(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】パレットおよびパレットを用いて物品を搬送および保管する方法
(51)【国際特許分類】
B65D 19/12 20060101AFI20241125BHJP
【FI】
B65D19/12 Z
(21)【出願番号】P 2024111043
(22)【出願日】2024-07-10
【審査請求日】2024-08-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000130824
【氏名又は名称】株式会社サンゲツ
(74)【代理人】
【識別番号】110003052
【氏名又は名称】弁理士法人勇智国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬場 康允
(72)【発明者】
【氏名】佃 大輔
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-114869(JP,A)
【文献】特開2003-226409(JP,A)
【文献】実開平06-020229(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2007/0289888(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 19/00-19/44
B65D 85/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレットを用いて物品を搬送および保管する方法であって、
前記パレットは、物品が配置される収容空間を形成する第1部材と第2部材とを備え、
前記第1部材は、第1方向および前記第1方向と交差する第2方向に延在し、
前記第2部材は、前記第1部材における前記第2方向第2側の端部に連接され、前記第1方向および前記第2方向と交差する第3方向および前記第1方向に延在し、
前記収容空間に配置された物品を搬送する際には、前記第3方向が鉛直方向に延在し、前記第1部材が前記第2部材より下方に配置された第1状態で前記パレットを搬送し、
前記収容空間に配置された物品を保管場所に保管する際には、前記第2方向が前記鉛直方向に延在し、前記第2部材が前記第1部材より下方に配置された第2状態で前記パレットを前記保管場所に配置
し、
前記パレットは、前記第1部材に形成され、前記第1方向に延在する少なくとも1つの第1挿入孔を含み、
前記パレットを前記第1状態から前記第2状態に切り替える場合、または前記パレットを前記第2状態から前記第1状態に切り替える場合には、搬送装置の爪部を前記第1挿入孔に挿入し、前記第1挿入孔に挿入された前記爪部を爪部回転中心線周りに回転させる、
物品を搬送および保管する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の物品を搬送および保管する方法であって、
前記パレットは、
さらに、前記第2部材に形成され、前記第1方向に延在する少なくとも1つの第2挿入
孔を含み、
前記パレットを前記第1状態から前記第2状態へと切り替える場合には、
前記爪部を前記第1挿入孔または前記第2挿入孔に挿入し、前記第1挿入孔または前記第2挿入孔に挿入された前記爪部を
前記爪部回転中心線周りに回転させ、
前記パレットを前記第2状態から前記第1状態へと切り替える場合には、前記爪部を前記第2挿入孔または前記第1挿入孔に挿入し、前記第2挿入孔または前記第1挿入孔に挿入された前記爪部を前記爪部回転中心線周りに回転させる、
物品を搬送および保管する方法。
【請求項3】
物品の搬送および保管に用いられるパレットであって、
第1方向および前記第1方向と交差する第2方向に延在する第1部材と、
前記第1部材における前記第2方向第2側の端部に連接され、前記第1方向および前記第2方向と交差する第3方向および前記第1方向に延在する第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材により形成される収容空間と、を備え、
前記第1部材または前記第2部材は、前記第1方向に延在する少なくとも1つの挿入孔を含
み、
前記パレットの回転位置は、搬送装置の爪部を、前記挿入孔に挿入し、爪部回転中心線周りに回転させることによって、前記第3方向が鉛直方向に延在し、前記第1部材が前記第2部材より下方に配置された第1状態と、前記第2方向が前記鉛直方向に延在し、前記第2部材が前記第1部材より下方に配置された第2状態と、に切り替え可能に構成されている、
パレット。
【請求項4】
物品の搬送および保管に用いられるパレットであって、
第1方向および前記第1方向と交差する第2方向に延在する第1部材と、
前記第1部材における
前記第2方向第2側の端部に連接され、前記第1方向および前記第2方向と交差する第3方向および前記第1方向に延在する第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材により形成される収容空間と、を備え、
前記第1部材は、前記第1方向に延在する少なくとも1つの第1挿入孔を含み、
前記第2部材は、前記第1方向に延在する少なくとも1つの第2挿入孔を含む、
パレット。
【請求項5】
請求項
4に記載のパレットであって、
前記パレットの回転位置は、搬送装置の爪部を、前記第1挿入孔または前記第2挿入孔のいずれか一方に挿入し、爪部回転中心線周りに回転させることによって、
前記第3方向が鉛直方向に延在し、前記第1部材が前記第2部材より下方に配置された第1状態と、
前記第2方向が前記鉛直方向に延在し、前記第2部材が前記第1部材より下方に配置された第2状態と、に切り替え可能に構成されている、
パレット。
【請求項6】
請求項
5に記載のパレットであって、
さらに、前記第1部材の前記第1方向第1側の端部と、前記第2部材の前記第1方向第1側の端部とに連接され、前記第2方向および前記第3方向に延在する第3部材と、
前記第1部材の前記第1方向第2側の端部と、前記第2部材の前記第1方向第2側の端部に連接され、前記第2方向および前記第3方向に延在する第4部材と、を備える、
パレット。
【請求項7】
請求項
6に記載のパレットであって、
さらに、前記第3部材における前記第3方向第1側の端部を、前記第1部材における前記第1方向第1側の端部に回転可能に連結する第1連結部と、
前記第4部材における前記第3方向第1側の端部を、前記第1部材における前記第1方向第2側の端部に回転可能に連結する第2連結部と、を備える、
パレット。
【請求項8】
請求項
7に記載のパレットであって、
さらに、前記第3部材と前記第4部材との間に掛け渡される少なくとも1つの移動規制部を備える、
パレット。
【請求項9】
請求項
3または請求項
4に記載のパレットであって、
前記第1部材は、さらに、前記第2方向に延在する少なくとも1つの第3挿入孔を含み、
前記第2部材は、さらに、前記第3方向に延在する少なくとも1つの第4挿入孔を含む、
パレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パレットおよびパレットを用いて物品を搬送および保管する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
物品を保管する際、例えば、特許文献1に開示されているパレットが用いられている。このパレットは、ベース、背面枠、右側面枠および左側面枠により構成されている。ベース、背面枠、右側面枠および左側面枠によって、物品を収容する収容空間が形成されている。ベースには、パレットを搬送するフォークリフトの爪部が挿入可能なフォークガイドが設けられている。このパレットは、ベースが延長方向下方に配置された状態で使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、建築物の壁に貼付される壁紙など、建築物の内装に関わる製品を扱うインテリア業界において、パレットを利用することなく、製品をそのままトラック等の輸送装置の荷台に荷積みされることがある。そのため、製品の輸送装置への荷積みや、製品の輸送装置からの荷下ろしを行う作業者に対する負荷が大きくなるといった問題があった。また、トラックに積載された製品の荷崩れや、製品が荷台から落下してしまうなどの問題があった。そのため、インテリア業界では、製品の輸送に便宜なパレットが望まれている。
【0005】
また、近年、インテリア業界では、パレットの収容空間内における製品の配置状態を、状況に応じて変更できるパレットが要望されている。例えば、収容空間内に製品が収容されているパレットをトラック等の輸送装置で搬送する際には、収容空間内の製品を縦置き状態で収容し、収容空間内に製品が収容されているパレットを倉庫等の保管場所に保管する際には、パレットの収容空間内に製品を横置き状態で収容することができるパレットが要望されている。
したがって、本開示の目的は、パレットの収容空間内に収容されている物品の配置状態を簡易な方法で変更することができ、物品の搬送および保管に便宜なパレットおよび物品の搬送および保管方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
(1)本開示の一形態によれば、パレットを用いて物品を搬送および保管する方法が提供される。この物品を搬送および保管する方法では、前記パレットは、物品が配置される収容空間を形成する第1部材と第2部材とを備えている。前記第1部材は、第1方向および前記第1方向と交差する第2方向に延在する。前記第2部材は、前記第1部材における前記第2方向第2側の端部に連接され、前記第1方向および前記第2方向と交差する第3方向および前記第1方向に延在する。前記収容空間に配置された物品を搬送する際には、前記第3方向が鉛直方向に延在し、前記第1部材が前記第2部材より下方に配置された第1状態で前記パレットを搬送する。前記収容空間に配置された物品を保管場所に保管する際には、前記第2方向が前記鉛直方向に延在し、前記第2部材が前記第1部材より下方に配置された第2状態で前記パレットを前記保管場所に配置する。
この形態の物品を搬送および保管する方法によれば、パレットの収容空間に配置される物品の配置状態を簡易な方法で切り替えることができる。
(2)上記形態の物品を搬送および保管する方法において、前記パレットは、前記第1部材に形成され、前記第1方向に延在する少なくとも1つの第1挿入孔を含んでよい。前記パレットを前記第1状態から前記第2状態に切り替える場合、または前記パレットを前記第2状態から前記第1状態に切り替える場合には、搬送装置の爪部を前記第1挿入孔に挿入し、前記第1挿入孔に挿入された前記爪部を爪部回転中心線周りに回転させてよい。
この形態の物品を搬送および保管する方法によれば、パレットを簡易な構成としつつ、パレットの収容空間に配置される物品の配置状態を簡易な方法で切り替えることができる。
(3)上記形態の物品を搬送および保管する方法において、前記パレットは、前記第1部材に形成され、前記第1方向に延在する少なくとも1つの第1挿入孔と、前記第2部材に形成され、前記第1方向に延在する少なくとも1つの第2挿入孔と、を含んでよい。前記パレットを前記第1状態から前記第2状態へと切り替える場合には、搬送装置の爪部を前記第1挿入孔または前記第2挿入孔に挿入し、前記第1挿入孔または前記第2挿入孔に挿入された前記爪部を爪部回転中心線周りに回転させてよい。前記パレットを前記第2状態から前記第1状態へと切り替える場合には、前記爪部を前記第2挿入孔または前記第1挿入孔に挿入し、前記第2挿入孔または前記第1挿入孔に挿入された前記爪部を前記爪部回転中心線周りに回転させてよい。
この形態の物品を搬送および保管する方法によれば、第1挿入孔と第2挿入孔とを搬送装置の爪部を挿入しやすい位置に設けることにより、パレットを容易に回転させることができる。
(4)本開示の他の形態によれば、物品の搬送および保管に用いられるパレットが提供される。このパレットは、第1方向および前記第1方向と交差する第2方向に延在する第1部材と、前記第1部材における前記第2方向第2側の端部に連接され、前記第1方向および前記第2方向と交差する第3方向および前記第1方向に延在する第2部材と、前記第1部材と前記第2部材により形成される収容空間と、を備える。前記第1部材または前記第2部材は、前記第1方向に延在する少なくとも1つの挿入孔を含む。
この形態のパレットによれば、挿入孔を利用してパレットを回転させることにより物品を支持する部材を第1部材と第2部材とに切り替えることができる。したがって、収容空間に配置される物品の配置状態を簡易な方法で切り替えることができ、物品の搬送および保管に便宜なパレットを提供することができる。
(5)上記形態のパレットにおいて、前記パレットの回転位置は、搬送装置の爪部を、前記第1挿入孔に挿入し、爪部回転中心線周りに回転させることによって、前記第3方向が鉛直方向に延在し、前記第1部材が前記第2部材より下方に配置された第1状態と、前記第2方向が前記鉛直方向に延在し、前記第2部材が前記第1部材より下方に配置された第2状態と、に切り替え可能に構成されてよい。
この形態のパレットによれば、パレットを簡易な構成としつつ、パレットの収容空間に配置される物品の配置状態を簡易な方法で切り替えることができ、物品の搬送および保管に便宜なパレットを提供することができる。
(6)本開示の他の形態によれば、物品の搬送および保管に用いられるパレットが提供される。このパレットは、第1方向および前記第1方向と交差する第2方向に延在する第1部材と、前記第1部材における前記第2方向第2側の端部に連接され、前記第1方向および前記第2方向と交差する第3方向および前記第1方向に延在する第2部材と、前記第1部材と前記第2部材により形成される収容空間と、を備える。前記第1部材は、前記第1方向に延在する少なくとも1つの第1挿入孔を含む。前記第2部材は、前記第1方向に延在する少なくとも1つの第2挿入孔を含む。
この形態のパレットによれば、第1挿入孔と第2挿入孔とを利用してパレットを回転させることにより物品を支持する部材を第1部材と第2部材とに切り替えることができる。したがって、収容空間に配置される物品の配置状態を簡易な方法で切り替えることができ、物品の搬送および保管に便宜なパレットを提供することができる。
(7)上記形態のパレットにおいて、前記パレットの回転位置は、搬送装置の爪部を、前記第1挿入孔または前記第2挿入孔のいずれか一方に挿入し、爪部回転中心線周りに回転させることによって、前記第3方向が鉛直方向に延在し、前記第1部材が前記第2部材より下方に配置された第1状態と、前記第2方向が前記鉛直方向に延在し、前記第2部材が前記第1部材より下方に配置された第2状態と、に切り替え可能に構成されてよい。
この形態のパレットによれば、パレットの回転位置が第1状態と第2状態とのいずれであっても搬送装置の爪部を挿入しやすい位置に第1挿入孔と第2挿入孔とのいずれかが配置されやすい。したがって、パレットを回転させやすく、物品の搬送および保管により便宜なパレットを提供することができる。
(8)上記形態のパレットにおいて、さらに、前記第1部材の前記第1方向第1側の端部と、前記第2部材の前記第1方向第1側の端部とに連接され、前記第2方向および前記第3方向に延在する第3部材と、前記第1部材の前記第1方向第2側の端部と、前記第2部材の前記第1方向第2側の端部に連接され、前記第2方向および前記第3方向に延在する第4部材と、を備えてよい。
この形態のパレットによれば、パレットの収容空間に配置される物品を、第1方向の両側から支持することができる。したがって物品の荷崩れを抑制または防止することができる。
(9)上記形態のパレットにおいて、さらに、前記第3部材における前記第3方向第1側の端部を、前記第1部材における前記第1方向第1側の端部に回転可能に連結する第1連結部と、前記第4部材における前記第3方向第1側の端部を、前記第1部材における前記第1方向第2側の端部に回転可能に連結する第2連結部と、を備えてよい。
この形態のパレットによれば、第3部材と第4部材とを回転させて第1部材の上に配置することができる。そのため、パレット上にパレットを積み上げることが容易となり、限られたスペースに複数のパレットを容易に保管することができる。
(10)上記形態のパレットにおいて、さらに、前記第3部材と前記第4部材との間に掛け渡される少なくとも1つの移動規制部を備えてよい。
この形態のパレットによれば、パレットの収容空間に配置された物品の転倒や脱落を抑制または防止することができる。
(11)上記形態のパレットにおいて、前記第1部材は、前記第2方向に延在する少なくとも1つの第3挿入孔を含んでよい。前記第2部材は、前記第3方向に延在する少なくとも1つの第4挿入孔を含んでよい。
この形態のパレットによれば、搬送装置を用いて、パレットを回転させずに搬送することができる。
本開示は、パレット、パレットを用いて物品を搬送および保管する方法以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、パレットの製造方法、パレットの回転方法等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係るパレットの構成を示す説明図。
【
図2】第1連結部および第2連結部の構成を示す説明図。
【
図3】本実施形態のパレットにおける保管時の状態を示す説明図。
【
図5】パレットを用いて物品を搬送および保管する方法を示す工程図。
【
図6】第2実施形態に係るパレットの構成を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.第1実施形態:
A1.パレット100の構成:
図1から
図3までを参照して、本開示の第1実施形態に係るパレット100の構成について説明する。
図1は、第1実施形態に係るパレット100の構成を示す説明図である。パレット100は、物品の搬送、ならびに物品の保管に用いられる。「物品の搬送」とは、トラックなどを含む車両による輸送や搬送が含まれる。物品の搬送には、フォークリフトによる輸送や搬送が含まれ得る。また、物品の搬送には、飛行機、鉄道、船舶などによる輸送や搬送が含まれてもよい。
【0010】
図1の例では、物品OBは、建築物の壁に貼付される壁紙が円筒状あるいは円柱状に巻き回されたロール体である。壁紙は、「クロス」とも呼ばれることがある。以下、ロール体が延在する方向を「延在方向DE」と定義する。なお、物品OBは、壁紙やロール体のみには限らず、パレット100に形成される収容空間100Sに配置可能な任意の物品であってよい。
【0011】
物品OBにおける第3方向第2側Z2の端面には、ラベルLBが付されている。ラベルLBには、物品OBの識別情報が記載されている。「物品OBの識別情報」とは、例えば、製品の名称、種類、製品番号、ロット番号、寸法、重量、ならびに型番など、物品OBを識別可能な種々の情報を意味する。物品OBの識別情報は、文字列であってもよく、識別情報を出力可能な一次元コード、多次元コード、あるいは電子タグなどであってもよい。なお、ラベルLBが物品OBの側面に付されていないのは、複数の物品OBがパレット100に収容されている場合に、ラベルLBが他の物品OBで隠れて読み取りができなくなることを回避するためである。
【0012】
パレット100は、第1部材60と、第2部材70とを備えている。第1部材60および第2部材70は、物品OBを配置するための収容空間100Sを形成している。物品OBが複数である場合には、
図1の例では、物品OBは、後述する第2方向DYに沿って第2方向第1側Y1に向かって順に収容される。
【0013】
図1を含む各図には、本開示に係るパレット100に定義される3つの方向が模式的に示されている。「第2方向DY」は、第1部材60が延在する方向のうちの一方向である。第2方向DYのうち、第1部材60に対して第2部材70が配置される方向を「第2方向第2側Y2」と定義し、その逆側を「第2方向第1側Y1」と定義する。「第1方向DX」は、第1部材60が延在する方向のうち、第2方向DYと交差する方向である。
図1の例では、第1方向DXと第2方向DYとは直交している。第1方向DXのうち一方側を「第1方向第1側X1」と定義し、その逆側を「第1方向第2側X2」と定義する。なお、第1方向DXは、第2部材70が延在する方向のうちの一方向でもある。「第3方向DZ」は、第2部材70が延在する方向のうちの一方向である。第3方向DZは、第1方向DXおよび第2方向DYに交差する方向である。
図1の例では、第3方向DZは、第1方向DXと第2方向DYとに直交している。第3方向DZのうち、第2部材70に対して第1部材60が配置される方向を「第3方向第1側Z1」と定義し、その逆側を「第3方向第2側Z2」と定義する。第3方向DZが鉛直方向に沿った状態でパレット100が配置された状態では、第3方向第2側Z2は「上側」とも呼ばれることがあり、第3方向第1側Z1は「下側」とも呼ばれることがある。第2方向DYが鉛直方向に沿った状態でパレット100が配置された状態では、第2方向第1側Y1は「上側」とも呼ばれることがあり、第2方向第2側Y2は「下側」とも呼ばれることがある。
【0014】
第1部材60は、第1本体68と、第1カバー部材66とを備えている。第1本体68は、略矩形形状を有する板状部材で構成されている。第1本体68は、第1方向DXおよび第2方向DYに延在している。第1本体68は、いわゆる平パレットとも呼ばれることがある。第1本体68は、鉄やアルミなどの金属材料を用いて形成されている。なお、第1本体68は、樹脂製や木製であってもよい。第1本体68は、板状に代えて、網目状あるいは格子状のフレーム部材で構成されてもよい。
【0015】
第1カバー部材66は、第1本体68の厚みよりも薄い、樹脂製のパネルあるいはシートである。第1カバー部材66は、第1本体68における第3方向第2側Z2の表面に取り付けられている。第1カバー部材66は、パレット100が後述する第1状態で配置されている場合に、物品OBを支持するとともに、物品OBに対する衝撃を緩和する緩衝材として機能する。なお、第1カバー部材66は、金属製や木製であってもよい。第1カバー部材66と第1本体68とは、一体で形成されてもよい。なお、第1カバー部材66は省略されてもよい。
【0016】
第2部材70は、第2本体78と、第2カバー部材76とを備えている。第2本体78は、略矩形形状を有する板状部材で構成されている。第2本体78は、第1方向DXおよび第3方向DZに延在している。第2本体78は、いわゆる平パレットとも呼ばれることがある。第2本体78は、例えば、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)などの樹脂材料を用いて形成されている。第2本体78は、第1部材60の第1本体68における第2方向第2側Y2の端部に連接されている。本実施形態では、第1部材60の第1本体68と、第2部材70の第2本体78とは、不図示の固定具を用いた締結によって、強固に固定されている。なお、第2本体78は、樹脂製に代えて、金属製であってもよい。第2本体78は、板状に代えて、網目状あるいは格子状のフレーム部材で構成されてもよい。また、第1本体68と第2本体78とが一体で形成されてもよい。第2部材70の形状は、第1部材60の形状と同一にされてもよい。この場合には、第1部材60と第2部材70との生産性を向上させることができる。
【0017】
第2カバー部材76は、第2本体78の厚みよりも薄い、樹脂製のパネルあるいはシートである。第2カバー部材76は、第2本体78における第2方向第1側Y1の表面に取り付けられている。第2カバー部材76は、パレット100が後述する第2状態で配置されている場合には、物品OBを支持するとともに、物品OBに対する衝撃を緩和する緩衝材として機能する。なお、第2カバー部材76は、金属製であってもよい。第2カバー部材76と第2本体78とは、一体で形成されてもよい。また、第2カバー部材76、第2本体78、第1カバー部材66、ならびに第1本体68が一体で形成されてもよい。すなわち、第2部材70と第1部材60とが一体で形成されてもよい。このように構成することにより、固定具を用いない簡易な構成でパレット100ならびに収容空間100Sを形成することができる。
【0018】
本実施形態では、パレット100は、さらに、第3部材30と、第4部材40とを備えている。第3部材30および第4部材40は、いわゆる側板として機能する。第3部材30および第4部材40を備えるパレット100は、ボックスパレットとも呼ばれることがある。
【0019】
第3部材30は、第1部材60の第1方向第1側X1の端部と、第2部材70の第1方向第1側X1の端部とに連接されている。第3部材30は、略矩形形状を有するパネルである。第3部材30は、例えば、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)などの樹脂材料を用いて形成されている。第3部材30は、樹脂製に代えて、木製や金属製であってもよい。第3部材30は、パネルに代えて、網目状、格子状のフレーム部材で構成されてもよい。第3部材30は、第1連結部31と、第1端部支持具34と、第1支持具36とを備えている。なお、第3部材30は、不図示の固定具などにより、第2部材70の第1方向第1側X1の端部に対して着脱可能となるように連結されている。
【0020】
第4部材40は、第1部材60の第1方向第2側X2の端部と、第2部材70の第1方向第2側X2の端部に連接されている。第4部材40は、第2連結部42と、第2端部支持具44と、第2支持具46とを備えている。なお、第4部材40は、不図示の固定具などにより、第2部材70の第1方向第2側X2の端部に対して着脱可能となるように連結されている。第4部材40のその他の構成は、第3部材30と同様であるので説明を省略する。
【0021】
第1端部支持具34および第1支持具36は、第3部材30における第3方向第2側Z2の端部近傍に設けられている。第2端部支持具44および第2支持具46は、第4部材40における第3方向第2側Z2の端部近傍において、第1端部支持具34および第1支持具36と対向する位置に設けられている。
【0022】
図1に示すように、第1端部支持具34および第2端部支持具44は、移動規制部80を支持する。移動規制部80は、鉄などの金属製の略棒状部材である。第1端部支持具34は、移動規制部80における第1方向第2側X2の端部を着脱可能に構成され、第2端部支持具44は、移動規制部80における第1方向第1側X1の端部を着脱可能に構成されている。第1端部支持具34および第2端部支持具44に移動規制部80を固定することにより、第1部材60上の物品OBが倒れること、ならびに物品OBが第2方向第1側Y1から脱落することを防止している。移動規制部80は、金属製には限らず、ゴム製や樹脂製であってよく、棒状には限らず、紐状や板状などであってもよい。
【0023】
図1に示すように、第1支持具36および第2支持具46は、移動規制部80を支持する。本実施形態では、第3部材30は、複数の第1支持具36(
図1の例では、4つ)を有している。複数の第1支持具36は、第1端部支持具34に対して第2方向第2側Y2に向かって等間隔で配列されている。第4部材40は、複数の第2支持具46(
図1の例では、4つ)を有している。複数の第2支持具46は、第2端部支持具44に対して第2方向第2側Y2に向かって等間隔で配列されている。移動規制部80を、任意の組み合わせの第1支持具36と第2支持具46とに掛け渡すことによって、第2方向DYにおける移動規制部80の配置位置を調整することができる。したがって、収容空間100Sに配置される物品OBの数量に応じた適正な位置に移動規制部80を配置することができる。
【0024】
図2は、第1連結部31および第2連結部42の構成を示す説明図である。
図2に示すように、第1連結部31は、第3部材30が第1部材60に対して回転可能となるように、第3部材30を第1部材60に連結している。具体的には、第1連結部31は、第1部材60における第1方向第1側X1の端部と、第3部材30における第3方向第1側Z1の端部とを連結している。第1連結部31は、第3部材30を、第2方向DYに沿った第1回転軸AX1を中心として回転させる。
【0025】
この結果、第3部材30は、
図2に破線で示す起立状態30S1と、実線で示す収納状態30S2とに切り替え可能である。起立状態30S1は、第3部材30が第2方向DYおよび第3方向DZに沿って延在する状態である。収納状態30S2は、第3部材30が第1方向DXおよび第2方向DYに沿って延在する状態である。
【0026】
図2に示すように、第2連結部42は、第4部材40が第1部材60に対して回転可能となるように、第4部材40を第1部材60に連結している。具体的には、第2連結部42は、第1部材60における第1方向第2側X2の端部と、第4部材40における第3方向第1側Z1の端部とを連結している。第2連結部42は、第4部材40を、第2方向DYに沿った第2回転軸AX2を中心として回転させる。
【0027】
この結果、第4部材40は、
図2に破線で示す起立状態40S1と、実線で示す収納状態40S2とに切り替え可能である。起立状態40S1は、第4部材40が第2方向DYおよび第3方向DZに沿って延在する状態である。収納状態40S2は、第4部材40が第1方向DXおよび第2方向DYに沿って延在する状態である。
【0028】
第3部材30が起立状態30S1であり、第4部材40が起立状態40S1である状態のパレット100は、いわゆるボックスパレットとして機能する状態であり、専ら物品OBの搬送、あるいは物品OBの保管に利用される。また、第3部材30が収納状態30S2であり、第4部材40が収納状態40S2である状態のパレット100は、例えば、不使用のパレット100を保管する場合など、専ら物品OBが収容空間100Sに配置されていない場合に利用される。
【0029】
図3は、本実施形態のパレット100における保管時の状態を示す説明図である。
図3では、第3部材30が収納状態30S2であり、第4部材40が収納状態40S2である状態のパレット100が複数積み上げられた状態が示されている。なお、
図3では、収納状態40S2の第4部材40上に第1部材60が積み重ねられることによって、パレット100が積み上げられる例が示されている。これに対して、第2部材70上に第2部材70が積み重ねられることによって、パレット100が積み上げられてもよい。
【0030】
図2で示したように、本実施形態のパレット100では、第2連結部42の第2回転軸AX2は、第1連結部31の第1回転軸AX1に対して、第3部材30の厚さ以上の距離だけ第3方向第2側Z2に離間して配置されている。この結果、収納状態30S2の第3部材30の第3方向第2側Z2に、収納状態40S2の第4部材40を配置することができる。かつ、収納状態40S2の第4部材40と、収納状態30S2の第3部材30とは、互いに近接して対向し、かつ平行な状態で配置することができる。したがって、パレット100をコンパクトにした状態で保管することができ、限られたスペースに複数のパレット100を保管することができる。
【0031】
A2.パレット100の回転方法:
図1とともに
図4を参照して、本実施形態に係るパレット100を回転させる方法について説明する。
図1に示すように、本実施形態のパレット100では、第1本体68に、第1挿入孔61が形成され、第2本体78に、第2挿入孔72が形成されている。第1挿入孔61および第2挿入孔72は、搬送装置200の爪部202を挿入可能に構成されている。第1挿入孔61および第2挿入孔72は、専ら搬送装置200によるパレット100の回転に利用される。第1挿入孔61および第2挿入孔72は、パレット100の搬送に利用されてもよい。第1挿入孔61は、「挿入孔」「第1挿入孔」の一例であり、第2挿入孔72は、「挿入孔」「第2挿入孔」の一例である。
【0032】
搬送装置200は、例えば、フォークリフトである。搬送装置200は、2つの爪部202を有している。爪部202は、フォークとも呼ばれる。搬送装置200は、爪部202を回転可能に構成されている。具体的には、搬送装置200は、搬送装置200からパレット100を見た場合において、爪部202を、回転軸RX周りに、時計回りの方向R1と、反時計回りの方向R2とのいずれの方向にも回転できるように構成されている。回転軸RXは、「爪部回転中心線」の一例である。搬送装置200は、2つの爪部202が回転軸RXよりも第3方向第1側Z1の位置で概ね第2方向DYに沿って配列される「第1回転状態」と、2つの爪部202が回転軸RXよりも第2方向第1側Y1の位置で概ね第3方向DZに沿って配列される「第2回転状態」とに切り替え可能である。なお、
図1では、第1回転状態の搬送装置200が示されている。なお、2つの爪部202が回転軸RXよりも第3方向第2側Z2の位置で概ね第2方向DYに沿って配列される状態を「第3回転状態」とも呼ぶことがある。2つの爪部202が回転軸RXよりも第2方向第2側Y2の位置で概ね第3方向DZに沿って配列される状態を「第4回転状態」とも呼ぶことがある。
【0033】
第1挿入孔61は、第1部材60における第1方向第1側X1の端部から第1方向DXに沿って第1方向第2側X2の端部まで形成される貫通孔である。第2挿入孔72は、第2部材70における第1方向第1側X1の端部から第1方向DXに沿って第1方向第2側X2の端部まで形成される貫通孔である。なお、第1挿入孔61および第2挿入孔72は、爪部202を挿入可能であることを前提に、貫通孔に代えて、第1方向第2側X2に底部を有する凹形状で構成されてもよい。
【0034】
パレット100は、搬送装置200によるパレット100の回転により、第1状態と、第2状態とに切り替え可能に構成されている。より具体的には、搬送装置200は、爪部202を回転させて、第1回転状態と第2回転状態とを切り替えることによって、パレット100を第1状態と第2応対とに切り替えることができる。
【0035】
「第1状態」とは、パレット100の第3方向DZが鉛直方向に延在し、第1部材60が第2部材70より下方に配置された状態である。「第1部材60が第2部材70より下方に配置された状態」とは、第2部材70の上端よりも下方に第1部材60全体が配置された状態を意味し、第2部材70の一部が第1部材60と同じ高さに配置された状態を含む。
【0036】
図4は、第2状態のパレット100を示す説明図である。「第2状態」とは、パレット100の第2方向DYが鉛直方向に延在し、第2部材70が第1部材60より下方に配置された状態である。「第2部材70が第1部材60より下方に配置された状態」とは、第1部材60の上端よりも下方に第2部材70全体が配置された状態を意味し、第1部材60の一部が第2部材70と同じ高さに配置された状態を含む。
【0037】
第1状態から第2状態へと切り替える処理について説明する。搬送装置200は、例えば、第1回転状態の爪部202を第1方向第1側X1から第1方向第2側X2に向かって第1挿入孔61に挿入し、第1状態のパレット100を持ち上げる。搬送装置200は、回転軸RXを中心として、爪部202を方向R1に向けて略90度だけ回転させる。この結果、爪部202は、第2回転状態へと切り替えられる。持ち上げられた第1状態のパレット100は、回転軸RX周りに方向R1に向けて90度だけ回転し、
図4に示す第2状態へと切り替えられる。搬送装置200は、第2状態のパレット100を地面等の配置場所に配置すると、爪部202を第1挿入孔61から抜き出して、第1状態から第2状態へと切り替える処理を完了する。なお、第4回転状態の爪部202を、第2挿入孔72に挿入し、爪部202を方向R1に回転させることによって、パレット100を第1状態から第2状態へと切り替えてもよい。
【0038】
パレット100を回転させる際、搬送装置200は、爪部202に加えて、爪部202とは別体のアーム等を用いてパレット100を支持してもよい。例えば、搬送装置200が爪部202を第1部材60の第1挿入孔61に挿入させてパレット100を回転させる場合には、第1挿入孔61から離れた位置(例えば、第2部材70における第3方向第2側Z2の端部)をアームで支持した状態でパレット100を回転させることができる。この場合には、爪部202のみを用いる場合よりも安定した状態でパレット100を回転させることができる。したがって、パレット100の回転時における物品OBに対する衝撃を抑制または防止することができる。
【0039】
図1では、パレット100に対して第1方向第1側X1の位置から爪部202を挿入する例を示した。これに対して、パレット100に対して第1方向第2側X2の位置から爪部202を挿入してもよい。この場合には、第1回転状態の爪部202を第1方向第2側X2から第1方向第1側X1に向かって第1挿入孔61に挿入し、回転軸RX周りに方向R2に向けて90度だけ回転させることにより、上記と同様の効果を奏する。
【0040】
次に、第2状態から第1状態へと切り替える処理について説明する。搬送装置200は、例えば、第2回転状態の爪部202を第1方向第1側X1から第1方向第2側X2に向かって第2部材70の第2挿入孔72に挿入し、第2状態のパレット100を持ち上げる。搬送装置200は、回転軸RXを中心として、爪部202を方向R2に向けて略90度だけ回転させる。この結果、爪部202は、第1回転状態へと切り替えられる。持ち上げられた第2状態のパレット100は、回転軸RX周りに方向R2に向けて90度だけ回転し、
図1で示した第1状態へと切り替えられる。搬送装置200は、第1状態のパレット100を地面等の配置場所に配置すると、爪部202を第2挿入孔72から抜き出して、第2状態から第1状態へと切り替える処理を完了する。なお、第3回転状態の爪部202を、第1挿入孔61に挿入し、爪部202を方向R2に回転させることによって、パレット100を第2状態から第1状態へと切り替えてもよい。
【0041】
図4では、パレット100に対して第1方向第1側X1の位置から爪部202を挿入する例を示した。これに対して、パレット100に対して第1方向第2側X2の位置から爪部202を挿入してもよい。この場合には、第2回転状態の爪部202を第1方向第2側X2から第1方向第1側X1に向かって第2挿入孔72に挿入し、回転軸RX周りに方向R1に向けて90度だけ回転させることにより、上記と同様の効果を奏する。
【0042】
A3.パレット100の搬送方法:
図1で示したように、本実施形態のパレット100では、さらに、第1本体68に、第3挿入孔63が形成され、第2本体78に、第4挿入孔74が形成されている。第3挿入孔63および第4挿入孔74は、搬送装置200の爪部202を挿入可能に構成されている。第3挿入孔63および第4挿入孔74は、専ら搬送装置200によるパレット100の平行搬送に利用される。「平行搬送」とは、搬送装置200を用いて、第1状態あるいは第2状態のパレット100を回転させずに搬送することを意味する。
【0043】
第3挿入孔63は、第1部材60における第2方向第1側Y1の端部から第2方向DYに沿って第2方向第2側Y2の端部まで形成される貫通孔である。第4挿入孔74は、第2部材70における第3方向第2側Z2の端部から第3方向DZに沿って第3方向第1側Z1の端部まで形成される貫通孔である。なお、第3挿入孔63および第4挿入孔74は、爪部202を挿入可能であることを前提に、貫通孔に代えて、第3方向第1側Z1に底部を有する凹形状で構成されてもよい。
【0044】
搬送装置200は、パレット100が第1状態で載置されている場合には、第2回転状態の爪部202を第3挿入孔63に挿入し、第1状態のパレット100を持ち上げて平行搬送することができる。したがって、物品OBをバランス良く搬送することができる。また、パレット100が第2状態で載置されている場合には、爪部202を、第4挿入孔74に挿入し、第2状態のパレット100を持ち上げて平行搬送することができる。したがって、物品OBをバランス良く搬送することができる。搬送装置200は、パレット100を配置箇所に配置すると、爪部202を第3挿入孔63あるいは第4挿入孔74から抜き出して、平行搬送を完了する。
【0045】
なお、パレット100は、第1回転状態の爪部202が第1挿入孔61に挿入された状態、第1挿入孔61に挿入された爪部202を回転させて第2回転状態とされた状態、第1回転状態の爪部202が第2挿入孔72に挿入された状態、第2挿入孔72に挿入された爪部202を回転させて第2回転状態とされた状態のいずれの状態でも平行搬送することができる。
【0046】
A4.物品を搬送および保管する方法:
図5を参照して、パレット100を用いて物品OBを搬送および保管する方法について説明する。
図5は、本実施形態に係るパレット100を用いて物品OBを搬送および保管する方法を示す工程図である。
図5に示す工程は、製品が製造されて収容空間100Sに配置されたパレット100を、倉庫等の目的地に搬送し、当該目的地で保管する場合に実行される。
【0047】
本実施形態において、パレット100による搬送対象である物品OBは、壁紙のロール体である。壁紙のロール体は、例えば、製造された時点では、
図1で示したように、第1状態のパレット100の収容空間100Sにおいて、延在方向DEが鉛直方向に略平行な状態で配列される。また、
図4で示すように、壁紙のロール体は、第2状態のパレット100の収容空間100Sにおいて、延在方向DEが水平方向に略平行な状態で積み上げることもできる。
【0048】
ここで、壁紙のロール体は、延在方向DEが水平方向に略平行な状態でトラック等の車両によって搬送されると、搬送時における車両の振動などにより、壁紙の側面同士の衝突あるいは摩耗により、壁紙の品質が低下する可能性がある。また、複数のロール体を搬送する場合には、荷台からの落下や荷崩れが抑制または防止されることが好ましい。したがって、車両などによる搬送時には、壁紙のロール体は、延在方向DEが鉛直方向に延在する状態でパレット100を用いて搬送されることが好ましい。
【0049】
また、壁紙のロール体は、延在方向DEが鉛直方向に延在する状態で保管されると、物品OBにおける第3方向第2側Z2の端面に付されたラベルLBを、鉛直方向上側から読み取ることになり不便である。また、製品を収容したパレット100が鉛直方向上側に複数積み上げられて保管される場合には、鉛直方向上側に積み上げられたパレット100によって鉛直方向下側のパレット100に収容された製品のラベルLBが隠れ、ラベルLBの読み取りが困難となり得る。また、壁紙のロール体は、延在方向DEが鉛直方向に延在する状態で保管されると、パレット100のピッキング時にロール体がバランスを崩しやすくなる。壁紙のロール体が倒れると壁部が損傷して品質が低下する可能性がある。以上のように、倉庫等での保管時には、壁紙のロール体は、延在方向DEが水平方向に延在する状態であることが好ましい。
【0050】
図5に示すように、ステップS10では、製造された物品OBが収容されたパレット100を例えばトラックなどの搬送装置で搬送する。具体的には、まず、第1状態のパレット100を、搬送装置200などによって、搬送装置へと積み荷する。物品OBは、
図1で示したように、第1状態のパレット100の収容空間100Sにおいて、延在方向DEが鉛直方向に略平行な状態で配列されている。
【0051】
パレット100は、トラック等の搬送装置によって、第1状態で搬送される。第1状態で搬送することにより、壁紙の損傷を防止することができる。目的地に到達すると、パレット100は、目的地の搬送装置200によって、搬送装置から荷下ろしされる。パレット100を利用して荷下ろしされるので、製品の荷崩れや荷台からの落下を抑制または防止することができる。搬送装置200は、パレット100の第1挿入孔61、第2挿入孔72、あるいは第3挿入孔63に爪部202を挿入して、パレット100を荷下ろしする。荷下ろしされたパレット100は、配置予定位置まで搬送される。
【0052】
なお、壁紙のロール体は、製造された時点において、第2状態のパレット100に、延在方向DEが水平方向に略平行な状態で配列されていてもよい。この場合には、搬送装置200は、第2状態で保管されているパレット100を回転させて、第1状態へと切り替えて搬送装置へと積み荷する。搬送装置200は、爪部202を第1挿入孔61あるいは第2挿入孔72に挿入し、回転軸RX周り(
図4の例では方向R2)に回転させる。これにより、パレット100は第2状態から第1状態へと切り替えられ、パレット100上に配置された物品OBは、延在方向DEが水平方向と略平行であった状態から鉛直方向と略平行な状態へと切り替えられる。パレット100における第2状態から第1状態への切替えは、搬送装置への積載までの任意のタイミングで実行されてよい。
【0053】
ステップS20では、搬送装置200は、第1状態で搬送されたパレット100を回転させて、第2状態へと切り替える。具体的には、搬送装置200は、爪部202を、第1挿入孔61あるいは第2挿入孔72に挿入し、回転軸RX周り(
図1の例では方向R1)に回転させる。これにより、パレット100上に配置された物品OBは、延在方向DEが鉛直方向と略平行であった状態から水平方向と略平行な状態へと切り替えられる。
【0054】
ステップS30では、搬送装置200は、第2状態へと切り替えられたパレット100を、配置予定位置に配置する。パレット100は、第2状態で保管される。第2状態で保管することにより、パレット100に収容された物品OBの端面に付されたらラベルLBが読み取りやすくなる。したがって、物品OBの識別に便宜な状態でパレット100を保管することができる。また、パレット100のピッキング時に物品OBを倒してしまうことを抑制または防止することができる。
【0055】
A5.効果:
以上、説明したように、本実施形態のパレット100を用いて物品OBを搬送および保管する方法によれば、収容空間100Sに配置された物品OBを搬送する際には、第3方向DZが鉛直方向に延在し、第1部材60が第2部材70より下方に配置された第1状態でパレット100を搬送する。収容空間100Sに配置された物品OBを保管場所に保管する際には、第2方向DYが鉛直方向に延在し、第2部材70が第1部材60より下方に配置された第2状態でパレット100を保管場所に配置する。パレット100の搬送時と保管時とでパレット100の回転位置が切り替えられるので、物品OBに応じた好適な搬送方法および保管方法を提供することができる。パレット100の収容空間100Sに配置される物品OBの配置状態を簡易な方法で切り替えることができる搬送方法および保管方法を提供することができる。
【0056】
本実施形態に係る物品OBを搬送および保管する方法によれば、収容空間100Sに配置された物品OBを搬送する際には、搬送装置200の爪部202を、例えば第2挿入孔72に挿入し、第2挿入孔72に挿入された爪部202を爪部回転中心線周りに回転させ、パレット100を第1状態に切り替える。収容空間100Sに配置された物品OBを保管場所に保管する際には、爪部202を、例えば第1挿入孔61に挿入し、第1挿入孔61に挿入された爪部202を爪部回転中心線周りに回転させ、パレット100を第2状態に切り替える。したがって、第1挿入孔61と第2挿入孔72とを搬送装置200の爪部202を挿入しやすい位置に設けることにより、パレット100を容易に回転させることができる。
【0057】
本実施形態に係るパレット100は、第1方向DXおよび第1方向DXと交差する第2方向DYに延在する第1部材60と、第1部材60における第1方向第1側X1の端部に連接され、第1方向DXおよび第2方向DYと交差する第3方向DZおよび第1方向DXに延在する第2部材70と、第1部材60と第2部材70により形成される収容空間100Sと、を備えている。第1部材60は、第1方向DXに延在する少なくとも1つの第1挿入孔61を含んでいる。第2部材70は、第1方向DXに延在する少なくとも1つの第2挿入孔72を含んでいる。第1挿入孔61と第2挿入孔72とを利用してパレット100を回転させることにより、物品OBを支持する部材、すなわちパレット100の底面を第1部材60と第2部材70とに簡易に切り替えることができる。したがって、収容空間100Sに配置される物品OBの配置状態を、搬送時と保管時とで簡易に切り替えることができ、物品OBの搬送および保管に便宜なパレット100を提供することができる。
【0058】
本実施形態に係るパレット100において、パレット100の回転位置は、搬送装置200の爪部202を、第1挿入孔61または第2挿入孔72のいずれか一方に挿入し、爪部回転中心線周りに回転させることによって、第3方向DZが鉛直方向に延在し、第1部材60が第2部材70より下方に配置された第1状態に調整可能である。また、爪部202を、第1挿入孔61または第2挿入孔72のいずれか一方に挿入し、爪部回転中心線周りに回転させることによって、第2方向DYが鉛直方向に延在し、第2部材70が第1部材60より下方に配置された第2状態に切り替え可能である。パレット100の回転位置が第1状態と第2状態とのいずれであっても爪部202を挿入しやすい位置には、第1挿入孔61と第2挿入孔72とのいずれかが配置される。したがって、パレット100を回転させやすく、物品OBの搬送および保管により便宜なパレット100を提供することができる。
【0059】
本実施形態のパレット100は、第1部材60の第1方向第1側X1の端部と、第2部材70の第1方向第1側X1の端部とに連接され、第2方向DYおよび第3方向DZに延在する第3部材30と、第1部材60の第1方向第2側X2の端部と、第2部材70の第1方向第1側X1の端部に連接され、第2方向DYおよび第3方向DZに延在する第4部材40と、を備えている。パレット100を第1部材60あるいは第2部材70に配置された物品OBを、第3部材30と第4部材40との両側から支持することができる。したがって、パレット100の収容空間100Sに配置される物品OBの荷崩れを抑制または防止することができる。
【0060】
本実施形態のパレット100は、第3部材30における第3方向第1側Z1の端部を、第1部材60における第1方向第1側X1の端部に回転可能に連結する第1連結部31と、第4部材40における第3方向第1側Z1の端部を、第1部材60における第1方向第2側X2の端部に回転可能に連結する第2連結部42と、を備える。第3部材30と第4部材40とを回転させて第1部材60の上に配置することができる。そのため、パレット100の第1部材60上あるいは第2部材70上にパレット100を積み上げることが容易となる。したがって、限られたスペースに複数のパレット100を容易に保管することができる。
【0061】
本実施形態のパレット100は、さらに、第3部材30と第4部材40との間に掛け渡される少なくとも1つの移動規制部80を備えている。移動規制部80により、第1部材60上の物品OBが倒れること、ならびに物品OBが第2方向第1側Y1から脱落することを抑制または防止することができる。
【0062】
本実施形態のパレット100によれば、第1部材60は、第2方向DYに延在する少なくとも1つの第3挿入孔63を含み、第2部材70は、第3方向DZに延在する少なくとも1つの第4挿入孔74を含んでいる。したがって、搬送装置200を用いて、第1状態あるいは第2状態のパレット100を回転させずに搬送することができる。
【0063】
B.第2実施形態:
図6は、第2実施形態に係るパレット100bの構成を示す説明図である。第2実施形態に係るパレット100bは、第1実施形態のパレット100とは、第2部材70に代えて第2部材70bを備える点で相違し、それ以外の構成はパレット100と同様である。
【0064】
第2部材70bは、第1実施形態で示した第2部材70とは、第2挿入孔72が形成されていない点と、さらに、凹部79を備える点とにおいて相違し、それ以外の構成は第2部材70と同様である。本実施形態では、搬送装置200は、第1部材60の第1挿入孔61のみを用いてパレット100bを回転させる。
【0065】
収容空間100Sに配置された物品OBを搬送する際には、搬送装置200の爪部202を第1挿入孔61あるいは第3挿入孔63に挿入する。収容空間100Sに配置された物品OBを保管場所に保管する際には、爪部202を第1挿入孔61に挿入し、第1挿入孔61に挿入された爪部202を爪部回転中心線周りに回転させ、パレット100bを第2状態へと切り替える。このように構成されたパレット100bによれば、パレット100bを簡易な構成としつつ、上記第1実施形態と同様に、パレット100bの収容空間100Sに配置される物品OBの配置状態を簡易な方法で切り替えることができる搬送方法および保管方法を提供することができる。
【0066】
凹部79は、第2部材70bにおける第2方向第1側Y1の表面、具体的には第2カバー部材76の表面に形成されている。凹部79は、ロール体の曲面に対応する形状を有している。そのため、パレット100bが第2状態とされ、延在方向DEが水平方向と略平行とされた物品OBが第2部材70b上に配置されると、物品OBの側面は、凹部79に支持される。したがって、この形態のパレット100bによれば、パレット100bが第2状態である場合に、ロール体が第2部材70bの上で移動することを抑制または防止することができる。
【0067】
C.他の実施形態:
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0068】
更に、本発明および上記実施形態とその変形例の趣旨に鑑み、以下の態様が構築される。以下の態様の少なくとも1つが、単独で、あるいは、上記実施形態のパレット100,100b、上記変形例、および請求項に記載された特徴の少なくとも1つと組み合わされて採用されうる。
[態様1]
前記第1側壁部は、前記第1ベースに載置された前記物品が前記第1ベースにおける第1方向第2側の端部よりも外側へ移動することを規制する規制部材の一端を固定可能に構成される少なくとも一の第1支持具を備え、
前記第2側壁部は、前記規制部材の他端を固定可能に構成される少なくとも一の第2支持具を備える。
第1端部支持具34と第1支持具36とは、「第1支持具」の一例である。第2端部支持具44と第2支持具46とは、「第2支持具」の一例である。
[態様2]
前記第1ベースにおける第1方向の幅および第3方向の幅は、1050ミリメートル以上1150ミリメートル以下である。
この形態のパレットによれば、例えば、荷台の幅が概ね2.2メートル以上とされる大型トラックに効率良く配置できるパレットを提供することができる。
[態様3]
前記第1部材の形状と前記第2部材の形状とが互いに同じである。
この形態のパレットによれば、第1部材と第2部材との生産性を向上させることができ、パレットの生産性を向上させることができる。
[態様4]
前記物品は、円筒形状または円柱形状を有するロール体である。
[態様5]
前記第2部材は、前記ロール体の曲面に対応する凹部を備える。
この形態のパレットによれば、ロール体が第2部材上で移動することを抑制または防止することができる。
[態様6]
前記第2部材は、第2方向第1側の面に平坦なカバー部材を備える。
第2カバー部材76は、「カバー部材」の一例である。この形態のパレットによれば、パレットに配置された物品が第2部材の表面形状に起因して損傷することを抑制または防止することができる。物品がロール体である場合には、延在方向が水平方向に延在する状態で第2部材上に配置されてもロール体に第2部材表面の凹凸形状に起因する痕が残ることを抑制また防止することができる。
【符号の説明】
【0069】
30…第3部材、30S1…起立状態、30S2…収納状態、31…第1連結部、34…第1端部支持具、36…第1支持具、40…第4部材、40S1…起立状態、40S2…収納状態、42…第2連結部、44…第2端部支持具、46…第2支持具、60…第1部材、61…第1挿入孔、63…第3挿入孔、66…第1カバー部材、68…第1本体、70,70b…第2部材、72…第2挿入孔、74…第4挿入孔、76…第2カバー部材、78…第2本体、79…凹部、80…移動規制部、100,100b…パレット、100S…収容空間、200…搬送装置、202…爪部、AX1…第1回転軸、AX2…第2回転軸、LB…ラベル、OB…物品、RX…回転軸
【要約】
【課題】パレットの収容空間内に収容されている物品の配置状態を簡易な方法で変更することができ、物品の搬送および保管に便宜なパレットおよび物品の搬送および保管方法を提供する。
【解決手段】物品を搬送および保管する方法では、パレットは、物品が配置される収容空間を形成する第1部材と第2部材とを備えている。第1部材は、第1方向および第1方向と交差する第2方向に延在する。第2部材は、第1部材における第2方向第2側の端部に連接され、第1方向および第2方向と交差する第3方向および第1方向に延在する。収容空間に配置された物品を搬送する際には、第3方向が鉛直方向に延在し、第1部材が第2部材より下方に配置された第1状態でパレットを搬送する。収容空間に配置された物品を保管場所に保管する際には、第2方向が鉛直方向に延在し、第2部材が第1部材より下方に配置された第2状態でパレットを保管場所に配置する。
【選択図】
図1