(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0211 20230101AFI20241125BHJP
【FI】
G06Q30/0211
(21)【出願番号】P 2024000378
(22)【出願日】2024-01-05
【審査請求日】2024-01-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 徹
【審査官】野口 俊明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2023/136080(WO,A1)
【文献】特開2004-192141(JP,A)
【文献】特許第7329707(JP,B1)
【文献】特開2020-052805(JP,A)
【文献】特開2023-121550(JP,A)
【文献】特開2023-121712(JP,A)
【文献】特開2003-296820(JP,A)
【文献】国際公開第2022/254952(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トークンの発行を要求するユーザを識別するためのユーザ識別情報を含む、トークンの発行要求を受け付ける受付部と、
前記受付部が前記発行要求を受け付けると、当該発行要求に含まれるユーザ識別情報が示すユーザが所定の商品を購入していることを条件として、当該ユーザ識別情報に関連付けられたトークンであって、
前記所定の商品を製造又は販売する事業者の運営方針の決定に関する投票権を有し、当該トークンが償還されたことを条件として当該トークンの保有者に対して、前記所定の商品の購入状況又は利用状況に対応する量の所定の便益が付されるトークン
であるガバナンストークンを発行する発行部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記所定の商品を購入したユーザのユーザ識別情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部を参照して前記受付部が受け付けた前記発行要求に含まれるユーザ識別情報が示すユーザが前記所定の商品を購入しているかを判定する判定部と、
を有し、
前記発行部は、前記判定部が前記発行要求に含まれるユーザ識別情報が示すユーザが前記所定の商品を購入していると判定したことを条件として、当該ユーザ識別情報に関連付けられたトークンを発行する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記発行部は、前記トークンが償還されたことを条件として当該トークンの保有者に対して前記所定の商品又は前記所定の商品と異なる商品を受け取る権利が前記所定の便益として付されるトークンを発行する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記所定の便益の量を決定する決定部を有し、
前記発行部は、前記決定部が決定した量の前記所定の便益が付されるトークンを発行する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記所定の商品の売上を示す売上情報を記憶する記憶部を有し、
前記決定部は、前記売上情報が示す前記所定の商品の売上が多いほど前記所定の便益の量が多くなるように、前記所定の便益の量を決定する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記決定部は、前記トークンを保有するユーザの前記所定の商品又は前記所定の商品の販売者若しくは製造者に関する行動である関連行動を示す行動情報を取得し、取得した行動情報に基づいて当該関連行動を特定し、特定した当該関連行動に応じて前記所定の便益の量を決定する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記受付部は、前記トークンを識別するためのトークン識別情報を含む前記トークンの償還要求を受け付け、
前記受付部が前記償還要求を受け付けると、当該償還要求に含まれるトークン識別情報に対応するトークンの償還条件を満たすか否かを判定する判定部と、
前記償還条件を満たすと前記判定部が判定すると、前記償還要求に含まれるトークン識別情報に対応する前記トークンの償還を許可する許可情報を出力する償還部と、
を有する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記発行部は、償還日時が設定されたトークンを発行し、
前記判定部は、前記受付部が前記償還要求を受け付けると、前記償還要求を受け付けた日時が、当該償還要求に含まれるトークン識別情報に対応するトークンに設定された償還日時以降であるか否かに基づいて償還条件を満たすか否かを判定する、
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記判定部は、前記受付部が前記償還要求を受け付けると、当該償還要求に含まれるトークン識別情報に関連付けられている償還条件を特定し、特定した償還条件を満たすか否かを判定する、
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記償還部は、前記許可情報の出力を条件に、前記償還要求に含まれるトークン識別情報に対応するトークンを消滅させる処理を実行する、
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記受付部は、前記トークンを識別するためのトークン識別情報と、当該トークンに新たに関連付ける前記ユーザ識別情報とを含む、前記トークンの移転要求を受け付け、
前記受付部が前記移転要求を受け付けると、前記移転要求に含まれるトークン識別情報に関連付けられているユーザ識別情報を、前記移転要求に含まれるユーザ識別情報に変更する処理を実行する移転部を有する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記ガバナンストークンの消滅条件が満たされていると、前記ガバナンストークンが有する投票権の使用の有無にかかわらず、前記ガバナンストークンを消滅させる処理を実行する消滅処理部を有する、
請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項13】
コンピュータが実行する、
トークンの発行を要求するユーザを識別するためのユーザ識別情報を含む、トークンの発行要求を受け付けるステップと、
前記発行要求を受け付けると、当該発行要求に含まれるユーザ識別情報が示すユーザが所定の商品を購入していることを条件として、当該ユーザ識別情報に関連付けられたトークンであって、
前記所定の商品を製造又は販売する事業者の運営方針の決定に関する投票権を有し、当該トークンが償還されたことを条件として当該トークンの保有者に対して、前記所定の商品の購入状況又は利用状況に対応する量の所定の便益が付されるトークン
であるガバナンストークンを発行するステップと、
を有する情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品の販売促進等を目的として、特定の商店街又は特定のメーカ等において、ユーザが所定の商品を購入したことに応じて、ユーザのポイントカードにポイントを付与し、ポイントの量に応じてユーザに商品等を引渡可能とするシステムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のシステムでは、ポイントが付与される対象の所定の商品の売れ行きに関わらず、ユーザに付与されたポイントの量に応じて、予め定められた数の商品等が引き渡されることから、所定の商品に関するユーザの関心度が低いという問題があった。所定の商品に関するユーザの関心度が低いと、SNS(Social Networking Service)等を介した所定の商品に関する情報が広まらず、販売が促進されないという問題が発生する。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、所定の商品の販売を促進することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る情報処理装置は、トークンの発行を要求するユーザを識別するためのユーザ識別情報を含む、トークンの発行要求を受け付ける受付部と、前記受付部が前記発行要求を受け付けると、当該発行要求に含まれるユーザ識別情報が示すユーザが所定の商品を購入していることを条件として、当該ユーザ識別情報に関連付けられたトークンであって、当該トークンが償還されたことを条件として当該トークンの保有者に対して、前記所定の商品の購入状況又は利用状況に対応する量の所定の便益が付されるトークンを発行する発行部と、を有する。
【0007】
前記情報処理装置は、前記所定の商品を購入したユーザのユーザ識別情報を記憶する記憶部と、前記記憶部を参照して前記受付部が受け付けた前記発行要求に含まれるユーザ識別情報が示すユーザが前記所定の商品を購入しているかを判定する判定部と、を有し、前記発行部は、前記判定部が前記発行要求に含まれるユーザ識別情報が示すユーザが前記所定の商品を購入していると判定したことを条件として、当該ユーザ識別情報に関連付けられたトークンを発行してもよい。
【0008】
前記発行部は、前記トークンが償還されたことを条件として当該トークンの保有者に対して前記所定の商品又は前記所定の商品と異なる商品を受け取る権利が前記所定の便益として付されるトークンを発行してもよい。
【0009】
前記情報処理装置は、前記所定の便益の量を決定する決定部を有し、前記発行部は、前記決定部が決定した量の前記所定の便益が付されるトークンを発行してもよい。
【0010】
前記情報処理装置は、前記所定の商品の売上を示す売上情報を記憶する記憶部を有し、前記決定部は、前記売上情報が示す前記所定の商品の売上が多いほど前記所定の便益の量が多くなるように、前記所定の便益の量を決定してもよい。
【0011】
前記決定部は、前記トークンを保有するユーザの前記所定の商品又は前記所定の商品の販売者若しくは製造者に関する行動である関連行動を示す行動情報を取得し、取得した行動情報に基づいて当該関連行動を特定し、特定した当該関連行動に応じて前記所定の便益の量を決定してもよい。
【0012】
前記受付部は、前記トークンを識別するためのトークン識別情報を含む前記トークンの償還要求を受け付け、前記情報処理装置は、前記受付部が前記償還要求を受け付けると、当該償還要求に含まれるトークン識別情報に対応するトークンの償還条件を満たすか否かを判定する判定部と、前記償還条件を満たすと前記判定部が判定すると、前記償還要求に含まれるトークン識別情報に対応する前記トークンの償還を許可する許可情報を出力する償還部と、を有してもよい。
【0013】
前記発行部は、償還日時が設定されたトークンを発行し、前記判定部は、前記受付部が前記償還要求を受け付けると、前記償還要求を受け付けた日時が、当該償還要求に含まれるトークン識別情報に対応するトークンに設定された償還日時以降であるか否かに基づいて償還条件を満たすか否かを判定してもよい。
【0014】
前記判定部は、前記受付部が前記償還要求を受け付けると、当該償還要求に含まれるトークン識別情報に関連付けられている償還条件を特定し、特定した償還条件を満たすか否かを判定してもよい。
前記償還部は、前記許可情報の出力を条件に、前記償還要求に含まれるトークン識別情報に対応するトークンを消滅させる処理を実行してもよい。
【0015】
前記受付部は、前記トークンを識別するためのトークン識別情報と、当該トークンに新たに関連付ける前記ユーザ識別情報とを含む、前記トークンの移転要求を受け付け、前記情報処理装置は、前記受付部が前記移転要求を受け付けると、前記移転要求に含まれるトークン識別情報に関連付けられているユーザ識別情報を、前記移転要求に含まれるユーザ識別情報に変更する処理を実行する移転部を有してもよい。
前記発行部は、前記トークンとして、前記所定の商品を製造又は販売する事業者の運営方針の決定に関する投票権を有するガバナンストークンを発行してもよい。
【0016】
前記情報処理装置は、前記ガバナンストークンの消滅条件が満たされていると、前記ガバナンストークンが有する投票権の使用の有無にかかわらず、前記ガバナンストークンを消滅させる処理を実行する消滅処理部を有してもよい。
【0017】
本発明の第2の態様に係る情報処理方法は、コンピュータが実行する、トークンの発行を要求するユーザを識別するためのユーザ識別情報を含む、トークンの発行要求を受け付けるステップと、前記発行要求を受け付けると、当該発行要求に含まれるユーザ識別情報が示すユーザが所定の商品を購入していることを条件として、当該ユーザ識別情報に関連付けられたトークンであって、当該トークンが償還されたことを条件として当該トークンの保有者に対して、前記所定の商品の購入状況又は利用状況に対応する量の所定の便益が付されるトークンを発行するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、所定の商品の販売を促進することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図5】トークンのデータ構造の一例を示す図である。
【
図6】情報処理装置におけるトークンの発行に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図7】情報処理装置におけるトークンの償還に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[情報処理装置1の概要]
図1は、情報処理システムSの概要を示す図である。情報処理システムSは、例えば、ユーザに対し、償還可能なトークンを発行するシステムである。情報処理システムSは、情報処理装置1と、店舗において使用される店舗端末2と、ユーザが使用するユーザ端末3とを有する。
【0021】
情報処理装置1は、店舗端末2及びユーザ端末3とインターネットや携帯電話回線等の通信ネットワークを介して通信可能に接続されている。また、情報処理装置1は、所定のブロックチェーンに通信可能に接続されている。所定のブロックチェーンは、情報処理装置1が参照可能なプライベートブロックチェーンであるものとする。以下の説明において、所定のブロックチェーンを、単にブロックチェーンともいう。
【0022】
ブロックチェーン上に記憶される情報は、例えば、償還可能なトークンであって、償還されたことを条件として当該トークンの保有者に対して、所定の商品の購入状況又は利用状況に対応する量の所定の便益が付されるユーティリティトークンである。本実施の形態において、トークンの償還とは、設定された期日が到来した後に、トークンを保有者がトークンを保有する権利を失うことをいう。トークンは、例えば、ブロックチェーンによって、保有者を識別するための識別情報(ID:Identifier)と関連付けて記憶される。
【0023】
ブロックチェーンは複数のデータのブロックを含み、各ブロックはトークンの保有者が移転されたことを示す一又は複数のトランザクションを含む。ブロックチェーン内の各ブロックには所定の規則で生成されたハッシュ値が含まれており、ブロック間のハッシュ値の整合性を確認することによりブロックチェーン全体の正しさが担保される。
【0024】
所定の商品は、例えば店舗端末2が使用されている店舗において販売されている商品であるものとするが、これに限らず、当該店舗において利用可能なサービスであってもよい。また、所定の便益は、例えば、市場における所定の商品の購入状況に応じた量の所定の商品がトークンの保有者に引き渡されることである。
【0025】
情報処理装置1は、ユーザ端末3を使用するユーザが、店舗において所定の商品を購入したことに応じて、店舗端末2からトークンの発行要求を受け付ける(
図1における(1)、(2))。トークンの発行要求には、ユーザを識別するためのユーザ識別情報としてのユーザIDが含まれている。
【0026】
情報処理装置1は、トークンの発行要求を受け付けると、発行要求に含まれるユーザIDが示すユーザが所定の商品を購入しているかを判定する(
図1における(3))。情報処理装置1は、ユーザが所定の商品を購入していると判定すると、ユーザIDに関連付けられた、償還可能なトークンを発行する(
図1における(4))。このようにすることで、ユーザは、自身に対して償還可能なトークンが発行されることを所望し、所定の商品を購入することとなる。したがって、情報処理装置1は、所定の商品の販売を促進することができる。
【0027】
その後、ユーザは、トークンの償還により引き渡される所定の商品を受け取るため、店舗において、ユーザ端末3を用いて店舗端末2に対してトークンの償還要求を行う(
図1における(5))。トークンの償還要求には、トークンを識別するためのトークン識別情報としてのトークンIDが含まれている。店舗端末2は、ユーザ端末3からトークンの償還要求を受け付けると、当該償還要求を情報処理装置1に送信する(
図1における(6))。
【0028】
情報処理装置1は、店舗端末2からトークンの償還要求を受け付けると、償還要求に含まれているトークンIDが示すトークンの償還条件を満たしているかを判定する(
図1における(7))。情報処理装置1は、償還条件を満たしていると判定すると、トークンの償還が許可されたことを示す許可情報を店舗端末2に送信する(
図1における(8))。店舗端末2が許可情報を受信すると、店舗の店員は、所定の商品をユーザに引き渡す(
図1における(9))。このようにすることで、ユーザは、トークンの償還に応じて所定の商品を受け取ることができる。
【0029】
[情報処理装置1の機能構成]
続いて、情報処理装置1の構成の詳細を説明する。
図2は、情報処理装置1の機能構成を示す図である。情報処理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを有する。
【0030】
通信部11は、インターネットや携帯電話回線等の通信ネットワークを介して店舗端末2及びユーザ端末3等の外部装置とデータを送受信するための通信インターフェースである。
記憶部12は、各種のデータを記憶する記憶媒体であり、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及びハードディスク等を有する。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを記憶する。記憶部12は、制御部13を、受付部131、判定部132、発行部133、決定部134、移転部135、及び償還部136として機能させるプログラムを記憶する。
【0031】
また、記憶部12は、所定の商品を購入したユーザのユーザIDを含む所定の商品の購入履歴情報を記憶する。
図3は、購入履歴情報の一例を示す図である。
図3に示すように、購入履歴情報は、ユーザのユーザIDと、当該ユーザが購入した所定の商品を識別するための商品IDと、当該商品の購入数量と、当該商品の購入日時と、当該商品に対してトークンが発行されたか否かを示す発行フラグとを関連付けた情報である。発行フラグには、0又は1が格納される。発行フラグの値が0の場合、所定の商品の購入に対応してトークンが発行されていないことを示し、発行フラグの値が1である場合、所定の商品の購入に対応してトークンが発行されていることを示すものとする。
【0032】
また、記憶部12は、所定の商品の売上を示す売上情報を記憶する。
図4は、売上情報の一例を示す図である。
図4に示すように、売上情報は、所定の商品の商品IDと、売上の集計期間と、集計期間における所定の商品の売上とを関連付けた情報である。ここで、所定の商品の売上は、市場における売上、すなわち、複数の店舗における売上の合計を示すものとする。また、売上情報は、例えば制御部13により定期的に更新されるものとする。
【0033】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、受付部131、判定部132、発行部133、決定部134、移転部135、及び償還部136として機能し、トークンの発行、トークンの償還によりトークンの保有者に付与される便益の量の決定、トークンの移転、及びトークンの償還に関する処理を実行する。以下、これらの処理の詳細について説明する。
【0034】
[トークンの発行]
まず、トークンの発行に係る処理について説明する。
受付部131は、トークンの発行要求を受け付ける。例えば、店舗の店舗端末2は、所定の商品を購入するユーザが使用するユーザ端末3から、ユーザIDを含む決済要求を受け付け、当該ユーザIDを用いて所定の商品の購入に係る決済を行う。決済が行われたことに応じて、情報処理装置1の記憶部12には、購入履歴情報が記憶される。その後、店舗端末2は、トークンの発行を要求するユーザを識別するためのユーザIDと、所定の商品の商品IDとを含むトークンの発行要求を情報処理装置1に送信する。受付部131は、店舗端末2からトークンの発行要求を受け付ける。
【0035】
なお、受付部131は、店舗端末2からトークンの発行要求を受け付けたがこれに限らず、ユーザ端末3からトークンの発行要求を受け付けてもよい。この場合、ユーザ端末3には、トークンに関するサービスを受けるためのアプリケーションプログラムであるトークンアプリがインストールされている。ユーザ端末3は、トークンアプリを実行することにより、ユーザの所定の商品の購入履歴を自身の表示部に表示し、当該購入履歴に対応するトークンの発行を要求する操作をユーザから受け付ける。例えば、ユーザ端末3は、トークンの発行を要求する操作を受け付けると、ユーザ端末3を使用するユーザのユーザIDと、所定の商品の商品IDとを含むトークンの発行要求を情報処理装置1に送信する。受付部131は、ユーザ端末3からトークンの発行要求を受け付ける。
【0036】
判定部132は、受付部131が発行要求を受け付けると、トークンの発行条件を満たしているか否かを判定する。具体的には、判定部132は、受付部131が発行要求を受け付けると、記憶部12を参照して受付部131が受け付けた発行要求に含まれるユーザIDが示すユーザが、発行要求に含まれる商品IDが示す所定の商品を購入しているかを判定する。
【0037】
例えば、判定部132は、記憶部12に記憶されている購入履歴情報を参照し、発行要求に含まれるユーザIDと商品IDとに対応する購入履歴のうち、発行フラグの値が「0」である購入履歴が存在するか否かを判定する。判定部132は、発行フラグの値が「0」である購入履歴が存在すると判定すると、ユーザが所定の商品を購入していると判定し、発行フラグの値が「0」である購入履歴が存在しないと判定すると、ユーザが所定の商品を購入していないと判定する。
【0038】
発行部133は、受付部131が発行要求を受け付けると、当該発行要求に含まれるユーザIDが示すユーザが所定の商品を購入していることを条件として、当該ユーザIDに関連付けられたトークンであって、当該トークンが償還されたことを条件として当該トークンの保有者に対して、所定の商品の購入状況又は利用状況に対応する量の所定の便益が付されるトークンを発行する。
【0039】
具体的には、発行部133は、判定部132がトークンの発行条件を満たしていると判定したこと、すなわち、発行要求に含まれるユーザIDが示すユーザが所定の商品を購入していると判定部132が判定したことを条件として、当該ユーザIDに関連付けられたトークンを発行する。発行部133は、トークンとして、所定の商品を製造又は販売する事業者の運営方針の決定に関する投票権を有するガバナンストークンを発行する。ここで、投票権は、トークンの償還日時までの事業者の運営方針の決定に関する投票に対する投票権であってもよい。
【0040】
また、発行部133は、償還日時が予め設定されたトークンを発行するものとするが、これに限らない。発行部133は、償還日時が設定されていないトークンを発行してもよい。この場合、制御部13は、発行部133が当該トークンを発行した後に、償還日時を設定する設定部を有してもよい。
【0041】
発行部133は、発行要求に含まれるユーザID及び商品IDに関連付けられたトークンをブロックチェーンに発行させる。ここで、トークンの構成について説明する。
図5は、トークンのデータ構造の一例を示す図である。
図5に示すトークンにおいては、トークンIDと、商品IDと、トークンの発行日時と、保有者の識別情報と、投票権の数と、所定の便益の量と、償還条件URI(Universal Resource Identifier)とが関連付けられている。
【0042】
保有者の識別情報には、トークンを保有するユーザのユーザIDとして、所定の商品を購入したユーザのユーザID、又はトークンを譲受したユーザのユーザIDが格納される。投票権の数は、所定の商品を製造又は販売する事業者の運営方針の決定に関する投票に対する投票権の数である。発行部133は、所定の商品の購入数が多ければ多いほど投票権の数が多くなるように投票権の数を決定する。
【0043】
所定の便益は、例えば、トークンの保有者が、所定の商品又は所定の商品と異なる商品を受け取る権利である。所定の便益の量は、市場における複数のユーザの所定の商品の購入状況に対応する量であり、決定部134により決定される。決定部134の処理については後述する。
【0044】
償還条件URIは、トークンの償還条件を示す償還条件情報にアクセスするためのアクセス用情報である。償還条件は、例えば、トークンの償還が可能となる日を示す償還日時以降に償還要求を行うこと、償還日時よりも後に設定されるトークンの償還受付期間内に償還要求を行うことである。なお、償還条件には、所定の商品を所定数購入することや、所定の商品に関連する関連行動を行うことといった、所定の商品に関連する条件が設けられていてもよい。
【0045】
発行部133は、トークンを発行すると、発行要求に含まれるユーザIDと店舗IDとに対応する購入履歴のうち、発行フラグの値が「0」の発行フラグの値を「1」に変更する。
【0046】
[所定の便益の量の決定]
続いて、トークンが償還されたことを条件にトークンの保有者に付与される所定の便益の量を決定する処理について説明する。
【0047】
決定部134は、トークンの償還に伴ってトークンの保有者に付される所定の便益の量を決定する。例えば、決定部134は、記憶部12に記憶されている所定の商品の売上情報が示す所定の商品の売上が多いほど所定の便益の量が多くなるように、所定の便益の量を決定する。例えば、所定の便益がトークンの保有者に所定の商品が引き渡されることである場合、決定部134は、記憶部12に記憶されている売上情報が示す所定の商品の売上が多いほど、トークンの保有者に引き渡される所定の商品の量を多くする。
【0048】
決定部134は、所定の便益の量を決定すると、当該トークンのトークンIDと、所定の便益の量とを関連付けさせる指示をブロックチェーンに送信する。ブロックチェーンは、情報処理装置1が送信した指示に従って、トークンIDに関連付けられている所定の便益の量を、決定部134が決定した所定の便益の量に変更する。これにより、当該トークンのトークンIDと、所定の便益の量とが関連づけられる。
【0049】
なお、決定部134は、トークンを保有するユーザの所定の商品又は所定の商品の販売者若しくは製造者に関する行動である関連行動を示す行動情報を取得してもよい。そして、決定部134は、取得した行動情報に基づいて当該関連行動を特定し、特定した当該関連行動に応じて所定の便益の量を決定してもよい。
【0050】
この場合、決定部134は、所定期間ごとに、所定期間におけるユーザの関連行動を示す行動情報を取得する。決定部134は、複数の所定期間それぞれにおける関連行動の実績に伴い、所定の便益の量を決定する。
【0051】
関連行動は、例えば、トークンの発行日時以降における、所定の商品又は所定の商品の販売者若しくは製造者に対する肯定的なメッセージをSNS上で書き込む行動、所定の商品又は所定の商品の販売者若しくは製造者に関連するイベントである関連イベントに参加する行動、及び所定の商品の購買行動である。例えば、SNSのサービスに対応するユーザのIDであるSNS用IDとユーザIDとが関連付けられている。決定部134は、ユーザIDに関連付けられているSNS用IDに対応するSNSのメッセージのうち、所定の商品又は所定の商品の販売者若しくは製造者に対する肯定的なメッセージを、当該ユーザIDに対応するユーザの関連行動を示す行動情報として取得する。
【0052】
また、関連イベントの管理者が、関連イベントに参加したユーザのユーザIDを収集し、収集したユーザIDと、関連イベントを示すイベントIDとを関連付けてイベント参加情報として記憶部12に記憶させておく。決定部134は、イベント参加情報を参照し、ユーザIDに関連付けられているイベントIDの数、すなわち、ユーザのイベントへの参加数を、当該ユーザIDに対応するユーザの関連行動を示す行動情報として取得する。
【0053】
また、決定部134は、記憶部12に記憶されている購買履歴情報を参照し、ユーザIDに対応する、所定期間における所定の商品の購買量を特定し、当該購買量を、当該ユーザIDに対応するユーザの関連行動を示す行動情報として取得する。
【0054】
決定部134は、取得した行動情報に基づいてトークン発行後の関連行動の量を特定し、特定した量に基づいて所定の便益の量を変化させる。例えば、決定部134は、特定した量が多ければ多いほど所定の便益の量が多くなるように、所定の便益の量を変化させる。このようにすることで、ユーザは、トークンの償還時に多くの量の所定の便益を得ようとして関連行動を増加させることとなるので、市場における所定の商品に認知度が高まったり、ユーザの所定の商品の購入意欲が高まったりする。これにより、情報処理装置1は、市場全体における所定の商品の売上が増加する確率を高めることができる。
【0055】
なお、関連行動は、例えば、トークンの発行日時以降における、所定の商品又は所定の商品の販売者若しくは製造者に対する行動であることとしたが、これに限らず、トークンの発行日時以前における、所定の商品又は所定の商品の販売者若しくは製造者に対する行動を含むこととしてもよい。
【0056】
また、ユーザの関連行動の量に基づいて所定の便益の量を変化させる場合、決定部134は、トークンの保有者が移転したことに応じて、移転後のユーザの関連行動の量に基づいて所定の便益の量を決定してもよい。
【0057】
また、複数の所定期間における関連行動の量の積算値をトークンIDと関連付けて記憶させておき、決定部134が、トークンIDに関連付けられている関連行動の量の積算値に基づいて、所定の便益の量を決定してもよい。すなわち、決定部134は、トークンの保有者が移転した場合に、移転前のユーザの関連行動の量と、移転後のユーザの関連行動の量とに基づいて、所定の便益の量を決定してもよい。このようにすることで、移転前のトークンの保有者の関連行動の量が多ければ多いほど、移転後のユーザが、償還時に得られる所定の便益の量が多くなる。したがって、移転前のトークンの保有者の関連行動の量に応じて、トークンの販売価格を変化させることができる。
【0058】
[トークンの移転]
続いて、トークンの移転に係る処理について説明する。トークンの移転は、例えば、トークンの移転元のユーザと移転先のユーザとで金銭の譲受を伴う移転である。受付部131は、トークンを識別するためのトークンIDと、当該トークンに新たに関連付けるユーザのユーザIDとを含む、トークンの移転要求を受け付ける。
【0059】
例えば、まず、受付部131は、トークンを保有する複数のユーザのうち、トークンの販売を希望するユーザのユーザ端末3から、ユーザのユーザIDを取得するとともに、販売対象のトークンのトークンIDと、トークンの販売価格とを受け付ける。受付部131は、トークンIDと、トークンの販売価格とを関連付けてトークン販売情報として記憶部12に記憶させる。
【0060】
また、受付部131は、トークンの購入を希望するユーザのユーザ端末3から、トークンの販売リストの取得要求を受け付ける。受付部131は、販売リストの取得要求を受け付けると、記憶部12に記憶されているトークン販売情報に基づいて、販売中のトークンのトークンIDと、販売価格とを関連付けた販売リストを生成する。ここで、販売リストにおいて、トークンIDに、投票権の数と、トークンの償還に伴い保有者に付与される所定の便益の量を示す情報と、トークンの償還日時との少なくともいずれかが関連付けられていてもよい。
【0061】
受付部131は、販売リストをユーザ端末3に送信し、販売リストを介してトークンの購入を希望するユーザのユーザ端末3から、当該ユーザが購入するトークンのトークンIDと、当該ユーザのユーザIDとを含むトークンの移転要求を受け付ける。
【0062】
移転部135は、受付部131が移転要求を受け付けると、当該移転要求に含まれるトークンIDに関連付けられているユーザIDを、移転要求に含まれるユーザIDに変更する処理を実行する。例えば、記憶部12又は外部装置には、ユーザのユーザIDと、当該ユーザが保有する電子マネーの残高とが関連付けて記憶されている。
【0063】
移転部135は、受付部131が移転要求を受け付けると、ブロックチェーンを参照し、当該移転要求に含まれるトークンIDに関連付けられているトークンの移転元のユーザのユーザIDを特定する。
【0064】
そして、移転部135は、移転要求に含まれているユーザID、すなわち、移転先のユーザIDに関連付けられている電子マネーの残高が、トークンの販売額よりも多いかを判定する。移転部135は、移転先のユーザIDに関連付けられている電子マネーの残高がトークンの販売額よりも多いと判定すると、当該電子マネーの残高から、トークンの販売額を減算する。また、移転部135は、トークンの移転元のユーザのユーザIDに関連付けられている電子マネーの残高に対し、トークンの販売額を加算する。なお、移転部135は、トークンの移転に伴う手数料を算出し、販売額から当該手数料を差し引いた分を、トークンの移転元のユーザのユーザIDに関連付けられている電子マネーの残高に加算してもよい。
【0065】
移転部135は、移転要求に含まれるトークンIDに対応するトークンの保有者を、移転要求に含まれているユーザIDに変更させる変更指示をブロックチェーンに送信する。ブロックチェーンは、情報処理装置1が送信した変更指示に従って、トークンの保有者の識別情報を、移転要求に含まれているユーザIDに変更する。
【0066】
[トークンの償還]
続いて、トークンの償還に係る処理について説明する。
受付部131は、トークンを識別するためのトークンIDを含むトークンの償還要求を受け付ける。例えば、トークンの償還に伴ってトークンの保有者に付与される所定の便益が所定の商品等の各種の商品の保有者への引き渡しである場合、商品は店舗において引き渡される。このため、店舗において、ユーザからトークンの償還依頼を受け付けたことに応じて、店舗の店舗端末2が、トークンの償還要求を情報処理装置1に送信する。
【0067】
例えば、店舗端末2は、ユーザ端末3から、ユーザが償還を希望するトークンのトークンIDを受け付ける。店舗端末2は、受け付けたトークンIDを含むトークンの償還要求を情報処理装置1に送信する。受付部131は、店舗端末2から送信されたトークンの償還要求を受け付ける。
【0068】
なお、受付部131は、店舗端末2からトークンの償還要求を受け付けたがこれに限らず、ユーザ端末3からトークンの償還要求を受け付けてもよい。この場合、ユーザ端末3には、トークンアプリがインストールされている。ユーザ端末3は、トークンアプリを実行することにより、ユーザが保有しているトークンの償還を要求する操作をユーザから受け付けることができる。例えば、ユーザ端末3は、ユーザが保有するトークンの中から償還を要求するトークンの選択を受け付けると、選択されたトークンのトークンIDを含むトークンの償還要求を情報処理装置1に送信する。受付部131は、ユーザ端末3からトークンの償還要求を受け付ける。
【0069】
判定部132は、受付部131が償還要求を受け付けると、当該償還要求に含まれるトークンIDに対応するトークンの償還条件を満たすか否かを判定する。まず、判定部132は、受付部131が償還要求を受け付けると、当該償還要求に含まれるトークンIDに関連付けられている償還条件を特定する。例えば、判定部132は、ブロックチェーンを参照し、償還要求に含まれるトークンIDに関連付けられている償還条件URIを特定する。判定部132は、特定した償還条件URIが示す償還条件の記憶先にアクセスし、償還要求に含まれるトークンIDに対応する償還条件を特定する。
【0070】
判定部132は、特定した償還条件を満たすか否かを判定する。例えば、償還条件には、償還要求を受け付けた日が償還日時以降であるという条件が設けられていることから、判定部132は、受付部131が償還要求を受け付けると、償還要求を受け付けた日時が、当該償還要求に含まれるトークンIDに対応するトークンに設定された償還日時以降であるか否かに基づいて償還条件を満たすか否かを判定する。また、判定部132は、特定した償還条件が複数存在している場合には、複数の条件それぞれを満たすか否かを判定する。
【0071】
償還部136は、償還要求に含まれるトークンIDに対応する償還条件を満たすと判定部132が判定すると、当該トークンIDに対応するトークンの償還を許可する許可情報を出力する。償還部136は、償還要求の要求元の端末に許可情報を送信する。
【0072】
例えば、償還要求の要求元の端末が店舗端末2である場合、償還部136は、店舗端末2に許可情報を送信する。店舗端末2は、許可情報を受信すると許可情報を受信したことを表示部に表示させる。店舗の店員は、許可情報を受信したことを確認し、所定の便益としての所定の商品等をユーザに引き渡すことができる。また、償還要求の要求元の端末がユーザ端末3である場合、償還部136は、ユーザ端末3に許可情報を送信する。ユーザ端末3は、許可情報を受信すると許可情報を受信したことを表示部に表示させる。ユーザは、許可情報を店舗の店員に確認させることで、所定の便益としての所定の商品等を店舗から受け取ることができる。
【0073】
また、償還部136は、消滅処理部として機能し、ガバナンストークンの消滅条件が満たされていると、ガバナンストークンが有する投票権の使用の有無にかかわらず、ガバナンストークンを消滅させる処理を実行する。ここで、ガバナンストークンの消滅条件は、例えば、受付部131がガバナンストークンの償還要求を受け付けた場合に、当該償還条件を満たすことである。
【0074】
例えば、償還部136は、償還要求に含まれるトークンIDに対応するトークンを消滅させる処理として、ブロックチェーンに対し、当該トークンIDのトークンを取り出し不可能なウォレットに移動させる指示を実行する。トークンを取り出し不可能なウォレットは、例えば秘密鍵を有しておらず、格納されたトークンを取り出すことができないウォレットである。このようにすることで、情報処理装置1は、償還されたトークンにより、所定の便益が再びユーザに付与されることを防止することができる。
【0075】
[動作フロー]
続いて、情報処理装置1の処理の流れについて説明する。
図6は、情報処理装置1におけるトークンの発行に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、受付部131は、店舗端末2から、ユーザID及び商品IDを含むトークンの発行要求を受け付ける(S1)。
【0076】
続いて、判定部132は、トークンの発行要求に含まれるユーザIDが示すユーザが、当該発行要求に含まれる商品IDが示す所定の商品を購入したか否かを判定する(S2)。具体的には、判定部132は、記憶部12に記憶されている購入履歴情報を参照し、発行要求に含まれるユーザIDと商品IDとに対応する購入履歴のうち、発行フラグの値が「0」である購入履歴が存在するか否かに基づいて、発行要求に含まれるユーザIDが示すユーザが所定の商品を購入したか否かを判定する。判定部132は、発行要求に含まれるユーザIDが示すユーザが所定の商品を購入したと判定すると(S2のYES)、S3に処理を移し、当該ユーザが所定の商品を購入していないと判定すると(S2のNO)、S5に処理を移す。
【0077】
S3において、発行部133は、発行要求に含まれるユーザID及び商品IDに関連付けられたトークンを発行する処理であるトークン発行処理を実行する。
続いて、発行部133は、トークンが発行されたことを示すトークン発行の完了情報を、発行要求を送信した店舗端末2に送信する(S4)。
S5において、発行部133は、ユーザが所定の商品を購入していないと判定され、トークンの発行ができないことを示すエラー情報を、発行要求を送信した店舗端末2に送信する。
【0078】
図7は、情報処理装置1におけるトークンの償還に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、受付部131は、店舗端末2から、トークンのトークンIDを含むトークンの償還要求を受け付ける(S11)。
続いて、判定部132は、受付部131が償還要求を受け付けると、当該償還要求に含まれるトークンIDに関連付けられている償還条件を特定する(S12)。
【0079】
続いて、判定部132は、特定した償還条件を満たすか否かを判定する(S13)。償還部136は、判定部132が償還条件を満たすと判定すると(S13のYES)、償還要求に含まれるトークンIDにトークンの償還を許可する許可情報を出力し(S14)、当該トークンIDに対応するトークンを消滅させる処理を実行する(S15)。
【0080】
償還部136は、判定部132が償還条件を満たさないと判定すると(S13のNO)、トークンの償還ができないことを示すエラー情報を、償還要求を送信した店舗端末2に送信する(S16)。
【0081】
[変形例]
上述の実施の形態では、所定の商品が、店舗端末2が使用されている店舗において販売されている商品である例について説明したが、所定の商品が所定のサービスである場合には、発行部133は、トークンが償還されたことを条件として当該トークンの保有者に対して、当該所定のサービスの利用状況に対応する量の所定の便益が付されるトークンを発行してもよい。この場合、決定部134は、所定のサービスの利用量が多ければ多いほど、所定の便益の量が多くなるように、所定の便益の量を決定してもよい。
【0082】
[情報処理装置1による効果]
以上説明したように、本実施の形態に係る情報処理装置1は、トークンの発行を要求するユーザを識別するためのユーザIDを含む、トークンの発行要求を受け付けると、当該発行要求に含まれるユーザIDが示すユーザが所定の商品を購入していることを条件として、当該ユーザ識別情報に関連付けられたトークンであって、当該トークンが償還されたことを条件として当該トークンの保有者に対して、所定の商品の購入状況又は利用状況に対応する量の所定の便益が付されるトークンを発行する。このようにすることで、情報処理装置1は、所定の商品の販売を促進することができる。
【0083】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0084】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0085】
1 情報処理装置
2 店舗端末
3 ユーザ端末
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 受付部
132 判定部
133 発行部
134 決定部
135 移転部
136 償還部
S 情報処理システム
【要約】
【課題】所定の商品の販売を促進する。
【解決手段】情報処理装置1は、トークンの発行を要求するユーザを識別するためのユーザIDを含む、トークンの発行要求を受け付ける受付部131と、受付部131が発行要求を受け付けると、当該発行要求に含まれるユーザIDが示すユーザが所定の商品を購入していることを条件として、当該ユーザ識別情報に関連付けられたトークンであって、当該トークンが償還されたことを条件として当該トークンの保有者に対して、所定の商品の購入状況又は利用状況に対応する量の所定の便益が付されるトークンを発行する発行部133と、を有する。
【選択図】
図2