(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】ダンパ装置
(51)【国際特許分類】
F16F 15/129 20060101AFI20241126BHJP
F16F 15/127 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
F16F15/129 B
F16F15/127 A
F16F15/129 D
(21)【出願番号】P 2020135731
(22)【出願日】2020-08-11
【審査請求日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】P 2019198731
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 智洋
(72)【発明者】
【氏名】山田 宇志
(72)【発明者】
【氏名】興梠 友樹
(72)【発明者】
【氏名】奥丸 匡生
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】田岡 章
(72)【発明者】
【氏名】菅原 広治
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-185359(JP,A)
【文献】特開2012-246936(JP,A)
【文献】特開2018-141504(JP,A)
【文献】特開2010-236601(JP,A)
【文献】特開平08-068443(JP,A)
【文献】特開平10-047371(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/129
F16F 15/139
F16F 15/123
F16F 15/134
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸周りに回転し、フライホイールから動力が伝達される第1回転体と、
前記第1回転体から動力が伝達されて前記回転軸周りに回転する第1プレートと、前記第1プレートに対向して配置され前記回転軸周りに前記第1プレートと一体回転する第2プレートと、を少なくとも有する第2回転体と、
前記第2プレートに設けられる支持部によって支持され、且つ軸方向において前記第1回転体に隣接して配されるプレッシャープレートを介して、前記第1回転体を前記第1プレートに対して押し付ける付勢体と、
前記回転軸周りに前記第2回転体に対し相対回転する第3回転体と、
前記第2回転体と前記第3回転体とを回転方向に弾性連結させる弾性機構体と、
を含み、
前記第2プレートは、周方向において前記支持部に隣接する位置に設けられる連結部を有し、
前記連結部は前記第2プレートにおいて径方向に延在する主部から前記第1プレートに向かって突出し、
前記第2プレートは、前記連結部において前記第1プレートと一体化され
、
前記第1プレートには、前記第2プレートの前記連結部を受入れる第1孔が設けられ、
前記連結部は、前記第1孔に挿入されてかしめられ、
前記連結部の端面及び央部の少なくとも一部には、開口部が形成され、
前記開口部は、前記連結部の前記央部に設けられる孔部であり、
前記連結部の側面の少なくとも一部には、周方向に窪む切欠部が形成され、
前記切欠部は、周方向において、前記孔部に対向する位置に形成されるダンパ装置。
【請求項2】
前記プレッシャープレートには、前記第2回転体に対して突出し、且つ前記第2回転体に係合する爪部が設けられる、請求項
1に記載のダンパ装置。
【請求項3】
前記第1プレートには、前記爪部を受入れる第2孔が設けられる、請求項
2に記載のダンパ装置。
【請求項4】
前記第2孔は、前記第1プレート上において、前記第1孔に対して周方向に隣接する位置に設けられる、請求項
3に記載のダンパ装置。
【請求項5】
前記孔部は、前記連結部の前記端面に向かって開口面積が次第に小さくなる孔形状を呈する、請求項
1~4のいずれか一項に記載のダンパ装置。
【請求項6】
前記連結部の前記端面は、凸状の傾斜形状を呈する、請求項
1~5のいずれか一項に記載のダンパ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願において開示された技術は、ダンパ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等において、エンジン等の駆動源と変速機との間のトルク伝達経路上には、当該駆動源から当該変速機に向けて伝達されるトルクの振動を吸収するダンパ装置が設けられており、ダンパ装置は例えばクラッチ装置に組み込まれている。
【0003】
ダンパ装置の一般的な構成としては、互いに相対回転可能な入力部材としてのディスクプレートと出力部材としてのハブとの間に、コイルスプリングを介在させて、コイルスプリングの弾性変形を利用してトルク変動を吸収して減衰させる技術が知られている。また、コイルスプリングの弾性変形を利用してトルクの変動に起因する捩り方向の振動を吸収して減衰させる技術が知られている。
【0004】
具体的なダンパ装置の構成として、例えば特許文献1には、リミッタ部(特許文献1における参照符号2)を構成するカバープレート(特許文献1における参照符号11)、皿ばね(特許文献1における参照符号12)、プレッシャープレート(特許文献1における参照符号13)、及びライニングプレート(特許文献1における参照符号14)と、ダンパ部(特許文献1における参照符号3)を構成する2つのサイドプレート(前述のディスクプレートに相当し、特許文献1における参照符号17及び18)及び当該2つのサイドプレートを一体固定するリベット(特許文献1における参照符号19)等を含むダンパ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のダンパ装置においては、2つのサイドプレートを一体固定するリベットの径方向外側に皿ばねを支持するカバープレート等が設けられているため、ダンパ装置全体として径方向における寸法が大きくなってしまい、搭載の観点で未だ課題がある。
【0007】
そこで、様々な実施形態により、径方向における寸法をコンパクトなものとするダンパ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様に係るダンパ装置は、回転軸周りに回転し、フライホイールから動力が伝達される第1回転体と、前記第1回転体から動力が伝達されて前記回転軸周りに回転する第1プレートと、前記第1プレートに対向して配置され前記回転軸周りに前記第1プレートと一体回転する第2プレートと、を少なくとも有する第2回転体と、前記第2プレートに設けられる支持部によって支持され、且つ軸方向において前記第1回転体に隣接して配されるプレッシャープレートを介して、前記第1回転体を前記第1プレートに対して押し付ける付勢体と、前記回転軸周りに前記第2回転体に対し相対回転する第3回転体と、前記第2回転体と前記第3回転体とを回転方向に弾性連結させる弾性機構体と、を含み、前記第2プレートは、周方向において前記支持部に隣接する位置に設けられる連結部において前記第1プレートと一体化されるものである。
【0009】
この構成によれば、前記第2回転体を構成する前記第2プレート上に前記付勢体を支持する前記支持部を設けた上で、前記第2プレートにおける前記連結部を周方向において前記支持部に隣接する位置に設けることにより、ダンパ装置全体として径方向の寸法(径方向の長さ)をコンパクトなものとすることができる。
【0010】
また、一態様に係る前記ダンパ装置において、前記第1プレートには、前記第2プレートの前記連結部を受入れる第1孔が設けられ、前記連結部は、前記第1孔に挿入されてかしめられることが好ましい。
【0011】
この構成とすることによって、ダンパ装置全体として径方向の寸法をコンパクトなものとしつつ、前記第1プレートと前記第2プレートとを確実に一体化させることが可能となる。
【0012】
また、一態様に係るダンパ装置において、前記第2プレートは、前記連結部としての締結体を介して前記第1プレートと一体化されることが好ましい。
【0013】
この構成とすることによって、ダンパ装置全体として径方向の寸法をコンパクトなものとしつつ、前記第1プレートと前記第2プレートとを確実に一体化させることが可能となる。
【0014】
また、一態様に係る前記ダンパ装置において、前記プレッシャープレートには、前記第2回転体に対して突出し、且つ前記第2回転体に係合する爪部が設けられることが好ましい。
【0015】
この構成とすることによって、前記プレッシャープレートは、前記第2回転体に対する相対回転を規制され、且つ前記第2回転体に対して軸方向へ移動することができるように前記第2回転体に支持されることが可能となる。
【0016】
また、一態様に係る前記ダンパ装置において、前記第1プレートには、前記爪部を受入れる第2孔が設けられることが好ましい。
【0017】
この構成とすることによって、前記プレッシャープレートは、前記第1プレートに対して軸方向へ移動することができるように前記第1プレートに支持されることが可能となる。
【0018】
また、一態様に係る前記ダンパ装置において、前記第2孔は、前記第1プレート上において、前記第1孔に対して周方向に隣接する位置に設けられることが好ましい。
【0019】
この構成とすることによって、ダンパ装置全体としての径方向の寸法をさらにコンパクトなものとすることが可能となる。
【0020】
また、一態様に係る前記ダンパ装置において、前記連結部の端面又は央部の一部には、開口部が形成されることが好ましい。
【0021】
この構成とすることによって、前記第1プレートと前記第2プレートとを効率的且つ確実にかしめて一体化することが可能となる。
【0022】
また、一態様に係る前記ダンパ装置において、前記開口部は、前記連結部の前記端面から前記軸方向に窪む第1切欠部であることが好ましい。
【0023】
この構成とすることによって、前記第1プレートと前記第2プレートとをさらに効率的且つ確実にかしめて一体化することが可能となる。
【0024】
また、一態様に係る前記ダンパ装置において、前記開口部は、前記連結部の前記央部に設けられる孔部であることが好ましい。
【0025】
この構成とすることによって、前記第1プレートと前記第2プレートとをさらに効率的且つ確実にかしめて一体化することが可能となる。
【0026】
また、一態様に係る前記ダンパ装置において、前記孔部は、前記連結部の前記端面に向かって開口面積が次第に小さくなる孔形状を呈することが好ましい。
【0027】
この構成とすることによって、前記第1プレートと前記第2プレートとをさらに効率的且つ確実にかしめて一体化することが可能となる。
【0028】
また、一態様に係る前記ダンパ装置において、前記連結部の前記端面は、凸状の傾斜形状を呈することが好ましい。
【0029】
この構成とすることによって、前記第1プレートと前記第2プレートとをさらに効率的且つ確実にかしめて一体化することが可能となる。
【0030】
また、一態様に係る前記ダンパ装置において、前記連結部の側面の少なくとも一部には、前記周方向に窪む第2切欠部が形成されることが好ましい。
【0031】
この構成とすることによって、前記第1プレートと前記第2プレートとをさらに効率的且つ確実にかしめて一体化することが可能となる。
【0032】
また、一態様に係る前記ダンパ装置において、前記第2切欠部は、前記周方向において、前記孔部に対向する位置に形成されることが好ましい。
【0033】
この構成とすることによって、前記第1プレートと前記第2プレートとをさらに効率的且つ確実にかしめて一体化することが可能となる。
【発明の効果】
【0034】
様々な実施形態によれば、径方向における寸法をコンパクトなものとするダンパ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】一実施形態に係るダンパ装置の構成を模式的に示す概略上面図である。
【
図2】
図1に示したダンパ装置の裏面の構成を模式的に示す概略上面図である。
【
図3】
図1に示したダンパ装置の構成におけるA-A’線及びA1-A1’線の断面を模式的に示す概略断面図である。
【
図4】
図1に示したダンパ装置の構成を模式的に示す概略斜視図である。
【
図5】
図4に示したダンパ装置の構成の一部(第1プレート及びプレッシャープレート)のみを分離して模式的に示す概略斜視図である。
【
図6】一実施形態に係る第2プレートの構成を模式的に示す概略斜視図である。
【
図7】
図2に示したダンパ装置の領域Pを拡大した概略上面図である。
【
図8】
図7に示したダンパ装置の構成におけるX-X’線の断面を模式的に示す概略断面図である。
【
図9】第2実施形態に係るダンパ装置の構成を模式的に示す概略上面図である。
【
図10】
図9に示したダンパ装置の裏面の構成を模式的に示す概略上面図である。
【
図11】
図9に示したダンパ装置の構成におけるB-B’線及びB1-B1’線の断面を模式的に示す概略断面図である。
【
図12】第3実施形態に係るダンパ装置の連結部の構成を模式的に示す概略図である。
【
図13】
図12に示した連結部がかしめられた状態を模式的に示す概略図である。
【
図14】第4実施形態に係るダンパ装置の連結部の構成を模式的に示す概略図である。
【
図15】
図14に示した連結部がかしめられた状態を模式的に示す概略図である。
【
図16】第5実施形態に係るダンパ装置の連結部の構成を模式的に示す概略図である。
【
図17】第6実施形態に係るダンパ装置の連結部の構成を模式的に示す概略図である。
【
図18】第7実施形態に係るダンパ装置の連結部の構成を模式的に示す概略図である。
【
図19】第8実施形態に係るダンパ装置の連結部の構成を模式的に示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付図面を参照して様々な実施形態を説明する。なお、図面において共通した構成要件には同一の参照符号が付されている。また、或る図面に表現された構成要素が、説明の便宜上、別の図面においては省略されていることがある点に留意されたい。さらにまた、添付した図面が必ずしも正確な縮尺で記載されている訳ではないということに注意されたい。
【0037】
1.ダンパ装置の構成
一実施形態に係るダンパ装置の全体構成の概要について、
図1乃至
図8を参照しつつ説明する。
図1は、一実施形態に係るダンパ装置1の構成を模式的に示す概略上面図である。
図2は、
図1に示したダンパ装置の裏面の構成を模式的に示す概略上面図である。
図3は、
図1に示したダンパ装置1の構成におけるA-A’線及びA1-A1’線の断面を模式的に示す概略断面図である。
図4は、
図1に示した一実施形態に係るダンパ装置1の構成を模式的に示す概略斜視図である(但し、
図4においては、
図1において示されていた弾性機構体600の記載は省略されている)。
図5は、
図4に示したダンパ装置の構成の一部(第1プレート201及びプレッシャープレート400)のみを分離して模式的に示す概略斜視図である。
図6は、一実施形態に係る第2プレート201の構成を模式的に示す概略斜視図である。
図7は、
図2に示したダンパ装置1の領域Pを拡大した概略上面図である(但し、
図7においては、
図2において示されていた弾性機構体600の記載は省略されている)。
図8は、
図7に示したダンパ装置1の構成におけるX-X’線の断面を模式的に示す概略断面図である。
【0038】
一実施形態に係るダンパ装置1は、エンジンやモータ等の駆動源(図示せず)と変速機(図示せず)等の動力伝達経路上に設けられ、当該駆動源からの動力がフライホイール(図示せず)を介して伝達されて、当該動力を変速機等へと伝達(出力)するものである。
【0039】
ダンパ装置1は、トルク振動を吸収して減衰させるものである。このダンパ装置1は、
図1乃至
図8に示すように、主に、フライホイールから取付けプレート5を介して動力が伝達される第1回転体としてのライニングプレート100、第2回転体としてのディスクプレート200、第3回転体としてのハブ300、プレッシャープレート400、付勢体としての皿ばね500、及び弾性機構体600を含む。なお、本明細書において軸方向とは、回転軸Oと平行に延びる方向を意味し、径方向とは、回転軸Oに直交する方向を意味し、周方向とは、回転軸Oの周りを周回する方向を意味するものとする。
【0040】
1-1.ライニングプレート100及びプレッシャープレート400
ダンパ装置1において、動力伝達経路上、最も上流側に配される第1回転体としてのライニングプレート100は、
図3に示すように、エンジンやモータ等の駆動源に由来する動力が、当該駆動源に接続される回転軸(図示せず)、フライホイール、及び取付けプレート5を介して伝達される。ライニングプレート100は、取付けプレート5に対してボルトやナット等を介して固定される。
【0041】
また、ライニングプレート100は、プレッシャープレート400及び第2回転体としてのディスクプレート200を構成する第1プレート201に挟まれるように配される。この構成により、プレッシャープレート400が後述する付勢体としての皿ばね500に付勢されると、ライニングプレート100は第1プレート201に押し付けられるように押圧される。これにより、ライニングプレート100に伝達された動力は第1プレート201(ディスクプレート200)へと伝達されることとなる。
【0042】
ライニングプレート100と第1プレート201との間には、両者間の動力伝達効率を向上させるために、摩擦材(図示せず)を別途設けてもよい。また、当該摩擦材の代替として、ライニングプレート100における第1プレート201に対向する面及び第1プレート201におけるライニングプレート100に対向する面に、3d遷移金属を含む化合物により構成される被膜層(図示せず)を形成してもよい。
【0043】
また、ライニングプレート100及びプレッシャープレート400の形状及び材質については、既に公知のものを採用することができる。
【0044】
ライニングプレート100、プレッシャープレート400、及び後述する皿ばね500は、捩り方向のトルク変動をダンパ装置1が吸収しきれなくなった場合に、すべりを発生させる(ライニングプレート100から第1プレート201への動力伝達を遮断する)リミッタとして機能することができる。なお、当該リミッタにおいては、従来から公知の構造を組合せてもよい。
【0045】
プレッシャープレート400には、ディスクプレート200に対して突出し、且つディスクプレート200に係合する爪部405が設けられる。当該爪部405がディスクプレート200に係合される構造の詳細については後述する。また、プレッシャープレート400の内径を画定する内径端部400xは、
図2、
図7、及び
図8に示すような部分的に凸状に形成されることが好ましい。凸状に形成される内径端部400xが、後述する第2プレート202に設けられる凹部227に対応するように配されることで、プレッシャープレート400及び第2プレート202を相互に効率的に位置決めすることが可能となる。
【0046】
1-2.ディスクプレート200
ダンパ装置1において、第2回転体としてのディスクプレート200は、駆動源からの動力が、前述のライニングプレート100を介して伝達され、例えば、金属材料により形成され、特に
図3に示すように、後述するハブ300を挟んで、回転軸Oの周りにおいて回転可能に設けられている。ディスクプレート200は、ハブ300の軸方向両側に設けられ、回転軸O周りに回転する一対の板部材としての第1プレート201及び第2プレート202を含む。
【0047】
第1プレート201は、前述のとおり、ライニングプレート100から直接動力が伝達される。第2プレート202は、軸方向において第1プレート201に対向するように配置されて回転軸O周りに第1プレートと一体回転する。
【0048】
ここで、第1プレート201と第2プレート202とは、
図1乃至
図8に示すように、第2プレート202に設けられる連結部220において第1プレート201と一体化される。第2プレート202に設けられる連結部220は、第2プレート202において径方向に延在する主部202xから第1プレート201に向かって軸方向に突出する形状を有する。また、
図1、
図3、
図4、及び
図5に示すように、第1プレート201には、連結部220を受入れる第1孔210が設けられ、連結部220は当該第1孔210に挿入されてかしめられることで、第1プレート201と第2プレート202とが一体化される。
【0049】
また、第2プレート202には、
図2、
図3、
図6、及び
図7に示すように、後述する皿ばね500を支持するための支持部225が設けられる。第2プレート202に設けられる支持部225は、主部202xから第1プレート201に対向する方向とは反対の軸方向に略L字状に突出する形状を有する構成とすることができる。但し、支持部225の形状は、皿ばね500を支持することが可能な限りにおいて、略L字状に限定されず適宜変更してもよい。
【0050】
第2プレート202に設けられる連結部220及び支持部225は、
図2、
図6、及び
図7に示すように、後述するハブ300よりも径方向外側であって、第2プレート202の周方向において互いに隣接する位置に設けられる。したがって、ダンパ装置1を、
図1に示すA-A’線の断面で見た場合とA1-A1’線の断面で見た場合、
図3に示すように、前者では支持部225が確認され、後者では連結部220が確認される。このような構成とすることで、ダンパ装置1全体として径方向の寸法をコンパクトなものとすることができる。
【0051】
さらにまた、第2プレート202には、前述したとおり、プレッシャープレート400の内径を画定する内径端部400xが、
図2、
図7、及び
図8に示すように部分的に凸状に形成されることに対応して、当該凸状の内径端部400xを受入れる凹部227が設けられることが好ましい。
【0052】
また、第1プレート201には、
図5に示すように、プレッシャープレート400に設けられる前述の爪部405を受入れる第2孔230が設けられる。これにより、プレッシャープレート400は、ディスクプレート200に対する相対回転を規制され(実質的にディスクプレート200と一体回転し)、且つ第2回転体(第1プレート201)に対して軸方向へ移動することができるように第1プレート201に支持される。
【0053】
なお、第2孔230は、
図5に示すように、第1プレート201上において、前述の第1孔210に対して周方向に隣接する位置に設けられる。これにより、ダンパ装置1全体として径方向の寸法をさらにコンパクトなものとすることができる。
【0054】
ところで、第1プレート201及び第2プレート202は、相互に協働して、
図1に示すように、領域I~IVのそれぞれに対応付けて、後述する弾性機構体600を収容する収容領域(
図1に示す例では、4つの収容領域を示す)を形成するように、軸方向に若干膨らんだ形状を有する。各収容領域は、ディスクプレート200の周方向に沿って延びる弾性体610を収容するために、ディスクプレート200の周方向に沿って略直線状又は略円弧上に延びている。なお、領域I乃至IVとは、ダンパ装置1を上面からみて、
図1に示すように、各々が略90度の扇形を有する4つの領域を指すものとする。
【0055】
図1を参照して具体的に説明すると、第1プレート201及び第2プレート202は、領域I~IVに対応付けて、それぞれ、周方向に沿って延びる第1収容領域203a、第2収容領域203b、第3収容領域203c、及び第4収容領域203dを形成している。なお、後述するハブ300には、これら第1収容領域203a、第2収容領域203b、第3収容領域203c、及び第4収容領域203dに対応する形状を有する窓孔301a、301b、301c、及び301dが設けられている。
【0056】
また、ディスクプレート200(第1プレート201)には、後述するハブ300の過剰な相対回転(ディスクプレート200に対するハブ300の相対回転)を規制する規制部250が設けられる。
【0057】
その他、ディスクプレート200(第1プレート201及び第2プレート202)には、従来から公知の構造を適宜に組み合わせることで、ダンパ装置1としての機能を発揮させればよい。
【0058】
1-3.ハブ300
第3回転体としてのハブ300は、ダンパ装置1の出力部材として機能し、例えば、金属材料により形成され、全体として略環状に延びる形状を有し、第1プレート201及び第2プレート202に挟まれて、回転軸Oの周りにディスクプレート200(第1プレート201及び第2プレート202)に対して相対回転可能に設けられる。また、ハブ300は、
図4に示すように、略円筒状の円筒部302に形成された貫通孔303に、変速機の入力軸(図示せず)を挿通させて当該入力軸とスプライン結合することができる。また、ハブ300は、円筒部302から径方向外側に向かって外径を有する円板部305を有する。
【0059】
円板部305には、前述のとおり、ディスクプレート200に設けられる第1収容領域203a、第2収容領域203b、第3収容領域203c、及び第4収容領域203dに対応する形状を有する窓孔301a、301b、301c、及び301dが等間隔に形成される。ハブ300に設けられるこれらの窓孔301a、301b、301c、及び301dは、後述する弾性機構体600の構成、より詳細には、弾性体610の数に対応して設けられる。つまり、各窓孔301a、301b、301c、及び301dには、後述する弾性機構体600が収容される。
【0060】
円板部305の径方向端部には、領域I~IVに対応付けて、突起部(図示せず)が設けられており、当該突起部は、ハブ300がディスクプレート200に対して相対回転することができるように、第1プレート201に設けられる切欠き205(
図1及び
図4参照)内に収容される。また、突起部は、ハブ300がディスクプレート200に対して所定捩り角相対回転すると、ディスクプレート200(第1プレート201)に設けられる前述の規制部250に当接するように構成されている。これにより、ハブ300の過剰な相対回転が防止される。
【0061】
1-4.皿ばね500
付勢体としての皿ばね500は、前述のリミッタを構成し、且つ前述のライニングプレート100を、プレッシャープレート400を介して第1プレート201に押し付けるように付勢することで、ライニングプレート100から第1プレート201(ディスクプレート200)への動力伝達を実現させる構成要素である。
【0062】
皿ばね500は、従来から公知の構造のものを用いることができる。皿ばね500は、ディスクプレート200(第2プレート202)に設けられる前述の支持部225に支持される。
【0063】
1-5.弾性機構体600
弾性機構体600は、
図1及び
図2に示すように、各領域I乃至IVにおいて、コイルスプリングが主に用いられる弾性体610、及び弾性体を支持する一対のシート部材620(第1シート部材620x並びに第2シート部材620y)から主に構成される。なお、
図1及び
図2においては、各領域I乃至IVにおいて1つのコイルスプリングが用いられる一例が示されているが、これに限定されず、例えば、各領域I乃至IVにおいて2つのコイルスプリングを直列に配置してもよい。
【0064】
そして、
図1乃至
図8に示した一実施形態では、一例として、ディスクプレート200には、4つの収容領域、すなわち、第1収容領域203a、第2収容領域203b、第3収容領域203c、及び第4収容領域203d(これらに対応して、ハブ300にも前述のとおり窓孔301a、301b、301c、及び301dが設けられている)が形成されるので、これら4つの収容領域の各々に、つまり各領域I~IVに対応付けて、1つの弾性体610が収容される。また、各領域I乃至IVにおいて、弾性体610は、各収容領域において、その両端を一対のシート部材620(第1シート部材620x及び第2シート部材620y)に支持される。
【0065】
以上の構成により、弾性体610は、シート部材620を介して、ディスクプレート200とハブ300とを、回転方向に弾性連結させることが可能となっている。つまり、エンジンやモータ等の駆動源からの動力が、ディスクプレート200、第1シート部材620x、弾性体610、第2シート部材620y、及びハブ300の順に伝達された上で(時計回りに正側の動力が伝達される場合を前提とする)、ディスクプレート200とハブ300とが互いに相対回転すると、弾性体610が圧縮変形させられることでトルク変動を吸収する。
【0066】
1-6.その他の構成要素(ヒステリシス発生部材700)
一実施形態に係るダンパ装置1においては、前述にて説明した各構成要素の他に、
図3に示すように、ハブ300に対して相対回転することでヒステリシストルクを発生させるヒステリシス発生部材700が設けられる。ヒステリシス発生部材700は、主に、ディスクプレート200における第1プレート201と一体回転する略円環状の第1ヒステリシスプレート701、ディスクプレート200における第2プレート202と一体回転する略円環状の第2ヒステリシスプレート702、ハブ300と一体回転する略円環状の第3ヒステリシスプレート703、第1ヒステリシスプレート701と第3ヒステリシスプレート703に挟まれる第4ヒステリシスプレート704、第2ヒステリシスプレート702と第3ヒステリシスプレート703に挟まれる第5ヒステリシスプレート705、第1プレート201に支持され第1プレート201と第1ヒステリシスプレート701との間に配される第1皿ばね706、及びハブ300(円板部305)に支持されハブ300(円板部305)と第3ヒステリシスプレート703との間に配される第2皿ばね707から構成される。第1ヒステリシスプレート701、第2ヒステリシスプレート702、第3ヒステリシスプレート703、第4ヒステリシスプレート704、及び第5ヒステリシスプレート705は、軸方向に僅かに移動できるように構成されている。
【0067】
まず、第3ヒステリシスプレート703は、第2皿ばね707によってハブ300(円板部305)から離れる方向に付勢されて第4ヒステリシスプレート704に押し付けられるように構成されている。これにより、第3ヒステリシスプレート703と第4ヒステリシスプレート704との間でヒステリシストルクが発生する。
【0068】
次に、第1ヒステリシスプレート701は、第1皿ばね706によって第1プレート201から離れる方向に付勢されて第4ヒステリシスプレート704に押し付けられるように構成される。これにより、第1ヒステリシスプレート701と第4ヒステリシスプレート704との間でヒステリシストルクが発生する。
【0069】
さらに、第1皿ばね706が第1ヒステリシスプレート701を付勢する付勢力が、第2皿ばね707が第3ヒステリシスプレート703を付勢する付勢力よりも大きい場合、第1皿ばね706に付勢された第1ヒステリシスプレート701は、第4ヒステリシスプレート704、第3ヒステリシスプレート703、ハブ300、及び第5ヒステリシスプレート705を、第2ヒステリシスプレート702に押し付けるように各々を軸方向(
図3においては紙面左方向)へ移動させる。これにより、第4ヒステリシスプレート704と第5ヒステリシスプレート705の軸方向延在部705yとの間、第3ヒステリシスプレート703と第5ヒステリシスプレート705の径方向延在部705xとの間、及び第5ヒステリシスプレート705の径方向延在部705xと第2ヒステリシスプレート702との間において、各々ヒステリシストルクを発生させることができる。
【0070】
なお、一実施形態に係るダンパ装置1においては、前述の構成要素に加えて、従来から公知の他の構成要素を適宜組合せてもよい。
【0071】
2.変形例
2-1.第2実施形態
次に、第2実施形態に係るダンパ装置1の構成について、
図9乃至
図11を参照して説明する。
図9は、第2実施形態に係るダンパ装置1の構成を模式的に示す概略上面図である。
図10は、
図9に示したダンパ装置1の裏面の構成を模式的に示す概略上面図である。
図11は、
図9に示したダンパ装置1の構成におけるB-B’線及びB1-B1’線の断面を模式的に示す概略断面図である。
【0072】
第2実施形態に係るダンパ装置1は、前述した一実施形態に係るダンパ装置1と概ね同様の構成であるが、ディスクプレート200を構成する第1プレート201と第2プレート202を一体化する構成において、一実施形態と異なる。したがって、第2実施形態に係るダンパ装置1において、一実施形態に係るダンパ装置1と同一の構成となる部分(構成要素)については、その詳細な説明を省略する。
【0073】
一実施形態に係るダンパ装置1のディスクプレート200は、第2プレート202に設けられる連結部220が、第1プレート201に設けられる第1孔210に挿入されてかしめられることで第1プレート201と第2プレート202とが一体化されるのに対し、第2実施形態に係るダンパ装置1においては、
図9乃至
図11に示すように、第2プレート202に設けられる連結部220において、締結体としてのリベット800を介して第2プレート202が第1プレート201と一体化される。なお、
図10及び
図11に示すように、第2プレート202に設けられる連結部220(リベット800)及び支持部225も、一実施形態と同様、後述するハブ300よりも径方向外側であって、第2プレート202の周方向において互いに隣接する位置に設けられる。したがって、第2実施形態に係るダンパ装置1も、全体として径方向の寸法をコンパクトなものとすることができる。
【0074】
2-2.第3実施形態
次に、第3実施形態に係るダンパ装置1の構成について、
図12及び
図13を参照して説明する。
図12は、第3実施形態に係るダンパ装置1の連結部220の構成を模式的に示す概略図である。
図13は、
図12に示した連結部220がかしめられた状態を模式的に示す概略図である。
【0075】
第3実施形態に係るダンパ装置1は、前述した一実施形態に係るダンパ装置1と概ね同様の構成であるが、ディスクプレート200を構成する第1プレート201と第2プレート202を一体化する構成において、第2プレート202に設けられる連結部220の構造が一実施形態とは異なる。したがって、第3実施形態に係るダンパ装置1において、連結部220に係る部分以外の、一実施形態に係るダンパ装置1と同一の構成となる部分(構成要素)については、その詳細な説明を省略する。
【0076】
第3実施形態に係る第2プレート202の連結部220の端面220xには、
図12に示すように、開口部としての第1切欠部221が形成されている。第1切欠部221の形状は、例えば、軸方向(
図12においては紙面上下方向)に略U字状に窪む形状のものを採用してもよいが、この形状に限定されず、例えば、略V字状に窪む形状や他の形状のものも採用することができる。
【0077】
さらに、第3実施形態に係る第2プレート202の連結部220の側面220yには、
図12に示すように、周方向(
図12においては紙面左右方向)に窪む第2切欠部222が形成されることが好ましい。
【0078】
第3実施形態に係る第2プレート202の連結部220を、
図12に示すように、第1プレート201の第1孔210に挿入した後、連結部220の端面220x近傍を不図示の治具で打ち込むことで、
図13に示すように、連結部220をかしめることができる。この際、連結部220における第1プレート201の第1孔210から突出する部分(例えば、
図12においては、軸方向において第2切欠部222と端面220xとの間の部分)が、第1切欠部221及び第2切欠部222によって外力が入力されると容易に座屈するよう構成されている(脆弱に構成されている)ため、連結部220を効率的且つ確実にかしめることができる。
【0079】
2-3.第4実施形態
次に、第4実施形態に係るダンパ装置1の構成について、
図14及び
図15を参照して説明する。
図14は、第4実施形態に係るダンパ装置1の連結部220の構成を模式的に示す概略図である。
図15は、
図14に示した連結部220がかしめられた状態を模式的に示す概略図である。
【0080】
第4実施形態に係るダンパ装置1は、前述した第3実施形態に係るダンパ装置1と概ね同様の構成であるが、第2プレート202に設けられる連結部220の構造が第3実施形態とは異なる。したがって、第4実施形態に係るダンパ装置1において、連結部220に係る部分のみに着目して以下説明をし、その他の部分(構成要素)については、その詳細な説明を省略する。
【0081】
第4実施形態に係る第2プレート202の連結部220の央部付近には、開口部としての孔部223が形成されている。孔部223の形状は、例えば、
図14に示すように、矩形状のものを用いることができる。なお、本明細書において央部とは、連結部220の端面220xと主部202xとの間の部分の全てを含むことができる。
【0082】
さらに、第3実施形態と同様、第4実施形態に係る第2プレート202の連結部220の側面220yにも、
図14に示すように、周方向(
図14においては紙面左右方向)に窪む第2切欠部222が形成されることが好ましい。なお、第4実施形態における第2切欠部222は、
図14に示すように、周方向において、孔部223に対向する位置(つまり、軸方向において概ね同じ位置であって、例えば、第1プレート201の表面201xと同じ軸方向位置)に形成されることが好ましい。
【0083】
第4実施形態に係る第2プレート202の連結部220を、
図14に示すように、第1プレート201の第1孔210に挿入した後、連結部220の端面220xを不図示の治具で打ち込むことで、
図15に示すように、連結部220をかしめることができる。この際、連結部220における第1プレート201の第1孔210から突出する部分(例えば、
図14においては、軸方向において第2切欠部222と端面220xとの間の部分)が、第1切欠部221及び第2切欠部222によって外力が入力されると容易に座屈するよう構成されている(脆弱に構成されている)ため、連結部220を効率的且つ確実にかしめることができる。
【0084】
2-4.第5実施形態
次に、第5実施形態に係るダンパ装置1の構成について、
図16を参照して説明する。
図16は、第5実施形態に係るダンパ装置1の連結部220の構成を模式的に示す概略図である。なお、第5実施形態に係るダンパ装置1は、前述した第4実施形態に係る連結部220の孔部223の形状の変形例である。
【0085】
第5実施形態に係る第2プレート202の連結部220の央部付近には、第4実施形態と同様、開口部としての孔部223が形成されており、孔部223の形状は、第4実施形態とは異なり、略台形状のものを用いることができるが、これに限定されない。第5実施形態に係る連結部220の孔部223は、連結部220の端面220xに向かって開口面積が次第に小さくなる孔形状を呈すればよく、例えば、三角形状、円形状、楕円形状等のものを用いることもできる。孔部223の形状を上記のものとすることで、連結部220がさらに容易に座屈することが可能となり、連結部220をさらに効率的且つ確実にかしめることができる。
【0086】
2-5.第6実施形態
次に、第6実施形態に係るダンパ装置1の構成について、
図17を参照して説明する。
図17は、第6実施形態に係るダンパ装置1の連結部220の構成を模式的に示す概略図である。なお、第6実施形態に係るダンパ装置1は、前述した第5実施形態に係る連結部220の端面220xの形状の変形例である。
【0087】
第6実施形態に係る第2プレート202の連結部220の端面220xは、
図17に示すように、第2プレート202の主部202xから離れる方向に向かう凸状の傾斜形状を有する。連結部220がこのような形状を有することにより、不図示の治具で打ち込まれて端面220x付近の連結部220が変形する(座屈する)際に、変形した連結部220が第1プレート201の表面201x上を効率的に覆うことが可能となる(つまり、例えば
図15に示される場合に比して、第1プレート201の表面201x上に座屈する連結部220の量・程度を増やすことが可能となる)。これにより、連結部220をさらに効率的且つ確実にかしめることができる。
【0088】
2-6.第7実施形態
次に、第7実施形態に係るダンパ装置1の構成について、
図18を参照して説明する。
図18は、第7実施形態に係るダンパ装置1の連結部220の構成を模式的に示す概略図である。なお、第7実施形態に係るダンパ装置1は、前述した第3実施形態に係る連結部220の形状の変形例である。
【0089】
第7実施形態に係る第2プレート202の連結部220には、
図18に示すように、開口部としての第1切欠部221の底部221xに、主部202xから離れる方向に向かう凸状の座部224が形成される。座部224が第1切欠部221の底部221xに形成されることにより、連結部220が不図示の治具で打ち込まれる際に、連結部220の根本部220pが座屈してしまうことを防止することができる。これにより、連結部220の第2切欠部222と端面220xとの間の部分が効率的に座屈して、連結部220をさらに効率的且つ確実にかしめることができる。
【0090】
2-7.第8実施形態
次に、第8実施形態に係るダンパ装置1の構成について、
図19を参照して説明する。
図19は、第8実施形態に係るダンパ装置1の連結部220の構成を模式的に示す概略図である。なお、第8実施形態に係るダンパ装置1は、前述した第4実施形態に係る連結部220の変形例である。
【0091】
第8実施形態に係る第2プレート202の連結部220の央部には、
図19に示すように、第4実施形態における孔部223の代わりに、リブ部227が形成されている。リブ部227とは、連結部220の他の部位に対して強度が補強される部分であって、例えば、溝や凹凸部等のプレス加工が施された態様や、別部材が接着された態様等を制限なく用いることができる。
【0092】
このような連結部220が不図示の治具で打ち込まれると、連結部220の第2切欠部222と端面220xとの間の部分が脆弱部となってより容易に座屈せしめることができる。これにより、連結部220は、より効率的且つ確実にかしめられる。
【0093】
2-8.その他の形態
以上のとおり、第2プレート202の連結部220について、様々な形状について説明したが、これらの形状に限定されず、他の形状も採用されうる。例えば、連結部220として、第1プレート201の第1孔210の孔径よりも大きな幅を有するクリップ状の板ばねを採用することができる。この場合、クリップ状の連結部220を、第1プレート201の第1孔210に挿入しつつ、追加的に治具でかしめることで第1プレート201と第2プレート202とを、より強固に一体化してもよい。
また、以上のとおり説明した様々な実施形態を適宜に組み合わせた形状を採用することができる。
【0094】
以上、前述の通り、様々な実施形態を例示したが、上記実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数等は適宜変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0095】
1 ダンパ装置
100 第1回転体(ライニングプレート)
200 第2回転体(ディスクプレート)
201 第1プレート
202 第2プレート
210 第1孔
220 連結部
220x 連結部の端面
221 第1切欠部
222 第2切欠部
223 孔部
225 支持部
230 第2孔
300 第3回転体(ハブ)
400 プレッシャープレート
405 爪部
500 付勢体(皿ばね)
600 弾性機構体
800 締結体(リベット)
O 回転軸