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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】トップカール付き紙容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/24 20060101AFI20241126BHJP
【FI】
B65D5/24 H
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020194166
(22)【出願日】2020-11-24
(65)【公開番号】P2022082965
(43)【公開日】2022-06-03
【審査請求日】2023-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】谷口 正幸
(72)【発明者】
【氏名】伊従 晃章
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-261026(JP,A)
【文献】実開昭56-081017(JP,U)
【文献】登録実用新案第3098253(JP,U)
【文献】特開2011-093590(JP,A)
【文献】特開2000-335550(JP,A)
【文献】特開平09-040035(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも片面に樹脂層が形成された板紙からなるブランクで構成される紙容器であって、
紙容器は底面、側面板、フランジによって構成され、
底面は長方形状の概形を有する略8角形であって、四隅の角部を有しており、
側面板は底面を囲んで立ち上がり、紙容器の側面を構成しており、
フランジは側面板の上端に連続して紙容器の周囲を囲んでおり、
前記四隅のそれぞれの周囲に、板紙の無い樹脂層だけの楔形の領域が2箇所ずつ計8箇所設けてあり、
前記底面の周縁のうち、前記長方形状の概形の長辺に相当する一組の辺が、外側に突き出た曲線であって、
前記一組の辺と接続された前記側面板とこの側面板に接続されたフランジとの境界、および前記ブランクの外周のうちこのフランジが形成する部位が、外側に突き出た曲線であって、
前記ブランクの外周の曲線は、その長手方向の辺の中央で0.7mm~1.0mmのふくらみであって、かつ前記底面の周縁の曲線のふくらみよりも小さく、
紙容器のフランジには、カーリングが施されていることを特徴とする、トップカール付き紙容器。
【請求項2】
前記ブランクに形成された樹脂層は、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂のうち、1または複数からなることを特徴とする、請求項1に記載のトップカール付き紙容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙容器に関するものである。特に板紙を基材としたブランクを用いて形成され、例えば、アイスクリームなどの冷凍食品や、粉末物を収納することが可能な、トレー形状の、トップカール付き紙容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
包装容器としては、古くからガラスや陶器製、あるいは金属製のものが使われてきた。1960年代になって、紙への液体の浸透性を低くする技術が進み、1970年代になってさらに浸透性を小さくした紙パックが開発され、アルコール飲料等にも用いられるようになり、スーパーやコンビニエンスストアの商品棚をにぎわしている。
【0003】
紙容器が広範に用いられるようになった背景には、紙容器にはたとえば下記のような特徴、利便性があることがあげられる。
・軽量であり、折りたたみも可能で輸送コストが少ない。
・表面に各種印刷が可能であり、意匠性向上、内容液に関する情報表示が容易である。
・耐衝撃性を有し、持ち運びにも便利である。
・植物もしくは木材由来の素材であり、廃棄に際して減容性、焼却性に優れ、環境適合型である。
【0004】
一方で、紙容器として、要求品質も内容液や用途に対応して多岐にわたっており、たとえば、下記のような機能が求められている。
・内容物が液体の場合には、液漏れがしない。
・微生物からの保護、密封性に優れる。
・保存性の向上を目的とした、遮光性、ガスバリア性を有する。
・内容物の外力からの保護を目的とした、剛性や強靭性を有する。
などである。
【0005】
また紙容器は、スーパーマーケットや、コンビニエンスストアなどの小売りの場面で、例えば食品の包装材料として紙トレーなどとしても使用されている。その形態はさまざまであるが、紙を基材としていることから、上記のように価格面などのメリットのほか、環境適合型の包装材料として、広く使われている。
【0006】
また、内容物によってさまざまな形態が可能であり、紙トレーを例にとればブランクとして紙基材の表面に熱可塑性樹脂層を設けて、耐水性を付与し、また紙容器の立体の形成に熱可塑性樹脂層のシールを行うこともでき、蓋材をシールしてトレー全体を密封することも行われている。
【0007】
特許文献1には、トレー容器用ブランクとして、方形の底面板の相対する二辺にそれぞれ山折り線を介して側面板が連設され、側面板の外周に谷折り線を介して縁辺が連接されてなるトレー用ブランクが提案されている。
【0008】
しかしながら、折り目をつけて組み立てた紙容器は、縁辺すなわちフランジがあるために開口部が四角形等の角型になり、意匠性の展開に制限があった。食品容器などのユニバーサルデザインが求められている中で、鋭角な部分がなく、手にやさしい柔らかな円弧状やラウンド形状であっても安定した密封シールができるフランジ部を備えた紙容器が求められていた。
【0009】
一方で、トップにシールできるフランジを容器側面部材を延長してカーリングさせた紙容器としては、紙カップが一般的であるが、構造上ボトムパーツと円筒状胴部パーツをカシメ嵌合して容器とするために、ボトム部外側に電子レンジ加熱をすると、過加熱する部分があり潜在的に発煙、発火の恐れがあって、電子レンジ加熱には適さない欠点を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特許第3687396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明はかかる状況に鑑みてなされたものであり、電子レンジ適性を有して、曲面で構成され、シール可能なフランジ部を備えた、トップカール付き紙容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、
少なくとも片面に樹脂層が形成された板紙からなるブランクで構成される紙容器であって、
紙容器は底面、側面板、フランジによって構成され、
底面は長方形状の概形を有する略8角形であって、四隅の角部を有しており、
側面板は底面を囲んで立ち上がり、紙容器の側面を構成しており、
フランジは側面板の上端に連続して紙容器の周囲を囲んでおり、
前記四隅のそれぞれの周囲に、板紙の無い樹脂層だけの楔形の領域が2箇所ずつ計8箇所設けてあり、
前記底面の周縁のうち、前記長方形状の概形の長辺に相当する一組の辺が、外側に突き出た曲線であって、
前記一組の辺と接続された前記側面板とこの側面板に接続されたフランジとの境界、および前記ブランクの外周のうちこのフランジが形成する部位が、外側に突き出た曲線であって、
前記ブランクの外周の曲線は、その長手方向の辺の中央で0.7mm~1.0mmのふくらみであって、かつ前記底面の周縁の曲線のふくらみよりも小さく、
紙容器のフランジには、カーリングが施されていることを特徴とする、トップカール付き紙容器である。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、
前記ブランクの片面に形成された樹脂層は、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂のうち、1または複数からなることを特徴とする、請求項1に記載のトップカール付き紙容器である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電子レンジ適性を有して、曲面で構成され、シール可能なフランジ部を備えた、トップカール付き紙容器を提供することが可能である。
【0015】
少なくとも片面に樹脂層が形成された板紙からなるブランクで構成される紙容器であることによって、シール適性を有した紙容器とすることができる。これはシーラント層を有した蓋材をシールして紙容器を密封することを可能にする。
【0016】
紙容器は、底面、側面板、フランジによって構成され、底面は略矩形で、四隅の角部を有しており、側面板は底面を囲んで立ち上がり、紙容器の側面を構成していることによって、この紙容器がワンパーツで構成されており、電子レンジによる加熱などの場合においても、過加熱の恐れのない紙容器とすることができる。
【0017】
フランジは、側面板の上端に連続して紙容器の周囲を囲んでいることによって、この部分で蓋材などをシールして紙容器を密閉することを可能にする。
【0018】
ブランクは、略矩形であって四隅に板紙の無い樹脂層だけの楔形の領域が2箇所づつ計8箇所設けてあり、この部分で隣り合う側面板同士をシールして側面を立体的に立ち上げて、略矩形のトレー型の紙容器を構成することが可能である。このシールは例えば、ヒートシールによるものとすることが可能である。
【0019】
ブランクにおいて、
底面の略矩形の、底面と側面板の境界の、対向する少なくとも一組の辺が、外側に突き出た曲線であって、
同様に、側面板の紙容器トップ側と、フランジの境界の、対向する少なくとも一組の辺も、外側に突き出た曲線であって、
同様に、ブランクの外周の対向する少なくとも一組の辺も、外側に突き出た曲線であって、
ブランクの外周の曲線は、その長手方向の辺の中央で0.7mm~1.0mmのふくらみであることによって、このブランクによって構成される紙容器は、安定した形状を形成し、鋭角な角部分がなく、手にやさしい円弧状のフォルムを有する容器とすることができる。
【0020】
また、紙容器には、側面板の曲線のほか、フランジにカーリングが施されていることによって、紙容器は、鋭角な角部分がなく、手にやさしい円弧状のフォルムを有する容器とすることができる。
【0021】
また、本発明によれば、
・トップカールフランジの寸法安定性
・トップカールフランジの割れ、シワがないこと
・蓋材とのシール安定性
・カーリング成型適性
にすぐれた、トップカール付き紙容器を提供することが可能である。
【0022】
また特に請求項2に記載の発明によれば、ブランクに形成された樹脂層は、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂のうち、1または複数からなることによって、ブランクはシール適性、特にヒートシール適性を有し、同時に紙容器の耐水性の向上にも効果的である。
【0023】
特にヒートシールによって紙容器を組み立てる場合には、その生産性の向上に効果的であり、蓋材による密封をしようとする場合においても、容易かつ安定して行うことに効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明によるトップカール付き紙容器の一実施態様を構成する、ブランクを説明するための、平面模式図である。
図2図2は、本発明によるトップカール付き紙容器のトップカール部分の説明をするための、部分断面模式図である。
図3図3は、本発明によるトップカール付き紙容器の一実施態様を説明するための、斜視模式図である。
図4図4は、本発明によるトップカール付き紙容器の一実施態様において、蓋材をシールした後、開封する様子を説明するための斜視模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を図1図4を参照しながら、更に詳しい説明を加える。ただし本発明は、ここに示す例にのみ限定されるものではない。本発明は、請求項によって特定されるものである。
【0026】
図1は、本発明によるトップカール付き紙容器の一実施態様を構成する、ブランクを説明するための、平面模式図である。
【0027】
本発明は、トップカール付き紙容器であって、少なくとも片面に樹脂層が形成された板紙からなるブランク(5)で構成される紙容器である。
【0028】
ブランク(5)は、略矩形であって四隅に板紙の無い、樹脂層だけの楔形の領域(4)が2箇所づつ計8箇所設けてある。
【0029】
この樹脂層だけの楔形の領域(4)の存在によって、このブランク(5)は楔形はその両側の側面板(2)同士を接続させ、底面(1)から立ち上げることで、紙容器を立体に組み立てることができる。この両側の側面板(2)同士の接続は、例えばシールによって、特にヒートシールによって行うことができる。
【0030】
紙容器は底面(1)、側面板(2)、フランジ(3)によって構成され、底面(1)は略矩形で、四隅の角部を有しており、側面板(2)は底面(1)を囲んで立ち上がり、紙容器の側面を構成している。
【0031】
フランジ(3)は側面板(2)の上端に連続して紙容器の周囲を囲んでおり、本発明はフランジ(3)にはカーリングが施されていることを特徴とする。この場合、カーリングはフランジ(3)に、プレスなどの工程によってエッジ部分を巻き込むようにして、カールを与える加工である。
【0032】
このカーリングによって、紙容器のトップの形状は、曲線とすることができ、デザイン的にも好ましいものを実現することが可能である。例えばトレー形状の紙容器であれば、開口部が矩形ではなく丸みを帯びた形状となって、鋭角の角部がなく、手にやさしい円弧状とすることができることに加えて、安定した密封シールができるフランジ部を備えた紙容器とすることが可能である。
【0033】
したがって、食品容器などのユニバーサルデザインが求められている中で、その要求にも応えられるものである。
【0034】
このカーリングを施されたフランジ(3)は、シーラントとなる樹脂層を設けた蓋材を用いて、紙容器とのシール密封が可能である。蓋材とのシール、それによる紙容器の密封については、後述する。
【0035】
また、本発明によるトップカール付き紙容器においては、ブランク(5)において、底面(1)の略矩形の、底面(1)と側面板(2)の境界の、対向する少なくとも一組の辺
(10)が、外側に突き出た曲線であることを特徴とする。この曲線の膨らみは図1中、膨らみ(b)で示される。
【0036】
同様に、側面板(2)の紙容器トップ側と、フランジ(3)との境界の、対向する少なくとも一組の辺(11)も、外側に突き出た曲線であることを特徴とする。
【0037】
同様に、フランジ(3)の外周の対向する少なくとも一組の辺(12)も、外側に突き出た曲線であることを特徴とする。
【0038】
またフランジ(3)の外周の曲線は、その長手方向の辺の中央で0.7mm~1.0mmのふくらみであることを特徴とする。この曲線の膨らみは図1中、膨らみ(c)で示される。
【0039】
図2は、本発明によるトップカール付き紙容器のトップカール部分の説明をするための、部分断面模式図である。
【0040】
前述のように、フランジ(3)は側面板(2)の上端に連続して紙容器の周囲を囲んでおり、本発明はフランジ(3)にはカーリングが施されていることを特徴とする。この場合、カーリングはフランジ(3)に、プレスなどの工程によってエッジ部分を巻き込むようにして、カールを与える加工である
【0041】
カーリングされたフランジ(3)のカールの断面は、当初円筒形状であるが、上下から図2中矢印の方向に力を加えて、より平坦な形状にすることができる。
【0042】
これによって、ブランク(5)が表面に樹脂層(7)を有することによって、蓋材とのシール性を付与することも可能である。樹脂層(7)は少なくともブランク(5)の片面に設けられる。
【0043】
フランジ(3)のシールは、フランジ(3)と、蓋材との樹脂層同士を対向させて重ね、例えば、加熱、加圧によるヒートシールで互いに融着させて、紙容器を密封することが可能である。
【0044】
本発明において、ブランクに形成された樹脂層は、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂のうち、1または複数とすることができる。
【0045】
これらの樹脂を用いることによって、よりよいシール適性、シール強度の向上において効果的である。
【0046】
図3は、本発明によるトップカール付き紙容器の一実施態様を説明するための、斜視模式図である。
【0047】
図1に示す、ブランク(5)によって、図3に示すトップカール付き紙容器(10)を構成することが可能である。
【0048】
図3によって示される通り、本発明によるトップカール付き紙容器(10)は、鋭角な角部分がなく、手にやさしい円弧状のフォルムを有する紙容器(10)とすることができる。
【0049】
またトップカール付きのフランジ(3)が、紙容器(10)のトップの周縁を取り囲ん
でいることによって、シーラントを有する蓋材をシールして、トップカール付きの紙容器(10)を密封することができる。
【0050】
またこの紙容器(10)は、ブランク(5)に少なくとも片面には樹脂層(7)が設けてあり、この樹脂層(7)によってブランク(5)から立体の紙容器(10)への組み立てが可能になるほか、樹脂層(7)が紙容器(10)内側に設けてある場合には、紙容器(10)に耐水性を付与することが可能である。
【0051】
図4は、本発明によるトップカール付き紙容器の一実施態様において、蓋材をシールした後、開封する様子を説明するための斜視模式図である。
【0052】
前述のように、紙容器(10)のフランジ(3)に蓋材(6)をシールすることによって、紙容器(10)を密封することができる。
【0053】
図4に示すように、密封された紙容器(10)は、フランジ(3)と蓋材(6)とのシール部を、矢印方向引っ張って剥離することによって、紙容器(10)を開封することが可能である。
【0054】
本発明において、ブランク(5)に形成された樹脂層(7)は、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂のうち、1または複数とすることができる。
【0055】
これらの樹脂は熱可塑性樹脂であって、シーラントとしてヒートシールなどのシール性に優れ、また一定のシール強度を有して、密封された紙容器(10)として、例えば外力からの耐性を具備することが可能である。
【0056】
これらのうち、例えばポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂の具体的な例を挙げれば、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-メタアクリル酸樹脂共重合体などのエチレン系樹脂を用いることができる。
【0057】
また、ポリエチレンとポリブテンのブレンド樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂(PP)、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂等を使用することができる。
【0058】
熱可塑性樹脂層の形成には、押出機などを用いて溶融した樹脂を製膜して、紙基材上に層形成することができる。あるいは、あらかじめフィルムの状態に製膜してある材料を、ラミネートによって積層することによって、紙基材の表面に層形成することも可能である。
【0059】
このようにして、本発明によれば、電子レンジ適性を有して、曲面で構成され、シール可能なフランジ部を備えた、トップカール付き紙容器(10)を提供することが可能である。
【実施例
【0060】
以下本発明を、実施例及び比較例によって更に具体的な説明を加える。ただし本発明は、ここに示す例にのみ限定されるものではない。本発明は、請求項によって特定されるものである。
【0061】
寸法を変えたブランクを用意して、トップカール付き紙容器を構成し、紙容器の評価を行った。
【0062】
評価項目は下記のとおりである。
・トップカールフランジの寸法安定性
・トップカールフランジの割れ、シワがないこと
・蓋材とのシール安定性
・カーリング成型適性。
【0063】
評価は、〇、△、×、の3段階とし、評価項目すべてが〇評価のものを合格判定とした。
また、評価項目のいずれかが、△または×評価のものは不合格判定とした。
【0064】
ブランクの形状及び寸法は、図1に示すものであり、記号もそれに従うものとする。
【0065】
すなわち、底面(1)と側面板(2)の境界の、対向する少なくとも一組の辺(10)が、外側に突き出た曲線であって、この曲線の膨らみは図1中、膨らみ(b)で示される。
またフランジ(3)の外周の曲線の膨らみは、図1中、膨らみ(c)で示される。
【0066】
<実施例1>
b=5mm c=0.7mmとした。
本発明においては、ブランクにおいて、底面の略矩形の、底面と側面板の境界の、対向する少なくとも一組の辺が、外側に突き出た曲線であって、
同様に、側面板の紙容器トップ側と、フランジの境界の、対向する少なくとも一組の辺も、外側に突き出た曲線であって、
同様に、ブランクの外周の対向する少なくとも一組の辺も、外側に突き出た曲線であって、
ブランクの外周の曲線は、その長手方向の辺の中央で0.7mm~1.0mmのふくらみであることから、
この例では、b、c、いずれも本発明に規定する範囲内である。
【0067】
<実施例2>
b=7mm c=0.7mmとした。
この例では、b、c、いずれも本発明に規定する範囲内である。
【0068】
<実施例3>
b=9mm c=0.7mmとした。
この例では、b、c、いずれも本発明に規定する範囲内である。
【0069】
<実施例4>
b=5mm c=1.0mmとした。
この例では、b、c、いずれも本発明に規定する範囲内である。
【0070】
<実施例5>
b=7mm c=1.0mmとした。
この例では、b、c、いずれも本発明に規定する範囲内である。
【0071】
<実施例6>
b=9mm c=1.0mmとした。
この例では、b、c、いずれも本発明に規定する範囲内である。
【0072】
<比較例1>
b=0mm c=0mmとした。
本発明においては、ブランクにおいて、底面の略矩形の、底面と側面板の境界の、対向する少なくとも一組の辺が、外側に突き出た曲線であって、
同様に、側面板の紙容器トップ側と、フランジの境界の、対向する少なくとも一組の辺も、外側に突き出た曲線であって、
同様に、ブランクの外周の対向する少なくとも一組の辺も、外側に突き出た曲線であって、
ブランクの外周の曲線は、その長手方向の辺の中央で0.7mm~1.0mmのふくらみであることから、
この例では、b、c、いずれも本発明に規定するところから逸脱するものである。
【0073】
<比較例2>
b=5mm c=0mmとした。
この例では、cが本発明に規定するところから逸脱するものである。
【0074】
<比較例3>
b=7mm c=0mmとした。
この例では、cが本発明に規定するところから逸脱するものである。
【0075】
<比較例4>
b=9mm c=0mmとした。
この例では、cが本発明に規定するところから逸脱するものである。
【0076】
<比較例5>
b=0mm c=0.7mmとした。
この例では、bが本発明に規定するところから逸脱するものである。
【0077】
<比較例6>
b=0mm c=1.0mmとした。
この例では、bが本発明に規定するところから逸脱するものである。
【0078】
<比較例7>
b=9mm c=1.2mmとした。
この例では、cが本発明に規定するところから逸脱するものである。
【0079】
評価結果を表1に示す。
【0080】
【表1】
【0081】
表1に示す結果から明らかなように、本発明によるトップカール付き紙容器は、実施例1~実施例6は評価項目すべてにおいて〇評価を得て合格判定となっている。これは本発明が、本発明の課題、および評価項目に対して、効果的であることを直接的に示している。
【0082】
これに対して、本発明に規定するところを逸脱する比較例1~比較例7は、評価項目のすべてまたは一部で△以下の評価となった。したがって比較例はすべて不合格判定である
。これは本発明が、本発明の課題、および評価項目に対して、効果的であることを間接的に示している。
【0083】
このようにして、本発明によれば、電子レンジ適性を有して、曲面で構成され、シール可能なフランジ部を備えた、トップカール付き紙容器を提供することが可能であることを検証することができた。
【符号の説明】
【0084】
1・・・底面
2・・・側面板
3・・・フランジ
4・・・樹脂層だけの楔形の領域
5・・・ブランク
6・・・蓋材
7・・・樹脂層
10・・・紙容器
図1
図2
図3
図4