(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】光学式選別機及び光学式選別方法
(51)【国際特許分類】
B07C 5/342 20060101AFI20241126BHJP
B65G 11/02 20060101ALI20241126BHJP
G01N 21/85 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
B07C5/342
B65G11/02
G01N21/85 A
(21)【出願番号】P 2021022677
(22)【出願日】2021-02-16
【審査請求日】2023-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】河村 陽一
(72)【発明者】
【氏名】宮本 知幸
(72)【発明者】
【氏名】沖本 光太郎
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-010380(JP,A)
【文献】国際公開第2019/208818(WO,A1)
【文献】特開2017-072529(JP,A)
【文献】特開2008-302314(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07C 1/00-99/00
B65G 11/02
G01N 21/85
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物を落下させる移送手段と、前記移送手段から落下する前記被検査物を落下軌跡上における検出位置で検出する光学検出手段と、を備えた光学式選別機であって、
前記移送手段は、前記被検査物を流下させるシュートであって、前記シュートは、前記被検査物をその長径方向に流下させる縦溝を備えており、
前記検出位置は、前記移送手段の端部から前記被検査物の長径の長さである最大設定長さ
の1/2の長さまでの範囲に設けられている
ことを特徴とする光学式選別機。
【請求項2】
前記シュートは下端部に透明部を備えている
ことを特徴とする請求項1に記載の光学式選別機。
【請求項3】
被検査物を移送手段によって落下させ、前記移送手段から落下する前記被検査物を落下軌跡上における検出位置で光学検出手段によって検出し、前記光学検出手段による検出に基づいて前記被検査物を選別する光学式選別方法であって、
前記移送手段は、前記被検査物を流下させるシュートであって、前記シュートは、前記被検査物をその長径方向に流下させる縦溝を備えており、
前記被検査物を、前記シュートの前記縦溝によって前記被検査物の長径方向に流下させ、
前記検出位置を前記移送手段の端部から前記被検査物の長径の長さである最大設定長さ
の1/2の長さまでの範囲に設定する
ことを特徴とする光学式選別方法。
【請求項4】
前記シュートは下端部に透明部を備えている
ことを特徴とする請求項3に記載の光学式選別方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀粒、ナッツ、樹脂ペレット等の粒状物を色彩等によって選別する光学式選別機、及び、光学式選別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、穀粒、ナッツ、樹脂ペレット等の粒状物を、色彩、形状等によって良品と不良品、或いは、正規の粒状物と混入した異物とに選別する光学式選別機が知られている。
【0003】
この種の光学式選別機として、選別しようとする粒状物を、傾斜したシュートの表面に供給して流下させ、さらに、シュートの下端から落下する各粒状物を落下軌跡上で光学検出手段によって検出し、検出した粒状物の色彩等によって不良品や異物を判別し、判別した不良品や異物をノズルから噴き出す噴風により吹き飛ばして除去して選別するものがある。
【0004】
このような光学式選別機において、検出精度の向上及び選別精度の向上がより求められている。特に近年では、被検査物である粒状物を光学式選別機に通して循環させて選別する回数を少なくすることが求められる場合もあり、さらなる検出精度の向上や選別精度の向上が求められる。
【0005】
これらの精度向上を目的として特許文献1に記載のようなものも提案されている。特許文献1に記載の光学式選別機は、シュートに着目して流れのムラを防ぎこれらの精度の向上を目的としたもので、複数の突部が形成される表面を有し被検査物を受け取る第一部分と、該第一部分から連続し、下端から被検査物を自由に落下させる第二部分とを備えたシュートを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
さらなるこれらの精度の向上が求められている中、検出精度について着目して検討した結果、シュートの下端から落下する被検査物が空気抵抗の影響を大きく受けて姿勢が変化(回転)するため、また、所定の落下軌跡からずれるため、検出精度が低下するという知見が得られた。
【0008】
本発明は、この知見に基づいて、シュートの下端から落下する被検査物の検出精度が高い光学式選別機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、被検査物を落下させる移送手段と、前記移送手段から落下する前記被検査物を落下軌跡上における検出位置で検出する光学検出手段と、を備えた光学式選別機であって、前記移送手段は、前記被検査物を流下させるシュートであって、前記シュートは、前記被検査物をその長径方向に流下させる縦溝を備えており、前記検出位置は、前記移送手段の端部から前記被検査物の長径の長さである最大設定長さの1/2の長さまでの範囲に設けられていることを特徴とする光学式選別機である。
請求項2に係る発明は、前記シュートは下端部に透明部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の光学式選別機である。
請求項3に係る発明は、被検査物を移送手段によって落下させ、前記移送手段から落下する前記被検査物を落下軌跡上における検出位置で光学検出手段によって検出し、前記光学検出手段による検出に基づいて前記被検査物を選別する光学式選別方法であって、前記移送手段は、前記被検査物を流下させるシュートであって、前記シュートは、前記被検査物をその長径方向に流下させる縦溝を備えており、前記被検査物を、前記シュートの前記縦溝によって前記被検査物の長径方向に流下させ、前記検出位置を前記移送手段の端部から前記被検査物の長径の長さである最大設定長さの1/2の長さまでの範囲に設定することを特徴とする光学式選別方法である。
請求項4に係る発明は、前記シュートは下端部に透明部を備えていることを特徴とする請求項3に記載の光学式選別方法である。
また、別発明として、以下のものでもよい。
手段1は、被検査物を落下させる移送手段と、前記移送手段から落下する前記被検査物を落下軌跡上における検出位置で検出する光学検出手段と、を備えた光学式選別機であって、前記検出位置は、前記移送手段の端部から前記被検査物の前記移送手段からの落下方向に沿う径の長さである最大設定長さまでの範囲に設けられていることを特徴とする光学式選別機である。
【0010】
手段2は、被検査物を落下させる移送手段と、前記移送手段から落下する前記被検査物を落下軌跡上における検出位置で検出する光学検出手段と、を備えた光学式選別機であって、前記検出位置は、前記移送手段の端部から前記被検査物の短径の長さである最大設定長さまでの範囲に設けられていることを特徴とする光学式選別機である。
【0011】
手段3は、被検査物を落下させる移送手段と、前記移送手段から落下する前記被検査物を落下軌跡上における検出位置で検出する光学検出手段と、を備えた光学式選別機であって、前記検出位置は、前記移送手段の端部から前記被検査物の長径の長さである最大設定長さまでの範囲に設けられていることを特徴とする光学式選別機である。
【0012】
手段4は、前記検出位置は、前記移送手段の端部から前記最大設定長さの1/2の長さまでの範囲に設けられていることを特徴とする手段1乃至手段3のうちいずれかに記載の光学式選別機である。
【0013】
手段5は、前記移送手段は前記被検査物を流下させるシュートであって、前記シュートは、前記被検査物をその長径方向に流下させる縦溝を備えていることを特徴とする手段3又は手段4に記載の光学式選別機である。
【0014】
手段6は、被検査物を移送手段によって落下させ、前記移送手段から落下する前記被検査物を落下軌跡上における検出位置で光学検出手段によって検出し、前記光学検出手段による検出に基づいて前記被検査物を選別する光学式選別方法であって、前記検出位置を前記移送手段の端部から前記被検査物の前記移送手段からの落下方向に沿う径の長さである最大設定長さまでの範囲に設定することを特徴とする光学式選別方法である。
【0015】
手段7は、被検査物を移送手段によって落下させ、前記移送手段から落下する前記被検査物を落下軌跡上における検出位置で光学検出手段によって検出し、前記光学検出手段による検出に基づいて前記被検査物を選別する光学式選別方法であって、前記検出位置を前記移送手段の端部から前記被検査物の短径の長さである最大設定長さまでの範囲に設定することを特徴とする光学式選別方法である。
【0016】
手段8は、被検査物を移送手段によって落下させ、前記移送手段から落下する前記被検査物を落下軌跡上における検出位置で光学検出手段によって検出し、前記光学検出手段による検出に基づいて前記被検査物を選別する光学式選別方法であって、前記検出位置を前記移送手段の端部から前記被検査物の長径の長さである最大設定長さまでの範囲に設定することを特徴とする光学式選別方法である。
【0017】
手段9は、前記検出位置を前記移送手段の端部から前記最大設定長さの1/2の長さまでの範囲に設定することを特徴とする手段6乃至手段8のうちいずれかに記載の光学式選別方法である。
【0018】
手段10は、前記移送手段は前記被検査物を流下させるシュートであって、前記シュートは、前記被検査物をその長径方向に流下させる縦溝を備えており、前記被検査物を、前記シュートの前記縦溝によって前記被検査物の長径方向に流下させることを特徴とする手段8又は手段9に記載の光学式選別方法である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、シュートの下端から落下する被検査物が空気抵抗の影響を大きく受けて姿勢が変化(回転)する前や、所定の落下軌跡から外れる前に、光学検出手段で検出するので、検出精度が向上して選別精度を向上させることができる。
【0020】
加えて、縦溝を備えて長径方向に被検査物を流下させるようなシュートを備えるような場合においてもさらに検出精度を維持向上させることができる。すなわち、空気の噴出によって選別する際にはシュートの下端から被検査物を長径方向に落下させる方が噴出による選別精度は高くでき、所定の落下軌跡から外れることは少なく検出精度は高いが、姿勢が変化することはあり、それが検出精度に影響することがある。このように、縦溝を備えて長径方向に被検査物を流下させるようなシュートを備えるような場合においても、検出精度を維持向上させるとともに選別精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態を示す光学式選別機の要部側断面図。
【
図2】本発明の実施形態を示す光学式選別機のシュートの下端を正面側からみた要部拡大図。
【
図3】本発明の実施形態を示す光学式選別機のシュートの下端を正面側からみた要部拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照する等して詳細に説明する。なお、本発明は、実施形態に限定されないことはいうまでもない。
【0023】
〔第1の実施形態〕
本発明の第1の実施形態を、
図1乃至
図3と共に説明する。
図1は、光学式選別機の要部側断面図であり、
図2及び
図3は、光学式選別機のシュートの下端を正面側から見た要部拡大図である。
【0024】
図1に示すように、本実施形態において、光学式選別機1は、被検査物Aを色彩によって選別するものであって、シュート2及び光学検出手段3を備える。被検査物Aとしては、アーモンド等の長径と短径との長さが異なるものとしている。
【0025】
シュート2は、所定幅の帯状板20の両側縁に側壁21が立設されて樋状に形成され、長手方向に傾斜して設置される。
シュート2の傾斜方向の上端部には被検査物Aが連続して供給され、この被検査物Aは、帯状板20の表面を広がりながら流下して、シュート2の下端から落下する。
【0026】
光学検出手段3は、シュート2から落下する被検査物Aの落下軌跡Lを挟んで正面側からと背面側との一対で配置され、それぞれ、落下軌跡L上の検出位置Oとなるように配置され、被検査物Aを光学検出するCCDカメラ等の撮像手段30a(正面側),30b(背面側)と、検出位置Oを照射するLED光源、蛍光灯等の照射手段31a(正面側),31b(背面側)と、撮像手段30a,30bにより被検査物Aを撮像する際の背景になるバックグラウンド32a(正面側),32b(背面側)とを備える。
【0027】
光学検出手段3の検出位置Oよりも被検査物Aの落下方向の下流側において、落下軌跡Lの背面側には、選択的に空気を噴出するエジェクターノズル4が先端を落下軌跡Lに向けて設置されている。エジェクターノズル4は、ピエゾバルブ又はソレノイドバルブによって空気路を開閉するものである。
【0028】
被検査物Aを選別するには、シュート2の下端から落下する被検査物Aを、検出位置Oにおいて落下軌跡Lの正面側と背面側から照射手段31a,31bで照明し、撮像手段30a,30bによって撮像する。
【0029】
撮像手段30a,30bによって撮像された被検査物Aの撮像データは、撮像手段30a,30bに接続された判別部5に送られる。判別部5は、撮像データについて光量、色成分、形状等の信号レベルが予め設定されている閾値と比較し、当該撮像データの被検査物Aが不良品や異物であるのか、正規の粒状物であるのかを判別する。
【0030】
判別部5は、エジェクターノズル4を駆動する図示しないエジェクター駆動装置に接続されており、例えば、不良品や異物であると判別された被検査物Aがエジェクターノズル4の先端に臨む位置に達した時に、エジェクター駆動装置に除去信号を送る。エジェクターノズル4から空気が噴出され、当該被検査物Aは正面側に吹き飛ばして除去される。他の被検査物Aはそのまま落下軌跡Lに沿って落下し、次工程へ向かって移送される。
【0031】
シュート2からは、様々な姿勢で被検査物が落下することになる。
図2に示すように、短径方向がシュート2の長手方向に沿って流下してきた被検査物Aは、シュート2の下端から粒全体が離れた時から空気抵抗を大きく受けて落下方向に対して直交方向に相対的に移動することがあり、例えば被検査物A’のように所定の落下軌跡Lから外れることがある。これは、紙一枚をその平面を水平にして落下させたときに、真っすぐ鉛直に落下せず水平方向に相対的に移動しながら落下することを想像すれば明らかである。
【0032】
そこで、このように被検査物Aがその短径方向がシュート2の長手方向に沿って流下する場合や、その傾向が多いような場合には、光学検出手段3による被検査物Aの検出位置Oを、落下軌跡L上において、シュート2の下端から被検査物Aの短径dの長さに相当する距離(最大設定長さ)までの範囲に設定される。
【0033】
図2では、検出位置Oを、シュート2の下端から被検査物Aの短径dの1/2の長さに相当する位置に設定していることを示している。
【0034】
例えば、検出位置Oのシュート2の下端からの設定位置は、被検査物Aがアーモンドの場合は平均的な短径dが10mmとすると、5mmと設定されることになる。また、玄米であれば、平均的な短径dが3mmとすれば、1.5mmと設定されることになる。
【0035】
このように検出位置Oを設定すると、シュート2から落下する被検査物Aが所定の落下軌跡Lから外れる前に光学検出手段3により検出することになるので、検出精度が向上し、不良品や異物を確実に判別できる。
【0036】
図3に示すように、長径方向がシュート2の長手方向に沿って流下してきた被検査物Aは、シュート2の下端から粒全体が離れた時から空気抵抗を大きく受けて姿勢が変化(回転)し始めることがあり、例えば被検査物A’のように姿勢が変わることがある。(その後は、落下軌跡Lからも外れることもある。)これは、紙一枚をその平面を鉛直にして落下させたときに、平面が鉛直方向から水平方向に姿勢を変化させながら落下することを想像すれば明らかである。
【0037】
そこで、このように被検査物Aがその長径方向がシュート2の長手方向に沿って流下する場合や、その傾向が多いような場合には、光学検出手段3による被検査物Aの検出位置Oを、落下軌跡L上において、シュート2の下端から被検査物Aの長径dの長さに相当する距離(最大設定長さ)までの範囲に設定されている。
【0038】
図3では、検出位置Oを、シュート2の下端から被検査物Aの長径dの1/2の長さに相当する位置に設定していることを示している。
【0039】
例えば、検出位置Oのシュート2の下端からの設定位置は、被検査物Aがアーモンドの場合は平均的な長径dが20mmとすると、10mmと設定されることになる。また、玄米であれば、平均的な長径dが7mmとすれば、3.5mmと設定されることになる。
【0040】
このように検出位置Oを設定すると、シュート2から落下する被検査物Aの姿勢が変わる前に光学検出手段3により検出することになるので、検出精度が向上し、不良品や異物を確実に判別できる。
【0041】
また、被検査物Aがその短径方向または長径方向がシュート2の長手方向に沿って流下しない場合や、その傾向が多いような場合には、検出位置Oとして、シュートの下端からその被検査物のシュートからの落下方向に沿う径の長さが想定できる場合には、その長さを設定する。被検査物のシュートからの落下方向に沿う径の長さが想定できないような場合には、最大で被検査物の長径の長さに相当するまでの範囲までに設定する。
【0042】
このように、検出位置Oをシュートの下端から被検査物のシュートからの落下方向に沿う径の長さまでの範囲に設定する。
【0043】
検出位置Oをシュート2の下端から被検査物Aのシュートからの落下方向に沿う径の長さの1/2の長さに相当するまでの範囲に設定するようにしても良い。このようにすれば、被検査物Aの粒全体がシュート2の下端から離れる前に検出することになるので、さらに検出精度が向上することになる。
【0044】
なお、検出位置Oをシュート2の下端から被検査物Aのシュートからの落下方向に沿う径の長さの1/2の距離より短い位置に設定する場合には、シュート2と被検査物Aの一部が重なり撮像に支障が生じることがある。このような場合には、撮像を正面側からのみの場合に適用することや当該部分のシュート2を透明にするなどして、撮像に支障が生じないようにすれば良い。
【0045】
また、従来の光学式選別機においては、光学検出手段による検出位置が本発明のような観点に基づいて設定されていないことはもとより、本発明のものよりシュートの下端から離れた位置となっていた。本発明によれば検出位置がよりシュートの下端に近づくことになるので、その分、噴出手段であるエジェクターノズルもシュート側に近づけることができるので、コンパクト化にも貢献することができる。
【0046】
〔第2の実施形態〕
以下、本発明に係る第2の実施形態について
図4と共に説明する。なお、第1の実施形態と同様の部分については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0047】
光学式選別機では、粒状物である被検査物がシュートから様々な姿勢で落下することになるが、空気の噴出によって不良品や異物を吹き飛ばして選別するには、被検査物を長径方向に落下させる方が短径方向に落下させるより選別精度は高くなる。
【0048】
しかしながら、被検査物が長径方向に落下すると、先に述べたように姿勢が変化する場合があり、検出精度が低下してしまうが、このような場合に本発明を適用することで検出精度を確保して、結果として選別精度を確保、向上させることができる。
【0049】
図4は、第2の実施形態に係るシュート2の平面図である。
本実施形態の光学式選別機1は、第1の実施形態とほぼ同様の構造を有するが、シュート2が、帯状板20の表面に、流下方向に平行な多数の縦溝22を備えている点で相違している。
【0050】
縦溝22は、被検査物Aの短径の長さよりやや広く、長径の長さよりやや狭い幅を有しており、被検査物Aをその長径方向に流下させることができる。
【0051】
検出位置Oは、第1の実施形態における
図3で示されたものと同様に落下軌跡L上において、シュート2の下端から被検査物Aの長径dの長さに相当する距離(最大設定長さ)までの範囲に設定されている。
【0052】
本実施形態では、被検査物Aがすべてシュート2の縦溝22によって長径方向に流下しシュート2の下端から長径方向に落下することになり選別精度も高くすることができるとともに、検出位置Oが被検査物Aの姿勢が変化する前の位置に設定されているので、検出精度も高くすることができる。そのため、結果として光学式選別機1の選別精度が向上する。
【0053】
〔その他の変形例〕
本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば以下のようなものも含まれる。
【0054】
本実施形態では、長径の長さと短径の長さとが異なる被検査物を検出しているが、長径の長さと短径の長さとがほぼ等しい球形に近い被検査物を検出することもできる。
【0055】
本実施形態では、撮像手段が被検査物の落下軌跡を挟んだ両側(正面側と背面側)に設置されているが、いずれか一側のみでも良い。
【0056】
本実施形態では、エジェクターノズルを落下軌跡の背面側に設置してあるが、落下軌跡の正面側に設けノズル先端を背面側に向けて設置し、判別された不良品や異物を吹き落とすようにしても良い。
【0057】
本実施形態では、不良品や異物を落下軌跡から除去しているが、良品を除去することで不良品や異物と選別するようにしても良い。
【0058】
本実施形態では、被検査物としてアーモンドやコメとして説明したが、これに限られず、穀粒、ナッツ、樹脂ペレット等の粒状物であっても良い。
【0059】
本実施形態は、被検査物を落下させる移送手段としてシュートを採用し、シュートの下端から被検査物を落下させる光学式選別機であったが、移送手段としてエンドレスベルトを採用し、エンドレスベルトの端部から被検査物を落下させるベルト式選別機にも適用できる。
【0060】
本実施形態は、被検査物の径については平均的なものを想定することしたが、これに限られず、他の統計的手法に基づいて定めたものや技術常識から想定されるものなどでも良い。
【0061】
いずれの実施形態における各技術的事項を他の実施形態に適用して実施例としても良い。
【符号の説明】
【0062】
A 被検査物
L 落下軌跡
O 検出位置
1 光学式選別機
2 シュート
20 帯状板
21 側壁
22 縦溝
3 光学検出手段
30a,30b 撮像手段
31a,31b 照明手段
32a,32b バックグラウンド
4 エジェクターノズル