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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】バリ取り装置およびバリ取りユニット
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/08 20060101AFI20241125BHJP
   B25J 13/00 20060101ALI20241125BHJP
   G05B 19/404 20060101ALI20241125BHJP
   G05B 19/4155 20060101ALI20241125BHJP
   B23C 3/12 20060101ALI20241125BHJP
   B24B 9/00 20060101ALI20241125BHJP
【FI】
B25J13/08 A
B25J13/08 Z
B25J13/00 Z
G05B19/404 K
G05B19/4155 V
B23C3/12 B
B24B9/00 602B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023527500
(86)(22)【出願日】2022-02-28
(86)【国際出願番号】 JP2022008273
(87)【国際公開番号】W WO2022259641
(87)【国際公開日】2022-12-15
【審査請求日】2023-05-29
(31)【優先権主張番号】P 2021096394
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松井 謙太郎
【審査官】杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-083284(JP,A)
【文献】特開2008-264926(JP,A)
【文献】特開平09-192927(JP,A)
【文献】特開2013-082019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 ~ 21/02
G05B 19/18 ~ 19/416
G05B 19/42 ~ 19/46
B23C 3/12
B24B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの表面のバリを除去するためのバリ取りユニットと、
前記バリ取りユニットをワークに沿わせて移動させるためのロボットとを備え、
前記バリ取りユニットは、
前記ワークまでの距離を読み取るための第1の計測器と、
前記バリを除去する工具と、
前記第1の計測器の計測結果に基づいて、バリ取り作業中における前記工具と前記ワークとの距離を調節するアクチュエータと、
前記バリ取りユニットを制御する制御部と
前記バリ取りユニットの進行方向に向けて、前記工具と同じ位置に配置されている第2の計測器とを含み、
前記第1の計測器は、前記バリ取りユニットの進行方向に向けて、前記工具より先行する位置に配置されており、
前記制御部は、
前記第1の計測器の計測結果と、前記第2の計測器の計測結果との差分を学習データとして蓄積し、
前記学習データに基づいて、前記アクチュエータの駆動量を補正する、バリ取り装置。
【請求項2】
ワークの表面のバリを除去するためのバリ取りユニットと、
前記バリ取りユニットをワークに沿わせて移動させるためのロボットとを備え、
前記バリ取りユニットは、
前記ワークまでの距離を読み取るための第1の計測器と、
前記バリを除去する工具と、
前記第1の計測器の計測結果に基づいて、バリ取り作業中における前記工具と前記ワークとの距離を調節するアクチュエータと、
前記バリ取りユニットを制御する制御部と
前記バリ取りユニットの進行方向に向けて、前記工具と同じ位置に配置されている第2の計測器とを含み、
前記第1の計測器は、前記バリ取りユニットの進行方向に向けて、前記工具より先行する位置に配置されており、
前記制御部は、前記第1の計測器の計測結果と、前記第2の計測器の計測結果との差分に基づいて、前記アクチュエータにより、前記工具の位置を調節する、バリ取り装置。
【請求項3】
ワークの表面のバリを除去するためのバリ取りユニットと、
前記バリ取りユニットをワークに沿わせて移動させるためのロボットとを備え、
前記バリ取りユニットは、
前記ワークまでの距離を読み取るための第1の計測器と、
前記バリを除去する工具と、
前記第1の計測器の計測結果に基づいて、バリ取り作業中における前記工具と前記ワークとの距離を調節するアクチュエータと、
前記バリ取りユニットを制御する制御部と
前記バリ取りユニットの進行方向に向けて、前記工具より遅れた位置に配置されている第2の計測器とを含み、
前記第1の計測器は、前記バリ取りユニットの進行方向に向けて、前記工具より先行する位置に配置されており、
前記制御部は、前記第2の計測器の計測結果に基づいて、前記ワークのバリ取りの合否を判定する、バリ取り装置。
【請求項4】
前記アクチュエータは、単軸アクチュエータである、請求項1~3のいずれかに記載のバリ取り装置。
【請求項5】
前記バリ取りユニットの進行方向は、前記ワークと平行になる、請求項1~4のいずれかに記載のバリ取り装置。
【請求項6】
前記バリ取りユニットの進行方向は、前記ワークと平行になっていない、請求項1~4のいずれかに記載のバリ取り装置。
【請求項7】
前記アクチュエータは、前記第1の計測器の計測結果に基づいて、前記ロボットとは独立して動作する、請求項1~6のいずれかに記載のバリ取り装置。
【請求項8】
前記バリ取りユニットは、前記バリ取りユニットを掃除するためのエアノズルをさらに含み、
前記エアノズルは、前記エアノズルのエアの吹き出し方向が、前記バリ取りユニットの進行方向とずれるように構成されている、請求項1~7のいずれかに記載のバリ取り装置。
【請求項9】
ロボットの先端に取り付けられるバリ取りユニットであって、
ワークまでの距離を読み取るための第1の計測器と、
前記バリを除去する工具と、
前記第1の計測器の計測結果に基づいて、バリ取り作業中における前記工具と前記ワークとの距離を調節するアクチュエータと、
前記バリ取りユニットを制御する制御部と
前記バリ取りユニットの進行方向に向けて、前記工具と同じ位置に配置されている第2の計測器とを備え、
前記第1の計測器は、前記バリ取りユニットの進行方向に向けて、前記工具より先行する位置に配置されており、
前記制御部は、
前記第1の計測器の計測結果と、前記第2の計測器の計測結果との差分を学習データとして蓄積し、
前記学習データに基づいて、前記アクチュエータの駆動量を補正する、バリ取りユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バリ取り装置に関し、より特定的には、バリ取り装置の工具の位置の調節技術に関する。
【背景技術】
【0002】
形状のバラツキの大きいワークに対して、レーザ変位計等を用いた計測を行い、その計測結果に基づいて、バリ取り装置の工具の加工軌道を決定する技術が知られている。
【0003】
バリ取り技術に関し、例えば、特開2013-082019号公報(特許文献1)は、「ワーク上のバリの形状を計測する計測工程と、計測工程で得られた計測値に基づき、バリの長さ方向に沿って所定の根元算出点における両側の根元位置を算出する根元算出工程と、根元算出工程で得られた根元位置基づいてバリ取り工具の軌道を算出する軌道算出工程と、軌道算出工程で得られた軌道に従ってバリ取り工具を移動させながらバリ取り加工を行うバリ取り工程とを備える」バリ取り方法を開示している([要約]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-082019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された技術によると、バリの計測行程と、バリ取り工具の軌道算出行程と、バリ取り工程とを個別に実行する必要があり、バリ取り加工の時間が長くなる恐れがある。したがって、バリ取り加工にかかる時間を短縮するための技術が必要とされている。
【0006】
本開示は、上記のような背景に鑑みてなされたものであって、ある局面における目的は、バリ取り加工にかかる時間を短縮するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ある実施の形態に従うと、バリ取り装置が提供される。バリ取り装置は、ワークの表面のバリを除去するためのバリ取りユニットとバリ取りユニットをワークに沿わせて移動させるためのロボットとを備える。バリ取りユニットは、ワークまでの距離を読み取るための第1の計測器と、バリを除去する工具と、第1の計測器の計測結果に基づいて、工具とワークとの距離を調節するアクチュエータと、バリ取りユニットを制御する制御部とを含む。第1の計測器は、バリ取りユニットの進行方向に向けて、工具より先行する位置に配置されており、アクチュエータは、単軸アクチュエータである。
【発明の効果】
【0008】
ある実施の形態に従うと、バリ取り加工にかかる時間を短縮することが可能である。
この開示内容の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解される本開示に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ある実施の形態に従うバリ取り装置100の外観の一例を示す図である。
図2】バリ取り装置100の回路構成の一例を示す図である。
図3】バリ取りユニット101の動作の一例を示す図である。
図4】バリ取りユニット101の進行方向が、ワークとずれている場合のバリ取りユニット101の動作の一例を示す図である。
図5】ワークが湾曲している場合のバリ取りユニット101の動作の一例を示す図である。
図6】学習時におけるバリ取りユニット601の一例を示す図である。
図7】バリ取り装置700の構成の一例を示す図である。
図8】バリ取り装置700の動作の第1の例を示す図である。
図9】バリ取り装置700の動作の第2の例を示す図である。
図10】バリ取り装置1000の構成の一例を示す図である。
図11】バリ取り装置1100の構成の一例を示す図である。
図12】バリ取り装置1200の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本開示に係る技術思想の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0011】
<A.バリ取り装置のハードウェア構成>
まず、図1および図2を参照して、本実施の形態に従うバリ取り装置の外観、動作概要、回路構成等について説明する。
【0012】
(a.バリ取り装置の外観)
図1は、本実施の形態に従うバリ取り装置100の外観の一例を示す図である。図1を参照してバリ取り装置100の構成について説明する。バリ取り装置100は、ロボット1と、バリ取りユニット101とを備える。バリ取りユニット101は、ベース取付板2と、単軸アクチュエータ3と、スピンドル4と、回転工具5と、計測器6とを備える。
【0013】
ロボット1は、複数のモータ(駆動部)から構成される。ロボット1は、先端にバリ取りユニット101を取り付けられており、当該バリ取りユニット101をワークに沿わせて移動させることができる。ある局面において、ロボット1は、垂直多関節ロボット、水平多関節ロボット、直交ロボット、またはその他の任意のロボットであってもよい。
【0014】
バリ取りユニット101は、ワーク(母材)のバリを除去するためのユニットであり、そのための計測器および工具等を備えている。
【0015】
ベース取付板2は、ロボット1に接続される。また、ベース取付板2には、一例として、単軸アクチュエータ3および計測器6が取り付けられている。
【0016】
単軸アクチュエータ3は、モータ等の駆動部によりスピンドル4を移動させることで、スピンドル4とバリ取りの対象であるワークとの距離を調節する。単軸アクチュエータ3は、ロボット1の各モータとは独立して動作する。ある局面において、単軸アクチュエータ3は、サーボモータとボールネジとを組み合わせた直動機構、リニアモータによる直動機構、ロボシリンダ、または位置制御のできる任意の直動機構であってもよい。
【0017】
スピンドル4は、スピンドル4の先端に取り付けられた回転工具5を回転させる。スピンドル4は、一例として、DC(Direct Current)モータ、スピンドル、コレット、チャック等の任意の機械部品を含み得る。
【0018】
回転工具5は、ワークのバリ取り加工用の工具である。回転工具5は、スピンドル4のDCモータ等により高速回転することで、ワークのバリを削り取ることができる。ある局面において、バリ取りユニット101は、回転工具5に代えて、ニクロム線、レーザ加工機、非回転切削工具等のバリ取りが可能な機器をバリ取り用の工具として使用し得る。
【0019】
計測器6は、計測器6からワークまでの距離を計測する。また、計測器6は、バリ取りユニット101の進行方向に向けて、回転工具5よりも先行する位置(前方)に配置される。ワークの形状等によりバリの位置または範囲は多岐にわたることがある。そのため、計測器6は、ベース取付板2上で位置を調節可能に構成される。一例として、ベース取付板2には、計測器6をネジ止めするための複数の穴が設けられていてもよい。ある局面において、計測器6は、レーザ変位計であってもよい。この場合、計測器6は、一次元のレーザ変位計であってもよいし、二次元のレーザ変位計であってもよい。また、他の局面において、計測器6は、レーザ変位計以外の任意の計測機器であってもよい。後述する計測器7および計測器9についても同様である。
【0020】
なお、計測器6のレーザ等の照射方向と、単軸アクチュエータ3の動作軸方向とは、可能な限り平行であることが望ましい。そのために、バリ取りユニット101は、ピンやリーマボルト等により、計測器6および単軸アクチュエータ3のベース取付板2への取付け精度が保証されるように構成されていてもよい。
【0021】
またベース取付板2は、ガイド等により、ロボット1に対する取付け精度が保証されるように構成されていてもよい。
【0022】
さらに、計測器6は、バリ取りユニット101の進行方向に向けて、回転工具5よりも先行する位置だけでなく、回転工具5よりも遅れる位置(後方)に取り付け可能に構成されていてもよい。こうすることで、計測器6は、バリ取りユニット101が逆向きに移動する場合も、回転工具5よりも先行することができる。
【0023】
その他、バリ取りユニット101に含まれる部品であるベース取付板2,単軸アクチュエータ3、スピンドル4、回転工具5、および計測器6は、着脱可能に構成され得る。
【0024】
(b.バリ取り装置の動作概要)
次に、バリ取り装置100の動作概要について説明する。ロボット1は、プログラム等に従い、予め定められた経路でバリ取りユニット101をワークに沿わせて移動させる。
【0025】
バリ取りユニット101がワークに沿って移動しているとき、計測器6は、回転工具5よりも先行して、計測器6からワークまでの距離を計測する。計測器6は、計測結果をバリ取りユニット用コントローラ202(図2参照)に出力する。バリ取りユニット用コントローラ202は、計測器6の計測結果に基づいて、単軸アクチュエータを駆動させ、ワークに対するスピンドル4および回転工具5の位置を調節する。次に、位置調節された回転工具5は、ワークのバリを切削する。
【0026】
回転工具5は、バリ取りユニット101の進行方向に向けて、計測器6よりも常に遅れた位置に配置される。そのため、バリ取りユニット101は、ワークのそばを一回移動するだけで、計測器6による計測、回転工具5の位置調節、および回転工具5によるバリ取り加工という3つの処理を実行し得る。
【0027】
回転工具5の位置調節において、バリ取りユニット用コントローラ202は、計測器6と回転工具5との間の距離と、バリ取りユニット101の移動速度とに基づいて、計測器6の計測結果の取得から何秒後(または何ミリ秒後)に単軸アクチュエータ3を駆動させるかを決定し得る。
【0028】
バリ取りユニット用コントローラ202は、計測器6および回転工具の間の距離が十分に長ければ、回転工具5を押し当てて削ることができないワーク等に対してのバリ取り加工も行い得る。回転工具5を押し当てて削ることができないワークは、例えば、発泡材料等の柔軟物、または、ワーク(母材)を削ることでその箇所が崩れやすくなったり粉が発生したりする材料等を含み得る。
【0029】
計測器6が一次元のレーザ変位計の場合、計測器6は、ワーク(母材)のバリ根元位置(計測器6からワークまでの距離)を測定する。計測器6が二次元のレーザ変位計の場合、計測器6はワークのバリ形状まで計測し得る。ある局面において、二次元のレーザ変位計は、バリ根元位置およびワークのバリ形状のいずれかまたは両方を計測してもよい。バリ取りユニット用コントローラ202は、計測器6の計測結果に基づいて、ワークの位置および形状をデータ処理により特定し、当該データ処理の結果に基づいて、単軸アクチュエータ3を制御し得る。
【0030】
計測器6および回転工具5間の距離、およびロボット1の動作速度等は、バリ取りユニット用コントローラ202のデータ処理にかかる時間を考慮して決定されることが望ましい。
【0031】
その他、バリ取りユニット101は、バリ取り加工によって生じるバリの粉末等を除去するためのエアノズル(図示せず)を備えていてもよい。バリ取りユニット101は、エアノズルを備えることにより、計測器6等に粉末が付着して、計測器6による計測結果の精度が低下することを抑制し得る。ある局面において、エアノズルの吹き出し方向は、計測器6が粉末の影響を受けないように、バリ取りユニット101の進行方向とずれていてもよい。例えば、エアノズルの吹き出し方向は、バリ取りユニット101の進行方向と逆であってもよい。これにより、エアノズルの吹き出しにより舞い上がった粉末が計測器6に付着することを抑制し得る。
【0032】
上記のように、本実施の形態に従うバリ取り装置100は、ワークの近傍を一回移動するだけで、計測器6による計測、回転工具5の位置調節、および回転工具5によるバリ取り加工という3つの処理を実行し得る。その結果、バリ取り装置100は、従来のバリ取り装置に比べて短い時間でワークのバリを除去し得る。
【0033】
さらに、バリ取り装置100は、計測器6がワークまでの距離を測定した直後にワークを加工できるため、成型直後の発泡材料等のワークの形状が徐々に膨らんでいくような材料に対しても、加工距離の長さにかかわらず精度よくバリ取り加工し得る。
【0034】
図2は、バリ取り装置100の回路構成の一例を示す図である。バリ取り装置100は、制御回路として、ロボット用コントローラ201と、バリ取りユニット用コントローラ202とを含む。
【0035】
ロボット用コントローラ201は、ロボット1を制御する。より具体的には、ロボット用コントローラ201は、ロボット1の各軸のサーボモータ等の回転数、回転速度、トルク等を調節し得る。ある局面において、ロボット用コントローラ201は、プロセッサ(図示せず)と、主メモリ(図示せず)と、記憶部(図示せず)と、複数のサーボモータコントローラ(図示せず)とを含んでいてもよい。この場合、プロセッサは、記憶部から読み出したロボット1を制御するためプログラムを主メモリに展開して、当該プログラムを実行し得る。また、プロセッサは、複数のサーボモータコントローラを介して、ロボット1の各軸のサーボモータを制御し得る。
【0036】
バリ取りユニット用コントローラ202は、計測器6の計測結果を取得し、当該計測結果に基づいて、単軸アクチュエータ3を駆動させて回転工具5の位置を調節する。バリ取りユニット用コントローラ202は、ロボット用コントローラ201のロボット1に対する制御とは独立して、単軸アクチュエータ3を制御し得る。ロボット用コントローラ201およびバリ取りユニット用コントローラ202は、独立して動作するが、各種情報をやりとりしてもよい。一例として、ロボット用コントローラ201は、ロボット1の先端速度と、バリ取りの実行タイミングの情報とをバリ取りユニット用コントローラ202に送信し得る。ある局面において、バリ取りユニット用コントローラ202は、プロセッサ(図示せず)と、主メモリ(図示せず)と、記憶部(図示せず)と、単軸アクチュエータ3のコントローラ(図示せず)とを含んでいてもよい。この場合、プロセッサは、記憶部から読み出した単軸アクチュエータ3を制御するためプログラムを主メモリに展開して、当該プログラムを実行し得る。また、プロセッサは、単軸アクチュエータ3のコントローラを介して、単軸アクチュエータ3を制御し得る。
【0037】
「ロボット1の先端速度」とは、バリ取りユニット101の移動速度である。バリ取りユニット101は、取得したロボット1の先端速度と、計測器6および回転工具5間の距離とに基づいて、単軸アクチュエータ3を制御するタイミングを決定し得る。例えば、計測器6および回転工具5間の距離が50mmであり、ロボット1の先端速度が50mm/sである場合、計測器6がワークまでの距離を計測したタイミングから1秒後に、回転工具5はワーク上の計測地点を通過することになる。この場合、バリ取りユニット用コントローラ202は、この計測器6がワークまでの距離を計測したタイミングから1秒後に、回転工具5が計測地点のバリを除去できるように単軸アクチュエータ3を制御する。
【0038】
「バリ取りの実行タイミングの情報」とは、バリ取りユニット101がバリ取りを実行するタイミングを示す。例えば、ワーク上のA点からB点までがバリ取りを実行する区間であり、ワーク上のB点からC点までがバリ取りを実行しない区間であるとする。この場合、バリ取りユニット用コントローラ202は、回転工具5がワーク上のA点からB点を通過する間、単軸アクチュエータ3を制御する。逆に、バリ取りユニット用コントローラ202は、回転工具5がワーク上のB点からC点を通過する間、単軸アクチュエータ3を制御しなくてもよい。
【0039】
しかしながら、実際には、バリ取りユニット用コントローラ202が制御信号を出力してから、回転工具5が目的位置に移動するまでに多少のタイムラグがある。そこで、バリ取りユニット用コントローラ202は、回転工具5がワーク上のA点からB点を通過する間およびその前後の数秒間、単軸アクチュエータ3を制御してもよい。
【0040】
<B.バリ取りユニットの動作>
次に、図3図6を参照して、バリ取りユニット101の動作手順と、バリ取りユニット101による回転工具5の位置の調節が必要なケースとについて説明する。
【0041】
図3は、バリ取りユニット101の動作の一例を示す図である。図3を参照してバリ取りユニット101の基本的な動作について説明する。図3に示されるバリ取りユニット101は、図1に示されるバリ取りユニット101を上から見たものである。ワーク300は、バリ取りユニット101によるバリ取りの対象であり、ワーク300の表面にはバリ310が存在する。
【0042】
バリ取りユニット101の進行方向340は、バリ取りの対象であるワーク300と平行になる。単軸アクチュエータ3の進行方向330は、バリ取りユニット101の進行方向と垂直になる。計測器6は、バリ取りユニット101の進行方向に向けて、常に回転工具5よりも先行する。そのため、バリ取りユニット101は、計測器6に基づいて単軸アクチュエータ3を制御することにより、一回の移動でワーク300またはバリ310の計測およびバリ取り加工の両方を行い得る。
【0043】
一例として、計測器6は、ワーク300のA点の計測結果を得たとする。この場合、計測器6は、A点の計測結果をバリ取りユニット用コントローラ202に送信する。バリ取りユニット用コントローラ202は、計測器6の計測結果と、ロボット1の先端速度(バリ取りユニット101の移動速度)とに基づいて、バリ取りユニット用コントローラ202を制御し、A点において回転工具5およびワーク300の間が予め定められた距離となるように、単軸アクチュエータ3を制御する。言い換えれば、バリ取りユニット用コントローラ202は、A点において、ワーク300を傷つけずにバリ310を除去できる位置に回転工具5を移動させる。ある局面において、バリ取りユニット用コントローラ202は、事前に計測器6および回転工具5間の距離の情報を取得していてもよい。この場合、バリ取りユニット用コントローラ202は、計測器6および回転工具5間の距離の情報を単軸アクチュエータ3の制御に使用する。
【0044】
上記のように、バリ取りユニット用コントローラ202は、バリ取りが必要な区間において単軸アクチュエータ3を制御することを繰り返す。これにより、バリ取りユニット用コントローラ202は、例えばワーク300に歪みがある場合でも、回転工具5およびワーク300間の距離を常に一定に保ったまま、バリ310の除去を行い得る。
【0045】
図4は、バリ取りユニット101の進行方向が、ワークとずれている場合のバリ取りユニット101の動作の一例を示す図である。図4に示す例では、図3の例と異なり、バリ取りユニット101が傾いており、バリ取りユニット101の進行方向440がワーク300と平行になっていない状況を示す。このような場合でも、バリ取りユニット101は、図3を参照して説明された制御によりワーク300のバリ310を除去し得る。
【0046】
一例として、計測器6は、ワーク300のA点およびB点の計測結果を得たとする。この場合、まず、計測器6は、A点の計測結果をバリ取りユニット用コントローラ202に送信する。バリ取りユニット用コントローラ202は、A点における計測器6の計測結果と、ロボット1の先端速度(バリ取りユニット101の移動速度)とに基づいて、バリ取りユニット用コントローラ202を制御し、A点において回転工具5およびワーク300の間が予め定められた距離となるように、単軸アクチュエータ3を制御する。
【0047】
次に、計測器6は、B点の計測結果をバリ取りユニット用コントローラ202に送信する。バリ取りユニット用コントローラ202は、B点における計測器6の計測結果と、ロボット1の先端速度(バリ取りユニット101の移動速度)とに基づいて、バリ取りユニット用コントローラ202を制御し、B点において回転工具5およびワーク300の間が予め定められた距離となるように、単軸アクチュエータ3を制御する。
【0048】
バリ取りユニット101の進行方向440は、ワーク300より離れて行く方向である。そのため、B点での計測結果(B点における計測器6からワーク300までの距離)は、A点での計測結果(A点における計測器6からワーク300までの距離)よりも大きくなる。よって、バリ取りユニット101は、このA点およびB点での計測結果の差異を単軸アクチュエータ3の移動距離にフィードバックする。すなわち、B点における単軸アクチュエータ3の移動距離は、A点における単軸アクチュエータ3の移動距離よりも大きくなる。その結果として、バリ取りユニット101は、バリ取りユニット101が傾いていた場合、またはバリ取りユニット101の進行方向440がワーク300と平行でない場合でも、回転工具5およびワーク300間の距離を常に一定に保ったまま、バリ310の除去を行い得る。
【0049】
図5は、ワークが湾曲している場合のバリ取りユニット101の動作の一例を示す図である。図5に示す例では、図3および図4の例と異なり、ワーク400の面が湾曲している状況を示す。このような場合でも、バリ取りユニット101は、図3を参照して説明された制御によりワーク400のバリ410を除去し得る。バリ取りユニット101の進行方向540は、ワーク400の湾曲していない面(バリ410がついていない面)と平行であるとする。
【0050】
一例として、計測器6は、ワーク400のA点、B点およびC点の計測結果を得たとする。この場合、まず、計測器6は、A点の計測結果をバリ取りユニット用コントローラ202に送信する。バリ取りユニット用コントローラ202は、A点における計測器6の計測結果と、ロボット1の先端速度(バリ取りユニット101の移動速度)とに基づいて、バリ取りユニット用コントローラ202を制御し、A点において回転工具5およびワーク400の間が予め定められた距離となるように、単軸アクチュエータ3を制御する。
【0051】
次に、計測器6は、B点の計測結果をバリ取りユニット用コントローラ202に送信する。バリ取りユニット用コントローラ202は、B点における計測器6の計測結果と、ロボット1の先端速度(バリ取りユニット101の移動速度)とに基づいて、バリ取りユニット用コントローラ202を制御し、B点において回転工具5およびワーク400の間が予め定められた距離となるように、単軸アクチュエータ3を制御する。
【0052】
同様に、計測器6は、C点の計測結果をバリ取りユニット用コントローラ202に送信する。バリ取りユニット用コントローラ202は、C点における計測器6の計測結果と、ロボット1の先端速度(バリ取りユニット101の移動速度)とに基づいて、バリ取りユニット用コントローラ202を制御し、C点において回転工具5およびワーク400の間が予め定められた距離となるように、単軸アクチュエータ3を制御する。
【0053】
ワーク400は湾曲しているため、バリ取りユニット101は、A点およびC点でワーク400から遠ざかり、B点にてワーク400に接近する。そのため、B点での計測結果(B点における計測器6からワーク400までの距離)は、A点およびC点での計測結果(A点およびC点における計測器6からワーク400までの距離)よりも小さくなる。バリ取りユニット101は、この各点での計測結果の差異を単軸アクチュエータ3の移動距離にフィードバックする。すなわち、B点における単軸アクチュエータ3の移動距離は、A点およびC点における単軸アクチュエータ3の移動距離よりも小さくなる。その結果として、バリ取りユニット101は、ワーク400の面が湾曲している場合でも、回転工具5およびワーク400間の距離を常に一定に保ったまま、バリ410の除去を行い得る。
【0054】
図6は、学習時におけるバリ取りユニット601の一例を示す図である。バリ取りユニット601は、バリ取り装置100にバリ取り動作の学習を行わせるための構成である。バリ取りユニット601は、ワークの湾曲または歪み、および本番のバリ取りユニット101の進行方向のずれ等によるバリ取りに対する影響を軽減するための学習データを収集する。学習データの収集後、バリ取り装置100の先端の構成は、バリ取りユニット101に戻される。
【0055】
バリ取りユニット601は、バリ取りユニット101と異なり、計測器6および計測器7を取り付けられている。計測器6は、バリ取りユニット601の進行方向に向けて、ベース取付板2上の回転工具5よりも先行した位置に取り付けられる。計測器7は、バリ取りユニット601の進行方向に向けて、ベース取付板2上の回転工具5と同じ位置に取り付けられる。例えば、計測器7は、拡張部品8を介してベース取付板2に取り付けられる。
【0056】
例えば、バリ取りユニット601の進行方向がワークに沿っていない場合、またはワークが歪んでいたり湾曲していたりする場合、回転工具5に先行する計測器6の計測結果のみで単軸アクチュエータ3を制御すると、バリ取りユニット601の軌道のずれ等により、ワークの加工精度が低下する可能性がある。
【0057】
そこで、バリ取り装置100は、バリ取りユニット601に2つの計測器6,7を取り付けた状態で一通りワークを計測することで、ワークの湾曲またはバリ取りユニット601の軌道のずれ等を学習する。なお、学習の回数は任意の回数であってもよい。学習処理の完了後、バリ取り装置100の先端の構成はバリ取りユニット101に戻される。
【0058】
ある局面において、バリ取りユニット用コントローラ202は、学習データに基づいて、単軸アクチュエータ3の移動量(駆動量)をオフセット(調節)してもよい。他の局面において、ロボット用コントローラ201は、バリ取りユニット用コントローラ202から取得した学習データに基づいて、ロボット1の各軸の移動量(回転量)をオフセット(調節)してもよい。他の局面において、学習処理中のバリ取りユニット601はスピンドル4を備えなくてもよい。
【0059】
<C.バリ取り装置のバリエーション>
次に、図7図12を参照して、バリ取り装置のバリエーションについて説明する。図1のバリ取り装置100の機能と、これ以降に説明する各バリ取り装置の機能とは、適宜組み合わせて使用され得る。
【0060】
図7は、バリ取り装置700の構成の一例を示す図である。バリ取り装置700は、図6に示されたバリ取りユニット601を本番用の構成として備える。バリ取り装置700は、計測器6,7を備えることにより、ワークの加工時(バリの除去時)にも、リアルタイムで2台のレーザ変位計の測定情報の差異に基づいて、ワークに対するユニットの姿勢を考慮して、単軸アクチュエータ3の移動距離を補正し得る。計測器6は、バリ取りユニット601の進行方向に向けて、回転工具5に先行する位置になるように、ベース取付板2に取り付けられる。また、計測器7は、バリ取りユニット701の進行方向に向けて、回転工具5と同じ位置になるように、拡張部品8を介してベース取付板2に取り付けられる。
【0061】
例えば、以下に説明される図8および図9に示される状況等において、バリ取り装置700は、計測器6,7の計測結果の差分に基づいて、単軸アクチュエータ3の移動距離をオフセット(調節)し得る。
【0062】
図8は、バリ取り装置700の動作の第1の例を示す図である。図8に示す例では、バリ取りユニット601の進行方向880は、ワーク300に対して平行になっておらず、ワーク300から離れていく方向になっている。
【0063】
図9は、バリ取り装置700の動作の第2の例を示す図である。図9に示す例では、バリ取りユニット601がワーク300に対して傾いている。
【0064】
上記の図8または図9の状況では、計測器6,7の計測結果には差が生じる。そこで、バリ取り装置700は、計測器6,7の計測結果の差分に基づいて、単軸アクチュエータ3の移動距離をオフセット(調節)する。その結果として、バリ取り装置700は、バリ取りユニット601の進行方向880がワーク300と平行でない場合、またはバリ取りユニット601がワーク300に対して傾いている場合でも、回転工具5およびワーク300間の距離を常に一定に保ったまま、バリ310の除去を行い得る。
【0065】
図10は、バリ取り装置1000の構成の一例を示す図である。バリ取り装置1000は、バリ取り装置100に、バリ取り後の加工状態を測定するための計測器9を追加したものである。計測器6は、バリ取りユニット1001の進行方向に向けて、ベース取付板2上の回転工具5よりも先行した位置に取り付けられる。計測器9は、バリ取りユニット1001の進行方向に向けて、ベース取付板2上の回転工具5よりも遅れた位置に取り付けられる。例えば、計測器9は、拡張部品10を介してベース取付板2に取り付けられる。
【0066】
バリ取り装置1000は、バリ取り装置100と同様に、計測器6の計測結果に基づいて、単軸アクチュエータ3を制御する。計測器9は、回転工具5がバリ取り加工を行った後のワークまでの距離を測定する。バリ取りユニット用コントローラ202は、計測器9から取得した計測結果に基づいて、バリ取り結果の合否判定を行う。バリ取り装置1000は、バリ取り結果が不合格であった場合、再度バリ取り処理を実行してもよいし、ワークを不良品に分別してもよい。
【0067】
図11は、バリ取り装置1100の構成の一例を示す図である。バリ取り装置1100は、バリ取り装置100に、計測器6の代わりに、ワークに接触するローラ11および力覚センサ12を取り付けたものである。
【0068】
バリ取り装置1100は、バリ取りユニット1101を備える。バリ取りユニット1101は、ベース取付板2と、単軸アクチュエータ3と、スピンドル4と、回転工具5と、取付板13と、力覚センサ12と、ローラ11と、ローラ取付部品14とを備える。
【0069】
取付板13は、スピンドル4に取り付けられている。また、力覚センサ12は、取付板13に取り付けられており、ローラ11は、ローラ取付部品14を介して力覚センサ12に取り付けられている。ローラ11および力覚センサ12は、バリ取りユニット1101の進行方向に向けて、回転工具5とほぼ同じ位置または少し先行する位置に配置される。また、ローラ11は、ローラ11の回転方向がバリ取りユニット1101の進行方向とほぼ一致するように構成される。
【0070】
バリ取り装置1100は、ローラ11をワークに押し当てながら移動する。ローラ11はワークの表面を転がる。力覚センサ12は、ローラ11を介してワークから受ける反発力を計測する。バリ取りユニット用コントローラ202は、力覚センサ12から取得した計測結果に基づいて、ワークから受ける反発力が一定値範囲になるよう、単軸アクチュエータ3の移動量(駆動量)を調節する。これにより、バリ取り装置1100は、バリ取りユニット1101の一回の移動中に、ワークから受ける反発力の計測、およびワークのバリ取り加工の両方を行い得る。
【0071】
なお、垂直多関節ロボットは、各関節のモータにかかる負荷に基づいて、各モータをトルク制御することができる。しかしながら、バリ取りユニット1101の重量が大きくなると、回転工具5をワークにある程度強く押し当てなければ、ロボット1の各モータにかかる負荷(ワークから受ける反発力)を検知できない。
【0072】
そこで、バリ取り装置1100は、力覚センサ12にかかる微少な反発力に基づいて、単軸アクチュエータ3の駆動量を調節することで、柔軟物からなるワークのバリのみを除去し得る。
【0073】
ある局面において、バリ取りユニット用コントローラ202は、ロボット用コントローラ201から受信したバリ取りの実行タイミングの情報に基づいて、バリ取りを実行する区間においてのみ、力覚センサ12を用いた単軸アクチュエータ3の駆動量の調節を行なってもよい。
【0074】
他の局面において、バリ取り装置1100は、力覚センサ12の出力値のゲイン等のパラメータの設定、力覚センサ12が検知する反発力が0の場合にどの程度の速度で単軸アクチュエータ3をワークに近づけるかの設定等をバリ取りユニット用コントローラ202の制御パラメータとして保持していてもよい。また、これらの制御パラメータは適宜外部から変更可能であってもよい。
【0075】
また、他の局面において、バリ取り装置1100は、ワークに対してローラ11をゆっくり押し込んだ際の力覚センサ12の出力結果を取得し、当該出力結果に基づいて制御パラメータを自動生成してもよい。また、バリ取り装置1100は、ユーザが手動でバリ取りユニット用コントローラ202に設定したパラメータと、力覚センサ12の出力結果の両方に基づいて、制御パラメータを調節してもよい。
【0076】
図12は、バリ取り装置1200の構成の一例を示す図である。バリ取り装置1200は、バリ取り装置100に、計測器6の代わりに、ワークに接触するローラ11、力覚センサ12、バネ15を取り付けたものである。
【0077】
バリ取り装置1200は、バリ取りユニット1201を備える。バリ取りユニット1201は、ベース取付板2と、単軸アクチュエータ3と、スピンドル4と、回転工具5と、取付板13と、力覚センサ12と、ローラ11と、ローラ取付部品14と、バネ15とを備える。さらに、バリ取りユニット1201は、ダンパー16を備えていてもよい。
【0078】
一例として、取付板13は、バネ15を介してロボット1と接続される。他の例として、取付板13は、バネを介して、ロボット1の先端に固定されたバリ取りユニット1201の一部と接続される。ローラ11がワークに押付けられることでバネ15は縮む。すなわち、バリ取りユニット1201がワークから受ける力の一部をバネ15が吸収する。その結果、バリ取り装置1200における力覚センサ12の信号の変化は、バネ15がない構成(バリ取り装置1100の構成)における力覚センサ12の信号の変化と比較して緩やかになる。また、力覚センサ12の信号の変化が緩やかになるため、バリ取り装置1200における力覚センサ12の計測値に基づく単軸アクチュエータ3のフィードバック制御も緩やかになる。ある局面において、取付板13がバネ15が縮む向きに直線的に動くように、バリ取りユニット1201は、シャフト等のガイドを備えていてもよい。一例として、バネ15がコイルバネの場合、ガイドは、バネ15の内側に配置されてもよい。
【0079】
上記のように、バリ取り装置1200はバネ15を備えることで、単軸アクチュエータ3のフィードバック制御に求められる要求精度(即応性能)を下げることができる。その結果、バリ取りユニット用コントローラ202は、より短時間で単軸アクチュエータ3のフィードバック制御を行うことができる。単軸アクチュエータ3のフィードバック制御に必要な時間が短縮されるため、バリ取り装置1200は、より高速にロボット1を動作させてバリ取り作業を行い得る。
【0080】
また、バリ取りユニット1201は、バネ15の振動を防止するために、ダンパー16を備えていてもよい。バリ取りユニット1201は、ダンパー16を備えることにより、ローラ11がワークから離れたときのバネ15の振動を防止または抑制し得る。ダンパー16は、バネ15の振動を抑制し得る任意の位置に配置される。例えば、ダンパー16は、バネ15と平行に配置されてもよい。なお、ローラ11がワークから離れたときのバネ15の振動が小さい場合、バリ取りユニット1201は、ダンパー16を備えていなくてもよい。
【0081】
以上説明したように、本実施の形態に従うバリ取り装置は、バリ取りユニットの進行方向に向けて、バリ取り用の工具に先行してワークまたはバリの情報を取得する計測機器(レーザ変位計、力覚センサ等)を備える。これにより、バリ取り装置は、バリ取りユニットを一回移動させるだけで、ワークまでの距離またはバリの形状の測定と、バリ取り用の工具の位置の調節と、バリ取り加工とを完了することができる。
【0082】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内で全ての変更が含まれることが意図される。また、実施の形態および各変形例において説明された開示内容は、可能な限り、単独でも、組合わせても、実施することが意図される。
【符号の説明】
【0083】
1 ロボット、2 ベース取付板、3 単軸アクチュエータ、4 スピンドル、5 回転工具、6,7,9 計測器、8,10 拡張部品、11 ローラ、12 力覚センサ、13 取付板、14 ローラ取付部品、15 バネ、16 ダンパー、100,700,1000,1100,1200 バリ取り装置、101,601,701,1001,1101,1201 バリ取りユニット、201 ロボット用コントローラ、202 バリ取りユニット用コントローラ、300,400 ワーク、310,410 バリ、330,340,440,540,880 進行方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12