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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】検出装置および測定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/02 20060101AFI20241126BHJP
   A61B 5/1455 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
A61B5/02 310B
A61B5/1455
A61B5/02 310P
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021029742
(22)【出願日】2021-02-26
(65)【公開番号】P2022131019
(43)【公開日】2022-09-07
【審査請求日】2023-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】田尻 顕嗣
(72)【発明者】
【氏名】深川 剛史
【審査官】鳥井 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-123716(JP,A)
【文献】特開2018-061675(JP,A)
【文献】特開2016-202792(JP,A)
【文献】特表2019-519272(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00- 5/03
A61B 5/06- 5/22
A61B 9/00-10/06
G01N 21/00-21/01
G01N 21/17-21/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を発光する発光部と、
前記発光部から発光され、生体から射出された光を受光する受光部と、
前記発光部と前記受光部との間に設けられ、光吸収性を有する平板状の第1壁部と、
前記発光部の前記受光部と反対側に設けられ、光反射性を有する第2壁部と、を備え、
前記第2壁部は、前記発光部から発光された光を反射する反射面を含み、
前記反射面は、前記発光部および前記受光部を支持する支持面に対して傾斜した面であ
り、
前記反射面は、前記発光部の光射出方向から平面視した場合に、前記第1壁部と反対側
に湾曲する曲面形状を有する
検出装置。
【請求項2】
前記第1壁部および前記第2壁部が並ぶ方向を第1方向とし、前記第1方向に交差する
方向を第2方向としたとき、
前記第1壁部および前記第2壁部の前記第2方向の一方側に設けられる第3壁部と、
前記第1壁部および前記第2壁部の前記第2方向の他方側に設けられる第4壁部と、を
さらに備え、
前記第3壁部および前記第4壁部の少なくとも一方は、光反射性を有する
請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記発光部は、緑色波長帯を有する第1光を発光する第1発光素子と、前記緑色波長帯
よりも長い波長帯を有する第2光を発光する第2発光素子と、を含み、
前記受光部は、前記第1発光素子から発光され、生体から射出された前記第1光を受光
する第1受光素子と、前記第2発光素子から発光され、生体から射出された前記第2光を
受光する第2受光素子と、を含み、
前記第1発光素子および前記第2発光素子が並ぶ方向を第1方向とし、前記第1方向に
交差する方向を第2方向としたとき、
前記第2方向において、前記第1受光素子は、前記第2受光素子よりも前記発光部の近
くに設けられている
請求項1または請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記第2壁部は、前記第1発光素子に対応する第1部分と、前記第2発光素子に対応す
る第2部分と、を含む
請求項3に記載の検出装置。
【請求項5】
前記第1部分は、前記第1発光素子から発光された光を反射する第1反射面を含み、
前記第2部分は、前記第2発光素子から発光された光を反射する第2反射面を含み、
前記第1反射面および前記第2反射面は異なる形状を有する
請求項4に記載の検出装置。
【請求項6】
前記発光部は、前記第2光よりも長い波長帯を有する第3光を発光する第3発光素子を
さらに含み、
前記第3発光素子から発光され、生体から射出された前記第3光は、前記第2受光素子
に受光される
請求項3または請求項4に記載の検出装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のうちのいずれか一項に記載の検出装置と、
前記検出装置による検出結果を示す検出信号から生体情報を特定する情報解析部と、を
備える
測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置および測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
脈波等の生体情報を非侵襲で測定する各種の測定技術が従来から提案されている。例えば、下記特許文献1には、生体に光を射出する発光部と、発光部から射出され、生体で反射されることで入射する光を受光する受光部とを備える検出装置において、発光部と受光部との間に遮光部材を設置することで、発光部の光利用効率を高めるとともに受光部の迷光対策を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-061675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記検出装置では、遮光部材に形成した傾斜面によって光を反射することで発光部の光利用効率を向上させている。しかしながら、遮光部材に傾斜面を設けるためのスペースが必要となるため、装置構成が大型化するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの態様によれば、光を発光する発光部と、前記発光部から発光され、生体
から射出された光を受光する受光部と、前記発光部と前記受光部との間に設けられ、光吸
収性を有する平板状の第1壁部と、前記発光部の前記受光部と反対側に設けられ、光反射
性を有する第2壁部と、を備え、前記第2壁部は、前記発光部から発光された光を反射す
る反射面を含み、前記反射面は、前記発光部および前記受光部を支持する支持面に対して
傾斜した面であり、前記反射面は、前記発光部の光射出方向から平面視した場合に、前記
第1壁部と反対側に湾曲する曲面形状を有する検出装置が提供される。
【0006】
本発明の1つの態様によれば、上記態様の検出装置と、前記検出装置による検出結果を示す検出信号から生体情報を特定する情報解析部と、を備える測定装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態の測定装置の側面図である。
図2】測定装置の機能に着目した構成図である。
図3】検出装置の平面図である。
図4図3におけるIV-IV線矢視による断面図である。
図5】検出装置の動作を説明するための図である。
図6】シミュレーション結果を示す表である。
図7】シミュレーション結果を示すグラフである。
図8A】第2実施形態の検出装置の平面図である。
図8B】第2実施形態の検出装置の断面図である。
図9】第3実施形態の検出装置の平面図である。
図10】第3実施形態の変形例の検出装置の平面図である。
図11A】第4実施形態の検出装置の平面図である。
図11B】第4実施形態の検出装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各図においては、各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各部材の尺度や角度を実際とは異ならせている。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の測定装置100の側面図である。図1に示される本実施形態の測定装置100は、生体の例示である被験者(例えば、人間)の生体情報を非侵襲的に測定する生体計測機器であり、被験者の身体のうち測定対象となる部位(以下「測定部位」という)Mに装着される。本実施形態の測定装置100は、筐体部1とベルト2とを備える腕時計型の携帯機器であり、測定部位(生体)Mの例示である手首に帯状のベルト2を巻回することで被験者の手首に装着可能である。本実施形態では、被験者の脈波(例えば脈拍間隔PPI)および酸素飽和度(SpO2)を生体情報として例示する。脈波とは、心臓の拍動に連動した血管内の体積の時間変化を意味する。酸素飽和度とは、被験者の血液中のヘモグロビンのうち酸素と結合したヘモグロビンの割合(%)を意味し、被験者の呼吸機能を評価するための指標である。
【0010】
図2は、測定装置100の機能に着目した構成図である。図2に示すように、本実施形態の測定装置100は、制御装置5と記憶装置6と表示装置4と検出装置3とを備えている。制御装置5および記憶装置6は、筐体部1の内部に設置される。図1に示されるように、表示装置4は、筐体部1のうち測定部位Mとは反対側の表面に設置され、測定結果を含む各種の画像を制御装置5による制御のもとで表示する。表示装置4は、例えば、液晶表示パネルである。
【0011】
検出装置3は、測定部位Mの状態に応じた検出信号Sを生成する光学センサーモジュールである。図1に示すように、検出装置3は、例えば筐体部1のうち測定部位Mとの対向面(以下、検出面という)16に設置される。検出面16は、測定部位Mに接触する表面である。図2に示されるように、本実施形態の検出装置3は、発光ユニット部11と受光ユニット部12と駆動回路13と出力回路14とを備える。なお、駆動回路13および出力回路14の一方または双方を検出装置3の外部回路として設置することも可能である。すなわち、駆動回路13および出力回路14は検出装置3から省略され得る。
【0012】
発光ユニット部11は、第1発光素子50と、第2発光素子60と、第3発光素子70と、を有している。第1発光素子50、第2発光素子60および第3発光素子70は、測定部位Mに対して各々が異なる波長の光を発光する素子である。
【0013】
第1発光素子50は、520nm~550nmの緑色波長帯を有する緑色光(第1光)LGを測定部位Mに向けて射出する。本実施形態の緑色光LGは、例えば、ピーク波長が520nmの光である。
第2発光素子60は、例えば、600nm~800nmの赤色波長帯を有する赤色光(第2光)LRを測定部位Mに向けて射出する。本実施形態の赤色光LRは、例えば、ピーク波長が660nmの光である。
第3発光素子70は、例えば、800nm~1300nmの近赤外波長帯を有する近赤外光(第3光)LIを測定部位Mに向けて射出する。本実施形態の近赤外光LIは、例えば、ピーク波長が905nmの光である。
【0014】
これら第1発光素子50、第2発光素子60および第3発光素子70を構成する発光素子としては、例えばベアチップ型または砲弾型のLED(Light Emitting Diode)が好適に利用される。なお、各発光部が射出する光の波長は上記数値範囲に限定されない。以下、第1発光素子50、第2発光素子60および第3発光素子70を特に区別しない場合、これらを総称して、各発光素子50,60,70という。
【0015】
駆動回路13は、駆動電流の供給により各発光素子50,60,70の各々を発光させる。本実施形態の駆動回路13は、各発光素子50,60,70の各々を時分割で周期的に発光させる。各発光素子50,60,70から射出した光は、測定部位Mに入射するとともに測定部位Mの内部で反射および散乱を繰返しながら伝播した後、筐体部1側に射出して受光ユニット部12に到達する。すなわち、本実施形態の検出装置3は、発光ユニット部11と受光ユニット部12とが測定部位Mに対して一方側に位置する反射型の光学センサーである。
【0016】
受光ユニット部12は、発光ユニット部11の発光により測定部位Mから到来する光を受光する。本実施形態の受光ユニット部12は、第1受光素子51と、第2受光素子61と、を有している。第1受光素子51および第2受光素子61は受光した光の強度に応じた検出信号を生成する。以下、第1受光素子51および第2受光素子61を特に区別しない場合、これらをまとめて「各受光素子51,61」という。
【0017】
第1受光素子51は、発光素子50から射出されて測定部位Mの内部を伝搬した緑色光LGを受光し、その受光強度に応じた検出信号を生成する。第2受光素子61は、第2発光素子60から射出されて測定部位Mの内部を伝搬した赤色光LR、または、第3発光素子70から射出されて測定部位Mの内部を伝搬した近赤外光LIを受光し、その受光強度に応じた検出信号を生成する。
【0018】
出力回路14は、例えば、各受光素子51,61が生成した検出信号をアナログからデジタルに変換するA/D変換器と、変換後の検出信号を増幅する増幅回路とを含んで構成され(いずれも図示略)、相異なる波長に対応する複数の検出信号S(S1,S2,S3)を生成する。
【0019】
検出信号S1は、発光素子50から射出された緑色光LGを受光したときの第1受光素子51の受光強度を表す信号である。検出信号S2は、第2発光素子60から射出された赤色光LRを受光したときの第2受光素子61の受光強度を表す信号であり、検出信号S3は、第3発光素子70から射出された近赤外光LIを受光したときの第2受光素子61の受光強度を表す信号である。
【0020】
一般的に血管の拡張時と収縮時とで血液による吸光量は相違することから、各検出信号Sは、測定部位Mの内部の動脈の脈動成分(容積脈波)に対応した周期的な変動成分を含む脈波信号となる。
【0021】
なお、駆動回路13および出力回路14は、ICチップの形態で発光ユニット部11および受光ユニット部12とともに配線基板に実装されている。なお、上述のように、駆動回路13および出力回路14を検出装置3の外部に設置することも可能である。
【0022】
制御装置5は、CPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の演算処理装置であり、測定装置100の全体を制御する。記憶装置6は、例えば不揮発性の半導体メモリーで構成され、制御装置5が実行するプログラム、および制御装置5が使用する各種のデータを記憶する。なお、制御装置5の機能を複数の集積回路に分散した構成、または、制御装置5の一部または全部の機能を専用の電子回路で実現した構成も採用され得る。なお、図2では、制御装置5と記憶装置6とを別体の要素として図示したが、記憶装置6を内包する制御装置5を例えばASIC(ApplicationSpecific Integrated Circuit)等により実現することも可能である。
【0023】
本実施形態の制御装置5は、記憶装置6に記憶されたプログラムを実行することで、検出装置3が生成した複数の検出信号S(S1,S2,S3)から被験者の生体情報を特定する。具体的には、制御装置5は、第1受光素子51による緑色光LGの受光強度を表す検出信号S1から被験者の脈拍間隔(PPI)を特定することができる。また、制御装置5は、第2受光素子61による赤色光LRの受光強度を表す検出信号S2と、第2受光素子61による近赤外光LIの受光強度を表す検出信号S3とを解析することで、被験者の酸素飽和度(SpO2)を特定することができる。
【0024】
以上のように測定装置100において、制御装置5は、検出装置3による検出結果を示す検出信号Sから生体情報を特定する情報解析部として機能する。制御装置(情報解析部)5は、検出信号Sから特定した生体情報を表示装置4に表示させる。なお、音声出力で測定結果を利用者に報知することも可能である。脈拍数または酸素飽和度が所定の範囲外の数値に変動した場合に利用者に警告(身体機能の障害の可能性)を報知する構成も好適である。
【0025】
図3は検出装置3の平面図である。図4は、図3におけるIV-IV線矢視による断面図である。図3および図4に示すように、本実施形態の検出装置3は、発光ユニット部(発光部)11および受光ユニット部(受光部)12の他に、ケース40と、封止層42と、をさらに備えている。なお、図3および図4においては、駆動回路13および出力回路14の図示を省略している。
【0026】
以下、XYZ座標系を用いて検出装置3の構成を説明する。X軸は矩形状の外形を有するケース40の長辺(一方の辺)に沿う軸に相当し、Y軸はX軸に直交し、ケース40の短辺(他方の一辺)に沿う軸に相当し、Z軸とはX軸およびY軸にそれぞれ直交し、測定部位Mに接触する検出面16の法線に沿う軸に相当する。
【0027】
図3および図4に示すように、ケース40は、検出装置3を構成する各要素(発光ユニット部11および受光ユニット部12)を収容する。ケース40は、例えば、アルミニウムで形成される。なお、ケース40の材質および製法は任意である。例えば樹脂材料の射出成形によりケース40を形成することも可能である。また、筐体部1と一体にケース40を形成した構成も好適である。
【0028】
本実施形態のケース40は、矩形平板状の底板部140と、第1壁部141と、第2壁部142と、第3壁部143と、第4壁部144と、第5壁部145と、第6壁部146と、第7壁部147と、を有する。なお、底板部140、第1壁部141、第2壁部142、第3壁部143、第4壁部144、第5壁部145、第6壁部146および第7壁部147の少なくとも一部同士は一体に成形されていてもよい。
【0029】
ケース40は、第1収容領域140Aと、第2収容領域140Bと、を有する。
発光ユニット部11は不図示の配線基板に実装された状態でケース40内の第1収容領域140Aに設置されている。受光ユニット部12は不図示の配線基板に実装された状態でケース40内の第2収容領域140Bに設置されている。
【0030】
第1収容領域140Aは、底板部140、第1壁部141、第2壁部142、第3壁部143および第4壁部144で区画され、受光ユニット部12を収容する領域である。第2収容領域140Bは、底板部140、第1壁部141、第5壁部145、第6壁部146および第7壁部147で区画され、発光ユニット部11を収容する領域である。発光ユニット部11および受光ユニット部12は配線基板(図示略)に実装された状態でケース40内の第1収容領域140Aまたは第2収容領域140Bに設置されている。
【0031】
第1壁部141は、X軸に沿う方向において、第1収容領域140Aと第2収容領域140Bとを隔てるように設けられる。すなわち、第1壁部141は、発光ユニット部11と受光ユニット部12との間に設けられている。第1壁部141は、底板部140から+Z側に突出し、Y軸方向に延びる平板状の部材である。
【0032】
第1壁部141は光吸収性を有している。第1壁部141は、例えば、ケース40を構成するアルミニウム材料を黒色に着色することで構成される。これにより、第1壁部141は、発光ユニット部11から射出された光を直接的に受光ユニット部12に入射させない遮光部材として機能する。
【0033】
第2壁部142は、底板部140の-X側の周縁から+Z側に突出し、Y軸方向に延びる平板状の部材である。第2壁部142は、X軸に沿う方向において、第1壁部141と対向するように、底板部140に設けられる。第2壁部142は、発光ユニット部11の-X側に設けられている。すなわち、第2壁部142は、発光ユニット部11の受光ユニット部12と反対側に設けられている。第1壁部141および第2壁部142は相互に間隔をあけてX軸に沿う方向(第1方向)に並んで配置されている。
【0034】
第2壁部142は、光反射性を有する。本実施形態の場合、第2壁部142は、発光ユニット部11に対向する内面側に設けられた反射面142aを含む。反射面142aは、例えば、ケース40を構成するアルミニウム材料の表面にミラー膜を設けることで構成される。なお、反射面142aは、アルミニウム材料を研磨した研磨面で構成してもよい。
【0035】
第3壁部143および第4壁部144は、X軸と交差(直交)するY軸に沿う方向(第2方向)に並んで配置されている。
第3壁部143は、第1壁部141および第2壁部142の+Y側(第2方向の一方側)に設けられる。第3壁部143は、底板部140の+Y側の周縁から+Z側に突出し、X軸方向に延びる平板状の部材である。
第4壁部144は、第1壁部141および第2壁部142の-Y側(第2方向の他方側)に設けられる。第4壁部144は、底板部140の-Y側の周縁から+Z側に突出し、X軸方向に延びる平板状の部材である。第4壁部144は、Y軸に沿う方向において、第3壁部143と対向するように、底板部140に設けられる。
【0036】
本実施形態の場合、第3壁部143および第4壁部144は、第2壁部142と同様、光反射性を有している。これにより、発光ユニット部11からY方向に射出された光が第3壁部143および第4壁部144で反射されて生体に入射することで、発光ユニット部11の光利用効率を向上できる。
【0037】
第5壁部145は、底板部140の+X側の周縁から+Z側に突出し、Y軸方向に延びる平板状の部材である。第5壁部145は、X軸に沿う方向において、第1壁部141と対向するように、底板部140に設けられる。第6壁部146は、底板部140の+Y側の周縁から+Z側に突出し、X軸方向に延びる平板状の部材である。第7壁部147は、底板部140の-Y側の周縁から+Z側に突出し、X軸方向に延びる平板状の部材である。第7壁部147は、Y軸に沿う方向において、第6壁部146と対向するように、底板部140に設けられる。
【0038】
本実施形態の場合、第5壁部145、第6壁部146および第7壁部147は、第1壁部141と同様、光吸収性を有している。これにより、第5壁部145、第6壁部146および第7壁部147によって反射された光が迷光として受光ユニット部12に入射することを抑制している。
【0039】
封止層42はケース40内に収容された発光ユニット部11および受光ユニット部12とケース40との隙間に充填された光透過性の樹脂材料である。封止層42は発光ユニット部11および受光ユニット部12をケース40内に封止(モールド)している。封止層42の表面は検出面16として機能する。
なお、封止層42で封止する構成に代えて、ケース40の上面を透光性基板で覆う構成を採用してもよい。この場合、透光性基板の上面が検出面16として機能する。
【0040】
各発光素子50,60,70の発光面がXY平面に平行となるようにケース40内に設置されている。すなわち、各発光素子50,60,70は+Z側に向けて光を発光するようになっている。
【0041】
図3に示されるように、各発光素子50,60,70は相互に間隔をあけてY軸に沿う方向に並んで配置されている。具体的に第2発光素子60は第1発光素子50の+Y側に配置され、第3発光素子70は第1発光素子50の-Y側に配置される。すなわち、第1発光素子50は、Y軸に沿う方向において、第2発光素子60および第3発光素子70の間に配置されている。また、第1発光素子50は、第2発光素子60と第3発光素子70との間に位置すると換言することもできる。
【0042】
図3に示されるように、各受光素子51,61は相互に間隔をあけて、Y軸と交差(直交)するX軸に沿う方向に並んで配置されている。具体的に第1受光素子51は発光ユニット部11の+X側に配置され、第2受光素子61は第1受光素子51の+X側に配置されている。すなわち、第1受光素子51は第2受光素子61を挟んで発光ユニット部11と反対側に配置されている。
【0043】
ここで、第1発光素子50から第1受光素子51までの距離をD1、第2発光素子60から第2受光素子61までの距離をD2、第3発光素子70から第2受光素子61までの距離をD3とする。距離D1とは第1発光素子50および第1受光素子51をZ軸方向から平面視した際の各々の中心部同士の距離に相当する。また、距離D2とは第2発光素子60および第2受光素子61をZ軸方向から平面視した際の各々の中心部同士の距離に相当する。また、距離D3とは第3発光素子70および第2受光素子61をZ軸方向から平面視した際の各々の中心部同士の距離に相当する。
【0044】
本実施形態の検出装置3において、第1発光素子50から第1受光素子51までの距離D1は、第2発光素子60から第2受光素子61までの距離D2よりも短い。また、第1発光素子50から第1受光素子51までの距離D1は、第3発光素子70から第2受光素子61までの距離D3よりも短い。なお、距離D2と距離D3とは等しい。
このように本実施形態の検出装置3では、緑色光LGを射出する第1発光素子50の最も近い位置に緑色光LGを受光するための第1受光素子51を配置した構成を採用している。
【0045】
図4に示すように、第1受光素子51は、センサー120と、角度制限フィルター121と、バンドパスフィルター122と、を含む。
【0046】
センサー120は、例えばフォトダイオード(PD:Photo Diode)から構成される。角度制限フィルター121は、センサー120の受光面120aの全体を覆うように設けられている。角度制限フィルター121は、例えば、光透過性を有する酸化シリコン層1211内にタングステンなどの遮光性材料からなるプラグ1222を埋め込むことで形成される。
【0047】
酸化シリコン層1211は、センサー120の受光面120aに光を導く光路を形成する。酸化シリコン層1211に埋め込まれたプラグ1222は光路(酸化シリコン層1211)を通過する光の入射角度を制限する。すなわち、酸化シリコン層1211内に入射する光が光路に対して所定角度よりも傾いている場合、入射した光はプラグ1222に当たり、その光の一部はプラグ1222に吸収され、残りは反射される。そして、光路を通過するまでの間に反射が繰り返されることによって反射光の強度は弱くなるため、角度制限フィルター121を最終的に通過できる光は、実質的に、光路に対する傾きが所定の制限角度以内の光に制限される。
【0048】
角度制限フィルター121は、所定の入射角度よりも小さい角度で入射する光を透過させ、所定の入射角度よりも大きい角度で入射する光を透過させずにカットする特性を有する。これにより、角度制限フィルター121は、センサー120に入射する光の入射角度を制限することが可能である。具体的に角度制限フィルター121は、生体内を伝搬することで所定の入射角度(以下、許容入射角度と称す)で入射する光を透過させ、太陽光等の外光や生体内に入射しなかった光のように許容入射角度よりも大きい角度で入射する光をカットする。
【0049】
バンドパスフィルター122は、緑色光LGの波長帯を選択的に透過させ、それ以外の波長帯の光である赤色光LRおよび近赤外光LIを吸収してカットする特性を有する。バンドパスフィルター122は、例えば、角度制限フィルター121上に、酸化シリコン等の低屈折率層と酸化チタン等の高屈折率層とを交互に複数積層して形成される。
【0050】
また、第2受光素子61は、赤色光LRあるいは近赤外光LIを受光するセンサー220と、センサー220に到達する赤色光LRあるいは近赤外光LIの入射角度を制限する角度制限フィルター221と、を含む。すなわち、本実施形態の検出装置3において、第2受光素子61は、赤色光LRあるいは近赤外光LIを選択的に透過させるバンドパスフィルターを含まない点において、第1受光素子51と異なる構成を有している。
【0051】
センサー220は、例えばフォトダイオードから構成される。角度制限フィルター221は、センサー220の受光面220a上に設けられている。角度制限フィルター221は、角度制限フィルター121と同様の構成を有しており、センサー220に到達する赤色光LRあるいは近赤外光LIの入射角度を制限することが可能である。角度制限フィルター221は、例えば、生体内を伝搬して許容入射角度で入射する赤色光LRまたは近赤外光LIを透過させ、太陽光等の外光や生体内を通らなかった赤色光LRあるいは近赤外光LIのように許容入射角度よりも大きい角度で入射する光をカットする。
【0052】
ここで、第2発光素子60から射出された赤色光LRおよび近赤外光LIの一部は、生体内を通過して第1受光素子51に入射することがある。本実施形態の場合、第1受光素子51は、緑色光LGを選択的に透過させるバンドパスフィルター122を含む。このため、第1受光素子51は、緑色光LGと異なる波長帯を有する赤色光LRおよび近赤外光LIをカットすることができる。よって、第1受光素子51は、発光素子50から射出された緑色光LGを効率良く受光することができる。
【0053】
以下、本実施形態の検出装置3における動作について説明する。図5は検出装置3の動作を説明するための図である。
本実施形態の検出装置3において、第1発光素子50から射出された緑色光LGは、全方位に射出される。図5に示すように、第1発光素子50から+X側に射出された緑色光LGの一部は、光吸収性を有する第1壁部141によって遮光される。これにより、第1発光素子50から射出された緑色光LGの一部が受光ユニット部12に直接入射することによる検出精度の低下を抑制できる。
【0054】
本実施形態の検出装置3において、+X側に射出された緑色光LGの一部は、光反射性を有する第2壁部142に入射する。第2壁部142に入射した緑色光LGは反射面142aで反射されて生体に入射する。反射面142aで反射された緑色光LGは生体に対して斜め方向から入射する。具体的に、反射面142aで反射された緑色光LGは、生体に対して、生体の法線方向から受光ユニット部12側に傾いた方向から入射する。
【0055】
同様に、+X側に射出された赤色光LRまたは近赤外光LIの一部は、光反射性を有する第2壁部142で反射されて生体に入射する。反射面142aで反射された赤色光LRまたは近赤外光LIは、生体に対して、生体の法線方向から受光ユニット部12側に傾いた方向から入射する。
【0056】
なお、+Y側あるいは-Y側に射出された緑色光LG、赤色光LRあるいは近赤外光LIの一部は光反射性を有する第3壁部143または第4壁部144によって反射され、生体に入射する。これにより、発光ユニット部11の光利用効率を向上させることができる。
【0057】
本発明者らは、生体に入射する光の入射角度によって、生体を透過した光の受光量が変化するかをシミュレーションで検証した。図6は本シミュレーション結果を示す表である。なお、本シミュレーションでは、緑色光を生体に対して垂直方向(法線方向)から入射させる条件A、緑色光を生体に対して法線方向から受光部側に20°傾けた斜め方向から入射させる条件B、緑色光を生体に対して法線方向から受光部と反対側に20°傾けた斜め方向から入射させる条件C、について、例えば、緑色光を同じパワーで発光させたときの各受光量の比を求めた。
【0058】
図6に示すように生体に対して垂直方向から入射させる条件Aの受光量を基準としたとき、受光部側に20°傾けた斜め方向から入射させる条件Bの受光量比は1.4、受光部と反対側に20°傾けた斜め方向から入射させる条件Cの受光量比は0.7となった。
受光部側に傾けて生体に光を入射させた場合、受光部と反対側に傾けて生体に光を入射させる場合に比べて、受光量が2倍となる。つまり、生体への入射光量を増やす場合において、受光部側に傾く斜め方向、すなわち、受光部側に向かって生体に入射する成分の光を増やすことで受光部の受光効率を向上できることが確認できた。
【0059】
また、本発明者らは、生体に入射する光の波長を異ならせた場合について同様のシミュレーションを行った。その結果、生体に入射する光の波長帯によらず、受光部側に傾く斜め方向から生体に入射する成分の光を増やすことで受光部の受光効率が向上することが確認された。
【0060】
本実施形態の検出装置3では、上述のように、発光ユニット部11から射出した光の一部を第2壁部142の反射面142aで反射させることで受光ユニット部12側に傾く斜め方向から生体に入射する成分の光を増やすことができる。よって、本実施形態の検出装置3は、第2壁部142の反射面142aで反射させた光を受光ユニット部12が効率良く受光することで高い検出精度を実現できる。
【0061】
また、本発明者らは、受光部側に傾く斜め方向から生体に入射する光の波長によって、受光部における受光ピーク位置が変化するかをシミュレーションで検証した。すなわち、本シミュレーションによって、発光素子から射出する光の波長と発光素子および受光素子間の最適距離との関係を検証した。
【0062】
図7は本シミュレーション結果を示すグラフである。図7に示すグラフにおいて、横軸は光の波長を示し、縦軸は生体を透過した光の受光量が最大となる受光ピーク位置、すなわち、発光素子から受光素子までの距離を示している。図7は、一例として、皮膚の法線方向に対して受光部側に20°傾けた斜め方向から光を入射させる場合における受光ピーク位置を示している。
【0063】
図7のグラフに示されるように、緑色光の波長帯(例えば、520nm)の受光ピーク位置は最も短く、近赤外光の波長帯(例えば、905nm)の受光ピーク位置は最も長く、赤色光の波長帯(例えば、660nm)の受光ピーク位置は緑色光および近赤外光の受光位置の間に位置している。
【0064】
図7のグラフによれば、緑色光を受光する受光素子は、赤色光または近赤外光を受光する受光部によりも発光素子の近くに配置した場合、生体を透過した緑色光を効率良く受光できることが確認できた。すなわち、赤色光または近赤外光は、生体内を緑色光に比べて長い距離だけ伝搬可能であることが確認できた。つまり、緑色光は赤色光または近赤外光に比べて生体内で減衰され易く、生体内を長く伝搬できないと換言することができる。
【0065】
本実施形態の検出装置3では、第1発光素子50と第1受光素子51との距離D1を第2発光素子60または第3発光素子70と第2受光素子61との距離(距離D2または距離D3)よりも小さくしている。
【0066】
本実施形態の場合、第1発光素子50の最も近い位置に第1受光素子51が配置されるため、生体内を伝搬して第1受光素子51に入射する緑色光LGを効率良く受光することができる。また、上述のように赤色光LRおよび近赤外光LIは、緑色光LGに比べて、生体内をより遠くまで伝播可能である。そのため、第2受光素子61は、生体内を緑色光LGに比べて長い距離だけ伝搬した赤色光LRおよび近赤外光LIを効率良く受光できる。
このように本実施形態の検出装置3は、生体内を伝搬した緑色光LG、赤色光LRおよび近赤外光LIを受光ユニット部12にて精度良く検出できる。
【0067】
また、図5に示したように、本実施形態の検出装置3において、第1発光素子50から射出された緑色光LGの一部は、例えば生体表面(測定部位M)で反射されることで、生体を通ることなく第1受光素子51に直接入射する場合がある。また、太陽光等の外光が生体および検出面16の隙間から第1受光素子51に直接入射する場合がある。以下、生体内を通らずに第1受光素子51に向かう緑色光LGを「第1迷光成分SL1」、第1受光素子51に直接向かう外光を「第2迷光成分SL2」と称す。
【0068】
第1迷光成分SL1は緑色波長帯を有するため、バンドパスフィルター122を通過し、バンドパスフィルター122の下層に設けられた角度制限フィルター121に入射する。角度制限フィルター121は、上述のように、許容入射角度よりも小さい角度で入射する光を透過させ、許容入射角度よりも大きい角度で入射する光をカットする特性を有する。
【0069】
第1迷光成分SL1は生体内を通過することなく第1受光素子51に入射するため、緑色光LGの第1受光素子51に対する入射角度は角度制限フィルター121の許容入射角度よりも大きくなる。つまり、第1迷光成分SL1は角度制限フィルター121でカットされる。これにより、第1受光素子51は、角度制限フィルター121によってセンサー120の受光面120aへの第1迷光成分SL1の入射を抑制できる。
【0070】
第2迷光成分SL2はバンドパスフィルター122で概ねカットされるが、第2迷光成分SL2に含まれる緑色波長帯を有する成分はバンドパスフィルター122を透過してしまう。ここで、第2迷光成分SL2は、上述のように、生体および検出面16の隙間から入射するため、第2迷光成分SL2の第1受光素子51に対する入射角度は角度制限フィルター121の許容入射角度よりも大きくなる。そのため、バンドパスフィルター122を透過した第2迷光成分SL2の一部(緑色波長帯を有する成分)は角度制限フィルター121でカットされる。これにより、第1受光素子51は、角度制限フィルター121によってセンサー120の受光面120aへの第2迷光成分SL2の入射を抑制できる。
【0071】
このように本実施形態の検出装置3では、発光ユニット部11から射出されて生体を通った緑色光LGをセンサー120の受光面120aに効率良く入射させることができる。また、本実施形態の検出装置3では、第1迷光成分SL1および第2迷光成分SL2をセンサー120の受光面120aに入射させ難くすることができる。
【0072】
よって、第1受光素子51は、ノイズ成分となる第1迷光成分SL1および第2迷光成分SL2の入射が抑制されることで高いS/N比を得ることができる。そのため、本実施形態の検出装置3は、第1受光素子51において緑色光LGを高精度に受光可能となるので、第1発光素子50における緑色光LGの発光量を抑えることで発光ユニット部11の消費電力を抑制できる。
【0073】
本実施形態の検出装置3において、第2発光素子60または第3発光素子70と第2受光素子61との距離(距離D2または距離D3)は、第1発光素子50と第1受光素子51との距離D1よりも大きい。つまり、赤色光LRおよび近赤外光LIが第2受光素子61に入射されるまでに生体内を伝搬する距離は、緑色光LGが第1受光素子51に入射されるまでに生体内を伝搬する距離よりも大きくなっている。
【0074】
上述のように緑色光LGは、赤色光LRまたは近赤外光LIに比べて、生体内を短い距離しか伝播することができない。そのため、仮に緑色光LGが第2受光素子61に到達可能となるように生体内を伝搬した場合、緑色光LGは生体内を通過する際に十分に減衰された状態となる。よって、緑色光LGは第2受光素子61に入射することができない。
【0075】
一方、赤色光LRおよび近赤外光LIは、緑色光LGに比べて、生体内をより遠くまで伝播可能である。そのため、赤色光LRおよび近赤外光LIは、緑色光LGよりも生体内を長い距離だけ伝搬した場合でも、発光ユニット部11からより離れた第2受光素子61に対して十分な光量を有した状態で入射可能である。
【0076】
本実施形態の場合、第2受光素子61には、赤色光LRおよび近赤外光LIのみが入射するので、赤色光LRおよび近赤外光LIを選択的に透過させ、緑色光LGをカットするバンドパスフィルターを第2受光素子61に設ける必要はない。すなわち、本実施形態の検出装置3では、第1受光素子51のみがバンドパスフィルター122を含み、第2受光素子61がバンドパスフィルターを含まない上記の構成を採用することが可能となる。よって、本実施形態の検出装置3は、第2受光素子61のバンドパスフィルターを省略することでコスト低減を図ることができる。
【0077】
また、第2発光素子60から射出された赤色光LRの一部、または第3発光素子70から射出された近赤外光LIの一部は、生体内を通ることなく第2受光素子61に直接入射する場合がある。また、太陽光等の外光が生体および検出面16の隙間から第2受光素子61に直接入射する場合がある。以下、生体内を通ることなく第2受光素子61に直接向かう赤色光LRあるいは近赤外光LIをまとめて「第3迷光成分SL3」、第2受光素子61に直接向かう外光を「第4迷光成分SL4」と称す。
【0078】
第3迷光成分SL3は生体内を通過することなく角度制限フィルター221に入射するため、第3迷光成分SL3の第2受光素子61に対する入射角度は角度制限フィルター221の許容入射角度よりも大きくなる。また、第4迷光成分SL4は生体と検出面16との隙間から入射するため、第4迷光成分SL4の第2受光素子61に対する入射角度は角度制限フィルター221の許容入射角度よりも大きくなる。
【0079】
そのため、第3迷光成分SL3および第4迷光成分SL4は角度制限フィルター221で良好にカットされる。これにより、第2受光素子61は、角度制限フィルター221によってセンサー120の受光面220aへの第3迷光成分SL3および第4迷光成分SL4の入射を抑制することができる。
【0080】
このように本実施形態の検出装置3では、発光ユニット部11から射出されて生体を通った赤色光LRあるいは近赤外光LIをセンサー220の受光面220aに効率良く入射させることができる。また、本実施形態の検出装置3では、第3迷光成分SL3および第4迷光成分SL4をセンサー220の受光面220aに入射させ難くすることができる。
【0081】
よって、第2受光素子61は、ノイズ成分となる第3迷光成分SL3および第4迷光成分SL4の入射が抑制されることで高いS/N比を得ることができる。本実施形態の検出装置3によれば、第2受光素子61において赤色光LRおよび近赤外光LIが効率良く受光されるので、第2発光素子60および第3発光素子70の各発光量を抑えて発光ユニット部11の消費電力を抑制できる。
【0082】
(第1実施形態の効果)
本実施形態の検出装置3は、緑色光LGを発光する第1発光素子50と、緑色光LGよりも高い波長帯を有する赤色光LRを発光する第2発光素子60と、緑色光LGよりも高い波長帯を有する近赤外光LIを発光する第3発光素子70と、第1発光素子50から発光され、測定部位Mから射出された緑色光LGを受光する第1受光素子51と、第2発光素子60から発光され、測定部位Mから射出された赤色光LRを受光する第2受光素子61と、第3発光素子70から発光され、測定部位Mから射出された近赤外光LIを受光する第2受光素子61と、第1発光素子50、第2発光素子60および第3発光素子70を含む発光ユニット部11と第1受光素子51および第2受光素子61を含む受光ユニット部12との間に設けられ、光吸収性を有する平板状の第1壁部141と、前記発光部の前記受光部と反対側に設けられ、光反射性を有する第2壁部142と、を備える。
【0083】
本実施形態の検出装置3によれば、迷光対策用の遮光部材として、発光ユニット部11および受光ユニット部12の間に平板状の第1壁部141を備えるため、発光ユニット部11および受光ユニット部12が並ぶX方向において装置構成を小型化できる。
【0084】
第1壁部141はX方向の幅が小さいことから、第1壁部141および発光ユニット部11は互いに近接して配置可能である。第1壁部141は、発光ユニット部11に近づくほど発光ユニット部11から射出された光を遮光するために必要な高さ(Z軸方向の厚さ)が抑えられる。本実施形態の検出装置3によれば、第1壁部141の高さを抑えることで、Z軸に沿う方向の厚さが小さくなることで装置構成の薄型化、ひいては装置構成のさらなる小型化を実現できる。
【0085】
本実施形態の検出装置3は、発光ユニット部11の受光ユニット部12と反対側に設けられた光反射性を有する第2壁部142を備えるので、発光ユニット部11から射出した緑色光LG、赤色光LRまたは近赤外光LIの一部を第2壁部142で反射することで受光ユニット部12側に傾く斜め方向から生体に入射させることができる。上述のように受光ユニット部12側に傾いた光線は受光ユニット部12に効率良く受光される。そのため、本実施形態の検出装置3によれば、装置構成を小型化しつつ、生体内を通った緑色光LG、赤色光LRまたは近赤外光LIを高精度に検出可能な信頼性に優れたものとなる。
【0086】
本実施形態の検出装置3では、第3壁部143および第4壁部144が光反射性を有している。この構成によれば、第3壁部143および第4壁部144が発光ユニット部11からY方向に射出された光を反射して生体に入射させることができるので、発光ユニット部11の光利用効率を向上することができる。
【0087】
(第2実施形態)
続いて、第2実施形態の検出装置について説明する。本実施形態の検出装置は、第2壁部の構成が第1実施形態と異なる。
【0088】
図8Aおよび図8Bは本実施形態の検出装置の構成を示す図である。図8Aは本実施形態の検出装置103の平面図である。図8Bは、検出装置103の断面図であり、第1実施形態の図4に相当する図である。なお、第1実施形態と共通の構成及び部材については同じ符号を付し、詳細については説明を省略する。
【0089】
図8Aおよび図8Bに示すように、本実施形態の検出装置103は、発光ユニット部11と、受光ユニット部12と、ケース401と、封止層42と、をさらに備えている。本実施形態のケース401は、底板部140と、第1壁部141と、第2壁部1420と、第3壁部143と、第4壁部144と、第5壁部145と、第6壁部146と、第7壁部147と、を有する。
【0090】
本実施形態の第2壁部1420は、発光ユニット部11に対向する内面側に設けられた反射面1421を含む。本実施形態の反射面1421は、ケース40の底板部140の表面(支持面)140aに対して傾斜した面である。反射面1421は、例えば、ケース401を構成するアルミニウム材料の表面にミラー膜を設ける、あるいはアルミニウム材料を研磨した研磨面で構成される。
【0091】
本実施形態の検出装置103において、第2壁部1420に入射した光は反射面1421で反射されて生体に入射する。反射面1421で反射された光は、生体の法線方向から受光ユニット部12側に傾いた方向から生体に入射する。
【0092】
本実施形態の場合、反射面1421が底板部140の表面140aに対して傾斜するため、反射面1421の傾斜角を調整することで生体に対する光の入射角度を任意に調整可能となる。よって、本実施形態の検出装置103によれば、上記実施形態と同様に装置構成を小型化しつつ、反射面1421の傾斜角度を最適化することで生体内を通った緑色光LG、赤色光LRまたは近赤外光LIをより高精度に検出することが可能となる。
【0093】
(第3実施形態)
続いて、第3実施形態の検出装置について説明する。本実施形態の検出装置は、第2壁部の構成が上記実施形態と異なる。
図9は本実施形態の検出装置の平面図である。なお、上記実施形態と共通の構成及び部材については同じ符号を付し、詳細については説明を省略する。
図9に示すように、本実施形態の検出装置203において、第2壁部2420は、第1部分21と、第2部分22と、第3部分23と、を含む。第1部分21は、第1発光素子50に対応して設けられる壁であり、第2部分22は第2発光素子60に対応して設けられる壁であり、第3部分23は第3発光素子70に対応して設けられる壁である。
【0094】
第1部分21は第1発光素子50から発光された緑色光LGを反射する第1反射面211を含み、第2部分22は第2発光素子60から発光された赤色光LRを反射する第2反射面212を含み、第3部分23は第3発光素子70から発光された近赤外光LIを反射する第3反射面213を含む。本実施形態の場合、第1反射面211、第2反射面212および第3反射面213は、ケース40の底板部140に対する傾斜角がそれぞれ異なっている。すなわち、各反射面211,212,213は、互いに異なる形状を有する。
【0095】
本実施形態の場合、各発光素子50,60,70に対して反射面211,212、213が個別に設けられるため、各反射面211,212、213の傾斜角を個別に調整することで、各受光素子51,61の受光効率が最も高くなるように生体に対する光の入射角度を調整できる。よって、本変形例の検出装置203によれば、上記実施形態と同様に装置構成を小型化しつつ、各反射面211,212、213の傾斜角度を最適化することで生体内を通った緑色光LG、赤色光LRまたは近赤外光LIをより高精度に検出できる。
【0096】
なお、本実施形態では、各反射面211,212、213が同じ側(+X側)を向くように設けられていたが、各反射面211,212、213の向きを異ならせてもよい。例えば、ケース40の底板部140の表面140aを法線方向から平面視した場合(+Z側から視た場合)において、図10に示すように、反射面212、213は第2受光素子61の中心を向けるように傾けて配置してもよい。このようにすれば、各反射面211,212、213が第1受光素子51または第2受光素子61の中心を向くように配置されるため、各反射面211,212、213で反射した光を各受光素子51、61に効率良く入射させ易くなる。
【0097】
(第4実施形態)
続いて、第4実施形態の検出装置について説明する。本実施形態の検出装置は、第2壁部の構成が上記第3実施形態と異なる。
【0098】
図11Aおよび図11Bは本実施形態の検出装置の構成を示す図である。図11Aは本実施形態の検出装置303の平面図である。図11Bは、検出装置303の断面図であり、第1実施形態の図4に相当する図である。なお、第1実施形態と共通の構成及び部材については同じ符号を付し、詳細については説明を省略する。
【0099】
図11Aおよび図11Bに示すように、本実施形態の検出装置303は、発光ユニット部11と、受光ユニット部12と、ケース402と、封止層42と、をさらに備えている。本実施形態のケース402は、底板部140と、第1壁部141と、第2壁部3420と、第3壁部143と、第4壁部144と、第5壁部145と、第6壁部146と、第7壁部147と、を有する。
【0100】
本実施形態の検出装置303において、第2壁部3420は、第1部分31と、第2部分32と、第3部分33と、を含む。第1部分31は、第1発光素子50に対応して設けられる壁であり、第2部分32は第2発光素子60に対応して設けられる壁であり、第3部分33は第3発光素子70に対応して設けられる壁である。
【0101】
第1部分31は第1発光素子50から発光された緑色光LGを反射する第1反射面311を含み、第2部分32は第2発光素子60から発光された赤色光LRを反射する第2反射面312を含み、第3部分33は第3発光素子70から発光された近赤外光LIを反射する第3反射面313を含む。各反射面311,312,313は、ケース40の底板部140に対して傾斜する傾斜面である。また、各反射面311,312,313は、ケース40の底板部140に対する傾斜角がそれぞれ異なっている。すなわち、各反射面311,312,313は互いに異なる形状を有する。
【0102】
本実施形態の場合、各反射面311,312,313は、発光ユニット部11の光射出方向であるZ軸に沿う方向から平面視した場合に、第1壁部141と反対側(-X側)に湾曲する曲面形状を有する。本実施形態の場合、各反射面311,312,313は円錐面の一部で構成される。
【0103】
第1反射面311は、Z軸に沿う方向から平面視した場合において、第1発光素子50における、-X側の側面、+Y側の側面の一部、および、-Y側の側面の一部、に対向するように、形成されている。すなわち、本実施形態の場合、第1反射面311は、第1発光素子50の3つの側面を囲むように設けられている。
【0104】
第2反射面312は、Z軸に沿う方向から平面視した場合において、第2発光素子60における、-X側の側面、+Y側の側面の一部、および、-Y側の側面の一部、に対向するように、形成されている。すなわち、本実施形態の場合、第2反射面312は、第2発光素子60の3つの側面を囲むように設けられている。
【0105】
第3反射面313は、Z軸に沿う方向から平面視した場合において、第3発光素子70における、-X側の側面、+Y側の側面の一部、および、-Y側の側面の一部、に対向するように、形成されている。すなわち、本実施形態の場合、第3反射面313は、第3発光素子70の3つの側面を囲むように設けられている。
【0106】
本実施形態の検出装置303において、第2壁部3420に入射した光は各反射面311,312,313で反射されて生体に入射する。各反射面311,312,313で反射された光は、生体の法線方向から受光ユニット部12側に傾いた方向から生体に入射する。
【0107】
本実施形態の場合、各反射面311,312,313が各発光素子50,60,70のY方向両側の側面に対向するため、Y方向に発光された光を反射して生体に入射させることができる。よって、各発光素子50,60,70から発光された光を効率良く生体に入射することができる。
【0108】
よって、本実施形態の検出装置303によれば、上記実施形態と同様に装置構成を小型化しつつ、各反射面311,312,313の傾斜角度を最適化することで生体内を通った緑色光LG、赤色光LRまたは近赤外光LIをより高精度に検出することが可能となる。
また、本実施形態の場合、各反射面311,312,313によって各発光素子50,60,70のY方向の光線の拡がりを制御できるので、受光素子51、61における少なくともY方向のサイズを小型化することもできる。よって、装置構成のさらなる小型化が可能となる。
【0109】
以上、上述の実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
例えば、上記実施形態では、ケース40をアルミニウム材料で一体に成形する場合を例に挙げたが、例えば、第2壁部142のみを光反射性を有する樹脂材料で構成してもよい。
【0110】
また、上記実施形態では、生体として人間を例示したが、他の動物の生体情報(例えば、脈拍)の測定にも本発明は適用可能である。
【0111】
また、上記実施形態の測定装置100では、検出装置3が筐体部1内に設けられる場合を例に挙げたが、検出装置3の設置場所はこれに限られず、例えば、ベルト2内に埋め込まれていてもよい。
【0112】
また、上記実施形態の測定装置100として、腕時計型の構成を例に挙げたが、例えば、ネックレス型として被験者の首に装着する構成や、シール型として被験者の体に貼り付けて装着する構成や、ヘッドマウントディスプレイ型として被験者の頭部に装着する構成にも本発明は適用可能である。
【0113】
また、上記実施形態では、第1受光素子51のみにバンドパスフィルター122を設ける場合を例に挙げたが、第2受光素子61にも赤色光LRあるいは近赤外光LIを選択的に透過させるバンドパスフィルターを設けてもよい。
【0114】
また、上記実施形態では、各発光素子50,60,70の各々を時分割で発光させる場合を例に挙げたが、第1発光素子50の緑色光LGに対応する第1受光素子51を個別に備えることから、第1発光素子50を時分割ではなく常時点灯させてもよい。
【0115】
本発明の一態様の検出装置は、以下の構成を有していてもよい。
本発明の一態様の検出装置は、光を発光する発光部と、発光部から発光され、生体から射出された光を受光する受光部と、発光部と受光部との間に設けられ、光吸収性を有する平板状の第1壁部と、発光部の受光部と反対側に設けられ、光反射性を有する第2壁部と、を備える。
【0116】
本発明の一つの態様の検出装置において、第2壁部は、発光部から発光された光を反射する反射面を含み、反射面は、発光部および受光部を支持する支持面に対して傾斜した面である構成としてもよい。
【0117】
本発明の一つの態様の検出装置において、反射面は、発光部の光射出方向から平面視した場合に、第1壁部と反対側に湾曲する曲面形状を有する構成としてもよい。
【0118】
本発明の一つの態様の検出装置において、第1壁部および第2壁部が並ぶ方向を第1方向とし、第1方向に交差する方向を第2方向としたとき、第1壁部および第2壁部の第2方向の一方側に設けられる第3壁部と、第1壁部および第2壁部の第2方向の他方側に設けられる第4壁部と、をさらに備え、第3壁部および第4壁部の少なくとも一方は、光反射性を有する構成としてもよい。
【0119】
本発明の一つの態様の検出装置において、発光部は、緑色波長帯を有する第1光を発光する第1発光素子と、緑色波長帯よりも長い波長帯を有する第2光を発光する第2発光素子と、を含み、受光部は、第1発光素子から発光され、生体から射出された第1光を受光する第1受光素子と、第2発光素子から発光され、生体から射出された第2光を受光する第2受光素子と、を含み、第1発光素子および第2発光素子が並ぶ方向を第1方向とし、第1方向に交差する方向を第2方向としたとき、第2方向において、第1受光素子は、第2受光素子よりも発光部の近くに設けられている構成としてもよい。
【0120】
本発明の一つの態様の検出装置において、第2壁部は、第1発光素子に対応する第1部分と、第2発光素子に対応する第2部分と、を含む構成としてもよい。
【0121】
本発明の一つの態様の検出装置において、第1部分は、第1発光素子から発光された光を反射する第1反射面を含み、第2部分は、第2発光素子から発光された光を反射する第2反射面を含み、第1反射面および第2反射面は異なる形状を有する構成としてもよい。
【0122】
本発明の一つの態様の検出装置において、発光部は、第2光よりも長い波長帯を有する第3光を発光する第3発光素子をさらに含み、第3発光素子から発光され、生体から射出された第3光は、第2受光素子に受光される構成としてもよい。
【0123】
本発明の一態様の測定装置は、以下の構成を有していてもよい。
本発明の一態様の測定装置は、上記態様の検出装置と、検出装置による検出結果を示す検出信号から生体情報を特定する情報解析部と、を備える。
【符号の説明】
【0124】
3,103,203,303…検出装置、5…制御装置(情報解析部)、11…発光ユニット部(発光部)、12…受光ユニット部(受光部)、21,31…第1部分、22,32…第2部分、23,33…第3部分、50…第1発光素子、51…第1受光素子、60…第2発光素子、61…第2受光素子、70…第3発光素子、100…測定装置、140a…表面(支持面)、141…第1壁部、142,1420,2420,3420…第2壁部、142a,1421…反射面、143…第3壁部、144…第4壁部、211,311…第1反射面、212,312…第2反射面、213,313…第3反射面、LG…緑色光(第1光)、LR…赤色光(第2光)、LI…近赤外光(第3光)、M…測定部位(生体)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11A
図11B