(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】電池格納装置及び油塗布方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/571 20210101AFI20241125BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20241125BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20241125BHJP
【FI】
H01M50/571
B60K1/04 A
H01M50/249
(21)【出願番号】P 2023519056
(86)(22)【出願日】2021-09-28
(86)【国際出願番号】 CN2021121411
(87)【国際公開番号】W WO2023050083
(87)【国際公開日】2023-04-06
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】524304976
【氏名又は名称】香港時代新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CONTEMPORARY AMPEREX TECHNOLOGY (HONG KONG) LIMITED
【住所又は居所原語表記】LEVEL 19, CHINA BUILDING, 29 QUEEN’S ROAD CENTRAL, CENTRAL, CENTRAL AND WESTERN DISTRICT, HONG KONG, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100106220
【氏名又は名称】大竹 正悟
(72)【発明者】
【氏名】帥 令
(72)【発明者】
【氏名】王 康玉
(72)【発明者】
【氏名】王 清明
(72)【発明者】
【氏名】王 霞
【審査官】佐溝 茂良
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-255300(JP,A)
【文献】特開平04-138664(JP,A)
【文献】特開2021-099336(JP,A)
【文献】特開2020-057449(JP,A)
【文献】特表2020-508930(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0022409(US,A1)
【文献】中国実用新案第212571278(CN,U)
【文献】中国実用新案第206422106(CN,U)
【文献】中国実用新案第210753452(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20 - 50/298
H01M 50/50 - 50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力消費装置に接続するための接続素子を備えた電池を格納し、前記電池を充電することに用いられる電池格納装置において、
電池載置棚と、
前記電池載置棚に設置され、前記接続素子に油を塗布することに用いられる油塗布機構と
、
前記電池載置棚に設置され、その出力端に前記油塗布機構が接続され、前記油塗布機構を稼働位置と非稼働位置との間で切り替えるように、前記油塗布機構を駆動して移動させるための駆動機構とを含むことを特徴とする電池格納装置。
【請求項2】
前記油塗布機構は、筐体と油塗布素子を含み、前記油塗布素子が前記筐体内に設置され、前記筐体に前記接続素子が入り込むための開口を備えることを特徴とする請求項1に記載の電池格納装置。
【請求項3】
前記筐体には前記筐体内に油を注入して前記油塗布素子を浸潤するための油注入口が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の電池格納装置。
【請求項4】
前記油塗布素子は材質がスポンジ、フェルト又は綿布であることを特徴とする請求項2又は3に記載の電池格納装置。
【請求項5】
前記電池載置棚に設置され、前記駆動機構の前記電池載置棚での位置を調節することに用いられる位置調節機構を更に含むことを特徴とする請求項
1に記載の電池格納装置。
【請求項6】
前記電池載置棚に設置され、前記油塗布機構に油を補充することに用いられる油補充機構を更に含むことを特徴とする請求項1~
5のいずれか一項に記載の電池格納装置。
【請求項7】
前記油補充機構は、
前記電池載置棚に設置される油注入器と、
両端がそれぞれ前記油注入器と前記油塗布機構に連通する油補充管であって、前記油注入器が前記油補充管を介して前記油塗布機構に油を注入するように配置される油補充管とを含むことを特徴とする請求項
6に記載の電池格納装置。
【請求項8】
前記油塗布機構は数量が複数であり、それぞれ前記電池の1つの前記接続素子に対応することを特徴とする請求項1~
7のいずれか一項に記載の電池格納装置。
【請求項9】
前記電池載置棚は、前記電池を格納するための一時的収容室と、前記電池を格納し且つ前記電池を充電するための充電室とを備え、前記油塗布機構が前記一時的収容室に設置されることを特徴とする請求項1~
8のいずれか一項に記載の電池格納装置。
【請求項10】
電池を電池載置棚に置くステップと、
油塗布機構により、電力消費装置に接続するための前記電池の接続素子に油を塗布するステップと
、
前記電池載置棚に設置され、出力端に前記油塗布機構が接続された駆動機構により、前記油塗布機構を稼働位置と非稼働位置との間で切り替えるように、前記油塗布機構を駆動して移動させるステップとを含むことを特徴とする油塗布方法。
【請求項11】
前記電池載置棚は、前記電池を格納するための一時的収容室と、前記電池を格納し且つ前記電池を充電するための充電室とを備え、
前記電池が前記一時的収容室に置かれた時に、前記接続素子に油を塗布するステップを含むことを特徴とする請求項1
0に記載の油塗布方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電池の点検及び保守の技術分野に関し、具体的に言えば、電池格納装置及び油塗布方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
新エネルギー車の迅速な発展に伴い、新エネルギー車に関連する補助施設は、新エネルギー車電池への電池交換サービスの提供及び電池に対するメンテナンスを行うことができるように、持続的に整ってきている。
【0003】
電池交換やメンテナンス等に際して、電池を取り外したり、取り付けたりする必要があるため、電池は複数回取り外したり、取り付けたりされた後、その接続素子の老化と摩損が加速して、電池の車体への強固な接続が不可能になって、一定の危険性が生じるおそれがある。
【発明の概要】
【0004】
そのため、本願は、電池の接続素子に対して油塗布によるメンテナンスを行って、電池の接続素子の使用寿命を長くすることができる電池格納装置及び油塗布方法を提供する。
【0005】
本願の第1側面の実施例は、電力消費装置に接続するための接続素子を備えた電池を格納し、前記電池を充電することに用いられる電池格納装置において、電池載置棚と、前記電池載置棚に設置され、前記接続素子に油を塗布することに用いられる油塗布機構とを含む電池格納装置を提供する。
【0006】
電池を電池載置棚に置き、油塗布機構を用いて電池の接続素子に油を塗布することで、電池の接続素子を潤滑にして、接続素子の使用寿命を長くすることができる。また、電池を車体から取り外した後、接続素子に油を塗布するだけでなく、電池充電をも行い、電池の電力消費装置に対する着脱回数を減少して、接続素子の老化と摩損を緩和して、接続素子の使用寿命を長くすることができる。
【0007】
本願のいくつかの実施例によれば、前記油塗布機構は、筐体と油塗布素子を含み、前記油塗布素子が前記筐体内に設置され、前記筐体に前記接続素子が入り込むための開口を備える。
【0008】
上記解決手段において、油塗布機構が電池の接続素子に近寄って接続素子が開口から筐体に入り込み、接続素子が筐体の内部で油塗布素子と接触する。このような構成形式によれば、潤滑油が滴り落ちて外部環境を汚染することを回避できるだけでなく、潤滑油の揮発による損耗を緩和することもできる。
【0009】
本願のいくつかの実施例によれば、前記筐体には前記筐体内に油を注入して前記油塗布素子を浸潤するための油注入口が設けられている。
【0010】
上記解決手段において、油注入口を介して筐体の内部に油を注入することで、油塗布素子を浸潤することができ、油塗布素子が電池の接続素子と接触すると、接続素子に油を効果的に塗布することができる。
【0011】
本願のいくつかの実施例によれば、前記油塗布素子は材質がスポンジ、フェルト又は綿布である。
【0012】
上記解決手段において、スポンジ、フェルト又は綿布は、いずれも吸水性の強い材質であり、多量の潤滑油を吸収、蓄積して、接続素子に油を効果的に塗布することができ、更に油補充回数を減少することができる。
【0013】
本願のいくつかの実施例によれば、前記電池格納装置は、前記電池載置棚に設置され、その出力端に前記油塗布機構が接続され、前記油塗布機構を稼働位置と非稼働位置との間で切り替えるように、前記油塗布機構を駆動して移動させるための駆動機構を更に含む。
【0014】
上記解決手段において、駆動機構によって、油塗布機構を、稼働位置と非稼働位置との間で切り替えるように駆動することができる。油塗布機構が稼働位置にある時に、油塗布機構が電池の接続素子に油を塗布するが、油塗布機構が非稼働位置にある時に、油塗布機構が電池の接続素子から離れて、電池を電池載置棚に持ち上げたり、電池載置棚から取り出したりする時に必要とする空間を空けることができる。
【0015】
本願のいくつかの実施例によれば、前記電池格納装置は、前記電池載置棚に設置され、前記駆動機構の前記電池載置棚での位置を調節することに用いられる位置調節機構を更に含む。
【0016】
上記解決手段において、位置調節機構によって、駆動機構の電池載置棚での位置を調節し、更に油塗布機構を動かして電池載置棚に対して移動させることができ、これによって、異なる規格の電池に適応するように、油塗布機構に複数の稼働位置を持たせることができる。
【0017】
本願のいくつかの実施例によれば、前記電池格納装置は、前記電池載置棚に設置され、前記油塗布機構に油を補充することに用いられる油補充機構を更に含む。
【0018】
上記解決手段において、油補充機構を設置することによって、油塗布機構に油を補充して、油塗布素子に十分な潤滑油を持たせることができ、油塗布素子が電池の接続素子と接触すると、接続素子に油を効果的に塗布することができる。
【0019】
本願のいくつかの実施例によれば、前記油補充機構は、前記電池載置棚に設置される油注入器と、両端がそれぞれ前記油注入器と前記油塗布機構に連通する油補充管であって、前記油注入器が前記油補充管を介して前記油塗布機構に油を注入するように配置される油補充管とを含む。
【0020】
上記解決手段において、油注入器が油補充管を介して油塗布機構に油を注入することで、油自動化補充を実現でき、油塗布機構の油補充効率を向上させると共に、潤滑油が滴り落ちて外部環境を汚染することがない。
【0021】
本願のいくつかの実施例によれば、前記油塗布機構は数量が複数であり、それぞれ前記電池の1つの前記接続素子に対応する。
【0022】
上記解決手段において、各油塗布機構がそれぞれ電池の1つの接続素子に油を塗布することで、複数の油塗布機構を用いて同時に電池の接続素子に油を塗布して、油塗布効率を向上させることができる。
【0023】
本願のいくつかの実施例によれば、前記電池載置棚は、前記電池を格納するための一時的収容室と、前記電池を格納し且つ前記電池を充電するための充電室とを備え、前記油塗布機構が前記一時的収容室に設置される。
【0024】
上記解決手段において、一時的収容室に油塗布機構が設置されており、油塗布機構が一時的収容室に置かれた電池の接続素子に油を塗布することで、油塗布機構の配置数量を減少できるだけでなく、油塗布機構を充電モジュールから離れるように設置することができ、電池格納装置の安全性を向上させることができる。
【0025】
本願の第2側面の実施例は、
電池を電池載置棚に置くステップと、
電力消費装置に接続するための前記電池の接続素子に油を塗布するステップとを含む油塗布方法を提供する。
【0026】
上記解決手段において、電池を電池載置棚に置き、油塗布機構を用いて電池の接続素子に油を塗布することで、電池の接続素子を潤滑にし、保守して、接続素子の使用寿命を長くすることができる。また、電池を車体から取り外した後、接続素子に油を塗布するだけでなく、電池充電をも行い、電池の電力消費装置に対する着脱回数を減少して、接続素子の老化と摩損を緩和して、接続素子の使用寿命を長くすることができる。
【0027】
本願のいくつかの実施例によれば、前記電池載置棚は、前記電池を格納するための一時的収容室と、前記電池を格納し且つ前記電池を充電するための充電室とを備え、
前記油塗布方法は、
前記電池が前記一時的収容室に置かれた時に、前記接続素子に油を塗布するステップを含む。
【0028】
上記解決手段において、一時的収容室に油塗布機構が設置され、油塗布機構が一時的収容室に置かれた電池の接続素子に油を塗布することで、油塗布機構の配置数量を減少できるだけでなく、油塗布機構を充電モジュールから離れるように設置することができ、電池格納装置の安全性を向上させる。
【0029】
本願の追加の形態とメリットは、一部が下記の説明で示され、一部が下記の説明により明らかになり、又は本願の実施によって理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
以下、本願に係る実施例の技術的解決手段を更に明らかに説明するために、実施例に使用される必要のある添付図面を簡単に紹介するが、以下の添付図面は、本願の一部の実施例のみを示すものにすぎず、本願の範囲を限定するものとみなしてならないことを理解すべきであり、当業者は、創造的な労力をかけない限り、これらの添付図面から他の添付図面を得ることができる。
【0031】
【
図1】本願のいくつかの実施例で提供される電池格納装置を適用する車両の概略図を示す。
【
図2】
図1における車両の電池の構造模式図を示す。
【
図3】本願のいくつかの実施例で提供される第1の態様の電池格納装置の構造模式図を示す。
【
図4】本願のいくつかの実施例で提供される電池格納装置の油塗布機構の構造模式図を示す。
【
図6】本願のいくつかの実施例で提供される電池格納装置の駆動機構と油塗布機構を接続した構造模式図を示す。
【
図7】本願のいくつかの実施例で提供される電池格納装置における位置調節機構の部分構造模式図を示す。
【
図8】本願のいくつかの実施例で提供される電池格納装置の油補充機構と電池載置棚を接続した構造模式図を示す。
【
図9】
本願のいくつかの実施例で提供される第2の態様の電池格納装置の
1つの視角での構造模式図を示す。
【
図10】
本願のいくつかの実施例で提供される第2の態様の電池格納装置の
別の視角での構造模式図を示す。
【
図11】本願のいくつかの実施例で提供される第2の態様の電池格納装置の持ち上げ保持コンポーネントの構造模式図を示す。
【
図12】本願のいくつかの実施例で提供される第1の態様の油塗布方法の工程図を示す。
【
図13】本願のいくつかの実施例で提供される第2の態様の油塗布方法の工程図を示す。
【
図14】本願のいくつかの実施例で提供される第3の態様の油塗布方法の工程図を示す。
【
図15】本願のいくつかの実施例で提供される第4の態様の油塗布方法の工程図を示す。
【0032】
上記添付図面は、縮尺どおりに作成されたものではない。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本願に係る実施例の目的、技術手段及び利点を更に明らかにするために、本願に係る実施例における添付図面に基づいて、本願に係る実施例における技術手段を詳細に記載するが、もちろん、記載される実施例は、本願の全ての実施例ではなく、一部の実施例のみである。当業者が本願における実施例に基づいて創造的な労働をせずに得られる全ての他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0034】
本願に利用される全ての技術・科学用語は、特別に定義しない限り、当業者が通常に理解する意味と同じであり、本願の明細書で使用される用語は、本願を制限するものではなく、具体的な実施例を記述するためだけのものである。本願の明細書、特許請求の範囲及び上記添付図面に説明される「含む」、「有する」という用語及びこれらのいずれの変形は、排他的でない包含を含むという意味である。本願の明細書、特許請求の範囲及び上記添付図面における「第1の」、「第2の」という用語は、異なる対象を区別するためだけに使用するものであり、所定の順序又は主従関係を記載するためのものではない。
【0035】
本願で言及する「実施例」は、実施例に基づいて記載された所定の特徴、構成又は特性が、本願の少なくとも1つの実施例に含まれ得ること意味する。明細書における各箇所にその用語が現れる場合、必ずしも全てが同じ実施例を指すものではなく、他の実施例と互いに排斥する独立した又は代替的な実施例でもない。当業者は、本出願に記載された実施例が他の実施例と組み合わされることが可能であることを明示的及び非明示的に理解する。
【0036】
本願の記述において、「取付」、「繋がり」、「接続」、「固定」などの用語は、別に明確に規定・限定しない限り、広義に理解されるべきであり、例えば、固定して接続されてもよいし、着脱可能に接続されてもよく、一体にしてもよいが、また、直接的に繋がってもよいし、中間物を介して間接的に繋がってもよく、2つの要素内部における連通であってもよい。当業者は、具体的な状況に基づいて本願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0037】
本願において現れる「複数」は、2つ以上(2つを含む)を表す。
【0038】
理解できるように、電池は、より高い電圧と容量を提供するために、1つ又は複数の電池セルを含む単一の物理的モジュールを表す。例えば、本願に記載の電池は、電池モジュール又は電池パック等を含んでもよい。電池は一般に1つ又は複数の電池セルをパッケージングするための筐体を含む。筐体は液体又は他の異物が電池セルの充電又は放電に影響を及ぼすことを回避できる。
【0039】
理解できるように、電池セルは、リチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池等を含んでもよいが、本願に係る実施例はそれらに限定されない。電池セルの形状は、円柱体、扁平体、直方体又は他の形状等であってもよいが、本願に係る実施例はそれらに限定されない。電池セルは、一般にパッケージング方式により、円柱電池セル、方形電池セル及びパウチ型電池セルといった3種類に区別し得る。電池セルは、正極シート、負極シート及びセパレータで構成される電極素子と、電解液とを含む。電池セルは主に、金属イオンが正極シートと負極シートとの間を移動することにより作動するものである。正極シートは、正極集電体と正極活物質層を含み、正極活物質層が正極集電体の表面に塗布され、正極活物質層が塗布されない正極集電体は、正極活物質層が塗布された正極集電体から突出し、正極タブとして機能する。リチウムイオン電池を例とすると、正極集電体の素材はアルミニウムであってもよく、正極活物質はコバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元系リチウム又はマンガン酸リチウム等であってもよい。負極シートは、負極集電体と負極活物質層を含み、負極活物質層が負極集電体の表面に塗布され、負極活物質層が塗布されない負極集電体は、負極活物質層が塗布された負極集電体から突出し、負極タブとして機能する。負極集電体の素材は銅であってもよく、負極活物質は炭素又はケイ素等であってもよい。電極素子は巻回型構造であってもよいし、積層型構造であってもよく、本願に係る実施例はこれに制限されない。
【0040】
図1は本願のいくつかの実施例で提供される電池格納装置を適用する車両の概略図を示し、
図2は
図1における車両の電池の構造模式図を示す。
【0041】
図1と
図2に示すように、関連技術において、車両200は、車体210と、車両200に電気エネルギーを提供するための電池220とを含む。電池220は電池220のケース222に取り付けられた複数の接続素子221を含み、車体210は接続素子221に対応する固定素子を備え、接続素子221を固定素子に接続して、電池220を車体210に取り付ける。
【0042】
車両200の電池220の電気エネルギーが足りない時に、電力不足の電池220を車体210から取り外して充電し、満充電された電池220を車体210に戻して取り付けることが必要になり、これによって車両200の継続的な走行のために電気エネルギーを提供する。電池220は複数回取り外したり、取り付けたりされた後、その接続素子221の老化と摩損が加速して、電池220の車体への強固な接続が不可能になって、車両200の走行中に、揺れや振動が発生した場合、電池220が車体210から分離して安全上の事故を招く可能性がある。
【0043】
発明者の研究によれば、車両200の電池220の交換工程で、当該電池220は1回の着脱が必須であり、電池220が車体210から分離した状態で、電池220の接続素子221が露出し、容易に接続素子221の表面に油を塗布して、接続素子221のメンテナンスを実現することにより、接続素子221が錆びるのを回避することができ、更に接続素子221の使用寿命を向上させることができる。
【0044】
上記構想に基づき、本願は、電池220の接続素子221に油塗布によるメンテナンスを行って、電池220の接続素子221の使用寿命を長くすることができる新規な技術的解決手段を提供する。
【0045】
図3は本願のいくつかの実施例で提供される第1の態様の電池格納装置の構造模式図を示す。
【0046】
図2と
図3に示すように、本願のいくつかの実施例は、電池載置棚110、電池交換プラットフォーム、第1搬送機構、第2搬送機構及び充電モジュール(未図示)を含む電池格納装置100を提供する。電池載置棚110は電池220を格納するためのものであり、充電モジュールは電池載置棚110に置かれた電池220を充電するためのものであり、電池交換プラットフォームは電池220の交換を待つ車両を載置するためのものである。第1搬送機構は、電力不足の電池220を車体から取り外して電池載置棚110に搬送し、満充電された電池220を電池交換プラットフォームに搬送して車体に戻して取り付けるためのものである。第2搬送機構は、電力不足の電池220を第1搬送機構の送り出し端から取り出して電池載置棚110に入れ、電池載置棚110から満充電された1つの電池220を取り出して第1搬送機構の送り出し端に置くためのものである。
【0047】
電池交換プラットフォームは、予め設定された電池交換位置を有してよく、第1搬送機構が電池交換位置と突き合わせる。車両が電池交換位置に止まった時に、第1搬送機構の実行端が車体210の底部に入り込み、電池220の接続素子221に力を作用させて、電池220を車体210から分離させる。電池220の車体210に対する着脱動作は第1搬送機構の送り出し端又は他のロボットアームによって機械的に実行してもよいし、人手によって完了してもよい。第1搬送機構は、RGV台車であってもよいし、3軸ロボットアーム等であってもよい。第2搬送機構は、パレタイジング装置又はパレットフォークであってもよいし、3軸ロボットアーム等であってもよい。充電モジュールは、電池載置棚110に統合してもよいし、電池載置棚110とは独立的に設置してもよい。
【0048】
電池220は、車両200の操作電源としてもよいし、車両200の駆動電源等としてもよいことが理解できる。車両200は燃料油自動車、天然ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー車はピュア電気自動車、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー型電気自動車等であってもよい。
【0049】
本願の実施例に記載の電池220セル又は電池220を適用する電力消費装置は、車両に限定されず、様々な形式であってもよいことが理解できる。例えば、携帯電話、携帯機器、ノートパソコン、電動バイク、汽船、宇宙機、電動玩具及び電動工具等であってもよい。
【0050】
接続素子221は、ボルト式係止機構、ボルト、留め金又は他の形式の金属素子であってもよいことが理解できる。接続素子221は、溶接又は螺合接続の形式で電池220に接続してもよいし、直接的に電池220のケース222に形成してもよい。電池220は、共同で電池220を車体210に取り付けるための複数の接続素子221を含んでもよい。
【0051】
図2と
図3に示すように、本願の実施例の電池格納装置100は、電池220を格納し且つ電池220を充電するためのものであり、電池220は、車両200の車体210に接続するための接続素子221を備える。電池格納装置100は、電池載置棚110と、電池載置棚110に設置され、接続素子221に油を塗布することに用いられる油塗布機構120とを含む。
【0052】
電池格納装置100は、電池220を格納し且つ電池220を充電するためのものであり、電池220を格納し且つ電池220のメンテナンスや点検等を行うために用いてもよい。
【0053】
電池載置棚110は、アルミニウム合金形材で組み立てて形成してもよいし、アルミニウム合金形材と板材を組み合わせる形式で組み立てて形成してもよい。電池載置棚110において、同一の位置で電池220を格納し且つ電池220を充電してもよいし、異なる位置でそれぞれ電池220の格納と電池220の充電を行ってもよい。
【0054】
油塗布機構120は、電池載置棚110に格納された電池220の接続素子221に油を塗布してもよいし、電池載置棚110に格納され且つ充電されている電池220の接続素子221に油を塗布してもよい。油塗布機構120は、稼働位置と非稼働位置とを有してよく、油塗布機構120は、接続素子221に油の塗布が必要になる時のみに、稼働位置まで移動し得る。油塗布機構120は、固定的に稼働位置に設置されて、油を滴下させたり、電池220を移動させたりする形式で電池220の接続素子221に油を塗布するものでもよい。油塗布機構120は、固定的に電池載置棚110に設置されてもよいし、異なる規格の電池220のサイズに適応するように、位置調整可能に電池載置棚110に設置されてもよい。
【0055】
電池220を電池載置棚110に置き、油塗布機構120を用いて電池220の接続素子221に油を塗布することで、電池220の接続素子221の潤滑を良好にし、接続素子221の使用寿命を長くすることができる。また、電池220を車体210から取り外した後、接続素子221に油を塗布するだけでなく、電池220の充電をも行い、電池220の車体210に対する着脱回数を減少して、接続素子221の老化と摩損を緩和して、接続素子221の使用寿命を長くすることができる。
【0056】
本願のいくつかの実施例では、油塗布機構120は数量が複数であり、それぞれ電池220の1つの接続素子221に対応する。
【0057】
図2と
図3に示すように、具体的に言えば、電池220は矩形のアレイで配置され、それぞれ電池220の上面から突出した4つの接続素子221を含み、電池220は4つの接続素子221全体によって車体に固定される。油塗布機構120も4つ設置され、4つの油塗布機構120が矩形のアレイで配置され、それぞれ1つの接続素子221に対応する。
【0058】
他の実施例では、油塗布機構120の数量は1つだけ設置してもよく、油塗布機構120の位置を移動することによって、電池220の複数の接続素子221に一つずつ油を塗布する。
【0059】
上記解決手段において、各油塗布機構120がそれぞれ電池220の1つの接続素子221に油を塗布することで、複数の油塗布機構120を用いて同時に電池220の接続素子221に油を塗布して、油塗布効率を向上させることができる。
【0060】
図4は本願のいくつかの実施例で提供された電池格納装置の油塗布機構の構造模式図を示し、
図5は
図4におけるA-Aに沿った断面図である。
【0061】
図4と
図5に示すように、本願のいくつかの実施例では、油塗布機構120は、筐体121と油塗布素子122を含み、油塗布素子122が筐体121内に設置され、筐体121に接続素子221が入り込むための開口1211を備える。
【0062】
筐体121は、射出成形によるプラスチック部材であってもよいし、ダイキャスト成形による金属部材であってもよい。開口1211が筐体121の下側に設けられ、油塗布素子122の下面を露出させる。大部分の接続素子221が電池220の上面に設置されており、このような構成形式によれば、電池220の接続素子221を下側から油塗布素子122に挿入でき、一方、潤滑油が重力作用で主に油塗布素子122の下部に浸潤するため、接続素子221への油塗布量を向上させることができる。他の実施例では、接続素子221が電池220の外周側から突出した場合に適応するように、開口1211を筐体121の外周側に設置してもよい。開口1211の形状は、接続素子221が入り込むように、方形、円形又は他の形状であってもよい。
【0063】
筐体121の外側には直接的又は間接的に電池載置棚110に接続するための接続部1212を更に含み、接続部1212はねじ又はナットであってもよい。接続部1212は、筐体121における開口1211から離れた一方側に設置されることで、開口1211の近傍に大きい空間を提供することができる。このように接続部1212は、筐体121の外周側外部サイズが小さく、電池220の表面の他の構造を避けて、接続素子221に近寄ることができる。他の実施例では、筐体121の高さでの外形サイズを低減するために、接続部1212を筐体121の外周側に設置してもよい。
【0064】
油塗布素子122は、柔軟な浸潤素子であり且つ浸潤の形式で潤滑油を蓄えるものであってもよい。接続素子221は、筐体121の開口1211から筐体121の内部に入り込んで浸潤素子に挿入され、浸潤素子が押圧されて変形して、潤滑油を接続素子221に押し出す。油塗布素子122は、油蓄積室付きのスプレーガンであってもよく、スプレーガンが筐体121の内部に固定され、接続素子221が筐体121の開口1211から筐体121の内部に入り込んだ後、スプレーガンが接続素子221の表面に油を吹きつける。
【0065】
接続素子221が容易に入り込むように、油塗布素子122の下側に開口1211に対応する凹溝を設けてもよく、接続素子221が開口1211に入り込む時に油塗布素子122を容易に十分に押圧するように、油塗布素子122の下側を面一にしてもよい。
【0066】
他の実施例では、筐体121に開口1211を設置しなくてもよく、油塗布素子122が完全に筐体121の外部に露出し、このように柔軟に接続素子221と接触して油を塗布でき、更に油塗布素子122に適時に油を補充することができる。
【0067】
開口1211は、油塗布機構120における電池220の接続素子221に近い箇所に設けられており、このように接続素子221が開口1211から筐体121に入り込み、接続素子221が筐体121の内部で油塗布素子122と接触する。このような構成形式によれば、潤滑油が滴り落ちて外部環境を汚染することを回避できるだけでなく、潤滑油揮発による損耗を緩和することもできる。
【0068】
図5に示すように、本願のいくつかの実施例では、筐体121には筐体121内に油を注入して油塗布素子122を浸潤するための油注入口1213が設けられている。
【0069】
具体的に言えば、筐体121の内部には開口1211に連通する油塗布室1215を備え、油塗布素子122が油塗布室1215内に設置され、筐体121の内部には一端が油塗布室1215に連通し、他端が筐体121の外側を貫通して油注入口1213を形成した油補充通路1214が設けられている。油注入口1213から油塗布室1215への方向に沿って、油補充通路1214が下へ延在し、このように潤滑油が重力作用で油塗布室1215に入り、更に油塗布素子122に入る。
【0070】
油注入口1213を下記の油補充機構150(図
3及び図8を参照)に接続してもよく、油補充機構150によって油塗布素子122に油を補充する。潤滑油が容易に油注入口1213から油補充通路1214に入るように、油注入口1213に口広げ状のフローガイド素子が接続されていてもよい。
【0071】
他の実施例では、油注入口1213を設置しなくてもよく、油塗布素子122を取り出して油塗布素子122に油を補充し、次に油補充済みの油塗布素子122を筐体121の内部に戻す。
【0072】
油注入口1213を介して筐体121の内部に油を注入することで、油塗布素子122を取り外さずに油塗布素子122を浸潤することができ、油塗布素子122が電池220の接続素子221と接触すると、接続素子221に油を効果的に塗布することができる。
【0073】
本願のいくつかの実施例では、油塗布素子122は材質がスポンジ、フェルト又は綿布である。
【0074】
スポンジ、フェルト及び綿布等はいずれも一般の柔軟性浸潤素子であり、潤滑油を蓄えることができるだけでなく、押圧された時に潤滑油を押し出して、接続素子221に油を塗布して潤滑にすることができる。
【0075】
油塗布素子122は、単一の材質であってもよいし、多種の柔軟な浸潤素子を組み合わせて形成してもよい。油塗布素子122は複数層の浸潤素子を積層して形成することができ、これによって良好な弾性と蓄積量を持たせ、油を一回塗布した後迅速に元の形状に回復でき、更に油補充回数を減少することができる。例えば、油塗布素子122は垂直方向に沿って積層設置された7層のフェルトを含み、7層のフェルトのいずれにも潤滑油が浸潤しており、7層のフェルトが筐体121の油塗布室1215内に制限されている。油塗布素子122は浸潤素子を1つだけ含んでもよく、油塗布素子122の構造が簡単になり、潤滑油が大体均一に油塗布素子122に浸潤することになる。
【0076】
スポンジ、フェルト又は綿布は、いずれも吸水性の強い材質であり、多量の潤滑油を吸収、蓄積して、接続素子221に油を効果的に塗布することができ、更に油補充回数を減少することができる。
【0077】
図6は、本願のいくつかの実施例で提供された電池格納装置の駆動機構と油塗布機構を接続した構造模式図を示す。
【0078】
図
3~図6に示すように、本願のいくつかの実施例では、電池格納装置100は、電池載置棚110に設置され、その出力端に油塗布機構120が接続され、油塗布機構120を稼働位置と非稼働位置との間で切り替えるように、油塗布機構120を駆動して移動させるための駆動機構130を更に含む。
【0079】
図
3~図6に示すように、油塗布機構120において、筐体121の接続部1212が駆動機構130の出力端に固定的に接続され、このようにして、駆動機構130の駆動によって、油塗布機構120を稼働位置と非稼働位置との間で切り替えることが実現される。油塗布機構120が稼働位置にある時に、油塗布機構120が電池220の接続素子221に近寄り、接続素子221が開口1211から筐体121の内部に入り込んで油塗布素子122を押圧し、接続素子221に油を塗布して潤滑にするが、油塗布機構120が非稼働位置にある時に、電池220の周りに十分な空間を持たせ、電池220を容易に電池載置棚110に置いたり、電池載置棚110から取り出したりできるように、油塗布機構120が電池220の接続素子221から離れる。
【0080】
他の実施例では、油塗布機構120を電池載置棚110に固定的に設置してもよく、電池220を移動する方式によって、電池220を油塗布位置と載置位置との間で切り替える。電池220が油塗布位置にある時に、電池220の接続素子221が筐体121の内部に入り込み、油塗布素子122が接続素子221に油を塗布するが、電池220が載置位置にある時に、電池220が電池載置棚110に置かれ、電池220が一時的に電池載置棚110に収容され、又は充電モジュールで電池220を充電する。
【0081】
駆動機構130は、リニアシリンダーであってもよいし、電動プッシュロッド又は他のリニア駆動機構130であってもよい。油塗布機構120の移動方向は電池220の表面に垂直であってもよく、このようにして最も短い移動経路を有する。具体的に言えば、電池220の接続素子221は、垂直方向(即ち、第3方向Z)に沿って上に向かって電池220の表面から突出し、駆動機構130は油塗布機構120を駆動して第3方向Zに沿って移動させて、稼働位置と非稼働位置との間で切り替える。
【0082】
油塗布機構120は、電池220の表面の法線から傾斜した方向に沿って移動してもよく、或いは、駆動機構130は、6軸ロボットアームであり、油塗布機構120を駆動して柔軟的に移動させて、稼働位置に切り替える過程で電池220の表面の他の構造を回避させることができる。
【0083】
上記解決手段において、駆動機構130によって、油塗布機構120を稼働位置と非稼働位置との間で切り替えるように駆動することができる。油塗布機構120が稼働位置にある時に、油塗布機構120が電池220の接続素子221に油を塗布するが、油塗布機構120が非稼働位置にある時に、油塗布機構120が電池220の接続素子221から離れて、電池220を電池載置棚110に持ち上げたり、電池載置棚110から取り出したりする時に必要な空間を空ける。
【0084】
図7は、本願のいくつかの実施例で提供された電池格納装置における位置調節機構の部分構造模式図を示す。
【0085】
図7に示すように、本願のいくつかの実施例では、電池格納装置100は、電池載置棚110に設置され、駆動機構130の電池載置棚110での位置を調節することに用いられる位置調節機構140を更に含む。
【0086】
電池220の規格が異なるため、電池220の接続素子221の位置が変わる可能性がある。位置調節機構140を設置することによって、電池格納装置100が異なる規格の電池220に対応することができ、それらの接続素子221に油を塗布することができる。
【0087】
具体的に言えば、位置調節機構140の出力端には、第1方向Xに沿ってガイドレールを介して電池載置棚110に摺動係合される第1ブラケット141が接続されており、駆動機構130が第1ブラケット141に取り付けられる。位置調節機構140が電池載置棚110に固定され、駆動機構130を駆動して第1方向Xに沿って移動させることができ、これによって油塗布機構120に第1位置と第2位置を付与することができる。位置調節機構140はリニアシリンダーであってもよいし、電動プッシュロッド又は他のリニア駆動機構130であってもよい。
【0088】
他の実施例では、位置調節機構は、駆動機構130を駆動してXY平面を移動させることができる。例えば、位置調節機構は、更に第1直線駆動素子と第2直線駆動素子を含み、第1直線駆動素子は、電池載置棚110に固定されており、第2直線駆動素子を駆動して第1方向Xに沿って移動させることができ、第2直線駆動素子は、出力端に駆動機構130が取り付けられており、第1直線駆動素子の出力端に基づいて更に駆動機構130を駆動して第2方向Yに沿って移動させることができ、これによって油塗布機構120を動かしてXY平面に複数の位置を有するようにする。
【0089】
上記解決手段において、位置調節機構140によって、駆動機構130の電池載置棚110での位置を調節でき、更に油塗布機構120を動かして電池載置棚110に対して移動させ、油塗布機構120に複数の稼働位置を与えて、異なる規格の電池220に適応させることができる。
【0090】
図8は、本願のいくつかの実施例で提供された電池格納装置の油補充機構と電池載置棚を接続した構造模式図を示す。
【0091】
図
3と
図8に示すように、本願のいくつかの実施例では、電池格納装置100は、電池載置棚110に設置され、油塗布機構120に油を補充することに用いられる油補充機構150を更に含む。
【0092】
図8に示すように、油補充機構150は、電池載置棚110に設置されており、多種の実施形態で実施可能である。油補充機構150は、油塗布機構120に自動で油を補充するために、油注入器151と油補充管152を含んでもよい。油補充機構150は、上端に開口を備えた油蓄積容器であってもよく、油蓄積容器は、移動可能に電池載置棚110に取り付けられ、退避位置と油補充位置との間で切り替えられ、油蓄積容器が油補充位置にある時に、油塗布機構120が駆動機構130の駆動で稼働位置まで移動した時に、油塗布素子122が油蓄積容器の開
口に伸び且つ潤滑油に入り込んで、油塗布素子122の油補充が実現される。
【0093】
他の実施例では、油補充機構150は、電池載置棚110とは独立的に設置してもよく、油を補充する必要がある時に外部の搬送機構又は人手による方式で油塗布機構120に油を補充する。
【0094】
上記解決手段において、油補充機構150を設置することによって、油塗布機構120に油を補充して、油塗布素子122に十分な潤滑油を持たせることができ、油塗布素子122が電池220の接続素子221と接触すると、接続素子221に油を効果的に塗布することができる。
【0095】
図8に示すように、本願のいくつかの実施例では、油補充機構150は、電池載置棚110に設置される油注入器151と、両端がそれぞれ油注入器151と前記油塗布機構120に連通する油補充管152であって、油注入器151が油補充管152を介して油塗布機構120に油を注入するように配置される油補充管152とを含む。
【0096】
具体的に言えば、油注入器151は、一般にスプレーパイプ、混合室及びディフューザパイプを含む。圧力がメインオイルポンプによってスプレーパイプ内で加速して混合室内で負圧を形成し、混合室内の油が負圧及び自由渦流の巻込み作用でディフューザパイプに入り、ディフューザパイプ内で減速昇圧した後油補充管152を経由して油注入口1213(
図5参照)に入る。油注入器151は、一般の油供給デバイスであり、ここで更に詳細に説明しない。
【0097】
油注入器151は、油塗布機構120が毎回油を塗布する前に1回の油補充動作を行うように配置されてもよく、これによって、毎回油を塗布する時に油塗布素子122に十分な潤滑油が含有されていることを確保する。油注入器151は、油塗布機構120が油塗布動作を数回毎に完成した後1回の油補充動作を行うように配置されてもよく、これによって、油補充回数を減少する。例えば、油補充機構150は、計数器を含んでもよく、計数器は、駆動機構130の実行回数を計数単位として、駆動機構の実行回数を統計して1回又は予め設定された数回に達した時に油補充信号を送信し、油注入器151は、油補充信号に応答し且つ油補充機構150に油を補充する。更に例えば、計数器は、時間を計数単位として、予め設定された時間毎に油補充信号を送信し、油注入器151は、油補充信号に応答し且つ油補充機構150に油を補充する。
【0098】
上述した「油塗布機構120が4つ設置されている」実施形態によれば、油注入器151は、同時に4つの油塗布機構120に油を補充するためのものであり、油補充管152は、4つ設置され、油塗布機構120に一対一で対応する。
【0099】
上記解決手段において、油注入器151は、油補充管152を介して油塗布機構120に油を注入し、油自動化補充を実現でき、油塗布機構120の油補充効率を向上させると共に、潤滑油が滴り落ちて外部環境を汚染することがない。
【0100】
図9と
図10はそれぞれ本願のいくつかの実施例で提供された第
2の態様の電池格納装置の2種の視角での構造模式図を示す。
【0101】
図9と
図10に示すように、本願のいくつかの実施例では、電池載置棚110は、電池220を格納するための一時的収容室112と、電池220を格納し且つ電池220を充電するための充電室113とを備え、油塗布機構120が一時的収容室112に設置される。
【0102】
具体的に言えば、電池載置棚110は、1つの一時的収容室112及び複数の充電室113を備える載置棚本体111を含み、一時的収容室112が電池220を格納するためのものであり、油塗布機構120が一時的収容室112に設置され、充電モジュールが充電室113に置かれた電池220を充電するためのものである。
【0103】
一時的収容室112と充電室113の位置配置形式としては多種の実施形態がある。例えば、載置棚本体111の底部に操作空間1111があり、一時的収容室112が操作空間1111の上方に配置され、操作空間1111が第2搬送機構に空間を提供するためのものであり、これによって、第2搬送機構が電池220を先に操作空間1111に搬送し、次に第2搬送機構を駆動して一時的収容室112まで上へ移動させる。
【0104】
その中で、一時的収容室112には、更に、電池載置棚110に固定され、共同で一時的収容室112内に置かれた電池220を持ち上げて保持することに用いられる複数の持ち上げ保持コンポーネント114が設けられている。持ち上げ保持コンポーネント114は、電池220を操作空間1111より下から上へ通過させるように、ひっくり返ることができ、電池220が持ち上げ保持コンポーネント114を通過した後、持ち上げ保持コンポーネント114は復帰して電池220を持ち上げて保持する。例えば、持ち上げ保持コンポーネント114は、数量が4つであってもよく、その中の2つの持ち上げ保持コンポーネント114が電池220の長さ方向(即ち、第1方向X)の一方側から電池220を持ち上げて保持することに用いられ、別の2つの持ち上げ保持コンポーネント114が電池220の長さ方向の他方側から電池220を持ち上げて保持することに用いられる。
【0105】
図11は、本願のいくつかの実施例で提供された第2の態様の電池格納装置の持ち上げ保持コンポーネントの構造模式図を示す。
【0106】
図10と
図11に示すように、持ち上げ保持コンポーネント114は、第2ブラケット1142、持ち上げ保持ブロック1141及び回転軸1143を含み、持ち上げ保持ブロック1141が回転軸1143を介して回転可能に第2ブラケット1142に取り付けられ、第2ブラケット1142が電池載置棚110に固定的に取り付けられ、持ち上げ保持ブロック1141の回転軸1143に対する両端がそれぞれ第1端11411と第2端11412であり、第1端11411が電池220を持ち上げて保持することに用いられ、持ち上げ保持ブロック1141の重心が第1端11411に近く、電池220が下から上へ持ち上げ保持ブロック1141を通過した後、持ち上げ保持ブロック1141の第1端11411が重力作用で下へ回転し、第1端11411の下側が第2ブラケット1142に当接し、第1端11411の上側が電池220を持ち上げて保持する。
【0107】
持ち上げ保持コンポーネント114は、更に、電池220が所定位置に置かれたことを検出し且つ油塗布信号を送信するための位置到達センサ1144を含み、駆動機構130は油塗布信号に応答して油塗布機構120を稼働位置まで移動させ、油塗布機構120を用いて接続素子221に油を塗布する。
【0108】
持ち上げ保持コンポーネント114は、更に、両端がそれぞれ第2ブラケット1142と持ち上げ保持ブロック1141の第2端11412に接続される復帰ばねを含み、復帰ばねが圧縮状態にあって、持ち上げ保持ブロック1141の第1端11411を第2ブラケット1142に当接させる。
【0109】
他の実施例では、充電室113に油塗布機構120を設置してもよく、電池220を充電中に接続素子221に油を塗布して、十分な油塗布時間を提供する。
【0110】
一時的収容室112に油塗布機構120が設置されており、油塗布機構120が一時的収容室112に置かれた電池220の接続素子221に油を塗布することで、油塗布機構120の配置数量を減少できるだけでなく、油塗布機構120を充電室113に関連する充電モジュールから離れるように設置することができ、電池格納装置100の安全性を向上させることができる。
【0111】
図12は本願のいくつかの実施例で提供された第1の態様の油塗布方法の工程図を示す。
【0112】
本願のいくつかの実施例は、
電池220を電池載置棚110に置くステップS1と、
電力消費装置に接続するための電池220の接続素子221に油を塗布するステップS2とを含む油塗布方法を提供する。
【0113】
本願の実施例で提供された油塗布方法は、本願の実施例における電池格納装置100を用いて実施できるが、本願の実施例における電池格納装置100を用いなければ実施できないように限定することはない。説明の便宜上、本願の実施例における電池格納装置100を用いることを例として、油塗布方法の具体的な実施ステップを具体的に説明する。
【0114】
図13は、本願のいくつかの実施例で提供された第2の態様の油塗布方法の工程図を示す。
【0115】
図13に示すように、「電池220を電池載置棚110に置くステップS1」は具体的には、
電力不足電池220の接続素子221を車両200の固定素子から分離させ、電池220を車体210から取り外すステップS11と、
第1搬送機構が電力不足電池220を突き合わせ位置まで搬送するステップS12と、
第2搬送機構が電力不足電池220を突き合わせ位置から取り出し、電池載置棚110に置くステップS13とを含む。
【0116】
図14は、本願のいくつかの実施例で提供された第3の態様の油塗布方法の工程図を示す。
【0117】
図14に示すように、「電力消費装置に接続するための電池220の接続素子221に油を塗布するステップS2」は具体的には、
駆動機構130が油塗布機構120を駆動して稼働位置まで移動させて、接続素子221が筐体121の開口1211に入り込み、接続素子221が油塗布素子122を
押圧して電池220の接続素子221に油を塗布するステップS21と、
油塗布が完了した後、充電モジュールを用いて当該電力不足電池220を充電するステップS22と、
第2搬送機構を用いて別の満充電された電池220を取り出して、突き合わせ位置まで搬送するステップS23と、
第1搬送機構が突き合わせ位置から電池220を取り出し、電池220を車体に取り付けるステップS24とを含む。
【0118】
電池220を電池載置棚110に置き、油塗布機構120を用いて電池220の接続素子221に油を塗布することで、電池220の接続素子221を潤滑にし、保守して、接続素子221の使用寿命を長くすることができる。また、電池220を車体210から取り外した後、接続素子221に油を塗布するだけでなく、電池220の充電をも行い、電池220の車体210に対する着脱回数を減少して、接続素子221の老化と摩損を緩和して、接続素子221の使用寿命を長くすることができる。
【0119】
本願のいくつかの実施例では、電池載置棚110は、電池220を格納するための一時的収容室112と、電池220を格納し且つ電池220を充電するための充電室113とを備え、油塗布方法は、電池220が一時的収容室112に置かれた時に、接続素子221に油を塗布するステップを含む。
【0120】
図15は、本願のいくつかの実施例で提供された第4の態様の油塗布方法の工程図を示す。
【0121】
図15に示すように、油塗布方法は、具体的には、
第2搬送機構が電力不足電池220を突き合わせ位置から取り出し、一時的収容室112に入れるステップS131と、
一時的収容室112に置かれた電池220に対して、駆動機構130が油塗布機構120を駆動して稼働位置まで移動させ、接続素子221が筐体121の開口1211に入り込み、接続素子221が油塗布素子122を
押圧して電池220の接続素子221に油を塗布するステップS211と、
第2搬送機構が充電室113から満充電された1つの電池220を取り出し、突き合わせ位置にある第1搬送機構の実行端に置くステップS231と、
第1搬送機構が突き合わせ位置から当該満充電された電池220を取り出し、当該満充電された電池220を車体210に戻して取り付けるステップS241と、
第2搬送機構が一時的収容室112に戻り、油塗布後の電力不足電池220を一時的収容室112から取り出し、空いている1つの充電室113に搬送し、当該油塗布後の電池220を充電室113内で充電して満充電電池220とし、次回第2搬送機構によって取られることを待つステップS25とを含む。
【0122】
一時的収容室112に油塗布機構120が設置されており、油塗布機構120が一時的収容室112に置かれた電池220の接続素子221に油を塗布することで、油塗布機構120の配置数量を減少できるだけでなく、油塗布機構120を充電室113に関連する充電モジュールから離れるように設置することができ、電池格納装置100の安全性を向上させる。
【0123】
図1~
図15に示すように、本願のいくつかの実施例は、電池交換ステーションに応用される電池格納装置100を提供する。電池格納装置100は、電池載置棚110、油塗布機構120、駆動機構130、油補充機構150、第1搬送機構、第2搬送機構、電池交換プラットフォーム及び充電モジュールを含む。電池載置棚110は、電池載置棚110の中央位置に設置され、その中に持ち上げ保持コンポーネント114が設置されている1つの一時的収容室112と、複数の充電室113とを含む。第1搬送機構は電池交換用RGV台車であり、第2搬送機構はパレットフォークである。電池220は、係止ケーシングと係止ねじを含む係止機構を配置したリチウム電池パックであり、係止機構における係止ねじと車体ナットとの係合又は係合解除によって、リチウム電池パック220の車体210に対する固定又は分離を実現する。
【0124】
車両は、電池交換が必要になる時に電池交換プラットフォームに止まり、車体から取り外された電力不足の電池220は、先に電池交換用RGV台車によって一時的収容室112の直下に移動され、次に、電池交換用RGV台車は電池220を持ち上げ、高さが持ち上げ保持コンポーネント114を超えた時、電池交換用RGV台車は高さを低くし、持ち上げ保持ブロック1141によって電池220を持ち上げて保持して、電池220の一時的収容を実現する。次に、パレットフォークは、満充電の電池220を電池交換用RGV台車に置き、電池交換用RGV台車は満充電電池220を車体の底部まで移動して取り付ける。満充電の電池220を交換すると同時に、油塗布機構120は一時的収容室112内の電池220に油塗布動作を行う。油塗布機構120と油補充機構150が一時的収容室112の上方に配置され、油塗布機構120は、潤滑油がしみ込んだウールフェルトを含み、油補充機構150は、油補充管152を介して油塗布機構120に連通する油注入器151を含み、潤滑油の自動定量補充を実現する。油塗布機構120の位置と数量が電池220の係止ねじに対応し、電池220が一時的収容室112に格納された後、伸縮シリンダは伸びて、油塗布機構120を稼働位置まで移動するように駆動して、潤滑油を係止ねじに塗布させる。電池交換動作を実施するたびに、現在車体から取り外される電力不足の電池220に1回の油塗布作業を施すことができる。油塗布が終了した後、パレットフォークは電池220を空いている充電室113に運搬して充電する。
【0125】
本願の実施例における電池格納装置100によって電池220の係止ねじに油を塗布することで、電池220の車体210に対する着脱回数を減少して、接続素子221の老化と摩損を緩和して、接続素子221の使用寿命を長くする。
【0126】
相互に違反しない限り、本願における実施例中の特徴を互いに組み合わせてもよい。
【0127】
上記は、本願の好ましい実施例であり、本願を限定するためのものではなく、当業者であれば、本願に様々な修正や変更を行うことができる。本願の主旨と原則から逸脱せずに行われる修正、同等な置換、改良等は、全て本願の保護範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0128】
100 電池格納装置
110 電池載置棚
111 載置棚本体
1111 操作空間
112 一時的収容室
113 充電室
114 持ち上げ保持コンポーネント
1141 持ち上げ保持ブロック
11411 第1端
11412 第2端
1142 第2ブラケット
1143 回転軸
1144 位置到達センサ
120 油塗布機構
121 筐体
1211 開口
1212 接続部
1213 油注入口
1214 油補充通路
1215 油塗布室
122 油塗布素子
130 駆動機構
140 位置調節機構
141 第1ブラケット
150 油補充機構
151 油注入器
152 油補充管
200 車両
210 車体
220 電池
221 接続素子
222 ケース