(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】情報処理装置、生産性管理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20241126BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
G06F3/12 373
G06F3/12 303
B41J29/38 801
(21)【出願番号】P 2021018714
(22)【出願日】2021-02-09
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野川 鉄蓮
【審査官】征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-001850(JP,A)
【文献】特開2005-328374(JP,A)
【文献】特開2017-228073(JP,A)
【文献】特開2020-126443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/12
B41J29/00-29/70
H04N1/00
G03G21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の画像形成装置から得られる情報を処理して生産性を管理する情報処理装置であって、
前記画像形成装置から稼働履歴情報を取得する取得部と、
前記稼働履歴情報を分析し、分析結果から前記生産性を向上させるための改善策を決定し、前記改善策を実行することで得られる効果を計算する分析部と、
前記改善策とともに前記効果を出力する出力部と、を備え、
前記分析部は、前記分析結果に基づいて、1以上の前記画像形成装置の中から基準値と比較して生産性が低下している画像形成装置と、前記画像形成装置の生産性を低下させている要因を特定し、
さらに前記分析部は、前記画像形成装置の生産性を下げている前記要因を構成する要素のうち、前記生産性を最も低下させる前記要素に対して前記改善策を決定する処理を行い、前記要素に対して前記改善策を決定できない場合には、前記生産性を次に低下させる前記要素に対して前記改善策を決定する処理を行う
情報処理装置。
【請求項2】
前記分析部は、前記分析結果に基づいて、決定した前記改善策の根拠を特定し、
前記出力部は、特定された前記画像形成装置の情報、前記要因及び前記改善策と併せて、前記改善策の前記根拠を出力する
請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記情報処理装置は、前記分析結果として、前記分析部によって1以上の前記画像形成装置の前記稼働履歴情報を集計して得られる加工データを記憶する記憶部、を備え、
前記分析部は、前記分析結果に基づいて、前記改善策の根拠に関係する前記加工データを特定し、
前記出力部は、生産性が低下した前記画像形成装置の情報、前記要因及び前記改善策と併せて、前記改善策の根拠として前記加工データを出力する
請求項
2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記分析部は、一つの前記要因に対して複数の前記改善策を決定する
請求項
2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
1以上の前記画像形成装置を顧客ごとに分けて管理する
請求項1乃至
4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
1以上の画像形成装置から得られる情報を処理して生産性を管理する情報処理装置を用いた生産性管理方法であって、
前記情報処理装置の取得部が、前記画像形成装置から稼働履歴情報を取得する処理と、
前記情報処理装置の分析部が、前記稼働履歴情報を分析し、分析結果から前記生産性を向上させるための改善策を決定し、前記改善策を実行することで得られる効果を計算する処理と、
前記情報処理装置の出力部が、前記改善策とともに前記効果を出力する処理と、を含み、
さらに、前記分析部において、
前記分析結果に基づいて、1以上の前記画像形成装置の中から基準値と比較して生産性が低下している画像形成装置と、前記画像形成装置の生産性を低下させている要因を特定する処理と、
前記画像形成装置の生産性を下げている前記要因を構成する要素のうち、前記生産性を最も低下させる前記要素に対して前記改善策を決定する処理と、
前記要素に対して前記改善策を決定できない場合には、前記生産性を次に低下させる前記要素に対して前記改善策を決定する処理と、を有する
生産性管理方法。
【請求項7】
1以上の画像形成装置から得られる情報を処理して生産性を管理するコンピューターに、
前記画像形成装置から稼働履歴情報を取得する手順と、
前記稼働履歴情報を分析し、分析結果から前記生産性を向上させるための改善策を決定し、前記改善策を実行することで得られる効果を計算する手順と、
前記改善策とともに前記効果を出力する手順と、
を実行させるためのプログラムであって、
さらに、前記分析結果に基づいて、1以上の前記画像形成装置の中から基準値と比較して生産性が低下している画像形成装置と、前記画像形成装置の生産性を低下させている要因を特定する手順と、
前記画像形成装置の生産性を下げている前記要因を構成する要素のうち、前記生産性を最も低下させる前記要素に対して前記改善策を決定する手順と、
前記要素に対して前記改善策を決定できない場合には、前記生産性を次に低下させる前記要素に対して前記改善策を決定する手順と、を含む
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1以上の画像形成装置から得られる情報を処理して生産性を管理する情報処理装置、生産性管理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷機の稼働率などを計算し、印刷会社の複数の印刷機の稼働実績を比較することでその差分を可視化する技術が知られている。稼働実績の差分を可視化することによりどの印刷機の稼働率が低下しているかが分かる。
【0003】
稼働率を計算する方法として特許文献1には、画像形成装置の稼働率を計算する際にジョブの実行中のエラーによる中断時間を含まないことで、稼働率をジョブの実行時間により計算できる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、どうすれば稼働率が低下した印刷機の稼働率を上げることができるのか、改善策の提案は示していない。また、稼働実績のデータだけを表示しても、生産性管理マネージャのスキルによっては改善策を見出せず、改善に至らないという問題があった。
【0006】
上記の状況から、画像形成装置の生産性を上げるための改善策を出力する手法が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様の情報処理装置は、1以上の画像形成装置から得られる情報を処理して生産性を管理する情報処理装置であって、画像形成装置から稼働履歴情報を取得する取得部と、稼働履歴情報を分析し、分析結果から生産性を向上させるための改善策を決定する分析部と、当該改善策を出力する出力部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の少なくとも一態様によれば、1以上の画像形成装置から稼働履歴情報を取得して分析し、分析結果に基づいて、画像形成装置の生産性を上げるための改善策を出力する。そして、具体的な改善策を出力することで、担当者が速やかに改善行動をとることができ、画像形成装置の生産性を向上させることができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る生産性管理システムのネットワーク構成例を示す概略図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る印刷機のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係るプリントサーバのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る生産性管理端末のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係るプリントサーバの機能構成例を示すブロック図である。
【
図8】本発明の第1の実施形態に係る生産性管理端末の機能構成例を示すブロック図である。
【
図9】本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図10】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の稼働ログデータに対する分析結果画面の例を示す図である。
【
図11】本発明の第1の実施形態に係る分析結果画面に表示される図記号の凡例を示す図である。
【
図12】本発明の第1の実施形態に係る分析・改善レコメンドの詳細画面(1)の例を示す図である。
【
図13】本発明の第1の実施形態に係る分析・改善レコメンドの詳細画面(2)の例を示す図である。
【
図14】本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置の生産性管理処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図15】本発明の第2の実施形態に係る分析・改善レコメンドの画面の例を示す図である。
【
図16】本発明の第2の実施形態に係る先週の分析結果を表す画面の例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態の例について、添付図面を参照して説明する。本明細書及び添付図面において実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0011】
<第1の実施形態>
まず、本発明の第1の実施形態に係る1以上の画像形成装置の生産性を管理する生産性管理システムについて、
図1を参照して説明する。
【0012】
[生産性管理システム]
図1は、生産性管理システムのネットワーク構成例を示す概略図である。
生産性管理システム1は、画像形成装置10A,10B,10C、プリントサーバ20、生産性管理端末30、及び情報処理装置40を含んで構成され、各装置は互いに通信可能に接続される。
【0013】
画像形成装置10A,10B,10Cは、入力された印刷指示に基づいて、記録材に画像を形成する処理(印刷処理ともいう)を実行する。画像形成装置10A,10B,10Cは、稼働履歴に応じて稼働ログデータをネットワーク50に出力する。
図1には3台の画像形成装置10A,10B,10Cが例示されているが、画像形成装置の台数は1台以上であればよく、4台以上であってもよい。以降において、画像形成装置10A,10B,10Cを区別しない場合又は共通の機能について説明する場合には、画像形成装置10A,10B,10Cを「画像形成装置10」と記載することがある。なお、画像形成装置10A,10B,10Cは、印刷機能に加えて他の機能を備えた複合機であってもよい。例えば、他の機能として、コピー機能、スキャン機能、ファクシミリ機能などが挙げられる。
【0014】
プリントサーバ20は、画像形成装置10A~10Cの各々と通信可能に接続されている。プリントサーバ20は、画像形成装置10A~10Cと他の装置との間の通信を中継する。例えば、プリントサーバ20は、ネットワーク50を介して、不図示のユーザー端末から印刷ジョブを受信し、画像形成装置10A~10Cへ印刷を指示する。
【0015】
生産性管理端末30は、ネットワーク50,60を介して情報処理装置40から提供される画像形成装置10A~10Cの生産性に関する情報を表示する。生産性管理端末30として、パーソナルコンピュータやモバイル端末等を用いることができる。生産性管理マネージャは、生産性管理端末30に表示された生産性に関する情報を確認して、画像形成装置10A~10Cの生産性を管理したり画像形成装置10A~10Cを操作したりする。
【0016】
情報処理装置40は、ネットワーク50,60を介して画像形成装置10A~10Cから稼働ログデータを取得して分析し、分析結果に基づいて画像形成装置10A~10Cの生産性を管理する。例えば、情報処理装置40は、ネットワーク50に接続する複数の画像形成装置10を、画像形成装置と顧客を紐づけたテーブルに基づいて、顧客ごとに分けて管理する。情報処理装置40は、画像形成装置10A~10Cの生産性に関する情報として、稼働ログデータを分析した結果(改善策を含む)を生産性管理端末30へ送信する。情報処理装置40はWebサーバとして構成される。この場合、生産性管理端末30はWebクライアント(Webブラウザ)として動作する。
【0017】
ネットワーク50はLAN等の構内ネットワークであり、ネットワーク60はインタネット等の広域ネットワークでありいわゆるクラウドに相当する。ネットワーク50とネットワーク60とは、図示しないルータ等の中継機器を介して通信可能に接続されている。なお、ネットワーク50とネットワーク60は、一つのネットワークでもよい。
【0018】
なお、画像形成装置10のプリントコントローラ200(
図2)は、WebDAV(Web-based Distributed Authoring and Versioning)を適用して構成してもよい。WebDAVは、Webサーバに対して直接ファイルのコピーや削除を行ったり、ファイル所有者や更新日時などのファイル情報を取得・設定したりする機能を持つ分散ファイルシステムで、HTTP1.1を拡張したプロトコルで実現される。また、プリントサーバ20が画像形成装置10とネットワーク50の通信を中継する構成の場合には、プリントサーバ20にWebDAVを適用してもよい。
【0019】
また、ネットワーク60(クラウド)に、画像形成装置10が出力する稼働ログデータを蓄積する不図示の蓄積サーバが接続されていて、情報処理装置40が蓄積サーバから画像形成装置10の稼働ログデータを取得する構成としてもよい。この場合、ネットワーク60(クラウド)上に、蓄積サーバと情報処理装置40との間でデータを非同期で送受信できるメッセージキューイング(Webサービス)を導入してもよい。あるいは、メッセージキューイングのミドルウェアを、情報処理装置40に実装してもよい。
【0020】
次に、生産性管理システム1を構成する各装置のハードウェア構成について説明する。
【0021】
[画像形成装置のハードウェア構成]
図2は、画像形成装置10のハードウェア構成例を示すブロック図である。
画像形成装置10は、プリントコントローラ200、プリントエンジン210、及び操作表示部220を備える。
【0022】
プリントコントローラ200は、不図示のユーザー端末から印刷原稿ファイルの受信、画像データ生成、及びプリントエンジン210へのデータ転送を行う。プリントコントローラ200は、CPU201、ROM202、RAM203、ハードディスク(HDD)204、プリンタI/F206、操作部I/F207、音声入出力I/F208、及びネットワークI/F209を備える。これらの各デバイスは、システムバス205を介して接続される。
【0023】
CPU201は、ROM202又はHDD204に記憶された制御プログラムに基づいてシステムバス205に接続される各種のデバイスとのアクセスを統括的に制御する。ROM202は、CPU201が実行可能な制御プログラム等を記憶する。RAM203は、主としてCPU201の主メモリ、ワークエリア等として機能し、不図示の増設ポートに接続されるオプションRAMによりメモリ容量を拡張することができる。HDD204は、ブートプログラム、各種のアプリケーションプログラム、フォントデータ、ユーザファイル、及び編集ファイル等を記憶する。なお、本実施形態ではHDD204を用いたが、HDD204の他にSDカードや、フラッシュメモリなどの外部記憶装置を利用してもよい。
【0024】
プリンタI/F206は、印刷処理を実行する機構であるプリントエンジン210への画像データ出力を制御する。プリントエンジン210は、電子写真方式やインクジェット記録方式等により、入力された画像データに基づいて印刷処理(記録材へのトナー、インク等の色材の転写)を実行する。プリントエンジン210は複数のセンサ211を備え、複数のセンサ211により画像形成装置10内の不図示の駆動装置やアクチュエータ等の状態を検知し、検知データをプリンタI/F206へ出力する。
【0025】
センサ211は、光学センサ、温度センサ、湿度センサ、電圧計、電流計、加速度センサ、エンコーダ、イメージセンサなどである。プリンタI/F206は、センサ211からアナログ信号が入力された場合に当該アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器を備えていてもよい。
【0026】
なお、画像形成装置10には、画像形成装置10に取り付けられた扉の開閉を検知する不図示の扉開閉検知センサや、給紙トレイの引き出し/収納を検知するトレイ引き出し検知センサ等が設けられている。例えば、扉開閉検知センサが扉開を検知又はトレイ引き出し検知センサがトレイ引き出しを検知しているときには、プリントエンジン210は印刷処理を実行しない。このような扉開閉検知センサやトレイ引き出し検知センサ等の、プリントエンジン210の動作に影響するセンサは、センサ211に含めるものとする。
【0027】
操作部I/F207は、操作表示部220が備える表示部222の表示制御、及び入力部221で設定される各種設定情報の入力を制御する。例えば、操作表示部220は、表示部222として液晶表示パネル、及び入力部221としてタッチセンサを備える。音声入出力I/F208は、不図示のマイクロフォン、スピーカ、及びヘッドセット等の音声入出力装置との音声入出力を制御する。
【0028】
ネットワークI/F209は、プリントエンジン210へ出力するための画像データ、及び印刷制御に必要な情報(印刷設定)を、ネットワーク50を介してプリントサーバ20から受信する。
【0029】
なお、画像形成装置10とプリントサーバ20を専用線で接続し、画像形成装置10がネットワーク50との通信を行う場合には、プリントサーバ20を中継して行うようにしてもよい。また、専用線を用いる場合、画像形成装置10及びプリントサーバ20がそれぞれ、印刷制御に必要な情報を通信するための制御系I/F(図示略)、印刷する画像データを通信するための画像データ系I/F(図示略)を備えてもよい。
【0030】
画像形成装置10において、CPU201は、プリンタI/F209を介して複数のセンサ211の検知データを取得し、稼働ログデータとしてHDD204に保存する。そして、CPU201は、画像形成装置10の稼働ログデータを、ネットワークI/F209及びネットワーク50を介して情報処理装置40へ送信する。
【0031】
[プリントサーバのハードウェア構成]
図3は、プリントサーバ20のハードウェア構成例を示すブロック図である。
プリントサーバ20は、投入された印刷ジョブの解析、画像データへの展開処理など印刷処理実行に必要な処理を行う。プリントサーバ20は、CPU301、ROM302、RAM303、ハードディスク(HDD)304、及びネットワークI/F306を備える。各デバイスは、システムバス305によって接続される。
【0032】
CPU301は、ROM302又はHDD304に記憶された制御プログラムに基づいてシステムバス305に接続される各種のデバイスとのアクセスを統括的に制御する。ROM302は、CPU301が実行可能な制御プログラム等を記憶する。RAM303は、主としてCPU301の主メモリ、ワークエリア等として機能し、不図示の増設ポートに接続されるオプションRAMによりメモリ容量を拡張することができる。HDD304は、ブートプログラム、各種のアプリケーションプログラム、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル、印刷ジョブデータ等を記憶する。なお、本実施形態ではHDD304を用いたが、HDD304の他にSDカードや、フラッシュメモリなどの外部記憶装置を利用してもよい。
【0033】
ネットワークI/F306は、ネットワークケーブルを経由して、ネットワーク50とデータ通信を行う。ネットワークI/F306は、印刷制御に必要な情報(印刷設定)、及びプリントエンジン210から出力する画像データを、画像形成装置10へ送信する。
【0034】
なお、上述のとおり、プリントサーバ20は、画像形成装置10とネットワーク50との通信を中継するようにしてもよい。このとき、プリントサーバ20において、画像形成装置10とのデータ通信は制御系I/Fが行い、ネットワーク50とのデータ通信はネットワークI/Fがそれぞれ行う。
【0035】
[生産性管理端末のハードウェア構成]
図4は、生産性管理端末30のハードウェア構成例を示すブロック図である。
生産性管理端末30は、CPU401、ROM402、RAM403、ハードディスク(HDD)404、キーボードI/F406、ディスプレイI/F407、画像入力I/F408、音声入出力I/F409、及びネットワークI/F410を備える。各デバイスは、システムバス405によって接続される。
【0036】
CPU401、ROM402、RAM403、及びHDD404の機能は、プリントサーバ20の対応するデバイスの機能と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0037】
キーボードI/F406は、キーボード420や不図示のポインティングデバイスからのキー入力を制御する。ディプレイI/F407は、ディスプレイ430の表示を制御する。画像入力I/F408は、カメラ等の画像入力装置440からの画像入力を制御する。音声入出力I/F250は、不図示のマイクロフォン、スピーカ、及びヘッドセット等の音声入出力装置の音声入出力を制御する。
【0038】
ネットワークI/F406は、ネットワークケーブルを経由して、ネットワーク50とデータ通信を行う。なお、上述のとおり、生産性管理端末30は、画像形成装置10との通信はプリントサーバ20を中継して行う構成としてもよい。
【0039】
[情報処理装置のハードウェア構成]
図5は、情報処理装置40のハードウェア構成例を示すブロック図である。
情報処理装置40は、CPU501、ROM502、RAM503、ハードディスク(HDD)504、及びネットワークI/F506を備える。各デバイスは、システムバス505によって接続される。
【0040】
CPU501、ROM502、RAM503、及びHDD504の機能は、プリントサーバ20の対応するデバイスの機能と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0041】
ネットワークI/F506は、ネットワークケーブルを経由して、ネットワーク60とデータ通信を行う。なお、上述したように、ネットワーク50とネットワーク60は、一つのネットワークでもよい。また、情報処理装置40は、画像形成装置10との通信はプリントサーバ20を中継して行う構成としてもよい。
【0042】
[画像形成装置の機能構成]
図6は、画像形成装置10の機能構成例を示すブロック図である。
画像形成装置10のプリントコントローラ200は、印刷画像生成部601、印刷指示部602、表示制御部603、入力制御部604、稼働ログデータ収集部605、及び稼働ログデータ出力部606を備える。これらの機能は、CPU201がROM202に記憶されている制御プログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0043】
印刷画像生成部601は、印刷原稿ファイルと印刷設定を基に、プリントエンジン210の印刷処理動作に必要な画像データを生成する。
印刷指示部602は、プリントエンジン210に印刷設定と画像データを出力し、印刷実行を指示する。
【0044】
表示制御部603は、画像形成装置10の状態(印刷可/不可、色調整処理中、消耗材残量等)、給紙トレイの状態等を、表示部222に表示する制御を行う。
入力制御部604は、入力部221に対するユーザーの操作に応じた入力信号を受け付けて、印刷設定の変更、色調整の実行指示、印刷中止、印刷再開指示等を行う。
【0045】
稼働ログデータ収集部605は、複数のセンサ211を含む画像形成装置10内のセンサの検知データや、アクチュエータの動作データ等を収集し、稼働ログデータとして画像形成装置10のRAM203又はHDD204に保存する。稼働ログデータは、センサなどに基づくジョブ実行中の単発的なエラーデータや画質異常データだけではなく、画像形成装置10の稼働履歴(電源オン/オフや動作履歴、ユーザー操作履歴)及び関連情報の全部を含む。例えば、稼働ログデータ収集部605は、稼働履歴及び関連情報として、操作表示部220のパネル操作のログデータ、給紙トレイの引き出し/収納のログデータ、給紙トレイに収納されている記録材についての情報、印刷開始/中断/終了時のログデータ、画像形成装置10本体の扉や不図示の後処理装置の扉を開け閉めした時のログデータ、等を収集する。
【0046】
稼働ログデータ出力部606は、稼働ログデータ収集部605により保存された稼働ログデータを、ネットワーク50,60を介して情報処理装置40へ出力する。
【0047】
[プリントサーバの機能構成]
図7は、プリントサーバ20の機能構成例を示すブロック図である。
プリントサーバ20は、印刷原稿ファイル保存部701、印刷設定保存部702、印刷ジョブ管理部703、及びデータ中継部704を備える。これらの機能は、CPU301がROM302に記憶されている制御プログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0048】
印刷原稿ファイル保存部701は、不図示のユーザー端末からジョブ管理アプリケーション(プリントドライバ)により送信された印刷原稿ファイルを、HDD304に保存する。
【0049】
印刷設定保存部702は、印刷原稿ファイル保存部701により保存された印刷原稿と、画像データ生成及び印刷処理に必要な印刷設定とを紐づけて、HDD304に保存する。
【0050】
印刷ジョブ管理部703は、ユーザー端末から受け付けた印刷ジョブデータを管理する。具体的には、HDD304に保存された印刷ジョブデータの呼び出しや、ユーザー端末による印刷ジョブ設定変更の反映、印刷済みジョブの履歴管理などの処理を行う。
【0051】
データ中継部704は、ネットワークI/F306で受信したデータを解析する。そして、データ中継部704は、画像形成装置10とネットワーク50との間で中継すべきデータがあると判定した場合に、そのデータを中継するよう制御する。
【0052】
[生産性管理端末の機能構成]
図8は、生産性管理端末30の機能構成例を示すブロック図である。
生産性管理端末30には、生産性管理アプリケーション800がインストールされている。生産性管理アプリケーション800は、生産性管理に関する情報を閲覧するためのブラウザであり、入力受付部801、情報取得部802、及び情報表示部803、及びを備える。これらの機能は、CPU401がROM402に記憶されている制御プログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0053】
入力受付部801は、生産性管理マネージャのキーボード420等に対する操作を受け付けるインターフェースを備える。例えば、入力受付部801は、以下の画像形成装置10の生産性に関する情報の表示要求を受け付ける。
・生産性監視状況(分析概略)の表示[例えば、稼働ログデータの分析結果(
図10)、分析結果(
図16)]
・生産性低下情報[分析詳細]の表示[例えば、分析・改善レコメンドの詳細(
図12、
図13)]
・生産性改善情報の表示[例えば、稼働ログデータの分析結果(
図10)、分析・改善レコメンド(
図15)]
【0054】
情報取得部802は、入力受付部801で受け付けたユーザー操作等に基づいて、情報処理装置40から画像形成装置10の生産性に関する情報を取得する。
【0055】
情報表示部803は、情報取得部802が情報処理装置40から取得した画像形成装置10の生産性に関する情報に基づいて、要求を受けた情報をディスプレイ430に表示する。
【0056】
[情報処理装置の機能構成]
図9は、情報処理装置40の機能構成例を示すブロック図である。
情報処理装置40は、稼働ログデータ取得部901、稼働ログ分析部902、及び分析結果出力部903を備える。これらの機能は、CPU501がROM502に記憶されている制御プログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0057】
稼働ログデータ取得部901は、画像形成装置10から稼働ログデータを取得し、HDD404に保存する処理を行う。稼働ログデータ取得部901は、ネットワーク50に接続している1以上の画像形成装置10から稼働ログデータを数msecなど所定の時間間隔で収集する。
【0058】
稼働ログ分析部902は、HDD404に保存されている画像形成装置10の稼働ログデータを分析し、分析結果に基づいて生産性向上のための改善策を提案する。また、稼働ログ分析部902は、上記改善策を実行することで得られる効果を計算する。稼働ログ分析部902は、稼働ログデータ取得部901のバックグラウンドで分析処理を実行する。稼働ログ分析部902は、対象装置特定部911、要因特定部912、及び提案決定部913を備える。
【0059】
対象装置特定部911は、1以上の画像形成装置10の稼働ログデータを分析し、分析結果に基づいて、基準値と比較して生産性が低下している、改善が必要な画像形成装置10(改善対象装置)を特定する処理を行う。基準値は、所定の比較単位(週単位、日単位、マシン単位、工場全体、それらの組み合わせ)の稼働率や中断時間等の平均値である。また、基準値は、予め設定した固定値でもよい。
【0060】
要因特定部912は、改善が必要な画像形成装置10の稼働ログデータを分析し、分析結果に基づいて、画像形成装置10の生産性を低下させている要因を特定する処理を行う。
【0061】
提案決定部913は、改善が必要な画像形成装置10の稼働ログデータを分析し、分析結果に基づいて、画像形成装置10の生産性を低下させている要因に対する改善策を決定する処理を行う。このとき、提案決定部913は、分析結果に基づいて、決定した改善策の根拠を特定し、その根拠を改善策とともに分析結果出力部903へ出力する。なお、稼働ログデータの分析結果に基づく改善策の内容は、予め設定及び登録してHDD504に記録しておいてもよいし、ニューラルネットワークなどの機械学習を用いて適宜更新する構成としてもよい。
【0062】
分析結果出力部903は、稼働ログ分析部902の分析結果(分析結果のみ又は改善策を含む)を生産性管理端末30へ出力する処理を行う。
【0063】
[稼働ログデータの分析結果画面]
次に、生産性管理端末30に表示される、画像形成装置10の稼働ログデータに対する分析結果画面について
図10を参照して説明する。
【0064】
図10は、生産性管理端末30に表示される画像形成装置10の稼働ログデータに対する分析結果を表示する画面の例を示す。生産性管理マネージャが、生産性管理アプリケーション(ブラウザ)を起動させてログインすると、生産性管理端末30が情報処理装置40にアクセスし、トップ画面に分析結果画面1000が表示される。
【0065】
分析結果画面1000には、先週の分析結果レポート1010と、先々週の分析結果レポート1020が表示されている。先週とは、生産性管理端末30が情報処理装置40によって提供される情報にアクセスした日が含まれる週(例えば今週)の前の週である。ここでは、先週は、生産性管理を開始した週を基点として41週目(10/04(日)~10/10(土))が対象である。また、先々週は、40週目(9/27(日)~10/03(土))が対象である。第41週の分析結果レポート1010は1個の分析結果(レコード)、第40週の分析結果レポート1020は3個の分析結果(レコード)1021~1023を有する。
【0066】
図10の例では、分析結果は、提案、提案種類、分析分類、想定効果、提案概要のフィールドから構成されている。
「提案」は、一目見て提案内容がわかるようにピクトグラム等の図記号(
図11の図記号1101~1102)を示す。提案には、大きく分けて生産性向上のための改善策(改善アクション)、及び、分析・発見の2つの提案(レポート)がある。
「提案種類」は、「提案」の欄に示された提案内容の種類(
図11の図記号1103~1106)を示す。
「分析分類」は、分析によって特定した生産性低下の要因の分類(
図11の図記号1107~1109)を示す。
【0067】
「想定効果」は、改善策を実施することで想定される効果を示す。想定効果は、“〇〇分/日”又は“○○分/週”という表記で、一日又は一週間に生産性が何分向上される見込みがあるかを示す。“〇〇分/日”又は“○○分/週”は、画像形成装置10の稼働実績によって可変する。
【0068】
「提案概要」は、改善策や分析・発見の提案(レポート)の概要を示す。提案概要では、特定のマシン(例:マシンA、1号機等印刷会社が保有しているマシンの中の一台)に対して、生産性を下げている要因(例:印刷中断時間、印刷準備時間、印刷時間)に関するどのような改善提案(例:オペレーション改善、装置構成変更等)があるかを示す。「特定のマシン」、「生産性を下げている要因」、「どのような改善」の内容は、画像形成装置10の稼働実績によって可変する。
【0069】
例えば、分析結果レポート1010では、「提案概要」に第41週とその前の週を比較して分析した結果の概要が示されている。
また、分析結果レポート1020の分析結果1021では、「提案」に図記号1101、「提案種類」に図記号1103,1104、「分析分類」に図記号1107、「想定効果」に94分/週が示されている。さらに、「提案概要」に「[第40週]マシンAとマシンBの用紙切れによる中断時間を改善することで、約94分/週の改善効果が得られる可能性があります。」というメッセージが示されている。マシンA,Bは工場内で使用されるマシン通称であり、1号機、2号機など他の呼称で表してもよい。
【0070】
なお、印刷時間に関して改善策を提案する場合には、「印刷時間が短く稼働率が低いので、もっと印刷しましょう。」、「マシン間や週単位/月単位で印刷時間のバラツキがあるから平準化しましょう。」といった提案が可能である。また、「週単位/月単位で印刷時間に何らかの傾向がみられる。」というような何らかの傾向が存在することを示唆した分析結果を表示することも考えられる。
【0071】
分析結果の詳細を確認したい場合には、分析結果のリストから確認したい提案(任意の一行)を選択すると、該当提案の提案根拠や改善アクションの詳細が表示される。
図10の例では、分析結果1021にポインタ(白抜き矢印)の位置を合わせてマウスデバイスをクリックすることで、分析結果1021の詳細を示す分析・改善レコメンドの詳細画面1200(
図12参照)に遷移する。
【0072】
ここで、
図11を参照して分析結果画面に表示される図記号の凡例を説明する。
図11は、分析結果画面に表示される図記号の凡例を示す。なお、この図記号は分析結果画面以外でも使用される。
(提案)
図記号1101は、豆電球を表した絵であり、改善アクション(改善策)の提案又はレポートを示す。
図記号1102は、虫眼鏡を表した絵であり、分析・発見の提案又はレポートを示す。
【0073】
(提案種類)
図記号1103は、人を表した絵であり、オペレーションに関する提案又はレポートを示す。
図記号1104は、印刷機を表した絵であり、機械に関する提案又はレポートを示す。
図記号1105は、段ボールを表した絵であり、マテリアルに関する提案又はレポートを示す。
図記号1106は、マネジメントサイクルを表した絵であり、方法・プロセスに関する提案又はレポートを示す。
図記号1103~1106は、業務の実施で使用されるリソース、いわゆる生産の4要素(Man、Machine、Material、Method)を表している。
【0074】
(分析分類)
図記号1107は、印刷機と砂時計を表した絵であり、印刷中断時間に関する提案又はレポートを示す。
図記号1108は、電源スタンバイと砂時計を表した絵であり、稼働時間に関する提案又はレポートを示す。
図記号1109は、手差しトレイと砂時計を表した絵であり、印刷準備時間に関する提案又はレポートを示す。
【0075】
[分析・改善レコメンドの詳細画面(1)]
図12は、分析・改善レコメンドの詳細画面(1)の例を示す。
図12に示す分析・改善レコメンドの詳細画面1200は、選択された分析結果について更に詳細な分析結果及び改善策の提案を示すものである。分析・改善レコメンドの詳細画面1200では、分析結果1021、分析分類領域1210、分析結果領域1220、及び改善レコメンド領域1230を有する例が示されている。分析・改善レコメンドの詳細画面1200の上部に、分析結果1021が表示される。そして、分析結果1021の下方に、分析分類領域1210、分析結果領域1220、及び改善レコメンド領域1230の順で表示される。提案概要を含んだ分析結果1021を画面上部に表示することで、生産性管理マネージャは、どの分析結果に対する分析・改善レコメンドの詳細画面であるかを容易に把握できる。
【0076】
(分析分類領域)
分析分類領域1210は、稼働ログ分析部902が分析によって特定した生産性低下の要因の分類とその根拠を示す領域である。ここでは、特定された要因の分類として“印刷中断時間”が示されるとともに、生産性低下の要因を“印刷中断時間”に分類した根拠が示されている。
図12では、根拠を示す情報として、マシン稼働率1211、時間分類別の生産実績グラフ(工場全体)1212、対象機器1213、生産効率の増減1214が表示されている。ここで、「マシン」及び「機器」は、画像形成装置のことである。
図12の根拠を示す情報は一例であり、表示情報及び表示態様はこの例に限らない。
【0077】
時間分類別の生産実績グラフ(工場全体)1212は稼働実績であり、「印刷時間」、「アイドル時間」、「印刷準備時間」、及び「印刷中断時間」が示されている。印刷時間、アイドル時間、印刷準備時間、及び印刷中断時間を合計した時間が「マシン稼働時間」である。「マシン稼働時間」は、「印刷時間」と「印刷以外の時間」に分けることができる。「印刷時間」は、実際に印刷が行われた時間(実印刷時間)である。また「印刷以外の時間」には、アイドル時間(マシンが何の操作もされずに待機している時間)、印刷準備時間(画像調整やジョブ設定のためのパネル操作時間、用紙補充時間、扉を空けて作業している時間を含む)、及び、印刷中断時間が含まれる。「印刷中断時間」は、用紙切れ、トナー切れ、排紙トレイフル、その他中断時間(紙詰まり(JAM)/サービスコール(SC)等)を含む。
【0078】
このように、まず提案根拠として、対象の週(例えば先週:アクセスした日の前の週)の稼働実績の概略(マシン稼働時間、印刷時間、印刷以外の時間)がわかる情報を表示する。
【0079】
ここでは、印刷時間104.6(h)、アイドル時間164.1(h)、印刷準備時間12.7(h)、及び印刷中断時間28.6(h)によりマシン稼働時間が310(h)であるから、マシン稼働率1211は“33.7%”である。この集計には、4台のマシンA~Dの稼働ログデータを使用したことが対象機器1213に示されている。対象機器1213に表示する情報はマシンを識別できる情報であればよく、例えばマシン通称ではなく、マシンのモデル名とシリアルナンバーでもよい。
【0080】
また、生産効率の増減1214には、先々週から先週にかけてのマシン稼働率の増減が示される。ここでは、先週のマシン稼働率が、先々週のマシン稼働率“15%”から“33.7%”へ増加している例が示されている。先週のマシン稼働率を示す欄に、マシン稼働率が先週から先々週にかけて向上したことを示す矢印マークが表示される。また、生産性管理マネージャに対する支援として、マシン稼働率の計算式(稼働率=実印刷時間/電源ON時間)が表示されている。
【0081】
(分析結果領域)
分析結果領域1220は、分析分類領域1210に示した生産性低下の要因の分類(例えば、印刷中断時間)について分析した結果を示す領域である。ここでは、分析結果領域1220において分析結果として、簡易分析メッセージ1220aと、詳細分析メッセージ1221と、集計データ1222が示される。
【0082】
簡易分析メッセージ1220aには、該当生産性低下の要因の分類に対する分析結果を端的に言い表すトピックが表示される。例えば、生産性管理マネージャが注目し、改善アクションの動機付けとなるような標題や小見出し等が選択される。
図12では、簡易分析メッセージ1220aとして「94分の改善効果期待あり(週当たり)」という表示例が示されている。
【0083】
詳細分析メッセージ1221には、生産性低下の要因の分類に対する分析結果の詳細が表示される。例えば、
図12では、詳細分析メッセージ1221として「中断要因(トナー切れ、用紙切れ、排紙トレイフル、その他)の中で、用紙切れが特に長く1466分止まっていました。」という表示例が示されている。
【0084】
集計データ1222は、生産性低下の要因の分類に関係する稼働ログデータを集計処理した結果を示す。集計データは、大量の稼働ログデータを集計によって加工した加工データの一例であって、稼働ログデータを日単位、週単位、マシン単位、ジョブ単位、工場内全マシンなど集計単位を分けて集計して得られるデータである。集計データ1222は、期間、トナー切れ、用紙切れ、排紙トレイフル、及びその他のフィールドを有する。「期間」には、集計期間として“20200920-20200926”(先々週(第39週))と、“20200927-20201003”(先週(第40週))の例が示されている。そして、期間ごとに、トナー切れ、用紙切れ、排紙トレイフル、及びその他について実績時間が示されている。先々週と先週との間で用紙切れの時間は、721+746=1466(h)である。
【0085】
(改善レコメンド領域)
改善レコメンド領域1230は、改善アクション(改善策)のレコメンドを示す領域である。ここでは、改善レコメンド領域1230に、改善アクションの対象と、改善アクションの内容1231が示される。
【0086】
図12では、改善アクションの対象として、“機械”に関する提案を表す図記号1104が表示されている。なお、分析結果1021において、改善アクションの提案の種類は“機械”と“オペレーション”であるため、“機械”の図記号1104に代えて“オペレーション”の図記号1103、あるいは“オペレーション”と“機械”の図記号1103,1104を表示してもよい。
【0087】
改善アクションの内容1231として、「特に中断時間が長いマシンAとマシンBの用紙切れを改善することで、94分/週短縮できる可能性があります。」と表示されている。
【0088】
このように、分析結果1021に対する分析・改善レコメンドの詳細は、分析・改善レコメンドの詳細画面1200と分析・改善レコメンドの詳細画面1300(
図13)に表示される。分析結果に対する分析・改善レコメンドの詳細は、表示に必要な画面のサイズが大きいために、二つの分析・改善レコメンドの詳細画面に分割して表示される。そのため、分析・改善レコメンドの詳細画面1200の右側には、垂直スクロールバーが表示されている。スクロールバーのスライダー1240をドラッグ操作で下に移動することで、分析・改善レコメンドの詳細画面1200の表示領域が下に移動する。表示領域を改善レコメンド領域1230の更に下へ移動すると、
図13の分析・改善レコメンドの詳細画面1300が表示される。なお、マウスデバイスのホイールボタンを操作することによっても、分析・改善レコメンドの詳細画面の表示領域を上又は下に移動させることができる。
【0089】
そして、分析・改善レコメンドの詳細画面1300において、具体的な改善アクションの提案と、提案に至った根拠を表示する。具体的な改善アクションによって、特定のマシン(例:マシンA、1号機等印刷会社が保有しているマシンの中の一台)に対して、どういうオペレーション(例:用紙切れとアイドル中の用紙補充など)に着目すべきか、どのような行動(例:分析結果に基づく定期的な確認など)を取るべきかを教示する。「特定のマシン」、「どういうオペレーション」、「どのような行動」の内容は、画像形成装置10の稼働実績によって可変する。
【0090】
改善アクションの提案には、オペレーションに関する改善、画像形成装置レイアウトの改善、画像形成装置のオプションを追加するような装置構成の改善等を含む。例えば、オペレーションに関する改善には、マニュアル修正やオペレーターの教育、見回り頻度を増やす、画像形成装置の設定を変更するなどがある。また、画像形成装置レイアウトには、画像形成装置の配置に限らず、資材置き場や用紙棚の設置やレイアウトも含まれる。また、画像形成装置のオプションとして、大容量排紙トレイや大容量給紙トレイなどが利用できる。
【0091】
提案に至った根拠については、特定のマシン(例:マシンA、1号機等印刷会社が保有している装置の中の一台)の改善アクションに関連するオペレーション(例:用紙切れとアイドル中の用紙補充など)の稼働実績を時系列に並べて示す。時系列は、週又は日などの単位で時間の経過に従って配置、配列したものである。そして、生産性が低下しているオペレーションの稼働実績と標準オペレーションの稼働実績を比較して、その差が分かるように表示する。例えば、週平均(一日平均)よりも印刷中断時間が長い稼働ログデータをハッチングや色分けなどによって分かりやすく表現するとよい。
【0092】
[分析・改善レコメンドの詳細画面(2)]
図13に、分析・改善レコメンドの詳細画面(2)の例を示す。
図13に示す分析・改善レコメンドの詳細画面1300は、
図12の分析・改善レコメンドの詳細画面1200において下スクロールすることにより表示される。
【0093】
分析・改善レコメンドの詳細画面1300も分析・改善レコメンドの詳細画面1200と同様に、選択された分析結果について更に詳細な分析結果及び改善策の提案を表示する。分析・改善レコメンドの詳細画面1300では、分析結果領域1310、改善点・提言領域1320、及び想定効果領域1330を有する例が示されている。分析・改善レコメンドの詳細画面1300の左側に分析結果領域1310、同右側に改善点・提言領域1320が表示される。そして、分析結果領域1310及び改善点・提言領域1320の下方に、想定効果領域1330が表示される。
【0094】
分析結果領域1310は、改善レコメンド領域1230に示した改善アクション(改善策)の根拠として、改善アクションに関係する稼働ログデータを分析した結果を示す領域である。
図13では、分析結果領域1310に、用紙切れに関する稼働ログデータを集計した二つのグラフが表示されている。
【0095】
上側のグラフ1311は、マシンA及びマシンBの出力紙枚数と用紙切れの頻度との相関を示したグラフである。ここでマシンAとマシンBはほぼ同じ仕様であるものとする。グラフ1311において、横軸は出力紙枚数、縦軸は用紙切れの頻度(回数)を表す。100枚単位で出力紙枚数と用紙切れの頻度を見てみると、出力紙枚数が300-400枚のとき用紙切れ頻度が“41回”と最も高くなる。
【0096】
下側のグラフ1312は、マシンA及びマシンBにおいて300-400枚出力(印刷)して止まるまでの時間を示したグラフである。グラフ1312において、横軸は300-400枚出力するのにかかった時間、縦軸は用紙切れで止まったジョブ数を表す。グラフ1312では、約14分経過後の5分単位で、用紙切れで止まったジョブ数を示している。これは、300-400枚出力する複数のジョブのうち、14分45秒以上且つ19分39秒で用紙切れとなるジョブが最も多いことを表している。大まかに言えば、マシンA,Bにおいて多くのジョブが、300-400枚出力する際に15分から20分までに用紙切れする。
【0097】
改善点・提言領域1320は、左に示した分析結果領域1310の分析結果に対する改善点及び提言を示す領域である。例えば、グラフ1311に示された分析結果に対して、「300-400枚出力して用紙切れで中断される頻度が一番高いです。」というメッセージ(解説)が示されている。また、例えば、グラフ1312に示された分析結果に対して、「300-400枚用紙を出力するのに15分以上かかります。」というメッセージ(解説)が示されている。
【0098】
さらに、グラフ1312に示された分析結果に対し、用紙切れを防止するための具体的な改善策として提言1321が表示されている。提言1321では、「300枚以上のジョブが残っている場合、15分程度で給紙トレイを見ましょう。」というメッセージが、オペレーションの図記号1103及び改善アクションの図記号1101とともに表示されている。このように具体的な改善策を表示することで、生産性管理マネージャは、速やかに改善行動に移ることができる。
【0099】
想定効果領域1330は、改善策を実施された場合に想定される生産性の効果を示す領域である。300-400出力時の用紙切れによる印刷中断の改善策を実行することで、300-400出力時のマシンAとマシンBの用紙切れによる中断時間が“466分”となることが示されている。すなわち、表示された改善策を実行することで、先週のマシンAとマシンBの用紙切れによる中断時間“560分”が、“466分”まで減少し、週当たり“94分”の改善効果が期待できることが示されている。
【0100】
分析・改善レコメンドの詳細画面1300においてスライダー1240を上方向に操作することで、
図12の分析・改善レコメンドの詳細画面1200が表示される。
【0101】
なお、想定効果については種々の計算方法が考えられる。例えば、特定マシンの印刷中断時間の週間実績(先週と先々週のそれぞれの週平均)を比較し、比較結果から先週の実績を週平均に近づけることで得られる効果を「想定効果」としてもよい。そして、特定マシンの印刷中断時間の週間実績比較と、想定効果の根拠を表示する。
【0102】
上記
図12及び
図13に示した、稼働ログ分析部902によって1以上の画像形成装置10の稼働ログデータを集計して得られる集計結果(加工データ)は、分析結果の一つとして、情報処理装置40のHDD504に記憶される。例えば、
図12において加工データは、時間分類別の生産実績グラフ(工場全体)1212と集計データ1222であり、
図13において加工データは、出力紙枚数と用紙切れに関するグラフ1311とグラフ1312である。
【0103】
そして、稼働ログ分析部902は、稼働ログデータの分析結果に基づいて、上記改善策の根拠に関係する加工データを特定し、分析結果出力部903は、生産性が低下した画像形成装置10の情報、要因及び改善策と併せて、改善策の根拠として該当加工データを出力する。
【0104】
また、垂直スクロールバーの例を示したが、水平スクロールバーを採用して分析・改善レコメンドの詳細画面を横長に表示してもよい。あるいは、垂直スクロールバーと水平スクロールバーを併用してもよい。
【0105】
[生産性管理処理の手順]
次に、情報処理装置40の生産性管理処理(稼働ログデータ分析処理)について、
図14を参照して説明する。
【0106】
図14は、情報処理装置40の生産性管理処理の手順例を示すフローチャートである。
前提として、情報処理装置40の稼働ログデータ取得部901が、工場全体(又は印刷会社等)の複数の画像形成装置10(マシン)から定期的に稼働ログデータを取得してHDD504に蓄積しているものとする。以下、生産性低下の要因を「印刷中断時間」として説明するが、要因は他の時間であってもよい。なお、
図14の処理ステップにおいてサンプル結果の具体例を記載しているが、
図10~
図13に示したマシンや要因等とは関係がない。
【0107】
図14において、稼働ログ分析部902は、HDD50に蓄積された稼働ログデータから、工場全体(印刷会社)の全てのマシンの印刷中断時間について先週、先々週、週平均をそれぞれ集計する(S1)。
【0108】
一般に生産性が低下している場合には印刷中断時間の長さや内容が問題であることが多いため、本実施形態では始めに印刷中断時間について集計している。ただし、印刷中断時間が少なく、印刷準備時間が長い又は印刷時間が短いことが生産性を低下させる要因の場合は、印刷準備時間や印刷時間にかかわる要因を分析し、その改善策を提示することになる。
【0109】
次いで、稼働ログ分析部902は、先週の印刷中断時間の週平均を、先々週の印刷中断時間の週平均と比較し、先週の印刷中断時間の週平均が先々週の印刷中断時間の週平均よりも大きいか否かを判定する(S2)。先週の印刷中断時間の週平均が先々週の印刷中断時間の週平均以下の場合には(S2のNO)、一連の処理を終了する。
【0110】
次いで、先週の印刷中断時間の週平均が先々週の印刷中断時間の週平均よりも大きい場合には(S2のYES)、稼働ログ分析部902は、マシン単位で、印刷中断時間の先週、先々週の週平均をそれぞれ集計する(S3)。
【0111】
次いで、稼働ログ分析部902は、マシンごとに、先週の印刷中断時間の週平均が先々週の印刷中断時間の週平均よりも大きいか否かを判定する(S4)。稼働ログ分析部902は、全てのマシンについて比較及び判定する。先週の印刷中断時間の週平均が先々週の印刷中断時間の週平均よりも大きいマシンが存在しない場合には(S4のNO)、一連の処理を終了する。
【0112】
次いで、先週の印刷中断時間の週平均が先々週の印刷中断時間の週平均よりも大きいマシンが存在する場合には(S4のYES)、稼働ログ分析部902は、上記ステップS4の条件に合うマシンを抽出する(S5)。例えば、マシンの抽出結果として、“マシンA、マシンB、マシンC”を得る。
【0113】
次いで、稼働ログ分析部902は、抽出された複数のマシンから印刷中断時間が一番長いマシンを抽出する(S6)。例えば、マシンとして、“マシンB”を抽出したとする。
【0114】
次いで、稼働ログ分析部902は、抽出された特定の一台のマシンの印刷中断時間の要因別の時間を取得する(S7)。既述のとおり、印刷中断時間の要因(以下「中断要因」と呼ぶ。)としては、例えば、トナー切れ、用紙切れ、排紙トレイフル、及びその他が挙げられる。
【0115】
次いで、稼働ログ分析部902は、中断要因ごとに、先週の印刷中断時間の週平均が先々週の印刷中断時間の週平均よりも大きいか否かを判定する(S8)。稼働ログ分析部902は、全ての中断要因について比較及び判定する。先週の印刷中断時間の週平均が先々週の印刷中断時間の週平均よりも大きい中断要因が存在しない場合には(S8のNO)、一連の処理を終了する。
【0116】
次いで、先週の印刷中断時間の週平均が先々週の印刷中断時間の週平均よりも大きい中断要因が存在する場合には(S8のYES)、稼働ログ分析部902は、上記ステップS8の条件に合う中断要因を抽出する(S9)。例えば、中断要因の抽出結果として、“トナー切れ、用紙切れ、その他”を得る。
【0117】
次いで、稼働ログ分析部902は、抽出された複数の中断要因から印刷中断時間が一番長い中断要因を抽出する(S10)。例えば、中断要因として、“その他”を抽出したとする。
【0118】
次いで、分析結果出力部903は、稼働ログ分析部902で抽出された中断要因(“その他”)についての分析結果を出力する(S11)。例えば、情報処理装置40から生産性管理端末30へ分析結果を送信し、生産性管理端末30のディスプレイ430に「紙詰まり又はサービスコールによる印刷中断が多いです。」というメッセージを表示する。このような生産性低下の原因を特定できない中断要因に関しては、どのようなトラブルが発生しているかを表示することで、生産性管理マネージャは現在のマシン状態を把握しやすくなる。それにより、生産性管理マネージャが、マシン状態に応じて適切な行動をとることができる。
【0119】
次いで、稼働ログ分析部902は、ステップS9で抽出された複数の中断要因から次に印刷中断時間が長い中断要因を抽出する(S12)。ここでは、例えば、中断要因として“用紙切れ”を抽出したとする。
【0120】
次いで、稼働ログ分析部902は、“用紙切れ”に対するオペレーション改善の提案を行い(S13)、一連の処理を終了する。
【0121】
稼働ログ分析部902は、生産性を低下させる一つの要因(例えば印刷中断時間)に対して1つ又は複数の改善策を決定する。例えば、
図10では、要因“印刷中断時間”に対し、用紙切れの改善、排紙トレイフルの改善、印刷枚数の改善が提案されている。このような場合、生産性管理マネージャは、効果の高い改善アクションから手を付けたり、現在のリソースから手を付けやすい改善アクションから開始したりするなど、状況に応じて柔軟な判断がしやすくなる。
【0122】
分析結果出力部903は、稼働ログ分析部902で決定されたオペレーション改善の提案を含む分析結果を、ネットワークI/F506により生産性管理端末30へ送信する。生産性管理端末30は生産性管理アプリケーション800により、情報処理装置40から受信した分析結果をディスプレイ430に表示する。
【0123】
このように、稼働ログ分析部902は、画像形成装置10の生産性を下げている要因(例えば印刷中断時間)を構成する要素のうち、生産性を最も低下させる要素(中断要因:例えばその他)に対して改善策を決定する処理を行う。そして、稼働ログ分析部902は、当該要素に対して改善策を決定できない場合には、生産性をその次に低下させている要素(例えば用紙切れ)に対して改善策を決定する処理を行う。これにより、情報処理装置40は、生産性を下げている要因に対して実効性のある改善策を提案することができる。
【0124】
すなわち、稼働ログ分析部902は、画像形成装置10の生産性を下げている要因(例えば印刷中断時間)を構成する要素(例えば、トナー切れ、用紙切れ、排紙トレイフル、その他)ごとに改善策を決定する処理を行い、上記要因に対して画像形成装置10の生産性を低下させている要素の順番に改善策を決定する。これにより、情報処理装置40は、生産性を下げている要因に対して実効性の高い改善策から提案を行うことができる。
【0125】
なお、
図14では、印刷中断時間が2番目に長い中断要因まで分析したが、3番目以降の長さの印刷中断時間に対する中断要因を分析してもよい。また、
図14に示したフローチャートにおいて、処理結果に影響を及ぼさない範囲で、複数の処理を並列的に実行したり、処理順序を変更したりしてもよい。例えば、ステップS10~S11とステップS12~S13の処理順を逆にしてもよい。
【0126】
以上のとおり、第1の実施形態に係る情報処理装置40は、1以上の画像形成装置10から得られる情報を処理して生産性を管理する情報処理装置である。情報処理装置40は、画像形成装置10から稼働履歴情報(稼働ログデータ)を取得する取得部(稼働ログデータ取得部901)と、その稼働履歴情報を分析し、分析結果から生産性を向上させるための改善策(改善アクション)を決定する分析部(稼働ログ分析部902)と、当該改善策を出力する出力部(分析結果出力部903)と、を備えて構成される。
【0127】
上記のように構成された本実施形態に係る情報処理装置40によれば、画像形成装置10の稼働ログデータから生産性を下げる要因を特定し、生産性を向上させるための具体的な改善策(改善アクション)を出力する。そして、そして、生産性管理端末30の表示画面に具体的な改善策を表示することで、生産性管理マネージャが速やかに改善行動をとることができ、画像形成装置10の生産性を向上させることができる。
【0128】
また、本実施形態に係る情報処理装置40では、分析部(稼働ログ分析部902)は、改善策を実行することで得られる効果を計算し、出力部(分析結果出力部903)は、当該改善策とともに効果を出力するように構成されている。
【0129】
上記構成の情報処理装置40によれば、改善策とその効果を出力することで、生産性管理マネージャは、改善行動のモチベーションが高まり、改善行動に移りやすくなる。
【0130】
<第2の実施形態>
第2の実施形態は、始めに改善アクションを実行した場合の想定効果を出力し、改善アクションの詳細を確認するきっかけを作る例である。情報処理装置40は、分析結果として、想定効果を含む分析・改善レコメンドを生産性管理端末30へ送信する。生産性管理端末30は、想定効果を含む分析・改善レコメンドの画面をディスプレイ430に表示する。
【0131】
[分析・改善レコメンドの画面]
第2の実施形態に係る分析・改善レコメンドの画面について
図15を参照して説明する。
図15は、分析・改善レコメンドの画面の例を示す。
図15に示す分析・改善レコメンドの画面1500には、通知概要1510、想定効果1520、及び分析詳細ボタン1530が表示される。
【0132】
通知概要1510は、分析・改善レコメンドに関する通知の概要を示す。通知の概要として、主に稼働ログデータの分析結果から工程改善に効果のある新しい提案があることを通知する。
図15の例では、「工程改善に効果のある新しい提案が4件あります」というメッセージが示されている。なお、新しい提案には、“改善アクション”の他に、“分析・発見”も含む。
【0133】
想定効果1520は、改善アクションを実行することによって得られる効果が一番大きいもの(例:13分/日)を示すアイコンである。想定効果1520の右下のバッジ情報は、稼働ログデータに基づく提案の件数(例:4件)を示している。提案の件数は、後述する
図16の分析結果レポートに記載された分析結果の数に相当する。
【0134】
このように、生産性管理マネージャが生産性管理アプリケーションにログイン後、最初に分析・改善レコメンドの画面1500を表示することで、生産性管理マネージャの興味を引く効果を期待できる。例えば、一番大きい想定効果を示すことで、生産性管理マネージャが「こんなに改善できる提案とはどんな提案なのか」と興味を抱くようになる。このように生産性管理マネージャが改善アクションの詳細を確認するきっかけを作ることで、生産性管理マネージャの行動を誘導する。
【0135】
分析詳細ボタン1530は、分析結果の詳細を表示する画面に遷移するためのボタン機能を有するアイコンである。分析詳細ボタン1530にポインタ(白抜き矢印)の位置を合わせてマウスデバイスをクリックすることで、
図16に示すような分析結果として改善提案のリストを示した画面が表示される。
【0136】
[先週の分析結果を表す画面]
図16は、第2の実施形態に係る先週の分析結果を表す画面の例を示す。
先週の分析結果を表す画面1600には、分析結果レポート1610が表示される。
図16では、分析結果レポート1610では、4件の分析結果(提案)のリストが示されている。各分析結果(レコード)は、
図10と同じように、提案、提案種類、分析分類、想定効果、提案概要のフィールドから構成されている。ここで改善アクションの概要と、改善アクションを実施した場合の効果が確認できる。
【0137】
図16では、分析結果レポート1610の一行目の分析結果1611には、分析・改善レコメンドの画面1500に表示された想定効果“13分/日”に該当する分析結果1611が表示されている。分析結果1611では、「提案」に図記号1101、「提案種類」に図記号1103,1104、「分析分類」に図記号1107、「想定効果」に13分/日が示されている。そして、「提案概要」に「マシンAの印刷中断時間に関するオペレーション改善提案があります。」というメッセージが示されている。ここで、分析結果1611をクリックすると、選択した分析結果1611についてさらに詳細な分析結果、例えば
図12に示したような分析・改善レコメンドの詳細画面が表示される。
【0138】
このように、第2の実施形態では、改善提案の概要と、改善することで得られる効果の想定値(例:13分/日)とを表示する。これにより、想定効果を見た生産性管理マネージャをやる気にさせる。生産性管理マネージャは、「これほどの効果が得られるなら、改善してみよう」と改善アクションの詳細を見るようになる。
【0139】
上述した第1の実施形態では、週単位の効果を生じる改善策を提案し、その根拠として週単位の集計データを表示したが、提案する改善策に応じて表示する根拠(集計データ)の集計単位を変更することが望ましい。すなわち、第2の実施形態において
図15及び
図16のように日単位の効果を表示する場合には、分析結果1611を選択した際に根拠として日単位の集計データを表示する。
【0140】
<変形例>
なお、本発明は上述した各実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。例えば、上述した各実施形態は本発明を分かりやすく説明するために情報処理装置及び生産性管理システムの構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成要素を備えるものに限定されない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成要素に置き換えることが可能である。また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成要素を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成要素の追加又は置換、削除をすることも可能である。
【0141】
例えば、上述した第1及び第2の実施形態では、情報処理装置40が複数の画像形成装置10の稼働ログデータを収集して分析し、改善策の提案を行う構成を説明したが、情報処理装置40の機能を生産性管理端末30が備えていてもよい。この場合、画像形成装置10の稼働ログデータを広域ネットワークであるネットワーク60へ出力しなくて済む。
【0142】
また、上記の各構成、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計するなどによりハードウェアで実現してもよい。ハードウェアとして、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの広義のプロセッサデバイスを用いてもよい。
【0143】
また、上述した各実施形態にかかる情報処理装置の各構成要素は、それぞれのハードウェアがネットワークを介して互いに情報を送受信できるならば、いずれのハードウェアに実装されてもよい。また、ある処理部により実施される処理が、1つのハードウェアにより実現されてもよいし、複数のハードウェアによる分散処理により実現されてもよい。
【符号の説明】
【0144】
1…生産性管理システム、 10A,10B,10C…画像形成装置、 20…プリントサーバ、 30…生産性管理端末、 40…情報処理装置、 200…プリントコントローラ、 201…CPU、 202…ROM、 203…RAM、 204…HDD、 210…プリントエンジン、 211…センサ、 220…操作表示部、 501…CPU、 502…ROM、 503…RAM、 601…印刷画像生成部、 602…印刷指示部、 603…表示制御部、 604…入力制御部、 605…稼働ログデータ収集部、 606…稼働ログデータ出力部、 800…生産性管理アプリケーション、 801…入力受付部、 802…情報取得部、 803…情報表示部、 901…稼働ログデータ取得部、 902…稼働ログ分析部、 903…分析結果出力部、 911…対象装置特定部、 912…要因特定部、 913…提案決定部、 1000…分析結果画面、 1010,1020…分析結果レポート、 1021~1023…分析結果、 1200…分析・改善レコメンドの詳細画面、 1300…分析・改善レコメンドの詳細画面、 1500…分析・改善レコメンドの画面、 1600…先週の分析結果を表す画面、 1610…分析結果レポート