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特許7592924異常検知システム、サーバ、異常検知方法、プログラム及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】異常検知システム、サーバ、異常検知方法、プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   B60L 3/00 20190101AFI20241125BHJP
   G08C 15/00 20060101ALI20241125BHJP
   B60L 53/80 20190101ALI20241125BHJP
【FI】
B60L3/00 S
G08C15/00 D
B60L53/80
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2024098416
(22)【出願日】2024-06-19
(62)【分割の表示】P 2022550272の分割
【原出願日】2020-09-17
(65)【公開番号】P2024125336
(43)【公開日】2024-09-18
【審査請求日】2024-07-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】杉村 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】末吉 俊一郎
(72)【発明者】
【氏名】林田 匡史
(72)【発明者】
【氏名】桑原 真人
(72)【発明者】
【氏名】中島 雄介
【審査官】柳幸 憲子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-123848(JP,A)
【文献】特開2018-160364(JP,A)
【文献】特表2015-504570(JP,A)
【文献】特開2001-128301(JP,A)
【文献】特開2015-047917(JP,A)
【文献】特開2008-312396(JP,A)
【文献】特開2020-053202(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 3/00
G08C 15/00
B60L 53/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動対象物(12)に対して取り付け及び取り外しが可能である着脱式バッテリ(14)の異常を検知する異常検知システム(10)であって、
前記電動対象物とは別に設けられるサーバ(18)を備え、
前記着脱式バッテリは、
検知手段(26)と、
前記検知手段によって測定される測定値のデータである測定データを取得するバッテリ側取得部(34)と、
前記バッテリ側取得部が取得した前記測定データと前記電動対象物を識別するための第1識別データとを紐づけて記憶すると共に、前記着脱式バッテリを識別するための第2識別データを記憶するバッテリ側記憶部(30)と、を有し、
前記サーバは、
前記電動対象物が所定動作をしたときに取得されるデータである基準データを予め記憶するサーバ側記憶部(60)と、
前記着脱式バッテリの前記バッテリ側記憶部に記憶された前記測定データ、前記第1識別データ、及び前記第2識別データを取得するサーバ側取得部(62)と、
前記サーバ側取得部が取得した前記測定データから得られるデータと、前記サーバ側記憶部に記憶された前記基準データと、を比較し、前記測定データから得られる前記データと前記基準データとの差が閾値を超える場合に、異常を検知する異常検知部(64)と、を有し、
前記異常検知部は、前記第1識別データに基づいて前記電動対象物を識別し、前記第2識別データに基づいて前記着脱式バッテリを識別し、該異常検知部によって検知された複数回の異常が、1つの前記着脱式バッテリと複数の前記電動対象物との組み合わせにおいて発生する場合に、前記着脱式バッテリの異常と検知する、異常検知システム。
【請求項2】
電動対象物(12)の異常を検知する異常検知システム(10)であって、
前記電動対象物に対して取り付け及び取り外しが可能である着脱式バッテリ(14)と、
前記電動対象物とは別に設けられるサーバ(18)と、を備え、
前記着脱式バッテリは、
検知手段(26)と、
前記検知手段によって測定される測定値のデータである測定データを取得するバッテリ側取得部(34)と、
前記バッテリ側取得部が取得した前記測定データと前記電動対象物を識別するための第1識別データとを紐づけて記憶すると共に、前記着脱式バッテリを識別するための第2識別データを記憶するバッテリ側記憶部(30)と、を有し、
前記サーバは、
前記電動対象物が所定動作をしたときに取得されるデータである基準データを予め記憶するサーバ側記憶部(60)と、
前記着脱式バッテリの前記バッテリ側記憶部に記憶された前記測定データ、前記第1識別データ、及び前記第2識別データを取得するサーバ側取得部(62)と、
前記サーバ側取得部が取得した前記測定データから得られるデータと、前記サーバ側記憶部に記憶された前記基準データと、を比較し、前記測定データから得られる前記データと前記基準データとの差が閾値を超える場合に、異常を検知する異常検知部(64)と、を有し、
前記異常検知部は、前記第1識別データに基づいて前記電動対象物を識別し、前記第2識別データに基づいて前記着脱式バッテリを識別し、該異常検知部によって検知された複数回の異常が、1つの前記電動対象物と複数の前記着脱式バッテリとの組み合わせにおいて発生する場合に、前記電動対象物の異常と検知する、異常検知システム。
【請求項3】
電動対象物(12)又は前記電動対象物に対して取り付け及び取り外しが可能である着脱式バッテリ(14)の異常を検知する異常検知システム(10)であって、
前記電動対象物とは別に設けられるサーバ(18)を備え、
前記着脱式バッテリは、
検知手段(26)と、
前記検知手段によって測定される測定値のデータである測定データを取得するバッテリ側取得部(34)と、
前記バッテリ側取得部が取得した前記測定データと前記電動対象物を識別するための第1識別データとを紐づけて記憶すると共に、前記着脱式バッテリを識別するための第2識別データを記憶するバッテリ側記憶部(30)と、を有し、
前記サーバは、
前記電動対象物が所定動作をしたときに取得されるデータである基準データを予め記憶するサーバ側記憶部(60)と、
前記着脱式バッテリの前記バッテリ側記憶部に記憶された前記測定データ、前記第1識別データ、及び前記第2識別データを取得するサーバ側取得部(62)と、
前記サーバ側取得部が取得した前記測定データから得られるデータと、前記サーバ側記憶部に記憶された前記基準データと、を比較し、前記測定データから得られる前記データと前記基準データとの差が閾値を超える場合に、異常を検知する異常検知部(64)と、を有し、
前記測定データから得られる前記データ及び前記基準データは、前記着脱式バッテリに生じる加速度が所定加速度以上になってから前記着脱式バッテリの放電電流値が所定電流値以上になるまでの経過時間のデータを含み、
前記異常検知部は、前記測定データから得られる前記データの前記経過時間と前記基準データの前記経過時間との差が時間閾値を上回る場合に、前記電動対象物又は前記着脱式バッテリの異常を検知する、異常検知システム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の異常検知システムであって、
前記測定データから得られる前記データ及び前記基準データは、前記着脱式バッテリの放電電流値のデータ及び前記着脱式バッテリに生じる加速度のデータを含み、
前記異常検知部は、前記測定データから得られる前記データの放電電流値と前記基準データの放電電流値との差が電流閾値を上回る場合であり、且つ、前記測定データから得られる前記データの加速度と前記基準データの加速度との差が加速度閾値を上回る場合に、異常を検知する、異常検知システム。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の異常検知システムであって、
前記測定データから得られる前記データ及び前記基準データは、前記着脱式バッテリの放電電流値のデータ及び所定時間内の放電電流値の変動量のデータを含み、
前記異常検知部は、前記測定データから得られる前記データの放電電流値と前記基準データの放電電流値との差が電流閾値を上回る場合であり、且つ、前記測定データから得られる前記データの変動量と前記基準データの変動量との差が第1変動量閾値を上回る場合に、異常を検知する、異常検知システム。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の異常検知システムであって、
前記測定データから得られる前記データ及び前記基準データは、前記着脱式バッテリに生じる加速度のデータ及び所定時間内の加速度の変動量のデータを含み、
前記異常検知部は、前記測定データから得られる前記データの加速度と前記基準データの加速度との差が加速度閾値を上回る場合であり、且つ、前記測定データから得られる前記データの変動量と前記基準データの変動量との差が第2変動量閾値を上回る場合に、異常を検知する、異常検知システム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の異常検知システムであって、
前記電動対象物から取り外された前記着脱式バッテリを保持可能であり、且つ、前記サーバと通信可能である1以上の保持装置(16)を備え、
各々の前記保持装置は、
前記着脱式バッテリを保持する保持手段(20)と、
前記着脱式バッテリが前記保持手段に取り付けられた状態で前記バッテリ側記憶部から前記第1識別データと前記第2識別データと前記測定データとを取得する保持装置側取得部(50)と、
前記保持装置側取得部によって取得された前記第1識別データと前記第2識別データと前記測定データとを前記サーバに向けて送信する通信部(40)と、
前記保持装置側取得部によって取得される前記測定データを記憶する保持装置側記憶部(44)と、を有する、異常検知システム。
【請求項8】
請求項7に記載の異常検知システムであって、
前記保持装置側記憶部は、前記測定データを時系列で記憶し、
前記保持装置側取得部は、前記着脱式バッテリが前記保持手段から取り外された時刻を示す第1時刻データ及び前記着脱式バッテリが前記保持手段に取り付けられた時刻を示す第2時刻データを取得し、
前記サーバ側記憶部は、同一の前記着脱式バッテリに関して、1以上の前記保持装置から送信される前記第1時刻データと時系列の前記測定データと前記第2時刻データとを紐づけて記憶する、異常検知システム。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の異常検知システムであって、
前記測定データから得られる前記データ及び前記基準データは、前記着脱式バッテリの放電電流値のデータを含み、
前記電動対象物は、定格運転を行う電動作業機である、異常検知システム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の異常検知システムであって、
前記基準データは、前記電動対象物が前記所定動作に含まれる特定動作をしたときに取得されるデータを含み、
前記異常検知部は、前記測定データから得られる前記データ前記電動対象物が前記特定動作をしたときに取得された前記データとを比較する、異常検知システム。
【請求項11】
請求項10に記載の異常検知システムであって、
前記電動対象物は、前記特定動作を行うための運転モードの設定が可能である、異常検知システム。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の異常検知システムであって、
前記異常検知部は、所定の異常判定時間以上継続して、前記測定データから得られる前記データと前記基準データとの差が閾値を上回る場合に、異常を検知する、異常検知システム。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の異常検知システムであって、
前記バッテリ側取得部は、前記電動対象物から前記第1識別データを取得する、異常検知システム。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の異常検知システムであって、
前記バッテリ側取得部は、前記測定データを所定時間毎に取得し、
前記バッテリ側記憶部は、前記バッテリ側取得部が取得した時系列の前記測定データを記憶する、異常検知システム。
【請求項15】
電動対象物(12)に対して取り付け及び取り外しが可能である着脱式バッテリ(14)において測定される測定値のデータである測定データに基づいて、前記着脱式バッテリの異常を検知するサーバ(18)であって、
前記電動対象物が所定動作をしたときに取得されるデータである基準データを予め記憶するサーバ側記憶部(60)と、
前記着脱式バッテリにおいて測定される前記測定データ、前記電動対象物を識別するための第1識別データ、及び前記着脱式バッテリを識別するための第2識別データを取得するサーバ側取得部(62)と、
前記サーバ側取得部によって取得された前記測定データから得られるデータと、前記サーバ側記憶部によって記憶された前記基準データと、を比較し、前記測定データから得られる前記データと前記基準データとの差が閾値を超える場合に、異常を検知する異常検知部(64)と、を有し、
前記異常検知部は、前記第1識別データに基づいて前記電動対象物を識別し、前記第2識別データに基づいて前記着脱式バッテリを識別し、該異常検知部によって検知された複数回の異常が、1つの前記着脱式バッテリと複数の前記電動対象物との組み合わせにおいて発生する場合に、前記着脱式バッテリの異常と検知する、サーバ。
【請求項16】
電動対象物(12)に対して取り付け及び取り外しが可能である着脱式バッテリ(14)において測定される測定値のデータである測定データに基づいて、前記電動対象物の異常を検知するサーバ(18)であって、
前記電動対象物が所定動作をしたときに取得されるデータである基準データを予め記憶するサーバ側記憶部(60)と、
前記着脱式バッテリにおいて測定される前記測定データ、前記電動対象物を識別するための第1識別データ、及び前記着脱式バッテリを識別するための第2識別データを取得するサーバ側取得部(62)と、
前記サーバ側取得部によって取得された前記測定データから得られるデータと、前記サーバ側記憶部によって記憶された前記基準データと、を比較し、前記測定データから得られる前記データと前記基準データとの差が閾値を超える場合に、異常を検知する異常検知部(64)と、を有し、
前記異常検知部は、前記第1識別データに基づいて前記電動対象物を識別し、前記第2識別データに基づいて前記着脱式バッテリを識別し、該異常検知部によって検知された複数回の異常が、1つの前記電動対象物と複数の前記着脱式バッテリとの組み合わせにおいて発生する場合に、前記電動対象物の異常と検知する、サーバ。
【請求項17】
電動対象物(12)に対して取り付け及び取り外しが可能である着脱式バッテリ(14)において測定される測定値のデータである測定データに基づいて、前記電動対象物又は前記着脱式バッテリ(14)の異常を検知するサーバ(18)であって、
前記電動対象物が所定動作をしたときに取得されるデータである基準データを予め記憶するサーバ側記憶部(60)と、
前記着脱式バッテリにおいて測定される前記測定データ、前記電動対象物を識別するための第1識別データ、及び前記着脱式バッテリを識別するための第2識別データを取得するサーバ側取得部(62)と、
前記サーバ側取得部によって取得された前記測定データから得られるデータと、前記サーバ側記憶部によって記憶された前記基準データと、を比較し、前記測定データから得られる前記データと前記基準データとの差が閾値を超える場合に、異常を検知する異常検知部(64)と、を有し、
前記測定データから得られる前記データ及び前記基準データは、前記着脱式バッテリに生じる加速度が所定加速度以上になってから前記着脱式バッテリの放電電流値が所定電流値以上になるまでの経過時間のデータを含み、
前記異常検知部は、前記測定データから得られる前記データの前記経過時間と前記基準データの前記経過時間との差が時間閾値を上回る場合に、前記電動対象物又は前記着脱式バッテリの異常を検知する、サーバ。
【請求項18】
電動対象物に対して取り付け及び取り外しが可能である着脱式バッテリの異常を検知するための異常検知方法であって、
前記着脱式バッテリにおいて測定される測定値のデータである測定データを取得する取得工程と、
前記取得工程で取得された前記測定データと前記電動対象物を識別するための第1識別データとを紐づけて記憶すると共に、前記着脱式バッテリを識別するための第2識別データを記憶する第1記憶工程と、
前記電動対象物が所定動作をしたときに取得されるデータである基準データを予め記憶する第2記憶工程と、
前記取得工程で取得された前記測定データから得られるデータと、前記第2記憶工程で記憶された前記基準データと、を比較し、前記測定データから得られる前記データと前記基準データとの差が閾値を超える場合に、異常を検知する異常検知工程と、
を有し、
前記異常検知工程では、前記第1識別データに基づいて前記電動対象物を識別し、前記第2識別データに基づいて前記着脱式バッテリを識別し、該異常検知工程によって検知された複数回の異常が、1つの前記着脱式バッテリと複数の前記電動対象物との組み合わせにおいて発生する場合に、前記着脱式バッテリの異常と検知する、異常検知方法。
【請求項19】
電動対象物の異常を検知する異常検知方法であって、
前記電動対象物に対して取り付け及び取り外しが可能である着脱式バッテリにおいて測定される測定値のデータである測定データを取得する取得工程と、
前記取得工程で取得された前記測定データと前記電動対象物を識別するための第1識別データとを紐づけて記憶すると共に、前記着脱式バッテリを識別するための第2識別データを記憶する第1記憶工程と、
前記電動対象物が所定動作をしたときに取得されるデータである基準データを予め記憶する第2記憶工程と、
前記取得工程で取得された前記測定データから得られるデータと、前記第2記憶工程で記憶された前記基準データと、を比較し、前記測定データから得られる前記データと前記基準データとの差が閾値を超える場合に、異常を検知する異常検知工程と、
を有し、
前記異常検知工程では、前記第1識別データに基づいて前記電動対象物を識別し、前記第2識別データに基づいて前記着脱式バッテリを識別し、該異常検知工程によって検知された複数回の異常が、1つの前記電動対象物と複数の前記着脱式バッテリとの組み合わせにおいて発生する場合に、前記電動対象物の異常と検知する、異常検知方法。
【請求項20】
電動対象物又は前記電動対象物に対して取り付け及び取り外しが可能である着脱式バッテリの異常を検知する異常検知方法であって、
前記着脱式バッテリにおいて測定される測定値のデータである測定データを取得する取得工程と、
前記取得工程で取得された前記測定データと前記電動対象物を識別するための第1識別データとを紐づけて記憶すると共に、前記着脱式バッテリを識別するための第2識別データを記憶する第1記憶工程と、
前記電動対象物が所定動作をしたときに取得されるデータである基準データを予め記憶する第2記憶工程と、
前記取得工程で取得された前記測定データから得られるデータと、前記第2記憶工程で記憶された前記基準データと、を比較し、前記測定データから得られる前記データと前記基準データとの差が閾値を超える場合に、異常を検知する異常検知工程と、
を有し、
前記測定データから得られる前記データ及び前記基準データは、前記着脱式バッテリに生じる加速度が所定加速度以上になってから前記着脱式バッテリの放電電流値が所定電流値以上になるまでの経過時間のデータを含み、
前記異常検知工程では、前記測定データから得られる前記データの前記経過時間と前記基準データの前記経過時間との差が時間閾値を上回る場合に、前記電動対象物又は前記着脱式バッテリの異常を検知する、異常検知方法。
【請求項21】
請求項18~20のいずれか1つに記載の異常検知方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項22】
請求項21に記載のプログラムを記憶する記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常検知システム、サーバ、異常検知方法、プログラム及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2016-33816号公報には、無人搬送車に搭載された電気エネルギ源(バッテリ)を含む駆動系の異常を検知する装置が示される。この装置において、無人搬送車は、港湾におけるコンテナターミナル内の特定の周回コースを走行する。また、無人搬送車は、各種データを取得して、取得した各種データを港湾におけるコンテナターミナル内の管制塔に送信する。管制塔は、受信した各種データに基づいて異常の有無を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-33816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バッテリを搭載する電動対象物(電動車両、電動建機、電動作業機等)は、様々な場所で使用される。特開2016-33816号公報の技術を広域で使用される複数の電動対象物に用いる場合、各電動対象物にはデータを取得する機能と取得したデータを外部に送信する機能が必要となる。電動対象物にそのような機能を設けると、電動対象物の構成が複雑になるうえ、電動対象物の製造コストが上昇する。
【0005】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、電動対象物の異常又は電動対象物に搭載される着脱式バッテリの異常を簡素な構成で検知することができる異常検知システム、サーバ、異常検知方法、プログラム及び記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様は、
電動対象物又は前記電動対象物に対して取り付け及び取り外しが可能である着脱式バッテリの異常を検知する異常検知システムであって、
前記電動対象物とは別に設けられるサーバを備え、
前記着脱式バッテリは、
検知手段と、
前記検知手段によって測定される測定値のデータである測定データを取得すると共に、前記電動対象物から前記電動対象物を識別するための第1識別データを取得するバッテリ側取得部と、
前記測定データと前記第1識別データとを紐づけて記憶すると共に、前記着脱式バッテリを識別するための第2識別データを記憶するバッテリ側記憶部と、を有し、
前記サーバは、
前記電動対象物が所定動作をしたときに取得されるデータである基準データを予め記憶するサーバ側記憶部と、
前記測定データと前記第1識別データと前記第2識別データを取得するサーバ側取得部と、
前記測定データから得られる実作業データを前記基準データと比較し、前記実作業データと前記基準データとの差が閾値を超える場合に、異常を検知する異常検知部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電動対象物の異常又は電動対象物に搭載される着脱式バッテリの異常を簡素な構成で検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は本発明の一実施形態における異常検知システムの全体構成図である。
図2図2図1に示される異常検知システムのブロック図である。
図3図3は着脱式バッテリで行われる処理のフローチャートである。
図4図4はバッテリ交換機で行われる第1処理のフローチャートである。
図5図5はバッテリ交換機で行われる第2処理のフローチャートである。
図6図6はサーバで行われる処理のフローチャートである。
図7図7は実作業データと基準データとの電流差と時間との関係を示す図である。
図8図8Aは実作業データと基準データとの電流差と時間との関係を示す図であり、図8Bは実作業データと基準データとの加速度差と時間との関係を示す図である。
図9図9Aは実作業データと基準データとの電流差と時間との関係を示す図であり、図9Bは実作業データと基準データとの放電電流値の変動量差と時間との関係を示す図である。
図10図10Aは実作業データと基準データとの加速度差と時間との関係を示す図であり、図10Bは、実作業データと基準データとの加速度の変動量差と時間との関係を示す図である。
図11図11は応用例1の処理のフローチャートである。
図12図12は応用例2の処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る異常検知システム、サーバ、異常検知方法、プログラム及び記憶媒体について、好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
[1 異常検知システム10の構成]
図1は、本発明の一実施形態における異常検知システム10の全体構成図である。図2は、図1に示される異常検知システム10のブロック図である。
【0011】
図1に示されるように、異常検知システム10は、電動対象物12の駆動源である着脱式バッテリ14を、複数のユーザで共同利用するシェアリングサービスを提供可能なシステムである。例えば、電動対象物12は、電力により動作可能な電動パワーユニット(不図示)を搭載する電動車両(二輪車、三輪車、四輪車)、電動建機、電動作業機等である。電動パワーユニットは、着脱式バッテリ14と電動モータと制御回路等を有する。
【0012】
異常検知システム10は、1以上の着脱式バッテリ14と、1以上のバッテリ交換機(保持装置)16と、サーバ18と、を備える。着脱式バッテリ14は、電動対象物12の電動パワーユニットに対して着脱自在に装着されるカセット式のバッテリである。なお、着脱式バッテリ14は、電動パワーユニットではなく、電動対象物12に対して着脱自在に設けられても良い。バッテリ交換機16は、複数の着脱式バッテリ14を保管する保持装置であり、複数の着脱式バッテリ14を充電する充電器でもある。バッテリ交換機16は、複数の着脱式バッテリ14を保持するための複数のスロット(保持手段)20を有する。バッテリ交換機16は、複数の場所に設置される。サーバ18は、各着脱式バッテリ14の利用状況及び劣化状況を集中管理する管理装置である。バッテリ交換機16は、サーバ18に対してネットワーク22を介して通信可能に接続される。
【0013】
[2 着脱式バッテリ14の構成]
図2に示されるように、着脱式バッテリ14は、蓄電装置24と、測定センサ(検知手段)26と、バッテリ側制御装置28と、バッテリ側記憶装置30と、バッテリ側接続部32と、を有する。
【0014】
蓄電装置24は、二次電池(リチウムイオン電池や鉛蓄電池)を含み、電力を充放電可能に構成された複数のセルによって構成される電池パックである。蓄電装置24の構成はこれ以外であってもよく、他の種類の二次電池、キャパシタ又はこれらを組み合わせた複合電池であっても良い。
【0015】
測定センサ26は、所定の測定項目、例えば、蓄電装置24の電圧、電流、温度又は着脱式バッテリ14に生じる加速度(重力加速度)を測定する1以上のセンサによって構成される。測定センサ26は、測定値を示すデータをバッテリ側制御装置28に出力する。
【0016】
バッテリ側制御装置28は、CPU等のプロセッサを有し、着脱式バッテリ14の充放電制御及びデータ管理を行う。バッテリ側制御装置28は、バッテリ側記憶装置30に記憶されるプログラムを実行することによってバッテリ側取得部34として機能する。
【0017】
バッテリ側取得部34は、電動対象物12から第1識別データを取得する。第1識別データは、個々の電動対象物12に割り当てられる固有のデータ、例えば識別IDのデータである。また、バッテリ側取得部34は、測定センサ26が出力する測定値のデータに基づいて測定データを取得する。測定データとしては、測定値のデータがそのまま使用されるものと、測定値から算出されるものがある。例えば、測定データとしては、SOC、セルの最高温度及び最低温度、電流値、パック電圧値、セル電圧値、電動対象物12の移動速度及び着脱式バッテリ14に生じる加速度(重力加速度)等のデータがある。
【0018】
バッテリ側記憶装置30は、例えばRAMとROM等を有し、各種のデータを記憶する。バッテリ側記憶装置30は、バッテリ側制御装置28が取得する第1識別データと測定データを記憶する。バッテリ側制御装置28は、測定データを時系列のデータとして記憶する。また、バッテリ側記憶装置30は、第2識別データを記憶する。第2識別データは、個々の着脱式バッテリ14に割り当てられる固有のデータ、例えば識別IDのデータである。
【0019】
バッテリ側制御装置28とバッテリ側記憶装置30は、ユニット化される。これをバッテリ管理ユニット(BMU)と称する。
【0020】
バッテリ側接続部32は、着脱式バッテリ14とバッテリ交換機16、及び、着脱式バッテリ14と電動パワーユニット(又は電動対象物12)を電気的に接続するためのバッテリ側の接続部である。バッテリ側接続部32は、充放電用のコネクタとデータ通信用の端子を有する。
【0021】
[3 バッテリ交換機16の構成]
本明細書では、バッテリ交換機16をBEXとも称する。図2に示されるように、バッテリ交換機16は、充電装置38と、BEX側通信モジュール(通信部)40と、BEX側制御装置42と、BEX側記憶装置(保持装置側記憶部)44と、時計46と、BEX側接続部48と、を有する。
【0022】
充電装置38は、バッテリ側接続部32とBEX側接続部48とが電気的に接続された状態下で、着脱式バッテリ14を充電する機器である。充電装置38には、着脱式バッテリ14に電力を供給するための電源(不図示)が接続される。
【0023】
BEX側通信モジュール40は、有線又は無線でネットワーク22に接続される。BEX側通信モジュール40は、ネットワーク22を介して外部装置との間で通信可能な通信機を有するモジュールである。
【0024】
BEX側制御装置42は、CPU等のプロセッサを有し、着脱式バッテリ14の充電制御及びデータ管理を行う。BEX側制御装置42は、BEX側記憶装置44に記憶されるプログラムを実行することによってBEX側取得部(保持装置側取得部)50及び通信制御部52として機能する。
【0025】
BEX側取得部50は、時計46から第1時刻データ及び第2時刻データを取得する。第1時刻データは、着脱式バッテリ14がバッテリ交換機16のスロット20から取り外される(貸し出される)タイミングで計時される日時を示すデータである。第2時刻データは、着脱式バッテリ14がバッテリ交換機16のスロット20に取り付けられる(返却される)タイミングで計時される日時を示すデータである。また、BEX側取得部50は、着脱式バッテリ14とバッテリ交換機16が電気的に接続された状態で、着脱式バッテリ14から第1識別データ、第2識別データ及び測定データを取得する。
【0026】
通信制御部52は、BEX側通信モジュール40を用いて、BEX側記憶装置44に記憶される各種のデータをサーバ18に向けて送信する。
【0027】
BEX側記憶装置44は、例えばRAMとROM等を有し、各種のデータを記憶する。BEX側記憶装置44は、BEX側取得部50が取得した第1時刻データ、第2時刻データ、第1識別データ、第2識別データ及び測定データを記憶する。
【0028】
BEX側接続部48は、着脱式バッテリ14とバッテリ交換機16とを電気的に接続するためのBEX側の接続部である。BEX側接続部48は、充電用のコネクタとデータ通信用の端子を有する。
【0029】
[4 サーバ18の構成]
図2に示されるように、サーバ18は、サーバ側受信モジュール56と、サーバ側制御装置58と、サーバ側記憶装置60と、を有する。
【0030】
サーバ側受信モジュール56は、有線又は無線でネットワーク22に接続される。サーバ側受信モジュール56は、ネットワーク22を介して外部装置からデータを受信可能な受信機を有するモジュールである。
【0031】
サーバ側制御装置58は、CPU等のプロセッサを有し、データ管理を行う。サーバ側制御装置58は、サーバ側記憶装置60に記憶されるプログラムを実行することによってサーバ側取得部62及び異常検知部64として機能する。
【0032】
サーバ側取得部62は、サーバ側受信モジュール56を介して、バッテリ交換機16から第1時刻データ、第2時刻データ、第1識別データ、第2識別データ及び測定データを取得する。
【0033】
異常検知部64は、測定データから得られるデータ(以下、実作業データともいう)を基準データと比較し、実作業データと基準データとの差が閾値を超える場合に、異常を検知する。実作業データは、例えば測定データと同じデータであっても良いし、測定データに基づいて求められるデータであっても良い。基準データは、正常な電動パワーユニットを搭載した正常な電動対象物12が所定動作をしたときに取得されるデータである。所定動作というのは、電動対象物12の一般的な使用形態の動作であり、予め設定される動作である。例えば、基準データには、所定動作時に取得される測定値(放電電流値、加速度等)の平均値のデータが含まれる。
【0034】
サーバ側記憶装置60は、例えばRAMとROM等を有し、各種のデータを記憶する。サーバ側記憶装置60は、サーバ側取得部62が取得した第1時刻データ、第2時刻データ、第1識別データ、第2識別データ及び測定データを記憶する。また、サーバ側記憶装置60は、各電動対象物12の基準データを予め記憶する。また、サーバ側記憶装置60は、異常検知の際に使用される各種の閾値を記憶する。サーバ側記憶装置60に記憶される基準データ及び各種の閾値は、サーバ18側のオペレータが、キーボード及びマウス等の入力装置(不図示)を使用して適宜変更することが可能である。
【0035】
[5 異常検知システム10で行われる各種処理]
本実施形態の異常検知システム10の一実施形態において、着脱式バッテリ14は複数のユーザに共有される。ユーザは、着脱式バッテリ14の貸出しと返却を繰り返し行う。例えば、ユーザは、バッテリ交換機16から充電済みの着脱式バッテリ14を取り外して、電動対象物12に取り付ける(貸出し)。また、ユーザは、電動対象物12から使用済みの着脱式バッテリ14を取り外して、バッテリ交換機16に取り付ける(返却)。なお、使用済みの着脱式バッテリ14と充電済みの着脱式バッテリ14は同じであっても良いし、別であっても良い。
【0036】
[5.1 着脱式バッテリ14で行われる処理]
図3は、着脱式バッテリ14で行われる処理のフローチャートである。図3に示される処理は、所定の時間毎に実行される。
【0037】
ステップS1において、バッテリ側取得部34は、着脱式バッテリ14の状態を判定する。バッテリ側取得部34は、バッテリ側接続部32と電動対象物12の電動パワーユニットとが電気的に接続されていることを検知するときに、第1状態であると判定する。第1状態である場合(ステップS1:第1状態)、処理はステップS2に移行する。一方、バッテリ側取得部34は、バッテリ側接続部32とBEX側接続部48とが電気的に接続されていることを検知するときに第2状態であると判定する。また、バッテリ側取得部34は、バッテリ側接続部32が外部の機器と電気的に接続されていないことを検知するときに第3状態であると判定する。第2状態又は第3状態である場合(ステップS1:第1状態以外)、処理はステップS3に移行する。
【0038】
ステップS2において、バッテリ側取得部34は、第1時間毎に測定データを取得する。この際、バッテリ側取得部34は、測定センサ26の測定値に基づいて測定データを取得する。
【0039】
ステップS3において、バッテリ側取得部34は、第2時間毎に測定データを取得する。この際、バッテリ側取得部34は、測定センサ26の測定値に基づいて測定データを取得する。第1時間は第2時間よりも短い。つまり、バッテリ側取得部34は、バッテリ側接続部32が電動対象物12の電動パワーユニットに取り付けられているときに、より多くの測定データを収集する。
【0040】
なお、バッテリ側取得部34は、バッテリ側接続部32と電動パワーユニット、又はバッテリ側接続部32と電動対象物12とが電気的に接続されたときに、電動パワーユニットを搭載する電動対象物12から第1識別データを取得する。
【0041】
[5.2 バッテリ交換機16で行われる第1処理]
図4は、バッテリ交換機16で行われる第1処理のフローチャートである。図4に示される処理は、所定の時間毎に実行される。図4に示される処理のうち、ステップS12とステップS13の処理は、バッテリ交換機16から充電済みの着脱式バッテリ14が取り外された(貸出された)ときに実行される。
【0042】
ステップS11において、BEX側取得部50は、スロット20から着脱式バッテリ14が取り外されたか否かを判定する。BEX側取得部50は、BEX側接続部48とバッテリ側接続部32とが電気的に接続される状態から電気的に接続されない状態に変化したことを検知したときに、スロット20から着脱式バッテリ14が取り外されたと判定する。スロット20から着脱式バッテリ14が取り外された場合(ステップS11:YES)、処理はステップS12に移行する。一方、スロット20から着脱式バッテリ14が取り外されていない場合(ステップS11:NO)、処理は一旦終了する。
【0043】
ステップS12において、BEX側取得部50は、時計46から着脱式バッテリ14の取り外し時刻のデータである第1時刻データを取得し、BEX側記憶装置44に格納する。ステップS13において、通信制御部52は、取り外された着脱式バッテリ14の第2識別データと第1時刻データを紐づけてサーバ18に送信する。
【0044】
[5.3 バッテリ交換機16で行われる第2処理]
図5は、バッテリ交換機16で行われる第2処理のフローチャートである。図5に示される処理は、所定の時間毎に実行され、図4に示される処理と並行して行われる。図5に示される処理のうち、ステップS22~ステップS25の処理は、バッテリ交換機16に対して使用済みの着脱式バッテリ14が取り付けられた(返却された)ときに実行される。
【0045】
ステップS21において、BEX側取得部50は、スロット20に着脱式バッテリ14が取り付けられたか否かを判定する。BEX側取得部50は、BEX側接続部48とバッテリ側接続部32とが電気的に接続されない状態から電気的に接続される状態に変化したことを検知したときに、スロット20に着脱式バッテリ14が取り付けられたと判定する。スロット20に着脱式バッテリ14が取り付けられた場合(ステップS21:YES)、処理はステップS22に移行する。一方、スロット20に着脱式バッテリ14が取り付けられていない場合(ステップS21:NO)、処理は一旦終了する。
【0046】
ステップS22において、BEX側取得部50は、時計46から着脱式バッテリ14の取り付け時刻のデータである第2時刻データを取得し、BEX側記憶装置44に格納する。ステップS23において、BEX側取得部50は、着脱式バッテリ14から第1識別データ、第2識別データ及び測定データを取得し、BEX側記憶装置44に格納する。ステップS24において、充電装置38は、着脱式バッテリ14の充電を開始する。
【0047】
ステップS25において、通信制御部52は、第1識別データと第2識別データと測定データと第2時刻データを紐づけてサーバ18に送信する。
【0048】
[5.4 サーバ18で行われる処理]
図4のステップS13において、サーバ側取得部62は、バッテリ交換機16から送信された第2識別データと第1時刻データを受信した場合に、第2識別データと第1時刻データをサーバ側記憶装置60に格納する。
【0049】
図6は、サーバ18で行われる処理のフローチャートである。図6に示される処理は、所定の時間毎に実行される。
【0050】
ステップS31において、サーバ側取得部62は、サーバ側受信モジュール56が第1識別データと第2識別データと測定データと第2時刻データを受信したか否かを判定する。サーバ側受信モジュール56が各データを受信した場合(ステップS31:YES)、処理はステップS32に移行する。一方、サーバ側受信モジュール56が各データを受信していない場合(ステップS31:NO)、処理は一旦終了する。
【0051】
ステップS32において、サーバ側取得部62は、第2識別データが一致する各種のデータを紐づける。具体的には、サーバ側取得部62は、図4のステップS13においてバッテリ交換機16から送信された第1時刻データと、ステップS31において受信された第1識別データと第2識別データと測定データと第2時刻データと、を紐づける。サーバ側取得部62は、紐づけた各種データをサーバ側記憶装置60に格納する。つまり、サーバ側記憶装置60は、着脱式バッテリ14の識別IDと、着脱式バッテリ14を使用した電動対象物12の識別IDと、着脱式バッテリ14の貸出し日時及び返却日時と、貸出し中の時系列の測定データと、を記憶する。ここで格納されたデータを履歴データという。
【0052】
ステップS33において、異常検知部64は、サーバ側記憶装置60が記憶する履歴データに含まれる測定データに基づいて、異常検知処理で使用する実作業データを決定する。異常検知処理で使用する実作業データの決定方法の具体例及び異常検知の方法の具定例は、下記[6]で説明する。
【0053】
ステップS34において、異常検知部64は、実作業データと基準データとを比較し、両者の差を算出する。ここで行われる処理の具体例は、下記[6]で説明する。
【0054】
ステップS35において、異常検知部64は、ステップS34で算出される差がデータに対応する閾値を上回るか否かを判定する。差が閾値を上回る場合(ステップS35:YES)、処理はステップS36に移行する。一方、差が閾値を上回らない場合(ステップS35:NO)、処理はステップS37に移行する。
【0055】
ステップS36において、異常検知部64は、着脱式バッテリ14又は電動対象物12に異常があると判定する。この場合、異常検知部64は、異常が検知されたことを示す異常コードを履歴データに付して、サーバ側記憶装置60に格納する。履歴データには第1識別データと第2識別データとが含まれるため、異常検知部64は、異常が発生している可能性のある電動対象物12と着脱式バッテリ14を特定することができる。また、履歴データには第1時刻データと第2時刻データとが含まれ、更に時系列の測定データが含まれるため、異常検知部64は、異常が発生した時間を特定することができる。
【0056】
ステップS37において、異常検知部64は、着脱式バッテリ14及び電動対象物12に異常がないと判定する。
【0057】
ステップS31~ステップS37の処理は連続して行われても良いし、ステップS31とステップS32の処理の後に、時間をおいてステップS33~ステップS37の処理が行われても良い。ステップS31とステップS32の処理と、ステップS33~ステップS37の処理が個別に行われる場合、ステップS31とステップS32の処理が所定の時間毎に実行される。
【0058】
[6 異常検知処理の具体例]
図6に示されるステップS33~ステップS35の処理に関して、具体例を挙げて説明する。
【0059】
[6.1 具体例1]
異常検知部64は、測定データに含まれる放電電流値のデータを実作業データとして決定する。異常検知部64は、実作業データ(放電電流値のデータ)と基準データ(放電電流値のデータ)とを比較し、両者の差である電流差Idを算出する。そして、異常検知部64は、電流差Idが電流閾値Ithを上回る場合に異常があると判定する。
【0060】
[6.2 具体例2]
具体例2では、定格運転を行う電動対象物12に着脱式バッテリ14が取り付けられる例を説明する。定格運転を行う電動対象物12としては、例えば負荷が一定の動作(作業)を行う電動トロウェルや高圧洗浄機等の電動作業機がある。
【0061】
図7は、実作業データと基準データとの電流差Idと時間Tとの関係を示す図である。定格運転を行う電動対象物12の電動モータは回転数の変動が少なく、放電電流値の変動も小さい。このため、時系列の実作業データは略一定となる。従って、図7に示されるように、各時間の電流差Idは略一定となる。具体例2では、具体例1と同じ処理が行われる。
【0062】
[6.3 具体例3]
具体例3では、特定動作を行う電動対象物12に着脱式バッテリ14が取り付けられる例を説明する。特定動作を行う電動対象物12としては、負荷がリニアに変動する動作(作業)、例えば掘削動作と旋回動作を繰り返し行う電動パワーショベル等の電動作業機や、例えば加速動作や減速動作を繰り返し行う電動二輪車等の電動車両がある。特定動作は、基準データを取得する際に電動対象物12に実行させる所定動作に含まれる。電動対象物12の特定動作時に取得される基準データを「電動対象物12が特定動作をしたときに取得されたデータ」ともいう。
【0063】
電動対象物12は、特定動作中に、着脱式バッテリ14に対して特定動作を行っていることを示す信号を出力する。バッテリ側取得部34は、この信号の検知時に取得した測定データに特定動作の識別IDを付し、測定データと識別IDをバッテリ側記憶装置30に格納する。
【0064】
ステップS33~ステップS35では次の処理が行われる。異常検知部64は、測定データに含まれる放電電流値のデータを実作業データとして決定する。異常検知部64は、特定動作の識別IDが付された実作業データ(放電電流値のデータ)と電動対象物12が特定動作をしたときに取得されたデータとを比較し、両者の差である電流差Idを算出する。そして、異常検知部64は、電流差Idが電流閾値Ithを上回る場合に異常があると判定する。
【0065】
なお、電動対象物12は、運転モードの設定が可能であり、運転モードとして特定動作を行う測定モードを有していても良い。この場合、ユーザが測定モードを選択することができる。ユーザが測定モードを選択した場合、電動対象物12は特定動作を行う。
【0066】
[6.4 具体例4]
図8Aは、実作業データと基準データとの電流差Idと時間Tとの関係を示す図であり、図8Bは、実作業データと基準データとの加速度差Gdと時間Tとの関係を示す図である。
【0067】
異常検知部64は、測定データに含まれる放電電流値のデータ及び加速度のデータを実作業データとして決定する。異常検知部64は、実作業データ(放電電流値のデータ)と基準データ(放電電流値のデータ)とを比較し、両者の差である電流差Idを算出する。また、異常検知部64は、実作業データ(加速度のデータ)と基準データ(加速度のデータ)とを比較し、両者の差である加速度差Gdを算出する。そして、異常検知部64は、電流差Idが電流閾値Ithを上回り、且つ、加速度差Gdが加速度閾値Gthを上回る時間(例えば図8A及び図8Bの時間T1、T2)がある場合に異常があると判定する。
【0068】
なお、測定データに含まれる加速度のデータは、時間経過に伴い変動する。このような場合、加速度の絶対値を使用すると共に、移動平均を算出し、算出した平均値を加速度のデータとすると良い。他の例についても同様である。
【0069】
[6.5 具体例5]
異常検知部64は、着脱式バッテリ14に生じる加速度が所定加速度以上になってから着脱式バッテリ14の放電電流値が所定電流値以上になるまでの経過時間を実作業データとして決定する。異常検知部64は、この経過時間を測定データに含まれる放電電流値のデータと加速度のデータに基づいて算出する。異常検知部64は、実作業データ(経過時間のデータ)と基準データ(経過時間のデータ)とを比較し、両者の差である経過時間差Tdを算出する。そして、異常検知部64は、経過時間差Tdが時間閾値を上回る場合に異常があると判定する。
【0070】
[6.6 具体例6]
図9Aは、実作業データと基準データとの電流差Idと時間Tとの関係を示す図であり、図9Bは、実作業データと基準データとの放電電流値の変動量差Xdと時間Tとの関係を示す図である。
【0071】
異常検知部64は、測定データに含まれる放電電流値のデータを実作業データとして決定する。更に、異常検知部64は、測定データに含まれる放電電流値の所定時間内の変動量を実作業データとして決定する。異常検知部64は、この変動量を放電電流値の測定時間をずらしながら算出する。異常検知部64は、実作業データ(放電電流値のデータ)と基準データ(放電電流値のデータ)とを比較し、両者の差である電流差Idを算出する。また、異常検知部64は、実作業データ(変動量のデータ)と基準データ(変動量のデータ)とを比較し、両者の差である変動量差Xdを算出する。そして、異常検知部64は、電流差Idが電流閾値Ithを上回り、且つ、変動量差Xdが変動量閾値Xthを上回る時間(図9A及び図9Bの時間T1)がある場合に異常があると判定する。
【0072】
[6.7 具体例7]
図10Aは、実作業データと基準データとの加速度差Gdと時間Tとの関係を示す図であり、図10Bは、実作業データと基準データとの加速度の変動量差Xdと時間Tとの関係を示す図である。具体例7は具体例6の放電電流値を加速度に置き換えたものである。このため説明を省略する。
【0073】
[6.8 具体例8]
異常検知部64は、所定の判定時間以上継続して、実作業データと基準データとの差が閾値を上回る場合に、異常を検知しても良い。例えば、図8Aに示されるように、電流差Idが、電流閾値Ithを上回ってから所定の判定時間(時間T1~時間T2)までの間、継続して電流閾値Ithを上回り続ける場合に、異常検知部64は、異常を検知する。図8Bに示される加速度についても同様である。また、他の例についても同様である。
【0074】
異常検知部64は、具体例1~8のうちの複数を行うことも可能である。
【0075】
[7 応用例]
以下で、サーバ18の異常検知部64が行うことができる付加的な処理を説明する。
【0076】
[7.1 応用例1]
図11は応用例1の処理のフローチャートである。応用例1として、着脱式バッテリ14に異常があることを検知するための処理を説明する。図11に示される処理は、任意のタイミングで実行される。
【0077】
ステップS41において、異常検知部64は、同一の着脱式バッテリ14で複数回の異常が発生しているか否かを判定する。ここで、異常検知部64は、サーバ側記憶装置60に記憶される履歴データを検索し、異常コードが付された全ての履歴データを抽出する。更に、異常検知部64は、第2識別コードが同一である複数の履歴データが抽出される場合に、その第2識別コードで識別される着脱式バッテリ14で複数回の異常が発生したと判定する。この場合(ステップS41:YES)、処理はステップS42に移行する。一方、同一の着脱式バッテリ14で複数回の異常が発生していない場合(ステップS41:NO)、応用例1の処理は終了する。
【0078】
ステップS42において、異常検知部64は、ステップS41の第2識別コードで識別される着脱式バッテリ14を搭載した電動対象物12が複数か単数かを判定する。複数の履歴データにおいて、同一の第2識別コードに対して複数の第1識別コードが紐づけられている場合に、異常検知部64は電動対象物12が複数と判定する。この場合(ステップS42:YES)、処理はステップS43に移行する。一方、複数の履歴データにおいて、同一の第2識別コードに対して1つの第1識別コードが紐づけられている場合に、異常検知部64は電動対象物12が単数と判定する。この場合(ステップS42:NO)、応用例1の処理は終了する。
【0079】
ステップS43において、異常検知部64は、複数の履歴データに含まれる1つの第2識別コードによって識別される着脱式バッテリ14に異常があると判定する。
【0080】
このように、応用例1において、異常検知部64は、複数回の異常が、1つの着脱式バッテリ14と複数の電動対象物12との組み合わせにおいて発生することを検知する場合に、着脱式バッテリ14に異常があると判定する。
【0081】
[7.2 応用例2]
図12は応用例2の処理のフローチャートである。応用例2として、電動対象物12に異常があることを検知するための処理を説明する。図12に示される処理は、任意のタイミングで実行される。
【0082】
ステップS51において、異常検知部64は、同一の電動対象物12で複数回の異常が発生しているか否かを判定する。ここで、異常検知部64は、サーバ側記憶装置60に記憶される履歴データを検索し、異常コードが付された全ての履歴データを抽出する。更に、異常検知部64は、第1識別コードが同一である複数の履歴データが抽出される場合に、その第1識別コードで識別される電動対象物12で複数回の異常が発生したと判定する。この場合(ステップS51:YES)、処理はステップS52に移行する。一方、同一の電動対象物12で複数回の異常が発生していない場合(ステップS51:NO)、応用例2の処理は終了する。
【0083】
ステップS52において、異常検知部64は、ステップS51の第1識別コードで識別される電動対象物12に搭載された着脱式バッテリ14が複数か単数かを判定する。複数の履歴データにおいて、同一の第1識別コードに対して複数の第2識別コードが紐づけられている場合に、異常検知部64は着脱式バッテリ14が複数と判定する。この場合(ステップS52:YES)、処理はステップS53に移行する。一方、複数の履歴データにおいて、同一の第1識別コードに対して1つの第2識別コードが紐づけられている場合に、異常検知部64は着脱式バッテリ14が単数と判定する。この場合(ステップS52:NO)、応用例2の処理は終了する。
【0084】
ステップS53において、異常検知部64は、複数の履歴データに含まれる1つの第1識別コードによって識別される電動対象物12(電動パワーユニットを含むが着脱式バッテリ14は除く)に異常があると判定する。
【0085】
このように、応用例2において、異常検知部64は、複数回の異常が、1つの電動対象物12と複数の着脱式バッテリ14との組み合わせにおいて発生することを検知する場合に、電動対象物12に異常があると判定する。
【0086】
[7.3 その他の応用例]
異常検知部64は、サーバ側記憶装置60に記憶される履歴データを用いて異常が発生する状況等を分析することが可能である。
【0087】
[8 変形例]
上記実施形態で説明した異常検知システム10は、着脱式バッテリ14を複数のユーザで共同利用するシェアリングサービスを提供している。これに代わり、異常検知システム10は、個々の着脱式バッテリ14のユーザが決められるシステム(売り切りサービス)であっても良い。この場合、バッテリ交換機16に代わり、1つのスロット20のみを有する充電器が使用されても良い。また、バッテリ交換機16は、充電機能を有さなくても良い。この場合、着脱式バッテリ14は、専用の充電器で充電された後にバッテリ交換機16で保管される。
【0088】
上記実施形態で説明した異常検知システム10は、バッテリ交換機16が測定データ等をサーバ18に送信する。これに代わり、着脱式バッテリ14が通信機能を有し、測定データ等を直接サーバ18に送信しても良い。
【0089】
[9 実施形態から得られる技術的思想]
上記実施形態から把握しうる技術的思想について、以下に記載する。
【0090】
本発明の態様は、
電動対象物(12)又は前記電動対象物に対して取り付け及び取り外しが可能である着脱式バッテリ(14)の異常を検知する異常検知システム(10)であって、
前記電動対象物とは別に設けられるサーバ(18)を備え、
前記着脱式バッテリは、
検知手段(26)と、
前記検知手段によって測定される測定値のデータである測定データを取得すると共に、前記電動対象物から前記電動対象物を識別するための第1識別データを取得するバッテリ側取得部(34)と、
前記測定データと前記第1識別データとを紐づけて記憶すると共に、前記着脱式バッテリを識別するための第2識別データを記憶するバッテリ側記憶部(30)と、を有し、
前記サーバは、
前記電動対象物が所定動作をしたときに取得されるデータである基準データを予め記憶するサーバ側記憶部(60)と、
前記測定データと前記第1識別データと前記第2識別データを取得するサーバ側取得部(62)と、
前記測定データから得られる実作業データを前記基準データと比較し、前記実作業データと前記基準データとの差が閾値を超える場合に、異常を検知する異常検知部(64)と、を有する。
【0091】
上記構成においては、着脱式バッテリ14がデータを取得する。このため、サーバ18は、電動対象物12がデータを取得する機能を有してなくても、着脱式バッテリ14が取得するデータを収集して電動対象物12(電動パワーユニットを含むが着脱式バッテリ14は除く)又は着脱式バッテリ14に発生する異常を検知することができる。この場合、電動対象物12の構成は簡素になる。つまり、上記構成によれば、電動対象物12又は電動対象物12に搭載される着脱式バッテリ14の異常を簡素な構成で検知することができる。
【0092】
また、着脱式バッテリ14を複数の電動対象物12で共有すれば、それぞれの電動対象物12の異常を簡素な構成で検知することができる。
【0093】
また、上記構成によれば、第1識別データ及び第2識別データを使用することによって、異常が発生した着脱式バッテリ14又は電動対象物12を特定することができる。
【0094】
また、上記構成によれば、電動対象物12に搭載される電動パワーユニットの異常を検知することによって、異常の拡大、例えば、電動対象物12の故障が拡大することを未然に防止することができる。
【0095】
本発明の態様において、
前記電動対象物から取り外された前記着脱式バッテリを保持可能であり、且つ、前記サーバと通信可能である1以上の保持装置(16)を備え、
各々の前記保持装置は、
前記着脱式バッテリを保持する保持手段(20)と、
前記着脱式バッテリが前記保持手段に取り付けられた状態で前記バッテリ側記憶部から前記第1識別データと前記第2識別データと前記測定データを取得する保持装置側取得部(50)と、
前記保持装置側取得部によって取得された前記第1識別データと前記第2識別データと前記測定データを前記サーバに向けて送信する通信部(40)と、
前記保持装置側取得部によって取得される前記測定データを記憶する保持装置側記憶部(44)と、を有しても良い。
【0096】
上記構成によると、着脱式バッテリ14が測定データ等を遠隔地のサーバ18に送信する機能を有する必要がない。このため、上記構成によれば、着脱式バッテリ14の構成が簡素になる。
【0097】
本発明の態様において、
前記保持装置側記憶部は、前記測定データを時系列で記憶し、
前記保持装置側取得部は、前記着脱式バッテリが前記保持手段から取り外された時刻を示す第1時刻データ及び前記着脱式バッテリが前記保持手段に取り付けられた時刻を示す第2時刻データを取得し、
前記サーバ側記憶部は、同一の前記着脱式バッテリに関して、1以上の前記保持手段から送信される前記第1時刻データと時系列の前記測定データと前記第2時刻データとを紐づけて記憶しても良い。
【0098】
上記構成によると、時刻(日時)のデータを取得する時計46が、個々の着脱式バッテリ14に不要になる。このため、上記構成によれば、着脱式バッテリ14の構成が簡素になる。
【0099】
また、上記構成によると、各測定値の測定日時が判る。このため、サーバ18側のオペレータは、各測定値の測定日時に応じた閾値を設定することによって、異常検知の精度を向上させることができる。
【0100】
本発明の態様において、
前記異常検知部は、前記第1識別データに基づいて前記電動対象物を識別し、前記第2識別データに基づいて前記着脱式バッテリを識別し、複数回の異常が、1つの前記着脱式バッテリと複数の前記電動対象物との組み合わせにおいて発生することを検知する場合に、前記着脱式バッテリの異常と判定しても良い。
【0101】
本発明の態様において、
前記異常検知部は、前記第1識別データに基づいて前記電動対象物を識別し、前記第2識別データに基づいて前記着脱式バッテリを識別し、複数回の異常が、1つの前記電動対象物と複数の前記着脱式バッテリとの組み合わせにおいて発生することを検知する場合に、前記電動対象物の異常と判定しても良い。
【0102】
本発明の態様において、
前記実作業データ及び前記基準データは、前記着脱式バッテリの放電電流値のデータを含み、
前記電動対象物は、定格運転を行う電動作業機であっても良い。
【0103】
上記構成によれば、異常検知が容易である。
【0104】
本発明の態様において、
前記基準データは、前記電動対象物が前記所定動作に含まれる特定動作をしたときに取得されるデータを含み、
前記異常検知部は、前記測定データから得られる前記データと前記電動対象物が前記特定動作をしたときに取得された前記データとを比較しても良い。
【0105】
上記構成によれば、異常検知の精度が向上する。
【0106】
本発明の態様において、
前記電動対象物は、運転モードの設定が可能であり、前記運転モードとして前記特定動作を行う測定モードを有しても良い。
【0107】
上記構成によれば、異常検知が容易となる。
【0108】
本発明の態様において、
前記実作業データ及び前記基準データは、前記着脱式バッテリの放電電流値のデータ及び前記着脱式バッテリに生じる加速度のデータを含み、
前記異常検知部は、前記実作業データの放電電流値と前記基準データの放電電流値との差が電流閾値を上回る場合であり、且つ、前記実作業データの加速度と前記基準データの加速度との差が加速度閾値を上回る場合に、異常を検知しても良い。
【0109】
上記構成によれば、単一の測定項目のデータを用いるよりも異常検知の精度が向上する。
【0110】
本発明の態様において、
前記実作業データ及び前記基準データは、前記着脱式バッテリに生じる加速度が所定加速度以上になってから前記着脱式バッテリの放電電流値が所定電流値以上になるまでの経過時間のデータを含み、
前記異常検知部は、前記実作業データの前記経過時間と前記基準データの前記経過時間との差が時間閾値を上回る場合に、異常を検知しても良い。
【0111】
上記構成によれば、単一の測定項目のデータを用いるよりも異常検知の精度が向上する。
【0112】
本発明の態様において、
前記実作業データ及び前記基準データは、前記着脱式バッテリの放電電流値のデータ及び所定時間内の放電電流値の変動量のデータを含み、
前記異常検知部は、前記実作業データの放電電流値と前記基準データの放電電流値との差が電流閾値を上回り、且つ、前記実作業データの前記変動量と前記基準データの前記変動量との差が変動量閾値を上回る場合に、異常を検知しても良い。
【0113】
上記構成によれば、単一の測定項目のデータを用いるよりも異常検知の精度が向上する。
【0114】
本発明の態様において、
前記実作業データ及び前記基準データは、前記着脱式バッテリに生じる加速度のデータ及び所定時間内の加速度の変動量のデータを含み、
前記異常検知部は、前記実作業データの加速度と前記基準データの加速度との差が加速度閾値を上回り、且つ、前記実作業データの前記変動量と前記基準データとの前記変動量との差が変動量閾値を上回る場合に、異常を検知しても良い。
【0115】
上記構成によれば、単一の測定項目のデータを用いるよりも異常検知の精度が向上する。
【0116】
本発明の態様において、
前記異常検知部は、所定の異常判定時間以上継続して、前記実作業データと前記基準データとの差が閾値を上回る場合に、異常を検知しても良い。
【0117】
上記構成によれば、データの瞬間的な異常値に起因する異常検知を防止することができるため、異常検知の精度が向上する。
【0118】
なお、本発明に係る異常検知システム、サーバ、異常検知方法、プログラム及び記憶媒体は、前述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
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