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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20241126BHJP
   B41J 2/17 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
B41J2/01 303
B41J2/01 451
B41J2/01 129
B41J2/17 103
B41J2/01 401
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021033594
(22)【出願日】2021-03-03
(65)【公開番号】P2022134463
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2024-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】近藤 宏史
【審査官】高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-035216(JP,A)
【文献】特開2007-091467(JP,A)
【文献】特開2006-264074(JP,A)
【文献】特開2010-042646(JP,A)
【文献】国際公開第2005/016648(WO,A1)
【文献】特開2017-140802(JP,A)
【文献】特開2002-144555(JP,A)
【文献】特開2016-153177(JP,A)
【文献】特開2007-313712(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0210886(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/012-215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体に液体を吐出するノズルを有するヘッドと、
該ヘッドを第1方向に移動させるキャリッジと
を備え、
前記キャリッジは、前記ヘッドと前記印刷媒体との間の距離を測定する正反射方式の第1測距センサを備え、
前記第1測距センサは、前記第1方向に沿って並んだ発光素子及び受光素子を有し、
前記キャリッジに、紫外線照射部が設けられており、
前記紫外線照射部は、前記第1方向にて、前記ノズルと前記第1測距センサとの間に位置する
印刷装置。
【請求項2】
前記ヘッドと前記印刷媒体との間の距離を測定する乱反射方式の第2測距センサを備え、
前記第2測距センサは、前記第1方向に交差する第2方向に沿って並んだ発光素子及び受光素子を有する
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
印刷媒体に液体を吐出するノズルを有するヘッドと、
該ヘッドを第1方向に移動させるキャリッジと
を備え、
前記キャリッジは、前記ヘッドと前記印刷媒体との間の距離を測定する正反射方式の第1測距センサを備え、
前記第1測距センサは、前記第1方向に沿って並んだ発光素子及び受光素子を有し、
前記キャリッジに、ミスト回収部が設けられており、
前記ミスト回収部は、前記第1方向にて、前記ノズルと前記第1測距センサとの間に位置する
刷装置。
【請求項4】
制御部を備え、
前記制御部は、
前記第2測距センサの出力値が許容範囲外であるか否かを判定する第1判定処理と、
前記第2測距センサの出力値が許容範囲外であると判定する場合、前記第2測距センサを停止させ、前記第1測距センサを駆動させる駆動切替処理と
を実行する
請求項2に記載の印刷装置。
【請求項5】
制御部を備え、
前記制御部は、
前記第2測距センサの出力波形に異常が存在するか否かを判定する第2判定処理と、
前記第2測距センサの出力波形に異常が存在すると判定する場合、前記第2測距センサを停止させ、前記第1測距センサを駆動させる第2駆動切替処理と
を実行する
請求項2に記載の印刷装置。
【請求項6】
印刷媒体に液体を吐出するノズルを有するヘッドと、
該ヘッドを第1方向に移動させるキャリッジと、
制御部と
を備え、
前記キャリッジは、前記ヘッドと前記印刷媒体との間の距離を測定する正反射方式の第1測距センサを備え、
前記第1測距センサは、前記第1方向に沿って並んだ発光素子及び受光素子を有し、
前記ヘッドと前記印刷媒体との間の距離を測定する乱反射方式の第2測距センサを備え、
前記第2測距センサは、前記第1方向に交差する第2方向に沿って並んだ発光素子及び受光素子を有し、
前記制御部は、
前記第2測距センサの出力波形に異常が存在するか否かを判定する第2判定処理と、
前記第2測距センサの出力波形に異常が存在すると判定する場合、前記第2測距センサを停止させ、前記第1測距センサを駆動させる第2駆動切替処理と、
前記第2測距センサの出力値が許容範囲外である場合、又は前記第2測距センサの出力波形に異常が存在する場合に、前記第2測距センサの測定位置が前記印刷媒体の先頭位置であるか否か判定する第3判定処理と、
前記第2測距センサの測定位置が前記印刷媒体の先頭位置でない場合、前記第1測距センサ及び第2測距センサに前記距離を測定させる第1測定処理と
を実行する
刷装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第2測距センサの出力値が許容範囲外である場合、又は前記第2測距センサの出力波形に異常が存在する場合に、前記第1測距センサ及び第2測距センサに前記距離を測定させる第2測定処理を実行する
請求項又はに記載の印刷装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第2測距センサの出力波形に異常が存在すると判定する場合、前記印刷媒体のうち前記第2測距センサの出力波形に異常が存在する第1領域と前記ヘッドとの間の距離を前記第1測距センサに測定させる第3測定処理を実行する
請求項又はに記載の印刷装置。
【請求項9】
前記第1測距センサ及び第2測距センサそれぞれの出力値を記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、前記第1領域における前記第2測距センサの出力値を前記記憶部から削除し、前記第1領域における前記第1測距センサの出力値を前記記憶部に記憶する
請求項に記載の印刷装置。
【請求項10】
制御部を備え、
前記印刷媒体を搬送する搬送部を備え、
前記制御部は前記第1測距センサ又は第2測距センサに、前記印刷媒体の搬送開始時に前記距離の測定を開始させ、前記印刷媒体の搬送終了時に前記距離の測定を終了させる
請求項2に記載の印刷装置。
【請求項11】
印刷媒体に液体を吐出するノズルを有するヘッドと、
該ヘッドを第1方向に移動させるキャリッジと、
制御部と、
前記印刷媒体を搬送する搬送部と
を備え、
前記キャリッジは、
前記ヘッドと前記印刷媒体との間の距離を測定する正反射方式の第1測距センサと、
前記ヘッドと前記印刷媒体との間の距離を測定する乱反射方式の第2測距センサと
を備え、
前記第1測距センサは、前記第1方向に沿って並んだ発光素子及び受光素子を有し、
前記第2測距センサは、前記第1方向に交差する第2方向に沿って並んだ発光素子及び受光素子を有し、
前記制御部は、
前記ノズルから前記印刷媒体に液体を吐出させながら、前記印刷媒体を前記搬送部に搬送させる第1搬送処理と、
前記ノズルから前記印刷媒体に液体を吐出させずに、前記第1搬送処理と異なる方向へ前記印刷媒体を前記搬送部に搬送させる第2搬送処理と
を実行し、
前記第2搬送処理における前記印刷媒体の搬送方向において、前記第1測距センサは前記第2測距センサよりも下流側に配置される
刷装置。
【請求項12】
前記ヘッドは、前記第1測距センサ及び第2測距センサの間に配置されている
請求項11に記載の印刷装置。
【請求項13】
前記距離を測定する場合における前記印刷媒体の搬送方向において、前記第1測距センサ及び第2測距センサは前記ヘッドよりも上流側又は下流側に配置されている
請求項10に記載の印刷装置。
【請求項14】
印刷媒体に液体を吐出するノズルを有するヘッドと、
前記印刷媒体を搬送する搬送部と、
紫外線照射部と、
前記ヘッドと前記印刷媒体との間の距離を測定する正反射方式の第1測距センサと
を備え、
前記第1測距センサは、前記ヘッドと前記印刷媒体とが相対的に移動する第1方向に沿って並んだ発光素子及び受光素子を有し、
前記紫外線照射部は、前記第1方向にて、前記ノズルと前記第1測距センサとの間に位置する
印刷装置。
【請求項15】
印刷媒体に液体を吐出するノズルを有するヘッドと、
前記印刷媒体を搬送する搬送部と、
ミスト回収部と、
前記ヘッドと前記印刷媒体との間の距離を測定する正反射方式の第1測距センサと、
を備え、
前記第1測距センサは、前記ヘッドと前記印刷媒体とが相対的に移動する第1方向に沿って並んだ発光素子及び受光素子を有し、
前記ミスト回収部は、前記第1方向にて、前記ノズルと前記第1測距センサとの間に位置する
印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、印刷媒体に印刷する印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクを吐出するヘッドと、光学センサと、該光学センサ及びヘッドを搭載したキャリッジとを備える記録装置が提案されている。光学センサは正反射方式の測距センサを有し、記録媒体までの距離を測定する。記録装置は、測定した距離に基づいて記録媒体の厚さを取得し、記録媒体の種類を特定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-121533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記測距センサは発光部及び受光部を有する。記録媒体はキャリッジの移動方向に直交する方向に搬送される。発光部及び受光部は記録媒体の搬送方向に沿って並ぶ。記録媒体の表面に凹凸が形成され、移動方向に沿って凹凸具合が変化する場合に、記録媒体までの距離を測定したとき、記録媒体上の目標位置からずれた位置にて、光が反射することがある。
【0005】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、印刷媒体の表面に凹凸がある場合であっても、印刷媒体の目標位置において、正反射方式の測距センサからの光を反射させることができる印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る印刷装置は、印刷媒体に液体を吐出するノズルを有するヘッドと、該ヘッドを第1方向に移動させるキャリッジとを備え、前記キャリッジは、前記ヘッドと前記印刷媒体との間の距離を測定する正反射方式の第1測距センサを備え、前記第1測距センサは、前記第1方向に沿って並んだ発光素子及び受光素子を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一実施形態に係る印刷装置にあっては、第1方向、即ちキャリッジの移動方向に沿って、第1測距センサの発光素子及び受光素子が並ぶ。そのため、移動方向に沿って印刷媒体の凹凸具合が変化しても、印刷媒体上の目標位置にて光を反射させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る印刷装置1の略示斜視図である。
図2】キャリッジの略示平面断面図である。
図3】制御装置及びその周囲の構成を示すブロック図である。
図4】ノズルから吐出されたインクが印刷媒体に付着する状態を示す正面図である。
図5】第1測距センサ及び第2測距センサの特性について説明する説明図である。
図6】左右方向に発光素子及び受光素子を並べた第2測距センサによって、表面の色又は素材が異なる二つの部分を有する印刷媒体に対して、測距を行う場合を説明する説明図である。
図7】前後方向に発光素子及び受光素子を並べた第2測距センサによって、表面の色又は素材が異なる二つの部分を有する印刷媒体に対して、測距を行う場合を説明する説明図である。
図8】制御装置による測距及び印刷処理を説明するフローチャートである。
図9】実施の形態2に係る制御装置による測距及び印刷処理を説明するフローチャートである。
図10】実施の形態3に係る制御装置による測距及び印刷処理を説明するフローチャートである。
図11】印刷媒体の一例を略示する平面図である。
図12】記憶処理を説明するフローチャートである。
図13】実施の形態4に係る制御装置による測距及び印刷処理を説明するフローチャートである。
図14】印刷媒体の一例を略示する平面図である。
図15】実施の形態5に係るキャリッジの略示平面断面図である。
図16】実施の形態6に係るキャリッジの略示平面断面図である。
図17】実施の形態7に係るキャリッジの略示平面断面図である。
図18】実施の形態8に係る印刷装置の略示斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施の形態1)
以下本発明を実施の形態1に係る印刷装置1を示す図面に基づいて説明する。図1は、印刷装置1の略示斜視図である。以下の説明では、図に示す上下前後左右を使用する。左右方向は第1方向に対応し、前後方向は第2方向に対応する。
【0010】
図1に示すように、本実施形態の印刷装置1は、筐体2と、キャリッジ3と、操作キー4と、表示部5と、トレイ7と、上部カバー8とを備える。筐体2は直方体状をなし、筐体2の各面は上下前後左右を向く。筐体2の前面に開口2aが形成されている。開口2aの下縁にトレイ7が取り付けられている。トレイ7は開口2aから前側に突出する。トレイ7は前後方向に移動可能に構成されている。トレイ7の上側に搬送部6が設けられている。
【0011】
搬送部6は板状をなし、その両面は上面及び下面を構成する。搬送部6はトレイ7に設けられているため、前後方向に移動可能であり、開口2aを通って、筐体2の内側に向けて移動するか又は筐体2の外側に向けて移動することができる。搬送部6の上面に印刷媒体Wが設置される。印刷媒体Wとしては、紙、樹脂部材又は金属部材が挙げられる。印刷媒体Wは、表面が平坦な部材のみならず、表面に凹凸を有する部材でもよい。
【0012】
トレイ7の右側に操作キー4及び表示部5が設けられている。キャリッジ3は筐体2の上部に設けられている。キャリッジ3は左右方向に移動可能である。キャリッジ3の上側に上部カバー8が設けられている。上部カバー8は開閉可能に構成されている。上部カバー8を開けて、キャリッジ3を露出させ、キャリッジ3等の内部部品の保守管理を行うことができる。
【0013】
図2は、キャリッジ3の略示平面断面図である。なお、ノズル33a、34a、発光素子31a、32a、受光素子31b、32bは下側に設けられており、平面視において視認されないが、理解容易化のため、これらの構成を図2に表している。キャリッジ3は筐体3aを備える。筐体3a内には、第1測距センサ31、第2測距センサ32、二つのヘッド33、34、ミスト回収部35、二つの紫外線照射部36、37が収納されている。二つのヘッド33、34は前後に並ぶ。ヘッド33はヘッド34の後側に位置する。ミスト回収部35は、ヘッド33,34の右側に位置する。二つの紫外線照射部36、37はミスト回収部35の右側に位置し、前後に並ぶ。紫外線照射部36は紫外線照射部37の後側に位置する。第1測距センサ31及び第2測距センサ32は、紫外線照射部36、37の右側に位置する。第1測距センサ31は第2測距センサ32の後側に位置する。
【0014】
ヘッド33は複数のノズル33aを有する。ヘッド34は複数のノズル34aを有する。ヘッド33、34には、紫外線硬化型のインクが供給され、ノズル33a、34aから吐出される。紫外線硬化型のインクとしては、クリアインク又はカラーインクが挙げられる。カラーインクは、例えばイエロー、マゼンタ、シアン又はブラックのインクである。ヘッド33は各ノズル33aに対応した共通電極及び個別電極を有し、ヘッド34は各ノズル34aに対応した共通電極及び個別電極を有する。後述する制御装置10によって、個別電極に印加する電圧の大きさ、印加タイミング、及び電圧波形が調整される。
【0015】
ミスト回収部35は、例えば吸引ファンを有する。ミスト回収部35は、左右方向にて、ノズル33a、34aと第1測距センサ31との間に位置する。紫外線照射部36、37は、例えばUVランプを有する。紫外線照射部36、37は、左右方向にて、ノズル33a、34aと第1測距センサ31との間に位置する。
【0016】
第1測距センサ31は正反射方式の測距センサであり、発光素子31a及び受光素子31bを有する。発光素子31a及び受光素子31bは左右に並ぶ。本実施例においては、発光素子31aは左側に、受光素子31bは右側に位置するが、左右逆に位置してもよい。
【0017】
第2測距センサ32は乱反射方式の測距センサであり、発光素子32a及び受光素子32bを有する。発光素子32a及び受光素子32bは前後に並ぶ。本実施例においては、発光素子32aは後側に、受光素子32bは前側に位置するが、前後逆に位置してもよい。
【0018】
図3は、制御装置及びその周囲の構成を示すブロック図である。印刷装置1は、制御装置10を備える。制御装置10は、CPU10a、不揮発性メモリ10b、RAM10c、記憶部10d等を有する。不揮発性メモリ10bはROM、EPROM、EEPROM又はハードディスク等である。不揮発性メモリ10bには、印刷装置1の制御プログラムが記憶されている。記憶部10dは書き換え可能な記憶媒体であり、例えば、EPROM、EEPROM又はハードディスク等である。CPU10aは不揮発性メモリ10bから制御プログラムをRAM10cに読み込んで、印刷装置1を制御する。記憶部10dには、例えば閾値、印刷媒体Wとの距離等が記憶される。
【0019】
CPU10aはモータドライバ38に駆動信号を出力し、モータドライバ38はキャリッジモータ39を駆動させる。キャリッジモータ39の駆動によって、キャリッジ3は左右に移動する。CPU10aはモータドライバ61に駆動信号を出力し、モータドライバ61は搬送モータ62を駆動させる。搬送モータ62の駆動によって、搬送部6は前後に移動する。
【0020】
CPU10aは照射ドライバ36aに駆動信号を出力し、照射ドライバ36aは紫外線照射部36に紫外線を照射させる。CPU10aは照射ドライバ37aに駆動信号を出力し、照射ドライバ37aは紫外線照射部37に紫外線を照射させる。
【0021】
CPU10aはヘッドドライバ33bに駆動信号を出力し、ヘッドドライバ33bはヘッド33にインクを吐出させる。CPU10aはヘッドドライバ34bに駆動信号を出力し、ヘッドドライバ34bはヘッド34にインクを吐出させる。
【0022】
CPU10aは、第1測距センサ31に発光信号を出力し、第1測距センサ31は発光素子31aを発光させて、受光素子31bにて受光する。受光素子31bにて検出された受光量は、制御装置10に出力され、CPU10aは受光量に基づいて、印刷媒体Wと第1測距センサ31との間の距離を演算する。
【0023】
CPU10aは、第2測距センサ32に発光信号を出力し、第2測距センサ32は発光素子32aを発光させて、受光素子32bにて受光する。受光素子32bにて検出された受光量は、制御装置10に出力され、CPU10aは受光量に基づいて、印刷媒体Wと第2測距センサ32との間の距離を演算する。
【0024】
制御装置10は外部装置20、例えばPCと通信することができる。外部装置20から、印刷ジョブ、例えばラスタデータが送信され、制御装置10は受信した印刷ジョブに基づいて、キャリッジ3、搬送部6、紫外線照射部36、37、ヘッド33、34等を制御し、印刷媒体Wに印刷する。
【0025】
印刷媒体Wとの距離を測定する場合について説明する。測定開始前において、印刷媒体Wは筐体2の前側、即ち外側の第1搬送位置に配置されている。印刷媒体Wの後端部はキャリッジ3の下側、即ち第1測距センサ31及び第2測距センサ32の下側に配置される。即ち第1搬送位置は、前後方向における測距を開始する位置でもある。測定開始後、キャリッジ3は右側の開始位置から左側に移動し、第1測距センサ31の発光素子31aから光が照射され、受光素子31bが受光する。受光素子31bにて受光した受光量に基づいて、第1測距センサ31と印刷媒体Wとの間の距離が演算される。
【0026】
または、第2測距センサ32の発光素子32aから光が照射され、受光素子32bが受光する。受光素子32bにて受光した受光量に基づいて、第2測距センサ32と印刷媒体Wとの間の距離が演算される。キャリッジ3が左側の移動終了位置まで移動した場合、搬送部6は後側に所定距離移動し、キャリッジ3は移動開始位置に戻る。印刷媒体Wが後側、即ち筐体2の内側の第2搬送位置に至るまで、これを繰り返す。移動開始位置と移動終了位置との間の距離は、少なくとも印刷媒体Wの左右幅分の距離であり、第1搬送位置と第2搬送位置との間の距離は、少なくとも印刷媒体Wの前後幅分の距離である。
【0027】
印刷媒体Wに印刷する場合について説明する。印刷開始前において、印刷媒体Wは筐体2内の第2搬送位置に配置されている。印刷開始後、キャリッジ3は移動開始位置から左側に移動し、ヘッド33、34はインクを吐出し、ミスト回収部35はインクのミストを回収する。紫外線照射部36、37は紫外線を、印刷媒体Wに印刷されたインクに向けて照射する。インクは、紫外線によって硬化する。キャリッジ3が左側の移動終了位置まで移動した場合、搬送部6は後側に所定距離移動し、キャリッジ3は移動開始位置に戻る。印刷媒体Wの前後幅全体に対する距離の測定が終了するまで、これを繰り返す。
【0028】
図4は、ノズル33a、34aから吐出されたインクが印刷媒体Wに付着する状態を示す正面図である。図4において、印刷媒体Wの上面右部W1は、右側に向かうに従って下降するように傾斜し、上面左部W3は左側に向かうに従って下降するように傾斜している。上面中央部W2は略平坦であるインクは、キャリッジ3から作用する左側への力とヘッド33、34から作用する下側への力によって、斜め左下方向に移動する。なお各ノズル33a、34aから吐出されるインク量は一定である。
【0029】
インクが付着した部分(図4の黒丸)の左右寸法は、上面右部W1において最も短くなり、上面左部W3において最も長くなる。即ち、印刷媒体Wの表面に凹凸が形成されている場合、凹凸部分において印刷の密度に差が生じる。そのため、後述する測距及び印刷処理においては、測距センサの測定結果に応じて、インクの吐出量の調整等を行い、印刷の密度差を抑制する。
【0030】
図5は、第1測距センサ及び第2測距センサの特性について説明する説明図である。だ1測距センサは正反射式の測距センサである。図5において、第1位置及び第2位置は印刷媒体Wの表面の位置を示し、第1位置は第2位置よりも上側にある。
【0031】
印刷媒体Wの表面が第1位置にある場合、第1測距センサ31の発光素子31aから照射された光は位置P1にて反射し、受光素子31bに至る。印刷媒体Wの表面が第2位置にある場合、第1測距センサ31の発光素子31aから照射された光は位置P2にて反射し、受光素子31bに至る。図5の前後方向において、位置P2は位置P1よりも後側にずれる。即ち、第1測距センサ31によって測距した場合、測定点がずれやすい。
【0032】
一方、印刷媒体Wの表面が第1位置にある場合、第2測距センサ32の発光素子32aから照射された光は位置P3にて反射し、受光素子32bに至る。印刷媒体Wの表面が第2位置にある場合、第2測距センサ32の発光素子32aから照射された光は位置P4にて反射し、受光素子32bに至る。図5の前後方向において、位置P4は位置P3と略同じである。即ち、第2測距センサ32によって測距した場合、測定点がずれにくい。
【0033】
印刷媒体Wの表面が乱反射しやすい場合、例えば鏡面加工が施されている場合、第2測距センサ32の発光素子32aからの光が受光素子32bに到達しにくくなり、受光量が変動しやすく、測距に影響がでやすい。一方、第1測距センサ31は、印刷媒体Wの表面が乱反射しやすい場合であっても、第1測距センサ31の発光素子31aからの光は受光素子31bに到達しやすく、測距に影響がでにくい。
【0034】
従って、後述する測距及び印刷処理においては、受光量が異常で無ければ、第2測距センサ32による測距を行い、受光量に異常がある場合に、第1測距センサ31による測距を行う。
【0035】
図6は、左右方向に発光素子32a及び受光素子32bを並べた第2測距センサ32によって、表面の色又は素材が異なる二つの部分を有する印刷媒体Wに対して、測距を行う場合を説明する説明図である。図6において、ハッチング部分及び無模様部分において、印刷媒体Wの表面の色又は素材が異なる。ハッチング部分及び無模様部分は左右方向に並ぶ。第2測距センサ32を左側に移動させながら測距を行った場合、色又は素材の異なる境界部分において、乱反射が起きやすく、測定誤差が発生しやすい。
【0036】
図7は、前後方向に発光素子32a及び受光素子32bを並べた第2測距センサ32によって、表面の色又は素材が異なる二つの部分を有する印刷媒体Wに対して、測距を行う場合を説明する説明図である。図7において、ハッチング部分及び無模様部分において、印刷媒体Wの表面の色又は素材が異なる。ハッチング部分及び無模様部分は左右方向に並ぶ。第2測距センサ32を左側に移動させながら測距を行った場合、色又は素材の異なる境界部分において、乱反射が起きにくく、測定誤差が発生しにくい。従って本実施例においては、発光素子32a及び受光素子32bは前後方向に並んでいる。
【0037】
図8は、制御装置10による測距及び印刷処理を説明するフローチャートである。なお初期状態において、搬送部6及び印刷媒体Wは第1搬送位置に配置されている。CPU10aは、印刷ジョブを受信したか否か判定する(S1)。印刷ジョブを受信していない場合(S1:NO)、CPU10aはステップS1に処理を戻す。印刷ジョブを受信した場合(S1:YES)、CPU10aは印刷媒体の搬送を開始する(S2)。搬送部6は第1搬送位置から後側に所定距離搬送される。
【0038】
CPU10aは第2測距センサ32を発光させる(S3)。第2測距センサ32の測定結果は記憶部10dに逐次記憶される。CPU10aは受光素子32bにて検出された受光量が閾値以上であるか否か判定する(S4)。受光量が閾値以上である場合(S4:YES)、CPU10aは搬送部6が第2搬送位置に到達し、搬送が終了したか否か判定する(S5)。搬送が終了していない場合(S5:NO)、CPU10aはステップS4に処理を戻す。なおステップS2からステップS5までの搬送部6の搬送処理、即ち第1搬送位置から第2搬送位置までの搬送処理はノズルから液体を吐出せずに搬送する第2搬送処理に対応する。
【0039】
搬送が終了している場合(S5:YES)、CPU10aは第2測距センサ32の発光を停止させる(S6)。次にCPU10aは、1印刷タスクを実行する(S7)。印刷タスクは、印刷ジョブを構成する単位である。具体的には、ヘッド33、34が左に印刷媒体Wの左右幅分移動する間に行う液体(インク)吐出処理である。なおステップS2からステップS5までの搬送部6の搬送処理、即ち第1搬送位置から第2搬送位置までの搬送処理はノズルから液体を吐出せずに搬送する第2搬送処理に対応する。
【0040】
液体吐出処理において、CPU10aは測距センサの測定結果に応じてインクの吐出量の調整等を行う。例えば、ヘッド33、34の共通電極に印加するに印加する電圧の大きさ又は電圧波形を調整し、インクの吐出量を調整する。また共通電極に印加するに印加する電圧のタイミングを調整し、印刷媒体Wにおけるインクの付着位置を移調する。またCPU10aはキャリッジ3の移動速度を調整してもよい。これらの調整により、印刷の密度差を抑制することができる。
【0041】
次にCPU10aは、1印刷タスクが完了したか否か判定する(S8)。1印刷タスクが完了していない場合(S8:NO)、ステップS8に処理を戻す。1印刷タスクが完了した場合(S8:YES)、制御装置10は、印刷ジョブが完了したか否か判定する(S9)。印刷ジョブが完了していない場合(S9:NO)、CPU10aはステップS7に処理を戻す。印刷ジョブが完了した場合(S9:YES)、CPU10aは印刷処理を終了する。
【0042】
なお、ステップS7からステップS9において、CPU10aは搬送部6を第2搬送位置から第1搬送位置に搬送させながら、即ち印刷媒体Wを後から前に搬送させながら、印刷タスクを実行する。印刷ジョブの終了時に、搬送部6は第1搬送位置に到達する。この搬送部6の搬送処理、即ち第2搬送位置から第1搬送位置までの搬送処理はノズルから液体を吐出しながら搬送する第1搬送処理に対応する。
【0043】
ステップS4において、受光量が閾値以上でない場合(S4:NO)、CPU10aは第2測距センサ32の発光を停止させる(S10)。CPU10aは第1測距センサ31を発光させる(S11)。第1測距センサ31の測定結果は記憶部10dに記憶される。上述したように、受光量が閾値以上でない場合、印刷媒体Wの表面の乱反射によって、測距に影響がでているおそれがある。そのため、第2測距センサ32に代えて、印刷媒体Wの表面が乱反射しやすい場合であっても、測距に影響がでにくい第1測距センサ31を使用する。CPU10aは搬送部6が第2搬送位置に到達し、搬送が終了したか否か判定する(S12)。搬送が終了していない場合(S12:NO)、CPU10aはステップS12に処理を戻す。搬送が終了している場合(S12:YES)、CPU10aはステップS6に処理を進める。
【0044】
実施の形態1において、左から順にヘッド33、34、ミスト回収部35、紫外線照射部36,37、測距センサ31、32が並んでいるが、右から順にヘッド33、34、ミスト回収部35、紫外線照射部36,37、測距センサ31、32が並んでもよい。この場合、キャリッジ3の移動開始位置及び移動終了位置は左右逆になる。なおヘッド及び紫外線照射部はそれぞれ単数でもよいし、3個以上でもよい。
【0045】
実施の形態1に係る印刷装置にあっては、左右方向、即ちキャリッジ3の移動方向に沿って、第1測距センサ31の発光素子31a及び受光素子31bが並ぶ。そのため、移動方向に沿って印刷媒体の凹凸具合が変化しても、印刷媒体上の目標位置にて光を反射させることができる。
【0046】
また前後方向に沿って、第2測距センサ32の発光素子32a及び受光素子32bが並ぶ。そのため、表面の色又は素材が異なる二つの部分を有する印刷媒体Wに対して、測距を行う場合に、境界部分において、乱反射が起きにくく、測定誤差が発生しにくい。
【0047】
また左右方向にて、紫外線照射部36、37がノズル33a、34aと第1測距センサ31との間に位置するので、ノズル33a、34aから吐出されたインクは、印刷媒体Wに付着後直ちに、紫外線照射部36、37からの紫外線の照射によって硬化される。
【0048】
また左右方向にて、ミスト回収部35がノズル33a、34aと第1測距センサ31との間に位置するので、ミスト回収部35はノズル33a、34aからインクが吐出された後、直ちにミストを回収することができる。
【0049】
またCPU10aは第1測距センサ31又は第2測距センサ32に、印刷媒体Wの搬送開始時に印刷媒体Wと測距センサとの間距離の測定を開始させ、印刷媒体Wの搬送終了時に前記距離の測定を終了させる(ステップS2~S5、S10~S12参照)。印刷媒体Wの表面全体に対する測距を行うことができる。
【0050】
また第1測距センサ31は第2測距センサ32よりも後側に配置される。即ち、第2搬送処理における印刷媒体Wの搬送方向(前から後)において、第1測距センサ31は第2測距センサ32よりも下流側に配置される。第1測距センサ31が第2測距センサ32よりも前側(上流側)に配置されている場合、測距センサを第2測距センサ32から第1測距センサ31に切り替えた後、第2測距センサ32によって測定できなかった部分であって、第1測距センサ31よりも後側(下流側)に配置された部分を測定する為に、印刷媒体Wを逆方向(後から前)に搬送する必要がある。第1測距センサ31は第2測距センサ32よりも後側に配置されているので、印刷媒体Wの逆方向への搬送は不要となる。
【0051】
(実施の形態2)
以下本発明を実施の形態2に係る印刷装置1を示す図面に基づいて説明する。実施の形態2に係る構成の内、実施の形態1と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。図9は、制御装置10による測距及び印刷処理を説明するフローチャートである。
【0052】
図9に示すフローチャートの内、S21~S23は図8のS1~S3と、S27~S30は図8のS6~S9と、S31~S33は図8のS10~S12と同じであり、その詳細な説明を省略する。
【0053】
ステップS23にて、第2測距センサ32を発光させた後、CPU10aは受光素子32bにて検出された受光量が許容範囲内であるか否か判定する(S24)。なお許容範囲は予め記憶部10dに記憶してあり、許容最大値及び許容最小値を含む。受光量が許容最大値よりも大きい場合、又は許容最小値よりも小さい場合、印刷媒体Wの表面の乱反射によって、測距に影響がでているおそれがある。
【0054】
受光量が許容範囲内でない場合(S24:NO)、CPU10aはステップS31に処理を進める。つまり、CPU10aは第2測距センサ32の発光を停止させる(S31)。CPU10aは第1測距センサ31を発光させる(S32)。第1測距センサ31の測定結果は記憶部10dに記憶される。受光量が許容範囲内である場合(S24:YES)、CPU10aは第2測距センサ32の受光素子32bからの出力波形が異常であるか否か判定する(S25)。例えば、異常で無い出力波形とは滑らかな曲線の波形をいい、異常な出力波形とは鋸刃状のジグザグな波形をいう。出力波形が異常である場合(S25:YES)、CPU10aはステップS31に処理を進める。異常な出力波形が出力されている場合、乱反射によって測距に影響が生じているおそれがある。
【0055】
出力波形が異常でない場合(S25:NO)、CPU10aは搬送部6が第2搬送位置に到達し、搬送が終了したか否か判定する(S26)。搬送が終了していない場合(S26:NO)、CPU10aはステップS24に処理を戻す。搬送が終了している場合(S26:YES)、CPU10aはステップS27に処理を進める。
【0056】
実施の形態2に係る印刷装置1にあっては、第2測距センサ32の出力値が許容範囲外である場合、第2測距センサ32を停止させ、第1測距センサ31を駆動させるので、測定誤差が発生しにくい。
【0057】
また第2測距センサの出力波形に異常が存在する場合、第2測距センサを停止させ、第1測距センサを駆動させるので、測定誤差が発生しにくい。
【0058】
(実施の形態3)
以下本発明を実施の形態3に係る印刷装置1を示す図面に基づいて説明する。実施の形態3に係る構成の内、実施の形態1又は2と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0059】
図10は、制御装置10による測距及び印刷処理を説明するフローチャートである。図10に示すフローチャートの内、S41~S47及びS49~S51は図9のS21~S30と同じであり、その詳細な説明を省略する。
【0060】
ステップS44において、受光量が許容範囲内でない場合(S44:NO)又はステップS45において、出力波形が異常である場合(S45:YES)、CPU10aは、搬送部6が第1搬送位置、即ち測距を開始するための、前後方向における印刷媒体Wの先頭位置にあるか否か判定する(S52)。搬送部6が第1搬送位置である場合(S52:YES)、即ち印刷媒体Wの後端部、即ち先頭に乱反射領域がある場合、CPU10aは第2測距センサ32の発光を停止させ(S53)、第1測距センサ31を発光させる(S54)。CPU10aは搬送部6が第2搬送位置に到達し、搬送が終了したか否か判定する(S55)。搬送が終了していない場合(S55:NO)、CPU10aはステップS55に処理を戻す。
【0061】
ステップS52において、搬送部6が先頭位置でない場合(S52:NO)、即ち印刷媒体Wの後端部に乱反射領域がない場合、CPU10aは第1測距センサ31を発光させる(S54)。即ち、第1測距センサ31及び第2測距センサ32を発光させて測距を行う。
【0062】
図11は、印刷媒体Wの一例を略示する平面図である。図11において、ハッチングは乱反射領域Kを示し、印刷媒体Wの前部にのみ乱反射領域Kがある。ステップS52において、搬送部6が先頭位置でない場合(S52:NO)、印刷媒体Wは図11に示すように、前部のみが乱反射領域Kである可能性がある。このような場合、CPU10aは乱反射領域Kでない印刷媒体Wの後部に対しては、第2測距センサによって、測距を行い、乱反射領域Kに対しては第1測距センサ及び第2測距センサによって、測距を行う。
【0063】
ステップS55において、搬送が終了している場合(S55:YES)、CPU10aは第1測距センサ31、又は、第1測距センサ31及び第2測距センサ32の発光を呈させる(S47)。CPU10aは記憶処理を実行し(S48)、ステップS49に処理を進める。
【0064】
図12は記憶処理を説明するフローチャートである。CPU10aは第1測距センサ31を使用したか否か判定する(S61)。第1測距センサ31を使用していない場合(S61:NO)、CPU10aはステップS49に処理を進める。
【0065】
第1測距センサ31を使用した場合(S61:YES)、CPU10aは記憶部10dに記憶された乱反射領域Kにおける第2測距センサ32の測定結果を削除し(S62)、乱反射領域Kにおける第1測距センサ31の測定結果のみを記憶部10dに残して、ステップS49に処理を進める。
【0066】
実施の形態3に係る印刷装置1にあっては、第2測距センサ32の出力値が許容範囲外であり且つ第2測距センサ32の測定位置が印刷媒体Wの先頭位置でない場合、第1測距センサ31及び第2測距センサ32に前記距離を測定させる。即ち、乱反射領域Kでない領域に対しては、第2測距センサによって、測距を行い、乱反射領域Kに対しては第1測距センサ及び第2測距センサによって、測距を行うので、乱反射領域Kに対してのみ、第1測距センサを使用し、測定誤差の抑制を図ることができる。
【0067】
また第2測距センサ32の出力波形に異常が存在する領域(乱反射領域K)とヘッド33、34との間の距離を第1測距センサ31に測定させるので、乱反射による測定結果への影響を抑制することができる。
【0068】
CPU10aは第1測距センサ31及び第2測距センサ32それぞれの出力値を記憶部10dに記憶する。その後、CPU10aは、乱反射領域Kにおける第2測距センサの出力値を記憶部10dから削除し、乱反射領域Kにおける第1測距センサ31の出力値を記憶部10dに記憶する。乱反射領域Kに関し、測定誤差の少ない測定結果を記憶部10dに残すことができる。
【0069】
(実施の形態4)
以下本発明を実施の形態4に係る印刷装置1を示す図面に基づいて説明する。実施の形態4に係る構成の内、実施の形態1~3と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。図13は、制御装置10による測距及び印刷処理を説明するフローチャートである。図13に示すフローチャートの内、S71~S75及びS79~S83は図10のS41~S45及びS47~S51と同じであり、その詳細な説明を省略する。
【0070】
ステップS74において、受光量が許容範囲内でない場合(S74:NO)、又は、ステップS75において、出力波形が異常である場合(S75:YES)、CPU10aは第1測距センサ31が発光しているか否か判定する(S84)。第1測距センサ31が発光していない場合(S84:NO)、CPU10aは第1測距センサ31を発光させる(S85)。即ち、第1測距センサ31及び第2測距センサ32に測距を行わせる。CPU10aは搬送部6が第2搬送位置に到達し、搬送が終了したか否か判定する(S78)。
【0071】
ステップS75において、出力波形が異常でない場合(S75:NO)、CPU10aは第1測距センサ31が発光しているか否か判定する(S76)。第1測距センサ31が発光している場合(S76:YES)、CPU10aは第1測距センサ31の発光を停止させる(S77)。第1測距センサ31の発光を停止させることによって、乱反射領域Kでない領域に対しては、第2測距センサ32による測距のみが行われる。CPU10aは搬送部6が第2搬送位置に到達し、搬送が終了したか否か判定する(S78)。
ステップS76において、第1測距センサ31が発光していない場合(S76:NO)、CPU10aはステップS78に処理を進める。
ステップS78において、搬送が終了していない場合(S78:NO)、CPU10aはステップS74に処理を戻す。搬送が終了した場合(S78:YES)、CPU10aは、第2測距センサ32、又は、第1測距センサ31及び第2測距センサ32の発光を停止させる(S79)。
【0072】
図14は、印刷媒体Wの一例を略示する平面図である。図14において、ハッチングは乱反射領域Kを示し、左右幅における印刷媒体Wの一部の領域にのみ乱反射領域Kが形成されている。このような場合、実施の形態4においては、乱反射領域Kに対しては第1測距センサ31及び第2測距センサ32による測距が行われる。乱反射領域Kでない領域に対しては、第2測距センサ32による測距のみが行われる。
【0073】
そのため、記憶部10dには、乱反射領域Kについては、第1測距センサ31及び第2測距センサ32による測定結果が記憶される。乱反射領域Kでない領域に対しては、第2測距センサ32の測定結果のみが記憶される。ステップS79の記憶処理において、CPU10aは記憶部10dに記憶された乱反射領域Kにおける第2測距センサ32の測定結果を削除し、乱反射領域Kにおける第1測距センサ31の測定結果のみを記憶部10dに残す。
【0074】
(実施の形態5)
以下本発明を実施の形態5に係る印刷装置1を示す図面に基づいて説明する。実施の形態5に係る構成の内、実施の形態1~4と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。図15は、キャリッジ3の略示平面断面図である。実施の形態5においては、第1測距センサ31及び第2測距センサ32は、いずれもキャリッジ3の前側に設けられている。第1測距センサ31及び第2測距センサ32は左右に並ぶ。前後方向における第1測距センサ31の測定位置と、第2測距センサ32の測定位置とは略同じになる。そのため、いずれのセンサを使用しても、略同じ前後位置についての測定結果を得ることができる。
【0075】
(実施の形態6)
以下本発明を実施の形態6に係る印刷装置1を示す図面に基づいて説明する。実施の形態6に係る構成の内、実施の形態1~5と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。図16は、キャリッジ3の略示平面断面図である。実施の形態6においては、第1測距センサ31及び第2測距センサ32は、いずれもキャリッジ3の後側に設けられている。第1測距センサ31及び第2測距センサ32は左右に並ぶ。前後方向における第1測距センサ31の測定位置と、第2測距センサ32の測定位置とは略同じになる。そのため、いずれのセンサを使用しても、略同じ前後位置についての測定結果を得ることができる。
【0076】
(実施の形態7)
以下本発明を実施の形態7に係る印刷装置1を示す図面に基づいて説明する。実施の形態7に係る構成の内、実施の形態1~6と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。図17は、キャリッジ3の略示平面断面図である。実施の形態7においては、第1測距センサ31はキャリッジ3の後部に配置され、第2測距センサ32はキャリッジ3の前部に配置されている。前後方向にて、第1測距センサ31及び第2測距センサ32の間にヘッド33,34が配置されている。第1測距センサ31及び第2測距センサ32は前後に離れているので、両センサを同時に使用する場合、に、一方のセンサの光が他方のセンサに干渉することを防止できる。例えば実施の形態3及び4の場合に、第1測距センサ31及び第2測距センサ32を離隔させることが考えられる。なお、第1測距センサ31をキャリッジ3の前部に配置し、第2測距センサ32をキャリッジ3の後部に配置してもよい。
【0077】
(実施の形態8)
以下本発明を実施の形態8に係る印刷装置1Aを示す図面に基づいて説明する。実施の形態8に係る構成の内、実施の形態1~7と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。図18は、印刷装置1Aを示す平面図である。印刷装置1Aは、ラインヘッド式の印刷装置である。印刷装置1Aは筐体2を備える。
【0078】
筐体2Aには、プラテン52、3個のヘッドバー33A、搬送ローラ50、51、及び制御装置などが備えられている。プラテン52上に印刷媒体Wが載置される。搬送ローラ50、51は、プラテン52の前後方向の両端部に配置され、印刷媒体Wは、搬送ローラ50、51が回転することによって、前後方向(搬送方向)に沿って搬送される。
【0079】
ヘッドバー33Aは、平面視において外形が矩形状をなす。ヘッドバー33Aは、印刷媒体Wが搬送される搬送方向(前後方向)が短手となり、搬送方向と直交する方向(左右方向)が長手となるように配置されている。ヘッドバー33Aは、インクジェットヘッドのノズル面がプラテン52に対向するように配置されている。各ヘッドバー33Aは、前後方向に沿って搬送ローラ50、51間に並んでいる。各ヘッドバー33Aは筐体2Aに固定されている。
【0080】
ヘッドバー33Aよりも前側にセンサーバー30が設けられている。センサーバー30は複数の第1測距センサ31を備える。複数の第1測距センサ31は左右方向に並ぶ。第1測距センサ31の発光素子31a及び受光素子31bは前後方向、即ち搬送方向に並ぶ。
【0081】
印刷装置1Aの制御装置はモータ(不図示)を作動させて、搬送ローラ50、51の動作を制御し、第1測距センサ31にセンサと印刷媒体Wとの間の距離を測定させる。測定後、制御装置は印刷媒体Wの搬送を実行させ、印刷媒体Wの搬送中に各ヘッドバー33Aに、印刷媒体Wに向けてインクを吐出させる。
【0082】
センサーバー30は複数の第1測距センサ31を備えているが、単数の第1測距センサ31を備えてもよく、単数又は複数の第2測距センサ32を備えてもよい。
【0083】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0084】
1 印刷装置
3 キャリッジ
31 第1測距センサ
32 第2測距センサ
33、34 ヘッド
33a、34a ノズル
35 ミスト回収部
36、37 紫外線照射部
6 搬送部
10 制御装置
33A ヘッドバー
50、51 搬送ローラ
W 印刷媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18