(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
B60K 35/00 20240101AFI20241126BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20241126BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
B60K35/00
H05K7/20 D
H01L23/36 Z
(21)【出願番号】P 2020210991
(22)【出願日】2020-12-21
【審査請求日】2023-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】長坂 友貴
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-179971(JP,A)
【文献】特開2010-268290(JP,A)
【文献】特開2009-211106(JP,A)
【文献】特開2008-39835(JP,A)
【文献】特開2018-137089(JP,A)
【文献】特開2005-170169(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00-37/20
H05K 7/20
H01L 23/34-23/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付先に取り付けられて視認者に表示内容を視認させる表示装置であって、
発熱部材を有し、前記表示内容を表示する表示部と、
前記発熱部材と熱的に接続する第一放熱部材を有し、前記表示部を収容するケースと、
前記第一放熱部材と熱的に接続して前記ケースの位置を
回転可能に保持する保持部と、前記取付先に固定される固定部と、を有する第二放熱部材と、を備える表示装置。
【請求項2】
前記第一放熱部材と前記保持部とは、伝熱部材を介して熱的に接続する、請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記伝熱部材は、熱伝導グリースである、
請求項2記載の表示装置。
【請求項4】
前記発熱部材は、発光素子であり、
前記第一放熱部材は、放熱性を有する金属からなるケース自体である、請求項1記載の表示装置。
【請求項5】
前記第二放熱部材は、前記第一放熱部材と熱的に接続し前記保持部を有する基部と、前記基部から突出したフィンと、を有する、請求項1記載の表示装置。
【請求項6】
前記フィンは、前記発熱部材から伝わる熱量が多い部分に最も高さが高いフィンを有する、
請求項5記載の表示装置。
【請求項7】
前記表示部は、LED(Light Emitting Diode)と、前記LEDを搭載した回路基板と、を有する、請求項1記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用等の表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される表示装置において、車両内の所定位置に光を照射し、その反射光を視認者に視認させる表示装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
表示装置は、例えば車両のインストルメントパネル内に固定され配置される。表示装置が、意図した表示内容を設計された箇所に照射し視認者に視認させるためには、表示装置及び車両の取付側の部材が設計通りに製造され、互いに精度よく取り付けられることが求められる。しかしながら、表示装置及び車両側の部材にそれぞれに意図しない誤差が生じた場合、照射位置はずれてしまう。特に、表示装置の位置と照射位置とが離れている場合、そのずれは顕著になり、視認性が低下してしまう。
【0005】
また、表示内容の視認性を上げるためには、輝度を上げる必要がある。輝度が高くなると、発光素子の発熱量が増えるため、放熱対策が必要となる。
【0006】
本開示はこのような事情を考慮してなされたもので、視認性及び放熱性を両立できる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の表示装置は、上述した課題を解決するために、取付先に取り付けられて視認者に表示内容を視認させる表示装置であって、発熱部材を有し、前記表示内容を表示する表示部と、前記発熱部材と熱的に接続する第一放熱部材を有し、前記表示部を収容するケースと、前記第一放熱部材と熱的に接続して前記ケースの位置を回転可能に保持する保持部と、前記取付先に固定される固定部と、を有する第二放熱部材と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の表示装置においては、視認性及び放熱性を両立できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の表示装置の実施形態である表示装置が自動車に搭載された場合の説明図。
【
図3】可動ユニット及び固定ヒートシンクの構成例を示す概略的な説明図。
【
図4】可動ユニット及び固定ヒートシンクの他の構成例を示す概略的な説明図。
【
図6】表示光の照射位置がずれる例を示す表示装置が自動車に搭載された場合の説明図。
【
図7】変形例としての表示装置の概略的な外観構成図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の表示装置の実施形態を添付図面に基づいて説明する。本開示の表示装置は、例えば自動車や二輪車等の車両や、船舶、農業機械、建設機械に搭載される表示装置に適用することができる。
【0011】
図1は、本開示の表示装置の実施形態である表示装置1が自動車2に搭載された場合の説明図である。
【0012】
本実施形態においては、表示装置1が取付先の一例である自動車2に取り付けられる例を用いて説明する。また、本実施形態においては、表示装置1がインストルメントパネル3内に固定して配置され、自動車2のピラー4に表示内容に係る表示光5を照射して反射し、その反射光を視認者に視認させる表示装置1である例を用いて説明する。
【0013】
表示装置1は、インストルメントパネル3からピラー4に向けて上方に表示光5を出射する。表示装置1は、ピラー4の照射位置8で表示光5を運転者等の視認者に向けて反射させる。
【0014】
【0015】
表示装置1は、可動ユニット10と、固定ヒートシンク30(第二放熱部材)と、熱伝導グリース40(伝熱部材、
図5)と、を有する。固定ヒートシンク30は、可動ユニット10(ケース21)の位置を制御可能に保持する。具体的には、固定ヒートシンク30は、可動ユニット10を回転可能に保持する。
【0016】
可動ユニット10は、表示部11と、ケース21と、を有する。
【0017】
表示部11は、LED(Light Emitting Diode)12と、回路基板13と、を有する。LED12は、発光素子の一例であり、例えば4個のLED12からなり、表示内容や所要の輝度に応じて所要数の、所要色のLED12が配置される。回路基板13は、LED12を搭載し、LED12に電力を供給したり、LED12の発光を制御したりする。
【0018】
表示部11(LED12)は、発光に伴い熱を発する発熱部材である。表示部11は、回路基板13の制御に伴いLED12から表示内容に係る表示光5を発光することにより、表示内容を表示する。表示内容は、例えば複数色からなる車内照明や、運転に必要な情報を形成する意匠等である。
【0019】
ケース21は、表示部11を収容する、箱形部材である。ケース21は、例えば上下に別れた二つの部材からなり、フック等で組み合わされることにより、内部に表示部11の収容空間を形成する。ケース21は、
図2における図示上方を向く面を出射面22として開口24から表示光5を出射する。ケース21は、放熱性を有する材料であって、例えばアルミニウム系、マグネシウム系の金属からなる。これにより、ケース21自体が、放熱部材(第一放熱部材)として機能する。
【0020】
ケース21は、熱源である表示部11の熱がケース21に伝わるよう、表示部11と熱的に接続された状態で、表示部11を保持し、収容する。具体的には、ケース21が、回路基板13のLED12が配置された面とは反対側の面に当接するように、表示部11を支持する。
【0021】
固定ヒートシンク30は、放熱性を有する材料であって、例えばアルミニウム系、マグネシウム系の金属からなる。固定ヒートシンク30は、基部31と、フィン35と、を有する。基部31は、ケース21の一表面23(
図5)と熱的に接続する。フィン35は、基部31の面方向に対して略直交方向に突出した複数のフィン35である。フィン35は、ケース21から伝わる熱の分布に基づいて効率よく放熱するよう、フィン35の高さが設定される。具体的には、固定ヒートシンク30においては、ケース21(発熱部材)から伝わる熱量が多い部分において放熱効率を上げるために、フィン35が最も高さが高いフィン35、すなわち表面積の大きいフィン35を有するのが好ましい。
【0022】
基部31は、保持部と、固定部と、を有する。保持部は、ケース21を保持部に対して回転可能に保持することで、ケース21の位置を制御可能に保持する。具体的には、保持部及びケース21の一方はピンやビス等の軸を有し、他方は軸を支持し軸を起点にケース21を回転させる孔を有する。
【0023】
例えば、
図3は、可動ユニット10及び固定ヒートシンク30の構成例を示す概略的な説明図である。
【0024】
可動ユニット10は、ケース21に一端51と一端51と反対側の他端52とを有する被保持部50を有する。一端51は、固定ヒートシンク30の軸側ビス36に対して回転可能に保持されるための軸側孔53を有する。他端52は、ケース21の可動範囲を規制する所定寸法の回転側孔54を有する。これに対応して、固定ヒートシンク30は、保持部として、基部31の表面32(
図5)と、軸側ビス36と、回転側ビス37と、を有する。軸側ビス36は、一端51の軸側孔53に対応する位置に配置される。回転側ビス37は、他端52の回転側孔54に対応する位置に配置される。被保持部50は、一端51側で軸側ビス36を起点に回転し、任意の位置で他端52側で回転側ビス37により締め付けられ固定される。
【0025】
また、
図4は、可動ユニット10及び固定ヒートシンク30の他の構成例を示す概略的な説明図である。
【0026】
図4の被保持部50及び保持部が、
図3の被保持部50及び保持部と異なる点は、他端52側の回転側孔54及び回転側ビス37が、軸側孔53及び軸側ビス36が配置される面に対して直交する面(表示部11と略平行な面)に設けられる点である。このように、被保持部50及び保持部の配置や保持の方法は、取付先の構造等に応じて適宜設定されればよい。
【0027】
固定部は、表示装置1を取付先としての自動車2のインストルメントパネル3に固定するための部分である。固定部は、例えばビスやビス止めされるための孔等の公知の固定手段からなる。固定部は、取付先の構造に応じて、所要の構造を有する。
【0028】
熱伝導グリース40は、
図5に示すように、ケース21及び固定ヒートシンク30の間に配置され、ケース21(第一放熱部材)及び固定ヒートシンク30(保持部)を熱的に接続する。熱伝導グリース40は、半固体状であって、例えばシリコン系又は樹脂系の基材、及び金属系のフィラー材からなる。ケース21及び固定ヒートシンク30を熱的に接続する伝熱部材は、ケース21が固定ヒートシンク30に対して位置調整されることに鑑み、両者を固着させることのない、非硬化型である部材であることが好ましい。硬化型である場合、位置調整の際に伝熱部材が削れ、屑が発生する虞があるからである。
【0029】
熱伝導グリース40が配置されるケース21の表面23及び基部31の表面32は、平坦状であってもよいし、熱伝導グリース40の保持性を考慮して溝が形成されていてもよい。
【0030】
このような表示装置1は、上述したとおり自動車2の所定の位置に表示光5を照射することにより、所定の照射位置8を照明したり、照射位置8で視認者に意匠を視認させたりする。しかしながら、例えば、インストルメントパネル3に設けられる取付構造の公差や製造誤差、及び表示装置1の公差や製造誤差に起因して、自動車2に取り付けた表示装置1の出射面22が設計通りの方向を向かない虞がある。この場合、表示光5は、例えば
図6に示すように、所定の照射位置8からずれた位置に照射されてしまい、予め設計された照明や意匠が表示されない虞がある。
【0031】
これに対し、本実施形態における表示装置1は、表示部11を収容するケース21を可動ユニット10とし、自動車2に固定される部分である固定ヒートシンク30に対して位置調整できるようにした。これにより、表示装置1は、自動車2に取り付けられた後に出射面22の角度を調整できるため、仮に製造誤差が生じた場合であっても所定の照射位置8に表示光5を照射できる。
【0032】
また、自動車2に固定される部分をヒートシンクとし、可動ユニット10と熱的にすることにより、表示部11の放熱も担うことができる。これにより、表示装置1は、表示光5の位置調整が可能なことに伴う視認性の向上と、表示部11の放熱性の向上とを両立することができる。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0034】
例えば、
図7に示すように、表示装置1は、可動ユニット10を複数有してもよい。この場合、フィン35は、表示部11(発熱部材)から伝わる熱量が多い部分に最も高さが高いフィン35aを有することで放熱効率を向上できる。
【0035】
また、可動ユニット10は、ケース21と放熱部材(第一放熱部材)とが別体であってもよい。例えば、樹脂からなるケース21に放熱部材としてのヒートシンクが取り付けられ、このヒートシンクに表示部11(発熱部材)が熱的に接続するように、表示部11がケース21に収容されていてもよい。
【0036】
表示装置1の表示光5の照明位置は、ピラー4に限らずインストルメントパネル3やウインドシールド6であってもよい。可動ユニット10が固定ヒートシンク30に対して回転する例を説明したが、直線的に移動する等、回転以外の移動により位置が制御可能であってもよい。
【0037】
また、表示装置1が、自動車2に表示光5を照射し、意匠を表示したり照明したりする例を説明したが、表示装置1は、表示画面を有する表示パネルや、指針式の計器であってもよい。すなわち、本開示の表示装置は、発熱部材を有し、固定先に対して位置を調整する必要のある種々の表示装置に適用できる。
【符号の説明】
【0038】
1 表示装置
2 自動車(取付先)
3 インストルメントパネル
4 ピラー
5 表示光
6 ウインドシールド
8 照射位置
10 可動ユニット
11 表示部
12 LED(Light Emitting Diode)
13 回路基板
21 ケース(第一放熱部材)
22 出射面
23 表面
24 開口
30 固定ヒートシンク(第二放熱部材)
31 基部
32 表面
35、35a フィン
36 軸側ビス
37 回転側ビス
40 熱伝導グリース(伝熱部材)
50 被保持部
51 一端
52 他端
53 軸側孔
54 回転側孔