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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】部品実装装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20241125BHJP
【FI】
H05K13/04 B
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023552611
(86)(22)【出願日】2021-10-06
(86)【国際出願番号】 JP2021037029
(87)【国際公開番号】W WO2023058169
(87)【国際公開日】2023-04-13
【審査請求日】2024-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004303
【氏名又は名称】弁理士法人三協国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 佳史郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 恒太
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-130058(JP,A)
【文献】特開平10-329073(JP,A)
【文献】特開2012-156200(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106879184(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品実装装置であって、
部品供給エリアにおいて供給される部品を吸着する部品吸着処理を行う吸着ノズルを備え、前記吸着ノズルにより吸着された前記部品を基板に搭載する部品搭載処理を行う搭載ヘッドと、前記部品吸着処理に関する処理状態画像を取得する画像取得処理を行う撮像部と、を含む実装実行部と、
所定の部品との関係において当該所定の部品の前記部品搭載処理に使用する前記吸着ノズルを、複数の吸着ノズルの中から選定する選定処理を行うノズル選定処理部と、を備え、
前記ノズル選定処理部は、前記複数の吸着ノズルの各々のノズル開口部の大きさに関する情報および前記所定の部品の被吸着面の大きさに関する情報を取得し、当該情報に基づき、前記ノズル開口部の大きさ及び前記被吸着面の大きさに関連付けられた選定条件を充足するか否かを判定することにより、前記選定条件を充足する吸着ノズルを前記複数の吸着ノズルの中から選定し、
当該部品実装装置は、さらに、
前記部品搭載処理に関する情報を表示する表示部と、
前記選定条件を各々充足する複数候補の吸着ノズルがある場合に、当該複数候補の吸着ノズル各々を示す情報が表示されるように前記表示部を制御する表示制御部と、
前記表示部に表示された前記複数候補の吸着ノズルの中から一つの吸着ノズルを選択する選択指令が入力される指令入力部と、をさらに含み、
前記ノズル選定処理部は、前記複数候補の吸着ノズルのうち、前記選択指令の入力により選択された一つの吸着ノズルを選定する、ことを特徴とする部品実装装置。
【請求項2】
請求項1に記載の部品実装装置において、
前記選定条件は、前記ノズル開口部の全体が前記被吸着面に重なるという第1条件と、前記ノズル開口部の大きさが所定の閾値以上であるという第2条件と、を含み、
前記ノズル選定処理部は、前記第1条件及び前記第2条件を充足するか否かを判定し、両条件を充足する吸着ノズルを選定する、ことを特徴とする部品実装装置。
【請求項3】
請求項2に記載の部品実装装置において、
前記ノズル選定処理部は、前記所定の部品における前記被吸着面の目標となる吸着位置に対して、予め設定されたずれ量分だけずれた位置を前記吸着ノズルが吸着した状態を基準として、前記第1条件を充足するか否かを判定する、ことを特徴とする部品実装装置。
【請求項4】
請求項に記載の部品実装装置において、
前記部品と、当該部品の部品搭載処理に使用される前記吸着ノズルとを関連付けて記録したノズルマッチング情報を記憶する記憶部をさらに含み、
前記表示制御部は、前記選択指令の入力により選択された前記吸着ノズルが、前記記憶部に記憶されている既定の前記吸着ノズルと異なる場合には、部品搭載処理における前記搭載ヘッドの駆動制御用のパラメータ値の見直しを求める情報が表示されるように、前記表示部を制御する、ことを特徴とする部品実装装置。
【請求項5】
請求項に記載の部品実装装置において、
前記部品と、当該部品の部品搭載処理に使用される前記吸着ノズルとを関連付けて記録したノズルマッチング情報を記憶する記憶部をさらに含み、
前記ノズル選定処理部は、前記選択指令の入力により選択された前記吸着ノズルが、前記ノズルマッチング情報に記録されている既定の前記吸着ノズルとは異なる場合には、前記実装実行部を制御し、前記選択された吸着ノズルを用いた部品吸着テストであって、予め設定された駆動制御用のパラメータ値に基づいて前記搭載ヘッドを駆動することにより前記部品吸着処理及び前記画像取得処理を行う部品吸着テストを実行し、当該部品吸着テストの結果に基づき前記選択された吸着ノズルの適否を判定し、
前記表示制御部は、前記ノズル選定処理部による前記判定結果を示す情報が表示されるように前記表示部を制御する、ことを特徴とする部品実装装置。
【請求項6】
請求項に記載の部品実装装置において、
前記ノズル選定処理部は、前記部品吸着テストにおいて前記吸着ノズルによる前記部品の吸着レベルを示す吸着レベルデータと、前記部品吸着処理に関する前記処理状態画像とを取得し、前記吸着レベルが規定範囲内にあるという条件と、前記処理状態画像から認識される前記部品の吸着状態が許容範囲内にあるという条件の少なくとも一方の条件を充足するときには、前記選択された前記吸着ノズルが適当であると判定する、ことを特徴とする部品実装装置。
【請求項7】
品実装装置であって
部品供給エリアにおいて供給される部品を吸着する部品吸着処理を行う吸着ノズルを備え、前記吸着ノズルにより吸着された前記部品を基板に搭載する部品搭載処理を行う搭載ヘッドと、前記部品吸着処理に関する処理状態画像を取得する画像取得処理を行う撮像部と、を含む実装実行部と、
所定の部品との関係において当該所定の部品の前記部品搭載処理に使用する前記吸着ノズルを、複数の吸着ノズルの中から選定する選定処理を行うノズル選定処理部と、を備え、
前記撮像部は、前記吸着ノズルをその軸方向に沿って先端側から撮像することにより前記ノズル開口部を撮像可能に構成され、
前記ノズル選定処理部は、前記実装実行部を制御することにより、前記撮像部に前記吸着ノズルのノズル開口部を撮像させ、当該ノズル開口部の画像に基づき前記ノズル開口部の大きさに関する情報を取得し、さらに、
前記ノズル選定処理部は、前記複数の吸着ノズルの各々のノズル開口部の大きさに関する情報および前記所定の部品の被吸着面の大きさに関する情報を取得し、当該情報に基づき、前記ノズル開口部の大きさ及び前記被吸着面の大きさに関連付けられた選定条件を充足するか否かを判定することにより、前記選定条件を充足する吸着ノズルを前記複数の吸着ノズルの中から選定する、ことを特徴とする部品実装装置。
【請求項8】
請求項1又は7に記載の部品実装装置において、
前記撮像部を第1撮像部と定義したときに、
前記実装実行部は、前記搭載ヘッドと共に移動して、前記部品供給エリアに配置された部品を撮像可能な第2撮像部をさらに含み、
前記ノズル選定処理部は、前記実装実行部を制御することにより、前記部品供給エリアに配置された部品の画像を前記第2撮像部に撮像させ、当該部品の画像に基づき前記被吸着面の大きさに関する情報を取得する、ことを特徴とする部品実装装置。
【請求項9】
請求項1又は7に記載の部品実装装置において、
前記部品と、当該部品の部品搭載処理に使用される前記吸着ノズルであって且つ前記ノズル選定処理部による前記選定処理により選定された吸着ノズルとを関連づけて記録したノズルマッチング情報を記憶する記憶部と、
前記部品に応じて、当該部品の部品搭載処理が前記ノズルマッチング情報に記録された前記吸着ノズルを用いて行われるように前記実装実行部を制御する実装制御部と、を備えることを特徴とする部品実装装置。
【請求項10】
請求項に記載の部品実装装置において、
前記実装実行部は、複数の前記搭載ヘッドを備え且つ前記部品供給エリアと前記基板との間を移動可能なヘッドユニットを含み、
前記実装制御部は、特定の部品との関係において、当該特定部品に対応する吸着ノズルとして前記ノズルマッチング情報に記録されている吸着ノズルを備えた複数の搭載ヘッドが前記ヘッドユニットに存在する場合には、当該特定部品の部品搭載処理における各搭載ヘッドの移動経路の距離を各々求め、当該移動経路の距離が最短となる搭載ヘッドを用いて前記特定部品の部品搭載処理が行われるように前記実装実行部を制御する、ことを特徴とする部品実装装置。
【請求項11】
請求項9に記載の部品実装装置において、
前記実装実行部は、複数の前記搭載ヘッドを備え且つ前記部品供給エリアと前記基板との間を移動可能なヘッドユニットを含み、
前記実装制御部は、特定の部品との関係において、当該特定部品に対応する吸着ノズルとして前記ノズルマッチング情報に記録されている吸着ノズルを備えた複数の搭載ヘッドが前記ヘッドユニットに存在する場合には、当該特定部品の部品搭載処理に要する各搭載ヘッドの処理時間を各々求め、当該処理時間が最短となる搭載ヘッドを用いて前記特定部品の部品搭載処理が行われるように前記実装実行部を制御する、ことを特徴とする部品実装装置。
【請求項12】
請求項9に記載の部品実装装置において、
前記実装実行部は、複数の前記搭載ヘッドを備え且つ前記部品供給エリアと前記基板との間を移動可能なヘッドユニットを含み、
前記実装制御部は、特定の部品との関係において、当該特定部品に対応する吸着ノズルとして前記ノズルマッチング情報に記録されている吸着ノズルを備えた複数の搭載ヘッドが前記ヘッドユニットに存在する場合には、前記複数の搭載ヘッド各々の吸着力の情報を取得し、当該吸着力が最も強い前記吸着ノズルを用いて前記部品の部品搭載処理が行われるように前記実装実行部を制御する、ことを特徴とする部品実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品供給エリアから部品を取り出し、その部品を基板上に搬送して搭載(実装)することにより、部品搭載基板を生産する部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
部品実装装置は、部品を供給するフィーダと、フィーダにより供給される部品を吸着する吸着ノズルを先端に備え、部品を基板上に搬送して搭載する搭載ヘッドと、を備える。
【0003】
前記搭載ヘッドに備えられる吸着ノズルは、部品を確実かつ安定的に吸着保持することが求められる。そのため、通常は、吸着面の形状や大きさが互いに異なる複数タイプ(種類)の吸着ノズルの中から、部品の吸着処理に適したタイプの吸着ノズルが選定されて使用される。この際、一品種の部品に対して一タイプの吸着ノズルが選定されて使用される場合が多いが、特許文献1に開示されるように、一品種の部品に対して複数タイプの吸着ノズルが選定され、これらの吸着ノズルが使い分けられる場合もある。
【0004】
しかしながら、既述のような吸着ノズルの選定は、オペレータがその経験や勘を頼りに部品と吸着ノズルとの相性を推測して行われている。そのため、選定されるタイプがオペレータによって異なり、必ずしも部品との関係で適当でないタイプの吸着ノズルが選定される場合もある。このような場合には、吸着ノズルによる部品の吸着状態が不安定となり易く、これを補うために搭載ヘッドの移動速度を小さく設定する必要が生じ、結果、部品搭載基板の生産効率を低下させることが考えられる。従って、オペレータの経験や勘に頼らなくても、部品との関係において、当該部品の部品搭載処理に適した吸着ノズルを選定できるような技術が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-142216号公報
【発明の概要】
【0006】
本発明は、オペレータの経験や勘に頼らなくても、部品との関係において、当該部品の部品搭載処理に適した吸着ノズルを選定し得る部品実装装置を提供することを目的とする。
【0007】
そして、本発明の一局面に係る部品実装装置は、部品供給エリアにおいて供給される部品を吸着する部品吸着処理を行う吸着ノズルを備え、前記吸着ノズルにより吸着された前記部品を基板に搭載する部品搭載処理を行う搭載ヘッドと、前記部品吸着処理に関する処理状態画像を取得する画像取得処理を行う撮像部と、を含む実装実行部と、所定の部品との関係において当該所定の部品の前記部品搭載処理に使用する前記吸着ノズルを、複数の吸着ノズルの中から選定する選定処理を行うノズル選定処理部と、を備え、前記ノズル選定処理部は、前記複数の吸着ノズルの各々のノズル開口部の大きさに関する情報および前記所定の部品の被吸着面の大きさに関する情報を取得し、当該情報に基づき、前記ノズル開口部の大きさ及び前記被吸着面の大きさに関連付けられた選定条件を充足するか否かを判定し、前記選定条件を充足する吸着ノズルを前記複数の吸着ノズルの中から選定するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明に係る部品実装装置の構成を示すブロック図である。
図2図2は、前記部品実装装置の装置本体の平面図である。
図3図3は、前記装置本体の主にヘッドユニットを示す正面図である。
図4図4は、ヘッドユニットに備えられる搭載ヘッドに装着された吸着ノズルを示す図である。
図5図5は、ノズル選定処理部によるノズル選定処理の制御(メインルーチン)を示すフローチャートである。
図6図6は、前記選定処理におけるデータ取得処理の制御(サブルーチン)を示すフローチャートである。
図7図7は、吸着ノズルの選定条件を説明する図である。
図8図8は、複数の選定候補がある場合の表示部による表示画面の一例を示す図である。
図9図9は、実装制御部による部品搭載処理の制御を示すフローチャートである。
図10図10は、前記ノズル選定処理の制御の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態について詳述する。
【0010】
[部品実装装置の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る部品実装装置100の構成を示すブロック図である。部品実装システム100は、プリント配線基板等の基板P上に電子部品(以下、「部品」と称する)を搭載して部品搭載基板を生産する装置である。部品実装装置100は、装置本体1と、制御部2と、通信部3と、表示部4と、操作部5とを備える。なお、装置本体1は、本発明の「実装実行部」に相当し、操作部5は、本発明の指令入力部に相当する。
【0011】
装置本体1は、基板Pに部品を搭載する部品搭載処理を行う。通信部3は、後記管理装置110とデータ通信を行うためのインターフェースであり、各種のデータ及び情報を管理装置110との間で出入力する機能を有する。制御部2は、後記記憶装置23に記憶された各種データに基づき装置本体1による部品搭載処理を制御するとともに、通信部3のデータ通信を制御する。表示部4は、部品搭載処理に関する各種情報を表示する。操作部5は、オペレータによる制御部2に対する各種指令の入力操作を受ける。以下、これら各部の詳細な構成について説明する。
【0012】
図2は、部品実装装置100の装置本体1を示す平面図であり、図3は、装置本体1の主にヘッドユニット16を示す正面図である。なお、図2図3では、XYZ直交座標を用いて方向関係が示されている。
【0013】
装置本体1は、基台10と、コンベア12と、部品供給ユニット14と、ヘッドユニット16と、撮像部18とを含む。基台10は、装置本体1が備える各種機器の搭載ベースである。コンベア12は、基台10上にX方向に延びるように設置された、基板Pの搬送ラインであり、一対のベルト式コンベア12aで構成されている。コンベア12は、機外から所定の作業位置に基板Pを搬入し、実装作業後に基板Pを作業位置から機外へ搬出する。図2中に示す基板Pの位置が作業位置である。なお、コンベア12は、図略のクランプ機構を備えており、基板Pは、部品搭載処理中、このクランプ機構により作業位置に位置決めされた状態で保持される。
【0014】
部品供給ユニット14は、部品を供給するためのエリアであり、Y方向においてコンベア12の両側に各々設けられている。部品供給ユニット14には、複数のフィーダ14aが設置され、各フィーダ14aにより部品が供給される。当例では、各部品供給ユニット14には、一定間隔で部品(小型の表面実装部品)が収納されたテープを繰り出しながら部品を供給するテープフィーダが設置されている。部品供給ユニット14には、テープフィーダ以外の各種フィーダが配置され得る。
【0015】
ヘッドユニット16は、部品供給ユニット14においてフィーダ14aから部品をピッキングして作業位置へ移動し、クランプ機構に保持された基板Pに対して当該部品を搭載する、部品搭載処理を行う。図3に示すように、ヘッドユニット16は、吸着ノズル161を各々先端(下端)に備えた複数の搭載ヘッド160を有する。吸着ノズル161はフィーダ14aにより供給される部品を吸着することが可能なノズルである。吸着ノズル161は部品を吸着する部品吸着処理を行う。
【0016】
図4は、ヘッドユニット16の各搭載ヘッド160に装着された吸着ノズル161と、各吸着ノズル161各々の先端面、つまり部品の吸着面162を示している。なお図4では、便宜上、X方向における両端の搭載ヘッド160についてのみ符号を付している。
【0017】
吸着面162は、吸着ノズル161の中心軸に対して直交する面からなり、その中心にノズル開口部162aが設けられている。ノズル開口部162aは、電動切替弁を介して負圧発生装置、正圧発生装置及び大気の何れかに連通可能とされている。吸着ノズル161に負圧が供給されることで当該吸着ノズル161による部品の吸着保持が可能となり、その後、正圧が供給されることで当該部品の吸着保持が解除される。なお、各搭載ヘッド160の吸着ノズル161と電動切替弁の各々との間の通路には、図外の吸着レベルセンサが備えられている。吸着レベルセンサは、部品の吸着レベル、具体的には前記通路内の負圧のレベルを検出して制御部2に出力する。
【0018】
搭載ヘッド160は、Z方向への進退(昇降)移動と、軸回りの回転移動(R方向への移動)とが可能であり、図外のモータにより駆動される。つまり、フィーダ14aからの部品のピッキングの際には、所定の退避位置から搭載ヘッド160が所定の部品吸着位置へ下降し、部品を吸着ノズル161により吸着保持した後、前記退避位置に上昇する。また、基板Pへの部品の搭載の際には、基板Pの上方において前記退避位置から搭載ヘッド160が部品搭載位置へ下降し、当該部品の吸着保持を解除することにより部品を基板P上にリリースする。これにより、基板P上に設定された目標搭載位置に部品が搭載される。
【0019】
ヘッドユニット16は、ヘッドユニット駆動機構17の作動によって、少なくとも部品供給ユニット14と作業位置の基板Pとの間の上方空間において、水平方向(XY方向)に移動可能である。ヘッドユニット駆動機構17は、図2及び図3に示すように、基台10に設置された一対の高架フレームに各々固定された固定レール171と、固定レール171に沿ってY方向に移動するビーム部材172と、このビーム部材172に沿ってX方向に移動する図外のユニット支持部とを備える。このユニット支持部にヘッドユニット16が組付けられている。ビーム部材172及びユニット支持部材は各々モータの駆動力で移動する。これらビーム部材172及びユニット支持部材の移動により、ヘッドユニット16がXY方向に移動する。
【0020】
撮像部18は、第1撮像部181と、第2撮像部182とを含む。第1撮像部181及び第2撮像部182は、何れも、CMOS(Complementary metal - oxide - semiconductor)やCCD(Charged - coupled device)等の撮像素子を備えた撮像カメラと、撮像用の照明を提供する照明装置とで構成されている第1撮像部181は、基台10上において部品供給ユニット14とコンベア12との間に上向きに設置されている。第1撮像部181は、吸着ノズル161による部品の吸着保持の状態を認識するために当該部品を撮像する部品撮像処理を行う。第1撮像部181は、各搭載ヘッド160の吸着ノズル161がフィーダ14aから部品を吸着保持した後、ヘッドユニット16が作業位置の基板Pの上方へ移動する際に、当該第1撮像部181の上方を経由することにより、各吸着ノズル161に吸着保持された部品を下方側(つまり、吸着ノズル161の軸方向に沿った先端側)から撮像する。このようにして得られる画像は、吸着ノズル161による部品の吸着ミス(部品が吸着されていな状態)の他、例えば、吸着ノズル161に吸着保持された部品の姿勢、形状、吸着ノズル161に対する部品の吸着位置のずれ量などを確認することが可能な画像(部品吸着処理に関する処理状態画像)である。基板P上へ部品が搭載される際には、この部品の姿勢やずれ量に基づきヘッドユニット16の移動方向や移動量が補正される。これにより、目標搭載位置への部品の搭載精度が確保される。
【0021】
第2撮像部182は、ヘッドユニット16に下向きに配置されている。第2撮像部182は、各搭載ヘッド160が部品搭載処理を実行する際に、作業位置に配置された基板Pの上面に付設されている各種マークを認識するために、当該マークを上方側から撮像する。この基板P上のマークの認識によって、基板Pの原点座標に対する位置ずれ量が検知される。また、第2撮像部182は、後述するノズル選定処理の際に、部品の被吸着面S(図7参照)、つまり吸着ノズル161により吸着される面を認識するために、部品供給ユニット14に設置されたフィーダ14aの部品供給位置に配置された部品を上方から撮像する。
【0022】
ノズルホルダ6は、コンベア12と一方の部品供給ユニット14との間に、前記第1撮像部181に対してX方向に隣接して設置されている。ノズルホルダ6は、吸着ノズル161を保持する装置である。ノズルホルダ6には、複数の吸着ノズル161が、ヘッドユニット16の任意の搭載ヘッド160に対して装着可能となる状態で保持されている。ノズルホルダ6に保持されている吸着ノズル161は、部品搭載基板の生産開始前又は生産中に、必要に応じて各搭載ヘッド160に対して着脱される。
【0023】
図1に戻って、表示部4は、例えば液晶ディスプレイ等によって構成され、装置本体1による部品搭載処理の各種情報を表示する。表示部4の表示動作は、表示制御部25によって制御される。操作部5は、キーボード、マウス、又は表示部4に設けられたタッチパネル等によって構成される。操作部5は、オペレータによる制御部2に対する各種指令の入力操作を受ける。
【0024】
制御部2は、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)等から構成されている。制御部2は、CPUがROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、装置本体1の各構成要素の動作を制御するとともに、通信部3のデータ通信動作を制御し、更に各種演算処理を実行する。図1に示されるように、制御部2は、主たる機能構成として、実装制御部21、ノズル選定処理部22、画像処理部24、表示制御部25、及び通信制御部26などを含む。制御部2には、書き換え可能なハードディスク等の記憶装置23が付設される。
【0025】
実装制御部21は、記憶部置23に記憶されている各種データに基づいて装置本体1による部品搭載処理の動作を統括的に制御するとともに、当該制御に伴う各種演算処理や判定処理を実行する。
【0026】
記憶装置23には、実装制御部21やノズル選定処理部22により実行される各種のプログラムや、当該プログラムの実行に際して参照される各種データが記憶されている。各種データには基板データD1及び実装データD2が含まれる。
【0027】
基板データD1は、主に生産される基板P(部品搭載基板)に関するデータであり、生産計画情報D11と、搭載部品情報D12とを含む。生産計画情報D11は、生産が予定されている基板Pの種類を示す基板名、各種類の基板Pの生産順序、及び各種類の基板Pの生産数などの情報である。搭載部品情報D12は、各種類の基板Pに搭載される部品と、各部品の基板P上における目標搭載位置(X、Y、R)と、当該部品の部品吸着処理の際の吸着ノズル161による目標吸着位置(X、Y)との関係が登録された情報である。目標吸着位置は、通常、部品の被吸着面Sの中心位置に設定される。
【0028】
実装データD2は、実装制御部21による装置本体1の部品搭載処理の制御や、ノズル選定処理部22による吸着ノズル161の後記ノズル選定処理の制御に必要な各種演算処理及び判定処理において参酌される情報である。実装データD2は、部品情報D21、ノズル情報D22、ノズルマッチング情報D23、制御用パラメータ情報D24、段取り情報D25及びノズルホルダ情報D26を含む。
【0029】
部品情報D21は、部品の種類を示す部品名、部品の外形寸法、被吸着面Sの寸法及び面積(被吸着面Sの大きさに関する情報)、部品の厚みなどが、部品の種類毎に登録された情報である。ノズル情報D22は、吸着ノズル161の種類を示す種別情報、吸着ノズル161の吸着面162の寸法及び面積、ノズル開口部162aの寸法及び面積(ノズル開口部の大きさに関する情報)などが、吸着ノズル161の種類毎に登録された情報である。
【0030】
ノズルマッチング情報D23は、部品とその部品の部品搭載処理に使用する吸着ノズル161の種類との関係が登録された情報である。ノズルマッチング情報D23には、部品の種類毎に一種類の吸着ノズル161であって、後記ノズル選定処理により選定された種類の吸着ノズル161が登録されている。
【0031】
制御用パラメータ情報D24は、部品搭載処理におけるヘッドユニット16及び搭載ヘッド160の駆動制御用のパラメータが登録された情報である。制御用パラメータ情報D24には、ヘッドユニット16のパラメータとして、ヘッドユニット16の移動速度や加減速度に関する情報が登録されている。また、搭載ヘッド160のパラメータとして、部品吸着時及び部品搭載時における搭載ヘッド160の昇降速度及び加減速度、並びに、部品吸着位置及び部品搭載位置(何れもZ方向の位置)に関する情報が登録されている。
【0032】
段取り情報D25は、部品供給ユニット14に設置されたフィーダ14aを特定するパラメータが登録された情報である。この段取り情報D25には、フィーダ14aを特定するパラメータとして、フィーダ14aの種類、フィーダ14aを特定するための識別子、フィーダ14aの部品供給ユニット14におけるセット位置、各フィーダ14aにより供給される部品の種類などが登録されている。
【0033】
ノズルホルダ情報D26は、ノズルホルダ6にセットされている吸着ノズル161と、当該吸着ノズル161のノズルホルダ6におけるセット位置などが登録された情報である。
【0034】
ノズル選定処理部22は、部品との関係において当該部品の部品搭載処理に適した種類の吸着ノズル161を選定するノズル選定処理を実行する。ノズル選定処理は、例えば、ノズルマッチング情報D23に登録されていない新規の部品が搭載部品情報D12に含まれている場合に、ヘッドユニット16の各搭載ヘッド160に装着されている吸着ノズル161及びノズルホルダ6に保持されている吸着ノズル161の中から当該部品の部品搭載処理に適した種類の吸着ノズル161を選定して、前記マッチング情報D23に登録する処理である。このノズル選定処理については後に詳述する。
【0035】
画像処理部24は、第1撮像部181及び第2撮像部182から出力される画像信号を取り込み、当該画像信号に基づいてデジタル画像を生成する。この画像に基づき、吸着ノズル161に吸着保持された部品の姿勢、形状、部品の吸着位置のずれ量などを認識する処理が実装制御部21及びノズル選定処理部22によって行われる。
【0036】
表示制御部25は、表示部4による表示動作を制御する。また、通信制御部26は、通信部3を制御することにより、部品実装装置100と管理装置110との間のデータ通信を制御する。
【0037】
なお、管理装置110は、部品実装装置100とデータ通信可能に接続された、例えばパーソナルコンピュータによって構成される。管理装置110は、部品実装システム100から出力される管理データDMを取得し、当該管理データDMを蓄積して記憶する。管理データDMは、搭載ヘッド160による1回の部品搭載処理の履歴であり、部品搭載処理における部品認識結果や吸着位置のずれ量などのデータと、部品搭載処理で使用された搭載ヘッド160、吸着ノズル161及びフィーダ14a等とが関連付けられたデータである。管理データDMは、実装制御部21により作成されて、例えば、基板Pの生産品種の切替えの際に部品実装装置100から管理装置110に出力される。
【0038】
[ノズル選定処理]
次に、ノズル選定処理の制御について図5及び図6を用いて説明する。図5は、制御部2(主にノズル選定処理部22)によるノズル選定処理の制御(メインルーチン)を示すフローチャートであり、図6は、ノズル選定処理におけるデータ取得処理の制御(サブルーチン)を示すフローチャートである。
【0039】
ノズル選定処理は、既述の通り、部品との関係において、当該部品の部品搭載処理に適した種類の吸着ノズル161(以下、「種類」を略して記載する場合がある)を選定してノズルマッチング情報D23登録する処理である。ノズル選定処理は、基板P(部品実装基板)の種類が変更されて、その生産が開始される前に自動的に、又はオペレータによる操作部5の操作に基づき実行される。また、ノズル選定処理は、搭載部品情報D12に含まれている全種類の部品について部品毎に、又は操作部5の操作によりオペレータが選択した一部の種類の部品についてその部品毎に実行される。
【0040】
図5に示すノズル選定処理の制御が開始されると、ノズル選定処理部22は、まず、図6のフローチャートに従って、対象となる部品及び吸着ノズル161のデータ取得処理を実行する(ステップS1)。具体的には、ノズル選定処理部22は、ノズル情報D22を参酌し、ヘッドユニット16の各搭載ヘッド160に装着されている吸着ノズル161及びノズルホルダ6に保持されている吸着ノズル161の情報の有無を判定する(ステップS31)。詳しくは、吸着面162のノズル開口部162aの寸法及び面積のデータの有無を判定し、Yesの場合には、処理をステップS33に移行する。
【0041】
何れかの吸着ノズル161のデータが無い場合(ステップS31でNoの場合)、ノズル選定処理部22は、ヘッドユニット16を駆動し、データの無い吸着ノズル161を第2撮像部182の上方に配置する。これにより、当該吸着ノズル161の吸着面162の画像を取得する処理を実行する(ステップS39)。さらに、ノズル選定処理部22は、取得した画像においてノズル開口部162aの認識が可能か否かを判定する(ステップS41)。ここで、Noの場合には、ノズル開口部162aの特定を要求するメッセージと共にステップS39で取得した吸着面162の画像が表示されるように、表示制御部25が表示部4を制御する(ステップS43)。この場合、オペレータは、操作部5を操作することによりノズル開口部162aを特定することが可能であり、ノズル選定処理部22は、ノズル開口部162aを特定する指令入力があるのを待って、当該入力があると(ステップS45でYes)処理をステップS33に移行する。なお、ノズル開口部162aの特定は、例えば、画面上に表示されるツールをオペレータが操作して吸着面162の画像上でノズル開口部162aに対応する部分の輪郭をなぞることにより行うことができる。
【0042】
ステップS41及びステップS45でYesと判定した場合、ノズル選定処理部22は、処理をステップS33に移行し、ノズル開口部162aのデータを実装データD2から読み出す、若しくはステップS41で認識したノズル開口部162aの画像又はステップS45で特定されたノズル開口部162aの画像に基づき、当該ノズル開口部162aの寸法及び面積を算出する。
【0043】
次に、ノズル選定処理部22は、部品情報D21を参酌して、対象部品の情報の有無を判定する(ステップS35)、詳しくは、対象部品の被吸着面Sの寸法及び面積のデータの有無を判定し、Yesの場合には、処理をステップS37に移行する。
【0044】
データが無い場合(ステップS35でNoの場合)、ノズル選定処理部22は、対象部品の被吸着面Sの画像を取得する処理を実行する(ステップS47)。具体的には、ノズル選定処理部22は、当該対象部品を供給するフィーダ14aを駆動し、その部品取出位置に部品を配置し、さらに、ヘッドユニット16を駆動し、第2撮像部182をフィーダ14aの部品取出位置の上方に配置する。これにより、被吸着面Sを含む部品の画像を第撮像部182により取得させる。そして、取得した画像において被吸着面Sの認識が可能か否かを判定する(ステップS49)、ここでNoの場合には、被吸 着面Sの特定を要求するメッセージと共にステップS47で取得した部品の画像が表示されるように、表示制御部25が表示部4を制御する(ステップS51)。この場合、オペレータは、操作部5を操作することにより被吸着面Sを特定することが可能であり、ノズル選定処理部22は、被吸着面Sを特定する指令入力があるのを待って、当該入力があると(ステップS53でYes)処理をステップS37に移行する。なお、被吸着面Sの特定は、ノズル開口部162aの場合と同様に、画面上に表示されるツールをオペレータが操作して画像上で被吸着面Sに対応する部分の輪郭をなぞることにより行うことができる。
【0045】
ステップS49及びステップS53でYesと判定した場合、ノズル選定処理部22は、処理をステップS37に移行し、被吸着面Sのデータを実装データD2から読み出す、若しくはステップS49で認識した被吸着面Sの画像又はステップS53で特定された被吸着面Sの画像に基づき、当該被吸着面Sの寸法及び面積を算出する。
【0046】
図5に戻って、次に、ノズル選定処理部22は、ステップS33で取得したノズル開口部162aの寸法及び面積と、ステップS37で取得した部品の被吸着面Sの寸法及び面積とに基づいて、対象部品との関係において、予め定められている選定条件を充足する吸着ノズル161が有るか否かを判定する(ステップS3)。
【0047】
図7は、その選定条件を説明するための模式図であり、部品Tとその被吸着面Sを吸着した吸着ノズル161の吸着面162を模式的に示している。より詳しくは、回転方向(R方向の位置)における既定の位置に配置された吸着ノズル161(搭載ヘッド160)が、フィーダ14a(テープフィーダ)の部品供給位置に配置された状態の部品Tの被吸着面Sを吸着している状態を模式的に示している。
【0048】
部品Tは、X方向の長さがSx、Y方向の長さSyの平面視長方形の直方体形状の部品である。よって部品Tは、その上面全体が被吸着面Sである。吸着ノズル161は、平面視で長方形の吸着面162の中心に、X字型のノズル開口部162aを備えている。ノズル開口部162aのX方向における寸法はAx1であり、Y方向における寸法はAyである。
【0049】
ここで、部品吸着処理時に許容される吸着ノズル161のX方向のずれ量をMx、Y方向のずれ量Myとし、吸着ノズル161のノズル開口部162aの面積をAr1、部品Tの被吸着面Sの面積をAr2とし、さらに予め設定された閾値をT1、T2(T1>T2)としたとき、前記の選定条件は、下記の式1~式3のように規定されている。
Sx>(Ax+Mx) (式1)
Sy>(Ay+My) (式2)
T1>(Ar1/Ar2)>T2 (式3)
式1及び式2は、部品吸着時にノズル開口部162aの全体が部品の被吸着面Sに重なるという条件(第1条件)を規定している。この第1条件を充足することにより、吸着ノズル161は、ノズル開口部162aを通じて供給される負圧を漏れなく被吸着面Sに作用させることが可能と言える。
【0050】
また、式3は、部品の被吸着面Sの面積に対するノズル開口部162aの面積の割合が一定の範囲内にあるという条件(第2条件)を規定している。第1条件を満たす限り、ノズル開口部162aの大きさ(面積)は被吸着面Sに対して可及的に大きいのが望ましい。しかし、被吸着面Sに対してノズル開口部162aが大き過ぎると、部品の種類によっては、部品の吸着状態の解除に時間を要し、部品のリリースに悪影響が出る場合があり、逆に小さ過ぎると、吸着ノズル161による部品の吸着保持の安定性が低下する。つまり第3条件を充足することにより、吸着ノズル161は、部品の吸着保持の安定性と、当該吸着保持の解除時の部品のリリース安定性とをバランスさせることが可能となる。
【0051】
ステップS3の処理において、ノズル選定処理部22は、各吸着ノズル161が選定要件(第1、第2条件)を充足するか否かを判定する。ここで、Noの場合には、該当する吸着ノズル161が無いことを示す所定のエラー表示が表示されるように、表示制御部25が表示部4を制御する(ステップS13)これにより本フローチャートの制御を終了する。
【0052】
一方、第1、第2条件を充足する吸着ノズル161が有る場合(ステップS3でYes)には、ノズル選定処理部22は、当該吸着ノズル161を選定する。この場合には、吸着ノズル161の選択画面G1が表示されるように、表示制御部25が表示部4を制御する。選択画面G1は、ステップS3の処理で選定された吸着ノズル161を最終的な選定候補としてオペレータに示すとともに、当該吸着ノズル161を対象部品に対応する吸着ノズル161としてノズルマッチング情報D23に登録するか否かの決定をオペレータに求める画面である。この選択画面G1は、ステップS3の処理で選定された吸着ノズル161(つまり上記第1、第2条件を満たす吸着ノズル161)の数に拘わらず表示される。
【0053】
例えば、図8は、選択画面G1の一例を示している。同図は、ステップS3の処理で選定された吸着ノズル161が複数(3つ)あった場合の選択画面G1を模式的に示している。選択画像G1は、選定候補である吸着ノズル161を示す候補ノズル画像G11と、選択要求画像G12とを含む。候補ノズル画像G11は、ステップS3の処理で選定された吸着ノズル161の各々を示す画像であって、この候補ノズル画像G11は、例えば吸着ノズル161の正面画像G11aと吸着面画像G11bとを含む。選択要求画像G12は、選択画面G1に表示さている吸着ノズル161(候補ノズル画像G11)の何れかの選択(指定)を要求する文字列の画像である。オペレータは、操作部5を操作することにより。選択画像G1に表示されている候補ノズル画像G11のいいずれかを選択することが可能である。
【0054】
図示を省略するが、ステップS3の処理で選定された吸着ノズル161が一つの場合には、選択画面G1として、その吸着ノズル161を示す一つの候補ノズル画像G11と、前記選択要求画像G12とを含む選択画面G1が表表示される。
【0055】
ノズル選定処理部22は、オペレータの操作部5の操作による選択の指令入力を待って、入力があると(ステップS7でYes)、選択された吸着ノズル161の使用実績の有無を判定する(ステップS9)。具体的には、ノズル選定処理部22は、実装データD2のノズルマッチング情報D23を参酌するとともに、通信部3を介して管理装置110に蓄積して記憶されている過去の管理データDMを参酌する。そして、ステップS7の処理で選択された吸着ノズル161が、対象部品との関係においてノズルマッチング情報D23に登録が有るか、または、当該吸着ノズル161が対象部品の過去の部品搭載処理に使用さされており且つ当該部品吸着処理が正常に終了していたか否かを判定する。
【0056】
ステップS9でYesの場合には、ノズル選定処理部22は、実装データD2を更新する(ステップS11)。すなわち、ノズル選定処理部22は、ステップS7の処理で選択された吸着ノズル161を、対象部品に対応する吸着ノズル161としてノズルマッチング情報D23に登録する。これにより、本フローチャートの制御を終了する。
【0057】
一方、選択された吸着ノズル161に使用実績がないと判定した場合(ステップS9でNo)には、ノズル選定処理部22は、処理をステップS15に移行し、実装制御部21を介して装置本体1を制御することにより、部品吸着テストを実行する(ステップS15)。部品吸着テストは、予め設定されたテスト用の駆動制御パラメータに基づいて前記ヘッドユニット16及び搭載ヘッド160を駆動し、ステップS7で選択された吸着ノズル161を用いて実際に対象部品の部品吸着処理を行うとともに第1撮像部181による部品撮像処理を行うテストである。ノズル選定処理部22は、この部品吸着テストにより、部品の吸着レベルデータを取得するとともに、吸着ノズル161に吸着保持された部品の画像を取得し、所定の要求条件が充足されているか否かを判定する(ステップS17)。具体的には、ノズル選定処理部22は、前記吸着レベルが規定範囲内にあり、かつ、吸着ノズル161に吸着保持された部品の姿勢や吸着位置のずれ量等が許容範囲内にあるかを判定する。ここでYesの場合には、ノズル選定処理部22は、処理をステップS11に移行し、実装データD2を更新する。なお、ステップS17でYesの場合には、前記要求条件を充足する旨のメッセージが、具体的な吸着レベルや吸着位置のずれ量の値と共に表示されるように、表示制御部25が表示部4を制御するようにしてもよい。
【0058】
一方、ステップS17の処理で少なくとも一方の条件を充足していないと判定した場合(ステップS17でNo)には、具体的な判定結果と共に、選択された吸着ノズル161が適当でないこと、並びに他の吸着ノズル161を選択することを推奨するメッセージ(ミスマッチ表示)が表示されるように表示制御部25が表示部4を制御する(ステップS19)。
【0059】
その後、ノズル選定処理部22は、ステップS7で選択された吸着ノズル161の他に候補となる吸着ノズル161があるか否かを判定し(ステップS21)、Yesの場合には、処理をステップS5にリターンする。一方、他に候補となる吸着ノズル161が無いと判定した場合(ステップS21でNo)には、処理をステップS13に移行する。
【0060】
[部品搭載処理]
次に、部品搭載処理の制御について図9を用いて説明する。図9は、制御部2(主に実装制御部21)よる部部品搭載処理の制御を示すフローチャートである。
【0061】
部品搭載処理は、実装制御部21が前記基板データD1に基づき、実装データD2を参酌しながら装置本体1の各部を制御することに実行される。
【0062】
実装制御部21は、まず、部品搭載処理に用いる吸着ノズル161を選定し、当該吸着ノズル161をノズルホルダ6からヘッドユニット16の各搭載ヘッド160に装着させる(ステップS41)。この場合、実装制御部21は、搭載部品情報D12に登録されている部品に基づき、ノズルマッチング情報D23を参酌することにより吸着ノズル161を選定する。従って、各搭載ヘッド160には、ノズル選定処理の前記第1、第2条件を充足した吸着ノズル161が装着される。
【0063】
次に実装制御部21は、搭載ヘッド160に装着された吸着ノズル161の中に、同一種類の吸着ノズル161、すなわち同じ種別情報を有する吸着ノズル161が複数あるか否かを判定する(ステップS42)。ここでYesの場合、実装制御部21は、これら同一種類の複数の搭載ヘッド160の中から一つの搭載ヘッド160を選定する(ステップS43)。具体的には、実装制御部21は、同一種類の吸着ノズル161が各々装着された複数の搭載ヘッド160のヘッドユニット16における各々の位置と、段取り情報D25と、搭載部品情報D12に登録されている部品の目標搭載位置(X、Y、R)とに基づき、当該部品の部品搭載処理に要する時間を演算し、当該時間が最も短くなる搭載ヘッド160を選定する(ステップS43)。
【0064】
搭載ヘッド160の選定処理が終了すると、実装制御部21は、搭載部品情報D12に基づき、装置本体1の各部を制御することにより部品搭載処理を実行する。この場合、前記同一種類の吸着ノズル161により部品吸着処理が行われる部品については、ステップS43で選定された吸着ノズル161により部品搭載処理が行われるように実装制御部21により装置本体1が制御される。
【0065】
なお、ステップS42の処理で同一種類の吸着ノズル161が装着された複数の搭載ヘッド160が無い場合には、実装制御部21は、ステップS42、S43の処理をスキップして処理をステップS45に移行する。
【0066】
[作用効果等]
上記部品実装システム100によると、次のような作用効果を享受することができる、すなわち、上記部品実装システム100によれば、基板P(部品実装基板)の種類が変更されて、その生産が開始される前に自動的に、又はオペレータによる操作部5の操作に基づき、吸着ノズル161の選定処理が実行される(図5及び図6)。このノズル選定処理は、既述の通り、部品との関係において、当該部品の部品搭載処理に適した種類の吸着ノズル161を選定する処理である。
【0067】
この選定処理では、ノズル選定処理部22が部品情報D21及ノズル情報D22に基づき、前記第1条件(式1,式2)及び第2条件(式3)を充足するか否かを基準に、対象部品の部品搭載処理に適した種類の吸着ノズル161が選定される(図5のテップS3)。そのため、オペレータは、部品に適した種類の吸着ノズル161を自らの経験や勘に頼って選定する必要がなくなり、吸着ノズル161の選定作業が自動化される。また、選定される吸着ノズルの種類がオペレータによってばらつくことも抑制される。
【0068】
この場合、記憶装置23に記憶されている実装データD2(ノズル情報D22)に、吸着ノズル161の情報が無い場合(図6のステップS31でNoの場合)には、第1撮像部181により当該吸着ノズル161の吸着面162を撮像する処理が実行される。(ステップS39)。また実装データD2(部品情報D21)に、対象部品の情報が無い場合(ステップS35でNo)には、第2撮像部182により当該部品の部品撮像処理が実行される(ステップS47)。そして、これらの処理によって取得された画像に基づき、ノズル開口部162aの寸法及び面積や、対象部品の被吸着面Sの寸法及び面積が求められ、前記第1条件及び第2条件を充足するか否かが判定される。そのため、例えば新規の吸着ノズル161が追加されているような場合や、使用実績の無い、新規の部品が使用されるような場合でも、ノズル選定処理を支障なく実行することができる。つまり、ノズル選定処理について高い実行生が確保されると言える。
【0069】
しかも、吸着ノズル161の吸着面162の画像からノズル開口部162aを認識できない場合には、ノズル開口部162aを特定することを要求する画面が表示部4に表示される(ステップS43)。同様に、部品の画像から被吸着面Sを認識できない場合には、被吸着面Sを特定するように要求する画面が表示部4に表示される(ステップS51)。これに対してオペレータは、操作部5の操作によりノズル開口部162aや被吸着面Sを特定することができる(ステップS43、S45)。そしてこの場合には、オペレータにより特定されたノズル開口部162aの画像や被吸着面Sの画像に基づいて前記寸法や面積が求められた上で、前記第1条件及び第2条件を充足するか否かが判定される。従って、この点でもノズル選定処理について高い実行生が確保される。
【0070】
また、ノズル選定処理において、第1、第2条件を充足する複数の吸着ノズル161がある場合には、当該選定候補の吸着ノズル161を示す候補ノズル画像G11と共に選択要求画像G12が表示部4に表示される(ステップS5)。この場合、オペレータは操作部5を操作することにより、何れかの吸着ノズル161を選択することができる(ステップS7)。そのため、オペレータによる吸着ノズルの選定の自由度が確保される。なお、このことは、厳密には、選定される吸着ノズルがオペレータによってばらつくことを意味するとも言える。しかし、前記複数候補の吸着ノズル161は何れも前記第1、第2条件を充足しており、いずれも対象部品との関係では、当該部品に適した吸着ノズル161である。よって、当該ばらつきによって、従来のように部品搭載基板の生産効率に影響を与えることはなく、従来のような吸着ノズルのばらつきの課題は解消され得る。
【0071】
また、オペレータが選択した吸着ノズル161に使用実績がない場合(ステップS9でNo)には、選択された吸着ノズル161によって実際に部品吸着処理及び画像取得処理を行う部品吸着テストが実行される(ステップS15)。そしてオペレータが選択した吸着ノズル161が部品との関係において適していない場合には、その旨が表示部4に表示される(ステップS19)。つまり、オペレータは、選択した吸着ノズルの適否を検証することができる。従って、最終的に、ノズルマッチング情報D23に登録される吸着ノズル161の信頼性が向上する。
【0072】
また、上記部品実装システム100では、前記選定処理により選定された吸着ノズル161がノズルマッチング情報D23に登録され、このノズルマッチング情報D23に基づき実装制御部21が部品搭載処理を実行する。そのため、部品との関係において、不適切なノズルホルダ6が用いられることによる、部品の吸着ミス等の発生を低減することが可能となる。また、この場合、特定の部品の部品搭載処理に使用される同一種類の吸着ノズル161がヘッドユニット16の複数の搭載ヘッド160に装着されている場合には、前記特定の部品の部品搭載処理に要する時間が最も短くなる搭載ヘッド160が選定される(図ステップS43)。そして、前記特定の部品については当該選定された搭載ヘッド160により部品搭載処理が行われる。そのため、上記部品実装システム100によれば、吸着ノズル161による部品吸着処理の安定性を保ちつつ搭載ヘッド160による部品搭載処理をより効率良く行うことが可能となる。
【0073】
[変形例等]
以上説明した部品実装装置100は、本発明に係る部品実装装置の好ましい実施形態の例示であって、具体的な構成は本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。例えば、以下の(1)~(6)の構成や、当該(1)~(6)の構成を相互に組み合わせた構成も本発明の範囲に属する。
【0074】
(1)ノズル選定処理の制御として、図10のフローチャートに示すような制御も適用可能である。図10のフローチャートに示す制御は、図5のステップS9の代わりにテップS8a~8Cの処理(破線で囲んだ部分の処理)が設けられ、ステップS15~ステップS21の処理が省略されている。其れ以外の各ステップの処理の内容は図5のフローチャートと基本的には同じである。
【0075】
図10のフローチャートに示す制御では、複数候補の吸着ノズル161から一つの吸着ノズル161が選択されると(ステップS7でYes)、ノズル選定処理部22は、選択された吸着ノズル161が既定のノズルか否かを判定する(ステップS8a)。つまり、ノズル選定処理部22は、ノズルマッチング情報D23を参酌し、選択された吸着ノズル161が、対象部品に対応する吸着ノズル161として既にノズルマッチング情報D23に登録されているか否かを判定する。ステップS8aの処理でNoの場合には、駆動系の設定パラメータ値の見直要求画面が表示されるように、すなわち実装データD2の制御用パラメータ情報D24に登録されているパラメータ値の見直要求の画面が表示されるように表示制御部25が表示部4を制御する(ステップS8b)。これに対してオペレータが操作部5を操作し、パラメータ値を変更する操作、又は既定のパラメータ値を維持する操作が行われると(ステップS8cでYes)、ノズル選定処理部22は、実装データD2を更新する(ステップS11)。具体的には、ノズル選定処理部22は、ノズルマッチング情報D23に登録されている吸着ノズル161を、ステップS7で選択された吸着ノズル161に書き替え、さらに、ステップS8での操作内容応じ、パラメータ値が変更さされた場合には、制御用パラメータ情報D24のパラメータ値を変更後のパラメータ値に書き替える。
【0076】
なお、ステップS7の処理で選択された吸着ノズル161が既定のノズルであると判定した場合(ステップS8aでYes)には、ノズル選定処理部22は、ステップS8a~ステップS11の処理をスキップして本フローチャートによるノズル選定処理の制御を終了する。
【0077】
図10のフローチャートの制御によれば、ステップS5の処理でオペレータが選択した吸着ノズル161が、そのまま対象部品に対応する吸着ノズル161として最終的にノズルマッチング情報D23に登録されることとなる。そのため、既述のような部品吸着テストが行われない分、ノズル選定処理が速やかに完了する。しかも、選択された吸着ノズル161が既定の吸着ノズル161と異なる場合には、オペレータに対して、制御用パラメータ情報D24に登録されているパラメータ値の見直しが喚起されるため、例えば、対象部品と選択された吸着ノズル161との組合せにおいてヘッドユニット16や搭載ヘッド160の移動速度をアップすることが可能な場合には、制御用パラメータ情報D24に登録されているパラメータ値を変更することにより、装置本体1による部品搭載処理をより高速化することが可能となる。従って、部品実装システム100における部品搭載基板の生産性の向上に寄与するという利点がある。
【0078】
(2)実施形態では、複数候補の吸着ノズル161から一つの吸着ノズル161が選択されると(図5のステップS7でYes)、ノズル選定処理部22は、選択した吸着ノズル161に使用実績があるか否か判定を行う。しかし、例えば、ノズル選定処理部22は、選択された吸着ノズル161をそのまま対象部品に対応する吸着ノズル161としてノズルマッチング情報D23に登録するように構成されていてもよい。この場合には、図5のステップS9及びステップS15~S21は省略される。
【0079】
(3)実施形態では、実装データD2の部品情報D21やノズル情報D22は部品実装装置100の記憶装置23に記憶されているが、これらの情報D21、D22は、例えば管理装置110に記憶されていてもよい。この場合には、ノズル選定処理部22は、必要に応じて、管理装置110から前記情報D21、D22を取得するように構成される。なお、複数台の部品実装装置が連結されて部品搭載基板の生産ラインが構成されるような場合には、管理装置110は、複数台の部品実装装置の各々から出力される管理データDMを記憶するように構成される。この場合、図5のステップS9の処理(つまり使用実績の有無の判定処理)については、ノズル選定処理部22が自機の管理データDM以外に、自機以外の他の部品実装装置の管理データDMを参酌するように構成される。
【0080】
(4)実装制御部21による部品搭載処理の制御、具体的には図9のステップS43の処理において、実施形態では、実装制御部21が、同一種類の吸着ノズル161が各々装着された複数の搭載ヘッド160のうち、部品搭載処理に要する時間が最も短くなる搭載ヘッド160を選定するように構成されている。しかし、実装制御部21は、例えば、各搭載ヘッド160(ヘッドユニット16)の部品搭載処理に要する移動経路の距離を各々求め、当該移動距離が最も短くなる搭載ヘッド160を選定する構成であってもよい。この構成によっても、実施形態と同様に、吸着ノズル161による部品吸着処理の安定性を保ちつつ搭載ヘッド160による部品搭載処理をより効率良く行うことが可能となる。
【0081】
また、実装制御部21は、ステップS43の処理において吸着力が最も強い吸着ノズル161を選定する構成であってもよい。この構成によれば吸着ノズル161による部品吸着処理の安定性をより高度に確保することが可能となる。この場合、吸着力は、ノズル開口部162aの大きさに略比例するため、例えば、同一種類の複数の吸着ノズル161の各々について、ノズル開口部162aの寸法及び面積(ノズル開口部の大きさに関する情報)を前記ノズル情報D22に登録しておき、実装制御部21が当該ノズル情報D22を参照することにより、前複数の搭載ヘッド160のうち、ノズル開口部162aの面積が最も大きい吸着ノズル161が装着された搭載ヘッド160を選定するようにしてもよい。
【0082】
(5)実施形態では、ノズル選定処理部22による吸着ノズル161の選定条件(図5のステップS3)は、既述の第1条件(式1、式2)及び第2条件(式3)を充足することである。しかし、さらに追加の条件を設けても良い。また、実施形態の第2条件では、部品の被吸着面Sの面積に対するノズル開口部162aの面積の割合が一定の範囲にあることが規定されている。しかし、第1条件を満たす限り、本来的には、ノズル開口部162aの大きさ(面積)は被吸着面Sに対して可及的に大きいのが望ましい。従って、第2条件は、部品の被吸着面Sの面積に対するノズル開口部162aの面積の割合が閾値以上であるという規定であってもよい。つまり、上記(式3)は、(Ar1/Ar2)>T2とされてもよい。
【0083】
(6)実施形態での部品実装システム100では、吸着ノズル161による部品吸着処理に関する処理状態画像を取得する画像取得処理を行う撮像部18として、吸着ノズル161に吸着保持された部品を下方側から撮像する第2撮像部182が設けられているが、さらに、吸着ノズル161に吸着保持された部品を側方から撮像する第3撮像部を備えていてもよい。この場合、図5のステップS15、S17の処理(部品吸着テスト)では、第1撮像部181及び第3撮像部により部品を撮像し、当該画像から認識される部品の吸着状態が許容範囲内にあるか否かを判定するようにしてもよい。
【0084】
以上説明した本発明をまとめると以下の通りである。
【0085】
本発明の一の局面に係る部品実装装置は、部品供給エリアにおいて供給される部品を吸着する部品吸着処理を行う吸着ノズルを備え、前記吸着ノズルにより吸着された前記部品を基板に搭載する部品搭載処理を行う搭載ヘッドと、前記部品吸着処理に関する処理状態画像を取得する画像取得処理を行う撮像部と、を含む実装実行部と、所定の部品との関係において当該所定の部品の前記部品搭載処理に使用する前記吸着ノズルを、複数の吸着ノズルの中から選定する選定処理を行うノズル選定処理部と、を備え、前記ノズル選定処理部は、前記複数の吸着ノズルの各々のノズル開口部の大きさに関する情報および前記所定の部品の被吸着面の大きさに関する情報を取得し、当該情報に基づき、前記ノズル開口部の大きさ及び前記被吸着面の大きさに関連付けられた選定条件を充足するか否かを判定し、前記選定条件を充足する吸着ノズルを前記複数の吸着ノズルの中から選定する。
【0086】
この部品実装装置によれば、ノズル選定処理部が、各吸着ノズル開口部の大きさに関する情報および前記所定の部品の被吸着面の大きさに関する情報を取得し、記前記ノズル開口部の大きさ及び前記被吸着面の大きさに関連付けられた選定条件を充足するか否かに基づき、所定の部品との関係において当該所定の部品の記部品搭載処理に使用する前記吸着ノズルを選定する。そのため、オペレータは、部品に適したな吸着ノズルを自らの経験や勘に頼って選定する必要がなくなり、吸着ノズルの選定作業が自動化される。また、選定される吸着ノズルがオペレータによってばらつくことも抑制される。
【0087】
上記構成において、より具体的に、前記選定条件は、前記ノズル開口部の全体が前記被吸着面に重なるという第1条件と、前記ノズル開口部の大きさが所定の閾値以上であるという第2条件と、を含み、前記ノズル選定処理部は、前記第1条件及び前記第2条件を充足するか否かを判定し、両条件を充足する吸着ノズルを選定する。
【0088】
この構成によれば、ノズル選定処理部による選定処理において、部品の被吸着面に対してノズル開口部が占める割合が可及的に大きくなるような吸着ノズル、すなわち可及的に吸着力の大きい吸着ノズルを選定することが可能となる。そのため、部品との関係において、当該部品をより確実にかつ安定的に吸着保持できる吸着ノズルを選定することが可能となる。
【0089】
この場合、前記ノズル選定処理部は、前記所定の部品における前記被吸着面の目標となる吸着位置に対して、予め設定されたずれ量分だけずれた位置を前記吸着ノズルが吸着した状態を基準として、前記第1条件を充足するか否かを判定する、ことを特徴とするのが好適である。
【0090】
この構成によれば、吸着ノズルによる吸着位置のずれ量分(許容されるようなズレ量)が考慮された上で第1条件を充足するか否かが判定される。そのため、搭載ヘッドによる実際の部品搭載処理の動作に即した信頼性の高い吸着ノズルを選定することが可能となる。
【0091】
上記の部品実装装置においては、前記部品搭載処理に関する情報を表示する表示部と、前記選定条件を各々充足する複数候補の吸着ノズルがある場合に、当該複数候補の吸着ノズル各々を示す情報が表示されるように前記表示部を制御する表示制御部と、前記表示部に表示された前記複数候補の吸着ノズルの中から一つの吸着ノズルを選択する選択指令が入力される指令入力部と、をさらに含み、前記ノズル選定処理部は、前記複数候補の吸着ノズルのうち、前記選択指令の入力により選択された一つの吸着ノズルを選定する、構成であってもよい。
【0092】
この構成によると、前記選定条件を各々充足する複数候補の吸着ノズルがある場合には、当該複数候補の吸着ノズル各々を示す情報が表示部に表示される。オペレータは、指令入力部を介して、表示部に表示された前記複数候補の吸着ノズルの中から一つの吸着ノズルを選択することができる。そのため、吸着ノズルの選定の自由度が確保される。この場合、複数候補の吸着ノズルは何れも前記選定条件を各々充足するため、いずれの吸着ノズルが選択された場合でも、部品との関係では、当該部品の部品搭載処理に適切な吸着ノズルと言える。
【0093】
この場合には、前記部品と、当該部品の部品搭載処理に使用される前記吸着ノズルとを関連づけて記録したノズルマッチング情報を記憶する記憶部をさらに含み、前記表示制御部は、前記選択指令の入力により選択された前記吸着ノズルが、前記記憶部に記憶されている既定の前記吸着ノズルと異なる場合には、部品搭載処理における前記搭載ヘッドの駆動制御用のパラメータ値の見直しを求める情報が表示されるように、前記表示部を制御する構成であってもよい。
【0094】
この構成では、ノズルマッチング情報に登録されている既定の吸着ノズルと異なる吸着ノズルがオペレータにより選択された場合には、前記搭載ヘッドの駆動制御用のパラメータ値の見直しを求める情報が表示される。そのため、選択された吸着ノズルと部品との関係において、駆動制御用のパラメータ値をより好ましい値に変更することが促される。
【0095】
また、上記部品実装装置においては、前記部品と、当該部品の部品搭載処理に使用される前記吸着ノズルとを関連づけて記録したノズルマッチング情報を記憶する記憶部をさらに含み、前記ノズル選定処理部は、前記選択指令の入力により選択された前記吸着ノズルが、前記ノズルマッチング情報に記録されている既定の前記吸着ノズルとは異なる場合には、前記実装実行部を制御し、前記選択された吸着ノズルを用いた部品吸着テストであって、予め設定された駆動制御用のパラメータ値に基づいて前記搭載ヘッドを駆動することにより前記部品吸着処理及び前記画像取得処理を行う部品吸着テストを実行し、当該部品吸着テストの結果に基づき前記選択された吸着ノズルの適否を判定し、前記表示制御部は、前記ノズル選定処理部による前記判定結果を示す情報が表示されるように前記表示部を制御するように構成されていてもよい。
【0096】
この構成によると、ノズルマッチング情報に登録されている既定の吸着ノズルと異なる吸着ノズルがオペレータにより選択された場合には、実際に前記部品吸着処理及び前記画像取得処理を行う部品吸着テストが実行されて、その結果が表示部に表示される。つまり、オペレータは、選択した吸着ノズルの適否を検証することができる。そのため、オペレータは選択した吸着ノズルに対する信頼を得ることが可能となる。
【0097】
この場合、前記ノズル選定処理部は、前記部品吸着テストにおいて前記吸着ノズルによる前記部品の吸着レベルを示す吸着レベルデータと、前記部品吸着処理に関する前記処理状態画像とを取得し、前記吸着レベルが規定範囲内にあるという条件と、前記処理状態画像から認識される前記部品の吸着状態が許容範囲内にあるという条件の少なくとも一方の条件を充足するときには、前記選択された前記吸着ノズルが適当であると判定する構成であってもよい。
【0098】
この構成によれば、選択された吸着ノズルの適否を前記部品吸着テストにいて適切に判定することが可能となる。
【0099】
上記の部品実装装置において、前記撮像部は、前記吸着ノズルをその軸方向に沿って先端側から撮像することにより前記ノズル開口部を撮像可能に構成され、前記ノズル選定処理部は、前記実装制御部を制御することにより、前記撮像部に前記吸着ノズルのノズル開口部を撮像させ、当該ノズル開口部の画像に基づき前記ノズル開口部の大きさに関する情報を取得する構成であってもよい。
【0100】
この構成によれば、予め前記ノズル開口部の大きさに関する情報を部品実装装置が保有していないような場合、例えば新規吸着ノズルが追加されたような場合でも、ノズル選定処理部による選定処理を行うことが可能となる。そのため、ノズル選定処理部による前記選定処理について実行性が確保される。
【0101】
上記の部品実装装置において、前記撮像部を第1撮像部と定義したときに、前記実装実行部は、前記搭載ヘッドと共に移動して、前記部品供給エリアに配置された部品を撮像可能な第2撮像部をさらに含み、前記ノズル選定処理部は、前記実装制御部を制御することにより、前記部品供給エリアに配置された部品の画像を前記第2撮像部に撮像させ、当該部品の画像に基づき前記被吸着面の大きさに関する情報を取得する構成であってもよい。
【0102】
この構成によれば、部品の被吸着面の大きさに関する情報を部品実装装置が保有していないような場合、例えば新規部品が使用されるような場合でも、前記ノズル選定処理部による選定処理を行うことができる。そのため、ノズル選定処理部による前記選定処理について実行性が確保される。
【0103】
上記の部品実装装置においては、前記部品と、当該部品の部品搭載処理に使用される前記吸着ノズルであって且つ前記ノズル選定処理部による前記選定処理により選定された吸着ノズルとを関連づけて記録したノズルマッチング情報を記憶する記憶部と、前記部品に応じて、当該部品の部品搭載処理が前記ノズルマッチング情報に記録された前記吸着ノズルを用いて行われるように前記実装実行部を制御する実装制御部と、を備えるのが好適である。
【0104】
この構成によれば、部品に応じて、前記ノズルマッチング情報に記録された前記吸着ノズルを用いて部品搭載処理が実行される。そのため、部品との関係で、不適切な吸着ノズルが用いられることによる、部品吸着処理のエラー等を低減することが可能となる。
【0105】
この場合、前記部品実装部は、複数の前記搭載ヘッドを備え且つ前記部品供給エリアと前記基板との間を移動可能なヘッドユニットを含み、前記実装制御部は、特定の部品との関係において、当該特定部品に対応する吸着ノズルとして前記ノズルマッチング情報に記録されている吸着ノズルを備えた複数の搭載ヘッドが前記ヘッドユニットに存在する場合には、当該特定部品の部品搭載処理に要する各搭載ヘッドの移動経路の距離を各々求め、当該移動経路の距離が最短となる搭載ヘッドを用いて前記特定部品の部品搭載処理が行われるように前記実装実行部を制御するのが好適である。
【0106】
この構成によれば、吸着ノズルによる部品の吸着処理の安定性を保ちつつ部品の搭載処理を効率良く行うことが可能となる。
【0107】
また、上記部品実装装置において、前記部品実装部は、複数の前記搭載ヘッドを備え且つ前記部品供給エリアと前記基板との間を移動可能なヘッドユニットを含み、前記実装制御部は、特定の部品との関係において、当該特定部品に対応する吸着ノズルとして前記ノズルマッチング情報に記録されている吸着ノズルを備えた複数の搭載ヘッドが前記ヘッドユニットに存在する場合には、前記複数の搭載ヘッド各々の前記吸着力の情報を取得し、当該吸着力が最も強い前記吸着ノズルを用いて前記部品の部品搭載処理が行われるように前記実装実行部を制御するように構成されていてもよい。
【0108】
この構成によれば、吸着ノズルによる部品の吸着処理の安定性を保ちつつ部品の搭載処理を効率良く行うことが可能となる。
【0109】
また、上記部品実装装置において、前記部品実装部は、複数の前記搭載ヘッドを備え且つ前記部品供給エリアと前記基板との間を移動可能なヘッドユニットを含み、前記実装制御部は、特定の部品との関係において、当該特定部品に対応する吸着ノズルとして前記ノズルマッチング情報に記録されている吸着ノズルを備えた複数の搭載ヘッドが前記ヘッドユニットに存在する場合には、前記複数の搭載ヘッド各々の前記吸着力の情報を取得し、当該吸着力が最も強い前記吸着ノズルを用いて前記部品の部品搭載処理が行われるように前記実装実行部を制御する、ように構成されていてもよい。
【0110】
この構成によれば、吸着ノズルによる部品の吸着処理の安定性をより高度に保ちつつ部品の搭載処理を行うことが可能となる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10