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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】射出装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/17 20060101AFI20241126BHJP
   B29C 45/03 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
B29C45/17
B29C45/03
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021021710
(22)【出願日】2021-02-15
(65)【公開番号】P2022124123
(43)【公開日】2022-08-25
【審査請求日】2023-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】300041192
【氏名又は名称】UBEマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004347
【氏名又は名称】弁理士法人大場国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】入江 雄大
(72)【発明者】
【氏名】杉田 俊道
(72)【発明者】
【氏名】苅谷 俊彦
【審査官】岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-148528(JP,A)
【文献】特開2006-021477(JP,A)
【文献】特開2003-231152(JP,A)
【文献】特開2001-096565(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/17
B29C 45/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリュを収容する加熱筒を備える射出部と、
前記射出部を前進または後進させる、前記加熱筒を支持する第1駆動部と、
前記スクリュを回転させる第2駆動部と、
前記第1駆動部をその位置が固定するように支持するとともに、前記第2駆動部を前後方向に移動可能に支持する支持台と、
前記支持台を前記前後方向に移動させる支持台駆動アクチュエータと、
前記支持台に位置が固定され、前記支持台を高さ方向(H)に昇降する支持台昇降装置と、
前記支持台駆動アクチュエータの動作によって、前記支持台が移動する方向に固定され、かつ、前記支持台の移動力を受け止めるストッパと、を備える射出装置であって、
前記支持台駆動アクチュエータの動作によって、前記支持台が移動する方向が、前記射出装置の前後方向であり、
前記ストッパは、前記支持台の前端面からの前記移動力または後端面からの前記移動力を受け止める、
ことを特徴とする射出装置。
【請求項2】
スクリュを収容する加熱筒を備える射出部と、
前記射出部を前進または後進させる、前記加熱筒を支持する第1駆動部と、
前記スクリュを回転させる第2駆動部と、
前記第1駆動部をその位置が固定するように支持するとともに、前記第2駆動部を前後方向に移動可能に支持する支持台と、
水平方向に旋回動作が可能とされ、前記支持台を前記前後方向に移動させる支持台駆動アクチュエータと、
前記支持台に位置が固定され、前記支持台を高さ方向(H)に昇降する支持台昇降装置と、
前記支持台駆動アクチュエータの動作によって、前記支持台が移動する前記前後方向に直交する幅方向に固定され、かつ、前記支持台からの旋回力を受け止めるストッパと、を備える射出装置であって、
前記支持台駆動アクチュエータの前記旋回動作によって、前記支持台が水平方向に旋回し、
前記ストッパは、前記支持台の幅方向の一方の側面からの前記旋回力または前記支持台の前記幅方向の他方の側面からの前記旋回力を受け止める、
射出装置。
【請求項3】
前記ストッパと前記支持台の間に、前記ストッパと前記支持台の間の隙間を調整する調整部材が設けられる、
請求項1または請求項2に記載の射出装置。
【請求項4】
前記支持台昇降装置は、
前記第1駆動部を支持する、前記前後方向に配列される複数の第一昇降装置と、
前記第2駆動部を支持する、前記前後方向に配列される複数の第二昇降装置を備え、
前記第一昇降装置は、前記第1駆動部の第一重心を囲んで配置され、
前記第二昇降装置は、前記第2駆動部の第二重心が移動する範囲を囲んで配置される、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の射出装置。
【請求項5】
前記第一昇降装置は、
前記第一重心の位置に対して前記前後方向に対称に配置される、
請求項4に記載の射出装置。
【請求項6】
基台と、
前記基台に載せられる変位構造と、
前記変位構造に載せられるスペーサブロックと、を備える基部を有し、
前記変位構造は、
前記支持台昇降装置を前記基台に対して前記前後方向に移動可能に支持し、
前記支持台昇降装置は、前記スペーサブロックに固定される、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の射出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機に用いられる射出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機は、樹脂の射出に関わる射出装置と、射出される樹脂を成形するための金型を保持する型締装置と、を備える。
溶融された樹脂は射出装置の最も前方にある射出用のノズルから吐出される。樹脂の射出時にはノズルは型締装置に向けて前進し、その先端の中心が固定盤に支持される固定金型のノズル受け部(スプルブシュ)の中心と一致する必要がある。射出装置および型締装置のそれぞれは、機械加工された複数の部品が組み立てられているので、誤差がある。そのため、ノズルの中心とノズル受け部の中心とを一致させる芯合わせのために、射出装置の高さの調整が必要になることがある(特許文献1(段落[0003]))。
【0003】
そこで、目視確認しなくてもノズルの芯合せができる方法および装置が特許文献2に開示されている。また、複数の高さ調整ボルトと高さ固定ボルトによって調整される射出装置が特許文献3に開示され、さらに、ジャッキボルトでノズルの高さを調整する装置が特許文献4に開示されている。さらにまた、押しボルトにより射出装置をテーパ面に沿って昇降させてノズルの高さを調整する装置が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-300408号公報
【文献】特公平4-81928号公報
【文献】特公平6-73870号公報
【文献】特公平6-92097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献2および特許文献3は、ノズルの高さを調整するボルトが基台に固定されているため、ノズルの前後進のストロークが大きな大型射出装置の場合、基台側に射出装置のストローク全域を包含する過大に長尺な支持台が必要となる。
また、特許文献4および特許文献1については、基台上を移動可能な摺動台上にノズルの高さを調整するボルトが備えられており、大型の射出装置であっても基台側に射出装置のストローク全域を包含する過大に長尺な支持台を備える必要がない。しかし、特許文献4においては、調整ボルトが基台の前端に設けられており、基台の剛性が低いと基台が撓んでしまい、ノズルの高さを精度よく調整することができない。また、特許文献1においては、テーパ方向にテーパ部材を移動させる必要があるため、射出装置がこのテーパ部材の移動に引っ張られて、ノズルの芯がずれる恐れがある。
【0006】
以上より、本発明は、ノズルの高さ方向の位置を精度よく調整できる射出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の射出装置は、スクリュを収容する加熱筒を備える射出部と、射出部を前進または後進させる、加熱筒を支持する第1駆動部と、スクリュを回転させる第2駆動部と、第1駆動部をその位置が固定するように支持するとともに、第2駆動部を前後方向に移動可能に支持する支持台と、支持台を前後方向に移動させる支持台駆動アクチュエータと、支持台に位置が固定され、支持台を高さ方向に昇降する支持台昇降装置と、支持台駆動アクチュエータの動作によって、支持台が移動する方向に固定され、かつ、支持台と接するストッパと、を備える。
【0008】
本発明の射出装置において、好ましくは、支持台駆動アクチュエータの動作によって、支持台が移動する方向が、射出装置の前後方向であり、ストッパが支持台と接するのが、支持台の前端面および後端面である。
【0009】
本発明の射出装置において、好ましくは、支持台駆動アクチュエータの動作によって、支持台が移動する方向が、射出装置の幅方向であり、ストッパが支持台と接するのが、支持台の幅方向の両側面である。
【0010】
本発明の射出装置において、好ましくは、ストッパと支持台の間に、ストッパと支持台の隙間を調整する調整部材が設けられる。
【0011】
本発明の射出装置において、好ましくは、支持台昇降装置は、第1駆動部を支持する、前後方向に配列される複数の第一昇降装置と、第2駆動部を支持する、前後方向に配列される複数の第二昇降装置を備え、第一昇降装置は、第1駆動部の第一重心を囲んで配置され、第二昇降装置は、第2駆動部の第二重心が移動する範囲を囲んで配置される。
【0012】
本発明の射出装置において、好ましくは、第一昇降装置は、第一重心の位置に対して前後方向に対称に配置される。
【0013】
本発明の射出装置において、好ましくは、基台と、基台に載せられる変位構造と、変位構造に載せられるスペーサブロックと、を備える基部を有し、変位構造は、支持台昇降装置を基台に対して前後方向に移動可能に支持し、支持台昇降装置は、スペーサブロックに固定される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の射出装置によれば、ノズルの高さ方向の位置を精度よく調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態に係る射出装置を示す一部断面を含む側面図である。
図2図1に示す射出装置の一部断面を含む平面図である。
図3図1に示す射出装置のIII-III線矢視断面を含む正面図である。
図4図1に示す射出装置の支持台昇降装置を示す正面図である。
図5】第1実施形態に係る射出装置を示す図であり、(a)は生じ得る課題を示し、(b)は課題への対策を示す図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る射出装置を示す平面図である。
図7】(a)は図6に示す射出装置のVII-VII線矢視断面を含む正面図であり、(b)は(a)の変形例を示す図である。
図8】第2実施形態に係る射出装置を示す図であり、(a)は生じ得る課題を示し、(b)は課題への対策を示す図である。
図9】本発明の第3実施形態に係る射出装置の一部断面を含む側面図である。
図10】本発明の第3実施形態に係る射出装置の効果を説明する図である。
図11】本発明の第3実施形態の変形例に係る射出装置の効果を説明する図である。
図12】本発明の第3実施形態の変形例に係る射出装置の効果を説明する図である。
図13】本発明の第4実施形態に係る射出装置を示す一部断面を含む側面図である。
図14図13に示す射出装置のXIII-VIII線矢視断面を含む正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
〔第1実施形態〕
図1図6を参照して、第1実施形態に係る射出装置1Aについて説明する。
射出装置1Aは、図示を省略する型締装置と組み合わされることにより、射出成形機を構成する。射出装置1Aは、ノズルの水平方向の位置を調整でき、かつ、位置がずれることなくノズルの高さ方向の位置を精度よく調整できる。これに加えて、射出装置1Aは、ノズルの高さ方向の位置を調整する支持台昇降装置20に曲げ荷重が生ずるのを抑えることにより、支持台昇降装置20の曲げ荷重による破損を防止できる。
以下、射出装置1Aの構成、射出装置1Aの動作および射出装置1Aの効果の順で説明する。
【0017】
[射出装置1Aの全体構成:図1図2図3図4
射出装置1Aは、図1図4に示すように、射出装置1Aの構成要素の支持を担う基部10と、スクリュ51を含み、樹脂の射出に関わる射出部50と、スクリュ51の前後方向への移動およびスクリュ51の回転を担う駆動部70と、を備える。射出装置1Aは、駆動部70によるスクリュ51および加熱筒53の前進動作の制御により、図示を省略する型締装置の金型に向けて溶融した樹脂を供給する。
射出装置1Aにおいて、図1などにFが記載されている側を前方、Bが記載されている側を後方と定義する。この前方Fおよび後方Bの定義は相対的な意味を含むものとする。また、射出装置1Aについて、幅方向W、前後方向Lおよび高さ方向Hが図1などに示すように定義される。高さ方向Hは鉛直方向と一致する。
【0018】
[基部10:図1および図3
基部10は、図1および図3に示すように、前方Fから後方Bに向けて延びる基台11と、基台11の上に固定される板状の低摩擦係数の材料からなる被摺動体13A,13Bと、を備える。図3に示すように、2つの被摺動体13A,13Bが、幅方向Wに間隔をあけて、かつ互いに平行に配置される。基部10は、それぞれの被摺動体13A,13Bに載る摺動体15A,15Bと、摺動体15A,15Bのそれぞれの上に固定される複数台の支持台昇降装置20と、複数台の支持台昇降装置20に支持される支持台30と、を備える。また、基部10は、支持台30を介して、支持台30および支持台30に支持される射出部50および駆動部70を前進または後進させる支持台駆動アクチュエータ40を備える。なお、支持台昇降装置20は支持台昇降装置20A1,20A2…などの総称である。
基部10は、以上のように構成されているので、被摺動体13A,13Bの上を摺動体15A,15Bが滑り、摺動体15A,15B、支持台30、および支持台昇降装置20が一体となって、支持台駆動アクチュエータ40により前進または後進できる。
【0019】
基台11は、射出装置1Aの重量を受けても、射出成形の動作に影響を与える変形が生じない程度の剛性を備えている。基台11がこの剛性を備えていることにより、支持台30に変形が生じないか、変形が生じるとしても微小に抑えつつ支持台30を支持できる。
被摺動体13A,13Bと摺動体15A,15Bは、本発明の変位構造を構成し、少なくともいずれか一方は互いに接しながら摺動する際の摩擦係数が小さい材料から構成される。摩擦係数の小さい具体的な例として、PTFE(Poly Tetra Fluoro Ethylene)などのフッ素樹脂、窒化チタン、酸化チタンなどのチタン化合物が掲げられるが、これらに限らずベリリウムなどの摩擦係数の小さい金属材料を用いることができる。被摺動体13A,13Bまたは摺動体15A,15Bは全体がこれらの摩擦係数の小さい材料で構成される必要はなく、互いに摺動する面に限ってこれらの材料を用いることができる。なお、本実施形態においては、被摺動体13A,13Bを基台11に固定した例を示すが、摩擦係数の小さい材料が被摺動体13A,13Bに適用される場合、被摺動体13A,13Bを基台11に固定するのではなく、摺動体15A,15Bに固定して、基台11と摺動するようにしてもよい。これも本発明の変位構造を構成する。
図1および図3に示すように、被摺動体13A,13Bおよび摺動体15A,15Bの幅方向Wの外側に、摺動体15A,15Bの幅方向Wの位置ずれを防ぐためのガイドブロック14が、前後方向Lの2か所に間隔を空けて設けられる。
【0020】
支持台昇降装置20は、支持台30を上昇または降下させる。支持台30が昇降すると射出部50の射出ノズル57が昇降するので、支持台昇降装置20は射出ノズル57の高さ方向Hの位置を調整する。
基部10において、一方の摺動体15Aに同じ仕様を有する4台の支持台昇降装置20が固定され、他方の摺動体15Bにも同じ仕様の4台の支持台昇降装置20が固定される。なお、合わせて8台の支持台昇降装置20を区別が必要な場合には、支持台昇降装置20A1,20A2,20A3,20A4,20B1,20B2,20B3,20B4と表記し、区別が必要ないときには単に支持台昇降装置20と表記する。被摺動体13A,13Bおよび摺動体15A,15Bについても同様である。
支持台昇降装置20A1,20A2,20B1,20B2は、支持台30の専ら射出部50および駆動部70の第1駆動部80からの荷重を受ける部位に設けられ、支持台昇降装置20A3,20A4,20B3,20B4は、支持台30の専ら駆動部70の第2駆動部90からの荷重を受ける部位に設けられる。支持台昇降装置20A1,20A2,20B1,20B2は本発明における第一昇降装置に対応し、支持台昇降装置20A3,20A4,20B3,20B4は本発明における第昇降装置に対応する。
【0021】
支持台昇降装置20は、図4に示すように、摺動体15に固定される支持板21と、支持板21に回転不能に支持されるねじ軸23と、ねじ軸23に回転可能に設けられる第一昇降ナット25と、第一昇降ナット25と間隔を隔ててねじ軸23に回転可能に設けられる第二昇降ナット27と、を備える。第一昇降ナット25と第二昇降ナット27の間のねじ軸23には支持台30のねじ孔37が貫通するとともに、第一昇降ナット25と第二昇降ナット27の間にねじ孔37の周囲の支持縁39が挟持される。
支持台昇降装置20は、第一昇降ナット25と第二昇降ナット27が同時に一方の向きに回転されると支持台30が上昇し、第一昇降ナット25と第二昇降ナット27が同時に他方の向きに回転されると支持台30が降下する。支持台30を上昇させるときには、8台の支持台昇降装置20を同時にかつ同じ上昇量になるように動作させ、支持台30を降下させるときには、8台の支持台昇降装置20を同時にかつ同じ降下量になるように動作させる。
【0022】
次に、支持台30は、射出部50および駆動部70を支持しながら、8台の支持台昇降装置20により上昇または降下される。支持台30は、例えば鉄板、鉄骨を適宜組み合わせて、あるいは鋳造により作製される。
支持台30は、図1図3および図4に示すように、射出部50から駆動部70までを賄う前後方向Lの寸法を有するとともに、第1駆動部80および第2駆動部90を賄う幅方向Wの寸法を有している。支持台30は、図1および図3に示すように、支持台昇降装置20の第二昇降ナット27より上の部分を収容する収容室31を備える。収容室31は、支持台昇降装置20A1,20A2,20A3,20A4,20B1,20B2,20B3,20B4のそれぞれに対応して設けられる。収容室31は、図4に示すように、支持台30の上壁33および下壁35の間に設けられ、下壁35には、それぞれのねじ軸23が貫通するねじ孔37が設けられるとともに、ねじ孔37の周囲には第一昇降ナット25と第二昇降ナット27の間にあって両者に挟持される支持縁39が設けられる。また、上壁33の上面には、図1に示すように、幅方向Wに間隔を空けて一対のガイドレール34,34が設けられる。ガイドレール34は、後述する第2駆動部90を前進または後進ができるように、第2駆動部90の第二ハウジング91を支持する。
【0023】
支持台駆動アクチュエータ40は、図1に示すように、支持台30の前方Fに設けられる。支持台駆動アクチュエータ40は、シリンダ41と、シリンダ41の内部に設けられるピストン43と、ピストン43に固定され、シリンダ41の外部に一部が突き出すピストンロッド45と、を備える。図示を省略する例えば油圧源からの作動油の供給により、ピストン43およびピストンロッド45は前進または後進する。ピストンロッド45の先端が支持台30の前端に固定されているため、ピストン43およびピストンロッド45の前進または後進は、支持台30の前進または後進をもたらす。
【0024】
基部10は、支持台30の前進力または後進力を受け止めるストッパ32A,32B,32C,32Dを備える。
ストッパ32A,32Cは、支持台30の前端面30Fに接するように、支持台30の前方Fにおいて摺動体15A,15Bのそれぞれに固定される。また、ストッパ32B,32Dは、支持台30の後端面30Bに接するように、支持台30の後方において摺動体15A,15Bのそれぞれに固定される。ストッパ32A,32B,32C,32Dについて詳しくは後述する。
【0025】
[射出部50:図1図2
次に、射出部50について説明する。
射出部50は、図1および図2に示すように、スクリュ51と、スクリュ51を収容するとともにスクリュ51の前後方向Lのほぼ全域を取り囲む加熱筒53と、を備える。また、射出部50は、加熱筒53およびスクリュ51の前端が挿入される加熱筒ヘッド55と、加熱筒ヘッド55の前端に設けられる射出ノズル57と、を備える。また、射出部50は、追って説明する駆動部70の第一ハウジング81を介して加熱筒53の内部に射出成形の原料を供給する原料ホッパ59を備える。
【0026】
[スクリュ51:図2
スクリュ51は、外周にらせん状に溝が形成される本体51Aと、本体51Aの後端に連なるスクリュ軸51Bと、を備える。スクリュ51は、追って説明する駆動部70の駆動軸96Bに連結されており、駆動軸96Bの回転に伴って回転する。
【0027】
[加熱筒53:図1図2図3
加熱筒53は、原料ホッパ59から供給される射出成形の原料が投入される図示を省略する投入口が形成されている。
また、加熱筒53は、その前端には、加熱筒ヘッド55が備えられている。加熱筒53の内部に収容されるスクリュ51は、加熱筒53の内部において、前後方向に往復移動できるとともに回転できる。加熱筒53の周囲にはバンドヒータやカートリッジヒータなど図示を省略する電熱線ヒータが備えられており、図示を省略する電源から電熱線ヒータに電力を投入することにより、加熱筒53の内部の樹脂材料を加熱する。
【0028】
[射出ノズル57:図1図2
射出ノズル57は、加熱筒ヘッド55の前端に固定される。加熱筒ヘッド55の位置が固定されるので、射出ノズル57もその位置が固定される。
射出ノズル57は、図示を省略するが、その前端に射出孔と、射出孔に連なる樹脂通路と、を備える。スクリュ51で可塑化されかつ計量された溶融樹脂は、樹脂通路および射出孔を通って、図示を省略される金型のキャビティに射出される。この射出に先立って、射出ノズル57は図示を省略するノズル受け部と芯合わせされる。
【0029】
[駆動部70:図1図2
次に、図1および図2を参照して、駆動部70について説明する。
駆動部70は、加熱筒53の前進または後進を担う第1駆動部80と、スクリュ51の正転または逆転を担う第2駆動部90と、を備える。以下、第1駆動部80および第2駆動部90の順に説明する。
【0030】
[第1駆動部80:図1図2
第1駆動部80は、図1および図2に示すように、加熱筒53を支持する第一ハウジング81と、第一ハウジング81の内部に設けられるシリンダ室83と、シリンダ室83の内部に設けられるピストン85と、ピストン85に固定され、シリンダ室83の外部に一部が突き出すピストンロッド87と、第一ハウジング81を支持台30に固定する固定台89と、を備える。
【0031】
第一ハウジング81は、図2に示すように、加熱筒53を挟んで幅方向Wに2つの同じ仕様のシリンダ室83,83が対称の位置に配列されている。それぞれのシリンダ室83,83の内部にピストン85,85が設けられ、かつ、それぞれのピストン85,85にピストンロッド87,87が固定される。それぞれのピストンロッド87,87はその先端部において第2駆動部90の第二ハウジング91に固定される。この構成を備えることにより、第1駆動部80は2つのピストンシリンダ機構により第二ハウジング91および第二ハウジング91に保持される駆動軸96Bとともにスクリュ51の前進または後進を行う。
【0032】
第一ハウジング81は、固定台89により支持台30に固定されているため、支持台30の前進または後進に伴って前進または後進する。
【0033】
[第2駆動部90:図1図2
次に、第2駆動部90は、図1および図2に示すように、第1駆動部80の後方Bにおいて、支持台30に支持される。第2駆動部90は、第1駆動部80とは異なり、支持台30に対して前進または後進が可能に支持台30に支持される。図1の第2駆動部90において、実線が前進限を示し、一点鎖線が後進限を示している。
【0034】
第2駆動部90は、第二ハウジング91と、第二ハウジング91に支持されるスクリュ駆動モータ95と、を備える。第二ハウジング91は、スクリュ駆動モータ95を支持する他に第1駆動部80のピストンロッド87,87をその先端部において支持する。
【0035】
第二ハウジング91は、その幅方向Wの両側から突き出す一対の支持アーム92,92と、第二ハウジング91の内部に形成される収容キャビティ93と、支持台30のガイドレール34の上を走行するガイド94を備える。収容キャビティ93には、スクリュ駆動モータ95の出力軸96Aと、出力軸96Aの回転を駆動軸96Bに伝達するカップリング97と、カップリング97に接続される駆動軸96Bと、が収容される。
【0036】
スクリュ駆動モータ95は、第二ハウジング91の後方Bに固定される。スクリュ駆動モータ95の出力軸96Aを正転または逆転させることにより、スクリュ51を正転または逆転させることができる。
スクリュ駆動モータ95の出力軸96Aは、後方Bにおいて第二ハウジング91を貫通して、収容キャビティ93の内部に至る。さらに、スクリュ駆動モータ95の駆動軸96Bは、前方Fにおいて第二ハウジング91を貫通して外部に露出する。駆動軸96Bはこの外部に露出する部分において、スクリュ51を支持する。出力軸96Aと駆動軸96Bはカップリング97で接続されており、出力軸96Aおよび駆動軸96Bは、カップリング97の前後において、収容キャビティ93の内部に支持されるベアリング98により回転可能に支持される。
【0037】
[支持台駆動アクチュエータ40による支持台30の動作]
支持台駆動アクチュエータ40は、支持台30を介して、射出部50ならびに駆動部70(第1駆動部80および第2駆動部90)を前進または後進させる。射出成形する際に図示が省略される型締装置に近づくときに前進し、所定量の射出成形が終わり型締装置から離れるときに後進する。
また、射出ノズル57をノズル受け部と芯合わせする際には、支持台昇降装置20(20A1~20B4)により支持台30が昇降される。しかし、支持台駆動アクチュエータ40は、支持台30に対してガタを持って緩く支持されているため、支持台30が少量昇降しても支持台駆動アクチュエータ40には変形などは発生しない。
【0038】
[支持台昇降装置20に加わる荷重への対応:図5
支持台30は支持台昇降装置20で支持されている。したがって、図5(a)に示すように、支持台30が前進または後進すると、支持台昇降装置20に前後進力LRFが加わる。ところで、図5(a)に示すように、何らかの理由で被摺動体13Aと摺動体15Aの間の摩擦面の摩擦抵抗FRが過大になることがある。例えば、摩擦面が経時劣化した場合とか、摺動グリスの油分が消失してしまった場合が該当する。そうすると、支持縁39から支持台昇降装置20のねじ軸23に前後進力LRFが伝わることで、支持台昇降装置20に曲げ荷重BLが生じる。これにより、支持台昇降装置20の特にねじ軸23に過大な曲げ応力が発生し、ねじ軸23に塑性変形または損傷が発生するおそれがある。また、支持台昇降装置20による支持台30の高さ方向Hの位置が所望する値からずれるおそれがあり、そうすると射出ノズル57と受け部との位置合せの精度が劣るおそれがある。
【0039】
支持台30のストッパ32Aは、この曲げ荷重BLがねじ軸23に付加されるのを抑える。つまり、図5(b)に示すように、支持台駆動アクチュエータ40から前進力LFを受けて支持台30が前進する。このとき、摺動体15Aに固定されるストッパ32Aが支持台30の前端面30Fに接しているので、支持台30の前進力LFをストッパ32が受け止めて反力RFが生ずる。これにより、支持台昇降装置20A1のねじ軸23に曲げ荷重BLが負荷されるのを抑える。図5(b)は支持台30の前進時のことを示しているが、支持台30の後端面30Bに接するストッパ32Bが設けられている。これにより、支持台30の後進時には、ストッパ32Bが支持台30の後進力を受け止めることで、ねじ軸23に負荷される曲げ荷重BLを抑えることができる。また、ここでは支持台昇降装置20A1について説明したが、他の支持台昇降装置20A2~20B4についても同様の作用、効果が生じる。
【0040】
[射出装置1Aの効果]
以上説明したように、射出装置1Aは、支持台30の前端面30Fにストッパ32A,32Cが設けられ、後端面30Bにストッパ32B,32Dが設けられる。これにより、射出装置1Aによれば、支持台30に前進力が生じてもストッパ32A,32Cが前進力を受け止め、また、支持台30に後進力が生じてもストッパ32B,32Dが後進力を受け止める。したがって、射出装置1Aは、支持台昇降装置20のねじ軸23に負荷される曲げ荷重を抑えることができるので、ねじ軸23の塑性変形または損傷の発生を防止することができる。また、支持台昇降装置20による支持台30の高さ方向Hの位置が所望する値からずれるのを抑えることを通じて、射出ノズル57とノズル受け部とを精度よく位置合せできる。
【0041】
[第2実施形態:図6図7図8
次に、図6図7(a)および図8を参照して第2実施形態に係る射出装置1Bを説明する。
射出装置1Bは、射出装置1Aにおいて支持台30の前端面および後端面に設けられていたストッパを支持台30の幅方向Wの左右の両側面に設ける。このストッパ32E,32F,32G,32Hは、支持台駆動アクチュエータ40に生じ得る旋回動作に対応するために設けられる。なお、射出装置1Bは射出装置1Aと共通する要素を備えており、以下では射出装置1Aとの相違点を中心に説明する。
【0042】
[射出装置1Bの構成:図6図7(a)]
射出装置1Bは、図6に示すように、支持台駆動アクチュエータ40のシリンダ41が図示を省略する型締装置に対して第一支持ピン47により回転可能に支持されている。また、ピストンロッド45と支持台30とが第二支持ピン48により回転可能に連結されている。ところで、加熱筒53から加熱筒ヘッド55を取り外して、加熱筒53の前端からスクリュ51を引き抜く際には、射出装置1Bを幅方向Wに旋回させる必要がある。この場合、射出装置1Bを単に前後進させるためには旋回中心となる回転支持部を設ける必要がある。このため、射出装置1Bを幅方向Wに旋回させる際には、支持台30が基台11に対して回転可能とするための回転支持部として第三支持ピン49を一時的に設けることになる。これにより、幅方向Wに沿って、支持台駆動アクチュエータ40に旋回R2が生じ得るとともに、支持台30に旋回R1が生じ得る。このとき、ピストンロッド45には伸縮SSが生じ得る。
【0043】
また、射出装置1Bの基部10は、図6および図7(a)に示すように、支持台30の旋回力を受け止めるストッパ32E,32F,32G,32Hを備える。
ストッパ32E,32Fは、支持台30の左側面30Lに接するように、支持台30の幅方向Wの左側において摺動体15Aに固定される。本実施形態においては、摺動体15Aの前後方向Lに間隔をあけて、2つのストッパ32E,32Fが設けられる。また、ストッパ32G,32Hは、支持台30の右側面30Rに接するように、支持台30の幅方向Wの右側において摺動体15Bに固定される。本実施形態においては、摺動体15Bの前後方向Lに間隔をあけて、2つのストッパ32G,32Hが設けられる。
【0044】
[支持台昇降装置20に加わる荷重への対応:図8
支持台30は支持台昇降装置20で支持されている。したがって、図8(a)に示すように、支持台30が前進または後進すると、支持台昇降装置20に荷重が加わる。つまり、支持台駆動アクチュエータ40が動作した際に、図8(a)に示すように、第1実施形態においても言及したように、何らかの理由で被摺動体13と摺動体15の間の摩擦面の摩擦抵抗FRが過大になることがある。そうすると、支持縁39から支持台昇降装置20のねじ軸23に旋回力TPによる荷重が加わることで、支持台昇降装置20に曲げ荷重BLが生じる。
【0045】
支持台30のストッパ32Hは、この曲げ荷重BLがねじ軸23に負荷されるのを抑える。つまり、図8(b)に示すように、支持台駆動アクチュエータ40の動作を受けて支持台30が幅方向Wへ移動しようとする。このとき、摺動体15Bに固定されるストッパ32Hが支持台30の右側面30Rに接しているので、支持台30の幅方向Wへの旋回力TPをストッパ32Hが受け止めて反力RFが生ずる。これにより、支持台昇降装置20B1のねじ軸23に曲げ荷重BLが負荷されるのを抑える。図8(b)は支持台30の右方向への旋回、移動のことを示しているが、支持台30の左側面30Lに接するストッパ32Eは、支持台30の左方向への旋回、移動の際に、支持台30の旋回力TPを受け止めることで、ねじ軸23に負荷される曲げ荷重BLを抑えることができる。また、ここでは支持台昇降装置20B1について説明したが、他の支持台昇降装置20A1~20B4についても同様の作用、効果が生じる。
【0046】
[射出装置1Bの効果]
以上説明したように、射出装置1Bは、支持台30の左側面30Lにストッパ32E,32Fが設けられ、右側面30Rにストッパ32F,32Gが設けられる。したがって、射出装置1Bによれば、支持台30に左方向への旋回力が生じてもストッパ32E,32Fが受け止め、また、支持台30に右方向への旋回力が生じてもストッパ32G,32Hが受け止める。これにより、射出装置1Bは、旋回力によりねじ軸23に負荷される曲げ荷重を抑えることができるので、ねじ軸23の塑性変形または損傷の発生を防止することができる。また、支持台昇降装置20による支持台30の高さ方向Hの位置が所望する値からずれるのを抑えることを通じて、射出ノズル57とノズル受け部とを精度よく位置合せできる。
【0047】
射出装置1Bにおいて採用できる好ましい態様を、図7(b)を参照して説明する。
好ましい態様は、図7(b)に示すように、別体として構成されている幅方向Wの被摺動体13A、13Bの間に連結板19を隙間なく設けて連結することによって被摺動体13A、13Bを一体化してもよい。このように構成することにより以下の効果が期待できる。
図7(b)において右向きの旋回力TPが生じるものとする。そうすると、旋回力TPの向きとは反対側に設けられる支持台昇降装置20B2においても、旋回力TPの向きにある支持台昇降装置20A2のストッパ32Fが受ける旋回力TPを、被摺動体13A、連結板19を介して、被摺動体13Bに作用させて右向きに引っ張る。これにより、基台11との間で摩擦抵抗FRを受ける被摺動体13Bが右向きに直接引っ張られるので、支持台昇降装置20B2のねじ軸23の図中上端部に支持台30から負荷される旋回力TPによる曲げモーメントが発生するのを防止できる。
ここでは右向きの旋回力TPが生じる例を説明したが、左向きの旋回力TPが生じると、支持台昇降装置20B1のねじ軸23に曲げモーメントが発生するのを防止できる。
【0048】
さらに射出装置1Bにおいて採用できる好ましい態様を、図9を参照して説明する。
ストッパ32Hと支持台30の側面との間に調整ボルト36を配置し、調整ボルト36で支持台30を押してストッパ32Hと支持台30の間の隙間をなくし、支持台30をストッパ32に荷重方法に固定してもよい。これにより、ストッパ32Hで支持台30に加わる荷重を確実に受け止め、ねじ軸23に曲げ荷重が負荷されることを防止することができる。また同時に、調整ボルトで支持台30を押してストッパ32Hと支持台30の間の隙間距離を拡大できるので、ストッパ32Hに対する支持台30の前後方向Lまたは幅方向Wの相対位置調整も可能とすることができる。調整ボルト36は本発明の調整部材の一態様に該当する。また、ここではストッパ32Hについて説明するが、他のストッパ32E~32Gについて同様に適用することができるし、ストッパ32A,32B,32C,32Dについて同様に適用することができる。
【0049】
特に、ストッパ32E~32Hは摺動体15を介してガイドブロック14によって基台11に幅方向Wへの移動が拘束されている。このように、支持台30をストッパ32に固定すると支持台30は基台11に対する幅方向Wへの移動が困難となり、射出ノズル57の芯位置(ノズル芯位置)の幅方向Wの位置調整ができなくなる。そこで、調整ボルト36で支持台30を押してストッパ32と支持台30の間の隙間距離を変更できるようにすることにより、支持台30の基台11に対する相対位置が調整できるようになり、ノズル芯位置を幅方向Wに調整することが容易となる。
【0050】
また、調整ボルト36は、図9に例示したストッパ32Hに限らず、ストッパ32E,32F,32G,32Hのうちの複数個所のそれぞれに設けることが好ましい。これによると、複数の調整ボルト36をそれぞれ独立に調整することによって、鉛直方向の軸を中心としてとして支持台30をストッパ32および摺動体15に対して幅方向Wに回転させることができる。この場合、支持台30を基台11の中心軸と平行に移動させて位置調整するのと比べて、据え付け誤差などにより支持台30の中心軸と基台11の中心軸が平行でない状態であっても、容易にノズル芯位置を調整することができる。
【0051】
また、ストッパ32と支持台30の間の隙間をなくすためには、調整ボルト36の代わりに圧縮性を有する弾性体を用いてもよい。この場合、弾性体をストッパ32と支持台30の間に挿入し、ストッパ32を支持台30に押し付けて弾性体を圧縮しながら固定することで、ストッパ32で支持台30に加わる荷重を確実に受け止めることができる。この弾性体も本発明における調整部材に該当する。
【0052】
[第3実施形態:図10図11
次に、図10および図11を参照して第3実施形態に係る射出装置1Cを説明する。
射出装置1Cは、射出装置1Aにおいて、射出部50および第1駆動部80の重心G1の位置および第2駆動部90の重心G2の位置を、支持台30を支持する8つの支持台昇降装置20A1,20A2,20A3,20A4,20B1,20B2,20B3,20B4の位置に対して特定する。これにより、対応する支持台昇降装置20のねじ軸23の疲労強度を延命できる。なお、これら位置関係を除くと、射出装置1Cは射出装置1Aと共通の構成要素を備えているので、以下においては射出装置1Aとの相違点を中心に説明する。また、支持台昇降装置20A1,20A2,20A3,20A4のそれぞれが支持台30を支持する位置を支持点A1,A2,A3,A4と定義する。支持台昇降装置20B1,20B2,20B3,20B4のそれぞれが支持台30を支持する位置を支持点B1,B2,B3,B4と定義する。重心G1は本発明における第一重心に該当し、重心G2は本発明の第二重心に該当する。
【0053】
[射出装置1Cの構成:図10
射出装置1Cは、図10に示すように、重心G1は、前後方向Lにおいて、支持台昇降装置20A1,20B1による支持点A1,B1と支持台昇降装置20A2,20B2による支持点A2,B2との間に配置される。換言すると、支持点A1,B1と支持点A2,B2は、重心G1を包含する位置に配置される。射出部50および第1駆動部80は支持台30に対して位置が固定されるので、重心G1もまた支持台30に対する位置が固定される。
【0054】
次に、射出装置1Cは、図10に示すように、第2駆動部90の重心G2は、前後方向Lにおいて、支持台昇降装置20A3,20B3による支持点A3,B3と支持台昇降装置20A4,20B4による支持点A4,B4との間に配置される。換言すると、支持点A3,B3と支持点A4,B4は、重心G2を包含する位置に配置される。第2駆動部90は支持台30に対して前後方向Lに移動するので、図9に示すように、重心G2も移動する。したがって、支持点A3,B3と支持点A4,B4は、この重心G2の移動を考慮した位置に配置される。具体的には、支持点A3,B3は、重心G2の前進限よりも前方Fに配置される。また、支持点A4,B4は、重心G2の後退限よりも後方Bに配置される。
【0055】
[重心G1,G2の位置と支持点A1~A4の位置との関係:図11図12
以上の構成を有する射出装置1Cについて、重心G1,G2の位置と支持点A1,A2,A3,A4の位置との関係を、図11を参照して説明する。
はじめに、重心G1と支持点A1,A2との関係について説明する。なお、支持点B1,B2などの記載は省略する。
図11に示すように、支持点A1と支持点A2は、重心G1を包含する位置に配置されている。そうすると、支持点A1におけるねじ軸23および支持点A2におけるねじ軸23に印加されるのは圧縮方向の荷重である。圧縮方向の荷重を、図11および図12において、上向きの矢印で示している。したがって、射出装置1Cによれは、支持点A1および支持点A2におけるねじ軸23,23に圧縮方向の荷重および引張方向の荷重の両方が印加される交番荷重を受けるのに比べて、疲労強度における寿命が長くなる。
【0056】
ここで、重心G1と支持点A1,A2について、より好ましい関係が図12に示されている。図12に示される関係は、支持点A1と支持点A2が重心G1に対して対称の位置に配置されている。これにより、射出部50と第1駆動部80の重量が支持点A1および支持点A2に均等に負荷されるため、支持点A1および支持点A2の下方の摺動体15の偏摩耗を防止できる。
【0057】
次に、重心G2と支持点A3,A4との関係について説明する。なお、支持点B3,B4の記載は省略する。
図11に示すように、支持点A3は、重心G2の前進限よりも前方Fに配置され、支持点A4は、重心G2の後進限よりも後方Bに配置される。したがって、射出装置1Cによれは、支持台30が前進限および後進限の範囲で移動したとしても、支持点A3におけるねじ軸23および支持点A4におけるに圧縮方向の荷重および引張方向の荷重の両方が印加される交番荷重を受けるのに比べて、疲労強度における寿命が長くなる。
【0058】
ここで、第3実施形態に対する比較のための以下の3つの例も図11図12に示す。
比較1:支持点A3が重心G2の前進限より前方Fに配置(図11
比較2:支持点A4が重心G2の後進限より後方Bに配置(図11
比較3:支持点A1が重心G1の位置より後方Bに配置(図12
【0059】
次に、比較1において、重心G2を支持点A3の前方Fから後方Bに移動させると、支持点Dのねじ軸に負荷される荷重は引張方向から圧縮方向に変わる。つまり、引張方向と圧縮方向の交番荷重を受けることで、支持点A3を支点とした回転モーメントが生じ、対応する支持点A4におけるねじ軸23の疲労強度における寿命が短くなるおそれがある。
次に、比較2においては、重心G2を支持点A4の後方Bから前方Fに移動させると、支持点Cのねじ軸に負荷される荷重は圧縮方向から引張方向に変わる。つまり、圧縮方向と引張方向の交番荷重を受けることで、支持点A4を支点とした回転モーメントが生じ、対応する支持点A3におけるねじ軸23の疲労強度における寿命が短くなるおそれがある。
また、比較3においては、支持点A3のねじ軸23に負荷される荷重は引張方向から圧縮方向に変わるおそれがある。仮に荷重の方向が変わって交番荷重を受けることで、支持点A3を支点とした回転モーメントが生じ、対応する支持点A4のねじ軸23の疲労強度が短くなるおそれがある。
【0060】
[射出装置1Cの効果:図11
以上説明した通りであり、射出装置1Cは、重心G1,G2の位置と支持点A1,A2,A3,A4の位置との関係を特定することにより、対応する支持台昇降装置20のねじ軸23の疲労強度の延命に有利である。
特にスクリュ駆動モータ95が、減速機を備えた電動モータである場合は、スクリュ駆動モータ95が油圧モータである場合に比べ重量が1.5倍以上の大重量物となり、支持台30の撓みも大きくなるが、この場合であっても、支持台30の撓みの方向のねじ軸に与える影響を抑制するのに有効である。
なお、以上では支持点A1~A4について説明したが、支持点B1~B4についても同様である。
【0061】
[第4実施形態:図13図14
次に、図13および図14を参照して第4実施形態に係る射出装置1Dを説明する。
射出装置1Dは、例えば、型盤サイズが大きな型締装置と組み合わせる場合などの、支持台昇降装置20だけでは足りない大きな支持台30の昇降量が必要な場合に適している。なお、射出装置1Bは射出装置1Aと共通する要素を備えており、以下では射出装置1Aと相違する部分を中心に説明する。
【0062】
射出装置1Dは、図13および図14に示すように、支持台昇降装置20の支持板21と摺動体15の間にスペーサブロック17を挿入する。このように、支持台昇降装置20に下駄を履かせることにより、射出装置1Dは、支持台昇降装置20のねじ軸23だけでは賄えない昇降量であっても対応できる。数種類の厚さを有する複数のスペーサブロック17を用意しておき、必要な昇降量に応じてスペーサブロック17を選択することができる。
【0063】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上記以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることができる。
【0064】
例えば、第1実施形態においてはストッパ32A~32Dが支持台30の前端面30Fおよび後端面30Bに接することで反力RFを抑え、第2実施形態においてはストッパ32E~32Hが支持台30の左側面30Lおよび右側面30Rに接することで反力RFを抑えた。しかし、本発明において、反力RFを抑えることができるのであれば、ストッパ32A~32Dが接する面およびストッパ32E~32Hは、他の部位であってもよい。
また、第1実施形態から第4実施形態においては、第1駆動部80および支持台駆動アクチュエータ40を油圧シリンダにより構成される例を示したが、ボールねじなどの電動駆動アクチュエータで構成されてもよい。
さらに、第1実施形態から第4実施形態において、変位構造として摺動の例を説明したが、本発明の変位構造はこれに限らず、転動などの他の変位を許容する構造を採用できる。
【符号の説明】
【0065】
1A,1B,1C,1D 射出装置
10 基部
11 基台
13,13A,13B 被摺動体
14 ガイドブロック
15,15A,15B 摺動体
17 スペーサブロック
20,20A1,20A2,20A3,20A4 支持台昇降装置
20B1,20B2,20B3,20B4 支持台昇降装置
21 支持板
23 ねじ軸
25 第一昇降ナット
27 第二昇降ナット
30 支持台
30F 前端面
30B 後端面
30L 左側面
30R 右側面
31 収容室
32A,32B,32C,32D,32E,32F,32G,32H ストッパ
33 上壁
34 ガイドレール
35 下壁
37 ねじ孔
39 支持縁
40 支持台駆動アクチュエータ
41 シリンダ
43 ピストン
45 ピストンロッド
47 第一支持ピン
48 第二支持ピン
49 第三支持ピン
50 射出部
51 スクリュ
51A 本体
51B スクリュ軸
53 加熱筒
53A 吐出口
55 加熱筒ヘッド
57 射出ノズル
59 原料ホッパ
70 駆動部
80 第1駆動部
81 第一ハウジング
83 シリンダ室
85 ピストン
87 ピストンロッド
89 固定台
90 第2駆動部
91 第二ハウジング
92 支持アーム
93 収容キャビティ
94 ガイド
95 スクリュ駆動モータ
96A 出力軸
96B 駆動軸
97 カップリング
98 ベアリング
A1,A2,A3,A4 支持点
G1,G2 重心
H 高さ方向
L 前後方向
W 幅方向
F 前方
B 後方
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14