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特許7593095コンピュータプログラム、真贋判定方法及び真贋判定装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】コンピュータプログラム、真贋判定方法及び真贋判定装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 7/128 20160101AFI20241126BHJP
【FI】
G07D7/128
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020211530
(22)【出願日】2020-12-21
(65)【公開番号】P2022098151
(43)【公開日】2022-07-01
【審査請求日】2023-10-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】天達 雄一
(72)【発明者】
【氏名】青野 隆
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0091672(US,A1)
【文献】特開2017-072694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 7/00 - 7/207
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
点光源からの光によって、該光が照射される部位の中央部分に再生像を生じさせ、前記点光源が面内方向へ移動した場合、前記中央部分の移動に追従して、該中央部分に前記再生像を生じさせるようにしてある光変調素子が設けられた対象物の真贋を判定する処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記光変調素子に対する前記点光源の位置を異にして撮像することにより得られた複数の画像を取得し、
前記点光源の位置にかかわらず、取得した複数の画像における前記再生像の位置と、前記中央部分とが一致しているか否かを判定することによって、前記対象物の真贋を判定し、
判定した結果を出力する
処理を前記コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項2】
前記光変調素子は非点光源からの光によって視認可能なマークを有し、
真贋を判定する処理は、
取得した複数の画像における前記再生像の位置、前記マークの画像の位置及び前記中央部分の位置に基づいて前記対象物の真贋を判定する処理を含む
請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項3】
前記光変調素子は、非点光源からの光によって視認可能な第1マーク及び第2マークを有し、
真贋を判定する処理は、
取得した複数の画像における前記再生像及び前記第1マークの画像の位置関係と、前記再生像及び前記第2マークの画像の位置関係とに基づいて、前記対象物の真贋を判定させる処理を含む
請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項4】
前記複数の画像を取得する処理は、
少なくとも前記中央部分が、前記第1マークと一致した状態で撮像することにより得られた第1の画像を取得し、前記中央部分が、前記第2マークと一致した状態で撮像することにより得られた第2の画像を取得する処理を含み、
真贋を判定する処理は、
取得した前記第1の画像における前記再生像の位置と、前記第1マーク又は前記中央部分の位置とが一致しているか否か、前記第2の画像における前記再生像の位置と、前記第2マーク又は前記中央部分の位置とが一致しているか否かを判定する処理を含む
請求項3に記載のコンピュータプログラム。
【請求項5】
前記複数の画像を取得する処理は、
少なくとも前記中央部分が、前記第1マークから前記第2マークへ移動する過程で撮像することにより得られた複数の画像を取得する処理を含み、
真贋を判定する処理は、
前記第1マークから前記第2マークへ移動する過程で撮像することにより得られた複数の画像における前記再生像の位置と、各画像を撮像したときの前記中央部分との位置とが一致しているか否かを判定する処理を含む
請求項4に記載のコンピュータプログラム。
【請求項6】
前記中央部分と、前記第1マークとを一致させる指示を出力し、
次いで、前記中央部分を前記第1マークから前記第2マークへ移動させる指示を出力する
処理を前記コンピュータに実行させるための請求項4又は請求項5に記載のコンピュータプログラム。
【請求項7】
前記点光源の点灯及び消滅を繰り返し、
前記点光源を点灯させた状態で前記光変調素子を撮像することにより得られた画像と、前記点光源を消灯させた状態で前記光変調素子を撮像することにより得られた画像とに基づいて、前記再生像を判別する
処理を前記コンピュータに実行させるための請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項8】
前記光変調素子は、前記点光源からの距離に応じた大きさの前記再生像を生じさせるようにしてあり、
真贋を判定する処理は、
取得した複数の画像における前記再生像の位置及び大きさに基づいて前記対象物の真贋を判定する
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項9】
点光源からの光によって、該光が照射される部位の中央部分に再生像を生じさせ、前記点光源が面内方向へ移動した場合、前記中央部分の移動に追従して、該中央部分に前記再生像を生じさせるようにしてある光変調素子が設けられた対象物の真贋をコンピュータが判定する真贋判定方法であって、
前記コンピュータは、
前記光変調素子に対する前記点光源の位置を異にして撮像することにより得られた複数の画像を取得し、
前記点光源の位置にかかわらず、取得した複数の画像における前記再生像の位置と、前記中央部分とが一致しているか否かを判定することによって、前記対象物の真贋を判定する
真贋判定方法。
【請求項10】
点光源からの光によって、該光が照射される部位の中央部分に再生像を生じさせ、前記点光源が面内方向へ移動した場合、前記中央部分の移動に追従して、該中央部分に前記再生像を生じさせるようにしてある光変調素子が設けられた対象物の真贋を判定する真贋判定装置であって、
前記光変調素子に対する前記点光源の位置を異にして撮像することにより得られた複数の画像を取得する取得部と、
前記点光源の位置にかかわらず、該取得部が取得した複数の画像における前記再生像の位置と、前記中央部分とが一致しているか否かを判定することによって、前記対象物の真贋を判定する判定部と、
判定した結果を出力する出力部と
を備える真贋判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータプログラム、真贋判定方法及び真贋判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
キャッシュカード、クレジットカード、小切手カード等のカード類、金券類、身分証明書、重要書類、ブランド品等のような偽造防止を必要とする物品に対して、ホログラムを用いた偽造防止手段が図られている。偽造防止手段は税関における知的財産侵害物品の判定にも使用されている。
【0003】
特許文献1には、真贋判定の対象物に設けられた偽造防止媒体によって再生されるホログラムを撮像し、撮像されたホログラムと、真の偽造防止媒体によって再生されるべきホログラムとを並べて表示させる真贋判定支援装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2016/190107号
【文献】国際公開第2019/070081号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のような装置にあっては、真の偽造防止媒体によって再生するホログラムの特徴を充分に理解した上で、表示される2つのホログラムの相違を目視で判定する必要があり、特別な技能がなければ区別がつけられない。特に、真贋のホログラムパターンの相違が微小な場合に、誤認識をしてしまう虞がある。
【0006】
本開示の目的は、特別な技能を必要とせずに真贋判定を容易に行うことができるコンピュータプログラム、真贋判定方法及び真贋判定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るコンピュータプログラムは、点光源からの光によって、該光が照射される部位の中央部分に再生像を生じさせる光変調素子が設けられた対象物の真贋を判定する処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、前記光変調素子に対する前記点光源の位置を異にして撮像することにより得られた複数の画像を取得し、取得した複数の画像における前記再生像の位置に基づいて前記対象物の真贋を判定し、判定した結果を出力する処理を前記コンピュータに実行させる。
【0008】
本開示に係る真贋判定方法は、点光源からの光によって、該光が照射される部位の中央部分に再生像を生じさせる光変調素子が設けられた対象物の真贋を判定する真贋判定方法であって、前記光変調素子に対する前記点光源の位置を異にして撮像することにより得られた複数の画像を取得し、取得した複数の画像における前記再生像の位置に基づいて前記対象物の真贋を判定する。
【0009】
本開示に係る真贋判定装置は、点光源からの光によって、該光が照射される部位の中央部分に再生像を生じさせる光変調素子が設けられた対象物の真贋を判定する真贋判定装置であって、前記光変調素子に対する前記点光源の位置を異にして撮像することにより得られた複数の画像を取得する取得部と、該取得部が取得した複数の画像における前記再生像の位置に基づいて前記対象物の真贋を判定する判定部と、判定した結果を出力する出力部とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、特別な技能を必要とせずに真贋判定を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態1に係る真贋判定装置の構成例を示すブロック図である。
図2】実施形態1に係る光変調素子の一例を模式的に示す断面図である。
図3】真贋判定装置を用いて光変調素子を撮像している状態を示す模式図である。
図4】点光源の光が照射されていないときの光変調素子を示す模式図である。
図5】点光源の光が照射されているときの光変調素子を示す模式図である。
図6】実施形態1に係る真贋判定の処理手順を示すフローチャートである。
図7】実施形態1に係る真贋判定処理を実行している真贋判定装置の表示画面例である。
図8】対象物に貼付された実施形態2に係る光変調素子を示す模式図である。
図9】実施形態2に係る光変調素子の貼付方法を示す概念図である。
図10】実施形態2に係る真贋判定の処理手順を示すフローチャートである。
図11】実施形態2に係る真贋判定の処理手順を示すフローチャートである。
図12】実施形態2に係る真贋判定処理を実行している真贋判定装置の表示画面例である。
図13】実施形態2に係る真贋判定処理を実行している真贋判定装置の表示画面例である。
図14】実施形態2に係る真贋判定処理を実行している真贋判定装置の表示画面例である。
図15】実施形態2に係る真贋判定処理を実行している真贋判定装置の表示画面例である。
図16】実施形態2に係る真贋判定処理を実行している真贋判定装置の表示画面例である。
図17】実施形態2に係る真贋判定処理を実行している真贋判定装置の表示画面例である。
図18】実施形態2に係る真贋判定に係る所定条件を充足するか否かを判定する処理手順を示すフローチャートである。
図19】実施形態3に係る光変調素子を示す概念図である。
図20】実施形態3に係る真贋判定に係る所定条件を充足するか否かを判定する処理手順を示すフローチャートである。
図21】実施形態4に係る真贋判定装置の構成例を示すブロック図である。
図22】実施形態4に係る再生像DBの例を示す概念図である。
図23】実施形態5に係る光変調素子の貼付方法を示す概念図である。
図24】実施形態6に係る光変調素子の貼付方法を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の実施形態に係るコンピュータプログラム、真贋判定方法及び真贋判定装置を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0013】
以下、図面に基づいて実施形態を具体的に説明する。
(実施形態1)
図1は、真贋判定装置1の構成例を示すブロック図である。真贋判定装置1は、制御部10、記憶部11、光源部12、及び撮像部13、表示部14及び操作部15を備える。真贋判定装置1は、例えばスマートフォン、携帯電話、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistant)、スマートグラス等の可搬型のコンピュータである。真贋判定装置1は、真贋判定の対象物3に設けられた光変調素子2にLED点光源からの光を照射し、当該光変調素子2に生じたホログラムの再生像20hを撮像して得た画像を解析することによって、対象物3の真贋を判定するものである(図5参照)。
【0014】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro-Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インタフェース等を有するマイクロコンピュータである。制御部10の入出力インタフェースには、光源部12、及び撮像部13、表示部14及び操作部15が接続されている。ROMはコンピュータの初期動作に必要なプログラムを記憶している。RAMは、DRAM(Dynamic RAM)、SRAM(Static RAM)等のメモリであり、制御部10の演算処理を実行する際に記憶部11から読み出された後述のコンピュータプログラムP、又は制御部10の演算処理によって生ずる各種データを一時記憶する。CPUはコンピュータプログラムPを実行することにより、各構成部の動作を制御し、対象物3の真贋を判定する処理を実行する。つまり、制御部10を備えたコンピュータは、コンピュータプログラムPを実行することにより、本実施形態1に係る真贋判定装置1として動作し、本実施形態1に係る真贋判定方法を実施する。
【0015】
記憶部11は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリであり、本実施形態1に係る真贋判定方法の実施に必要なコンピュータプログラムPを記憶している。なお、実施形態1に係る記憶部11は、真贋判定装置1の内蔵メモリであるが、外付けのフラッシュメモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等であってもよい。
【0016】
本実施形態1に係るコンピュータプログラムPは、記録媒体Mにコンピュータ読み取り可能に記録されている態様でもよい。記憶部11は、図示しない読出装置によって記録媒体Mから読み出されたコンピュータプログラムPを記憶する。記録媒体MはSD(Secure Digital)カード、マイクロSDカード、コンパクトフラッシュ(登録商標)などの可搬型の半導体メモリである。また、記録媒体MはCD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM、BD(Blu-ray(登録商標)Disc)等の光ディスクでもよい。更に、記録媒体Mは、フレキシブルディスク、ハードディスク等の磁気ディスク、磁気光ディスク等であってもよい。更にまた、本実施形態1に係るコンピュータプログラムPは、図示しない通信網に接続されている図示しない外部サーバが提供する態様であってもよい。真贋判定装置1は、通信網を介して提供された本実施形態1に係るコンピュータプログラムPをダウンロードし、記憶部11に記憶させる。
【0017】
光源部12は被写体を照明するLEDライトである。LEDライトは、光変調素子2に対して光を照射し、再生像20hを生じさせるための点光源の一例である。
【0018】
撮像部13は、レンズと、該レンズにて結像した像を電気信号に変換するCMOS、CCD等の撮像素子と、撮像素子にて変換された電気信号をデジタルの画像データにAD変換し、AD変換された画像データに各種画像処理を施す画像処理部とを備える。撮像部13は、撮像して得た画像データを制御部10に与える。なお、撮像部13は、動画及び静止画のいずれも撮像することができる。本実施形態1では、撮像部13は光変調素子2、及び当該光変調素子2に生じた再生像20hを撮像するために用いられる。撮像部13によって撮像して得た画像は記憶部11が記憶する。
【0019】
表示部14は、液晶パネル、有機ELディスプレイ、電子ペーパ、プラズマディスプレイ等である。表示部14は、制御部10から与えられた画像データに応じた各種情報を表示する。
【0020】
操作部15は、ユーザによる操作を受け付け、操作内容に対応した制御信号を制御部10へ出力するインタフェースである。操作部15は、例えば表示部14の表面又は内部に設けられたタッチセンサ、機械式操作ボタン等である。タッチセンサは、ユーザの指が表示部14に触れたこと、指が触れた位置等を検出することにより、ユーザの操作を受け付け、受け付けた操作情報を制御部10に与える。つまり、制御部10は操作部15にてユーザの操作を受け付けることができる。また、操作部15はユーザの音声指令を収集するマイクであってもよい。
【0021】
図2は光変調素子2の一例を模式的に示す断面図である。本実施形態1に係る光変調素子2は、点光源からの光を回折することによって、当該光が照射される部位の中央部分Cに再生像20h(図5参照)を生じさせる光学素子である。再生像20hは例えば図柄、記号を表した画像、記号をコード化した画像等である。図2中、光変調素子2の上面側は撮像部13によって撮像される表面側であり、下面側は対象物3に接着される裏面側である。
光変調素子2は、例えば入射される光(入射光)の位相を変調して光像を再生する位相変調型のホログラム構造体211を有するホログラム保持体として構成されている。ホログラム構造体211は、特にフーリエ変換ホログラムによって構成される要素素子を含む。フーリエ変換ホログラムは、原画像のフーリエ変換像の波面情報を記録することで作製されるホログラムであり、いわゆるフーリエ変換レンズとして機能する。特に位相変調型のフーリエ変換ホログラムは、フーリエ変換像の位相情報を多値化して深さとして媒体に記録することで作製される凹凸面22aを有するホログラムであり、媒体の光路長差に基づく回折現象を利用して入射した光から原画像の光像を再生する。なお、このようなホログラムは、予定した入射光の波長や入射方向、並びに、再生されるべき像の形状や位置等に基づき計算機を用いて設計することが可能である。このようにして得られたホログラムは、計算機合成ホログラム(CGH:Computer Generated Hologram)とも呼ばれる。ただし、本発明を適用可能な光変調素子2の要素素子は、フーリエ変換ホログラムには限定されず、他の方法で光像を再生するホログラムや他の構造を有する光変調素子2に対しても本発明を適用することが可能である。
具体的には、光変調素子2は、基材21と、シート状の基材21の裏面側(図2中、下側)に積層された反射型のホログラム構造体211を有するホログラム層22と、ホログラム層22の裏面側(図2中、下側)に成膜された反射層23とを備える。
ホログラム構造体211及び反射層23は、基材21の表面側から入射した光を回折して再生像20hを生成するための凹凸面22aを有する。つまり、ホログラム層22の裏面側(図2中、下側)の面が凹凸面22aを形成し、この凹凸面22aを被覆する反射層23も凹凸形状を有する。ホログラム構造体211が有する凹凸面22aは、原画像のフーリエ変換画像に対応した凹凸パターンを有し、フーリエ変換画像の画素毎に対応の凹凸深さを有する。例えば、基材21(例えばPET:ポリエチレンテレフタレート)上にホログラム層22を構成する樹脂(例えばUV硬化樹脂や熱可塑性樹脂)を塗布などで形成し、当該ホログラム層22に対して、UV硬化処理や熱圧処理と共に原版凹凸面を押し当てる凹凸賦形処理が行われ、その後、当該ホログラム層22の凹凸面22a上に反射層23(例えばAl、ZnS、或いはTiO2など)を形成することにより、図2に示すホログラム保持体を製造することができる。なお、反射層23上に、粘着材、接着剤、ヒートシール層等を更に形成してもよい。
【0022】
このようなホログラム構造体211に対して点光源から光が入射すると、凹凸面22aの凹凸パターンに応じた再生像20hが生ずる。以下の説明では、ホログラム構造体211に対する光源部12からの光の入射角度は略0°(すなわちホログラム構造体211の入射面の法線方向に沿った角度)である場合を想定する。以上のようなホログラム構造体211に光を入射させた場合、点光源である光源部12からの光が照射される部位の中央部分Cに光像の再生像20hが再生される。
また、光変調素子2上に光源部12の点光源が映った点光源像PL(図5参照)は明るく目立ち、点光源像PLは、再生像20hの中心部分に映り込む。撮像部13は、再生像20hと共に点光源像PLを撮像する。
【0023】
また、本実施形態1に係る光変調素子2の表面側には、非点光源からの光によって視認可能なマーク20を有する。マーク20は、例えば光変調素子2に印刷された図柄であり、光が透過する構成である構成が好ましい。つまり、マーク20は、当該マーク20を透過し、点光源である光源部12からの光がホログラム構造体211に入射し、回折光がマーク20を透過して出射可能な構成が好ましい。更に、マーク20は必ずしも印刷物である必要は無く、ホログラム、例えばリップマンホログラムで構成するように構成してもよい。
なお、マーク20上に生ずる再生像20hを確認しない構成である場合、つまり、マーク20と異なる位置に生成される再生像20hを確認する構成の場合、マーク20は不透明な構成であってもよい。
【0024】
図3は真贋判定装置1を用いて光変調素子2を撮像している状態を示す模式図である。図3に示すように、光変調素子2はシート状であり、真贋判定の対象物3に貼付される。対象物3は、例えば、契約書、キャッシュカード、クレジットカード、小切手カード等のカード類、金券類、身分証明書、重要書類、ブランド品等の商品、又は商品の包装を含む。
【0025】
図3に示すように、光変調素子2の表面側を望む位置に光源部12を配置し、光源部12を点灯させた場合、光変調素子2は、光源部12からの光によって、当該光が照射される部位の中央部分Cを中心にして再生像20h(図5参照)を生成する。また、中央部分Cには点光源像PL(図5参照)が映り込む。以下、光源部12及び撮像部13は光変調素子2に対して正対した状態で照明及び撮像を行うものとする。つまり、光源部12及び撮像部13の光軸は、光変調素子2の法線方向と略一致するように、真贋判定装置1が操作されるものとする。なお、光軸及び法線方向の略一致とは、完全な一致を意味するものでは無く、本実施形態1に係る真贋判定を行うことが可能な範囲でのずれを含むものである。
【0026】
図4は、点光源の光が照射されていないときの光変調素子2を示す模式図、図5は、点光源の光が照射されているときの光変調素子2を示す模式図である。図4に示すように、光源部12が消灯している場合、光変調素子2に設けられたマーク20のみが視認される。光源部12を点灯させると図5Aに示すように、点光源である光源部12から照射された光によって、当該中央部分Cに再生像20hが生成される。図5中、星印は光源部12の点光源像PLを示している。光源部12の光が照射される部位の中央部分Cの位置と、点光源像PLの位置は一致している。以下、光源部12の光が照射される部位の中央部分Cの位置を、適宜、点光源像PLの位置と表記して説明する。
【0027】
図5A及び図5Bに示すように、光源部12が光変調素子2の面内方向、つまり光変調素子2に対して略平行な方向へ移動した場合、マーク20の位置に対して、光源部12の光が照射される部位の中央部分C及び点光源像PLが移動するが、再生像20hも点光源像PLの移動に追従して移動し、常に当該中央部分C又は点光源像PLの位置に再生像20hが生成される。
【0028】
本実施形態1の真贋判定装置1は、このように構成された光変調素子2を用いて対象物3の真贋判定を行う。具体的には、真贋判定装置1は、光変調素子2に対する光源部12の位置を変化させながら当該光変調素子2を撮像し、撮像して得た複数の画像におけるマーク20の位置、再生像20hの位置、及び点光源像PLの位置との関係を解析することによって、対象物3の真贋判定を行う。
【0029】
図6は、実施形態1に係る真贋判定の処理手順を示すフローチャートである。図7は、実施形態1に係る真贋判定処理を実行している真贋判定装置1の表示画面例である。真贋判定装置1の制御部10は、撮像部13を起動し(ステップS111)、図7に示すように、撮像部13にて撮像された画像を表示部14に表示すると共に、照準線画像14a及びガイド表示部14bを表示する(ステップS112)。照準線画像14aは、例えば十字線の画像であり、光変調素子2のマーク20を撮像画像の中心に捉えるためのものである。ガイド表示部14bは、対象物3の真贋判定に必要な操作をユーザに指示するための情報を表示する。例えば、ガイド表示部14bは、撮像部13を水平方向へ移動させることを指示する情報を表示する。また、後述するように、ガイド表示部14bは、対象物3の真贋判定の結果を表示することができる。
【0030】
ステップS112の処理を終えた制御部10は光源部12を点滅させる制御を行い(ステップS113)、撮像部13を用いて、点灯時及び消灯時において光変調素子2を撮像する(ステップS114)。ステップS114を実行する制御部10は、光変調素子2に対する光源部12(点光源)の位置を異にして撮像することにより得られた複数の画像を取得する取得部として機能する。そして、制御部10は、光源部12が消灯しているときに撮像された複数の画像に基づいて、光変調素子2に対する光源部12及び撮像装置の移動を検知する(ステップS115)。例えば、制御部10は、複数の画像に含まれるマーク20の画像の位置の変化量を算出することによって、発光部及び撮像部13の移動を検知することができる。なお、真贋判定装置1が加速度センサを備えている場合、制御部10は当該加速度センサを用いて、光源部12及び撮像部13の移動を検知するように構成してもよい。
【0031】
次いで、制御部10は、撮像された画像に含まれる再生像20hの画像及び点光源像PLを判別する(ステップS116)。例えば、略同一のタイミングで光源部12が消灯していることに得られた画像と、光源部12を消灯していることに得られた画像とを比較することによって、点光源である光源部12によって生じた再生像20hを判別することができる。制御部10は、光源部12が点灯及び消灯しているときに撮像して得た画像の双方に含まれる像は、マーク20その他の画像であることと認識することができる。また、制御部10は、光源部12が消灯しているときに撮像して得た画像に含まれず、光源部12が点灯しているときに撮像して得た画像に含まれる像は、再生像20hであることを認識することができる。
一方、制御部10は、撮像して得た画像に含まれる点光源像PLを判別する。例えば制御部10は、2値化処理、モルフォロジ処理等により、輝度が所定値以上であって、撮像画像の略中央にあり、大きさが所定範囲内の画像を抽出することによって、点光源像PLを判別すればよい。
【0032】
次いで、制御部10は、光変調素子2に対して光源部12等が移動しながら、所定回数以上、光変調素子2を撮像したか否かを判定する(ステップS117)。撮像回数が所定回数未満であると判定した場合(ステップS117:NO)、制御部10は処理をステップS113へ戻す。
【0033】
所定回数以上撮像したと判定した場合(ステップS117:YES)、制御部10は、光源部12及び撮像部13を移動させながら撮像して得た複数の画像に基づいて、当該複数の画像における再生像20hの位置が、光源部12の移動に追従しているか否かを判定する(ステップS118)。具体的には複数の画像における点光源像PLの位置と、再生像20hの位置とが一致しているか否かを判定する。点光源像PL及び再生像20hの位置は、ステップS115の処理で特定され、制御部10は、点光源像PL及び再生像20hの中心が一致しているか否か、又は中心間の距離が所定値以内であるか否かを判定することによって、ステップS118の判定を行うとよい。
なお、点光源像PLの位置が既知である場合、制御部10は、ステップS118において再生像20hが点光源像PLの位置に相当する所定位置にあるか否かを判定すればよい。例えば、照準線画像14aの中心と点光源像PLの位置とが対応している場合、制御部10は、ステップS118において再生像20hが照準線画像14aの中心又は撮像された画像の中心にあるか否かを判定すればよい。この場合、ステップS115の処理で点光源像PLを認識する必要はない。
【0034】
制御部10は、ステップS118の判定結果に基づいて、光変調素子2が貼付された対象物3が真正であるか否かを判定する(ステップS119)。例えば、制御部10は、複数の画像における点光源像PLの位置と、再生像20hの位置とが全て一致している場合、対象物3が真正であると判定する。なお、ステップS119を実行する制御部10は、取得した複数の画像における再生像20hの位置に基づいて対象物3の真贋を判定する判定部として機能する。
【0035】
ステップS119において対象物3が真正であると判定した場合(ステップS119:YES)、制御部10は、対象物3が真正であることを示す情報を出力し(ステップS120)、処理を終える。例えば、制御部10は、ガイド表示部14bに、対象物3が真正なものであることを示す情報を表示する。ステップS120を実行する制御部10及び表示部14は、判定した結果を出力する出力部として機能する。
【0036】
ステップS119において、真正で無いと判定した場合(ステップS119:NO)、例えば、点光源像PLの位置と、再生像20hの位置とが一致していない画像がある場合、制御部10は、所定回数以上、真正で無いと判定されたか否かを判定する(ステップS121)。真正で無いと判定された回数が所定回数未満である場合(ステップS121:NO)、ユーザの操作不備とも考えられるため、制御部10は、処理をステップS113へ戻し、真贋判定を継続する。
なお、制御部10は、真贋判定を適切に実施するための指示をガイド表示部14bに表示してもよい。例えば、撮像された画像に含まれるマーク20の画像が所定の第1閾値より小さい場合、制御部10は、撮像部13を光変調素子2に近づけることを指示する情報をガイド表示部14bに表示するとよい。逆に、マーク20の画像が所定の第2閾値より大きい場合、撮像部13を光り変調素子から遠ざけることを指示する情報をガイド表示部14bに表示するとよい。また、ステップS115で検出された移動速度が所定の上限速度以上である場合、ゆっくり撮像部13を移動させるべきことを指示する情報をガイド表示部14bに表示するとよい。
【0037】
真正で無いと判定された回数が所定回数以上であると判定した場合(ステップS121:YES)、制御部10は、対象物3が贋物であることを示す情報を出力し(ステップS122)、処理を終える。例えば、制御部10は、ガイド表示部14bに、対象物3が贋物であることを示す情報を表示する。ステップS122を実行する制御部10及び表示部14は、判定した結果を出力する出力部として機能する。
【0038】
以上の通り、本実施形態1に係る真贋判定装置1、真贋判定方法及びコンピュータプログラムPによれば、ユーザは特別な技能を必要とせずに真贋判定を容易に行うことができる。具体的には、シート状の光変調素子2を撮像しながら、光変調素子2における点光源像PLを移動させるだけで、対象物3の真贋を判定することができる。
【0039】
より詳細には、真贋判定装置1の制御部10は、撮像して得た画像に含まれる点光源像PLの位置にかかわらず、再生像20hの位置と、点光源像PLの位置とが一致しているか否かを判定する処理で、対象物3の真贋を判定することができる。
また、真贋判定装置1の制御部10は、撮像して得た画像に含まれるマーク20の位置と、点光源像PLの位置とから光源部12の移動を検知することができる。そして、制御部10は、上記の通り、点光源像PLの位置にかかわらず、再生像20hの位置と、点光源像PLの位置とが一致しているか否かを判定することにより、対象物3の真贋を判定することができる。
【0040】
更に、真贋判定装置1の制御部10は、光源部12を点滅させながら光変調素子2を撮像することにより、撮像して得た画像に含まれる再生像20hを誤りなく判別することができ、より精度良く対象物3の真贋を判定することができる。
【0041】
なお、本実施形態1では、真贋判定装置1の一例として、スマートフォン等の可搬型コンピュータを例示したが、複数のコンピュータを含んで構成されるマルチコンピュータであってよい。また、真贋判定装置1は、サーバクライアントシステムや、クラウドサーバ、ソフトウェアによって仮想的に構築された仮想マシンであってもよい。本実施形態1に係るコンピュータプログラムPは、複数のコンピュータで分散して実行される構成であってもよい。
【0042】
また、本実施形態1では平らな対象物3にシート状の光変調素子2を貼付する例を説明したが、対象物3及び光変調素子2は平面状である必要は無く、湾曲したものであってもよい。
【0043】
更に、本実施形態1では真贋判定をコンピュータが実行する例を説明したが、真贋判定方法の一部又は全部を人が実行するように構成してもよい。
【0044】
(実施形態2)
実施形態2に係る真贋判定装置1、真贋判定方法及びコンピュータプログラムPは、真贋判定処理の内容が異なり、使用する光変調素子2が第1マーク20a及び第2マーク20bを有し、光変調素子2を割印又は契印のように使用する点が実施形態1と異なる。真贋判定装置1のハードウェア、その他の構成は、実施形態1に係る真贋判定装置1等と同様であるため、同様の箇所には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0045】
図8は、対象物3に貼付された実施形態2に係る光変調素子2を示す模式図、図9は、実施形態2に係る光変調素子2の貼付方法を示す概念図である。実施形態2に係る真贋判定の対象物3は対をなす第1対象物半体31と、第2対象物半体32とを含む。実施形態2に係る光変調素子2は、第1対象物半体31及び第2対象物半体32の関連性が真であることを保証するために、当該第1対象物半体31と、第2対象物半体32との間に跨がるように貼付される。第1対象物半体31及び第2対象物半体32は、例えば、2枚以上の連続する契約書面、2部作成された契約書等である。
【0046】
実施形態2に係る光変調素子2は、非点光源からの光によって視認可能な第1マーク20a及び第2マーク20bを有する。第1マーク20a及び第2マーク20bは離隔している。本実施形態2では、図8に示すように、第1マーク20aが第1対象物半体31側に位置し、第2マーク20bが第2対象物半体32側に位置するように光変調素子2が対象物3に貼付されている。
【0047】
図10及び図11は、実施形態2に係る真贋判定の処理手順を示すフローチャート、図12図17は、実施形態1に係る真贋判定処理を実行している真贋判定装置1の表示画面例である。
【0048】
真贋判定装置1の制御部10は、撮像部13を起動し(ステップS211)、図12に示すように、撮像部13にて撮像された画像を表示部14に表示すると共に、照準線画像14a及びガイド表示部14bを表示する(ステップS212)。そして、制御部10は、第1マーク20aを照準線画像14aの中心に捉えることを指示する文字情報をガイド表示部14bに表示する(ステップS213)。
【0049】
次いで、制御部10は、撮像部13にて光変調素子2を撮像し(ステップS214)、第1マーク20aが照準線画像14aの中心に捕捉されているか否か、言い換えると第1マーク20aの画像が撮像画像の中心に位置しているか否かを判定する(ステップS215)。第1マーク20aが照準線画像14aの中心に捕捉されていないと判定した場合(ステップS215:NO)、制御部10は処理をステップS214へ戻す。
【0050】
第1マーク20aが照準線画像14aの中心に捕捉されたと判定した場合(ステップS215:YES)、制御部10は、図13に示すように光源部12を点灯させ(ステップS216)、撮像部13にて光変調素子2を撮像する(ステップS217)。そして、制御部10は、撮像して得た画像における再生像20h及び点光源像PLの画像を判別する(ステップS218)。再生像20h及び点光源像PLの判別方法は実施形態1と同様である。制御部10は、ステップS218の判別結果を一次記憶する。また、制御部10は、第1マーク20aが照準線画像14aの中心に捕捉され、光源部12が消灯している状態で撮像された画像と、光源部12を点灯した状態で撮像された画像とを一次記憶するとよい。
なお、ステップS217で撮像される画像は、中央部分Cが、第1マーク20aと一致した状態で撮像することにより得られた第1の画像に相当する。
【0051】
そして、制御部10は、図14に示すように、第2マーク20bを照準線画像14aの中心に捉えるように移動すべきことを指示する文字情報をガイド表示部14bに表示する(ステップS219)。次いで、制御部10は、光源部12を消灯し(ステップS220)、光変調素子2を撮像する(ステップS221)。制御部10は、撮像された画像を一次記憶する。
【0052】
制御部10は、撮像された時系列の画像に含まれる第1マーク20a又は第2マーク20bの位置の変化により、光変調素子2に対して光源部12が移動したか否かを判定する(ステップS222)。光源部12が移動していないと判定した場合(ステップS222:NO)、制御部10は処理をステップS221へ戻す。
【0053】
光源部12が移動したと判定した場合(ステップS222:YES)、制御部10は光源部12を点灯させ(ステップS223)、光変調素子2を撮像し(ステップS224)、撮像して得た画像に含まれる再生像20h及び点光源を判別する(ステップS225)。
【0054】
次いで、制御部10は、第2マーク20bが照準線画像14aの中心に捕捉されているか否か、言い換えると第2マーク20bの画像が撮像画像の中心に位置しているか否かを判定する(ステップS226)。第2マーク20bが照準線画像14aの中心に捕捉されていないと判定した場合(ステップS226:NO)、制御部10は処理をステップS220へ戻す。制御部10は、ステップS220~ステップS226の処理を繰り返し実行することによって、点光源像PLを第1マーク20aから第2マーク20bへ移動させる過程で撮像して得た画像に含まれる再生像20h及び点光源像PLを判別ないし認識することができる。
【0055】
第2マーク20bが照準線画像14aの中心に捕捉されたと判定した場合(ステップS226:YES)、制御部10は、対象物3の真贋判定に係る所定条件を充足するか否かを判定する(ステップS227)。
なお、第2マーク20bが照準線画像14aの中心に捕捉されたと判定される直前にステップS224で撮像される画像は、中央部分Cが、第2マーク20bと一致した状態で撮像することにより得られた第2の画像に相当する。
【0056】
所定条件を充足すると判定した場合(ステップS227:YES)、制御部10は、図15に示すように、対象物3が真正であることを示す情報を出力し(ステップS228)、処理を終える。所定条件を充足しないと判定した場合(ステップS227:NO)、制御部10は、図16に示すように、対象物3が贋物であることを示す情報を出力し(ステップS229)、処理を終える。
【0057】
なお、制御部10は、所定条件を充足しない場合、図17に示すように、もう一度操作をやり直すこと指示する文字情報をガイド表示部14bに表示するように構成してもよい。
また、上記の真贋判定処理では、第2マーク20bを中心に捉えた段階で、真贋判定を行う例を説明したが、点光源像PLを第1マーク20aから第2マーク20bへ移動させる過程で都度、再生像20hと点光源像PLの位置が一致しているか否かを判定し、一致していない場合、又は所定回数以上一致していないと判定された場合、もう一度操作をやり直すこと指示する文字情報をガイド表示部14bに表示するように構成してもよい。
【0058】
図18は、実施形態2に係る真贋判定に係る所定条件を充足するか否かを判定する処理手順を示すフローチャートである。ステップS227の処理において制御部10は、第1マーク20aを中心に捉えて撮像して得た画像に基づいて、再生像20h及び第1マーク20aの位置が一致しているか否かを判定する(ステップS251)。なお、制御部10は、更に、再生像20hと、点光源像PLの位置が一致しているか否かを判定するとよい。
【0059】
再生像20h及び第1マーク20aの位置が一致していると判定した場合(ステップS251:YES)、制御部10は、第2マーク20bを中心に捉えて撮像して得た画像に基づいて、再生像20h及び第2マーク20bの位置が一致しているか否かを判定する(ステップS252)。なお、制御部10は、更に、再生像20hと、点光源像PLの位置が一致しているか否かを判定するとよい。
【0060】
再生像20h及び第2マーク20bの位置が一致していると判定した場合(ステップS252:YES)、制御部10は、点光源像PLを第1マーク20aから第2マーク20bへ移動させる過程で撮像された複数の画像に含まれる再生像20hと、各画像における点光源像PLの位置が一致しているか否かを判定する(ステップS253)。ステップS253においては、制御部10は、点光源像PLを第1マーク20aから第2マーク20bへ移動させる過程で撮像された全ての画像について、再生像20hと、点光源像PLの位置が一致しているか否かを判定するように構成してもよいし、所定割合以上で、再生像20hと、点光源像PLの位置が一致しているか否かを判定するように構成してもよい。
【0061】
複数の再生像20hと、点光源像PLの位置が一致していると判定した場合(ステップS253:YES)、制御部10は、所定条件を充足すると判定し(ステップS254)、処理を終える。
【0062】
再生像20h及び第1マーク20aの位置が一致していないと判定した場合(ステップS251:NO)、再生像20h及び第2マーク20bの位置が一致していないと判定した場合(ステップS252:NO)、複数の再生像20hのうち、当該再生像20hと、点光源像PLの位置が一致していないと判定した場合(ステップS253:NO)、制御部10は、所定条件を充足しないと判定し(ステップS255)、処理を終える。
【0063】
以上の通り、本実施形態2に係る真贋判定装置1、真贋判定方法及びコンピュータプログラムPによれば、ユーザは点光源像PLを第1マーク20aに合わせ、次いで、点光源像PLを第1マーク20aから第2マーク20bへ移動させるだけ、対象物3の真正性を判定することができる。特に図8及び図9のように光変調素子2を対象物3に貼付した場合、真贋判定装置1は、第1対象物半体31と、第2対象物半体32との対が真正であるか否かを判定することができる。
【0064】
(実施形態3)
実施形態3に係る真贋判定装置1、真贋判定方法及びコンピュータプログラムPは、使用する光変調素子2の構成及び真贋判定処理の内容が異なる。真贋判定装置1のハードウェア、その他の構成は、実施形態1に係る真贋判定装置1~2等と同様であるため、同様の箇所には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0065】
図19は、実施形態3に係る光変調素子2を示す概念図である。実施形態3に係る光変調素子2は、光源部12の点光源と、光変調素子2との距離に応じた異なる大きさの再生像20hを生成する点が実施形態2と異なる。以下、光源部12と、光変調素子2との距離を撮像距離と呼ぶ。実施形態3の例では、図19に示すように、撮像距離が大きい程、より大きな再生像20hが生成される。具体的には、図19中央図においては、撮像距離はh1であるところ、図19左図に示すように撮像距離がh2(<h1)と短くなると、再生像20hが小さくなる。また、図19右図に示すように撮像距離がh3(>h1)と長くなると、再生像20hが大きくなる。
再生像20hの大きさと、撮像距離との関係は特に限定されるものでは無いが、例えば、再生像20hの大きさと、撮像距離は比例関係にある。
【0066】
図20は、実施形態3に係る真贋判定に係る所定条件を充足するか否かを判定する処理手順を示すフローチャートである。ステップS351~ステップS353の処理内容は実施形態2におけるステップS251~ステップS253と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0067】
ステップS353において複数の再生像20hと、点光源像PLの位置が一致していると判定した場合(ステップS353:YES)、制御部10は、点光源像PLを第1マーク20aから第2マーク20bへ移動させる過程で撮像された複数の画像に含まれる再生像20hの大きさと、撮像距離との関係が所定の関係であるか否かを判定する(ステップS354)。例えば、同一の光変調素子2において、再生像20hの大きさと、撮像距離との関係が一定となるように構成されている場合、制御部10は、再生像20hの大きさと、撮像距離との関係が一定であるか否かを判定する。再生像20hの大きさと、撮像距離との関係が比例関係にある場合、制御部10は、比例係数が一定であるか否かを判定する。なお、撮像距離は、第1マーク20aの大きさから推定するように構成すればよい。
【0068】
再生像20hの大きさと、撮像距離との関係が所定の関係であると判定した場合(ステップS354:YES)、制御部10は、所定条件を充足すると判定し(ステップS355)、処理を終える。
【0069】
再生像20h及び第1マーク20aの位置が一致していないと判定した場合(ステップS351:NO)、再生像20h及び第2マーク20bの位置が一致していないと判定した場合(ステップS352:NO)、複数の再生像20hのうち、当該再生像20hと、点光源像PLの位置が一致していないと判定した場合(ステップS253:NO)、撮像距離との関係が所定の関係にないと判定した場合(ステップS354:NO)、制御部10は、所定条件を充足しないと判定し(ステップS356)、処理を終える。
【0070】
以上の通り、本実施形態3に係る真贋判定装置1、真贋判定方法及びコンピュータプログラムPによれば、点光源像PLを第1マーク20aに合わ
せ、次いで、点光源像PLを第1マーク20aから第2マーク20bへ移動させる過程で取得した複数の画像における再生像20hの位置及び大きさに基づいて対象物3の真贋を判定する。再生像20hの位置及び大きさを考慮することによって、より精度良く対象物3の真贋を判定することができる。
【0071】
(実施形態4)
実施形態4に係る真贋判定装置1、真贋判定方法及びコンピュータプログラムPは、第1マーク20aと、第2マーク20bと、再生像20hとの関係を記憶する再生像データベース(再生像DB)416を用いて対象物3の真贋を判定する点が実施形態2及び3と異なる。真贋判定装置1のハードウェア、その他の構成は、実施形態1~3に係る真贋判定装置1等と同様であるため、同様の箇所には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0072】
図21は、実施形態4に係る真贋判定装置1の構成例を示すブロック図である。実施形態4に係る真贋判定装置1の記憶部11は、再生像データベース416を備える。
【0073】
光変調素子2が生成する再生像20hは、当該光変調素子2に固有のものである。真贋判定の対象物3に貼付される光変調素子2は、対象物3毎に異なるため、当該対象物3に貼付された光変調素子2が再生する再生像20hも対象物3毎に異なる。そこで、真贋判定装置1の記憶部11は、光変調素子2の第1マーク20a及び第2マーク20bの特徴量と、再生像20hの特徴量との関係を再生像データベース416に予め記憶しておく。
【0074】
図22は、実施形態4に係る再生像データベース416の例を示す概念図である。再生像データベース416は、例えば図22Aに示すように、第1マーク20aの特徴量を格納する「第1マーク」列と、第2マーク20bの特徴量を格納する「第2マーク」列と、再生像20hの特徴量を格納する「再生像20h」列とを有する。特徴量の形態は特に限定されるものでは無い。
【0075】
また、図22Bに示す他の例では、「第1マーク」列と、「第2マーク」列と、「再生像20h」列に加え、更に当該再生像20hが再生される位置を格納する「位置」列を有する。光変調素子2が生成する再生像20hは点光源の光を照射する位置によって変化させてもよく、再生像データベース416は、点光源の光が詳細される部位の中央部分Cの位置と、当該位置に生ずる再生像20hの特徴量との関係を格納する。
【0076】
また、図22Cに示す他の例では、「第1マーク」列と、「第2マーク」列と、「位置」列、「再生像20h」列に加え、更に撮像距離と再生像20hの大きさの関係を格納している。
【0077】
実施形態4に係る真贋判定装置1の制御部10は、実施形態2の図18に示す真贋判定処理、又は実施形態3の図20に示す真贋判定処理に加え、第1及び第2マーク20a,20bの特徴量と、再生される再生像20hの特徴量との関係が、図22Aに示す再生像データベース416に格納されている関係と整合しているか否かを判定する。整合している場合、制御部10は、対象物3が真正なものと判定する。
また、制御部10は、第1及び第2マーク20a,20bの特徴量と、再生される再生像20hの特徴量と、再生像20hの位置との関係が、図22Bに示す再生像データベース416に格納されている関係と整合しているか否かを判定するようにしてもよい。
更に、制御部10は、第1及び第2マーク20a,20bの特徴量と、再生される再生像20hの特徴量と、再生像20hの位置と、再生像20hの大きさとの関係が、図22Cに示す再生像データベース416に格納されている関係と整合しているか否かを判定するようにしてもよい。
【0078】
以上の通り、本実施形態2に係る真贋判定装置1、真贋判定方法及びコンピュータプログラムPによれば、より精度良く、対象物3の真贋を判定することができる。
【0079】
(実施形態5)
図23は、実施形態5に係る光変調素子2の貼付方法を示す概念図である。実施形態5に係る対象物503は、ID証であり、例えばIDカード基材531と、IDカード基材531に貼付又は印刷された写真532とを含み、光変調素子2は、当該IDカード基材531と、写真532とに跨がって貼付されている。ID証は、例えばパスポート(旅券)、マイナンバーカード、免許証、会員証、社員証、学生証、クレジットカード等である。
【0080】
実施形態5によれば、IDカード基材531に貼付又は印刷された写真532の真贋判定を行うことができる。
【0081】
(実施形態6)
図24は、実施形態6に係る光変調素子2の貼付方法を示す概念図である。実施形態6に係る対象物603は、例えば施設への入場券、施設を利用するための年間利用パス、投票用紙等であり、本券631と、控え等の半券632とを含み、光変調素子2は、当該本券631及び半券632に跨がって貼付されている。
【0082】
実施形態6によれば、本券631及び半券632の真贋判定を行うことができる。
【0083】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0084】
1 真贋判定装置
2 光変調素子
3,503,603 対象物
10 制御部
11 記憶部
12 光源部
13 撮像部
14 表示部
14a 照準線画像
14b ガイド表示部
15 操作部
20 マーク
20a 第1マーク
20b 第2マーク
20h 再生像
31 第1対象物半体
32 第2対象物半体
416 再生像データベース
C 中央部分
M 記録媒体
P コンピュータプログラム
PL 点光源像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24