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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20241126BHJP
   B65H 7/14 20060101ALI20241126BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241126BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
G03G21/16 152
B65H7/14
G03G21/00 370
B41J29/00 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020198911
(22)【出願日】2020-11-30
(65)【公開番号】P2022086732
(43)【公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】島津 宝浩
(72)【発明者】
【氏名】辻本 嘉之
(72)【発明者】
【氏名】山本 俊介
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-112190(JP,A)
【文献】特開2005-173522(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
B65H 7/14
G03G 21/00
B41J 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給紙部と、
前記給紙部から搬送された用紙に画像を印刷する印刷部と、
前記印刷部によって画像が印刷された用紙を再搬送経路に沿って再び前記印刷部に搬送する再搬送部と、
用紙を検出する検出部と、を備え、
前記検出部は、
前記給紙部と前記印刷部との間の第1位置における用紙の存在を検出する第1センサと、
前記再搬送経路の第2位置における用紙の存在を検出する第2センサと、
前記第1センサと第1配線で接続され、前記第2センサと第2配線で接続される出力端子と、を有し、
前記第1センサと前記第2センサと前記出力端子とが、1つの基板上に配置されていることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
給紙部と、
前記給紙部から搬送された用紙に画像を印刷する印刷部と、
前記印刷部によって画像が印刷された用紙を再搬送経路に沿って再び前記印刷部に搬送する再搬送部と、
用紙を検出する検出部と、
制御部と、を備え、
前記検出部は、
前記給紙部と前記印刷部との間の第1位置における用紙の存在を検出する第1センサと、
前記再搬送経路の第2位置における用紙の存在を検出する第2センサと、
前記第1センサと第1配線で接続され、前記第2センサと第2配線で接続される出力端子と、を有し、
前記給紙部は、用紙が収容される給紙トレイを有し、
前記制御部は、
前記給紙トレイからの用紙の搬送を開始させる制御信号を前記給紙部に出力した後、前記出力端子から出力される、用紙の存在を示すセンサ信号を受信した場合、前記第1位置において用紙が存在すると判定し、
前記給紙部から前記印刷部を経由する搬送経路から前記再搬送経路への用紙の搬送を開始させる制御信号を前記再搬送部に出力した後、前記出力端子から出力される前記センサ信号を受信した場合、前記第2位置において用紙が存在すると判定することを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
前記給紙部は、前記給紙トレイと前記印刷部との間において前記搬送経路と前記再搬送経路とが合流する合流地点と、前記印刷部と、の間に配置された搬送ローラを有し、
前記制御部は、前記第1位置において用紙が存在すると判定した場合と、前記第2位置において用紙が存在すると判定した場合とで、前記搬送ローラを回転させる制御信号を前記給紙部に出力するタイミングを変更することを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
不揮発性メモリを備え、
前記制御部は、
前記第2位置において用紙が存在すると判定した場合、前記第2センサによる用紙の存在の検出があることを示すオン情報を前記不揮発性メモリに記憶し、
前記オン情報を前記不揮発性メモリに記憶した後、前記出力端子から出力される前記センサ信号を受信していない場合、前記第2センサによる用紙の存在の検出がないことを示すオフ情報を前記不揮発性メモリに記憶し、
前記印刷装置の電源がオンし、前記制御部が前記出力端子から出力される前記センサ信号を受信した場合、
前記制御部は、
前記不揮発性メモリに前記オン情報が記憶されている場合、前記再搬送経路に紙詰まりが発生していることをユーザに通知し、
前記不揮発性メモリに前記オフ情報が記憶されている場合、前記搬送経路に紙詰まりが発生していることをユーザに通知することを特徴とする請求項2または3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記不揮発性メモリに前記オン情報が記憶されている場合、ユーザに通知するエラーの解除方法を、ユーザに通知するように予め設定されていたエラーの解除方法から、前記再搬送経路に発生した紙詰まりの解消方法に変更し、
前記不揮発性メモリに前記オフ情報が記憶されている場合、ユーザに通知するエラーの解除方法を、ユーザに通知するように予め設定されていたエラーの解除方法から、前記搬送経路に発生した紙詰まりの解消方法に変更することを特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、レジストローラよりも搬送方向上流側に位置するレジ前センサと、レジストローラよりも搬送方向下流側に位置するレジ後センサと、を備える画像形成装置が開示されている。特許文献1に開示の画像形成装置では、レジ前センサの信号線とレジ後センサの信号線とが1本の信号線にまとめられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-206832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示の画像形成装置では、用紙搬送経路上で搬送方向に搬送される用紙を検出するとともに、当該用紙搬送経路とは異なる用紙搬送経路上で、当該搬送方向とは異なる搬送方向に搬送される用紙を検出することは想定されていない。また、当該画像形成装置では、このような場合に信号線を減らすことは想定されていない。本発明の一態様は、検出部に接続される配線の本数を減らすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る印刷装置は、給紙部と、前記給紙部から搬送された用紙に画像を印刷する印刷部と、前記印刷部によって画像が印刷された用紙を再搬送経路に沿って再び前記印刷部に搬送する再搬送部と、用紙を検出する検出部と、を備え、前記検出部は、前記給紙部と前記印刷部との間の第1位置における用紙の存在を検出する第1センサと、前記再搬送経路の第2位置における用紙の存在を検出する第2センサと、前記第1センサと第1配線で接続され、前記第2センサと第2配線で接続される出力端子と、を有する。
【0006】
第1センサ及び第2センサが用紙の存在を同時に検出することはないため、第1センサによる検出及び第2センサによる検出を出力端子で共有することができる。これにより、第1センサからの第1配線と、第2センサからの第2配線と、を出力端子でまとめることができるので、検出部の出力端子に接続される配線の本数を減らすことができる。
【0007】
前記印刷装置は、制御部を備え、前記給紙部は、用紙が収容される給紙トレイを有し、前記制御部は、前記給紙トレイからの用紙の搬送を開始させる制御信号を前記給紙部に出力した後、前記出力端子から出力される、用紙の存在を示すセンサ信号を受信した場合、前記第1位置において用紙が存在すると判定し、前記給紙部から前記印刷部を経由する搬送経路から前記再搬送経路への用紙の搬送を開始させる制御信号を前記再搬送部に出力した後、前記出力端子から出力される前記センサ信号を受信した場合、前記第2位置において用紙が存在すると判定してもよい。
【0008】
制御部は、検出部の出力端子からセンサ信号を受信したとき、給紙部及び再搬送部の直前の動作に応じて、第1位置または第2位置のいずれに用紙が存在するかを判定することができる。
【0009】
前記給紙部は、前記給紙トレイと前記印刷部との間において前記搬送経路と前記再搬送経路とが合流する合流地点と、前記印刷部と、の間に配置された搬送ローラを有し、前記制御部は、前記第1位置において用紙が存在すると判定した場合と、前記第2位置において用紙が存在すると判定した場合とで、前記搬送ローラを回転させる制御信号を前記給紙部に出力するタイミングを変更してもよい。第1位置と搬送ローラとの間の距離と、第2位置と搬送ローラとの間の距離と、が異なる場合においても、給紙部は適切なタイミングで搬送ローラを回転させることができる。
【0010】
前記印刷装置は、不揮発性メモリを備え、前記制御部は、前記第2位置において用紙が存在すると判定した場合、前記第2センサによる用紙の存在の検出があることを示すオン情報を前記不揮発性メモリに記憶し、前記オン情報を前記不揮発性メモリに記憶した後、前記出力端子から出力される前記センサ信号を受信していない場合、前記第2センサによる用紙の存在の検出がないことを示すオフ情報を前記不揮発性メモリに記憶し、前記印刷装置の電源がオンし、前記制御部が前記出力端子から出力される前記センサ信号を受信した場合、前記制御部は、前記不揮発性メモリに前記オン情報が記憶されている場合、前記再搬送経路に紙詰まりが発生していることをユーザに通知し、前記不揮発性メモリに前記オフ情報が記憶されている場合、前記搬送経路に紙詰まりが発生していることをユーザに通知してもよい。
【0011】
不揮発性メモリにオン情報またはオフ情報が記憶される。このため、印刷装置の電源がオンし、制御部が出力端子からセンサ信号を受信した場合、制御部は、搬送経路または再搬送経路のいずれに紙詰まりが発生しているかをユーザに正確に通知することができる。
【0012】
前記制御部は、前記不揮発性メモリに前記オン情報が記憶されている場合、ユーザに通知するエラーの解除方法を、ユーザに通知するように予め設定されていたエラーの解除方法から、前記再搬送経路に発生した紙詰まりの解消方法に変更し、前記不揮発性メモリに前記オフ情報が記憶されている場合、ユーザに通知するエラーの解除方法を、ユーザに通知するように予め設定されていたエラーの解除方法から、前記搬送経路に発生した紙詰まりの解消方法に変更してもよい。
【0013】
エラーの解除方法がユーザに具体的に通知されるため、ユーザはエラーの解除方法として、搬送経路または再搬送経路に発生した紙詰まりの解消方法を適切に実行することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様によれば、検出部に接続される配線の本数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る印刷装置の内部構成を示す断面図である。
図2図1に示す印刷装置の電気的構成を示すブロック図である。
図3】(A)は、図2に示す印刷装置が備える検出部の構成を示す模式図であり、(B)は、(A)に示す構成の変形例である。
図4図3に示す検出部の回路構成を示す回路図である。
図5図3に示す検出部が備える第1センサの構成を示す模式図である。(A)は、用紙の搬送方向及び上下方向に直交する方向から見た第1センサの構成を示し、(B)は、用紙の搬送方向とは反対方向から見た第1センサの構成を示す。
図6図1に示す印刷装置における両面印刷の処理内容を示すフローチャートである。
図7図1に示す印刷装置における起動時の処理内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<印刷装置1の構成>
図1は、本発明の実施形態に係る印刷装置1の内部構成を示す断面図である。図2は、図1に示す印刷装置1の電気的構成を示すブロック図である。図1及び図2に示すように、印刷装置1は、給紙部10と、印刷部20と、再搬送部30と、検出部40と、排紙部50と、ベルトユニット60と、手差しトレイ70と、表示部80と、を備える。
【0017】
給紙部10は、給紙トレイ11と、ピックアップローラ12と、給紙ローラ13と、搬送ローラ14と、を有する。給紙トレイ11には用紙が収容される。給紙トレイ11は、図1において左方向に引き出し可能である。当該左方向は、分岐地点SP1から印刷部20に向かう方向である。ユーザは、給紙トレイ11を引き出して、搬送経路R1に発生した紙詰まりを解消できる。
【0018】
搬送経路R1は、給紙部10の給紙トレイ11から印刷部20を経由して排紙トレイ51まで至る経路であるとともに、第1搬送方向D1に用紙が搬送される経路である。第1搬送方向D1は、給紙トレイ11から印刷部20を経由して排紙トレイ51に向かう方向である。
【0019】
ピックアップローラ12は、給紙トレイ11に収容された用紙を給紙ローラ13に供給する。給紙ローラ13は、ピックアップローラ12から搬送された用紙を搬送ローラ14に供給する。搬送ローラ14は、合流地点SP2と印刷部20との間に配置されており、給紙ローラ13もしくは第2再搬送ローラ34から供給された用紙、または、手差しトレイ70から挿入された用紙を印刷部20に供給する。
【0020】
印刷部20は、給紙部10の搬送ローラ14から供給された用紙に画像を印刷する。印刷部20は、感光体21Y,21M,21C,21Kと、露光部22Y,22M,22C,22Kと、現像部23Y,23M,23C,23Kと、定着部24と、を有する。
【0021】
感光体21Y,21M,21C,21Kはそれぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応する感光体である。露光部22Y,22M,22C,22Kはそれぞれ、感光体21Y,21M,21C,21Kを露光する。現像部23Y,23M,23C,23Kはそれぞれ、感光体21Y,21M,21C,21Kに現像剤を供給して現像する。定着部24は、図示しないヒータを有し、画像が印刷された用紙を搬送しつつ、ヒータによって現像剤を用紙に熱定着させる。
【0022】
再搬送部30は、印刷部20によって画像が印刷された用紙を再搬送経路R2に沿って再び印刷部20に搬送する。再搬送経路R2は、印刷部20よりも第1搬送方向D1の下流にある分岐地点SP1で搬送経路R1から分岐し、印刷部20よりも第1搬送方向D1の上流にある合流地点SP2で搬送経路R1に合流する。また、再搬送経路R2は、第1搬送方向D1とは異なる第2搬送方向D2に用紙が搬送される経路である。第2搬送方向D2は、分岐地点SP1から両面印刷用トレイ31を経由して合流地点SP2に向かう方向である。
【0023】
分岐地点SP1は、搬送経路R1において定着後ローラ52と中間ローラ32との間に位置する。合流地点SP2は、搬送経路R1において給紙ローラ13と搬送ローラ14との間に位置する。また、合流地点SP2は、給紙トレイ11と印刷部20との間において搬送経路R1と再搬送経路R2とが合流する地点である。
【0024】
再搬送部30は、両面印刷用トレイ31と、中間ローラ32と、第1再搬送ローラ33と、第2再搬送ローラ34と、を有する。両面印刷用トレイ31は、再搬送経路R2に発生した紙詰まりを解消するためのものであり、図1において右方向に引き出し可能である。当該右方向は、印刷部20から分岐地点SP1に向かう方向である。ユーザは、両面印刷用トレイ31を引き出して、再搬送経路R2に発生した紙詰まりを解消できる。
【0025】
中間ローラ32は、定着後ローラ52から供給された用紙を、排紙ローラ53または第1再搬送ローラ33に供給する。第1再搬送ローラ33は、中間ローラ32から供給された用紙を第2再搬送ローラ34に供給する。第2再搬送ローラ34は、第1再搬送ローラ33から供給された用紙を搬送ローラ14に供給する。
【0026】
排紙部50は、排紙トレイ51と、定着後ローラ52と、排紙ローラ53と、を有する。排紙トレイ51には、排紙ローラ53から排紙された用紙が載置される。定着後ローラ52は、定着部24によって画像が定着された用紙を中間ローラ32に供給する。排紙ローラ53は、中間ローラ32から供給された用紙を排紙トレイ51に排紙する。
【0027】
ベルトユニット60は、環状のベルト61が、駆動ローラ62と従動ローラ63との間に架け渡された構成になっている。手差しトレイ70は、ユーザが手で用紙を挿入可能なトレイである。表示部80は、印刷装置1の処理内容等を表示する。
【0028】
<印刷装置1の電気的構成>
図2に示すように、印刷装置1は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)2と、ROM(Read Only Memory)4と、RAM(Random Access Memory)5と、NVRAM(Non-Volatile Random Access Memory)6と、を備える。
【0029】
ASIC2はCPU3を有する。CPU3は、ROM4から読み出したプログラムにしたがって処理を行い、その処理の結果をRAM5またはNVRAM6に記憶させながら、印刷装置1の各部を制御する。CPU3は制御部の一例である。ASIC2は、印刷部20と、再搬送部30と、検出部40と、排紙部50と、表示部80と、ROM4と、RAM5と、NVRAM6と、電気的に接続されている。
【0030】
ROM4には、各種のプログラムが記憶されており、各種のプログラムには、例えば、印刷装置1の各部を制御するためのプログラムが含まれる。ROM4は不揮発性メモリの一例である。RAM5は、CPU3が各種のプログラムを実行する際の作業領域及びデータの一時的な記憶領域として利用される揮発性メモリの一例である。NVRAM6は、書き換え可能な不揮発性メモリの一例である。
【0031】
<検出部40の構成>
図3の(A)は、図2に示す印刷装置1が備える検出部40の構成を示す模式図である。図3の(B)に示す構成は、図3の(A)に示す構成の変形例である。図3の(A)に示すように、検出部40は、第1センサ41と、第2センサ42と、第3センサ43と、コネクタ44と、基板45と、を有し、用紙の存在を検出する。第1センサ41、第2センサ42、第3センサ43及びコネクタ44は、基板45上に設けられている。
【0032】
図1に示すように、第1センサ41は、搬送経路R1において給紙ローラ13の近傍の第1位置P1における用紙の存在を検出する。第1位置P1は、給紙部10の給紙トレイ11と印刷部20との間の位置である。第2センサ42は、再搬送経路R2の第2位置P2における用紙の存在を検出する。第2位置P2は、第2再搬送ローラ34と合流地点SP2との間の位置である。用紙は、第1位置P1及び第2位置P2に同時に存在することがないため、第1センサ41及び第2センサ42が用紙の存在を同時に検出することはない。
【0033】
なお、印刷装置1では、第1位置P1と搬送ローラ14との間の距離と、第2位置P2と搬送ローラ14との間の距離と、が異なる。第3センサ43は、搬送経路R1において搬送ローラ14の近傍の第3位置P3における用紙の存在を検出する。第3位置P3は、搬送ローラ14と印刷部20との間の位置である。
【0034】
コネクタ44は、第1出力端子44Aと、第2出力端子44Bと、を有する。第1出力端子44Aは、第1センサ41と第1配線W1で接続され、第2センサ42と第2配線W2で接続される。第2出力端子44Bは、第3センサ43と第3配線W3で接続される。第1配線W1、第2配線W2及び第3配線W3は、基板45上に形成された配線パターンである。
【0035】
印刷装置1において、第1センサ41及び第2センサ42が用紙の存在を同時に検出することはないため、第1センサ41による検出及び第2センサ42による検出を第1出力端子44Aで共有することができる。これにより、第1センサ41からの第1配線W1と、第2センサ42からの第2配線W2と、を第1出力端子44Aでまとめることができるので、検出部40のコネクタ44に接続される配線の本数を減らすことができる。
【0036】
また、第1出力端子44A及び第2出力端子44Bは、基板45の外部においてASIC2と接続される。具体的には、第1出力端子44Aは外部配線W4でASIC2の第1入力ポートと接続されており、第2出力端子44Bは外部配線W5でASIC2の第2入力ポートと接続されている。
【0037】
なお、第1配線W1及び第2配線W2は、第1センサ41及び第2センサ42と、第1出力端子44Aと、の間の途中で互いに接続されているが、これに限定されない。図3の(B)に示すように、第1配線W1及び第2配線W2は、第1センサ41及び第2センサ42と、第1出力端子44Aと、の間の途中で互いに接続されなくてもよい。この場合、第1配線W1及び第2配線W2は、第1出力端子44Aと直接接続される。
【0038】
<検出部40の回路構成>
図4は、図3に示す検出部40の回路構成を示す回路図である。図4に示すように、第1センサ41は、第1フォトトランジスタT1及び第1発光ダイオードLD1を有し、第2センサ42は、第2フォトトランジスタT2及び第2発光ダイオードLD2を有する。第3センサ43は、第3フォトトランジスタT3及び第3発光ダイオードLD3を有する。
【0039】
第1フォトトランジスタT1のコレクタは、第1トランジスタT4のベースと接続される。第1トランジスタT4のコレクタは、コネクタ44の端子に接続される。第1トランジスタT4は、第2フォトトランジスタT2から出力される信号が第1フォトトランジスタT1に流れないようにするためのものである。
【0040】
第2フォトトランジスタT2のコレクタは、第2トランジスタT5のベースと接続される。第2トランジスタT5のコレクタは、コネクタ44の端子に接続される。第2トランジスタT5は、第1フォトトランジスタT1から出力される信号が第2フォトトランジスタT2に流れないようにするためのものである。
【0041】
第1フォトトランジスタT1のコレクタ及び第2フォトトランジスタT2のコレクタは、印刷装置1が備える電源VCCに接続される。第1発光ダイオードLD1のアノード及び第2発光ダイオードLD2のアノードは、電源VCCに接続される。第1フォトトランジスタT1のエミッタは、第1発光ダイオードLD1のカソードに接続され、第2フォトトランジスタT2のエミッタは、第2発光ダイオードLD2のカソードに接続される。
【0042】
第3フォトトランジスタT3のコレクタは、コネクタ44の端子に接続され、第3フォトトランジスタT3のエミッタは、第3発光ダイオードLD3のカソードに接続される。第3発光ダイオードLD3のアノードは、電源VCCに接続される。
【0043】
<第1センサ41の構成>
図5は、図3に示す検出部40が備える第1センサ41の構成を示す模式図である。図5の(A)は、用紙PPの搬送方向及び上下方向に直交する方向から見た第1センサ41の構成を示す。図5の(B)は、用紙PPの搬送方向とは反対方向から見た第1センサ41の構成を示す。
【0044】
図5の(A)に示すように、第1センサ41は、回動体41Aと、回転軸41Bと、遮光板41Cと、を有する。回動体41A及び遮光板41Cは、回転軸41Bに固定されている。用紙PPが回動体41Aと接触していない状態では、図5の(B)に示すように、第1発光ダイオードLD1と第1フォトトランジスタT1との間に遮光板41Cが配置される。このとき、第1発光ダイオードLD1から出射される光は、遮光板41Cによって遮られる。
【0045】
用紙PPが回動体41Aと接触すると、回動体41Aが回動し、回動体41Aの回転に伴い遮光板41Cも回動する。このとき、遮光板41Cの位置が変更され、第1フォトトランジスタT1は、第1発光ダイオードLD1から出射される光を受光する。これにより、第1フォトトランジスタT1から第1出力端子44Aを経由して、用紙PPの存在を示すセンサ信号が出力される。以降、用紙PPの存在を示す信号についてはセンサ信号と称する。
【0046】
用紙PPが回動体41Aと接触しない状態になると、回動体41Aは再び元の位置に戻る。遮光板41Cも回動体41Aの回転に合わせて元の位置に戻る。第2センサ42及び第3センサ43の構成についても、図5に示す第1センサ41の構成と同様である。
【0047】
<印刷装置1における両面印刷の処理>
図6は、図1に示す印刷装置1における両面印刷の処理内容を示すフローチャートである。図6に示すように、まず、CPU3は、印刷対象が用紙の1面目であるか否かを判定する(S1)。具体的には、CPU3は、ステップS1の直前に、搬送経路R1から再搬送経路R2への用紙の搬送を開始させる制御信号を再搬送部30に出力していない場合、印刷対象が用紙の1面目であると判定する。CPU3は、当該制御信号を再搬送部30に出力した場合、印刷対象が用紙の2面目であると判定する。
【0048】
CPU3は、印刷対象が用紙の1面目であると判定した場合(S1でYES)、給紙トレイ11からの用紙の搬送を開始させる制御信号を給紙部10に出力する。給紙部10は、ピックアップローラ12を回転させて給紙トレイ11から用紙を給紙する(S2)。
【0049】
一方、CPU3は、印刷対象が用紙の2面目であると判定した場合(S1でNO)、後述するステップS17の通り、制御信号を再搬送部30に出力する。再搬送部30は、第1再搬送ローラ33及び第2再搬送ローラ34を順に回転させて、印刷部20によって1面に画像が印刷された用紙を再搬送経路R2に沿って再び印刷部20に搬送する。これにより、両面印刷用トレイ31から用紙が給紙される(S3)。CPU3は、ステップS1でNOの場合において制御信号を再搬送部30に出力した後、第2センサ42のフラグをRAM5に記憶する(S4)。
【0050】
ステップS2またはS4の後、CPU3は、第1出力端子44Aから出力されるセンサ信号を受信したか否かを確認する(S5)。CPU3は、第1出力端子44Aから出力されるセンサ信号を受信した場合、第2センサ42のフラグがRAM5に記憶されているか否かを判定する(S6)。
【0051】
CPU3は、第2センサ42のフラグがRAM5に記憶されていると判定した場合(S6でYES)、第2位置P2において用紙が存在すると判定する(S7)。つまり、CPU3は、搬送経路R1から再搬送経路R2への用紙の搬送を開始させる制御信号を再搬送部30に出力した後、センサ信号を受信した場合、第2位置P2において用紙が存在すると判定する。
【0052】
CPU3は、第2位置P2において用紙が存在すると判定した後、第2センサ42による用紙の存在の検出があることを示すオン情報をNVRAM6に記憶する(S8)。以降、第2センサ42による用紙の存在の検出があることを示す情報についてはオン情報と称する。CPU3は、ステップS7の時点から、後述する第1所定時間とは異なる第2所定時間の間、待機する(S9)。ステップS7の時点から第2所定時間が経過すると、ステップS12に移る。
【0053】
一方、CPU3は、第2センサ42のフラグがRAM5に記憶されていないと判定した場合(S6でNO)、第1位置P1において用紙が存在すると判定する(S10)。つまり、CPU3は、給紙トレイ11からの用紙の搬送を開始させる制御信号を給紙部10に出力した後、センサ信号を受信した場合、第1位置P1において用紙が存在すると判定する。
【0054】
このように、CPU3は、検出部40の第1出力端子44Aからセンサ信号を受信したとき、給紙部10及び再搬送部30の直前の動作に応じて、第1位置P1または第2位置P2のいずれに用紙が存在するかを判定することができる。
【0055】
CPU3は、ステップS10の時点から、第2所定時間とは異なる第1所定時間の間、待機する(S11)。ステップS10の時点から第1所定時間が経過すると、ステップS12に移る。
【0056】
CPU3は、搬送ローラ14を回転させる制御信号を給紙部10に出力する。給紙部10は、搬送ローラ14を回転させて用紙を印刷部20に搬送する(S12)。ステップS9,S11,S12の通り、CPU3は、第1位置P1において用紙が存在すると判定した場合と、第2位置P2において用紙が存在すると判定した場合とで、搬送ローラ14を回転させる制御信号を給紙部10に出力するタイミングを変更する。つまり、これら2つの場合で、CPU3が用紙の存在を判定した時点から、CPU3が搬送ローラ14を回転させる制御信号を給紙部10に出力するまでの時間が異なる。
【0057】
これにより、第1位置P1と搬送ローラ14との間の距離と、第2位置P2と搬送ローラ14との間の距離と、が異なる場合においても、給紙部10は適切なタイミングで搬送ローラ14を回転させることができる。
【0058】
CPU3は、搬送ローラ14を回転させる制御信号を給紙部10に出力した後、第1出力端子44Aからセンサ信号を受信していないか否かを確認する(S13)。CPU3は、第1出力端子44Aからセンサ信号を受信していない場合、第2センサ42のフラグがRAM5に記憶されているか否かを判定する(S14)。
【0059】
CPU3は、第2センサ42のフラグがRAM5に記憶されていると判定した場合(S14でYES)、第2センサ42のフラグをRAM5から削除する(S15)。CPU3は、第2センサ42のフラグをRAM5から削除した後、第2センサ42による用紙の存在の検出がないことを示すオフ情報をNVRAM6に記憶する(S16)。以降、第2センサ42による用紙の存在の検出がないことを示す情報についてはオフ情報と称する。
【0060】
ステップS4,S6,S8,S14,S16の通り、CPU3は、オン情報をNVRAM6に記憶した後、センサ信号を受信していない場合、第2センサ42による用紙の存在の検出がないことを示すオフ情報をNVRAM6に記憶する。ステップS16により、印刷装置1における両面印刷の処理が終了する。
【0061】
一方、CPU3は、第2センサ42のフラグがRAM5に記憶されていないと判定した場合(S14でNO)、搬送経路R1から再搬送経路R2への用紙の搬送を開始させる制御信号を再搬送部30に出力する。再搬送部30は、中間ローラ32を回転させて搬送経路R1から再搬送経路R2へ用紙を搬送する(S17)。ステップS17の後、ステップS1に戻る。
【0062】
<印刷装置1における起動時の処理>
図7は、図1に示す印刷装置1における起動時の処理内容を示すフローチャートである。まず、印刷装置1の電源がオンしたとき、図7に示すように、CPU3は、NVRAM6から第2センサ42の値として、オン情報またはオフ情報のいずれであるかを示す値を読み込む(S21)。
【0063】
CPU3は、ステップS21で第2センサ42の値を読み込むことにより、NVRAM6にオン情報が記憶されているか否かを判定する(S22)。CPU3は、NVRAM6にオン情報が記憶されていると判定した場合(S22でYES)、第2センサ42のフラグをRAM5に記憶する(S23)。
【0064】
一方、CPU3は、NVRAM6にオフ情報が記憶されている場合(S22でNO)、第2センサ42のフラグをRAM5から削除する(S24)。ステップS23またはS24の後、CPU3は、印刷装置1の初期動作を開始させる(S25)。印刷装置1の初期動作は、印刷を行うための準備動作である。CPU3は、印刷装置1の初期動作を開始させた後、第1出力端子44Aから出力されるセンサ信号を受信したか否かを判定する(S26)。
【0065】
CPU3は、第1出力端子44Aからセンサ信号を受信していないと判定した場合(S26でNO)、用紙の印刷が可能な印刷待機状態に遷移する(S27)。一方、CPU3は、第1出力端子44Aから出力されるセンサ信号を受信したと判定した場合(S26でYES)、第2センサ42のフラグがRAM5に記憶されているか否かを判定する(S28)。
【0066】
CPU3は、第2センサ42のフラグがRAM5に記憶されていると判定した場合(S28でYES)、再搬送経路R2に紙詰まりが発生していることをユーザに通知する。具体的には、CPU3は、再搬送経路R2に紙詰まりが発生していることを示す内容を表示させる制御信号を表示部80に出力する。表示部80は、再搬送経路R2に紙詰まりが発生していることを示す内容を表示する(S29)。
【0067】
ステップS22,S23,S26,S28,S29の通り、印刷装置1の電源がオンし、CPU3がセンサ信号を受信した場合において、CPU3は、NVRAM6にオン情報が記憶されているとき、再搬送経路R2に紙詰まりが発生していることをユーザに通知する。
【0068】
ステップS29の後、CPU3は、ユーザに通知するエラーの解除方法を、ユーザに通知するように予め設定されていたエラーの解除方法から、再搬送経路R2に発生した紙詰まりの解消方法に変更する(S30)。このとき、CPU3は、再搬送経路R2に発生した紙詰まりの解消方法を表示させる制御信号を表示部80に出力する。表示部80は、再搬送経路R2に発生した紙詰まりの解消方法を表示する。表示部80に表示される当該解消方法は、ユーザが両面印刷用トレイ31を引き出して、再搬送経路R2に詰まった用紙を取り除くことである。
【0069】
一方、CPU3は、第2センサ42のフラグがRAM5に記憶されていないと判定した場合(S28でNO)、搬送経路R1に紙詰まりが発生していることをユーザに通知する。具体的には、CPU3は、搬送経路R1に紙詰まりが発生していることを示す内容を表示させる制御信号を表示部80に出力する。表示部80は、搬送経路R1に紙詰まりが発生していることを示す内容を表示する(S31)。
【0070】
ステップS22,S24,S26,S28,S31の通り、印刷装置1の電源がオンし、CPU3がセンサ信号を受信した場合において、CPU3は、NVRAM6にオフ情報が記憶されているとき、搬送経路R1に紙詰まりが発生していることをユーザに通知する。
【0071】
このように、NVRAM6にオン情報またはオフ情報が記憶される。このため、印刷装置1の電源がオンし、CPU3が第1出力端子44Aからセンサ信号を受信した場合、CPU3は、搬送経路R1または再搬送経路R2のいずれに紙詰まりが発生しているかをユーザに正確に通知することができる。
【0072】
ステップS31の後、CPU3は、ユーザに通知するエラーの解除方法を、ユーザに通知するように予め設定されていたエラーの解除方法から、搬送経路R1に発生した紙詰まりの解消方法に変更する(S32)。このとき、CPU3は、搬送経路R1に発生した紙詰まりの解消方法を表示させる制御信号を表示部80に出力する。表示部80は、搬送経路R1に発生した紙詰まりの解消方法を表示する。表示部80に表示される当該解消方法は、ユーザが給紙トレイ11を引き出して、搬送経路R1に詰まった用紙を取り除くことである。
【0073】
ステップS30,S32の構成により、エラーの解除方法がユーザに具体的に通知されるため、ユーザはエラーの解除方法として、搬送経路R1または再搬送経路R2に発生した紙詰まりの解消方法を適切に実行することができる。
【0074】
ステップS30またはS32の後、CPU3は、印刷装置1の動作を停止させる(S33)。このとき、CPU3は、印刷装置1の動作として、印刷部20、再搬送部30及び排紙部50等の動作を停止させる。CPU3は、印刷装置1の動作を停止させた後、エラーが解除されたか否かを判定する(S34)。具体的には、CPU3は、第1出力端子44Aから出力されるセンサ信号を受信しているか否かを確認することにより、エラーが解除されたか否かを判定する。
【0075】
CPU3は、第1出力端子44Aからセンサ信号を受信している場合、エラーが解除されていないと判定する。搬送経路R1または再搬送経路R2に発生した紙詰まりが解消されていないことにより、第1位置P1または第2位置P2に用紙が存在することになり、CPU3はセンサ信号を受信することになる。CPU3は、第1出力端子44Aからセンサ信号を受信していない場合、エラーが解除されたと判定する。
【0076】
CPU3は、エラーが解除されていないと判定した場合(S34でNO)、エラーが解除されたか否かの判定を継続する。CPU3は、エラーが解除されたと判定した場合(S34でYES)、第2センサ42のフラグがRAM5に記憶されているか否かを判定する(S35)。
【0077】
CPU3は、第2センサ42のフラグがRAM5に記憶されていると判定した場合(S35でYES)、第2センサ42のフラグをRAM5から削除する(S36)。CPU3は、第2センサ42のフラグをRAM5から削除した後、オフ情報をNVRAM6に記憶する(S37)。ステップS37の後、ステップS25に戻る。一方、CPU3は、第2センサ42のフラグがRAM5に記憶されていないと判定した場合(S35でNO)、ステップS25に戻る。
【0078】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、上述した実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる構成についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0079】
1 印刷装置
3 CPU(制御部)
6 NVRAM(不揮発性メモリ)
10 給紙部
11 給紙トレイ
14 搬送ローラ
20 印刷部
30 再搬送部
40 検出部
41 第1センサ
42 第2センサ
44A 第1出力端子(出力端子)
P1 第1位置
P2 第2位置
R1 搬送経路
R2 再搬送経路
SP2 合流地点
W1 第1配線
W2 第2配線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7