IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社 資生堂の特許一覧

<>
  • 特許-固形化粧料の製造方法及びプレスヘッド 図1
  • 特許-固形化粧料の製造方法及びプレスヘッド 図2
  • 特許-固形化粧料の製造方法及びプレスヘッド 図3
  • 特許-固形化粧料の製造方法及びプレスヘッド 図4
  • 特許-固形化粧料の製造方法及びプレスヘッド 図5
  • 特許-固形化粧料の製造方法及びプレスヘッド 図6
  • 特許-固形化粧料の製造方法及びプレスヘッド 図7
  • 特許-固形化粧料の製造方法及びプレスヘッド 図8
  • 特許-固形化粧料の製造方法及びプレスヘッド 図9
  • 特許-固形化粧料の製造方法及びプレスヘッド 図10
  • 特許-固形化粧料の製造方法及びプレスヘッド 図11
  • 特許-固形化粧料の製造方法及びプレスヘッド 図12
  • 特許-固形化粧料の製造方法及びプレスヘッド 図13
  • 特許-固形化粧料の製造方法及びプレスヘッド 図14
  • 特許-固形化粧料の製造方法及びプレスヘッド 図15
  • 特許-固形化粧料の製造方法及びプレスヘッド 図16
  • 特許-固形化粧料の製造方法及びプレスヘッド 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】固形化粧料の製造方法及びプレスヘッド
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/02 20060101AFI20241126BHJP
   A61Q 1/12 20060101ALI20241126BHJP
   A61Q 1/10 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
A61K8/02
A61Q1/12
A61Q1/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020080701
(22)【出願日】2020-04-30
(65)【公開番号】P2021172646
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】廣▲崎▼ 賢
(72)【発明者】
【氏名】山下 尚義
(72)【発明者】
【氏名】浦島 利文
(72)【発明者】
【氏名】古市 羊右
(72)【発明者】
【氏名】西山 佳宏
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-126799(JP,A)
【文献】特開2012-188361(JP,A)
【文献】特開2006-199616(JP,A)
【文献】特開2020-007335(JP,A)
【文献】特開2019-156856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Japio-GPG/FX
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に凹凸形状の加飾が施された固形化粧料の製造方法であって、
前記固形化粧料の表面形状に対応した凹凸形状を有するプレス面と、前記プレス面を貫通した複数の貫通孔とを備えるプレスヘッドを用いて、粉末成分と結合剤としての油性成分とを含む化粧料組成物をプレス成形し、表面に凹凸形状の加飾が施された成形体を得るプレス工程と、
前記プレス工程後、前記プレス面と前記成形体とを離間する離型工程と、
を含み、
前記プレスヘッドは、複数の多孔板を一体に積層した積層体であり、
前記貫通孔は、それぞれの前記多孔板の孔が連通して形成され、
前記プレス工程は、前記化粧料組成物に前記プレス面を直接接触させてプレス成形を行う、
形化粧料の製造方法。
【請求項2】
前記プレス工程は、
前記化粧料組成物を半乾燥状態としつつ仮プレスを行う予備プレス工程と、
前記予備プレス工程で得られた前記化粧料組成物の半乾燥物をプレスする本プレス工程と、
を含む請求項1に記載の固形化粧料の製造方法。
【請求項3】
表面に凹凸形状の加飾が施された固形化粧料を製造するために、化粧料組成物にプレス面を直接接触させてプレス成形を行う工程に用いられるプレスヘッドであって、
前記固形化粧料の表面形状に対応した凹凸形状を有するプレス面と、
前記プレス面を貫通した、複数の貫通孔と、
を備え、
前記プレスヘッドは、複数の多孔板を一体に積層した積層体であり、
前記貫通孔は、それぞれの前記多孔板の孔が連通して形成される、
プレスヘッド。
【請求項4】
前記プレス面における、隣接する前記貫通孔同士の間隔が、200μm~250μmである請求項に記載のプレスヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形化粧料の製造方法及びプレスヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
固形化粧料は、粉体成分及び油性成分等を含む固形の化粧料であり、ファンデーション、アイシャドウ、アイカラー、パウダーアイブロウ等に使用されている。固形化粧料の表面には、文字、図形、模様等の加飾模様が加飾され、多種多様な意匠が施されている。
【0003】
表面に加飾が施された固形化粧料は、例えば、皿状の容器等に充填された化粧料に対してプレス処理を施して打型することによって製造することができる。
【0004】
表面に加飾が施された固形化粧料の製造方法として、例えば、粉体化粧料と圧縮成型との間に、表面に細孔を有する多孔性樹脂フィルムを介在させて、粉体化粧料を押型を用いて圧縮成型する粉末固形化粧料を製造する粉末固形化粧料の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-215582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の粉末固形化粧料の製造方法は、粉体化粧料の表面に多孔性樹脂フィルムを介して圧縮成型でプレスされるため、多孔性樹脂フィルムにより、粉体化粧料の表面に形成される模様や文字等の凹凸形状の角は丸みを帯び易く、シャープな加飾模様が形成し難いという問題点があった。
【0007】
一方、粉体化粧料の表面に多孔性樹脂フィルムを介さずに圧縮成型でプレスした場合、粉体化粧料の表面から圧縮成型が離型し難いため、表面に加飾模様が施された固形化粧料の生産性が低下する可能性がある。また、粉体化粧料は圧縮金型に付着し易いため、表面に形成した加飾模様に欠け等が生じ易くなり、シャープな加飾模様が形成し難いという問題もあった。
【0008】
本発明の一態様は、固形化粧料の表面にシャープな加飾処理を有する固形化粧料を高い生産性を持って製造することができる固形化粧料の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る固形化粧料の製造方法の一態様は、表面に凹凸形状の加飾が施された固形化粧料の製造方法であって、前記固形化粧料の表面形状に対応した凹凸形状を有するプレス面と、前記プレス面を貫通した複数の貫通孔とを備えるプレスヘッドを用いて、粉末成分と結合剤としての油性成分とを含む化粧料組成物をプレス成形し、表面に凹凸形状の加飾が施された前記化粧料組成物を得るプレス工程と、前記プレス工程後、前記プレス面と加飾が施された前記化粧料組成物とを離間する離型工程と、を含み、前記プレスヘッドは、複数の多孔板を一体に積層した積層体であり、前記貫通孔は、それぞれの前記多孔板の孔が連通して形成され、前記貫通孔の口径が、50μm~300μmである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る固形化粧料の製造方法の一態様は、固形化粧料の表面にシャープな加飾処理を有する固形化粧料を高い生産性を持って製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る固形化粧料の製造方法を示すフローチャートである。
図2】工程の一部の説明図である。
図3】工程の一部の説明図である。
図4】工程の一部の説明図である。
図5】プレス装置の一例を示す図である。
図6】プレスヘッドの製造の一部を示す説明図である。
図7】プレスヘッドの製造の一部を示す説明図である。
図8】放電加工装置を用いて積層体の加工面に凹凸を形成する装置の一例を示す図である。
図9】プレス面が形成されたプレスヘッドを示す図である。
図10】工程の一部の説明図である。
図11】工程の一部の説明図である。
図12】工程の一部の説明図である。
図13】工程の一部の説明図である。
図14】貫通孔にプレス面に向けて圧縮空気を導入した状態の一例を示す説明図である。
図15】工程の一部の説明図である。
図16】固形化粧料の表面に形成した加飾の角部の半径を説明する図である。
図17】固形化粧料の表面に形成した加飾の高低差を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の符号を付して、重複する説明は省略する。また、図面における各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。本明細書において数値範囲を示すチルダ「~」は、別段の断わりがない限り、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
【0013】
<固形化粧料の製造方法>
本発明の実施形態に係る固形化粧料の製造方法について説明する。
【0014】
固形化粧料とは、粉体成分、油性成分、必要に応じて任意成分等を含有する化粧料組成物(混合物)を固形に成形したものをいう。固形化粧料としては、ファンデーション、白粉、アイシャドウ、アイカラー、アイライナー、チークカラー、アイブロウ、おしろい、頬紅、口紅等のメークアップ化粧料、ボディパウダー、美白パウダー、デオドラントパウダー、フレグランスパウダー等の基礎化粧料等が挙げられる。本実施形態では、粉体化粧料がアイシャドウである場合を例に挙げて説明する。
【0015】
なお、本明細書においては、化粧料組成物とは、粉体成分、油性成分、任意成分等を含有するものであり、その形態は限定されない。化粧料組成物としては、粉体成分、油性成分、任意成分等を粉体の状態で混合した化粧料混合粉末、化粧料混合粉末を揮発性分散媒に混合して分散させたスラリー、スラリーに含まれる揮発性分散媒の少なくとも一部を乾燥させて成形した半乾燥物(成形体)を含むものとする。
【0016】
本実施形態に係る固形化粧料の製造方法は、化粧料組成物を溶媒に適量添加して混合した、スラリー、キャピラリー等から溶媒を除去する湿式製法、化粧料組成物を容器に充填して圧縮する乾式製法等を用いることができる。なお、湿式製法を用いる際に、化粧料組成物が添加される溶媒の溶媒量に応じて、スラリー、キャピラリー等の状態にすることができる。本実施形態では、湿式製法を用いる場合について説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る固形化粧料の製造方法を示すフローチャートである。図1に示すように、本実施形態に係る固形化粧料の製造方法は、表面に凹凸形状の加飾が施された固形化粧料の製造方法であり、スラリー調製工程(ステップS11)、充填工程(ステップS12)、プレス工程(ステップS13)、離型工程(ステップS14)及び乾燥工程(ステップS15)を含む。
【0018】
以下、各工程について図2図15に基づいて説明する。図2図15は、本発明の実施形態に係る固形化粧料の製造方法の各工程の説明図である。
【0019】
スラリー調製工程(ステップS11)は、粉末成分を含むスラリーを得る工程であり、図1に示すように、混合工程(ステップS111)及び混練工程(ステップS112)を含む。
【0020】
混合工程(ステップS111)では、図2に示すように、複数種類の粉末成分と、油性成分と、必要に応じて任意成分とを混合機10に充填して混合することで、化粧料混合粉末1を得る。油性成分が、室温(25℃±2℃)で固体又はペースト状となる油分を含む場合には、油性成分は加熱溶解した後に粉末成分と乾式混合することが好ましい。任意成分として、例えば増粘剤を含むことで、粉末成分同士の結着がより強固になり、化粧料混合粉末1を成型するための適正な硬さ(粘度)に調整することができる。
【0021】
混合機10としては、ヘンシェルミキサー(登録商標)やパルペライザー等の公知の混合機を用いることができる。
【0022】
粉末成分と油性成分との混合割合は、使用する粉末成分及び油性成分の種類等に応じて適宜選択されるが、例えば、粉末成分と油性成分との比は、質量比で、60:40~99.5:0.5であることが好ましい。
【0023】
混練工程(ステップS112)では、図3に示すように、混合工程(ステップS111)で生成された化粧料混合粉末1と、揮発性分散媒とを混練機20に充填して、化粧料混合粉末1を揮発性分散媒に分散させることにより、スラリー2を生成する。得られたスラリー2は、貯蔵タンク等に移動して貯蔵する。
【0024】
揮発性分散媒としては、揮発性有機溶媒、水等を用いることができる。揮発性有機溶媒として、例えば、エチルアルコール、アセトン、イソプロピルアルコール、n-ブタノール等の低沸点アルコール;キシレン、トルエン、ベンゼン、ヘプタン、ペンタン、へキサン、シクロヘキサン、イソオクタン、ノナン、デカン、p-メンタン、ピネン、イソドデカン、イソヘキサデカン、イソパラフィン、リモネン等の低沸点炭化水素油;ジメチルポリシロキサン、メチルトリメチコン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等の低沸点の鎖状若しくは環状シリコーン油;パーフルオロポリエーテル等の低沸点フッ素化合物等が挙げられる。これらの溶媒は、単独又は二種以上を併用して用いることができる。
【0025】
揮発性分散媒の含有量は、使用する揮発性分散媒の極性及び比重等に応じて適宜選択可能であり、スラリー2を後述する充填工程(ステップS12)において中皿30に充填する際に、スラリー2が十分な流動性を確保できればよい。揮発性分散媒の含有量は、例えば、質量比で、化粧料混合粉末1の半分~2倍程度とすることが好ましい。
【0026】
混練機20としては、ニーダー、二軸混練機、ディスパーミキサー、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、コンビミックス(登録商標)、アジホモミキサー等の公知の混練機を用いることができる。
【0027】
充填工程(ステップS12)では、図4に示すように、混練工程(ステップS112)で生成したスラリー2を金属や樹脂製の中皿30に充填する。
【0028】
プレス工程(ステップS13)では、中皿30に充填したスラリー2をプレス装置を用いてプレスし、成形することにより、表面に凹凸形状の加飾が施された半乾燥物である成形体3(図13等参照)を得る。
【0029】
(プレス装置)
ここで、プレス装置の構成について説明する。
【0030】
図5は、プレス装置の一例を示す図である。なお、図5中、破線は、中皿30と、中皿30に充填したスラリー2を示す。図5に示すように、プレス装置40は、上部プレス装置41と下部プレス装置42を有している。プレス時において、上部プレス装置41は、下部プレス装置42の上部(図5中、上方向)に配設される。
【0031】
上部プレス装置41は、図5に示すように、本体部43と、プレス型(プレスヘッド)44とを有している。
【0032】
プレスヘッド44は、本体部43に対して上下方向(Z1、Z2方向)に移動可能に構成されている。
【0033】
プレスヘッド44は、図5に示すように、スラリー2に転写しようとする加飾模様(凹凸形状)を有するプレス面44aと、プレス面44aを貫通した複数の貫通孔44bとを備えている。
【0034】
プレス面44aに形成されている凹凸形状は、固形化粧料に形成する加飾形状に応じて設計される。
【0035】
貫通孔44bは、一端がプレス面44aに開口し、他端がプレスヘッド44の背面44cに開口している。この貫通孔44bは、プレス面44aに略均一の密度で開口するよう配設されている。
【0036】
貫通孔44bの孔径は、50μm~300μmであり、80μm~200μmであることが好ましく、100μm~150μmであることがより好ましい。貫通孔44bの孔径が50μm~300μmであれば、スラリー2が貫通孔44bに入り込んで、貫通孔44bの形状がスラリー2に残るのを低減できる。
【0037】
貫通孔44bの間隔と貫通孔44bの大きさとの比は、4:1~2:3であることが好ましい。なお、貫通孔44bの間隔とは、隣接する貫通孔44bと貫通孔44bとの中心間隔をいう。貫通孔44bの間隔と貫通孔44bの大きさとの比が上記の好ましい範囲内であれば、プレスヘッド44の強度が低下するのが抑えられ、プレスヘッド44の耐久性を維持することができる。また、貫通孔44bの間隔と貫通孔44bの大きさとの比が上記の好ましい範囲内であれば、貫通孔44bから圧縮空気が供給される際、プレス面44aと半乾燥状態の成形体3(図13等参照)との接触面を分離させるために必要な空気量が供給し易くなる。貫通孔44b同士の間隔は、貫通孔44bの大きさに応じて変動するが、狭いほど好ましく、例えば、貫通孔44bの大きさが100μmの場合、隣接する貫通孔44b同士の間隔は、200μm~250μmであることが好ましい。
【0038】
下部プレス装置42は、図5に示すように、上部プレス装置41が装着された状態において、プレス面44aと対向する位置に形成された装着凹部421を有している。装着凹部421には、スラリー2が充填される中皿30が装着される。そのため、プレスヘッド44は、装着凹部421に対して上下方向(Z1、Z2方向)に移動可能に構成されている。
【0039】
プレスヘッド44の構成及びその製造方法について説明する。
【0040】
プレスヘッド44は、図6に示すような、多数の多孔板441が積層して一体化した積層体44Aを成形したものである。プレスヘッド44を、多数の多孔板441の積層体44Aを成形して形成することで、図5に示すように、プレスヘッド44が厚く形成されている場合でも、プレスヘッド44は、多数の貫通孔44bを小さい間隔で確実に有することができる。
【0041】
多孔板441は、例えば、厚さが0.1mmの導電性を有する金属板であり、図6に示すように、多数の細孔(以下、単に、孔という)441aが形成されている。この孔441aの直径は、貫通孔44bの孔径に対応しており、50μm~300μmであり、80μm~200μmであることが好ましく、100μm~150μmであることがより好ましい。
【0042】
多孔板441に形成された孔441aは、それぞれの多孔板441を積層した際に各多孔板441に形成された孔441aの位置が対応するように形成されている。そのため、各多孔板441を積層して各多孔板441の孔441aが連通することで、貫通孔44b(図5参照)が形成される。
【0043】
複数の多孔板441の接合方法は、複数の多孔板441を接合できればよく、例えば、拡散接合により接合することができる。具体的には、位置決めして積層した複数の多孔板441を真空雰囲気又は不活性ガス雰囲気中に置いて、多孔板441を形成する材料の融点以下の温度で加熱しつつ、多孔板441の積層体44Aに塑性変形が発生しない程度の圧力で加圧処理を行う。これにより、各多孔板441の接合面には原子の拡散が発生し、対向する各多孔板441は拡散接合されることで、一体化される。複数の多孔板441を拡散接合により一体化させることにより、積層体44Aが形成される。
【0044】
次に、図7に示すように、積層体44Aの加工面44Aa(プレスヘッド44のプレス面44aとなる面)に、スラリー2に加飾を行うための凹凸(模様)を形成する。この際、加工面44Aaには貫通孔44bが開口している。そのため、加工面44Aaに加飾を行うための凹凸を形成する際、加工面44Aaにおける貫通孔44bの開口を潰さないように凹凸を形成する必要がある。
【0045】
加工面44Aaに凹凸を形成する方法として、放電加工、切削加工、プレス加工、レーザ加工等があるが、放電加工を用いることが好ましい。切削加工、プレス加工等のように、直接切削治具やプレス治具を加工面44Aaに接触させて加工する方法やレーザ加工のように加工面44Aaを溶融させる方法では、加工面44Aaにおける貫通孔44bの開口が潰れてしまう可能性がある。放電加工を用いれば、加工面44Aaにおける貫通孔44bの開口を潰すことなく、加工面44Aaに凹凸(模様)を形成することができるので、放電加工を用いることが好ましい。
【0046】
放電加工を用いて加工面44Aaに凹凸(模様)を形成する方法の一例について説明する。
【0047】
図8は、放電加工装置50を用いて積層体44Aの加工面44Aaに凹凸を形成する装置の一例を示す図である。図8に示すように、放電加工装置50は、容器51、電源52、電極53等を有している。
【0048】
容器51は、誘電体である放電液54を充填する容器であり、積層体44Aは容器51内の放電液54に浸漬されている。
【0049】
電源52は、放電加工を行うための電源であり、その一方の電極(例えば、マイナス極)は積層体44Aに接続され、他端部(例えばブラス極)は電極53に接続されている。
【0050】
電極53は、加工面44Aaと近接するよう配置されている。
【0051】
電源52が駆動することにより、電極53と加工面44Aaとの間にはアーク放電が発生し、加工面44Aaの一部が溶けて蒸発する。これにより、加工面44Aaには微細な凹凸が形成される。また、加工面44Aaの表面で蒸発した粒子は放電液54により洗い流され、加工面44Aaに残留することはない。
【0052】
電極53は、不図示の移動装置により加工面44Aaの上部を移動する構成とされている。また、前記移動装置は、予め加工面44Aaに形成しようとする模様データが格納させた不図示の制御装置に接続されている。前記制御装置が電極53の移動装置及び放電加工装置50を制御することにより、積層体44Aの加工面44Aaに自動的に模様データに対応した凹凸が形成される。
【0053】
図9は、プレス面44aが形成されたプレスヘッド44を示す図である。図9に示すように、放電加工を用いることにより、加飾模様(凹凸形状)が形成されたプレス面44aを有するプレスヘッド44が製造される。プレス面44aには、貫通孔44bを潰すことなく、加飾模様に対応した凹凸を形成できる。よって、プレス面44aの形成に放電加工を用いることにより、貫通孔44bを潰すことなく、加飾模様に対応した凹凸を有するプレス面44aを形成することができる。
【0054】
次に、プレス工程(ステップS13)は、予備プレス工程(ステップS131)と、本プレス工程(ステップS132)とを含む。
【0055】
予備プレス工程(ステップS131)は、予備プレスヘッドを用いて、スラリー2を予備プレスし、スラリー2を半乾燥状態としつつ仮プレスし、スラリー2の半乾燥物を得る。予備プレス工程(ステップS131)で、スラリー2を半乾燥状態としつつ仮プレスすることで、本プレス工程(ステップS132)で、プレスヘッド44を用いて本プレスする際に、プレスヘッド44のプレス面44aにスラリー2が付着するのを低減することができる。
【0056】
予備プレス工程(ステップS131)では、図10に示すように、スラリー2が充填された中皿30を装着凹部421に設置する。そして、予備プレスヘッド45及び下部プレス装置42を、予備プレスヘッド45のプレス面45aが装着凹部421に設置してある中皿30と対向するように配置する。なお、予備プレスヘッド45は、上述の上部プレス装置41を構成するプレスヘッド44に貫通孔を設けないこと以外は同様であるため、予備プレスヘッド45の構成と製造方法の説明は省略する。
【0057】
次いで、図11に示すように、予備プレスヘッド45を中皿30に向けて(Z2方向)移動させ、プレス面45aを中皿30に充填してあるスラリー2に接触させて、スラリー2を予備プレスする。これにより、スラリー2を半乾燥状態とした半乾燥物を得ることができる。
【0058】
本プレス工程(ステップS132)は、図5に示すプレス装置40を用いて実施し、予備プレス工程(ステップS131)で得られたスラリー2の半乾燥物をプレスする。
【0059】
本プレス工程(ステップS132)では、まず、図12に示すように、スラリー2が充填された中皿30を装着凹部421に設置する。そして、上部プレス装置41及び下部プレス装置42を、上部プレス装置41のプレス面44aが装着凹部421に設置してある中皿30と対向するように配置する。
【0060】
次いで、図13に示すように、プレスヘッド44を中皿30に向けて(Z2方向)移動させ、プレス面44aを中皿30に充填してあるスラリー2に接触させて、スラリー2を半乾燥状態にしながらプレスする。スラリー2を半乾燥状態にしながらプレス面44aでプレスすることにより、スラリー2の半乾燥物である成形体3にはプレス面44aに対応した形状を有するようにプレスすることができる。この結果、プレス面44aに形成された転写しようとする加飾模様(凹凸形状)を揮発性分散媒の少なくとも一部が除去された半乾燥状態の成形体3に転写することができる。これにより、表面に凹凸形状の加飾が施された成形体3が得られる。
【0061】
本プレス工程(ステップS132)で、スラリー2がプレスヘッド44によってプレスされる際、スラリー2とプレス面44aとの間に空気が残る可能性がある。プレスヘッド44はプレス面44aに貫通孔44bを有しているので、本プレス工程(ステップS132)で、スラリー2がプレスヘッド44によってプレスされることで、スラリー2とプレス面44aとの間に存在する空気は貫通孔44bを通って外部に抜けることができる。そのため、スラリー2とプレス面44aとの間に残留する空気を抜き出すことができるので、プレス面44aの凹凸形状は、成形体3に高精度で確実に転写させることができる。また、プレス面44aと成形体3との間に離型シート(巻紙ともいう)を介在させなくても、プレスヘッド44のプレス面44aを成形体3から確実に離型させることができる。
【0062】
また、貫通孔44bがプレス面44aに略均一の密度で開口するよう配設されていることが好ましい。この場合、スラリー2とプレス面44aとの間に残留する空気をプレス面44aと成形体3との接合位置の全面で均一に抜き出すことができる。これにより、スラリー2とプレス面44aとの間に残留する空気に起因してプレス面44aの凹凸形状が成形体3に転写ムラが生じることを低減することができる。プレス面44aと成形体3とを離型させる力が不均一に加わることに起因して成形体3に形成された加飾が崩れるようなことはない。
【0063】
成形体3の硬さは、任意成分である増粘剤の添加量、混練機20の処理回転数及び揮発性分散媒の量等を調整することにより調節することが可能である。
【0064】
離型工程(ステップS14)では、図14に示すように、プレスヘッド44を成形体3から離間させる離型処理が行われる。プレスヘッド44を上動させると共に上部プレス装置41を下部プレス装置42から離して、プレス面44aと成形体3とを離間することにより、表面に加飾処理が行われた成形体3が形成される。
【0065】
プレスヘッド44を成形体3から離型する際、プレスヘッド44に形成された貫通孔44bに圧縮空気を導入してもよい。圧縮空気の貫通孔44bへの導入は、例えば、コンプレッサー等の圧縮空気生成装置を用いて行うことができる。貫通孔44bに導入された圧縮空気は、プレス面44aと成形体3の界面において、プレス面44aと成形体3とを離間させる力として作用させることができる。そのため、プレス面44aと成形体3との間に離型シート(巻紙ともいう)を介在させなくても、プレスヘッド44のプレス面44aを成形体3から確実に離型させることができる。
【0066】
また、圧縮空気の空気圧は、成形体3の表面に形成された加飾模様を崩さない範囲の圧力に設定すればよい。離型を行う際に加飾処理が行われた成形体3の表面に圧縮空気が噴射されても、成形体3は所定の粘度を有しているため、成形体3は一定の形態保持性は有することができる。そのため、圧縮空気を用いて、プレスヘッド44を成形体3から離間しても、成形体3の加飾された表面が圧縮空気により崩されるようなことはない。
【0067】
乾燥工程(ステップS15)では、図15に示すように、成形体3は、所定の乾燥温度及び乾燥時間で乾燥する。これにより、表面に凹凸形状の加飾が施された固形化粧料4が得られる。
【0068】
乾燥温度及び乾燥時間は、成形体3を構成する、粉末成分、油性成分及び任意成分の含有量、成形体3の形状及び大きさ等に応じて適宜選択することができる。成形体3の乾燥温度としては、例えば、20℃~80℃で乾燥することが好ましい。乾燥時間は、水性溶媒の種類や乾燥温度により異なるが、例えば、5時間~30時間とすることが好ましい。また、乾燥前に表面に吸い取り紙を置き、加圧して溶媒の一部を除去してもよい。
【0069】
このように、本実施形態に係る固形化粧料の製造方法は、プレス工程(ステップS13)と、離型工程(ステップS14)とを含んでいる。プレス工程(ステップS13)で、プレスヘッド44を用いて、スラリー2を半乾燥状態とした成形体3の表面に凹凸形状の加飾を施した後、離型工程(ステップS14)で、プレスヘッド44のプレス面44aと成形体3とを離間し、加飾が施された固形化粧料4を得ている。プレスヘッド44は、複数の多孔板441を積層して成形した積層体44Aで構成し、各多孔板441の孔441aが連通して形成された貫通孔44bの口径を50μm~300μmとしている。
【0070】
本実施形態に係る固形化粧料の製造方法によれば、貫通孔44bの口径を50μm~300μmとすることで、スラリー2をプレスする際に、スラリー2とプレス面44aとの間に存在する空気は揮発性分散媒と共に貫通孔44bを通って外部に抜け易くして、スラリー2とプレス面44aとの間に空気が残るのを低減することができる。そのため、プレス面44aに形成した凹凸形状を成形体3に高精度で転写することができる。また、成形体3とプレス面44aとの離間時には、成形体3からプレス面44aを成形体3の表面に形成した加飾を崩すことなく離間することができる。そのため、図16に示すように、固形化粧料4の表面に形成される加飾の角部の半径Rを小さくすることができるので、固形化粧料4の表面に形成した加飾の、凸部の立ち上がった角の角度をシャープにすることができる。よって、本実施形態に係る固形化粧料の製造方法によれば、表面にシャープな加飾処理を有する固形化粧料4を高い生産性を持って形成することができる。
【0071】
また、本実施形態に係る固形化粧料の製造方法によれば、固形化粧料4の表面に形成される加飾の凹凸の最大高低差を例えば3mm以上に高くすることができる。加飾の凹凸の最大高低差は、より好ましくは5mm以上であり、更に好ましくは10mm以上である。図17に示すように、固形化粧料4の表面に形成される加飾の凹凸の最大高低差Hを例えば3mm以上に高くすることで、より高低差の大きい加飾を形成することができる。
【0072】
また、本実施形態に係る固形化粧料の製造方法を用いた場合でも、得られる固形化粧料4は、使用に要求される耐衝撃性を有することができる。よって、本実施形態に係る固形化粧料の製造方法によれば、固形化粧料4は、角部の半径が小さく、かつ凹凸の最大高低差が高い加飾を有すると共に、使用基準を満たす強度を有することができる。
【0073】
本実施形態に係る固形化粧料の製造方法によれば、固形化粧料4の表面に、加飾の角部の半径R(図16参照)が0.2mm以下の領域を有することができる。これにより、固形化粧料4の表面に形成した加飾は、凸部の立ち上がった角の角度をよりシャープにすることができるので、角度がよりシャープな角を有する加飾を形成することができる。
【0074】
本実施形態に係る固形化粧料の製造方法によれば、スラリー2の表面にプレス面44aを直接接触させてスラリー2をプレスすることができる。そのため、本実施形態に係る固形化粧料の製造方法は、離型シートを用いず、成形体3の表面をプレスして加飾を施すことができる。スラリー2をプレスする際に、成形体3とプレス面44aとの間に離型シートを配置して成形体3の表面にプレス面44aを押圧する場合、成形体3とプレス面44aとが直接接触しないため、離型は比較的に容易になる。しかし、成形体3とプレス面44aとの間に離型シートが介在した状態で成形体3にプレス面44aが押圧されても、離型シートは凹凸形状に沿って変形し難く、成形体3に転写される凹凸形状の角には丸みが生じやすい。そのため、成形体3には、エッジ部分が先鋭な形状とはならず、シャープな加飾模様を形成できない。これに対し、本実施形態では、離型シートを用いることなく、プレスヘッド44のプレス面44aを直接スラリー2に接触させてスラリー2を半乾燥状態としながら、プレス面44aの加飾模様を成形体3に転写しているので、得られる固形化粧料4の表面にはエッジ部分が先鋭な形状も十分転写できると共に、欠落が生じるのを低減することができる。また、スラリー2とプレス面44aとの間に離型シートを介在させた状態でスラリー2を半乾燥状態としながらプレスした際に、離型シートの撓みによる紙傷が固形化粧料4の表面に形成されるのを抑制することができる。
【0075】
本実施形態に係る固形化粧料の製造方法では、プレス工程(ステップS13)が予備プレス工程(ステップS131)と本プレス工程(ステップS132)とを含むことができる。予備プレス工程(ステップS131)で、スラリー2を半乾燥状態とした後、本プレス工程(ステップS132)でプレスヘッド44を用いてスラリー2の半乾燥物を本プレスすることで、プレスヘッド44のプレス面44aにスラリー2が付着するのを低減することができる。
【0076】
本実施形態に係る固形化粧料の製造方法は、プレス面44aにおける、隣接する貫通孔44b同士の間隔が200μm~250μmであるプレスヘッド44を用いることができる。これにより、貫通孔44bから供給される圧縮空気によって、プレス面44aと成形体3との接触面をほぼ均一に分離させることができる。また、貫通孔44bからプレス面44aと成形体3との間に存在する空気、スラリー2に含まれる揮発性分散媒がプレス面44aとスラリー2との接触面に対して略均一として吸引することができる。
【0077】
本実施形態に係る固形化粧料の製造方法は、離型工程(ステップS14)において、貫通孔44bから空気を導入して離型を行ってもよい。これにより、プレスヘッド44を成形体3からその角を破損することなく離型できるので、角度がシャープな角を有する加飾を固形化粧料4に安定して形成することができる。
【0078】
本実施形態に係る固形化粧料の製造方法は、上記のような特性を有することから、固形化粧料の他に、表面に加飾が施される固形粉体物に有効に用いることができる。
【0079】
なお、本実施形態においては、化粧料組成物はスラリー状として用いなくてもよく、例えば、上述した、スラリー2を半乾燥状態とした成形体3の状態に略対応する粘土状として用いてもよい。
【0080】
本実施形態においては、湿式製法に限定されず、化粧料組成物を容器に充填し圧縮する乾式製法を用いてもよい。
【0081】
<固形化粧料>
本実施形態に係る固形化粧料の製造方法を用いて得られる固形化粧料について説明する。固形化粧料は、粉末成分、油性成分及び任意成分を含むことができる。固形化粧料に含まれる各成分について説明する。
【0082】
(粉末成分)
粉末成分は、一般に用いられ得るものであれば特に限定されるものではない。粉末成分としては、例えば、タルク、カオリン、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、合成フッ素金雲母、合成フッ素金雲母鉄、紅雲母、黒雲母、焼成タルク、焼成セリサイト、焼成白雲母、焼成金雲母、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸カルシウム、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム等)、窒化ホウ素、フォトクロミック性酸化チタン(酸化鉄を焼結した二酸化チタン、)、還元亜鉛華;有機粉末(例えば、シリコーンエラストマー粉末、シリコーン粉末、シリコーンレジン被覆シリコーンエラストマー粉末、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四弗化エチレン粉末、セルロース粉末等);無機白色顔料(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛等);無機赤色系顔料(例えば、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等);無機褐色系顔料(例えば、γ-酸化鉄等);無機黄色系顔料(例えば、黄酸化鉄、黄土等);無機黒色系顔料(例えば、黒酸化鉄、低次酸化チタン等);無機紫色系顔料(例えば、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等);無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等);無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等);パール顔料(例えば、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母チタン、低次酸化チタン被覆雲母チタン、フォトクロミック性を有する雲母チタン、基板として雲母の代わりタルク、ガラス、合成フッ素金雲母、シリカ、オキシ塩化ビスマスなどを使用したもの、被覆物として酸化チタン以外に、低次性酸化チタン、着色酸化チタン、酸化鉄、アルミナ、シリカ、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化コバルト、アルミ等を被覆したもの、機能性パール顔料として、パール顔料表面に樹脂粒子を被覆したもの、パール顔料表面に水酸化アルミニウム粒子を被覆したもの、パール顔料表面に酸化亜鉛粒子を被覆したもの、パール顔料表面に硫酸バリウム粒子を被覆したもの等);金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等);ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料(例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号等の有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号等);天然色素(例えば、クロロフィル、β-カロチン等)等が挙げられる。
【0083】
本実施形態においては、疎水性粉末及び/又は疎水化処理粉末を含むことが好適であり、多量に配合することも可能である。本実施形態で用いられる疎水性粉末又は疎水化処理粉末とは、水に対する親和性の低い粉末を指しており、疎水性粉末とはそのものの水に対する親和性が低い粉末であり、疎水化処理粉末とは水に対して親和性の高い粉末を表面処理することで疎水性を付与した粉末である。なお、疎水性とは、以下の方法によって評価を行い判定するものとする。すなわち、イオン交換水50gと評価粉末0.1gとを透明密封容器に入れ、50℃で1日保存した後、目視による観察を行い、前記評価粉末の大部分がイオン交換水表面に存在する場合に、疎水性であると評価する。
【0084】
粉末の疎水化処理としては、例えば、高級脂肪酸、金属石鹸、油脂、ロウ、シリコーン化合物、フッ素化合物、炭化水素、界面活性剤、デキストリン脂肪酸エステル等による粉末の表面処理が挙げられる。このうち、シリコーン化合物処理が好ましく、特に、カルボキシシリコーン石鹸(カルボキシ変性シリコーンの末端カルボキシル基の金属塩)で表面処理した粉末を高配合(目安として、例えば、固形粉体化粧料全量に対して15質量%~25質量%)すると、固形粉体化粧料の強度が向上するため、好ましい。
【0085】
(油性成分)
油性成分としては、一般に用いられるものであれば特に限定されるものではない。具体的には、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、合成エステル油、シリコーン油等が挙げられる。なお、本明細書では、油分及び油分に可溶な成分も含めて、油性成分と称している。
【0086】
液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0087】
ロウ類としては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、ポリオキシエチレン(以下、POEと標記する。)ラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。
【0088】
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
【0089】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0090】
高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等);分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。
【0091】
合成エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
【0092】
シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ステアロキシメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、フルオロアルキル・ポリオキシアルキレン共変性オルガノポリシロキサン、アルキル変性オルガノポリシロキサン、未末端変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン、アミノ変性オルガノポリシロキサン、シリコーンゲル、アクリルシリコーン、トリメチルシロキシケイ酸、シリコーンRTVゴム等のシリコーン化合物等が挙げられる。
【0093】
油性成分の好適な配合量は、固形粉体化粧料の総量に対して、0.5質量%~65質量%であり、好ましくは5質量%~60質量%、特に好ましくは10質量%~40質量%である。
【0094】
(任意成分)
また、本実施形態に係る固形化粧料は、本実施形態の効果を損なわない範囲において、必要に応じて任意成分を適宜含み、目的とする剤形に応じて公知の方法により製造することができる。任意成分としては、例えば、増粘剤、防腐剤、界面活性剤、保湿剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、アルコール、糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、ビタミン類、酸化防止助剤、消炎剤、美白剤、各種抽出物、賦活剤、血行促進剤、抗脂漏剤、抗炎症剤、金属封鎖剤、生薬抽出物、薬剤、水等を挙げることができる。これらは、上記の粉末成分及び油性成分に一種単独で含んでもよいし、二種以上を含んでもよい。
【0095】
増粘剤としては、水溶性高分子、粘土鉱物が挙げられる。
【0096】
水溶性高分子として、天然の水溶性高分子、半合成の水溶性高分子、合成の水溶性高分子等の水溶性高分子が挙げられる。
【0097】
天然の水溶性高分子としては、例えば、植物系高分子(例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸);微生物系高分子(例えば、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、ブルラン等);動物系高分子(例えば、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、デキストリン、ゼラチン等)等が挙げられる。
【0098】
半合成の水溶性高分子としては、例えば、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等);セルロース系高分子(メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末等);アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等)等が挙げられる。
【0099】
合成の水溶性高分子としては、例えば、ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等);ポリオキシエチレン系高分子(例えば、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,0000のポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体等);アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等);ポリエチレンイミン;カチオンポリマー等が挙げられる。
【0100】
粘土鉱物として、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ベントナイト、ヘクトライト、ケイ酸A1Mg(ビーガム)、ラポナイト、無水ケイ酸等が挙げられる。
【0101】
防腐剤としては、エチルパラベン、ブチルパラベン、クロルフェネシン、フェノキシエタノール等を挙げることができる。
【0102】
界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤等を挙げることができる。
【0103】
アニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン(例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等);高級アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等);アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POE-ラウリル硫酸トリエタノールアミン、POE-ラウリル硫酸ナトリウム等);N-アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリッドナトリウム、ラウリルメチルタウリッドナトリウム等);リン酸エステル塩(POE-オレイルエーテルリン酸ナトリウム、POE-ステアリルエーテルリン酸等);スルホコハク酸塩(例えば、ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等);アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等);高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等);N-アシルグルタミン酸塩(例えば、N-ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸モノナトリウム等);硫酸化油(例えば、ロート油等);POE-アルキルエーテルカルボン酸;POE-アルキルアリルエーテルカルボン酸塩;α-オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N-パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウム等が挙げられる。
【0104】
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等);アルキルピリジニウム塩(例えば、塩化セチルピリジニウム等);塩化ジステアリルジメチルアンモニウムジアルキルジメチルアンモニウム塩;塩化ポリ(N,N'-ジメチル-3,5-メチレンピペリジニウム);アルキル四級アンモニウム塩;アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;POE-アルキルアミン;アルキルアミン塩;ポリアミン脂肪酸誘導体;アミルアルコール脂肪酸誘導体;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
【0105】
両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン系両性界面活性剤(例えば、2-ウンデシル-N,N,N-(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)-2-イミダゾリンナトリウム、2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等);ベタイン系界面活性剤(例えば、2-ヘプタデシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)等が挙げられる。
【0106】
親油性非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリンポリグリセリン脂肪酸類(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α'-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);硬化ヒマシ油誘導体;グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
【0107】
保湿剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル-12-ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl-ピロリドンカルボン酸塩、アルキレンオキシド誘導体、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
【0108】
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類等が挙げられる。
【0109】
紫外線吸収剤としては、例えば、安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0110】
金属イオン封鎖剤としては、例えば、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸3ナトリウム等が挙げられる。
【0111】
アルコールとしては、低級アルコール、多価アルコールが挙げられる。
【0112】
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール等が挙げられる。
【0113】
多価アルコールとしては、例えば、2価のアルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等);3価のアルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等);4価アルコール(例えば、1,2,6-ヘキサントリオール等のペンタエリスリトール等);5価アルコール(例えば、キシリトール等);6価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール等);多価アルコール重合体(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等);2価のアルコールアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、等);2価アルコールアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等);2価アルコールエーテルエステル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等);グリセリンモノアルキルエーテル;糖アルコール(例えば、ソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、ショ糖、エリトリトール、グルコース、フルクトース、マルトース、キシリトース等)等が挙げられる。
【0114】
糖としては、例えば、三炭糖(例えば、D-グリセリルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン等);四炭糖(例えば、D-エリトロース、D-エリトルロース、D-トレオース、エリスリトール等);五炭糖(例えば、L-アラビノース、D-キシロース、L-リキソース、D-アラビノース、D-リボース、D-リブロース、D-キシルロース、L-キシルロース等);六炭糖(例えば、D-グルコース、D-タロース、D-ブシコース、D-ガラクトース、D-フルクトース、L-ガラクトース、L-マンノース、D-タガトース等);七炭糖(例えば、アルドヘプトース、ヘプロース等);八炭糖(例えば、オクツロース等);デオキシ糖(例えば、2-デオキシ-D-リボース、6-デオキシ-L-ガラクトース、6-デオキシ-L-マンノース等);アミノ糖(例えば、D-グルコサミン、D-ガラクトサミン、シアル酸、アミノウロン酸、ムラミン酸等);ウロン酸(例えば、D-グルクロン酸、D-マンヌロン酸、L-グルロン酸、D-ガラクツロン酸、L-イズロン酸等);オリゴ糖(例えば、ショ糖、グンチアノース、ウンベリフェロース、ラクトース、プランテオース、イソリクノース類、α,α-トレハロース、ラフィノース、リクノース類、ウンビリシン、スタキオースベルバスコース類等);多糖(例えば、セルロース、クインスシード、コンドロイチン硫酸、デンプン、ガラクタン、デルマタン硫酸、グリコーゲン、アラビアガム、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、キサンタンガム、ムコイチン硫酸、グアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸等)等が挙げられる。
【0115】
アミノ酸としては、例えば、中性アミノ酸(例えば、スレオニン、システイン等);塩基性アミノ酸(例えば、ヒドロキシリジン等)等が挙げられる。また、アミノ酸誘導体として、例えば、アシルサルコシンナトリウム(ラウロイルサルコシンナトリウム)、アシルグルタミン酸塩、アシルβ-アラニンナトリウム、グルタチオン、ピロリドンカルボン酸等が挙げられる。
【0116】
有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等が挙げられる。
【0117】
高分子エマルジョンとしては、例えば、アクリル樹脂エマルジョン、ポリアクリル酸エチルエマルジョン、アクリルレジン液、ポリアクリルアルキルエステルエマルジョン、ポリ酢酸ビニル樹脂エマルジョン、天然ゴムラテックス等が挙げられる。
【0118】
pH調整剤としては、例えば、乳酸-乳酸ナトリウム、クエン酸-クエン酸ナトリウム、コハク酸-コハク酸ナトリウム等の緩衝剤等が挙げられる。
【0119】
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、B1、B2、B6、C、E及びその誘導体、パントテン酸及びその誘導体、ビオチン等が挙げられる。
【0120】
酸化防止助剤としては、例えば、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、ケファリン、ヘキサメタフォスフェイト、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。
【0121】
消炎剤としては、例えば、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等が挙げられる。
【0122】
美白剤としては、例えば、ビタミンC、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、コウジ酸等が挙げられる。
【0123】
各種抽出物としては、例えば、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキュウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、海藻等が挙げられる。
【0124】
賦活剤としては、例えば、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等が挙げられる。
【0125】
血行促進剤としては、例えば、例えば、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β-ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、タンニン酸、α-ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ-オリザノール等が挙げられる。
【0126】
抗脂漏剤としては、例えば、硫黄、チアントール等が挙げられる。
【0127】
抗炎症剤としては、例えば、トラネキサム酸、チオタウリン、ヒポタウリン等が挙げられる。
【0128】
金属封鎖剤としては、例えば、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リンゴ酸等が挙げられる。
【0129】
生薬抽出物としては、例えば、カフェイン、タンニン、ベラパミル、トラネキサム酸及びその誘導体、甘草、カリン、イチヤクソウ等が挙げられる。
【0130】
薬剤としては、例えば、酢酸トコフェロール、グリチルレジン酸、グリチルリチン酸及びその誘導体又はその塩等が挙げられる。
【実施例
【0131】
以下、実施例を示して実施形態を更に具体的に説明するが、実施形態は実施例により限定されるものではない。
【0132】
<実施例1>
[固形化粧料の製造方法]
下記表1中の処方に記載された、粉末成分と油性成分とをヘンシェルミキサーを用いて混合し、さらにパルペライザーを用いて粉砕して均一な混合物を得た。当該混合物に等量の揮発性分散媒としてアルコールを添加し、ディスパーミキサーを用いて混合してスラリーを得た。得られたスラリーを中皿に充填し、予備プレスヘッドを用いて予備プレスを行った後、プレスヘッドを用いて本プレスし、成形体を得た。得られた成形体を、55℃、4時間、乾燥し、固形化粧料を得た。予備プレス及び本プレスは、上記の実施形態で説明した方法にしたがって行った。なお、表1中の処方に用いた各成分の配合量は、いずれも質量%である。
【0133】
<固形化粧料の評価>
固形化粧料の評価は、固形化粧料の加飾の角部の半径と、固形化粧料の加飾の凹凸の最大高低差と、耐衝撃性とを測定して行った。
【0134】
(固形化粧料の加飾の角部の半径の測定)
固形化粧料の加飾の角部の半径は、3Dスキャナー型測定器(キーエンス社製)を用いて測定した。
【0135】
(固形化粧料の加飾の凹凸の最大高低差の測定)
固形化粧料の加飾の凹凸の最大高低差は、3Dスキャナー型測定器(キーエンス社製)を用いて測定した。
【0136】
(耐衝撃性の評価)
固形化粧料を30cmの高さから5回落下させた時に固形化粧料に破損が生じたか以下の基準で評価した。
〇:破損しなかった
×:破損した
【0137】
【表1】
【0138】
表1より、実施例1は、固形化粧料の加飾の角部の半径が0.2mmであり、加飾の凹凸の最大高低差が3.0mmであった。また、耐衝撃性は使用に必要な基準を満たしていた。よって、本実施形態に係る固形化粧料の製造方法を用いれば、固形化粧料は角部の半径が小さく、かつ凹凸の最大高低差が高い加飾を有すると共に、強度を有することができるので、固形化粧料の表面にシャープな加飾処理を有する固形化粧料を高い生産性を持って形成することができるといえる。
【0139】
以上の通り、実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更等を行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0140】
1 化粧料混合粉末
2 スラリー
3 成形体
4 固形化粧料
30 中皿
40 プレス装置
41 上部プレス装置
42 下部プレス装置
43 本体部
44 プレス型(プレスヘッド)
44a プレス面
44b 貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17