032】
図2には、吸引器100の内部構成図が示されている。なお、図2ではアウタパネル102は省略されている。電源ユニット101は、上記したように、開口106に連通し、スティック110を保持する保持部107を有する。また、電源ユニット101は、ヒータHと、電気部品Eと、ユーザインタフェース116とを含みうる。ユーザインタフェース116は電気部品Eに含まれるものと理解されてもよい。ヒータHは、スティック110を加熱する加熱部を構成する。ヒータHは、例えば、スティック110内のエアロゾル源を加熱してエアロゾルを発生させる抵抗発熱性の部品を含みうる。抵抗発熱性の部品の抵抗発熱材料としては、例えば、銅、ニッケル合金、クロム合金、ステンレス、及び白金ロジウムのうちの1つ以上の混合物が使用されうる。ヒータHは、保持部107の周囲を覆うように配置され、電気部品Eから供給される電力によって発熱する。ヒータHの熱は保持部107を介してスティック110へと伝わり、スティック110が加熱される。スティック110が加熱されることでスティック110からエアロゾルが生成されうる。ユーザインタフェース116は、アクションボタンBとディスプレイDと振動発生部Vとを含みうる。振動発生部Vは、電源ユニット101の筐体を振動させるための振動モータ(バイブレータ)で構成されうる。振動モータによって筐体を振動させることで電源ユニット101を持っているユーザに状態を報知することができる。
【0033】
ユーザがスティック110の先端の吸口部を口で咥えて吸引動作を行うと、破線矢印Aで例示されるように、不図示の開口を通じてスティック内に空気が流入し、ヒータHがスティック110を加熱することによって蒸気化および/またはエアロゾル化されたエアロゾル源がその空気によって吸口部に向けて輸送される。エアロゾル源が吸口部に向けて輸送される過程において、蒸気化および/またはエアロゾル化されたエアロゾル源が冷却されて微小な液滴が形成されることで、エアロゾル化が促進されうる。そして、スティック110に香味源も含まれている構成においては、香味源から発生した香味物質がそのエアロゾルに添加されて、これにより香味を有するエアロゾルが吸口部に輸送され、ユーザの口に吸い込まれる。
【0034】
なお、以上の例では、ヒータHが電源ユニット101に内蔵されている例を示したが、スティック110に代えて、ヒータ(霧化器)、エアロゾル源、および香味源がカートリッジのかたちで提供される構成であってもよい。
【0035】
図3A-Bおよび図4A-Bを参照して、電源ユニット101に対するアウタパネル102の取り付けのための構成例を説明する。
【0036】
図3Aは、アウタパネル102の内側表面を示す図である。図3Bは、アウタパネル102が取り外されているときに電源ユニット101の前面に露出している部分を示す図である。電源ユニット101は、電源および電気部品(後述の制御部を含む)を収容する筐体101aと、インナパネル202を有する。図3Bにおいて、インナパネル202は、アクションボタンBが露出するようアクションボタンBの周囲に配置され、筐体101aの前面を覆うように配置されている。アウタパネル102が電源ユニット101に取り付けられた状態においては、アウタパネル102の内側表面とインナパネル202の外側表面とが対向する。
【0037】
図3Aに示されるように、アウタパネル102の内側表面には、表示窓103の上方に磁石11が配置され、表示窓103の下方に突起12が配置され、更にその下方に、磁石13Aおよび磁石14が配置されている。アウタパネル102をインナパネル202に取り付けるべく双方を近づけると、磁石11および磁石14の磁力(磁気的引力)により、アウタパネル102はインナパネル202に吸着する。これによりアウタパネル102がインナパネル202に保持される。突起12は、アウタパネル102がインナパネル202に保持されたとき、アクションボタンBと対向してアクションボタンBを押すことが可能な位置にある。インナパネル202の裏面側には磁気センサ23Aが配置されている。磁石13Aは、磁気センサ23Aに対する磁場印加部として構成される。磁気センサ23Aが、磁石13Aから印加される磁場による磁力を検出することにより、アウタパネル102の装着を検出することができる。
【0038】
図3Bに示されるように、インナパネル202の外側表面には、アクションボタンBの上方に表示窓25が形成されており、表示窓25の上方に磁石21Aが配置され、アクションボタンBの下方に磁石24が配置されている。また、インナパネル202の内側表面(より正確には、内側表面に対して略ゼロ距離となる基板上)の、アクションボタンBと磁石24の間となる位置に磁気センサ23Aが配置されている。磁気センサ23Aにより、インナパネル202の外側表面には、破線で示された磁力検出領域26Aが形成される。インナパネル202側の磁石21A、表示窓25、アクションボタンB、磁気センサ23A、および磁石24はそれぞれ、アウタパネル102側の磁石11、表示窓103、突起12、磁石13A、および磁石14に対応する。つまり、アウタパネル102をインナパネル202に取り付けたときに、それぞれに対して位置合わせされ、対向することになる。
【0039】
インナパネル202の磁石21Aおよび磁石24は、それらの磁力(磁気的引力)により、アウタパネル102の磁石11および磁石14とそれぞれ吸着しうる。つまり、磁石11および磁石21Aと、磁石14および磁石24とが相互に引き合うことにより、インナパネル202はアウタパネル102を保持することができる。なお、アウタパネル102の磁石11および磁石14と、インナパネル202の磁石21Aおよび磁石24は、永久磁石によって構成されうる。
【0040】
インナパネル202の中央部に配置されているアクションボタンBは、アウタパネル102がインナパネル202に取り付けられたときに、アウタパネル102によって覆われる。ユーザはアウタパネル102中央部付近を押すことで、アウタパネル102の突起12を介してアクションボタンBを押下することができる。これにより、例えば、吸引器100の電源オン/オフを切り替えることができる。
【0041】
磁気センサ23Aは、アウタパネル102における磁石13Aから印加される磁場に基づく磁力を検出する。例えば、磁気センサ23Aは、ホール素子を用いて構成されるホールセンサでありうる。これにより、アウタパネル102のインナパネル202への取り付けを検出することができる。アウタパネル102がインナパネル202に取り付けられた状態において、ディスプレイDからの光は、インナパネル202の表示窓25およびアウタパネル102の表示窓103を透過する。
【0042】
インナパネル202の磁気センサ23Aは、アウタパネル102がインナパネル202に取り付けられた状態で、インナパネル202の内側表面を介して、アウタパネル102の磁石13Aに対向するように配置されている。つまり、アウタパネル102がインナパネル202に取り付けられたときに、インナパネル202の磁気センサ23Aと、アウタパネル102の磁石13Aとの距離は最小となる。
【0043】
また、インナパネル202の磁気センサ23Aは、インナパネル202の2つの磁石21Aおよび磁石24がそれぞれ生成する磁場を検知しないように構成される。例えば、インナパネル202の内側表面において、インナパネル202の外側表面の2つの磁石21Aおよび磁石24から離間した位置に磁気センサ23Aが配置される。これにより、磁気センサ23Aにおいて、これら2つの磁石21Aおよび磁石24からの磁場の影響を略ゼロとすることができる。
【0044】
インナパネル202における磁気センサ23Aと磁石24(または磁石21A)との距離は、アウタパネル102がインナパネル202に取り付けられた状態の磁石13Aと磁気センサ23Aとの距離よりも大きくなるように構成されうる。これにより、アウタパネル102のインナパネル202への取り付けを検出する際に、磁気センサ23Aにおいて、磁石24の磁場の影響を考慮することなく、磁石13Aから印加される磁場の影響のみを適切に考慮することができる。
【0045】
一例において、アウタパネル102は、インナパネル202に取り付けられるときに、磁気センサ23Aで測定されるデータがアウタパネル102の種別に応じて異なるように構成されうる。より詳しくは、アウタパネル102は、インナパネル202の磁気センサ23Aで検出される、磁場印加部の磁石13Aに関する磁力の大きさが、パネルの種別に応じて異なるように構成される。
【0046】
例えば、アウタパネル102がインナパネル202に取り付けられている状態で、磁場印加部である磁石13Aと、対向する磁気センサ23Aとの間の距離がアウタパネルの種別に応じて異なるように、アウタパネル102が構成されうる。つまり、アウタパネル102の内側表面の高さが種別に応じて異なるように、アウタパネルの種別毎に曲面の形状が調整されてもよい。なお、一般的に、磁力の大きさは磁石からの距離に応じて異なる(具体的には、距離の2乗に反比例する)ことは当業者には理解されよう。これにより、何れの種別のアウタパネル102においても共通の磁石13Aを使用することができ、製造上有利である。
【0047】
他の例では、対面しているアウタパネル102の内側表面に沿って、磁石13Aの位置がアウタパネルの種別に応じて異なるようにずれて配置されてもよい。これにより、磁石13Aと磁気センサ23Aとの間の距離をアウタパネルの種別に応じて異なるものとすることができる。すなわち、磁気センサ23Aで検出する磁力の大きさがパネルの種別に応じて異なるようにすることができる。
【0048】
更なる他の例では、アウタパネル102は、磁場印加部である磁石13Aの種類がアウタパネルの種別に応じて異なるように構成されうる。磁石13Aは、例えば永久磁石により構成される。より詳しくは、フェライト磁石、アルニコ磁石、コバルト磁石、及びネオジム磁石等のうちのいずれかの磁石が、アウタパネルの種別に応じて選択される。これにより、磁気センサ23Aで検出する磁力の大きさがアウタパネルの種別に応じて異なるようにすることができる。
【0049】
図4Aおよび図4Bには、図3Aおよび図3Bとは別の構成例が示されている。図4Aは、アウタパネル102の内側表面を示す図である。図4Bは、アウタパネル102が取り外されているときに電源ユニット101の前面に露出している部分を示す図である。インナパネル202の外側表面の外観図である。アウタパネル102が電源ユニット101に取り付けられた状態においては、アウタパネル102の内側表面とインナパネル202の外側表面とが対向する。
【0050】
図4Aに示されるように、アウタパネル102の内側表面には、表示窓103の上方に磁性体13Bが配置され、表示窓103の下方に突起12が配置され、さらにその下方に、磁石15が配置されている。また、磁性体13Bは、円形状の基部11Bと、基部11Bから略長手方向に直線状に延びる脚部12Bとを含む。磁性体13Bは、外部から磁場が印加されると、磁場の作用により磁気を帯びて磁場を印加するような物質で構成される。磁性体13Bは、インナパネル202の磁気センサ23B(後述)に対する磁場印加部として構成される。磁性体13Bは例えば金属で構成されうる。より詳しくは、磁性体13Bは、非永久磁石である強磁性体又は常磁性体により構成されうる。ここで、強磁性とは、外部から磁場が印加されると、その磁場と同じ方向に強い磁気を帯び、外部からの磁界をゼロにしても強い磁気が残るような性質のことをいう。強磁性体の例は、鉄、コバルト、ニッケルである。また、常磁性とは、外部から磁場が印加されると、その磁場と同じ方向に弱い磁気を帯び、外部からの磁界をゼロにすると磁気を帯びなくなる性質のことをいう。常磁性の例は、アルミニウムである。
【0051】
磁性体13Bは、外部から印加される磁場の作用に応じて状態が変化する(つまり、磁化する)被作用部として構成される。加えて、磁性体13Bは、インナパネル202に対して磁場を印加する磁場印加部として構成される。具体的には、アウタパネル102がインナパネル202に取り付けられると、磁性体13Bは、インナパネル202の磁石21Bからの作用を受ける被作用部として機能する。その結果、磁性体13Bが磁化されて、今度は、インナパネル202の磁石21B及び磁気センサ23Bに対し磁場印加部として機能することになる。より詳しくは、磁性体13B(特に基部11B)で生成され、印加される磁場に基づく磁力により、アウタパネル102をインナパネル202に吸着させ保持することができる。また、磁性体13B(特に脚部12B)で生成され、印加される磁場に対し、インナパネル202の磁気センサ23Bに、脚部12Bの状態(つまり、脚部12Bからの磁場に基づく磁力)を検出させることができる。これにより、電源ユニット101にアウタパネル102の装着を検出させることができる。
【0052】
図4Bに示されるように、インナパネル202の外側表面には、アクションボタンBの上方に表示窓25が形成されており、表示窓25の上方に磁石21Bが配置され、アクションボタンBの下方に磁石27が配置されている。また、インナパネル202の内側表面(より正確には、内側表面に対して略ゼロ距離となる基板上)の、表示窓25の側方に磁気センサ23Bが配置されている。磁気センサ23Bにより、インナパネル202の外側表面には破線で示された磁力検出領域26Bが形成される。インナパネル202側の磁石21B、磁気センサ23B、表示窓25、アクションボタンB、および磁石27はそれぞれ、アウタパネル102側の磁性体13Bの基部11B、磁性体13Bの脚部12B、表示窓103、突起12、および磁石15にそれぞれ対応する。つまり、アウタパネル102をインナパネル202に取り付けたときに、それぞれに対して位置合わせされ、対向することになる。インナパネル202にアウタパネル102が取り付けられたとき、インナパネル202の磁石21Bおよび磁気センサ23Bの両方に対してアウタパネル102の磁性体13Bが位置合わせされるように配置される。より詳しくは、インナパネル202の磁石21Bに対してアウタパネル102の磁性体13Bの基部11Bが位置合わせされると共に、インナパネル202の磁気センサ23Bに対してアウタパネル102の磁性体13Bの脚部12Bが位置合わせされるように配置される。特に、アウタパネル102がインナパネル202に取り付けられたときに、磁気センサ23Bがインナパネル202の内側表面を介して磁性体13Bの脚部12Bに対向することにより、磁気センサ23Bと磁性体13Bの脚部12Bとの距離は最小となる。
【0053】
インナパネル202の磁石21Bは、磁場を生成する作用部として構成される。そして、磁場に基づく磁力により、アウタパネル102において磁性体13Bを磁化させるように作用して、磁性体の基部11Bを吸着する。つまり、磁性体13Bの基部11Bおよび磁石21Bが、磁気的引力によって相互に引き合うことにより、インナパネル202はアウタパネル102を保持することができる。
【0054】
磁気センサ23Bは、アウタパネル102において磁化した磁性体13Bの脚部12Bの磁力を検出する。例えば、磁気センサ23Bは、磁気センサ23Aと同様に、ホール素子を用いて構成されるホールセンサでありうる。これにより、アウタパネル102のインナパネル202への取り付けを検出することができる。
【0055】
インナパネル202の磁気センサ23Bは、インナパネル202の2つの磁石21Bおよび磁石27がそれぞれ生成する磁場を検知しないように構成される。例えば、インナパネル202の内側表面において、インナパネル202の外側表面の2つの磁石21Bおよび磁石27から離間した位置に磁気センサ23Bが配置される。これにより、磁気センサ23Bにおいて、これら2つの磁石21Bおよび磁石27からの磁場の影響を略ゼロとすることができる。
【0056】
インナパネル202における磁気センサ23Bと磁石21B(または磁石27)との距離が、アウタパネル102がインナパネル202に取り付けられた状態の磁性体13Bと磁気センサ23Bとの距離よりも大きくなるように構成されうる。これにより、アウタパネル102のインナパネル202への取り付けを検出する際に、磁気センサ23Bにおいて、2つの磁石21Bおよび磁石27の磁場の影響を考慮することなく、磁性体13Bの脚部12Bから印加される磁場のみを適切に考慮することができる。
【0057】
一例において、アウタパネル102は、インナパネル202に取り付けられるときに、磁気センサ23Bで測定されるデータがアウタパネル102の種別に応じて異なるように構成されうる。より詳しくは、アウタパネル102は、インナパネル202の磁気センサ23Bで検出される、磁化された磁性体13Bに関するデータ(つまり、磁気センサ23Bで検出される磁力の大きさ)が、パネルの種別に応じて異なるように構成される。
【0058】
例えば、アウタパネル102がインナパネル202に取り付けられている状態で、磁性体13Bの脚部12Bと、対向する磁気センサ23Bとの距離が、アウタパネル102の種別に応じて異なるように、アウタパネル102が構成される。つまり、アウタパネル102の内側表面の高さが種別に応じて異なるように、パネルの種別毎に曲面の形状が調整されてもよい。これにより、何れの種別のアウタパネル102においても共通の磁性体13Bを使用すればよく、製造上有利である。
【0059】
他の例では、対面しているアウタパネル102の内側表面に沿って、磁性体13Bの位置がパネルの種別に応じて異なるようにずれて配置されてもよい。これにより、磁性体13Bと磁気センサ23Bとの間の距離をパネル種別に応じて異なるものとすることができる。すなわち、磁気センサ23Bで検出する磁力の大きさがパネルの種別に応じて異なるようにすることができる。
【0060】
以上では、磁石を用いてアウタパネル102をインナパネル202に装着するための構成例を説明したが、これに限定されない。アウタパネル102を取り外し可能にインナパネル202に装着でき、かつ、取り外し/取り付けの状態が検知できるかぎり、他の構成を採用してもよい。
【0061】
次に、図5を参照して、電源ユニット101の機能構成例を説明する。なお、説明する機能ブロックの各々は、統合されまたは分離されてもよく、また説明する機能が別のブロックで実現されてもよい。また、ハードウェアとして説明するものがソフトウェアで実現されてもよく、あるいはその逆であってもよい。
【0062】
制御部120は、電源ユニット101の動作を制御する。制御部120は、1つ以上のプロセッサと揮発性のメモリを含み、プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)又はマイクロコントローラであってよい。制御部120は、記憶部121に記憶されるコンピュータプログラム(ソフトウェア又はファームウェアともいう)をメモリにロードして実行することにより、吸引器100の機能全般を制御する。記憶部121は、例えば不揮発性のメモリであってよい。記憶部121は、1つ以上のコンピュータプログラムや、加熱部130を制御するための制御シーケンス(加熱プロファイル)が記述されたデータ等を記憶する。なお、加熱部130は、スティック110を加熱する機能部であり、前述のヒータHによって構成される。
【0063】
制御部120は、外部通信装置との間の通信(ペアリングや通常時の接続)を制御しうる。また、制御部120は、アクションボタンBやスライダ105に対するユーザ操作などに応じて、後述する吸引器100の状態遷移を制御しうる。制御部120は、バッテリ132からの電力の加熱部130への供給を制御する。制御部120は、エアロゾル生成要求に応じて、電源であるバッテリ132から加熱部130への電力の供給を開始させることができる。制御部120は、例えば、加熱部130に対する温度制御を、制御パルスのデューティ比をパルス幅変調(PWM)によって調整する。なお、制御部120は、PWMの代わりにパルス周波数変調(PFM)を利用してもよい。
【0064】
入力検知部122は、例えばアクションボタンBに対する操作入力を検知する。入力検知部122は、例えば、アウタパネル102の押し込みを通じたユーザ操作を検知し、ユーザ操作を示す入力信号を制御部120へ出力する。なお、吸引器100は、アクションボタンBに対する押下を検知する代わりに、アウタパネル102の押し込みそのものを検知するようにしてもよい。
【0065】
状態検知部123は、スライダ105の開閉状態を検知しる。状態検知部123は、例えばホール素子を含むホールセンサにより構成されうる。状態検知部123は、スライダ105が開かれているか又は閉じられているかを示す状態検知信号を制御部120へ出力する。さらに、状態検知部123は、アウタパネル102の着脱状態も検知しうる。したがって、状態検知部123は例えば、前述した磁気センサ23Aまたは23Bを含みうる。状態検知部123は、アウタパネル102の着脱状態を示す状態検知信号を制御部120へ出力してもよい。
【0066】
吸引検知部124(パフセンサ)は、ユーザによるスティック110の吸引(パフ)を検知しうる。例えば、吸引検知部124は、開口106の近傍に配設されるサーミスタを含みうる。この場合、吸引検知部124は、ユーザによる吸引に起因する温度変化がもたらすサーミスタの抵抗値の変化に基づいて吸引を検知し得る。他の例として、吸引検知部124は、保持部107の底部に配設される圧力センサを含んでもよい。この場合、吸引検知部124は、吸引により引き起こされる気流がもたらす気圧の減少に基づいて吸引を検知し得る。吸引検知部124は、例えば、吸引が行われているか否かを示す吸引検知信号を制御部120へ出力する。
【0067】
発光部125は、1つ以上のLEDと、LEDを駆動するためのドライバとを含み、ディスプレイDを構成する。発光部125は、制御部120から入力される指示信号に従ってLEDの各々を発光させる。振動部126は、前述の振動発生部Vを構成する。振動部126は、バイブレータ(例えば、偏心モータ)と、バイブレータを駆動するためのドライバとを含みうる。振動部126は、制御部120から入力される指示信号に従ってバイブレータを振動させる。制御部120は、例えば、吸引器100の何らかのステータス(例えば、ペアリングの状況やアウタパネル102の取り外し)をユーザに報知するために、発光部125及び振動部126の少なくとも一方を任意のパターンで制御してよい。例えば、発光部125の発光パターンは、各LEDの発光状態(常時発光/点滅/非発光)、点滅周期、及び発光色といった要素で区別され得る。振動部126の振動パターンは、バイブレータの振動状態(振動/停止)及び振動の強さといった要素で区別され得る。
【0068】
通信I/F127は、例えば通信用回路及びアンテナを含み、吸引器100が外部通信装置(例えば、ユーザが所持するスマートフォン、パーソナルコンピュータ、タブレット端末など)と無線で通信するための通信インタフェースである。通信I/F127は、例えばBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信、NFC(Near Field Communication)などの近接無線通信、又は無線LAN(Local Area Network)といった任意の無線通信プロトコルに準拠するインタフェースであってよい。
【0069】
接続I/F128は、吸引器100を他の外部装置へ接続するための端子を有する有線インタフェースである。接続I/F128は、例えばUSB(Universal Serial Bus)インタフェースなどの充電可能なインタフェースであってよい。接続I/F128は、外部電源(充電器)から(図示しない給電線を介して)バッテリ132を充電するために利用されてもよい。
【0070】
バッテリ132は、リチウムイオン電池などの充電可能な電池(二次電池)である。あるいは、バッテリ132は、リチウムイオンキャパシタのような電気二重層キャパシタで構成されていてもよい。残量計133は、バッテリ132の電力の残量その他のステータスを監視するためのICチップを含みうる。残量計133は、例えば、充電率(SOC:State Of Charge)、劣化度(SOH:State Of Health)、相対充電率(RSOC)及び電源電圧といったバッテリ132のステータス値を周期的に計測し、計測結果を制御部120へ出力し得る。
【0071】
<動作モードについて>
図6を参照して、電源ユニット101の状態遷移の一例について説明する。制御部120は、複数の動作モードを有する。複数の動作モードは、例えば、スリープモード61、アクティブモード62、エアロゾル生成モード63、充電モード64、ロック解除設定モード65、およびペアリングモード66を含みうる。
【0072】
スリープモード61は、制御部120による動作を一時的に停止させて、消費電力を低下させた節電状態で待機させる状態である。スリープモードは、吸引器100が主要な動作を休止している状態であり、ヒータHに対して電力が供給されることはない。ディスプレイDによる表示も行われない。言い換えると、スリープモード61では、電源ユニット101はロックされており、ユーザはエアロゾルの吸引を行うことはできない。スリープモード61において、制御部120は、予め定められたユーザ入力を受け付けることはでき、該当するユーザ入力を受け付けると、当該ユーザ入力に応じた他のモードへ遷移させることができる。なお、以下の説明では、スリープモードを待機状態という場合もある。本実施形態では、制御部120のメモリの内容を維持して待機状態に入る「サスペンド」或いは「スタンバイ」の方法によりスリープモード61となってもよいし、制御部120のメモリの内容を記憶部121に複製して待機状態に入る「ハイバネーション」の方法によりスリープモードとなってもよい。スリープモード61では、スライダ105またはアクションボタンBに対するユーザ操作の検知機能、及び、バッテリ残量の監視機能を除いて、他の機能が稼働しない状態であってもよい。
【0073】
スリープモード61において、例えばスライダ105が開けられる操作(シャッタ開にする操作)が行われると、制御部120は、アクティブモード62へ遷移しうる。アクティブモード62は、少なくともディスプレイDによる表示を行うとともにアクションボタンBを用いたロック解除操作の検知を待機する待機モードでありうる。アクティブモード62において、スライダ105が閉じられる操作(シャッタ閉にする操作)がされた場合または電源ユニット101に対するユーザ操作がない無操作状態が所定時間継続した場合、制御部120は、ディスプレイDによる表示を停止し節電状態で待機するスリープモード61に戻りうる。
【0074】
アクティブモード62において、ロック解除操作が検知されると、制御部120は、電源ユニット101のロック状態が解除され、エアロゾルを生成するエアロゾル生成モード63に遷移しうる。ロック解除操作とは、例えば、アクションボタンBの1回の押下でありうる。ただし、後述するように、ロック解除操作は設定により変更が可能である。例えば、ロック解除操作は、アクションボタンBを所定時間内に所定回数(例えば3回)にわたって繰り返し押す操作、アクションボタンBを規定時間(例えば3秒間)にわたって長押しする操作、あるいはそれらの組み合わせ、とすることができる。エアロゾル生成モード63では加熱部130による加熱(すなわちヒータHへの電力供給)が行われ、ユーザはエアロゾルの吸引を行うことができる。あるいは、ロック解除操作の設定は無効とし、吸引検知部124(パフセンサ)によってユーザによる吸引(パフ)が検知されたことに応じてエアロゾル生成モード63に遷移するようにしてもよい。吸引が終了したとき、または、吸引時間が規定の上限時間(MaxLoadingTime)に達したときは、制御部120はアクティブモード62に戻りうる。
【0075】
スリープモード61またはアクティブモード62(あるいはエアロゾル生成モード63)において外部電源(充電器)が接続I/F128に接続されると、制御部120は充電モード64に遷移し、バッテリ132の充電が行われる。外部電源が接続I/F128から取り外されたとき、あるいは、バッテリ132が満充電状態となったとき、制御部120はスリープモード61に遷移する。
【0076】
充電モード64において、例えばアクションボタンBに対する所定の操作が行われると、制御部120は、ロック解除設定モード65に遷移することができる。ロック解除設定モード65では、ロック解除操作の設定が行われる。例えば、デフォルト状態におけるロック解除操作は、例えば、アクションボタンBの1回の押下でありうる。ロック解除設定モード65においては、ユーザはこのロック解除操作を他の操作に変更することができる。例えば、ロック解除操作は、アクションボタンBを所定時間内に所定回数にわたって繰り返し押す操作、アクションボタンBを規定時間にわたって長押しする操作、あるいはそれらの組み合わせ、等の任意のパターンに設定されうる。これにより、電源ユニット101のセキュリティ性能を高めることが可能である。設定が終了すると、制御部120は充電モード64に戻る。なお、本実施形態では、ロック解除設定モード65への遷移は充電モード64から行われるようにしたが、充電モード64以外の動作モードからロック解除設定モード65へ遷移できるような構成としてもよい。
【0077】
スリープモード61において所定のペアリング操作が行われると、制御部120は、外部通信装置との間でペアリングを実行するためのペアリングモード66に遷移しうる。ペアリングは、電源ユニット101と外部通信装置とを関連付ける処理であり、例えば外部通信装置との間でBluetooth(登録商標)に準拠して行われうる。また、ペアリング操作とは、例えば、スライダ105を閉じたままアクションボタンBを押下する操作でありうる。ペアリングモード66において、制御部120は、外部通信装置との間でペアリングが成功すると、ペアリングされた機器の識別情報を、記憶部121に格納されているホワイトリストに登録する。制御部120は、ホワイトリストへの登録が成功すると、或いは、ペアリングが失敗すると、ペアリングモード66からスリープモード61に遷移しうる。
【0078】
<各動作モードにおける電源ユニットの動作>
図7~12を参照して、電源ユニット101の動作例を説明する。この動作は、制御部120によって制御される。
【0079】
図7には、スリープモード61における制御フローが示されている。スリープモード61においては、電源ユニット101は待機状態となっている。ステップS101において、制御部120は、外部電源(充電器)が接続I/F128に接続されバッテリ132の充電が開始されたかどうかを判定する。ここで充電が検知された場合、制御部120は、ステップS104に進み、スリープモード61を離脱してアクティブモード62へ遷移する。
【0080】
ステップS102では、制御部120は、状態検知部123からの状態検知信号に基づき、スライダ105の開閉状態を判定する。ここでシャッタ開が検知された場合、制御部120は、ステップS103に進み、スリープモード61を離脱してアクティブモード62に遷移する。
【0081】
ステップS105では、制御部120は、シャッタ閉の状態(S102でNO)でアクションボタンBを押下するペアリング操作がされたかどうかを判定する。ここでペアリング操作が検知されなければ、処理はステップS101に戻る。他方、ここでペアリング操作が検知された場合には、制御部120はペアリングモードへと遷移する(ステップS107)。ただし本実施形態では、ステップS106で、状態検知部123の出力信号に基づきアウタパネル102が電源ユニット101に装着されていることを確認してから、ステップS107に進みペアリングモードへ遷移する。ステップS106で、アウタパネル102が電源ユニット101から取り外されている場合には、機能制限としてペアリングモードには遷移せず、処理はステップS101に戻る。このときのペアリング操作は無効にされてよい。
【0082】
図8には、アクティブモード62における制御フローが示されている。アクティブモード62に入ると、制御部120は、ステップS201で、電池残量を取得する。例えば、制御部120は、バッテリ132の出力電圧に基づいて、電池残量を取得することができる。あるいは、制御部120は、吸引検知部124から取得される、充電完了後におけるパフの回数に基づいて、電池残量を取得することもできる。あるいは、電源ユニット101がバッテリ132を管理する管理回路を備える場合には、制御部120は、該管理回路からの出力に基づいて、電池残量を取得することができる。
【0083】
ステップS202において、制御部120は、電池残量が所定の閾値を超えているか否かを判定する。所定の閾値は、電池残量に関して、アクティブモード62での動作を許容するかどうかを判定する閾値である。より具体的には、所定の閾値は、例えばN回(例えばN=1)のパフ動作に対応するエアロゾルの生成さえも不可能であるものとして予め定められた電池残量の下限値として設定されうる。電池残量が所定の閾値以下である場合には、アクティブモード62で動作することはできないため、ステップS203において、制御部120は、ディスプレイDおよび/または振動発生部Vによる報知を行い、その後、ステップS204で、スリープモード61に戻る。
【0084】
電池残量が所定の閾値を超えている場合、処理はステップS205へ進む。ステップS205において、制御部120は、ディスプレイDに電池残量を表示させる。その後、ステップS206において、制御部120は、スリープモード61へ戻る条件を満たしているか否かを判定する。スリープモード61へ戻る条件とは、例えば、スライダ105が操作されてシャッタ閉とされたこと、または、無操作の期間が所定時間を超えたこと、でありうる。この条件を満たした場合には、制御部120は、ステップS204においてスリープモード61へ遷移する。
【0085】
ステップS206においてスリープモード61へ戻る条件を満たしていない場合には、ステップS207において、制御部120は、ロック解除操作が行われたか否かを判定する。ここでロック解除操作が検知された場合、制御部120は、ステップS208において、アウタパネル102が電源ユニット101に装着されているか否かを判定する。アウタパネル102が電源ユニット101に装着されていれば、制御部120はステップS209においてエアロゾル生成モード63へ遷移する。
【0086】
一方、アウタパネル102が電源ユニット101から取り外されていると判定された場合には、ステップS210において、制御部120は、ディスプレイDおよび/または振動発生部Vによる報知を行い、処理はステップS201に戻る。すなわち、アウタパネル102が取り外されている状態でロック解除操作を検知しても、機能制限としてエアロゾル生成モード63へは遷移しない。このときのロック解除操作は無効にされてよい。なお、この場合、処理がステップS201に戻るかわりに、スリープモード61へ遷移するようにしてもよい。
【0087】
以上が、アクティブモード62における動作の概要である。図8の制御フローによれば、アウタパネル102が取り外されている場合には、ロック解除操作が入力されたとしてもエアロゾル生成モード63へは遷移できない。このときのロック解除操作は無効にされてよい。ただし、ステップS208でアウタパネル102の取り外しが検知されてもアクティブモード62は維持され、ステップS205での電池残量の表示は継続されうる。
【0088】
なお、図8のフローでは、充電モード64への遷移については省略されている。前述したように、アクティブモード62においても、外部電源(充電器)が接続I/F128に接続されたことの監視は行っている。アクティブモード62において外部電源(充電器)が接続I/F128に接続された場合、バッテリ132の充電も行われうる。
【0089】
図9には、エアロゾル生成モード63における制御フローが示されている。エアロゾル生成モード63に遷移すると、制御部120は、はじめにステップS301において、アウタパネル102が電源ユニット101に装着されている(インナパネル202に取り付けられている)ことを確認する。アウタパネル102が電源ユニット101に装着されている場合、ステップS302において、制御部120は、加熱部130によるヒータHへの給電を開始する。ヒータHへの給電は、所定の制御シーケンス(加熱プロファイル)に従って制御されうる。加熱プロファイルにおける予備加熱期間を経て、吸引器100は吸引可能状態となる。
【0090】
ステップS303において、制御部120は、エアロゾル生成終了条件を満たすか否かを判定する。エアロゾル生成終了条件は、例えば、吸引検知部124から取得される、吸引可能状態になってからのパフの回数が所定回数に達したこと、エアロゾル生成モード63に遷移してから所定時間が経過したこと等でありうる。エアロゾル生成終了条件を満たした場合、処理はS304へ進み、制御部120は、ヒータHへの給電を停止する。その後、S305において、制御部120はアクティブモード62へ遷移する。
【0091】
ステップS301において、アウタパネル102が電源ユニット101から取り外されていると判定された場合は、ステップS306において、制御部120は、ディスプレイDおよび/または振動発生部Vによる報知を行い、ステップS307で、機能制限としてヒータHへの給電を禁止する。その後、ステップS308において、制御部120は、アウタパネル102が電源ユニット101に装着されたか否かを判定してもよい。アウタパネル102が電源ユニット101に装着されていない間、ステップS308における判定は所定時間にわたって繰り返されうるが、所定時間が経過したときは(ステップS310でYES)、S311において制御部120はアクティブモード62へ遷移する。所定時間内にアウタパネル102が電源ユニット101に装着されたことが検知された場合には、ステップS309において、制御部120は、機能制限としてのヒータHへの給電禁止を解除する。その後、処理はステップS301に戻る。
【0092】
なお、図示は省略したが、エアロゾル生成モード63においても、アクティブモード62と同様、電池残量の取得および表示は適時に行われうる。アウタパネル102が取り外されている状態においても電池残量の表示は禁止されることなく継続されてよい。
【0093】
図10には、ペアリングモード66における制御フローが示されている。ペアリングモード66に入ると、制御部120は、ステップS401で、電池残量を取得する。例えば、制御部120は、バッテリ132の出力電圧に基づいて、電池残量を取得することができる。あるいは、制御部120は、吸引検知部124から取得される、充電完了後におけるパフの回数に基づいて、電池残量を取得することもできる。あるいは、電源ユニット101がバッテリ132を管理する管理回路を備える場合には、制御部120は、該管理回路からの出力に基づいて、電池残量を取得することができる。
【0094】
ステップS402において、制御部120は、電池残量が所定の閾値を超えているか否かを判定する。所定の閾値は、電池残量に関して、ペアリングモード66での動作を許容するかどうかを判定する閾値である。より具体的には、所定の閾値は、ペアリング処理中に電力不足に陥ることがないものとして予め定められた電池残量の下限値として設定されうる。電池残量が所定の閾値以下である場合には、ペアリングモード66で動作することはできないため、ステップS403において、制御部120は、ディスプレイDおよび/または振動発生部Vによる報知を行い、ステップS413に進み、スリープモード61に戻る。
【0095】
電池残量が所定の閾値を超えている場合、処理はステップS404へ進む。ステップS404において、制御部120は、ディスプレイDに電池残量を表示させる。その後、ステップS405において、制御部120は、アウタパネル102が電源ユニット101に装着されているか否かを判定する。アウタパネル102が電源ユニット101から取り外されていると判定された場合には、ステップS406において、制御部120は、ディスプレイDおよび/または振動発生部Vによる報知を行い、ステップS413に進み、スリープモード61に戻る。このように、本実施形態では、ペアリングモード66において、アウタパネル102の取り外しが検知された場合には、制御部120は、機能制限としてペアリングの実行を禁止する。この場合、制御部120はペアリングモード66を離脱しスリープモード61へ遷移する。また、ペアリングモード66において、アウタパネル102が電源ユニット101から取り外されていると判定された場合には、それまでに行われていたペアリング動作はキャンセルされてよい。
【0096】
ステップS405においてアウタパネル102が電源ユニット101に装着されていると判定された場合、ステップS407において、制御部120は、外部通信装置との間でBluetooth(登録商標)に準拠したペアリング処理を実行する。ステップS408において、制御部120は、ペアリングが成功か失敗かを判定する。例えば、制御部120は、ペアリングが完了する前にタイムアウトした、外部通信装置からエラーが通知された、あるいは、ペアリングのキャンセル操作が検知された等の場合に、ペアリング失敗と判定しうる。また、制御部120は、ペアリング処理中にアウタパネル102が電源ユニット101から取り外されたことが検知された場合、ペアリングを中断して、ペアリング失敗と判定してもよい。
【0097】
ステップS408でペアリングが成功したと判定された場合、ステップS409において、制御部120は、ペアリングが成功したことをディスプレイDおよび/または振動発生部Vにより報知する。その後、ステップS410において、制御部120は、ペアリング解除条件を満たすか否かを判定する。ペアリング解除条件とは、例えば、スライダ105が操作されてシャッタ開となったこと、アクションボタンBが押下されたこと、外部通信装置からペアリング解除要求が受信されたこと、無操作期間が所定時間を超えたこと等でありうる。ペアリング解除条件を満たす場合、制御部120は、ステップS411において、外部通信装置とのBluetooth接続を切断する処理を行い、ステップS413において、スリープモード61へ遷移する。
【0098】
ステップS408でペアリングが失敗したと判定された場合は、ステップS412において、制御部120は、ペアリングが失敗したことをディスプレイDおよび/または振動発生部Vにより報知する。その後、ステップS413において、制御部120はスリープモード61へ遷移する。
【0099】
図11には、充電モード64における制御フローが示されている。充電モード64に入ると、制御部120は、ステップS501で、電池残量を取得する。例えば、制御部120は、バッテリ132の出力電圧に基づいて、電池残量を取得することができる。あるいは、制御部120は、吸引検知部124から取得される、充電完了後におけるパフの回数に基づいて、電池残量を取得することもできる。あるいは、電源ユニット101がバッテリ132を管理する管理回路を備える場合には、制御部120は、該管理回路からの出力に基づいて、電池残量を取得することができる。その後、ステップS502において、制御部120は、ディスプレイDに電池残量を表示させる。
【0100】
ステップS503において、制御部120は、ロック解除設定操作がされたかどうかを判定する。ロック解除設定操作は、例えば、スライダ105の開閉操作およびアクションボタンBの所定回数の連続押下の組み合わせでありうる。ロック解除設定操作が検知されなければ、制御部120は、ステップS504において、充電が終了したかどうかを判定する。例えば、外部電源(充電器)が接続I/F128から取り外されたとき、あるいは、バッテリ132が満充電状態となったときに、充電が終了したと判定されうる。ここで充電は終了していないと判定された場合は、処理はステップS501に戻る。充電が終了したと判定された場合は、制御部120は、ステップS507においてスリープモード61に遷移する。
【0101】
ステップS503において、ロック解除設定操作が検知された場合は、ステップS505で、制御部120は、アウタパネル102が電源ユニット101に装着されているかどうかを判定する。アウタパネル102が電源ユニット101に装着されている場合には、制御部120はステップS506においてロック解除設定モード65へ遷移する。アウタパネル102が電源ユニット101に装着されていない場合には、制御部120はロック解除設定モード65へは遷移せず、処理はステップS504へ進む。すなわち、アウタパネル102が取り外されている状態でロック解除設定操作を検知しても、制御部120は、機能制限としてロック解除設定モード65へは遷移しない。該ロック解除設定操作は無効にされてよい。なお、アウタパネル102が電源ユニット101に装着されていない場合には、その旨の報知が行われてもよい。
【0102】
このように本実施形態では、充電モード64においてアウタパネル102の取り外しが検知された場合であってもバッテリ132の充電は継続される。ただし、アウタパネル102が取り外されている状態でのロック解除設定モード65への遷移は許容されない。他の実施形態において、アウタパネル102が取り外されている状態では充電処理も許容されないことにしてもよい。
【0103】
図12には、ロック解除設定モード65における制御フローが示されている。ロック解除設定モード65に入ると、制御部120は、ステップS601で、ロック解除操作パターンの入力を受け付ける。ロック解除操作とは、前述したように、アクティブモード62からエアロゾル生成モード63へ遷移するための操作である。ステップS601では、例えばロック解除設定モード65に遷移してから所定時間(例えば20秒間)内に入力されたロック解除操作パターンを受け付ける。
【0104】
ステップS602において、制御部120は、アウタパネル102が電源ユニット101に装着されているかどうかを判定する。アウタパネル102が電源ユニット101に装着されている場合には、制御部120はステップS603において、ステップS601で受け付けたロック解除操作パターンを記憶部121に格納する。その後、制御部120は、ステップS605において充電モード64へ戻る。
【0105】
ステップS602においてアウタパネル102が電源ユニット101に装着されていないと判定された場合、制御部120は、ステップS604において、ステップS601で入力されたロック解除操作パターンのデータを破棄する。その後、制御部120は、ステップS605において充電モード64へ戻る。このように、本実施形態では、ロック解除設定モード65においてアウタパネル102の取り外しが検知された場合には、制御部120は、機能制限としてロック解除操作の設定の実行を禁止し、それまでに入力されたロック解除操作パターンはキャンセルされる。
【0106】
なお、図示は省略したが、ロック解除設定モード65においても、アクティブモード62等と同様、電池残量の取得および表示は適時に行われうる。アウタパネル102が取り外されている状態においても電池残量の表示は禁止されることなく継続されてよい。このように、制御部120は、スリープモード61以外の動作モードにおいては、アウタパネル102の取り外しが検知された場合であってもディスプレイDによる表示を継続しうる。
【0107】
以上、各動作モードにおける電源ユニット101の動作について説明した。上記の実施形態においては、複数の動作モードのいずれにおいても、アウタパネル102が取り外されている状態では、アクションボタンBの操作が無効にされうる。ただし、各動作モードにおいては、アウタパネル102の取り外しが検知された場合、当該動作モードにおいて関連する機能のみが制限され、その他の機能の動作は継続されうる。例えば、アクティブモード62(図8)においては、アウタパネル102が取り外されていても、電池残量表示は停止されない。また、充電モード64(図11)においては、アウタパネル102が取り外されていても、充電は停止されない。
【0108】
また、ユーザの選択に任せてもよい機能については、ユーザに選択させるツールを提供してもよい。このとき制御部120は、複数の機能に対する機能制限の内容を設定する設定部として機能しうる。例えば、ペアリングモード66において、ペアリングされている外部通信装置の表示部に、図13に示されるような設定画面を表示し、複数の機能それぞれについて、アウタパネル102が取り外されているときの機能の動作を禁止する/しないをユーザが選択できるようにしてもよい。図13において、斜線部はユーザによる選択結果を示している。各機能の選択結果は、記憶部121に記憶される。制御部120は、記憶部121に記憶された選択情報に従って、アウタパネル102が取り外されたときの制御を実行することができる。
【0109】
以上説明した実施形態によれば、制御部120は、アウタパネル102の取り外しが検知された場合に、制御部120が制御する複数の機能に対する機能制限を行うように構成されている。そして、制御部120は、複数の動作モードを有し、各動作モードに応じて機能制限の内容が異なる。これにより、ユーザの利便性が保たれうる。この中で、アウタパネル102が取り外されている状態ではヒータHへの電力供給による加熱は禁止されるため、安全性も担保されている。したがって、本実施形態によれば、安全性とユーザの利便性の両立に有利な吸引器用の電源ユニットが提供される。
【0110】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【0111】
本願は、2021年4月28日提出の日本国特許出願特願2021-076014を基礎として優先権を主張するものであり、その記載内容の全てを、ここに援用する。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13