(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】情報処理システム、通信端末、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06F 11/30 20060101AFI20241126BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20241126BHJP
G06F 11/07 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
G06F11/30 165
B60R16/02 650J
G06F11/07 140R
G06F11/07 151
G06F11/07 166
(21)【出願番号】P 2021008104
(22)【出願日】2021-01-21
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】樋崎 勝哉
【審査官】児玉 崇晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-202720(JP,A)
【文献】特開2020-147249(JP,A)
【文献】特開2017-004248(JP,A)
【文献】国際公開第2020/110414(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/30
B60R 16/02
G06F 11/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される複数のECU(Electronic Control Unit)と、前記車両に搭載され
る通信端末と、を備える情報処理システムであって、
複数の前記ECUの各々は、
複数の前記ECU間で共通するフォーマットを有し、且つ前記車両に搭載される機器に関するアラームの有無をアラームの種類別に登録するための複数の項目を含む、雛形状態の第一のアラームリストを取得することと、
取得された前記第一のアラームリストにおける複数の前記項目のうち、当該ECUの管理下にある項目について、実際のアラームの有無を示す情報を登録することと、
取得された前記第一のアラームリストにおける複数の前記項目のうち、当該ECUの管理下にない項目について、アラーム無を示す情報を一律に登録することと、
アラームの有無を示す情報の登録が完了した前記第一のアラームリストを、前記通信端末へ送信することと、
を実行し、
前記通信端末は、
複数の前記ECUから受信した複数の前記第一のアラームリストに登録されているアラーム有の数を、前記第一のアラームリストに含まれる前記項目別に集計することと、
複数の前記第一のアラームリストに登録されているアラーム有の数を、前記機器別に集計することと、
を実行する、
情報処理システム。
【請求項2】
前記通信端末は、
前記項目別のアラーム有の数の集計結果が登録される項目と、前記機器別のアラーム有の数の集計結果が登録される項目と、を含む第二のアラームリストを生成することと、
生成された前記第二のアラームリストを、所定のサーバへ送信することと、
を更に実行する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記第一のアラームリストにおける複数の前記項目は、
前記機器に関するアラームの有無を、アラームの種類別に登録するための複数の第一の項目と、
複数の前記ECUの各々の管理下で発生しているアラームの総数を、アラームの深刻度合いに応じたレベル別に登録するための複数の第二の項目と、
を含む、
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記機器は、充電可能なバッテリと、前記バッテリの電力を利用して当該車両を走行させるモータと、を含み、
複数の前記第一の項目は、前記バッテリに関するアラームの有無をアラームの種類別に登録するための項目と、前記モータに関するアラームの有無をアラームの種類別に登録するための項目と、を含む、
請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記第二のアラームリストは、
前記車両で発生しているアラームのうちで最も深刻度合いの高いアラームの前記レベルを示す情報を登録するための第三の項目と、
前記機器別のアラーム有の数の集計結果を登録するための第四の項目と、
前記機器に関する特定の種類のアラー
ム有の数の集計結果を登録するための第五の項目と、
を含み、
前記第一のアラームリストにおける複数の前記第一の項目は、
前記第五の項目と同じ種類のアラームの有無を登録するための項目を含む、
請求項3又は4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記通信端末は、
複数の前記ECUから受信した複数の前記第一のアラームリストにおける前記第二の項目に登録されている情報に基づいて、前記車両で発生しているアラームのうちで最も深刻度合いが高いアラームを特定し、特定されたアラームの前記レベルを示す情報を、前記第二のアラームリストにおける前記第三の項目に登録することと、
複数の前記第一のアラームリストにおける複数の前記第一の項目に登録されているアラーム有の数を前記機器別に集計し、その集計結果を前記第二のアラームリストにおける前記第四の項目に登録することと、
複数の前記第一のアラームリストにおける複数の前記第一の項目のうち、前記第二のアラームリストにおける前記第五の項目に対応する項目に登録されているアラーム有の数を集計し、その集計結果を前記第二のアラームリストにおける前記第五の項目に登録することと、
を実行する、
請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
複数の前記ECUは、前記第一のアラームリストを所定の周期で繰り返し前記通信端末へ送信し、
前記通信端末は、複数の前記ECUのうち、特定のECUからの前記第一のアラームリストを所定回数連続して受信することができなければ、前記特定のECUに異常が発生していると判定する、
請求項1から6の何れか1項に記載の情報処理システム。
【請求項8】
複数のECU(Electronic Control Unit)を備える車両に搭載される通信端末であっ
て、
複数の前記ECU間で共通するフォーマットを有し且つ前記車両に搭載される機器に関するアラームの有無をアラームの種類別に登録するための複数の項目を含む第一のアラームリストであって、複数の前記項目のうちで各ECUの管理下にある項目については実際のアラームの有無を示す情報が登録されるとともに各ECUの管理下にない項目についてはアラーム無を示す情報が一律に登録された第一のアラームリストを、複数の前記ECUの各々から受信することと、
複数の前記ECUから受信した複数の前記第一のアラームリストに登録されているアラーム有の数を、前記第一のアラームリストに含まれる前記項目別に集計することと、
複数の前記第一のアラームリストに登録されているアラーム有の数を、前記機器別に集計することと、
を実行する制御部を備える、
通信端末。
【請求項9】
前記制御部は、
前記項目別のアラーム有の数の集計結果が登録される項目と、前記機器別のアラーム有の数の集計結果が登録される項目と、を含む第二のアラームリストを生成することと、
生成された前記第二のアラームリストを、所定のサーバへ送信することと、
を更に実行する、
請求項8に記載の通信端末。
【請求項10】
前記第一のアラームリストにおける複数の前記項目は、
前記機器に関するアラームの有無を、アラームの種類別に登録するための複数の第一の項目と、
複数の前記ECUの各々の管理下で発生しているアラームの総数を、アラームの深刻度合いに応じたレベル別に登録するための複数の第二の項目と、
を含む、
請求項9に記載の通信端末。
【請求項11】
前記機器は、充電可能なバッテリと、前記バッテリの電力を利用して当該車両を走行させるモータと、を含み、
複数の前記第一の項目は、前記バッテリに関するアラームの有無をアラームの種類別に登録するための項目と、前記モータに関するアラームの有無をアラームの種類別に登録するための項目と、を含む、
請求項10に記載の通信端末。
【請求項12】
前記第二のアラームリストは、
前記車両で発生しているアラームのうちで最も深刻度合いの高いアラームの前記レベルを示す情報を登録するための第三の項目と、
前記機器別のアラーム有の数の集計結果を登録するための第四の項目と、
前記機器に関する特定の種類のアラー
ム有の数の集計結果を登録するための第五の項目と、を含み、
前記第一のアラームリストにおける複数の前記第一の項目は、
前記第五の項目と同じ種類のアラームの有無を登録するための項目を含む、
請求項10又は11に記載の通信端末。
【請求項13】
前記制御部は、
複数の前記ECUから受信した複数の前記第一のアラームリストにおける前記第二の項目に登録されている情報に基づいて、前記車両で発生しているアラームのうちで最も深刻度合いが高いアラームを特定し、特定されたアラームの前記レベルを示す情報を、前記第二のアラームリストにおける前記第三の項目に登録することと、
複数の前記第一のアラームリストにおける複数の前記第一の項目に登録されているアラーム有の数を前記機器別に集計し、その集計結果を前記第二のアラームリストにおける前記第四の項目に登録することと、
複数の前記第一のアラームリストにおける複数の前記第一の項目のうち、前記第二のアラームリストにおける前記第五の項目に対応する項目に登録されているアラーム有の数を集計し、その集計結果を前記第二のアラームリストにおける前記第五の項目に登録することと、
を実行する、
請求項12に記載の通信端末。
【請求項14】
前記第一のアラームリストは、複数の前記ECUから前記通信端末へ所定の周期で繰り返し送信されるものであり、
前記制御部は、複数の前記ECUのうち、特定のECUからの前記第一のアラームリストを所定回数連続して受信することができなければ、前記特定のECUに異常が発生していると判定する、
請求項8から13の何れか1項に記載の通信端末。
【請求項15】
複数のECU(Electronic Control Unit)を備える車両に搭載される通信端末が、
複数の前記ECU間で共通するフォーマットを有し且つ前記車両に搭載される機器に関するアラームの有無をアラームの種類別に登録するための複数の項目を含む第一のアラームリストであって、複数の前記項目のうちで各ECUの管理下にある項目については実際のアラームの有無を示す情報が登録されるとともに各ECUの管理下にない項目についてはアラーム無を示す情報が一律に登録された第一のアラームリストを、複数の前記ECUの各々から受信するステップと、
複数の前記ECUから受信した複数の前記第一のアラームリストに登録されているアラーム有の数を、前記第一のアラームリストに含まれる前記項目別に集計するステップと、
複数の前記第一のアラームリストに登録されているアラーム有の数を、前記機器別に集計するステップと、
を実行する、
情報処理方法。
【請求項16】
前記通信端末が、
前記項目別のアラーム有の数の集計結果が登録される項目と、前記機器別のアラーム有の数の集計結果が登録される項目と、を含む第二のアラームリストを生成するステップと、
生成された前記第二のアラームリストを、所定のサーバへ送信するステップと、
を更に実行する、
請求項15に記載の情報処理方法。
【請求項17】
前記第一のアラームリストにおける複数の前記項目は、
前記機器に関するアラームの有無を、アラームの種類別に登録するための複数の第一の項目と、
複数の前記ECUの各々の管理下で発生しているアラームの総数を、アラームの深刻度合いに応じたレベル別に登録するための複数の第二の項目と、
を含む、
請求項16に記載の情報処理方法。
【請求項18】
前記第二のアラームリストは、
前記車両で発生しているアラームのうちで最も深刻度合いの高いアラームの前記レベルを示す情報を登録するための第三の項目と、
前記機器別のアラーム有の集計結果を登録するための第四の項目と、
前記機器に関する特定の種類のアラー
ム有の数の集計結果を登録するための第五の項目と、
を含み、
前記第一のアラームリストにおける複数の前記第一の項目は、
前記第五の項目と同じ種類のアラームの有無を登録するための項目を含む、
請求項17に記載の情報処理方法。
【請求項19】
前記第二のアラームリストを生成するステップは、
複数の前記ECUから受信した複数の前記第一のアラームリストにおける前記第二の項目に登録されている情報に基づいて、前記車両で発生しているアラームのうちで最も深刻度合いが高いアラームを特定し、特定されたアラームの前記レベルを示す情報を前記第二のアラームリストにおける前記第三の項目に登録するステップと、
複数の前記第一のアラームリストにおける複数の前記第一の項目に登録されているアラーム有の数を前記機器別に集計し、その集計結果を前記第二のアラームリストにおける前記第四の項目に登録するステップと、
複数の前記第一のアラームリストにおける複数の前記第一の項目のうち、前記第二のアラームリストにおける前記第五の項目に対応する項目に登録されているアラーム有の数を集計し、その集計結果を前記第二のアラームリストにおける前記第五の項目に登録するステップと、
を含む、
請求項18に記載の情報処理方法。
【請求項20】
前記第一のアラームリストは、複数の前記ECUから前記通信端末へ所定の周期で繰り返し送信されるものであり、
複数の前記ECUのうち、特定のECUからの前記第一のアラームリストを所定回数連続して受信することができなければ、前記特定のECUに異常が発生していると判定するステップを、前記通信端末が更に実行する、
請求項15から19の何れか1項に記載の情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理システム、通信端末、及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される機器に異常が発生した場合に、異常情報を情報センタへ送信するための車載通信装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、車両に搭載される機器の仕様変更に柔軟に対応可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、車両に搭載される複数のECU(Electronic Control Unit)と、前記車両
に搭載される通信端末と、を備える情報処理システムとして捉えることができる。その場合の情報処理システムは、例えば、
複数の前記ECUの各々は、
複数の前記ECU間で共通するフォーマットを有し、且つ前記車両に搭載される機器に関するアラームの有無をアラームの種類別に登録するための複数の項目を含む、雛形状態の第一のアラームリストを取得することと、
取得された前記第一のアラームリストにおける複数の前記項目のうち、当該ECUの管理下にある項目について、実際のアラームの有無を示す情報を登録することと、
取得された前記第一のアラームリストのうち、当該ECUの管理下にない項目について、アラーム無を示す情報を一律に登録することと、
アラームの有無を示す情報の登録が完了した前記第一のアラームリストを、前記通信端末へ送信することと、
を実行し、
前記通信端末は、
複数の前記ECUから受信した複数の前記第一のアラームリストに登録されているアラーム有の数を、前記第一のアラームリストに含まれる前記項目別に集計することと、
複数の前記第一のアラームリストに登録されているアラーム有の数を、前記機器別に集計することと、
を実行するようにしてもよい。
【0006】
本開示は、複数のECUを備える車両に搭載される通信端末として捉えることもできる。その場合の通信端末は、例えば、
複数の前記ECU間で共通するフォーマットを有し且つ前記車両に搭載される機器に関するアラームの有無をアラームの種類別に登録するための複数の項目を含む第一のアラームリストであって、複数の前記項目のうちで各ECUの管理下にある項目については実際のアラームの有無を示す情報が登録されるとともに各ECUの管理下にない項目についてはアラーム無を示す情報が一律に登録された第一のアラームリストを、複数の前記ECUの各々から受信することと、
複数の前記ECUから受信した複数の前記第一のアラームリストに登録されているアラ
ーム有の数を、前記第一のアラームリストに含まれる前記項目別に集計することと、
複数の前記第一のアラームリストに登録されているアラーム有の数を、前記機器別に集計することと、
を実行する制御部を備えるようにしてもよい。
【0007】
本開示は、複数のECUを備える車両に搭載される通信端末により実行される情報処理方法として捉えることもできる。その場合の情報処理方法は、例えば、
複数の前記ECU間で共通するフォーマットを有し且つ前記車両に搭載される機器に関するアラームの有無をアラームの種類別に登録するための複数の項目を含む第一のアラームリストであって、複数の前記項目のうちで各ECUの管理下にある項目については実際のアラームの有無を示す情報が登録されるとともに各ECUの管理下にない項目についてはアラーム無を示す情報が一律に登録された第一のアラームリストを、複数の前記ECUの各々から受信するステップと、
複数の前記ECUから受信した複数の前記第一のアラームリストに登録されているアラーム有の数を、前記第一のアラームリストに含まれる前記項目別に集計するステップと、
複数の前記第一のアラームリストに登録されているアラーム有の数を、前記機器別に集計するステップと、
を通信端末が実行するようにしてもよい。
【0008】
なお、本開示は、複数のECUを備える車両に搭載される通信端末に、上記した情報処理方法を実行させるためのプログラム、又は該プログラムを格納した非一時的記憶媒体として捉えることもできる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、車両に搭載される機器の仕様変更に柔軟に対応可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】車両に搭載されるECUの例を示す図である。
【
図3】車載システムに含まれる構成要素のハードウェア構成例を示す図である。
【
図4】実施形態におけるECUの機能構成例を示すブロック図である。
【
図5】実施形態における通信端末の機能構成例を示すブロック図である。
【
図6】第二のアラームリストの一例を示す図である。
【
図7】第一のアラームリストの一例を示す図である。
【
図8】車載システムにおける処理のシーケンスの一例を示す図である。
【
図9】第二のアラームリストを生成する際に通信端末で実行される処理フローを示すフローチャートである。
【
図10】変形例における通信端末の機能構成例を示すブロック図である。
【
図11】変形例において通信端末で実行される処理フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
近年、V2X(Vehicle-to-Everything)等の車両用通信技術の進歩に伴い、外部の機
器と通信可能な機器(通信端末)を搭載する車両の開発が進められている。斯様な車両においては、通信端末が、車両に搭載されるバッテリ、モータ、又は内燃機関等の機器(以下、「車載機器」と記す場合もある。)に関するアラームの有無を示すデータを、車両に搭載される複数のECUから収集することができる。これにより、収集したデータに基づいて、車両で発生しているアラーム有の数を、アラームの種類別に集計することも可能である。
【0012】
ここで、EV(Electric Vehicle)及びPHV(Plug-in Hybrid Vehicle)等の新エネルギ車両においては、上記した集計結果を含むデータ(アラームリスト)を、公共機関が運営するサーバ(所定のサーバ)等へ定期的に送信することが義務づけられる場合がある。その際、車載機器から所定のサーバへ送信されるアラームリストのフォーマット(アラームの有無及びアラーム有の数を、アラームの種類別に登録するための複数の項目)は、法規等で定められている可能性がある。よって、アラームリストのフォーマットが法規等で定められている場合には、通信端末は、複数のECUから収集したデータを、上記アラームリストのフォーマットに従った項目別に集計する必要がある。
【0013】
ところで、複数のECUから通信端末へ提供されるデータのフォーマットがECU毎に異なると、通信端末における集計処理も、複数のECUから提供されるデータ毎に異なる。そのため、車載機器等の仕様変更に伴って、ECUから通信端末へ送信されるデータのフォーマットが変更されると、当該ECUからのデータに対する集計処理も変更になるため、通信端末の設計変更を行う必要が生じる。よって、車載機器等の仕様変更が生じた場合であっても通信端末の設計変更が生じないような、車載機器等の仕様変更に対して柔軟に対応可能な技術が望まれる。
【0014】
そこで、本開示に係る情報処理システムでは、車両に搭載される複数のECUの各々が、複数のECU間で共通するフォーマットを有するアラームリスト(第一のアラームリスト)を用いて、各ECUの管理下にある車載機器に関するアラームの有無を通信端末へ通知するようにした。本開示における第一のアラームリストは、複数の車載機器で生じ得るアラームの種類別にアラームの有無を登録するための複数の項目を含む。各ECUは、雛形状態の第一のアラームリストを取得し、取得された第一のアラームリストにおける複数の項目のうち、当該ECUの管理下にある項目については、実際のアラームの有無を示す情報を登録する。また、各ECUは、取得された第一のアラームリストにおける複数の項目のうち、当該ECUの管理下にない項目については、アラーム無を示す情報を一律に登録する。各ECUは、アラームの有無を示す情報の登録が完了した第一のアラームリストを通信端末へ送信する。
【0015】
通信端末は、複数のECUの各々から第一のアラームリストを受信すると、それら複数の第一のアラームリストに登録されているアラーム有の数を、第一のアラームリストに含まれる項目別に集計する。例えば、通信端末は、複数の第一のアラームリストに登録されているアラーム有の数について、項目別に論理和演算を行うことで、項目別のアラーム有の総数を演算する。また、通信端末は、複数の前記第一のアラームリストに登録されているアラーム有の数を、車載機器別に集計する。
【0016】
本開示に係る情報処理システムによれば、車載機器等の仕様変更が行われた場合であっても、当該車載機器を管理するECUから送信されるデータのフォーマットが、第一のアラームリストに準じたフォーマットになる。そのため、車載機器等の仕様変更が行われた場合に、通信端末で行われる集計処理を変更する必要が生じない。その結果、車載機器等の仕様変更が行われた場合に、通信端末の設計変更を行う必要もなくなる。よって、車載機器の仕様変更等に対して柔軟に対応可能な情報処理システムを提供することが可能となる。また、本開示に係る情報処理システムによれば、第一のアラームリストが複数のECU間で共通するフォーマットを有するため、通信端末で行われる集計処理を簡略化することができる。
【0017】
ここで、通信端末は、上記した項目別のアラーム有の数の集計結果が登録される項目と、上記した車載機器別のアラーム有の数の集計結果が登録される項目と、を含む第二のアラームリストを生成し、生成された第二のアラームリストを所定のサーバへ送信してもよ
い。ここでいう「所定のサーバ」は、例えば、アラームリストの提供を義務づけている公共機関等が運営するサーバである。これにより、車両で生じているアラームに関する情報を、公共機関等に提供することが可能となる。
【0018】
上記した第一のアラームリストにおける複数の項目は、車載機器に関するアラームの有無を、アラームの種類別に登録するための複数の第一の項目と、複数のECUの各々の管理下で発生しているアラーム有の総数を、アラームの深刻度合いに応じたレベル別に登録するための複数の第二の項目と、を含んでもよい。これは、車載機器に関するアラーム有の数、及び車両で発生しているアラームのうちで最も深刻度合いの高いアラームのレベルについて、公共機関等へ提供することが義務づけられている場合を想定したものである。すなわち、第二のアラームリストのフォーマットが以下の(1)から(3)の項目を含むように定められている場合を想定したものである。
(1) 車両で発生しているアラームのうちで最も深刻度合いの高いアラームのレベルを示す情報を登録するための項目(第三の項目)
(2) 車載機器別のアラーム有の数の集計結果を登録するための項目(第四の項目)
(3) 車載機器に関する特定の種類のアラームの有無を登録するための項目(第五の項目)
なお、ここでいう「車載機器」は、例えば、新エネルギ車両に特有の車載機器であり、充電可能なバッテリ、及びバッテリの電力を利用して車両を走行させるためのモータ等である。
【0019】
上記したような第二のアラームリストのフォーマットに基づいて、第一のアラームリストのフォーマットが定められる場合、通信端末は、複数のECUから受信した複数の第一のアラームリストにおける第二の項目に登録されている情報に基づいて、車両で発生しているアラームのうちで最も深刻度合いが高いアラームを特定する。これにより、通信端末は、特定されたアラームのレベルを示す情報を、第二のアラームリストの第三の項目に登録することができる。また、通信端末は、複数の第一のアラームリストにおける第一の項目に登録されているアラーム有の数を、車載機器別に集計する。これにより、通信端末は、その集計結果を、第二のアラームリストにおける第四の項目に登録することができる。また、通信端末は、複数の第一のアラームリストにおける第一の項目に登録されているアラーム有の数のうち、特定の種類のアラームに関するアラーム有の数を集計する。その際、第一のアラームリストにおける複数の第一の項目には、第二のアラームリストの第五の項目と同じ種類のアラームを登録するための項目が含まれるようにしてもよい。これにより、通信端末は、複数の第一のアラームリストにおける複数の第一の項目のうち、上記第五の項目に対応する項目に登録されているアラーム有の数を集計することで、第二のアラームリストの第五の項目に登録するための情報を導出することができる。よって、上記したように、第二のアラームリストのフォーマットに基づいて第一のアラームリストのフォーマットを定めることで、第二のアラームリストを生成するための処理を簡略化することができる。
【0020】
ここで、複数のECUのうち特定のECUに異常が発生する状況も想定し得る。斯様な状況においては、特定のECUから通信端末へ第一のアラームリストが送信されない可能性がある。一方、特定のECUの管理下にある車載機器にアラームが発生していない状況も想定し得る。斯様な状況においては、特定のECUの管理下にある項目にアラーム無を示す情報が登録された第一のアラームリストが、特定のECUから通信端末へ送信されることになる。ところで、本開示に係る情報処理システムでは、複数のECUの各々は、自身の管理下にない項目については、アラーム無を示す情報を登録する。そのため、項目別のアラーム有の数の集計結果において、特定のECUの管理下にある項目の全てにおいてアラーム有の数が零である場合、特定のECUに異常が発生しているのか(特定のECUから通信端末へ第一のアラームリストが正常に送信されていないのか)、又は特定のEC
Uの管理下にある車載機器にアラームが発生していないのかを、通信端末側で区別することができない可能性がある。
【0021】
そこで、本開示に係る情報処理システムでは、複数のECUが、第一のアラームリストを所定の周期で繰り返し通信端末へ送信するようにしてもよい。これに伴い、通信端末は、複数のECUのうち、特定のECUからの第一のアラームリストを所定回数連続して受信することができなければ、特定のECUに異常が発生していると判定するようにしてもよい。これにより、特定のECUの管理下にある項目の全てのアラーム数が零である場合、特定のECUに異常が発生しているのか、又は特定のECUの管理下にある車載機器にアラームが発生していないのかを、通信端末側で区別することが可能になる。なお、ここでいう「所定の周期」は、通信端末から所定のサーバへ第二のアラームリストを送信する周期と同じ周期でもよい。
【0022】
<実施形態>
以下、本開示の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。
【0023】
(システムの全体構成)
図1は、本開示を適用する車載システムの概略構成を示す図である。本実施形態における車載システムは、車両10に搭載される複数のECU100と、車両10に搭載される通信端末200と、を含む。
【0024】
本例における車両10は、外部電源により充電可能なバッテリと、バッテリにより駆動されるモータと、モータと協働して車両10を走行させる内燃機関(以下、「エンジン」と記す場合もある。)と、を含むPHVである。なお、車両10は、PHVに限定されず、新エネルギ車両(例えば、EV、又はFCV(Fuel Cell Vehicle)等)であればよい
。
【0025】
複数のECU100は、上記したバッテリ、モータ、及びエンジン等の車載機器を制御するための電子制御ユニットである。本例における複数のECU100には、
図2に示すように、モータを制御するためのECU(モータ用ECU)101、エンジンを制御するためのECU(エンジン用ECU)102、バッテリの状態を管理するためのECU(バッテリ用ECU)103、及びバッテリの充電を制御するためのECU(充電用ECU)104等が含まれる。複数のECU100の各々は、所定の周期で第一のアラームリストを通信端末200へ送信する機能を有する。第一のアラームリストは、複数のECU100間で共通するフォーマットを有するアラームリストであり、上記した車載機器に関するアラームの有無をアラームの種類別に登録するための複数の項目を有する。斯様な第一のアラームリストの詳細については後述する。複数のECU100の各々は、第一のアラームリストにおける複数の項目のうち、自身の管理下にある項目について、実際のアラームの有無を示す情報を登録する機能も有する。また、複数のECU100の各々は、第一のアラームリストにおける複数の項目のうち、自身の管理下にない項目について、アラーム無を示す情報を一律に登録する機能も有する。アラームの有無を示す情報の登録が完了した第一のアラームリストは、ECU100から通信端末200へ送信される。
【0026】
通信端末200は、複数のECU100とCAN(Controller Area Network)規格の
バス(CAN-BUS)によって接続されており、複数のECU100から受信した複数の第一のアラームリストに基づいて、第二のアラームリストを生成する機能を有する。第二のアラームリストは、所定の周期でセンタサーバ300へ送信するためのアラームリストであり、法規等で定められた種類のアラームの有無を登録するための複数の項目を含む。斯様な第二のアラームリストの詳細については後述する。本例におけるセンタサーバ3
00は、公共機関が運営するサーバである。ここでいう「公共機関」とは、例えば、新エネルギ車両に対し、第二のアラームリストの定期的な提供を義務づけている機関である。また、通信端末200は、無線通信を利用して、第二のアラームリストをセンタサーバ300へ送信する機能も有する。
【0027】
上記したように構成される車載システムでは、複数のECU100の各々が、所定の周期で第一のアラームリストを生成し、生成された第一のアラームリストを通信端末200へ送信する。通信端末200は、複数のECU100から受信した複数の第一のアラームリストに登録されている情報に基づいて、第二のアラームリストを生成し、生成された第二のアラームリストをセンタサーバへ送信する。本例では、予めフォーマットが規定されている第一のアラームリストを用いて、アラームに関するデータの授受が行われるため、車載機器の仕様変更等に伴ってECU100の仕様が変更された場合に、ECU100から通信端末200へ送信されるデータのフォーマットが変更されることを抑制することができる。また、本例では、第一のアラームリストのフォーマットが第二のアラームリストのフォーマットに対応するように決定されるため、通信端末200において第二のアラームリストを生成するための処理を簡略化することもできる。
【0028】
(車載システムのハードウェア構成)
図3は、車載システムに含まれるECU100及び通信端末200の各々のハードウェア構成例を示す図である。なお、
図3では、複数のECU100のうちの一つのみが図示されているが、他のECU100のハードウェア構成も同一である。
【0029】
ECU100は、車載機器を制御するための電子制御ユニットであり、所定の周期で第一のアラームリストを、通信端末200へ送信するための各種処理を行う。斯様なECU100は、
図3に示すように、プロセッサ101、主記憶部102、補助記憶部103、及び車内通信部104を含んで構成される。ECU100は、プロセッサ101が補助記憶部103に記憶されているプログラムを主記憶部102の作業領域にロードして実行することにより、所定の目的に合致した機能を実現する。
【0030】
プロセッサ101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、又はDSP(Digital Signal Processor)である。プロセッサ101は、ECU100を制御し、様々な
情報処理の演算を行う。
【0031】
主記憶部102は、例えば、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)等を含む。主記憶部102には、前述したように、プロセッサがプログラムを実行するための作業領域が設定される。
【0032】
補助記憶部103は、例えば、EPROM(Erasable Programmable ROM)、又はHD
D(Hard Disk Drive)等を含む。補助記憶部103は、各種のプログラム、各種のデー
タ、及び各種のテーブルを読み書き自在に記録媒体に格納する。補助記憶部103に格納されるプログラムには、OS(Operating System)等に加え、所定の周期で第一のアラームリストを通信端末200へ送信するための処理を実現するためのプログラムも含まれる。また、補助記憶部103に格納されるデータには、雛形状態の第一のアラームリスト(アラームの有無を示す情報が登録されていない状態の第一のアラームリスト)が含まれてもよい。なお、補助記憶部103に格納される情報の一部又は全部は、主記憶部102に格納されてもよい。また、主記憶部102に格納される情報の一部は、補助記憶部103に格納されてもよい。
【0033】
車内通信部104は、ECU100を車内ネットワーク(CAN-BUS)に接続するためのインタフェースである。車内通信部104は、例えば、CAN規格のインタフェー
ス回路を利用して、車内ネットワークに接続する。本実施形態では、車内通信部104は、車内ネットワークを通じて、他のECU100及び通信端末200との通信を行う。
【0034】
上記したように構成されるECU100で実行される一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるが、ソフトウェアにより実行させることもできる。
【0035】
次に、通信端末200は、車両10に搭載される通信端末であり、所定の周期で第二のアラームリストをセンタサーバ300へ送信するための各種処理を行う。斯様な通信端末200は、
図3に示すように、プロセッサ201、主記憶部202、補助記憶部203、車内通信部204、及び車外通信部205等を含んで構成される。通信端末200は、プロセッサ201が補助記憶部203に記憶されているプログラムを主記憶部202の作業領域にロードして実行することにより、所定の目的に合致した機能を実現する。
【0036】
プロセッサ201と主記憶部202と車内通信部204とは、ECU100のプロセッサ101と主記憶部102と車内通信部104とに各々同様であるため、その説明が省略される。
【0037】
補助記憶部203は、ECU100の補助記憶部103と同様の構成に加え、リムーバブルメディアを含むことができる。リムーバブルメディアは、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ、又はCD(Compact Disc)若しくはDVD(Digital Versatile Disc)等のディスク記録媒体である。また、補助記憶部203に格納されるプログラムには、第二のアラームリストをセンタサーバ300へ送信するための処理を実現するためのプログラムが含まれる。
【0038】
車外通信部205は、通信端末200をネットワークに接続するためのインタフェースである。車外通信部205は、例えば、LTE(Long Term Evolution)、LTE-Ad
vanced、及び、5G(5th Generation)等の移動体通信方式、又は、Wi-Fi等の無線通信方式によって、ネットワークに接続する。本実施形態では、車外通信部205は、ネットワークを通じて、センタサーバ300との通信を行う。
【0039】
上記したように構成される通信端末200で実行される一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるが、ソフトウェアにより実行させることもできる。
【0040】
(ECUの機能構成)
ここで、本実施形態におけるECU100の機能構成例について、
図4に基づいて説明する。本実施形態におけるECU100は、
図4に示すように、その機能構成要素として、取得部F110とデータ生成部F120と送信部F130とを含む。取得部F110とデータ生成部F120と送信部F130とは、プロセッサ101が主記憶部102上にロードされたプログラムを実行することにより実現される。取得部F110とデータ生成部F120と送信部F130との何れか、又はその一部は、ハードウェア回路により実現されてもよい。また、ECU100の機能構成は、
図4に示す例に限らず、適宜構成要素の省略、置換、追加が行われてもよい。
【0041】
取得部F110は、所定の周期で、雛形状態の第一のアラームリストを取得する。ここで、雛形状態の第一のアラームリストがECU100の補助記憶部103に格納されている場合であれば、取得部F110は、補助記憶部103から雛形状態の第一のアラームリストを読み出す。また、雛形状態の第一のアラームリストは、所定の周期で通信端末200からECU100に提供されてもよい。取得部F110によって取得された第一のアラームリストは、取得部F110からデータ生成部F120へ渡される。
【0042】
データ生成部F120は、取得部F110から渡された第一のアラームリストの各項目に、アラームの有無を示す情報情報を登録することで、第一のアラームリストを完成させる。第一のアラームリストは、前述したように、車両10に搭載される複数のECU100に共通するフォーマットを有し、車載機器に関するアラームの有無をアラームの種類別に登録するための複数の項目を有する。データ生成部F120は、後述する第一のアラームリストにおける複数の第一の項目のうち、当該ECU100の管理下にある項目については、実際のアラームの有無を示す情報を登録する。例えば、当該ECU100がモータ用ECU101である場合、データ生成部F120は、第一のアラームリストにおける複数の第一の項目のうち、モータに関連する項目については、モータに関連する実際のアラームの有無を示す情報を登録する。また、データ生成部F120は、第一のアラームリストにおける複数の第一の項目のうち、当該ECU100の管理下にない項目については、アラーム無を示す情報を一律に登録する。例えば、当該ECU100がモータ用ECU101である場合、データ生成部F120は、第一のアラームリストにおける複数の第一の項目のうち、モータに関連する項目以外の項目については、アラーム無を示す情報を一律に登録する。さらに、データ生成部F120は、後述する第一のアラームリストにおける第二の項目について、アラーム有の数をレベル別に登録する。データ生成部F120は、第一のアラームリストの全項目について情報を登録し終えると、登録が完了した第一のアラームリストを送信部F130へ渡す。なお、ECU100の管理下にある項目に対応する種類のアラームが発生しているかについては、第一のアラームリストを生成するタイミングで、データ生成部F120が、車載機器に取り付けられている各種センサ等の検出値に基づいて判定してもよい。
【0043】
送信部F130は、データ生成部F120により生成された第一のアラームリストを、車内通信部104を通じて通信端末200へ送信する。
【0044】
(通信端末の機能構成)
次に、本実施形態における通信端末200の機能構成例について、
図5に基づいて説明する。本実施形態における通信端末200は、
図5に示すように、その機能構成要素として、受信部F210、データ処理部F220、及び送信部F230を含む。受信部F210とデータ処理部F220と送信部F230とは、プロセッサ201が主記憶部202上にロードされたプログラムを実行することにより実現される。これら受信部F210とデータ処理部F220と送信部F230との組合せは、本開示に係る通信端末の「制御部」に相当する。なお、受信部F210とデータ処理部F220と送信部F230との何れか、又はその一部がハードウェア回路により実現されてもよい。また、通信端末200の機能構成は、
図5に示す例に限らず、適宜構成要素の省略、置換、追加が行われてもよい。
【0045】
受信部F210は、所定の周期で複数のECU100の各々から送信される第一のアラームリストを、車内通信部204を通じて受信する。受信部F210により受信された複数の第一のアラームリストは、受信部F210からデータ処理部F220へ渡される。
【0046】
データ処理部F220は、受信部F210により受信された複数の第一のアラームリストに基づいて、第二のアラームリストを生成する。第二のアラームリストは、前述したように、所定の周期でセンタサーバ300へ送信することが義務づけられているアラームリストであり、法規等で定められた種類のアラームの有無を登録するための複数の項目を含む。
【0047】
ここで、第二のアラームリストの一例を
図6に示す。
図6に示す例では、第二のアラームリストは、第三の項目、第四の項目、及び第五の項目を含む。これら第三の項目、第四の項目、及び第五の項目を含む第二のアラームリストのフォーマット(項目の種類及び項目の並び順)は、国又は地域等の法規に基づいて定義されている。ただし、第二のアラー
ムリストに含まれる項目の種類及び項目の並び順は、
図6に示す例に限定されず、車両10が使用される国又は地域等の法規に基づいて適宜変更可能である。
【0048】
第三の項目は、車両10で発生しているアラームのうち、最高レベルのアラームのレベルを示す情報を登録するための項目である。ここでいう「レベル」は、アラームの深刻度合いに関する指標である。斯様なレベルは、アラームの種類毎に予め設定されている。ここで、レベル1からレベル3までの3段階のレベルが設定される場合に、深刻度合いが最も高いレベル3のアラームが車両10で発生していれば、レベル3を示す情報が第三の項目に登録される。レベル3のアラームが車両10で発生しておらず、且つ深刻度合いが2番目に高いレベル2のアラームが車両10で発生していれば、レベル2を示す情報が第三の項目に登録される。レベル2及びレベル3のアラームが車両10で発生しておらず、且つ深刻度合いが最も低いレベル1のアラームが車両10で発生していれば、レベル1を示す情報が第三の項目に登録される。レベル1からレベル3までの何れのレベルのアラームも車両10で発生していなければ、“0”が第三の項目に登録される。
【0049】
第四の項目は、車載機器毎に分類された複数の項目を含む。ここでいう「車載機器」は、新エネルギ車両に搭載され得る機器であり、例えば、バッテリとモータとエンジンとその他とに分類される。第四の項目のうち、バッテリに分類される項目には、バッテリで発生しているアラームの総数を登録するための項目と、バッテリで発生しているアラームの種類を示す情報を登録するための項目とが含まれる。第四の項目のうち、モータに分類される項目には、モータで発生しているアラームの総数を登録するための項目と、モータで発生しているアラームの種類を示す情報を登録するための項目とが含まれる。第四の項目のうち、エンジンに分類される項目には、エンジンで発生しているアラームの総数を登録するための項目と、エンジンで発生しているアラームの種類を示す情報を登録するための項目とが含まれる。第四の項目のうち、その他に分類される項目には、バテッテリ、モータ、及びエンジン以外の車載機器(以下、「その他の車載機器」と記す場合もある。)で発生しているアラームの総数を登録するための項目と、その他の車載機器で発生しているアラームの種類を示す情報を登録するための項目とが含まれる。
【0050】
第五の項目は、特定の種類のアラームの有無を登録するための複数の項目を含む。特定の種類のアラームは、新エネルギ車両に特有の車載機器に関するアラームのうちの一部である。特定の種類のアラームとしては、例えば、バッテリの温度に関するアラーム、バッテリのSOC(State of Charge)に関するアラーム、バッテリの電圧に関するアラーム
、及びモータの温度に関するアラーム等が含まれる。
【0051】
次に、第一のアラームリストの一例を
図7に示す。第一のアラームリストは、前述したように、車両10に搭載される複数のECU100に共通するフォーマットで生成されるアラームリストであり、車載機器に関するアラームの有無を、アラームの種類別に登録するための複数の項目を有する。具体的には、本実施形態における第一のアラームリストは、
図7に示すように、第一の項目と第二の項目とを含む。
図7に例示する第一の項目と第二の項目との各々は、
図6に示した第二のアラームリストのフォーマットに基づいて決定される。そのため、第二のアラームリストのフォーマットが
図6に示した例とは異なるフォーマットに変更された場合には、それに応じて、第一のアラームリストに含まれる項目の変更、削除、又は追加が可能である。
【0052】
第一の項目は、
図7に示すように、車載機器に関するアラームの有無を、アラームの種類別に登録するための複数の項目を含む。車載機器は、前述したように、新エネルギ車両に搭載され得る機器であり、バッテリ、モータ、エンジン、及びその他の車載機器を含む。バッテリ、モータ、エンジン、及びその他の車載機器の各々に関する項目(
図7中のE2-E5)には、法規等で規定されたアラームの種類別に複数の項目が含まれる。また、
複数の第一の項目の少なくとも一つの項目(
図7中のE1)は、第二のアラームリストの第五の項目と同じ種類のアラームの有無が登録されるように設定される。すなわち、複数の第一の項目には、車載機器に関するアラームのうち、特定の種類のアラームの有無を登録するための項目が含まれる。なお、第一の項目に含まれる各項目には、例えば、アラーム有の場合に“1”が登録され、アラーム無の場合に“0”が登録される。
【0053】
第二の項目は、レベル別のアラームの数を登録するための複数の項目を含む。ここでいう「レベル」は、前述したように、アラームの深刻度合いに関する指標であり、アラームの種類毎(第一の項目に含まれる項目毎)に予め設定されている。
図7に示す例では、第二の項目には、「レベル1のアラーム数」を登録するための項目と、「レベル2のアラーム数」を登録するための項目と、「レベル3アラーム数」を登録するための項目とが含まれる。「レベル1のアラーム数」とは、レベル1に相当する種類のアラームが発生している数(第一の項目に含まれる項目のうち、レベル1に相当する種類のアラームの有無を登録するための項目における、アラーム有の数)である。「レベル2のアラーム数」とは、レベル2に相当する種類のアラームが発生している数(第一の項目に含まれる項目のうち、レベル2に相当する種類のアラームの有無を登録するための項目における、アラーム有の数)である。「レベル3のアラーム数」とは、レベル3に相当する種類のアラームが発生している数(第一の項目に含まれる項目のうち、レベル3に相当する種類のアラームの有無を登録するための項目における、アラーム有の数)である。
【0054】
図7に示したようなフォーマットで形成される第一のアラームリストを、受信部F210が複数のECU100から受信すると、データ処理部F220が、複数の第一のアラームリストに登録されているアラーム有の総数を、項目別に集計する。具体的には、データ処理部F220は、複数の第一のアラームリストの各項目に登録されている数値(“0”又は“1”)を、項目別に論理和演算する。その際、複数の第一のアラームリストの中で、
図7中の「レベル1のアラーム数」の項目に“1”が登録されている第一のアラームリストが一つのみであれば、レベル1のアラームの総数が“1”と演算される。また、複数の第一のアラームリストの中に、「レベル1のアラーム数」の項目に“1”が登録されている第一のアラームリストが一つもなければ、レベル1のアラームの総数が“0”と演算される。データ処理部F220は、「レベル2のアラーム数」の項目と「レベル3のアラーム数」の項目とについても、同様の方法で集計を行うことにより、レベル1-3の各々のレベルにおけるアラーム有の総数を導出する。その際、レベル3におけるアラーム有の総数が“1”以上であれば、データ処理部F220は、
図6に示す第二のアラームリストにおける「最高レベルのアラーム」の項目について、レベル3を示す情報(例えば、“3”)を登録する。また、レベル3におけるアラーム有の総数が“0”であり、且つレベル2におけるアラーム有の総数が“1”以上であれば、データ処理部F220は、
図6に示す第二のアラームリストにおける「最高レベルのアラーム」の項目について、レベル2を示す情報(例えば、“2”)を登録する。また、レベル3におけるアラーム有の総数及びレベル2におけるアラーム有の総数が“0”であり、且つレベル1におけるアラーム有の総数が“1”以上であれば、データ処理部F220は、
図6に示す第二のアラームリストにおける「最高レベルのアラーム」の項目について、レベル1を示す情報(例えば、“1”)を登録する。また、レベル1-3の全てのレベルにおけるアラーム有の総数が“0”であれば、データ処理部F220は、
図6に示す第二のアラームリストにおける「最高レベルのアラーム」の項目について、“0”を登録する。
【0055】
データ処理部F220は、第一の項目の項目別の集計結果のうち、特定の種類のアラームの有無を登録するための項目(
図7中のE1に含まれる項目)の集計結果を、第二のアラームリストにおける第五の項目のうちの対応する項目に登録する。例えば、「特定のアラーム1」の項目の集計結果(「特定のアラーム1」の項目におけるアラーム有の総数)が“1”であれば、データ処理部F220は、
図6に示す第二のアラームリストにおける
第五の項目のうちの「特定のアラーム1」の項目に“1”を登録する。「特定のアラーム2」以降の項目の集計結果についても、データ処理部F220は、
図6に示す第二のアラームリストにおける第五の項目のうちの「特定のアラーム2」以降の項目に各々登録する。
【0056】
また、データ処理部F220は、複数の第一のアラームリストに登録されているアラーム有の総数を、車載機器別に集計する。すなわち、第一のアラームリストにおける第一の項目のうち、特定の種類以外のアラームの有無を登録するための項目(
図7中のE2-E5)について、データ処理部F220は、項目別の集計結果を車載機器別に集計する。例えば、バッテリについては、データ処理部F220は、バッテリに関する項目別の集計結果(
図7中のE2に含まれる項目の集計結果)を合計することで、バッテリで発生しているアラームの総数を演算する。また、モータについては、データ処理部F220は、モータに関する項目別の集計結果(
図7中のE3に含まれる項目の集計結果)を合計することで、モータで発生しているアラームの総数を演算する。また、エンジンについては、データ処理部F220は、エンジンに関する項目別の集計結果(
図7中のE4に含まれる項目の集計結果)を合計することで、エンジンで発生しているアラームの総数を演算する。また、その他の車載機器については、データ処理部F220は、その他の車載機器に関する項目別の集計結果(
図7中のE5に含まれる項目の集計結果)を合計することで、その他の車載機器で発生しているアラームの総数を演算する。斯様にして求められた車載機器別の集計結果は、第二のアラームリストにおける第四の項目のうちの対応する項目に登録される。例えば、バッテリで発生しているアラームの総数は、
図6に示す第二のアラームリストにおける第四の項目のうちの「バッテリ関連のアラーム総数」の項目に登録される。また、モータで発生しているアラームの総数は、
図6に示す第二のアラームリストにおける第四の項目のうちの「モータ関連のアラーム総数」の項目に登録される。また、エンジンで発生しているアラームの総数は、
図6に示す第二のアラームリストにおける第四の項目のうちの「エンジン関連のアラーム総数」の項目に登録される。また、その他の車載機器で発生しているアラームの総数は、
図6に示す第二のアラームリストにおける第四の項目のうちの「その他のアラーム総数」の項目に登録される。
【0057】
図6に示す第二のアラームリストにおける第四の項目のうち、「バッテリ関連のアラーム種類」、「モータ関連のアラーム種類」、「エンジン関連のアラーム種類」、及び「その他のアラーム種類」の項目には、第一のアラームリストにおける第一の項目のうちで、アラーム有を示す情報(“1”)が登録されている項目(アラームの種類)を識別するための情報が登録される。例えば、
図6に示す第二のアラームリストにおける「バッテリ関連のアラーム種類」の項目には、
図7中のE2に含まれる項目のうちで、アラーム有を示す情報(“1”)が登録されている項目を識別するための情報が登録される。なお、
図7中のE2に含まれる項目のうちで、アラーム有を示す情報(“1”)が登録されている項目が複数であれば、それら複数の項目の各々を識別するための情報が、
図6に示す第二のアラームリストにおける「バッテリ関連のアラーム種類」の項目に登録される。また、
図6に示す第二のアラームリストにおける「モータ関連のアラーム種類」の項目には、
図7中のE3に含まれる項目のうちで、アラーム有を示す情報(“1”)が登録されている項目を識別するための情報が登録される。また、
図6に示す第二のアラームリストにおける「エンジン関連のアラーム種類」の項目には、
図7中のE4に含まれる項目のうちで、アラーム有を示す情報(“1”)が登録されている項目を識別するための情報が登録される。また、
図6に示す第二のアラームリストにおける「その他のアラーム種類」の項目には、
図7中のE5に含まれる項目のうちで、アラーム有を示す情報(“1”)が登録されている項目を識別するための情報が登録される。
【0058】
上記した手順で第二のアラームリストが生成されると、生成された第二のアラームリストが、データ処理部F220から送信部F230へ渡される。
【0059】
送信部F230は、データ処理部F220により生成された第二のアラームリストを、車外通信部205を通じて、センタサーバ300へ送信する。
【0060】
(処理の流れ)
次に、本実施形態の車載システムにおける処理のシーケンスの一例について、
図8に基づいて説明する。なお、
図8中のECU100には、複数のECU(モータ用ECU101、エンジン用ECU102、バッテリ用ECU103、及び充電用ECU104等)が含まれる。
【0061】
図8において、車両10に搭載される複数のECU100では、所定の周期で、第一のアラームリストが生成される(S11)。具体的には、所定の周期で、各ECU100の取得部F110により雛形状態の第一のアラームリストが取得され、取得された第一のアラームリストがデータ生成部F120へ渡される。データ生成部F120は、雛形状態の第一のアラームリストの各項目にアラーム有無を示す情報を登録することで、第一のアラームリストを完成させる。具体的には、データ生成部F120は、前述したように、第一のアラームリストに含まれる項目のうち、当該ECU100の管理下にある項目については、実際のアラーム有無を示す情報(“1”又は“0”)を登録する。また、データ生成部F120は、当該ECU100の管理下にない項目については、アラーム無を示す情報(“0”)を一律に登録する。各ECU100のデータ生成部F120により生成された第一のアラームリストは、通信端末200へ送信される(S12)。その際、各ECU100では、送信部F130が、車内通信部104を通じて、第一のアラームリストを通信端末200へ送信する。
【0062】
複数のECU100からの第一のアラームリストは、通信端末200の車内通信部204により受信され、受信部F210を通じてデータ処理部F220へ渡される。データ処理部F220は、複数のECU100から受信した複数の第一のアラームリストに基づいて、第二のアラームリストを生成する(S13)。データ処理部F220により生成された第二のアラームリストは、データ処理部F220から送信部F230に渡される。送信部F230は、車外通信部205を通じて、第二のアラームリストをセンタサーバ300へ送信する(S14)。
【0063】
ここで、S13の処理の詳細な処理フローについて、
図9に基づいて説明する。
図9は、第二のアラームリストを生成する際に通信端末200で実行される処理フローを示すフローチャートである。
図9の処理フローは、複数のECU100からの第一のアラームリストを通信端末200が受信したことをトリガにして実行される。
【0064】
図9の処理フローでは、通信端末200のデータ処理部F220が、複数のECU100から受信した複数の第一のアラームリストに登録されているアラーム有の総数を、項目別に演算する(ステップS101)。具体的には、データ処理部F220は、前述したように、複数の第一のアラームリストの各項目に登録されている数値(“0”又は“1”)を、項目別に論理和演算する。
【0065】
データ処理部F220は、ステップS101で演算された項目別のアラーム有の総数に基づいて、車載機器別のアラーム有の総数を演算する(ステップS102)。具体的には、データ処理部F220は、前述したように、バッテリに関する項目別のアラーム有の総数(
図7中のE2に含まれる項目における項目別のアラーム有の総数)を合計することで、バッテリで発生しているアラームの総数を演算する。また、データ処理部F220は、モータに関する項目別のアラーム有の総数(
図7中のE3に含まれる項目における項目別のアラーム有の総数)を合計することで、モータで発生しているアラームの総数を演算す
る。また、データ処理部F220は、エンジンに関する項目別のアラーム有の総数(
図7中のE4に含まれる項目における項目別のアラーム有の総数)を合計することで、エンジンで発生しているアラームの総数を演算する。また、データ処理部F220は、その他の車載機器に関する項目別のアラーム有の総数(
図7中のE5に含まれる項目における項目別のアラーム有の総数)を合計することで、その他の車載機器で発生しているアラームの総数を演算する。
【0066】
データ処理部F220は、複数のECU100から受信した第一のアラームリストにおいてアラーム有の情報(“1”)が登録されている項目(アラーム項目)を、車載機器別に特定する(ステップS103)。例えば、データ処理部F220は、複数のECU100から受信した複数の第一のアラームリストにおけるバッテリ関連の項目(
図7中のE2に含まれる項目)のうちで、アラーム有を示す情報(“1”)が登録されている項目を特定する。また、データ処理部F220は、複数のECU100から受信した複数の第一のアラームリストにおけるモータ関連の項目(
図7中のE3に含まれる項目)のうちで、アラーム有を示す情報(“1”)が登録されている項目を特定する。また、データ処理部F220は、複数のECU100から受信した複数の第一のアラームリストにおけるエンジン関連の項目(
図7中のE4に含まれる項目)のうちで、アラーム有を示す情報(“1”)が登録されている項目を特定する。また、データ処理部F220は、複数のECU100から受信した複数の第一のアラームリストにおけるその他の車載機器に関連の項目(
図7中のE5に含まれる項目)のうちで、アラーム有を示す情報(“1”)が登録されている項目を特定する。
【0067】
データ処理部F220は、ステップS102で演算された項目別のアラーム有の総数に基づいて、車両10で発生しているアラームのうち、深刻度合いが最も高いアラームのレベル(最高レベル)を判定する(ステップS104)。その際、「レベル3のアラーム数」の項目におけるアラーム有の総数が“1”以上であれば、データ処理部F220は、車両10で発生しているアラームの最高レベルがレベル3であると判定する。また、「レベル3のアラーム数」の項目における項目別のアラーム有の総数が“0”であり且つ「レベル2のアラーム数」の項目における項目別のアラーム有の総数が“1”以上であれば、データ処理部F220は、車両10で発生しているアラームの最高レベルがレベル2であると判定する。また、「レベル3のアラーム数」の項目における項目別のアラーム有の総数及び「レベル2のアラーム数」の項目における項目別のアラーム有の総数が“0”であり、且つ「レベル1のアラーム数」の項目における項目別のアラーム有の総数が“1”以上であれば、データ処理部F220は、車両10で発生しているアラームの最高レベルがレベル1であると判定する。また、「レベル3のアラーム数」の項目における項目別のアラーム有の総数、「レベル2のアラーム数」の項目における項目別のアラーム有の総数、及び「レベル1のアラーム数」の項目における項目別のアラーム有の総数が全て“0”であれば、データ処理部F220は、車両10で発生しているアラームの最高レベルがレベル0であると判定する。
【0068】
データ処理部F220は、上記ステップS101からステップS104において導出された情報に基づいて、第二のアラームリストを生成する(ステップS105)。具体的には、データ処理部F220は、ステップS101で導出された項目別のアラーム有の総数のうち、特定の種類のアラームの項目(
図7中のE1に含まれる項目)に関する項目別のアラーム有の総数を、第二のアラームリストにおける第五の項目に登録する。また、データ処理部F220は、ステップS102で導出された車載機器別のアラーム有の総数と、ステップS103で判定された車載機器別のアラーム項目とを、第二アラームリストにおける第四の項目に登録する。さらに、データ処理部F220は、ステップS104で判定された最高レベルを、第二のアラームリストにおける第三の項目に登録する。斯様な手順で生成された第二のアラームリストは、
図8のS14の説明で述べたように、送信部F2
30によってセンタサーバ300へ送信される。
【0069】
図8のシーケンス及び
図9の処理フローによれば、複数のECU100から通信端末200へ送信されるアラームリストのフォーマットを、複数のECU100間で共通するフォーマットを有する第一のアラームリストに統一することができる。これにより、車載機器の仕様変更等に伴ってECU100の仕様が変更された場合であっても、当該ECU100から通信端末200へ送信されるアラームリストのフォーマットを、第一のアラームリストに準じたフォーマットにすることができる。その結果、車載機器等の仕様変更が行われた場合に、通信端末200で行われる集計処理を変更する必要が生じず、通信端末200の設計変更を行う必要もなくなる。また、複数のECU100が、それら複数のECU100間で共通するフォーマットの第一のアラームリストを用いて、アラームの有無に関する情報を通信端末200へ送信することで、通信端末200で行われる各種の集計処理を簡略化することもできる。さらに、第一のアラームリストのフォーマットが第二のアラームリストのフォーマットに対応するように設定されることで、通信端末200において第二のアラームリストを生成するための処理を簡略化することもできる。
【0070】
したがって、本実施形態によれば、車載機器の仕様変更等に対して柔軟に対応可能な車載システムを提供することができる。
【0071】
<変形例>
車両10に搭載される複数のECU100のうち、特定のECUに異常が発生する状況も想定し得る。斯様な状況においては、所定の周期に対応するタイミングで特定のECUから通信端末200へ第一のアラームリストが送信されない可能性がある。一方、特定のECUの管理下にある車載機器にアラームが発生していない状況も想定し得る。斯様な状況においては、特定のECUの管理下にある項目にアラーム無を示す情報(“0”)が登録された第一のアラームリストが、特定のECUから通信端末へ送信されることになる。
【0072】
ところで、前述した実施形態に係る情報処理システムでは、複数のECU100の各々は、第一のアラームリストにおける自身の管理下にない項目については、アラーム無を示す情報(“0”)を一律に登録する。そのため、項目別のアラーム有の総数の集計結果においては、特定のECUの管理下にある項目における項目別のアラーム有の総数が“0”である場合、特定のECUに異常が発生しているのか(特定のECUから通信端末200へ第一のアラームリストが正常に送信されていないのか)、又は特定のECUの管理下にある車載機器にアラームが発生していないのかを、通信端末側で区別することができない可能性がある。
【0073】
そこで、本変形例では、複数のECUのうち、特定のECUからの第一のアラームリストを所定回数連続して受信することができなければ、通信端末200が、特定のECUに異常が発生していると判定するようにした。
【0074】
図10は、本変形例における通信端末200の機能構成例を示すブロック図である。本変形例における通信端末200は、その機能構成要素として、受信部F210と、データ処理部F220と、送信部F230と、判定部F240と、を含む。データ処理部F220及び送信部F230の機能は、前述した実施形態と同様であるため、その説明が省略される。受信部F210は、複数のECU100から受信した第一のアラームリストを、データ処理部F220に渡すとともに、判定部F240にも渡す。
【0075】
判定部F240は、複数のECU100のうち、特定のECUに異常が発生しているかを判定する。斯様な判定が行われる際に、通信端末200で実行される処理フローについて、
図11に基づいて説明する。
図11は、通信端末200において所定の周期で実行さ
れる処理フローを示すフローチャートである。ここでいう所定の周期は、複数のECU100から通信端末200へ第一のアラームリストが送信される周期に同期した周期である。
【0076】
図11の処理フローでは、受信部F210が、車内通信部204を介して、第一のアラームリストを受信する(ステップS201)。受信部F210は、受信した第一のアラームリストの全てを、判定部F240へ渡す。
【0077】
判定部F240は、受信部F210により受信された第一のアラームリストの数が所定数より少ないかを判定する(ステップS202)。ここでいう「所定数」は、車両10に搭載されるECU100の数と同一の値である。受信部F210により受信された第一のアラームリストの数が所定数以上であれば(ステップS202で否定判定)、判定部F240は、カウンタをリセットする(ステップS207)。ここでいう「カウンタ」は、第一のアラームリストを連続して受信することができなかった場合における、第一のアラームリストを受信することができなかった回数を計数するためのカウンタであり、ECU別に設定される。斯様なカウンタは、対応するECUからの第一のアラームリストを受信することができなかったときに一つインクリメントされ、対応するECUからの第一のアラームリストを受信することができたときに“0”にリセットされる。ステップS207において、上記したカウンタのリセットが完了すると、本処理フローが終了される。
【0078】
また、受信部F210により受信された第一のアラームリストの数が所定数より少なければ(ステップS102で肯定判定)、ステップS203の処理が実行される。ステップS203では、判定部F240が、第一のアラームリストを受信することができなかったECU(未受信のECU)を判定する。その際、各ECU100が第一のアラームリストとともに自身の識別情報を通信端末200へ送信するように設定しておき、判定部F240が、識別情報を受信することができなかったECU100を特定するようにしてもよい。別法として、車両10に搭載される複数のECU100が互いに異なるタイミングで第一のアラームリストを送信するように設定しておき、判定部F240が、設定されたタイミングで第一のアラームリストを受信することができなかったECU100を特定してもよい。これらの方法により、第一のアラームリストを受信することができなかったECU100が判定されると、ステップS204の処理が実行される。
【0079】
ステップS204では、判定部F240は、カウンタの更新処理を行う。具体的には、ステップS203で判定されたECU100に対応するカウンタを一つインクリメントするとともに、他のECU100に対応するカウンタを“0”にリセットする。カウンタの更新処理が完了すると、ステップS205の処理が実行される。
【0080】
ステップS205では、判定部F240は、カウンタ値が閾値以上のECU100があるかを判定する。ここでいう「閾値」は、ECU100に異常が発生しているかを判定するための閾値であり、2以上の整数に設定される。カウンタ値が閾値以上のECU100がない場合(ステップS205で否定判定)、本処理フローが終了される。一方、カウンタ値が閾値以上のECU100がある場合(ステップS205で肯定判定)、判定部F240は、当該ECU100に異常が発生していると判定する(ステップS206)。ステップS206の処理が実行された後は、本処理フローの実行が終了される。
【0081】
図11の処理フローによれば、特定のECUの管理下にある項目における項目別のアラーム有の総数が“0”である場合に、特定のECUに異常が発生しているのか、又は特定のECUの管理下にある車載機器にアラームが発生していないのかを、判定することが可能になる。その結果、通信端末200は、より正確な第二のアラームリストを生成することも可能となる。
【0082】
<その他>
上記した実施形態及び変形例はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。また、本開示において説明した処理及び構成は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。さらに、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。また、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成で実現するかは柔軟に変更可能である。
【0083】
また、本開示は、上記の実施形態又は変形例で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよく、又はネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、データ及びプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、又は化学的な作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体である。斯様な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、又はHDD等)、又は光ディスク(CD-ROM、DVDディスク、又はブルーレイディスク等)等の任意のタイプのディスクである。また、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、又はSSD(Solid State Drive)等
の媒体でもよい。
【符号の説明】
【0084】
10 車両
100 ECU
101 プロセッサ
102 主記憶部
103 補助記憶部
104 車内通信部
F110 取得部
F120 データ生成部
F130 送信部
200 通信端末
201 プロセッサ
202 主記憶部
203 補助記憶部
204 車内通信部
205 車外通信部
F210 受信部
F220 データ処理部
F230 送信部
F240 判定部
300 センタサーバ