(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】燃料電池発電システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/0668 20160101AFI20241125BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20241125BHJP
H01M 8/12 20160101ALN20241125BHJP
B63B 25/16 20060101ALN20241125BHJP
【FI】
H01M8/0668
H01M8/04 J
H01M8/04 Z
H01M8/12 101
B63B25/16 D
(21)【出願番号】P 2023523503
(86)(22)【出願日】2022-05-25
(86)【国際出願番号】 JP2022021374
(87)【国際公開番号】W WO2022250079
(87)【国際公開日】2022-12-01
【審査請求日】2023-08-29
(31)【優先権主張番号】P 2021087837
(32)【優先日】2021-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000205535
【氏名又は名称】株式会社 商船三井
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅村 仁美
(72)【発明者】
【氏名】中村 正規
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-516348(JP,A)
【文献】特開2005-241235(JP,A)
【文献】特開2020-077567(JP,A)
【文献】特表2012-530010(JP,A)
【文献】特開2006-224885(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0046144(KR,A)
【文献】特開2011-233329(JP,A)
【文献】国際公開第2022/250078(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04-8/0668
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体状のガスから改質反応により化学的に水素と二酸化炭素に分解する改質反応手段と、
前記改質反応手段により分解された水素及び二酸化炭素を含む混合ガスから水素と二酸化炭素に分離する混合ガス分離手段と、
前記
混合ガス分離手段により分離された前記水素により発電する燃料電池と、
前記燃料電池から排出される
排出ガスから水蒸気
を水にして取り除く復水器と、
前記復水器を真空に保ちながら、前記復水器から水素を含むガスを送り出す真空ポンプと、
前記真空ポンプにより前記復水器から供給された前記水素を含むガスから水素以外の不純物を取り除くセパレータと、
前記セパレータにより前記不純物が取り除かれた水素を前記燃料電池に供給する水素供給経路と
、
前記混合ガス分離手段により分離された前記二酸化炭素を貯蔵する二酸化炭素貯蔵タンクと
を備えることを特徴とする燃料電池発電システム。
【請求項2】
前記燃料電池から排出される水蒸気により発電する蒸気タービンを備え、
前記復水器は、前記蒸気タービンを介して、前記燃料電池から排出される
前記排出ガスが供給されること
を特徴とする請求項1に記載の燃料電池発電システム。
【請求項3】
前記改質反応手段は、前記燃料電池から排出される
前記排出ガス及び前記排出ガスの温度を利用して前記改質反応を生じさせること
を特徴とする請求項
1に記載の燃料電池発電システム。
【請求項4】
前記混合ガス分離手段に送る前記混合ガスを冷却する冷却手段
を備えたことを特徴とする請求項
1に記載の燃料電池発電システム。
【請求項5】
前記冷却手段は、前記
混合ガス分離手段により分離された水素を利用して、前記混合ガスを冷却することを含むこと
を特徴とする請求項
4に記載の燃料電池発電システム。
【請求項6】
前記冷却手段は、前記燃料電池に取り込まれる空気を利用して、前記混合ガスを冷却することを含むこと
を特徴とする請求項
4に記載の燃料電池発電システム。
【請求項7】
前記二酸化炭素貯蔵タンクに貯蔵するために、前記
混合ガス分離手段により分離された二酸化炭素を液化する二酸化炭素液化手段
を備えたことを特徴とする請求項
1に記載の燃料電池発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、燃料電池の燃料として水素を使用することが知られている。
しかしながら、燃料電池に供給された水素は、反応せずにそのまま排出されることがある。
【発明の概要】
【0003】
本発明の実施形態の目的は、燃料として供給される水素の消費効率を向上させる燃料電池発電システムを提供することにある。
本発明の観点に従った燃料電池発電システムは、液体状のガスから改質反応により化学的に水素と二酸化炭素に分解する改質反応手段と、前記改質反応手段により分解された水素及び二酸化炭素を含む混合ガスから水素と二酸化炭素に分離する混合ガス分離手段と、前記混合ガス分離手段により分離された前記水素により発電する燃料電池と、前記燃料電池から排出される排出ガスから水蒸気を水にして取り除く復水器と、前記復水器を真空に保ちながら、前記復水器から水素を含むガスを送り出す真空ポンプと、前記真空ポンプにより前記復水器から供給された前記水素を含むガスから水素以外の不純物を取り除くセパレータと、前記セパレータにより前記不純物が取り除かれた水素を前記燃料電池に供給する水素供給経路と、前記混合ガス分離手段により分離された前記二酸化炭素を貯蔵する二酸化炭素貯蔵タンクとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る燃料電池発電システムの構成を示す構成図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る燃料電池から排出された水蒸気に含まれる水素を再利用する構成の一例を示す構成図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る二酸化炭素分離装置に送り込まれる混合ガスを冷却する構成の一例を示す構成図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る二酸化炭素液化装置の構成の一例を示す構成図である。
【
図5】
図5は、第2の実施形態に係る燃料電池発電システムの構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る燃料電池発電システム10の構成を示す構成図である。なお、図面における同一部分には同一符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0006】
燃料電池発電システム10は、陸上又は海上等に固定されて設置される場合に限らず、船舶、車両、又は、航空機等の移動体に設けられてもよい。
【0007】
燃料電池発電システム10は、LNGタンク1、改質装置2、二酸化炭素分離装置3、二酸化炭素液化装置4、二酸化炭素貯蔵タンク5、燃料電池6、蒸気タービン7、及び、復水器8を備える。
【0008】
なお、ここでは、発電するための燃料としてLNGを用いて説明するが、LPG(液化石油ガス:liquefied petroleum gas)を用いて、LNGと同様に構成してもよい。この他に、燃料電池6の燃料は、水素原子を含む物質であれば、どのような物質でもよい。例えば、このような燃料は、エタノール又はメタノール等のアルコールでもよいし、水素又はアンモニアでもよい。
【0009】
LNGタンク1は、LNGを貯蔵する設備である。LNGタンク1は、燃料電池6の需用電力量に応じて、改質装置2にBOG(boil off gas)を供給する。BOGは、LNGタンク1に蓄積されたLNGの一部が入熱により気化することで発生する気体状の天然ガスである。
【0010】
なお、LNGタンク1は、LNGを貯蔵できる設備であれば、どのようなものでもよい。また、燃料電池発電システム10を船舶に適用する場合、LNGタンク1は、LNGを運搬するためのLNGタンクでもよいし、LNGを動力源の燃料として貯蔵するための燃料タンクでもよい。また、LNGタンク1は、いくつ設けられてもよい。なお、LNGタンク1は、燃料電池発電システム10の構成の一部でなくてもよく、改質装置2にBOGが供給されるように構成されれば、燃料電池発電システム10は、どのように構成されてもよい。
【0011】
改質装置2は、LNGタンク1から供給されるBOGに、高温の水蒸気(例えば、約900℃)を加えて、水素と二酸化炭素の主に2つの成分に化学的に分解する装置である。例えば、改質装置2は、高温の水蒸気として、燃料電池6から排出される水蒸気を利用する。この水蒸気は加熱器により温度を上げて供給してもよい。改質装置2は、LNGに高温の水蒸気を加えて、改質反応(吸熱反応)とシフト反応を生じさせることにより、水素と二酸化炭素の混合ガスを生成する。メタン(LNG)と水蒸気で改質反応が生じることにより、水素と一酸化炭素が生成される。さらに、一酸化炭素と水蒸気がシフト反応することにより、水素と二酸化炭素が生成される。これにより、BOGは、水素と二酸化炭素に化学的に分解される。改質装置2は、生成した水素と二酸化炭素の混合ガスを二酸化炭素分離装置3に供給する。
【0012】
燃料電池6から排出される水蒸気には、燃料電池6で反応しなかった水素が含まれる。したがって、燃料電池6から排出される水蒸気を利用することで、このような反応しなかった水素が改質装置2を介して再利用される。なお、燃料電池6から排出される水蒸気を利用せずに、改質装置2に高温の水蒸気を供給する設備等を別途設けてもよい。
【0013】
ここで、BOGが分解された後の混合ガスには、水素及び二酸化炭素以外の成分が混入してもよい。例えば、十分に分解されずに残ったBOG又は一酸化炭素が混入してもよいし、BOGに含まれる不純物が混入してもよい。
【0014】
二酸化炭素分離装置(CCS、carbon capture system)3は、改質装置2により化学的に分解された水素と二酸化炭素の混合ガスを、二酸化炭素ガスと水素ガスに物理的に分離する。例えば、二酸化炭素分離装置3は、圧力変動吸着(PSA、pressure swing adsorption)方式で、混合ガスを分離するが、どのような方式で、混合ガスを分離してもよい。二酸化炭素分離装置3は、混合ガスを分離後、水素ガスを燃料電池6に供給し、二酸化炭素ガスを二酸化炭素液化装置4に送る。なお、二酸化炭素分離装置3から燃料電池6に水素ガスを送る経路(例えば、パイプライン)には、水素ガスを圧縮するためのコンプレッサC1が適宜設けられてもよい。
【0015】
二酸化炭素液化装置4は、二酸化炭素分離装置3から送られてきた二酸化炭素ガスを冷却して、液状の二酸化炭素を生成する。二酸化炭素液化装置4は、液化された二酸化炭素を二酸化炭素貯蔵タンク5に貯蔵する。二酸化炭素貯蔵タンク5に貯蔵された二酸化炭素は、任意の場所に持ち運んで、自由に処分することができる。例えば、二酸化炭素は、地中に埋めて処分されてもよいし、資源として二酸化炭素を必要とする用途に利用されてもよい。
【0016】
なお、二酸化炭素液化装置4は、二酸化炭素ガスが液化できれば、どのように構成されてもよい。また、二酸化炭素液化装置4及び二酸化炭素貯蔵タンク5は、設けなくてもよい。二酸化炭素分離装置3により分離された二酸化炭素は、装置等で処理されるようにしてもよいし、大気に放出されてもよい。
【0017】
燃料電池6は、大気から取り込まれる空気中の酸素と、二酸化炭素分離装置3により供給される水素ガスを利用して発電する固体酸化物形の燃料電池(SOFC、solid oxide fuel cell)である。燃料電池6は、発電した電力を負荷に供給する。燃料電池6から排出され、反応せずに残った水素を含む水蒸気は、改質装置2及び蒸気タービン7に送られる。なお、ここでは、燃料電池6は、固体酸化物形として説明するが、他の形式の燃料電池を適用してもよい。
【0018】
蒸気タービン7は、燃料電池6から排気される水蒸気により、蒸気タービン発電を行う。例えば、燃料電池6から排気される水蒸気のうち改質装置2に必要な水蒸気を除いた残りの水蒸気が蒸気タービン7に送られる。なお、燃料電池6から排気される水蒸気は、全て蒸気タービン7に送られ、改質装置2には送られなくてもよい。また、蒸気タービン7による発電は、どのように利用されてもよい。例えば、蒸気タービン7は、発電電力を燃料電池6による発電電力とともに負荷に供給してもよい。なお、蒸気タービン7を設けずに、燃料電池6から排気される水蒸気が復水器8に直接送り込まれてもよい。
【0019】
復水器8は、蒸気タービン7に接続されている。復水器8は、燃料電池6から蒸気タービン7を介して送られてきた水蒸気を水に戻し、水蒸気に含まれる水素を抽出する。復水器8は、水蒸気から抽出した水素を燃料電池6に燃料として供給する。このようにして、復水器8から抽出された水素は、燃料電池6で再利用される。また、復水器8から抽出された水は再利用されてもよいし、廃棄されてもよい。復水器8から外部に排水する場合は、排水するための復水ポンプが設けられてもよい。
【0020】
図2は、本実施形態に係る燃料電池6から排出された水蒸気に含まれる水素を再利用する構成の一例を示す構成図である。なお、ここで説明する構成に限らず、どのように構成されてもよい。
【0021】
復水器8から燃料電池6に水素ガスを供給する経路(例えば、パイプライン)には、真空ポンプP1及びセパレータSPが設けられる。
【0022】
真空ポンプP1には、復水器8から水素を多く含むガスが供給される。真空ポンプP1は、復水器8を真空に保ちながら、復水器8から供給される水素を多く含むガスをセパレータSPに送る。セパレータSPは、真空ポンプP1から供給されたガスから水素ガス以外の不純物(水又は二酸化炭素等)を取り除く。これにより、セパレータSPは、純度の高い水素ガスを抽出する。セパレータSPは、抽出した水素ガスを燃料電池6に供給する。セパレータSPが燃料電池6に水素ガスを送る経路には、水素ガスを圧縮するコンプレッサが設けられてもよい。
【0023】
図3は、本実施形態における二酸化炭素分離装置3に送り込まれる混合ガスを冷却する構成の一例を示す構成図である。
【0024】
改質装置2から排出される水素と二酸化炭素の混合ガスは、二酸化炭素分離装置3の許容温度を超える高温であるため、冷却しなければ、二酸化炭素分離装置3に送り込むことはできない。したがって、改質装置2から二酸化炭素分離装置3に送り込まれる混合ガスの経路(例えば、パイプライン)の途中には、混合ガスを冷却するための冷却器21が設けられる。ここでは、
図3を参照して、冷却器21の他に、2つの熱交換器22,23を設けた場合の構成について説明する。
【0025】
第1熱交換器22は、改質装置2から排出される水素と二酸化炭素の混合ガスを、二酸化炭素分離装置3又は復水器8から燃料電池6に燃料として供給される水素ガスにより冷却する。これにより、混合ガスが冷却され、燃料電池6に燃料として供給される水素ガスが加熱される。したがって、混合ガスを冷却するとともに、燃料電池6の燃料として使用する水素ガスを加熱することもできる。
【0026】
第2熱交換器23は、第1熱交換器22により冷却された混合ガスを、燃料電池6が燃料として取り込まれる酸素(空気)により冷却する。これにより、混合ガスが冷却され、燃料電池6に燃料として取り込まれる空気が加熱される。したがって、混合ガスを冷却するとともに、燃料電池6の燃料として使用する酸素(空気)を加熱することもできる。
【0027】
冷却器21は、改質装置2から排出され、2つの熱交換器22,23で冷却された混合ガスを、二酸化炭素分離装置3の許容温度以下になるまで冷却する。このようにして、冷却器21は、許容温度以下に冷却した混合ガスを二酸化炭素分離装置3に送り込む。
【0028】
なお、冷却器21は、いくつ設けてもよい。また、熱交換器22,23は、いくつ設けてもよいし、設けなくてもよい。さらに、冷却器及び熱交換器による冷却の順番は、任意に決定してよい。
【0029】
図4は、本実施形態に係る二酸化炭素液化装置4の構成の一例を示す構成図である。なお、ここで説明する二酸化炭素液化装置4の構成は、一例であり、二酸化炭素ガスが液化できれば、どのような構成でもよい。
【0030】
二酸化炭素液化装置4は、二酸化炭素圧縮機41、脱湿装置42、第1熱交換器43、二酸化炭素液化器44、冷凍機45、冷媒コンデンサ46、及び、第2熱交換器47を備える。
【0031】
二酸化炭素圧縮機41は、二酸化炭素分離装置3により分離された二酸化炭素ガスを取り込んで、圧縮する。二酸化炭素圧縮機41は、圧縮した二酸化炭素ガスを脱湿装置42に送る。また、二酸化炭素圧縮機41は、二酸化炭素分離装置3からの二酸化炭素ガスに加えて、二酸化炭素貯蔵タンク5の内部で気化した二酸化炭素も取り込んで、一緒に圧縮してもよい。
【0032】
脱湿装置42は、二酸化炭素圧縮機41から送り込まれた二酸化炭素ガスを乾燥させる。これにより、二酸化炭素ガスからパージガスが抜ける。脱湿装置42は、乾燥させた二酸化炭素ガスを第1熱交換器43に送る。脱湿装置42は設けなくても良い。
【0033】
第1熱交換器43は、脱湿装置42から送り込まれた二酸化炭素ガスを清水により冷却する。清水の代わりに、取水ポンプ等により、船外から汲み上げた水(海水等)を用いてもよい。第1熱交換器43は、冷却した二酸化炭素ガスを二酸化炭素液化器44に送る。
【0034】
二酸化炭素液化器44は、第1熱交換器43から送り込まれた二酸化炭素ガスを冷却して液化する。これにより、凝縮されない非凝縮ガスが二酸化炭素から抜ける。二酸化炭素液化器44は、液化した二酸化炭素を第2熱交換器47に送る。
【0035】
二酸化炭素液化器44は、冷媒により二酸化炭素ガスを冷却する。二酸化炭素ガスの冷却に使用された冷媒は、冷凍機45に送られて、冷却される。冷凍機45で冷却された冷媒は、冷媒コンデンサ46に送られて、圧縮される。冷媒コンデンサ46で圧縮された冷媒は、二酸化炭素液化器44に供給され、二酸化炭素ガスの冷却に使用される。
【0036】
第2熱交換器47は、二酸化炭素液化器44から送り込まれた液化された二酸化炭素をBOGにより冷却する。第2熱交換器47は、液化された二酸化炭素を冷却して、二酸化炭素貯蔵タンク5に送る。
【0037】
本実施形態によれば、以下の作用効果を得ることができる。
復水器8を設けて、燃料電池6から排出される水蒸気に含まれる水素を取り出すことで、LNGに含まれる水素の消費効率を向上させることができる。
【0038】
燃料電池6から復水器8に水蒸気が排出される経路の途中に、蒸気タービン7を設けることで、燃料電池6から排出される水蒸気により発電することができる。
【0039】
BOGを水素と二酸化炭素に分離し、二酸化炭素を取り除いて水素のみを燃料として、燃料電池6に供給することで、BOGをそのまま燃料として燃料電池6に供給するよりも、二酸化炭素の回収を容易にすることができる。これにより、燃料電池発電システム10からの二酸化炭素の排出量を抑制することができる。
【0040】
改質装置2における改質反応を生じさせるために必要な高温の水蒸気を、燃料電池6から排出される水蒸気を利用することで、高温の水蒸気を作り出すための装置を単独で設けるよりも、燃料電池発電システム10の全体のエネルギー効率及び設備コストを低減することができる。また、燃料電池6から排出される水蒸気には、水素が含まれるため、LNGに含まれる水素の消費効率を向上させることができる。
【0041】
熱交換器22,23を設けて、二酸化炭素分離装置3から燃料電池6に供給される水素、及び、燃料電池6における発電に使用するための空気を利用して、改質装置2から排出される混合ガスを冷却する。これにより、熱交換器22,23を設けずに混合ガスを冷却する場合よりも、冷却器21で冷却を開始するときの混合ガスの温度を低くできる。したがって、混合ガスを効率良く冷却することができ、より低い冷却能力の冷却器21を採用することができる。また、燃料電池6に供給される水素及び空気も加熱されるため、燃料電池6の発電効率を向上させることができる。
【0042】
二酸化炭素液化装置4において、二酸化炭素を冷却するために、BOGを利用することで、二酸化炭素を冷却するエネルギー効率を向上させることができる。
【0043】
(第2の実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態に係る燃料電池発電システム10Aの構成を示す構成図である。
【0044】
燃料電池発電システム10Aは、
図1に示す第1の実施形態に係る燃料電池発電システム10において、LNGタンク1、改質装置2、二酸化炭素分離装置3、二酸化炭素液化装置4、及び、二酸化炭素貯蔵タンク5を取り除き、代わりに、水素タンク9を設けたものである。その他の点は、第1の実施形態に係る燃料電池発電システム10と同様である。
【0045】
水素タンク9は、水素を貯蔵する設備である。水素タンク9は、燃料電池6の需用電力量に応じて、燃料電池6に水素を供給する。水素タンク9は、第1の実施形態に係るLNGタンク1と同様に、水素を貯蔵できる設備であれば、どのようなものでもよい。
【0046】
本実施形態によれば、復水器8を設けて、燃料電池6から排出される水蒸気に含まれる水素を取り出すことで、水素タンク9から供給される水素の消費効率を向上させることができる。
【0047】
燃料電池6から復水器8に水蒸気が排出される経路の途中に、蒸気タービン7を設けることで、燃料電池6から排出される水蒸気により発電することができる。
【0048】
燃料電池6の燃料として水素タンク9を設けることで、第1の実施形態よりもシステム全体の構成を簡略化することができる。また、LNGを燃料としたときのように、二酸化炭素が排出されることもない。
【0049】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、構成要素を削除、付加又は変更等をしてもよい。また、複数の実施形態について構成要素を組合せ又は交換等をすることで、新たな実施形態としてもよい。このような実施形態が上述した実施形態と直接的に異なるものであっても、本発明と同様の趣旨のものは、本発明の実施形態として説明したものとして、その説明を省略している。