(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】スライドレール機構
(51)【国際特許分類】
A47B 88/443 20170101AFI20241126BHJP
A47B 88/493 20170101ALI20241126BHJP
【FI】
A47B88/443
A47B88/493
(21)【出願番号】P 2023132554
(22)【出願日】2023-08-16
【審査請求日】2023-08-16
(32)【優先日】2023-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】504297766
【氏名又は名称】川湖科技股▲分▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】513240939
【氏名又は名称】川益科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】陳 庚金
(72)【発明者】
【氏名】楊 順和
(72)【発明者】
【氏名】張 維成
(72)【発明者】
【氏名】王 俊強
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-187344(JP,A)
【文献】特開2019-81083(JP,A)
【文献】特開2020-11032(JP,A)
【文献】特開2021-30057(JP,A)
【文献】特開2021-79077(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0176755(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 88/443
A47B 88/493
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持フレームと、
前記支持フレームに対して移動可能であるスライドレール組立体であり、スライドレール組立体は、第1レールと、第2レールと、第3レールとを含み、前記第2レールは、第1所定方向に、第1所定位置から第2所定位置を経て第3所定位置へ変位可能であり、前記第2レールは、前記第1所定方向と反対の第2所定方向に、前記第3所定位置から前記第2所定位置を経て前記第1所定位置へ変位可能である、スライドレール組立体とを備え、
前記支持フレームは、係合解除特徴部を含み、
前記第2レールが前記支持フレームに対して前記第1所定位置から前記第1所定方向に離れるように変位する間に、前記第2レールと前記第1レールとは同期して変位し、
前記第2レールと前記第1レールとが同期して前記第1所定方向に前記第2所定位置へ変位した場合に、前記第2レールと前記第1レールとの間の変位同期を終了させるように、前記支持フレームの前記係合解除特徴部は構成されている、スライドレール機構。
【請求項2】
前記スライドレール組立体はさらに、第1補助部材と第2補助部材とを含み、前記第1補助部材は前記第1レールに配置され、前記第2補助部材は前記第2レールに配置され、
前記第2レールが前記支持フレームに対して前記第1所定位置から前記第1所定方向に離れるように変位する間に、前記第1補助部材と前記第2補助部材との突き当てにより、前記第2レールと前記第1レールとが同期して変位する、請求項1記載のスライドレール機構。
【請求項3】
前記第1補助部材と前記第2補助部材とのうちの一方は移動可能であり、前記第1補助部材と前記第2補助部材とのうちの前記一方は、弾性部材の弾性変形に応じて、前記第1補助部材と前記第2補助部材とのうちの他方に突き当たる第1状態へ移動するように構成されている、請求項2記載のスライドレール機構。
【請求項4】
前記支持フレームの前記係合解除特徴部は、前記第1補助部材と前記第2補助部材とのうちの前記一方を前記第1状態から第2状態へ駆動するために、前記弾性部材が解放されることを可能にするように構成され、前記第1補助部材と前記第2補助部材とのうちの前記他方から係合解除し、前記第2レールが前記第2所定位置へ変位した場合に、前記第2レールと前記第1レールとの間の変位同期を終了させる、請求項3記載のスライドレール機構。
【請求項5】
前記支持フレームの前記係合解除特徴部は、前記第1補助部材と前記第2補助部材とのうちの前記一方に移動空間を設けるために、切り欠くことによって形成され、
前記支持フレームはさらに、ブロッキング特徴部を含み、前記ブロッキング特徴部は、前記係合解除特徴部に隣接して位置し、前記第1レールが、前記第1所定方向と反対の前記第2所定方向に前記第2所定位置から離れるように変位するのを防止するために前記第1レールをブロッキングするように構成され、
前記第2レールは、前記第2レールが前記第3所定位置から前記第2所定方向に離れるように変位する間に、前記ブロッキング特徴部と前記第1レールとの間のブロッキングを終了させるように構成されている、請求項4記載のスライドレール機構。
【請求項6】
前記スライドレール組立体はさらに、前記第2レールに移動可能に取り付けられた作業部材を含み、対応する特徴部が、前記第3レールに配置され、
前記第3レールが前記第1所定方向に変位する間に、前記対応する特徴部と前記作業部材との突き当てにより、前記第3レールは、前記第2レールを駆動し、前記第3レールと同期して変位する、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のスライドレール機構。
【請求項7】
前記作業部材は、接続部材によって前記第2レールに枢軸的に接続され、前記作業部材は、前記対応する特徴部に突き当たる弾性体によって、所定状態へ駆動される、請求項6記載のスライドレール機構。
【請求項8】
係合解除構造が前記第1レールに配置され、前記係合解除構造は、前記第3レールと前記第2レールとが前記第1所定方向に係合解除位置へ同期変位した場合に、前記第3レールと前記第2レールとの間の変位同期を終了させるように構成されている、請求項6記載のスライドレール機構。
【請求項9】
さらにブロッキング構造が、前記第1レールに配置され、前記係合解除構造に隣接して位置し、
前記第2レールが前記第1所定方向に前記第3所定位置へ変位した場合に、前記ブロッキング構造は、前記第2レールが前記第3所定位置から前記第2所定方向に離れるように変位するのを防止するために、前記第2レールをブロッキングし、
前記第2レールが前記第1所定方向に前記第3所定位置へ変位した場合に、前記第3レールは、前記第1所定方向に第4所定位置へ変位可能であり、
前記第3レールは、前記第3レールが前記第4所定位置から前記第2所定方向に離れるように変位する間に、前記ブロッキング構造と前記第2レールとの間のブロッキングを終了させるように構成されている、請求項8記載のスライドレール機構。
【請求項10】
前記第2レールは、前記第1レールと前記第3レールとの間に移動可能に取り付けられ、前記第1レールは外レールであり、前記第2レールは中間レールであり、前記第3レールは内レールである、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のスライドレール機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の(特徴項に先立つ)プレアンブルに係るスライドレール機構に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第7357468号(特許文献1)には、内レールと、中間レールと、外レールとの3つのレールを含むスライドレール組立体が開示されている。中間レールと内レールとは、外レールに対して伸長するように同期して変位する可能性がある。中間レールが外レールに対して位置決めされた後、内レールと中間レールとは、内レールが完全に伸長した位置へ独立して変位できるように、互いに係合解除する可能性がある。さらに、スライドレール組立体の後退させる動作中に、内レールと中間レールとを外レールの中に順次後退させる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第7357468号
【文献】米国特許第11064807号
【発明の概要】
【0004】
上述のことから、従来のスライドレール組立体では、内レールと中間レールとを同期して伸長させることしかできなかった。しかし、さまざまな要求を満たすためには、改良されたスライドレール製品を提供することが重要な論題となる。
【0005】
そこで、本発明は、同期変位機能を有するレールを有するスライドレール機構を提供することを目的とする。
【0006】
これは、請求項1記載のスライドレール機構によって達成される。従属請求項は、対応する一層の開発及び改良に関係する。
【0007】
以下に続く詳細な説明からさらに明確に理解されるように、スライドレール機構は、支持フレームと;支持フレームに対して移動可能であるスライドレール組立体であり、スライドレール組立体は、第1レールと、第2レールと、第3レールとを含み、第2レールは、第1所定方向に、第1所定位置から第2所定位置を経て第3所定位置へ変位可能であり、第2レールは、第1所定方向と反対の第2所定方向に、第3所定位置から第2所定位置を経て第1所定位置へ変位可能である、スライドレール組立体とを備え;支持フレームは、係合解除特徴部を含み;第2レールが支持フレームに対して第1所定位置から第1所定方向に離れるように変位する間に、第2レールと第1レールとは同期して変位し;第2レールと第1レールとが同期して第1所定方向に第2所定位置へ変位した場合に、第2レールと第1レールとの間の変位同期を終了させるように、支持フレームの係合解除特徴部は構成されている。
【0008】
本発明のこれらの目的及び別の目的は、様々な図及び図面に示される好ましい実施形態に関する以下の詳細な説明を読んだ後に、当業者には疑いなく明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
以下では、添付の図面を参照しつつ、本発明をさらに例として例示する。
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係るスライドレール機構の透視斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るスライドレール機構の分解斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係り、スライドレール組立体が後退状態にあるときのスライドレール機構の図である。
【
図4】本発明の実施形態に係り、第2レールと第1レールとが第1所定方向に同期変位可能であるときのスライドレール組立体の図である。
【
図5】本発明の実施形態に係り、第2レールと第1レールとの間の変位同期が終了したときのスライドレール組立体の図である。
【
図6】本発明の実施形態に係り、第3レールと第2レールとが第1レールに対して第1所定方向に同期して変位可能でないときのスライドレール組立体の図である。
【
図7】本発明の実施形態に係り、第3レールと第2レールとが第1レールに対して第1所定方向に同期して変位可能であるときのスライドレール組立体の図である。
【
図8】本発明の実施形態に係り、第3レールと第2レールとの間の変位同期が終了したときのスライドレール組立体の図である。
【
図9】本発明の実施形態に係り、第2レールが第1レールに対して第1所定方向に第3所定位置へ変位するときのスライドレール組立体の図である。
【
図10】本発明の実施形態に係り、伸長状態にあるスライドレール組立体の図である。
【
図11】本発明の実施形態に係り、第3レールが第2レールに対して第4所定位置から第2所定方向に離れるように変位するときのスライドレール組立体の図である。
【
図12】本発明の実施形態に係り、第2レールに対して第2所定方向に変位する第3レールによって、第2レールが第3所定位置から離れるように変位可能であるときのスライドレール組立体の図である。
【
図13】本発明の実施形態に係り、第2レールが第1レールに対して第3所定位置から第2所定方向に離れるように変位するときのスライドレール組立体の図である。
【
図14】本発明の実施形態に係り、第2所定方向に変位する第2レールによって、第1レールが第2所定位置から離れるように変位可能であるときのスライドレール組立体の図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の好ましい実施形態の詳細な説明では、本明細書の一部を構成し、本発明が実施可能である具体的な実施形態が例示として示されている添付図面を参照する。これに関して、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」などの方向用語は、説明される図の向きを参照して使用される。本発明の部材は、多数の異なる姿勢で配置してよい。そのため、方向に関する用語は、例示の目的で使用され、決して限定するものではない。従って、図面及び説明は、本質的に例示的なものとみなされ、制限的なものとみなされない。また、特定されない場合に、「接続する」という用語は、間接的又は直接的な機械的接続のいずれか一方を意味することが意図される。従って、第1装置が第2装置に接続される場合に、その接続は、直接的な機械的接続を介してよく、又は、別の装置や接続部による間接的な機械的接続を介してよい。
【0012】
図1及び
図2に示すように、スライドレール機構は、支持フレーム22とスライドレール組立体24とを備えている。スライドレール組立体24は、支持フレーム22に対して長手方向に移動可能である。この実施形態では、一例として、スライドレール組立体24のレールの長手方向、即ち、長さ方向又は変位方向は、X軸に平行であってよい。スライドレール組立体24のレールの横方向、即ち側方方向は、Y軸に平行であってよい。スライドレール組立体24のレールの縦方向、即ち高さ方向は、Z軸に平行であってよい。
【0013】
スライドレール組立体24は、第1レール26と、第2レール28と、第3レール30とを含む。第1レール26は外レールであり、第2レール28は中間レールであり、第3レール30は内レールである。この実施形態では、一例として、第2レール28は、第1レール26と第3レール30との間に移動可能に取り付けられてよい。
【0014】
好ましくは、スライドレール機構はさらに、スライドレール装置32を備えている。スライドレール装置32は、支持フレーム22と、支持フレーム22に接続されている支持レール34とを含む。この実施形態では、一例として、支持レール34を支持フレーム22に固定的に接続してよく、支持レール34と支持フレーム22とは、一体構造として定義されてよい。即ち、支持レール34を支持フレーム22の一部とみなしてよい。
【0015】
支持フレーム22は、第1レール26と第2レール28との間の変位同期を終了させる(無効化する)ように構成された係合解除特徴部36を含む。この実施形態では、一例として、係合解除特徴部36は、切り欠くことによって形成されたノッチであってよい。しかし、本発明はこの実施形態に限定されない。
【0016】
好ましくは、支持フレーム22はさらに、係合解除特徴部36に隣接し、第1レール26をブロッキングするように構成されたブロッキング特徴部37を含む。この実施形態では、一例として、ブロッキング特徴部37はブロッキング壁であってよい。しかし、本発明はこの実施形態に限定されない。
【0017】
好ましくは、ブロッキング部分38が支持レール34に配置され、第1レール26をブロッキングするように構成されている。この実施形態では、一例として、支持レール34は、支持レール34の端部分、例えば、前端部分に隣接して配置されたブラケット40を含んでよく、ブロッキング部分38は、ブラケット40に配置されている。
【0018】
係合解除特徴部36は、第1レール26と第2レール28との間の変位同期を終了させることができる。第1レール26と第2レール28との間の変位同期が終了した場合に、ブロッキング特徴部37とブロッキング部分38とは、第1レール26が2つの異なる方向に変位するのを防止することができる。係合解除特徴部36と、ブロッキング特徴部37と、ブロッキング部分38とは、互いに協働しない。理解可能なことであるが、別の実施形態では、ブロッキング特徴部とブロッキング部分とのうちの少なくとも一方を省略してよい。
【0019】
好ましくは、支持レール34は、複数のレールと、複数のレールを少なくとも部分的に収容する支持チャンネルとを含む。この実施形態では、一例として、支持レール34は、第1可動レール42と第2可動レール44とを含んでよい。第1可動レール42と第2可動レール44とは、少なくとも部分的に支持チャンネルの中に収容されてよく、第1可動レール42は、支持レール34と第2可動レール44との間に位置してよい。
【0020】
好ましくは、スライドレール組立体24はさらに、第1補助部材46と第2補助部材48とを含む。第1補助部材46は、第1レール26に配置されている。第2補助部材48は、第2レール28に配置されている。
【0021】
好ましくは、第1補助部材46と第2補助部材48とのうちの一方は移動可能であり、第1補助部材46と第2補助部材48とのうちの他方は移動不能である。この実施形態では、一例として、第1補助部材46は、シャフト50によって第1レール26に枢軸的に接続されてよく、第2補助部材48は、第2レール28に固定的に接続されている。
【0022】
好ましくは、スライドレール組立体24はさらに、第1レール26に配置された補助レール52を含む。第1レール26は、補助レール52によって支持レール34又は支持フレーム22に移動可能に取り付けられている。さらに、補助レール52は、第1補助壁54aと、第2補助壁54bと、第1補助壁54aと第2補助壁54bとの間に位置し、これらに接続されている中間壁56とを含む。中間壁56は、第1レール26の第1サイドL1に接続、例えば、固定的に接続される。第1補助壁54aと第2補助壁54bとは、支持レール34又は支持フレーム22を保持するように構成されている。本実施形態では、一例として、第1補助壁54aと第2補助壁54bとは、支持レール34の第1壁57aと第2壁57bとを保持してよい。しかし、本発明はこの実施形態に限定されない。その上、第2レール28は、第1レール26の第1サイドL1とは反対側の第1レール26の第2サイドL2で、少なくとも部分的に、第1チャンネルの中に移動可能に取り付けられている。第3レール30は、少なくとも部分的に、第2レール28での第2チャンネルの中に移動可能に取り付けられている。
【0023】
支持レール34と補助レール52とは、第1レール26が支持フレーム22に間接的に取り付けられることを実現するための部材であり、第1レール26と第2レール28との間の変位同期を終了させること、及び/又は第1レール26と第2レール28との間の変位同期が終了した場合に第1レール26の変位を防止することには、関与しない。理解可能なことであるが、別の実施形態では、支持レール及び補助レールのうちの少なくとも一方を省略してよく、例えば、直接に、又は補助レールによって間接的に、第1レールを支持フレームに移動可能に取り付けてよく、又は、直接に、第1レールを支持レールに移動可能に取り付けてよい。
【0024】
好ましくは、スライドレール組立体24はさらに、第2レール28に移動可能に取り付けられた作業部材58を含む。対応する特徴部60が、第3レール30に配置され、作業部材58と協働するように構成されている。
【0025】
好ましくは、作業部材58は、接続部材62によって第2レール28に枢軸的に接続される。
【0026】
好ましくは、保持部材64が第1レール26に配置されている。保持部材64は、係合解除構造66と、係合解除構造66に隣接して配置されたブロッキング構造68とを含む。係合解除構造66は、第3レール30と第2レール28との間の変位同期を終了させるように構成されている。ブロッキング構造68は、第2レール28の変位をブロッキングするために第2レール28をブロッキングするように構成されている。係合解除構造66と遮断構造68とは互いに協働しない。理解可能なことであるが、別の実施形態では、係合解除構造とブロッキング構造とのうちの少なくとも一方を省略してよい。さらに、この実施形態では、一例として、係合解除構造66は傾斜面又は円弧面であってよく、ブロッキング構造68は起立する壁であってよい。しかし、本発明はこの実施形態に限定されない。その上、理解可能なことであるが、別の実施形態では、係合解除構造及び/又はブロッキング構造は、第1レールと一体的に形成してよい。
【0027】
図3に示すように、スライドレール組立体24は、支持フレーム22又はスライドレール装置32に対して、後退状態にある。第1所定位置P1、例えば
図3に示す後退位置から、第1所定方向D1、例えば開放方向に、第2レール28が支持フレーム22に対して変位、例えば長手方向に変位する間、第2レール28と第1レール26とは同期して変位可能である。さらに、第3レール30は、少なくとも部分的に第2レール28での第2チャンネルの中に取り付けられているので、第2レール28と第1レール26とが同期して変位した場合に、第3レール30は、第2レール28及び第1レール26とともに第1所定方向D1に変位する。その上、第1レール26は、支持レール34を保持する補助レール52の第1補助壁54aと第2補助壁54bとによって、支持レール34又は支持フレーム22に対して摩擦変位可能である。
【0028】
好ましくは、
図4に示すように、第2レール28が支持フレーム22に対して第1所定位置P1から第1所定方向D1に離れるように変位する間に、第1補助部材46と第2補助部材48とは、互いに突き当たり、第1補助部材46と第2補助部材48との突き当てによって、第2レール28は第1レール26を駆動して第2レール28とともに同期して変位する。
【0029】
好ましくは、第1補助部材46は、弾性部材70の弾性変形及び/又は支持フレーム22の支持に応答して、第2補助部材48に突き当てられるために第1状態S1に保持されるように構成されている。この実施形態では、一例として、第2補助部材48は、少なくとも1つの突き当て部分72、例えば、
図3に示すフック部分又はフック形状構造を含んでよい。第1補助部材46は、
図4に示すように、対応部分69を含んでよく、対応部分69は、第1所定方向D1への第2レール28と第1レール26との同期変位を可能にするために、少なくとも1つの突き当て部分72に突き当てられるように構成されている。
【0030】
好ましくは、弾性部材70は、少なくとも1つの弾力性のある部分71を含み、これは、横方向、例えばY軸に沿って第1補助部材46の少なくとも1つの延長部73を弾力的に押圧するように構成されている。第1補助部材46は、
図4に示すように、第1補助部材46が第1状態S1に保持されるように、支持フレーム22によって支持される。
【0031】
図5に示すように、支持フレーム22の係合解除特徴部36は、第2レール28と第1レール26とが、第1所定方向D1に第2所定位置P2へ同期変位した場合に、第2レール28と第1レール26との間の変位同期を終了させるように構成されている。
【0032】
好ましくは、係合解除特徴部36は、第1補助部材46を駆動して第1状態S1から第2状態S2に移動させるために、弾性部材70が解放されることを可能にするための移動空間を第1補助部材46に設けるように構成され、第1補助部材46、例えば第1補助部材46の対応部分69を、第2補助部材48、例えば第2補助部材48の突き当て部分72から係合解除する。これにより、第2レール28と第1レール26とが第2所定位置P2にある場合に、第2レール28と第1レール26との間の変位同期を終了させる。この実施形態では、一例として、第1補助部材46の対応部分69は、第2レール28と第1レール26との間の変位同期を終了させるように、長手方向、例えばX軸に沿って第2補助部材48の突き当て部分72と不整合にするように移動させることができる。
【0033】
好ましくは、第1補助部材46が第2状態S2にある場合に、支持フレーム22のブロッキング特徴部37は、第1補助部材46をブロッキングして、第1所定方向D1と反対の第2所定方向D2、例えば後退方向に、第1レール26が第2所定位置P2から離れるように変位するのを防止するために、第1レール26をブロッキングすることができる。その上、支持レール34のブラケット40でのブロッキング部分38は、第1補助部材46又は補助レール52をブロッキングして、第1レール26が第2所定位置P2から第1所定方向D1に離れるように変位するのを防止するために、第1レール26をブロッキングすることができる。
【0034】
図6及び
図7に示すように、スライドレール組立体24はさらに、少なくとも1つの第1スライド補助装置74と、第2スライド補助装置76とを含む。少なくとも1つの第1スライド補助装置74は、第1レール26に対する第2レール28の円滑な変位を容易にするために、第2レール28と第1レール26との間に移動可能に取り付けられている。第2スライド補助装置76は、第2レール28に対する第3レール30の円滑な変位を容易にするために、第2レール28と第3レール30との間に移動可能に取り付けられている。本実施形態では、一例として、第1スライド補助装置74は、複数の第1スライド補助部材78を含んでよく、第2スライド補助装置76は、複数の第2スライド補助部材80を含んでよく、第1スライド補助部材78又は第2スライド補助部材80は、ボール、ローラなどであってよい。
【0035】
第3レール30での対応する特徴部60は、スライドレール組立体24が
図6に示す状態にある場合に、第2レール28での作業部材58から所定の長手方向距離だけ離間している。第3レール30と第2レール28とは、第1レール26が第2所定位置P2にある場合に、第1所定方向D1に変位可能である。好ましくは、第3レール30と第2レール28とは、第1所定方向D1への第3レール30の変位の間に同期して変位可能である。この実施形態では、一例として、
図7に示すように、第1所定方向D1への第3レール30の変位の間に、対応する特徴部60と作業部材58とが互いに突き当たり、対応する特徴部60と作業部材58との突き当てによって、第3レール30が第2レール28を駆動して第3レール30とともに同期して変位する。
【0036】
好ましくは、第3レール30は、第1壁82aと第2壁82bとを含み、対応する特徴部60は、第1壁82aに配置されている。この実施形態では、一例として、対応する特徴部60は、孔構造Hの壁であってよい。第3レール30の第1壁82aは、
図6に示すように、初期状態K1に作業部材58を位置させるために作業部材58を支持してよい。第3レール30が第1所定方向D1に変位する間に、第3レール30での孔構造Hは、作業部材58の同期特徴部84に対応する位置へ移動が可能であり、これにより、作業部材58は、弾性体86によって、
図7に示されるように、初期状態K1から所定状態K2へ、移動、例えば旋回するように駆動されることが可能である。これにより、第3レール30での対応する特徴部60と同期特徴部84とは、第1所定方向D1への第3レール30と第2レール28との同期変位を可能にするために互いに突き当たることができる。
【0037】
好ましくは、
図7に示すように、第2レール28は貫通孔88を含み、作業部材58の作業部分90は、貫通孔88を通って第1レール26に向かって延びる。作業部材58の作業部分90は、第1レール26での保持部材64、例えば保持部材64の係合解除構造66及びブロッキング構造68と協働してよい。
【0038】
第3レール30が第2レール28を駆動して第3レール30とともに
図7に示す位置から
図8に示す係合解除位置に同期変位させた場合に、第1レール26での係合解除構造66は、第3レール30と第2レール28との間の変位同期を終了させるように構成されている。この実施形態では、一例として、第2レール28での作業部材58の作業部分90は、例えば、所定の角度で旋回することによって、作業部材58を所定状態K2から離れるように駆動するために、第1レール26での係合解除構造66によってガイドされてよい。これにより、第3レール30と第2レール28との間の同期変位を終了させるために、第3レール30での対応する特徴部60は、作業部材58の同期特徴部84に突き当たらなくなる。第3レール30と第2レール28との間の同期変位が終了した場合に、第3レール30と第2レール28とは、第1レール26に対して第1所定方向D1に個別に変位可能である。その上、作業部材58が
図8に示す状態にある場合に、弾性体86は弾性的に変形する。
【0039】
図9に示すように、第2レール28が第1所定方向D1に第3所定位置P3へさらに変位した場合に、第1レール26でのブロッキング構造68は、第2レール28が第3所定位置P3から第2所定方向D2に離れるように変位するのを防止するために、第2レール28をブロッキングするように構成されている。本実施形態では、一例として、第2レール28が第3所定位置P3にある場合に、弾性体86は、
図9に示す位置へ移動するように作業部材58を駆動するために解放され、これにより、作業部材58の作業部分90は、第2レール28が第3所定位置P3から第2所定方向D2に離れるように変位するのを防止するために、第1レール26でのブロッキング構造68によってブロッキングされることが可能である。
【0040】
好ましくは、第1拘束特徴部92がさらに、第1レール26に配置され、第2拘束特徴部94がさらに、第2レール28に配置されている。第2レール28が第3所定位置P3にある場合に、第2レール28が第3所定位置P3から第1所定方向D1に離れるように変位するのを防止するために、第1スライド補助装置74の前端部と後端部とがそれぞれ第1拘束特徴部92と第2拘束特徴部94とに突き当たる。
【0041】
図9及び
図10に示すように、第2レール28が第3所定位置P3にある場合に、第3レール30は、支持フレーム22又はスライドレール装置32に対してスライドレール組立体24を伸長状態、例えば完全に伸長した状態に位置させるように、さらに第1所定方向D1に第4所定位置P4へ変位可能である。好ましくは、第3レール30が第4所定位置P4にある場合に、第2スライド補助装置76は、第2レール28の端部分、例えば前端部分に隣接して位置する。
【0042】
図11及び
図12に示すように、第3レール30が第4所定位置P4から第2所定方向D2に離れるように変位する間に、第3レール30は、ブロッキング構造68と第2レール28との間のブロッキングを終了させるように構成されている。さらに、第3レール30の一部、例えば後端部分rは、作業部材58を駆動するための作業部材58の同期特徴部84に突き当たり、作業部材58の作業部分90が第1レール26でのブロッキング構造68によってブロッキングされるのを防止するように構成されている。作業部材58の作業部分90が第1レール26でのブロッキング構造68によってブロッキングされない場合に、第2レール28は、第3所定位置P3から第2所定方向D2に離れるように変位することが許容される。
【0043】
図13及び
図14に示すように、第2レール28と第1補助部材46とのうちの一方は、第1ガイド特徴部96を含む。好ましくは、第2レール28と第1補助部材46とのうちの他方は、第1ガイド特徴部96と協働するための第2ガイド特徴部98を含む。この実施形態では、一例として、第1ガイド特徴部96と第2ガイド特徴部98とは、傾斜面又は円弧面であってよい。しかし、本発明はこの実施形態に限定されない。
【0044】
第2レール28が第3所定位置P3から第2所定方向D2に離れるように変位する間、第2レール28は、ブロッキング特徴部37と第1レール26との間のブロッキングを終了させるように構成されている。本実施形態では、一例として、第2レール28は第1ガイド構造96を含んでよく、第1補助部材46は第2ガイド構造98を含んでよい。第2レール28の第1ガイド構造96は、第1補助部材46を
図13に示す第2状態S2から
図14に示す第1状態S1に駆動するために、第1補助部材46の第2ガイド構造98に対して突き当たることができ、これにより、第1レール26が第2所定位置P2から第2所定方向D2に離れるように変位することを可能にするために、支持フレーム22でのブロッキング特徴部37は、第1レールでの第1補助部材46をブロッキングしなくなる。従って、第3レール30と、第2レール28と、第1レール26とは、
図3に示すように、スライドレール組立体24が後退状態に復帰して移動されるまで、第2所定方向D2に変位可能である。
【0045】
スライドレール組立体24は、通常、キャビネット又はラックに適合されてよく、第3レール30は、電子機器(apparatus)又は引出しなどの搬送する物体を支持するように構成されてよいことに留意するものとする。スライドレール組立体24は、第2レール28と第1レール26とが同期して変位することを確実にし、第1レール26が変位することなく第3レール30と第2レール28とが第1所定方向D1に引き出されるのを防止することができる。従って、第1レールが変位することなく第3レールと第2レールとが引き抜かれた場合に、スライドレール組立体24は、第1レールと支持フレームとの間及び/又は第1レールと支持レールとの間の、例えば搬送する物体の重量に起因する過大な摩擦に打ち勝って第1レールを引き抜くために、多大な労力を要するという技術的課題を解決することができる。
【0046】
以上により、スライドレール組立体24は、支持フレーム22に対して第1所定方向D1への第2レール28と第1レール26との同期変位を可能にする特性、及び/又は、第1所定方向D1への第3レール30と第2レール28との同期変位を可能にする特性を含む。