(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】プレチャージシステムを統合したリレースイッチ装置
(51)【国際特許分類】
H01H 50/14 20060101AFI20241126BHJP
H01H 50/54 20060101ALI20241126BHJP
H01M 50/574 20210101ALI20241126BHJP
【FI】
H01H50/14 B
H01H50/54 E
H01M50/574
(21)【出願番号】P 2022580176
(86)(22)【出願日】2021-10-26
(86)【国際出願番号】 KR2021015138
(87)【国際公開番号】W WO2022092778
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2022-12-23
(31)【優先権主張番号】10-2020-0140709
(32)【優先日】2020-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ウォン-テ
(72)【発明者】
【氏名】リー、ヨン-ジュン
(72)【発明者】
【氏名】チャ、ジェ-ヒュク
(72)【発明者】
【氏名】ファン、スン-タク
【審査官】荒木 崇志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0229377(US,A1)
【文献】特開2012-174676(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 45/00 - 45/14
H01H 50/00 - 59/00
H01M 50/50 - 50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流伝送線路の電流の流れをオンオフするリレースイッチ装置であって、
リレースイッチ装置の外観を形成するリレーハウジングと、
互いに所定の間隔を置いて前記リレーハウジングの内外部にわたって並んで配置される第1上部固定端子及び第2上部固定端子と、
前記第1上部固定端子と電気的に接続され、前記第1上部固定端子から所定の間隔で離隔した下部に配置される第1下部固定端子、及び前記第2上部固定端子と電気的に接続され、前記第2上部固定端子から所定の間隔で離隔した下部に配置される第2下部固定端子と、
所定の距離を移動して前記第1上部固定端子及び前記第2上部固定端子または前記第1下部固定端子及び前記第2下部固定端子と選択的に接触するように設けられた回路モード切替えモジュールと、を含み、
前記回路モード切替えモジュールが、前記第1上部固定端子及び前記第2上部固定端子に接触した場合、前記第1上部固定端子及び前記第2上部固定端子を含む電流経路を形成し、前記第1上部固定端子と前記第2上部固定端子におけるノード電圧が実質的に同一であり、前記第1下部固定端子及び前記第2下部固定端子に接触した場合、前記第1上部固定端子及び前記第2上部固定端子を含む電流経路を形成し、前記第1上部固定端子と前記第2上部固定端子との電圧差が発生
し、
前記回路モード切替えモジュールは、
前記リレーハウジングの内部で昇降可能に設けられる移動シャフトと、
前記移動シャフトに取り付けられ、前記移動シャフトが所定の位置まで上昇すると、前記第1上部固定端子及び前記第2上部固定端子に接触可能に設けられる電気伝導性材質の接触プレートと、
前記移動シャフトに取り付けられ、前記接触プレートの下部に位置し、前記移動シャフトが所定の位置まで下降すると、前記第1下部固定端子及び前記第2下部固定端子に電気的に接続可能に接触する、絶縁性ケースの内部に抵抗体を備えた抵抗部材と、を含む、
リレースイッチ装置。
【請求項2】
前記回路モード切替えモジュールが前記第1下部固定端子及び前記第2下部固定端子に接触した場合に電流が流れる抵抗部材を備え、
前記抵抗部材は、前記リレーハウジングの内部に設けられる、
請求項1に記載のリレースイッチ装置。
【請求項3】
前記第1上部固定端子から前記第1下部固定端子までを電気的に接続する導通経路、及び前記第2上部固定端子から前記第2下部固定端子までを電気的に接続する導通経路が、前記リレーハウジングの内部に設けられる、
請求項1または2に記載のリレースイッチ装置。
【請求項4】
前記抵抗部材は、
前記第1下部固定端子に対向する部分から下方へ突出して形成された第1ターミナルと、
前記第2下部固定端子に対向する部分から下方へ突出して形成された第2ターミナルと、を備える、請求項
1に記載のリレースイッチ装置。
【請求項5】
前記抵抗部材は、前記リレーハウジングの内部の熱を吸収する熱電素子である、請求項
1に記載のリレースイッチ装置。
【請求項6】
前記熱電素子は、吸熱側が前記リレーハウジングの下方に向かうように配置される、請求項
5に記載のリレースイッチ装置。
【請求項7】
前記リレーハウジングの内部で前記第1下部固定端子及び前記第2下部固定端子の下部に位置し、前記移動シャフトを移動させることができる電磁気力を発生させるコイル部を備えた駆動モジュールをさらに含む、請求項
1に記載のリレースイッチ装置。
【請求項8】
前記コイル部は、中空の中央通路を備えた円筒状で設けられ、前記移動シャフトは前記中央通路に沿って延びて配置される、請求項
7に記載のリレースイッチ装置。
【請求項9】
前記回路モード切替えモジュールは、
前記リレーハウジングの内部で昇降可能に設けられる移動シャフトと、
前記移動シャフトに連結され、前記移動シャフトの昇降動作によって前記第1上部固定端子及び前記第2上部固定端子または前記第1下部固定端子及び前記第2下部固定端子に選択的に接触可能に設けられる接触プレートと、
前記第1上部固定端子と前記第1下部固定端子を連結する第1ワイヤと、
前記第2上部固定端子と前記第2下部固定端子を連結する第2ワイヤと、
前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤの少なくともいずれか一つに備えられる抵抗素子と、を含む、請求項1から
8のいずれか一項に記載のリレースイッチ装置。
【請求項10】
請求項1から
9のいずれか一項に記載のリレースイッチ装置を含む、バッテリーディスコネクトユニット。
【請求項11】
請求項
10に記載のバッテリーディスコネクトユニットを含む、バッテリーパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーパックと負荷との電気的接続を制御するのに使用されるリレースイッチ装置に関する。
【0002】
本出願は、2020年10月27日出願の韓国特許出願第10-2020-0140709号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
電気車両(Electric Vehicle;EV)、ハイブリッド車両(Hybrid Vehicle;HV)、電力貯蔵装置(ESS)などには大容量のバッテリーパックが搭載される。
【0004】
バッテリーパックは、リレー回路部を介して負荷と接続される。ここで、負荷とは、モーターやインバーターのようにバッテリーパックから電力の供給を受ける装置をいう。
【0005】
リレー回路部は、
図1に示したように、バッテリーパックBの正極端子と負荷Lの正極端子を接続する線路に設けられた高電位メインリレー10と、バッテリーパックBの負極端子と負荷Lの負極端子を接続する線路に設けられた低電位メインリレー20と、を含む。
【0006】
バッテリーパックBと負荷Lが電気的に接続されると、バッテリーパックBの大きい電圧が急激に負荷Lに印加されるので、初期に突入電流(rush current)が負荷L側へ流れる。突入電流は、負荷Lに含まれた回路やリレー回路部に電気的衝撃を印加して非可逆的な損傷を起こし得る。
【0007】
したがって、従来のリレー回路部は、プレチャージ抵抗40及びキャパシター50を含むRC回路と、高電位メインリレー10と並列に接続されたプレチャージリレー30と、を含む。
【0008】
バッテリーパックBと負荷Lを電気的に接続しようとする場合、一次に、低電位メインリレー20とプレチャージリレー30をターンオンする。そうすると、バッテリーパックBから出力された電流がRC回路を介して負荷Lへ流れるので、電流の大きさが次第に増加する。
【0009】
プレチャージリレー30がターンオンされた状態で電流の大きさが負荷Lに衝撃を与えない程度に増加すると、二次に、高電位メインリレー10をターンオンした後、プレチャージリレー30をターンオフして、バッテリーパックBと負荷Lとの電気的接続を完了する。
【0010】
一方、当業界では上記のように、バッテリーパックと負荷との電気的接続を制御するための部品を通総称してBDU(Battery Disconnect Unit)という。前記BDU(
図2参照)は、高電位メインリレー10と、低電位メインリレー20と、プレチャージリレー30と、プレチャージ抵抗40などの他に、これらを電気的に接続するためのワイヤやバスバー60、そして前記部品を収納するためのハウジング70を含む。
【0011】
最近、前記BDUが従来よりも多い機能をするように構成されている。例えば、従来、電気車両側が担当していた電力分配機能まで前記BDU内で行われるように設計されている。このために、最近のBDUは、ハウジングに従来よりも多い個数のバスバー、リレー及びその他の関連部品を搭載している。その結果、BDUの価格が高くなり、サイズが大きくなりつつある。通常、BDUは、バッテリーパックの内部に搭載されるが、このようにサイズの大きいBDUは、バッテリーパックの小型化及びエネルギー密度の増大においてマイナス要因として作用する。
【0012】
そこで、BDUに内蔵される複数の部品を可能な限り一つの部品に統合してBDUを小型化する方案が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記のような従来技術の背景下に創案されたものであって、従来の高電位メインリレー、プレチャージリレー及びプレチャージ抵抗の役割を果たすことができる一つのリレースイッチ装置を提供することで、BDUの小型化、延いては、バッテリーパックのエネルギー密度の増大に寄与することを目的とする。
【0014】
但し、本発明が解決しようとする技術的課題は、前述の課題に制限されず、言及していないさらに他の課題は、下記する発明の説明から当業者にとって明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を達成するための本発明の一面によるリレースイッチ装置は、リレースイッチ装置の外観を形成するリレーハウジングと、互いに所定の間隔を置いて前記リレーハウジングの内外部にわたって並んで配置される第1上部固定端子及び第2上部固定端子と、前記第1上部固定端子と電気的に接続され、前記第1上部固定端子から所定の間隔で離隔した下部に配置される第1下部固定端子、及び前記第2上部固定端子と電気的に接続され、前記第2上部固定端子から所定の間隔で離隔した下部に配置される第2下部固定端子と、所定の距離を移動して前記第1及び第2上部固定端子または前記第1及び第2下部固定端子と選択的に接触するように設けられた回路モード切替えモジュールと、を含み、前記回路モード切替えモジュールが、前記第1及び第2上部固定端子に接触した場合、前記第1上部固定端子と第2上部固定端子におけるノード電圧が実質的に同一であり、前記第1及び第2下部固定端子に接触した場合、前記第1上部固定端子と第2上部固定端子との電圧差が発生するように構成され得る。
【0016】
前記回路モード切替えモジュールは、前記リレーハウジングの内部で昇降可能に設けられる移動シャフトと、前記移動シャフトに取り付けられ、前記移動シャフトが所定の位置まで上昇すると、前記第1及び第2上部固定端子に接触可能に設けられる電気伝導性材質の接触プレートと、前記移動シャフトに取り付けられ、前記接触プレートの下部に位置し、前記移動シャフトが所定の位置まで下降すると、前記第1及び第2下部固定端子に電気的に接続可能に接触し、絶縁性ケースの内部に抵抗体を備えた抵抗部材と、を含み得る。
【0017】
前記抵抗部材は、前記第1下部固定端子に対向する部分から下方へ突出して形成された第1ターミナルと、前記第2下部固定端子に対向する部分から下方へ突出して形成された第2ターミナルと、を備え得る。
【0018】
前記抵抗部材は、前記リレーハウジングの内部の熱を吸収するように構成された熱電素子であり得る。
【0019】
前記熱電素子は、吸熱側が前記リレーハウジングの下方に向かうように配置され得る。
【0020】
前記リレーハウジングの内部で前記第1及び第2下部固定端子の下部に位置し、前記移動シャフトを移動させることができる電磁気力を発生させるコイル部を備えた駆動モジュールをさらに含み得る。
【0021】
前記コイル部は、中空の中央通路を備えた円筒状で設けられ、前記移動シャフトは前記中央通路に沿って延びて配置され得る。
【0022】
なお、本発明のさらに他の例によるスイッチ装置の回路モード切替えモジュールは、前記リレーハウジングの内部で昇降可能に設けられる移動シャフトと、前記移動シャフトに連結され、前記移動シャフトの昇降動作によって前記第1及び第2上部固定端子または前記第1及び第2下部固定端子に選択的に接触可能に設けられる接触プレートと、前記第1上部固定端子と前記第1下部固定端子を連結する第1ワイヤ、及び前記第2上部固定端子と前記第2下部固定端子を連結する第2ワイヤと、前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤの少なくともいずれか一つに備えられる抵抗素子と、を含み得る。
【0023】
本発明の他の様態によると、前述したリレースイッチ装置を含むバッテリーディスコネクトユニットが提供され得る。
【0024】
本発明の他の様態によると、前述したバッテリーディスコネクトユニットを含むバッテリーパックが提供され得る。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一面によると、従来の高電位メインリレー、プレチャージリレー及びプレチャージ抵抗の役割を果たし得るリレースイッチ装置を提供することができる。
【0026】
即ち、バッテリーパックと負荷との電気的接続を制御することにおいて、既存のプレチャージリレーとプレチャージ抵抗を備えなくても本発明のリレースイッチ装置一つでプレチャージ回路を具現することができる。
【0027】
本発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者であれば、本発明による多様な実施例が、上記で言及されていないさらに他の技術的課題を解決できることは、以下の説明から自明に理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】バッテリーパックと負荷との間に介在されるリレー回路部を示した回路図である。
【
図2】従来技術によるBDUの構成の一部を概略的に示した図である。
【
図3】本発明の一実施例によるリレースイッチ装置の構造を概略的に示した図である。
【
図4】
図3の回路モード切替えモジュールを示した斜視図である。
【
図5】プレチャージリレー回路モード時のリレースイッチ装置の作動状態を示した図である。
【
図6】
図5に対応するプレチャージリレー回路モード時の回路図を示した図である。
【
図7】メインリレー回路モード時のリレースイッチ装置の作動状態を示した図である。
【
図8】
図7に対応するメインリレー回路モード時の回路図を示した図である。
【
図9】本発明の他の実施例によるリレースイッチ装置の構造を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0030】
したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0031】
以下で説明するリレースイッチ装置は、バッテリーパックの電源を、電気車両(Electric Vehicle;EV)、ハイブリッド車両(Hybrid Vehicle;HV)に電装するための大電流伝送ラインに設けられ、バッテリーパックと車両の負荷との電気的接続を制御するのに使用される。勿論、このような目的に本発明の権利範囲が限定されることではない。例えば、本発明のリレースイッチ装置は、外部充電器とバッテリーパックを接続する充電電流ラインに設けられ得る。
【0032】
図3は、本発明の一実施例によるリレースイッチ装置の構造を概略的に示した図であり、
図4は、
図3の回路モード切替えモジュールを示した斜視図である。
【0033】
図3及び
図4を参照すると、本発明の一実施例によるリレースイッチ装置は、リレーハウジング100、第1上部固定端子210、第2上部固定端子220、第1下部固定端子310、第2下部固定端子320、回路モード切替えモジュール400及び駆動モジュール500を含む。
【0034】
リレーハウジング100は、ほぼ四角のボックス状であって、内部空間に後述する構成要素を収容して保護するための射出構造物といえる。例えば、前記リレーハウジング100は、プラスチック樹脂を使用して射出成形した下部カバー及び上部カバーを含み、前記下部カバーに後述する構成要素を収納して上部カバーを組み立てる方式で構成され、BDUハウジング(図示せず)にボルトなどを用いて固定可能に設けられ得る。
【0035】
リレーハウジング100の形状は、必要に応じて多様に製作され得る。動作状態を目視で確認可能にリレーハウジング100に窓を設けるか、または透明アクリル素材で製作してもよい。
【0036】
リレースイッチ装置は、第1上部固定端子210及び第2上部固定端子220を介して外部の電流伝送線路に接続される。例えば、リレーハウジング100の外部で前記第1上部固定端子210はバッテリーパックへ延びる線路と接続され、前記第2上部固定端子220は、電気車両の負荷へ延びる線路と接続され得る。ここで、前記線路は、バスバーやワイヤなどで具現され得る。
【0037】
前記第1上部固定端子210及び前記第2上部固定端子220は、リレーハウジング100の内外部にわたって互いに水平方向(±X軸方向)へ所定の間隔を置いて並んで配置されるように構成され得る。
【0038】
図3に示したように、第1上部固定端子210及び第2上部固定端子220は、同じ形態で一対で設けられ、リレーハウジング100の上端部に据え付けられ得る。前記リレーハウジング100の上端部に形成された二つのホールに前記第1上部固定端子210及び前記第2上部固定端子220が締まりばめによって据え付けられることで、これらの一部はリレーハウジング100の内部に向かい、残りの一部はリレーハウジング100の外部に露出する。
【0039】
したがって、例えば、後述する接触プレート420が、物理的に離れている前記第1上部固定端子210及び前記第2上部固定端子220に接触する場合、電流伝送線路に電流が流れるようになる。
【0040】
前記第1上部固定端子210から鉛直下方へ所定の間隔で離隔して第1下部固定端子310が設けられ、前記第2上部固定端子220から鉛直下方へ所定の間隔で離隔して第2下部固定端子320が設けられ得る。
【0041】
前記第1下部固定端子310及び前記第2下部固定端子320は、同じ形態の金属プレート状で一対が設けられ、互いに離れてリレーハウジング100の内部に固定されるように取り付けられ得る。
【0042】
また、前記第1上部固定端子210と前記第1下部固定端子310との間は、電流が流れ得るようにワイヤやバスバーによって接続されるように構成され、同様に、前記第2上部固定端子220と前記第2下部固定端子320との間も、電流が流れ得るようにワイヤやバスバーによって接続されるように構成される。
【0043】
例えば、第1下部固定端子310及び第2下部固定端子320は、駆動モジュール500の上端部に備えられる隔壁110に、接着、ボルト締め、スナップ式の溶接などの方式で据え付けられ得る。リレーハウジング100の製作時、第1下部固定端子310と第2下部固定端子320をインサート射出によってリレーハウジング100に一体化してもよい。
【0044】
本実施例は、前記第1上部固定端子210と前記第1下部固定端子310を第1金属ワイヤ610で接続する。前記第1金属ワイヤ610の一端は前記第1上部固定端子210に溶接され、他端は前記第1下部固定端子310に溶接され得る。同様の方式で前記第2上部固定端子220と前記第2下部固定端子320が第2金属ワイヤ620によって接続され得る。
【0045】
回路モード切替えモジュール400は、所定の距離を移動して前記第1及び 2上部固定端子210、220または前記第1及び第2下部固定端子310、320と選択的に接触するように構成され得る。また、前記回路モード切替えモジュール400は、前記第1及び第2上部固定端子210、220に接触時、前記第1上部固定端子210と第2上部固定端子220におけるノード電圧値が実質的に同一であり、前記第1及び第2下部固定端子310、320に接触時、前記第1上部固定端子210と第2上部固定端子220との間に電圧差が発生するように構成され得る。
【0046】
このように回路モード切替えモジュール400を構成することで、プレチャージリレー回路モードをメインリレー回路モードへ切り替えるか、またはメインリレー回路モードをプレチャージリレー回路モードに切り替えることが可能である。
【0047】
ここで、前記プレチャージリレー回路モードとは、バッテリーパックと負荷との間にRC回路を構成して負荷に電流が次第に増加するようにするモードであり、メインリレー回路モードとは、電流の大きさが負荷に衝撃を与えない程度であるとき、プレチャージ抵抗なく電流を負荷に供給するモードといえる。
【0048】
具体的には、
図3及び
図4を参照すると、本実施例による回路モード切替えモジュール400は、移動シャフト410と、接触プレート420と、抵抗部材430と、を含む。
【0049】
移動シャフト410は、上下方向(±Y軸方向)に配置され、リレーハウジング100の内部で昇降可能に構成され得る。本実施例は、前記移動シャフト410の昇降駆動のために電磁気力を発生させるコイル部510を備えた駆動モジュール500を含む。
【0050】
前記コイル部510は、前記第1下部固定端子310及び前記第2下部固定端子320と隔壁110によって仕切られ、前記隔壁110とリレーハウジング100の外壁で囲まれた空間に介在され得る。
【0051】
前記コイル部510は、中空の中央通路を備えた円筒状で設けられ、前記移動シャフト410は前記中央通路に沿って配置され、その上端部はリレーハウジング100の上部領域に位置し得る。
【0052】
電源を印加してコイル部510に電流が流れるようにすると、前記コイル部510が電磁石で作用できる。この際、移動シャフト410は、前記コイル部510の電磁気力によって上方または下方へ移動し得る。
【0053】
例えば、電流をコイル部510に一方向へ流すと、移動シャフト410が上方へ上がり、前記一方向の反対方向へコイル部510に電流を流すと、移動シャフト410が下方へ下がるようにし得る。または、移動シャフト410を上昇させるためのコイル部510と下降させるためのコイル部510に分けて二つのコイル部510を使用することもで可能である。
【0054】
前記移動シャフト410の下端には、錘の役割を果たす移動コア520が結合し得る。前記移動コア520は、移動シャフト410より直径が大きくて重く構成され得る。このような移動コア520は、移動シャフト410の急激な移動を制限する。
【0055】
また、前記コイル部510の中央通路には中空の固定コア530がさらに備えられ得る。固定コア530の内径は、移動シャフト410が通過できるように移動シャフト410の直径よりは大きく、移動コア520の直径よりは小さく設けられる。
【0056】
前記固定コア530は、コイル部510の中央通路内に位置し、前記移動シャフト410の左右の動きを抑制し、昇降動作をガイドする役割を果たし、移動コア520の移動を制限することで、それに連結された移動シャフト410が所定の高さ以上に押し上げられないようにするストッパの役割を果たすことができる。このような移動コア520と固定コア530を使用すると、移動シャフト410の動きをより安定的かつ精度よく制御することができる。
【0057】
本実施例は、移動シャフト410の昇降駆動のためにコイル部510を使用した電子-機械式の方式を採用したが、代案的な例として、前記移動シャフト410の昇降駆動のために、例えば、ラック、ピニオンギア及びサーボモーターの組合せや空圧シリンダーなどを用いた機械的メカニズムを採用することもできる。
【0058】
一方、接触プレート420は、電気伝導性材質から形成され、第1上部固定端子210と第2上部固定端子220との間隔よりも長い長さを有するブロックまたは板状体であって、その中心部が移動シャフト410の最上端に結合するように設けられ得る。
【0059】
移動シャフト410が所定の位置まで上昇すると、接触プレート420が前記第1上部固定端子210と前記第2上部固定端子220に接触し、この際、第1上部固定端子210及び第2上部固定端子220が電気的に通電可能な状態になり、接触プレート420を介して相互に導通するので、第1上部固定端子210と第2上部固定端子220とは、実質的に電圧が一定である。
【0060】
抵抗部材430は、抵抗体と、前記抵抗体が収納される絶縁性ケースと、前記抵抗体と接続される第1ターミナル431及び第2ターミナル432と、を含んで構成され得る。
【0061】
前記第1ターミナル431は、ボタン形状で抵抗部材430の下面の一側から下方へ突出して形成され、前記第2ターミナル432はボタン形状で抵抗部材430の下面の他側から下方へ突出して形成され得る。ここで、前記一側は、第1下部固定端子310の鉛直上部に対向する部分であり、前記他側は、第2下部固定端子320の鉛直上部に対向する部分を意味する。
【0062】
また、前記抵抗部材430は、前記接触プレート420の下部に位置し、前記移動シャフト410に結合するように設けられ得る。
【0063】
前記構成によると、移動シャフト410が所定の位置まで下降すると、抵抗部材430の第1ターミナル431は、前記第1下部固定端子310と接触し、抵抗部材430の第2ターミナル432は、前記第2下部固定端子320に接触するようになる。この際、前記第1下部固定端子310と前記第2下部固定端子320が電気的に通電可能な状態になり、前記第1下部固定端子310及び前記第2下部固定端子320を介して電流が流れるときは、電流が前記抵抗体を経由するようになる。これによって電圧降下が起こり、前記第1下部固定端子310と前記第2下部固定端子320との間に電圧差が発生する。
【0064】
前記第1下部固定端子310の電圧は、前記第1上部固定端子210と同一であり、前記第2下部固定端子320の電圧は、前記第2上部固定端子220の電圧と同一であるため、前記第1上部固定端子210と前記第2上部固定端子220との電圧差は、前記第1下部固定端子310と前記第2下部固定端子320との電圧差と同一である。
【0065】
図5は、プレチャージリレー回路モード時のリレースイッチ装置の作動状態を示した図であり、
図6は、
図5に対応するプレチャージリレー回路モード時の回路図を例示した図であり、
図7は、メインリレー回路モード時のリレースイッチ装置の作動状態を示した図であり、
図8は、
図7に対応するメインリレー回路モード時の回路図を示した図である。
【0066】
これらの図面を参照して、本発明の一実施例によるリレースイッチ装置の作動例を簡略に説明すると、下記のようである。
【0067】
バッテリーパックと負荷を電気的に接続しようとする場合、先ず、移動シャフト410を下降させて抵抗部材430を第1下部固定端子310及び第2下部固定端子320に接触させる。
【0068】
そうすると、
図5に示した電流の流れの表示線のように、電流がバッテリーパックの+端子から、第1上部固定端子210-第1金属ワイヤ610-第1下部固定端子310-抵抗部材430-第2下部固定端子320-第2金属ワイヤ620-第2上部固定端子220を経由してキャパシターと負荷の+端子方向へ流れるようになる。
【0069】
したがって、前記構成によると、
図6に示したように、従来の、高電位メインリレーをターンオフしてプレチャージリレーをターンオンして提供したRC回路と等価関係の回路が提供できる。
【0070】
その後、所定の時間が経過してプレチャージターゲット電圧に至ったとき、動シャフト410を上昇させて接触プレート420を第1上部固定端子210及び第2上部固定端子220に接触させる。
【0071】
そうすると、
図7に示した電流の流れの表示線のように、電流がバッテリーパックの+端子から、第1上部固定端子210-接触プレート420-第2上部固定端子220を経由してキャパシターと負荷の+端子方向へ流れるようになる。
【0072】
したがって、前記構成によると、
図8に示したように、従来の、プレチャージリレーをターンオフし、高電位リレーをターンオンして提供する回路と等価関係の回路が提供可能である。
【0073】
一方、前記回路モード切替えモジュール400の抵抗部材430としては、従来のプレチャージ抵抗と同じ抵抗値を有するように設計された熱電素子が採用され得る。
【0074】
熱電素子は、電気供給によって一側と他側または一面と他面に温度差を誘発する熱電冷却/加熱をする冷却用の熱電素子であり得る。このような熱電素子は、抵抗体として機能すると共に、コイル部510の温度を低める作用をすることができる。
【0075】
例えば、プレチャージ回路モード時において、
図5に示したように、熱電素子が抵抗体に機能でき、この際、供給を受けた電力を熱電素子の作動電源として使用してリレーハウジング100の内部温度を低めるのに使用し得る。
【0076】
前記熱電素子は、冷却部、即ち、吸熱側がコイル部510に向かうようにリレーハウジング100の下方に向かうように接触プレート420の下部に取り付けられることが望ましい。但し、吸熱側と発熱側は、電流の供給方向の変更によって変わり得る。
【0077】
コイル部510の作動電圧は、温度が高いほど必要電圧が上昇する傾向にある。したがって、前記のように、冷却用熱電素子を用いてコイル部510の温度を低く維持すると、コイル部510の作動電圧不足によって誘発される接点の不完全接触などのような問題を効果的に予防できる。
【0078】
図9は、本発明の他の実施例によるリレースイッチ装置の構造を概略的に示した図である。
【0079】
続いて、
図9を参照して、本発明の他の実施例によるリレースイッチ装置について説明する。
【0080】
前述した実施例と同じ部材番号は同じ部材を示し、同じ部材について重複する説明は省略し、前述した実施例との相違点を中心にして説明する。
【0081】
本発明の他の実施例は、前述した実施例と比較すると、前記回路モード切替えモジュール400は、移動シャフト410と、接触プレート420と、抵抗素子700と、を含む。
【0082】
前記移動シャフト410と前記接触プレート420は、前述した実施例と同一であるが、抵抗素子700が第1金属ワイヤ610及び前記第2金属ワイヤ620の少なくともいずれか一つに備えられる。
【0083】
このような本発明の他の実施例によるリレースイッチ装置も、前述した実施例のように、プレチャージリレーモードとメインリレーモードとの間の切替えが可能である。
【0084】
即ち、接触プレート420が下降して第1下部固定端子310と第2下部固定端子320に接触すると、電流が第1上部固定端子210から抵抗素子を介して第2上部固定端子220へ流れることが可能であるので、プレチャージリレー回路モードが提供できる。
【0085】
そして、接触プレート420が上昇して第1上部固定端子210及び第2上部固定端子220に接触すると、電流が抵抗素子700を介せず第1上部固定端子210から第2上部固定端子220へ流れることが可能であるので、メインリレー回路モードが提供できる。
【0086】
以上、説明したように、本発明による一つのリレースイッチ装置が、従来の高電位メインリレー、プレチャージリレー及びプレチャージ抵抗の代わりとしての役割を果たすことができる。このようなリレースイッチ装置を搭載する場合、例えば、プレチャージリレーとプレチャージ抵抗を省略することができ、バッテリーディスコネクトユニット(Battery Disconnect Unit;BDU)の小型化に有利である。
【0087】
一方、本発明によるバッテリーディスコネクトユニットは、上述したリレースイッチ装置を含み得る。前記バッテリーディスコネクトユニットは、前記リレースイッチ装置の他にも、低電位メインリレー、電流センサー、電気的接続手段としてバスバーやワイヤ、これらを収納するためのBDUハウジングを含んで構成され得る。
【0088】
前記バッテリーディスコネクトユニットは、バッテリーパックに収納され得る。
【0089】
本発明によるバッテリーパックは、前記バッテリーディスコネクトユニットと複数個の二次電池から構成されたバッテリーモジュール、前記バッテリーモジュールの充放電を制御するためのBMS(Battery Management System)及びこれらを収容するためのパックケースを含んで構成され得る。
【0090】
以上、本発明の望ましい実施例について図示及び説明したが、本発明は上述した特定の望ましい実施例に限定されず、請求範囲で請求する本発明の要旨から外れることなく当該発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者であれば、だれでも多様に変形できることは言うまでもなく、かかる変形は請求範囲内に含まれる。
【0091】
なお、本明細書において、上、下、左、右、前、後のような方向を示す用語が使用されたが、このような用語は相対的な位置を示し、説明の便宜のためのものであるだけで、対象となる事物の位置や観測者の位置などによって変わり得ることは、当業者にとって自明である。