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特許7593152補助テープカセット、印刷用テープカセット及び印刷用カセット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】補助テープカセット、印刷用テープカセット及び印刷用カセット
(51)【国際特許分類】
   B41J 17/32 20060101AFI20241126BHJP
   B41J 3/36 20060101ALI20241126BHJP
   B41J 15/04 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
B41J17/32 A
B41J3/36 T
B41J15/04
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021013361
(22)【出願日】2021-01-29
(65)【公開番号】P2022116931
(43)【公開日】2022-08-10
【審査請求日】2024-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】東 紘右
(72)【発明者】
【氏名】村山 健太郎
【審査官】上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/203180(WO,A1)
【文献】特開平08-332749(JP,A)
【文献】特開平07-001254(JP,A)
【文献】特開2003-276290(JP,A)
【文献】実開昭63-156762(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 17/32
B41J 3/36
B41J 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷用テープと第1回転伝達部材とを備える印刷用テープカセットと共に印刷装置本体に装着される補助テープカセットであって、
前記印刷用テープの印刷に供される補助テープと、
前記印刷用テープカセットの前記第1回転伝達部材と連結可能な第2回転伝達部材と、
前記第2回転伝達部材の少なくとも一部及び前記補助テープの少なくとも一部を収容するケースと、
を備える、補助テープカセット。
【請求項2】
前記第2回転伝達部材は、前記印刷装置本体から入力された駆動力を前記第1回転伝達部材に伝達する、請求項1に記載の補助テープカセット。
【請求項3】
前記補助テープで構成される補助テープロールをさらに備え、
前記ケースは、前記印刷用テープカセットと対向する連結面を有し、
前記第2回転伝達部材は、前記補助テープロールよりも前記連結面に近い位置に配置される、請求項1又は請求項2に記載の補助テープカセット。
【請求項4】
前記印刷用テープカセットと共に前記印刷装置本体に装着された状態で、前記第2回転伝達部材の軸方向に直交し、かつ前記第1回転伝達部材及び前記第2回転伝達部材を通る仮想面が存在する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の補助テープカセット。
【請求項5】
前記ケースは、前記印刷用テープカセットに係合する係合部を有する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の補助テープカセット。
【請求項6】
前記係合部は、前記第2回転伝達部材の軸方向に突出した凸部、又は前記軸方向に凹んだ凹部である、請求項5に記載の補助テープカセット。
【請求項7】
印刷用テープの印刷に供される補助テープと第2回転伝達部材とを備える補助テープカセットと共に印刷装置本体に装着される印刷用テープカセットであって、
前記印刷用テープと、
前記補助テープカセットの前記第2回転伝達部材と連結可能な第1回転伝達部材と、
前記第1回転伝達部材の少なくとも一部及び前記印刷用テープの少なくとも一部を収容するケースと、
を備える、印刷用テープカセット。
【請求項8】
前記印刷用テープで構成される印刷用テープロールをさらに備え、
前記ケースは、前記補助テープカセットと対向する連結面を有し、
前記第1回転伝達部材は、前記印刷用テープロールよりも前記連結面に近い位置に配置される、請求項7に記載の印刷用テープカセット。
【請求項9】
前記補助テープカセットと共に前記印刷装置本体に装着された状態で、前記第1回転伝達部材の軸方向に直交し、かつ前記第1回転伝達部材及び前記第2回転伝達部材を通る仮想面が存在する、請求項7又は請求項8に記載の印刷用テープカセット。
【請求項10】
前記ケースは、前記補助テープカセットに係合する係合部を有する、請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の印刷用テープカセット。
【請求項11】
前記係合部は、前記第1回転伝達部材の軸方向に突出した凸部、又は前記軸方向に凹んだ凹部である、請求項10に記載の印刷用テープカセット。
【請求項12】
印刷用テープを備える印刷用テープカセットと、
前記印刷用テープカセットと共に印刷装置本体に装着される補助テープカセットと、
連結用回転伝達部材と、
被連結用回転伝達部材と、
を備える印刷用カセットであって、
前記印刷用テープカセットは、前記印刷用テープの少なくとも一部を収容する第1ケースを備え、
前記補助テープカセットは、
前記印刷用テープの印刷に供される補助テープと、
前記補助テープの少なくとも一部を収容する第2ケースと、
を備え、
前記連結用回転伝達部材の少なくとも一部は、前記第1ケース及び前記第2ケースの少なくとも一方に収容され、
前記連結用回転伝達部材は、前記被連結用回転伝達部材と連結可能である、印刷用カセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、補助テープカセット、印刷用テープカセット及び印刷用カセットに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷用テープに印刷を行う印刷装置では、印刷用テープとインクリボンとを収容したカセットを印刷装置本体に着脱することで、印刷用テープ及びインクリボンの交換及び供給が行われる。このようなカセットでは、印刷用テープとインクリボンとが1つのケース内に収容される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-234772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のカセットでは、インクリボン(つまり補助テープ)と印刷用テープとがセットとなっているため、インクの色と印刷用テープの種類(例えば、色、サイズ、材質等)との組合せは、用意されるカセットの種類によって限定される。
【0005】
本開示の一局面は、補助テープと印刷用テープとを任意に組合せることができる補助テープカセットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、印刷用テープと第1回転伝達部材とを備える印刷用テープカセットと共に印刷装置本体に装着される補助テープカセットである。補助テープカセットは、印刷用テープの印刷に供される補助テープと、印刷用テープカセットの第1回転伝達部材と連結可能な第2回転伝達部材と、第2回転伝達部材の少なくとも一部及び補助テープの少なくとも一部を収容するケースと、を備える。
【0007】
本開示の別の態様は、印刷用テープの印刷に供される補助テープと第2回転伝達部材とを備える補助テープカセットと共に印刷装置本体に装着される印刷用テープカセットである。印刷用テープカセットは、印刷用テープと、補助テープカセットの第2回転伝達部材と連結可能な第1回転伝達部材と、第1回転伝達部材の少なくとも一部及び印刷用テープの少なくとも一部を収容するケースと、を備える。
【0008】
本開示の別の態様は、印刷用テープを備える印刷用テープカセットと、印刷用テープカセットと共に印刷装置本体に装着される補助テープカセットと、連結用回転伝達部材と、被連結用回転伝達部材と、を備える印刷用カセットである。
【0009】
印刷用テープカセットは、印刷用テープの少なくとも一部を収容する第1ケースを備える。補助テープカセットは、印刷用テープの印刷に供される補助テープと、補助テープの少なくとも一部を収容する第2ケースと、を備える。連結用回転伝達部材の少なくとも一部は、第1ケース及び第2ケースの少なくとも一方に収容される。連結用回転伝達部材は、被連結用回転伝達部材と連結可能である。
【0010】
これらのような構成によれば、補助テープカセットと印刷用テープカセットとをそれぞれ選択することによって、補助テープと印刷用テープとの任意の組合せを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態における印刷装置本体を示す模式的な斜視図である。
図2図2Aは、実施形態における印刷用カセットの模式的な斜視図であり、図2Bは、図2Aの印刷用カセットの模式的な分解斜視図である。
図3図3は、図2Aの印刷用カセットの伝達機構の模式図である。
図4図4Aは、図2Aの印刷用カセットの模式的な断面図であり、図4Bは、図2Aの印刷用テープカセットの模式的な背面図であり、図4Cは、図2Aの補助テープカセットの模式的な平面図である。
図5図5Aは、図2Aの補助テープカセットの模式的な斜視図であり、図5Bは、図5Aの補助テープカセットの模式的な分解斜視図である。
図6図6A図6B及び図6Cは、図3とは異なる実施形態における印刷用カセットの伝達機構の模式図である。
図7図7A及び図7Bは、図3とは異なる実施形態における印刷用カセットの伝達機構の模式図である。
図8図8A及び図8Bは、図3とは異なる実施形態における印刷用カセットの伝達機構の模式図である。
図9図9A及び図9Bは、図3とは異なる実施形態における印刷用カセットの伝達機構の模式図である。
図10図10A図10B図10C及び図10Dは、図3とは異なる実施形態における印刷用カセットの伝達機構の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1に示す印刷装置本体100は、図2Aに示す印刷用カセット10と共に印刷装置を構成する。この印刷装置は、帯状の印刷用テープに印刷を行う。
【0013】
本実施形態では、印刷用テープカセット30と補助テープカセット40との連結方向を上下方向とし、上下方向と垂直な方向のうちヘッド開口46において印刷用テープ11Aが搬送される方向を左右方向とし、上下方向と左右方向との双方に垂直な方向を前後方向とする。
【0014】
<印刷装置本体>
印刷装置本体100は、図1に示すように、カセット収納部101と、印刷ヘッド102と、プラテンローラ103と、プラテンギア104と、駆動シャフト105と、駆動源107と、筐体110とを備える。
【0015】
(カセット収納部)
カセット収納部101は、印刷用カセット10が装着される凹部である。カセット収納部101は、印刷用カセット10の位置決め機能を有する。カセット収納部101は、筐体110に設けられている。
【0016】
(印刷ヘッド)
印刷ヘッド102は、カセット収納部101の内部に配置されている。印刷ヘッド102は、個別に発熱が制御される複数の発熱素子を有する。
【0017】
(プラテンローラ)
プラテンローラ103は、カセット収納部101の内部において、印刷ヘッド102と対向するように印刷ヘッド102の近傍に配置されている。プラテンローラ103は、印刷ヘッド102に対し、近づく方向又は離れる方向に揺動可能である。プラテンローラ103の回転軸心は、上下方向と平行である。
【0018】
(プラテンギア)
プラテンギア104は、プラテンローラ103に連結されている。本実施形態では、プラテンギア104の回転軸心は、プラテンローラ103の回転軸心と同一線上に配置されている。プラテンギア104は、プラテンローラ103と共に揺動可能である。
【0019】
(駆動シャフト)
駆動シャフト105は、印刷用カセット10の巻取スプール16と入力ギア22とに連結される。駆動シャフト105は、巻取スプール16と入力ギア22とを回転させる。
【0020】
駆動シャフト105は、カセット収納部101の内部に配置されている。駆動シャフト105の回転軸心は、上下方向と平行である。駆動シャフト105は、駆動源107によって回転軸心を中心に回転する。
【0021】
(駆動源)
駆動源107は、駆動シャフト105を回転駆動させる。駆動源107としては、例えばモータとギアとを組み合わせた機構が使用できる。
【0022】
<印刷用カセット>
図2Aに示す印刷用カセット10は、印刷装置本体100への装着及び印刷装置本体100からの脱離が可能である。印刷用カセット10の交換により、印刷媒体(つまり印刷用テープ11A)の補給、及び印刷媒体の種類(例えば、サイズ、色、材質等)の変更ができる。
【0023】
印刷用カセット10は、印刷用テープカセット30と、補助テープカセット40とを備える。印刷用カセット10は、印刷用テープカセット30と、補助テープカセット40とが連結された状態で、印刷装置本体100へ装着される。
【0024】
(印刷用テープカセット)
図2Bに示すように、印刷用テープカセット30は、印刷用テープロール11と、第1供給スプール12と、スペーサフィルム13と、第1回転伝達部材21と、印刷用テープケース35(第1ケースの一例)とを備える。
【0025】
(印刷用テープロール)
印刷用テープロール11は、印刷が行われる印刷用テープ11Aを第1供給スプール12に巻回したものである。
【0026】
印刷用テープ11Aの表面には、印刷装置本体100の印刷ヘッド102及びインクリボン14A(補助テープの一例)によって印刷が行われる。スペーサフィルム13は、印刷用テープロール11と印刷用テープケース35との間に配置されている。
【0027】
(第1供給スプール)
第1供給スプール12は、上下方向と平行な回転軸心周りに回転可能である。第1供給スプール12は、印刷装置本体100のプラテンローラ103による印刷用テープ11Aの搬送に伴って回転することで、印刷用テープ11Aを印刷ヘッド102に供給する。第1供給スプール12の回転軸心は、印刷用テープロール11の巻回軸心と一致している。
【0028】
(第1回転伝達部材)
図3に示すように、第1回転伝達部材21は、印刷用テープカセット30が補助テープカセット40と共に印刷装置本体100に装着された状態で、補助テープカセット40の第2回転伝達部材23と連結可能なギアである。
【0029】
第1回転伝達部材21の回転軸心は、上下方向と平行である。本実施形態では、第1回転伝達部材21は、一部が印刷用テープケース35の外部に露出している。
【0030】
印刷用カセット10が印刷装置本体100に装着された状態(つまり、印刷用テープケース35がカセット収納部101に収納された状態)で、第1回転伝達部材21は、印刷装置本体100のプラテンギア104と係合する。つまり、本実施形態の第1回転伝達部材21は、印刷用テープ11Aの搬送に供される駆動力を外部に出力するために設けられた出力ギアである。
【0031】
第1回転伝達部材21は、プラテンギア104と第2回転伝達部材23と連結することで、印刷装置本体100の駆動シャフト105から入力ギア22に入力された駆動力をプラテンローラ103に伝達する。
【0032】
なお、印刷用テープカセット30は、第1回転伝達部材21とプラテンギア104とに係合する連結ギアをさらに備えてもよい。つまり、第1回転伝達部材21は、間接的にプラテンギア104に駆動連結されてもよい。
【0033】
(印刷用テープケース)
印刷用テープケース35は、第1回転伝達部材21の少なくとも一部及び印刷用テープ11Aの少なくとも一部を収容している。印刷用テープケース35は、図4A,4Bに示すように、第1連結面35Aと、第1凸部35Bと、第1凹部35Cとを有する。
【0034】
第1連結面35Aは、補助テープカセット40と対向する面であり、上下方向と直交する。第1凸部35Bは、第1連結面35Aから補助テープカセット40に向かって、第1回転伝達部材21の軸方向(つまり上下方向)に突出したピン状の部位である。第1凸部35Bは、第1回転伝達部材21を軸支している。第1凹部35Cは、第1連結面35Aの一部が下方に凹んだ部位である。
【0035】
第1凸部35Bが補助テープケース45の第2凹部45Cに挿入され、第1凹部35Cに補助テープケース45の第2凸部45Bが挿入されることで、印刷用テープケース35と補助テープケース45とが連結される。つまり、第1凸部35B及び第1凹部35Cは、補助テープカセット40に係合する係合部である。
【0036】
第1凹部35Cの平面形状は、長手方向が前後方向及び左右方向に交差する長孔である。第1凹部35Cは、第1凹部35Cの内部に挿入された第2凸部45Bの長手方向と直交する方向への移動を規制する。つまり、第1凹部35Cは、印刷用テープカセット30の補助テープカセット40に対する周り止め部として機能する。
【0037】
第1回転伝達部材21は、印刷用テープケース35の内部において、印刷用テープロール11よりも第1連結面35Aに近い位置(つまり、印刷用テープロール11よりも下方)に配置されている。
【0038】
図2Aに示すように、印刷用テープケース35の側面の一部は、印刷用テープケース35から排出された印刷用テープ11Aを補助テープケース45に向けてガイドする。印刷用テープ11Aは、印刷用テープケース35の外周面に沿って螺旋状に搬送される。ただし、印刷用テープ11Aは、印刷用テープケース35の内部において補助テープケース45に向けて搬送されてもよい。
【0039】
(補助テープカセット)
図5A,5Bに示す補助テープカセット40は、印刷用テープカセット30に着脱可能である。
【0040】
補助テープカセット40は、インクリボンロール14(補助テープロールの一例)と、第2供給スプール15と、巻取スプール16と、クラッチバネホルダ17と、入力ギア22(図3参照)と、第2回転伝達部材23(図3参照)と、補助テープケース45とを備える。
【0041】
(インクリボンロール)
インクリボンロール14は、印刷用テープ11Aの印刷に用いられるインクリボン14Aを第2供給スプール15に巻回したものである。
【0042】
インクリボン14Aは、ヘッド開口46において、搬送される印刷用テープ11Aと重ね合わされ、印刷ヘッド102による印刷に供される。印刷に使用されたインクリボン14Aは、巻取スプール16に巻き取られる。
【0043】
インクリボンロール14には、クラッチバネホルダ17に保持されたクラッチバネ(図示省略)によって回転抵抗が付される。インクリボンロール14の少なくとも一部は、上下方向において、印刷用テープロール11と重なる位置に配置されている。
【0044】
(第2供給スプール)
第2供給スプール15は、上下方向と平行な回転軸心周りに回転可能である。第2供給スプール15の回転軸心は、インクリボンロール14の巻回軸心と一致している。第2供給スプール15は、インクリボン14Aの巻取スプール16による巻き取りに伴って回転することで、インクリボン14Aをヘッド開口46に供給する。
【0045】
(巻取スプール)
巻取スプール16は、上下方向と平行な回転軸心周りに回転可能である。巻取スプール16は、円筒状であり、内周面16Aで規定される中空部を有する。巻取スプール16の内周面16Aにはスプライン歯16Bが設けられている。
【0046】
スプライン歯16Bには、印刷装置本体100の駆動シャフト105が連結される。巻取スプール16は、駆動シャフト105によって回転され、印刷に使用されたインクリボン14Aを巻き取る。
【0047】
(入力ギア22)
図3に示すように、入力ギア22は、第2回転伝達部材23を介して第1回転伝達部材21と間接的に係合し、駆動力を第1回転伝達部材21に伝達する。
【0048】
入力ギア22の回転軸心は、上下方向と平行である。補助テープカセット40が印刷装置本体100に装着された状態で、入力ギア22は駆動シャフト105に係合する。入力ギア22は、駆動シャフト105によって回転される。
【0049】
(第2回転伝達部材)
第2回転伝達部材23は、入力ギア22と連結されている。また、印刷用カセット10が印刷装置本体100に装着された状態で、第2回転伝達部材23は、印刷用テープカセット30の第1回転伝達部材21と連結する。
【0050】
第2回転伝達部材23は、入力ギア22と第2回転伝達部材23と連結することで、印刷装置本体100から入力ギア22に入力された駆動力を第1回転伝達部材21に伝達する。
【0051】
入力ギア22、第2回転伝達部材23、及び第1回転伝達部材21は、印刷装置本体100の駆動シャフト105から入力される駆動力を印刷装置本体100のプラテンローラ103に伝達する伝達経路を構成している。
【0052】
なお、印刷用テープカセット30は、第2回転伝達部材23と入力ギア22とに係合する連結ギアをさらに備えてもよい。つまり、第2回転伝達部材23は、間接的に入力ギア22に駆動連結されてもよい。また、第2回転伝達部材23が駆動シャフト105に直接係合してもよい。
【0053】
(補助テープケース)
補助テープケース45は、第2回転伝達部材23の少なくとも一部及びインクリボン14Aの少なくとも一部を収容している。補助テープケース45は、図4A,4Cに示すように、第2連結面45Aと、第2凸部45Bと、第2凹部45Cとを有する。
【0054】
第2連結面45Aは、印刷用テープカセット30と対向する面であり、上下方向と直交する。第2凸部45Bは、第2連結面45Aから印刷用テープカセット30に向かって、第2回転伝達部材23の軸方向(つまり上下方向)に突出したピン状の部位である。第2凹部45Cは、第2連結面45Aの一部が下方に凹んだ部位である。
【0055】
第2凸部45Bは、印刷用テープケース35の第1凹部35Cに挿入される。第2凹部45Cには、印刷用テープケース35の第1凸部35Bが挿入される。第2凸部45B及び第2凹部45Cは、印刷用テープカセット30に係合する係合部である。
【0056】
第2凹部45Cの平面形状は、第2凸部45Bの平面形状と略一致する円形である。第2凹部45Cは、印刷用テープカセット30の補助テープカセット40に対する位置決め部として機能する。左右方向における第2凹部45Cの中心から第2回転伝達部材23の回転軸心までの距離は、第1回転伝達部材21と第2回転伝達部材23との軸心間距離に等しい。
【0057】
第2回転伝達部材23は、補助テープケース45の内部において、インクリボンロール14よりも第2連結面45Aに近い位置(つまり、インクリボンロール14よりも上方)に配置されている。
【0058】
印刷用テープカセット30が補助テープカセット40と共に印刷装置本体100に装着された状態で、上下方向に直交し(つまり前後方向及び左右方向と平行であり)、かつ第1回転伝達部材21及び第2回転伝達部材23を通る仮想面Sが存在する。第1回転伝達部材21及び第2回転伝達部材23は、第1回転伝達部材21の径方向(つまり前後方向又は左右方向)において重なる位置に配置されている。
【0059】
補助テープカセット40は、図5Aに示すように、ヘッド開口46と、排出口47とをさらに備える。
【0060】
ヘッド開口46は、印刷用カセット10が印刷装置本体100に装着された状態で、内部に印刷ヘッド102が配置される空間である。ヘッド開口46において、印刷ヘッド102による印刷用テープ11Aの印刷が行われる。ヘッド開口46は、印刷ヘッド102が下方から挿入可能なように、補助テープカセット40の下方に開口している。
【0061】
ヘッド開口46において、印刷用テープ11A及びインクリボン14Aが左右方向に架け渡される。印刷用テープ11Aは、ヘッド開口46によって、排出口47よりも印刷用テープ11Aの排出方向上流側において露出する。
【0062】
排出口47は、印刷が行われた印刷用テープ11Aを印刷用カセット10の外部へ排出する。つまり、排出口47は、印刷用テープ11Aを補助テープケース45の内部から外部へ排出する。印刷後の印刷用テープ11Aは、排出口47から印刷装置の外部に排出される。
【0063】
<印刷装置本体による印刷用テープの搬送及び印刷>
印刷用カセット10が印刷装置本体100に装着された状態で、印刷ヘッド102は、ヘッド開口46において、印刷用テープ11A及びインクリボン14Aと前後方向に重なる位置に配置される。
【0064】
印刷用テープ11Aは、プラテンローラ103によってヘッド開口46に搬送されると共に、プラテンローラ103によってインクリボン14Aを介して発熱素子が発熱した印刷ヘッド102に押し付けられる。これにより、インクリボン14Aの表面に配置されたインクの一部が印刷用テープ11Aに転写され、印刷用テープ11Aに文字、記号等が印刷される。
【0065】
プラテンローラ103は、印刷後の印刷用テープ11Aを印刷用カセット10内から外部に向けて搬送する。プラテンローラ103は、第1回転伝達部材21と係合されたプラテンギア104によって回転する。
【0066】
印刷用カセット10がカセット収納部101に挿入された状態では、駆動シャフト105が入力ギア22に係合すると共にプラテンギア104が第1回転伝達部材21に係合する。
【0067】
印刷用カセット10が装着された状態で駆動シャフト105により入力ギア22が回転されることで第1回転伝達部材21が回転される。さらに、第1回転伝達部材21の回転によりプラテンギア104が回転し、プラテンギア104の回転によりプラテンローラ103が回転する。
【0068】
<第1実施形態の変形例>
本実施形態において、第1回転伝達部材21及び第2回転伝達部材23の配置及び機能は適宜変更が可能である。
【0069】
図6Aに示すように、補助テープカセット40は、上流側第2回転伝達部材231及び下流側第2回転伝達部材232を有してもよい。上流側第2回転伝達部材231は、駆動シャフト105から駆動力が入力される入力ギアとして機能する。下流側第2回転伝達部材232は、プラテンギア104に駆動力を出力する出力ギアとして機能する。
【0070】
図6Aでは、印刷用テープカセット30は、上流側第2回転伝達部材231と下流側第2回転伝達部材232とに連結可能な第1回転伝達部材21Aを備える。第1回転伝達部材21Aは、上流側第2回転伝達部材231から下流側第2回転伝達部材232に駆動力を伝達する。
【0071】
図6Bに示すように、補助テープカセット40は、第2回転伝達部材23B及び出力ギア24を有してもよい。出力ギア24は、プラテンギア104に駆動力を出力する。第2回転伝達部材23Bは、出力ギア24に駆動連結されている。
【0072】
図6Bでは、印刷用テープカセット30は、第2回転伝達部材23Bに連結可能な第1回転伝達部材21Bを有する。第1回転伝達部材21Bは、駆動シャフト105から駆動力が入力される入力ギアとして機能する。
【0073】
図6Cに示すように、印刷用テープカセット30は、上流側第1回転伝達部材211及び下流側第1回転伝達部材212を有してもよい。上流側第1回転伝達部材211は、駆動シャフト105から駆動力が入力される入力ギアとして機能する。下流側第1回転伝達部材212は、プラテンギア104に駆動力を出力する出力ギアとして機能する。
【0074】
図6Cでは、補助テープカセット40は、上流側第1回転伝達部材211と下流側第1回転伝達部材212とに連結可能な第2回転伝達部材23Cを備える。第2回転伝達部材23Cは、上流側第1回転伝達部材211から下流側第1回転伝達部材212に駆動力を伝達する。
【0075】
なお、図6A-6Cの実施形態それぞれにおいて、駆動シャフト105と入力ギアとしての第1回転伝達部材又は第2回転伝達部材との間、及びプラテンギア104と出力ギアとしての第1回転伝達部材又は第2回転伝達部材との間に他のギアが配置されてもよい。
【0076】
[1-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)補助テープカセット40と印刷用テープカセット30とをそれぞれ選択することによって、インクリボン14Aと印刷用テープ11Aとの任意の組合せを得ることができる。
【0077】
(1b)補助テープカセット40及び印刷用テープカセット30のそれぞれに、印刷装置本体100からの駆動力を伝達する回転伝達部が設けられることで、インクリボン14A及び印刷用テープ11Aの搬送に適した駆動伝達が実現できる。
【0078】
(1c)第1回転伝達部材21が印刷用テープロール11よりも第1連結面35Aの近くに配置されることで、第2回転伝達部材23との係合が容易に行える。同様に、第2回転伝達部材23がインクリボンロール14よりも第2連結面45Aの近くに配置されることで、第1回転伝達部材21との係合が容易に行える。
【0079】
(1d)第1回転伝達部材21及び第2回転伝達部材23を通る仮想面Sが存在することで、補助テープカセット40及び印刷用テープカセット30が連結された印刷用カセット10の上下方向のサイズを低減することができる。
【0080】
(1e)補助テープケース45及び印刷用テープケース35がそれぞれ係合部を有することで、補助テープカセット40と印刷用テープカセット30との位置ずれが抑制される。さらに、補助テープケース45の係合部と印刷用テープケース35の係合部との距離によって第1回転伝達部材21と第2回転伝達部材23との軸心間距離が規定されるため、第1回転伝達部材21と第2回転伝達部材23との連結精度が向上する。
【0081】
[2.第2実施形態]
[2-1.構成]
図7Aに示す印刷用カセット210は、第1実施形態の印刷用カセット10に替えて、図1の印刷装置本体100に装着される。
【0082】
印刷用カセット210は、印刷用テープカセット30と、補助テープカセット40と、ギアカセット50とを備える。印刷用テープカセット30及び補助テープカセット40は、第1実施形態と同様のものである。
【0083】
(ギアカセット)
ギアカセット50は、印刷用テープカセット30と補助テープカセット40との間に配置される。ギアカセット50は、印刷用テープカセット30及び補助テープカセット40に着脱可能である。
【0084】
ギアカセット50は、第3回転伝達部材(被連結用回転伝達部材の一例)223Aと、ギアケース55とを備える。
【0085】
第3回転伝達部材223Aは、補助テープカセット40の第2回転伝達部材222A(連結用回転伝達部材の一例)と連結可能である。また、第3回転伝達部材223Aは、駆動シャフト105から駆動力が入力される入力ギアとして機能する。本実施形態では、第3回転伝達部材223Aは、印刷用テープケース35及び補助テープケース45の外部に設けられている。
【0086】
補助テープカセット40の第2回転伝達部材222A(連結用回転伝達部材の一例)は、第3回転伝達部材223Aと、印刷用テープカセット30の第1回転伝達部材221Aとに連結可能である。
【0087】
第1回転伝達部材221A及び第2回転伝達部材222Aは、それぞれ、図6Cの下流側第1回転伝達部材212及び第2回転伝達部材23Cに相当する。第3回転伝達部材223Aは、図6Cの上流側第1回転伝達部材211の替わりに設けられている。
【0088】
<第2実施形態の変形例>
本実施形態において、第1回転伝達部材221A、第2回転伝達部材222A及び第3回転伝達部材223Aの配置及び機能は適宜変更が可能である。
【0089】
図7Bの第1回転伝達部材221B及び第2回転伝達部材222Bは、それぞれ、図3の第1回転伝達部材21及び入力ギア22に相当する。図7Bの第3回転伝達部材223Bは、図3の第2回転伝達部材23の替わりに設けられている。
【0090】
図7Bでは、第1回転伝達部材221B及び第2回転伝達部材222Bの双方が、第3回転伝達部材223Bに連結可能である。つまり、図7Bでは、2つの連結用回転伝達部材が設けられている。
【0091】
図8Aの第1回転伝達部材221C及び第2回転伝達部材222Cは、それぞれ、図6Aの第1回転伝達部材21A及び下流側第2回転伝達部材232に相当する。図8Aの第3回転伝達部材223Cは、図6Aの上流側第2回転伝達部材231の替わりに設けられている。
【0092】
図8Bの第1回転伝達部材221D及び第2回転伝達部材222Dは、それぞれ、図6Aの第1回転伝達部材21A及び上流側第2回転伝達部材231に相当する。図8Bの第3回転伝達部材223Dは、図6Aの下流側第2回転伝達部材232の替わりに設けられている。
【0093】
図9Aの第1回転伝達部材221E及び第2回転伝達部材222Eは、それぞれ、図6Cの上流側第1回転伝達部材211及び第2回転伝達部材23Cに相当する。図9Aの第3回転伝達部材223Eは、図6Cの下流側第1回転伝達部材212の替わりに設けられている。
【0094】
図9Bの第1回転伝達部材221F及び第2回転伝達部材222Fは、それぞれ、図6Bの第1回転伝達部材21B及び出力ギア24に相当する。図9Bの第3回転伝達部材223Fは、図6Bの第2回転伝達部材23Bの替わりに設けられている。
【0095】
また、ギアカセット50の被連結用回転伝達部材と連結可能な連結用回転伝達部材は、印刷用テープカセット30及び補助テープカセット40のうち一方のみに配置されてもよい。
【0096】
図10Aに示す印刷用テープカセット30は、第1回転伝達部材を備えない。図10Aの第3回転伝達部材223Gは、図9Bの第1回転伝達部材221Fの機能を含んでおり、図9Bと同様の第2回転伝達部材222Fに連結可能である。
【0097】
図10Bに示す印刷用テープカセット30も、第1回転伝達部材を備えない。図10Bの第3回転伝達部材223Hは、図7Bの第1回転伝達部材221Bの機能を含んでおり、図7Bと同様の第2回転伝達部材222Bに連結可能である。
【0098】
図10Cに示す補助テープカセット40は、第2回転伝達部材を備えない。図10Cの第3回転伝達部材223Iは、図9Bの第2回転伝達部材222Fの機能を含んでおり、図9Bと同様の第1回転伝達部材221Fに連結可能である。
【0099】
図10Dに示す補助テープカセット40も、第2回転伝達部材を備えない。図10Dの第3回転伝達部材223Jは、図7Bの第2回転伝達部材222Bの機能を含んでおり、図7Bと同様の第1回転伝達部材221Bに連結可能である。
【0100】
[2-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(2a)ギアカセット50の付け替えによって、インクリボン14A及び印刷用テープ11Aの搬送に適した駆動伝達をより的確に実現できる。
【0101】
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0102】
(3a)上記実施形態の印刷装置は、インクリボンを用いて印刷するものに限定されない。印刷装置は、印刷用テープの代わりとして帯状の感熱紙を用いてもよい。この場合、補助テープとしては、例えばラミネートテープが用いられる。
【0103】
(3b)上記実施形態の印刷用カセットにおいて、上下方向に直交し、かつ第1回転伝達部材及び第2回転伝達部材を通る仮想面が必ずしも存在しなくてもよい。つまり、第1回転伝達部材及び第2回転伝達部材は、上下方向にずれて配置されてもよい。
【0104】
(3c)上記実施形態の印刷用カセットにおいて、回転伝達部材は、ギアに限定されない。つまり、回転伝達部材は、ギア以外の回転体(例えばローラ又はベルト)で構成されてもよい。
【0105】
(3d)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0106】
10,210…印刷用カセット、11…印刷用テープロール、11A…印刷用テープ、
14…インクリボンロール、14A…インクリボン、
21,21A,21B,211,212,221A…第1回転伝達部材、
23,23B,23C,231,232,222A…第2回転伝達部材、
223A…第3回転伝達部材、22…入力ギア、24…出力ギア、
30…印刷用テープカセット、35…印刷用テープケース、35A…第1連結面、
35B…第1凸部、35C…第1凹部、40…補助テープカセット、
45…補助テープケース、45A…第2連結面、45B…第2凸部、
45C…第2凹部、50…ギアカセット、55…ギアケース、100…印刷装置本体、
103…プラテンローラ、104…プラテンギア、105…駆動シャフト。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10