(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】バッテリパックの充電可能範囲提供機能を有するパワーバンク及びこれを備えるバッテリパック充電システムとその方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20241125BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20241125BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20241125BHJP
【FI】
H02J7/00 V
H02J7/00 X
H02J7/00 303C
H01M10/48 P
H01M10/44 Q
(21)【出願番号】P 2023535776
(86)(22)【出願日】2022-10-26
(86)【国際出願番号】 KR2022016501
(87)【国際公開番号】W WO2023075427
(87)【国際公開日】2023-05-04
【審査請求日】2023-06-12
(31)【優先権主張番号】10-2021-0145885
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】キ・フン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・スク・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヒョ・ソン・アン
【審査官】新田 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-168045(JP,A)
【文献】国際公開第2019/240245(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H01M 10/48
H01M 10/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワーバンク及び前記パワーバンクから充電電力が入力されて充電されるバッテリパックを備えるバッテリパック充電システムにおいて、
前記パワーバンク及び前記バッテリパックは、相互間のデータ通信のための通信部をそれぞれ備え、
前記パワーバンクのバッテリ管理システム(Battery Management System;BMS)は、
前記バッテリパックとの通信接続を通じて前記バッテリパックの測定容量情報を受信し、前記受信されたバッテリパックの測定容量情報とパワーバンクの残存容量に基づいて、
前記パワーバンクが前記バッテリパックのバッファ容量のうち何%まで充電可能であるのかを示す充電可
能容量(%)を提供することを特徴とする、バッテリパック充電システム。
【請求項2】
前記バッテリパックは、
前記パワーバンクと有線または無線により通信接続する第1の通信部と、
前記バッテリパックの開回路電圧(OCV:Open Voltage Circuit)値を測定し、測定されたOCV値を用いて測定容量を算出する容量情報算出部と、
前記容量情報算出部において算出されたバッテリパックの測定容量及び記憶部の容量及びSOCテーブルを前記第1の通信部を介してパワーバンクに伝送する情報送信部と、
OCVごとの容量と、充電状態(SOC:State Of Charge)(%)とが記録された容量及びSOCテーブルを記憶する記憶部と、
を備えることを特徴とする、請求項1に記載のバッテリパック充電システム。
【請求項3】
前記パワーバンクは、
前記バッテリパックと有線または無線により通信接続する第2の通信部と、
前記パワーバンクの残存容量を算出する残存容量算出部と、
前記第2の通信部を介して前記バッテリパックから前記バッテリパックの測定容量情報と、容量及びSOCテーブルとを受信する情報受信部と、
前記情報受信部において受信したバッテリパックの測定容量
及び前記残存容量算出部において算出されたパワーバンクの残存容
量の合計容量
と、バッテリパックのバッファ容量と
の比較結果に基づいて、前記バッテリパックの充電可能な範囲を判断する充電可能範囲判断部と、
前記充電可能範囲判断部において判断されたバッテリパックの充電可能な範囲を外部に表示する表示部と、
を備えることを特徴とする、請求項1に記載のバッテリパック充電システム。
【請求項4】
前記充電可能範囲判断部は、
前記情報受信部において受信したバッテリパックの測定容量と前記残存容量算出部において算出されたパワーバンクの残存容量との合計容量を、バッテリパックのバッファ容量と比較する容量比較部と、
前記容量比較部における比較結果に基づいて、パワーバンクの電力でのバッテリパックの充電可能容量(%)を導き出す充電可能容量導出部と、
を備えることを特徴とする、請求項3に記載のバッテリパック充電システム。
【請求項5】
前記充電可能容量導出部は、
前記容量比較部における比較の結果、前記合計容量がバッテリパックのバッファ容量以上である場合、バッテリパックの充電可能容量を100%として導き出すことを特徴とする、請求項4に記載のバッテリパック充電システム。
【請求項6】
前記充電可能容量導出部は、
前記容量比較部における比較の結果、前記合計容量がバッテリパックのバッファ容量未満である場合、前記バッテリパックから取得した容量及びSOCテーブルから前記合計容量に対応するSOC値を取り出して、前記取り出されたSOC値(%)をバッテリパックの充電可能容量として導き出すことを特徴とする、請求項4に記載のバッテリパック充電システム。
【請求項7】
パワーバンクと前記パワーバンクから充電電力が入力されて充電されるバッテリパックとの間に相互間のデータ通信を接続する通信接続ステップと、
前記パワーバンクにおいて、前記通信接続ステップにおいて通信接続された前記バッテリパックから開回路電圧(OCV:Open Circuit Voltage)ごとの容量とSOC(%)とが記録された容量及びSOCテーブルを取得する容量及びSOCテーブル取得ステップと、
前記パワーバンクにおいて、前記通信接続ステップにおいて通信接続されたバッテリパックからバッテリパックのOCV測定値に基づく測定容量を受信する測定容量情報受信ステップと、
前記パワーバンクにおいて、パワーバンクの残存容量を計算する残存容量情報計算ステップと、
前記パワーバンクにおいて、前記計算されたパワーバンクの残存容量
及び前記バッテリパックから受信したバッテリパックの測定容
量の合計容量
と、バッテリパックのバッファ容量と
の比較結果に基づいて、バッテリパックの充電可能な範囲を判断する充電可能範囲判断ステップと、
前記パワーバンクにおいて、前記判断されたバッテリパックの充電可能な範囲(%)を外部ディスプレイに表示する情報表示ステップと、
を含むことを特徴とする、バッテリパック充電方法。
【請求項8】
前記充電可能範囲判断ステップは、
前記残存容量情報計算ステップにおいて計算されたパワーバンクの残存容量と前記測定容量情報受信ステップにおいて受信したバッテリパックの測定容量との合計容量を、バッテリパックのバッファ容量と比較する容量比較ステップと、
前記容量比較ステップにおける比較結果に基づいて、バッテリパックの充電可能容量を導き出す充電可能容量導出ステップと、
を含むことを特徴とする、請求項7に記載のバッテリパック充電方法。
【請求項9】
前記充電可能容量導出ステップは、
前記容量比較ステップにおける比較の結果、前記パワーバンクの残存容量と前記バッテリパックの測定容量との合計容量がバッテリパックのバッファ容量以上であれば、バッテリパックの充電可能容量を100%として導き出すことを特徴とする、請求項8に記載のバッテリパック充電方法。
【請求項10】
前記充電可能容量導出ステップは、
前記容量比較ステップにおける比較の結果、前記パワーバンクの残存容量と前記バッテリパックの測定容量との合計容量がバッテリパックのバッファ容量未満であれば、前記バッテリパックから取得したOCVごとの容量とSOC(%)とが記録された容量及びSOCテーブルから前記合計容量に対応するSOC値を取り出して、前記取り出されたSOC値(%)をバッテリパックの充電可能容量として導き出すことを特徴とする、請求項8に記載のバッテリパック充電方法。
【請求項11】
パワーバンクバッテリと、
充電しようとする充電対象のバッテリパックと有線または無線により通信接続する通信部と、
前記パワーバンクバッテリの残存容量を算出する残存容量算出部と、
前記通信部を介して充電対象のバッテリパックから前記充電対象のバッテリパックの測定容量情報と、容量及びSOCテーブルとを受信する情報受信部と、
前記情報受信部において受信した充電対象のバッテリパックの測定容量
及び前記残存容量算出部において算出されたパワーバンクの残存容
量の合計容量
と、充電対象のバッテリパックのバッファ容量と
の比較結果に基づいて、前記充電対象のバッテリパックの充電可能な範囲を判断する充電可能範囲判断部と、
前記充電可能範囲判断部において判断された充電対象のバッテリパックの充電可能な範囲を外部に表示する表示部と、
を備えることを特徴とする、パワーバンク。
【請求項12】
前記充電可能範囲判断部は、
前記情報受信部において受信した充電対象のバッテリパックの測定容量と前記残存容量算出部において算出されたパワーバンクバッテリの残存容量との合計容量を、充電対象のバッテリパックのバッファ容量と比較する容量比較部と、
前記容量比較部における比較結果に基づいて、パワーバンクの電力での充電対象のバッテリパックの充電可能容量(%)を導き出す充電可能容量導出部と、
を備えることを特徴とする、請求項11に記載のパワーバンク。
【請求項13】
前記充電可能容量導出部は、
前記容量比較部における比較の結果、前記合計容量が充電対象のバッテリパックのバッファ容量以上である場合、バッテリパックの充電可能容量を100%として導き出し、
前記容量比較部における比較の結果、前記合計容量が充電対象のバッテリパックのバッファ容量未満である場合、前記充電対象のバッテリパックから取得した容量及びSOCテーブルから前記合計容量に対応するSOC値を取り出して、前記取り出されたSOC値(%)を充電対象のバッテリパックの充電可能容量として導き出すことを特徴とする、請求項12に記載のパワーバンク。
【請求項14】
前記表示部は、
前記取り出されたSOC値(%)の数字を表示することを特徴とする、請求項13に記載のパワーバンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<001>
本発明は、バッテリパック充電システム及びその方法に係り、さらに詳しくは、バッテリパックの充電可能範囲提供機能を有するパワーバンクとこれを備えるバッテリパック充電システム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
<002>
最近、キャンプを楽しむ人口の急増には目を見張るものがあり、これに伴い、電気コンセントが利用不可な野外環境において電子機器を用いるために、パワーバンクの需要が増加している。なお、携帯電話、ノートパソコンなどを網羅する多種多様な電子機器を充電しながら使用するために、補助バッテリが多用されている。
【0003】
<003>
野外環境において、電子機器のバッテリの使い切りに起因していきなり使えなくなるという状況が起こることを防ぐために、パワーバンクまたは補助バッテリが充電対象物である電子機器をどれほど充電できるかを予測しながら用いることが重要である。
【0004】
<004>
しかしながら、現在のところ、ほとんどのパワーバンクと補助バッテリの場合、外部発光ダイオード(LED)を介してパワーバンクまたは補助バッテリの残存容量情報のみを提供していることに留まっており、現在のパワーバンクまたは補助バッテリの電力にて充電対象物(電子機器)をどのような範囲まで充電できるかに関する情報は提供できていないのが実情であった。これにより、ユーザーは、充電対象物の充電可能な容量に関する正確な情報は知っていないままで、経験的に得た大まかな情報(LED)に依存してパワーバンクと補助バッテリを用いており、それに伴う使用過程において不便さと不安が伴われるという不都合が生じる。
【0005】
<005>
このような従来の技術としては、下記に掲げるような特許文献が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
<007>
本発明は、上述した不都合を解消するために案出されたものであって、パワーバンク(補助バッテリ)と充電対象物との間の通信を通じて容量情報を確認した後、パワーバンク(補助バッテリ)の残存容量と充電対象物の現在の容量に基づいて、充電対象物をどのような範囲まで充電できるかに関する情報をパワーバンク(補助バッテリ)の外部ディスプレイを介して提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
<008>
本発明は、パワーバンク及びパワーバンクから充電電力が入力されて充電されるバッテリパックを備えるバッテリパック充電システムを提供するが、前記パワーバンク及びバッテリパックは、相互間のデータ通信のための通信部をそれぞれ備え、前記パワーバンクのバッテリ管理システム(Battery Management System;BMS)は、前記バッテリパックとの通信接続を通じて前記バッテリパックの測定容量情報を受信し、前記受信されたバッテリパックの測定容量情報とパワーバンクの残存容量に基づいて、前記バッテリパックの充電可能な容量情報(%)を提供することを特徴とする。
【0009】
<009>
このとき、前記バッテリパックは、パワーバンクと有線または無線により通信接続する第1の通信部と、バッテリパックの開回路電圧(OCV:Open Voltage Circuit)値を測定し、測定されたOCV値を用いて測定容量を算出する容量情報算出部と、前記容量情報算出部において算出されたバッテリパックの測定容量及び記憶部の容量及びSOCテーブルを前記第1の通信部を介してパワーバンクに伝送する情報送信部と、OCVごとの容量と、充電状態(SOC:State Of Charge)(%)とが記録された容量及びSOCテーブルを記憶する記憶部と、を備えてなり得る。
【0010】
<010>
また、前記パワーバンクは、バッテリパックと有線または無線により通信接続する第2の通信部と、パワーバンクの残存容量を算出する残存容量算出部と、前記第2の通信部を介してバッテリパックから前記バッテリパックの測定容量情報と、容量及びSOCテーブルとを受信する情報受信部と、前記情報受信部において受信したバッテリパックの測定容量と前記残存容量算出部において算出されたパワーバンクの残存容量との合計容量を、バッテリパックのバッファ容量と比較して、その比較結果に基づいて、前記バッテリパックの充電可能な範囲を判断する充電可能範囲判断部と、前記充電可能範囲判断部において判断されたバッテリパックの充電可能な範囲を外部に表示する表示部と、を備えてなり得る。
【0011】
<011>
このとき、前記充電可能範囲判断部は、前記情報受信部において受信したバッテリパックの測定容量と前記残存容量算出部において算出されたパワーバンクの残存容量との合計容量を、バッテリパックのバッファ容量と比較する容量比較部と、前記容量比較部における比較結果に基づいて、パワーバンクの電力でのバッテリパックの充電可能容量(%)を導き出す充電可能容量導出部と、を備えてなり得る。
【0012】
<012>
前記充電可能容量導出部は、前記容量比較部における比較の結果、前記合計容量がバッテリパックのバッファ容量以上である場合、バッテリパックの充電可能容量を100%として導き出し、前記容量比較部における比較の結果、前記合計容量がバッテリパックのバッファ容量未満である場合、前記バッテリパックから取得した容量及びSOCテーブルから前記合計容量に対応するSOC値を取り出して、前記取り出されたSOC値(%)をバッテリパックの充電可能容量として導き出すことを特徴とする。
【0013】
<013>
また、本発明は、パワーバンクと前記パワーバンクから充電電力が入力されて充電されるバッテリパックとの間に相互間のデータ通信を接続する通信接続ステップと、パワーバンクにおいて、前記通信接続ステップにおいて通信接続されたバッテリパックからOCV(Open Circuit Voltage)ごとの容量とSOC(%)とが記録された容量及びSOCテーブルを取得する容量及びSOCテーブル取得ステップと、パワーバンクにおいて、前記通信接続ステップにおいて通信接続されたバッテリパックからバッテリパックのOCV測定値に基づく測定容量を受信する測定容量情報受信ステップと、パワーバンクにおいて、パワーバンクの残存容量を計算する残存容量情報計算ステップと、パワーバンクにおいて、前記計算されたパワーバンクの残存容量と前記バッテリパックから受信したバッテリパックの測定容量との合計容量を、バッテリパックのバッファ容量と比較して、その比較結果に基づいて、バッテリパックの充電可能な範囲を判断する充電可能範囲判断ステップと、パワーバンクにおいて、前記判断されたバッテリパックの充電可能な範囲(%)を外部ディスプレイに表示する情報表示ステップと、を含むバッテリパック充電方法を提供する。
【0014】
<014>
このとき、前記充電可能範囲判断ステップは、前記残存容量情報計算ステップにおいて計算されたパワーバンクの残存容量と前記測定容量情報受信ステップにおいて受信したバッテリパックの測定容量との合計容量を、バッテリパックのバッファ容量と比較する容量比較ステップと、前記容量比較ステップにおける比較結果に基づいて、バッテリパックの充電可能容量を導き出す充電可能容量導出ステップと、を含んでなり得る。
【0015】
<015>
このとき、前記充電可能容量導出ステップは、前記容量比較ステップにおける比較の結果、前記パワーバンクの残存容量と前記バッテリパックの測定容量との合計容量がバッテリパックのバッファ容量以上であれば、バッテリパックの充電可能容量を100%として導き出し、前記容量比較ステップにおける比較の結果、前記パワーバンクの残存容量と前記バッテリパックの測定容量との合計容量がバッテリパックのバッファ容量未満であれば、前記バッテリパックから取得したOCVごとの容量とSOC(%)とが記録された容量及びSOCテーブルから前記合計容量に対応するSOC値を取り出して、前記取り出されたSOC値(%)をバッテリパックの充電可能容量として導き出す。
【発明の効果】
【0016】
<016>
本発明は、パワーバンク(補助バッテリ)と充電対象物(バッテリパック)との間の通信を通じて容量情報を確認した後、パワーバンクの残存容量を基準として充電対象物の充電可能な容量情報をパワーバンクの外部ディスプレイに提供することにより、ユーザーの使い勝手の良さを高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
<017>
【
図1】本発明に係るパワーバンクを備えるバッテリパック充電システムを示す図である。<018>
【
図2】本発明に係る容量及びSOCテーブルの例を示す図である。<019>
【
図3】本発明に係るパワーバンクを備えるバッテリパック充電方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<020>
以下では、添付図面に基づいて、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施形態について詳しく説明する。しかしながら、本発明は、種々の異なる形態に具体化可能であり、ここで説明する実施形態に何ら限定されるものではない。なお、図中、本発明を明確に説明するために、説明とは無関係な部分は省略し、明細書の全般に亘って、類似の部分には類似の図面符号を付している。
【0019】
<021>
以下、添付図面に基づいて、本発明について詳しく説明する。
【0020】
<022>
1.本発明に係るバッテリパック充電システム
【0021】
<023>
図1は、本発明に係る充電可能容量提供機能を有するパワーバンク及びこれを備えるバッテリパック充電システムを概略的に示す図である。
【0022】
<024>
図1を参照すると、本発明のバッテリパック充電システムは、パワーバンク200及びパワーバンク200から充電電力が入力されて充電されるバッテリパック100を備える。
【0023】
<025>
1.1.バッテリパック100
【0024】
<026>
バッテリパック100は、充電端子(図示せず)を介してパワーバンク200から充電電力が入力されて充電され、バッテリパック100が装着されている電子機器(例えば、携帯電話、ノートパソコンなど)のための電源駆動源として機能する構成要素である。
【0025】
<027>
本発明のバッテリパック100は、下記のような細部的な構成要素を備えていてもよい。
【0026】
<028>
1.1.1.第1の通信部110
【0027】
<029>
第1の通信部110は、パワーバンク200との相互間のデータ通信のための構成要素である。より具体的には、後述するパワーバンク200の第2の通信部210と通信接続される。データ通信を接続することは、有線または無線の接続方式により行われ得る。
【0028】
<030>
1.1.2.容量情報算出部120
【0029】
<031>
容量情報算出部120は、バッテリパック100の開回路電圧(OCV:Open Circuit Voltage)値を測定し、測定されたOCV値を用いて測定容量(Capacity)を算出する。
【0030】
<032>
OCV測定値に基づく測定容量を算出することは、公知の技術を用いて行う。
【0031】
<033>
1.1.3.情報送信部130
【0032】
<034>
情報送信部130は、前記容量情報算出部120において算出されたバッテリパック100の測定容量と、後述する記憶部140に記憶された容量及びSOCテーブルとを前記第1の通信部110を介してパワーバンク200に伝送する構成要素である。
【0033】
<035>
1.1.4.記憶部140
【0034】
<036>
記憶部140は、実験を通じて予め設けられたOCV(Open Voltage Circuit)ごとの容量(Capacity)及びそれに対応するSOC(State Of Charge)(%)が記録された容量及びSOCテーブルを記憶する構成要素である。
【0035】
<037>
前記容量及びSOCテーブルは、例えば、
図2に示すような表形式のものであり得る。
【0036】
<038>
1.2.パワーバンクまたは補助バッテリ200
【0037】
<039>
パワーバンクまたは補助バッテリ200は、内部に配備されたバッテリ(図示せず)に蓄えられた電力を、接続される電子機器(例えば、携帯電話、ノートパソコンなど)に内蔵されたバッテリパック100に印加して充電する装置である。
【0038】
<040>
本発明のパワーバンク200は、バッテリパック100との通信接続を通じてバッテリパック100の容量情報を受信し、前記受信されたバッテリパック100の容量情報と自分の残存容量に基づいて、バッテリパック100の充電可能な容量情報を提供するように構成される。
【0039】
<041>
このようなパワーバンク200は、パワーバンクバッテリを備え、下記のような細部的な構成要素をさらに備えてなり得る。
【0040】
<042>
1.2.1.第2の通信部210
【0041】
<043>
第2の通信部210は、充電しようとする充電対象のバッテリパック100との相互間のデータ通信のための構成要素である。より具体的には、前述したバッテリパック100の第1の通信部110と通信接続される。データ通信を接続することは、有線または無線の接続方式により行われ得る。
【0042】
<044>
1.2.2.残存容量算出部220
【0043】
<045>
残存容量算出部220は、パワーバンク200の残存容量、具体的には、パワーバンク200に内蔵されたパワーバンクバッテリ(図示せず)の残存容量(Capacity)を算出する構成要素である。
【0044】
<046>
残存容量を算出することは、公知の技術を用いて行う。
【0045】
<047>
1.2.3.情報受信部230
【0046】
<048>
情報受信部230は、前記第2の通信部210を介してバッテリパック100からバッテリパック100の測定容量情報と、容量及びSOCテーブルとを受信する構成要素である。
【0047】
<049>
1.2.4.充電可能範囲判断部240
【0048】
<050>
充電可能範囲判断部240は、前記情報受信部230において受信したバッテリパック100の測定容量と前記残存容量算出部220において算出されたパワーバンク200の残存容量との合計容量を、バッテリパック100のバッファ容量と比較して、その比較結果に基づいて、パワーバンク200の電力でのバッテリパック100の充電可能な範囲を判断する構成要素である。
【0049】
<051>
このような充電可能範囲判断部240は、下記のような細部的な構成要素を備えてなり得る。
【0050】
<052>
ア.容量比較部242
【0051】
<053>
容量比較部242は、前記情報受信部230において受信したバッテリパック100の測定容量と前記残存容量算出部220において算出されたパワーバンク200の残存容量との合計容量を、バッテリパック100のバッファ容量と比較する構成要素である。
【0052】
<054>
イ.充電可能容量導出部244
【0053】
<055>
充電可能容量導出部244は、前記容量比較部242における比較結果に基づいて、パワーバンク200の電力でのバッテリパック100の充電可能容量を導き出す構成要素である。
【0054】
<056>
具体的に、前記比較の結果、前記合計容量がバッテリパック100のバッファ容量以上である場合、バッテリパック100の充電可能容量を100%として導き出すことができる。
【0055】
<057>
一方、前記比較の結果、前記合計容量がバッテリパック100のバッファ容量未満である場合、前記バッテリパック100からのOCVごとの容量とSOC(%)とが記録された容量及びSOCテーブルから前記合計容量に対応するSOC値を取り出して、前記取り出されたSOC値(%)をバッテリパック100の充電可能容量として導き出すことができる。
【0056】
<058>
例えば、
図2の表を参照して説明すると、バッテリパック100の測定容量(Capacity)が6Ahであり、パワーバンク200の測定容量が3Ahであれば、バッテリパックの容量とパワーバンクの容量との合計容量は9Ahである。この場合、前記合計容量は、バッテリパックのバッファ容量(10Ah)未満であるため、
図2の表のような容量及びSOCテーブルから9Ahに対応するSOC値である90%を導き出し、これをバッテリパック100の充電可能容量として導き出すのである。
【0057】
<059>
1.2.5.表示部250
【0058】
<060>
表示部250は、前記充電可能範囲判断部240において判断されたバッテリパック100の充電可能な範囲をユーザーが確認できるように表示する構成要素である。
【0059】
<061>
より具体的に、前記充電可能範囲判断部240の充電可能容量導出部244において導き出された充電可能容量が90%である場合、これを外部に表示するのである。このような本発明の表示部は、パワーバンクの残存容量を表示する第1の表示部と、充電しようとする充電対象物、すなわち、バッテリパック100を何%まで充電可能であるかを数字で表示する第2の表示部と、を備えていてもよい。
【0060】
<062>
このようなパワーバンク200の構成要素は、パワーバンク200のバッテリ管理システム(Battery Management System;BMS)内に実装され得る。
【0061】
<063>
2.本発明に係るバッテリパック充電方法
【0062】
<064>
図3は、本発明に係るバッテリパックの充電可能範囲提供機能を有するパワーバンクのバッテリパック充電方法を示す図である。
【0063】
<065>
図3を参照すると、本発明の方法は、下記のようなステップを含んでなり得る。
【0064】
<066>
2.1.通信接続ステップ(S100)
【0065】
<067>
通信接続ステップ(S100)は、パワーバンクまたは補助バッテリ200と前記パワーバンク200から充電電力が入力されて充電されるバッテリパック100との間に相互間のデータ通信を接続するステップである。
【0066】
<068>
データ通信を接続することは、有線または無線の接続方式により行われ得る。
【0067】
<069>
2.2.容量及びSOCテーブル取得ステップ(S200)
【0068】
<070>
容量及びSOCテーブル取得ステップ(S200)は、パワーバンク200において、前記通信接続ステップ(S100)において通信接続されたバッテリパック100からOCVごとの容量(Capacity)及びSOC(%)が記録された容量及びSOCテーブルを取得するステップである。
【0069】
<071>
ここで、前記容量及びSOCテーブルは、例えば、
図2に示すような表形式のものであり得る。
【0070】
<072>
2.3.測定容量情報受信ステップ(S300)
【0071】
<073>
測定容量情報受信ステップ(S300)は、パワーバンク200において、前記通信接続されたバッテリパック100からOCV測定値に基づく測定容量の情報を受信するステップである。
【0072】
<074>
ここで、バッテリパック100において測定容量(Capacity)を算出することは、バッテリパック100のOCV(Open Voltage Circuit)値を測定し、測定されたOCV値を用いて測定容量(Capacity)を算出することにより行われる。
【0073】
<075>
OCV測定値に基づく測定容量を算出することは、公知の技術を用いて行う。
【0074】
<076>
2.4.残存容量情報計算ステップ(S400)
【0075】
<077>
残存容量情報計算ステップ(S400)は、パワーバンク200の残存容量(Capacity)を測定/計算するステップである。より具体的には、パワーバンク200に内蔵されたバッテリ(図示せず)の残存容量(Capacity)を算出することである。
【0076】
<078>
残存容量を算出することは、公知の技術を用いて行う。
【0077】
<079>
2.5.充電可能範囲判断ステップ(S500)
【0078】
<080>
充電可能範囲判断ステップ(S500)は、パワーバンク200において、前記計算されたパワーバンク200の残存容量と前記バッテリパック100から受信した測定容量との合計容量を、バッテリパック100のバッファ容量と比較して、その比較結果に基づいて、パワーバンク200の電力でのバッテリパック100の充電可能な範囲を判断するステップである。
【0079】
<081>
このような充電可能範囲判断ステップ(S500)は、下記のような細部的なステップを含んでなり得る。
【0080】
<082>
2.5.1.容量比較ステップ(S510)
【0081】
<083>
容量比較ステップ(S510)は、前記残存容量情報計算ステップ(S400)において計算されたパワーバンク200の残存容量と前記測定容量情報受信ステップ(S300)において受信したバッテリパック100の測定容量との合計容量を、バッテリパック100のバッファ容量と比較するステップである。
【0082】
<084>
2.5.2.充電可能容量導出ステップ(S520)
【0083】
<085>
充電可能容量導出ステップ(S520)は、前記容量比較ステップ(S510)における比較結果に基づいて、パワーバンク200の電力でのバッテリパック100の充電可能容量を導き出す。
【0084】
<086>
具体的に、前記容量比較ステップ(S510)における比較の結果、前記パワーバンク200の残存容量と前記バッテリパック100の測定容量との合計容量がバッテリパック100のバッファ容量以上であれば、バッテリパック100の充電可能容量を100%として導き出すことができる。
【0085】
<087>
一方、前記容量比較ステップ(S510)における比較の結果、前記パワーバンク200の残存容量と前記バッテリパック100の測定容量との合計容量がバッテリパック100のバッファ容量未満であれば、前記バッテリパック100から受信したOCVごとの容量とSOC(%)とが記録された容量及びSOCテーブルから前記合計容量に対応するSOC値を取り出して、前記取り出されたSOC値(%)をバッテリパック100の充電可能容量として導き出すことができる。
【0086】
<088>
例えば、
図2の表を参照して説明すると、バッテリパック100の測定容量(Capacity)が6Ahであり、パワーバンク200の測定容量が3Ahであれば、バッテリパックの容量とパワーバンクの容量との合計容量は9Ahである。この場合、前記合計容量は、バッテリパックのバッファ容量(10Ah)未満であるため、
図2の表のような容量及びSOCテーブルから9Ahに対応するSOC値である90%を導き出し、これをバッテリパック100の充電可能容量として導き出すのである。
【0087】
<089>
2.6.情報表示ステップ(S600)
【0088】
<090>
情報表示ステップ(S600)は、前記充電可能範囲判断ステップ(S500)の充電可能容量導出ステップ(S520)において導き出された充電可能容量値(%)をパワーバンク200に配備された外部ディスプレイ250に表示するステップである。
【0089】
<091>
このように、パワーバンク(補助バッテリ)と充電対象物(電子機器)に内蔵されたバッテリパックとの間の通信を通じて、パワーバンクの残存容量とバッテリパックの測定容量に基づいて、バッテリパックをどのような範囲まで充電できるかに関する情報を表示してユーザーに提供することにより、ユーザーの使い勝手の良さと使用上の満足感を増大させることができる。
【0090】
<092>
一方、本発明の技術的思想は、前記実施形態に基づいて具体的に記述されたが、前記実施形態はその説明のためのものであり、その制限のためのものではないということに留意すべきである。なお、本発明の技術分野における当業者であれば、本発明の技術思想の範囲内において種々の実施形態が実施可能であるということが理解できる筈である。
【0091】
<093>
本発明に用いられた図面の符号は、下記の通りある。
【符号の説明】
【0092】
100:バッテリパック
110:第1の通信部
120:容量情報算出部
130:情報送信部
140:記憶部
200:パワーバンク(補助バッテリ)
210:第2の通信部
220:残存容量算出部
230:情報受信部
240:充電可能範囲判断部
242:容量比較部
244:充電可能容量導出部
250:表示部