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特許7593062共用物管理システム、共用物管理方法及び共用物管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】共用物管理システム、共用物管理方法及び共用物管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/02 20120101AFI20241126BHJP
   G06Q 50/08 20120101ALI20241126BHJP
【FI】
G06Q10/02
G06Q50/08
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020188184
(22)【出願日】2020-11-11
(65)【公開番号】P2022077363
(43)【公開日】2022-05-23
【審査請求日】2023-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 洋平
(72)【発明者】
【氏名】伊東 未奈子
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-265410(JP,A)
【文献】特開2002-175588(JP,A)
【文献】特開2016-177411(JP,A)
【文献】特開2019-145020(JP,A)
【文献】特開2019-204291(JP,A)
【文献】特開2020-095675(JP,A)
【文献】内田 三知代,KeyWord デジタル化 鹿島建設 工事用レンタル資機材のステータスを可視化 次は識別コードで搬入・進捗を遠隔管理へ,月刊ロジスティクス・ビジネス,第19巻 第4号,株式会社ライノス・パブリケーションズ,2019年07月01日,P.56-59
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者端末と通信を行なう制御部と、
高所作業車の使用状態を記録する共用物情報記憶部と、
前記高所作業車の利用申請を記録する利用申請情報記憶部とを備えた共用物管理システムであって、
前記制御部が、
前記利用者端末から、高所作業車利用場所を含む利用申請を取得し、前記利用申請情報記憶部に記録し、
前記利用申請情報記憶部において、利用可能な高所作業車を特定できない場合、前記共用物情報記憶部を用いて、各使用状態及び所在位置を特定し、
前記使用状態に基づいて利用可能であって、前記利用場所と前記所在位置との距離に応じて高所作業車候補を特定し、
前記高所作業車候補の中で選択された高所作業車の利用権限を、前記利用者端末に付与することを特徴とする共用物管理システム。
【請求項2】
前記制御部が、
前記利用者端末から、締切時までの高所作業車の利用場所を含む利用申請を取得し、
前記締切時の経過後に、前記利用申請情報記憶部において、利用可能な高所作業車を特定できない場合、前記共用物情報記憶部を用いて、各使用状態及び所在位置を特定し、
前記使用状態に基づいて利用可能であって、前記利用場所と前記所在位置との距離の総和に応じて、各利用申請に対して各高所作業車候補を割り振ることを特徴とする請求項1に記載の共用物管理システム。
【請求項3】
前記制御部が、
前記高所作業車候補の中で選択された高所作業車について、前記高所作業車候補の利用申請を行なった申請者の利用者端末にスポット利用依頼を送信し、
前記利用者端末から許諾情報を取得した場合、前記高所作業車候補の利用権限を、前記利用者端末に付与することを特徴とする請求項1に記載の共用物管理システム。
【請求項4】
前記制御部が、前記使用状態として、高所作業車の駆動機構の動作状態、及びバッテリの充電状態の少なくとも一つを特定することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の共用物管理システム。
【請求項5】
利用者端末と通信を行なう制御部と、
高所作業車の使用状態を記録する共用物情報記憶部と、
前記高所作業車の利用申請を記録する利用申請情報記憶部とを備えた共用物管理システムを用いて高所作業車の管理を行なう方法であって、
前記制御部が、
前記利用者端末から、高所作業車利用場所を含む利用申請を取得し、前記利用申請情報記憶部に記録し、
前記利用申請情報記憶部において、利用可能な高所作業車を特定できない場合、前記共用物情報記憶部を用いて、各使用状態及び所在位置を特定し、
前記使用状態に基づいて利用可能であって、前記利用場所と前記所在位置との距離に応じて高所作業車候補を特定し、
前記高所作業車候補の中で選択された高所作業車の利用権限を、前記利用者端末に付与することを特徴とする共用物管理方法。
【請求項6】
利用者端末と通信を行なう制御部と、
高所作業車の使用状態を記録する共用物情報記憶部と、
前記高所作業車の利用申請を記録する利用申請情報記憶部とを備えた共用物管理システムを用いて高所作業車の管理を行なうためのプログラムであって、
前記制御部を、
前記利用者端末から、高所作業車利用場所を含む利用申請を取得し、前記利用申請情報記憶部に記録し、
前記利用申請情報記憶部において、利用可能な高所作業車を特定できない場合、前記共用物情報記憶部を用いて、各使用状態及び所在位置を特定し、
前記使用状態に基づいて利用可能であって、前記利用場所と前記所在位置との距離に応じて高所作業車候補を特定し、
前記高所作業車候補の中で選択された高所作業車の利用権限を、前記利用者端末に付与する手段として機能させることを特徴とする共用物管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の利用者が共用する複数の共用物を管理する共用物管理システム、共用物管理方法及び共用物管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
共用物の有効活用のために、共用物のシェアリングを行なうことがある。また、建築現場において、複数の作業者が共用する機器を管理することがあり、例えば、建築現場で、複数の利用者が高所作業車を共用することがある。
【0003】
例えば、図12示すように、複数の高所作業車を、利用予定表500を用いて管理することがある。そして、高所作業車の利用希望者は、利用予定表500を確認して、利用や予約されていない高所作業車の空き時間の利用を申し込む。しかしながら、複数の利用者が共用している場合や、各高所作業車の所在位置が離れている場合には、的確な利用申請が困難である。
【0004】
また、建築現場における共用する資機材を予約するための技術も検討されている(例えば、特許文献1参照。)。この文献に開示された技術においては、情報処理システムが、建築現場において複数の作業者が共用する資機材を管理する。この場合、資機材に設けられる発信手段から発信される信号に基づいて、建築現場における資機材が存在するエリアを特定する。更に、資機材の稼働状況、資機材の予約状況を特定する。そして、エリアにおける資機材の特定情報を出力し、資機材の稼働情報及び予約状況についての予約情報を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-175224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、共用物の利用について予約した場合にも、共用物の状況に応じて、利用方法が異なる場合がある。この状況を考慮しなければ、効率的な共用物管理を行なうことができない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための共用物管理システムは、利用者端末と通信を行なう制御部と、共用物の使用状態を記録する共用物情報記憶部と、前記共用物の利用申請を記録する利用申請情報記憶部とを備える。そして、前記制御部が、前記利用者端末から、共用物の利用申請を取得し、前記利用申請情報記憶部において、利用可能な共用物を特定できない場合、前記共用物情報記憶部を用いて、各使用状態を特定し、前記使用状態に基づいて利用可能な共用物候補を特定し、前記共用物候補の中で選択された共用物の利用権限を、前記利用者端末に付与する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の利用者が共用する複数の共用物を効率的に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態のシステムの説明図。
図2】本実施形態の利用場面の説明図。
図3】本実施形態のハードウェア構成の説明図。
図4】本実施形態の情報記憶部の説明図であって、(a)は作業車情報記憶部、(b)は利用者情報記憶部、(c)は利用申請情報記憶部の説明図。
図5】本実施形態の処理手順の説明図。
図6】本実施形態の処理手順の説明図。
図7】本実施形態の処理手順の説明図。
図8】他の実施形態の処理手順の説明図。
図9】他の実施形態の処理手順の説明図。
図10】他の実施形態の処理手順の説明図。
図11】他の実施形態の処理手順の説明図。
図12】従来の利用予定表の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1図7に従って、共用物管理システム、共用物管理方法及び共用物管理プログラムを具体化した一実施形態を説明する。本実施形態では、複数階からなる構造物の建築現場において、複数の高所作業車(共用物)の利用を管理する場合に用いる共用物管理システムとして説明する。
【0011】
本実施形態では、図1に示すように、制御装置10、管理サーバ20、利用者端末30、管理端末32を用いる。制御装置10は、高所作業車V1に設けられる。本実施形態では、利用者によって共用される高所作業車V1の利用予約申請を前日までに受け付ける。そして、当日の利用予約申請に対して、高所作業車V1を割り当てる。更に、当日の高所作業車V1のスポット利用申請を受け付ける。ここで、スポット利用とは、前日以前に利用予約されていない利用で、例えば利用時間帯が指定されていない利用である。
【0012】
本実施形態では、図2に示すように、複数階層の建築現場で、利用当日に利用申請を行なう場合を想定する。この場合、利用希望者P1は、利用者端末30を用いて利用申請を行ない、管理サーバ20は、高所作業車V1の所在位置や稼働状態(使用状態)を確認する。高所作業車V1には、空いている状態(図では「空」)、稼働中(図では「稼」)、稼働していないが予約がある状態(図では「予」)がある。そして、利用可能な高所作業車V1を、所在位置、稼働状態に応じて利用候補として特定する。
【0013】
(ハードウェア構成の説明)
次に、図3を用いて、制御装置10、管理サーバ20、利用者端末30、管理端末32を構成する情報処理装置H10のハードウェア構成を説明する。情報処理装置H10は、通信装置H11、入力装置H12、表示装置H13、記憶装置H14、プロセッサH15を備える。なお、このハードウェア構成は一例であり、他のハードウェアにより実現することも可能である。
【0014】
通信装置H11は、他の装置との間で通信ルートを確立して、データの送受信を実行するインタフェースであり、例えばネットワークインタフェースカードや無線インタフェース等である。
【0015】
入力装置H12は、各種情報の入力を受け付ける装置であり、例えばマウスやキーボード、カメラ(撮影装置)等である。表示装置H13は、各種情報を表示するディスプレイ等である。
【0016】
記憶装置H14は、制御装置10、管理サーバ20、利用者端末30、管理端末32の各種機能を実行するためのデータや各種プログラムを格納する記憶装置である。記憶装置H14の一例としては、ROM、RAM、ハードディスク等がある。
【0017】
プロセッサH15は、記憶装置H14に記憶されるプログラムやデータを用いて、制御装置10、管理サーバ20、利用者端末30、管理端末32における各処理を制御する。プロセッサH15の一例としては、例えばCPUやMPU等がある。このプロセッサH15は、ROM等に記憶されるプログラムをRAMに展開して、各処理のための各種プロセスを実行する。
【0018】
プロセッサH15は、自身が実行するすべての処理についてソフトウェア処理を行なうものに限られない。例えば、プロセッサH15は、自身が実行する処理の少なくとも一部についてハードウェア処理を行なう専用のハードウェア回路(例えば、特定用途向け集積回路:ASIC)を備えてもよい。すなわち、プロセッサH15は、〔1〕コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサ、〔2〕各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いは〔3〕それらの組み合わせ、を含む回路(circuitry)として構成し得る。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0019】
(システム構成)
次に、図1を用いて、共用物管理システムの各機能を説明する。
高所作業車V1は、バッテリによる駆動機構を用いて高所作業を行なう作業車である。この高所作業車V1には、車両IDを含めた2次元コード画像が添付されている。更に、この高所作業車V1は、制御装置10を備えている。この制御装置10は、高所作業車V1のバッテリの充電量(残量)を取得したり、駆動機構の始動を制御したりする。駆動機構の始動を行なう場合には、制御装置10は、利用者端末30と通信を行なう。本実施形態では、制御装置10は、高所作業車V1の始動キーが格納されたキーボックスの施錠を管理するための開錠キーを保持しており、駆動機構の始動を管理する。そして、高所作業車V1を利用する場合、利用者端末30を用いて、キーボックスを開錠して、高所作業車V1を始動する。高所作業車V1の利用を終了した場合、利用者端末30を用いて、高所作業車V1を停止させて、キーボックスを施錠する。
【0020】
管理サーバ20は、高所作業車V1の利用を管理するコンピュータシステムである。この管理サーバ20は、制御部21、共用物情報記憶部としての作業車情報記憶部22、利用者情報記憶部23、利用申請情報記憶部24を備える。
【0021】
制御部21は、後述する処理(予約段階、割当段階、監視段階等を含む処理)を行なう。このための各処理のためのプログラムを実行することにより、制御部21は、予約部211、割当部212、監視部213等として機能する。
【0022】
予約部211は、高所作業車V1の利用予約申請やスポット利用申請を受け付ける処理を実行する。この予約部211は、利用予約申請の受付を終了する締め時刻(例えば、建築現場における前日の作業終了時刻)に関するデータを保持している。
【0023】
割当部212は、利用予約申請やスポット利用申請に対して、高所作業車V1を割り当てる処理を実行する。この割当部212は、作業内容に応じて利用する高所作業車V1の車両種別に関する作業対応テーブルを保持している。
監視部213は、高所作業車V1の状態を監視する処理を実行する。
【0024】
図4(a)に示すように、共用物情報記憶部としての作業車情報記憶部22には、各高所作業車V1についての作業車管理レコード220が記録される。この作業車管理レコード220は、高所作業車V1を登録した場合に記録されて、利用者端末30からの情報に基づいて更新される。作業車管理レコード220は、作業車ID、車両種別、開錠キー、利用者ID、稼働状況、所在位置、バッテリ状況、申請割当に関する情報を含んで構成される。
【0025】
作業車IDデータ領域には、各高所作業車V1を特定するための識別子に関するデータが記録される。
車両種別データ領域には、この高所作業車V1の種類に関するデータが記録される。
【0026】
開錠キーデータ領域には、この高所作業車V1を起動するための開錠キーに関するデータが記録される。
利用者IDデータ領域には、この高所作業車V1を利用中の利用者を特定するための情報が記録される。本実施形態では、高所作業車V1が稼働していない場合には空欄にしておき、稼動している場合には利用者の利用者IDを記録する。
【0027】
稼働状況データ領域には、この高所作業車V1の稼働状況を特定するための情報が記録される。本実施形態では、高所作業車V1が稼働していない場合には空欄にしておき、稼動している場合には利用者の申請IDを記録する。
【0028】
所在位置データ領域には、この高所作業車V1が設置させた位置に関するデータが記録される。
バッテリ状況データ領域には、この高所作業車V1のバッテリの充電量に関するデータが記録される。
申請割当データ領域には、この高所作業車V1を割り当てた利用申請を特定するための識別子(申請ID)に関するデータが記録される。
【0029】
図4(b)に示すように、利用者情報記憶部23には、高所作業車V1の利用者についての利用者管理レコード230が記録される。この利用者管理レコード230は、利用者登録が行なわれた場合に記録される。利用者管理レコード230は、利用者ID、所属、利用者属性、連絡先に関する情報を含んで構成される。
【0030】
利用者IDデータ領域には、この利用者を特定するための識別子に関するデータが記録される。
所属データ領域には、この利用者が所属する事業会社や部署に関するデータが記録される。
【0031】
利用者属性データ領域には、この利用者の属性(例えば、作業者、現場管理者等)に関するデータが記録される。
連絡先データ領域には、この利用者の連絡先(例えば、メールアドレス、利用者端末30のIPアドレス等)に関するデータが記録される。
【0032】
図4(c)に示すように、利用申請情報記憶部24には、高所作業車V1の利用申請についての申請管理レコード240が記録される。この申請管理レコード240は、利用者端末30から、利用予約申請やスポット利用申請を受け付けた場合に記録される。申請管理レコード240は、申請ID、申請種別、利用場所、利用時間、作業内容、申請者、作業車に関する情報を含んで構成される。
【0033】
申請IDデータ領域には、各申請を特定するための識別子に関するデータが記録される。
申請種別データ領域には、この申請の種類(利用予約申請又はスポット利用申請)を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0034】
利用場所データ領域には、高所作業車V1を用いて作業を行なう場所に関するデータが記録される。
利用時間データ領域には、利用予約申請については、高所作業車V1を用いて作業を行なう年月日及び時間(開始時刻及び終了時刻)に関するデータが記録される。スポット利用申請については、高所作業車V1を用いて作業を行なう所要時間に関するデータが記録される。
【0035】
作業内容データ領域には、高所作業車V1を用いる作業の内容を特定するための識別子に関するデータが記録される。この作業内容に応じて、利用可能な車両種別を特定することができる。
【0036】
申請者データ領域には、この申請を行なった利用者を特定するための識別子に関するデータが記録される。
作業車データ領域には、この申請に用いる高所作業車V1を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0037】
利用者端末30は、高所作業車V1を利用する利用者が用いるコンピュータ端末である。利用者は、利用者端末30を用いて、利用申請を行なったり、高所作業車V1の制御装置10と通信を行なったりする。このため、利用者端末30には、高所作業車V1の利用を管理するための管理アプリケーションがインストールされている。この管理アプリケーションは、利用者の利用者IDを保持している。更に、利用者端末30は、GPS(Global Positioning System)や無線基地局からの信号等を利用した所在位置取得部を備える。この所在位置情報取得部を用いることにより、利用者の現在位置(緯度経度やフロア)を特定することができる。
管理端末32は、高所作業車V1の管理者が用いるコンピュータ端末である。
【0038】
(作業車管理処理)
次に、上記のように構成された管理サーバ20において行なわれる作業車管理方法の処理手順を説明する。
【0039】
(通常予約処理)
まず、図5を用いて、通常予約処理を説明する。この処理は、高所作業車V1の利用予約を前作業日以前に申請する場合に行なわれる。
【0040】
ここでは、管理サーバ20の制御部21は、利用予約申請の受付処理を実行する(ステップS101)。具体的には、高所作業車V1の利用を予約希望する利用者は、利用者端末30の管理アプリケーションを起動して、「通常予約」を入力する。この場合、利用者端末30は、管理サーバ20にアクセスし、通常予約申請を送信する。この通常予約申請には、管理アプリケーションの利用者IDに関するデータを含める。この場合、制御部21の予約部211は、利用者端末30に、予約画面を出力する。そして、予約部211は、予約画面に入力された利用場所、利用時間、作業内容を取得する。予約部211は、申請IDを付与した申請管理レコード240を生成して、利用申請情報記憶部24に記録する。この申請管理レコード240には、申請種別として利用予約申請、作業時間、作業内容、申請者として利用者IDに関するデータを記録する。
【0041】
次に、管理サーバ20の制御部21は、締め時刻の到来かどうかについての判定処理を実行する(ステップS102)。具体的には、制御部21の予約部211は、現在時刻が利用予約申請の締め時刻になったかどうかを判定する。
【0042】
締め時刻が到来していないと判定した場合(ステップS102において「NO」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、利用予約申請の受付処理(ステップS101)を継続する。
【0043】
一方、締め時刻が到来したと判定した場合(ステップS102において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、利用予約申請の特定処理を実行する(ステップS103)。具体的には、制御部21の割当部212は、作業車情報記憶部22から、高所作業車V1を割り当てる必要がある利用予約申請を抽出する。ここでは、翌作業日が利用時間データ領域に記録された申請管理レコード240を抽出する。
【0044】
次に、管理サーバ20の制御部21は、必要な作業車の特定処理を実行する(ステップS104)。具体的には、制御部21の割当部212は、抽出した各申請管理レコード240の作業内容を特定する。次に、割当部212は、作業対応テーブルを用いて、各作業内容に応じた車両種別を特定する。そして、割当部212は、翌作業日の利用予約申請に応じて、車両種別毎に必要台数を算出する。
【0045】
次に、管理サーバ20の制御部21は、台数は十分かどうかについての判定処理を実行する(ステップS105)。具体的には、制御部21の割当部212は、作業車情報記憶部22を用いて、車両種別毎、利用時間毎に、高所作業車V1の利用可能台数を算出する。そして、各車両種別の必要台数が利用可能台数以上の場合には、割当部212は、台数は十分と判定する。一方、いずれかの車両種別の利用可能台数が不足している場合には、割当部212は、台数は不十分と判定する。
【0046】
台数は不十分と判定した場合(ステップS105において「NO」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、アラート処理を実行する(ステップS106)。具体的には、制御部21の割当部212は、管理端末32に対して、アラームメッセージを送信する。このアラームメッセージには、利用予約申請、不足している車両種別に関する情報を含める。この場合、管理者は、不足している高所作業車V1の利用申請の調整を行なったり、他から高所作業車V1の調達を行なったりする。
【0047】
一方、台数は十分と判定した場合(ステップS105において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、作業内容、位置に応じて作業車の割振処理を実行する(ステップS107)。具体的には、制御部21の割当部212は、各利用申請の作業内容に応じて、利用可能な高所作業車V1を特定する。そして、割当部212は、作業車情報記憶部22を用いて、各高所作業車V1の所在位置を特定する。次に、割当部212は、利用時間が競合せず、所在位置と利用場所との距離の総和が最短になるように、各高所作業車V1を利用申請に割り当てる。この場合、1台の高所作業車V1を複数回/日で使用する場合には、先行の利用場所と後続の利用場所との距離を用いる。
【0048】
次に、管理サーバ20の制御部21は、スケジュール登録処理を実行する(ステップS108)。具体的には、制御部21の割当部212は、利用申請情報記憶部24の申請管理レコード240に、割り当てた高所作業車V1の作業車IDを記録する。更に、割当部212は、作業車情報記憶部22の作業車管理レコード220に、割り当てた利用申請の申請IDを記録する。一日に複数回の利用申請がある場合には、このデータ領域に、すべての申請IDを記録する。
【0049】
次に、管理サーバ20の制御部21は、申請者端末に連絡処理を実行する(ステップS109)。具体的には、制御部21の割当部212は、利用申請者の利用者端末30に、スケジュール登録のメッセージを送信する。このメッセージには、割り当てた高所作業車V1の作業車IDに関する情報を含める。
【0050】
(高所作業車の利用処理)
次に、図6を用いて、高所作業車の利用処理を説明する。
まず、利用者端末30は、開錠申請処理を実行する(ステップS201)。具体的には、高所作業車V1を使用する場合、利用者は、利用者端末30の管理アプリケーションを起動して、高所作業車V1に貼付された2次元コード画像を撮影する。この場合、利用者端末30は、管理サーバ20にアクセスし、開錠申請を送信する。この開錠申請には、2次元コード画像に含まれる車両ID、管理アプリケーションの利用者IDに関するデータを含める。
【0051】
次に、管理サーバ20の制御部21は、予約権限の確認処理を実行する(ステップS202)。具体的には、制御部21の監視部213は、作業車情報記憶部22から、開錠申請に含まれる車両IDの作業車管理レコード220を取得する。次に、監視部213は、作業車管理レコード220に記録された申請IDの申請管理レコード240を、利用申請情報記憶部24から取得する。
【0052】
次に、管理サーバ20の制御部21は、認証完了かどうかについての判定処理を実行する(ステップS203)。具体的には、制御部21の監視部213は、特定した申請管理レコード240の中に、開錠申請に含まれる車両ID、利用者IDが記録されているかどうかを確認する。開錠申請に含まれる車両ID、利用者IDが記録された申請管理レコード240を特定できた場合には、監視部213は、認証完了と判定する。
【0053】
開錠申請に含まれる利用者IDが記録された申請管理レコード240を特定できず、認証完了でないと判定した場合(ステップS203において「NO」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、エラー処理を実行する(ステップS204)。具体的には、制御部21の監視部213は、利用者端末30にエラー画面を送信する。このエラー画面には、利用申請を確認できないことを示すメッセージを含める。
【0054】
一方、認証完了と判定した場合(ステップS203において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、開錠の許可の送信処理を実行する(ステップS205)。具体的には、制御部21の監視部213は、特定した申請管理レコード240に記録された作業車IDを取得する。次に、監視部213は、取得した作業車IDの作業車管理レコード220を、作業車情報記憶部22から抽出する。そして、監視部213は、稼働状態データ領域に申請IDを記録し、申請割当データ領域に記録された申請IDを削除する。更に、監視部213は、作業車管理レコード220に記録された開錠キーを取得し、利用者端末30に送信する。
【0055】
次に、利用者端末30は、開錠信号の送信処理を実行する(ステップS206)。具体的には、利用者端末30の管理アプリケーションは、管理サーバ20から取得した開錠キーを一時記憶する。そして、利用者端末30は、高所作業車V1の制御装置10に開錠信号を送信する。この開錠信号には、管理サーバ20から取得した開錠キーを含める。
【0056】
次に、制御装置10は、開錠処理を実行する(ステップS207)。具体的には、制御装置10は、予め保持している開錠キーと、開錠信号に含まれる開錠キーとが一致する場合には、キーボックスを開錠する。これにより、利用者は、高所作業車V1を始動して利用することができる。そして、利用者は、高所作業車V1を用いて、所望の作業を行なう。
【0057】
次に、作業を終了した場合、利用者端末30は、施錠信号の送信処理を実行する(ステップS208)。具体的には、利用者は、高所作業車V1の駆動機構を停止させる。そして、利用者端末30の管理アプリケーションを用いて、管理サーバ20にアクセスし、施錠信号を送信する。
【0058】
施錠信号を受信した制御装置10は、施錠処理を実行する(ステップS209)。具体的には、制御装置10は、キーボックスを施錠する。
次に、制御装置10は、状態情報の送信処理を実行する(ステップS210)。具体的には、制御装置10は、高所作業車V1のバッテリから充電量を取得する。そして、制御装置10は、利用者端末30に状態情報を送信する。この状態情報には、バッテリの充電量に関するデータを含める。
【0059】
制御装置10から状態情報を取得した利用者端末30は、転送処理を実行する(ステップS211)。具体的には、利用者端末30は、所在位置取得部を用いて、現在位置を特定する。そして、利用者端末30は、利用者ID、現在位置及びバッテリの充電量に関するデータを含めた状態情報を、管理サーバ20に送信する。
【0060】
次に、管理サーバ20の制御部21は、情報の更新処理を実行する(ステップS212)。具体的には、制御部21の監視部213は、利用者端末30から取得した利用者IDが稼働状況データ領域に記録された作業車管理レコード220を、作業車情報記憶部22において特定する。そして、監視部213は、特定した作業車管理レコード220に、利用者端末30から取得した現在位置及びバッテリ状況を記録する。更に、監視部213は、作業車管理レコード220の稼働状況データ領域に記録された利用者IDを削除して空欄にする。そして、監視部213は、利用申請情報記憶部24を用いて、利用者IDに対応した申請IDを特定し、作業車管理レコード220の申請割当から削除する。
【0061】
(スポット利用申請処理)
次に、図7を用いて、スポット利用申請処理を説明する。この処理は、前作業日までに、高所作業車V1の利用申請を行なっておらず、作業当日に、高所作業車V1の利用を希望する場合に行なわれる。
【0062】
まず、管理サーバ20の制御部21は、スポット利用申請の取得処理を実行する(ステップS301)。具体的には、高所作業車V1の利用を希望する利用者は、利用者端末30の管理アプリケーションを起動して、「スポット利用」を入力する。この場合、利用者端末30は、管理サーバ20にアクセスし、スポット利用申請を送信する。このスポット利用申請には、管理アプリケーションの利用者IDに関するデータを含める。この場合、制御部21の予約部211は、利用者端末30に、予約画面を出力する。そして、予約部211は、予約画面に入力された利用場所、作業内容を取得する。予約部211は、申請IDを付与した申請管理レコード240を生成して、利用申請情報記憶部24に記録する。この申請管理レコード240には、申請種別としてスポット利用申請、所要時間、作業内容、申請者として利用者IDに関するデータを記録する。
【0063】
次に、管理サーバ20の制御部21は、「空」作業車の検索処理を実行する(ステップS302)。具体的には、制御部21の割当部212は、作業内容に応じて、利用可能な車両種別を特定する。次に、割当部212は、特定した車両種別が記録されるとともに、予約割当データ領域が空欄の作業車管理レコード220を、作業車情報記憶部22において検索する。
【0064】
次に、管理サーバ20の制御部21は、「空」作業車があるかどうかについての判定処理を実行する(ステップS303)。具体的には、制御部21の割当部212は、予約割当データ領域が空欄の作業車管理レコード220を抽出できた場合には、「空」作業車があると判定する。
【0065】
「空」作業車があると判定した場合(ステップS303において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、作業車の割当登録処理を実行する(ステップS304)。具体的には、制御部21の割当部212は、特定した作業車管理レコード220の予約割当データ領域に、申請IDを記録する。更に、割当部212は、スポット利用申請の申請管理レコード240の作業車IDデータ領域に、この高所作業車V1の作業車IDを記録する。これにより、スポット利用申請を行なった利用者に対して、利用権限を付与する。
【0066】
一方、予約割当データ領域が空欄の作業車管理レコード220を抽出できず、「空」作業車がないと判定した場合(ステップS303において「NO」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、各作業車の稼働状態の検知処理を実行する(ステップS305)。具体的には、制御部21の割当部212は、特定した車両種別が記録されるとともに、予約割当データ領域に申請IDが記録された作業車管理レコード220を抽出する。そして、割当部212は、抽出した作業車管理レコード220の稼働状態を取得する。
【0067】
次に、管理サーバ20の制御部21は、稼働していない「予約中」作業車の検索処理を実行する(ステップS306)。具体的には、制御部21の割当部212は、稼働状態データ領域が空欄の作業車管理レコード220を検索する。
【0068】
次に、管理サーバ20の制御部21は、稼働していない作業車があるかどうかについての判定処理を実行する(ステップS307)。具体的には、制御部21の割当部212は、稼働状態データ領域が空欄の作業車管理レコード220を特定できた場合には、稼動していない作業車があると判定する。
【0069】
稼働状態データ領域が空欄の作業車管理レコード220を特定できず、稼働していない作業車がないと判定した場合(ステップS307において「NO」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、作業終了の待機処理を実行する(ステップS308)。具体的には、制御部21の割当部212は、作業車情報記憶部22に記録された作業車管理レコード220が更新されるまで待機する。そして、管理サーバ20の制御部21は、ステップS302以降の処理を繰り返す。
【0070】
一方、稼働していない作業車があると判定した場合(ステップS307において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、近い順に並び替えたリストの出力処理を実行する(ステップS309)。具体的には、制御部21の割当部212は、稼働状態データ領域が空欄となっているすべての作業車管理レコード220に記録された所在位置を作業車IDに関連付けて取得する。更に、割当部212は、作業車管理レコード220に記録された申請IDを用いて、利用申請情報記憶部24に記録された申請管理レコード240を取得する。そして、割当部212は、申請管理レコード240に記録された利用場所、所要時間、申請者に関する情報を取得する。そして、割当部212は、スポット利用申請の利用場所から所在位置が近い順番に作業車IDを並べたリストを作成する。このリストには、作業車IDに関連付けて、申請管理レコード240に記録された利用場所、利用時間、申請者に関する情報を含める。そして、割当部212は、生成したリストを利用者端末30に出力する。この場合、スポット利用申請の利用者は、リストの中で所望の高所作業車V1を選択する。そして、割当部212は、選択された高所作業車V1の利用者を利用候補として特定する。
【0071】
次に、管理サーバ20の制御部21は、利用候補にスポット利用可否の打診処理を実行する(ステップS310)。具体的には、制御部21の割当部212は、選択された高所作業車V1を利用可能候補として特定し、利用申請を行なった申請者を特定する。そして、割当部212は、利用可能候補の申請者の利用者端末30にスポット利用依頼を送信する。
【0072】
次に、管理サーバ20の制御部21は、利用可能かどうかについての判定処理を実行する(ステップS311)。具体的には、スポット利用依頼を受信した申請者は、作業状況を考慮して、スポット利用依頼に対して、許諾又は拒否を返信する。スポット利用申請を受信したすべての利用者端末30から拒否情報を得した場合、利用不可と判定する。この場合、スポット利用申請の利用者端末30のリストに打診結果を出力する。
【0073】
利用不可と判定した場合(ステップS311において「NO」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、待機かどうかについての判定処理を実行する(ステップS312)。具体的には、リスト上で打診結果を確認したスポット利用の申請者は、新たな打診を行なうかどうかを判定する。
【0074】
リストにおいて、新たに作業車の選択を検知した場合には、制御部21の割当部212は、待機でないと判定する。この場合(ステップS312において「NO」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、ステップS310以降の処理を繰り返す。
【0075】
なお、待機と判定した場合(ステップS312において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、作業終了の待機処理を実行する(ステップS308)。
一方、スポット利用申請を受信した何れかの利用者端末30から応諾情報を取得し、利用可能と判定した場合(ステップS311において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、ステップS304と同様に、作業車の割当登録処理を実行する(ステップS313)。
【0076】
次に、管理サーバ20の制御部21は、申請者端末に連絡処理を実行する(ステップS314)。具体的には、制御部21の割当部212は、スポット利用申請の利用者端末30に対して、利用可能な高所作業車V1に関する情報を送信する。
【0077】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、管理サーバ20の制御部21は、利用予約申請の受付処理を実行する(ステップS101)。締め時刻が到来したと判定した場合(ステップS102において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、利用予約申請の特定処理を実行する(ステップS103)。そして、台数は不十分と判定した場合(ステップS105において「NO」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、アラート処理を実行する(ステップS106)。これにより、利用申請に対して、共用物に不足が生じる場合には、管理者に注意喚起することができる。
【0078】
(2)本実施形態では、台数は十分と判定した場合(ステップS105において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、作業内容、位置に応じて作業車の割振処理(ステップS107)、スケジュール登録処理(ステップS108)を実行する。これにより、効率的に、作業に適した共用物を割り振ることができる。
【0079】
(3)本実施形態では、利用者端末30は、開錠申請処理(ステップS201)を実行した場合、管理サーバ20の制御部21は、予約権限の確認処理を実行する(ステップS202)。認証完了と判定した場合(ステップS203において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、開錠の許可の送信処理を実行する(ステップS205)。そして、制御装置10は、開錠処理を実行する(ステップS207)。これにより、高所作業車V1に、管理サーバ20との通信手段を設ける必要がなく、ローカル通信により、利用者端末30を利用して、高所作業車V1の起動を制御することができる。従って、鍵管理が容易になる。
【0080】
(4)本実施形態では、制御装置10から状態情報を取得した利用者端末30は、転送処理を実行する(ステップS211)。これにより、利用者端末30を用いて、高所作業車V1のバッテリの充電量や所在位置等の状況を把握することができる。
【0081】
(5)本実施形態では、管理サーバ20の制御部21は、スポット利用申請の取得処理(ステップS301)、「空」作業車の検索処理を実行する(ステップS302)。ここで、「空」作業車があると判定した場合(ステップS303において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、作業車の割当登録処理を実行する(ステップS304)。これにより、事前に利用申請していない場合にも、高所作業車V1をスポットで速やかに利用することができる。
【0082】
(6)本実施形態では、「空」作業車がないと判定した場合(ステップS303において「NO」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、各作業車の稼働状態の検知処理を実行する(ステップS305)。稼働していない作業車がないと判定した場合(ステップS307において「NO」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、作業終了の待機処理を実行する(ステップS308)。これにより、高所作業車V1の利用を終了した場合、速やかにスポット利用を促すことができる。
【0083】
(7)本実施形態では、稼働していない作業車があると判定した場合(ステップS307において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、近い順に並び替えたリストの出力処理を実行する(ステップS309)。これにより、スポット利用の申請者は、所望の高所作業車V1を効率的に選択することができる。
【0084】
(8)本実施形態では、管理サーバ20の制御部21は、利用候補にスポット利用可否の打診処理を実行する(ステップS310)。スポット利用申請を受信した何れかの利用者端末30から応諾情報を取得し、利用可能と判定した場合(ステップS311において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、作業車の割当登録処理を実行する(ステップS313)。これにより、スポット利用の申請者の手間を軽減することができる。
【0085】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、共用物として、共用される高所作業車を用いたが、共用されるものであれば、これに限定されるものではない。
【0086】
・上記実施形態では、各高所作業車V1の特定には、車両IDを含めた2次元コード画像を用いる。各高所作業車V1の特定方法は、2次元コード画像を用いる場合に限定されるものではない。例えば、車両IDを含めたタグの読取や、Bluetooth(登録商標)等を用いた近距離無線通信等を用いてもよい。この場合、利用者端末30は、開錠申請処理(ステップS201)において、タグリーダや通信装置H11を用いて、車両IDに関する情報を取得する。
【0087】
・上記実施形態では、管理サーバ20の制御部21は、認証完了かどうかについての判定処理を実行する(ステップS203)。具体的には、制御部21の監視部213は、特定した申請管理レコード240の中に、開錠申請に含まれる車両ID、利用者IDが記録されているかどうかを確認する。認証方法は、申請管理レコード240を用いる場合に限定されない。例えば、作業車管理レコード220に、利用時間毎に、利用者IDを記録しておく。そして、車両IDの作業車管理レコード220の利用時間に現在時刻が含まれる利用者IDを用いて認証してもよい。
【0088】
・上記実施形態では、制御装置10は、高所作業車V1の始動キーが格納されたキーボックスの施錠を管理するための開錠キーを保持しており、駆動機構の始動を管理する。そして、利用者端末30は、開錠信号の送信処理を実行する(ステップS206)。ここで、高所作業車V1の利用を管理できれば、キーボックスの施錠に限定されるものではない。
【0089】
・上記実施形態では、作業を終了した場合、利用者端末30は、施錠信号の送信処理を実行する(ステップS208)。ここで、例えば、利用者端末30が、高所作業車V1の稼働状態やキーボックスの施錠状態を監視するようにしてもよい。そして、利用者端末30が、駆動機構の停止、キーボックスのロックを検知した場合、自動的に施錠信号を送信するようにしてもよい。
【0090】
・上記実施形態では、利用申請情報記憶部24には、作業内容に関する情報を記録する。そして、管理サーバ20の制御部21が、作業内容に応じて利用する高所作業車V1の車両種別を特定する。これに代えて、利用申請において、作業内容を指定することなく、車両種別を指定させてもよい。
【0091】
・上記実施形態では、制御装置10から状態情報を取得した利用者端末30は、転送処理を実行する(ステップS211)。具体的には、利用者端末30は、所在位置取得部を用いて、現在位置を特定する。そして、利用者端末30は、利用者ID、現在位置及びバッテリの充電量に関するデータを含めた状態情報を、管理サーバ20に送信する。この場合、利用者端末30は、GPSや無線基地局等を利用する。現在地を特定できれば、所在位置取得方法は限定されるものではない。例えば、高所作業車V1側に所在位置取得部を設けてもよい。この場合、気圧計を高所作業車V1に設置して、気圧に応じた高度から設置階を特定するようにしてもよい。
【0092】
・上記実施形態では、稼働していない作業車があると判定した場合(ステップS307において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、近い順に並び替えたリストの出力処理を実行する(ステップS309)。そして、管理サーバ20の制御部21は、利用候補にスポット利用可否の打診処理を実行する(ステップS310)。これに代えて、管理サーバ20が、稼働していない高所作業車を特定して、申請者にスポット利用を打診するようにしてもよい。
【0093】
図8を用いて、スポット利用申請処理を説明する。
まず、管理サーバ20の制御部21は、稼働していない作業車があるかどうかについての判定処理を実行する(ステップS307)。そして、稼働していない作業車がないと判定した場合(ステップS307において「NO」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、作業終了の待機処理を実行する(ステップS308)。
【0094】
一方、稼働していない作業車があると判定した場合(ステップS307において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、利用候補にスポット利用可否の打診処理を実行する(ステップS401)。具体的には、制御部21の割当部212は、作業車情報記憶部22を用いて、稼動していない高所作業車V1を、近い順番に利用候補として特定する。そして、割当部212は、特定した高所作業車V1の作業車管理レコード220の申請IDを取得する。次に、割当部212は、この申請IDの申請管理レコード240を、利用申請情報記憶部24から取得し、申請者(利用者ID)を取得する。そして、割当部212は、特定した申請者の利用者端末30にスポット利用依頼を送信する。
【0095】
次に、管理サーバ20の制御部21は、待機処理を実行する(ステップS402)。具体的には、制御部21の割当部212は、スポット利用依頼に対する応答を待機する。
次に、管理サーバ20の制御部21は、利用可能かどうかについての判定処理を実行する(ステップS403)。具体的には、制御部21の割当部212は、スポット利用申請を受信した何れかの利用者端末30から応諾情報を取得した場合には、利用可能と判定する。一方、スポット利用申請を受信したすべての利用者端末30から拒否情報を得した場合、利用不可と判定する。
【0096】
利用不可と判定した場合(ステップS403において「NO」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、すべて不可かどうかについての判定処理を実行する(ステップS404)。具体的には、制御部21の割当部212は、まだ、スポット利用依頼を送信していない作業車管理レコード220の有無を確認する。稼動していない高所作業車V1のすべての作業車管理レコード220について、拒否情報を取得した場合には、割当部212は、すべて不可と判定する。
【0097】
すべて不可と判定した場合(ステップS404において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、作業終了の待機処理を実行する(ステップS308)。
まだ、スポット利用申請を送信していない高所作業車V1の作業車管理レコード220が残っており、すべて不可ではないと判定した場合(ステップS404において「NO」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、残っている作業車の申請者にスポット利用可否の打診処理を実行する(ステップS401)。
【0098】
一方、利用可能と判定した場合(ステップS403において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、利用可能な作業車の特定処理を実行する(ステップS405)。具体的には、制御部21の割当部212は、応諾情報を取得した申請IDが記録された作業車管理レコード220において、スポット利用申請の利用場所から最も近い現在位置が記録されたレコードの高所作業車V1を特定する。
【0099】
次に、管理サーバ20の制御部21は、ステップS313と同様に、作業車の割当登録処理を実行する(ステップS406)。
次に、管理サーバ20の制御部21は、ステップS314と同様に、申請者端末に連絡処理を実行する(ステップS407)。
これにより、スポット利用申請の申請者の手間を軽減して、高所作業車V1を割り当てることができる。
【0100】
・上記実施形態では、管理サーバ20の制御部21は、近い順に並び替えたリストの出力処理を実行する(ステップS309)。そして、管理サーバ20の制御部21は、利用候補にスポット利用可否の打診処理を実行する(ステップS310)。ここで、充電量を考慮して利用候補を特定してもよい。
【0101】
図9を用いて、利用候補の特定処理を説明する。ここでは、高所作業者毎に、以下の処理を繰り返して実行する。
まず、管理サーバ20の制御部21は、現在の充電量の取得処理を実行する(ステップS501)。具体的には、制御部21の割当部212は、作業車情報記憶部22に記録された作業車管理レコード220のバッテリ状況を用いて、各高所作業車V1の充電量を取得する。
【0102】
次に、管理サーバ20の制御部21は、終日の使用予定の特定処理を実行する(ステップS502)。具体的には、制御部21の割当部212は、各作業車管理レコード220の申請割当データ領域に記録された申請IDを取得する。
【0103】
次に、管理サーバ20の制御部21は、充電余裕量の算出処理を実行する(ステップS503)。具体的には、制御部21の割当部212は、取得した申請IDの申請管理レコード240を、利用申請情報記憶部24から取得する。そして、割当部212は、各高所作業車の申請管理レコード240に記録された利用時間の長さに応じた電力使用予測量を算出する。次に、割当部212は、各高所作業車の充電量から電力使用予測量を差し引いた充電余裕量を算出する。
【0104】
次に、管理サーバ20の制御部21は、余裕があるかどうかについての判定処理を実行する(ステップS504)。具体的には、制御部21の割当部212は、スポット利用申請の所要時間の長さに応じた電力使用予測量を算出する。そして、割当部212は、充電余裕量と電力使用予測量との差分を算出する。ここで、差分が基準値以上の場合には、余裕があると判定する。
【0105】
余裕があると判定した場合(ステップS504において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、利用候補としての特定処理を実行する(ステップS505)。具体的には、制御部21の割当部212は、余裕がある高所作業車V1を、スポット利用申請の利用候補として特定する。
【0106】
一方、余裕がないと判定した場合(ステップS504において「NO」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、利用候補からの削除処理を実行する(ステップS506)。具体的には、制御部21の割当部212は、スポット利用申請の利用候補の対象外として特定する。
【0107】
・上記実施形態では、管理サーバ20の制御部21は、近い順に並び替えたリストの出力処理を実行する(ステップS309)。そして、管理サーバ20の制御部21は、利用候補にスポット利用可否の打診処理を実行する(ステップS310)。ここで、利用予約申請を行なった利用者属性に応じて、利用可能候補を特定するようにしてもよい。この場合、割当部212は、利用者IDに応じて利用者属性を特定するための情報を保持させておく。そして、利用者属性に関連付けて、基準距離を特定するための基準距離管理テーブルを備える。この基準距離管理テーブルには、高所作業車V1を用いる作業者属性に対しては短い基準距離を設定し、現場管理者属性に対しては、長い基準距離を置く設定しておく。
【0108】
図10を用いて、利用可能候補の特定処理を説明する。ここでは、高所作業者毎に、以下の処理繰り返して実行する。
まず、管理サーバ20の制御部21は、利用者端末の所在位置の特定処理を実行する(ステップS601)。具体的には、制御部21の割当部212は、申請者の利用者端末30の現在位置を取得する。
【0109】
次に、管理サーバ20の制御部21は、利用場所の特定処理を実行する(ステップS602)。具体的には、制御部21の割当部212は、利用申請情報記憶部24の申請管理レコード240に記録された利用場所を取得する。
【0110】
次に、管理サーバ20の制御部21は、距離の算出処理を実行する(ステップS603)。具体的には、制御部21の割当部212は、利用者端末30の現在位置から利用場所までの距離を算出する。
【0111】
次に、管理サーバ20の制御部21は、利用者属性に応じて基準距離の特定処理を実行する(ステップS604)。具体的には、制御部21の割当部212は、申請管理レコード240に記録された申請者の利用者IDの利用者属性を、利用者情報記憶部23から取得する。次に、割当部212は、基準距離管理テーブルを用いて、この利用者属性に応じた基準距離を特定する。
【0112】
次に、管理サーバ20の制御部21は、高所作業車を利用中かどうかについての判定処理を実行する(ステップS605)。具体的には、制御部21の割当部212は、利用場所までの距離が基準距離内の場合には、作業中と判定し、基準距離よりも遠い場合には、作業中でないと判定する。
【0113】
高所作業車を利用中でないと判定した場合(ステップS605において「NO」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、利用候補としての特定処理を実行する(ステップS606)。具体的には、制御部21の割当部212は、スポット利用申請の利用候補として特定する。
【0114】
一方、高所作業車を利用中と判定した場合(ステップS605において「YES」の場合)管理サーバ20の制御部21は、利用候補からの削除処理を実行する(ステップS607)。具体的には、制御部21の割当部212は、スポット利用申請の利用候補の対象外として特定する。
【0115】
これにより、作業者が、利用場所から離れている場合には、スポット利用可能と判定する。また、現場管理者の場合には、高所作業車V1の開錠後に、利用場所から離れる可能性がある。この場合、利用場所からの距離が離れている場合にも、スポット利用の対象外とすることができる。
【0116】
・上記実施形態では、管理サーバ20の制御部21は、情報の更新処理を実行する(ステップS212)。ここで、高所作業車のバッテリの充電量の確認処理を行なうようにしてもよい。
【0117】
図11を用いて、充電量の確認処理を説明する。
まず、管理サーバ20の制御部21は、充電量の取得処理を実行する(ステップS701)。具体的には、制御部21の監視部213は、作業車情報記憶部22に記録された作業車管理レコード220を用いて、利用終了した高所作業車V1のバッテリの充電量を特定する。
【0118】
次に、管理サーバ20の制御部21は、後続の利用の特定処理を実行する(ステップS702)。具体的には、制御部21の監視部213は、作業車管理レコード220の申請割当データ領域に記録された申請IDを、後続の利用として特定する。
【0119】
次に、管理サーバ20の制御部21は、電力使用予測量の算出処理を実行する(ステップS703)。具体的には、制御部21の監視部213は、特定した申請IDの申請管理レコード240を、利用申請情報記憶部24から抽出する。そして、監視部213は、申請管理レコード240に記録された利用時間の長さに応じた電力使用予測量を算出する。
【0120】
次に、管理サーバ20の制御部21は、充電量は十分かどうかについての判定処理を実行する(ステップS704)。具体的には、制御部21の監視部213は、充電量から電力使用予測量を差し引いた充電余裕量を算出する。そして、充電余裕量が基準値以上の場合には、余裕があると判定する。
【0121】
充電量は十分と判定した場合(ステップS704において「YES」の場合)、充電量の確認処理を終了する。
充電量は不十分と判定した場合(ステップS704において「NO」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、充電時間があるかどうかについての判定処理を実行する(ステップS705)。具体的には、制御部21の監視部213は、現在時刻から、後続の申請管理レコード240の利用時間に記録された開始時刻までの残り時間を算出する。そして、残り時間が基準時間以上の場合には充電時間があると判定する。
【0122】
充電時間があると判定した場合(ステップS705において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、充電指示処理を実行する(ステップS706)。具体的には、制御部21の監視部213は、利用者端末30や管理端末32に充電指示を送信する。
【0123】
一方、残り時間が基準時間未満で、充電時間がないと判定した場合(ステップS705において「NO」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、アラート処理を実行する(ステップS707)。具体的には、制御部21の監視部213は、管理端末32にアラームメッセージを送信する。このアラームメッセージには、作業車ID、申請IDに関する情報を含める。この場合、管理者は、高所作業車V1の利用申請の調整や、利用者に対する注意喚起を行なう。
【符号の説明】
【0124】
V1…高所作業車、10…制御装置、20…管理サーバ、21…制御部、211…予約部、212…割当部、213…監視部、22…作業車情報記憶部、23…利用者情報記憶部、24…利用申請情報記憶部、30…利用者端末、32…管理端末。
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