(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】燃料タンクの製造装置及び燃料タンクの製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 49/18 20060101AFI20241125BHJP
B29C 49/28 20060101ALI20241125BHJP
B29C 49/66 20060101ALI20241125BHJP
B29C 33/04 20060101ALI20241125BHJP
B60K 15/077 20060101ALI20241125BHJP
【FI】
B29C49/18
B29C49/28
B29C49/66
B29C33/04
B60K15/077 B
B60K15/077 C
(21)【出願番号】P 2024517925
(86)(22)【出願日】2023-04-03
(86)【国際出願番号】 JP2023013778
(87)【国際公開番号】W WO2023210263
(87)【国際公開日】2023-11-02
【審査請求日】2024-07-03
(31)【優先権主張番号】P 2022071723
(32)【優先日】2022-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390023917
【氏名又は名称】マザーサンヤチヨ・オートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】諸岡 和義
(72)【発明者】
【氏名】松崎 徹
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-025876(JP,A)
【文献】特開2001-239574(JP,A)
【文献】特開昭57-165223(JP,A)
【文献】特開2009-113704(JP,A)
【文献】特開2018-058244(JP,A)
【文献】特開2001-239573(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0068377(US,A1)
【文献】特開平05-131531(JP,A)
【文献】特開平05-293879(JP,A)
【文献】特開2006-015744(JP,A)
【文献】特開平06-143396(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/18
B29C 49/28
B29C 49/48
B29C 33/42
B60K 15/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形型と冷却型とを備えた燃料タンクの製造装置であって、
前記成形型は、成形面に凸条部を備え、外面に凹部を有するようにビード形状部を成形しつつ1次成形品を成形し、
前記冷却型は、
前記成形型で成形後、当該冷却型に設置した前記1次成形品において、冷却ブロー圧によって前記ビード形状部を潰し込んでリブ形状部へと変形させつつ前記1次成形品を冷却することを特徴とする燃料タンクの製造装置。
【請求項2】
前記冷却型は、負圧部を備え、
前記負圧部によって前記1次成形品の外面側から前記ビード形状部に負圧を発生させ、前記ビード形状部の側壁同士が近接するように変形させることを特徴とする請求項1記載の燃料タンクの製造装置。
【請求項3】
前記冷却型では、前記1次成形品の融点より低く、かつ、変形可能な温度の時に前記ビード形状部を前記リブ形状部へと変形させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料タンクの製造装置。
【請求項4】
成形型で、外面に凹部を有するようにビード形状部を成形しつつ1次成形品を成形する成形工程と、
前記成形工程で成形された前記1次成形品を冷却型に設置し、冷却ブローを行う冷却工程と、を含み、
前記冷却工程では、冷却ブロー圧によって前記ビード形状部を潰し込んでリブ形状部へと変形させつつ前記1次成形品を冷却することを特徴とする燃料タンクの製造方法。
【請求項5】
前記冷却型に負圧部を設け、
前記冷却工程では、前記負圧部によって前記1次成形品の外面側から前記ビード形状部に負圧を発生させ、前記ビード形状部の側壁同士が近接するように変形させることを特徴とする請求項4記載の燃料タンクの製造方法。
【請求項6】
前記冷却工程では、前記1次成形品の融点より低く、かつ、変形可能な温度の時に前記ビード形状部を前記リブ形状部へと変形させることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の燃料タンクの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンクの製造装置及び燃料タンクの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、対向する一対のスライダを設けたブロー金型が開示されている。当該ブロー金型を用いた燃料タンクの製造方法では、パリソンを一対のスライダによって押し込み、対向するパリソン同士を溶着させる。一対のスライダを退避させた後、ブロー圧によって変形させてリブを形成するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2016/0052187号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の製造方法では、燃料タンクの内部にリブを形成するためにブロー金型に一対のスライダを設ける必要がある。このため、ブロー金型の構造や制御が複雑化するとともに、ブロー金型のコストが増大したり、製造のサイクルタイムが長くなったりするという問題がある。
【0005】
本発明は、このような観点から創案されたものであり、リブ形状部を備えた燃料タンクを製造する際の製造コストの低減及び製造のサイクルタイムの短縮を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、成形型と冷却型とを備えた燃料タンクの製造装置であって、前記成形型は、成形面に凸条部を備え、外面に凹部を有するようにビード形状部を成形しつつ1次成形品を成形し、前記冷却型は、前記成形型で成形後、当該冷却型に設置した前記1次成形品において、冷却ブロー圧によって前記ビード形状部を潰し込んでリブ形状部へと変形させつつ前記1次成形品を冷却することを特徴とする。
また、本発明は、成形型で、外面に凹部を有するようにビード形状部を成形しつつ1次成形品を成形する成形工程と、前記成形工程で成形された前記1次成形品を冷却型に設置し、冷却ブローを行う冷却工程と、を含み、前記冷却工程では、冷却ブロー圧によって前記ビード形状部を潰し込んでリブ形状部へと変形させつつ前記1次成形品を冷却することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、成形型にスライダ等の複雑な構造を設けることなく、簡易な構造で燃料タンク内にリブ形状部を形成することができる。また、スライダ等を用いないため、リブ形状部を形成するために成形時にスライダを燃料タンク内に押し込んだり、退避させたりする工程を省略できる。これにより、製造コストの低減及び製造のサイクルタイムの短縮を図ることができる。また、リブ形状部はビード形状部と比較して燃料タンク内の占有体積が小さいため、燃料タンクの容量低下を防ぐことができる。
【0008】
また、前記冷却型は、負圧部を備え、前記負圧部によって前記1次成形品の外面側から前記ビード形状部に負圧を発生させ、前記ビード形状部の側壁同士が近接するように変形させることが好ましい。
また、前記冷却型に負圧部を設け、前記冷却工程では、前記負圧部によって前記1次成形品の外面側から前記ビード形状部に負圧を発生させ、前記ビード形状部の側壁同士が近接するように変形させることが好ましい。
【0009】
本発明によれば、リブ形状部の成形精度を高めることができる。
【0010】
また、前記冷却型では、前記1次成形品の融点より低く、かつ、変形可能な温度の時に前記ビード形状部を前記リブ形状部へと変形させることが好ましい。
また、前記冷却工程では、前記1次成形品の融点より低く、かつ、変形可能な温度の時に前記ビード形状部を前記リブ形状部へと変形させることが好ましい。
【0011】
このようにすると、ビード形状部からリブ形状部への変形を最適化することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、リブ形状部を備えた燃料タンクを製造する際の製造コストの低減及び製造のサイクルタイムの短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態に係る燃料タンクの内部を上方から透視したときの斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る燃料タンクの製造装置の成形型を示す断面図である。
【
図3】第1実施形態に係る燃料タンクの製造装置の冷却型を示す断面図である。
【
図4】第1実施形態に係る燃料タンクの製造方法のパリソン配置工程を示す断面図である。
【
図5】第1実施形態に係る燃料タンクの製造方法の成形工程を示す断面図である。
【
図6】第1実施形態に係る燃料タンクの製造方法の脱型工程(成形後)を示す断面図である。
【
図7】第1実施形態に係る燃料タンクの製造方法の設置工程を示す断面図である。
【
図8】第1実施形態に係る燃料タンクの製造方法の冷却工程を示す断面図である。
【
図9】第1実施形態に係る燃料タンクの製造方法の脱型工程(冷却後)を示す断面図である。
【
図10】第2実施形態に係る燃料タンクの製造方法の成形工程を示す断面図である。
【
図11】第2実施形態に係る燃料タンクの製造方法の冷却工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1実施形態に係る燃料タンクの製造装置及び燃料タンクの製造方法について図面を参照して説明する。なお、下記の実施形態はあくまで例示であって、本発明を限定するものではない。また、各実施形態は適宜組み合わせて構成することができる。
【0015】
[第1実施形態]
<燃料タンク>
図1は、第1実施形態に係る燃料タンクの内部を上方から透視したときの斜視図である。
図1に示す燃料タンクTは、樹脂製であり内部にガソリン等の燃料を貯留し、自動車やバイク並びに船舶等の移動手段に搭載される。燃料タンクTは、幅広で上下方向の厚みが薄型のタイプである。燃料タンクTはバリア層を含んだ熱可塑性樹脂で形成されている。
【0016】
燃料タンクTは、燃料タンク本体1と、ポンプ取付孔2と、リブ形状部3,3とを備えている。ポンプ取付孔2は、円柱状を呈し、燃料タンク本体1の天面1bに貫通して形成されている。ポンプ取付孔2には、燃料を燃料タンクT外へ汲み出すポンプ(図示せず)が取り付けられる。
【0017】
リブ形状部3,3は、燃料タンク本体1の底面1aに立設し、上方に延在する板状の部位である。リブ形状部3,3の形状は特に限定されないが、本実施形態では側面視及び平面視共に矩形状になっている。リブ形状部3,3により、燃料タンクTの耐変形性および強度を向上させることができるとともに、燃料が揺動した際の波消しを行うことができる。なお、燃料タンク本体1の内部には、他の内蔵部品を備えていてもよい。
【0018】
<燃料タンクの製造装置>
本実施形態に係る燃料タンクの製造装置は、
図2に示す成形型10と、
図3に示す冷却型40とを含んで構成されている。成形型10及び冷却型40は、図示しない制御部と電気的に接続されており、制御部からの信号に基づいて稼働し、燃料タンクTを製造することができる。
【0019】
図2に示すように、成形型10は、第1成形型10aと、第2成形型10bとを備えている。第1成形型10aには、成形面11aと、孔部成形面12と、ブローピン13とが設けられている。成形面11aは、燃料タンク本体1を成形する部位である。孔部成形面12は、ポンプ取付孔2を成形する部位である。ブローピン13は、成形時に空気を供給する管である。
【0020】
第2成形型10bは、成形面11aに対して対向して配置される。第2成形型10bには、成形面11bと、凸条部14,14とが設けられている。成形面11bは、燃料タンク本体1を成形する部位である。凸条部14は、成形面11bから第1成形型10aに向けて延設されており、後記するビード形状部21を成形する部位である。凸条部14は、断面台形状であり、板状を呈する。凸条部14は、脱型する際に、後記する1次成形品30が第2成形型10bから抜けるように(離間するように)、先端側から基端側に向けて幅広となるように傾斜している。
【0021】
図3に示すように、冷却型40は、第1冷却型40aと、第2冷却型40bとを備えている。第1冷却型40aには、対向面41aと、孔部対向面42と、ブローピン43とが設けられている。対向面41aは、燃料タンク本体1の外面が対向する部位である。孔部対向面42は、ポンプ取付孔2が対向する部位である。ブローピン43は、冷却時に空気を供給する管である。
【0022】
第2冷却型40bは、対向面41aに対して対向して配置される。第2冷却型40bには、対向面41bと、複数の連通孔45とが設けられている。対向面41bは、燃料タンク本体1の外面が対向する部位である。連通孔45は、対向面41bから外部に連通する孔である。連通孔45と、図示しない吸引機械とを含んで負圧部を構成している。負圧部は、燃料タンク本体1の外面から後記するビード形状部21に負圧を発生させ、側壁同士が近接するように変形させる部位である。つまり、負圧部は、ビード形状部21の変形を促進させる装置である。第1冷却型40a及び第2冷却型40bは、凸条部14及び連通孔45の有無以外は、第1成形型10aと第2成形型10bと概ね同じ形態になっている。
【0023】
<燃料タンクの製造方法>
燃料タンクの製造方法では、パリソン配置工程と、成形工程と、脱型工程(成形後)と、設置工程と、冷却工程と、脱型工程(冷却後)と、を行う。
【0024】
パリソン配置工程は、
図4に示すように、第1成形型10aと第2成形型10bとの間にシート状のパリソン20,20を配置する工程である。パリソン20は、バリア層を含んだ熱可塑性樹脂であって、燃料タンク本体1を構成する材料である。パリソン20は、当該材料の融点と同じか、それよりも高い温度になっており、変形(成形)可能になっている。なお、パリソン20は、円筒状であってもよい。
【0025】
成形工程は、
図5に示すように、成形型10を用いてブロー成形を行う工程である。成形工程では、第1成形型10aと第2成形型10bとを型締めし、ブローピン13を介して内部に空気を供給する。成形工程によってパリソン20の内側から外側に向けてブロー圧が作用するため、パリソン20が成形面11a,11b、孔部成形面12及び凸条部14に転写され、成形される。凸条部14,14によって、ビード形状部21,21が成形される。ビード形状部21は、断面台形状を呈し、板状を呈する。
【0026】
脱型工程(成形後)は、
図6に示すように、第1成形型10aと第2成形型10bとを離間させる工程である。これにより、内部が中空となる1次成形品30が成形される。1次成形品30の外面において、ビード形状部21,21に対応する位置には凹部31,31が形成されている。
【0027】
設置工程は、
図7に示すように、1次成形品30を、第1冷却型40a及び第2冷却型40bの内部に設置する工程である。1次成形品30の外面は、対向面41a,41b、孔部対向面42に対向して設置される。対向面41bと凹部31との間には空間が形成されている。
【0028】
冷却工程は、
図8に示すように、冷却型40を用いて冷却ブローを行う工程である。冷却工程では、ブローピン43を介して1次成形品30の内部に空気を供給する。当該空気の温度は、適宜設定すればよく、ブロー成形時の温度と同じであってもよいし、それよりも低い温度であってもよい。この時の1次成形品30の温度は、1次成形品(パリソン)30の融点より低く、かつ、変形可能な温度になっている。冷却工程では、1次成形品30の内部から外側に向けて冷却ブロー圧が作用するため、ビード形状部21を構成する側壁同士が互いに近接する方向に押圧されることにより(白抜き矢印参照)、リブ形状部3が成形される。換言すると、ビード形状部21の高さは概ね変わらないまま、側壁同士が近接する方向に潰し込まれリブ形状部3となる。また、冷却ブローを行いつつ、負圧部の連通孔45を介して凹部31内の空気を吸引するため、ビード形状部21の側壁同士が近接する方向に変形しやすくなる。
【0029】
脱型工程(冷却後)は、
図9に示すように、第1冷却型40aと第2冷却型40bとを離間させる工程である。これにより、2次成形品60が成形される。最後に、バリを切除することにより、燃料タンクTが形成される。
【0030】
以上説明した本実施形態に係る燃料タンクの製造装置及び燃料タンクの製造方法によれば、成形型10にスライダ等の複雑な構造を設けることなく、簡易な構造で燃料タンクT内にリブ形状部3,3を形成することができる。また、スライダを用いないため、リブ形状部3,3を形成するために成形時にスライダを燃料タンクT(1次成形品30)内に押し込んだり、退避させたりする工程を省略できる。これにより、製造コストの低減及び製造のサイクルタイムの短縮を図ることができる。また、リブ形状部3,3はビード形状部21,21と比較して燃料タンクT内の占有体積が小さいため、燃料タンクTの容量低下を防ぐことができる。
【0031】
また、冷却型40に負圧部を備えているため、ビード形状部21の変形を促進することができる。これにより、リブ形状部3の成形精度を高めることができる。
【0032】
また、冷却型40では、1次成形品30の融点より低く、かつ、変形可能な温度の時にビード形状部21をリブ形状部3へと変形させる。これにより、ビード形状部21からリブ形状部3への変形を最適化することができる。
【0033】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る燃料タンクの製造装置及び燃料タンクの製造方法について説明する。第2実施形態では、リブ形状部3が燃料タンク本体1の底面に設けられるとともに、リブ形状部4が燃料タンク本体1の天面に設けられ、さらに両者が突き合わされている点で第1実施形態と主に相違する。第2実施形態の説明の際、第1実施形態と重複する説明は省略し、相違点について説明する。
【0034】
<燃料タンクの製造装置>
図10は、第2実施形態に係る燃料タンクの製造方法の成形工程を示す断面図である。
図11は、第2実施形態に係る燃料タンクの製造方法の冷却工程を示す断面図である。本実施形態に係る燃料タンクの製造装置は、成形型10Aと、冷却型40Aとを備えている。
【0035】
図10に示すように、成形型10Aは、第1成形型10aと、第2成形型10bとを備えている。第1成形型10aには、成形面11aと、孔部成形面12と、ブローピン13と、凸条部15,15が設けられている。凸条部15は、成形面11aから第2成形型10bに向けて延設されており、後記するビード形状部22を成形する部位である。凸条部15は、断面台形状であり、板状を呈する。また、凸条部15,15は、凸条部14,14とそれぞれ対向する位置に設けられている。一方、第2成形型10bは、第1実施形態と同じである。
【0036】
図11に示すように、冷却型40Aは、第1冷却型40aと、第2冷却型40bとを備えている。第1冷却型40aには、対向面41aと、孔部対向面42と、ブローピン43と、連通孔45とが設けられている。連通孔45は、対向面41aから外部に連通する孔である。連通孔45と、図示しない吸引機械とを含んで負圧部を構成している。負圧部は、燃料タンク本体1の外面からビード形状部22に負圧を発生させ、側壁同士が近接するように変形させる部位である。つまり、負圧部は、ビード形状部22の変形を促進させる装置である。一方、第2冷却型40bは、第1実施形態と同じである。
【0037】
<燃料タンクの製造方法>
本実施形態に係る燃料タンクの製造方法では、パリソン配置工程と、成形工程と、脱型工程(成形後)と、設置工程と、冷却工程と、脱型工程(冷却後)と、を行う。なお、パリソン配置工程、脱型工程(成形後)、設置工程、脱型工程(冷却後)は、第1実施形態と同じである。
【0038】
成形工程は、
図10に示すように、成形型10Aを用いてブロー成形を行う工程である。成形工程では、第1成形型10aと第2成形型10bとを型締めし、ブローピン13を介して内部に空気を供給する。成形工程によってパリソン20の内側から外側に向けてブロー圧が作用するため、パリソン20が成形面11a,11b、孔部成形面12及び凸条部14,15に転写され、成形される。成形工程によって、ビード形状部21,21,22,22が成形される。また、対向するビード形状部21,22同士は当接している。
【0039】
冷却工程は、
図11に示すように、冷却型40Aを用いて冷却ブローを行う工程である。冷却工程では、ブローピン43を介して1次成形品70の内部に空気を供給する。当該空気の温度は、適宜設定すればよく、ブロー成形時の温度と同じであってもよいし、それよりも低い温度であってもよい。この時の1次成形品70の温度は、1次成形品(パリソン)の融点より低く、かつ、変形可能な温度になっている。冷却工程では、1次成形品70の内部から外側に向けて冷却ブロー圧が作用するため、ビード形状部21,22を構成する側壁同士が互いに近接する方向に押圧されることにより(白抜き矢印参照)、リブ形状部3,4が成形される。また、冷却ブローを行いつつ、負圧部によって1次成形品70の外面側から空気を吸引するため、ビード形状部21,22の側壁同士が近接する方向に変形しやすくなる。
【0040】
以上説明した第2実施形態によれば、第1実施形態と略同様の効果を奏する。特に、第2実施形態によれば、成形型にスライダ等の複雑な構造を設けることなく、簡易な構造で上下に対向するリブ形状部3,4を形成することができる。リブ形状部3,4が互いに当接することで、燃料タンクTの強度及び耐変形性をより高めることができる。
【0041】
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨を変更しない範囲で適宜設計変更が可能である。例えば、リブ形状部が成形可能であれば、負圧部は省略してもよい。また、第2実施形態では、リブ形状部3,4同士が当接するようにしたが、離間させてもよい。
【符号の説明】
【0042】
T 燃料タンク
1 燃料タンク本体
1a 底面
1b 天面
2 ポンプ取付孔
3,4 リブ形状部
10 成形型
11a,11b 成形面
13 ブローピン
14 凸条部
15 凸条部
20 パリソン
21,22 ビード形状部
30,70 1次成形品
31 凹部
40 冷却型
41a,41b 対向面
43 ブローピン