(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】原稿読取装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20241126BHJP
H04N 1/04 20060101ALI20241126BHJP
B65H 11/00 20060101ALI20241126BHJP
B65H 1/00 20060101ALI20241126BHJP
G03B 27/62 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
H04N1/00 567Q
H04N1/12 Z
H04N1/00 L
B65H11/00 A
B65H1/00 A
G03B27/62
(21)【出願番号】P 2020154427
(22)【出願日】2020-09-15
【審査請求日】2023-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】林 寿宏
(72)【発明者】
【氏名】大谷 基文
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸一
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-155449(JP,A)
【文献】特開2003-063663(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/04
B65H 11/00
B65H 1/00
G03B 27/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿が装置後方側から装置前方側に向かって挿入される挿入口と、
前記挿入口から前記装置後方の端部にかけての装置上面に設けられ、前記挿入口に挿入される前記原稿の後端側を載置可能な載置部と、
前記挿入口から挿入された前記原稿を、前記装置前方側に搬送させながら読み取る読取部と、
装置本体の前記装置後方側の後側面に配置され、前記挿入口に挿入される前記原稿の前記後端側を支持可能な支持面を有する支持部材と、を備え、
前記装置本体は、前記支持部材が取り付けられる取付部を有し、
前記装置本体の前記後側面の下方の角部において、前記後側面に対して前記装置本体の内側に向けて傾斜する傾斜部を有し、
前記取付部は前記傾斜部に配置され、前記支持部材の前記支持面は前記傾斜部の延在方向に沿って配置され、
前記支持部材は、前記載置部よりも低い位置で前記原稿を支持することを特徴とする原稿読取装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の原稿読取装置であって、
前記装置後方側の前記後側面と、前記支持部材の前記支持面と、が対向する前記支持部材の下方端部において前記原稿の前記後端を挟んで保持する、原稿読取装置。
【請求項3】
原稿が装置後方側から装置前方側に向かって挿入される挿入口と、
前記挿入口から前記装置後方の端部にかけての装置上面に設けられ、前記挿入口に挿入される前記原稿の後端側を載置可能な載置部と、
前記挿入口から挿入された前記原稿を、前記装置前方側に搬送させながら読み取る読取部と、
装置本体の前記装置後方側の後側面に配置され、前記挿入口に挿入される前記原稿の前記後端側を支持可能な支持面を有する支持部材と、を備え、
前記支持部材は、前記後側面において、前記載置部よりも低い位置で前記原稿を支持し、
前記載置部は、
前記装置後方に向かって下降する第1傾斜面と、前記装置後方側の前記端部に形成され、前記第1傾斜面よりも傾斜が大きい第2傾斜面と、を有する、原稿読取装置。
【請求項4】
原稿が装置後方側から装置前方側に向かって挿入される挿入口と、
前記挿入口から前記装置後方の端部にかけての装置上面に設けられ、前記挿入口に挿入される前記原稿の後端側を載置可能な載置部と、
前記挿入口から挿入された前記原稿を、前記装置前方側に搬送させながら読み取る読取部と、
装置本体の前記装置後方側の後側面に配置され、前記挿入口に挿入される前記原稿の前記後端側を支持可能な支持面を有する支持部材と、を備え、
前記支持部材は、前記後側面において、前記載置部よりも低い位置で前記原稿を支持し、
前記載置部は、
前記装置後方に向かって下降する第1傾斜面と、前記第1傾斜面から連なる第1傾斜面よりも傾斜が緩やかな平坦面と、平坦面に連なり前記後側面に亘って形成される面取り部と、を有する、原稿読取装置。
【請求項5】
請求項
3または4に記載の原稿読取装置であって、
前記装置本体は、前記装置上面の後端側に配置された取付部を有し、
前記支持部材は、前記取付部に取り付けられた位置から前記後側面に沿って前記載置部よりも低い位置に延在する延在部を有し、
前記支持面は、前記延在部の前記載置部よりも低い位置にから斜め上方に向けて延在する、原稿読取装置。
【請求項6】
請求項
5に記載の原稿読取装置であって、
前記支持部材の前記延在部と、前記支持部材の前記支持面と、が対向する前記支持部材の下方端部において前記原稿の前記後端を挟んで保持する、原稿読取装置。
【請求項7】
請求項1から請求項
6のいずれか一項に記載の原稿読取装置であって、
前記支持部材の上端は、装置全体の最も高い位置よりも低い位置に配置される、原稿読取装置。
【請求項8】
請求項1から請求項
7のいずれか一項に記載の原稿読取装置であって、
前記支持部材は、可撓性を有し、前記装置後方側の前記後側面に取り付けられた状態で、前記原稿の搬送方向と交差する幅方向の中央部が下方に凸の湾曲形状を有する、原稿読取装置。
【請求項9】
請求項1から請求項
8のいずれか一項に記載の原稿読取装置であって、
前記装置本体の下部に脚部を備え、前記支持部材の後端の位置は、前記脚部の後端の位置よりも前記装置本体側に配置される、原稿読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、媒体が挿入される挿入口、及び媒体が排出される排出口を有する筐体と、挿入口から挿入される媒体を搬送する搬送ローラー対と、搬送ローラー対により搬送される媒体を読み取る読取部と、を備えたスキャナー装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記スキャナー装置において、長尺の媒体を挿入口にセットする場合、媒体の後端側がスキャナー装置の後方に垂れ下がることになる。このような状態では、媒体の自重による落下を防ぐため、手指で媒体を押さえながら挿入口に挿入する必要がある。しかしながら、手指で媒体を押さえながら挿入した際、媒体が斜行した状態で挿入口に挿入され易く、媒体の搬送性が安定しない、という課題がある。
また、媒体の搬送中にジャム等の搬送トラブルが発生し、当該ジャムを解除するために搬送ローラー対における媒体のニップを解放させた際、媒体が自重によりスキャナー装置の後方に落下してしまう、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
原稿読取装置は、原稿が装置後方側から装置前方側に向かって挿入される挿入口と、前記挿入口から前記装置後方の端部にかけての装置上面に設けられ、前記挿入口に挿入される前記原稿の後端側を載置可能な載置部と、前記挿入口から挿入された前記原稿を、前記装置前方側に搬送させながら読み取る読取部と、装置本体の前記装置後方側の後側面に配置され、前記挿入口に挿入される前記原稿の前記後端側を支持可能な支持面を有する支持部材と、を備え、前記支持部材は、前記後側面において、前記載置部よりも低い位置で前記原稿を支持する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図7】原稿読取装置における原稿の読み取り動作の一例を示す模式図。
【
図8】原稿読取装置における原稿の読み取り動作の他の例を示す模式図。
【
図9】原稿読取装置における原稿の読み取り動作の他の例を示す模式図。
【
図10】原稿読取装置における原稿の読み取り動作の他の例を示す模式図。
【
図11】原稿読取装置における原稿の読み取り動作の他の例を示す模式図。
【
図12】原稿読取装置における原稿の読み取り動作の他の例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
まず、原稿読取装置1の構成について説明する。
図1、
図2及び
図3に示すように、原稿読取装置1は、本体部10(装置本体に相当)を備える。当該本体部10内には、記録媒体が巻き重ねられたロール90をセットするロールセット部3と、記録媒体にインクを吐出して画像を形成可能な記録ヘッド4と、が収容される。また、本体部10は、記録ヘッド4により画像が形成された記録媒体を排出する記録媒体排出口13を備える。また、ロール90を装着するロールセット部3を覆うカバー37が設けられる。カバー37は、X軸に沿って延在する。カバー37は、X軸に沿った軸部を備え、当該軸部を中心に開閉可能に構成される。カバー37を開状態にすることで、ロールセット部3が露出し、ロール90をロールセット部3にセットすることができる。ロールセット部3では、例えば、A4サイズからA1サイズ等の各サイズ幅のロール90を適宜セットすることができる。
【0008】
本体部10は、本体部10の下部に配置される脚部17によって支持される。脚部17は、ベース19と、ベース19上に立設され、本体部10を支持する支柱18とを備える。また、本体部10の下方には、本体部10側から排出された記録媒体や原稿Pを受け止める捕集部15を有する。
【0009】
原稿読取装置1は、原稿Pを読み取るスキャナーユニット5を備える。すなわち、本実施形態の原稿読取装置1は、記録装置としても使用可能な構成を有し、例えば、スキャナーユニット5で原稿Pから読み取った画像を、記録ヘッド4を用いて記録媒体に記録することが可能な構成を有する。スキャナーユニット5は、本体部10の+Z方向の上端であり、+Y方向の端部に配置される。スキャナーユニット5は、例えば、A4サイズからA1サイズ等の各種サイズの原稿Pを読取可能である。
【0010】
スキャナーユニット5は、当該スキャナーユニット5の内部に読み取るための原稿Pを挿入する挿入口6と、読取部8と、読取部8に読み取られた原稿Pを排出する排出口7と、を備える。挿入口6から挿入された原稿Pは、搬送ローラー対40によって搬送され、読取部8を介して排出口7に至る。
本実施形態では、原稿Pは、原稿読取装置1の装置後方側となる-Y方向から装置前方側となる+Y方向に向かって挿入口6に挿入される。そして、挿入口6に挿入された原稿Pは挿入口6から装置前方側の+Y方向に搬送されながら読取部8に読み取られ、スキャナーユニット5の+Y方向端部に設けられた排出口7から排出される。
【0011】
スキャナーユニット5はカバー部2を備える。カバー部2は、本体部10に対して、X軸に沿って延在する回転軸44を基準にして開閉可能に構成される。回転軸44は、X軸に平行な軸であり、カバー部2の-Y方向の後端における左右(+X方向及び-X方向)の両端部に設けられる。
【0012】
本実施形態では、カバー部2の内側に読取部8が設けられる。
読取部8は、搬送される原稿Pの画像情報を読み取るものである。本実施形態の読取部8は、密着光学方式のセンサー(CIS:Contact Image Sensor)である。読取部8は、ライン型センサーであり、フォトセンサー、光源部及びレンズ等を有する。
【0013】
本体部10の装置前方となる+Y方向には操作パネル9が配置される。本実施形態では、スキャナーユニット5の+X方向に操作パネル9が配置される。操作パネル9は、表示パネルを有し、例えば、タッチパネルなどのユーザーによる入力を受け付け可能なパネルである。また、操作パネル9の傾斜を調整(チルト調整)可能な構造である。
【0014】
ユーザーは、原稿読取装置1の装置前方となる+Y方向端部と対面する状態で原稿Pのセット等の作業を行う。装置前方側には操作パネル9が配置されるため、原稿読取装置1の操作が容易となる。また、装置前方側に排出口7や記録媒体排出口13が配置されるため、読み取りが終了した原稿Pや画像が形成された記録媒体を回収しやすい。
【0015】
原稿読取装置1の本体部10は、挿入口6から装置後方となる-Y方向の端部20にかけて設けられ、挿入口6に挿入される原稿Pの後端Pe側(
図7参照)を載置可能な載置部30を有する。X軸に延在する挿入口6から-Y方向の端部20までの領域が載置部30であり、原稿Pの載置可能領域30Aとなる。すなわち、載置部30は、本体部10の天面(装置上面)である。
【0016】
挿入口6は、端部20よりも高い位置に設けられる。すなわち、挿入口6は、端部20よりも+Z方向に位置する。そして、挿入口6と端部20との間において、挿入口6より上方の部分を含まない。すなわち、載置部30の挿入口6から端部20にかけて、例えば、上方に凸状部分等を有していない。従って、原稿Pを載置部30に載置する際にあたって原稿Pを阻害するものがなく、原稿Pを載置部30に容易にセットすることができる。
【0017】
また、載置部30は、挿入口6側から端部20に向けて下方に傾斜する第1傾斜面31を有する。第1傾斜面31は、挿入口6と端部20との中間部分に設けられる。第1傾斜面31は、載置部30のX軸に沿って同じ幅で形成される。さらに、第1傾斜面31の-Y方向の端部20付近には、第1傾斜面31よりも水平面に対して傾斜が大きい第2傾斜面32が形成される。第2傾斜面32は、第1傾斜面31の-Y方向端部から端部20に向けて下方に傾斜する。これにより、例えば、載置部30が段差状の構成の場合と比較して、原稿Pの搬送性が向上する。
【0018】
図4に示すように、載置部30には、挿入口6に原稿Pをセットする際に、原稿Pの読み取り基準位置を示すガイド25が設けられる。
本実施形態では、ガイド25は、X軸に沿って延在する挿入口6の-X方向端部に配置される。ガイド25の+X方向端部にガイド面25aが設けられる。ガイド面25aは、Y軸に沿って平坦面を有する。
これにより、原稿Pの幅方向端辺(-X方向側の端辺)をガイド面25aに当接することで、容易に原稿Pの位置出しを行うことができる。
【0019】
また、原稿読取装置1には、支持部材50が設けられる。支持部材50は、原稿読取装置1の本体部10の後方(-Y方向)に配置される。支持部材50は平坦な支持面51を有し、挿入口6に挿入される原稿Pの後端Pe側を支持する。支持部材50は、板状部材であり、例えば、プラスチック材で成形される。また、支持部材50が本体部10に取り付けられた状態において、支持部材50のX軸に沿った方向の中央部に、支持部材50の下部から上部に向けてスリット状の貫通孔55が形成される。これにより、支持部材50の軽量化が図れる。また、支持する原稿Pと支持面51との間の静電気の発生を抑制できる。
【0020】
本体部10の装置後方側(-Y方向)にはZ軸に沿って形成された後側面21が形成され、当該後側面21に取付部28が配置される。取付部28は、後側面21において載置部30よりも低い位置に取り付けられる。そして、取付部28に支持部材50が取り付けられる。支持部材50は後側面21と対向して配置される。
【0021】
これにより、例えば、長尺の原稿Pを読み取る場合、原稿Pの後端Peが支持部材50によって支持される。このため、原稿Pを本体部10の後方側に垂れ下げた状態で搬送する構成に比べて、原稿Pの後端Peが揺れにくく、原稿Pの姿勢が安定し、搬送性を向上させることができる。
また、カバー部2を開状態に移行し、搬送ローラー対40による原稿Pの保持を解除した場合であっても、原稿Pは支持部材50によって支持される。このため、原稿読取装置1からの原稿Pの落下を防止することができる。
【0022】
図3及び
図5に示すように、本体部10の後側面21の下方の角部において、後側面21に対して本体部10の内側に向けて傾斜する傾斜部24が形成される。傾斜部24は、平坦な傾斜面24aを有する。取付部28は傾斜部24の傾斜面24aに配置される。本実施形態の取付部28は、例えば、配線ケーブル等を挟持可能なケーブルクランプであり、X軸に沿って2つ設けられる。そして、
図6A及び
図6Bに示すように、支持部材50の下端部が取付部28に取り付けられる。
具体的には、支持部材50には、取付部28であるケーブルクランプの一部と係合するための取付孔57が形成される。当該取付孔57は鉤状の切り欠きを成し、取付孔57は、第1部分57aと、第1部分57aよりも小さい領域の第2部分57bと、を有する。第1部分57aは、取付部28であるケーブルクランプの一部が挿入可能な領域を有する大きさである。第1部分57aと第2部分57bとは、X軸に沿った方向に連続して形成される。
そして、
図6Aに示すように、支持部材50の下端をケーブルクランプの下方の突起部に支持させ、支持部材50の第1部分57aにケーブルクランプの上方の突起部を挿入する。
次いで、
図6Bに示すように、支持部材50を+X方向に移動させる。これにより、ケーブルクランプに対する取付孔57の位置が移動し、ケーブルクランプの上方の突起部と第2部分57bとが係合する。これにより、取付部28から支持部材50が外れに難くなる。
取付部28に支持部材50が取り付けられた状態において、支持部材50の支持面51は傾斜部24の傾斜面24aの延在方向に沿って配置される。
水平面に対する傾斜面24aの角度はおよそ60°であり、後側面21と支持面51とで成す角度θは、およそ30°であり、鋭角となる。これにより、後側面21と支持面51との間で原稿Pを確実に支持することができる。
【0023】
また、支持部材50の取付部28に取り付けられた下端部から+Z方向に向けた上端50aまでの長さ寸法は、支持する原稿Pの形態に応じて適宜設定することができる。
本実施形態における上端50aは、カバー部2の+Z方向端部よりも+Z方向に位置する。
なお、支持部材50の上端50aが、原稿読取装置1における装置全体の最も高いカバー部2の高さよりも低い位置に配置される構成であってもよい。このようにすれば、原稿読取装置1全体の高さ寸法を抑えることができる。
【0024】
また、支持部材50の上端50a(後端)の-Y方向の位置は、脚部17のベース19の-Y方向端の位置よりも本体部10側に配置される(
図2参照)。これにより、原稿読取装置1の奥行寸法を抑えることができる。
【0025】
また、支持部材50のX軸に沿った方向における幅寸法は、適宜設定可能である。本実施形態では、
図4に示すように、原稿読取装置1に使用可能な原稿Pの最大幅寸法のおよそ半分程度の大きさである。そして、本実施形態では、支持部材50は、原稿Pの読み取り基準位置を示すガイド25側、すなわち、後側面21の-X方向側に配置される。これにより、幅寸法が異なる各種原稿Pを支持することが可能となる。
【0026】
次に、原稿読取装置1における原稿Pの読み取り動作について説明する。
図7では、長尺の原稿Pを読み取る場合について説明する。
長尺の原稿Pを原稿読取装置1にセットする場合、原稿Pの後端Pe側を本体部10の後側面21側に垂れ下げ、原稿Pの先端Ptを挿入口6に挿入する。
このとき、装置後方側の後側面21と、支持部材50の支持面51と、が対向する下方端部E1において原稿Pの後端Peは挟まれた状態で保持される。後側面21と支持部材50とで形成される角度θは鋭角なので、原稿Pの後端Peは、下方端部E1で容易に挟持される。これにより、原稿Pを安定した状態で支持することができる。例えば、支持部材50が省略された構成の場合には、原稿Pを挿入口6に挿入する際、原稿Pの後端Pe側は後側面21側に垂れ下がった状態となるので、原稿Pの重量に対抗して手指で原稿Pの先端Pt側を押さえる必要がある。一方、本実施形態では、原稿Pの後端Peが下方端部E1で保持されることで、原稿Pの重量感を感じることなく原稿Pを容易に挿入口6に誘導することができる。また、原稿Pの先端Pt側を手指で押さえる必要が無いため、原稿読取装置1の載置部30の挿入口6の近傍に手指で原稿Pを押さえるためのスペースが不要となり、本体部10にかかるデザインの自由度を高めることができる。
【0027】
支持部材50に長尺の原稿Pを支持した際、支持部材50は原稿Pによって押し圧される。支持部材50自体の撓み、または、取付部28の弾性、取付部28と支持部材50との遊間により、支持部材50が無負荷の状態の位置に対して、支持部材50は下方に傾き、上端50aが-Y方向に移動する。
【0028】
原稿Pの後端Pe側は支持部材50の支持面51に倣って支持される。原稿Pの先端Pt側は載置部30の第1傾斜面31等に倣って支持される。そして、長尺の原稿Pの余長部分は、支持部材50の上端50a側から本体部10側に亘って上方に湾曲した状態となり、原稿Pの姿勢を安定させることができる。
また、原稿Pの後端Peの位置が下方端部E1で規制されるので、原稿Pに対して挿入口6側への付勢力が生じ、原稿Pの搬送性を向上させることができる。
【0029】
また、本実施形態では、本体部10の-Y方向端部に第2傾斜面32が形成されるため、原稿Pを原稿読取装置1にセットする際、原稿Pの後端Pe側を下方に垂れ下がりやすくすることができる。また、原稿Pの読み取り搬送が進み、原稿Pの後端Pe側が載置部30に載置される際、搬送抵抗が低減され、原稿Pの搬送性を高めることができる。また、本体部10の-Y方向端部が角部でないため、原稿Pの損傷を抑制することができる。
なお、本体部10の-Y方向端部が第2傾斜面32でなくともよい。
例えば、載置部30は、装置後方に向かって下降する第1傾斜面31と、第1傾斜面31から連なる第1傾斜面31よりも傾斜が緩やかな平坦面と、平坦面に連なり後側面21に亘って形成される面取り部とを有する構成であってもよい。このようにしても、上記同様の効果を得ることができる。
【0030】
次に、原稿読取装置1における原稿Pの読み取り動作の他の例について説明する。
図8では、折り畳まれた長尺の原稿Pを読み取る場合について説明する。
折り畳まれた長尺の原稿Pを原稿読取装置1にセットする場合、原稿Pの後端Pe側を本体部10の後側面21側に垂れ下げ、原稿Pの先端Ptを挿入口6に挿入する。
原稿Pの後端Peは、後側面21と支持部材50の支持面51とが対向する下方端部E1において保持される。原稿Pの後端Pe側は、折り畳まれた状態で支持面51に支持される。これにより、原稿Pを容易に挿入口6に誘導することができる。
【0031】
また、原稿Pの読み取り搬送を進めた際、原稿Pの一部が、後側面21に倣って搬送される。すなわち、後側面21は、垂直方向(Z軸に沿った方向)に形成されるため、原稿Pに重力がかかって原稿Pの折り目部分がばらけ、原稿Pがまとまった状態で上方にすり上らない、すなわち、原稿Pが折り目によって重なった状態で載置部30に搬送されることが抑制され、安定した姿勢で原稿Pを搬送させることができる。
【0032】
次に、
図9では、
図8の例に対して反対方向に折り畳まれた長尺の原稿Pを読み取る場合について説明する。
当該原稿Pを原稿読取装置1にセットする場合、原稿Pの後端Pe側を本体部10の後側面21側に垂れ下げ、原稿Pの先端Ptを挿入口6に挿入する。
図9の例では、原稿Pの折り目部分が後側面21と支持部材50の支持面51とが対向する下方端部E1において保持される。原稿Pの後端Pe側は、折り畳まれた状態で支持面51に支持される。これにより、原稿Pを容易に挿入口6に誘導することができる。
【0033】
次に、
図10では、ロール状に巻き重ねられた原稿Pを読み取る場合について説明する。
当該原稿Pを原稿読取装置1にセットする場合、原稿Pの後端Pe側の巻き重ねられた部分を後側面21と支持部材50の支持面51との間で保持した状態で、原稿Pの先端Ptを挿入口6に挿入する。これにより、原稿Pを容易に挿入口6に誘導することができる。また、後側面21と支持面51とにより原稿Pの巻き重ねられた部分が外側に広がろうとする解放力が規制される。そして、原稿Pは、ロール状から順次繰り出されながら搬送される。これにより、安定した姿勢で原稿Pを搬送させることができる。
【0034】
次に、
図11では、
図10の例に対して反対方向に巻き重ねられた原稿Pを読み取る場合について説明する。
当該原稿Pを原稿読取装置1にセットする場合、原稿Pの後端Pe側の巻き重ねられた部分を後側面21と支持部材50の支持面51との間で保持した状態で、原稿Pの先端Ptを挿入口6に挿入する。これにより、原稿Pを容易に挿入口6に誘導することができる。また、後側面21と支持面51とにより原稿Pの巻き重ねられた部分が外側に広がろうとする解放力が規制される。そして、原稿Pは、ロール状から順次繰り出されながら搬送される。これにより、安定した姿勢で原稿Pを搬送させることができる。
【0035】
次に、
図12では、原稿搬送補助部材100を用いる場合について説明する。
原稿搬送補助部材100は、原稿読取装置1の読取部8で原稿Pの画像情報を読み取らせる際に、スキャナーユニット5の搬送経路における原稿Pの搬送を円滑に行わせるためのキャリアシートである。
【0036】
図13に示すように、原稿搬送補助部材100は、原稿Pのうち、読取部8に読み取られる第1面P1を覆うカバーシート111と、原稿Pのうち、第1面P1と反対側の第2面P2を覆うサポートシート121と、を備え、カバーシート111とサポートシート121とが接着して構成される。
【0037】
カバーシート111は、透明性を有するPET製シートである。カバーシート111は、原稿読取装置1で使用可能な原稿Pの最大サイズよりも大きなサイズのシートである。すなわち、カバーシート111は、原稿Pの全面を被覆可能に構成される。サポートシート121は、不透明のPET製シートである。サポートシート121の原稿Pが載置される面は、例えば、白色である。サポートシート121は、カバーシート111と同等の大きさである。原稿搬送補助部材100は、カバーシート111とサポートシート121とが接着される接着部131を有する。
【0038】
そして、
図12に示すように、原稿Pを原稿搬送補助部材100で覆った状態で原稿Pの後端Pe側を本体部10の後側面21側に垂れ下げ、原稿Pの先端Pt側となる原稿搬送補助部材100の接着部131を挿入口6に挿入する。
原稿Pの後端Pe及び原稿搬送補助部材100の後端は、後側面21と支持部材50の支持面51とが対向する下方端部E1において挟んで保持される。これにより、原稿搬送補助部材100(原稿P)を容易に挿入口6に誘導することができる。
また、原稿搬送補助部材100の後端はカールしやすいが、下方端部E1で挟持されるため、カール等を矯正した状態で保持することができる。
【0039】
次に、他の支持部材500の構成について説明する。
上記実施形態では、支持部材50は平板状であったが、これに限定されない。例えば、
図14に示すように、支持部材500は、可撓性を有し、装置後方側の後側面21に取り付けられた状態で、原稿Pの搬送方向と交差する幅方向の中央部が下方に凸の湾曲形状を有した構成であってもよい。この場合、平板状の支持部材500を湾曲させた状態で、取付部28に取り付ける。支持部材500の中央部には貫通孔55が設けられているため、容易に湾曲形状を形成することができる。
このように湾曲形状とすることで、支持部材500に対する上方からの荷重に対して剛性を高めることができ、重量が重い原稿Pを支持することができる。さらに、支持部材500の上端部側は容易に上方側に変形させることが可能となるので、原稿読取装置1の支持部材500を壁等に接するように配置できる。
【0040】
次に、他の支持部材501の構成について説明する。
上記実施形態では、取付部28は後側面21の下方の傾斜部24に配置された構成であったが、これに限定されない。
例えば、
図15に示すように、取付部511を、本体部10の天面の後端側に配置してもよい。取付部511は、鉤状のフックである。当該取付部511に支持部材501が取り付けられる。
支持部材501は、取付部511に取り付けられた位置から後側面21に沿って載置部30よりも低い位置に延在する延在部510を有し、支持面505は、延在部510の載置部30よりも低い位置にから斜め上方に向けて延在する。延在部510と支持面505の部分との接続部分は屈曲した形状を有する。延在部510と支持面505の部分とで鋭角を成す。
支持部材501の取付部511に取り付ける部分には貫通孔が形成され、当該貫通孔に取付部511が挿入される。これにより、支持部材501が取付部511に取り付けられる。
そして、支持部材501の延在部510と、支持部材501の支持面505と、が対向する支持部材501の下方端部において原稿Pの後端Peを挟んで保持する。このようにしても、上記同様に原稿Pを安定した姿勢で搬送させることができる。
【0041】
次に、他の支持部材520の構成について説明する。
例えば、
図16に示すように、取付部522を、本体部10の天面の後端側に配置してもよい。取付部522は、面ファスナーである。取付部522のうち、一方の第1ファスナー522aが本体部10に接着され、他方の第2ファスナー522bが支持部材520に接着される。第1ファスナー522aと第2ファスナー522bとを当接させることで支持部材520が取付部522(第1ファスナー522a)に取り付けられる。
支持部材520は、取付部522に取り付けられた位置から後側面21に沿って載置部30よりも低い位置に延在する延在部530を有し、支持面525は、延在部530の載置部30よりも低い位置にから斜め上方に向けて延在する。延在部530と支持面525の部分との接続部分は屈曲した形状を有する。延在部530と支持面525の部分とで鋭角を成す。
そして、支持部材520の延在部530と、支持部材520の支持面525と、が対向する支持部材520の下方端部において原稿Pの後端Peを挟んで保持する。このようにしても、上記同様に原稿Pを安定した姿勢で搬送させることができる。
【符号の説明】
【0042】
1…原稿読取装置、2…カバー部、5…スキャナーユニット、6…挿入口、7…排出口、8…読取部、10…本体部、17…脚部、20…端部、21…後側面、24…傾斜部、24a…傾斜面、25…ガイド、25a…ガイド面、28,511,522…取付部、30…載置部、30A…載置可能領域、31…第1傾斜面、32…第2傾斜面、40…搬送ローラー対、44…回転軸、50…支持部材、50a…上端、51,505,525…支持面、55…貫通孔、100…原稿搬送補助部材、500,501,520…支持部材、510,530…延在部、P…原稿、Pe…後端、E1…下方端部。