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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】モータの駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 7/06 20060101AFI20241126BHJP
   G07F 9/00 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
H02P7/06 G
G07F9/00 Q
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020159383
(22)【出願日】2020-09-24
(65)【公開番号】P2022052878
(43)【公開日】2022-04-05
【審査請求日】2023-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 眞輝
【審査官】池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-017611(JP,A)
【文献】特開2011-080280(JP,A)
【文献】実公平02-041307(JP,Y2)
【文献】特開2003-129853(JP,A)
【文献】国際公開第2019/208131(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 7/06
G07F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流モータに駆動指令を与えて該直流モータを駆動させる制御部を備えたモータの駆動装置であって、
前記制御部は、
該制御部からモータ駆動指令が与えられた場合に、前記直流モータの端子に電力を供給する一方、前記制御部からモータ駆動停止指令が与えられた場合に、前記直流モータの端子への電力の供給を停止するドライバ回路と、
前記ドライバ回路に差動増幅回路を介して接続され、かつ前記直流モータを流れて前記差動増幅回路で増幅された電流が予め設定された閾値以上となる場合には、ロックしたものとしてその旨の信号を前記制御部に与える一方、前記直流モータを流れて前記差動増幅回路で増幅された電流が前記閾値未満となる場合に、定常電流を入力したものとしてその旨の信号を前記制御部に与える二値化回路と
に接続されており、
また前記制御部は、前記駆動指令を与えた後に、前記直流モータに流れる起動電流の検知を防止するために設けられた基準時間が経過したことを条件として、前記二値化回路から前記閾値以上の電流を入力したものとする信号を入力した場合に、前記直流モータの動作が完了したものとして該直流モータの駆動を停止させるものであり、
更に前記制御部は、前記駆動指令を与えてから前記基準時間が経過するまでの間、前記二値化回路より閾値未満の電流を入力したものとする信号を継続して入力することにより、前記直流モータに定常電流が継続して流れているかを監視することを特徴とするモータの駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの駆動装置に関し、例えば商品の払出動作を行う払出機構に対して、駆動力付与手段から与えられる駆動力を伝達するための伝達機構の駆動源を構成している直流モータの駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば缶やペットボトル等の容器に入れられた飲料等を商品として販売する自動販売機には、いわゆるスラントラックと称される商品収納ラックを備えたものが知られている。
【0003】
この商品収納ラックは、上流側から下流側に向けて漸次低くなる態様で傾斜延在した商品収納通路に商品を横倒姿勢にて一列に並ぶよう収納する商品収納コラムが上下方向に沿って複数段設けられて構成されており、それぞれの商品収納コラムには、第1ストッパ部材、第2ストッパ部材及び連係部材が設けられている。
【0004】
第1ストッパ部材は、商品収納通路に進退移動する態様で揺動可能に配設されている。この第1ストッパ部材は、商品収納通路に進出移動した場合には最下流の商品に当接して該商品が払い出されることを規制する一方、商品収納通路から退行移動した場合には該商品が払い出されることを許容するものである。第2ストッパ部材は、商品収納通路に進退移動する態様で揺動可能に配設されている。この第2ストッパ部材は、商品収納通路に進出移動した場合には最下流から2番目の商品に当接して該商品が下流側へ移動することを規制する一方、商品収納通路から退行移動した場合には該商品の移動を許容するものである。
【0005】
連係部材は、第1ストッパ部材と第2ストッパ部材とを連係するもので、待機位置と払出位置との間でスライド移動可能に配設されている。この連係部材は、駆動源が駆動停止している場合には待機位置に位置しており、第1ストッパ部材を進出移動させて第2ストッパ部材を退行移動させるものである。そして、駆動源が駆動することにより待機位置から払出位置に移動した場合には、第1ストッパ部材を退行移動させて第2ストッパ部材を進出移動させるものである。
【0006】
このような商品収納ラックにおいては、いずれかの商品収納コラムに収納される商品の払出指令が与えられると、当該商品収納コラムに対応する駆動源が駆動して連係部材が待機位置から払出位置まで移動する結果、第1ストッパ部材が商品収納通路から退行移動しつつ第2ストッパ部材が商品収納通路に進出移動することで、該商品収納通路の最下流商品が払い出されることになる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2012-194797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記自動販売機においては、連係部材をスライドさせるための駆動源として直流モータを用い、この直流モータの動作停止判定を例えばマイクロスイッチ等の物理スイッチの変化にて行うことが知られている。
【0009】
しかしながら、駆動源として直流モータを用いるとともに、この直流モータの動作停止判定に物理スイッチを用いることは、連係部材の数に応じて直流モータ及び物理スイッチを用意する必要があり、しかも物理スイッチの配線等も必要としていた。
【0010】
ところで、直流モータは、回転駆動時には低電流となる一方、出力軸がロック等された停止時には大電流(停動電流)となる特性を有していることが知られている。
【0011】
本発明は、上記実情に鑑みて、直流モータに流れる電流の大きさに基づいて該直流モータの動作の停止を行うことにより、物理スイッチを削除して製造コストの低減化を図ることができるモータの駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明に係るモータの駆動装置は、直流モータに駆動指令を与えて該直流モータを駆動させる制御部を備えたモータの駆動装置であって、前記制御部は、前記駆動指令を与えた後に前記直流モータに予め決められた閾値以上の電流が流れた場合に、該直流モータの動作が完了したものとして該直流モータの駆動を停止させることを特徴とする。
【0013】
また本発明は、上記モータの駆動装置において、前記制御部は、前記駆動指令を与えた後、前記直流モータに前記閾値未満の電流が継続して流れているかを監視することを特徴とする。
【0014】
また本発明は、上記モータの駆動装置において、前記直流モータは、商品の払出動作を行う払出機構に対して、駆動力付与手段から与えられる駆動力を伝達するための伝達機構の駆動源を構成していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、制御部が、駆動指令を与えた後に直流モータに予め決められた閾値以上の電流が流れた場合に、該直流モータの動作が完了したものとして該直流モータの駆動を停止させるので、例えばマイクロスイッチ等の物理スイッチを必要としないで、直流モータに流れる電流の大きさに基づいて該直流モータの動作の停止を行うことができ、物理スイッチを削除して製造コストの低減化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の実施の形態であるモータの駆動装置が適用された自動販売機の構成を模式的に示す断面側面図である。
図2図2は、図1に示した商品収納装置を模式的に示す模式図である。
図3図3は、図1及び図2に示した1つの商品収納ラックを示す斜視図である。
図4図4は、図1及び図2に示した1つの商品収納ラックを示す分解斜視図である。
図5図5は、図3及び図4に示した棚板を示す斜視図である。
図6図6は、図3及び図4に示した払出機構を示す斜視図である。
図7図7は、図3及び図4に示した払出機構を示す斜視図である。
図8図8は、図6及び図7に示した1つの払出機構を示す斜視図である。
図9図9は、図6及び図7に示した1つの払出機構を示す斜視図である。
図10図10は、図6及び図7に示した1つの払出機構を示す断面側面図である。
図11図11は、図6及び図7に示した1つの払出機構を示す分解斜視図である。
図12-1】図12-1は、図8図11に示した本体機構部を示す斜視図である。
図12-2】図12-2は、図8図11に示した本体機構部を示す斜視図である。
図13-1】図13-1は、図8図11に示したレバー部材を示す斜視図である。
図13-2】図13-2は、図8図11に示したレバー部材を示す斜視図である。
図14-1】図14-1は、図8図11に示したストッパ部材を示す斜視図である。
図14-2】図14-2は、図8図11に示したストッパ部材を示す斜視図である。
図15-1】図15-1は、図8図11に示したペダル部材を示す斜視図である。
図15-2】図15-2は、図8図11に示したペダル部材を示す斜視図である。
図16-1】図16-1は、図11に示した伝達機構を構成するスライダを示す斜視図である。
図16-2】図16-2は、図11に示した伝達機構を構成するスライダを示す斜視図である。
図17-1】図17-1は、図11に示した伝達機構を構成するドッククラッチを示す斜視図である。
図17-2】図17-2は、図11に示した伝達機構を構成するドッククラッチを示す斜視図である。
図18図18は、待機状態である払出機構を示す斜視図である。
図19図19は、本発明の実施の形態であるモータの駆動装置の回路構成を模式的に示す模式図である。
図20図20は、払出機構が待機状態である場合の商品収納通路を示す模式図である。
図21図21は、スライダがスライドした場合を示す払出機構の斜視図である。
図22図22は、スライダがスライドした場合を示す払出機構の斜視図である。
図23図23は、図19に示した制御部が実施する駆動監視制御処理の処理内容を示すフローチャートである。
図24図24は、ペダル部材が上方に揺動した状態を示す払出機構の斜視図である。
図25図25は、ペダル部材が上方に揺動した状態を示す払出機構の斜視図である。
図26図26は、ペダル部材が上方に揺動した場合の商品収納通路を示す模式図である。
図27図27は、ペダル部材が更に上方に揺動した場合の商品収納通路を示す模式図である。
図28図28は、払出通路に払い出された商品の動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るモータの駆動装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態であるモータの駆動装置が適用された自動販売機の構成を模式的に示す断面側面図である。ここで例示する自動販売機は、例えばペットボトルや缶等の容器に入った飲料を商品として販売するもので、自動販売機本体である本体キャビネット1を備えている。
【0019】
本体キャビネット1は、複数の金属板を適宜組み合わせることによって構成したもので、前面に開口(以下、前面開口ともいう)1aを有した直方体状に形成してある。この本体キャビネット1の内部には、前面開口1aを臨む態様で断熱構造の収容室2が画成してある。
【0020】
本体キャビネット1の前方部分には、外扉3及び内扉4が設けてある。外扉3は、本体キャビネット1の前面開口1aを開閉するものである。内扉4は、断熱構造を有した扉体であり、収容室2の前面を開閉するものである。
【0021】
収容室2には、商品収納装置10が設けてあるとともに、商品シュータ5が設けてある。商品収納装置10は、詳細については後述するが、商品を収納するとともに、払出指令(販売指令)に応じて該当する商品を払い出すものである。商品シュータ5は、商品収納装置10の下方域に設けてあり、後方から前方に向かうに連れて漸次低くなる態様で傾斜している。この商品シュータ5は、商品収納装置10から払い出された商品を、内扉4に設けられた商品搬出口4aを通じて外扉3に設けられた商品取出口3aに導くためのものである。商品搬出口4aは、商品搬出扉4bにより開閉されるものであり、商品取出口3aは、商品取出扉3bにより開閉されるものである。尚、収容室2は、図示せぬ冷却手段や加熱手段によりその内部雰囲気が所望の温度に調整されている。
【0022】
商品収納装置10は、図2にも示すように、左右一対のベース側板10a間に、複数の商品収納ラック11が上下方向に沿って設けられて構成してある。
【0023】
図3及び図4は、それぞれ図1及び図2に示した1つの商品収納ラック11を示すもので、図3は斜視図、図4は分解斜視図である。これら図3及び図4にも示すように、商品収納ラック11は、棚板12と、仕切板13と、払出機構20とを備えて構成してある。
【0024】
棚板12は、例えば板金を加工して構成したものであり、上記ベース側板10a間において、前方から後方に向けて漸次低くなる態様で傾斜して設けてある。この棚板12は、図5に示すように、左右両端部において上方に向けて延在する棚側壁部12aを有している。また棚板12には、左右方向に沿って例えば20mm程度の所定間隔毎に前後方向が長手方向となる複数の仕切用係止孔12bが形成してある。更に棚板12には、後端部において、左右方向に沿って上記仕切用係止孔12bと同程度の所定間隔毎に複数の機構用係止孔12cが形成してある。
【0025】
仕切板13は、例えば板金を加工して構成したものであり、前後方向が長手方向となる長尺板状部材である。この仕切板13には、下端部より下方に向けて突出する複数の係止片13aが形成してある。
【0026】
このような仕切板13の係止片13aを任意の仕切用係止孔12bに上方から挿入することで、仕切板13が棚板12の上面に前後方向に向けて延在する態様で該棚板12に係止される。このような仕切板13を棚板12の棚側壁部12a間に複数係止させることで、図3に示すように、棚板12の上面に複数(図示の例では4つ)の商品収納コラム14を左右に並ぶ態様で構成することができる。
【0027】
これら商品収納コラム14は、上流側である前方から下流側である後方に向けて漸次低くなる態様で傾斜延在した商品収納通路14aを有し、この商品収納通路14aに商品を横倒姿勢で一列に並ぶよう収納するためのものである。
【0028】
払出機構20は、左右方向に沿って複数(図示の例では4つ)設けてある。これら払出機構20は、図6及び図7に示すように、左右方向に沿って延在する長尺ロッド状部材である回転駆動軸30にそれぞれが貫通された状態で設けてある。
【0029】
回転駆動軸30は、例えば六角柱等の多角柱形状を成しており、左端部が略円板形状を成す回転伝達部材31の中心部分に連結してある。この回転伝達部材31は、詳細は後述するが、自身の中心軸回りに回転可能に設けてあり、これにより、回転駆動軸30も自身の中心軸を軸心としてその軸心回りに回転可能である。
【0030】
次に払出機構20の構成について説明する。尚、図6及び図7では、複数の払出機構20が示されているが、これら払出機構20は共通の構成を有しているので、以下に1つの払出機構20の構成について説明し、その他の払出機構20についてはその説明を割愛する。
【0031】
図8図11は、それぞれ図6及び図7に示した払出機構20を示すもので、図8及び図9は斜視図、図10は断面側面図、図11は分解斜視図である。これら図8図11に示すように、払出機構20は、機構本体部21を備えている。機構本体部21は、例えば樹脂材により構成された筐体であり、レバー部材22、ストッパ部材23、ペダル部材24、伝達機構40及び売切検知部25を収容するものである。
【0032】
そのような機構本体部21においては、図12-1及び図12-2に示すように、本体係合部211及び本体貫通部212を有している。尚、以下においては、機構本体部21、レバー部材22、ストッパ部材23、ペダル部材24及び伝達機構40については、図8に示した方向にしたがって説明する。
【0033】
本体係合部211は、機構本体部21の前端部に形成してあり、弾性変形可能な樹脂バネ状部分である。この本体係合部211には、前方に向けて突出する係止突起211aと、この係止突起211aよりも下方側において前方に向けて突出する左右一対の係止フック部211bとが形成してある。係止突起211aは、棚板12の機構用係止孔12cに挿入可能なものであり、係止フック部211bは、係止突起211aがいずれかの機構用係止孔12cに挿入する際に棚板12の後端部の下端に係止可能なものである。
【0034】
本体貫通部212は、機構本体部21における左右両側部の後端部分に左右一対となる態様で形成してある。この本体貫通部212には、回転駆動軸30の最大幅よりも僅かに大きい内径を有する円形状の本体貫通孔212aが形成してあり、かかる本体貫通孔212aを回転駆動軸30が貫通している。
【0035】
レバー部材22は、例えば樹脂材により構成されており、図13-1及び図13-2に示すように、レバー作用部221及びレバー貫通部222を有している。レバー作用部221は、略平板状部分である。
【0036】
レバー貫通部222は、レバー作用部221の前方側の左右両端部より前方に突出する態様で形成された左右一対のものである。このレバー貫通部222には、回転駆動軸30の最大幅よりも僅かに大きい内径を有する円形状のレバー貫通孔222aが形成してある。
【0037】
このようなレバー部材22は、レバー作用部221が機構本体部21よりも後方に向けて突出する態様でレバー貫通部222が本体貫通部212の内方に設置されており、レバー貫通孔222aを回転駆動軸30が貫通することで機構本体部21に収容してある。またレバー貫通部222には、下方に向けて突出するレバー規制突起222bが設けてある。このレバー規制突起222bは、機構本体部21の後端下部に形成された第1規制長孔213(図9参照)に上方より挿通している。この第1規制長孔213は、前後方向が長手方向となる孔部である。これによりレバー部材22は、レバー規制突起222bが第1規制長孔213の前縁部と後縁部とに当接する範囲で回転駆動軸30の中心軸回りに揺動可能である。
【0038】
ストッパ部材23は、例えば樹脂材により構成されており、図14-1及び図14-2に示すように、ストッパ作用部231、ストッパアーム部232及びストッパ貫通部233を有している。ストッパ作用部231は、左右方向に沿って延在する部分であり、その前端にストッパ作用面231aが形成してある。またストッパ作用部231の後端部には、ストッパ作用部231の上面よりも僅かに窪んだ台座部231bが形成してある。ストッパアーム部232は、ストッパ作用部231の左右両端部より後方に向けて延在する左右一対の部分である。
【0039】
ストッパ貫通部233は、ストッパアーム部232の後端部より後方に突出する態様で形成された左右一対のものである。これらストッパ貫通部233には、回転駆動軸30の最大幅よりも僅かに大きい内径を有する円形状のストッパ貫通孔233aが形成してある。
【0040】
このようなストッパ部材23は、ストッパ作用部231が機構本体部21に形成されたストッパ開口214に上方から挿入された態様で各ストッパ貫通部233がレバー貫通部222の内方に設置されており、各ストッパ貫通孔233aを回転駆動軸30が貫通することで機構本体部21に収容してある。またストッパ貫通部233には、下方に向けて突出するストッパ規制突起233bが設けてある。このストッパ規制突起233bは、機構本体部21の後端下部に形成された第2規制長孔215(図9参照)に上方より挿通している。この第2規制長孔215は、前後方向が長手方向となる孔部である。これによりストッパ部材23は、ストッパ規制突起233bが第2規制長孔215の前縁部と後縁部とに当接する範囲で回転駆動軸30の中心軸回りに揺動可能である。
【0041】
ところで、かかるストッパ部材23とレバー部材22との間には、スプリング部材26が設けてある。このスプリング部材26は、ストッパ規制突起233bが第2規制長孔215の前縁部に当接する方向、すなわち上方に向けてストッパ部材23を付勢するものである。またスプリング部材26は、レバー規制突起222bが第1規制長孔213の後縁部に当接する方向、すなわち上方に向けてレバー部材22を付勢するものである。
【0042】
ペダル部材24は、例えば樹脂材により構成されており、図15-1及び図15-2に示すように、ペダル基部241、ペダル本体部242及びペダル作用部243を有している。ペダル基部241は、左右方向が長手方向となる円柱状部分であり、回転駆動軸30の最大幅よりも僅かに大きい内径を有する円形状のペダル貫通孔241aが形成してある。またペダル基部241は、その左右方向の中央領域部分が切り欠かれて挿入部241bが形成してあり、該挿入部241bの左側部分には、複数の伝達凹部241cが円弧状に並ぶよう形成してある。
【0043】
ペダル本体部242は、ペダル基部241よりペダル貫通孔241aの径方向外部、すなわち前方に向けて延在する略平板状部分である。このペダル本体部242の下面には、下方に向けて突出する態様でペダルフック部242aが形成してある。
【0044】
ペダル作用部243は、ペダル基部241よりペダル貫通孔241aの径方向外部に向けて延在する態様で形成した平板状部分である。このペダル作用部243は、その左右幅がペダル基部241の左右幅及びペダル本体部242の左右幅よりも大きくなるよう形成してある。
【0045】
このようなペダル部材24は、ストッパ部材23のストッパ貫通部233間においてペダル基部241のペダル貫通孔241aを回転駆動軸30が貫通することで、機構本体部21に収容してある。つまり、ペダル部材24は、回転駆動軸30の中心軸回りに揺動可能となる態様で機構本体部21に収容してある。
【0046】
伝達機構40は、クラッチモータ41、スライダ42及びドッククラッチ43を備えて構成してある。クラッチモータ41は、機構本体部21のモータ保持部216(図9及び図12-2参照)に保持されることで機構本体部21に収容してあり、ハーネス44(図11参照)を介して制御部60(図1参照)から与えられる指令に応じて正回転駆動若しくは逆回転駆動する直流モータである。
【0047】
尚、このクラッチモータ41は、詳細は後述するが、本発明の実施の形態であるモータの駆動装置70(図20参照)の駆動対象となるものである。
【0048】
スライダ42は、例えば樹脂材により構成されており、機構本体部21において左右方向に沿ってスライド可能に設けてある。このようなスライダ42は、図16-1及び図16-2に示すように、スライダ本体部421及びスライダ保持部422を有している。
【0049】
スライダ本体部421は、略直方体に切欠が形成されることに構成してあり、モータ係合部421a及びフック係止部421bを有している。モータ係合部421aは、内部に雌ネジが形成されており、クラッチモータ41に連結された雄ネジ411と螺合することで該クラッチモータ41と係合する部位である。これによりスライダ42は、クラッチモータ41が正回転駆動することで雄ネジ411が一方向に回転する場合には、該クラッチモータ41に近接する態様で左方にスライドする一方、クラッチモータ41が逆回転駆動することで雄ネジ411が他方向に回転する場合には、該クラッチモータ41から離隔する態様で右方にスライドするものである。
【0050】
フック係止部421bは、モータ係合部421aよりも右方側の上部に形成されたスライダ凹部423の開口縁部として構成された平板状部位である。このフック係止部421bは、該スライダ凹部423にペダルフック部242aが進入した場合に、該ペダルフック部242aと係止可能なものである。
【0051】
スライダ保持部422は、スライダ本体部421より後方に向けて突出する平板の後端に設けてある。このスライダ保持部422は、内部に保持孔422aが形成されることを円筒状の形態を成している。
【0052】
ドッククラッチ43は、例えば樹脂材により構成されており、図17-1及び図17-2に示すように、クラッチ基部431、クラッチ係合部432及びクラッチ伝達部433を有している。クラッチ基部431は、円筒状部分であり、その外径はスライダ保持部422の保持孔422aの内径よりも大きいものである。
【0053】
クラッチ係合部432は、クラッチ基部431の右端面より右方に突出する態様で形成された円筒状部分である。これらクラッチ基部431及びクラッチ係合部432には、内部に回転駆動軸30の外形形状に適合する六角形状の連結孔434が形成してある。またクラッチ係合部432の外径は、クラッチ基部431の外径よりも小さく、かつスライダ保持部422の保持孔422aの内径よりも僅かに小さいものである。更にクラッチ係合部432の左右方向の延在長さは、スライダ保持部422の左右方向の長さよりも大きく、該クラッチ係合部432の右端部分にはクラッチフック部432aが形成してある。
【0054】
クラッチ伝達部433は、クラッチ基部431の外端面の一部において円弧状に延在する部分である。このクラッチ伝達部433の左面には、左方に突出する態様で伝達凸部433aが円弧状に並ぶように形成してある。これら伝達凸部433aは、上記伝達凹部241cに進入可能なものである。
【0055】
このようなドッククラッチ43は、クラッチ係合部432がスライダ保持部422の保持孔422aに左方から進入し、クラッチフック部432aがスライダ保持部422の右端部に係止することでスライダ42に回転自在に保持されている。そして、ドッククラッチ43は、ペダル部材24におけるペダル基部241の挿入部241bに挿入された状態で、連結孔434に回転駆動軸30が貫通して機構本体部21に収容してある。
【0056】
売切検知部25(図8参照)は、売切接触子251がストッパ部材23の右方側のストッパアーム部232に形成されたアーム開口232aより上方に向けて出没可能となる態様で機構本体部21に収容している。この売切検知部25は、売切接触子251が押圧されてアーム開口232aより下方に配置される場合には、商品有りを検知する一方、売切接触子251がアーム開口232aより上方に配置される場合には、商品無しを検知するものである。この売切検知部25により検知結果は、検知信号として制御部60に与えられる。
【0057】
そのような構成を有する払出機構20は、機構本体部21の本体係合部211を構成する係止突起211aが棚板12の任意の機構用係止孔12cに挿入されて係止フック部211bが棚板12の後端部の下縁部に係止することで該棚板12に取り付けられ、商品収納コラム14の商品収納通路14aの下流側に設けられる。
【0058】
そして、払出機構20は、図8図10に示すような待機状態においては、スライダ42がクラッチモータ41よりも離隔した位置に配置されており、ペダル部材24のペダルフック部242aがスライダ凹部423に進入してフック係止部421bに係止している。そのため、ペダル部材24は、ペダル作用部243が機構本体部21より上方に突出して商品収納通路14aに進出移動した状態となる。尚、スライダ42がクラッチモータ41よりも離隔した位置に配置されることで、図18に示すように、スライダ保持部422に保持されたドッククラッチ43と、ペダル部材24とは互いに離隔している。
【0059】
またストッパ部材23は、台座部231bがペダル部材24のペダル本体部242に押圧されて、スプリング部材26の付勢力に抗して下方に揺動し、ストッパ作用部231がストッパ開口214に上方から進入することで、商品収納通路14aから退行移動した状態となる。これにより、ストッパ部材23のストッパ作用部231、ストッパアーム部232及びペダル本体部242の上面は、機構本体部21の上面と同一の平面を構成することとなる。
【0060】
ところで、レバー部材22は、スプリング部材26の付勢力のみが作用することで、レバー規制突起222bが第1規制長孔213の後縁部に当接するまで上方に揺動した姿勢となり、図1及び図2に示すように、商品収納ラック11の後方側に設けられた上下方向に延在する払出通路50に進出移動した状態となる。
【0061】
この払出通路50の背面を構成する商品収納装置10のベース背面板10bには、払出通路50に突出する複数のガイド突起51が設けてある。ガイド突起51は、それぞれが各商品収納ラック11の払出機構20の高さレベルよりも下方となる部分に左右方向に延在する態様で設けてあり、より詳細には、上下に隣接する商品収納ラック11において、上方側の商品収納ラック11の払出機構20の高さレベルと、下方側の商品収納ラック11の払出機構20の高さレベルとの中間の高さレベルに設けてある。
【0062】
また上記回転駆動軸30に連結された回転伝達部材31は、図2に示したように、その外端面が無端状に連結された伝達索条体32の一部に噛合している。この伝達索条体32は、駆動プーリ33に一部が噛合しており、該駆動プーリ33が駆動モータ34の駆動により中心軸回りに回転することにより、その延在方向に沿って変位するものである。つまり、伝達索条体32が駆動プーリ33の回転に伴って変位する結果、回転伝達部材31も自身の中心軸回りに回転し、これにより回転駆動軸30も自身の中心軸を軸心としてその軸心回りに回転することになる。尚、上記駆動モータ34は、電気的に接続された制御部60から与えられる指令に応じて正回転駆動若しくは逆回転駆動するものである。そして、制御部60は、各回転伝達部材31の近傍に設けた例えばエンコーダ等の回転検知部(図示せず)から与えられる検知結果により回転伝達部材31の回転角度を検出することができる。
【0063】
図19は、本発明の実施の形態であるモータの駆動装置の回路構成を模式的に示す模式図である。ここで例示するモータの駆動装置70は、上記クラッチモータ41を駆動監視対象とするものであり、ドライバ回路71、二値化回路73、制御部60を備えている。
【0064】
ドライバ回路71は、クラッチモータ41に接続されているとともに、上記制御部60に接続されている。このドライバ回路71は、制御部60からモータ駆動指令が与えられた場合に、クラッチモータ41の端子に電力を供給する一方、制御部60からモータ駆動停止指令が与えられた場合に、クラッチモータ41の端子への電力の供給を停止するものである。
【0065】
二値化回路73は、比較器73aを備えており、クラッチモータ41を流れて差動増幅回路72で増幅された電流が、予め設定された閾値以上となる場合に、ロックしたものとしてその旨の信号を制御部60に与えるものである。ここで閾値は、クラッチモータ41に停動電流が流れたことを検出するのに十分可能な大きさの閾値である。また二値化回路73は、クラッチモータ41を流れて差動増幅回路72で増幅された電流が、閾値未満となる場合に、定常電流を入力したものとしてその旨の信号を制御部60に与えるものである。
【0066】
制御部60は、上記商品収納装置10の各部の動作を統括的に制御するとともに、図示せぬメモリに記憶されたプログラムやデータに従って駆動装置70の動作を統括的に制御するものである。そのような制御部60は、駆動装置70においては、後述する駆動監視制御処理を行うものである。
【0067】
尚、制御部60は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置にプログラムを実行させること、すなわち、ソフトウェアにより実現してもよいし、IC(Integrated Circuit)等のハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェア及びハードウェアを併用して実現してもよい。
【0068】
次に、上記商品収納装置10による商品の払出動作について説明する。尚、以下においては、説明の便宜上、1つの商品収納コラム14を例示して説明する。
【0069】
払出機構20が待機状態にある場合には、上述したようにペダル部材24のみが商品収納通路14aに進出移動した状態となるので、図20に示すように、ペダル作用部243が商品収納通路14aの最下流の商品W1に当接する。これにより商品収納コラム14の商品は、商品収納通路14aに沿って一列に収納されており、該商品収納通路14aから離脱することが規制されている。
【0070】
そして、利用者が商品を選択することにより自動販売機の動作を統括的に制御する自販機制御部(図示せず)から当該商品収納コラム14に収納された商品の払出指令が与えられた制御部60は、該商品収納コラム14の後方側に設置された払出機構20のクラッチモータ41を正回転駆動させる。これにより、雄ネジ411が一方向に回転することとなり、図21に示すように、スライダ42がクラッチモータ41に近接する態様で左方にスライドする。このようにスライダ42が左方にスライドすることで該スライダ42に保持されるドッククラッチ43も左方にスライドする。この結果、ドッククラッチ43は、図22に示すように、各伝達凸部433aがペダル部材24の各伝達凹部241cに進入して該ペダル部材24と連結される。またスライダ42が左方にスライドすることでフック係止部421bとペダルフック部242aとの係止状態が解除される。
【0071】
そのような制御部60によるクラッチモータ41の正回転駆動においては、次のような駆動監視制御処理が制御部60により実施される。図23は、図19に示した制御部60が実施する駆動監視制御処理の処理内容を示すフローチャートである。
【0072】
この駆動監視制御処理において制御部60は、ドライバ回路71にモータ駆動指令(正回転駆動指令)を送出し(ステップS101)、そのモータ駆動指令を送出してから予め決められた基準時間の経過待ちとなる(ステップS102)。この基準時間は、メモリに記憶されていたものであり、モータ駆動指令を送出することによりクラッチモータ41に流れる起動電流の検知を防止するために設けられた時間である。
【0073】
上記基準時間が経過した場合(ステップS102:Yes)、制御部は、二値化回路73から閾値以上の電流を入力したものとする信号を入力待ちとなる(ステップS103)。
【0074】
そして、二値化回路73から閾値以上の電流を入力したものとする信号を入力した場合(ステップS103:Yes)、制御部60は、スライダ42の左方へのスライドが完了したことでクラッチモータ41の出力軸がロックして閾値以上の電流が流れたものとして、すなわちクラッチモータ41の動作が完了したものとして、ドライバ回路71にモータ駆動停止指令(正回転駆動停止指令)を送出し(ステップS104)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0075】
これによれば、例えばマイクロスイッチ等の物理スイッチを必要としないで、クラッチモータ(直流モータ)41に流れる電流の大きさに基づいて該クラッチモータ41の動作の停止を行うことができる。
【0076】
ところで、上記駆動監視制御処理においては、制御部60は、ドライバ回路71にモータ駆動指令(正回転駆動指令)を送出してから基準時間が経過するまでの間に、二値化回路73より閾値未満の電流を入力したものとする信号を継続して入力することで、クラッチモータ41に定常電流が継続して流れているかを監視する。
【0077】
ドッククラッチ43とペダル部材24とが連結されると、制御部60は、駆動モータ34を正回転駆動させる。これにより駆動プーリ33が右方から見て時計回りに回転し、伝達索条体32が変位することで回転伝達部材31も右方から見て時計回りに回転する。
【0078】
このようにして回転伝達部材31が回転することで、回転駆動軸30も右方から見て時計回りとなる態様で中心軸回りに回転することとなる。このように回転駆動軸30が回転することで該回転駆動軸30に適合するドッククラッチ43も右方から見て時計回りに回動する。そして、ドッククラッチ43に連結されたペダル部材24は、図24に示すように後方に向けて揺動する。
【0079】
ペダル部材24が後方に向けて揺動すると、該ペダル部材24のペダル本体部242により台座部231bが押圧されていたストッパ部材23は、かかるペダル部材24による押圧が解除されることとなり、図25に示すように、ストッパ規制突起233bが第2規制長孔215の前縁部に当接するまで上方に揺動し、ストッパ作用部231がストッパ開口214から上方に突出して商品収納通路14aに進出移動した状態となる。
【0080】
このようにストッパ部材23が商品収納通路14aに進出移動した状態となることで、図26に示すように、ストッパ作用部231のストッパ作用面231aが商品収納通路14aにおける下流側から2番目の商品W2に当接し、該商品W2が商品収納通路14aの下流側に向けて移動することを規制する。つまり、最下流の商品W1だけ他の商品と切り離すことができる。
【0081】
そして、駆動モータ34の駆動に伴う回転伝達部材31の回転により回転駆動軸30の回転は維持されており、回転駆動軸30の回転により回動するドッククラッチ43に連結されたペダル部材24は、後方に向けての揺動を継続する。
【0082】
その後、回転検知部の検知結果を通じて、図27に示すようにペダル部材24が最下流の商品W1を払出通路50に払出可能な姿勢まで後方に揺動したことが回転伝達部材31の回転角度として検出されると、制御部60は、駆動モータ34を一旦駆動停止にさせる。
【0083】
これにより、最下流の商品W1は、払出通路50に払い出され、レバー部材22に当接する。レバー部材22は、スプリング部材26の付勢力に抗して払出通路50から退行移動する態様で下方に揺動して、当接した商品を直下のガイド突起51に案内する。このようにして直下のガイド突起51に案内された商品は、図28に示すように、該ガイド突起51に当接した後に上記商品収納コラム14を有する商品収納ラック11の下方の商品収納ラック11を構成するいずれかの払出機構20のレバー部材22に当接し、該レバー部材22の直下のガイド突起51に案内されることで、払出通路50を蛇行状に落下する。払出通路50を蛇行状に落下した商品は、その後に商品シュータ5を転動し、商品搬出口4aを通じて商品取出口3aまで導かれる。
【0084】
尚、ガイド突起51は、払出通路50を落下する商品W1に当接した場合、該商品W1を自身の直下のレバー部材22のレバー貫通部222近傍に案内することが好ましい。レバー部材22を付勢するスプリング部材26の反力(付勢力)は、レバー部材22の揺動軸となる回転駆動軸30が貫通するレバー貫通部222側に近いほど大きく、効果的に商品W1の落下速度を減衰させることが可能になる。
【0085】
またガイド突起51は、商品シュータ5に落下した商品W1の衝撃をより効果的に減衰させるため、払出通路50に向けての突出高さが、払出通路50の上方側に配設されているものほど大きく、該払出通路50の下方側に配設されているものほど小さく形成されていることが好ましい。
【0086】
ところで、駆動モータ34を一旦停止させた制御部60は、該駆動モータ34を逆回転駆動させる。このように駆動モータ34が逆回転駆動することにより、駆動プーリ33が右方から見て反時計回りに回転し、伝達索条体32が変位することで回転伝達部材31も右方から見て反時計回りに回転する。このようにして回転伝達部材31が回転することで、回転駆動軸30も右方から見て反時計回りとなる態様で中心軸回りに回転することとなる。回転駆動軸30が回転することで該回転駆動軸30に適合するドッククラッチ43も右方から見て反時計回りに回動し、ドッククラッチ43に連結されたペダル部材24は、前方に向けて揺動する。
【0087】
ペダル部材24が前方に向けて揺動すると、該ペダル部材24のペダル本体部242により台座部231bが押圧されたストッパ部材23は、スプリング部材26の付勢力に抗して下方に揺動し、その後にストッパ作用部231がストッパ開口214に進入して商品収納通路14aに退行移動した状態となり、この結果、ペダル部材24は待機状態に戻る。このときペダル部材24のペダルフック部242aがスライダ42のスライダ凹部423に進入する。
【0088】
そのようにペダル部材24が待機状態に戻ると、制御部60は、クラッチモータ41を逆回転駆動させてスライダ42を右方にスライドさせてクラッチモータ41から離隔した位置に配置させる。
【0089】
そのような制御部60によるクラッチモータ41の逆回転駆動においても、該クラッチモータ41の正回転駆動と同様に、上述した駆動監視制御処理が制御部60により実施される。
【0090】
これにより、スライダ42のフック係止部421bとペダルフック部242aとが係止し、新たに最下流となる商品がペダル作用部243に当接してもペダル部材24が揺動することを規制し、商品収納通路14aに商品が収納される。
【0091】
ところで、すべての回転伝達部材31は、伝達索条体32を通じて駆動プーリ33に連係していることから、駆動モータ34の駆動に伴って回転する。そのため、すべての回転駆動軸30が回転することとなる。このように回転駆動軸30が回転すると、ドッククラッチ43も回動することとなるが、上述した払出機構20以外のその他の払出機構20では、ペダル部材24のペダルフック部242aがフック係止部421bと係止された状態が維持されつつ、ドッククラッチ43とペダル部材24とが連結されていないので、払出機構20の待機状態が維持され、その他の商品収納コラム14から商品が払い出されることはない。
【0092】
以上説明したように、本発明の実施の形態であるモータの駆動装置70によれば、制御部60が、ドライバ回路71にクラッチモータ41の駆動指令(正回転駆動指令又は逆回転駆動指令)を送出してから所定の基準時間が経過した後にクラッチモータ41に予め決められた閾値以上の電流が流れたことが二値化回路73により入力された場合に、クラッチモータ41の動作が完了したものとして該クラッチモータの駆動(正回転駆動又は逆回転駆動)を停止させるので、例えばマイクロスイッチ等の物理スイッチを必要としないで、クラッチモータ(直流モータ)41に流れる電流の大きさに基づいて該クラッチモータ41の動作の停止を行うことができ、物理スイッチを削除して製造コストの低減化を図ることができる。
【0093】
しかも物理スイッチを必要としないので、該物理スイッチの設置に必要なスペースや配線のためのスペースを不要とし、結果的に、小型化を図ることができる。
【0094】
上記駆動装置70によれば、制御部60が、ドライバ回路71にモータ駆動指令(正回転駆動指令又は逆回転駆動指令)を送出してから基準時間が経過するまでの間に、二値化回路73より閾値未満の電流を入力したものとする信号を継続して入力することで、クラッチモータ41に定常電流が継続して流れているかを監視するので、例えば停電等によりクラッチモータ41に電力の供給が遮断された場合にも良好に検知することができる。
【0095】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0096】
上述した実施の形態では、二値化回路73を備えて、制御部60に閾値以上の電流が有る旨の信号、並びに閾値未満の定常電流が有る旨の信号を入力するようにしていたが、本発明においては、制御部が、直流モータを流れた電流を入力して、閾値以上の電流の有無等を判断するようにしてもよい。
【0097】
上述した実施の形態では、駆動監視制御処理において、起動電流の検知を防止するために、すなわち上記閾値以上の電流である起動電流を入力したものとする信号を二値化回路73より入力してしまうことを防止するために、所定の基準時間の経過を条件としていたが、本発明においては、そのような基準時間を設けずに、制御部が、モータ駆動指令送出後に、最初の閾値以上の電流入力の信号を無視し、2回目の閾値以上の電流入力の信号の入力により、直流モータの動作が完了したものとして該直流モータの駆動を停止させるようにしてもよい。
【0098】
上述した実施の形態で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置及び構成要素の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0099】
上述した実施の形態では、モータの駆動装置が自動販売機に適用された例を示したが、本発明においては、モータの駆動装置が、金銭処理装置やその他の機器に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0100】
41…クラッチモータ、60…制御部、70…駆動装置、71…ドライバ回路、73…二値化回路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12-1】
図12-2】
図13-1】
図13-2】
図14-1】
図14-2】
図15-1】
図15-2】
図16-1】
図16-2】
図17-1】
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図28