(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】ゴルフクラブヘッド
(51)【国際特許分類】
A63B 53/06 20150101AFI20241126BHJP
A63B 60/04 20150101ALI20241126BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20241126BHJP
【FI】
A63B53/06 B
A63B60/04
A63B102:32
(21)【出願番号】P 2020052942
(22)【出願日】2020-03-24
【審査請求日】2023-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120938
【氏名又は名称】住友 教郎
(72)【発明者】
【氏名】水谷 成宏
(72)【発明者】
【氏名】中村 拓尊
(72)【発明者】
【氏名】松永 聖史
(72)【発明者】
【氏名】神野 大介
(72)【発明者】
【氏名】元川 祐貴
【審査官】遠藤 孝徳
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-59976(JP,A)
【文献】米国特許第9694256(US,B2)
【文献】実開昭56-150569(JP,U)
【文献】特開平9-308717(JP,A)
【文献】特表2011-511664(JP,A)
【文献】特許第6576398(JP,B2)
【文献】特開2020-175196(JP,A)
【文献】特開平11-155985(JP,A)
【文献】特開2006-320493(JP,A)
【文献】特開2010-252964(JP,A)
【文献】国際公開第2019/035912(WO,A1)
【文献】特表2019-519324(JP,A)
【文献】特開2011-10722(JP,A)
【文献】特開2018-89365(JP,A)
【文献】特開2008-194454(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/00 - 53/14
A63B 60/00 - 60/64
A63B 102/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビティを備えたヘッド本体と、
前記キャビティに取り外し可能に取り付けられているウエイトと、
前記ヘッド本体に開閉可能に取り付けられ、閉状態では前記キャビティの少なくとも一部を覆うカバーと、
を有しており、
前記ウエイトが、前記キャビティ内におけるスライド移動が可能な状態で前記キャビティに取り付けられており、
前記閉状態において、前記カバーが、前記ウエイトに押圧力を付与しており、
前記ウエイトが、当接部を有しており、
前記キャビティが、前記当接部に当接する摺動部を有しており、
前記スライド移動では、前記当接部が前記摺動部に対してスライドし、
前記当接部の形状が、前記摺動部の形状に沿っておらず、
前記スライド移動の可動範囲のあらゆる位置において、前記当接部と前記摺動部との接触箇所が3箇所以上であり、
前記キャビティが前記摺動部において複数の突起を有することで、前記当接部と前記摺動部とが3箇所以上で接触して
おり、
前記キャビティが、前記ウエイトをスライドさせるためのスライド溝を構成しており、
前記ウエイトが、前記スライド溝におけるスライド移動が可能な形状を有しており、
前記当接部が、第1当接部及び第2当接部を有しており、
前記摺動部が、前記第1当接部に当接する第1摺動部と、前記第2当接部に当接する第2摺動部とを有しており、
前記第1当接部が、前記ウエイトの第1の側面であり、
前記第2当接部が、前記ウエイトの第2の側面であり、
前記第1摺動部が、前記スライド溝の第1の側面であり、
前記第2摺動部が、前記スライド溝の第2の側面であり、
前記スライド溝における前記第1の側面及び前記第2の側面のそれぞれに、前記複数の突起が設けられているゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記スライド移動中における前記ウエイトと前記キャビティとの接触が、前記当接部と前記摺動部との接触のみである請求項
1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記ウエイトが、前記カバーが開状態であるときに重力により前記キャビティから脱落しうる状態で前記キャビティに取り付けられている請求項1
又は2に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記ウエイトの前記スライド移動が、前記押圧力によって増大した静止摩擦力のみで阻止されている請求項1から
3のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記カバーが、前記スライド移動における複数位置のそれぞれで前記ウエイトに係合するカバー係合形状を有しており、
前記ウエイトが、前記閉状態の前記カバーにおいて前記カバー係合形状に係合するウエイト係合形状を有している請求項1から
4のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記カバーが前記閉状態にあるとき、前記ウエイトの少なくとも一部が視認されうる請求項1から
5のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
前記カバーが前記閉状態にあるとき、前記ウエイトの一部が外部に露出している請求項
6に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
前記カバーが窓部を有しており、
前記カバーが前記閉状態にあるとき、前記スライド移動の可動範囲のあらゆる位置において、前記ウエイトの一部が前記窓部から視認される請求項
6に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
前記カバーの少なくとも一部が透明性を有しており、
前記カバーが前記閉状態にあるとき、前記スライド移動の可動範囲のあらゆる位置において、前記ウエイトの少なくとも一部が前記カバーを通して視認される請求項
6に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
前記ウエイトが、前記カバーに係合するウエイト係合部を有しており、
前記カバーが、前記ウエイト係合部に係合するカバー係合部を有しており、
前記ウエイト係合部と前記カバー係合部との係合が、前記スライド移動の可動範囲のあらゆる位置において維持されており、
前記ウエイト係合部と前記カバー係合部との係合により、前記ウエイトが前記カバーから分離しないように前記カバーに取り付けられている請求項1から
9のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
前記ウエイトが、第1姿勢と前記第1姿勢を上下反転した第2姿勢とのいずれにおいても前記スライド移動を可能とする形状を有している請求項1から
10のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項12】
前記上下反転により、ヘッドの重心位置が変化する請求項
11に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項13】
前記押圧力により接触圧が高まる部位に弾性体が設けられている請求項1から
12のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項14】
前記カバーの第1端部が第1のカバー取付部材によって前記ヘッド本体に固定されており、
前記カバーの第2端部が第2のカバー取付部材によって前記ヘッド本体に固定されており、
前記第1のカバー取付部材を取り外した状態で、前記カバーが前記第2端部を中心として回動しうる請求項1から
13のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項15】
前記第1のカバー取付部材がネジであり、
前記第2のカバー取付部材がネジである請求項
14に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項16】
前記第1のカバー取付部材がネジであり、
前記第2のカバー取付部材が蝶番である請求項
14に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項17】
キャビティを備えたヘッド本体と、
前記キャビティに取り外し可能に取り付けられているウエイトと、
前記ヘッド本体に開閉可能に取り付けられ、閉状態では前記キャビティの少なくとも一部を覆うカバーと、
を有しており、
前記ウエイトが、前記キャビティ内におけるスライド移動が可能な状態で前記キャビティに取り付けられており、
前記ウエイトが、当接部を有しており、
前記キャビティが、前記当接部に当接する摺動部を有しており、
前記スライド移動では、前記当接部が前記摺動部に対してスライドし、
前記当接部の形状が、前記摺動部の形状に沿っておらず、
前記スライド移動の可動範囲のあらゆる位置において、前記当接部と前記摺動部との接触箇所が3箇所以上であり、
前記キャビティが前記摺動部において複数の突起を有することで、前記当接部と前記摺動部とが3箇所以上で接触しており、
前記カバーが、前記スライド移動における複数位置のそれぞれで前記ウエイトに係合しうるカバー係合形状を有しており、
前記ウエイトが、前記閉状態の前記カバーにおける前記カバー係合形状に係合するウエイト係合形状を有して
おり、
前記キャビティが、前記ウエイトをスライドさせるためのスライド溝を構成しており、
前記ウエイトが、前記スライド溝におけるスライド移動が可能な形状を有しており、
前記当接部が、第1当接部及び第2当接部を有しており、
前記摺動部が、前記第1当接部に当接する第1摺動部と、前記第2当接部に当接する第2摺動部とを有しており、
前記第1当接部が、前記ウエイトの第1の側面であり、
前記第2当接部が、前記ウエイトの第2の側面であり、
前記第1摺動部が、前記スライド溝の第1の側面であり、
前記第2摺動部が、前記スライド溝の第2の側面であり、
前記スライド溝における前記第1の側面及び前記第2の側面のそれぞれに、前記複数の突起が設けられているゴルフクラブヘッド。
【請求項18】
前記カバー係合形状が、前記スライド移動における複数位置に形成された複数のカバー凹部又はカバー凸部であり、
前記ウエイト係合形状が、前記カバー凹部又はカバー凸部に係合するウエイト凸部又はウエイト凹部である請求項
17に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項19】
キャビティを備えたヘッド本体と、
前記キャビティに置かれているウエイトと、
前記ヘッド本体に開閉可能に取り付けられ、閉状態では前記キャビティの少なくとも一部を覆うカバーと、
を有しており、
前記ウエイトが、前記キャビティ内におけるスライド移動が可能な状態で前記キャビティに置かれており、
前記閉状態において、前記カバーが、前記ウエイトに押圧力を付与しており、
前記ウエイトが、当接部を有しており、
前記キャビティが、前記当接部に当接する摺動部を有しており、
前記スライド移動では、前記当接部が前記摺動部に対してスライドし、
前記当接部の形状が、前記摺動部の形状に沿っておらず、
前記スライド移動の可動範囲のあらゆる位置において、前記当接部と前記摺動部との接触箇所が3箇所以上であり、
前記キャビティが前記摺動部において複数の突起を有することで、前記当接部と前記摺動部とが3箇所以上で接触して
おり、
前記キャビティが、前記ウエイトをスライドさせるためのスライド溝を構成しており、
前記ウエイトが、前記スライド溝におけるスライド移動が可能な形状を有しており、
前記当接部が、第1当接部及び第2当接部を有しており、
前記摺動部が、前記第1当接部に当接する第1摺動部と、前記第2当接部に当接する第2摺動部とを有しており、
前記第1当接部が、前記ウエイトの第1の側面であり、
前記第2当接部が、前記ウエイトの第2の側面であり、
前記第1摺動部が、前記スライド溝の第1の側面であり、
前記第2摺動部が、前記スライド溝の第2の側面であり、
前記スライド溝における前記第1の側面及び前記第2の側面のそれぞれに、前記複数の突起が設けられているゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2016-10579号公報は、ソール部の開口に取り付けられるウエイト本体と、このウエイト本体に着脱自在に取り付けられる少なくとも1つの調整ウエイトとを備えたゴルフクラブヘッドを開示する。ウエイト本体はヘッドの内部空間側へ突出するように形成されている。前記調整ウエイトは、前記ウエイト本体内の収容空間において、前記開口側と前記内部空間側との間を移動しうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、ウエイトの位置が変更されうる構造について、新たな構造を見いだした。この構造は、従来の構造からは得られない効果を奏する。
【0005】
本開示は、ウエイトを移動することができる新たな構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの態様では、ゴルフクラブヘッドは、キャビティを備えたヘッド本体と、前記キャビティに取り外し可能に取り付けられているウエイトと、前記ヘッド本体に開閉可能に取り付けられ、閉状態では前記キャビティの少なくとも一部を覆うカバーと、を有している。前記ウエイトが、前記キャビティ内におけるスライド移動が可能な状態で前記キャビティに取り付けられている。前記閉状態において、前記カバーが、前記ウエイトに押圧力を付与している。
【0007】
別の態様では、ゴルフクラブヘッドは、キャビティを備えたヘッド本体と、前記キャビティに取り外し可能に取り付けられているウエイトと、前記ヘッド本体に開閉可能に取り付けられ、閉状態では前記キャビティの少なくとも一部を覆うカバーと、を有している。前記ウエイトが、前記キャビティ内におけるスライド移動が可能な状態で前記キャビティに取り付けられている。前記カバーが、前記スライド移動における複数位置のそれぞれで前記ウエイトに係合しうるカバー係合形状を有している。前記ウエイトが、前記閉状態の前記カバーにおける前記カバー係合形状に係合しうるウエイト係合形状を有している。
【0008】
別の態様では、ゴルフクラブヘッドは、キャビティを備えたヘッド本体と、前記キャビティに置かれているウエイトと、前記ヘッド本体に開閉可能に取り付けられ、閉状態では前記キャビティの少なくとも一部を覆うカバーと、を有している。前記ウエイトが、前記キャビティ内におけるスライド移動が可能な状態で前記キャビティに置かれている。前記閉状態において、前記カバーが、前記ウエイトに押圧力を付与している。
【発明の効果】
【0009】
一つの側面として、ウエイトを移動することができる新たな構造が提供されうる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態のヘッドをクラウン側から見た斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態のヘッドの底面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態のヘッドの分解斜視図である。
【
図4】
図4(a)は
図2のA-A線に沿った断面図であり、
図4(b)は
図4(a)の変形例を示す断面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係るヘッド本体の斜視図である。
【
図6】
図6(a)及び
図6(b)は、
図1のヘッドのキャビティにおけるウエイトの移動を示す斜視図である。
【
図7】
図7(a)は第1実施形態のヘッドに係るカバーを外側から見た斜視図である。
図7(b)はこのカバーを内側から見た斜視図である。
【
図8】
図8は、変形例のウエイトとヘッド本体とを示す斜視図である。
【
図9】
図9は、他の変形例のウエイトとヘッド本体とを示す斜視図である。
【
図10】
図10は、他の変形例のウエイトとヘッド本体とを示す斜視図である。
【
図11】
図11(a)は変形例のカバーを外側から見た斜視図であり、
図11(b)はこのカバーを内側から見た斜視図であり、
図11(c)はこのカバーと共に用いられる。ウエイトの斜視図であり、
図11(d)はこれらのカバーとウエイトとが係合した状態を示す斜視図であり、
図11(e)はこれらのカバー及びウエイトがヘッド本体に装着された状態を示す断面図である。
【
図13】
図13は、第2実施形態のヘッドの分解斜視図である。
【
図14】
図14(a)は第2実施形態に係るカバーを外側から見た斜視図であり、
図14(b)はこのカバーを内側から見た斜視図であり、
図14(c)はこのカバーと共に用いられる。ウエイトの斜視図であり、
図14(d)はこのウエイトの分解斜視図であり、
図14(e)はこのカバーに前記ウエイトが取り付けられた状態を示す斜視図である。
【
図16】
図16は、第3実施形態のヘッドの分解斜視図である。
【
図17】
図17(a)は第3実施形態に係るカバーを外側から見た斜視図であり、
図17(b)はこのカバーを内側から見た斜視図であり、
図17(c)はこのカバーと共に用いられる。ウエイトの斜視図であり、
図17(d)はこのウエイトの分解斜視図であり、
図17(e)はこのカバーに前記ウエイトが取り付けられた状態を示す斜視図である。
【
図19】
図19は、第4実施形態のヘッドの分解斜視図である。
【
図20】
図20(a)は第4実施形態に係るカバーを外側から見た斜視図であり、
図20(b)はこのカバーを内側から見た斜視図であり、
図20(c)はこのカバーにウエイトが取り付けられた状態を示す斜視図である。
図20(d)はこのカバー及びウエイトの分解斜視図である。
【
図21】
図21(a)は第5実施形態のヘッドの底面図であり、
図21(b)は第5実施形態に係るカバー及びウエイトの分解斜視図である。
【
図24】
図24は、第6実施形態のヘッドの斜視図である。
図24では、カバーの一端部の固定が外され、カバーが回動して開状態となっている。
【
図25】
図25(a)及び
図25(b)は、第6実施形態のヘッドの背面図である。
図25(a)及び
図25(b)では、カバーの一端部の固定が外され、カバーが回動して開状態となっている。
【
図27】
図27(a)は変形例のヘッドの斜視図であり、
図27(b)は他の変形例のヘッドの斜視図である。
【
図28】
図28(a)は他の変形例のヘッドの斜視図であり、
図28(b)は他の変形例のヘッドの斜視図である。
【
図29】
図29(a)は他の変形例のヘッドの底面図であり、
図29(b)は他の変形例のヘッドの底面図である。
【
図30】
図30はカバーの固定構造の一例を示す断面図である。
【
図31】
図31はカバーの固定構造の他の一例を示す断面図である。
【
図32】
図32はカバーの固定構造の他の一例を示す断面図である。
【
図34】
図34(a)はウエイト及びキャビティの変形例を示す断面図であり、
図34(b)はウエイト及びキャビティの他の変形例を示す断面図である。
【
図37】
図37は、ヘッドの基準状態を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適宜図面が参照されつつ、実施形態が詳細に説明される。
【0012】
本願では、基準状態、基準垂直面、フェース-バック方向、トウ-ヒール方向及び上下方向が定義される。所定のライ角及びリアルロフト角で水平面HP上にヘッドが載置された状態が、基準状態とされる。
図37が示すように、この基準状態では、水平面HPに対して垂直な平面VPに、ホーゼル孔の中心線Zが含まれている。前記平面VPが、基準垂直面とされる。所定のライ角及びリアルロフト角は、例えば製品カタログに掲載されている。
【0013】
本願においてトウ-ヒール方向とは、前記基準垂直面VPと前記水平面HPとの交線NLの方向である(
図37参照)。
【0014】
本願においてフェース-バック方向とは、前記トウ-ヒール方向に対して垂直であり且つ前記水平面HPに対して平行な方向である。
【0015】
本願において上下方向とは、前記トウ-ヒール方向に対して垂直であり且つ前記フェース-バック方向に対して垂直な方向である。換言すれば、本願において上下方向とは、前記水平面HPに対して垂直な方向である。
【0016】
本願において、フェースセンターFcが定義される。フェースセンターFcは、次のように決定される。まず、上下方向およびトウ-ヒール方向において、フェース面の概ね中央付近の任意の点Prが選択される。次に、この点Prを通り、当該点Prにおけるフェース面の法線方向に沿って延び、かつトウ-ヒール方向に平行な平面が決定される。この平面とフェース面との交線を引き、その中点Pxが決定される。次に、この中点Pxを通り、当該点Pxにおけるフェース面の法線方向に沿って延び、かつ上下方向に平行な平面が決定される。この平面とフェース面との交線を引き、その中点Pyが決定される。次に、この中点Pyを通り、当該点Pyにおけるフェース面の法線方向に沿って延び、かつトウ-ヒール方向に平行な平面が決定される。この平面とフェース面との交線を引き、その中点Pxが新たに決定される。次に、この新たな中点Pxを通り、当該点Pxにおけるフェース面の法線方向に沿って延び、かつ上下方向に平行な平面が決定される。この平面とフェース面との交線を引き、その中点Pyが新たに決定される。この工程を繰り返して、Px及びPyが順次決定される。この工程の繰り返しの中で、新たな中点Pyとその直前の中点Pyとの間の距離が最初に0.5mm以下となったときの当該新たな位置Py(最後の位置Py)が、フェースセンターFcである。
【0017】
特に説明しない限り、本願において「上側」とは、ヘッドの外側を意味し、「下側」とは、ヘッドの内側を意味する。
【0018】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態のゴルフクラブヘッド100をクラウン側から見た斜視図である。
図2は、ヘッド100をソール側から見た底面図である。
図3は、ヘッド100の分解斜視図である。
図4(a)は、
図2のA-A線に沿った断面図である。
【0019】
ヘッド100は、フェース部104、クラウン部106、ソール部108、及びホーゼル部110を有する。フェース部104は、打撃面104aを有する。打撃面104aは、フェース部104の外面である。打撃面104aは、フェースセンターFcを有する。クラウン部106は、クラウン面106aを有する。クラウン面106aは、クラウン部106の外面である。ソール部108は、ソール面108aを有する。ソール面108aは、ソール部108の外面である。ホーゼル部110はホーゼル孔112を有する。ヘッド100は、その内部に中空部S1を有する(
図4(a)参照)。この中空部S1は、フェース部104、クラウン部106及びソール部108で囲まれている。フェース部104、クラウン部106及びソール部108は、ヘッド100(ヘッド本体h1)の外殻部を構成している。
【0020】
ヘッド100は、ウッド型ヘッドである。ヘッド100のタイプは限定されない。例えば、ヘッド100は、ハイブリッド型であってもよいし、アイアン型であってもよいし、パター型であってもよい。ヘッド100は、ドライバーヘッドである。ヘッド100の番手は限定されない。
【0021】
図3がよく示すように、ヘッド100は、ヘッド本体h1と、ウエイトw1と、カバーc1と、カバー取付部材114とを有する。本実施形態において、カバー取付部材114はネジである。カバーc1は弾性体115を有する。弾性体115の材質は、例えば、ゴム等のエラストマーとされうる。弾性体115のヤング率は、カバーc1のヤング率よりも小さい。ヘッド本体h1は、フェース部104、クラウン部106、ソール部108及びホーゼル部110を有する。
【0022】
ウエイトw1は、当接部として、第1当接部116と第2当接部118とを有する。第1当接部116は、第1の側面(第1面)である。第2当接部118は、第2の側面(第2面)である。更に、ウエイトw1は、上面120と底面122とを有する。上面120は、カバーc1の内面に対向している。ウエイトw1は、重量を有する。ウエイトw1の比重は、ヘッド本体h1の比重よりも大きいのが好ましい。ウエイトw1の比重は、カバーc1の比重よりも大きいのが好ましい。ウエイトw1の材質は、例えば、金属とされうる。比重の大きな金属が好ましい。ウエイトw1の材質として、ステンレス鋼等の鉄系合金、タングステンニッケル合金等のタングステン含有合金が例示される。ウエイトw1が磁性体とされる場合、ウエイトw1の材質として、磁性のあるステンレス鋼が例示される。
【0023】
ヘッド本体h1は、キャビティv1を有する。キャビティv1は、ソール部108に設けられている。キャビティv1の位置は限定されない。
【0024】
ウエイトw1は、キャビティv1に収容される。キャビティv1に収容された状態で、ウエイトw1は、キャビティv1の内部を移動しうる。キャビティv1は、ウエイトw1の移動を案内する。キャビティv1は、ウエイトw1をスライド移動させうるスライド溝である。ウエイトw1は、キャビティv1の長手方向に沿って移動する。
【0025】
図5は、ヘッド本体h1の斜視図である。
図4(a)及び
図5が示すように、キャビティv1は、摺動部として、第1摺動部130と第2摺動部132とを有する。第1摺動部130及び第2摺動部132のそれぞれは、キャビティv1の側面を構成している。第1摺動部130及び第2摺動部132は、キャビティv1の長手方向(スライド方向)に沿って延在している。キャビティv1は溝(スライド溝)を構成している。第1摺動部130はこのスライド溝の第1の側面を構成している。第2摺動部132はこのスライド溝の第2の側面を構成している。キャビティv1は底面134を有する。本実施形態では、第1摺動部130及び第2摺動部132は摺動面である。第1摺動部130は、ウエイトw1の第1当接部116に当接している。この当接は、面接触である。第2摺動部132は、ウエイトw1の第2当接部118に当接している。この当接は、面接触である。ウエイトw1は、第1摺動部130及び第2摺動部132に案内されて移動する。スライド移動中のウエイトw1において、キャビティv1に接触しているのは、第1摺動部130及び第2摺動部132のみである。
【0026】
図4(a)が示すように、ウエイトw1と底面134との間に、空間SPが形成されている。空間SPは、摺動部130、132と当接部116、118との当接を確実とする。また後述の通り、摺動部130と摺動部132とで第1のテーパーが形成され、当接部116と当接部118とで第2のテーパーが形成され、第1のテーパーに第2のテーパーがはまり込んでいる。このため、カバーの押圧力により摺動部130、132と当接部116、118との間の接触圧が確実に高まり、ウエイトw1の移動が確実に規制される。また、摺動部130、132及び当接部116、118の寸法誤差が吸収され、両者間の当接が確実とされている。
【0027】
図6(a)及び
図6(b)は、カバーc1が除かれた状態のヘッド100を示す斜視図である。キャビティv1はトウ側からヒール側まで延在している。ウエイトw1は、第1位置から第2位置までの範囲を移動しうる。すなわち、ウエイトw1の可動範囲は、第1位置から第2位置までである。
図6(a)では、ウエイトw1が第1位置にある。この第1位置は、ウエイトw1の可動範囲における、最もヒール側の位置である。
図6(b)では、ウエイトw1が第2位置にある。この第2位置は、ウエイトw1の可動範囲における、最もトウ側の位置である。キャビティv1は、ウエイトw1のトウ-ヒール方向位置を変更しうるように延在している。カバーc1が無いとキャビティv1から脱落する状態で、ウエイトw1はキャビティv1内をスライドする。
【0028】
キャビティv1は、ヘッド100のバック側に向かって凸となるように曲がって延在している。ウエイトw1がこの曲がりの頂点付近に移動したとき、ウエイトw1は最もバック側に位置しうる。キャビティv1は、ウエイトw1のフェース-バック方向位置を変更しうるように延在している。
【0029】
図6(a)及び
図6(b)が示すように、前記可動範囲において、キャビティv1の第1摺動部130とウエイトw1の第1当接部116との面接触は維持されている。第1摺動部130と第1当接部116とは同じ曲率の曲面である。前記可動範囲において、キャビティv1の第2摺動部132とウエイトw1の第2当接部118との面接触は維持されている。第2摺動部132と第2当接部118とは同じ曲率の曲面である。
【0030】
キャビティv1の第1摺動部130及び第2摺動部132は、テーパーを構成している。第1摺動部130と第2摺動部132との間隔は、下側にいくにつれて狭くなっている。第1摺動部130と第2摺動部132との間隔は、キャビティv1の底面134に近づくにつれて狭くなっている。また、ウエイトw1も、テーパー形状を有している。第1当接部116と第2当接部118との距離は、下側にいくにつれて狭くなっている。よって、ウエイトw1はキャビティv1によって安定的に支持され、円滑なスライドが可能となる。
【0031】
図5等が示すように、ヘッド本体h1は、第1のカバー支持部140と、第2のカバー支持部142とを有する。第1のカバー支持部140及び第2のカバー支持部142のそれぞれは、ネジ穴144を有する。第1のカバー支持部140に、カバーc1の第1端部146が固定される。第2のカバー支持部142に、カバーc1の第2端部148が固定される。
【0032】
図7(a)はカバーc1をその外面側から見た斜視図であり、
図7(b)はカバーc1をその内面側から見た斜視図である。カバーc1は、外面150と、内面152とを有する。外面150は、ソール面108aの一部を構成する。内面152は、弾性体115により構成されている(
図4(a)参照)。
【0033】
カバーc1は、三次元的に曲げられた板状の部材である。カバーc1の外面は凸曲面を形成している。カバーc1の内面は凹曲面を形成している。
【0034】
カバーc1は、第1孔154と、第2孔156とを有する。第1孔154及び第2孔156は、貫通孔である。第1孔154は、カバーc1の第1端部146に設けられている。第2孔156は、カバーc1の第2端部148に設けられている。
図2及び
図3が示すように、第1端部146は、カバー取付部材(ネジ)114によりヘッド本体h1に固定されている。第1端部146において、ネジ114は第1孔154に挿通されつつネジ穴144にねじ込まれている。第2端部148は、ネジ114によりヘッド本体h1に固定されている。第2端部148において、ネジ114は第2孔156に挿通されつつネジ穴144にねじ込まれている。
【0035】
カバーc1は、ヘッド本体h1に開閉可能に取り付けられている。2つのネジ114を締めることで、カバーc1は閉状態となる。閉状態では、カバーc1はキャビティv1の少なくとも一部を覆う。本実施形態では、閉状態のカバーc1は、キャビティv1の全体を覆っている。2つのネジ114のうちの少なくとも一方をヘッド本体h1から外すことで、カバーc1は開状態とされうる。例えば、2つのネジ114を緩め、一方のネジ114をヘッド本体h1から外し、他方のネジ114を中心としてカバーc1を回転させることで、開状態が達成されうる。開状態とは、カバーc1がキャビティv1を覆っていない状態である。1つのネジ114のみを外した場合、カバーc1をヘッド本体h1から取り外すことなく、開状態とすることができる。
【0036】
閉状態のカバーc1は、キャビティv1を覆っている。本実施形態では、カバーc1はカバーc1の全体を覆っている。カバーc1はキャビティv1の一部を覆っていてもよい。本実施形態では、カバーc1が装着されると、ウエイトw1は視認されない。なお、後述の通り、カバーc1が透明性を有する場合、閉状態においてウエイトw1は視認されうる。カバーc1が弾性体115を有する場合、カバーc1の本体及び弾性体115の両方を、透明性を有する材料で形成することで、カバーc1が透明性を備えうる。
【0037】
カバーc1が閉状態でないとき、ウエイトw1はキャビティv1内を自由に移動しうる(
図6(a)及び
図6(b)参照)。カバーc1が閉状態とされると、キャビティv1内におけるウエイトw1の移動は規制される。この閉状態は、ネジ114を適正に締め込むことで達成される。カバーc1は、直接的又は間接的に、ウエイトw1を押圧する。本実施形態では、カバーc1は、ウエイトw1を押圧する。この押圧力により、カバーc1は、弾性体115を弾性変形させつつウエイトw1を押圧する。この押圧により、弾性体115は、ウエイトw1(上面120)の形状に合わせて凹み、ウエイトw1を係止する。またこの押圧力により、ウエイトw1とカバーc1(弾性体115)との間の静止摩擦力が高まる。この押圧により、ウエイトw1とキャビティv1(第1摺動部130、第2摺動部132)との間の静止摩擦力が高まる。カバーc1による押圧は、ウエイトw1のスライド移動を効果的に規制しうる。
【0038】
なお、本願にいう閉状態とは、カバーc1がキャビティv1の少なくとも一部を覆っており、且つ、カバーc1が押圧力及び/又は係合によってウエイトw1の移動を規制している状態を意味する。
【0039】
弾性体115は、カバーc1以外に設けられていてもよい。本実施形態では、カバーc1の一部が弾性体115である。弾性体115は、ウエイトw1側に設けられていてもよい。弾性体115は、ウエイトw1の上面120に設けられていてもよい。弾性体115は、キャビティv1に設けられていてもよい。弾性体115は、第1摺動部130及び/又は第2摺動部132を構成していてもよい。
【0040】
図3に示されるウエイトw13は、第2のウエイトである。ウエイトw13の外形は、ウエイトw1と同じである。ヘッド100は、交換用ウエイトw13を有していてもよい。ウエイトw13の重量は、ウエイトw1の重量とは相違するのが好ましい。この場合、ウエイトの交換によりヘッドの重心位置を変更することができる。また、第1のウエイトw1及び第2のウエイトw13の両方をキャビティv1に入れることもできる。複数のウエイトをキャビティv1に入れることで、ヘッドの慣性モーメントを高めることができる。ヘッド重心の調整の多様性の観点から、ウエイトの数は、2以上とすることができ、3以上、更には4以上とすることができる。部品点数の観点から、ウエイトの数は、10以下、更には8以下、更には6以下とすることができる。
【0041】
[変形例(ウエイトとカバーとの当接の別形態)]
ウエイトは、キャビティに沿った面を有していなくてもよい。ウエイトは、キャビティに面接触していなくてもよい。
【0042】
図8は、変形例に係るウエイトw10を示す。このウエイトw10の断面形状は三角形である。ウエイトw10は、第1当接部160と、第2当接部162とを有する。第1当接部160は、ウエイトw10の(第1の)角を構成する辺である。第1当接部160は1箇所である。第1当接部160がキャビティv1の第1摺動部130に当接している。この当接は、線接触又は点接触である。2つの第2当接部162は、ウエイトw10の第2及び第3の角を構成する辺である。これらの第2当接部162がキャビティv1の第2摺動部132に当接している。これらの当接は、線接触又は点接触である。3箇所での当接により、スライド中におけるウエイトw10の姿勢は安定している。ウエイトw10はスライド中にガタつくことなく、安定的にスライドしうる。キャビティv1との面接触とが不要であるウエイトw10は、高い形状自由度を有する。このウエイトw10には、高い寸法精度が要求されない。第1摺動部130及び第2摺動部132にも、高い寸法精度が要求されない。
【0043】
図9は、他の変形例に係るウエイトw11を示す。このウエイトw11は、3つの突起を有する。第1の突起が、第1当接部164である。第2の突起及び第3の突起が、第2当接部166である。第1当接部164が、キャビティv1の第1摺動部130に当接している。この当接は、線接触又は点接触である。2つの第2当接部166は、キャビティv1の第2摺動部132に当接している。これらの当接は、線接触又は点接触である。3箇所での当接により、スライド中におけるウエイトw11の姿勢は安定している。ウエイトw11はスライド中にガタつくことなく、安定的にスライドしうる。キャビティv1との面接触とが不要であるウエイトw11は、高い形状自由度を有する。このウエイトw11には、高い寸法精度が要求されない。第1摺動部130及び第2摺動部132にも、高い寸法精度が要求されない。
【0044】
図10は、変形例に係るキャビティv10を示す。このキャビティv10は、第1延在部170及び第2延在部172を有する。第1延在部170及び第2延在部172のそれぞれは、キャビティv10の側面を構成している。第1延在部170及び第2延在部172は、キャビティv10の長手方向(スライド方向)に沿って延在している。キャビティv10は溝を構成しており、第1延在部170はこの溝の第1の側面を構成しており、第2延在部172はこの溝の第2の側面を構成している。
【0045】
第1延在部170は、複数の突起174を有する。複数の突起174は、キャビティv10の長手方向における異なる位置に分配されている。これらの突起174は、第1摺動部を構成する。第2延在部172は、複数の突起176を有する。複数の突起176は、キャビティv10の長手方向における異なる位置に分配されている。これらの突起176は、第2摺動部を構成する。
【0046】
スライド中において、ウエイトw1は、突起174及び突起176から選ばれる3つの突起に当接している。この3つの突起は、少なくとも1つの突起174と、少なくとも1つの突起176とを含む。ウエイトw1の可動範囲の全体において、ウエイトw1の位置に関わらず、3つの突起への当接が維持されている。ウエイトw1の位置に関わらず3つの突起への当接が維持されるように、突起174及び突起176が配置されている。ウエイトw1の移動に伴い、ウエイトw1に当接する突起は入れ替わる。ウエイトw1と突起174及び突起176との当接は、線接触又は点接触となりうる。
【0047】
3箇所での当接により、スライド中におけるウエイトw1の姿勢は安定している。ウエイトw1はスライド中にガタつくことなく、安定的にスライドしうる。ウエイトw1との面接触とが不要であるキャビティv10は、高い形状自由度を有する。このキャビティv10には、高い寸法精度が要求されない。第1摺動部174及び第2摺動部176にも、高い寸法精度が要求されない。
【0048】
このように、ウエイトとキャビティとの面接触は必ずしも要求されない。よってキャビティ及びウエイトに要求される寸法精度が緩和されうる。面接触の場合は、接触圧の低下に伴うスライドの円滑性が得られうる。
【0049】
図11(a)は、変形例のカバーc10を外側から見た斜視図である。
図11(b)は、カバーc10を内側から見た斜視図である。
図11(c)は、このカバーc10と共に用いられるウエイトw12の斜視図である。
図11(d)は、カバーc10とウエイトw12との係合状態を示す斜視図である。
図11(e)は、カバーc10の長手方向に沿ったヘッドの断面図である。なお、カバーc10の両端部に設けられたネジ穴の図示は省略されている。
【0050】
カバーc10は、内面178と外面179とを有する。カバーc10の内面178は、複数の凹部180を有する。凹部180は、凹曲面である。複数の凹部180は、カバーc10の長手方向における異なる位置に配置されている。複数の凹部180は、互いに隣接しつつ、カバーc10の長手方向における異なる位置に並べられている。複数の凹部180は、カバーc10の内面に設けられた凹凸係合部182の一例である。凹凸係合部182は、複数の凸部であってもよい。複数の凹部180及び凹凸係合部182は、ウエイトw12のスライド移動における複数位置のそれぞれでウエイトw12に係合するカバー係合形状の一例である。カバー係合形状は、少なくとも1つ凹部又は凸部とされうる。
【0051】
ウエイトw12は、凸部184を有する。ウエイトw12の上面が、凸部184を構成している。凸部184は、閉状態のカバーc10において前記カバー係合形状に係合するウエイト係合形状の一例である。ウエイト係合形状184は、凹部であってもよい。
【0052】
凸部184の形状は、凹部180の形状に対応している。凸部184は、凹部180に係合する。カバーc10の長手方向の異なる位置で、凹凸係合部182はウエイト係合形状184に係合する。この係合により、カバーc10がウエイトw12の移動を規制する効果が高められている。
【0053】
ウエイトw12の上面は凸部184を構成している。ウエイトw12の上面184は、上側に凸の曲面である。ウエイトw12の下面186は、上側に向かって凸の曲面である。上面184の曲率半径は、下面186の曲率半径よりも小さい。上面184の曲率半径が小さくされることで、凹部180との係合効果が高まる。
【0054】
[第2実施形態]
図12は、第2実施形態のゴルフクラブヘッド200をソール側から見た底面図である。
図13は、ヘッド200の分解斜視図である。
【0055】
ヘッド200は、フェース部204、クラウン部206、ソール部208、及びホーゼル部210を有する。フェース部204は、打撃面204aを有する。打撃面204aは、フェース部204の外面である。打撃面204aは、フェースセンターFcを有する。クラウン部206は、クラウン面206aを有する。クラウン面206aは、クラウン部206の外面である。ソール部208は、ソール面208aを有する。ソール面208aは、ソール部208の外面である。ホーゼル部210はホーゼル孔212を有する。ヘッド200は、その内部に中空部を有する。
【0056】
図13が示すように、ヘッド200は、ヘッド本体h2と、ウエイトw2と、カバーc2と、カバー取付部材としてのネジ214(
図12参照)とを有する。ヘッド本体h2は、フェース部204、クラウン部206、ソール部208及びホーゼル部210を有する。ヘッド本体h2は、前述したヘッド本体h1と同じである。
【0057】
ウエイトw2は、第1当接部216と第2当接部218とを有する。第1当接部216は、第1の側面(第1面)である。第2当接部218は、第2の側面(第2面)である。更に、ウエイトw2は、上面220と底面222とを有する。上面220は、カバーc2の内面252に対向している。ウエイトw2は、重量を有する。ウエイトw2の比重は、ヘッド本体h2の比重よりも大きいのが好ましい。ウエイトw2の比重は、カバーc2の比重よりも大きいのが好ましい。ウエイトw2の材質は、例えば、金属とされうる。比重の大きな金属が好ましい。ウエイトw2の材質として、ステンレス鋼の鉄系合金、タングステンニッケル合金等のタングステン含有合金が例示される。
【0058】
ヘッド本体h2は、キャビティv2を有する。キャビティv2は、ソール部208に設けられている。キャビティv2の位置は限定されない。
【0059】
図13が示すように、キャビティv2は、第1摺動部230と第2摺動部232とを有する。第1摺動部230及び第2摺動部232のそれぞれは、キャビティv2の側面を構成している。第1摺動部230及び第2摺動部232は、キャビティv2の長手方向(スライド方向)に沿って延在している。キャビティv2は溝を構成しており、第1摺動部230はこの溝の第1の側面を構成しており、第2摺動部232はこの溝の第2の側面を構成している。
【0060】
ウエイトw2の、ウエイト係合部270を除く部分は、キャビティv2に収容される。キャビティv2に収容された状態で、ウエイトw2は、キャビティv2の内部を移動しうる。キャビティv2は、ウエイトw2の移動を案内する。キャビティv2は、ウエイトw2をスライド移動させうるスライド溝である。ウエイトw2は、キャビティv2の長手方向に沿って移動する。
【0061】
図14(a)はカバーc2をその外面側から見た斜視図であり、
図14(b)はカバーc2をその内面側から見た斜視図である。
図14(c)はウエイトw2の斜視図であり、
図14(d)はウエイトw2の分解斜視図である。
図14(e)はカバーc2とウエイトw2との組立状態を示す斜視図である。
【0062】
カバーc2は、外面250と、内面252とを有する。外面250は、ソール面208aの一部を構成する。内面252は、ウエイトw2に当接する。カバーc2は、直接的に、ウエイトw2を押圧する。
【0063】
カバーc2は、第1孔254と、第2孔256とを有する。第1孔254及び第2孔256は、貫通孔である。第1孔254は、カバーc2の第1端部246に設けられている。第2孔256は、カバーc2の第2端部248に設けられている。第1端部246は、ネジ214によりヘッド本体h2に固定されている。第2端部248は、ネジ214によりヘッド本体h2に固定されている。カバーc2は、第1端部246と第2端部248との間に位置する中間部247を有する。中間部247の幅は、第1端部246の幅よりも狭い。中間部247の幅は、第2端部248の幅よりも狭い。
【0064】
カバーc2は、第1エッジ258と、第2エッジ260とを有する。第1エッジ258及び第2エッジ260は、中間部247に設けられている。第1エッジ258及び第2エッジ260は、カバーc2の両側のエッジである。第1エッジ258及び第2エッジ260は、カバーc2の輪郭形状を画定している。第1エッジ258及び第2エッジ260は、ウエイトw2のスライド軌道に沿って延在している。
【0065】
閉状態のカバーc2は、キャビティv2を覆っている。本実施形態では、カバーc2はキャビティv2の一部を覆っている。
図12が示すように、キャビティv2の開口縁とカバーc2との間に隙間GPが形成されている。隙間GPは、カバー部材c2の延在方向に沿って、カバー部材c2(中間部247)の両側に形成されている。これらの隙間GPは、後述されるウエイト係合部270(縦壁部272a及び縦壁部274a)の存在を許容する。
【0066】
これらの隙間GPは、隙間閉塞部材262で埋められていてもよい。
図12において、隙間閉塞部材262はクロスハッチングで示されている。隙間閉塞部材262は、キャビティv2に設けられうる。隙間閉塞部材262は、カバーc2に設けられてもよい。隙間閉塞部材262は、ウエイト係合部270の動きを阻害しない。隙間閉塞部材262は、ウエイト係合部270により容易に変形する。隙間閉塞部材262の材質として、発泡プラスチックが例示される。この発泡プラスチックとしては、ポリウレタンフォーム及びEVAフォームが例示される。EVAはエチレン酢酸ビニル共重合体を意味する。
【0067】
図14(d)が示すように、ウエイトw2は、ウエイト係合部270を有する。ウエイト係合部270は、ウエイトw2の本体(ウエイトw2の上面220)から、カバーc2側に突出している。ウエイト係合部270は、第1係合部272と第2係合部274とを有する。第1係合部272は、上側に延びる縦壁部272aと、この縦壁部272aの上端から第2係合部274側に延びる横壁部272bとを有する。第2係合部274は、上側に延びる縦壁部274aと、この縦壁部274aの上端から第2係合部272側に延びる横壁部274bとを有する。
【0068】
ウエイトw2がカバーc2に取り付けられると、カバーc2(中間部247)は第1係合部272と第2係合部274とに挟まれる。カバーc2(中間部247)は、縦壁部272aと縦壁部274aとで横方向に挟まれる。また、カバーc2(中間部247)は、横壁部272bとウエイトw2の本体(上面220)とにより縦方向に挟まれ、
横壁部274bとウエイトw2の本体(上面220)とにより縦方向に挟まれる。
【0069】
ウエイト係合部270は、カバーc2と係合する。ウエイト係合部270は、第1係合部272及び第2係合部274を有する。第1係合部272は、カバーc2の第1エッジ258と係合している。第2係合部274は、カバーc2の第2エッジ260と係合している。第1エッジ258及び第2エッジ260は、カバー係合部である。
【0070】
ウエイトw2は、カバーc2よりも外側に位置する部分を有する。横壁部272b及び横壁部274bが、カバーc2よりも外側に位置する部分である(
図12参照)。横壁部272b及び横壁部274bは、カバー部材c2の外面250の上側(外側)に位置する。
【0071】
ウエイトw2は、外部から視認される部分を有する。ウエイト係合部270(横壁部272b及び横壁部274b)が、外部から視認される部分である(
図12参照)。ウエイトw2は、外部に露出した部分を有する。ウエイト係合部270(横壁部272b及び横壁部274b)が、外部に露出した部分である
【0072】
本実施形態では、第1摺動部230及び第2摺動部232は摺動面である。第1摺動部230は、ウエイトw2の第1当接部216に当接している。第2摺動部232は、ウエイトw2の第2当接部218に当接している。ウエイトw2のスライド移動は、キャビティv2(第1摺動部230及び第2摺動部232)に案内される。キャビティv2とウエイトw2との間に、スライド機構(第1スライド機構)が構成されている。キャビティv2とウエイトw2との間に、ウエイトw2のスライド移動を規制する規制機構は存在しない。
【0073】
カバー部材c2とウエイトw2との係合は、スライド機構(第2スライド機構)ともなりうる。上記第1スライド機構の動きを阻害しない観点から、ウエイト係合部270とカバーc2(中間部247)との間には遊びがあるのが好ましい。
【0074】
図14(d)が示すように、ウエイトw2は、3つの部材から構成されている。ウエイトw2は、分割構造を有する。ウエイトw2は、第1分割体280と、第2分割体282とを有する。更にウエイトw2は、結合部材284を有する。結合部材284はネジである。結合部材284により、第1分割体280と第2分割体282とが結合されている。カバーc2(中間部247)を挟み込みつつ、第1分割体280と第2分割体282とを結合することで、ウエイトw2がカバーc2に取り付けられる。
【0075】
ウエイトw2は、カバーc2に取り付けられており、カバーc2から分離しない。ウエイトw2は単独で脱落しない。カバーc2がヘッド本体h2に取り付けられている限り、ウエイトw2は落下しない。ヘッド200では、ウエイトw2の落下が防止される。
【0076】
カバーc2が閉状態とされると、キャビティv2内におけるウエイトw2の移動は規制される。この閉状態は、ネジ214を適正に締め込むことで達成される。カバーc2は、直接的又は間接的に、ウエイトw2を押圧する。本実施形態では、カバーc2は、直接的に、ウエイトw2を押圧する。この押圧により、ウエイトw2とそれに当接する部分との間の静止摩擦力が高まる。カバーc2による押圧は、ウエイトw2のスライド移動を効果的に規制する。ネジ214を緩めることで、上記閉状態が解除されうる。閉状態が解除されることで、ウエイトw2はスライド移動しうる。カバーc2をヘッド本体h2から取り外すことなく、ウエイトw2を移動することができる。
【0077】
[第3実施形態]
図15は、第3実施形態のゴルフクラブヘッド300をソール側から見た底面図である。
図16は、ヘッド300の分解斜視図である。
【0078】
ヘッド300は、フェース部304、クラウン部306、ソール部308、及びホーゼル部310を有する。フェース部304は、打撃面304aを有する。打撃面304aは、フェース部304の外面である。打撃面304aは、フェースセンターFcを有する。クラウン部306は、クラウン面306aを有する。クラウン面306aは、クラウン部306の外面である。ソール部308は、ソール面308aを有する。ソール面308aは、ソール部308の外面である。ホーゼル部310はホーゼル孔312を有する。ヘッド300は、その内部に中空部を有する。
【0079】
図16が示すように、ヘッド300は、ヘッド本体h3と、ウエイトw3と、カバーc3と、カバー取付部材としてのネジ314とを有する。ヘッド本体h3は、フェース部304、クラウン部306、ソール部308及びホーゼル部310を有する。ヘッド本体h3は、前述したヘッド本体h1と同じである。
【0080】
ウエイトw3は、第1当接部316と第2当接部318とを有する。第1当接部316は、第1の側面(第1面)である。第2当接部318は、第2の側面(第2面)である。更に、ウエイトw3は、上面320と底面322とを有する。
【0081】
ヘッド本体h3は、キャビティv3を有する。キャビティv3は、ソール部308に設けられている。キャビティv3の位置は限定されない。
【0082】
図16が示すように、キャビティv3は、第1摺動部330と第2摺動部332とを有する。第1摺動部330及び第2摺動部332のそれぞれは、キャビティv3の側面を構成している。第1摺動部330及び第2摺動部332は、キャビティv3の長手方向(スライド方向)に沿って延在している。キャビティv3は溝を構成しており、第1摺動部330はこの溝の第1の側面を構成しており、第2摺動部332はこの溝の第2の側面を構成している。
【0083】
ウエイトw3の下部は、キャビティv3に収容される。キャビティv3に収容された状態で、ウエイトw3は、キャビティv3の内部を移動しうる。キャビティv3は、ウエイトw3の移動を案内する。キャビティv3において、ウエイトw3はスライドしうる。キャビティv3は、ウエイトw3をスライド移動させうるスライド溝である。ウエイトw3は、キャビティv3の長手方向に沿って移動する。
【0084】
図17(a)はカバーc3をその外面側から見た斜視図であり、
図17(b)はカバーc3をその内面側から見た斜視図である。
図17(c)はウエイトw3の斜視図であり、
図17(d)はウエイトw3の分解斜視図である。
図17(e)はカバーc3とウエイトw3との組立状態を示す斜視図である。
【0085】
カバーc3は、外面350と、内面352とを有する。外面350は、ソール面308aの一部を構成する。内面352は、ウエイトw3に当接する。カバーc3は、直接的に、ウエイトw3を押圧する。
【0086】
カバーc3は、第1孔354と、第2孔356とを有する。第1孔354及び第2孔356は、貫通孔である。第1孔354は、カバーc3の第1端部346に設けられている。第2孔356は、カバーc3の第2端部348に設けられている。第1端部346は、ネジ314によりヘッド本体h3に固定されている。第2端部348は、ネジ314によりヘッド本体h3に固定されている。カバーc3は、第1端部346と第2端部348との間に位置する中間部347を有する。中間部347の幅は、第1端部346及び第2端部348の幅と同じである。
【0087】
カバーc3は、カバー係合部358を有する。カバー係合部358は、内面352に設けられている。カバー係合部358は、内面352から突出している。カバー係合部358は、中間部347に設けられている。カバー係合部358は、カバーc3に沿って延在している。カバー係合部358は、スライド移動のあらゆる位置においてウエイトw3に係合する突条部を形成している。カバー係合部358は、ウエイトw3のスライド軌道に沿って延在している。カバー係合部358は、T字状の断面形状を有している。
【0088】
閉状態のカバーc3は、キャビティv3を覆っている。本実施形態では、カバーc3はキャビティv3の全体を覆っている。
【0089】
図17(d)が示すように、ウエイトw3は、ウエイト係合部370を有する。ウエイト係合部370は、ウエイトw3の上面(カバーc3側の面)に形成されている。ウエイト係合部370は、カバー係合部358に対応した断面形状を有する。ウエイト係合部370は、ウエイト係合部370は、T字状(逆さのT字状)の断面形状を有している。ウエイト係合部370の断面形状は、T字状に限定されない。例えば、ウエイト係合部370の断面形状は、L字状(逆さのL字状)であってもよい。
【0090】
ウエイト係合部370は、カバーc3と係合する。ウエイト係合部370は、カバーc3のカバー係合部358と係合している。ウエイト係合部370は、スライド溝である。カバー係合部358は、スライドレールである。
【0091】
ウエイトw3は、カバーc3に隠される。ウエイトw3は、外部から視認されない。ウエイトw3は、外部に露出した部分を有さない。
【0092】
本実施形態では、第1摺動部330及び第2摺動部332は摺動面である。第1摺動部330は、ウエイトw3の第1当接部316に当接している。第2摺動部332は、ウエイトw3の第2当接部318に当接している。ウエイトw3のスライド移動は、キャビティv3(第1摺動部330及び第2摺動部332)に案内される。キャビティv3とウエイトw3との間に、スライド機構が構成されている。キャビティv3とウエイトw3との間に、ウエイトw3のスライド移動を規制する規制機構は存在しない。
【0093】
図17(d)が示すように、ウエイトw3は、3つの部材から構成されている。ウエイトw3は、分割構造を有する。ウエイトw3は、第1分割体380と第2分割体382とを有する。更にウエイトw3は、結合部材384を有する。結合部材384はネジである。結合部材384により、第1分割体380と第2分割体382とが結合されている。カバー係合部358を挟み込みつつ、第1分割体380と第2分割体382とを結合することで、ウエイトw3がカバーc3に取り付けられる。
【0094】
ウエイトw3は、カバーc3に取り付けられており、カバーc3から分離しない。ウエイトw3は単独で脱落しない。カバーc3がヘッド本体h3に取り付けられている限り、ウエイトw3は落下しない。ヘッド300では、ウエイトw3の落下が防止される。
【0095】
カバーc3が閉状態となると、カバーc3はキャビティv3を押圧する。この押圧力により、キャビティv3内におけるウエイトw3の移動は規制される。この閉状態は、ネジ314を適正に締め込むことで達成される。カバーc3は、直接的に、ウエイトw3を押圧する。この押圧力により、ウエイトw3とそれに当接する部分との間の静止摩擦力が高まる。カバーc3による押圧は、ウエイトw3のスライド移動を効果的に規制する。ネジ314を緩めることで、閉状態が解除され、閉状態も解除される。カバーc3が開状態となることで、ウエイトw3をスライド移動させることができる。
【0096】
[第4実施形態]
図18は、第4実施形態のゴルフクラブヘッド400をソール側から見た底面図である。
図19は、ヘッド400の分解斜視図である。
【0097】
ヘッド400は、フェース部404、クラウン部406、ソール部408、及びホーゼル部410を有する。フェース部404は、打撃面404aを有する。打撃面404aは、フェース部404の外面である。打撃面404aは、フェースセンターFcを有する。クラウン部406は、クラウン面406aを有する。クラウン面406aは、クラウン部406の外面である。ソール部408は、ソール面408aを有する。ソール面408aは、ソール部408の外面である。ホーゼル部410はホーゼル孔412を有する。ヘッド400は、その内部に中空部を有する。
【0098】
図19が示すように、ヘッド400は、ヘッド本体h4と、ウエイトw4と、カバーc4と、カバー取付部材としてのネジ414とを有する。ヘッド本体h4は、フェース部404、クラウン部406、ソール部408及びホーゼル部410を有する。ヘッド本体h4は、前述したヘッド本体h1と同じである。
【0099】
ウエイトw4は、第1当接部416と第2当接部418とを有する。第1当接部416は、第1の側面(第1面)である。第2当接部418は、第2の側面(第2面)である。更に、ウエイトw4は、上面420と底面422とを有する。
【0100】
ヘッド本体h4は、キャビティv4を有する。キャビティv4は、ソール部408に設けられている。キャビティv4の位置は限定されない。
【0101】
図19が示すように、キャビティv4は、第1摺動部430と第2摺動部432とを有する。第1摺動部430及び第2摺動部432のそれぞれは、キャビティv4の側面を構成している。第1摺動部430及び第2摺動部432は、キャビティv4の長手方向(スライド方向)に沿って延在している。キャビティv4は溝を構成しており、第1摺動部430はこの溝の第1の側面を構成しており、第2摺動部432はこの溝の第2の側面を構成している。
【0102】
ウエイトw4の本体480は、キャビティv4に収容される。キャビティv4に収容された状態で、ウエイトw4は、キャビティv4の内部を移動しうる。キャビティv4は、ウエイトw4の移動を案内する。キャビティv4において、ウエイトw4はスライドしうる。キャビティv4は、ウエイトw4をスライド移動させうるスライド溝である。ウエイトw4は、キャビティv4の長手方向に沿って移動する。
【0103】
図20(a)はカバーc4をその外面側から見た斜視図であり、
図20(b)はカバーc4をその内面側から見た斜視図である。
図20(c)はカバーc4とウエイトw4との組立状態を示す斜視図である。
図20(d)はウエイトw4がカバーc4に取り付けられる構造を示す分解斜視図である。
【0104】
カバーc4は、外面450と、内面452とを有する。外面450は、ソール面408aの一部を構成する。内面452は、ウエイトw4に当接する。カバーc4は、直接的に、ウエイトw4を押圧する。
【0105】
カバーc4は、第1孔454と、第2孔456とを有する。第1孔454及び第2孔456は、貫通孔である。ただし、
図20(a)に記載の通り、第2孔456は2つに分裂している。第1孔454は、カバーc4の第1端部446に設けられている。第2孔456は、カバーc4の第2端部448に設けられている。第1端部446は、ネジ414によりヘッド本体h4に固定されている。第2端部448は、ネジ414によりヘッド本体h4に固定されている。カバーc4は、第1端部446と第2端部448との間に位置する中間部447を有する。中間部447の幅は、第1端部446及び第2端部448の幅と同じである。中間部447の厚さは、第1端部446及び第2端部448の厚さよりも小さい。
【0106】
カバーc4は、カバー係合部458を有する。カバー係合部458は、スリットである。カバー係合部458は、カバーc4を厚さ方向に貫通している。カバー係合部458は、第1端部446を除くカバーc4の全長に亘って設けられている。カバー係合部458は、カバーc4の長手方向に沿って形成されている。カバー係合部458は、ウエイトw4のスライド軌道に沿って延在している。カバー係合部458は、中間部447を2つに分割している。カバー係合部458は、第2端部448を2つに分割している。カバー係合部458は、第2端部448において開放されている。
図20(b)が示すように、開放された端部448を閉じる閉塞部材449が設けられてもよい。ネジ414も、開放された端部448を閉じる閉塞部材である。閉塞部材により、カバーc4からのウエイトw4の脱落が防止される。なお、カバー係合部458は、第2端部448を2つに分割していなくてもよい。本実施形態のように、ウエイトw4が2部材に分割されていれば、ウエイトw4を中間部447でカバー係合部458に取り付けることができる(
図20(d)参照)。よって、カバー係合部458の端部が開放されている必要はない。
【0107】
閉状態で装着されたカバーc4は、キャビティv4を覆っている。本実施形態では、カバーc4はキャビティv4の全体を覆っていない。カバーc4はキャビティv4の一部を覆っている。カバー係合部458は、カバーc4がキャビティv4を覆わない部分を形成している。
【0108】
図18、
図20(c)及び
図20(d)が示すように、ウエイトw4は、ウエイト係合部470を有する。ウエイト係合部470はネジである。ウエイト係合部470は、ウエイトw4の本体480に固定されている。ウエイト係合部470は、ウエイトw4の本体480にねじ込まれている。
【0109】
ウエイト係合部470は、カバー係合部458に挿通されている挿通部472と、このカバーc4の外側に露出している露出部474とを有する。挿通部472は、ネジの軸部である。挿通部472は、雄ねじ部を有する。露出部474は、ネジの頭部である。露出部474は、カバー係合部458を通過できない寸法を有する。
【0110】
ウエイト係合部470は、カバーc4と係合する。ウエイト係合部470は、カバーc4のカバー係合部458と係合している。ウエイト係合部470は、スライド突起である。カバー係合部458は、スライド溝である。
【0111】
図18がよく示すように、ウエイトw4の露出部474は、カバーc4に隠されない。ウエイトw4の露出部474は、外部から視認される。
【0112】
本実施形態では、第1摺動部430及び第2摺動部432は摺動面である。第1摺動部430は、ウエイトw4の第1当接部416に当接している。第2摺動部432は、ウエイトw4の第2当接部418に当接している。ウエイトw4のスライド移動は、キャビティv4(第1摺動部430及び第2摺動部432)に案内される。キャビティv4とウエイトw4との間に、スライド機構が構成されている。キャビティv4とウエイトw4との間に、ウエイトw4のスライド移動を規制する規制機構は存在しない。
【0113】
図20(d)がよく示すように、ウエイトw4は、2つの部材から構成されている。ウエイトw4は、ウエイト係合部470を構成する部材478と、ウエイト本体480とから構成されている。部材478は、ネジである。ウエイト本体480にネジ478がねじ結合されることで、ウエイトw4が形成されている。挿通部472(軸部)をカバー係合部458に挿通させつつ、ウエイト係合部470をウエイト本体480に取り付けることで、ウエイトw4がカバーc4に取り付けられうる(
図20(d)参照)。また、カバー係合部458は第2端部448側に開放されているので(
図20(a)参照)、ウエイト係合部470がウエイト本体480に結合した状態で、ウエイトw4をカバーc4に取り付けることもできる。すなわち、ウエイトw4を分解することなく、ウエイトw4をカバーc4に対して着脱することができる。
【0114】
ウエイトw4は、カバーc4に取り付けられている。カバー係合部458の端部を開放させない限り、ウエイトw4はカバーc4から分離しない。第2端部448がヘッド本体h4に取り付けられている限り、カバー係合部458の端部は開放されず、ウエイトw4はカバーc4から脱落しない。
【0115】
カバーc4が閉状態とされると、キャビティv4内におけるウエイトw4の移動は規制される。この閉状態は、ネジ414を適正に締め込むことで達成される。カバーc4は、直接的に、ウエイトw4を押圧する。この押圧により、ウエイトw4とそれに当接する部分との間の静止摩擦力が高まる。カバーc4による押圧は、ウエイトw4のスライド移動を効果的に規制する。ネジ414を緩めることで、閉状態が解除されうる。閉状態が解除されることで、ウエイトw4はスライド移動しうる。カバーc4をヘッド本体h4から取り外すことなく、ウエイトw4を移動することができる。
【0116】
[第5実施形態]
図21(a)は、第5実施形態のゴルフクラブヘッド500をソール側から見た底面図である。
図21(b)は、ヘッド500のウエイトw5及びカバーc5を示す分解斜視図である。
【0117】
ヘッド500は、図示されないフェース部及びクラウン部と、ソール部508と、ホーゼル部510とを有する。ソール部508は、ソール面508aを有する。ソール面508aは、ソール部508の外面である。ヘッド500は、ヘッド本体h5と、ウエイトw5と、カバーc5と、カバー取付部材としてのネジ514とを有する。ヘッド本体h5は、前述したヘッド本体h1と同じである。
【0118】
図21(b)が示すように、ウエイトw5は、第1部分w51と、第2部分w52とを有する。更にウエイトw5は、第1部分w51と第2部分w52とを繋げている連結部524を有する。
【0119】
第1部分w51の外形は、第2部分w52の外形と同じである。第1部分w51は、第1当接部516と第2当接部518とを有する。第2部分w52も、第1当接部516と第2当接部518とを有する。
【0120】
ウエイトw5は、上下を逆にして使用されうる。ウエイトw5では、第1部分w51をキャビティv5に収容して第2部分w52を外部に露出させることができ、第2部分w52をキャビティv5に収容して第1部分w51を外部に露出させることもできる。
【0121】
ヘッド本体h5は、キャビティv5を有する。キャビティv5は、ソール部508に設けられている。キャビティv5の位置は限定されない。
【0122】
図示されないが、キャビティv5は、第1摺動部と第2摺動部とを有する。第1摺動部及び第2摺動部のそれぞれは、キャビティv5の側面を構成している。第1摺動部及び第2摺動部は、キャビティv5の長手方向(スライド方向)に沿って延在している。キャビティv5は溝を構成しており、第1摺動部はこの溝の第1の側面を構成しており、第2摺動部はこの溝の第2の側面を構成している。
【0123】
第1部分w51又は第2部分w52は、キャビティv5に収容される。キャビティv5に収容された状態で、ウエイトw5は、キャビティv5の内部を移動しうる。キャビティv5は、ウエイトw5の移動を案内する。キャビティv5において、ウエイトw5はスライドしうる。キャビティv5は、ウエイトw5をスライド移動させうるスライド溝である。ウエイトw5は、キャビティv5の長手方向に沿って移動する。
【0124】
図21(b)が示すように、カバーc5は、外面550と、内面552とを有する。外面550は、ソール面508aの一部を構成する。内面552は、ウエイトw5(第1部分w51又は第2部分w52)に当接する。カバーc5は、直接的に、ウエイトw5を押圧する。
【0125】
カバーc5は、第1孔554と、第2孔556とを有する。第1孔554及び第2孔556は、貫通孔である。ただし、第2孔556は2つに分裂している。第1孔554は、カバーc5の第1端部546に設けられている。第2孔556は、カバーc5の第2端部548に設けられている。第1端部546は、ネジ514によりヘッド本体h5に固定されている。第2端部548は、ネジ514によりヘッド本体h5に固定されている。カバーc5は、第1端部546と第2端部548との間に位置する中間部547を有する。中間部547の幅は、第1端部546及び第2端部548の幅と同じである。中間部547の厚さは、第1端部546及び第2端部548の厚さよりも小さい。
【0126】
カバーc5は、カバー係合部558を有する。カバー係合部558は、スリットである。カバー係合部558は、カバーc5を厚さ方向に貫通している。カバー係合部558は、第1端部546を除くカバーc5の全長に亘って設けられている。カバー係合部558は、カバーc5の長手方向に沿って形成されている。カバー係合部558は、ウエイトw5のスライド軌道に沿って延在している。カバー係合部558は、中間部547を2つに分割している。カバー係合部558は、第2端部548を2つに分割している。カバー係合部558は、第2端部548において開放されている。なお、カバー係合部558は、第2端部548を2つに分割していなくてもよい。本実施形態では、ウエイトw5を中間部547でカバー係合部558に取り付けることができる(
図21(b)参照)。よって、カバー係合部558の端部が開放されている必要はない。
【0127】
閉状態のカバーc5は、キャビティv5を覆っている。本実施形態では、カバーc5はキャビティv5の全体を覆っていない。カバーc5はキャビティv5の一部を覆っている。カバー係合部558は、カバーc5がキャビティv5を覆わない部分を形成している。
【0128】
図21(b)が示すように、ウエイトw5は、ウエイト係合部570を有する。ウエイト係合部570は、連結部524である。ウエイト係合部570は、第1部分w51と第2部分w52との間に延びている。連結部524の第1端部は第1部分w51に固定されている。連結部524の第2端部は第2部分w52に固定されている。連結部524は、ウエイトw5におけるくびれ部を構成している。このように、ウエイトw5の少なくとも1箇所にくびれ部を設けてもよい。このくびれ部がカバー係合部558(スリット)に挿通されている。ウエイトw5では、くびれ部を介して上下対称な形状である。
【0129】
ウエイト係合部570は、カバー係合部558に挿通されている挿通部572と、このカバーc5の外側に露出している露出部574とを有する。挿通部572は、連結部524である。第1部分w51がキャビティv5に収容されている場合、露出部574は第2部分w52である。第2部分w52がキャビティv5に収容されている場合、露出部574は第1部分w51である。露出部574(第1部分w51又は第2部分w52)は、カバー係合部558を通過できない寸法を有する。露出部574はカバーc5上をスライド移動する。
【0130】
ウエイト係合部570は、カバーc5と係合する。ウエイト係合部570は、カバーc5のカバー係合部558と係合している。ウエイト係合部570は、スライド突起である。カバー係合部558は、スライド溝である。
【0131】
図21(a)がよく示すように、ウエイトw5の露出部574は、カバーc5に隠されない。ウエイトw5の露出部574は、外部から視認される。
【0132】
本実施形態では、キャビティv5の第1摺動部及び第2摺動部は摺動面である。第1部分w51がキャビティv5に収容されたとき、第1摺動部は第1部分w51の第1当接部516に当接し、第2摺動部は第1部分w51の第2当接部518に当接している。第2部分w52がキャビティv5に収容されたとき、第1摺動部は第2部分w52の第1当接部516に当接し、第2摺動部は第2部分w52の第2当接部518に当接している。ウエイトw5(第1部分w51、第2部分w52)のスライド移動は、キャビティv5(第1摺動部及び第2摺動部)に案内される。第1部分w51又は第2部分w52とキャビティv5との間に、スライド機構が構成されている。キャビティv5とウエイトw5との間に、ウエイトw5のスライド移動を規制する規制機構は存在しない。
【0133】
ウエイトw5は、3つの部材から構成されている。ウエイトw5は、分割構造を有する。連結部524をカバー係合部558に挿通させつつ、第1部分w51と第2部分w52とを連結することで、ウエイトw5がカバーc5に取り付けられうる(
図21(b)参照)。また、カバー係合部558は第2端部548側に開放されているので、第1部分w51と第2部分w52とが結合した状態で、ウエイトw5をカバーc5に取り付けることもできる。
【0134】
ウエイトw5は、カバーc5に取り付けられている。カバー係合部558の端部を開放させない限り、ウエイトw5はカバーc5から分離しない。第2端部548がヘッド本体h5に取り付けられている限り、カバー係合部558の端部は開放されず、ウエイトw5はカバーc5から脱落しない。
【0135】
カバーc5が閉状態で装着されると、キャビティv5内におけるウエイトw5の移動は規制される。この閉状態は、ネジ514を適正に締め込むことで達成される。カバーc5は、直接的に、ウエイトw5(第1部分w51又は第2部分w52)を押圧する。この押圧により、ウエイトw5とそれに当接する部分との間の静止摩擦力が高まる。カバーc5による押圧は、ウエイトw5のスライド移動を効果的に規制する。ネジ514を緩めることで、閉状態が解除されうる。閉状態が解除されることで、ウエイトw5はスライド移動しうる。カバーc5をヘッド本体h5から取り外すことなく、ウエイトw5を移動することができる。
【0136】
[第6実施形態]
図22は、第6実施形態のゴルフクラブヘッド600をクラウン側から見た平面図である。
図23は、ヘッド600をバック側から見た背面図である。
図24は、ヘッド600の斜視図である。
図25(a)及び
図25(b)は、ヘッド600の背面図である。
図24、
図25(a)及び
図25(b)では、カバーc6がその一端部を中心として回転され、キャビティv6から外されている。
図24、
図25(a)及び
図25(b)では、カバーc6は開状態である。
【0137】
ヘッド600は、フェース部604、クラウン部606、ソール部608、及びホーゼル部610を有する。フェース部604は、打撃面604aを有する。打撃面604aは、フェース部604の外面である。打撃面604aは、フェースセンターFcを有する。クラウン部606は、クラウン面606aを有する。クラウン面606aは、クラウン部606の外面である。ソール部608は、ソール面608aを有する。ソール面608aは、ソール部608の外面である。ホーゼル部610はホーゼル孔612を有する。ヘッド600は、その内部に中空部を有する。この中空部は、フェース部604、クラウン部606及びソール部608で囲まれている。フェース部604、クラウン部606及びソール部608は、ヘッド600(ヘッド本体h6)の外殻部を構成している。
【0138】
ヘッド600は、ウッド型ヘッドである。ヘッド600は、ドライバーヘッドである。
【0139】
ヘッド600は、ヘッド本体h6と、ウエイトw6と、カバーc6と、カバー取付部材としてのネジ614とを有する。ヘッド本体h6は、フェース部604、クラウン部606、ソール部608及びホーゼル部610を有する。
【0140】
ウエイトw6は、第1当接部616と第2当接部618とを有する。第1当接部616は、第1の側面(第1面)である。第2当接部618は、第2の側面(第2面)である。更に、ウエイトw6は、上面620と底面622とを有する。上面620は、カバーc6の内面に対向している。
【0141】
ヘッド本体h6は、キャビティv6を有する。キャビティv6は、クラウン部606とソール部608との境界部に設けられている。なお、ヘッド600は、いわゆるスカート部(サイド部)を有していない。ヘッド600では、クラウン部606の外縁が、ソール部608の外縁と結合している。ヘッド600は、スカート部(サイド部)を有していてもよい。この場合、クラウン部606の外縁が、スカート部の外縁と結合している。
【0142】
ウエイトw6は、キャビティv6に収容される。キャビティv6に収容された状態で、ウエイトw6は、キャビティv6の内部を移動しうる。キャビティv6は、ウエイトw6の移動を案内する。キャビティv6は、ウエイトw6をスライド移動させうるスライド溝である。ウエイトw6は、キャビティv6の長手方向に沿って移動する。
【0143】
図25(a)及び
図25(b)が示すように、キャビティv6は、第1摺動部630と第2摺動部632とを有する。第1摺動部630及び第2摺動部632のそれぞれは、キャビティv6の側面を構成している。第1摺動部630及び第2摺動部632は、キャビティv6の長手方向(スライド方向)に沿って延在している。キャビティv6は溝を構成しており、第1摺動部630はこの溝の第1の側面を構成しており、第2摺動部632はこの溝の第2の側面を構成している。キャビティv6は底面634を有する。本実施形態では、第1摺動部630及び第2摺動部632は摺動面である。第1摺動部630は、ウエイトw6の第1当接部616に当接している。この当接は、面接触である。第2摺動部632は、ウエイトw6の第2当接部618に当接している。この当接は、面接触である。ウエイトw6は、第1摺動部630及び第2摺動部632に案内されて移動する。
【0144】
図25(a)及び
図25(b)がよく示すように、キャビティv6はトウ側からヒール側まで延在している。ウエイトw6は、第1位置から第2位置までの範囲を移動しうる。すなわち、ウエイトw6の可動範囲は、第1位置から第2位置までである。
図25(a)では、ウエイトw6が第1位置にある。この第1位置は、ウエイトw6の可動範囲における、最もヒール側の位置である。
図25(b)では、ウエイトw6が第2位置にある。この第2位置は、ウエイトw6の可動範囲における、最もトウ側の位置である。キャビティv6は、ウエイトw6のトウ-ヒール方向位置を変更しうるように延在している。
【0145】
キャビティv6は、ヘッド600のバック側に向かって凸となるように曲がって延在している。ウエイトw6がこの曲がりの頂点付近に移動したとき、ウエイトw6は最もバック側に位置しうる。キャビティv6は、ウエイトw6のフェース-バック方向位置を変更しうるように延在している。
【0146】
図25(a)及び
図25(b)が示すように、前記可動範囲において、キャビティv6の第1摺動部630とウエイトw6の第1当接部616との面接触は維持されている。第1摺動部630と第1当接部616とは同じ曲率の曲面である。前記可動範囲において、キャビティv6の第2摺動部632とウエイトw6の第2当接部618との面接触は維持されている。第2摺動部632と第2当接部618とは同じ曲率の曲面である。
【0147】
図25(a)及び
図25(b)が示すように、ヘッド本体h6は、第1のカバー支持部640と、第2のカバー支持部642とを有する。第1のカバー支持部640及び第2のカバー支持部642のそれぞれは、ネジ穴644を有する。第1のカバー支持部640に、カバーc6の第1端部646が固定される。第2のカバー支持部642に、カバーc6の第2端部648が固定される。
【0148】
カバーc6は、外面650と、内面652とを有する。外面650は、クラウン面606aの一部を構成する。外面650は、ソール面608aの一部を構成する。内面652は、ウエイトw6に当接する。
【0149】
カバーc6は、第1孔654と、第2孔656とを有する。第1孔654及び第2孔656は、貫通孔である。第1孔654は、カバーc6の第1端部646に設けられている。第2孔656は、カバーc6の第2端部648に設けられている。第1端部646は、カバー取付部材(ネジ)614によりヘッド本体h6に固定されている。第1端部646において、ネジ614は第1孔654に挿通されつつネジ穴644にねじ込まれている。第2端部648は、ネジ614によりヘッド本体h6に固定されている。第2端部648において、ネジ614は第2孔656に挿通されつつネジ穴644にねじ込まれている。
【0150】
閉状態のカバーc6は、キャビティv6を覆っている。本実施形態では、カバーc6はカバーc6の全体を覆っている。本実施形態では、カバーc6が装着されると、ウエイトw6は視認されない。
【0151】
カバーc6が閉状態でないとき、ウエイトw6はキャビティv6内を自由に移動しうる(
図25(a)及び
図25(b)参照)。カバーc6が閉状態とされると、キャビティv6内におけるウエイトw6の移動は規制される。この閉状態は、ネジ614を適正に締め込むことで達成される。カバーc6は、直接的に、ウエイトw6を押圧する。この押圧により、ウエイトw6とカバーc6との間の静止摩擦力が高まる。この押圧により、ウエイトw6とキャビティv6(第1摺動部630、第2摺動部632)との間の静止摩擦力が高まる。カバーc6による押圧は、ウエイトw6のスライド移動を効果的に規制しうる。
【0152】
図24、
図25(a)及び
図25(b)が示すように、カバーc6は、ヘッド本体h6から分離されることなく開状態とされている。一方のネジ614をヘッド本体h6から外し、他方のネジ614はヘッド本体h6に結合させておくことができる。この他方のネジ614を緩めることで、カバーc6を回転させ、キャビティv6から外すことができる。この開状態により、ウエイトw6に直接触れて移動させることができる。
【0153】
前述の通り、キャビティv6は、クラウン部606とソール部608との境界部に設けられている。
図22が示すように、ヘッド600をクラウン部606側から見た平面視において、閉状態のカバーc6が視認される。また、ヘッド600をソール部608側から見た平面視においても、閉状態のカバーc6が視認される。カバーc6は、クラウン側から見たときのヘッド600の輪郭線k1を構成している。カバーc6は、クラウン面606aの輪郭線k2を構成している。輪郭線k2は、輪郭線k1の一部である。外面650は、クラウン面606aの一部を構成している。カバーc6は、ソール面608aの輪郭線k3を構成している。輪郭線k3は、輪郭線k2に一致する。外面650は、ソール面608aの一部を構成している。
【0154】
第1孔654及び第2孔656は、輪郭線k1を構成していない。第1孔654及び第2孔656は、輪郭線k1よりもソール側に設けられている。第1孔654及び第2孔656は、輪郭線k1から離れている。第1孔654及び第2孔656は、輪郭線k2から離れている。第1孔654及び第2孔656は、輪郭線k3から離れている。この構成は、ヘッドの輪郭線に凹み部が形成されてゴルフルールに違反することを防止する。
【0155】
カバーc6は、クラウン面606aから突出している。カバーc6は、ソール面608aから突出している。カバーc6の幅は、キャビティv6の幅よりも大きい。カバーc6の両側の縁部は、キャビティv6からはみ出ている。カバーc6の両側の縁部は、ヘッド本体h6の外面を覆う位置まで延びている。カバーc6の両側の縁部は、ヘッド本体h6の外面を覆っている。カバーc6は、クラウン面606aを覆うクラウン被覆部670を有している。カバーc6は、ソール面608aを覆うソール被覆部672を有している。クラウン被覆部670は、キャビティv6の第1縁674に沿って延びている。第1縁674はクラウン面606aに位置する。第1縁674は、ヘッド本体h6におけるクラウン部606の外縁である。ソール被覆部672は、キャビティv6の第2縁676に沿って延びている。第2縁676はソール面608aに位置する。第2縁676は、ヘッド本体h6におけるソール部608の外縁である。
【0156】
カバーc6は、クラウン面606aから突出している。カバーc6は、ソール面608aから突出している。
【0157】
[第7実施形態]
図26は、第7実施形態のゴルフクラブヘッド700をクラウン側から見た斜視図である。
【0158】
ヘッド700は、フェース部(図示されず)、クラウン部706、ソール部(図示されず)、及びホーゼル部710を有する。クラウン部706は、クラウン面706aを有する。クラウン面706aは、クラウン部706の外面である。ヘッド700は、その内部に中空部を有する。ヘッド700は、ウッド型ヘッドである。ヘッド700は、ドライバーヘッドである。
【0159】
ヘッド700は、ヘッド本体h7と、ウエイトw7と、カバーc7と、カバー取付部材としてのネジ714とを有する。ヘッド本体h7は、フェース部(図示されず)、クラウン部706、ソール部(図示されず)及びホーゼル部710を有する。
【0160】
ヘッド本体h7は、キャビティv7を有する。キャビティv7は、クラウン部706に設けられている。
【0161】
カバーc7は、第1孔754と、第2孔756とを有する。第1孔754及び第2孔756は、貫通孔である。第1孔754は、カバーc7の第1端部746に設けられている。第2孔756は、カバーc7の第2端部748に設けられている。第1端部746は、カバー取付部材(ネジ)714によりヘッド本体h7に固定されている。第2端部748は、ネジ714によりヘッド本体h7に固定されている。
【0162】
カバーc7が閉状態でないとき、ウエイトw7はキャビティv7内を自由に移動しうる。カバーc7が閉状態とされると、キャビティv7内におけるウエイトw7の移動は規制される。この閉状態は、ネジ714を適正に締め込むことで達成される。カバーc7は、直接的に、ウエイトw7を押圧する。この押圧により、ウエイトw7とカバーc7との間の静止摩擦力が高まる。この押圧により、ウエイトw7とキャビティv7との間の静止摩擦力が高まる。カバーc7による押圧は、ウエイトw7のスライド移動を効果的に規制しうる。
【0163】
閉状態のカバーc7は、キャビティv7を覆っている。本実施形態では、カバーc7はカバーc7の全体を覆っている。
【0164】
カバーc7は、透明性を有する。カバーc7は、ウエイトw7がカバーc7を通して視認できる程度の透明性を有する。
図26が示すように、カバーc7の内側にあるウエイトw7が視認される。
【0165】
[変形例(外側からウエイトを視認させうるカバー)]
図27(a)は、変形例のヘッド7001をクラウン側から見た斜視図である。
図27(b)は、変形例のヘッド7002をクラウン側から見た斜視図である。
【0166】
ヘッド7001は、第7実施形態のヘッド700の変形例である。カバーc7に代えてカバーc71が用いられている他は、ヘッド7001はヘッド700と同じである。カバーc71は、透明性を有しない。カバーc71は、窓部770を有する。窓部770は、カバーc71を貫通している。窓部770は、カバーc71の延在方向に沿って延びている。窓部770は、ウエイトw7のスライド方向に沿って延びている。窓部770を通して、カバーc71の内側にあるウエイトw7が視認されうる。窓部770により、カバーc71が閉じられているときでもウエイトw7の位置が確認されうる。
図27(a)及び
図27(b)では、窓部を通じて見えるウエイトw7がクロスハッチングで示されている。この点は本願の他の図面でも同じである。
【0167】
カバーc71は、第1孔754と、第2孔756とを有する。第1孔754及び第2孔756は、貫通孔である。第1孔754は、カバーc71の第1端部746に設けられている。第2孔756は、カバーc71の第2端部748に設けられている。第1端部746は、カバー取付部材(ネジ)714によりヘッド本体h7に固定されている。第2端部748は、ネジ714によりヘッド本体h7に固定されている。
【0168】
ヘッド7002は、第7実施形態のヘッド700の変形例である。カバーc7に代えてカバーc72が用いられている他は、ヘッド7002はヘッド700と同じである。カバーc72は、透明性を有しない。カバーc72は、窓部772を有する。窓部772は、カバーc72を貫通している。窓部772は、カバーc72の延在方向に沿って延びている。窓部772は、ウエイトw7のスライド方向に沿って延びている。窓部772を通して、カバーc72の内側にあるウエイトw7が視認されうる。窓部772により、カバーc72が閉じられているときでもウエイトw7の位置が確認されうる。
【0169】
カバーc72は、第1孔754と、第2孔756とを有する。第1孔754及び第2孔756は、貫通孔である。第1孔754は、カバーc72の第1端部746に設けられている。第2孔756は、カバーc72の第2端部748に設けられている。第1端部746は、カバー取付部材(ネジ)714によりヘッド本体h7に固定されている。第2端部748は、ネジ714によりヘッド本体h7に固定されている。
【0170】
ヘッド7002のように、窓部772は分割されていてもよい。換言すれば、窓部772は複数であってもよい。換言すれば、窓部772は、途中で途切れていてもよい。ウエイトw7の位置に関わらずウエイトw7の全体が隠れないように、窓部772が分割されるのが好ましい。第1の窓部772aと第2の窓部772bとの間の非窓部774は、カバーc72の剛性を高めうる。非窓部774は、ウエイトw7に対するカバーc72の押圧力を高めうる。
【0171】
[変形例(窓部)]
図28(a)は、変形例のヘッド7003をクラウン側から見た斜視図である。
図28(b)は、変形例のヘッド7004をクラウン側から見た斜視図である。
【0172】
ヘッド7003は、ヘッド7001の変形例である。ヘッド7003では、カバーc7に代えてカバーc73が用いられている。カバーc73は、窓部774を有する。窓部774は、窓部770と同じである。
【0173】
ヘッド7004は、ヘッド7002の変形例である。ヘッド7004では、カバーc7に代えてカバーc74が用いられている。カバーc74は、窓部776を有する。窓部776は、窓部772と同じである。
【0174】
カバーc73は、第1孔784と、第2孔786とを有する。第1孔784及び第2孔786は、貫通孔である。第1孔784は、カバーc73の第1端部788に設けられている。第2孔786は、カバーc73の第2端部790に設けられている。第1端部788は、カバー取付部材(ネジ)714によりヘッド本体に固定されている。第2端部790は、ネジ714によりヘッド本体に固定されている。
【0175】
カバーc74は、第1孔784と、第2孔786とを有する。第1孔784及び第2孔786は、貫通孔である。第1孔784は、カバーc74の第1端部788に設けられている。第2孔786は、カバーc74の第2端部790に設けられている。第1端部788は、カバー取付部材(ネジ)714によりヘッド本体に固定されている。第2端部790は、ネジ714によりヘッド本体に固定されている。
【0176】
ヘッド7003では、カバーc73の第1端部788及び第2端部790の幅が、中間部789の幅よりも狭い。中間部789は、第1端部788と第2端部790との間の部分である。ヘッド7004でも、カバーc74の第1端部788及び第2端部790の幅が、中間部789の幅よりも狭い。これに対して、ヘッド7001では、カバーc71の第1端部746及び第2端部748の幅が、中間部747の幅よりも広い。中間部747は、第1端部746と第2端部748との間の部分である。ヘッド7002でも、カバーc72の第1端部746及び第2端部748の幅が、中間部747の幅よりも広い。このように、カバーの幅は変化していてもよい。
【0177】
図29(a)は、変形例のヘッド1001をソール側から見た底面図である。
図29(b)は、変形例のヘッド1002をソール側から見た斜視図である。
【0178】
ヘッド1001は、第1実施形態のヘッド100の変形例である。カバーc1に代えてカバーc11が用いられている他は、ヘッド1001はヘッド100と同じである。カバーc11は、透明性を有しない。カバーc11は、窓部190を有する。窓部190は、カバーc11を貫通している。窓部190は、カバーc11の延在方向に沿って延びている。窓部190は、ウエイトw1のスライド方向に沿って延びている。窓部190を通して、カバーc11の内側にあるウエイトw1が視認されうる。窓部190により、カバーc11が閉じられているときでもウエイトw1の位置が確認されうる。
【0179】
ヘッド1002は、ヘッド1001の変形例である。カバーc71に代えてカバーc12が用いられている他は、ヘッド1002はヘッド1001と同じである。カバーc12は、窓部192を有する。窓部192は、分割されている。
【0180】
[変形例(カバーの固定構造)]
前述した各実施形態では、カバーの第1端部及び第2端部はネジによりヘッド本体に固定されている。カバーの固定構造は、このような形態に限定されない。
【0181】
図30、
図31及び
図32のそれぞれは、変形例のヘッドにおけるキャビティ部分の拡大断面図である。
【0182】
図30の実施形態は、カバーc81とヘッド本体h81とを有しており、ヘッド本体h81はキャビティv81を有する。ヘッド本体h81は、第1のカバー支持部810と、第2のカバー支持部812とを有する。第1のカバー支持部810は、ネジ穴814を有する。第2のカバー支持部812は、ネジ穴を有していない。第2のカバー支持部812は、カバー挿入部816を有する。カバー挿入部816は凹部である。
【0183】
カバーc81は、第1端部820と第2端部822とを有する。第1端部820はネジ穴を有している。第1端部820は、第1のカバー支持部810に固定されている。第1端部820は第1のカバー支持部810にネジ止めされている。第2端部822は、第2のカバー支持部812に固定されている。第2端部822は、挿入端部824を有している。挿入端部824は、ヘッド内側に向かう第1部分826と、この第1部分826からヘッド外面に沿って延びる第2部分828とを有する。カバー挿入部816は、挿入端部824に対応した形状を有している。挿入端部824がカバー挿入部816に挿入されることで、第2端部822のヘッド外面に沿った方向の動きが規制されている。更に、この挿入により、第2端部822のヘッド外側に向かう方向の動きが規制されている。挿入端部824がカバー挿入部816に挿入されることで、第2端部822は第2のカバー支持部812に固定されている。第1端部820を固定するネジ830を緩めることで、第2端部822をカバー挿入部816から引き抜くことが可能となる。
【0184】
カバー挿入部816は、カバーc81の第2端部822が挿入されたときにカバーc81がキャビティv81の開口に沿って延びるように構成されている。カバー挿入部816は、カバーc81の第2端部822(挿入端部824)の上側に位置する上側配置部832を含む。上側配置部832はカバーc81が開くのを効果的に防止する。
【0185】
図31の実施形態は、カバーc82とヘッド本体h82とを有している。ヘッド本体h82はキャビティv82を有する。ヘッド本体h82は、第1のカバー支持部840と、第2のカバー支持部842とを有する。第1のカバー支持部840は、ネジ穴844を有する。第2のカバー支持部842には、蝶番846が設けられている。
【0186】
カバーc82は、第1端部850と第2端部852とを有する。第1端部850はネジ穴を有している。第1端部850は第1のカバー支持部840にネジ止めされている。第2端部852は、蝶番846により、第2のカバー支持部852に回動可能に固定されている。第1端部850を固定するネジ854を外すことで、カバーc82は回動する。この回動により、カバーc82をヘッド本体h82から分離することなく、カバーc82を開閉することができる。
【0187】
図32の実施形態は、カバーc83とヘッド本体h83とを有している。ヘッド本体h83はキャビティv83を有する。ヘッド本体h83は、第1のカバー支持部860と、第2のカバー支持部862と、第3のカバー支持部863とを有する。第1のカバー支持部860に、第1の蝶番864が設けられている。第2のカバー支持部862には、第2の蝶番866が設けられている。
【0188】
カバーc83は、第1端部870と第2端部872とを有する。第1端部870は、第1の蝶番864により、第1のカバー支持部860に固定されている。第2端部872は、第2の蝶番866により、第2のカバー支持部862に固定されている。第1端部870と第2端部872との間の中間位置において、カバーc83は第3のカバー支持部863にネジ874で固定されている。ネジ874を外すと、カバーc83の弾性変形により、第1端部870及び第2端部872を回動させることができる。この回動により、カバーc83をヘッド本体h83から分離することなく、カバーc83を開閉することができる。
【0189】
図33(a)の実施形態は、カバーc84とヘッド本体h84とを有している。ヘッド本体h84はキャビティv84を有する。ヘッド本体h84は、第1のカバー支持部880と、第2のカバー支持部881と、第3のカバー支持部882とを有する。第1のカバー支持部880に、第1の蝶番883が設けられている。第2のカバー支持部881に、第2の蝶番884が設けられている。カバーc84は、第1端部885と第2端部886とを有する。第1端部885は、第1の蝶番883により、第1のカバー支持部880に固定されている。第2端部886は、第2の蝶番884により、第2のカバー支持部881に固定されている。第1端部885と第2端部886との間の中間位置において、カバーc84は第3のカバー支持部882にネジ887で固定されている。第3のカバー支持部882は、キャビティv84内に設けられているが、
図32の実施形態と同様に、キャビティv84の底面から浮いた位置に設けられており、ウエイトの移動を阻害しない。2つの蝶番883、884の回転軸線Z1は同一直線上に位置している。ネジ887を第3のカバー支持部882から外すと、カバーc84を回転軸線Z1回りに回動することができる。この回動により、カバーc84をヘッド本体h84から分離することなく、カバーc84を開閉することができる。
【0190】
図33(b)の実施形態は、カバーc85とヘッド本体h85とを有している。ヘッド本体h85はキャビティv85を有する。ヘッド本体h85は、第1のカバー支持部890と、第2のカバー支持部891と、第3のカバー支持部892とを有する。第1のカバー支持部890に、第1の蝶番893が設けられている。第2のカバー支持部891に、第2の蝶番894が設けられている。カバーc85は、第1端部895と第2端部896とを有する。第1端部895は、第1の蝶番893により、第1のカバー支持部890に固定されている。第2端部896は、第2の蝶番894により、第2のカバー支持部891に固定されている。第1端部895と第2端部896との間の中間位置において、カバーc85に突出延在部898が形成されている。突出延在部898は、キャビティv85から外れた位置まで延びている。カバーc85の突出延在部898は第3のカバー支持部892にネジ897で固定されている。第3のカバー支持部892は、キャビティv85の外に設けられている。2つの蝶番893、894の回転軸線Z1は同一直線上に位置している。ネジ897を第3のカバー支持部892から外すと、カバーc85を回転軸線Z1回りに回動することができる。この回動により、カバーc85をヘッド本体h85から分離することなく、カバーc85を開閉することができる。
【0191】
[変形例(ウエイトがキャビティを貫通する構造)]
図34(a)の実施形態は、カバーc91とウエイトw91とを有している。ヘッド本体h91はキャビティv91を有している。ウエイトw91は、延在部904を有している。延在部904は、ウエイトw91の底面922に設けられている。キャビティv91は開口906を有している。開口906は、ウエイトw91のスライド移動の軌跡に沿って延びており、スリットを構成している。キャビティv91(の底面)を構成する壁部902に、開口906が設けられている。ウエイトw91の延在部904は、開口906を貫通して延びている。延在部904は、開口906(壁部902)を貫通してヘッド内側(中空部S1)に到達している。ウエイトw91の第1当接部916はキャビティv91の第1摺動部930に当接しており、ウエイトw91の第2当接部918は第2摺動部932に当接している。開口906によりキャビティv91は軽量化されている。延在部904により、ウエイトw91の重量が増加しており、ヘッド重心調整の自由度が高められている。
【0192】
図34(b)の実施形態は、
図34(a)の変形例である。この実施形態では、ウエイトw91に代えてウエイトw92が設けられている。このウエイトw92は、ウエイト本体910と高比重部912とを有する。高比重部912の比重は、ウエイト本体910の比重よりも大きい。前記延在部904が高比重部912を含む。高比重部912により、ウエイトw92の重量が更に増加し、ヘッド重心調節の自由度が高められている。
【0193】
[変形例(上下反転可能なウエイト)
図35の実施形態は、第1実施形態の変形例である。本実施形態は、第1実施形態と同じヘッド本体h1、キャビティv1及びカバーc1を有する。第1実施形態との相違はウエイトのみである。第1実施形態のウエイトw1がウエイトw93に変更されている。ウエイトw93は、第1部分940と第2部分942とを有する。ウエイトw93は、上下対称性を有する。ウエイトw93は面対称性を有している。対称面は第1部分940と第2部分942との境界面m1である。第1部分940と第2部分942とで、比重が異なる。
【0194】
ウエイトw93は、上下反転して、キャビティv1に取り付けることができる。
図35に示されるウエイトw93の第1姿勢では、第2部分942が第1部分940の下側に位置する。この第1姿勢では、第2部分942がキャビティv1に当接している。この第1姿勢では、第1部分940はキャビティv1に当接していない。より詳細には、第2部分942の第1当接部(第1の側面)942aが第1摺動部130に当接しており、第2部分942の第2当接部(第2の側面)942bが第2摺動部132に当接している。第1部分940の第1当接部(第1の側面)940aはキャビティv1に当接しておらず、第1部分940の第2当接部(第2の側面)940bもキャビティv1に当接していない。すなわち、第1部分940はキャビティv1に当接していない。
【0195】
図35の状態からウエイトw93を上下反転させると、ウエイトw93は第2姿勢となる。この第2姿勢では、第1部分940が第2部分942の下側に位置する。この第2姿勢では、第1部分940がキャビティv1に当接している。この第2姿勢では、第2部分942はキャビティv1に当接しない。より詳細には、第1部分940の第1当接部(第1の側面)940aが第1摺動部130に当接し、第1部分940の第2当接部(第2の側面)940bが第2摺動部132に当接する。この場合、第2部分942の第1当接部(第1の側面)942aはキャビティv1に当接しておらず、第2部分942の第2当接部(第2の側面)942bもキャビティv1に当接していない。すなわち、第2部分942はキャビティv1に当接しない。
【0196】
なお、キャビティv1の形態によっては、前記第1姿勢において、第2部分942に加えて第1部分940もキャビティv1に当接しうる。
図35が示すように、第1部分940の第1当接部940aは僅かに第1摺動部130から離れているが、第1摺動部130が境界面m1に対して垂直である場合には、第1姿勢において第1当接部940aが第1摺動部130に当接しうる。
【0197】
ウエイトw93を上下反転されることで、キャビティv1に対するウエイトw93の重心位置が変化する。よって、ウエイトw93が上下反転されることで、ヘッドの重心位置が変化する。
【0198】
ウエイトw93を上下反転させることで、ウエイトw93の重心位置が上下方向において変わるのが好ましい。例えば、第1部分940の比重を第2部分942の比重と相違させることができる。
【0199】
図36(a)は、カバー取付部材としてのネジ950近傍の断面図である。ネジ950は、カバーc95をヘッド本体h95に固定している。ネジ950は、頭部952と軸部954とを有する。頭部952の底面952aは、軸部954の中心線に対して垂直な方向に延在している。頭部952の側面952bは、軸部954の中心線に平行な方向に延在している。軸部954は雄ねじ部を有している。このネジ950を締結することで、カバーc95は閉状態となる。この閉状態において、ネジ950は、カバーc95から突出していない。カバーc95は、頭部952を収容する凹部956と、凹部956に収容された頭部952の底面952aにより押圧される受け部958とを有している。
【0200】
図36(b)は、変形例のネジ960近傍の断面図である。ネジ960は、カバーc96をヘッド本体h96に固定している。ネジ960は、頭部962と軸部964とを有する。頭部962の底面962aは、軸部964の中心線に対して垂直な方向に延在している。頭部962の側面962bにはテーパーが設けられている。頭部962の側面962bは、軸部964の中心線に対して傾斜した方向に延在している。側面962bは、軸部964側に向かうにつれて軸部964の中心線に近づくように傾斜している。側面962bは、円錐凸面を構成している。軸部964は雄ねじ部を有している。このネジ960を締結することで、カバーc96は閉状態となる。この閉状態において、ネジ960は、カバーc96から突出していない。カバーc96は、頭部962を収容する凹部(孔)966と、凹部966に収容された頭部962の側面962bにより押圧される受け部968とを有している。受け部968は、側面962bと接触する斜面968aを有する。斜面968aは円錐凹面を構成している。
【0201】
図30から
図32に示されるように、閉状態において、ネジはカバーから突出していてもよい。好ましくは、閉状態において、ネジ950(頭部952)はカバーc95から突出していないのがよい。前述した第1から第7実施形態でも、カバーを固定するネジはカバーから突出していない。
図36(b)の実施形態のように、頭部962の側面962aを傾斜させると、この側面962aでカバーc96を押さえることができる。この場合、底面962aとヘッド本体h96との間にカバーc96を設けることは不要である。よって、カバーc96をより薄くすることが可能となり、カバーc96の設計自由度が高まる。
【0202】
[作用効果]
上述した各実施形態は、以下の作用効果を奏する。
【0203】
第1から第7実施形態では、閉状態のカバーがウエイトに押圧力を付与している。このため、ウエイトとキャビティとの間、及び、ウエイトとカバーとの間において、静止摩擦力が高まる。よって、ウエイトとキャビティとの間にウエイトの位置を固定する係合構造を設けることなく、ウエイトの位置を固定することができる。また、カバーを開状態とするだけで、ウエイトの固定を解除することができる。
【0204】
第1から第7実施形態では、ウエイトは、キャビティに置かれている。ウエイトは、置かれるだけで、キャビティ内におけるスライド移動が可能な状態となっている。したがって、ウエイトの取り付け及び取り外しは容易である。また、ウエイトの交換も容易である。ウエイトのスライド移動も、ウエイトを押して滑らせるだけでよく、容易である。
【0205】
第1から第7実施形態では、ウエイトの当接部とキャビティの摺動部とが当接している。ウエイトのスライド移動では、前記当接部が前記摺動部に対してスライドする。この構成により、ウエイトの取り付け及び取り外しが容易で且つスライド移動が可能なスライド構造が容易に達成される。
【0206】
第1から第7実施形態では、キャビティが、ウエイトをスライドさせるためのスライド溝を構成している。また、ウエイトは、スライド溝におけるスライド移動が可能な形状を有している。よって、ウエイトのスライドが可能で且つウエイトの着脱が容易な構造が実現されている。
【0207】
第1から第7実施形態では、ウエイトの当接部が、第1当接部及び第2当接部を有しており、キャビティの摺動部が、第1摺動部及び第2摺動部を有している。前記第1当接部がウエイトの第1の側面であり、前記第2当接部が、ウエイトの第2の側面である。また、キャビティの第1摺動部が前記スライド溝の第1の側面であり、キャビティの第2摺動部が前記スライド溝の第2の側面である。よって、ウエイトのスライドが可能で且つウエイトの着脱が容易な構造が実現されている。
【0208】
キャビティの第1摺動部及び第2摺動部は、テーパーを構成している。第1摺動部と第2摺動部との間隔は、下側にいくにつれて狭くなっている。第1摺動部と第2摺動部との間隔は、キャビティの底面に近づくにつれて狭くなっている。また、ウエイトも、テーパー形状を有している。第1当接部と第2当接部との距離は、下側にいくにつれて狭くなっている。よって、ウエイトがキャビティにより安定的に支持され、円滑なスライドが可能となる。また、カバーがウエイトに押圧力を付与することで、ウエイトとキャビティとの間で静止摩擦力が高まる。
【0209】
第1から第7実施形態では、ウエイトの当接部の形状が、キャビティの摺動部の形状に沿っている。これらの実施形態では、ウエイトの当接部は曲面であり、当接曲面を構成している。キャビティの摺動部も曲面であり、摺動曲面を構成している。これらの曲面により、ウエイトの円滑なスライドが可能となる。スライドの円滑性を高める観点から、この摺動曲面の曲率は略一定が好ましく、一定であるのがより好ましい。略一定とは、±5%、より好ましくは±3%の誤差を許容する趣旨である。ただし、摺動曲面の曲率が変動していても、ウエイトは3点で摺動曲面に当接して安定的にスライドしうる。スライドの円滑性を高める観点から、摺動曲面の曲率は、当接曲面の曲率に略一致しているのが好ましく、一致しているのがより好ましい。略一致とは、±5%、より好ましくは±3%の誤差を許容する趣旨である。ただし、摺動曲面の曲率と当接曲面の曲率とが相違していても、ウエイトは3点で摺動曲面に当接して安定的にスライドしうる。
【0210】
より詳細には、第1から第7実施形態において、キャビティの第1摺動部及び第2摺動部は曲面であり、それぞれ第1摺動曲面及び第2摺動曲面を構成している。ウエイトの第1当接部及び第2当接部も曲面であり、それぞれ第1当接曲面及び第2当接曲面を構成している。スライドの円滑性を高める観点から、第1摺動曲面及び第2摺動曲面の曲率は略一定であるのが好ましく、一定であるのがより好ましい。スライドの円滑性を高める観点から、第1摺動曲面の曲率と第1当接曲面の曲率とは略同一であるのが好ましく、同一であるのがより好ましい。
【0211】
図8から
図10の実施形態が示すように、ウエイトの当接部の形状が、キャビティの摺動部の形状に沿っていなくてもよい。この場合、スライド移動の可動範囲のあらゆる位置において、ウエイトの当接部とキャビティの摺動部との接触箇所が3箇所以上であるのが好ましい。これらの実施形態では、スライド移動の可動範囲のあらゆる位置において、この接触箇所が3箇所である。3箇所以上での支持によりウエイトの姿勢が安定し、円滑なスライドが可能となる。この場合、キャビティの壁面の曲率を略一定とする必要がなく、キャビティの設計自由度が向上する。更に、キャビティの寸法精度が緩和される。
【0212】
第1から第7実施形態では、スライド移動中におけるウエイトとキャビティとの接触は、前記当接部と前記摺動部との接触のみである。したがって、ウエイトの着脱が容易なスライド機構が構成され、またカバーの押圧力により当該接触における接触圧が高まり、ウエイトの位置が固定される。
【0213】
第1から第7実施形態では、ウエイトが、重力によりキャビティから脱落しうる状態でキャビティに取り付けられている。よって、ウエイトの着脱及びスライドは容易である。
【0214】
第1から第7実施形態では、ウエイトのスライド移動は、カバーの押圧力によって増大した静止摩擦力のみで阻止されている。よって、ウエイトの着脱及びスライドが容易なスライド機構において、ウエイトをカバーによって固定することができる。この静止摩擦力は、ウエイトとキャビティとの接触部、及び、ウエイトとカバーとの接触部において生ずる。
【0215】
図11(a)から(e)に示されるように、カバーは、スライド移動における複数位置のそれぞれでウエイトに係合するカバー係合形状を有していてもよい。また、ウエイトは、閉状態のカバーにおいて前記カバー係合形状に係合するウエイト係合形状を有していてもよい。カバー係合形状とウエイト係合形状との係合により、ウエイトは、スライド移動における複数位置で固定されうる。カバーによる押圧力とこの係合との相乗効果で、ウエイトの固定性が高まる。また、この係合により、カバーによる押圧力が無くても、ウエイトがカバーによって固定されうる。前記カバー係合形状及びウエイト係合形状は限定されず、ウエイトの移動が規制されるような係合が生じる形状であればよい。例えば、前記カバー係合形状及びウエイト係合形状の一方が凸で他方が凹であってもよい。カバー形状係合では、ウエイトのスライド方向における位置が異なる複数の凸又は凹が設けられうる。好ましいカバー係合形状の一例は、ウエイトのスライド移動方向の複数位置に形成された複数のカバー凹部又はカバー凸部である。好ましいウエイト係合形状の一例は、カバー凹部又はカバー凸部に係合するウエイト凸部又はウエイト凹部である。
【0216】
第2、第4、第5及び第7実施形態のように、閉状態の前記カバーにおいて、前記ウエイトの少なくとも一部が視認されてもよい。
図27(a)、(b)、
図28(a)、(b)及び
図29(a)、(b)でも、この視認が達成されている。この場合、カバーが閉状態にあるときにウエイトの位置を確認することができる。ウエイトの視認を可能とする構成として、以下が例示される。
(a)ウエイトの一部が外部に露出している。
(b)カバーが窓部を有しており、ウエイトの一部が前記窓部から視認される。
(c)カバーが透明性を有しており、ウエイトの少なくとも一部が前記カバーを通して視認される。
(d)閉状態のカバーとキャビティとの間に隙間があり、この隙間からウエイトが視認される。
【0217】
構成(a)、(b)、(c)及び(d)は、カバーが閉状態にあるときに成立している。構成(a)、(b)、(c)及び(d)は、ウエイトがスライド移動の可動範囲のいずれの位置にあっても成立しているのが好ましい。第2、第4及び第5実施形態は、構成(a)を備える。
図27(a)、(b)、
図28(a)、(b)及び
図29(a)、(b)の実施形態は構成(b)を備える。第4実施形態も構成(b)を備える。第7実施形態は構成(c)を備える。第2実施形態は構成(d)を備える。
【0218】
ウエイトに表示部が設けられてもよい。カバーが閉状態にあるとき外部からウエイトが視認できる場合、ウエイトの外部から視認可能な位置に、ウエイトの表示部が設けられてもよい。表示部は、ウエイトの少なくとも一部に設けられ、外観上識別できる部分とされうる。表示部として、文字、記号、線等が例示される。この線は目盛りを含む。
図26の第7実施形態では、カバーの外側から視認できる位置に表示部s1が設けられている。この表示部s1は線である。表示部s1は、1箇所に設けられてもよいし、複数箇所に設けられてもよい。
図26の実施形態では、1箇所の表示部s1が設けられている。表示部s1により、ウエイトの位置の識別が容易となる。
【0219】
ヘッド本体又はカバーに表示部が設けられてもよい。ヘッド本体の表示部は、キャビティの近傍に設けられるのが好ましい。この表示部として、文字、記号、線等が例示される。この線は目盛りを含む。
図26の実施形態では、ヘッド本体に表示部s2が設けられている。この表示部s2は、文字である。表示部s2は、1箇所に設けられてもよいし、複数箇所に設けられてもよい。表示部s2と表示部s1との位置関係を確認することで、ウエイトの位置の識別性が高まる。
図26の実施形態では、表示部s2が、ウエイトの位置によって変化するヘッド性能に関する情報を含んでいる。
【0220】
第2、第4及び第5実施形態が示すように、ウエイトがカバーに係合するウエイト係合部を有しており、カバーが前記ウエイト係合部に係合するカバー係合部を有していてもよい。このウエイト係合部とカバー係合部との係合は、ウエイトのスライド移動の可動範囲のあらゆる位置において維持されている。この係合は、ウエイトのスライド移動を妨げない。かかる係合を可能とする観点から、カバー係合部は、ウエイトのスライド移動の軌跡に沿って延在するのが好ましい。上記実施形態では、このカバー係合部の例として、スリット、凸条部及びカバーの両側のエッジが採用されている。ウエイト係合部は、ウエイトのスライド移動におけるあらゆる位置で、カバー係合部との係合を維持するように構成されている。
【0221】
ウエイト係合部とカバー係合部との係合により、ウエイトがカバーから分離しないように当該カバーに取り付けられている。したがって、ウエイトがキャビティから外れても、ウエイトはカバーに保持されているため落下しない。
【0222】
第5実施形態では、ウエイトが、第1姿勢と前記第1姿勢を上下反転した第2姿勢とを採りうる。ウエイトは、前記第1姿勢と前記第2姿勢のいずれにおいても、キャビティにおけるスライド移動を可能とする形状を有している。
図35の実施形態でも、ウエイトが、第1姿勢と前記第1姿勢を上下反転した第2姿勢とを採りうる。上下反転により、キャビティに対するウエイトの重心位置が移動しうる。すなわち、上下反転により、ヘッド本体に対するウエイトの重心位置が移動しうる。この結果、ヘッドの重心位置が移動しうる。ウエイトの重心位置がウエイトの対称面から外れている場合、上下反転による重心の移動が達成されうる。
【0223】
ウエイトの上下反転により、ヘッドの重心位置を変化させることができる。ウエイトの移動によってヘッドの重心位置が調整されうるが、これにウエイトの上下反転が加わることで、ヘッドの重心位置の調整における自由度が高まる。また、ウエイトの第1部分と第2部分とで外観(色など)を変えることで、視覚的な効果が得られうる。第5実施形態のように、第1部分又は第2部分のいずれかが視認される場合、この視覚的効果が高い。
【0224】
カバーの幅を、両端部と中間部との間で相違させてもよい。第2及び第7実施形態のように、カバーの両端部の幅をカバーの中間部の幅より大きくしてもよい。
図27(a)及び
図27(b)の実施形態でも、カバーの両端部の幅がカバーの中間部の幅より大きい。これら両端部は、カバー取付部材によりヘッド本体に固定されている。両端部の幅を大きくすることで、カバー取付部材の近傍におけるカバーの強度及び剛性を高めることができる。また、第6実施形態のように、カバーの両端部の幅をカバーの中間部の幅より小さくしてもよい。
図28(a)及び
図28(b)の実施形態でも、カバーの両端部の幅がカバーの中間部の幅より小さい。この構成により、カバーの中間部において必要な幅を確保しつつ、両端部の幅を小さくしてカバーの重量を抑制することができる。この幅は、急激に変化してもよいし、徐々に変化してもよい。
【0225】
第1から第7実施形態のように、カバーの両端部(第1端部及び第2端部)がネジでヘッド本体に固定されてもよい。ネジの締め込みによりカバーからウエイトへの押圧力を高めることができる。また、両方のネジを外すことで、カバーをヘッド本体から分離することができる。さらに第1のネジのみ外し、第2のネジは緩めることで、カバーを第2のネジを中心に回転することができる(
図24参照)。よってカバーをヘッド本体から分離することなく、カバーを開状態としてウエイトを動かすことができる。この場合、第2のネジの軸部(雄ねじ部)を第1のネジの軸部(雄ねじ部)よりも長くすることができる。この構成により、第2のネジの頭部を浮かせた状態で第1のネジを外すことが容易となる。
【0226】
図31の実施形態のように、カバーの第1端部はネジでヘッド本体に固定され、カバーの第2端部は蝶番で回動可能にヘッド本体に固定されてもよい。この構成では、第一端部のネジを外すことで、カバーを回動させることができる。カバーをヘッド本体から分離させることなく、容易にカバーを開閉することができる。
【0227】
図30の実施形態のように、カバーの第1端部はネジでヘッド本体に固定され、カバーの第2端部はヘッド本体のカバー挿入部に挿入されてもよい。この場合、第1端部のネジを緩めて第2端部をカバー挿入部から引き抜くだけでカバーを開くことができ、この逆の操作でカバーを閉じることもできる。
【0228】
図32の実施形態のように、カバーの両端部が蝶番で回答可能にヘッド本体に取り付けられていてもよい。この場合、カバーの中間部がネジでヘッド本体に固定されていてもよい。ネジを外すだけで、カバーを弾性変形させつつカバーを開閉することが可能である。ネジはウエイトへの押圧力を高める。
【0229】
カバーは複数箇所でヘッド本体に固定されている。
図30から
図32までの実施形態でも、カバーは、一方の端部を中心として回動可能である。この回動により、カバーをヘッド本体に取り付けたままカバーを開閉することは容易である。この回動において、ヘッド本体から離れたカバー取付部材(ネジ)は、カバーから脱落しないように構成されているのが好ましい。
【0230】
第1から第7実施形態及び
図31が示すように、カバーの第1端部が第1のカバー取付部材によって前記ヘッド本体に固定されており、前記カバーの第2端部が第2のカバー取付部材によって前記ヘッド本体に固定されており、前記第1のカバー取付部材を取り外した状態で、前記カバーが前記第2端部を中心として回動しうるように構成されていてもよい。第1から第7実施形態が示すように、前記第1のカバー取付部材がネジであり、前記第2のカバー取付部材がネジであってもよい。
図31が示すように、前記第1のカバー取付部材がネジであり、前記第2のカバー取付部材が蝶番であってもよい。
【0231】
キャビティ、ウエイト又はカバーが磁性体を有していてもよい。磁性体は、例えばシート状とされうる。磁性体は、例えばキャビティの底面に配置されてもよい。このキャビティとウエイトとが磁力により引きつけあってもよい。磁性体はカバーの内面に配置されてもよい。磁性体はカバーに分散して配置されてもよい。カバーとウエイトとが磁力により引きつけあってもよい。磁力により、カバーが開いたときのウエイトの脱落が防止されうる。
【0232】
ゴルフクラブヘッドを含むキットは、カバー取付部材にアクセスしうるアクセスツールを有していてもよい。このアクセスツールは、例えばネジを回すことができるツールとされうる。このアクセスツールが磁性体を有していてもよい。このアクセスツールが、磁力によりウエイトと引きつけあってもよい。この磁力により、カバーを開けることなく、ウエイトを移動させることができる。カバーにスリット又は溝を設けてもよく、このスリット又は溝に沿ってアクセスツールを移動させることで、前記磁力によるウエイトの移動が達成されてもよい。この場合、溝はカバーを貫通していなくてもよい。ウエイトに触れること無く、ウエイトを移動することが可能である。
【0233】
弾性体は、第1実施形態において例示的に示されているが、他の実施形態にも適用されうる。弾性体は、カバーの押圧力により接触圧が高まる部位に弾性体が設けられているのが好ましい。弾性体により、ウエイトの動きを規制する効果が高まる。また、ウエイトのガタツキが抑制される。この接触圧が高まる部位として、カバーとウエイトとの接触面、及び、ウエイトとキャビティとの接触面が例示される。カバーの少なくとも一部が弾性体であってもよいし、ウエイトの少なくとも一部が弾性体であってもよいし、キャビティの少なくとも一部が弾性体であってもよい。弾性体は独立していてもよい。これらの構成は、カバー、ウエイト又はキャビティの材質自体が弾性体である場合を含む。弾性体が独立していない場合、弾性体が単独で脱落することが防止される。弾性体は、塗装のような薄い膜であってもよい。好ましくは、弾性体は層として設けられる。弾性体が、ウエイト係合形状と係合する弾性体係合形状を有していてもよい。
【0234】
弾性体の材質として、エラストマーが例示される。エラストマーとして、熱硬化性エラストマー及び熱可塑性エラストマーが例示される。熱硬化性エラストマーとして、ゴムが例示される。熱可塑性エラストマーとして、ポリスチレン系エラストマー(TPS)、オレフィン/アルケン系エラストマー(TPO)、ポリ塩化ビニル系エラストマー(TPVC)、ポリウレタン系エラストマー(TPU)、ポリエステル系エラストマー(TPEE又はTPC)及びポリアミド系エラストマー(TPAE)が例示される。
【0235】
キャビティの深さは一定であってもよいし、一定でなくてもよい。すなわち、キャビティの深さは変化していてもよい。ヘッドは、自由曲面を外面とする三次元形状を有している。このヘッドに、曲率が一定の曲面(円錐面等)を有するキャビティを形成し、且つキャビティの幅を一定とする観点からは、キャビティの深さを変化させるのが好ましい。キャビティの深さは、ウエイトのスライド移動に垂直な断面において測定される。この深さは、当該断面において、キャビティの上端を構成する2つのエッジを結ぶ線分に垂直な方向に沿って測定される。
【0236】
第1から第7実施形態では、カバーはヘッド本体から分離しうる。2つのネジをヘッド本体から外すことで、カバーはヘット本体から分離する。この場合例えば、カバーを交換することができる。異なる重量のカバーに交換することで、ヘッド重量が調整されうる。また、カバーとウエイトとの合計重量を同一としつつカバーとウエイトとの両方を交換することで、ヘッド重量を変えずにヘッド重心の位置を調整することができる。
【0237】
ウエイトは、複数の部材から構成されていてもよい。第2、第3及び第5実施形態では、ウエイトは3つの部材から構成されている。これらの実施形態では、ウエイト本体を構成する2つの分割体と、これらの分割体を結合する結合部材とを有している。第4実施形態では、ウエイトは2つの部材から構成されている。ウエイトを複数の部材から構成することで、カバーとウエイトとを分離不能に係合させることが容易となる。
【0238】
第5実施形態及び
図35の実施形態のように、ウエイトが上下対称の形状とされてもよい。この場合、上記第1部材と上記第2部材との間で重量が相違してもよい。この重量の相違は、材料比重、中空部の有無及び体積、ポーラスの有無及び比率、等により達成されうる。上述の通り、この上下対称の形状はウエイトの上下反転した使用を可能とし、重心調整の効果を奏する。
【0239】
第4及び第5実施形態、及び、
図27(a)から
図29(b)の実施形態のように、カバーの少なくとも1つのスリットを設けてもよい。このスリットはカバーを軽量化し、余剰重量を創出しうる。またこのスリットは、カバーの外側からのウエイトの視認を可能とする。
【0240】
ウエイトの内部に、センサが設けられてもよい。このセンサとして、3軸加速度センサ等の加速度センサ、ジャイロセンサ(角速度センサ)、GPSセンサ、6軸センサ等が例示される。GPSは、グローバル・ポジショニング・システムの略である。このセンサにより、スイング又はヘッド挙動が計測されうる。
【0241】
カバーの材質として、金属及び非金属が例示される。成形性及び開閉時の操作性を考慮すると、非金属が好ましい。非金属として樹脂が例示される。カバーの比重は、ヘッド本体の比重によりも小さいのが好ましい。カバーを軽くすることでえられた余剰重要をヘッド本体に配分することで、ヘッド本体の設計自由度が高まる。
【0242】
重心調整の自由度の観点から、前記スライド移動におけるウエイト重心の実可動距離は、20mm以上が好ましく、30mm以上がより好ましく、40mm以上がより好ましい。ヘッド体積の制約を考慮すると、この実可動距離は、120mm以下が好ましく、110mm以下がより好ましく、100mm以下がより好ましい。この実可動距離は、ウエイト重心のスライド移動の軌跡に沿った道のり距離である。
【0243】
トウ-ヒール方向におけるヘッド重心の調整の観点から、前記スライド移動におけるウエイト重心のトウ-ヒール方向における可動距離は、15mm以上が好ましく、25mm以上がより好ましく、35mm以上がより好ましい。ヘッド体積の制約を考慮すると、この可動距離は、115mm以下が好ましく、105mm以下がより好ましく、95mm以下がより好ましい。
【0244】
フェース-バック方向におけるヘッド重心の調整の観点から、前記スライド移動におけるウエイト重心のフェース-バック方向における可動距離は、5mm以上が好ましく、7mm以上がより好ましく、10mm以上がより好ましい。ヘッド体積の制約を考慮すると、この可動距離は、80mm以下が好ましく、70mm以下がより好ましく、60mm以下がより好ましい。
【0245】
重心深度を増やす観点からは、前記スライド移動において変化するフェースセンターFcとウエイトの重心との距離の最小値は、20mm以上が好ましく、25mm以上がより好ましく、30mm以上がより好ましい。ヘッド体積の制約を考慮すると、前記スライド移動において変化するフェースセンターFcとウエイトの重心との距離の最大値は、110mm以下が好ましく、105mm以下がより好ましく、100mm以下がより好ましい。
【0246】
上述した実施形態に関して、以下の付記を開示する。
[付記1]
キャビティを備えたヘッド本体と、
前記キャビティに取り外し可能に取り付けられているウエイトと、
前記ヘッド本体に開閉可能に取り付けられ、閉状態では前記キャビティの少なくとも一部を覆うカバーと、
を有しており、
前記ウエイトが、前記キャビティ内におけるスライド移動が可能な状態で前記キャビティに取り付けられており、
前記閉状態において、前記カバーが、前記ウエイトに押圧力を付与しているゴルフクラブヘッド。
[付記2]
前記ウエイトが、当接部を有しており、
前記キャビティが、前記当接部に当接する摺動部を有しており、
前記スライド移動では、前記当接部が前記摺動部に対してスライドする付記1に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記3]
前記キャビティが、前記ウエイトをスライドさせるためのスライド溝を構成しており、
前記ウエイトが、前記スライド溝におけるスライド移動が可能な形状を有している付記2に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記4]
前記当接部が、第1当接部及び第2当接部を有しており、
前記摺動部が、前記第1当接部に当接する第1摺動部と、前記第2当接部に当接する第2摺動部とを有しており、
前記第1当接部が、前記ウエイトの第1の側面であり、
前記第2当接部が、前記ウエイトの第2の側面であり、
前記第1摺動部が、前記スライド溝の第1の側面であり、
前記第2摺動部が、前記スライド溝の第2の側面である付記3に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記5]
前記当接部の形状が、前記摺動部の形状に沿っておらず、
前記スライド移動の可動範囲のあらゆる位置において、前記当接部と前記摺動部との接触箇所が3箇所以上である付記2に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記6]
前記スライド移動中における前記ウエイトと前記キャビティとの接触が、前記当接部と前記摺動部との接触のみである付記2から5のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記7]
前記ウエイトが、前記カバーが前記開状態であるときに重力により前記キャビティから脱落しうる状態で前記キャビティに取り付けられている付記1から6のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記8]
前記ウエイトの前記スライド移動が、前記押圧力によって増大した静止摩擦力のみで阻止されている付記1から7のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記9]
前記カバーが、前記スライド移動における複数位置のそれぞれで前記ウエイトに係合するカバー係合形状を有しており、
前記ウエイトが、前記閉状態の前記カバーにおいて前記カバー係合形状に係合するウエイト係合形状を有している付記1から8のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記10]
前記カバーが前記閉状態にあるとき、前記ウエイトの少なくとも一部が視認されうる付記1から9のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記11]
前記カバーが前記閉状態にあるとき、前記ウエイトの一部が外部に露出している付記10に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記12]
前記カバーが窓部を有しており、
前記カバーが前記閉状態にあるとき、前記スライド移動の可動範囲のあらゆる位置において、前記ウエイトの一部が前記窓部から視認される付記10に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記13]
前記カバーの少なくとも一部が透明性を有しており、
前記カバーが前記閉状態にあるとき、前記スライド移動の可動範囲のあらゆる位置において、前記ウエイトの少なくとも一部が前記カバーを通して視認される付記10に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記14]
前記ウエイトが、前記カバーに係合するウエイト係合部を有しており、
前記カバーが、前記ウエイト係合部に係合するカバー係合部を有しており、
前記ウエイト係合部と前記カバー係合部との係合が、前記スライド移動の可動範囲のあらゆる位置において維持されており、
前記ウエイト係合部と前記カバー係合部との係合により、前記ウエイトが前記カバーから分離しないように前記カバーに取り付けられている付記1から13のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記15]
前記ウエイトが、第1姿勢と前記第1姿勢を上下反転した第2姿勢とのいずれにおいても前記スライド移動を可能とする形状を有している付記1から14のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記16]
前記上下反転により、前記ヘッドの重心位置が変化する付記15に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記17]
前記押圧力により接触圧が高まる部位に弾性体が設けられている付記1から16のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記18]
前記カバーの第1端部が第1のカバー取付部材によって前記ヘッド本体に固定されており、
前記カバーの第2端部が第2のカバー取付部材によって前記ヘッド本体に固定されており、
前記第1のカバー取付部材を取り外した状態で、前記カバーが前記第2端部を中心として回動しうる付記1から17のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記19]
前記第1のカバー取付部材がネジであり、
前記第2のカバー取付部材がネジである付記18に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記20]
前記第1のカバー取付部材がネジであり、
前記第2のカバー取付部材が蝶番である付記18に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記21]
キャビティを備えたヘッド本体と、
前記キャビティに取り外し可能に取り付けられているウエイトと、
前記ヘッド本体に開閉可能に取り付けられ、閉状態では前記キャビティの少なくとも一部を覆うカバーと、
を有しており、
前記ウエイトが、前記キャビティ内におけるスライド移動が可能な状態で前記キャビティに取り付けられており、
前記カバーが、前記スライド移動における複数位置のそれぞれで前記ウエイトに係合しうるカバー係合形状を有しており、
前記ウエイトが、前記閉状態の前記カバーにおける前記カバー係合形状に係合するウエイト係合形状を有しているゴルフクラブヘッド。
[付記22]
前記カバー係合形状が、前記スライド移動における複数位置に形成された複数のカバー凹部又はカバー凸部であり、
前記ウエイト係合形状が、前記カバー凹部又はカバー凸部に係合するウエイト凸部又はウエイト凹部である付記21に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記23]
キャビティを備えたヘッド本体と、
前記キャビティに置かれているウエイトと、
前記ヘッド本体に開閉可能に取り付けられ、閉状態では前記キャビティの少なくとも一部を覆うカバーと、
を有しており、
前記ウエイトが、前記キャビティ内におけるスライド移動が可能な状態で前記キャビティに置かれており、
前記閉状態において、前記カバーが、前記ウエイトに押圧力を付与しているゴルフクラブヘッド。
【符号の説明】
【0247】
100、200、300、400、500、600、700・・・ヘッド
h1、h2、h3、h4、h5、h6、h7・・・ヘッド本体
c1、c2、c3、c4、c5、c6、c7・・・カバー
v1、v2、v3、v4、v5、v6、v7・・・キャビティ
w1、w2、w3、w4、w5、w6、w7・・・ウエイト
116・・・第1当接部(当接部)
118・・・第2当接部(当接部)
130・・・第1摺動部(摺動部)
132・・・第2摺動部(摺動部)