(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】ネットワークシステム
(51)【国際特許分類】
H04L 1/00 20060101AFI20241126BHJP
G05B 19/042 20060101ALI20241126BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
H04L1/00 E
G05B19/042
G05B23/02 Z
(21)【出願番号】P 2021013904
(22)【出願日】2021-01-29
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】武田 孝史
(72)【発明者】
【氏名】手嶌 竜一
(72)【発明者】
【氏名】久米 一樹
【審査官】川口 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-195329(JP,A)
【文献】国際公開第2016/111085(WO,A1)
【文献】特公平07-095713(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 1/00
H04B 1/02 - 1/04
G05B 19/042
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスタ装置と、前記マスタ装置により制御される複数のスレーブ装置とが接続されるネットワークシステムであって、
前記複数のスレーブ装置は、第1のスレーブ装置と、通信ケーブルにより前記第1のスレーブ装置に接続された第2のスレーブ装置とを含み、
前記第1のスレーブ装置は、
他機との間で信号の送受信を行う通信部と、
前記第2のスレーブ装置からの信号の信号品質の値を判定する信号品質検出部と、
前記信号品質の値に関する閾値を予め記憶する記憶部と、
当該第1のスレーブ装置の各部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、信号品質の値が前記閾値を下回ったことを前記信号品質検出部が検出した場合に、前記通信部を通じて
、前記マスタ装置を介して前記第2のスレーブ装置に対して、信号品質の値が前記閾値を下回った旨の情報を含む通知を行い、前記第2のスレーブ装置が前記第1のスレーブ装置に送信する信号の振幅を大きくさせ
、
前記マスタ装置は、前記第2のスレーブ装置が前記第1のスレーブ装置に送信する信号の振幅を大きくしていることをユーザへ通知する、ネットワークシステム。
【請求項2】
前記信号品質検出部は、前記第2のスレーブ装置からの信号のSQIに基づいて信号品質の値を判定する、請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項3】
前記信号品質検出部は、前記第2のスレーブ装置からの信号の信号エラーに基づいて信号品質の値を判定する、請求項1または2に記載のネットワークシステム。
【請求項4】
前記通知には、更に信号品質の値の情報を含み、
前記制御部は、信号品質の値に対応させて、前記第2のスレーブ装置が前記第1のスレーブ装置に送信する信号の振幅を大きくさせる、請求項1から3のいずれか1項に記載のネットワークシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ネットワークシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ファクトリーオートメーション(Factory Automation:FA)の分野においては、作業の工程を分担する様々な種類の装置の制御が行われる。工場施設等一定の領域において作業に用いられる各種のコントローラ、リモートI/O、および製造装置を連携して動作させるために、これらの装置を接続する、フィールドネットワークとも呼ばれる産業用ネットワークが構築されている。
【0003】
一般的な産業用ネットワークでは、各種のスレーブ装置と、マスタ装置などから構成されるマスタスレーブ方式が採用される。スレーブ装置は、工場内に設置される設備の制御あるいはデータ収集を行う装置である。マスタ装置は、これらのスレーブ装置を集中管理する、例えば(PLC:Programmable Logic Controller)と呼ばれる装置である。
【0004】
EtherCAT(登録商標)あるいはEthernet/IPはそうした産業用ネットワークシステムの方式の例である(ETHERNET:登録商標)。このような産業用ネットワークシステムにおいては、通信用ケーブルが各装置間に張り巡らされ、ネットワークが構築されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような従来技術では、2つのスレーブ装置の間での通信の際に、ノイズに起因して信号品質が低下した場合に、通信異常となってスレーブ装置が停止する、あるいはネットワークの通信がダウンするという問題点を発生する場合があった。
【0007】
本開示は上記の問題点を鑑みてなされたものであり、ノイズに起因する信号品質の低下が発生した場合でも、スレーブ装置が停止することなく、ネットワークの通信を維持することができるネットワークシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、上述の課題を解決するために、以下の構成を採用する。
【0009】
本開示の一側面に係るネットワークシステムは、マスタ装置と、前記マスタ装置により制御される複数のスレーブ装置とが接続されるネットワークシステムであって、前記複数のスレーブ装置は、第1のスレーブ装置と、通信ケーブルにより前記第1のスレーブ装置に接続された第2のスレーブ装置とを含み、前記第1のスレーブ装置は、他機との間で信号の送受信を行う通信部と、前記第2のスレーブ装置からの信号の信号品質の値を判定する信号品質検出部と、前記信号品質の値に関する閾値を予め記憶する記憶部と、当該第1のスレーブ装置の各部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、信号品質の値が前記閾値を下回ったことを前記信号品質検出部が検出した場合に、前記通信部を通じて、直接前記第2のスレーブ装置に対して、または前記マスタ装置を介して前記第2のスレーブ装置に対して、信号品質の値が前記閾値を下回った旨の情報を含む通知を行い、前記第2のスレーブ装置が前記第1のスレーブ装置に送信する信号の振幅を大きくさせる構成を備えている。
【0010】
上記構成によれば、ノイズに起因する信号品質の低下が発生した場合でも、スレーブ装置が停止することなく、ネットワークの通信を維持することができる。
【0011】
上記一側面に係るネットワークシステムにおいて、前記信号品質検出部は、前記第2のスレーブ装置からの信号のSQIに基づいて信号品質の値を判定する構成を備えていてもよい。
【0012】
上記構成によれば、信号品質の値を精度よく判定することができ、ノイズに起因する信号品質の低下が発生した場合でも、スレーブ装置が停止することなく、ネットワークの通信をより確実に維持することができる。
【0013】
上記一側面に係るネットワークシステムにおいて、前記信号品質検出部は、前記第2のスレーブ装置からの信号の信号エラーに基づいて信号品質の値を判定する構成を備えていてもよい。
【0014】
上記構成によれば、信号品質の値を精度よく判定することができ、ノイズに起因する信号品質の低下が発生した場合でも、スレーブ装置が停止することなく、ネットワークの通信をより確実に維持することができる。
【0015】
上記一側面に係るネットワークシステムにおいて、前記通知には、更に信号品質の値の情報を含み、前記制御部は、信号品質の値に対応させて、前記第2のスレーブ装置が前記第1のスレーブ装置に送信する信号の振幅を大きくさせる構成を備えていてもよい。
【0016】
上記構成によれば、ノイズに起因する信号品質の低下の程度に対応して、第2のスレーブ装置からの信号の振幅を適切に変更させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、ノイズに起因する信号品質の低下が発生した場合でも、スレーブ装置が停止することなく、ネットワークの通信を維持することができるネットワークシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本開示の実施形態1に係るネットワークシステムの構成例を説明する説明図である。
【
図2】本開示の実施形態1に係るスレーブ装置(第1のスレーブ装置)を示す概略構成図である。
【
図3】上記スレーブ装置に設けられた記憶部への閾値の設定動作を示すフローチャートである。
【
図4】上記信号品質検出部の動作例を示すフローチャートである。
【
図5】上記ネットワークシステムにおいて、第2のスレーブ装置から第1のスレーブ装置への信号の振幅を変化させる前後での信号の波形を模式的に説明する図である。
【
図6】上記ネットワークシステムにおいて、信号の振幅を大きくさせた後に通常状態に復帰させる動作例を示すフローチャートである。
【
図7】本開示の実施形態2に係るネットワークシステムの信号品質検出部の動作例を示すフローチャートである。
【
図8】本開示の実施形態3に係るネットワークシステムにおいて、スレーブ装置に設けられた記憶部への閾値の設定動作を示すフローチャートである。
【
図9】上記記憶部に設定される複数の第1の閾値の具体例を説明する図である。
【
図10】上記記憶部に設定される複数の第2の閾値の具体例を説明する図である。
【
図11】本開示の実施形態3に係るネットワークシステムの信号品質検出部の動作例を示すフローチャートである。
【
図12】上記ネットワークシステムにおいて、第2のスレーブ装置から第1のスレーブ装置への信号の振幅の大きさの具体例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
§1 適用例
まず、
図1及び
図2を用いて、本開示が適用される場面の一例について説明する。
図1は、本開示の実施形態1に係るネットワークシステムの構成例を説明する説明図である。
図2は、本開示の実施形態1に係るスレーブ装置(第1のスレーブ装置)を示す概略構成図である。
【0020】
本実施形態のネットワークシステム100は、マスタ装置1と、当該マスタ装置1により制御される複数、例えば、4つのスレーブ装置2A、2B、2C、2Dとが接続されるネットワークシステムである。これらのスレーブ装置2A~2Dは、
図1に示すように、通信ケーブルにより、順次接続されている。
【0021】
また、本実施形態のネットワークシステム100は、情報処理装置3を備えている。ネットワークシステム100の管理者は、情報処理装置3を通じて、マスタ装置1及びスレーブ装置2A~2Dの各種設定の実行、データの取得等を行うことが可能になっている。
【0022】
また、本実施形態のネットワークシステム100は、表示装置4を備えており、当該ネットワークシステム100での動作状況などを表示可能になっている。
【0023】
また、本実施形態のネットワークシステム100では、隣接する2つのスレーブ装置2A~2Dの通信において、第1のスレーブ装置が第2のスレーブ装置からの信号の信号品質の値を判定し、その判定結果を基に第2のスレーブ装置から第1のスレーブ装置への信号の振幅を大きくさせるようになっている。
【0024】
尚、以下の説明では、第1のスレーブ装置をスレーブ装置2Bとし、第2のスレーブ装置をスレーブ装置2Cとした場合を例示して説明する。
【0025】
また、本実施形態のスレーブ装置2B(第1のスレーブ装置)は、
図2に示すように、他機との間で信号の送受信を行う通信部21と、スレーブ装置2Aからの信号の信号品質の値を判定する信号品質検出部22Aと、スレーブ装置2C(第2のスレーブ装置)からの信号の信号品質の値を判定する信号品質検出部22Bと、上記信号品質の値に関する閾値を予め記憶する記憶部23と、当該スレーブ装置2Bの各部を制御する制御部24と、を備える。
【0026】
制御部24は、信号品質の値が閾値を下回ったことを信号品質検出部22Bが検出した場合に、通信部21を通じて、マスタ装置1を介してスレーブ装置2Cに対して、信号品質の値が閾値を下回った旨の情報を含む通知を行い、スレーブ装置2Cが当該スレーブ装置2Bに送信する信号の振幅を大きくさせる。
【0027】
よって本実施形態によれば、スレーブ装置2B、2Cの間の通信において、ノイズに起因して、スレーブ装置2Cからスレーブ装置2Bへの信号に異常(信号品質の値の低下)が発生した場合に、当該信号の振幅を大きくすることができる。
【0028】
このため、本実施形態では、スレーブ装置2Cからスレーブ装置2Bへの信号の耐ノイズ性を向上させることが可能となり、ノイズがスレーブ装置2B、2Cの間に発生した場合でも、スレーブ装置2Cが停止することなく、ネットワークの通信を維持することができるネットワークシステムを構成することができる。
【0029】
尚、上記の説明では、スレーブ装置2Bの下流側のスレーブ装置2Cに対して、上述の通知を行って振幅を変更させる場合を示したが、スレーブ装置2Bの上流側のスレーブ装置2Aに関しては、信号品質の値が閾値を下回ったことを信号品質検出部22Aが検出した場合に、同様に、通知が行われて、スレーブ装置2A(第2のスレーブ装置)が当該スレーブ装置2B(第1のスレーブ装置)に送信する信号の振幅を大きくさせる。
【0030】
§2 構成例
<ネットワークシステム>
図1の例では、本実施形態のネットワークシステム100は、マスタ装置1と、通信装置(通信ハブ)5を介してマスタ装置1に接続される複数のスレーブ装置2A~2Dと、通信装置5を介してマスタ装置1に接続される情報処理装置3、及び表示装置4とを備える。
【0031】
また、本実施形態のネットワークシステム100では、例えば、Ether CAT(Ethernet for Control Automation Technology:登録商標)規格のネットワークシステムが用いられている。
【0032】
マスタ装置1は、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)を含んでいる。また、マスタ装置1は、情報処理装置3から設定される所定のプログラムに従って、動作することにより、複数の各スレーブ装置2A~2Dの制御を行うように構成されている。
【0033】
情報処理装置3は、例えば、コンピュータ(PC)を用いて構成されており、管理者によって操作されることにより、マスタ装置1、スレーブ装置2A~2D、及び表示装置4の各部を制御する。
【0034】
表示装置4は、例えば、タッチパネル機能を有する、液晶パネルや有機ELパネル等を用いて構成されている。
【0035】
また、表示装置4は、例えば、HMI(Human Machine Interface)に基づいて動作することにより、所定の情報表示や指示などの入力操作を行うようになっている。
【0036】
<第1のスレーブ装置>
図2の例では、本実施形態のスレーブ装置2Bは、通信部21、信号品質検出部22A、22B、記憶部23、及び制御部24を備える。また、本実施形態のネットワークシステム100では、スレーブ装置2A、2C、2Dの主要部の構成は、スレーブ装置2Bの主要部の構成と同一にすることができる。つまり、本実施形態のネットワークシステム100では、第1及び第2のスレーブ装置は
図2に表された主要部の構成を有している。
【0037】
通信部21は、ネットワークシステム100の他機との間で双方向の通信を行う機能ブロックである。
【0038】
信号品質検出部22A、22Bは、第2のスレーブ装置としてのスレーブ装置2A、2Cからの信号の信号品質の値をそれぞれ判定する機能ブロックである。信号品質検出部22A、22Bは、それぞれ記憶部23内に記憶されている信号品質の値に関する閾値を使用して、スレーブ装置2A、2Cからの信号の信号品質の値を検出して判定する。
【0039】
また、信号品質検出部22A、22Bは、それぞれ第1の信号品質検出部22A1、22B1と、第2の信号品質検出部22A2、22B2とを備える。
【0040】
第1の信号品質検出部22A1、22B1は、スレーブ装置2A、2Cからの信号のSQIに基づいて信号品質の値を判定する機能ブロックである。
【0041】
SQI(Signal Quality Indicator)は、信号の品質を定量化した数値であり、例えば、複数段階の整数値によって規定されている。このようなSQIは、通信部21、信号品質検出部22A等の機能ブロックを実現する通信用ICの機能として実装されていてもよい。特に、SQIは、通信の物理層レベルで判定される数値であってよい。あるいは、SQIは、信号のS/N比に基づく値であってもよい。
【0042】
第2の信号品質検出部22A2、22B2は、スレーブ装置2A、2Cからの信号の信号エラーに基づいて信号品質の値を判定する機能ブロックである。具体的には、第2の信号品質検出部22A2、22B2は、例えば、一定時間(例えば、1時間)内に、スレーブ装置2A、2Cからの信号に含まれたエラーフレームの受信回数の値(信号品質の値)に基づいて信号品質の値の判定を行う。
【0043】
エラーフレームとは、エラーを有する通信フレームを示している。また、このようなエラーフレームが、例えば、スレーブ装置2Cからスレーブ装置2Bへの信号に含まれていた場合、スレーブ装置2Bからスレーブ装置2Cへの再送要求などに応じて、同じ信号がスレーブ装置2Cからスレーブ装置2Bに送信されることにより、このエラーフレームの信号エラーを解消することができる、軽微な通信エラーがスレーブ装置2B、2C間で生じる場合をいう。つまり、第2の信号品質検出部22A2、22B2は、再送要求などを行って同じ信号を再送させる場合には、軽微な通信エラーの発生回数の値に基づいて信号品質の値の判定を行い、再送要求などを行わずに同じ信号を再送させない場合には、エラーフレームの受信回数の値(信号品質の値)に基づいて信号品質の値の判定を行う。
【0044】
記憶部23は、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等の補助記憶装置であり、制御部24で実行される各種の処理プログラムを記憶する。また、記憶部23は、情報処理装置3から設定される信号品質の値に関する閾値を予め記憶する。尚、この説明以外に、例えば、スレーブ装置2A~2Dの工場出荷時に上記閾値を記憶部23にプリセットする構成でもよい。
【0045】
また、上記閾値には、SQIに関する第1の閾値と、エラーフレームの受信回数に関する第2の閾値とが含まれている。
【0046】
制御部24は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含み、情報処理に応じて各構成要素の制御を行う機能ブロックである。また、制御部24は、信号品質の値が上記閾値を下回ったことを信号品質検出部22A、22Bが検出した場合に、通信部21を通じて、マスタ装置1を介してスレーブ装置2A、2Cに対して、信号品質の値が閾値を下回った旨の情報を含む通知を行い、スレーブ装置2A、2Cがスレーブ装置2Bに送信する信号の振幅を大きくさせる。
【0047】
§3 動作例
<設定動作>
まず、
図3も参照して、閾値の設定動作について説明する。
図3は、上記スレーブ装置に設けられた記憶部への閾値の設定動作を示すフローチャートである。
【0048】
ステップS101で、情報処理装置3では、管理者の操作に基づいて、SQIについての第1の閾値と、エラーフレームの受信回数についての第2の閾値が選定される。そして、情報処理装置3では、管理者の操作に基づいて、選定された第1及び第2の閾値が、例えば、スレーブ装置2Bの記憶部23に格納されて、これらの第1及び第2の閾値の設定動作が完了される。
【0049】
尚、上記の説明以外に、HMIの機能、つまり表示装置4のタッチパネル機能を用いて、第1及び第2の閾値をスレーブ装置2Bに設定する構成でもよい。
【0050】
<振幅変更動作>
次に、
図4及び
図5も参照して、本実施形態のネットワークシステム100での振幅変更動作について具体的に説明する。
図4は、上記信号品質検出部の動作例を示すフローチャートである。
図5は、上記ネットワークシステムにおいて、第2のスレーブ装置から第1のスレーブ装置への信号の振幅を変化させる前後での信号を模式的に説明する図である。
【0051】
なお、以下の説明では、スレーブ装置2C(第2のスレーブ装置)がスレーブ装置2B(第1のスレーブ装置)に送信する信号の振幅を大きくさせる場合を例示して説明する。
【0052】
初めにステップS1で、スレーブ装置2Bにおいて、第1の信号品質検出部22B1は、スレーブ装置2Cからの信号のSQIを読み出す。次にフローはステップS2に進む。
【0053】
ステップS2で、第1の信号品質検出部22B1は、読み出したSQIが記憶部23に記憶されている第1の閾値以下であるか否かについて判別する。第1の閾値以下でない場合(S2でNO)、ステップS1に進み、それ以外の場合(S2でYES)、ステップS3に進む(ステップS2)。
【0054】
ステップS3で、第2の信号品質検出部22B2は、上記一定時間内に、スレーブ装置2Cからの信号のエラーフレームの受信回数が記憶部23に記憶されている第2の閾値以上であるか否かについて判別する。第2の閾値以上でない場合(S3でNO)、ステップS1に進み、それ以外の場合(S3でYES)、ステップS4に進む(ステップS3)。
【0055】
ステップS4で、スレーブ装置2Bにおいて、スレーブ装置2Cからの信号の信号品質の値が記憶部23に記憶されている閾値を下回ったことを信号品質検出部22Bが検出して、制御部24に通知する。そして、制御部24は、マスタ装置1に対して、スレーブ装置2Cからの信号のSQIが第1の閾値以下となり、当該信号のエラーフレームの受信回数が第2の閾値以上となった旨の情報を含む通知を行う。次にフローはステップS5に進む。
【0056】
ステップS5で、マスタ装置1は、スレーブ装置2Bからの通知に基づいて、信号のSQIが第1の閾値以下となり、当該信号のエラーフレームの受信回数が第2の閾値以上となったスレーブ装置2Cを特定する。具体的には、マスタ装置1は、上記通知に含まれている、スレーブ装置2Cを特定するための情報(例えば、スレーブ装置2CのIPアドレス)を取得して、当該スレーブ装置2Cを特定する。次にフローはステップS6に進む。
【0057】
ステップS6で、マスタ装置1は、スレーブ装置2Cに対して、スレーブ装置2Bへの信号の振幅を大きくするように指示する。次にフローはステップS7に進む。
【0058】
ステップS7で、スレーブ装置2Cは、マスタ装置1からの指示に従って、スレーブ装置2Bに送信する信号の振幅を大きくする。これにより、本実施形態のネットワークシステム100では、スレーブ装置2Cからスレーブ装置2Bへの信号の耐ノイズ性を向上させて、ノイズに起因する信号品質の値の低下による、スレーブ装置2Cの停止を防ぐことができる。
【0059】
図5に模式的に示すように、スレーブ装置2Cは、例えば、通常振幅2V(+1V~-1V)の信号をスレーブ装置2Bに向けて送信し、スレーブ装置2Bは、振幅1V(+0.5V~-0.5V)の信号を受信する。ここで、スレーブ装置2B、2C間の通信ケーブルにノイズが混入した場合、ノイズに起因する波形歪みが生じ、通信品質の値の低下の原因となり得る。
【0060】
一方、マスタ装置1からの上記指示を受信した場合、スレーブ装置2Cは、例えば
図5に示すように、振幅を2倍となるように大きくして、振幅4V(+2V~-2V)の信号をスレーブ装置2Bに向けて送信し、スレーブ装置2Bは、振幅2V(+1V~-1V)の信号を受信する。すると、スレーブ装置2B、2C間の通信の耐ノイズ性が向上する。この結果、スレーブ装置2B、2Cの間の通信を正常に行うことができる。次にフローはステップS8に進む。
【0061】
図4に戻って、ステップS8で、マスタ装置1は、例えば、イベントログを使用して、管理者(ユーザ)に対して、スレーブ装置2Cがスレーブ装置2Bへの信号の振幅を大きくしていることを通知する。これにより、ユーザは、スレーブ装置2Cからスレーブ装置2Bへの信号の信号品質の値が低下していることを把握することができる。更に、ユーザは、スレーブ装置2Cの信号品質の値の改善を図ることが可能となる。
【0062】
尚、上記の説明以外に、表示装置4が、スレーブ装置2Cがスレーブ装置2Bへの信号の振幅を大きくしていることを表示して、ユーザに通知する構成でもよい。
【0063】
<復帰動作>
次に、
図6も参照して、本実施形態のネットワークシステム100での復帰動作について具体的に説明する。
図6は、上記ネットワークシステムにおいて、信号の振幅を大きくさせた後に通常状態に復帰させる動作例を示すフローチャートである。
【0064】
ステップS102で、ユーザは、マスタ装置1または表示装置4からの通知でスレーブ装置2Cがスレーブ装置2Bへの信号の振幅を大きくしていることを知る。次にフローはステップS103に進む。
【0065】
ステップS103で、ユーザが、スレーブ装置2Cの信号品質の値の低下の原因を調査し、対策を施したか否かが判別される。施していなければ(S103でNO)、ステップS103に戻り、それ以外の場合(S103でYES)、ステップS104に進む(ステップS103)。
【0066】
ステップS104で、ユーザが、情報処理装置3を操作することにより、スレーブ装置2Cに対して、スレーブ装置2Bへの信号の振幅を通常の大きさの振幅に戻して、通常の動作状態とするように指示する。これにより、スレーブ装置2Cでは、スレーブ装置2Bへの信号の振幅を通常の値になるように小さくして、当該スレーブ装置2Bに対する信号の送信を通常の動作状態で行う。
【0067】
以上のように、本実施形態のネットワークシステム100では、第1のスレーブ装置において、信号品質の値が閾値を下回ったことを信号品質検出部22A、22Bが検出した場合に、第2のスレーブ装置が当該第1のスレーブ装置に送信する信号の振幅を大きくさせる。この結果、
図5に例示したように、第2のスレーブ装置から第1のスレーブ装置への信号の耐ノイズ性を向上させることができる。
【0068】
従って、本実施形態では、従来技術であればノイズに起因する信号品質の値の低下が発生するような場合でも、信号品質の値の低下の発生を防ぐことができ、更には、ネットワークの通信をダウン、つまりネットワークシステム100をダウンさせることなく、当該ネットワークシステム100が適用された生産設備などを継続して稼働させることができる。
【0069】
また、本実施形態では、信号品質の値の低下が発生した場合に、第2のスレーブ装置が停止することなく、当該第2のスレーブ装置から第1のスレーブ装置への信号の振幅を大きくさせることにより、ネットワークの稼働をできる限り維持する。このため、本実施形態では、生産設備などの生産効率が低下するのを防ぎつつ、生産設備などの立ち上げ時(ネットワークシステム100の適用時)、あるいは第2のスレーブ装置の不具合調査(予兆保全などの調査)の際に、上記信号品質の値の低下の原因を容易に把握することが可能となる。
【0070】
すなわち、本実施形態によれば、ノイズ対策が万全ではない、生産システムの立ち上げ時などにおいても、ネットワークでの通信を維持し生産システムを稼働させた状態とすることができる。そうして生産システムを稼働させた状態で、その信号品質の値の低下の原因を調査することによって、ノイズ対策を容易に施すことができるようになる。
【0071】
また、本実施形態では、上記従来技術と異なり、信号品質の値の低下が発生した場合でも、第2のスレーブ装置が停止しないので、当該信号品質の値の低下の原因をより簡単に把握することができる。
【0072】
また、本実施形態では、
図6に例示したように、信号品質の値の低下が発生している期間のみ、第2のスレーブ装置から第1のスレーブ装置への信号の振幅を大きくさせている。このため、常時、信号の振幅を大きくする場合に比べて、スレーブ装置2A~2Dの各消費電力、ひいてはネットワークシステム100全体の消費電力を抑えることができるとともに、EMI(Electromagnetic Interference)及びコンプライアンスに優れたネットワークシステムを提供することができる。
【0073】
また、本実施形態では、
図6のステップS103に例示したように、ユーザが対策を施すまでの間、第2のスレーブ装置自身が第1のスレーブ装置に送信する信号の耐ノイズ性を向上させているので、当該第2のスレーブ装置や第1のスレーブ装置での突発的な停止の発生を容易に防ぐことができる。つまり、本実施形態では、ノイズによるスレーブ装置の停止のリスクを大幅に低減することができる。
【0074】
なお、上記の説明では、信号品質検出部22A、22Bが第1の信号品質検出部22A1、22B1と第2の信号品質検出部22A2、22B2を備える構成について説明したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、第1の信号品質検出部22A1、22B1及び第2の信号品質検出部22A2、22B2のうち少なくともいずれかを備えるものであればよい。
【0075】
また、上記の説明では、
図4にステップS2及びS3にて示したように、SQIが第1の閾値以下、かつ、エラーフレームの受信回数が第2の閾値以上となった場合に、制御部24は、マスタ装置1を介してスレーブ装置2Cに対して、信号品質の値が閾値を下回った旨の情報を含む通知を行い、スレーブ装置2Cがスレーブ装置2Bに送信する信号の振幅を大きくさせる場合を説明した。
【0076】
しかしながら、本実施形態はこれに限定されるものではなく、SQIが第1の閾値以下、及びエラーフレームの受信回数が第2の閾値以上の少なくとも一方となった場合に、制御部24は、上記通知を行い、スレーブ装置2Cがスレーブ装置2Bに送信する信号の振幅を大きくさせる構成でもよい。
【0077】
また、上記の説明以外に、例えば、無線形式の信号伝達システムを用いて、第1のスレーブ装置が、マスタ装置1に対して、信号品質の値が閾値を下回った旨の情報を含む通知を行う構成でもよい。
【0078】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0079】
本実施形態と上記実施形態との主な相違点は、制御部24が直接第2のスレーブ装置に対して、信号品質の値が閾値を下回った旨の情報を含む通知を行う点である。
【0080】
すなわち、本実施形態では、例えば、スレーブ装置2B(第1のスレーブ装置)において、スレーブ装置2C(第2のスレーブ装置)からの信号の信号品質の値が閾値を下回ったことを信号品質検出部22Bが検出した場合に、制御部24は、通信部21を通じて、直接スレーブ装置2Cに対して、信号品質の値が閾値を下回った旨の情報を含む通知を行い、スレーブ装置2Cがスレーブ装置2Bに送信する信号の振幅を大きくさせる。
【0081】
ここで、
図7を用いて、本実施形態のネットワークシステム100での動作例について具体的に説明する。
図7は、本開示の実施形態2に係るネットワークシステムの信号品質検出部の動作例を示すフローチャートである。
【0082】
本実施形態では、上記実施形態1と同様に、ステップS1~S3の動作が行われ、ステップS3でYESの場合にフローはステップS9に進む。
【0083】
ステップS9で、スレーブ装置2Bにおいて、スレーブ装置2Cからの信号の信号品質の値が記憶部23に記憶されている閾値を下回ったことを信号品質検出部22Bが検出して、制御部24に通知する。そして、制御部24は、スレーブ装置2Cに対して、当該スレーブ装置2Cからの信号のSQIが第1の閾値以下となり、当該信号のエラーフレームの受信回数が第2の閾値以上となった旨の情報を含む通知を直接的に行う。次にフローはステップS10に進む。
【0084】
ステップS10で、スレーブ装置2Cは、スレーブ装置2Bからの通知に従って、当該スレーブ装置2Bに送信する信号の振幅を大きくする。これにより、本実施形態のネットワークシステム100では、スレーブ装置2Cからスレーブ装置2Bへの信号の耐ノイズ性を向上させて、ノイズに起因する信号品質の値の低下がスレーブ装置2B、2Cの間の通信に発生した場合でも、スレーブ装置2Cの停止を防ぐことができる。次にフローはステップS11に進む。
【0085】
ステップS11で、スレーブ装置2Cは、例えば、当該スレーブ装置2Cに設けられたステータス表示部(図示せず)を用いて、ユーザに対して、当該スレーブ装置2Cがスレーブ装置2Bへの信号の振幅を大きくしていることを通知する。次にフローはステップS12に進む。
【0086】
ステップS12で、マスタ装置1は、例えば、イベントログを使用して、ユーザに対して、スレーブ装置2Cがスレーブ装置2Bへの信号の振幅を大きくしていることを通知する。
【0087】
以上のように、本実施形態では、上記実施形態1と同様な効果を奏する。
【0088】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。
【0089】
本実施形態と上記実施形態との主な相違点は、第1のスレーブ装置から第2のスレーブ装置への上記通知には、更に信号品質の値の情報を含み、制御部24は、信号品質の値に対応させて、第2のスレーブ装置が第1のスレーブ装置に送信する信号の振幅を大きくさせる点である。
【0090】
<設定動作>
以下、
図8~
図10を用いて、本実施形態のネットワークシステム100での設定動作について具体的に説明する。
図8は、本開示の実施形態3に係るネットワークシステムにおいて、スレーブ装置に設けられた記憶部への閾値の設定動作を示すフローチャートである。
図9は、上記記憶部に設定される複数の第1の閾値の具体例を説明する図である。
図10は、上記記憶部に設定される複数の第2の閾値の具体例を説明する図である。
【0091】
ステップS105で、例えば、スレーブ装置2Bにおいて、その記憶部23には、SQIについての複数の第1の閾値Ts1、Ts2、Ts3、Ts4と、エラーフレームの受信回数についての複数の第2の閾値Te1、Te2、Te3、Te4と、が情報処理装置3から設定されて記憶される。
【0092】
具体的には、
図9に例示するように、第1の閾値Ts1、Ts2、Ts3、Ts4として、それぞれSQI「8」、「5」、「3」、「1」が設定される。
【0093】
また、
図10に例示するように、第2の閾値Te1、Te2、Te3、Te4として、それぞれエラーフレームの受信回数の値「3」、「5」、「7」、「10」が設定される。
【0094】
<振幅変更動作>
次に、
図11及び
図12も参照して、本実施形態のネットワークシステム100での振幅変更動作について具体的に説明する。
図11は、本開示の実施形態3に係るネットワークシステムの信号品質検出部の動作例を示すフローチャートである。
図12は、上記ネットワークシステムにおいて、第2のスレーブ装置から第1のスレーブ装置への信号の振幅の大きさの具体例を説明する図である。
【0095】
本実施形態では、上記実施形態1と同様に、ステップS1の動作が行われた後、フローはステップS13に進む。
【0096】
ステップS13で、第1の信号品質検出部22B1は、読み出したSQIが記憶部23に記憶されているいずれかの第1の閾値以下であるか否かについて判別する。いずれかの第1の閾値以下でない場合(S13でNO)、ステップS1に進み、それ以外の場合(S13でYES)、ステップS14に進む(ステップS13)。
【0097】
ステップS14で、第2の信号品質検出部22B2は、上記一定時間内に、スレーブ装置2Cからの信号のエラーフレームの受信回数が記憶部23に記憶されているいずれかの第2の閾値以上であるか否かについて判別する。いずれかの第2の閾値以上でない場合(S14でNO)、ステップS1に進み、それ以外の場合(S14でYES)、ステップS15に進む(ステップS14)。
【0098】
ステップS15で、スレーブ装置2Bにおいて、スレーブ装置2Cからの信号の信号品質の値が記憶部23に記憶されている閾値を下回ったことを信号品質検出部22Bが検出して、制御部24に通知する。そして、制御部24は、マスタ装置1に対して、スレーブ装置2Cからの信号のSQIがいずれかの第1の閾値(例えば、第1の閾値Ts1)以下となり、当該信号のエラーフレームの受信回数が第2の閾値(例えば、第2の閾値Te1)以上となった旨の情報を含む通知を行う。次にフローはステップS16に進む。
【0099】
ステップS16で、マスタ装置1は、スレーブ装置2Bからの通知に基づいて、信号のSQIが第1の閾値Ts1以下となり、当該信号のエラーフレームの受信回数が第2の閾値Te1以上となったスレーブ装置2Cを特定する。具体的には、マスタ装置1は、上記通知に含まれている、スレーブ装置2Cを特定するための情報(例えば、スレーブ装置2CのIPアドレス)を取得して、当該スレーブ装置2Cを特定する。次にフローはステップS17に進む。
【0100】
ステップS17で、マスタ装置1は、スレーブ装置2Cに対して、第1の閾値Ts1及び第2の閾値Te1に対応させてスレーブ装置2Bへの信号の振幅を大きくするように指示する。
【0101】
具体的にいえば、マスタ装置1は、
図12に例示したテーブルを参照して、信号の振幅について具体的な大きさを指示する。すなわち、マスタ装置1は、スレーブ装置2Bから第1の閾値Ts1以下となり、かつ、第2の閾値Te1以上となったことを通知されると、上記テーブルを参照して、スレーブ装置2Cに対して、通常時の振幅の105%の大きさでスレーブ装置2Bへの信号を送信するように指示する。次にフローはステップS18に進む。
【0102】
尚、上記テーブルの指示内容は、マスタ装置1において、予め設定されたり、情報処理装置3を介在させてユーザにより適宜設定されたりする。
【0103】
また、上記の説明以外に、例えば、第1の閾値と第2の閾値とで振幅の大きさを変更するとともに、いずれかの第1の閾値以下となり、いずれかの第2の閾値以上となったときに、マスタ装置1は、より信号品質の値が低下している場合での振幅の大きさを選択して指示する構成でもよい。すなわち、マスタ装置1は、例えば、第1の閾値Ts1以下となり、かつ、第2の閾値Te2以上となったことをスレーブ装置2Bから通知されると、第2の閾値Te2での振幅の大きさ(110%)を選択して、スレーブ装置2Cに指示する構成でもよい。
【0104】
ステップS18で、スレーブ装置2Cは、マスタ装置1からの指示に従って、スレーブ装置2Bに送信する信号の振幅を大きくする。これにより、本実施形態のネットワークシステム100では、実施形態1と同様に、スレーブ装置2Cからスレーブ装置2Bへの信号の耐ノイズ性を向上させて、ノイズに起因する信号品質の値の低下がスレーブ装置2B、2Cの間の通信に発生した場合でも、スレーブ装置2Cの停止を防ぐことができる。次にフローはステップS19に進む。
【0105】
ステップS19で、マスタ装置1は、例えば、イベントログを使用して、ユーザに対して、スレーブ装置2Cがスレーブ装置2Bへの信号の振幅を大きくしていることを通知する。これにより、ユーザは、スレーブ装置2Cからスレーブ装置2Bへの信号の信号品質の値が低下していることを把握することができる。更に、ユーザは、スレーブ装置2Cの信号品質の値の改善を図ることが可能となる。
【0106】
以上のように、本実施形態では、上記実施形態1と同様な効果を奏する。
【0107】
また、本実施形態では、複数の第1の閾値Ts1~Ts4と複数の第2の閾値Te1~Te4が信号品質の値として記憶部23に設定されている。また、制御部24は、信号品質の値に対応させて、第2のスレーブ装置が第1のスレーブ装置に送信する信号の振幅を大きくさせる。これにより、本実施形態では、ノイズに起因する信号品質の値の低下の程度に対応して、第2のスレーブ装置からの信号の振幅を適切に変更させることができる。
【0108】
〔ソフトウェアによる実現例〕
スレーブ装置2A~2Dの機能ブロック(特に、制御部24)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0109】
後者の場合、制御部24は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本開示の目的が達成される。
【0110】
上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを更に備えていてもよい。
【0111】
また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0112】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0113】
1 マスタ装置
2A~2D スレーブ装置
21 通信部
22A、22B 信号品質検出部
23 記憶部
24 制御部
100 ネットワークシステム