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特許7593126着色組成物、それを用いたカラーフィルタ基板およびその製造方法ならびに表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】着色組成物、それを用いたカラーフィルタ基板およびその製造方法ならびに表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20241126BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20241126BHJP
   G03F 7/027 20060101ALI20241126BHJP
   G03F 7/028 20060101ALI20241126BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
G02B5/20 101
G03F7/004 505
G03F7/027 502
G03F7/028
G02F1/1335 505
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021006155
(22)【出願日】2021-01-19
(65)【公開番号】P2021117498
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2023-08-28
(31)【優先権主張番号】P 2020007334
(32)【優先日】2020-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小田 拓郎
【審査官】藤岡 善行
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-081349(JP,A)
【文献】特開2018-025681(JP,A)
【文献】特開2016-176058(JP,A)
【文献】国際公開第2017/150112(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
G03F 7/004
G03F 7/027
G03F 7/028
G02F 1/1335
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
色材、バインダー樹脂、ラジカル重合性化合物、光重合開始剤および有機溶媒を含有する着色組成物であって、前記ラジカル重合性化合物がジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートを含有し、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートの重量(A)とペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートの重量(B)の比率が、0.16<A/B<3であり、かつ前記色材、ラジカル重合性化合物、光重合開始剤、有機溶媒を除いた成分の重量(P)と前記ラジカル重合性化合物の重量(R)の比率が、0.5<P/R<0.9である着色組成物。
【請求項2】
前記光重合開始剤が、下記一般式(1)で表される部分構造を有する光重合開始剤、下記一般式(2)~(5)で表される光重合開始剤、2,2’-ビス(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾールを除く光重合開始剤である請求項1に記載の着色組成物。
【化1】
一般式(1)中、R、およびRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、またはアルコキシ基を示す。RとRとは互いに環を形成してもよい。XはOR、SR、またはNR1718を示す。R、R、R17、およびR18はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、またはヘテロアリール基を示す。R17とR18とは、直接または2価の連結基を介して環を形成してもよい。
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【請求項3】
色材を除く固形分Tグラムに対して含まれる二重結合のモル数Mが、160<T/M<220を満たす請求項1または2に記載の着色組成物。
【請求項4】
前記色材が、臭素基を有するジケトピロロピロール顔料を含む、請求項1~3のいずれかに記載の着色組成物。
【請求項5】
ラジカル重合性化合物中、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートの合計含有量が70質量%以上である請求項1~4のいずれかに記載の着色組成物。
【請求項6】
さらに光増感剤を含有する請求項1~5のいずれかに記載の着色組成物。
【請求項7】
前記光増感剤がチオキサントン系増感剤である請求項6に記載の着色組成物。
【請求項8】
前記色材、ラジカル重合性化合物、光重合開始剤、有機溶媒、光増感剤を除いた成分の重量(P)と前記ラジカル重合性化合物の重量(R)の比率が、0.5<P/R<0.9である請求項6または7に記載の着色組成物。
【請求項9】
前記光増感剤の重量(K)と光重合開始剤の重量(L)の比率が、0.3<K/L<0.6である請求項6~8のいずれかに記載の着色組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載の着色組成物の光硬化物からなる画素を有するカラーフィルタ基板。
【請求項11】
前記基板がフィルムである請求項10に記載のカラーフィルタ基板。
【請求項12】
(A)請求項1~9のいずれかに記載の着色組成物を基板上に塗布したのちに、(B)露光、現像によりパターンを形成後、(C)さらに形成したパターンに露光する工程を含む、カラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項13】
請求項10または11に記載のカラーフィルタ基板を有する表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色組成物、それを用いたカラーフィルタ基板およびその製造方法ならびに表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、軽量、薄型、低消費電力等の特性を活かし、テレビ、ノートパソコン、携帯情報端末、スマートフォン、デジタルカメラ等様々な用途で使用されている。液晶表示装置には、用途に応じて3~6原色の最適な色が要求され、様々な色性能を担うカラーフィルタ基板が使用されている。
【0003】
カラーフィルタ基板は、着色画素を形成時に、露光、現像、を行い、さらに200℃以上の温度で焼成して作製することが一般的である。一方、カラーフィルタ方式の電子ペーパーやシリコンOLED等においては、フィルム上や発光素子上に着色画素を形成するために、それらフィルムや発光素子の劣化を抑制するために、100℃以下の温度での焼成することが求められている。
【0004】
カラーフィルタ用の着色組成物として、エポキシ化合物を配合した着色組成物が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。エポキシ化合物を配合すると熱硬化による架橋が進行し、焼成温度が低い場合でも、カラーフィルタ形成時に画素の混色が発生しにくくなるものの、混色抑制が不十分であったり、保存安定性に問題があり、改善が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-22371号公報
【文献】特開2012-212051号公報
【文献】国際公開第2015/182285号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、低温で焼成しても重ね塗り加工時のパターン剥離が起こりにくく、さらにパターンの混色を抑制することができ、ピンムラが発生しにくい着色組成物と、かかる着色組成物を用いたカラーフィルタ基板および表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明の着色組成物は、次の構成を有する。すなわち、
色材、バインダー樹脂、ラジカル重合性化合物、光重合開始剤および有機溶媒を含有する着色組成物であって、前記ラジカル重合性化合物がジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートを含有し、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートの重量(A)とペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートの重量(B)の比率が、0.16<A/B<3であり、かつ前記色材、ラジカル重合性化合物、光重合開始剤、有機溶媒を除いた成分の重量(P)と前記ラジカル重合性化合物の重量(R)の比率が、0.5<P/R<1.2である着色組成物、である。
【0008】
本発明のカラーフィルタ基板は、次の構成を有する。すなわち、
上記着色組成物の光硬化物からなる画素を有するカラーフィルタ基板、である。
【0009】
本発明のカラーフィルタ基板の製造方法は、次の構成を有する。すなわち、
(A)上記着色組成物を基板上に塗布したのちに、(B)露光、現像によりパターンを形成後、(C)さらに形成したパターンに露光する工程を含む、カラーフィルタ基板の製造方法、である。
【0010】
本発明の表示装置は、次の構成を有する。すなわち、上記カラーフィルタ基板を有する表示装置、である。
【0011】
本発明の着色組成物は、さらに光増感剤を含有することが好ましい。
【0012】
本発明の好ましい態様であるさらに光増感剤を含有する着色組成物は、前記色材、ラジカル重合性化合物、光重合開始剤、有機溶媒、光増感剤を除いた成分の重量(P)と前記ラジカル重合性化合物の重量(R)の比率が、0.5<P/R<1.2であることがより好ましい。
【0013】
本発明の着色組成物は、色材を除く固形分Tグラムに対して含まれる二重結合のモル数Mが、160<T/M<220を満たすことが好ましい。
【0014】
本発明の着色組成物は、前記色材が、臭素基を有するジケトピロロピロール顔料を含むことが好ましい。
【0015】
本発明の着色組成物は、前記光増感剤がチオキサントン系増感剤であることが好ましい。
【0016】
本発明の着色組成物は、前記光増感剤の重量(K)と光重合開始剤の重量(L)の比率が、0.3<K/L<0.6であることが好ましい。
【0017】
本発明の着色組成物は、ラジカル重合性化合物中、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートの合計含有量が70質量%以上であることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の着色組成物によれば、低温で焼成しても重ね塗り加工時のパターン剥離が起こりにくく、さらにパターンの混色を抑制することができ、ピンムラが発生しにくい着色組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の着色組成物は、色材、バインダー樹脂、ラジカル重合性化合物、光重合開始剤および有機溶媒を含有する着色組成物であって、前記ラジカル重合性化合物がジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートを含有し、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートの重量(A)とペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートの重量(B)の比率が、0.16<A/B<3であり、かつ前記色材、ラジカル重合性化合物、光重合開始剤、有機溶媒を除いた成分の重量(P)と前記ラジカル重合性化合物の重量(R)の比率が、0.5<P/R<1.2である着色組成物であり、低温で焼成しても重ね塗り加工時のパターン剥離が起こりにくく、さらにパターンの混色を抑制することができ、ピンムラの発生を抑制することができる。
【0020】
本発明の着色組成物は、色材を含有する。色材としては、有機顔料、無機顔料、染料等が挙げられ、これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、透過率をより向上させる観点から、有機顔料、染料が好ましい。
【0021】
赤色色材としては、例えば、C.I.ピグメントレッド(以下、「PR」)9、PR48、PR97、PR122、PR123、PR144、PR149、PR166、PR168、PR177、PR179、PR180、PR192、PR209、PR215、PR216、PR217、PR220、PR223、PR224、PR226、PR227、PR228、PR240、PR254、臭素基を有するジケトピロロピロール色材などが挙げられる。画素の輝度特性の観点から、PR254やPR177、臭素基を有するジケトピロロピロール色材が好ましく、明るさ、鮮やかさ、混色防止の観点から、臭素基を有するジケトピロロピロール色材を用いることが好ましい。
【0022】
黄色色材としては、有機顔料、無機顔料、染料などが挙げられ、例えば、C.I.ピグメントイエロー(以下、「PY」)12、PY13、PY17、PY20、PY24、PY83、PY86、PY93、PY95、PY109、PY110、PY117、PY125、PY129、PY137、PY139、PY147、PY148、PY150、PY153、PY154、PY166、PY168(以上、番号はいずれもカラーインデックスNo.)などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。色純度、光透過率およびコントラストの観点から、PY129、PY139、PY150、PY185が好ましく、PY150、PY185がより好ましい。
【0023】
緑色色材としては、有機顔料、無機顔料、染料などが挙げられ、例えば、C.I.ピグメントグリーン(以下、「PG」)PG1、PG2、PG4、PG7、PG8、PG10、PG13、PG14、PG15、PG17、PG18、PG19、PG26、PG36、PG38、PG39、PG45、PG48、PG50、PG51、PG54、PG55、PG58、PG59(以上、番号はいずれもカラーインデックスNo.)などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
【0024】
オレンジ色色材としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ(以下、「PO」)13、PO31、PO36、PO38、PO40、PO42、PO43、PO51、PO55、PO59、PO61、PO64、PO65、PO71などが挙げられる。
【0025】
青色色材としては、例えば、C.I.ピグメントブルー(以下、「PB」)15、PB15:3、PB15:4、PB15:6、PB21、PB22、PB60、PB64などが挙げられる。
【0026】
紫色色材としては、例えば、C.I.ピグメントバイオレット(以下「PV」)19、PV23、PV29、PV30、PV32、PV37、PV40、PV50などが挙げられる(以上、番号はいずれもカラーインデックスNo.)。
【0027】
染料としては、例えば、油溶性染料、酸性染料、直接染料、塩基性染料、酸性媒染染料などが挙げられる。また、上記染料をレーキ化したり、染料と含窒素化合物との造塩化合物としても構わない。
【0028】
赤色、緑色、青色、紫色または黄色の染料としては、例えば、直接染料、酸性染料、塩基性染料などが挙げられる。これら染料の具体例としては、例えば、アゾ系染料、ベンゾキノン系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、キサンテン系染料、シアニン系染料、スクアリリウム系染料、クロコニウム系染料、メロシアニン系染料、スチルベン系染料、ジアリールメタン系染料、トリアリールメタン系染料、フルオラン系染料、スピロピラン系染料、フタロシアニン系染料、インジゴ系染料、フルギド系染料、ニッケル錯体系染料、アズレン系染料などが挙げられる。染料は着色組成物中に溶解させても、粒子として分散させても構わない。
【0029】
熱、光、酸、アルカリまたは有機溶媒等に対する耐性を高めるため、塩基性染料としては、有機スルホン酸や有機カルボン酸等の有機酸または過塩素酸とからなる造塩化合物が好ましく、トビアス酸等のナフタレンスルホン酸または過塩素酸とからなる造塩化合物がより好ましい。同様に、熱、光、酸、アルカリまたは有機溶媒等に対する耐性を高めるため、酸性染料および直接染料としては、四級アンモニウム塩、一~三級アミンまたはスルホンアミドとからなる造塩化合物が好ましい。
【0030】
本発明の着色組成物は、バインダー樹脂を含有する。バインダー樹脂を含有することで製膜時の膜厚ムラを抑制し、焼成時の流動によるパターンの変形を抑制することができる。
【0031】
バインダー樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、ポリビニールアルコール樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。安定性の面から、アクリル樹脂が好ましく用いられる。
【0032】
アクリル樹脂としては、不飽和カルボン酸とエチレン性不飽和化合物との共重合体が好ましい。
【0033】
不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、これらの酸無水物などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
【0034】
エチレン性不飽和化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸イソ-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸アルキルエステル、スチレン、p-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、α-メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、アミノエチルアクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-クロルアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、1,3-ブタジエン、イソプレンなどの脂肪族共役ジエン、末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリシリコーンなどのマクロモノマーなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
【0035】
アクリル樹脂は、側鎖にエチレン性不飽和基を有することが好ましく、感度を向上させることができる。エチレン性不飽和基としては、例えば、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基などが挙げられる。側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル樹脂としては、例えば、“サイクロマー”(登録商標)P(ダイセル化学工業(株))や、アルカリ可溶性カルド樹脂等が挙げられる。
【0036】
バインダー樹脂の重量平均分子量は、硬化膜の強度の観点から3,000以上が好ましく、9,000以上がより好ましい。一方、着色組成物の安定性の観点から、バインダー樹脂の重量平均分子量は200,000以下が好ましく、100,000以下がより好ましい。ここで、バインダー樹脂の重量平均分子量とは、ゲルパーミエーショングロマトグラフィーで測定した標準ポリスチレン換算値を指す。
【0037】
バインダー樹脂の含有量は、製膜時の膜厚ムラを抑制する観点から、固形分中10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。一方、パターニング性の観点から、バインダー樹脂の含有量は、固形分中、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。
【0038】
本発明の着色組成物は、ラジカル重合性化合物を含有し、ラジカル重合性化合物がジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートを含む。ラジカル重合性化合物中、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートの合計含有量は、混色防止や色移り抑制や、ピンムラ抑制、重ね塗り加工時の溶解性、加工性の観点から70質量%以上であることが好ましい。ここで言うラジカル重合性化合物とは、ラジカル重合により反応する化合物を指し、重量平均分子量が1,000以下の化合物を指す。ラジカル重合性化合物は、不飽和炭化水素基を有する化合物が好ましい。不飽和炭化水素基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、マレイミド基などが挙げられる。これらを2種以上有してもよい。また、本発明の着色組成物は、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート以外のラジカル重合性化合物を含有してもよい。
【0039】
ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート以外のラジカル重合性化合物としては、例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、テトラトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリロイルオキシジペンタエリスリトールモノこはく酸エステル等のエチレンオキサイド変性物またはプロピレンオキサイド変性物、スチレン誘導体、多官能マレイミド化合物、ポリ(メタ)アクリレートカルバメート、アジピン酸1,6-ヘキサンジオール(メタ)アクリル酸エステル、無水フタル酸プロピレンオキサイド(メタ)アクリル酸エステル、トリメリット酸ジエチレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、ロジン変性エポキシジ(メタ)アクリレート、アルキッド変性(メタ)アクリレートなどのオリゴマー、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート類、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリアクリルホルマール、ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート、ジシクロペンタンジエニルジアクリレート、これらのアルキル変性物、アルキルエーテル変性物やアルキルエステル変性物などが挙げられる。
【0040】
本発明の着色組成物は、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートを含有し、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートの重量(A)とペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートの重量(B)の比率が、0.16<A/B<3である着色組成物である。ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートの重量(A)とペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートの重量(B)の比率(A/B)が0.16以下の場合には、パターニング性に劣り、低温で焼成した場合、重ね塗り加工時のパターン剥離が起こり易く、一方、(A/B)が3以上の場合には、パターンの混色を抑制することができない。ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートの重量(A)とペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートの重量(B)の比率(A/B)は、重ね塗り加工時のパターン剥離抑制をさらに向上させる観点から、0.24以上が好ましく、より好ましくは0.3以上である。また、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートの重量(A)とペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートの重量(B)の比率(A/B)は、混色防止をさらに向上させる観点から、2.4以下であることが好ましく、より好ましくは1.6以下である。
【0041】
本発明の着色組成物におけるラジカル重合性化合物の含有量は、パターニング性の観点から、固形分中40質量%以上が好ましい。一方、製膜時の膜厚ムラを抑制し、焼成時の流動によるパターンの変形を抑制する観点から、ラジカル重合性化合物の含有量は、固形分中、90質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、60質量%以下がさらに好ましい。また、パターニング性の観点から、3つ以上の(メタ)アクリロイル基とカルボキシル基とを有するラジカル重合性化合物の含有量は、ラジカル重合性化合物中50質量%以上が好ましく、60質量%以上がさらに好ましい。
【0042】
本発明の着色組成物は、光重合開始剤を含有する。光重合開始剤を含有することで、パターニング時の感度を向上させることができる。ここで、光重合開始剤とは、光(紫外線または電子線を含む)により分解および/または反応し、ラジカルを発生させる化合物を指す。光重合開始剤としては、例えば、オキシムエステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物、オキサントン系化合物、アントラキノン系化合物、イミダゾール系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、ベンゾオキサゾール系化合物、カルバゾール系化合物、トリアジン系化合物、リン系化合物、チタノセン系化合物などが挙げられる。
【0043】
より具体的には、オキシムエステル化合物としては、例えば、1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)フェニル〕-,2-(O-ベンゾイルオキシム)、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)、エタノン,1-〔9-エチル-6-(2-メチル-4-テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-,1-(O-アセチルオキシム)、エタノン,1-〔9-エチル-6-{2-メチル-4-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}-9H-カルバゾール-3-イル〕-,1-(O-アセチルオキシム)、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-2-(O-ベンゾイルオキシム)]、“アデカアークルズ”(商標登録)N-1919、NCI-930((株)ADEKA製)、“IRGACURE”(商標登録)OXE01、OXE02(BASFジャパン(株)製)などが挙げられる。ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、N,N’-テトラエチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン、4-メトキシ-4’-ジメチルアミノベンゾフェノンなどが挙げられる。アセトフェノン系化合物としては、例えば、2,2-ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α-ヒドロキシイソブチルフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-1-プロパン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、“IRGACURE”(商標登録)369、379、907(BASFジャパン(株)製)などが挙げられる。アントラキノン系化合物としては、例えば、t-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2,3-ジクロロアントラキノン、3-クロル-2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、1,4-ナフトキノン、9,10-フェナントラキノン、1,2-ベンゾアントラキノン、1,4-ジメチルアントラキノン、2-フェニルアントラキノンなどが挙げられる。イミダゾール系化合物としては、例えば、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール2量体などが挙げられる。ベンゾチアゾール系化合物としては、例えば、2-メルカプトベンゾチアゾールなどが挙げられる。ベンゾオキサゾール系化合物としては、例えば、2-メルカプトベンゾオキサゾールなどが挙げられる。トリアジン系化合物としては、例えば、4-(p-メトキシフェニル)-2,6-ジ-(トリクロロメチル)-s-トリアジンなどが挙げられる。これらを2種以上含有してもよく、後述する光増感剤を併用することが色移り抑制や混色防止の観点からさらに好ましい。
【0044】
光重合開始剤の含有量は、感度、パターニング性、加工性の観点から、着色組成物の色材を除く固形分中、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましい。一方、光重合開始剤の含有量は、感度、パターニング性、加工性、耐熱性の観点から、着色組成物の色材を除く固形分中、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。
【0045】
本発明の着色組成物は、さらに、分散剤、連鎖移動剤、光増感剤、有機溶媒、重合禁止剤、密着改良剤、界面活性剤、有機酸、有機アミノ化合物、硬化剤などを含有してもよい。
【0046】
本発明の着色組成物に含まれる色材は、レーザーラマン分光法(Ar+レーザー(457.9nm))や、MALDI質量分析装置または飛行時間型二次イオン質量分析計による質量分析により、同定することができる。
【0047】
また、着色組成物中における色材の含有量は、MALDI質量分析装置または飛行時間型二次イオン質量分析計による質量分析により定量することができ、得られた色材の質量と、他の成分の含有量から、着色組成物中の固形分中に占める割合(質量%)を求めることができる。なお、着色組成物の原料の配合比が既知の場合には、色材の配合量と、他の成分の配合量から、着色組成物中の固形分中に占める割合(質量%)を求めることができる。
【0048】
本発明の着色組成物は、色材とともに、顔料誘導体などの分散剤を含有してもよい。分散剤としては、例えば、顔料の中間体や誘導体等の低分子分散剤、高分子分散剤などが挙げられる。顔料誘導体としては、例えば、顔料の適度な湿潤や安定化に資する、顔料骨格のアルキルアミン変性体、カルボン酸誘導体、スルホン酸誘導体などが挙げられる。微細顔料の安定化に顕著な効果を有する、顔料骨格のスルホン酸誘導体が好ましい。
【0049】
高分子分散剤としては、例えば、ポリエステル、ポリアルキルアミン、ポリアリルアミン、ポリイミン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリイミド、ポリアミドイミドやこれらの共重合体などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これら高分子分散剤の中でも、固形分換算のアミン価が5~200mgKOH/gであり酸価が1~100mgKOH/gであるものが好ましい。中でも、塩基性基を有する高分子分散剤が好ましく、顔料分散液および着色組成物の保存安定性を向上させることができる。塩基性基を有する、市販品の高分子分散剤としては、例えば、“ソルスパース”(登録商標)(日本ルーブリゾル(株)製)、“Efka”(登録商標)(BASF社製)、“アジスパー”(登録商標)(味の素ファインテクノ(株)製)、“BYK”(登録商標)(ビックケミージャパン(株)製)が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。中でも“ソルスパース”(登録商標)24000(日本ルーブリゾル(株)製)、“EFKA”(登録商標)4300、4330(BASF社製)、4340(BASF社製)、“アジスパー”(登録商標)PB821、PB822(味の素ファインテクノ(株)製)、“BYK”(登録商標)161~163、2000、2001、6919、21116(ビックケミージャパン(株)製)が好ましい。
【0050】
本発明の着色組成物が高分子分散剤を含有する場合、高分子分散剤とバインダー樹脂の合計の含有量は、製膜時の膜厚ムラを抑制する観点から、固形分中10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。一方、パターニング性の観点から、高分子分散剤とバインダー樹脂の合計の含有量は、着色組成物の色材を除く固形分中、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。
【0051】
本発明の着色組成物は、光重合開始剤と合わせて連鎖移動剤を含有してもよく、感度をより向上させることができる。連鎖移動剤としては、例えば、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプト酪酸、N-(2-メルカプトプロピオニル)グリシン、2-メルカプトニコチン酸、3-[N-(2-メルカプトエチル)カルバモイル]プロピオン酸、3-[N-(2-メルカプトエチル)アミノ]プロピオン酸、N-(3-メルカプトプロピオニル)アラニン、2-メルカプトエタンスルホン酸、3-メルカプトプロパンスルホン酸、4-メルカプトブタンスルホン酸、ドデシル(4-メチルチオ)フェニルエーテル、2-メルカプトエタノール、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール、1-メルカプト-2-プロパノール、3-メルカプト-2-ブタノール、メルカプトフェノール、2-メルカプトエチルアミン、2-メルカプトイミダゾール、2-メルカプト-3-ピリジノール、2-メルカプトベンゾチアゾール、メルカプト酢酸、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、“カレンズ”(登録商標)MT PE-1(昭和電工(株)製)、“カレンズ”(登録商標)MT NR-1(昭和電工(株)製)、“カレンズ”(登録商標)MT BD-1(昭和電工(株)製)、等のメルカプト化合物、該メルカプト化合物を酸化して得られるジスルフィド化合物、ヨード酢酸、ヨードプロピオン酸、2-ヨードエタノール、2-ヨードエタンスルホン酸、3-ヨードプロパンスルホン酸等のヨード化アルキル化合物が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
【0052】
本発明の着色組成物は、混色防止の観点から、さらに光増感剤を含有することが好ましい。光増感剤としては、チオキサントン系増感剤、芳香族または脂肪族の第3級アミンなどが挙げられる。チオキサントン系増感剤としては、例えば、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサンテン-9-オン、“KAYACURE”(登録商標)DETX-S(日本化薬(株)製)等が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。本発明の着色組成物の色移り抑制、混色防止の観点から、チオキサントン系増感剤が好ましい。また、光増感剤の重量(K)と光重合開始剤の重量(L)の比率が、0.3<K/L<0.6であることが、色移り抑制や混色防止の観点から好ましい。
【0053】
本発明の着色組成物は、有機溶媒を含有する。有機溶媒としては、例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ベンジルアセテート、エチルベンゾエート、メチルベンゾエート、マロン酸ジエチル、2-エチルヘキシルアセテート、2-ブトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、シュウ酸ジエチル、アセト酢酸エチル、シクロヘキシルアセテート、3-メトキシ-ブチルアセテート、アセト酢酸メチル、エチル-3-エトキシプロピオネート、2-エチルブチルアセテート、イソペンチルプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、酢酸ペンチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、メチルカルビトール、エチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールターシャリーブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソペンチルブタノール、3-メチル-2-ブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、キシレン、エチルベンゼン、ソルベントナフサなどが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
【0054】
本発明の着色組成物において、着色組成物に含まれる色材、ラジカル重合性化合物、光重合開始剤、有機溶媒を除いた成分の重量(P)と前記ラジカル重合性化合物の重量(R)の比率は、0.5<P/R<1.2である。P/Rが1.2以上であると、色移り抑制、重ね塗り加工時の溶解性、加工性が不十分となる。好ましくはP/R<1.1、さらに好ましくはP/R<0.9である。また、P/Rが0.5以下であると、成膜性およびピンムラ抑制が不十分となる。好ましくはP/R>0.4、さらに好ましくはP/R>0.5、特に好ましくはP/R>0.65である。
【0055】
本発明の着色組成物が光増感剤を含む好ましい態様の場合は、着色組成物に含まれる色材、ラジカル重合性化合物、光重合開始剤、有機溶媒、光増感剤を除いた成分の重量(P)と前記ラジカル重合性化合物の重量(R)の比率が、0.5<P/R<1.2であることがより好ましい。P/Rを0.5<P/R<1.2とすることで、染料の色移り抑制、成膜性、ピンムラ抑制、重ね塗り加工時の溶解性、加工性の観点で好ましい組成物を得ることができる。色移り抑制の観点から、着色組成物に含まれる色材、ラジカル重合性化合物、光重合開始剤、有機溶媒、光増感剤を除いた成分の重量(P)と前記ラジカル重合性化合物の重量(R)の比率P/Rは、より好ましくはP/R<1.1、さらに好ましくはP/R<0.9である。また、重ね塗り加工時の溶解性、加工性の観点からも、着色組成物に含まれる色材、ラジカル重合性化合物、光重合開始剤、有機溶媒、光増感剤を除いた成分の重量(P)と前記ラジカル重合性化合物の重量(R)の比率P/Rは、より好ましくはP/R<1.1、さらに好ましくはP/R<0.9である。また、成膜性およびピンムラ抑制の観点から、より好ましくはP/R>0.65である。
【0056】
本発明の着色組成物は、さらに重合禁止剤を含有してもよく、安定性を向上させることができる。重合禁止剤は、一般的に、熱、光、ラジカル開始剤などによって発生したラジカルによる重合を禁止または停止する作用を示し、一般的には、熱硬化性樹脂のゲル化防止やポリマー製造時の重合停止などに使用される。重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ビス(1,1,3,3-テトラメチルブチル)ヒドロキノン、2,5-ビス(1,1-ジメチルブチル)ヒドロキノン、カテコール、tert-ブチルカテコールなどが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。安定性と感光特性のバランスの観点から、重合禁止剤の含有量は、固形分中0.0001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましい。また、安定性と感光特性のバランスの観点から、重合禁止剤の含有量は、固形分中1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましい。
【0057】
本発明の着色組成物は、さらに密着改良剤を含有してもよく、着色組成物の塗膜の基板への密着性を向上させることができる。密着改良剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
【0058】
本発明の着色組成物は、さらに界面活性剤を含有してもよく、着色組成物の塗布性および塗膜表面の均一性を向上させることができる。界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミンなどの陰イオン界面活性剤、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドなどの陽イオン界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド、ラウリルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリウムベタインなどの両性界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ソルビタンモノステアレートなどの非イオン界面活性剤、フッ素系界面活性剤やシリコン系界面活性剤などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。界面活性剤の含有量は、塗膜の面内均一性の観点から、着色組成物中0.001~10質量%が好ましい。
【0059】
本発明の着色組成物において、色材を除く固形分Tグラムに対して含まれる二重結合のモル数Mが、160<T/M<220を満たすことが、色移り抑制、重ね塗り加工時の溶解性、加工性の観点から好ましい。ここで言う固形分とは、着色組成物に含まれる成分の中で、有機溶媒を除く全成分のことを指す。色移り抑制および重ね塗り加工時の溶解性、加工性の観点から、色材を除く固形分Tグラムに対して含まれる二重結合のモル数Mの比率T/Mは、T/M<220が好ましく、より好ましくはT/M<200である。また、ピンムラ抑制の観点から、色材を除く固形分Tグラムに対して含まれる二重結合のモル数Mの比率T/Mは、T/M>160が好ましく、より好ましくはT/M>170である。
【0060】
次に、本発明のカラーフィルタ基板について説明する。本発明のカラーフィルタ基板は、基板上に、本発明の着色組成物からなる画素を有する。さらに、ブラックマトリックス、フォトスペーサー、オーバーコート層、配向膜、偏光板、位相差板、反射防止膜、透明電極、拡散板等を有してもよい。
【0061】
基板としては、例えば、ソーダガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、表面をシリカコートしたソーダライムガラス等の無機ガラスの板や、シリコンウェハ、有機プラスチックのフィルムやシート等が挙げられる。これらを2種以上積層してもよい。なお、本発明のカラーフィルタ基板を備える表示装置が、反射型の表示装置である場合やシリコンOLEDのように発光素子を有する表示装置である場合は、基板は不透明であっても構わない。
【0062】
有機プラスチックのフィルムやシートは、自立膜であってもよいし、例えばガラス基板などの基板上に塗布等により形成された膜であってもよい。かかる塗布膜の場合、レーザー等により基板と膜との密着力を適度に調整して剥離することができる。有機プラスチックの材質としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素含有ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンエーテル、ポリアリレート、ポリスルホンなどが挙げられる。本発明の着色組成物は100℃以下で焼成しても、重ね塗り加工時のパターン剥離が起こりにくく、さらにパターンの混色を抑制することができるため、熱により変形等の懸念のあるフィルムを基板としても画素形成が可能であり、フィルム上に各着色画素を形成したフィルム状カラーフィルタ基板の製造に好適に使用することができる。
【0063】
基板の強度の観点から、基板は厚さ5μm以上のフィルムが好ましく、10μm以上がより好ましい。一方、柔軟性の観点から、基板は厚さ100μm以下のフィルムが好ましい。
【0064】
画素としては、赤や青等の着色画素と透明画素が挙げられる。画素を構成する材料としては、例えば、本発明の着色組成物や、アクリル樹脂やポリイミド樹脂等のバインダー樹脂とラジカル重合性化合物を含有する着色感光性組成物などが挙げられる。画素の膜厚は、色純度を向上させる観点から、0.5μm以上が好ましく、1.0μm以上がより好ましく、1.4μm以上がさらに好ましい。一方、カラーフィルタ基板の平坦性、パターン加工性および信頼性を向上させる観点から、3.0μm以下が好ましく、2.8μm以下がより好ましい。
【0065】
ブラックマトリックスは、画素間の光漏れによるコントラストや色純度の低下を防止するものであり、画素間や額縁部に配置されることが好ましい。ブラックマトリックスを構成する材料としては、例えば、アクリル樹脂やポリイミド樹脂等のバインダー樹脂とラジカル重合性化合物を含有する感光性組成物、黒色に着色された非感光性樹脂組成物などが挙げられる。ブラックマトリックスの膜厚は、遮光性の観点から、0.5μm以上が好ましく、1.0μm以上がより好ましい。一方、加工性の観点から、2.0μm以下が好ましく、1.5μm以下がより好ましい。
【0066】
フォトスペーサーは、対向する基板との間に一定のギャップを設けるものであり、ギャップ間に液晶化合物などを充填することができるため、液晶表示装置の製造に際してスペーサーを配置する工程を省略することができる。カラーフィルタ基板の特定の場所に、液晶表示装置を作製した際に対向基板と接するように固定されてなることが好ましい。フォトスペーサーを構成する材料としては、例えば、アクリル樹脂やポリイミド樹脂等のバインダー樹脂とラジカル重合性化合物を含有する感光性組成物などが挙げられる。フォトスペーサーの形状としては、例えば、円柱状、角柱状、円錐台形状、角錐台形状等が挙げられる。フォトスペーサーの径は、特に指定はないが、2~20μmが好ましく、3~10μmがより好ましい。また、フォトスペーサーの高さは、1~10μmが好ましい。
【0067】
オーバーコート層は、カラーフィルタ基板の画素からの不純物の透過を抑制したり、カラーフィルタ基板の画素による段差を平坦化させるものである。オーバーコート層を構成する材料としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリルエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シロキサン樹脂、ポリイミド樹脂、平坦化材料として市販されている感光性または非感光性の材料などが挙げられる。オーバーコート層の膜厚は、加工性の観点から、0.5μm以上が好ましく、1.0μm以上がより好ましい。一方、カラーフィルタ基板の平坦性の観点から、5.0μm以下が好ましく、3.0μm以下がより好ましい。
【0068】
透明電極を構成する材料としては、例えば、アルミ、クロム、タンタル、チタン、ネオジム若しくはモリブデン等の金属、Indium-Tin-Oxide(ITO)、Indium-Zinc-Oxide(InZnO)等が挙げられる。
【0069】
カラーフィルタ基板の製造方法としては、例えば、基板上に、樹脂組成物からなる画素をパターン形成する方法が挙げられる。以下に、本発明の着色組成物からなる画素を有するカラーフィルタ基板を例に製造方法を説明する。基板上に、本発明の着色組成物を塗布し、フォトマスクを用いた選択的な露光および現像によりパターン化し、焼成することにより画素を形成し、カラーフィルタ基板を得ることができる。
【0070】
本発明の着色組成物を基板上に塗布する方法としては、例えば、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ダイコーター、インクジェット印刷法、スクリーン印刷法、基板を着色組成物中に浸漬する方法、着色組成物を基板に噴霧する方法などが挙げられる。続いて、着色組成物を塗布した基板を乾燥することにより、基板上に着色組成物の塗布膜を形成する。乾燥方法としては、例えば、風乾、加熱乾燥、真空乾燥などが挙げられる。これらを2種以上組み合わせてもよく、例えば、減圧乾燥を行った後、加熱乾燥することが好ましい。加熱乾燥の温度は80~130℃が好ましく、加熱乾燥装置としては熱風オーブン、ホットプレートが好ましい。なお、ブラックマトリックスを有するカラーフィルタ基板の場合、予めブラックマトリックスを形成した基板上に、着色組成物の塗布膜を形成することが好ましい。
【0071】
次に、着色組成物の塗布膜上にフォトマスクを配置し、選択的に露光を行う。露光機としては、例えば、プロキシミティ露光機、ミラープロジャクション露光機、レンズスキャン露光機、ステッパー等が挙げられる。精度の観点から、レンズスキャン露光機が好ましい。また、露光に用いる光源としては、例えば、超高圧水銀灯、ケミカル灯、高圧水銀灯等が挙げられる。
【0072】
その後、アルカリ性現像液による現像により未露光部を除去し、塗布膜パターンを形成する。アルカリ性現像液に用いるアルカリ性物質としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n-プロピルアミン等の1級アミン類、ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン等の2級アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の3級アミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の有機アルカリ類等が挙げられる。アルカリ性現像液としては、例えば、0.02~1質量%の水酸化カリウムまたはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。現像方法としては、例えば、露光後の塗布膜をアルカリ現像液に20~300秒間浸漬する方法などが挙げられる。
【0073】
その後、得られた塗布膜パターンを加熱処理することにより、画素がパターニングされたカラーフィルタ基板を得る。加熱処理は、空気中、窒素雰囲気中、真空中のいずれで行ってもよい。加熱温度は80~250℃が好ましい。加熱時間は5分間~5時間が好ましい。加熱処理装置としては、熱風オーブン、ホットプレートが好ましい。加熱処理は連続的に行っても段階的に行ってもよい。本発明の着色組成物を用いると、100℃以下で焼成しても、重ね塗り加工時のパターン剥離が起こりにくく、さらにパターンの混色を抑制することができるため、(A)本発明の着色組成物を基板上に塗布したのちに、(B)露光、現像によりパターンを形成後、(D)100℃以下で加熱処理する工程を経て、カラーフィルタ基板を製造するのに好適に使用することができる。特に、本発明の着色組成物を用いると、100℃以下で加熱処理する工程でカラーフィルタ基板を作製することができるため、熱による変性、劣化が起こりやすいフィルムや、熱による変性、劣化が起こりやすい有機EL素子等のデバイス素子を含む基板を用いて、カラーフィルタ基板を作製することができる。
【0074】
また、本発明の着色組成物を基板上に塗布したのちに、露光、現像によりパターンを形成後、加熱処理を行う前に、さらに形成したパターンに露光を行って、パターンを形成することが好ましい。加熱処理前に、形成したパターンに露光を行うことで、より架橋を高めることができる。
【0075】
カラーフィルタ基板が有する3~6色の各画素について、上記方法により順次画素形成を行う。各色の形成順序は特に限定されないが、染料を含む画素を形成する場合、色材の色移りをより抑制する観点から、染料を含む画素を、他の画素形成の後に形成することが好ましい。
【0076】
本発明のカラーフィルタ基板は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー等の表示装置の構成要素とすることができる。すなわち、本発明の表示装置は、本発明のカラーフィルタ基板と表示素子を有する。さらに、表示装置には、外部光源等の光源や輝度向上フィルムや拡散板等の各種フィルム等を有してもよい。表示装置とは、画面の一部を視認させて、画像を表示する装置のことを指す。表示素子としては、例えば、液晶素子、有機EL素子、無機EL素子、MEMSを用いた表示素子、量子ドットを用いた表示素子、電子インク、電子粉流体、電気泳動素子等が挙げられる。表示装置としては、例えば、透過型液晶ディスプレイ、半透過型液晶ディスプレイ、反射型液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、量子ドットディスプレイ、電子ペーパー等が挙げられる。反射型表示装置としては、ウエアラブル端末、電子看板、デジタルサイネージ、電子棚札などの、屋外光や室内光で表示する装置が挙げられる。本発明の着色組成物は、フィルム上に着色画素を形成することができるため、フィルム状カラーフィルタ基板を用いた電子ペーパーや曲面ディスプレイ、フレキシブルディスプレイに好適に使用することができる。また、本発明の着色組成物は100℃以下で焼成しても、重ね塗り加工時のパターン剥離が起こりにくく、さらにパターンの混色を抑制することができるため、熱により劣化の懸念のある有機EL素子を含む基板上に形成することができるため、シリコンOLED等の有機ELディスプレイに好適に使用することができる。
【0077】
本発明の表示装置の製造方法の一例として、液晶表示装置の製造方法を以下に示す。カラーフィルタ基板とアレイ基板とを、それらの基板上に設けられた液晶配向膜およびセルギャップ保持のためのスペーサーを介して、対向させて貼り合わせる。なお、アレイ基板上に薄膜トランジスタ(TFT)素子若しくは薄膜ダイオード(TFD)素子、走査線または信号線等を設けることで、TFT液晶表示装置またはTFD液晶表示装置を製造することができる。次に、シール部に設けられた注入口から液晶を注入した後に、注入口を封止する。さらに、バックライトを取り付け、ICドライバー等を実装することにより、液晶表示装置が完成する。なお、バックライトとしては、2波長LED、3波長LEDまたはCCFL等を用いることができるが、液晶表示装置の色再現範囲が拡大でき、かつ消費電力を低く押さえられることから、3波長LEDが好ましい。
【実施例
【0078】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。まず、実施例および比較例における評価方法について説明する。また各実施例、比較例で用いた他の成分は、下記のとおりである。
【0079】
ラジカル重合性化合物溶液
D1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを50質量%に希釈したプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液
D2:ペンタエリスリトールトリアクリレートを50質量%に希釈したプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液
光重合開始剤
E1:“アデカアークルズ”(登録商標)NCI831(ADEKA(株)製)
E2:“イルガキュア”(登録商標)379(BASFジャパン(株)製)
光増感剤
F1:2,4-ジエチルチオキサントン
有機溶媒
G1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
<剥離評価>
後述する実施例1~8および比較例1~5により得られた着色組成物をガラス基板上に塗布し、90℃で10分間乾燥させた。その後、20μmのライン&スペースパターンを持つフォトマスクを介して、i線40mJで露光した。次に、23℃の0.3質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で50秒間シャワー現像した後、純水で洗浄した。100℃で30分間焼成して厚さ2.3μmの皮膜付き基板を得た。
【0080】
得られた皮膜付き基板上に、後述する製造例5により得られた着色組成物(J1)を厚さ2.3μmになるように塗布し、90℃で10分間乾燥した。23℃の0.3質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で90秒間シャワー現像を行った。基板上のパターンの有無を顕微鏡にて確認し、下記評価基準により評価した。
A:パターン剥離なし
B:パターン剥離あり
<混色評価>
後述する実施例1~8および比較例1~5により得られた着色組成物をガラス基板上に塗布し、90℃で10分間乾燥させた。その後、20μmのライン&スペースパターンを持つフォトマスクを介して、i線40mJ/cmで露光した。次に、23℃の0.3質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で50秒間シャワー現像した後、純水で洗浄した。100℃で30分間焼成して厚さ2.3μmの皮膜付き基板を得た。得られた皮膜について、大塚電子(株)製顕微分光測定器LCF-100MAを用いて、650nmにおける透過率T0を測定した。
【0081】
次に、得られた皮膜付き基板上に、90℃で10分間乾燥後の膜厚が2.3μmとなる条件にて、後述する製造例5により得られた着色組成物(J1)を塗布した。続いて、90℃で10分間乾燥させた後に、23℃の0.3質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で90秒間シャワー現像を行って、皮膜付き基板を得た。得られた皮膜について、大塚電子(株)製顕微分光測定器LCF-100MAを用いて、650nmにおける透過率T1を測定し、T1/T0にて、混色を評価した。T1/T0の数値は、1に近いほど混色が生じにくく、好ましい。なお、混色評価において、パターンが残存しない場合は「-」とした。
【0082】
<ピンムラ評価>
ガラス基板上に、後述する製造例6で得られたブラックマトリックス用組成物(J2)をスピン塗布し、120℃で120秒間乾燥した。得られた塗膜をi線200mJ/cmで露光した後、2.0質量%水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬した後、純水により洗浄し、230℃のオーブンで30分間焼成して、1.5μmの皮膜を形成したブラックマトリックス基板を得た。
【0083】
得られたブラックマトリックス基板上に、後述する実施例1~8および比較例1~5により得られた着色組成物を塗布した後に、直径1.5cm、高さ1cmの円柱形台座(材質ポリエチレン)にのせた状態で、40Paになるまで減圧乾燥させた。その後、基板をホットプレートにて100℃で3分乾燥させた。得られた基板をNaランプ下で目視にて確認し、円柱形台座由来のムラの有無を確認し、下記評価基準により評価した。
A:台座由来のムラなし
B:台座由来のムラあり
<色移り耐性>
後述する実施例1~8および比較例1~5により得られたカラーフィルタ用感光性組成物をガラス基板上にスピン塗布し、90℃で10分間乾燥した。得られた塗膜をi線40mJ/cmで露光した後、23℃の0.3質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で50秒間シャワー現像を行い、純水で洗浄した。230℃で30分間焼成し、厚み2.3μmの皮膜を形成した基板を得た。得られた基板上に、後述する製造例7により得られた着色組成物(J3)をスピン塗布し、90℃で10分間乾燥した。得られた塗膜に、直径30μmの円形パターンを有するフォトマスクを介して、i線200mJ/cmで露光した後、23℃の0.3質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で50秒間シャワー現像を行い、純水で洗浄して、厚み2μmで、直径30μmの円形ホールを有する皮膜付き基板を得た。大塚電子(株)製顕微分光測定器LCF-100MAを用いて円形ホールの中心部の輝度Y0を測定した。次いで、皮膜付き基板を、230℃で30分間焼成した後、円形ホールの中心部の輝度Y1を測定し、Y1/Y0を算出することにより、先に形成された画素に、後に形成された画素中の色材が浸透する現象の生じにくさの指標となる色移り耐性を評価した。Y1/Y0の数値は、1に近いほど色移りが生じにくく、好ましい。
【0084】
<溶解性評価>
後述する実施例1~8および比較例1~5により得られた着色組成物をガラス基板上に塗布し、90℃で10分間乾燥させた。その後、フォトマスクを介して、i線40mJで露光し、23℃の0.3質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で50秒間シャワー現像した後、純水で洗浄した。次に、100℃で30分間焼成して厚さ2.3μmの皮膜付き基板を得た。
【0085】
得られた皮膜付き基板上に、後述する製造例5により得られた着色組成物(J1)を厚さ2.3μmになるように塗布し、90℃で10分間乾燥した。23℃の0.3質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液でシャワー現像を行い、着色組成物(J1)由来の着色が見えなくなるまでの時間を確認し、下記評価基準により評価した。
A:着色組成物(J1)由来の着色がなくなるまでの時間が30秒以内
B:着色組成物(J1)由来の着色がなくなるまでの時間が30~60秒
C:着色組成物(J1)由来の着色がなくなるまでの時間が60秒以上
製造例1(分散液(A1)の調製)
窒素雰囲気下の500mLの三口フラスコに、176.3gの無水tert-アミルアルコール(2.0mol)及び114.7gのナトリウム-tert-アミルアルコキシド(1.1mol)を仕込み、撹拌しながら内温を100℃に昇温して反応させ、アルコラート溶液を調製した。
【0086】
別の500mLの三口フラスコに、84.9gのコハク酸ジイソプロピル(0.4mol)及び145.6gの4-ブロモベンゾニトリル(0.8mol)を仕込み、撹拌しながら内温を85℃に昇温して溶解させ、混合溶液を調製した。
【0087】
上記のアルコラート溶液が入った三口フラスコの内温を100℃にして撹拌しながら、上記の混合溶液を、3時間かけて滴下した。滴下終了後、内温90℃で12時間加熱撹拌し、懸濁液を得た。
【0088】
さらに別の500mLの三口フラスコに、640gのメタノール(20.0mol)、720gの水(40.0mol)及び300gの酢酸(10.0mol)を仕込み、内温を-10℃に冷却しながら撹拌して、混合物を得た。
【0089】
上記の混合物が入った三口フラスコの内温を-5℃以下に保って高速撹拌しながら、上記の懸濁液を、3時間かけて滴下した。滴下終了後さらに7時間撹拌してから、濾液の着色及び塩の析出が無くなるまで、反応液の洗浄及び濾過を行った。集めた濾液を80℃で24時間乾燥させ、得られた固形物を粉砕して、臭素基を有するジケトピロロピロール顔料(式(1))を112g得た。同様の方法によりさらに臭素基を有するジケトピロロピロール顔料を合成し、臭素基を有するジケトピロロピロール顔料150gを準備した。
【0090】
【化1】
【0091】
得られた臭素基を有するジケトピロロピロール顔料150g、“BYK”(登録商標)LPN6919(ビックケミージャパン(株)製、高分子分散剤溶液(60質量%プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液))66.6g、“サイクロマー”(登録商標)ACA250(ダイセル化学(株)製、45質量%ジプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液)88.9g、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PMA)694.5gを混合してスラリーを作製した。スラリーを入れたビーカーをダイノーミルとチューブでつなぎ、メディアとして直径0.5mmのジルコニアビーズを使用して、周速14m/sで8時間の分散処理を行い、臭素基を有するジケトピロロピロール顔料分散液(A1)を調製した。
【0092】
製造例2(分散液(A2)の調製)
臭素基を有するジケトピロロピロール顔料にかえてC.I.ピグメントレッド177を 150g用いたこと以外は製造例1と同様にして、C.I.ピグメントレッド177分散液(A2)を調製した。
【0093】
製造例3(分散液(A3)の調製)
臭素基を有するジケトピロロピロール顔料にかえてC.I.ピグメントブルー15:6 を150g用いたこと以外は製造例1と同様にして、C.I.ピグメントブルー15:6分散液(A3)を調製した。
【0094】
製造例4(バインダー樹脂溶液(B1)の合成)
500mLの三口フラスコに、メタクリル酸メチルを33g(0.3mol)、スチレンを33g(0.3mol)、メタクリル酸を35g(0.5mol)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)を3g(0.02mol)およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を150g仕込み、90℃で2時間撹拌してから内温を100℃に昇温して、さらに1時間撹拌して、反応溶液を得た。得られた反応溶液に、メタクリル酸グリシジルを33g(0.2mol)、ジメチルベンジルアミンを1.2g(0.009mol)およびp-メトキシフェノールを0.2g(0.002mol)添加して、90℃で4時間撹拌した後、PGMEAを添加して、固形分濃度40質量%のバインダー樹脂溶液(B1)を得た。京都電子工業(株)製の電位差自動測定装置AT-610を用いて、0.1mol/L水酸化カリウム・エタノール溶液についてバインダー樹脂の酸価を測定したところ、酸価は119(mgKOH/g)であった。また、GPC装置を用いて、ポリスチレン換算の重量平均分子量を算出したところ、重量平均分子量は22,000であった。
【0095】
製造例5(着色組成物(J1)の調製)
50mLプラスチックボトルに、製造例3により得られた分散液(A3)を4.71g、製造例4により得られたバインダー樹脂溶液(B1)を3.05g、ラジカル重合性化合物溶液(D1)を2.87g、“イルガキュア”(商標登録)907(BASFジャパン(株)製)を0.57g、有機溶媒プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(G1)を18.80g添加し、3時間撹拌して、着色組成物(J1)を調製した。
【0096】
製造例6(ブラックマトリックス用組成物(J2)の調製)
カーボン粉(MA-8、三菱マテリアル(株)製)を30g、アクリル共重合体溶液(“サイクロマー”(登録商標)P ACA-250、ダイセル化学工業(株)製)を20g、シクロヘキサノンを37g混合し、ホモジナイザーにて1時間分散を行った後、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを10g、光重合開始剤“IRGACURE”(登録商標)369(チバ・スペシャリティケミカルズ(株)製)を3g混合し、ブラックマトリックス用組成物(J2)を得た。
【0097】
製造例7(着色組成物(J3)の調製)
三口フラスコに、Acid Red 289を15g、クロロホルムを150g、N,N-ジメチルホルムアミドを8.9g加えた。その後20℃以下に冷却し、塩化チオニルを10.9g滴下した。滴下終了後、50℃に昇温して5時間撹拌した後、20℃に冷却し、2-エチルヘキシルアミン12.5gとトリエチルアミン22.1gの混合液を加え、20℃で5時間撹拌し、反応混合物を得た。得られた反応混合物からロータリーエバポレーターにより溶媒を留去し、精製して、キサンテン系染料を10g得た。
【0098】
得られたキサンテン系染料を10g、PB15:6を90g、“BYK”(登録商標)6919を67g、“サイクロマー”ACA250を67g、PMAを766g混合してスラリーを作製した。スラリーを入れたビーカーをダイノーミルとチューブでつなぎ、メディアとして直径0.3mmのジルコニアビーズを使用して、周速10m/sで8時間の分散処理を行い、染料を含む分散液(A4)を調製した。
【0099】
200mLプラスチックボトルに、得られた分散液(A4)を19.8g、製造例4により得られたバインダー樹脂溶液(B1)を23.16g、“カヤラッド”(登録商標)DPHA(日本化薬(株)製、多官能ラジカル重合性化合物)を23.50g、“アデカアークルズ”(商標登録)N-1919((株)ADEKA製、オキシムエステル系光重合開始剤)を0.31g、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(DPMA)を60.00g添加し、3時間撹拌して、着色組成物(J3)を調製した。
(実施例1)
50mLプラスチックボトルに、製造例1により得られた分散液(A1)を11.09g、製造例2により得られた分散液(A2)を4.75g、製造例4により得られたバインダー樹脂溶液(B1)を1.19g、ラジカル重合性化合物溶液(D1)を2.99g、ラジカル重合性化合物溶液(D2)を1.28g、光重合開始剤(E1)を0.07g、光重合開始剤(E2)を0.14g、光増感剤2,4-ジエチルチオキサントン(F1)を0.07g、有機溶媒プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(G1)を23.43g添加し、3時間撹拌して、着色組成物(H1)を調製した。得られた着色組成物について、前記方法により剥離評価を行ったところ、パターン剥離は確認されなかった。また、前記方法により混色評価を実施したところ、T1/T0は0.94であった。また、前記方法によりピンムラ評価を行ったところ、台座由来のムラは確認されなかった。また、前記方法により色移り評価を実施したところ、Y1/Y0は0.99であった。
(実施例2)
ラジカル重合性化合物(D1)の添加量を2.13g、ラジカル重合性化合物溶液(D2)の添加量を2.13gに変更したこと以外は実施例1と同様にして着色組成物(H2)を調製した。得られた着色組成物を用いて、前記方法により剥離評価を行ったところ、パターン剥離は確認されなかった。また、前記方法により混色評価を実施したところ、T1/T0は0.96であった。また、前記方法によりピンムラ評価を行ったところ、台座由来のムラは確認されなかった。また、前記方法により色移り評価を実施したところ、Y1/Y0は0.99であった。
(実施例3)
ラジカル重合性化合物(D1)の添加量を1.07g、ラジカル重合性化合物溶液(D2)の添加量を3.20gに変更したこと以外は実施例1と同様にして着色組成物(H3)を調製した。得られた着色組成物を用いて、前記方法により剥離評価を行ったところ、パターン剥離は確認されなかった。また、前記方法により混色評価を実施したところ、T1/T0は0.98であった。また、前記方法によりピンムラ評価を行ったところ、台座由来のムラは確認されなかった。また、前記方法により色移り評価を実施したところ、Y1/Y0は0.99であった。
(実施例4)
ラジカル重合性化合物(D1)の添加量を0.64g、ラジカル重合性化合物溶液(D2)の添加量を3.63gに変更したこと以外は実施例1と同様にして着色組成物(H4)を調製した。得られた着色組成物を用いて、前記方法により剥離評価を行ったところ、パターン剥離は確認されなかった。また、前記方法により混色評価を実施したところ、T1/T0は0.99であった。また、前記方法によりピンムラ評価を行ったところ、台座由来のムラは確認されなかった。また、前記方法により色移り評価を実施したところ、Y1/Y0は0.99であった。
(実施例5)
製造例4により得られたバインダー樹脂溶液(B1)の添加量を0.71g、ラジカル重合性化合物(D1)の添加量を3.26g、ラジカル重合性化合物溶液(D2)の添加量を1.40gに変更したこと以外は実施例1と同様にして着色組成物(H5)を調製した。得られた着色組成物を用いて、前記方法により剥離評価を行ったところ、パターン剥離は確認されなかった。また、前記方法により混色評価を実施したところ、T1/T0は0.95であった。また、前記方法によりピンムラ評価を行ったところ、台座由来のムラは確認されなかった。また、前記方法により色移り評価を実施したところ、Y1/Y0は1.00であった。
(実施例6)
製造例4により得られたバインダー樹脂溶液(B1)の添加量を0.71g、ラジカル重合性化合物(D1)の添加量を1.86g、ラジカル重合性化合物溶液(D2)の添加量を2.79gに変更したこと以外は実施例1と同様にして着色組成物(H6)を調製した。得られた着色組成物を用いて、前記方法により剥離評価を行ったところ、パターン剥離は確認されなかった。また、前記方法により混色評価を実施したところ、T1/T0は0.98であった。また、前記方法によりピンムラ評価を行ったところ、台座由来のムラは確認されなかった。また、前記方法により色移り評価を実施したところ、Y1/Y0は1.00であった。
(実施例7)
製造例4により得られたバインダー樹脂溶液(B1)の添加量を1.68g、ラジカル重合性化合物(D1)の添加量を2.71g、ラジカル重合性化合物溶液(D2)の添加量を1.16gに変更したこと以外は実施例1と同様にして着色組成物(H7)を調製した。得られた着色組成物を用いて、前記方法により剥離評価を行ったところ、パターン剥離は確認されなかった。また、前記方法により混色評価を実施したところ、T1/T0は0.94であった。また、前記方法によりピンムラ評価を行ったところ、台座由来のムラは確認されなかった。また、前記方法により色移り評価を実施したところ、Y1/Y0は0.98であった。
(実施例8)
製造例4により得られたバインダー樹脂溶液(B1)の添加量を1.68g、ラジカル重合性化合物(D1)の添加量を1.55g、ラジカル重合性化合物溶液(D2)の添加量を2.33gに変更したこと以外は実施例1と同様にして着色組成物(H8)を調製した。得られた着色組成物を用いて、前記方法により剥離評価を行ったところ、パターン剥離は確認されなかった。また、前記方法により混色評価を実施したところ、T1/T0は0.98であった。また、前記方法によりピンムラ評価を行ったところ、台座由来のムラは確認されなかった。また、前記方法により色移り評価を実施したところ、Y1/Y0は0.98であった。
(比較例1)
ラジカル重合性化合物(D1)の添加量を3.28g、ラジカル重合性化合物溶液(D2)の添加量を0.98gに変更したこと以外は実施例1と同様にして着色組成物(H9)を調製した。得られた着色組成物を用いて、前記方法により剥離評価を行ったところ、パターン剥離は確認されなかった。また、前記方法により混色評価を実施したところ、T1/T0は0.71であった。また、前記方法によりピンムラ評価を行ったところ、台座由来のムラは確認されなかった。また、前記方法により色移り評価を実施したところ、Y1/Y0は0.99であった。
(比較例2)
ラジカル重合性化合物(D1)の添加量を0.00g、ラジカル重合性化合物溶液(D2)の添加量を4.26gに変更したこと以外は実施例1と同様にして着色組成物(H10)を調製した。得られた着色組成物を用いて、前記方法により剥離評価を行ったところ、パターン剥離が確認された。また、前記方法により混色評価を実施したところ、パターンが残存しなかった。また、前記方法によりピンムラ評価を行ったところ、台座由来のムラは確認されなかった。また、前記方法により色移り評価を実施したところ、Y1/Y0は0.99であった。
(比較例3)
製造例4により得られたバインダー樹脂溶液(B1)の添加量を1.68g、ラジカル重合性化合物(D1)の添加量を3.10g、ラジカル重合性化合物溶液(D2)の添加量を0.78gに変更したこと以外は実施例1と同様にして着色組成物(H11)を調製した。得られた着色組成物を用いて、前記方法により剥離評価を行ったところ、パターン剥離は確認されなかった。また、前記方法により混色評価を実施したところ、T1/T0は0.63であった。また、前記方法によりピンムラ評価を行ったところ、台座由来のムラは確認されなかった。また、前記方法により色移り評価を実施したところ、Y1/Y0は0.98であった。
(比較例4)
製造例4により得られたバインダー樹脂溶液(B1)の添加量を0.03g、ラジカル重合性化合物(D1)の添加量を3.64g、ラジカル重合性化合物溶液(D2)の添加量を1.56gに変更したこと以外は実施例1と同様にして着色組成物(H12)を調製した。得られた着色組成物を用いて、前記方法により剥離評価を行ったところ、パターン剥離は確認されなかった。また、前記方法により混色評価を実施したところ、T1/T0は0.95であった。また、前記方法によりピンムラ評価を行ったところ、台座由来のムラが確認された。また、前記方法により色移り評価を実施したところ、Y1/Y0は1.00であった。
(比較例5)
製造例4により得られたバインダー樹脂溶液(B1)の添加量を2.16g、ラジカル重合性化合物(D1)の添加量を2.44g、ラジカル重合性化合物溶液(D2)の添加量を1.05gに変更したこと以外は実施例1と同様にして着色組成物(H13)を調製した。得られた着色組成物を用いて、前記方法により剥離評価を行ったところ、パターン剥離は確認されなかった。また、前記方法により混色評価を実施したところ、T1/T0は0.94であった。また、前記方法によりピンムラ評価を行ったところ、台座由来のムラは確認されなかった。また、前記方法により色移り評価を実施したところ、Y1/Y0は0.97であった。
【0100】
上記実施例および比較例における各添加成分の添加量を表1に、得られた各着色組成物を前記方法により評価した結果を表2にまとめて記載した。
【0101】
【表1】
【0102】
【表2】
【0103】
(実施例9)
50mLプラスチックボトルに、製造例1により得られた分散液(A1)を11.09g、製造例2により得られた分散液(A2)を4.75g、製造例4により得られたバインダー樹脂溶液(B1)を1.19g、ラジカル重合性化合物溶液(D1)を1.07g、ラジカル重合性化合物溶液(D2)を3.20g、光重合開始剤(E1)を0.07g、光重合開始剤(E2)を0.14g、有機溶媒プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(G1)を23.43g添加し、3時間撹拌して、着色組成物(H14)を調製した。得られた着色組成物について、前記方法により剥離評価を行ったところ、パターン剥離は確認されなかった。また、前記方法により混色評価を実施したところ、T1/T0は0.97であった。また、前記方法によりピンムラ評価を行ったところ、台座由来のムラは確認されなかった。また、前記方法により色移り評価を実施したところ、Y1/Y0は0.99であった。
(実施例10)
50mLプラスチックボトルに、製造例1により得られた分散液(A1)を11.09g、製造例2により得られた分散液(A2)を4.75g、製造例4により得られたバインダー樹脂溶液(B1)を1.19g、ラジカル重合性化合物溶液(D1)を1.07g、ラジカル重合性化合物溶液(D2)を3.20g、光重合開始剤(E1)を0.07g、光重合開始剤(E2)を0.14g、光増感剤2,4-ジエチルチオキサントン(F1)を0.11g、有機溶媒プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(G1)を23.43g添加し、3時間撹拌して、着色組成物(H15)を調製した。得られた着色組成物について、前記方法により剥離評価を行ったところ、パターン剥離は確認されなかった。また、前記方法により混色評価を実施したところ、T1/T0は0.98であった。また、前記方法によりピンムラ評価を行ったところ、台座由来のムラは確認されなかった。また、前記方法により色移り評価を実施したところ、Y1/Y0は0.99であった。
(実施例11)
50mLプラスチックボトルに、製造例1により得られた分散液(A1)を11.09g、製造例2により得られた分散液(A2)を4.75g、製造例4により得られたバインダー樹脂溶液(B1)を1.19g、ラジカル重合性化合物溶液(D1)を1.07g、ラジカル重合性化合物溶液(D2)を3.20g、光重合開始剤(E1)を0.07g、光重合開始剤(E2)を0.14g、光増感剤2,4-ジエチルチオキサントン(F1)を0.15g、有機溶媒プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(G1)を23.43g添加し、3時間撹拌して、着色組成物(H16)を調製した。得られた着色組成物について、前記方法により剥離評価を行ったところ、パターン剥離は確認されなかった。また、前記方法により混色評価を実施したところ、T1/T0は0.97であった。また、前記方法によりピンムラ評価を行ったところ、台座由来のムラは確認されなかった。また、前記方法により色移り評価を実施したところ、Y1/Y0は0.98であった。
【0104】
上記実施例における各添加成分の添加量を表3に、得られた各着色組成物を前記方法により評価した結果を表4にまとめて記載した。
【0105】
【表3】
【0106】
【表4】
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明の着色組成物は、カラーフィルタ基板および表示装置、加飾用インク材料等に好適に使用できる。