(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】光接続構造
(51)【国際特許分類】
G02B 6/30 20060101AFI20241125BHJP
G02B 6/32 20060101ALI20241125BHJP
G02B 6/42 20060101ALI20241125BHJP
【FI】
G02B6/30
G02B6/32
G02B6/42
(21)【出願番号】P 2023548120
(86)(22)【出願日】2022-04-15
(86)【国際出願番号】 JP2022017941
(87)【国際公開番号】W WO2023042471
(87)【国際公開日】2023-03-23
【審査請求日】2023-11-17
(31)【優先権主張番号】P 2021149053
(32)【優先日】2021-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 真幸
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0266261(US,A1)
【文献】特開2015-102575(JP,A)
【文献】特表2014-517355(JP,A)
【文献】特開2019-133032(JP,A)
【文献】特開2008-089879(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0246004(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0239605(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/26 - 6/27
G02B 6/30 - 6/34
G02B 6/40 - 6/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
光信号の受け取りおよび放出を行う入射出部を有し、前記基板と電気的に接続された光集積回路と、
前記入射出部に対応する位置に配置される第1レンズを有するマイクロレンズアレイと、
第2レンズと、前記第2レンズに光信号を入射させる光ファイバを挿入可能なファイバ孔と、を有するフェルールと、
前記フェルールを支持するレセプタクルと、を備え、
前記光集積回路および前記レセプタクルは、前記マイクロレンズアレイに固定され、
前記レセプタクルが前記フェルールを支持する際、前記第2レンズは、前記第1レンズと対向する、光接続構造。
【請求項2】
前記レセプタクルは、第1位置決め面と、第2位置決め面と、第3位置決め面と、を有し、
前記第1位置決め面と、前記第2位置決め面と、前記第3位置決め面とには、前記マイクロレンズアレイが突き当てられる、請求項1に記載の光接続構造。
【請求項3】
前記フェルールは、係合部を有し、
前記レセプタクルは、被係合部を有し、
前記係合部は、前記被係合部と係合して、前記フェルールを、前記第1レンズと前記第2レンズとが対向する位置に誘導する、請求項1または2に記載の光接続構造。
【請求項4】
前記レセプタクルは、前記フェルールを弾性力によって保持する弾性保持部を有する、請求項1
または2に記載の光接続構造。
【請求項5】
前記レセプタクルは、ガイドピンを有し、
前記フェルールは、前記ガイドピンが挿入されるガイドピン孔を有する、請求項1
または2に記載の光接続構造。
【請求項6】
前記レセプタクルは、前記フェルールが収容される凹部と、前記凹部に収容された前記フェルールを覆う蓋部と、を有する、請求項1
または2に記載の光接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光接続構造に関する。
本願は、2021年9月14日に、日本に出願された特願2021-149053号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板と、光集積回路と、光ファイバが挿通されるフェルールと、を備える光接続構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2021/0055489号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、データ通信の高速化を目的として、複数の電子基板の間を光ファイバで接続する技術が用いられている。データ通信をさらに高速化するべく、電子基板上に実装された光集積回路(PIC:Photonic Integrated Circuit)に光ファイバを接触させて直接接続する接続方式(いわゆるバットジョイント)が注目されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0005】
ところで、バットジョイントによる接続方式においては、一般に、光ファイバと光集積回路とを突き合わせるために1~2kgf程度の押圧力が必要である。しかしながら、光集積回路は精密部品であるため、上記のような高い押圧力への耐性を持たない場合がある。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされ、光集積回路にかかる負荷を低減できる光接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る光接続構造は、基板と、光信号の受け取りおよび放出を行う入射出部を有し、前記基板と電気的に接続された光集積回路と、前記入射出部に対応する位置に配置される第1レンズを有するマイクロレンズアレイと、第2レンズと、前記第2レンズに光信号を入射させる光ファイバを挿入可能なファイバ孔と、を有するフェルールと、前記フェルールを支持するレセプタクルと、を備え、前記光集積回路および前記レセプタクルは、前記マイクロレンズアレイに固定され、前記レセプタクルが前記フェルールを支持する際、前記第2レンズは、前記第1レンズと対向する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の上記態様によれば、光集積回路にかかる負荷を低減可能な光接続構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る光接続構造の全体を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す光接続ユニットを拡大して見る図である。
【
図3】
図2に示す光接続ユニットを矢視IIIから見る図である。
【
図5】
図3に示すマイクロレンズアレイを矢視Vから見る図である。
【
図6】
図3に示すVI-VI線に沿う断面矢視図である。
【
図7】
図3に示すフェルールを矢視VIIから見る図である。
【
図8】
図7に示すフェルールを矢視VIIIから見る図である。
【
図9】第1実施形態に係るマイクロレンズアレイの位置決め方法を示す図である。
【
図10A】第1実施形態に係るフェルールの取付方法を示す図である。
【
図11】第1実施形態に係る光接続構造の作用を示す図である。
【
図12】第2実施形態に係る光接続構造を示す斜視図である。
【
図13】第2実施形態に係るマイクロレンズアレイの位置決め方法を示す図である。
【
図14】第2実施形態に係るフェルールの取付方法を示す図である。
【
図16】第3実施形態に係る光接続構造を示す斜視図である。
【
図17】第3実施形態に係るフェルールの取付方法を示す図である。
【
図18】第3実施形態に係るマイクロレンズアレイの位置決め方法を示す図である。
【
図19】
図16に示すXIX-XIX線に沿う断面矢視図である。
【
図20】第4実施形態に係る光接続構造を示す斜視図である。
【
図21】第4実施形態に係るフェルールの取付方法を示す図である。
【
図22】第4実施形態に係るマイクロレンズアレイの位置決め方法を示す図である。
【
図23】
図20に示す光接続構造を矢視XXIIIから見る図である。
【
図24】
図20に示す光接続構造を矢視XXIVから見る斜視図である。
【
図25】
図20に示すXXV-XXV線に沿う断面矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態に係る光接続構造について図面に基づいて説明する。
図1、
図2、
図3に示すように、光接続構造1Aは、基板10と、複数の光接続ユニットUと、を備える。各光接続ユニットUは、光集積回路20と、マイクロレンズアレイ30と、フェルール40と、レセプタクル50と、を備える。フェルール40には、複数の光ファイバFを挿入可能な複数のファイバ孔41が形成されている。複数のファイバ孔41は、各ファイバ孔41の長手方向と直交する一方向に沿って配列されている。
【0011】
(方向定義)
ここで、本実施形態では、XYZ直交座標系を設定して各構成の位置関係を説明する。X軸方向は、各ファイバ孔41の長手方向に沿う方向である。Y軸方向は、複数のファイバ孔41が配列される方向である。Z軸方向は、基板10と光集積回路20とが並ぶ方向である。本明細書では、X軸方向を長手方向Xと称し、Y軸方向を第1方向Yと称し、Z軸方向を第2方向Zと称する場合がある。長手方向Xに沿って、フェルール40から光集積回路20に向かう方向を、+X方向または前方と称する。+X方向とは反対の方向を、-X方向または後方と称する。第1方向Yに沿う一方向を、+Y方向または左方と称する。+Y方向とは反対の方向を、-Y方向または右方と称する。第2方向Zに沿って、基板10から光集積回路20に向かう方向を、+Z方向または上方と称する。+Z方向とは反対の方向を、-Z方向または下方と称する。
【0012】
本実施形態において、基板10の上面には、電気回路Cおよび不図示のパターンが実装されている。電気回路Cは、例えば、スイッチ回路等であってもよい。また、複数の光接続ユニットUは、電気回路Cを取り囲むように配置されている。
【0013】
本実施形態において、光集積回路20は、直方体状に形成されている。光集積回路20は、光信号を電気信号に変換する不図示の受光素子と、電気信号を光信号に変換する不図示の発光素子と、を有する。受光素子としては、例えばフォトダイオード等のフォトディテクターを用いることができる。発光素子としては、例えば半導体レーザや発光ダイオード等を用いることができる。
【0014】
図4に示すように、光集積回路20は、複数の導波路21を有する。なお、
図4以外の図において、導波路21の図示は省略されている。各導波路21は、上述した受光素子および発光素子と光学的に接続されている。本実施形態において、各導波路21は、長手方向Xに沿って延びている。各導波路21は、例えばシリコンによって形成されている。導波路21の屈折率は、光集積回路20のうち導波路21以外の部分の屈折率よりも、高い。これにより、光信号が導波路21の内部に閉じ込められ、光信号は長手方向Xに伝搬する。導波路21は、光集積回路20の表面(上面)に設けられていてもよいし、光集積回路20の内部に設けられていてもよい。各導波路21の後端には、入射出部21aが設けられている。入射出部21aは、導波路21の一部分であり、光信号の受け取りおよび放出を行う。
【0015】
光ファイバFから放出された光信号は、入射出部21aによって受け取られ、導波路21中を伝播する。そして、当該光信号は、光集積回路20が備える受光素子によって電気信号に変換され、基板10に受け渡される。また、基板10から光集積回路20へと伝わってきた電気信号は、光集積回路20が備える発光素子によって光信号に変換される。そして、当該光信号は、導波路21中を伝播し、入射出部21aから光ファイバFに向けて放出される。
【0016】
なお、本実施形態において、光集積回路20は、ソケットSを介して、基板10と電気的に接続されている。つまり、光集積回路20と基板10とは、ソケットSを介して、電気信号の受け渡しを行う。光集積回路20は、ソケットSから取り外し可能であってもよい。なお、ソケットSはスペーサに置き換えられてもよい。この場合、光集積回路20と基板10とが不図示の配線によって電気的に接続されていてもよい。あるいは、光集積回路20は、基板10の上面に直接実装されていてもよい。
【0017】
マイクロレンズアレイ30は、光を透過できる部材で形成されている。マイクロレンズアレイ30は、例えば、石英ガラスやシリコン基板によって形成されていてもよい。
図5に示すように、本実施形態において、マイクロレンズアレイ30の形状は、矩形の板状である。マイクロレンズアレイ30は、前面30aと、後面30bと、上面30cと、下面30dと、右面30eと、左面30fと、を有する。
【0018】
マイクロレンズアレイ30の後面30bには、複数の第1レンズL1(第1レンズ群L1)および複数のダミーレンズD(ダミーレンズ群D)が形成されている。複数の第1レンズL1と、複数の導波路21(入射出部21a)とは、一対一に対応しており、各第1レンズL1は、入射出部21aと長手方向Xにおいて並んでいる(
図4も参照)。本実施形態においては、各第1レンズL1の光学軸と導波路21の光学軸とが略一致するように、光集積回路20とマイクロレンズアレイ30とが固定されている。なお、「略一致」には、製造誤差を取り除けば2つの光学軸が一致しているとみなせる場合も含まれる。以下の記載においても同様である。
【0019】
複数のダミーレンズDは、複数の第1レンズL1の上方および下方に形成されている。なお、ダミーレンズDは、光信号の伝搬においては用いられない。
【0020】
光集積回路20とマイクロレンズアレイ30とは、接着剤によって固定されている。より具体的には、光集積回路20の前面30aが、光集積回路20の後面に接着固定されている(
図4も参照)。光信号は当該接着剤の層を通過するため、接着剤は光を透過する材料から製造されることが好ましい。なお、接着剤層における光信号の伝搬特性を調整するために、接着剤に用いる材料の屈折率が適宜調整されてもよい。また、光集積回路20とマイクロレンズアレイ30とを接着剤によって接着する際には、光集積回路20またはマイクロレンズアレイ30に光を入射しながら接着してもよい。この場合、光集積回路20の光学軸とマイクロレンズアレイ30の光学軸とを一致させやすくなる。
【0021】
フェルール40は、レセプタクル50に取り付けられ、また、レセプタクル50から取り外すことができる(詳細は後述)。フェルール40は、複数のファイバ孔41と、ファイバ挿入孔42と、凹部43と、を有する。
【0022】
複数のファイバ孔41は、第1方向Yに並んでいる。
図6に示すように、各ファイバ孔41は、ファイバ挿入孔42から前方に向けて延びている。各ファイバ孔41には、光ファイバFが挿入される。より詳しくは、各ファイバ孔41は、先端41aを有し、光ファイバFは、ファイバ孔41の先端41aまで挿入される。本実施形態において、各ファイバ孔41は、凹部43に連通していない。言い換えれば、各ファイバ孔41の先端41aは、凹部43の底面43a(後述)よりも後方に位置する。
【0023】
また、本実施形態において、複数の光ファイバFは、まとめて被覆され、いわゆるテープ心線を構成している。なお、光ファイバFの構成はこれに限られず、例えば、各光ファイバFが個別に被覆されていてもよい。
【0024】
ファイバ挿入孔42は、フェルール40の後面から前方に向けて窪む孔である。ファイバ挿入孔42は、複数のファイバ孔41に連通している。言い換えれば、各ファイバ孔41は、ファイバ挿入孔42に開口している。ファイバ挿入孔42は、光ファイバFをファイバ孔41に挿入する際の入口として機能する。本実施形態において、ファイバ挿入孔42の底面(前面)には、一対の傾斜面42aが形成されている。各傾斜面42aは、前方に向かう方向において漸次ファイバ孔41に近づくように傾斜している。傾斜面42aは、フェルール40の後面から前方に向けて挿入された光ファイバFを、ファイバ孔41に案内する。なお、フェルール40はファイバ挿入孔42および傾斜面42aを有していなくてもよい。この場合、各ファイバ孔41はフェルール40の後面に開口していてもよい。
【0025】
凹部43は、フェルール40の前面から後方に向けて窪む孔である。凹部43は、前方を向く底面43aを有する。
図7に示すように、底面43aには、複数の第2レンズL2が形成されている。複数の第2レンズL2は、第1方向Yに並んでいる。複数の第2レンズL2と、複数のファイバ孔41の先端41aとは、一対一に対応しており、各第2レンズL2は、先端41aと長手方向Xにおいて並んでいる(
図4も参照)。本実施形態においては、各第2レンズL2の光学軸と光ファイバFの光学軸とが略一致するように、第2レンズL2が配置されている。なお、フェルール40は凹部43を有していなくてもよい。この場合、第2レンズL2はフェルール40の前面に設けられていてもよい。
【0026】
図8に示すように、本実施形態において、フェルール40は、係合突起(係合部)44および溝(係合部)45を有する。係合突起44は、フェルール40の側面から+Y方向(左方)に向けて突出する突起である。また、本実施形態において、係合突起44は、フェルール40の長手方向Xにおける中央部に位置しており、長手方向Xにおいて2つに分離している。また、係合突起44は、フェルール40の下端部に位置する。溝45は、フェルール40の下面から上方に向けて窪み、第1方向Yに沿って延びている。詳細は後述するが、係合突起44および溝45は、レセプタクル50が有する係合孔(被係合部)53bおよび突起(被係合部)51bとそれぞれ係合する。
【0027】
図3、
図6、
図9に示すように、本実施形態において、レセプタクル50は、本体部51と、弾性保持部52と、壁部53と、を有する。レセプタクル50は、フェルール40を支持する。より詳しくは、弾性保持部52がフェルール40を本体部51および壁部53に押し付けることによって、フェルール40がレセプタクル50に支持される。
【0028】
図3、
図9に示すように、壁部53は、本体部51の左端に立設している。壁部53は、長手方向Xおよび第2方向Zに延びる板状に形成されている。壁部53は、-Y方向(右方)を向く内面53aを有する。なお、壁部53は本体部51の右端に立設していてもよい。この場合、内面53aは+Y方向(左方)を向いていてもよい。あるいは、本体部51の第1方向Yにおける両端にそれぞれ壁部53が立設していてもよい。壁部53の長手方向Xにおける中央部には、壁部53を第1方向Yに貫通する係合孔53bが形成されている。係合孔53bは、壁部53の下端に位置する。
【0029】
本体部51の前端には、本体部51の上面から下方に向けて窪む凹部51aが形成されている(
図6、
図9参照)。また、凹部51aは、+X方向(前方)および-Y方向(右方)に向けて開口している。なお、凹部51aは、+X方向(前方)および+Y方向(左方)に向けて開口していてもよいし、+X方向(前方)にのみ開口していてもよい。凹部51aは、前方を向く第1面51aAと、上方を向く第2面51aBと、壁部53の内面53aによって囲まれている。第1面51aA、第2面51aB、内面53aは、それぞれ第1位置決め面P1、第2位置決め面P2、第3位置決め面P3とも称される。
【0030】
図9に示すように、凹部51aにマイクロレンズアレイ30が嵌合されることにより、レセプタクル50とマイクロレンズアレイ30とが位置決めされ、接着固定されている。より具体的には、マイクロレンズアレイ30の後面30bが第1位置決め面P1(第1面51aA)に突き当てられ、接着されている。同様に、マイクロレンズアレイ30の下面30dが第2位置決め面P2(第2面51aB)に突き当てられ、接着されている。マイクロレンズアレイ30の左面30fが第3位置決め面P3(内面53a)に突き当てられ、接着されている。なお、マイクロレンズアレイ30とレセプタクル50との接着固定は、マイクロレンズアレイ30と光集積回路20との固定の後に行われてもよいし、前に行われてもよい。
【0031】
本体部51には、本体部51の上面から上方に向けて突出し、第1方向Yに沿って延びる突起51bが形成されている。突起51bの形状は、フェルール40が有する溝45の形状と対応している。
【0032】
本実施形態において、弾性保持部52は、長手方向Xに垂直な断面視においてU字状に形成されている。弾性保持部52は、本体部51を保持している。弾性保持部52は、弾性変形可能な部材で形成されている。弾性保持部52は、第1爪部52aおよび第2爪部52bを有する。第2爪部52bは、壁部53の係合孔53bに挿入されている。
【0033】
先述した通り、レセプタクル50は、第1面51aA、第2面51aB、および内面53aを介して、マイクロレンズアレイ30に対して接着固定されている。一方で、レセプタクル50と基板10とは、接着固定されていない。例えば、レセプタクル50と基板10とは、直接接触していてもよい。あるいは、レセプタクル50と基板10との間には、レセプタクル50の基板10に対する相対移動を抑制するゲルやシート等が配置されていてもよい。
【0034】
次に、以上のように構成された光接続構造1Aの作用について説明する。
【0035】
図10Aに示すように、フェルール40をレセプタクル50に取り付ける際には、まず、フェルール40の係合突起(係合部)44がレセプタクル50の係合孔(被係合部)53bに挿入される。より具体的には、係合突起44が、第2爪部52bと係合孔53bとの間に挿入される。次に、フェルール40の溝(係合部)45とレセプタクル50の突起(被係合部)51bとが嵌め合わされるように、フェルール40がレセプタクル50に対して押し付けられる。このとき、フェルール40は、弾性保持部52の弾性復元力に抗して、第1爪部52aを右方に向けて変位させる。フェルール40の溝45とレセプタクル50のレセプタクル50との嵌合が完了すると、弾性保持部52は、弾性復元力によって、フェルール40を本体部51および壁部53に向けて押し付ける。これにより、フェルール40がレセプタクル50に支持される。また、フェルール40の溝45とレセプタクル50の突起51bとが嵌合していることにより、フェルール40のレセプタクル50に対する相対移動が抑制される。
【0036】
なお、フェルール40をレセプタクル50から取り外す際には、例えば、使用者が、第1爪部52aを把持し、第1爪部52aを右方に向けて変位させてもよい。さらに、使用者がフェルール40を持ち上げることによって、フェルール40をレセプタクル50から取り外すことができる。
【0037】
図3、
図4に示すように、レセプタクル50がフェルール40を支持する際、第2レンズL2は、第1レンズL1と長手方向Xにおいて対向する。本実施形態においては、係合突起44と係合孔53bとが係合し、溝45と突起51bとが係合することにより、フェルール40が、第1レンズL1と第2レンズL2とが対向する位置に誘導される。より具体的には、複数の第1レンズL1と複数の第2レンズL2とは一対一に対応しており、各第1レンズL1は、第2レンズL2と長手方向Xにおいて対向する。本実施形態においては、レセプタクル50がフェルール40を支持する際、各第1レンズL1の光学軸と各第2レンズL2の光学軸とが略一致する。つまり、レセプタクル50がフェルール40を支持する際、導波路21(入射出部21a)の光学軸と、第1レンズL1の光学軸と、第2レンズL2の光学軸と、光ファイバFの光学軸とが、互いに略一致する。
【0038】
図4に示すように、光ファイバFから放出された光信号は、前方に向かうに方向において漸次拡散される。当該拡散された光信号は、第2レンズL2によって長手方向Xに平行な平行光に整形される。平行光に整形された光信号は、空気中を伝播し、第1レンズL1によって集光される。集光された光信号は、入射出部21aによって受け取られ、導波路21中を伝搬していく。一方、入射出部21aから放出された光信号は、後方に向かう方向において漸次拡散される。当該拡散された光信号は、第1レンズL1によって長手方向Xに平行な平行光に整形される。平行光に整形された光信号は、空気中を伝搬し、第2レンズL2によって集光される。集光された光信号は、光ファイバFの先端によって受け取られ、光ファイバF中を伝搬していく。このように、本実施形態における光接続構造1Aによれば、フェルール40をレセプタクル50に取り付けることで、光集積回路20と光ファイバFとを光学的に接続することができる。
【0039】
ところで、従来、光集積回路に対して光ファイバを接触させて直接接続する、いわゆるバットジョイント方式が知られている。バットジョイント方式においては、一般に、光ファイバと光集積回路とを突き合わせるために1~2kgf程度の押圧力が必要であった。しかしながら、光集積回路は精密部品であるため、上記のような高い押圧力への耐性を持たない場合があった。
【0040】
これに対して本実施形態における光接続構造1Aによれば、光集積回路20と光ファイバFとを突き合わせることなく、光集積回路20と光ファイバFとを光学的に接続することができる。したがって、例えばバットジョイント方式が採用された光接続構造と比較して、光集積回路20にかかる負荷を低減することができる。これにより、光集積回路20の破損や基板10からの脱落を防ぐことができる。
【0041】
ところで、一般に、光ファイバFのモードフィールド径(MFD)と、光集積回路20が有する導波路21のモードフィールド径との間には、差があることが多い。言い換えれば、光ファイバFと導波路21との間にはモードフィールド径のミスマッチがある場合が多い。一般に、光ファイバFのモードフィールド径が8.6μm程度であるのに対し、導波路21のモードフィールド径は2.0~4.0μm程度である。
【0042】
本願発明者らが鋭意検討した結果、バットジョイント方式においては、光ファイバFと、導波路21との間に上記のようなモードフィールド径のミスマッチ(差)がある場合、光ファイバFと導波路21との間で接続損失が生じやすいということが判った。
図11は、バットジョイント方式が採用された光接続構造において生じる接続損失と、本実施形態に係る光接続構造1Aにおいて生じる接続損失とをそれぞれ計算した結果を示すグラフである。横軸は、導波路21のモードフィールド径を示している。縦軸は、接続損失の大きさを示している。なお、接続損失の大きさは、光ファイバFのモードフィールド径が8.6μmであるとして計算されている。
【0043】
図11に示すように、例えば、導波路21のモードフィールド径が3.0μmである場合、バットジョイント方式における接続損失が4.1dBであるのに対して、本実施形態に係る光接続構造1Aにおける接続損失は2.6dBである。このように、本実施形態に係る光接続構造1Aを利用することで、光ファイバFと導波路21との間で生じる接続損失を低減することができる。
【0044】
一方、従来のバットジョイント方式において、モードフィールド径コンバータ(熱拡散コア、TEC:Thermally-diffused Expanded Core)を融着接続(TEC融着)した光ファイバFと光集積回路20とを接続することで、接続損失の改善を図る方法も考えられる。しかしながら、TEC融着は作業時間がかかるため、ファイバ心数(光ファイバFの本数)が増えると大量生産に不利という課題が考えられる。
【0045】
これに対して本実施形態に係る光接続構造1Aにおいては、モードフィールド径のミスマッチを克服するうえで、光ファイバFに対してTECを融着することを要しない。したがって、光接続構造1Aに組み込まれる光ファイバFの本数が増加した場合においても、光ファイバFと導波路21とを接続する作業に要する時間の増大を起こりにくくすることができる。
【0046】
以上説明したように、本実施形態に係る光接続構造1Aは、基板10と、光信号の受け取りおよび放出を行う入射出部21aを有し、基板10と電気的に接続された光集積回路20と、入射出部21aに対応する位置に配置される第1レンズL1を有するマイクロレンズアレイ30と、第2レンズL2と、第2レンズL2に光信号を入射させる光ファイバFを挿入可能なファイバ孔41と、を有するフェルール40と、フェルール40を支持するレセプタクル50と、を備え、光集積回路20およびレセプタクル50は、マイクロレンズアレイ30に固定され、レセプタクル50がフェルール40を支持する際、第2レンズL2は、第1レンズL1と対向する。
【0047】
この構成によれば、フェルール40をレセプタクル50に取り付けることで、光集積回路20と光ファイバFとを光学的に接続することができる。また、光集積回路20と光ファイバFとを突き合わせることなく、光集積回路20と光ファイバFとを光学的に接続することができる。したがって、例えばバットジョイント方式が採用された光接続構造と比較して、光集積回路20にかかる負荷を低減することができる。
【0048】
また、レセプタクル50は、第1位置決め面P1(第1面51aA)と、第2位置決め面P2(第2面51aB)と、第3位置決め面P3(内面53a)と、を有し、第1位置決め面P1と、第2位置決め面P2と、第3位置決め面P3とには、マイクロレンズアレイ30が突き当てられる。この構成により、光接続構造1Aの製造時において、レセプタクル50に対するマイクロレンズアレイ30の位置決めの精度を高めることができる。
【0049】
また、フェルール40は、係合部(係合突起44および溝45)を有し、レセプタクル50は、被係合部(係合孔53bおよび突起51b)を有し、係合突起44および溝45は、係合孔53bおよび突起51bと係合して、フェルール40を、第1レンズL1と第2レンズL2とが対向する位置に誘導する。この構成により、第1レンズL1と第2レンズL2との間の位置決めをより容易にすることができる。
【0050】
また、レセプタクル50は、フェルール40を弾性力によって保持する弾性保持部52を有する。この構成により、レセプタクル50によるフェルール40の支持をより安定させることができる。
【0051】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明するが、第1実施形態と基本的な構成は同様である。このため、同様の構成には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図12に示すように、本実施形態に係る光接続構造1Bにおいては、光集積回路20が、基板10上に直接実装されている。また、フェルール40が、一対の突出部46および一対のガイドピン孔(係合部)47を有する。また、レセプタクル60の構成が、第1実施形態におけるレセプタクル50の構成と異なる。
【0052】
各突出部46は、フェルール40の上面から上方にむけて突出している。本実施形態において、一対の突出部46は、第1方向Yに間隔をあけて配されており、フェルール40の第1方向Yにおける両端部に設けられている。各ガイドピン孔47は、突出部46を長手方向Xに貫通している。詳細は後述するが、ガイドピン孔47は、レセプタクル60が有するガイドピン(被係合部)63と係合する。
【0053】
レセプタクル60は、本体部61と、弾性突起部62と、一対のガイドピン63と、を有する。本体部61は、光集積回路20に対して接着固定されている。
【0054】
図13に示すように、本体部61の後端には、本体部61の下面から上方に向けて窪む凹部61aが形成されている。凹部61aは、-X方向(後方)および-Y方向(右方)に向けて開口している。なお、凹部61aは、-X方向(後方)および+Y方向(左方)に向けて開口していてもよいし、-X方向(後方)にのみ開口していてもよい。本実施形態において、凹部61aは、-X方向(後方)を向く第1面61aAと、-Z方向(下方)を向く第2面61aBと、-Y(右方)を向く第3面61aCによって囲まれている。第1面61aA、第2面61aB、第3面61aCは、それぞれ第1位置決め面P1、第2位置決め面P2、第3位置決め面P3とも称される。
【0055】
本実施形態においても、第1実施形態同様、凹部61aにマイクロレンズアレイ30が嵌合されることにより、レセプタクル60とマイクロレンズアレイ30とが位置決めされ、接着固定されている。より具体的には、マイクロレンズアレイ30の前面30aが第1位置決め面P1(第1面61aA)に突き当てられ、接着されている。同様に、マイクロレンズアレイ30の上面30cが第2位置決め面P2(第2面61aB)に突き当てられ、接着されている。マイクロレンズアレイ30の左面30fが第3位置決め面P3(第3面61aC)に突き当てられ、接着されている。また、第1実施形態同様、マイクロレンズアレイ30は光集積回路20に対しても接着固定されている。
【0056】
弾性突起部62は、本体部61の後面から後方に向けて突起している。フェルール40をレセプタクル60に取り付けた際、弾性突起部62は、一対の突出部46の間に配される。弾性突起部62は、弾性変形可能な部材で形成されている。弾性突起部62は、爪部62aを有する。各ガイドピン(被係合部)63は、本体部61の後面から後方に向けて突出している。
【0057】
図14に示すように、フェルール40をレセプタクル60に取り付ける際には、まず、レセプタクル60のガイドピン(被係合部)63が、フェルール40のガイドピン孔(係合部)47に挿入される。このとき、フェルール40は、弾性突起部62の弾性復元力に抗して、爪部62aを上方に向けて変位させる。
図15に示すように、フェルール40がレセプタクル60に当接し、ガイドピン孔47に対するガイドピン63の挿入が完了すると、爪部62aが下方に変位し、フェルール40の後端と噛み合わされる。これにより、フェルール40がレセプタクル60に支持される。
【0058】
なお、フェルール40をレセプタクル60から取り外す際には、例えば、使用者が、爪部62aを把持し、爪部62aを上方に向けて変位させてもよい。さらに、使用者がフェルール40を後方に引き抜くことによって、フェルール40をレセプタクル60から取り外すことができる。
【0059】
上記のように、本実施形態においても、ガイドピン孔(係合部)47とガイドピン(被係合部)63とが係合することにより、フェルール40が、第1レンズL1と第2レンズL2とが対向する位置に誘導される。つまり、レセプタクル60がフェルール40を支持する際、導波路21の光学軸と、第1レンズL1の光学軸と、第2レンズL2の光学軸と、光ファイバFの光学軸とが、互いに略一致する。
【0060】
以上説明したように、本実施形態に係る光接続構造1Bにおいては、第1実施形態同様、レセプタクル60がフェルール40を支持する際、第2レンズL2は、第1レンズL1と対向する。したがって、フェルール40をレセプタクル60に取り付けることで、光集積回路20と光ファイバFとを光学的に接続することができ、第1実施形態同様の作用効果が得られる。
【0061】
また、前記実施形態同様、レセプタクル60は、第1位置決め面P1(第1面61aA)、第2位置決め面P2(第2面61aB)、および第3位置決め面P3(第3面61aC)を有する。フェルール40は、係合部(ガイドピン孔47)を有し、レセプタクル60は、被係合部(ガイドピン63)を有し、ガイドピン孔47は、ガイドピン63と係合して、フェルール40を、第1レンズL1と第2レンズL2とが対向する位置に誘導する。これにより、第1実施形態同様の作用効果が得られる。
【0062】
また、レセプタクル60は、ガイドピン63を有し、フェルール40は、ガイドピン63が挿入されるガイドピン孔47を有する。この構成により、レセプタクル60に対するフェルール40の位置決めの精度をより高めることができる。
【0063】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明するが、第2実施形態と基本的な構成は同様である。このため、同様の構成には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図16、
図17に示すように、本実施形態に係る光接続構造1Cにおいては、フェルール40が、一対の係合突起(係合部)48を有する。また、レセプタクル70の構成が、第2実施形態におけるレセプタクル60の構成と異なる。
【0064】
図17に示すように、各係合突起48は、フェルール40の側面から第1方向Yにおける外側にむけて突出している。本実施形態において、各係合突起48は、フェルール40の長手方向Xにおける中央部に位置している。また、各係合突起48は、第2方向Zに沿って延びている。詳細は後述するが、係合突起48は、レセプタクル70が有する係合溝(被係合部)71aaと係合する。
【0065】
レセプタクル70は、本体部71と、蓋部72と、接着部73と、を有する。接着部73は、第1方向Yおよび第2方向Zにおける外側から光集積回路20を覆っており、光集積回路20に対して接着固定されている。本実施形態において、接着部73には、接着部73を第2方向Zに貫通する接着剤注入窓73aが形成されている。接着剤注入窓73aは、接着部73と光集積回路20との間に接着剤を注入する際に用いられる。接着部73は、後方を向く後面73bを有する。接着部73の後面73bは、第1位置決め面P1とも称される。
【0066】
図17、
図18に示すように、本体部71は、本体部71の上面から下方に向けて窪む凹部71aを有する。凹部71aには、フェルール40が収容される。凹部71aは、後方に向けて開口している。凹部71aは、上方を向く第1面71aAと、第1方向Yにおける内側を向く一対の第2面71aBと、を有する。第1面71aA、第2面71aBは、それぞれ第2位置決め面P2、第3位置決め面P3とも称される。
【0067】
本実施形態においても、前記実施形態同様、凹部71aにマイクロレンズアレイ30が嵌合されることにより、レセプタクル70とマイクロレンズアレイ30とが位置決めされ、接着固定されている。より具体的には、マイクロレンズアレイ30の前面30aが第1位置決め面P1(後面73b)に突き当てられ、接着されている。同様に、マイクロレンズアレイ30の下面30dが第2位置決め面P2(第1面71aA)に突き当てられ、接着されている。マイクロレンズアレイ30の右面30eおよび左面30fが一対の第3位置決め面P3(第2面71aB)に突き当てられ、接着されている。また、前記実施形態同様、マイクロレンズアレイ30は光集積回路20に対しても接着固定されている。
【0068】
また、凹部71aには、一対の係合溝71aaが形成されている。各係合溝71aaは、凹部71aの第2面71aBから第1方向Yにおける外側にむけて窪んでいる。本実施形態において、各係合溝71aaは、凹部71aの長手方向Xにおける中央部に位置している。各係合溝71aaは、第2方向Zに沿って延びており、上方に向けて開口している。係合溝71aaの形状は、フェルール40が有する係合突起48の形状と対応している。
【0069】
本体部71には、本体部71の側面から第1方向Yにおける内側に向けて窪む一対の被固定溝71bが形成されている。また、各被固定溝71bには、被固定溝71bの中央部から第1方向Yにおける外側に向けて突出する突起71baが形成されている。詳細は後述するが、被固定溝71bには、蓋部72が有する第1固定部72aが嵌合され、突起71baは、蓋部72が有する孔72aaに嵌合される。
【0070】
蓋部72は、蓋部本体72cと、一対の第1固定部72aと、一対の第2固定部72bとを有する。フェルール40がレセプタクル70に取り付けられた際、蓋部72は、フェルール40の上面を覆う。蓋部本体72cは、長手方向Xおよび第1方向Yに延びる矩形状に形成されている。各第1固定部72aは、蓋部本体72cの側面から下方に向けて延びている。各第2固定部72bは、蓋部本体72cの後面から下方に向けて延びている。第1固定部72aの中央部には、第1固定部72aを第1方向Yに貫通する孔72aaが形成されている。孔72aaの形状は、本体部71が有する突起71baの形状と対応している。
【0071】
図17に示すように、フェルール40をレセプタクル70に取り付ける際には、まず、フェルール40の係合突起(係合部)48が、本体部71の係合溝(被係合部)71aaに嵌合されるように、フェルール40が、凹部71aに対して上方から挿入される。次に、蓋部72の第1固定部72aが、本体部71の被固定溝71bに嵌合されるように、蓋部72が、本体部71に対して上方から装着される。本体部71に対する蓋部72の装着が完了すると、本体部71の突起71baと蓋部72の孔72aaとが嵌合され、蓋部72が本体部71に対して固定される。このとき、蓋部72の蓋部本体72cは、フェルール40の上面を覆う。これにより、フェルール40が凹部71aから上方に抜け出ることが抑制される。また、フェルール40の係合突起48とレセプタクル70の係合溝71aaとが嵌合していることにより、フェルール40がレセプタクル70に対して長手方向Xにずれることが抑制される。また、
図19に示すように、蓋部72の第2固定部72bがフェルール40の後面を支持する。これにより、フェルール40が長手方向Xにずれることがより確実に抑制される。
【0072】
上記のように、本実施形態においても、係合突起(係合部)48と係合溝(被係合部)71aaとが係合することにより、フェルール40が、第1レンズL1と第2レンズL2とが対向する位置に誘導される。つまり、レセプタクル70がフェルール40を支持する際、導波路21の光学軸と、第1レンズL1の光学軸と、第2レンズL2の光学軸と、光ファイバFの光学軸とが、互いに略一致する。
【0073】
以上説明したように、本実施形態に係る光接続構造1Cにおいても、前記実施形態同様、レセプタクル70がフェルール40を支持する際、第2レンズL2は、第1レンズL1と対向する。したがって、フェルール40をレセプタクル70に取り付けることで、光集積回路20と光ファイバFとを光学的に接続することができ、前記実施形態同様の作用効果を得ることができる。
【0074】
また、前記実施形態同様、レセプタクル70は、第1位置決め面P1(後面73b)、第2位置決め面P2(第1面71aA)、および第3位置決め面P3(第2面71aB)を有する。フェルール40は、係合部(係合突起48)を有し、レセプタクル70は、被係合部(係合溝71aa)を有し、係合突起48は、係合溝71aaと係合して、フェルール40を、第1レンズL1と第2レンズL2とが対向する位置に誘導する。これにより、第1実施形態同様の作用効果が得られる。
【0075】
また、レセプタクル70は、フェルール40が収容される凹部71aと、凹部71aに収容されたフェルール40を覆う蓋部72と、を有する。この構成により、フェルール40がレセプタクル70から脱落するのを抑制することができる。
【0076】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明するが、第3実施形態と基本的な構成は同様である。このため、同様の構成には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図20、
図21に示すように、本実施形態に係る光接続構造1Dにおいては、フェルール40が、一対の係合凹部(係合部)49を有する。また、レセプタクル80の構成が、第3実施形態におけるレセプタクル70の構成と異なる。また、光ファイバFにブーツBが装着されている。
【0077】
図21に示すように、各係合凹部49は、フェルール40の側面から第1方向Yにおける内側にむけて凹んでいる。また、各係合凹部49は、前方に向けて開口している。係合凹部49は、第1方向Yにおける外側を向く第1面49aと、前方を向く第2面49bと、を有する。詳細は後述するが、係合凹部49は、レセプタクル80が有する係合突起(被係合部)84aと係合する。
【0078】
レセプタクル80は、本体部81と、支持部82と、接着部83と、を有する。接着部83は、上方から光集積回路20を覆っており、光集積回路20に対して接着固定されている。第3実施形態同様、接着部83には、接着部83を第2方向Zに貫通する接着剤注入窓83aが形成されている。接着部83には、接着部83の上面から上方に向けて突出する突起83bが形成されている。詳細は後述するが、突起83bは、支持部82が有する孔82caに嵌合される。
【0079】
図21、
図22に示すように、本体部81は、本体部81の下面から上方に向けて窪む凹部84を有する。凹部84には、フェルール40が収容される。凹部84は、後方に向けて開口している。
図22に示すように、凹部84は、下方を向く第1面84Aと、第1方向Yにおける内側を向く一対の第2面84Bと、を有する。各第2面84Bには、第1方向Yにおける内側に向けて突出する係合突起84aが形成されている。係合突起84aの形状は、フェルール40が有する係合凹部49の形状と対応している。係合突起84aは、第1方向Yにおける内側を向く突起面84aaと、後方を向く突起後面84abと、前方を向く突起前面84acと、を有する。突起前面84ac、第1面84A、第2面84Bは、それぞれ第1位置決め面P1、第2位置決め面P2、第3位置決め面P3とも称される。
【0080】
本実施形態においても、前記実施形態同様、凹部84にマイクロレンズアレイ30が嵌合されることにより、レセプタクル80とマイクロレンズアレイ30とが位置決めされ、接着固定されている。より具体的には、マイクロレンズアレイ30の後面30bが第1位置決め面P1(突起前面84ac)に突き当てられ、接着されている。同様に、マイクロレンズアレイ30の上面30cが第2位置決め面P2(第1面84A)に突き当てられ、接着されている。マイクロレンズアレイ30の右面30eおよび左面30fが一対の第3位置決め面P3(第2面84B)に突き当てられ、接着されている。また、前記実施形態同様、マイクロレンズアレイ30は、光集積回路20に対しても接着固定されている。
【0081】
図21に示すように、支持部82は、支持部本体82cと、一対の第1支持部82aと、第2支持部82bと、を有する。支持部本体82cは、長手方向Xおよび第1方向Yに延びる板状に形成されている。支持部本体82cには、支持部本体82cを第2方向Zに貫通する孔82caが形成されている。孔82caの形状は、接着部83が有する突起83bの形状と対応している。また、支持部本体82cは、付勢部82cbを有する。付勢部82cbは、弾性力を有する素材で形成されており、支持部82(支持部本体82c)を上方に向けて付勢する(押し上げる)。付勢部82cbとしては、例えば板ばね等を採用することができる。
【0082】
各第1支持部82aは、基部82acと、押圧部82aaと、持ち上げ部82abと、を有する(
図24も参照)。本実施形態において、基部82ac、押圧部82aa、および持ち上げ部82abのそれぞれは、板状に形成されている。基部82acは、支持部本体82cの側面から下方に向けて延びている。押圧部82aaは、支持部本体82cの後面から延びている。本実施形態において、押圧部82aaは、後方(-X方向)に向かう方向において漸次第1方向Yにおける内側に向かうように傾斜している。持ち上げ部82abは、支持部本体82cの下端から第1方向Yにおける内側に向けて延びている。各第2支持部82bは、支持部本体82cの後面から下方に向けて延びている。
図20等の例に示すように、第2支持部82bは把手を有していてもよい。
【0083】
図21、23に示すように、フェルール40をレセプタクル80に取り付ける際には、まず、フェルール40の係合凹部(係合部)49が、凹部84の係合突起(被係合部)84aに嵌合されるように、フェルール40が、凹部84に対して後方から挿入される。凹部84に対するフェルール40の挿入が完了すると、係合凹部49の第2面49bと凹部84の突起後面84abとが当接し、フェルール40が凹部84に対して位置決めされる。
【0084】
次に、支持部本体82cの下面が本体部81および接着部83の上面に当接し、持ち上げ部82abの上面がフェルール40の下面に当接するように、支持部82が、本体部81および接着部83に対して後方から装着される。本体部81および接着部83に対する支持部82の装着が完了すると、接着部83の突起83bと支持部82の孔82caとが嵌合され、支持部82が本体部81および接着部83に対して固定される。このとき、付勢部82cbが支持部82を上方に向けて付勢するため、持ち上げ部82abがフェルール40を持ち上げる(押し上げる)。これにより、フェルール40が凹部84から下方に向けて脱落することが抑制される。また、
図24、25に示すように、支持部82の押圧部82aaおよび第2支持部82bが、フェルール40を前方に向けて押し付ける。これにより、フェルール40が長手方向Xにずれることが抑制される。
【0085】
上記のように、本実施形態においても、係合凹部(係合部)49と係合突起(被係合部)84aとが係合することにより、フェルール40が、第1レンズL1と第2レンズL2とが対向する位置に誘導される。つまり、レセプタクル80がフェルール40を支持する際、導波路21の光学軸と、第1レンズL1の光学軸と、第2レンズL2の光学軸と、光ファイバFの光学軸とが、互いに略一致する。
【0086】
以上説明したように、本実施形態に係る光接続構造1Dにおいても、前記実施形態同様、レセプタクル80がフェルール40を支持する際、第2レンズL2は、第1レンズL1と対向する。したがって、フェルール40をレセプタクル80に取り付けることで、光集積回路20と光ファイバFとを光学的に接続することができ、前記実施形態同様の作用効果を得ることができる。
【0087】
また、前記実施形態同様、レセプタクル80は、第1位置決め面P1(突起前面84ac)、第2位置決め面P2(第1面84A)、および第3位置決め面P3(第2面84B)を有する。フェルール40は、係合部(係合凹部49)を有し、レセプタクル80は、被係合部(係合突起84a)を有し、係合凹部49は、係合突起84aと係合して、フェルール40を、第1レンズL1と第2レンズL2とが対向する位置に誘導する。これにより、前記実施形態同様の作用効果が得られる。
【0088】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0089】
例えば、前記実施形態では、第1レンズL1の光学軸と第2レンズL2の光学軸とが略一致していたが、第1レンズL1および第2レンズL2の構成はこれに限られない。つまり、文言「第1レンズL1と第2レンズL2が対向する」は、必ずしも第1レンズL1の光学軸と第2レンズL2の光学軸とが略一致することを意味しない。第1レンズL1と第2レンズL2との間で光信号の受け渡しが可能であれば、第1レンズL1の光学軸と第2レンズL2の光学軸とが互いにずれていたり、傾いていたりしてもよい。あるいは、第1レンズL1と第2レンズL2との間の長手方向Xにおける距離が適宜変更されてもよい。
【0090】
同様に、文言「入射出部21aに対応する位置に配置される第1レンズL1」は、必ずしも導波路21の光学軸と第1レンズL1の光学軸とが略一致することを意味しない。導波路21と第1レンズL1との間で光信号の受け渡しが可能であれば、導波路21の光学軸と第1レンズL1の光学軸とが互いにずれていたり、傾いていたりしてもよい。あるいは、入射出部21aと第1レンズL1との間の長手方向Xにおける距離が適宜変更されてもよい。
【0091】
第2レンズL2と光ファイバF(ファイバ孔41)との位置関係についても同様である。例えば、第1レンズL1が、ファイバ孔41の先端41aに埋め込まれていてもよい。あるいは、第1レンズL1が光ファイバFに融着されていてもよい。
【0092】
また、前記実施形態において、第1レンズL1または第2レンズL2の作用によって光信号が平行光に整形されると説明したが、第1レンズL1と第2レンズL2との間を伝搬する光信号は、長手方向Xに平行でなくてもよい。ただし、当該光信号が長手方向Xに平行となる構成は、第1レンズL1と第2レンズL2との間から光信号が漏れ出にくくなるため好適である。
【0093】
また、前記実施形態において、第1位置決め面P1、第2位置決め面P2、第3位置決め面P3は、それぞれ、長手方向X、第2方向Z、第1方向Yに対して垂直であったが、位置決め面P1~P3の構成はこれに限られない。例えば、各位置決め面P1~P3は、互いに直交していなくてもよい。ただし、前記実施形態のように各位置決め面P1~P3が互いに直交している構成は、マイクロレンズアレイ30の位置ずれおよび傾きを抑制しやすいため好適である。
【0094】
また、前記実施形態において、複数の第1レンズL1と複数の第2レンズL2とは一対一に対応していたが、第1レンズL1および第2レンズL2の構成はこれに限られない。例えば、第1レンズL1の数と第2レンズL2の数とは異なっていてもよい。複数の導波路21と複数の第1レンズL1についても同様である。複数の第2レンズL2と複数のファイバ孔41についても同様である。
【0095】
また、フェルール40は複数のファイバ孔41を有しておらず、1つのみのファイバ孔41を有していてもよい。この場合、光接続構造1A~1Dは、1つのみの導波路21、第1レンズL1、第2レンズL2を有していてもよい。
【0096】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0097】
1A、1B、1C、1D…光接続構造 10…基板 20…光集積回路 21a…入射出部 30…マイクロレンズアレイ 40…フェルール 41…ファイバ孔 44…係合突起(係合部) 45…溝(係合部) 47…ガイドピン孔(係合部) 48…係合突起(係合部) 49…係合凹部(係合部) 50…レセプタクル 51b…突起(被係合部) 52…弾性保持部 53b…係合孔(被係合部) 60…レセプタクル 63…ガイドピン(被係合部) 70…レセプタクル 71a…凹部 71aa…係合溝(被係合部) 72…蓋部 80…レセプタクル 84…凹部 84a…係合突起(被係合部) L1…第1レンズ L2…第2レンズ F…光ファイバ P1…第1位置決め面 P2…第2位置決め面 P3…第3位置決め面