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特許75928572つの回路基板を電気的に接続するための接続部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】2つの回路基板を電気的に接続するための接続部材
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/14 20060101AFI20241125BHJP
   H01R 12/71 20110101ALI20241125BHJP
   H01R 12/58 20110101ALI20241125BHJP
【FI】
H05K1/14 H
H01R12/71
H01R12/58
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023522800
(86)(22)【出願日】2021-09-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-26
(86)【国際出願番号】 EP2021075098
(87)【国際公開番号】W WO2022078683
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】102020212934.7
(32)【優先日】2020-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】オフターディンガー,イェルク
(72)【発明者】
【氏名】ヒューナー,シュテファン
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0295490(US,A1)
【文献】特開2017-118137(JP,A)
【文献】特開2009-252933(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/14
H05K 3/36
H01R 12/00 - 12/91
H01R 24/00 - 24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板(25)を他の回路基板(20)と電気的に接続するための接続部材(1)であって、
前記接続部材(1)は、前記回路基板(25)と表面はんだ付けするための少なくとも1つのはんだ付け端子(7、8、28、29)と、前記他の回路基板(20)に挿入するための、前記はんだ付け端子(7、8、28、29)に電気的に接続されたTHT端子(5、6)を有するものにおいて、
前記接続部材(1)は、保持体(2)と、前記保持体(2)に接続され、弾性的に構成された接触部材(3、4、16、26、34)と、を有し、前記接触部材(3、4、16、26、34)は端部部分に前記はんだ付け端子(7、8、28、29、35)を有し、前記接続部材(1)は、ロック位置(13’)と解放位置(32’)との間で往復運動可能に前記接続部材(1)と接続されたロック部材(13、32)を有し、前記ロック部材(13、32)は、前記ロック位置において前記接触部材(3、4、16、26、34)の弾性変位を制限し、前記解放位置(32’)において前記接触部材(3、4、16、26、34)を解放して弾性運動させるように構成されていることを特徴とする、
接続部材(1)において、
前記ロック部材(13、32)は、前記保持体(2)を囲むフレームによって形成されており、前記フレームは、前記ロック位置(13’)において前記接触部材(3、4、16、26、34)の固定されるために構成された部分を取り囲み、固持するように構成され、
前記接触部材(3、4、16、26)は、前記固定されるために構成された部分に突起領域(11、12、36)を有し、前記ロック部材(13、32)は、前記突起領域(11、12、36)に対応した前記突起領域(11、12、36)用の窪み部(14、15)を有し、かつ、前記窪み部(14、15)に係合する際に、前記突起領域(11、12、36)上の前記接触部材(3、4、16、26、34)を前記ロック位置(13’)に固持するように構成されていることを特徴とする、
接続部材(1)
【請求項2】
前記THT端子(5、6)は端子ピンであることを特徴とする請求項1に記載の接続部材(1)。
【請求項3】
前記保持体(2)はプラスチック体であることを特徴とする請求項1または2に記載の接続部材(1)。
【請求項4】
前記接続部材(1)は、表面はんだ付けのために前記回路基板(25)上に配置されるように構成されており、前記接触部材(3、4、16、26、34)は、このために、前記はんだ付け端子を形成するはんだ付け足(7、8、28、29、35)を有し、前記はんだ付け足(7、8、28、29、35)は、前記接触部材(3、4、16、26、34)の端部部分に構成されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の接続部材(1)。
【請求項5】
前記はんだ付け足(7、8、28、29、35)は前記接触部材(3、4、16、26、34)から角度をつけて延びることを特徴とする請求項4に記載の接続部材(1)。
【請求項6】
前記接触部材(3、4、16、26)は、前記回路基板(25)に面する端部部分に前記はんだ付け足(7、8、28、29)を有し、前記はんだ付け足(7、8、28、29、35)と反対側の端部に、スルーホール技術端子を有することを特徴とする、請求項4または5のいずれか一項に記載の接続部材(1)。
【請求項7】
前記接触部材(3、4、16、26)は打ち抜き加工された接触ワイヤによって形成されていることを特徴とする請求項6に記載の接続部材(1)。
【請求項8】
前記スルーホール技術端子は圧入コンタクト(5、6)であることを特徴とする請求項6または7に記載の接続部材(1)。
【請求項9】
前記ロック部材(13、32)は、前記ロック部材(13、32)上に一体成形された少なくとも1つの軸足(33)または軸脚を有し、前記少なくとも1つの軸足(33)または軸脚は、前記ロック位置(13’)において、前記回路基板(25)によって形成される平面まで延びるように構成されており、よって、前記接続部材(1)は、前記はんだ付け足(7、8、28、29、35)および前記少なくとも1つの軸足(33)と共に、前記回路基板上に特に保持されることなく立つことができることを特徴とする、請求項4~8のいずれか一項に記載の接続部材(1)。
【請求項10】
前記接触部材(3、4、16、26)は、前記突起領域(11、12、36)においてL字型またはT字型に構成されていることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の接続部材(1)。
【請求項11】
前記接続部材(1)は、前記ロック部材(32)が、係止する形状結合式、または摩擦結合式に前記保持体(31、38)に接続されるように、前記ロック部材(32)を前記解放位置(32’)で固持するように構成されていることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の接続部材(1)。
【請求項12】
前記接続部材(1)は、心出しピン(18)が係合するための開口部(17、27)を有し、前記開口部(17、27)は、係合するために延びる開口形状(27)を有することを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の接続部材(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板を他の回路基板に電気的に接続するための接続部材に関する。接続部材は、回路基板と表面はんだ付けするための少なくとも1つのはんだ付け端子と、他の回路基板に挿入するための、はんだ付け端子に電気的に接続されたTHT端子(THT=スルーホール技術)、特に端子ピンを有する。
【背景技術】
【0002】
独国特許出願公開第102014109220号明細書からは、プリント基板接続部材が知られているが、これは、2つのプリント基板を電気的および/または機械的に接続するように構成されており、はんだ付け可能な表面実装部品接続面および/または差込み可能なTHTワイヤ端子を有し、プリント基板接続部材は、基板本体と、プリント基板上で支持するために基板本体に取り付けられた支持体と、を有するため、圧入プロセスの際に表面実装部品接続面またはTHTワイヤ端子の機械的負荷が軽減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】独国特許出願公開第102014109220号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、接続部材が、保持体、特にプラスチック体と、保持体に接続され、弾性的に構成された接触部材と、を有する。接触部材は端部部分を有し、端部部分にははんだ付け端子が構成されている。接続部材は、ロック位置と解放位置との間で往復運動可能に接続部材と接続されたロック部材を有する。ロック部材は、ロック位置において接触部材の弾性変位を制限し、解放位置において接触部材を解放して弾性運動させるように構成されている。有利には、接続部材は、ロック部材のロック位置において、表面はんだ付けのために構成された回路基板に配置され、回路基板にはんだ付けされてもよい。ここで、はんだ付け端子がロック部材によって所定の位置に、特に互いに対して所定の距離を維持しながら保持されている限り、はんだ付け端子は、表面はんだ付けのために構成された回路基板の接触面に正確に当接することができる。表面はんだ付けの後、ロック部材は解放位置に移動でき、これにより、2つの回路基板の移動による動き、特に重い動きをばねで支持するために、接触部材を支持することができる。
【0005】
好ましい実施形態では、ロック部材は、保持体を囲むフレームによって形成され、フレームは、ロック位置において接触部材の縦方向部分を取り囲み、固持するように構成されている。有利には、例えば縦方向に延びるワイヤ、または打ち抜き格子によって形成された接触部材は、ロック部材によって、所定の位置、特に保持部材から径方向に離間した所定の間隔で、保持体に対して保持されてもよい。
【0006】
プラスチック体は、好ましくは、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、PPS(PPS=ポリプロピレンスルフィド)、またはLCP(LCP=液晶ポリマー)から形成される。有利には、プラスチック体は、接続部材のはんだ付けの際の高温に耐えることができる。
【0007】
好ましい実施形態では、接続部材は、表面はんだ付けのために回路基板上に配置されるように構成されている。好ましくは、接触部材は、このために、はんだ付け端子を形成するはんだ付け足を有し、はんだ付け足は、特に接触部材から角度をつけて延びるように、接触部材の端部部分に構成されている。有利には、はんだ付け足は、低コストで接触部材に形成することができ、特に接触部材に一体成形することができる。
【0008】
好ましい実施形態では、接触部材は、回路基板に面する端部部分にはんだ付け足を有する、特に打ち抜き加工された接触ワイヤによって形成されている。接触部材は、好ましくは、はんだ付け足と反対側の端部に、THT端子、特に端子ピンまたは圧入コンタクトを有する。圧入コンタクトは、プリント基板の特に金属加工された穿孔部に圧入され、プリント基板を穿孔部で機械的に保持することによって、プリント基板と電気的に接触するように構成されている。
【0009】
有利には、2つの回路基板は、接続部材によって低コストで互いに接続することができる。好ましい実施形態では、接触部材は、固定されるために構成された縦方向部分に突起領域を有し、ロック部材は、特に突起領域に対応した突起領域用の窪み部を有する。ロック部材は、窪み部に係合する際に、突起領域上の接触部材をロック位置に固持するように構成されている。ロック部材は、さらに好ましくは、突起領域上の接触部材を移動のために解放位置で解放するように構成されている。有利には、接触部材の固定具は、このように低コストで形成することができる。
【0010】
好ましい実施形態では、接触部材は、固定されるために構成された縦方向部分、特に突起領域において、解放されるために構成された隣接部分よりも大きい直径を有する。有利には、固定されるために構成された縦方向部分は、薄板片から接触部材を打ち抜く際に、適切な成形によって低コストで製造することができる。
【0011】
好ましい実施形態では、ロック部材は、縦方向部分で接触部材の取り囲むように構成されており、より直径の小さい縦方向部分は、ロック位置で突起領域が配置されている窪み部内に、解放位置で配置されている。
【0012】
有利には、ロック部材は、接続部材の縦方向に沿って、特に、表面はんだ付けのために構成された回路基板の平面方向に対して横方向に、往復移動するように構成されていてもよい。
【0013】
別の実施形態では、ロック部材は、表面はんだ付けに平行な平面内を往復移動するように構成されている。接続部材、特に保持体を取り囲む、例えばU字型またはO字型のフレームによって形成されたロック部材は、例えば縦方向に伸びるように構成され、狭い箇所で接触部材を取り囲み、固持するように構成された穿孔部を有してもよい。
【0014】
好ましい実施形態では、接触部材は、突起領域においてL字型またはT字型に構成されている。有利には、突起領域は、薄板片から打ち抜くことによって低コストで接触部材に一体成形し、製造することができる。
【0015】
好ましい実施形態では、THT端子は、圧入コンタクトとして構成されている。圧入コンタクトは、好ましくは他の回路基板の穿孔部内において、特に径方向外側に弾性的に固持されるように構成されている。接触部材は、好ましくは、回路基板に面する保持体の端部部分を越えて延び、よって、他の回路基板が接続部材に押圧された際に接続部材が弾性的に屈曲でき、よって、端部部分は屈曲の弾性変位を制限するエンドストッパを形成する。有利には、端部ストッパは保持体自体によって形成されてもよい。したがって、さらに有利には、保持体は、保持体から径方向に拒否し、圧入時の弾性変位を制限するさらなるアームまたはストッパ部材を有する必要がない。
【0016】
好ましい実施形態では、ロック部材は、ロック部材上に一体成形された少なくとも1つの軸足または軸脚を有し、この軸足または軸脚は、ロック位置において、回路基板、特に表面はんだ付け用に構成された回路基板によって形成される平面まで延びるように構成されており、よって、接続部材が、はんだ付け足および少なくとも1つの軸足と共に、回路基板上に特に保持されることなく立つことができる。有利には、ロック部材は、他の回路基板が押圧された際に、接続部材、特に回路基板へはんだ付け足を確実にはんだ付け接続する、さらなる支持体を形成してもよい。さらに有利には、1つのみ、または数個のみの接触部材を有する接続部材を形成してもよく、この接続部材は、表面はんだ付けのために構成された回路基板の確実な足場を構成することができる。
【0017】
好ましい実施形態では、接続部材は、ロック部材が、係止する形状結合式、または追加的に摩擦結合式に保持体に接続されるように、ロック部材を解放位置で固持するように構成されている。有利には、ロック部材は、解放位置でガタツキ音を発生させることはあり得ない。好ましい実施形態では、ロック部材は、接続部材に一体成形され、予定分離点または予定破断点によって、接続部材によって接続されている。有利には、ロック部材は、プレス工具によって予定分離点または予定破断点で接続部材から取り外され、ロック位置に移動させることができる。
【0018】
ロック部材および接続部材は、ロック部材が解放可能に、または解放不能に、解放位置で係止できるように構成されてもよい。このようにすると、表面はんだ付け用に構成された回路基板にはんだ付けした後、ロック部材を解放位置において確実に固持することができ、ひいてはガタツキ音を発生させない。
【0019】
好ましい実施形態では、ロック部材は、接触面、特に表面はんだ付け用に構成された回路基板の面に対して横方向に延びる接続部材の縦方向に沿って移動するように構成されている。有利には、ロック部材は、プレス工具または打ち抜き工具によって、解放位置および/またはロック位置の間で往復移動させてもよい。
【0020】
好ましい実施形態では、接続部材は、縦方向に延びる開口形状、特に開口面を有する接合補助具、特に心出しピンが係合するための開口部を有する。有利には、接続部材は、接続部材の接触部材、特に圧入コンタクトが接続されるべき回路基板の開口部と一直線上に並ぶように、心出しピンを用いて接続部材の縦方向中心に回転可能に配向されてもよい。有利には、接続部材は、他の回路基板に容易に接合することができる。
【0021】
開口部は、好ましくは、長円形、楕円形、長方形、または半円形または半楕円形に構成されている。有利には、接続部材の接合位置への回転が達成され、接合位置において、接触部材を容易に押圧することができる。
【0022】
別の実施形態では、接続部材は、2つの接合補助具、特に心出しピンを係合するための、離間した、特に円形または長円形の2つの開口部を有し、これらの開口部は、他の回路基板を接合する際に、接続部材が、特に回路基板平面に対して横方向に延びる縦軸を中心に回転できるように接続部材に配置されている。有利には、接触部材は、このようにして他の回路基板の対応する開口部と正確に一直線上に並ぶことができる。
【0023】
本発明はまた、上述の種類のロック部材を備えた接触システムに関する。接触システムは、接続部材と、接続部材によって互いに電気的および機械的に接続された2つの回路基板、特に回路基板と他の回路基板と、を含む。
【0024】
本発明はまた、上述の種類の接触システムを備えた、自動車用の制御装置、インバータ、DCDCコンバータ、または充電器に関する。接触システムにおいて、表面はんだ付けのために構成された回路基板は、半導体スイッチハーフブリッジを含むパワーコンポーネント、特にインバータを形成する。他の回路基板は、インバータ、特にインバータの半導体スイッチを駆動するための制御装置を形成する。
【0025】
以下に、本発明を、図、およびさらなる実施例を参照しながら説明する。さらなる有利な実施変形例は、図および従属請求項に記載された特徴の組み合わせから生じるものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】回路基板を他の回路基板に電気的に接続するための接続部材であり、接続部材は、保持体と、回路基板を電気的に接続するために保持体内に保持された接触部材と、を有し、接触部材はそれぞれ、回路基板への表面はんだ付け、および他の回路基板への圧入接続のために構成されている。
図2図1に示す接続部材の上面図である。
図3】接続部材の変形例であり、接続部材の保持体を取り囲むロック部材が接触部材を固定し、回路基板に対してそれらを支持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、2つの回路基板を電気的に接続するための接続部材を示す。接続部材1は、少なくとも1つの接触部材、この実施例では4つの接触部材、を保持するように構成された保持体を有し、接触部材のうち接触部材3および接触部材4が示されている。各接触部材は、回路基板25にはんだ付けするためのはんだ付け足と、他の回路基板20に圧入するための圧入コンタクトと、を有する。
【0028】
接触部材はそれぞれ、弾性的に構成され、圧入部とはんだ付け足とを互いに電気的に接続する接続部を有する。接触部材3は、圧入コンタクト5と、はんだ付け足7と、を有し、圧入コンタクト5とはんだ付け足7とは、接続部9によって互いに電気的に導通されている。圧入コンタクト4は、特に弾性的に構成された接続部10によって、はんだ付け足8と電気的に接続されている圧入部6を有する。圧入コンタクト3、4は、例えば、打ち抜き加工された薄板部材、特に打ち抜き格子またはリードフレームとして構成されている。圧入コンタクト5、6は、他の回路基板の穿孔部、すなわち穿孔部21および穿孔部22にそれぞれ圧入されるように構成されている。このようにして、他の回路基板20を、接触部材3、4によって回路基板25に電気的に接続することができる。
【0029】
接続部材1は、回路基板25上に配置されるように構成されている。この実施例では、接続部材1は、はんだ付け足、特にはんだ付け足7、8によって回路基板25上に配置されるように構成されている。ここで、保持体2の端部領域39は、回路基板25から離間して配置されている。
【0030】
接続部材1は、特に矢印41で示すように、ロック位置13’から解放位置まで移動するように構成されたロック部材13を有する。ロック部材13は、ロック位置13’において、はんだ付け足、特にはんだ付け足7またははんだ付け足8の領域で、接触部材3、4を確実に形状結合し、圧入コンタクト5、6が他の回路基板20のそれぞれの開口部に確実に収容されるように構成されている。ロック部材13は、このために、特に図2に示される少なくとも1つの窪み部を有し、この窪み部は、この実施例における圧入コンタクト3のT字型突起領域11と圧入コンタクト4のT字型突起領域12とを、それぞれの窪み部で固持するように構成されている。ロック部材13は、このために、各突起領域に対して別々の窪み部を有する。ロック部材13は、この実施例では、保持体2を周回するプレートとして、特に環状のプレートとして形成されている。ロック部材13は、接続部材1の縦方向40に沿って往復移動するように構成されており、縦方向40は、平面方向に対して横方向に、ひいては回路基板20に対して横方向に延び、面法線に相当する。
【0031】
接続部材1は、この実施例では、回路基板、特に回路基板25と他の回路基板20とを互いに平行に離間し、機械的および電気的に接続するように構成されている。
回路基板25は、例えばわずかに撓み、特に凸状または凹状に撓んでいてもよく、また、圧入コンタクトは、例えば公差によって引き起こされる、回路基板20に対する横方向のずれを有してもよい。これにより、回路基板25にはんだ付けされた接続部材1が、他の回路基板20に対してわずかに傾斜して延び、図1に示すように、圧入コンタクト5、6が他の回路基板20の穿孔部21、22と正確に一直線上に並ばないようになる。図1に示すように、回路基板25、20を押し付けた場合、圧入コンタクト5、6は、他の回路基板20に当たって、それぞれ穿孔部21、22を外れ、その結果湾曲する。
【0032】
他の回路基板20は、この実施例では、接合補助具18を収容するための接合補助具穿孔部23を有する。接合補助具18は、この実施例では、縦方向に延びて構成され、他の回路基板20の穿孔部23に対応する直径および断面形状を有する。穿孔部23は、この実施例では、圧入コンタクト5、6用の穿孔部21、22の間にそれぞれ形成されている。
【0033】
接合補助具18は、端部に向かって尖ったテーパ状の端部部分19を有する。この実施例では尖った円錐形状に構成された端部部分19は、その円錐形の先端が保持体2に形成された切欠き部17に係合することができる。特に、切欠き部17の開口部直径は、テーパ状端部部分19に連続する接合補助具18の縦方向部分における接合補助具18の直径に対応している。このようにして、接合補助具18は、圧入肩部24によって他の回路基板20を押圧することで、他の回路基板20を支持しながら切欠き部17に挿入され、したがって、2つの回路基板が接続された際に、圧入コンタクト5、6が対応する穿孔部21、22と一直線上に並んだ状態で入るように、接続部材1の保持体2を、他の回路基板20に対するその配向および位置に関して補正できる。
【0034】
接触部材3、4は、こうして弾性的に構成された接続部9、10上に生じる接続部材1の動きを弾性的に受け止めることができるため、回路基板25へのはんだ付け足7、8のはんだ付け接続が、そこで緩むことはない。接続部9、10は、この実施例では縦方向に延び、角度をつけて構成されている。接続部9、10は、少なくとも1つの蛇行状の湾曲を有してもよく、これにより、接触部材3、4は、接続部材の縦方向40において接合補助具18によって実施される位置補正を弾性的に補償することができる。
【0035】
ロック部材13は、接続部材1を回路基板25にはんだ付けした後、すなわち接続部材1を他の回路基板20に差し込む前に、矢印41で示されるように、ロック位置13’から図1に示される解放位置まで移動することができるため、接続部9、10が自由に弾性運動することができる。
【0036】
図2は、図1に既に示されている接続部材1を、圧入コンタクト5、6の上面図で示す。保持体2内に開口部17も見ることができ、保持体2は、少なくともテーパ端部部分19に連続する縦方向部分において、接合補助具18を、形状結合式に、特に形状適合式に収容するように構成されている。
【0037】
図2は、T字型突起領域11、12も示し、これらは、ロック部材13の対応する切欠き部14、15にそれぞれ配置され、そこで形状結合式および/または摩擦結合式に保持されている。
【0038】
接続部材1は、この実施例では、接触部材3、4と同様に、少なくとも縦方向部分において保持体2に保持されている2つのさらなる接触部材16、26を有する。接触部材は、保持体2に埋め込むことができ、特に注入することができ、または保持体2に挿入し、そこに係止することができる。
【0039】
接触部材3、4、16、26は、この実施例では、接続部材1の縦方向40に対して横方向に延びる接触面において、互いに規則的に、特に長方形に配置されている。したがって、接続部材1は、接触部材3、4のはんだ付け足7、8と、接触部材16、26のはんだ付け足28、29とともに回路基板25上に配置され、そこで確実に立つことができる。
【0040】
図2はまた、図1に示された接続部材1の変形例を示す。破線で示された開口部27が縦方向に延び、この実施例では長円形に構成されている変形例では、長円形の開口部27に対応する長円形の、特に楕円形の断面の接合補助具が、長円形の、特に楕円形の開口部27に係合してもよい。有利には、保持体2は、圧入コンタクトが他の回路基板20の対応する開口部と正確に一直線上に並ぶように、接続部材1の縦方向40を中心に回転する際に、縦方向に延びる横断面を有する接合補助具によって位置補正されてもよい。
【0041】
図3は、図1および図2に示された接続部材1に対する変形例についての実施例を示す。図3は、保持体31を有する接続部材30を示す。
接続部材30は、この実施例では、少なくとも周方向部分に沿って、この実施例では環状に保持体31を取り囲むロック部材32を含む。接続部材30は、この実施例では接触部材34のみを有するため、接続部材30単独では、接触部材34に一体成形されたはんだ付け足35を有する回路基板37に立てない。
【0042】
ロック部材32は、保持体31に一体成形された係止ラグ38により、解放位置32’に形状結合式および/または摩擦結合式に保持することができる。ロック部材32は、解放位置32’から回路基板37の方向に移動できるため、接触部材34に一体成形された突起36が、ロック部材32によって、ロック部材32の対応する窪み部に形状結合式および/または摩擦結合式に保持されることができる。
【0043】
ロック部材32は、この実施例では、ロック部材32の平面方向に対して横方向に延びる追加の支持脚33を有し、これにより、接続部材30の回路基板37上の足場を確保することができる。接続部材30は、例えば、1つのみの接触部材、2つのみの接触部材、または3つのみの接触部材を有し、1つのみの接触部材または2つのみの接触部材では、接続部材30の回路基板37上の自立した足場を確保することができない。ロック部材32を回路基板37の方向に押圧することにより、追加の支持脚33は、接続部材30の回路基板37上の足場を確保することができる。ロック部材32は、はんだ付け足35と回路基板37との間のはんだ付け接続の機械的負荷を確実に軽減するために、はんだ付け足35を回路基板37にはんだ付けした後に回路基板37上に残ってもよく、または、接触部材34を完全に自由に弾性運動させるために、移動して解放位置32’に戻ってもよい。
図1
図2
図3