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特許7593155用紙搬送システム、画像形成システム、搬送方法、および用紙搬送プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】用紙搬送システム、画像形成システム、搬送方法、および用紙搬送プログラム
(51)【国際特許分類】
   B65H 43/04 20060101AFI20241126BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241126BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241126BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
B65H43/04
B41J29/38 302
G03G21/00 500
G03G21/14
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021016436
(22)【出願日】2021-02-04
(65)【公開番号】P2022119364
(43)【公開日】2022-08-17
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 拓
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-210536(JP,A)
【文献】特開2014-164011(JP,A)
【文献】特開2016-2756(JP,A)
【文献】特開2013-64901(JP,A)
【文献】特開2019-101105(JP,A)
【文献】特開2020-12856(JP,A)
【文献】特開平9-319260(JP,A)
【文献】特開2017-88378(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 43/04
B41J 29/38
G03G 21/00
G03G 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の用紙を収納する給紙トレイを含み、前記給紙トレイに収納した用紙を給紙する給紙部と、
少なくとも第1、および第2の排紙トレイ、ならびに前記給紙トレイから前記第1および第2の排紙トレイに至る搬送路を含み、前記搬送路に沿って、前記給紙トレイから給紙された用紙を搬送する搬送部と、
前記搬送路において用紙の搬送異常を検知する異常検知部と、
前記搬送路に配置され、搬送された用紙に対して、搬送方向に交差する方向に用紙を断裁する断裁部と、
前記搬送部を制御し、用紙を前記第1の排紙トレイに排出するジョブを実行しているときに、前記搬送路で搬送異常が発生した場合、前記搬送異常の起因となった起因紙よりも上流側で、前記搬送異常の発生時に搬送されていた後続の用紙を前記第2の排紙トレイに排出するプレパージを実行させる制御部と、を備え、
前記制御部は、前記プレパージを実行する際に、後続の前記用紙が所定種類の用紙として搬送方向の用紙長が所定値以上に長い長尺紙である場合に、前記断裁部により、後続の前記用紙を設定した断裁位置で、断裁させることで複数枚の分割紙に分割させ、および前記搬送部により、複数枚の前記分割紙それぞれを前記第2の排紙トレイに排出させ、
前記制御部は、いずれの前記分割紙も前記搬送部が搬送可能な最小の用紙長よりも長くなるように、前記断裁部による後続の前記用紙の前記断裁位置を設定し、
前記第2の排紙トレイは、複数であり、
前記制御部は、前記プレパージを実行する際に、後続の前記用紙を断裁することで生成された分割紙それぞれの排出先を、複数の前記第2の排紙トレイ間で切り替えて搬送させる、用紙搬送システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記分割紙の排出先を切り替えて搬送する際に、
同じ用紙長の前記分割紙を、同じ第2の排紙トレイに排出する、または、異なる用紙長の前記分割紙を、異なる第2の排紙トレイに排出する、請求項に記載の用紙搬送システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記分割紙の排出先を切り替えて搬送する際に、
前記分割紙毎に、画像形成部で画像が形成されたか否かを判定し、画像が形成された用紙と、画像が形成されていない用紙を、異なる第2の排紙トレイに排出する、請求項に記載の用紙搬送システム。
【請求項4】
前記第2の排紙トレイそれぞれに、積載枚数の制約があり、
前記制御部は、前記プレパージを実行する際に、前記積載枚数の制約に応じて、複数の前記第2の排紙トレイ間で切り替えて搬送させる、請求項1から請求項のいずれかに記載の用紙搬送システム。
【請求項5】
前記断裁部は、2回以上の断裁処理により1枚の用紙を3枚以上の分割紙に分割可能であり、
前記制御部は、複数の第2の排紙トレイそれぞれを排出先に設定した場合の断裁回数を見積もり、最も断裁回数が少ない第2の排紙トレイを排出先として設定する、請求項1から請求項のいずれかに記載の用紙搬送システム。
【請求項6】
複数枚の用紙を収納する給紙トレイを含み、前記給紙トレイに収納した用紙を給紙する給紙部と、
少なくとも第1、および第2の排紙トレイ、ならびに前記給紙トレイから前記第1および第2の排紙トレイに至る搬送路を含み、前記搬送路に沿って、前記給紙トレイから給紙された用紙を搬送する搬送部と、
前記搬送路において用紙の搬送異常を検知する異常検知部と、
前記搬送路に配置され、搬送された用紙に対して、搬送方向に交差する方向に用紙を断裁する断裁部と、
前記搬送部を制御し、用紙を前記第1の排紙トレイに排出するジョブを実行しているときに、前記搬送路で搬送異常が発生した場合、前記搬送異常の起因となった起因紙よりも上流側で、前記搬送異常の発生時に搬送されていた後続の用紙を前記第2の排紙トレイに排出するプレパージを実行させる制御部と、を備え、
前記制御部は、前記プレパージを実行する際に、後続の前記用紙が所定種類の用紙として搬送方向の用紙長が所定値以上に長い長尺紙である場合に、前記断裁部により、後続の前記用紙を設定した断裁位置で、断裁させることで複数枚の分割紙に分割させ、および前記搬送部により、複数枚の前記分割紙それぞれを前記第2の排紙トレイに排出させ、
前記制御部は、いずれの前記分割紙も前記搬送部が搬送可能な最小の用紙長よりも長くなるように、前記断裁部による後続の前記用紙の前記断裁位置を設定
さらに、ユーザーによる設定を受け付ける設定受付部を備え、
前記第2の排紙トレイは、複数であり、
前記制御部は、前記プレパージの際に、前記設定受付部により受け付けた第2の排紙トレイに、前記断裁した後の用紙を排出させる、用紙搬送システム。
【請求項7】
前記制御部は、さらに、前記搬送路における、前記起因紙の停止位置、前記断裁部の配置位置、および前記第2の排紙トレイに至る経路から前記プレパージにおける前記断裁を実行するか否かを判定する、請求項1から請求項のいずれかに記載の用紙搬送システム。
【請求項8】
前記所定値は、前記第2の排紙トレイに排出可能な用紙長を超える長さである、請求項1から請求項のいずれかに記載の用紙搬送システム。
【請求項9】
前記制御部は、断裁した後の用紙長が、前記第2の排紙トレイに排出可能な用紙長の制約を満たすように、前記断裁部による後続の前記用紙の断裁位置を設定する、請求項1から請求項のいずれかに記載の用紙搬送システム。
【請求項10】
ユーザーによる設定を受け付ける設定受付部を備え、
前記制御部は、前記プレパージの際に、前記設定受付部により受け付けた、前記断裁部による用紙を断裁する位置、または前記断裁部により断裁されることで複数枚に分割される分割紙の搬送方向の長さで、前記断裁部による断裁処理を実行させる、請求項1から請求項9のいずれかに記載の用紙搬送システム。
【請求項11】
前記搬送路には、プレパージにおいて用いる一時停止ポイントが複数設定されており、
前記制御部は、前記断裁部によって用紙に断裁処理を実行しているときに、前記用紙に後続する用紙を、前記一時停止ポイントで停止させる、請求項1から請求項10のいずれかに記載の用紙搬送システム。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれかに記載の用紙搬送システムと、
搬送路を搬送された用紙に画像形成する画像形成部と、
を備える画像形成システム。
【請求項13】
複数枚の用紙を収納する給紙トレイを含み、前記給紙トレイに収納した用紙を給紙する給紙部と、
少なくとも第1、および第2の排紙トレイ、ならびに前記給紙トレイから前記第1および第2の排紙トレイに至る搬送路を含み、前記搬送路に沿って、前記給紙トレイから給紙された用紙を搬送する搬送部と、
前記搬送路において用紙の搬送異常を検出する異常検知部と、
前記搬送路に配置され、搬送された用紙に対して、搬送方向に交差する方向に用紙を断裁する断裁部と、
を備える用紙搬送システムで実行される用紙の搬送方法であって、
前記搬送部を制御し、用紙を前記第1の排紙トレイに排出するジョブを実行するステップ(a)と、
前記ジョブを実行しているときに前記搬送路で搬送異常を検出するステップ(b)と、
搬送異常が発生した場合、前記搬送異常の起因となった起因紙よりも上流側で、前記搬送異常の発生時に搬送されていた後続の用紙を前記第2の排紙トレイに排出するプレパージを実行するステップ(c)と、を含み、
前記ステップ(c)は、
前記プレパージを実行する際に、後続の前記用紙が所定種類の用紙として搬送方向の用紙長が所定値以上に長い長尺紙である場合に、断裁処理を実行すると判定し、および断裁位置を設定するステップ(c1)と、
前記ステップ(c1)で断裁処理を実行すると判定した場合に、前記断裁位置で前記断裁部により、前記用紙を断裁することで複数枚の分割紙に分割し、複数枚の前記分割紙それぞれを前記第2の排紙トレイに排出させるステップ(c2)を含み、
前記ステップ(c1)では、いずれの前記分割紙も前記搬送部が搬送可能な最小の用紙長よりも長くなるように、前記断裁部による後続の前記用紙の前記断裁位置を設定し、
前記第2の排紙トレイは、複数であり、
前記ステップ(c)では、前記プレパージを実行する際に、後続の前記用紙を断裁することで生成された分割紙それぞれの排出先を、複数の前記第2の排紙トレイ間で切り替えて搬送させる、搬送方法。
【請求項14】
前記ステップ(c1)では、さらに、前記搬送路における、前記起因紙の停止位置、前記断裁部の配置位置、および前記第2の排紙トレイに至る経路から、前記断裁処理を実行するか否かを判定する、請求項13に記載の搬送方法。
【請求項15】
複数枚の用紙を収納する給紙トレイを含み、前記給紙トレイに収納した用紙を給紙する給紙部と、
少なくとも第1、および第2の排紙トレイ、ならびに前記給紙トレイから前記第1および第2の排紙トレイに至る搬送路を含み、前記搬送路に沿って、前記給紙トレイから給紙された用紙を搬送する搬送部と、
前記搬送路において用紙の搬送異常を検出する異常検知部と、
前記搬送路に配置され、搬送された用紙に対して、搬送方向に交差する方向に用紙を断裁する断裁部と、
を備える用紙搬送システムを制御するコンピューターで実行される用紙搬送プログラムであって、
前記搬送部を制御し、用紙を前記第1の排紙トレイに排出するジョブを実行するステップ(a)と、
前記ジョブを実行しているときに前記搬送路で搬送異常を検出するステップ(b)と、
搬送異常が発生した場合、前記搬送異常の起因となった起因紙よりも上流側で、前記搬送異常の発生時に搬送されていた後続の用紙を前記第2の排紙トレイに排出するプレパージを実行するステップ(c)と、を含み、
前記ステップ(c)は、
前記プレパージを実行する際に、後続の前記用紙が所定種類の用紙として搬送方向の用紙長が所定値以上に長い長尺紙である場合に、断裁処理を実行すると判定し、および断裁位置を設定するステップ(c1)と、
前記ステップ(c1)で断裁処理を実行すると判定した場合に、前記断裁位置で前記断裁部により、前記用紙を断裁することで複数枚の分割紙に分割し、複数枚の前記分割紙それぞれを前記第2の排紙トレイに排出させるステップ(c2)を含み、
前記ステップ(c1)では、いずれの前記分割紙も前記搬送部が搬送可能な最小の用紙長よりも長くなるように、前記断裁部による後続の前記用紙の前記断裁位置を設定
前記第2の排紙トレイは、複数であり、
前記ステップ(c)では、前記プレパージを実行する際に、後続の前記用紙を断裁することで生成された分割紙それぞれの排出先を、複数の前記第2の排紙トレイ間で切り替えて搬送させる、処理を前記コンピューターに実行させるための用紙搬送プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙のジャム(搬送路での詰まり)が発生した場合に適切に対応する用紙搬送システム、画像形成システム、搬送方法、および用紙搬送プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
用紙搬送システムでは、用紙の搬送路においてジャムが発生した際、用紙の搬送を停止したり、ジャムの起因となったジャム起因紙をユーザーが取り除いたりする前に、ジャム起因紙以外のこれよりも搬送路上流側に位置していた用紙を排紙トレイまで搬送するプレパージという技術が知られている(例えば特許文献1)。プレパージが行われることにより、装置内に残存する用紙を減らすことができ、用紙の除去作業等のユーザーによるジャム処理負担を軽減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-101710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、プレパージは、ジャム起因紙を取り除く前に行うものであり、プレパージを行う時点では、ジャム起因紙がそれまでに使用していたメインの排紙トレイへの搬送経路を塞いでいる。そのためプレパージで使用する排紙トレイは、それまでに使用していた排紙トレイとは別の排紙トレイである。このパージ処理で一時的に用いる別の排紙トレイは、メインの排紙トレイに比べて、排出可能な用紙サイズや形状の適用範囲が狭い場合がある。このようにそれまでに使用していた排紙トレイよりも、プレパージで用いる別の排紙トレイの方の制約が厳しい場合には、プレパージが適切にできないおそれがある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、プレパージで用いる排紙トレイの制約がそれまでに用いていた排紙トレイの制約よりも厳しい場合であっても、適切にプレパージすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0007】
(1)複数枚の用紙を収納する給紙トレイを含み、前記給紙トレイに収納した用紙を給紙する給紙部と、
少なくとも第1、および第2の排紙トレイ、ならびに前記給紙トレイから前記第1および第2の排紙トレイに至る搬送路を含み、前記搬送路に沿って、前記給紙トレイから給紙された用紙を搬送する搬送部と、
前記搬送路において用紙の搬送異常を検知する異常検知部と、
前記搬送路に配置され、搬送された用紙に対して、搬送方向に交差する方向に用紙を断裁する断裁部と、
前記搬送部を制御し、用紙を前記第1の排紙トレイに排出するジョブを実行しているときに、前記搬送路で搬送異常が発生した場合、前記搬送異常の起因となった起因紙よりも上流側で、前記搬送異常の発生時に搬送されていた後続の用紙を前記第2の排紙トレイに排出するプレパージを実行させる制御部と、を備え、
前記制御部は、前記プレパージを実行する際に、後続の前記用紙が所定種類の用紙である場合に、前記断裁部により、前記用紙を断裁し、前記断裁した後の用紙を前記第2の排紙トレイに排出させる、用紙搬送システム。
【0008】
(2)前記制御部は、さらに、前記搬送路における、前記起因紙の停止位置、前記断裁部の配置位置、および前記第2の排紙トレイに至る経路から前記プレパージにおける前記断裁を実行するか否かを判定する、上記(1)に記載の用紙搬送システム。
【0009】
(3)前記所定種類の用紙は、搬送方向の用紙長が所定値以上に長い長尺紙である、上記(1)、または上記(2)に記載の用紙搬送システム。
【0010】
(4)前記所定値は、前記第2の排紙トレイに排出可能な用紙長を超える長さである、上記(3)に記載の用紙搬送システム。
【0011】
(5)前記制御部は、断裁した後の用紙長が、前記第2の排紙トレイに排出可能な用紙長の制約を満たすように、前記断裁部による後続の前記用紙の断裁位置を設定する、上記(3)、または上記(4)に記載の用紙搬送システム。
【0012】
(6)前記所定種類の用紙は、タブ紙、または封筒である、上記(1)、または上記(2)に記載の用紙搬送システム。
【0013】
(7)前記第2の排紙トレイは、複数であり、
前記搬送部は、前記断裁部により断裁されることで複数枚に分割された分割紙それぞれを搬送し、
前記制御部は、前記プレパージを実行する際に、後続の前記用紙を断裁することで生成された分割紙それぞれの排出先を、複数の前記第2の排紙トレイ間で切り替えて搬送させる、上記(1)から上記(5)のいずれかに記載の用紙搬送システム。
【0014】
(8)前記制御部は、いずれの前記分割紙も前記搬送部が搬送可能な最小の用紙長よりも長くなるように、前記断裁部による後続の前記用紙の断裁位置を設定する、上記(7)に記載の用紙搬送システム。
【0015】
(9)前記制御部は、前記分割紙の排出先を切り替えて搬送する際に、
同じ用紙長の前記分割紙を、同じ第2の排紙トレイに排出する、または、異なる用紙長の前記分割紙を、異なる第2の排紙トレイに排出する、上記(7)、または上記(8)に記載の用紙搬送システム。
【0016】
(10)前記制御部は、前記分割紙の排出先を切り替えて搬送する際に、
前記分割紙毎に、画像形成部で画像が形成されたか否かを判定し、画像が形成された用紙と、画像が形成されていない用紙を、異なる第2の排紙トレイに排出する、上記(7)から上記(8)のいずれかに記載の用紙搬送システム。
【0017】
(11)前記第2の排紙トレイそれぞれに、積載枚数の制約があり、
前記制御部は、前記プレパージを実行する際に、前記積載枚数の制約に応じて、複数の前記第2の排紙トレイ間で切り替えて搬送させる、上記(7)から上記(10)のいずれかに記載の用紙搬送システム。
【0018】
(12)前記断裁部は、2回以上の断裁処理により1枚の用紙を3枚以上の分割紙に分割可能であり、
前記制御部は、複数の第2の排出トレイそれぞれを排出先に設定した場合の断裁回数を見積もり、最も断裁回数が少ない第2の排出トレイを排出先として設定する、上記(7)から上記(11)のいずれかに記載の用紙搬送システム。
【0019】
(13)前記第2の排紙トレイは、積載用紙の形状に関する制約があり、
前記制御部は、前記プレパージを実行する際に、排出先の前記第2の排紙トレイの前記形状の制約に応じて、前記断裁部による用紙を断裁する位置、または断裁後の用紙の形状を決定する、上記(6)に記載の用紙搬送システム。
【0020】
(14)ユーザーによる設定を受け付ける設定受付部を備え、
前記制御部は、前記プレパージの際に、前記設定受付部により受け付けた、前記断裁部による用紙を断裁する位置、または前記断裁部により断裁されることで複数枚に分割される分割紙の搬送方向の長さで、前記断裁部による断裁処理を実行させる、上記(1)から上記(13)のいずれかに記載の用紙搬送システム。
【0021】
(15)ユーザーによる設定を受け付ける設定受付部を備え、
前記第2の排紙トレイは、複数であり、
前記制御部は、前記プレパージの際に、前記設定受付部により受け付けた第2の排紙トレイに、前記断裁した後の用紙を排出させる、上記(1)から上記(8)のいずれかに記載の用紙搬送システム。
【0022】
(16)前記搬送路には、プレパージにおいて用いる一時停止ポイントが複数設定されており、
前記制御部は、前記断裁部によって用紙に断裁処理を実行しているときに、前記用紙に後続する用紙を、前記一時停止ポイントで停止させる、上記(1)から上記(15)のいずれかに記載の用紙搬送システム。
【0023】
(17)上記(1)から上記(16)のいずれかに記載の用紙搬送システムと、
搬送路を搬送された用紙に画像形成する画像形成部と、
を備える画像形成システム。
【0024】
(18)複数枚の用紙を収納する給紙トレイを含み、前記給紙トレイに収納した用紙を給紙する給紙部と、
少なくとも第1、および第2の排紙トレイ、ならびに前記給紙トレイから前記第1および第2の排紙トレイに至る搬送路を含み、前記搬送路に沿って、前記給紙トレイから給紙された用紙を搬送する搬送部と、
前記搬送路において用紙の搬送異常を検出する異常検知部と、
前記搬送路に配置され、搬送された用紙に対して、搬送方向に交差する方向に用紙を断裁する断裁部と、
を備える用紙搬送システムで実行される用紙の搬送方法であって、
前記搬送部を制御し、用紙を前記第1の排紙トレイに排出するジョブを実行するステップ(a)と、
前記ジョブを実行しているときに前記搬送路で搬送異常を検出するステップ(b)と、
搬送異常が発生した場合、前記搬送異常の起因となった起因紙よりも上流側で、前記搬送異常の発生時に搬送されていた後続の用紙を前記第2の排紙トレイに排出するプレパージを実行するステップ(c)と、を含み、
前記ステップ(c)は、
前記プレパージを実行する際に、後続の前記用紙が所定種類の用紙である場合に、断裁処理を実行すると判定するステップ(c1)と、
前記ステップ(c1)で断裁処理を実行すると判定した場合に、前記断裁部により、前記用紙を断裁し、前記断裁した後の用紙を前記第2の排紙トレイに排出させるステップ(c2)を含む、搬送方法。
【0025】
(19)前記ステップ(c1)では、さらに、前記搬送路における、前記起因紙の停止位置、前記断裁部の配置位置、および前記第2の排紙トレイに至る経路から、前記断裁処理を実行するか否かを判定する、上記(18)に記載の搬送方法。
【0026】
(20)前記所定種類の用紙は、搬送方向の長さが所定値以上に長い長尺紙、タブ紙、または封筒である、上記(18)、または上記(19)に記載の搬送方法。
【0027】
(21)前記第2の排紙トレイは、複数であり、
前記搬送部は、前記断裁部により断裁されることで複数枚に分割された分割紙それぞれを搬送し、
前記ステップ(c)では、前記プレパージを実行する際に、後続の前記用紙を断裁することで生成された分割紙それぞれの排出先を、複数の前記第2の排紙トレイ間で切り替えて搬送させる、上記(18)から上記(20)のいずれかに記載の搬送方法。
【0028】
(22)複数枚の用紙を収納する給紙トレイを含み、前記給紙トレイに収納した用紙を給紙する給紙部と、
少なくとも第1、および第2の排紙トレイ、ならびに前記給紙トレイから前記第1および第2の排紙トレイに至る搬送路を含み、前記搬送路に沿って、前記給紙トレイから給紙された用紙を搬送する搬送部と、
前記搬送路において用紙の搬送異常を検出する異常検知部と、
前記搬送路に配置され、搬送された用紙に対して、搬送方向に交差する方向に用紙を断裁する断裁部と、
を備える用紙搬送システムを制御するコンピューターで実行される用紙搬送プログラムであって、
前記搬送部を制御し、用紙を前記第1の排紙トレイに排出するジョブを実行するステップ(a)と、
前記ジョブを実行しているときに前記搬送路で搬送異常を検出するステップ(b)と、
搬送異常が発生した場合、前記搬送異常の起因となった起因紙よりも上流側で、前記搬送異常の発生時に搬送されていた後続の用紙を前記第2の排紙トレイに排出するプレパージを実行するステップ(c)と、を含み、
前記ステップ(c)は、
前記プレパージを実行する際に、後続の前記用紙が所定種類の用紙である場合に、断裁処理を実行すると判定するステップ(c1)と、
前記ステップ(c1)で断裁処理を実行すると判定した場合に、前記断裁部により、前記用紙を断裁し、前記断裁した後の用紙を前記第2の排紙トレイに排出させるステップ(c2)を含む処理を前記コンピューターに実行させるための用紙搬送プログラム。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る用紙搬送システムは、断裁部と、搬送部を制御し、用紙を第1の排紙トレイに排出するジョブを実行しているときに、搬送路で搬送異常が発生した場合、搬送異常の起因となった起因紙よりも上流側で、搬送異常の発生時に搬送されていた後続の用紙を第2の排紙トレイに排出するプレパージを実行させる制御部と、を備え、制御部は、プレパージを実行する際に、後続の用紙が所定種類の用紙である場合に、断裁部により、用紙を断裁し、断裁した後の用紙を第2の排紙トレイに排出させる。これにより、プレパージで用いる排紙トレイの制約がそれまでに用いていた排紙トレイの制約よりも厳しい場合であっても、適切にプレパージできる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本実施形態に係る画像形成システムの概略構成を示す図である
図2】画像形成システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態における印刷処理を示すフローチャートである。
図4図3のステップS4の処理を示すサブルーチンフローチャートである。
図5】排紙ユニットでジャムが発生した場合の後続紙の位置と搬送路に設定した一時停止ポイントを示す図である。
図6】第1の実施形態における図4のステップS44の搬送処理を示すサブルーチンフローチャートである。
図7】第2の実施形態における図4のステップS44の搬送処理を示すサブルーチンフローチャートである。
図8】各後処理装置の構成を示す表である。
図9】後続紙1~3を断裁した後の分割紙の長さおよび排出先を示す表である。
図10】変形例における後続紙1~3を断裁した後の分割紙の長さおよび排出先を示す表である。
図11】第3の実施形態における図4のステップS44の搬送処理を示すサブルーチンフローチャートである。
図12】排出先を設定する設定画面の例である。
図13】分割用紙長を設定する設定画面の例である。
図14】排出先および分割用紙長のユーザー設定に従って、後続紙1~3を断裁した後の分割紙の長さおよび排出先を示す表である。
図15】第5の実施形態における図4のステップS44の搬送処理を示すサブルーチンフローチャートである。
図16】第5の実施形態における後続紙1~3を断裁した後の分割紙の長さおよび排出先を示す表である。
図17】第6の実施形態における後続紙1~3を断裁した後の分割紙の画像有無状態、長さおよび排出先を示す表である。
図18】タブ紙、およびタブ紙での断裁位置を示す模式図である。
図19】第7の実施形態における各後処理装置の構成を示す表である。
図20】タブ紙を用いた場合の後続紙1~3を断裁した後の分割紙の長さおよび排出先を示す表である。
図21】封筒、および封筒での断裁位置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。本明細書においては、ジャム発生時に搬送路を搬送中の残紙を排紙トレイに搬送、排出する処理をパージ(またはパージ処理)という。またパージのうち、ジャム起因紙がユーザーに取り除かれる前に、ジャム起因紙以外のこれよりも搬送路上流側に位置していた用紙をサブの排紙トレイ(パージトレイ)まで搬送する処理をプレパージという。なおプレパージ時には、ジャム起因紙の下流側を搬送していた用紙はそのままメインの排紙トレイに搬送される(製品として利用される)。
【0032】
(全体構成)
図1は、本実施形態に係る用紙搬送システムを含む画像形成システム1000の概略構成を示す図である。図2は、画像形成システム1000のハードウェア構成を示すブロック図である。図1図2に示すように画像形成システム1000は、給紙ユニット10、画像形成装置20、インサーターユニット30、画像検査ユニット40、パージユニット50、断裁ユニット60、および排紙ユニット70を含む。用紙90は給紙ユニット10、または画像形成装置20の給紙トレイから供給され、各装置の搬送部の搬送路を経由して、排紙トレイ58y、68y、78x、78yのいずれかに排出される。画像形成システム1000から、後述する画像形成部280を除いた構成が、用紙搬送システムに相当する。また、この場合、用紙の搬送方向において、用紙搬送システムの上流側に画像形成部280を備えた画像形成装置20が接続された構成であってもよい。
【0033】
ここで、排紙トレイ78xは「第1の排紙トレイ」として機能する。第1の排紙トレイは、いわゆるメイントレイであり、通常のプリント時は、主のこの排紙トレイ78xに排出される。第1の排紙トレイの制約条件は比較的緩く、排紙可能な用紙サイズは長尺紙まで対応可能であり、最大積載量も1000枚を超える。排紙トレイ58y、68y、78yは「第2の排紙トレイ」として機能する。また、本明細書中においては、排紙トレイ78y、68y、58yをそれぞれ第2の排紙トレイA、B、Cと称する場合もある(後述の図5等参照)。第2の排紙トレイは、いわゆるサブトレイであり、パージトレイとも称される。第2の排紙トレイは、ジャム発生直後に行うプレパージの際に用いられる。その際に用いられる、第2の排紙トレイは、搬送路におけるジャム起因紙の停止位置に応じて、適宜選択される。第2の排紙トレイの制約条件は、第1の排紙トレイに比べて厳しく、排出可能な用紙サイズは小さく、最大積載量も少ない。
【0034】
(給紙ユニット10)
給紙ユニット10は、図1図2に示すように、制御部110、記憶部120、給紙部130、搬送部140、異常検知部150、および通信部190を備える。
【0035】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)と、メモリーを有する。CPUは、プログラムにしたがって上記各部の制御や各種の演算処理を実行するマルチコアのプロセッサ等から構成される制御回路であり、給紙ユニット10の各機能は、それに対応するプログラムをCPUが実行することにより発揮される。メモリーは、作業領域として一時的にプログラムおよびデータを記憶する高速アクセス可能な主記憶装置である。メモリーには、例えば、DRAM(Dymamic Random Access Memory)、SDRAM(Synchronous Dymamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)等が採用される。
【0036】
記憶部120は、オペレーティングシステムを含む各種プログラムや各種データを格納する大容量の補助記憶装置である。ストレージには、例えば、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、フラッシュメモリー、ROM(Read Only Memory)等が採用される。
【0037】
給紙部130は、複数の給紙トレイを備える。給紙トレイに収納された用紙90を、1枚ずつ給紙し、搬送部140に送る。給紙ユニット10の給紙部130は、長尺の用紙を収納および給紙可能である。長尺紙(長尺シート)とは、長手方向(搬送方向)の用紙長が所定値以上の用紙であり、一般の定型サイズの用紙よりも長い用紙である。この定型サイズは、例えば19inch(約482mm)である。長尺紙としては、例えば、長手方向の長さが488mm以上、あるいは後述の最大用紙長(487.7mm、または762.0mm)を超える長さの用紙を長尺紙としている。給紙部130が対応可能な長尺紙としては、例えば長手方向の長さが最大1200mmまでの用紙を用いることができる。
【0038】
搬送部140は、装置内の搬送路に配置した複数の搬送ローラーと駆動モータ(図示せず)を備え、給紙部130の各給紙トレイから給紙された用紙を、装置内の搬送路を経由して、画像形成装置20に搬送する。
【0039】
異常検知部150は、光学式のセンサー、またはこれとアクチュエーターにより構成され、搬送路を搬送される用紙90の有無を検知する。異常検知部150は、給紙部130の給紙時、および搬送部140の搬送時における、用紙90の搬送異常(搬送ジャムともいう)を検知する。具体的には、制御部110は、異常検知部150により所定タイミングで用紙90が検出されない、あるいは検出され続ける場合に搬送異常が発生したと判定する。
【0040】
通信部190は、画像形成装置20その他の装置と通信するためのインターフェースである。給紙ユニット10は、通信部190を介して、画像形成装置20その他の装置との間で、各種設定値や動作タイミング制御に必要な各種情報等の送受信を行う。
【0041】
(画像形成装置20)
画像形成装置20は、制御部210、記憶部220、給紙部230、搬送部240、異常検知部250、画像読取部260、操作表示部270、画像形成部280、および通信部290を備える。画像形成装置20から、画像形成部280を除いた構成が、用紙搬送装置に相当する。
【0042】
これらのうち、制御部210、記憶部220、給紙部230、搬送部240、異常検知部250、および通信部290は、それぞれ、上述の給紙ユニット10の制御部110、記憶部120、給紙部130、搬送部140、異常検知部150、および通信部190と対応する構成を備える。これらの説明は省略する。なお、制御部210は、他のユニット10、30~70の制御部と協働することで、画像形成システム1000全体の制御を統括する。例えば、プレパージする際に、他のユニットと連携することで、画像形成システム1000内の搬送路に滞留した用紙90の搬送、排紙を制御する。
【0043】
画像読取部260は本体の上部に配置され、ADFで搬送した原稿、または原稿ガラスに載置した原稿を読み取って画像データを生成する。画像読取部260は、センサーアレイ、光学系、LED(Light Emitting Diode)光源、原稿ガラス、およびこれらを収納する筐体を備える。センサーアレイは、複数の光学素子(例えばCCD(Charge Coupled Device))を主走査方向に沿ってライン状に配置したものであり、用紙90の幅方向における全幅の範囲を読み取り可能なカラーラインセンサーである。光学系は、複数のミラーとレンズから構成される。LED光源からの光は、原稿ガラスを透過し、読取位置を通過する用紙90の表面を照射する。読取位置の像は、光学系により導かれ、センサーアレイ上に結像する。なお、後述する画像検査ユニット40の画像読取部461、462も同様の構成により、搬送路を搬送される用紙90の表面に形成された画像を読み取って画像データを生成する機能を有する。
【0044】
操作表示部270は、タッチパネル、テンキー、スタートボタン、ストップボタン等を備えており、各種情報の表示および各種指示の入力に使用される。操作表示部270を介してユーザーは、給紙ユニット10および画像形成装置20それぞれの給紙トレイに収納した用紙のサイズ、種類等の用紙情報を設定できる。また、操作表示部270は設定受付部としても機能し、この操作表示部270を通じて、ユーザーは、プレパージの際に用いる排紙トレイを選択したり、断裁する際の用紙長を設定したりできる(後述の図12図13)。
【0045】
画像形成部280は、給紙ユニット10から搬送された用紙90、または自装置の給紙部230の給紙トレイから給紙、搬送した用紙90に対して画像を形成する。画像形成部280は、例えば、帯電、露光、現像、転写、および定着の各工程を含む電子写真方式の周知の作像プロセスを用いて用紙90にカラー画像を形成する。
【0046】
(インサーターユニット30、画像検査ユニット40)
インサーターユニット30および画像検査ユニット40は、ともに、他の装置と同様の制御部、記憶部、搬送部340、440、異常検出部350、450(図1参照)および通信部を備える(一部の構成部材は図示せず)。これらの構成部材は上述の給紙ユニット10、または画像形成装置20の対応する構成部材と同等の機能を有するため、説明を省略する。
【0047】
また、インサーターユニット30は、用紙挿入部360(図1参照)を備え、搬送路に用紙90を搬送する。例えば、複数枚の用紙からなる冊子を形成する場合に、章分けするために用紙間に用紙挿入部360から搬送した色紙等の用紙90を挿入紙として搬送する。
【0048】
画像検査ユニット40は、上流側の画像形成装置20で画像形成された用紙90を検査する。具体的には、画像検査ユニット40は、搬送路の上方に配置した表面読み取り用の画像読取部461と、搬送路の下方に配置した裏面読み取り用の画像読取部462を備える。そして、搬送路を搬送された用紙90上に形成された画像を読み取って画像データを生成する。画像検査ユニット40の制御部、または画像形成装置20の制御部210は、読み取ったこの画像データを正解画像(例えば印刷用の印刷データ)と比較することで、画像の形成位置、画像濃度、色味の各品質基準を満たさない画像異常が発生したか否かを判定する。
【0049】
(パージユニット50)
パージユニット50は、パージ処理時に用紙の排出を行う。パージユニット50は、反転ユニットとも称され、用紙反転部560を有し、このスイッチバック搬送路で用紙90の表裏を判定させて、後段の装置に搬送する。表裏反転させることで排紙トレイに排出される用紙90をフェイスアップ状態からファイスダウン状態に切り替える。排紙トレイ排出部580は、排紙トレイ58yを含み、この排紙トレイ58yへ用紙90の排出を行う。搬送経路の切り替え、すなわち、排紙トレイ58y、用紙反転部560のスイッチバック搬送路、またはストレート搬送路の切り替えは、ソレノイド、アクチュエーター等を備える搬送経路選択部570により行われる。
【0050】
パージユニット50は、以上説明したこれらの用紙反転部560、搬送経路選択部570、および排紙トレイ排出部580の他に、制御部510、記憶部520、搬送部540、異常検知部550、および通信部590を備える。これらの構成部材は上述の給紙ユニット10、または画像形成装置20の対応する構成部材と同等の機能を有するため、説明を省略する。また、搬送経路選択部570、および排紙トレイ排出部580は、全体として搬送部の一部として機能する(他のユニット60、70)も同様。
【0051】
(断裁ユニット60)
断裁ユニット60は、断裁部660を含む。断裁部660は、第1カッター66a、第2カッター66b、および屑箱66cで構成される。第1カッター66aでは、用紙90の搬送方向(FD:Feed Direction)に沿ってブレードを移動させることで、用紙90をFD方向に断裁する。第2カッター66bでは、FD方向に直交する用紙の幅方向(CD:Cross Direction)に沿ってブレードを移動させることで、用紙90をCD方向に断裁する。第1、第2カッター66a、66bで断裁された用紙(以下、分割紙ともいう)は、搬送路に沿って下流に搬送される。あるいは、四方のトンボの外側を断裁したような場合において、不要な分割紙は下方の屑箱66cに廃棄される。なお、本実施形態においては、第1カッター66aを省略してもよい。排紙トレイ排出部680は、排紙トレイ68yを含み、この排紙トレイ68yへ用紙90の排出を行う。例えば、断裁ユニット60は、長尺紙、タブ紙、封筒等の所定種類の用紙90を所定位置で断裁することで、下流側の排紙トレイ68y(78y)等の制約条件を満たすような、用紙長、および/または用紙形状の分割紙にしてから、排紙トレイ68y等に排出する。
【0052】
断裁ユニット60は、以上説明したこれらの断裁部660、および排紙トレイ排出部680の他に、制御部610、記憶部620、搬送部640、異常検知部650、搬送経路選択部670、および通信部690を備える。これらの構成部材は上述の給紙ユニット10、画像形成装置20、またはパージユニット50の対応する構成部材と同等の機能を有するため、説明を省略する。
【0053】
(排紙ユニット70)
排紙ユニット70は、排紙トレイ排出部780を備える。排紙トレイ排出部780は、排紙トレイ78x、78yを含み、この排紙トレイ78x、または排紙トレイ78yへ用紙90の排出を行う。
【0054】
排紙ユニット70は、以上説明した排紙トレイ排出部780の他に、制御部、記憶部、搬送部740、異常検知部、搬送経路選択部および通信部を備える。これらの構成部材は上述の給紙ユニット10、画像形成装置20、およびパージユニット50の対応する構成部材と同等の機能を有するため、説明を省略する。
【0055】
(第1の実施形態における印刷処理)
次に、図3から図6を参照し、第1の実施形態における印刷処理について説明する。図3は、第1の実施形態における印刷処理を示すフローチャートであり、主に画像形成システム1000全体を制御する画像形成装置20の制御部210により実行される。なお、この印刷処理には、用紙搬送システムによる用紙搬送処理が含まれる。印刷処理から、画像形成部280によるプリント処理を除いたものが、用紙搬送処理に相当し、この用紙搬送処理は、用紙搬送システムの制御部(制御部210等)により実行される。
【0056】
(ステップS1)
制御部210は、画像形成システム1000にネットワークで接続する端末(パーソナルコンピューター)または操作表示部270を介してユーザーから印刷ジョブの実行指示を受け付けることで、プリントを開始する。このときの用紙90の排出先は、第1の排紙トレイ(例えば排紙トレイ78x)である。
【0057】
(ステップS2、S3)
ジャムが発生せずにプリントが終了すれば(S2:YES)、制御部210は、処理を終了させる(エンド)。一方で、ジャムが発生すれば(ステップS3:YES)、処理をステップS4に進める。用紙90のジャムが発生したことは、画像形成システム1000での異常検知部150、250、550等で検知する。
【0058】
(ステップS4)
ここでは、制御部210は、後続紙が所定種類の用紙の場合に、搬送路における、ジャム起因紙の停止位置、断裁部660の配置位置、および第2の排紙トレイに至る経路からプレパージの実行可否およびその場合に断裁を実行するか否かを判定する。プレパージの処理については後述する。
【0059】
(ステップS5)
ユーザーに対してジャムが発生したことを示す通知を、操作表示部270等により行う。以下に説明する各実施形態により適切にプレパージが行われた後、ユーザーは、軽い負担でジャム解除処理を行える。ユーザーによりジャム起因紙が除去された後に、後処理を行う。後処理には、ジャム起因紙等の廃棄した用紙90に画像形成した印刷データを再度用いたリカバリー印刷が含まれる。
【0060】
(ステップS41)
図4は、図3のステップS4の処理を示すサブルーチンフローチャートである。このステップS41では制御部210は、ジャム起因紙よりも上流側の後続紙を第2の排出トレイ(パージトレイ)に排出可能か否かを判定する。
【0061】
図5は、排紙ユニット70でジャムが発生した場合の後続紙の位置と搬送路に設定した一時停止ポイントを示す図である。一時停止ポイントは、用紙長毎に予め複数設定されている。図5は、図1に対応する模式図である。図5に示す例では、排紙トレイ78xを排出先として用紙90を搬送しているときに、排紙トレイ78xの直前の搬送路で用紙90のジャムが発生している。用紙90は、長さ1200mmの長尺紙である。ジャム起因紙は、排紙トレイ78yへの経路を妨げていない。後続紙は3枚である。ジャムの発生時点では、図5に示すように、3枚の後続紙は、それぞれ断裁ユニット60、インサーターユニット30、給紙ユニット10の搬送路に位置する。図5のような状況では、ジャム起因紙よりも上流側でパージトレイとして使用可能なものは、排紙トレイ78y、68y、58yである。制御部210は、ジャム起因紙の停止位置の直上流にある、使用可能な範囲で最も下流側にある排紙トレイ78yをパージトレイとして選択する。
【0062】
図5のような状況では、制御部210は、後続紙1~3をパージトレイに排出可能であると判定し(YES)、処理をステップS42に進める。
【0063】
(ステップS42)
ここでは、制御部210は、後続紙1~3が所定種類の用紙か否かを判定する。所定種類の例としては、長尺紙、タブ紙、または封筒である。図5に示す例では、後続紙1~3は長尺紙であることから、所定種類の用紙である(YES)ことから、処理をステップS43に進める。
【0064】
(ステップS43)
制御部210は、後続紙の搬送経路に断裁部660があるか否かを判定する。図5の例では、後続紙1~3のパージトレイ(排紙トレイ78y、68y)への搬送経路に断裁部660があるので(YES)、処理をステップS44に進める。
【0065】
(ステップS44)
制御部210は、ステップS44の搬送処理を行う。図6は、第1の実施形態における図4のステップS44の搬送処理を示すサブルーチンフローチャートである。
【0066】
(第1の実施形態における搬送処理)
(ステップS201)
制御部210は、パージトレイとして用いる第2の排紙トレイ(例えば排紙トレイ78y)の制約に応じて、制約条件を満たすように断裁位置を決定する。具体的には、分割用紙長が、排出先の排紙トレイ78yの排出可能な最大用紙長以下となるように断裁位置を決定する。また、断裁部660よりも下流側の搬送路を搬送可能な最小用紙長以上(例えば最小用紙長は148mm(郵便葉書サイズ))となるように断裁位置および/または分割数を決定する。ここでいう用紙長は搬送方向の用紙の長さであり、また、分割用紙長とは、後続紙を分割した後の分割紙の用紙長のことである。
【0067】
(ステップS202、S203)
制御部210は、後続紙を断裁部660に搬送し、ステップS201で決定した断裁位置で後続紙を断裁し、その後、制御部210は、第2の排紙トレイに分割紙それぞれを順に搬送させる。制御部210は、他の装置(ユニット)の制御部と協働することで後続紙の搬送、および断裁部660を制御する。
【0068】
画像形成システム1000の搬送路には、複数の一時停止ポイントが予め設定されている。この一時停止ポイントは、ジャムが発生したときに搬送中の用紙を停止させることが可能な位置である。換言すれば、搬送異常の起因となったジャム起因紙をユーザーが取り除いた後に行うプレパージのときに、再搬送可能な状態で用紙を停止させる領域のことである。制御部210は、断裁部660で先行の後続紙を停止させながらCD方向の断裁している場合に後続紙をこの一時停止ポイントで一時停止させる。これにより後続紙同士が衝突することを避ける。一時停止ポイントは、図5に示す例では、画像形成装置20とパージユニット50に設けている。画像形成装置20の一時停止ポイント(以下、停止ポイントAという)は、レジストローラーのニップ部を含む、レジストローラーの上流側の搬送路である。インサーター50の一時停止ポイント(以下、停止ポイントBという)は用紙反転部560のスイッチバック搬送路である。
【0069】
後続紙1を断裁部660で断裁している間は、後続紙2を停止ポイントAまで搬送し一時停止させ、また後続紙3を停止ポイントBまで搬送し一時停止させる。後続紙1の断裁が終了した後は、断裁後の分割紙それぞれを排紙トレイ78yまで搬送し、排出する。
【0070】
この動きに合わせて、後続紙2を断裁部660まで搬送し、断裁処理を実行する。後続紙2を断裁部660で断裁している間は、後続紙3を停止ポイントAまで搬送して一時停止させる。後続紙2の断裁が終了した後は、断裁後の分割紙それぞれを排紙トレイ78yまで搬送し、排出する。
【0071】
この動きに合わせて、後続紙3を断裁部660まで搬送し、断裁処理を実行する。後続紙3の断裁が終了した後は、断裁後の分割紙それぞれを排紙トレイ78yまで搬送し、排出する。以上で全ての後続用紙のプレパージに関する搬送処理を終了し、図4の処理に戻る。
【0072】
このように、第1の実施形態においては、ジャム起因紙よりも上流側で、搬送異常の発生時に搬送されていた後続の用紙を第2の排紙トレイに排出するプレパージを実行させる制御部を備え、プレパージを実行する際に、後続の用紙が所定種類の用紙である場合に、断裁部により、用紙を断裁し、断裁した後の用紙を第2の排紙トレイに排出させる。これにより、プレパージで用いる排紙トレイの制約がそれまでに用いていた排紙トレイの制約よりも厳しい場合であっても、適切にプレパージでき、ジャム解除に関するユーザーの負担が減る。
【0073】
(第2の実施形態における搬送処理)
次に図7から図10を参照し、第2の実施形態における搬送処理について説明する。図7は、図4のステップS44の搬送処理を示すサブルーチンフローチャートである。図8は、各後処理装置(ユニット30~70)の構成を示す表である。パージユニット50、断裁ユニット60、および排紙ユニット70には、プレパージの際に第2の排紙トレイ(パージトレイ)として使用可能な排紙トレイを備える。上述したように、これらの排紙トレイ78y、68y、58yはそれぞれ第2の排紙トレイA~Cとも称す。排出可能な第2の排紙トレイAの最大用紙長aは487.7mmであり、第2の排紙トレイB、Cの最大用紙長b、cはともに762.0mmである。最大積載量は、第2の排紙トレイA、Bは8枚であり、第2の排紙トレイCは100枚である。この図8に示す構成および制約条件は、予め記憶部220等に記憶されている。
【0074】
以下に説明する第2の実施形態の搬送処理は、プレパージの際に用いる第2の排紙トレイは複数であり、最大積載量等の制約がある場合に用いられる。また、複数の第2の排紙トレイのうち、最も下流側の排紙トレイから順(排紙トレイA、B、Cの順)に優先的に使用されるものとする。
【0075】
(ステップS301)
制御部210は、ここでは積載量を判定する。この判定は後続紙毎、または分割紙毎に行う。第2の排紙トレイAに排出可能(YES)であれば、処理をステップS302に進め、排出できなければ(NO)、処理をステップS311に進める。
【0076】
(ステップS302)
ここでは、制御部210は、排紙トレイAの制約に応じて断裁位置を決定する。具体的には、図8にあるように排紙トレイAの排出可能な最大用紙長aは487.7mmであり、分割用紙長(分割後の用紙それぞれの用紙長)をこの最大用紙長a以下の条件を満たすように断裁位置を決定する。図9は、図5に示したようなジャム位置でジャムが発生した場合に、用紙長1200mmの長尺紙の後続紙1~3に対して第2の実施形態における搬送処理で、プレパージする場合の各後続紙の排出先を示す表である(後述の図10図16図17も同様のジャム起因紙位置、用紙長とする)。
【0077】
(ステップS302、S303)
制御部210は、図9(a)に示すように後続紙1、2に対しては、断裁部660まで搬送させ、第2カッター66bにより第2の排紙トレイA(排紙トレイ78y)の制約である排出可能な最大用紙長a以下の長さに断裁し、1枚の後続紙を3つの分割紙に分割する。例えば、分割紙1、2を最大用紙長aと同じ長さとし、分割紙3を残りの用紙とする。具体的には、3枚の分割紙1~3をそれぞれ487.7mm、487.7mm、224.6mmとする。それぞれの分割紙1~8は、第2の排紙トレイAに搬送される。
【0078】
(ステップS311)
次に制御部210は、他の第2の排紙トレイBに排出可能か否かを判定する。図9(a)に示すように、後続紙3を3つの分割紙に分割し、全て排出した場合には、第2の排紙トレイAの積載量は9枚になると見積られる。この場合、最大積載量の8枚を超えてしまう(ステップS301:NO)。
【0079】
制御部210は、9枚目の分割紙9を、次の第2の排紙トレイB(排紙トレイ68y)に排出可能か否かを判定する。ここでは、第2の排紙トレイBに排出可能であり(YES)、処理をステップS312に進める。なお、排紙トレイC(排紙トレイ58y)は、後続紙2、3のプレパージには使用可能な位置にあるが、断裁部660よりも上流側にある。そのため、用紙長は1200mmの後続紙2、3を排出することはできず、排紙トレイとしては選択肢から外れる。
【0080】
(ステップS312~S314)
ここでは、制約に応じて断裁位置を決定し、第2の排紙トレイBの排出可能な最大用紙長b(762.0mm)に対応するようにする。ここでは、最大用紙長a<最大用紙長bであるため、ステップS313で更なる断裁は、必要ない。しかしながら、最大用紙長a>最大用紙長bで、分割紙が最大用紙長bよりも長い場合には、更なる断裁が必要となる場合がある。その場合は、断裁を行う。
【0081】
ステップS314では、制御部210は、図9(a)に示すように9枚目の分割紙9を第2の排紙トレイBに搬送して、排出する。
【0082】
(ステップS315)
後続紙、または分割紙の排出先が確保できないため、プレパージを終了する。この場合、後続紙、または分割紙は、一時停止位置または断裁部660に停止した状態となる。この場合ユーザーにより取り除かれる。
【0083】
なお、図9(a)では分割用紙長を排出可能な最大用紙長aに合わせた例を示したが、図9(b)のように、後続紙を均等の長さに分割し、分割用紙長を揃えてもよい。また、図9の例では、分割紙毎に排出先を切り替えていたが、後続紙単位で排出先を切り替えてもよい。例えば、図9では、後続紙1、2から生成された分割紙1~6までを第2の排紙トレイAに排出し、後続紙3から生成された分割紙7~9を、第2の排出トレイBに排出する。
【0084】
図10は、変形例における後続紙1~3を断裁した後の分割紙の長さおよび排出先を示す表である。図9の例では、複数の第2の排紙トレイのうち、最下流側の排紙トレイ78yを優先的に使用する例を示したが、図10に示す変形例では、これとは逆に最上流側を優先的に使用する。
【0085】
第2の排紙トレイBは、排出可能な最大用紙長bが762.0mmであり、1200mmの後続紙の分割数を「2」にできることから、後続紙1~3の分割紙(全6枚)は、1つの第2の排紙トレイBに排出可能である。図10(a)の例では、1枚の後続紙を2つの分割紙に分割する。分割用紙長は、それぞれ、762.0mm、438.0mmであり、全て、同じ第2の排紙トレイBに排出される。なお、変形例においても図10(b)のように後続紙を均等の長さに分割し、分割用紙長を揃えてもよい。
【0086】
このように第2の実施形態では、積載枚数の制約に応じて、複数の第2の排紙トレイ間で切り替えて搬送する。このようにすることで、第1の実施形態と同様の効果が得られるとともに、さらに適切にプレパージできる。
【0087】
(第3の実施形態における搬送処理)
次に図11を参照し、第3の実施形態における搬送処理について説明する。図11は、図4のステップS44の搬送処理を示すサブルーチンフローチャートである。第2の実施形態では、プレパージに用いることができる複数の第2の排紙トレイがある場合に、優先的に使用する条件が予め定められていた。具体的には、図9の例では、最も下流側の排紙トレイから順(A、B、Cの順)に優先的に使用し、図10の例では、反対に最も上流側の排紙トレイから順に優先的に使用した。以下に説明する第3の実施形態においては、断裁回数(分割数)の見積もりを行い、断裁回数が最も少なくなる第2の排紙トレイを排出先として決定するものである。
【0088】
(ステップS401)
制御部210は、搬送路における、ジャム起因紙の停止位置、断裁部660の配置位置、および第2の排紙トレイに至る経路からプレパージに使用できる第2の排紙トレイが複数であるか否かを判定する。1つであれば(NO)、処理をステップS402に進め、複数の場合(YES)、処理をステップS403に進める。
【0089】
(ステップS402)
選択可能な唯一の第2の排紙トレイを排出先として決定する。
【0090】
(ステップS403)
複数の第2の排紙トレイそれぞれに排出した時の断裁回数を見積もる。なお、断裁部660のCD方向の断裁を行う第2カッター66bによる断裁回数は、分割数に対応するのでこの判定は、分割数で行うようにしてもよい。
【0091】
例えば、第2の排紙トレイAを使用した図9の例では、分割数は3(断裁回数=2)であり、第2の排紙トレイBを使用した図10の例では、分割数は2(断裁回数=1)であると見積もる。
【0092】
(ステップS404)
制御部210は、最も断裁回数が少ない、第2の排紙トレイBを排出先として決定する。以下は、図6のステップS201以降(または図7のステップS301以降)の処理を実行する。
【0093】
このように第3の実施形態では最も断裁回数が少ない第2の排出トレイを排出先として設定する。このようにすることで、プレパージ全体の処理時間を短くできる。
【0094】
(第4の実施形態における搬送処理)
次に図12から図14を参照し、第4の実施形態における搬送処理について説明する。上述の第2の実施形態では優先的に使用する第2の排紙トレイは予め設定されたものであった。また、分割用紙長は、最大用紙長a(図9(a)の例)または最大用紙長b(図10(a)の例)、または均等の用紙長(図9(b)、図10(b)の例)であった。第4の実施形態では、これらをユーザーが設定可能とするものである。
【0095】
図12は、操作表示部270に表示する排出先を設定する設定画面s1の例であり、図13は、操作表示部270に表示する分割用紙長を設定する設定画面s2の例である。これらの設定画面s1、s2は、ジャムが発生した直後に表示される。設定画面s1には、プレパージで使用可能な複数の第2の排紙トレイが候補として表示される。ユーザーは、候補の第2の排紙トレイから使用する排紙トレイを選択できる。設定画面s1では、2つの第2の排紙トレイA、Bが使用可能であり、第2の排紙トレイBが選択されていることを示している。OKボタンを押下することで、次の設定画面s2に遷移する。なお、キャンセルボタンを押下した場合には、第2の実施形態で示したように、制御部210が排出先の第2の排紙トレイを自動的に選択する。
【0096】
図13の設定画面s2により、更にユーザーは、分割用紙長を設定できる。プルダウンボタンにより、分割数を選択し、また用紙長を設定できる。図13の例では用紙長として「等分」が選択されている。「数値入力」を選択すると、数字キーがイネーブル化し、数値を入力できるようになる。設定後に「OK(実行)」ボタンを押下することで設定が反映され、設定画面s1、s2の設定条件で第1の実施形態で示したようなプレパージが実行される。なお、搬送方向の用紙長の設定として定型サイズを選択できるようにしてもよい。例えば、210mm(A4サイズ)や420mm(A3サイズ)の定型サイズをプルダウンメニューから選択する。このようにすることで、分割紙を再利用や廃棄する際に処理し易くなる。
【0097】
図14は、排出先および分割用紙長のユーザー設定に従って、後続紙1~3を断裁した後の分割紙の長さおよび排出先を示す表である。図14では、図12、13の設定例に沿っている。このようにユーザーは、ジャムが発生した後に、排出先および分割用紙長を設定することで、よりユーザーの意図に沿ったプレパージを行える。なお、第4の実施形態では、排出先と分割用紙長の両方をユーザーが設定するようにしたが、一方のみをユーザーが設定できるようにしてもよい。
【0098】
(第5の実施形態における搬送処理)
次に図15図16を参照し、第5の実施形態における搬送処理について説明する。第5の実施形態においては、複数の第2の排紙トレイが使用可能な場合に、同じ長さの分割紙を同じ第2の排紙トレイに排出したり、異なる長さの分割紙を異なる第2の排出トレイに排出したりする。図15は、第5の実施形態における図4のステップS44の搬送処理を示すサブルーチンフローチャートである。図16は、後続紙1~3を断裁した後の分割紙の長さおよび排出先を示す表である。
【0099】
(ステップS501)
制御部210は、搬送路における、ジャム起因紙の停止位置、断裁部660の配置位置、および第2の排紙トレイに至る経路からプレパージに使用できる第2の排紙トレイが複数であるか否かを判定する。1つであれば(NO)、処理をステップS511に進め、複数の場合(YES)、処理をステップS521に進める。
【0100】
(ステップS511~S513)
ここでは、制約に応じて決定した断裁位置で、後続紙の断裁を行い、第2の排紙トレイに排出する。この処理は、図6のステップS201~S203にそのまま対応する処理であり、説明を省略する。
【0101】
(ステップS521)
制御部210は、パージトレイとして用いる複数の第2の排紙トレイA、Bの制約に応じて、断裁位置を決定する。具体的には、後続紙を2つに分割した場合、一方の第2の排紙トレイA向けを「分割紙x」、他方の第2の排紙トレイB向けを「分割紙y」とした場合、
第2の排紙トレイAの排出可能な最大用紙長a≧分割紙xの分割用紙長、かつ、
第2の排出トレイBの排出可能な最大用紙長b≧分割紙yの分割用紙長
となるように断裁位置を決定する。この最大用紙長a、bの例としては、図8の表に示したとおりである。
【0102】
(ステップS522、S523)
制御部210は、後続紙を断裁部660に搬送し、ステップS521で決定した断裁位置で後続紙を断裁し、その後、制御部210は、第2の排紙トレイBに分割紙yを、第2の排紙トレイAに分割紙xをそれぞれ順に搬送する。ステップS523までの処理より排出された状態を図16に示す。
【0103】
このように第5の実施形態では、複数の第2の排紙トレイが使用可能な場合に、同じ長さの分割紙を同じ第2の排紙トレイに排出したり、異なる長さの分割紙を異なる第2の排出トレイに排出したりする。第5の実施形態では、このような搬送処理により上述の各実施形態と同様の効果が得られるとともに、さらに、同じ長さの分割紙を同じ排紙トレイに集約することができるので、廃棄し易くなる、また、分割紙を別な用途で再利用する場合に再利用し易くなる。
【0104】
(第6の実施形態における搬送処理)
図5に示したようなジャム位置でジャムが発生した場合に、後続紙1、2は画像形成部280を通過しているので、印刷済みの画像が有る用紙である。一方で、後続紙3は、画像形成部280に到達していないので未印刷の画像が無い用紙である。第6の実施形態においては、このように画像の有無に応じて排出先を切り替える。この場合、用紙90への画像形成は、用紙搬送システムの搬送方向の上流側に接続された画像形成装置20で行われる、または、用紙搬送システムを包含する画像形成システム1000の画像形成装置20で行われる。
【0105】
図17は、画像有りと画像無しの分割紙をそれぞれ第2の排出トレイA、Bに振り分けて排出した状態を示す表である。第6の実施形態では、このような搬送処理をすることで、上述の各実施形態と同様の効果が得られるとともに、さらに、画像有無をそれぞれ異なる排紙トレイに集約することができるので、廃棄し易くなる、また、分割紙を別な用途で再利用する場合に再利用し易くなる。例えば、印刷済み用紙は廃棄し、未印刷の用紙を再利用する場合や、印刷データに機密情報が含まれる場合に有効である。なお、画像有無の判定を後続紙の用紙単位で行っていたが、これに代えて、印刷データに基づき、分割紙単位で判定するようにしてもよい。例えば後続紙の上半分に画像が有り、残りの下半分に画像が無い場合である。例えば、後続紙1、2の前半部の分割紙を第2の排出トレイAに排出し、後半の分割紙を後続紙3の分割紙とともに第2の排出トレイBに排出する。
【0106】
(第7の実施形態における搬送処理)
上述の第1~第6の実施形態では、所定種類の用紙として主に長尺紙について説明した。第7の実施形態では、所定種類の用紙として、タブ紙、または封筒を用いる。
【0107】
図18は、タブ紙、およびタブ紙での断裁位置を示す模式図である。図18(a)には、5枚のタブ紙からなる用紙セットを示す。1組の用紙セットを構成する5枚のタブ紙それぞれは、矩形状の本体部(例えばA4定型サイズ)と、この本体部の一辺の互いに異なる位置に設けられる突出したタブ部分とから構成される。図18(b)は、用紙セットの1枚目のタブ紙が搬送された状態を示す模式図であり。図の矢印方向に搬送された場合には、上流側にタブ部分が存在する。ユーザーは、操作表示部270の設定画面(図示せず)を通じて、用紙種類としてタブ紙、または封筒の選択をできる。またタブ紙を選択した場合には、さらに用紙セットの構成枚数、タブ紙のサイズ、タブ位置(縦横長さ、トレイ載置状態での搬送方向の向き)を設定できる。また、封筒を選択した場合には、封筒サイズ、フラップ位置(縦横長さ、トレイ載置状態での搬送方向の向き)を選択できる。
【0108】
図19は、第7の実施形態における各後処理装置(ユニット30~70)の構成を示す表である。図19の表は、図8の表に対応する。図19の表では、積載用紙の形状に関する制約として、タブ紙を用いる場合の排紙可能なタブ部分の向きの欄が加えられている。
【0109】
図18(b)のような搬送方向で、タブ紙を画像形成装置20等の給紙トレイにセットし、給紙、搬送した場合には、上流側にタブ部分がある状態で搬送されることになる。これは、図19に示す排紙可能な形状に関する制約条件であるタブ向きを満たさない。このようなタブ紙にプリントしているときに、ジャムが発生した場合には、後続紙を第2の排紙トレイに排紙する場合には、図18(c)に示す断裁位置で断裁を行う。これにより後続紙は分割紙1と分割紙2に分割される。
【0110】
図20は、図18(b)のようなタブ紙を用いてプリントしているときに、図5のような位置でジャム発生した場合の後続紙1~3を断裁した後の分割紙の長さおよび排出先を示す表である。なお、同図ではジャム発生時の装置内の後続紙の枚数を3として例示しているが、実際はこれより多くのタブ紙の後続紙が存在する場合もある。図20に示すような断裁位置で後続紙を分割する。そして、タブ部分を切り分けた分割紙2は屑箱66cに廃棄され、残りの分割紙1は、第2の排紙トレイ(例えば第2の排紙トレイA)に搬送される。
【0111】
図21は、封筒、および封筒での断裁位置を示す模式図である。封筒の場合も、タブ紙と同様の搬送制御を行う。具体的には、図21(a)のような向きで封筒を用いてプリントしているときに、図5のような位置でジャムが発生した場合、後続紙は第2の排紙トレイの形状に関する制約条件であるフラップの向きを満たさない。そこで、図21(b)に示すような断裁位置で後続紙の封筒を、ラップ部分とそれ以外の本体部分に分割する。分割紙としてのフラップ部分は屑箱66cに廃棄し、残りの本体部分は第2の排紙トレイに排出する。
【0112】
このように第7の実施形態では、所定種類の用紙として、タブ紙または封筒の場合に、第2の排紙トレイの積載用紙の形状に関する制約を満たすように、断裁する位置、または断裁後の用紙の形状を決定し、断裁することで、第1の実施形態と同様に適切にプレパージできる。
【0113】
以上に説明した用紙搬送システムおよびこれを備えた画像形成システム1000の構成は、上記の実施形態の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上記の構成に限られず、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。また、一般的な用紙搬送システム、または画像形成システムが備える構成を排除するものではない。
【0114】
また、上述した実施形態に係る用紙搬送システムおよび画像形成システム1000における各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピューターのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、例えば、USBメモリやDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、装置の一機能としてその装置のソフトウエアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0115】
1000 画像形成システム(用紙搬送システム)
10 給紙ユニット
110 制御部
120 記憶部
130 給紙部
140 搬送部
150 異常検知部
190 通信部
20 画像形成装置
210 制御部
220 記憶部
230 給紙部
240 搬送部
250 異常検知部
260 画像読取部
270 操作表示部
280 画像形成部
290 通信部
30 インサーターユニット
340 搬送部
350 異常検知部
360 用紙挿入部
40 画像検査ユニット
440 搬送部
450 異常検知部
461、462 画像読取部
50 パージユニット
510 制御部
520 記憶部
540 搬送部
550 異常検知部
560 用紙反転部
570 搬送経路選択部
580 排紙トレイ排出部
58y 第2の排紙トレイC
590 通信部
60 断裁ユニット
610 制御部
620 記憶部
640 搬送部
650 異常検知部
660 断裁部
66a 第1カッター
66b 第2カッター
66c 屑箱
670 搬送経路選択部
680 排紙トレイ排出部
68y 第2の排紙トレイB
690 通信部
70 排紙ユニット
740 搬送部
750 異常検知部
78x 第1の排紙トレイ
78y 第2の排紙トレイA
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21